説明

溶銑容器を収容可能な建屋

【課題】キッシュグラファイト等の塵埃が外部に飛散することを確実に防止できる溶銑容器を収容可能な建屋を提供すること。
【解決手段】軌道6上を移動するトピートカー1とスラグ台車8とを全て収容可能であって、トピートカー1に残存するスラグをスラグ台車8へと排滓する排滓ステーション9を覆うように設けられた排滓棟7において、排滓ステーション9の真下にスラグ台車8が走行可能な走行ピット18を敷設し、排滓ステーション9の上方に集塵装置13を備える。また、排滓棟7の側部にトピートカー1が出入り可能であって且つ開閉扉16a,16bが設けられた出入口15a,15bを設ける。開閉扉16a,16bの下方に空隙が存在する状態で閉状態として、この空隙を、排滓棟7内に外気を取り入れ可能な開口部17とする。さらに、開口部17に隣接する位置に、集塵装置13に向けて送風可能な送風機19a〜19dを配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶銑容器、例えば混銑車が排滓のために停車する建屋に関し、特に、溶銑容器を収容すると共に、溶銑容器の排滓に伴って大気中に飛散する微粒子状の塵埃を効果的に集塵することのできる建屋に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄所において、高炉から出銑した溶銑を転炉まで搬送するために、溶銑容器である混銑車(トピートカー)が用いられる。高炉からの溶銑が装入されたトピートカーは、溶銑を転炉設備内の取鍋に移した後に、脱硫、脱珪、脱りん等による生成物であってスラグと呼ばれる残滓等を排出(排滓)し除去する。
特許文献1は、このような排滓を行う際に、トピートカー内に残るノロ及び地金を分別回収する方法及び設備を開示している。
【0003】
特許文献1が開示する方法及び設備では、停車したトピートカーの下に、地金受入鍋及びノロ受入鍋を備えた可動台車を配置する。この状態でトピートカーの溶銑収容筒体を回動させて、地金及びノロをそれぞれの受入鍋に分別して排出する。この後に、可動台車をトピートカーの下から、地金及びノロの処理工場へ移動させる。
このように溶銑収容筒体から地金やノロを排出すると、発煙と共にキッシュグラファイトと呼ばれる微粒子状の塵埃が飛散することはよく知られている。このキッシュグラファイトは、溶銑に溶けていた炭素成分が溶銑の温度降下によって溶解限界を超え、固体炭素として溶銑から析出した鱗片状黒鉛であって、非常に細かい微粒子である。
【0004】
このようなキッシュグラファイトについての研究は、例えば「キッシュグラファイトのスラグ層からの浮上分離について」として、日本鉄鋼協会「鉄と鋼」第73ー4号(1987年3月4日発行)に発表されており、当業者間においてキッシュグラファイトの存在は広く認知されている。
析出したキッシュグラファイトは溶銑よりも比重が小さいので、溶銑中で浮上し、溶銑表面に集積しやすい。さらに、溶銑容器内に精錬スラグが有る場合、キッシュグラファイトは精錬スラグとともに溶銑界面に集積しやすいので、精錬スラグを溶銑容器から取り除く(除滓する)際に、キッシュグラファイトは自由表面に晒される。これによって、キッシュグラファイト等の微粒子状の塵埃が大気中に飛散する。
【0005】
さらに、溶銑を転炉設備内の取鍋に移した後にトピートカー内に残るスラグにもキッシュグラファイトが含まれているため、このスラグを溶銑容器から取り除く(排滓する)際にも、キッシュグラファイト等の微粒子状の塵埃が大気中に飛散する。
このように大気中に飛散する微粒子状の塵埃を回収する方法や装置が、以下の特許文献2から特許文献4に開示されている。
【0006】
特許文献2は、トピート排滓場集塵設備を開示している。このトピート排滓場集塵設備は、排滓時に発生する塵埃を集塵するものであって、トピートカーの平行部を収容し得る長さと、排滓ピットを含みしかもトピートカーの回転を許容する幅とを有し、かつ集塵ダクトに連通した密閉型集塵フードである。
この密閉型集塵フードには、トピートカーの平行部と両コーン部との境界部を細間隙をもって包囲する開口が形成されている。また、集塵フード内に空気旋回流を発生させるエアブロー配管が、集塵フードの下部に配置されている。
【0007】
特許文献3は、混銑車排滓用集塵装置を開示している。この混銑車排滓用集塵装置は、排滓時に発生する発煙及び発塵を回収する装置であって、建屋状のフードが設けられ、該フード側面の作業用出入口は伸縮式防風板によって開閉自在に閉止されている。
この混銑車排滓用集塵装置では、伸縮式防風板が、作業用出入口の左右方向に伸縮することで該出入口を開閉しており、該出入口が閉止された状態で、伸縮式防風板と地面との間には隙間が形成される。
【0008】
特許文献4は、移動式溶銑鍋集塵装置を開示している。この移動式溶銑鍋集塵装置は、ノロ掻きがなされる溶銑鍋から発生する塵埃を集塵する装置であって、走行台車の走行方向と平行に2枚の側壁を対向させ、この2枚の側壁間にエアー吹出孔を穿設したエアー吹出パイプを複数配設することで構成されている。
この移動式溶銑鍋集塵装置は、ノロ掻きがなされる溶銑鍋の位置まで移動してエアー吹出パイプからエアーを吹き出し、人工竜巻を発生させることでノロ掻き作業中に発生する粉塵の内、上方に舞い上がる粉塵を集塵するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特公昭57−6488号公報
【特許文献2】実開平2−53862号公報
【特許文献3】実公昭61−1359号公報
【特許文献4】特公平8−26385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に開示の処理方法では、溶銑傾注鍋から発生する塵埃等を集塵する方法が開示されていないため、発生した塵埃等は、溶銑傾注鍋を収容する建屋内だけでなく建屋外にも飛散する。
そのため、特許文献2に開示のトピート排滓場集塵設備では、微粒子状の塵埃の発生源であるトピートカーの平行部分を建屋で覆って集塵することで、キッシュグラファイト等の微粒子状の塵埃が建屋外の大気中に飛散しないようにしている。しかし、このトピート排滓場集塵設備はトピートカーの一部だけを覆うものであり、微粒子状の塵埃の大気中への飛散を抑制するには不十分な設備であると思われる。
【0011】
加えて、トピートカーは、数百トンもの溶銑が装入される容器を持つ非常に大きなものであり、その容器の形状は樽型で特殊なものである。このように大きくて特殊な形状のトピートカーを、特許文献2の如く密閉板を用いてトピートカーとの間に細間隙を形成しつつ一部だけを覆う設備の実現は、非常に困難であると思われる。
また、特許文献3及び4に開示の装置においては、塵埃の発生源の覆いが不完全であるだけでなく、塵埃がその発生源から集塵機へ効率よく向かうための空気の流れが十分に考慮されていない。
【0012】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、キッシュグラファイト等の塵埃が外部に飛散することを確実に防止できる溶銑容器を収容可能な建屋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明の溶銑容器を収容可能な建屋は、軌道上を移動する溶銑容器とスラグ台車とを全て収容可能であると共に、溶銑を排出した後の溶銑容器に残存するスラグを前記スラグ台車へと排滓する排滓ステーションを覆うように設けられた建屋であって、前記建屋には、当該建屋の下部であって且つ排滓ステーションの真下に前記スラグ台車が走行可能な走行ピットが敷設され、当該建屋の上部であって且つ排滓ステーションの上方に集塵装置が備えられ、前記建屋には、当該建屋の側部に溶銑容器が出入り可能であって且つ開閉扉が設けられた出入口が設けられ、前記開閉扉は、上下に開閉する扉であって当該開閉扉の下方に空隙が存在する状態で閉状態とされ、前記空隙は、開閉扉の閉状態において当該建屋内に外気を取り入れ可能とする開口部とされ、前記開口部に隣接する位置であって、前記軌道に沿った方向で前記溶銑容器の両端側より外側で且つ前記軌道外に送風手段が配設され、前記送風手段は集塵装置に向けて送風可能となっていることを特徴とする。
【0014】
ここで、前記建屋には第2の建屋が連通するように設けられていて、前記第2の建屋には、その下部であって且つ排滓ステーションの下方に前記スラグ台車が走行可能な走行ピットが敷設され、当該第2の建屋の上部であって且つ排滓ステーションの上方に集塵装置が備えられ、前記第2の建屋には、その側部に溶銑容器が出入り可能であって且つ開閉扉が設けられた出入ロが設けられ、前記出入ロは、開閉扉の閉状態において当該第2の建屋内に外気を取り入れ可能とする開ロ部を有していてもよい。
【0015】
また、前記第2の建屋の内部において、前記開口部に隣接する位置に送風手段が配設され、前記送風手段は第2の建屋に備えられた集塵装置に向けて送風可能となっていてもよい。
また、前記建屋と第2の建屋との間には、前記スラグ台車が出入りし且つ停留可能となっている積出建屋が設けられ、前記積出建屋と建屋と第2の建屋とを横切るように前記走行ピットが敷設されていて、前記積出建屋と建屋と第2の建屋とをスラグ台車が行き来可能とされていてもよい。
【0016】
さらに、前記溶銑容器が、混銑車であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、キッシュグラファイト等の塵埃が外部に飛散することを確実に防止できる溶銑容器を収容可能な建屋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態による排滓棟の内部を側方から見た側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による排滓棟の内部を上方から見た平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による排滓棟の出入口、特に開口部を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態による排滓棟の内部を上方から見た平面図である。
【図5】従来の排滓棟における粉塵量の測定結果を示すグラフを示す図である。
【図6】第2実施形態による排滓棟における粉塵量の測定結果を示すグラフを示す図である。
【図7】第2実施形態による排滓棟における粉塵量の測定結果を示すグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図を基に説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による溶銑容器であるトピートカー(混銑車)及び溶銑容器を収容可能な建屋について、以下に説明する。
図1を参照して、トピートカー1は、高炉から出た精錬処理前の溶銑を転炉設備まで運搬する運搬車であり、予め敷設された線路によって構成される軌道上を移動することで溶銑を搬送する。トピートカー1は、まず高炉で溶銑を受銑する。その後、トピートカー1は除滓棟に移動して、溶銑上のスラグが取り除かれる(除滓される)。除滓後に、トピートカー1は転炉設備まで移動して、溶銑を取鍋に装入する。取鍋への溶銑の装入が完了すると、トピートカー1は排滓棟へ移動して、残存するスラグを排滓する。排滓を完了すると、トピートカー1は、高炉へ戻って新たな溶銑を受銑するか、又は補修場へ移動して必要な補修を受ける。
【0020】
図1に示すように、このような役割を果たすトピートカー1は、溶銑が装入される容器本体2と、容器本体2を支持すると共に軌道上を移動する台車3,4とを備えて構成されている。
容器本体2は、鉄製の殻(シェル)である鉄皮からなる中空かつ樽形状であって、図1に示すように樽を横倒しにしたような状態で用いられる。その容器本体2の周面において容器本体2の長手方向のほぼ中央に、溶銑が装入及び排出される受銑口5が形成されている。容器本体2のシェルの内面は、有機物をバインダーとして含有する耐火物で内張りされている。
【0021】
台車3,4は、容器本体2を、容器本体2の受銑口5が上方を向くように長手方向両端で支持するものであり、該長手方向の軸芯を中心として回動させることができる。台車3,4は、それぞれ独立した台車であって一体ではないので、容器本体2において少なくとも受銑口5が形成された部位の下方には台車は存在しない。
このように容器本体2と台車3,4とは一体となってトピートカー1となり、線路等の軌道6上を移動する。軌道6上を所定の位置まで移動したトピートカー1は、容器本体2を回動させることで受銑口5を側方に向けて、容器本体2内の溶銑を排出することができる。容器本体2内の溶銑を全て排出した後、さらに容器本体2を回動させて受銑口5を下方に向けると、容器本体2内のスラグを排出(排滓)することができる。
【0022】
次に、図1及び図2を参照して、高炉からの溶銑を転炉設備内の取鍋に移したトピートカー1が容器本体2内のスラグを排滓する排滓棟7、すなわち本実施形態による溶銑容器を収容可能な建屋について以下に説明する。
図1及び図2において、排滓棟7は、軌道6上を移動するトピートカー1と後述するスラグ台車8とを全て収容可能であると共に、排滓のためにトピートカー1が停止する場所であって、溶銑を排出した後のトピートカー1に残存するスラグをスラグ台車8へと排滓する排滓ステーション9を覆うように設けられた建屋である。言い換えるならば、排滓棟7の中央付近の軌道上が排滓ステーション9として設定されている。
【0023】
この排滓棟7は、トピートカー1の四方を囲むことのできる4面の側壁と天井とを有している。この4面の側壁は、図2に示す平面視において、軌道6に対してほぼ平行となるように設置された2面の第1側壁10a,10bと、軌道6に対してほぼ垂直となるように設置された2面の第2側壁11a,11bとからなる。2面の第1側壁10a,10bは、それぞれ、軌道6に沿った方向の幅が、トピートカー1の全長よりも十分に大きく、軌道6を挟んで第2側壁11a,11bの幅に相当する間隔を隔てて設置されている。また、2面の第1側壁10a,10bは、設置された地面からの高さも、トピートカー1の全高よりも十分に高い。2面の第2側壁11a,11bはそれぞれ、平面視において、軌道6に対して垂直方向の幅がトピートカー1の全幅よりも十分に大きく、設置された地面からの高さも、トピートカー1の全高よりも十分に高い。
【0024】
排滓棟7の天井12は、図2における平面視において4面の側壁10a,10b,11a,及び11bで形成された四角形とほぼ同じ形状及び大きさであり、当該四角形を蓋するように配置される。この天井12は、図1における側面視で示されるように、後述する集塵装置13が配置される中央部が階段状に上方にせり上がっており、当該中央部には、集塵装置13の排気管が通る開口が形成されている。
【0025】
排滓棟7内において、上方にせり上がった中央部の直下に位置する地面には、入庫したトピートカー1よりも高い位置で集塵装置13を支持するための支柱14が垂直に設置されており、当該支柱14の上端に集塵装置13が設置されている。
このような排滓棟7の構成について、以下に詳しく説明する。
図2を参照して、排滓棟7において長手方向(軌道6の敷設方向)両端にある第2側壁11a,11bにはトピートカー1が出入り可能な出入口15a,15bが設けられている。図1とあわせて参照すると、出入口15a,15bは、少なくとも軌道6上を移動するトピートカー1が出入り可能な幅及び高さの略方形の開口であり、排滓棟7の第2側壁11a,11bが、軌道6が敷設された地面から上方に向かって切り欠かれたような形状となっている。
【0026】
この出入口15a,15bには、開閉扉16a,16bがそれぞれ設けられている。開閉扉16a,16bは、出入口15a,15bを全幅に亘って上下方向に開閉する一般的なシャッターなどの開閉部材であり、排滓棟7の第2側壁11a,11bに固定されている。開閉扉16a,16bがシャッターである場合、開閉扉16a,16bは排滓棟7の第2側壁11a,11bにおいて出入口15a,15bの上方に固定されており、排滓棟の上方から下方に向かって降下することで出入口15a,15bを閉じて閉状態となる。開閉扉16a,16bがシャッター以外の部材である場合、当該部材の固定位置は、出入口15a,15bの上方に限らず、当該部材の特性に合わせて選択すればよい。
【0027】
図3に示すように、シャッターを含むいずれの部材を開閉扉16a,16bとして用いても、開閉扉16a,16bは軌道6の上端と当接する位置で停止して閉状態となる。このように開閉扉16a,16bが軌道6と当接した閉状態において、開閉扉16a,16bと軌道6が敷設された地面との間には、軌道6を構成する線路の高さ(例えば、20cm前後)分の空隙が形成されるので、出入口15a,15bがそれぞれ開閉扉16a,16bによって完全に閉鎖されることはない。よって、形成された空隙は、出入口15a,15bとほぼ等しい幅で、軌道6とほぼ同じ高さを有することとなる。排滓棟7においては、この空隙を、排滓棟7内に外気を取り入れるための開口部17として利用する。
【0028】
開閉扉16a,16bの下端部に、線路の形状に合わせた切り欠きを形成すると、開閉扉16a,16bは軌道6が敷設された地面まで降下することができるので、排滓棟7は密閉されて開口部17が形成されることはない。しかし本発明では、排滓棟7内に外気を取り入れるために、開閉扉16a,16bの下端部に切り欠きを形成せずあえて開口部17が形成される構成を採用している。
【0029】
図1及び図2を参照して、上述のように出入口15a,15b及び開閉扉16a,16bが設けられた排滓棟7内のほぼ中央であって、上方にせり上がった天井12の中央部の直下の位置には、トピートカー1が停車して、容器本体2に残存するスラグを後述するスラグ台車8に排滓する場所である排滓ステーション9が設けられている。
図1及び図2に示すように、排滓棟7に入庫したトピートカー1は、容器本体2の受銑口5が排滓ステーション9内に位置する所で停車するので、排滓棟7内のほぼ中央位置に停車することになる。
【0030】
図1及び図2に示すように、排滓棟7内のほぼ中央にある排滓ステーション9において、軌道6の直下が掘削されて形成された溝状の走行ピット18が設けられている。この走行ピット18は、排滓ステーション9から軌道6の敷設方向に対して略垂直方向に、排滓ステーション9の側方まで延びており、トピートカー1から排滓されたスラグを積載するスラグ台車8が排滓ステーション9内で移動する径路である。尚、スラグ台車8の上には、トピートカー1から排滓されたスラグを積載するためのスラグパンが搭載されている。
【0031】
図1及び図2に示すように、上述の走行ピット18が設けられた排滓ステーション9の上部には、吸引式の集塵装置13が設けられる。この集塵装置13は、一般的な工場などに設けられるものと同様の構成を有するものであり、空気を吸引する集塵機と、吸引口に取り付けられた集塵フードを含んで構成される。この集塵装置13によって、集塵フードを経て排滓棟7内の空気を吸引し、吸引した空気から塵埃を分離して回収する。
【0032】
排滓棟7内の塵埃を効率よく回収するためには、集塵機は排滓棟7の内容積に見合った吸引能力が必要であり、集塵フードは少なくとも停車したトピートカー1の受銑口5上部を覆う大きさが必要であることは言うまでもない。
図1及び図2を参照すると、送風手段である送風機19a〜19dは、出入口15a,15bの下部に形成された開口部17に隣接する位置であって、トピートカー1が移動する軌道6に沿った方向でトピートカー1の両端側より外側で且つ軌道6外に設けられている。
【0033】
送風機19a〜19dは、一般的にはブロアー又はファンと呼ばれるような前面に向かって風を送り出す装置であり、排滓棟7の床面で開口部17の近傍に設置されている。4つの送風機19a〜19dは、それぞれの送風方向を集塵装置13に向けるとともに、送風方向の背面側(吸気側)を開口部17に向けるように配置されている。図1に示す側面図において4つの送風機19a〜19dは、トピートカー1と開口部17との間に配置されて、送風方向を白抜きの矢印で示すように斜め上方の集塵装置13に向けている。また、図2に示す平面図において4つの送風機19a〜19dは、トピートカー1と開口部17との間に配置されて、送風方向を白抜きの矢印で示すように排滓棟7の対角線にほぼ沿った方向で集塵装置13に向けている。
【0034】
このような送風機19a〜19dの配置によって、開口部17から進入した空気が排滓棟7内で淀むことなくスムーズに集塵装置13に向かうようになる。
送風機19a〜19dの送風能力は、主に集塵装置13の吸引能力に応じて決定されるが、全ての送風機19a〜19dの送風能力の合計が集塵装置13の吸引能力と同等かわずかに下回る程度とすると、概ね良好な集塵結果が得られる。しかし、これに限らず、全ての送風機19a〜19dの送風能力の合計が、集塵装置13の吸引能力を上回ってもよいし、下回ってもよい。さらに、実際の操業状況にあわせて、送風機19a〜19dの送風能力を様々に変化させてもよい。
【0035】
上述の構成を有する排滓棟7において、トピートカー1の入庫(入棟)から、スラグの排滓を終えて出庫(出棟)するまでの動作の一例を、時系列に沿って以下に説明する。
まず、排滓棟7の開閉扉16a,16bを開状態として出入口15a,15bを開放する。転炉設備での溶銑の移し替えを終えたトピートカー1が、開放された出入口15a又は出入口15bから排滓棟7内に入庫し、容器本体2の受銑口5が排滓ステーション9上に位置するように停車する。
【0036】
トピートカー1の停車を確認して開閉扉16a,16bを閉状態とする。開閉扉16a,16bを閉状態とした後に、集塵装置13と送風機19a〜19dを始動させると共に、走行ピット18内のスラグ台車8を排滓ステーション9の位置まで移動させる。スラグ台車8は、予め排滓ステーション9の位置まで移動していてもよい。この集塵装置13と送風機19a〜19dの始動によって、排滓棟7の開口部17から集塵装置13へ向かう空気の流れが形成される。
【0037】
スラグ台車8が排滓ステーション9の位置にあることを確認して、トピートカー1の容器本体2を受銑口5が真下を向く位置まで回動させる。容器本体2内のスラグは受銑口5から排出されて、走行ピット18内のスラグ台車8上に載置されたスラグパンへ落下する。このときに多量のキッシュグラファイト等を含む塵埃が舞い上がる。
容器本体2内のスラグが全て排出されるまで、しばらくこの状態を維持する。スラグの排出が終了すると、受銑口5が真上に向いて元の位置に戻るまで容器本体2を回動させる。容器本体2の回動が完了しても排滓棟7内には塵埃が舞っているので、トピートカー1を移動させることなく、開閉扉16a,16bの閉状態と集塵装置13及び送風機19a〜19dの動作とを維持する。
【0038】
開閉扉16a,16bの閉状態を所定時間維持した後に、排滓棟7内の塵埃がほぼ全て回収されたことを確認して開閉扉16a,16bを開状態とし、トピートカー1を排滓棟7の外へ移動させる。
こうすることで、排滓中に舞う塵埃が排滓棟7の外に飛散することなく集塵装置13に回収されるだけでなく、排滓を終えたトピートカー1が排滓棟7から出て行く際に、塵埃が排滓棟7の外に飛散することもなくなる。
(第2実施形態)
次に、図4を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
【0039】
図4は、本発明の第2実施形態による排滓棟20の平面図である。本実施形態による排滓棟20は、第1実施形態による排滓棟7とほぼ同じ構成を有する第1排滓室21及び第2排滓室22と、各排滓室から出たスラグを集積して運び出すためのスラグ搬出室23とを有している。第1排滓室21及び第2排滓室22の各構成要素は、第1実施形態による排滓棟7の構成要素とほぼ同じであるので、ここでは、同じ名称を用いて説明を省略する。
【0040】
第1排滓室21は、第1実施形態の排滓棟7と同様に、2面の第1側壁24a,24bと2面の第2側壁25a,25bとで囲まれると共に、中央部が階段状に上方にせり上がり、当該中央部に集塵装置の排気管が通る開口が形成された天井を有する建屋である。第1排滓室21の内部は、第1実施形態の排滓棟7と同様の構成であるので、集塵装置13、送風機19a〜19d、排滓ステーション9、走行ピット18などを有すると共に、トピートカー26aが入出庫するための第1軌道27を有する。
【0041】
この第1排滓室21と同様の構成を有する第2排滓室22を、図4に示すように、第1排滓室21から所定の間隔を空けて、互いの第1側壁、及び互いの軌道が略平行となるように設置する。このように配置された第1排滓室21と第2排滓室22の間に、第1排滓室21の第1軌道27と第2排滓室22の第2軌道28に対して平行となるように第3軌道29が敷設されている。
【0042】
この第3軌道29を包囲するように側壁を設置することでスラグ搬出室33が設置されており、スラグ搬出室33の軌道29方向の長さは第1排滓室21及び第2排滓室22より若干長く、軌道29に対する垂直方向の幅は第1排滓室21及び第2排滓室22とほぼ同じである。
スラグ搬出室23の側壁のうち軌道29の方向に垂直な側壁30a,30bは、第1実施形態の排滓棟7における第2側壁11a,11bと同様の部材及び構成であって、出入口31a,31b及び開閉扉32a,32bを有している。第1実施形態と同様に、開閉扉32a,32bが閉状態において軌道29と当接することで、開閉扉32a,32bの下部に開口部が形成される。
【0043】
尚、スラグ搬出室23の軌道29に沿った長さは、必ずしも第1排滓室21及び第2排滓室22より長くなくてもよく、スラグ搬出室23の設置場所の制約や配備する機材にあわせて適宜選択すればよい。
このように互いに平行に設置された第1排滓室21、スラグ搬出室23、及び第2排滓室22がそれらのほぼ中央部分で互いに連通するように、第1排滓室21とスラグ搬出室23の間には第1連通路33a、スラグ搬出室23と第2排滓室22の間には第2連通路33bが設けられている。
【0044】
図4を参照して、第1連通路33aは、第1排滓室21の側壁24bとスラグ搬出室23の軌道29に平行な側壁34aをつなぐ連通壁35a,35bによって形成されており、第2連通路33bは、スラグ搬出室23の軌道29に平行な側壁34bと第2排滓室22の軌道28に平行な側壁36aをつなぐ連通壁37a,37bによって形成されている。
【0045】
図4は、排滓棟20の平面図であるので、排滓棟20の天井部分が描かれていないが、第1排滓室21及び第2排滓室22の天井部分は、それぞれ第1実施形態の排滓棟7の天井部分と同様の構成を有している。これら第1排滓室21及び第2排滓室22の間にあるスラグ搬出室23の天井部分は、スラグ搬出室23の上部を全て覆うだけでなく、第1連通路33a及第2連通路33bの上部も全て覆って第1排滓室21及び第2排滓室22の天井部分と連なっている。
【0046】
このように第1排滓室21、第2排滓室22、及びスラグ搬出室23が連通することで形成された本実施形態の排滓棟20において、第1排滓室21及び第2排滓室22の各排滓ステーションに形成された走行ピットがスラグ搬出室の軌道直下を横切って延びており、一本の溝状の走行ピット38となっている。この走行ピット38は、トピートカー26a,26bから排滓されたスラグを積載するスラグ台車8が往復するための径路である。
【0047】
スラグ搬出室23は、スラグ搬出のために第3軌道29上を移動するスラグ搬出車39が出入りする場所であるので、スラグ台車8のスラグパンをスラグ搬出車39に移動させるクレーン40がスラグ搬出室23の天井部に設置されている。クレーン40は、第3軌道29の側方を第3軌道29の敷設方向に沿って移動するものである。また、スラグ搬出車39は、スラグ台車8上のスラグパンを複数積載して、スラグ搬出室23から搬出するものであり、スラグパンを搭載するために走行ピット38上で停車している。
【0048】
第1排滓室21又は第2排滓室22の排滓ステーションでスラグを積載したスラグ台車8が、走行ピット38を移動してスラグ搬出車39の側方で停車すると、スラグ搬出室23に設置されたクレーン40が、スラグ台車8上のスラグパンを持ち上げて、スラグ搬出車39に載せる。この動作を繰り返して所定数のスラグパンが搭載されると、スラグ搬出車39は、スラグ搬出室23を出庫してスラグ廃棄場へ向かう。
【0049】
上述の構成を有する排滓棟20において、トピートカー26a,26bの排滓室21,22への入庫から、スラグ排出車39がスラグ搬出室23から出庫するまでの動作の一例を、時系列に沿って以下に説明する。
まず、第1排滓室21、第2排滓室22、及びスラグ搬出室23の全ての開閉扉を開状態として出入口を開放する。転炉設備での溶銑の移し替えを終えた2台のトピートカー26a,26bが、開放された出入口から各排滓室21,22内にそれぞれ入庫し、トピートカー26a,26bの容器本体の受銑口が排滓ステーション上に位置するように停車する。また、スラグ排出車39がスラグ搬出室23に入庫し、走行ピット38上で停車する。
【0050】
トピートカー26a,26b及びスラグ排出車39の停車を確認して、第1排滓室21、第2排滓室22、及びスラグ搬出室23の全ての開閉扉を閉状態とする。開閉扉を閉状態とした後に、第1排滓室21及び第2排滓室22の集塵装置と送風機を始動させると共に、走行ピット38内のスラグ台車8を第1排滓室21の排滓ステーションまで移動させる。この集塵装置と送風機の始動によって、第1排滓室21、第2排滓室22、及びスラグ搬出室23の開口部から集塵装置へ向かう空気の流れが形成される。
【0051】
スラグ台車8が第1排滓室21の排滓ステーションの位置にあることを確認して、トピートカー26aの容器本体を受銑口が真下を向く位置まで回動させる。容器本体内のスラグは、受銑口から排出されて走行ピット38内のスラグ台車8上に載置されたスラグパンへ落下する。このときに多量のキッシュグラファイト等を含む塵埃が舞い上がる。
容器本体内のスラグが全て排出されるまで、しばらくこの状態を維持する。スラグの排出が終了すると、受銑口が真上に向いて元の位置に戻るまで容器本体を回動させる。容器本体の回動が完了しても排滓棟20内には塵埃が舞っているので、トピートカー26aを移動させることなく、開閉扉の閉状態と集塵装置及び送風機の動作とを維持する。
【0052】
この間にスラグ台車8は、スラグ排出車39の側方へ移動する。スラグ台車8がスラグ排出車39の側方に停車すると、クレーン40がスラグ台車8上のスラグパンを持ち上げてスラグ排出車39に載せ、スラグ排出車39上の空のスラグパンをスラグ台車8に載せる。
その後、空のスラグパンを載せたスラグ台車8を、第2排滓室22の排滓ステーションまで移動させる。第1排滓室21における手順と同様の手順で、トピートカー26bからのスラグをスラグ台車8上に排出する。このときも同じく、トピートカー26bの排滓が終了しても排滓棟20内には塵埃が舞っているので、トピートカー26bを移動させることなく、開閉扉の閉状態と集塵装置及び送風機の動作とを維持する。
【0053】
この間にスラグ台車8は、スラグ排出車39の側方へ移動する。スラグ台車8がスラグ排出車39の側方に停車すると、クレーン40がスラグ台車8上のスラグパンを持ち上げてスラグ排出車39に載せ、スラグ排出車39上の空のスラグパンをスラグ台車8に載せる。
さらに開閉扉の閉状態を所定時間維持した後に、排滓棟20内の塵埃がほぼ全て回収されたことを確認して第1排滓室21、第2排滓室22、及びスラグ搬出室23の開閉扉を開状態とし、トピートカー26a,26b及びスラグ排出車39を排滓棟20の外へ移動させる。
【0054】
こうすることで、排滓中に舞う塵埃が排滓棟20の外に出ることなく集塵装置に回収されるだけでなく、排滓を終えたトピートカー26a,26bが排滓棟20から出て行く際に、塵埃が排滓棟20の外に出ることもなくなる。
上述したスラグ搬出室23を設けることで、スラグ排出車39へのスラグパンの移動を集塵装置が設けられた室内で行うことができるようになり、設備周辺に飛散するキッシュグラファイト量をさらに低減させることができる。
【0055】
また、上述のような2つの排滓室21,22を有する排滓棟20を設置すると、一方の排滓室での排滓が終了した後で排滓棟20内の塵埃を回収している間に、他方の排滓室での排滓を行うことができるので、製鉄所の設備効率の向上に資することができる。
【実施例】
【0056】
上述の実施形態による効果を検証するために、大気中のキッシュグラファイトの飛散量を測定した。以下に、図4〜図7を参照して、本発明の実施形態による排滓棟20を設置する前の飛散量と当該排滓棟20を設置後の飛散量とを比較する。
飛散量の測定は、図4において、スラグ搬出室23から軌道に沿って約50m離れた地点Aと、排滓室21から地点Aとは反対側に軌道に沿って約20m離れた地点Bとに水を張ったトレイをそれぞれ設置し、水に浮遊する粉塵量、及び粉塵中のグラファイト量を測定した。この粉塵中のグラファイトは、ほぼ全てがキッシュグラファイト由来のものであるので、測定された粉塵中のグラファイト量の増減が、キッシュグラファイト量の増減を示していると考えることができる。
【0057】
測定方法は、以下のとおりである。
横約50cm×縦約35cm×深さ約3cmのトレイに約1リットルの水を張って地点Aと地点Bに設置し、このトレイを24時間毎に別のトレイと交換して回収する。回収したトレイを、ドラフトチャンバー内で100℃に加熱し、トレイ内の水を沸騰、蒸発させた後、トレイ上に残った粉塵の重量を測る。
【0058】
また、粉塵中のグラファイト量は、全粉塵量に、粉塵中C濃度を乗ずることにより求めた。なお、C濃度は、JIS G 1211に記載の炭素定量方法、すなわち、赤外線吸収法により分析した。このようにして、24時間毎の粉塵量および粉塵中グラファイト量を測定した。
図5は、排滓棟20の各排滓室21,22に集塵装置13のみが設けられていたときの測定結果、つまり従来の排滓棟における測定結果を示すグラフを表している。図6は、排滓棟20の各排滓室21,22に集塵装置13及び開閉扉16a,16bを設けたときの測定結果、つまり第2実施形態による排滓棟20における測定結果を示すグラフを表している。また、図7は、第2実施形態による排滓棟20の各排滓室21,22に、集塵装置13、開閉扉16a,16b、及び送風機19a〜19dを設けた場合の測定結果を示すグラフを表している。
【0059】
図5〜図7において、(a)は地点Aにおける結果を示し、(b)は地点Bにおける結果を示している。また、各図において、グラフの横軸は、測定間隔である24時間を単位とした経過日数を示しており、縦軸は、測定された粉塵量および粉塵中グラファイト量をトレイの開口面積(横約0.5m×縦約0.35m)で除して得られた数値を1平方メートル当たりの粉塵堆積量として示している。よって、棒グラフ1本分は、測定間隔である24時間に相当する。
【0060】
まず、地点Aについての測定結果を検討するために、従来例に対応する図5(a)と第2実施形態に対応する図6(a)を比較すると、図6(a)において粉塵量、及び粉塵中グラファイト量共に大きく減少していることがわかる。グラフ下の表に示すように、図5(a)ではグラファイト以外の堆積量の平均は84.4g/m2であったが、図6(a)ではグラファイト以外の堆積量の平均は46.0g/m2であった。
【0061】
これにより、開閉扉16a,16bを設けることによって、堆積量は約半分になったことがわかる。同様に、グラファイト分の堆積量の平均について図5(a)と図6(a)を比較すると、半分以下となっており、開閉扉16a,16bの設置による効果を確認することができた。
さらに、開閉扉16a,16bが設けられた第2実施形態に対応する図6(a)と、第2実施形態において開閉扉16a,16bに加えて送風機19a〜19dが設けられた場合に対応する図7(a)とを比較すると、図7(a)において、グラファイト分以外の堆積量の平均は4分の1程度、グラファイト分の堆積量の平均は6分の1程度となったことがわかる。これによって、開閉扉16a,16bに加えて送風機19a〜19dを設置することによる、さらに顕著な効果を確認することができた。
【0062】
地点Bについても、図5(b)と図6(b)を比較すると、図6(b)においてグラファイト以外の堆積量の平均は約5分の1になっており、グラファイト分の堆積量の平均は、約10分の1になっている。
これによって、地点Aと同様に地点Bにおいても、開閉扉16a,16bの設置によってグラファイト分の回収に対して大きな効果が得られたことを確認できた。
【0063】
また、図6(b)と図7(b)を比較すると、図7(b)においてグラファイト以外の堆積量の平均は約5分の3になっており、グラファイト分の堆積量の平均は、約2分の1になっている。
これによって、地点Aと同様に地点Bにおいても、開閉扉16a,16b及び送風機19a〜19dの設置によってグラファイト分の回収に対してさらに顕著な効果が得られたことを確認できた。
【0064】
以上のとおり、排滓棟20の設置によってキッシュグラファイトの飛散量は顕著に低下しており、本発明の第2実施形態による排滓棟20の効果が確認された。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
【符号の説明】
【0065】
1 トピートカー
2 容器本体
3,4 台車
5 受銑口
6 軌道
7 排滓棟
8 スラグ台車
9 排滓ステーション
10a,10b 第1側壁
11a,11b 第2側壁
12 天井
13 集塵装置
14 支柱
15a,15b 出入口
16a,16b 開閉扉
17 開口部
18 走行ピット
19a〜19d 送風機
21 第1排滓室
22 第2排滓室
23 スラグ搬出室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道上を移動する溶銑容器とスラグ台車とを全て収容可能であると共に、溶銑を排出した後の溶銑容器に残存するスラグを前記スラグ台車へと排滓する排滓ステーションを覆うように設けられた建屋において、
前記建屋には、当該建屋の下部であって且つ排滓ステーションの真下に前記スラグ台車が走行可能な走行ピットが敷設され、当該建屋の上部であって且つ排滓ステーションの上方に集塵装置が備えられ、
前記建屋には、当該建屋の側部に溶銑容器が出入り可能であって且つ開閉扉が設けられた出入口が設けられ、
前記開閉扉は、上下に開閉する扉であって当該開閉扉の下方に空隙が存在する状態で閉状態とされ、
前記空隙は、開閉扉の閉状態において当該建屋内に外気を取り入れ可能とする開口部とされ、
前記開口部に隣接する位置であって、前記軌道に沿った方向で前記溶銑容器の両端側より外側で且つ前記軌道外に送風手段が配設され、前記送風手段は集塵装置に向けて送風可能となっていることを特徴とする溶銑容器を収容可能な建屋。
【請求項2】
前記建屋には第2の建屋が連通するように設けられていて、
前記第2の建屋には、その下部であって且つ排滓ステーションの下方に前記スラグ台車が走行可能な走行ピットが敷設され、当該第2の建屋の上部であって且つ排滓ステーションの上方に集塵装置が備えられ、
前記第2の建屋には、その側部に溶銑容器が出入り可能であって且つ開閉扉が設けられた出入ロが設けられ、
前記出入ロは、開閉扉の閉状態において当該第2の建屋内に外気を取り入れ可能とする開ロ部を有していることを特徴とする請求項1に記載の溶銑容器を収容可能な建屋。
【請求項3】
前記第2の建屋の内部において、前記開口部に隣接する位置に送風手段が配設され、前記送風手段は第2の建屋に備えられた集塵装置に向けて送風可能となっていることを特徴とする請求項2に記載の溶銑容器を収容可能な建屋。
【請求項4】
前記建屋と第2の建屋との間には、前記スラグ台車が出入りし且つ停留可能となっている積出建屋が設けられ、
前記積出建屋と建屋と第2の建屋とを横切るように前記走行ピットが敷設されていて、
前記積出建屋と建屋と第2の建屋とをスラグ台車が行き来可能とされていることを特徴とする請求項3に記載の溶銑容器を収容可能な建屋。
【請求項5】
前記溶銑容器が、混銑車であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の溶銑容器を収容可能な建屋。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−41624(P2012−41624A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186340(P2010−186340)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】