説明

溶鋼中炭素濃度の分析方法および分析装置

【課題】レーザ発光分光分析法を利用して溶鋼中の炭素濃度を正確、且つ、迅速に分析すること。
【解決手段】溶鋼中炭素濃度の分析方法は、集光レンズを利用してレーザパルス光を溶鋼表面に集光照射するステップと、レーザパルス光の集光照射に伴い発生するレーザ誘起プラズマからの励起光を分光分析することによって溶鋼中の炭素濃度を分析するステップと、を含み、集光レンズの焦点距離と集光レンズと溶鋼表面との間の距離とが所定の関係を満足し、溶鋼表面におけるレーザパルス光の1パルスあたりのパワー密度が所定の関係を満足する。これにより、レーザ発光分光分析法を利用して溶鋼中の炭素濃度を正確、且つ、迅速に分析することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ発光分光分析法を利用して溶鋼中の炭素濃度を分析する溶鋼中炭素濃度の分析方法および分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼製造業では、溶鋼の成分組成を溶融したままの状態で迅速に分析し、分析結果に基づいて溶鋼の製造条件を制御する技術が求められている。特に溶鋼中の炭素濃度は、溶鋼の精錬工程における主要管理成分の1つである。このため、溶鋼中の炭素濃度を溶融したままの状態で迅速に分析する技術が強く求められている。
【0003】
溶融状態の物質の成分組成を分析する分析方法の一つとして、レーザ発光分光分析法が知られている。レーザ発光分光分析法は、レーザパルス光を対象物質の表面に照射し、レーザパルス光の照射に伴い発生するレーザ誘起プラズマからの励起光を分光分析することによって、対象物質の成分組成を分析するものである。
【0004】
このレーザ発光分光分析法を利用した溶鋼の成分分析においては、レーザパルス光のパワー密度や集光距離などのレーザ照射条件が分析精度に影響を与えることから、レーザ照射条件についての提案がなされている。
【0005】
具体的には、特許文献1には、固体鉄鋼試料からのFeの発光強度を用いてレーザ照射条件を検討し、固体鉄鋼試料表面におけるレーザパルス光のパワー密度を2×1011[W/cm]以上とする技術が開示されている。
【0006】
特許文献2には、溶鋼からのSi,Mn,Crなどの元素の発光強度を用いてレーザ照射条件を検討し、レーザパルス光の集光レンズの焦点距離から5[%]を越えない範囲に溶鋼表面を位置させる技術が開示されている。
【0007】
特許文献3には、溶鋼からのAl,Mn,Niなどの元素の発光強度を用いて様々なパルス幅のレーザパルス光についてレーザ照射条件を検討し、レーザパルス光のパワー密度を5×10[W/cm]以上1×1010[W/cm]以下とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭58−76744号公報
【特許文献2】特開昭60−347号公報
【特許文献3】特開平07−234211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、溶鋼のように試料表面に蒸気やヒュームが存在する環境では、レーザパルス光が試料表面に到達する前にレーザ誘起プラズマが発生することがある。レーザパルス光が試料表面に到達する前にレーザ誘起プラズマが発生した場合、レーザ誘起プラズマ中の元素発光強度と溶鋼成分との相関関係が変化するために、溶鋼成分を正確に分析できなくなる。しかしながら、特許文献1−3記載の技術は、レーザパルス光が試料表面に到達する前に発生したレーザ誘起プラズマの影響を考慮せずにレーザ照射条件を決定している。このため、特許文献1−3記載の技術によれば、レーザパルス光が溶鋼表面に到達する前に発生したレーザ誘起プラズマの影響によって、溶鋼中の炭素濃度を正確に分析できないことがある。
【0010】
また、溶鋼中の炭素濃度を分析する際には、溶鋼中や溶鋼表面近傍に存在する酸素と溶鋼中の炭素とが反応することによってCOガスやCOガスが発生し、これらのガスが炭素濃度の分析精度に影響を与えることが考えられる。しかしながら、特許文献1−3記載の技術は、COガスやCOガスの影響を考慮せずにレーザ照射条件を決定している。このため、特許文献1−3記載の技術によれば、COガスやCOガスの影響によって、溶鋼中の炭素濃度を正確に分析することができない。
【0011】
このような背景から、レーザ発光分光分析法を利用して溶鋼中の炭素濃度を正確、且つ、迅速に分析可能な技術の提供が期待されていた。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、レーザ発光分光分析法を利用して溶鋼中の炭素濃度を正確、且つ、迅速に分析可能な溶鋼中炭素濃度の分析方法および分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る溶鋼中炭素濃度の分析方法は、集光レンズを利用してレーザパルス光を溶鋼表面に集光照射するステップと、前記レーザパルス光の集光照射に伴い発生するレーザ誘起プラズマからの励起光を分光分析することによって溶鋼中の炭素濃度を分析するステップと、を含み、前記集光レンズの焦点距離fと該集光レンズと前記溶鋼表面との間の距離lとが下記数式(1)に示す関係を満足し、前記溶鋼表面におけるレーザパルス光の1パルスあたりのパワー密度ρが下記数式(2)に示す関係を満足する。
【0014】
【数1】

【数2】

【0015】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る溶鋼中炭素濃度の分析装置は、レーザパルス光を溶鋼表面に集光照射する集光レンズと、前記レーザパルス光の集光照射に伴い発生するレーザ誘起プラズマからの励起光を分光分析することによって溶鋼中の炭素濃度を分析する分析手段と、を備え、前記集光レンズの焦点距離fと該集光レンズと前記溶鋼表面との間の距離lとが下記数式(3)に示す関係を満足し、前記溶鋼表面におけるレーザパルス光の1パルスあたりのパワー密度ρが下記数式(4)に示す関係を満足する。
【0016】
【数3】

【数4】

【発明の効果】
【0017】
本発明に係る溶鋼中炭素濃度の分析方法および分析装置によれば、レーザ発光分光分析法を利用して溶鋼中の炭素濃度を正確、且つ、迅速に分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である溶鋼中炭素濃度の分析装置の構成を示す模式図である。
【図2】図2は、溶鋼表面と集光レンズの焦点位置との間の距離と集光レンズの焦点距離との比とパワー密度との関係の一例を示す図である。
【図3】図3は、レーザパルス光のパルスエネルギーの変化に伴うFeおよびCの発光強度の変化の一例を示す図である。
【図4】図4は、レーザパルス光のパルスエネルギーの変化に伴うFeおよびCの発光強度の変化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である溶鋼中炭素濃度の分析装置の構成およびその分析方法について説明する。
【0020】
〔分析装置の構成〕
始めに、図1を参照して、本発明の一実施形態である溶鋼中炭素濃度の分析装置の構成について説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態である溶鋼中炭素濃度の分析装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である溶鋼中炭素濃度の分析装置1は、レーザ発振器10,反射鏡11,集光レンズ12,集光器13,光ファイバ14,および分光分析器15を備えている。レーザ発振器10は、レーザ誘起プラズマの生成に必要なパワー密度が得られるNd:YAGレーザなどの固体レーザパルスによって構成され、反射鏡11に向けてレーザパルス光LBを発振出力する。レーザ発振器10が発振出力するレーザパルス光LBのパルス幅,ビーム径,および1パルスあたりのエネルギー(パルスエネルギー)は調整することができる。
【0022】
反射鏡11は、レーザ発振器10から発振出力されたレーザパルス光LBを集光レンズ12に向けて反射するものである。集光レンズ12は、耐熱性が高い石英ガラスなどの材料によって形成され、反射鏡11によって反射されたレーザパルス光LBを溶鋼Sの表面に集光照射するものである。なお、集光レンズ12と溶鋼Sの表面との間の距離lが集光レンズ12の焦点距離fより長い場合、溶鋼Sの表面の上方でレーザパルス光LBが集光されるために、溶鋼S上でレーザ誘起プラズマが生成され、溶鋼Sを十分に励起することができない。このため、集光レンズ12と溶鋼Sの表面との間の距離lは集光レンズ12の焦点距離f以下の長さとする。また、溶鋼Sからの輻射熱の影響を抑制するために、焦点距離fが500[mm]以上である集光レンズを用いるとよい。
【0023】
集光器13は、レーザパルス光LBの照射に伴い溶鋼Sの表面上に発生したレーザ誘起プラズマPからの励起光を集光するものである。光ファイバ14は、集光器13によって集光された励起光を分光分析器15に導くものである。なお、本実施形態では、光ファイバ14を利用して励起光を分光分析器15に導いたが、集光ミラーや集光レンズ、若しくはこれらを組み合わせた光学系を利用して励起光を分光分析器15に導いてもよい。分光分析器15は、光ファイバ14から出力された励起光を波長分散し、分析元素の発光波長に対応した位置に設置された光検出器で分析元素の発光強度を検出するものである。なお、分光分析器15は、分析元素の発光強度の検出タイミングがレーザ発振器10の発振周期と同期するように分析元素の発光強度の検出タイミングを制御する。そして、分光分析器15は、検出された分析元素の発光強度に基づいて溶鋼S中の炭素濃度を定量分析する。
【0024】
〔焦点位置からの距離と焦点距離との関係〕
次に、図2を参照して、集光レンズ12の焦点位置から溶鋼Sの表面までの距離f−lと集光レンズ12の焦点距離fとの関係について説明する。
【0025】
分析対象物が溶鋼Sである場合、溶鋼S表面上に存在する蒸気やヒュームにレーザパルス光LBが照射されることによって、レーザパルス光LBが溶鋼Sに到達する前にレーザ誘起プラズマPが生成される可能性がある。このため、溶鋼Sの成分組成を正確に分析するためには、レーザパルス光LBのパワー密度は、レーザパルス光LBが溶鋼Sに到達する前に蒸気やヒュームによるレーザ誘起プラズマPが生成されず、且つ、レーザパルス光LBが溶鋼Sに到達した際にレーザ誘起プラズマPが生成される大きさである必要がある。
【0026】
図2は、パルスエネルギー100[mJ],集光レンズ入射径10[mm],およびパルス半値幅10[ns]のレーザパルス光LBに関する溶鋼S表面と集光レンズ12の焦点位置との間の距離とパワー密度との関係を示す図である。図2の縦軸は、以下に示す数式(5)によって求められるパワー密度ρ[W/cm]を示している。なお、数式(5)中のパラメータE,τ,rはそれぞれ、レーザパルス光LBのパルスエネルギー,パルス半値幅,および溶鋼S表面における照射半径を示している。図2の横軸は、溶鋼S表面と集光レンズ12の焦点位置との間の距離、すなわち集光レンズ12と溶鋼Sの表面との間の距離lと集光レンズ12の焦点距離fとの差(f−l)と、集光レンズ12の焦点距離fとの比(f−l)/fを百分率で表したものを示している。
【0027】
【数5】

【0028】
図2に示すように、比(f−l)/fの大きさが5[%]未満である場合、パワー密度ρの変化が大きく、比(f−l)/fの大きさが0.5[%]の場合と比(f−l)/fの大きさが5[%]の場合とではパワー密度ρに約100倍の差がある。このため、比(f−l)/fの大きさが5[%]未満である場合には、パワー密度ρが大きいためにレーザ誘起プラズマPが溶鋼Sの上方で生成される可能性が高く、またレーザ誘起プラズマPが生成される位置も溶鋼S上の蒸気やヒュームの影響によって安定しない。従って、レーザパルス光LBが溶鋼Sに到達する前に蒸気やヒュームによるレーザ誘起プラズマPが生成されないようにするためには、比(f−l)/fの大きさを5[%]以上とする必要がある。
【0029】
一方、比(f−l)/fの大きさが大きくなると、溶鋼S表面におけるレーザパルス光LBの照射径が大きくなるために、レーザ誘起プラズマPの生成に必要な1×10[W/cm]以上のパワー密度ρが得られない。従って、溶鋼Sに到達した際にレーザ誘起プラズマPが生成されるためには、比(f−l)/fの大きさを10[%]以下とする必要がある。以上のことから、レーザパルス光LBが溶鋼Sに到達する前に蒸気やヒュームによるレーザ誘起プラズマPが生成されず、且つ、レーザパルス光LBが溶鋼Sに到達した際にレーザ誘起プラズマPが生成されるためには、比(f−l)/fの大きさは5[%]以上10[%]以下の範囲内にすることが望ましい。
【0030】
〔レーザパルス光のパワー密度〕
次に、図3を参照して、レーザパルス光LBのパワー密度の炭素濃度の分析精度に対する影響について説明する。
【0031】
本実験では、集光レンズ12と溶鋼Sとの間の距離lを変化させることによって溶鋼Sの表面におけるレーザ照射面積を変化させ、各距離lにおいてレーザパルス光LBのパルスエネルギーを変化させることによって溶鋼Sの表面におけるパワー密度ρを変化させた。そして、各条件において生成されたレーザ誘起プラズマPからのFeおよびCの発光強度を測定した。なお、レーザ発振器10としては、波長1064[nm]、パルス半値幅10[ns]のNd:YAGレーザパルスを使用し、集光レンズ12として、焦点距離1200[mm]の合成石英製の球面平凸レンズを用いた。また、溶鋼Sとして炭素濃度が0.05[重量%]である溶鋼を使用し、溶鋼Sの温度は1600±20[℃]に調整した。
【0032】
図3は、l=1200[mm]、すなわち集光レンズ12の焦点位置に溶鋼S表面を合わせて(l=1.00f)レーザパルス光LBのパルスエネルギーを50,90,130[mJ]と変化させた際のFeおよびCの発光強度の変化を示す図である。本実験では、焦点位置におけるレーザパルス光LBの照射径は約160[μm]であり、レーザパルス光LBのパルスエネルギーが50,90,130[mJ]である時のパワー密度はそれぞれ、2.4×1010,4.4×1010,6.3×1010[W/cm]と見積もられ、特許文献2記載のレーザ照射条件とほぼ同等のレーザ照射条件と考えられる。
【0033】
一般に、レーザ発光分光分析においては、入射するレーザパルス光のパワー密度が増加すると、試料からレーザ誘起プラズマ中に供給される原子の量が増加するために、各元素の発光強度が増加する。しかしながら、図3に示すレーザ照射条件では、Feの発光強度はレーザパルス光のパワー密度が変化しても大きく変化していない。これに対して、Cの発光強度は、レーザパルス光のパワー密度が2.4×1010[W/cm]から4.4×1010[W/cm]へと増加する際は増加し、レーザパルス光のパワー密度が4.4×1010[W/cm]から6.3×1010[W/cm]へと増加する際にはほとんど変化しない。
【0034】
このような発光強度変化の挙動の違いは、レーザパルス光が溶鋼に十分に到達することができず、溶鋼の上方でレーザ誘起プラズマが生成したためと考えられる。すなわち、レーザパルス光が溶鋼に到達する前にレーザ誘起プラズマが生成した場合、溶鋼からの原子供給はほとんど無く、溶鋼上のガス成分がレーザ誘起プラズマ中で励起されて発光すると考えられる。レーザ誘起プラズマのサイズは数mmであるのに対して、Feの蒸気層は溶鋼上の極表層にしか存在しない。このため、レーザパルス光のパワー密度が変化しても、励起されるFeの原子数はほとんど変化せず、Feの発光強度も変化しない。一方、Cは、COガス又はCOガスなどの状態で溶鋼上に広く存在する。このため、レーザパルス光のパワー密度の増加に伴うレーザ誘起プラズマの体積増加に伴い、励起される原子量が増加しCの発光強度が増加する。また、パワー密度が極めて高い条件では、レーザ誘起プラズマ中の元素による自己吸収効果によってCの発光強度が減衰したものと考えられる。
【0035】
また、一般に、レーザ発光分光分析においては、レーザパルス光のパルスエネルギーの変動による発光強度変動の影響を抑制するために、目的元素の発光強度をマトリックス元素などの発光強度で除算する内標準手法が用いられる。しかしながら、図3に示すレーザ照射条件では、Cの発光強度とFeの発光強度との比が一定にならないことから、Cの発光強度をFeの発光強度で除算する内標準手法を用いることができない。このため、図3に示すレーザ照射条件では、レーザパルス光のパルスエネルギーの変動による発光強度変動の影響を抑制することができない。
【0036】
図4は、l=1140[mm]、すなわち集光レンズ12の焦点位置に対する溶鋼S表面の位置のずれが60[mm](焦点距離1200[mm]の5[%],l=0.95f)である時のレーザパルス光LBのパルスエネルギーを50,90,130[mJ]と変化させた際のFeおよびCの発光強度の変化を示す図である。本実験では、焦点位置におけるレーザパルス光LBの照射径は約500[μm]であり、レーザパルス光LBのパルスエネルギーが50,90,130[mJ]である時のパワー密度はそれぞれ、2.5×10,4.6×10,6.6×10[W/cm]と見積もられた。
【0037】
図4に示すように、このレーザ照射条件では、レーザパルス光のパワー密度の増加に伴いFeおよびCの発光強度が増加し、またCの発光強度とFeの発光強度との比がほぼ一定になることが確認された。従って、このレーザ照射条件では、溶鋼の上方でレーザ誘起プラズマが生成されることを抑制できる。また、内標準手法を用いたレーザパルス光のパルスエネルギー変動の影響を抑制することができ、炭素濃度をより高精度に分析することができる。
【0038】
最後に、集光レンズと溶鋼との間の距離およびレーザパルス光のパルスエネルギーを変化させた場合の発光強度の変化を調査した結果を以下の表1に示す。本調査では、集光レンズとして焦点距離fが1200[mm]の合成石英製の球面平凸レンズを用い、集光レンズと溶鋼との間の距離を1050,1080,1110,1140,1170,1200[mm]と変化させた。そして、各距離においてレーザパルス光のパルスエネルギーを50,90,130[mJ]と変化させた。表1の上段は各レーザ照射条件におけるパワー密度[W/cm]を示している。また、表1の下段は発光強度の評価結果を示し、発光強度がレーザパルス光のパルスエネルギー変化に伴い変化する場合は○、変化しない場合は×が記載されている。
【0039】
【表1】

【0040】
表1から明らかなように、集光レンズと溶鋼との間の距離lが以下に示す数式(6)を満足し、且つ、レーザパルスの溶鋼表面における1パルスあたりのパワー密度ρが以下に示す数式(7)を満足することによって、各元素の発光強度がパワー密度の変化に伴い変化し、溶鋼中の炭素濃度を精度高く分析可能であることが知見された。
【0041】
【数6】

【数7】

【符号の説明】
【0042】
1 分析装置
10 レーザ発振器
11 反射鏡
12 集光レンズ
13 集光器
14 光ファイバ
15 分光分析器
P レーザ誘起プラズマ
S 溶鋼

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集光レンズを利用してレーザパルス光を溶鋼表面に集光照射するステップと、
前記レーザパルス光の集光照射に伴い発生するレーザ誘起プラズマからの励起光を分光分析することによって溶鋼中の炭素濃度を分析するステップと、
を含み、
前記集光レンズの焦点距離fと該集光レンズと前記溶鋼表面との間の距離lとが下記数式(1)に示す関係を満足し、
前記溶鋼表面におけるレーザパルス光の1パルスあたりのパワー密度ρが下記数式(2)に示す関係を満足すること
を特徴とする溶鋼中炭素濃度の分析方法。
【数1】

【数2】

【請求項2】
レーザパルス光を溶鋼表面に集光照射する集光レンズと、
前記レーザパルス光の集光照射に伴い発生するレーザ誘起プラズマからの励起光を分光分析することによって溶鋼中の炭素濃度を分析する分析手段と、
を備え、
前記集光レンズの焦点距離fと該集光レンズと前記溶鋼表面との間の距離lとが下記数式(3)に示す関係を満足し、
前記溶鋼表面におけるレーザパルス光の1パルスあたりのパワー密度ρが下記数式(4)に示す関係を満足すること
を特徴とする溶鋼中炭素濃度の分析装置。
【数3】

【数4】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−36926(P2013−36926A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174942(P2011−174942)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】