説明

滅菌システム

【課題】クリーンルームの滅菌処理を行う際の二酸化窒素ガスの無駄を無くす。
【解決手段】ガス供給系統30で生成したNOガスをクリーンルームR1〜Rnに充填し、滅菌処理を行う滅菌システム1において、それらの間に蓄積タンク10および電磁弁RV11〜RVn1;RV12〜RVn2を介在する。そして、NOガスを効率良く生成できる第1の濃度まで蓄積タンク10にNOガスを溜めながらガス供給系統30に生成させ続け、一旦生成を停止した後、クリーンルームR1〜Rnへの供給に伴うガスの使用によって、濃度が前記第1の濃度より低く設定される第2の濃度より低下すると、生成を再開、すなわちいわゆる追い炊き機能を実現する。したがって、初期には高効率にNOガスを生成することができ、またクリーンルームR1〜Rnに出入りすることもできる。さらに、最終的に蓄積タンク10に残るNOガスの量を少なくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルームやアイソレータなどの滅菌処理を行うべき滅菌対象空間に、滅菌の手段として、二酸化窒素ガスを充填し、滅菌処理を行うシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用器具や食品包装材などの被処理物を処理室に収容し、高度に滅菌する滅菌装置において、たとえば特許文献1には、前記被処理物の処理に窒素酸化物(NOx)ガスを用いることが示されている。詳しくは、特許文献1では、窒素ガスと酸素ガスとの混合気体をプラズマ発生室に導入し、その混合気体をプラズマ化して前記窒素酸化物ガスを生成し、その窒素酸化物ガスを食品に付着した大腸菌の殺菌用に用いている。
【0003】
しかしながら、前記窒素酸化物ガスによる滅菌効率は良いとは言えず、滅菌効率改善の要請があった。そこで本件出願人は、鋭意研究を重ねた結果、細菌類の滅菌に寄与するのは、前記窒素酸化物(NOx)のうち、実質的に二酸化窒素(NO)であることを見出し、特許文献2において、純度の高い二酸化窒素ガスを生成することができる方法、および該方法によって生成された二酸化窒素ガスを貯留する装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58−162276号公報
【特許文献2】特開2010−202448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その特許文献2によれば、二酸化窒素(NO)を用いることで、高い滅菌効果を得ている。しかしながら、滅菌処理の対象としていたのは、前記のように医療用器具や食品包装材などで、被処理物を処理室に収容し、該処理室を略真空状態とした後、数万ppmにも及ぶ高濃度の二酸化窒素(NO)ガスを充填することで、短時間に、しかも管の内部などの細部まで滅菌処理を行えるようになっている。
【0006】
一方、滅菌処理の用途として、そのような高度な滅菌処理だけに限らず、前記クリーンルームやアイソレータなどの、広くて、人が居るような環境を滅菌対象空間として、安全上、低い濃度で、長時間掛かっても滅菌したいという要望もある。
【0007】
本発明の目的は、比較的広い滅菌対象空間を、比較的低濃度の二酸化窒素ガスで、効率良く滅菌処理することができる滅菌システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の滅菌システムは、滅菌処理を行うべき滅菌対象空間と、前記滅菌処理に使用する二酸化窒素ガスを生成するガス供給源と、前記ガス供給源と滅菌対象空間との間に介在され、前記ガス供給源で生成された二酸化窒素ガスを貯留する蓄積タンクと、前記蓄積タンクと滅菌対象空間との間に介在される弁装置と、前記蓄積タンク側の二酸化窒素ガス濃度を検出する第1のセンサと、前記第1のセンサの検出結果に応答し、前記弁装置を閉じた状態で前記ガス供給源に二酸化窒素ガスの生成を開始させた後、前記ガス供給源における二酸化窒素ガスの生成と分解とがバランスする濃度よりも低い予め定める第1の濃度になると、前記二酸化窒素ガスの生成を停止させるとともに、前記弁装置を開放させ、以降は、前記第1の濃度より低い予め定める第2の濃度に対して、濃度が低下すると前記二酸化窒素ガスの生成を再開させ、上昇すると生成を停止させる制御装置とを含むことを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、滅菌処理を行うべき滅菌対象空間に、ガス供給源で生成された二酸化窒素(NO)ガスを充填し、滅菌処理を行う滅菌システムにおいて、クリーンルームやアイソレータなどの比較的広い滅菌対象空間に対して、前記ガス供給源との間に蓄積タンクおよび弁装置を介在し、制御装置は、第1のセンサで検出される二酸化窒素ガスの濃度が予め定める第1の濃度になるまで前記弁装置を閉じて、ガス供給源に二酸化窒素ガスを生成させ続ける。前記第1の濃度は、前記ガス供給源における二酸化窒素ガスの生成と分解とがバランスする濃度よりも低い所定の濃度、たとえば40000ppmに設定されている。その後、前記第1の濃度に達すると、制御装置は、前記ガス供給源に二酸化窒素ガスの生成を停止させるとともに、前記弁装置を開き、蓄積タンクに貯留された二酸化窒素ガスを滅菌対象空間に供給する。さらにその後、前記第1の濃度より低く設定される所定の第2の濃度に対して、濃度が低下すると、前記制御装置は前記ガス供給源に二酸化窒素ガスの生成を再開させ、上昇すると生成を停止させる。前記第2の濃度は、滅菌対象空間に対する蓄積タンクの大きさの比と、前記滅菌対象空間に要求される二酸化窒素ガスの濃度とによって決定され、たとえば3500〜4000ppmである。
【0010】
したがって、滅菌処理の初期には、ガス供給源に高効率に二酸化窒素ガスを生成させることができるとともに、蓄積タンクに二酸化窒素ガスが充分に蓄積されるまでの間は、滅菌対象空間を使用(人が出入りする等)することもでき、実際の滅菌処理時間を短縮することができる。一方、滅菌処理の中間期から後期は、ガス供給源に必要最小限の二酸化窒素ガスを生成させ、最終的に蓄積タンクから滅菌対象空間に供給されず、滅菌処理終了後に廃棄されてしまう二酸化窒素ガスの量を少なくすることができ、二酸化窒素ガスの生成の無駄を無くすことができるとともに、二酸化窒素ガスの廃棄に掛かる無害化処理の負担も軽減することができる。こうして、比較的広い滅菌対象空間を、比較的低濃度の二酸化窒素ガスで、効率良く滅菌処理することができる。
【0011】
また、本発明の滅菌システムでは、前記第2の濃度は、前記濃度の低下時に二酸化窒素ガスの生成を再開させる第2−1の濃度と、前記上昇時に二酸化窒素ガスの生成を停止させ、かつ前記第2−1の濃度より高い第2−2の濃度とが設定されていることを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、滅菌対象空間の二酸化窒素ガスの濃度が下がったら生成を再開し、上がったら生成を停止するための閾値である前記第2の濃度を、所定の間隔を開けた2つの値に設定し、前記制御装置は、濃度低下時には第2−1の濃度を、濃度上昇時には前記第2−1の濃度より高い第2−2の濃度を使用する。
【0013】
したがって、閾値に、いわゆるヒステリシスを持たせ、制御を安定させることができる。
【0014】
さらにまた、本発明の滅菌システムでは、前記ガス供給源は、前記蓄積タンク内のガスを原料ガスとして、前記二酸化窒素ガスを生成することを特徴とする。
【0015】
上記の構成によれば、二酸化窒素ガスの濃度が低下したら、いわゆる追い炊き機能を実現し、前記蓄積タンクから、それに連なる滅菌対象空間を含む気密空間内のガス圧を一定に保つことができる。
【0016】
また、本発明の滅菌システムでは、前記ガス供給源は、前記蓄積タンク内の空気を原料ガスとして、前記空気を該ガス供給源内に循環させつつ、プラズマによって前記二酸化窒素ガスを生成することを特徴とする。
【0017】
上記の構成によれば、滅菌用の二酸化窒素ガスを生成するガス供給源として、空気を原料ガスとして、プラズマによって生成する装置を用い、前記蓄積タンク内の空気を該ガス供給源内を循環させて、その濃度を高めてゆく場合、該蓄積タンク内の二酸化窒素ガスが無くなるまで滅菌対象空間へ供給してしまうと、すなわち前記ガス供給源での二酸化窒素ガス濃度が低下すると、該ガス供給源における二酸化窒素ガスの生成効率が低下する。
【0018】
したがって、前記ガス供給源で生成された二酸化窒素ガスを、蓄積タンクによって前記第1の濃度に達するまで蓄積してゆくことは効果的である。
【0019】
さらにまた、本発明の滅菌システムでは、前記滅菌対象空間側の二酸化窒素ガス濃度を検出する第2のセンサを備え、前記制御装置は、前記第2のセンサの検出結果に応答し、前記弁装置を開閉制御することを特徴とする。
【0020】
上記の構成によれば、滅菌対象空間側の二酸化窒素ガス濃度を、一定濃度、たとえば200ppmに保つことができる。
【0021】
また、本発明の滅菌システムでは、前記滅菌対象空間は複数設けられており、前記制御装置は、前記弁装置を制御して、それら複数の滅菌対象空間を択一的に前記蓄積タンクへ連通し、二酸化窒素ガスを充填させることを特徴とする。
【0022】
上記の構成によれば、複数の滅菌対象空間に、少しずつ均等に二酸化窒素ガスを充填してゆくことになり、前記蓄積タンクの二酸化窒素ガス濃度が急激に低下することを防止することができる。また、クリーンルームなどの複数の滅菌対象空間の二酸化窒素ガス濃度を、第2のセンサでそれぞれ検出することで、前記滅菌対象空間の大きさ(容量)が不揃いな場合にも、一定の濃度に保つことができる。
【0023】
さらにまた、本発明の滅菌システムでは、前記第1および第2のセンサは、青色光の前記二酸化窒素ガスの透過光量から前記濃度を検出することを特徴とする。
【0024】
上記の構成によれば、前記二酸化窒素ガスが茶褐色であることを利用して、前記第1および第2のセンサは、前記二酸化窒素ガスの通過空間に青色発光ダイオードなどから青色光を照射し、その透過光量(ガスによる吸収量)を光検出素子で検出することで、前記濃度を検出する。
【0025】
したがって、非接触で、すなわち二酸化窒素ガスに何ら変性を生じさせることなく、リアルタイムに(高い応答性で)、二酸化窒素ガスの濃度を測定することができ、前記追い炊きの制御などに効果的である。
【発明の効果】
【0026】
本発明の滅菌システムは、以上のように、滅菌処理を行うべき滅菌対象空間に、ガス供給源で生成された二酸化窒素(NO)ガスを充填し、滅菌処理を行う滅菌システムにおいて、クリーンルームやアイソレータなどの比較的広い滅菌対象空間に対して、前記ガス供給源との間に蓄積タンクおよび弁装置を介在し、前記二酸化窒素ガスを効率良く生成できる第1の濃度まで蓄積タンクに二酸化窒素ガスを生成させ続け、一旦生成を停止した後、ガスの使用によって前記第1の濃度より低く設定される所定の第2の濃度より低下すると生成を再開する。
【0027】
それゆえ、滅菌処理の初期には、ガス供給源に高効率に二酸化窒素ガスを生成させることができるとともに、蓄積タンクに二酸化窒素ガスが充分に蓄積される第1の濃度までの間は、滅菌対象空間を使用(人が出入りする等)することもでき、実際の滅菌処理時間を短縮することができる。一方、滅菌処理の中間期から後期は、ガス供給源に必要最小限の二酸化窒素ガスを生成させ、最終的に蓄積タンクから滅菌対象空間に供給されず、滅菌処理終了後に廃棄されてしまう二酸化窒素ガスの量を少なくすることができ、二酸化窒素ガスの生成の無駄を無くすことができるとともに、二酸化窒素ガスの廃棄に掛かる無害化処理の負担も軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の一形態に係る滅菌システムのブロック図である。
【図2】図1で示す滅菌システムにおけるマイクロ波供給装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】プラズマ発生ノズルの縦断面図である。
【図4】前記プラズマ発生ノズルの斜視図である。
【図5】図1で示す滅菌システムのNO回収系統におけるNO液化部およびNO気化部の一構成例を模式的に示す図である。
【図6】図1で示す滅菌システムにおけるNO濃度センサの一構成例を模式的に示す図である。
【図7】前記NO濃度センサのレンジ切換えおよびセンサ切換え動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】前記滅菌システムの電気的な制御構成を示すブロック図である。
【図9】前記滅菌システムの全体的な制御動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】図9における滅菌処理でのNOガスの流れを模式的に示す図である。
【図11】図9における滅菌処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図12】図11における滅菌処理内で行われるNOガスの追い炊き動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の実施の一形態に係る滅菌システム1のブロック図である。この滅菌システム1は、滅菌処理を行うべき処理室として、薬品製造などに使用されるクリーンルームR1,R2,・・・,Rn(総称するときは、以下参照符号Rで示す)を備え、週末などの該クリーンルームRの不使用な時間帯に、該クリーンルームR内に、プラズマによって生成された二酸化窒素(NO)ガスを作用させて滅菌処理を施すものである。この滅菌システム1は、大略的に、前記クリーンルームRと、蓄積タンク10と、吸気系統20と、ガス供給系統30と、連係系統40と、排気系統50と、NO回収系統60とを備えて構成される。
【0030】
本実施形態では、空気を原料ガスとして、その空気を前記プラズマ処理することで生成された二酸化窒素(NO)ガスを滅菌剤として用いる例を示す。したがって、本実施の形態の滅菌システム1では、原料ガスの取り扱いが容易であり、コストダウンを図ることができるとともに、人体に有害な二酸化窒素ガスを、必要な場所で、必要な量だけ作成することができる。なお、処理室としては、通常はガラス張りで側面にゴム手袋を備え、外部から人手で内部の検査器具などを扱えるようにしたアイソレータ等であってもよい。
【0031】
クリーンルームRは、滅菌時には、適宜目張りなどが施されて、高い気密性を確保することができる内部空間を有し、その内部空間には、人が入って作業することができるようになっている。各クリーンルームR1〜Rnには、滅菌中に不所望な人の立ち入りを防止する錠機構L1〜Lnや、図示は省略しているが、滅菌中の注意を表す警告装置が適宜備えられている。本実施の形態では、クリーンルームは参照符号R1,R2,・・・,Rnの複数設けられているが、1つであってもよく、また各部屋の大きさも任意である。
【0032】
蓄積タンク10は、ガス供給系統30と協働して、ガス供給系統30において常圧下で生成された前記NOガスを、その濃度を上げつつ蓄積するものであり、前記ガス供給系統30と前記NOガスの循環経路を形成する。この蓄積タンク10は、たとえばステンレス鋼などで構成され、前記クリーンルームRの容積に比べて、小容量のタンクである。
【0033】
吸気系統20は、吸気部を構成し、前記蓄積タンク10およびクリーンルームRの少なくとも一方に乾燥した外気(空気)を導入させるための配管系統である。吸気系統20は、ポンプP21、エアドライヤ21、湿度センサ22、電磁弁V21,V22、配管201,202,203を含む。配管201は、ポンプP21と、電磁弁V21および電磁弁V22との間を接続する配管であり、その経路中に、エアドライヤ21および湿度センサ22が配置されている。配管202は、電磁弁V21と蓄積タンク10との間を接続している。配管203は、電磁弁V22とクリーンルームRとの間を接続している。
【0034】
ポンプP21は、蓄積タンク10およびクリーンルームRの少なくとも一方に外気を導入するときに動作されるポンプであり、外気を吸入し、配管201から、配管202を介して蓄積タンク10へ、配管203を介してクリーンルームRへ、それぞれ外気を送り込む。エアドライヤ21は、外気に含まれる水分を除去するもので、たとえば電熱ヒータを備えた乾燥装置が適用される。このエアドライヤ21を通過した空気は、ほぼ湿度がゼロとなる。湿度センサ22は、配管201内を流通する空気の湿度を検出する。この湿度センサ22は、専らエアドライヤ21の故障検知のために用いられる。電磁弁V21および電磁弁V22は、ポンプP21の稼働時に、択一的に「開」とされるバルブである。すなわち、電磁弁V21および電磁弁V22は、それぞれ、蓄積タンク10およびクリーンルームRを含む系統を、外気と、遮断する必要があるときに「閉」とされ、連通させるときに「開」とされる。
【0035】
ガス供給系統30は、吸気系統20により蓄積タンク10に導入された乾燥空気や、クリーンルームRから帰ってきたNO濃度が低いガスをプラズマで電離して、NOガスを生成したり、濃度を高めたりする際に稼働される系統である。ガス供給系統30は、電磁弁V31,電磁弁V32、プラズマ発生ノズル31、ガス流量計32、ポンプP31、濃度センサS1、配管301,302,303を含む。
【0036】
配管301の一端側は蓄積タンク10内に連通し、他端側は電磁弁V31を介して配管303の一端側に接続されている。配管302の一端側は蓄積タンク10内に連通し、他端側は電磁弁V32を介して配管303の他端側に接続されている。これにより、蓄積タンク10と連通する、配管301の一端側を起点として配管302の一端側に戻るループ管路が形成されている。本実施形態では、配管301側が、当該ループ管路内を流れる空気流の上流側となり、その配管301には、蓄積タンク10内の二酸化窒素ガスの濃度を計測する第1の濃度センサである濃度センサS1が設けられている。配管301に連なる配管303に対して、上流側から順に、プラズマ発生ノズル31、ガス流量計32およびポンプP31が配置され、配管302に連なる。電磁弁V31および電磁弁V32は、後述する常圧状態でのNOガス生成時および無害化処理時に「開」とされ、それ以外のときに「閉」とされる弁である。
【0037】
プラズマ発生ノズル31は、プラズマ(電離気体)を発生させるための電界集中部を提供する。配管303を流通する原料ガスとしての空気(窒素および酸素を含むガス)は、該プラズマ発生ノズル31の前記電界集中部を通過することで電離され、NOガスに変換される。このようなプラズマを発生させるために、本実施形態ではマイクロ波エネルギーが用いられている。当該マイクロ波エネルギーは、マイクロ波供給装置70から該プラズマ発生ノズル31に与えられる。
【0038】
図2は、マイクロ波供給装置70の構成を概略的に示すブロック図である。マイクロ波供給装置70は、マイクロ波エネルギーを発生すると共に、これをプラズマ発生ノズル31に供給するための装置であって、マイクロ波を発生するマイクロ波発生装置71と、前記マイクロ波を伝搬させる導波管72とを含む。この導波管72に、プラズマ発生ノズル31が取り付けられている。また、マイクロ波発生装置71と導波管72との間には、アイソレータ73およびカプラ74が備えられている。
【0039】
マイクロ波発生装置71は、たとえば2.45GHzのマイクロ波を発生するマグネトロン等のマイクロ波発生源と、このマイクロ波発生源にて発生されたマイクロ波の強度を所定の出力強度に調整するアンプとを含む。本実施形態では、たとえば1W〜3kWのマイクロ波エネルギーを出力できる連続可変型のマイクロ波発生装置71が好適に用いられる。
【0040】
導波管72は、アルミニウム等の非磁性金属からなり、断面矩形の長尺管状を呈し、マイクロ波発生装置71により発生されたマイクロ波を、その長手方向に伝搬させる。アイソレータ73は、入出力のアイソレーションを行い、導波管72からの反射マイクロ波のマイクロ波発生装置71への入射を抑止する機器であり、サーキュレータ731とダミーロード732とを含む。サーキュレータ731は、磁力によって、マイクロ波発生装置71で発生されたマイクロ波を導波管72に向かわせる一方で、反射マイクロ波をダミーロード732に向かわせる。ダミーロード732は、反射マイクロ波を吸収して熱に変換する。カプラ74は、マイクロ波エネルギーの強度を計測する。
【0041】
なお、本実施の形態のマイクロ波供給装置70は、前記のマイクロ波の周波数に対して、マイクロ波発生装置71からプラズマ発生ノズル31までの距離等が適宜チューニングされて、前記プラズマ発生ノズル31でのマイクロ波の受信感度が最大となり、マイクロ波発生装置71側に反射するマイクロ波が最小となるように調整されている。しかしながら、部品のばらつき等に対するチューニングや、一層高精度なチューニングのために、前記プラズマ発生ノズル31に対して、上流側のチューナと、下流側のスライディングショートとの少なくとも一方が設けられてもよい。
【0042】
前記チューナは、導波管72に突出可能なスタブを含み、反射マイクロ波が最小となるような調整、つまりプラズマ発生ノズル31でのマイクロ波エネルギーの消費が最大となる調整を行うための機器であり、前記カプラ74は、その調整の際に利用することができる。また、前記スライディングショートは、導波管72の遠端部を閉塞し、導波管72の管軸方向、すなわちマイクロ波の伝搬方向に移動することで、マイクロ波の反射位置を変化させて定在波パターンを調整するための部材である。
【0043】
図3はプラズマ発生ノズル31の縦断面図であり、図4は斜視図である。先ず、このプラズマ発生ノズル31は、上述のように導波管72に取付けられ、マイクロ波発生装置71から送信されたマイクロ波を受信する。そして、導波管72の管軸方向とは直交方向に並んで、すなわち前記マイクロ波発生装置71から等距離で、2本の内側電極35が配置され、ガス生成能力が強化されている。したがって、図3において、マイクロ波の伝搬方向は紙面に垂直(厚み)方向である。そして、外側電極36は、後述するようにして前記2本の内側電極35を保持しており、ビス81によって導波管72に取付けられる。導波管72がアース電位とされる結果、外側電極36もアース電位とされる。
【0044】
導波管72は、前述のようにアルミニウム等の非磁性金属からなり、断面矩形の長尺管状に形成されている。そして、導波管72の遊端部はビス75で固着された端板76で閉塞されている。端板76は、マイクロ波の漏洩を防ぎ、プラズマ発生ノズル31側への不要マイクロ波の反射を防止するために、マイクロ波を吸収する磁性金属からなる。しかしながら、前述のようにプラズマ発生ノズル31の位置が適切にチューニングされており、該端板76で吸収するマイクロ波は微小で、吸収による不所望な温度上昇を招くようなことはない。導波管72において、プラズマ発生ノズル31より上流側には、図示していないが、前述のように、カプラ74が設けられている。
【0045】
導波管72の基端部には、鍔状の継ぎ手部材77が取付けられる。この継ぎ手部材77は、管軸方向の断面がL字状に形成され、そのL字の一方の辺77aがビス78によって導波管72に固着され、他方の辺77bが六角穴付きボルト79によって、前記サーキュレータ731に固着される。こうして、前記マイクロ波発生装置71から送信されたマイクロ波がプラズマ発生ノズル31に伝播されるようになっている。
【0046】
図3および図4の例では、前記鍔状の継ぎ手部材77は、加工性を向上するために、半割れ状に形成され、半割れの2つがビス80によって接合されて構成されている。しかしながら、このような継ぎ手部材77の構造を始め、導波管72に対するサーキュレータ731および端板76の取付け構造については、適宜選択されればよい。
【0047】
外側電極36の外形は円筒状に形成され、その一直径線上に形成された2つの収納孔361内に、該収納孔361と同心状に、前記内側電極35がそれぞれ収納される。内側電極35は、保持部材37によって保持され、前記収納孔361の内周面から着脱自在とされている。収納孔361には、管継手363を介して前記第2電磁弁V2からの配管303に連通されるガス供給孔362が形成されている。
【0048】
上記のように構成されたプラズマ発生ノズル31によれば、内側電極35が導波管72を伝搬するマイクロ波を受信すると、アース電位の外側電極36との間に電位差が生じる。特に、内側電極35の下端部352と外側電極36の下端縁368との近傍に電界集中部が形成されるようになる。かかる状態で、前記ガス供給孔362から酸素分子と窒素分子とを含むガス(空気)が供給されると、ガスが励起されて内側電極35の下端部352付近においてプラズマ(電離気体)が発生し、ノズル364から吐出される。前記プラズマは、NOとフリーラジカルとを含んでいる。また、このプラズマは、電子温度が数万度であるものの、ガス温度は外界温度に近い反応性プラズマ(中性分子が示すガス温度に比較して、電子が示す電子温度が極めて高い状態のプラズマ)であって、常圧下で発生するプラズマである。
【0049】
前記外側電極36の基端側には、図示しない冷却水管を保持する冷却孔366が形成されている。その冷却水管には、管継手367を介して、前記ダミーロード732と並列または直列に、冷却水が供給される。
【0050】
また、外側電極36の先端側には、図4で示すように、六角穴付きボルト381によって、センサユニット38が取付けられる。センサユニット38も、外形は大略円筒状に形成されており、前記収納孔361に対応した2つのガス孔382を一直径線上に有するとともに、そのガス孔382の配置される直径線とは直交する直径線上に、図示しないセンサ孔を有する。2つのセンサ孔からは、対応するガス孔382に連通する検知孔が形成されており、その検知孔を通して、センサ孔に配置された光センサが、プラズマの点滅を検知することができる。図3および図4では、センサ孔に配置された光センサを封止するブロック383が現れている。
【0051】
前記外側電極36の収納孔361から、センサユニット38のガス孔382にかけては、それらの内周面を保護する保護管384が設けられている。その保護管384は、プラズマ光に対して透光性を有する筒状の誘電体からなり、石英ガラス、テフロン(登録商標)等のパイプを用いることができる。この保護管384を設けることで、内側電極35の先端と外側電極36との間で、不所望なアーク放電(異常放電)の発生を防止することができるとともに、前記収納孔361からガス孔382の内周面をプラズマから保護(腐蝕の防止)しつつ、前記センサ孔側へのガスの漏洩を防止することができる。
【0052】
前記保護管384は、前記内側電極35の先端部からガス孔382の全長にかけて形成され、前記外側電極36とセンサユニット38との境界では、拡径されたフランジ3841が形成されている。このフランジ3841が、外側電極36側の段差365およびセンサユニット38側の段差385によって挟み込まれることで、保護管384は、その軸方向へのずれが防止、すなわち前記外側電極36の収納孔361側へ不所望に入り込まないようになっている。
【0053】
前記外側電極36の導波管62側の対向面において、収納孔361の周囲には環状の突条386が形成されており、その突条386の外周部に嵌め込まれたOリング387が前記外側電極36と導波管62との間に挟み込まれることによって、外側電極36と導波管62との連結面からのガスの漏洩が防止されている。同様に、センサユニット38のガス孔382の周囲には環状の凹溝388が形成されており、その凹溝388に嵌り込むOリング389が前記外側電極36とセンサユニット38との間に挟み込まれることによって、外側電極36とセンサユニット38との連結面からのガスの漏洩が防止されている。
【0054】
前記センサユニット38の先端側には、集束器39が取付けられる。この集束器39は、円形ホーン形状に形成され、前記2本の保護管384から吐出されたガスを集束して、細い管径のガス管391へ供給する。ガス管391は、前記ガス流量計32への配管303に連通される。
【0055】
このため、集束器39は、大径のセンサユニット38側の外周フランジ392部分が、六角穴付きボルト393によって、センサユニット38に取付けられる。集束器39のセンサユニット38側の端部において、内部開口394の周囲には、凹溝395が形成されている。その凹溝395に嵌り込んだOリング396が、前記センサユニット38と集束器39との間に挟み込まれることによって、センサユニット38と集束器39との連結面からのガスの漏洩が防止されている。
【0056】
一方、集束器39のガス管391側の端部には、拡径されたフランジ397が形成されている。このフランジ397は、パッキンなどのシール部材を適宜介して、ガス管391側の対応するフランジ398と接合された後、それらのフランジ397,398の外周部が、図示しない締結部材によって連結される。
【0057】
内側電極35は、良導電性の金属の棒状部材からなり、図3で示すように、その上端部351の側が導波管72の内部に所定長さだけ突出している。上述のように、この突出した上端部351は、導波管72内を伝搬するマイクロ波を受信するアンテナ部として機能し、下端部352が前記外側電極36との間でグロー放電を行う。
【0058】
そして、前記内側電極35の上端部351側が、上述のように保持部材37によって保持される。保持部材37は、絶縁性を有し、低誘電率な材料であるポリテトラフルオロエチレン等の耐熱性樹脂材料や、セラミック等からなる。保持部材37は、前記内側電極35の上端部351を保持する保持部371と、円筒状に形成され、導波管72を越えて延びる把持部372とが一体成型されて構成される。
【0059】
前記外側電極36の収納孔361において、導波管72側には段差部369が設けられ、該段差部369で保持部371が支持されることで、内側電極35は外側電極36とは絶縁された状態で、着脱自在に支持される。こうして、上述のように外側電極36の収納孔361と同心状に配置される内側電極35を有し、両電極35,36間に高周波の電界を印加することでグロー放電を生じさせてプラズマを発生させ、両電極35,36間に供給された原料ガスを前記プラズマによって処理して放出するプラズマ発生ノズル31において、損耗する内側電極35を交換可能に形成することができる。
【0060】
一方、導波管72において、外側電極36が取付けられる壁721とは反対側の壁722には、前記保持部材37に保持された内側電極35が遊挿可能な点検口723が形成されている。前記点検口723には、ビス724によって口金725が固定されており、その口金725にビス726によってキャップ部材727が取付けられることで、前記点検口723が閉塞されるとともに、保持部材37の把持部372の端部3721が押圧固定される。
【0061】
そして、作業者が前記把持部372を把持し、保持部材37および内側電極35を前記口金725および点検口723を遊挿させ、前記保持部371を収納孔361の段差部369に嵌め込んだ後、前記把持部372の端部3721をキャップ部材727で抑えつつ、ビス726を口金725に螺着することで、前記保持部材37の保持部371が段差部369に押え込まれてゆく。こうして、内側電極35は常に所定の位置にセットされることになり、放電を安定させることができる。
【0062】
ここで、前記把持部372が耐熱性樹脂材料からなる場合、該把持部372を少し長い目に形成しておくことで、余剰分は前記筒形状の該把持部372の撓みによって吸収され、前記保持部材37から内側電極35を均一に押圧することができる。これによって、該把持部372の長さを厳密に管理することなく、前記のように常に内側電極35を所定の位置にセットすることができる。
【0063】
これに対して、内側電極35の取り外し時は、作業者は、前記把持部372の端部3721に形成された孔3722に、図示しない針状のフックなどを引っ掛け、引き抜くことで、前記保持部371が段差部369の内周面に強固に密着していても、前記内側電極35および保持部材37を取り外すことができる。
【0064】
このように構成することで、前記点検口723を開けると前記保持部材37に保持された内側電極35が交換可能になり、外側電極36を導波管72から取外したりするような必要はなく、極めて容易に交換を行うことができる。また、作業者は、前記保持部材37の把持部372を把持して、内側電極35に手や工具で触れることなく、該内側電極35を交換することができ、該内側電極35への傷付きを防止することができるとともに、専用工具を用いることなく交換を行うことができる。
【0065】
ところで、前記内側電極35において、アンテナとして機能する上端部351が把持部372内に完全に埋込まれていると、アクシデントによって導波管72内でプラズマ点灯が生じると、その点灯が生じるアンテナ先端部付近の把持部372の材料が溶解してしまう。そこで本実施の形態では、前記アンテナとして機能する上端部351の一部分を前記把持部372外に露出させている(剥き出しとなっている)。これによって、プラズマ点灯はその露出させた部分で生じさせ、前記把持部372の溶解を未然に防止することができる。
【0066】
さらにまた、前記キャップ部材727には、図3で示すように、前記把持部372の前記筒形状によって形成される内部空間3723を外部へ開放する通気孔7271が形成されている。これによって、マイクロ波の受信およびそれによるプラズマの点灯によって内側電極35が高温になっても、前記通気孔7271が高温で膨張した空気の排出孔となり、前記筒形状の把持部372内の圧力が異常に上昇することを防止することができ、該把持部372の変形を防止することができるとともに、内側電極35がセンサユニット38側に抜け落ち(飛び出し)てしまうことも防止できる。
【0067】
図1に戻って、ガス流量計32は、配管303内を流通する気体の流量を計測する。ポンプP31は、NOガス生成時および排出時に、蓄積タンク10とガス供給系統30のループ管路とで構成される一つの空間内において、ガスを循環させるためのポンプである。プラズマ発生ノズル31が動作している状態で該ポンプP31が稼働されると、蓄積タンク10から吸い出されたガスがプラズマ発生ノズル31を通過して前記蓄積タンク10に戻されることを繰り返し、こうして蓄積タンク10に蓄積されているガスにおけるNOの濃度が徐々に上昇してゆくことになる。ポンプP31には、NOx等に耐性を持つ耐薬品性のポンプが用いられる。
【0068】
連係系統40は、クリーンルームRと蓄積タンク10との間を連通させるための系統である。連係系統40は、電磁弁V41、ポンプP41,P42、濃度センサS2、配管401,402を含む。
【0069】
配管401の一端(上流端)は蓄積タンク10に接続され、他端(下流端)はクリーンルームRに接続されている。この配管401の上流側にポンプP41が配置されている。配管402の一端側(上流端)はクリーンルームRに接続され、他端側(下流端)は蓄積タンク10に接続されている。この配管402の下流側にポンプP42が配置されている。ポンプP41,P42は、前記ポンプP31と同様の耐薬品性のポンプであって、蓄積タンク10からNOガスをクリーンルームRに循環して滅菌処理を行う際に動作する。
【0070】
その配管402には、クリーンルームR内のNOガスの濃度を計測し、第2の濃度センサである濃度センサS2が設けられている。電磁弁V41は、配管402に取り付けられ、滅菌処理を行う際に「開」とされ、後述するように、排気系統50によるNOガスの無害化処理時、およびNO回収系統60によるNOガスの回収時に「閉」とされる弁装置である。
【0071】
排気系統50は、前記のように滅菌処理に用いたNOガスを密閉空間内で無害化すると共に、無害化処理後のNガスを外部に排気するための系統である。排気系統50は、HNO変換部51、フィルタ52、ポンプP51、配管501,502,503を含む。
【0072】
配管501の一端側(上流端)は、前記濃度センサS2の下流側でクリーンルームRに接続され、他端側(下流端)は電磁弁V51を介して配管503の一端側(上流端)に接続されている。また、配管502の一端側(上流端)は、蓄積タンク10に接続され、他端側(下流端)は電磁弁V52を介して配管503の一端側(上流端)に接続されている。こうして集められる排気処理すべきNOガスは、ポンプP51の吸引によって、HNO変換部51およびフィルタ52を通過して無害化され、外部に排出される。
【0073】
HNO変換部51は、滅菌処理後のガスに含まれるNOをHNOに変換する。この変換を行うために、HNO変換部51には、オゾン(O)を発生するオゾン発生器と、水(HO)を供給するための水分導入器とを備えている。こうして該HNO変換部51を通過するNOガスにOおよびHOが加えられることで、前記ガスはHNOを含むガスに化学的に変換される。
【0074】
フィルタ52は、ガス中のHNOを吸着するフィルタである。このフィルタ52としては、たとえばセラミック製のハニカム構造を備えた基材に、硝酸吸着性のコーティング層を施したフィルタを用いることができる。
【0075】
図1に戻って、回収装置であるNO回収系統60は、脱湿部61、HO液化部62、NO回収部63、NO液化部64、NO気化部65、電磁弁V61,V62,V63,V64,V65,V66、配管601〜613を含む。このNO回収系統60は、滅菌処理に使用されたNOガスの少なくとも一部を回収し、保存しておくとともに、以降の滅菌処理時に、必要に応じて前記クリーンルームRへ供給することで、前記NOガスの再利用を図るものである。また、このNO回収系統60では、事前に、ガス供給系統30で生成されたNOガスを回収し、保存しておき、滅菌処理時にそれを使用することで、短時間で起動(滅菌処理を開始)できるようにもなっている。一方、前記排気系統50は、滅菌処理に使用されたNOガスを無害化して外部へ放出するものである。そして、使用済みのNOガスを、このNO回収系統60で再利用するか、前記排気系統50で排気(廃棄)するかは、次回の滅菌処理までの期間や、NOガスを再利用した回数などによって、適宜選択される。
【0076】
配管601はクリーンルームRからのNOガスを回収し、配管602は蓄積タンク10からのNOガスを回収し、配管604は蓄積していたNOガスを蓄積タンク10へ戻すためのものである。このため、前記配管601の一端は前記配管402における濃度センサS2と電磁弁V41との間に接続され、他端は電磁弁V61に接続される。また、前記配管602の一端は前記蓄積タンク10に接続され、他端は電磁弁V62に接続される。さらにまた、前記配管604の一端は前記蓄積タンク10に接続され、他端は、電磁弁V64に接続される。
【0077】
そして、このNO回収系統60では、電磁弁V61,V62に共通に接続される配管603で取り込まれたNOガスが、回収処理される。配管603には、適宜サージタンクなどが設けられてもよい。回収処理にあたって、回収されたガスから、先ず脱湿部61およびHO液化部62によって、水分が除去される。前記クリーンルームRおよび蓄積タンク10からの回収ガスは、NO+HO+空気の混合ガスとなっており、該脱湿部61は、以下のようにして、その内のHOを分離濃縮する。
【0078】
前記脱湿部61は、吸着剤の圧力制御による分離濃縮技術により水蒸気を回収するもので、前記吸着剤に、前記圧力制御のためのポンプや電磁弁などを備えて構成される。この図1の例の脱湿部61は、PSA方式で水分を分離濃縮するものであり、ポンプ、吸着剤、真空ポンプおよび電磁弁などを備えて構成される。そして、この脱湿部61では、前記吸着剤は水分に適応しており、回収されたガスが、第1の所定期間、ポンプで吸引されることで、水分が吸着剤に吸着される。続いて、第2の所定期間、前記吸着剤から真空ポンプで吸引(剥離)されることで、水分が濃縮され、配管605からHO液化部62に送られる。
【0079】
O液化部62では、脱湿部61から送られてきた水蒸気の内、水分を、チラーによる冷却によって液化させ、残りの気体成分は配管606から前記脱湿部61の入り口に戻される。液化した水分は、ドレインライン614から排出される。しかしながら、実際には、脱湿部61から送られて来る水蒸気には、数十ppm程度のNOが含まれており、その水蒸気がNOの排出基準を満たす場合は前記のように排出し、満たさない場合は、前記HO液化部62から、廃液として回収される。また、前記排出基準を満たす場合は、このHO液化部62が設けられず、脱湿部61からの水蒸気が、後述するNO回収部63の排気管615からの排気とともに、そのまま排出されるようにしてもよい。
【0080】
前記クリーンルームRや蓄積タンク10から回収され、脱湿部61で脱湿されたガスは、NO+空気の混合ガスであり、配管607からNO回収部63に導入される。このNO回収部63は、前記脱湿部61と同様に、吸着剤の圧力制御による分離濃縮技術によりNOを回収するものである。この図1の例のNO回収部63は、PSA方式でNOを分離濃縮し、ポンプ、吸着剤、真空ポンプおよび電磁弁などを備えて構成される。そして、このNO回収部63では、前記吸着剤はNOに適応しており、導入されたガスが、第1の所定期間、ポンプで吸引されることで、NOが吸着剤に吸着される。続いて、第2の所定期間、前記吸着剤から真空ポンプで吸引(剥離)されることで、NOが濃縮され、配管608からNO液化部64に送られる。
【0081】
図5は、NO液化部64およびNO気化部65の一構成例を模式的に示す図である。NO液化部64では、NO回収部63から送られてきたガスは、前記配管608からタンク641に導入される。導入されたガスの内、NOが、チラー642による冷却によって液化されてタンク641に貯留され、残りの気体(空気)成分は、配管609から前記NO回収部63の入り口に戻される。
【0082】
タンク641の底部には、配管610が接続されており、底部から取込まれた液体のNOは、その配管610を介してNO気化部65のタンク651に供給される。前記配管610には、液体のNOを、タンク641からタンク651に落とし込むか否かを制御する電磁弁V65が設けられている。NO気化部65では、前記タンク651の底部にはヒーター652が設けられており、このヒーター652で加熱されることで、前記NOは気化する。気化したNOは、配管611から電磁弁V66および前記配管604を通して蓄積タンク10に供給され、滅菌処理への利用が可能になる。
【0083】
一方、NO回収部63の出口から排出されるガスは、入口から吸入されるガスの1/20程度のNO濃度となっている。そこで、前記出口には2本の配管612,613が接続されている。配管613は、電磁弁V63を介して前記排気管615に接続され、配管614は、電磁弁V64を介して前記排気管604に接続される。前記NO回収部63の出口におけるNO濃度が、大気へ排気できる濃度であれば、電磁弁V63が「開」とされて、排気が排気管615からそのまま排出され、排気できない濃度であれば、電磁弁V64が「開」とされて、排気が排気管604から蓄積タンク10へ戻される。また、外部排気で、蓄積タンク10やクリーンルームR側が著しく減圧する場合にも、蓄積タンク10へ排気が戻される。前記大気へ排気できる濃度は、自治体の条例、法規等で定められており、クリーンルームR等の大規模設備の場合は、概ね100ppmである。
【0084】
このようなNO回収系統60を設けることで、一旦滅菌処理を行うと、以降の滅菌処理時、すなわち初回を除く処理時において、タンク651に保存されているNOガスを再利用することで、或いは初回等の使用であっても事前にNOガスを生成しておくことで、ガス供給系統30から供給するNOガスの量を削減することができるとともに、処理後に排気系統50から外部へ排出すべきNOガスの量も削減することができる。
【0085】
これによって、前記ガス供給系統30および排気系統50の能力(容量)を小さく、したがってコストを削減することができるとともに、ガス充填や排ガスの処理を短時間で行うことができる。特に、前記ガス供給系統30は、プラズマ処理によってNOガスを生成するので、ボンベなどから直接NOガスを供給する場合に比べて、クリーンルームRのガス濃度が必要な濃度に達するまで時間が掛かるので、該NO回収系統30を用いることは好適である。また、事前に、前記ガス供給系統30によってNOガスを生成して、該NO回収系統60に回収し、保存しておき、滅菌処理時にそれを使用することで、短時間で起動(滅菌処理を開始)を行うことができる。
【0086】
また、そのようなNOガスの保存に、NO液化部64でNOガスを液化して小容量で保存しておくことで、NOの再利用に掛かるコストやスペースを削減することができる。特に、処理室が前記クリーンルームRの場合のように、たとえば週末などの長周期毎にしか滅菌処理が行われない場合に好適である。すなわち、このような液化および気化の処理が必要になるものの、その処理を長い周期で行う場合には、処理回数は少なく、前記のコストやスペースの削減効果の方が大きくなる。
【0087】
さらにまた、回収されたNOガスをNO液化部64でそのまま冷却するのではなく、NO液化部64の手前に、回収されたNOガスをPSA方式で予め濃縮し、前記NO液化部64へ与えるNO回収部63を設けることで、NO液化部64は、NOガスをより高い温度で液化することができ、前記チラー642などで、簡単かつ効率良く、液化することができる。
【0088】
また、NO液化部64でNOガスを冷却する際に、水分が含まれていると、水分まで液化してしまうので、冷却の前の前記NO回収部63の前段に、水分を濃縮する脱湿部61をさらに設けることで、水分を回収(除去)することができる。また、前記脱湿部61が前記のPSA方式で水分を濃縮することで、効率良く水分を回収(除去)することができる。
【0089】
さらにまた、ガス供給源であるプラズマ発生ノズル31から、直接処理室であるクリーンルームRにNOガスを充填し、自然拡散させるようにしてもよいけれど、本実施の形態では、前記プラズマ発生ノズル31とクリーンルームRとの間に、NOガスを貯留する蓄積タンク10を介在するとともに、そのプラズマ発生ノズル31と蓄積タンク10との間に、配管301〜303およびポンプP31などからなる循環経路を設けている。そして、前記循環経路が前記蓄積タンク10内の空気を前記プラズマ発生ノズル31内に循環させ、前記プラズマ反応を生じさせて前記NOガスに変換させることで、前記蓄積タンク10内でのNOガスの濃度を高めてゆくようにしている。これによって、蓄積タンク10内のNOガスの濃度を均一に高めてゆくことができる。
【0090】
一方、その後に、蓄積タンク10から濃度の高いNOガスをクリーンルームRへ充填することで、長い時間を要するNOガスを生成する期間にも、クリーンルームRを使用することができる。これによって、滅菌のスループットを向上することができる(滅菌のために使用できない期間を短縮できる。)。また、このようにクリーンルームRとは別に蓄積タンク10を設けることで、様々なシチュエーションに対応することができ、或いは想定外のシチュエーションに対応することができる。
【0091】
図6は、前記濃度センサS1,S2の一構成例を模式的に示す図である。ガスセンサ装置であるこの濃度センサS1,S2は、相互に並列に配置された第1の流路H0および複数の第2の流路H1〜H4と、前記の流路H0;H1〜H4にそれぞれ設けられる高濃度ガスセンサSPおよび低濃度ガスセンサSS1〜SS4と、前記第1の流路H0において、前記高濃度ガスセンサSPの上流側に設けられる電磁弁VS0と、前記第2の流路H1〜H4において、前記低濃度ガスセンサSS1〜SS4の上流側に設けられる電磁弁VS1〜VS4と、下流側に設けられる絞りB1〜B4と、制御装置Cとを備えて構成される。
【0092】
制御装置Cは、弁制御回路C1と、光センサ回路C2と、半導体センサ回路C3とを備えて構成される。光センサ回路C2は、光センサからなる高濃度ガスセンサSPの検出動作を制御し、検出結果を出力する。半導体センサ回路C3は、金属酸化物半導体からなる低濃度ガスセンサSS1〜SS4の検出動作を制御し、検出結果を出力する。弁制御回路C1は、光センサからなる高濃度ガスセンサSPの後述するリフレッシュ時に電磁弁VS0を「閉」状態とし、通常は「開」状態とする。また、弁制御回路C1は、電磁弁VS1〜VS4の総てを「閉」または択一的に「開」状態とする。
【0093】
すなわち、この濃度センサS1,S2は、測定対象ガスであるNOガスの濃度を測定するために、該NOガスの流路として、相互に並列に配置された第1の流路H0および第2の流路H1〜H4を備える。そして、相対的に、高濃度域を測定するのに好適な光センサからなる高濃度ガスセンサSPが前記第1の流路H0に設けられ、低濃度域、たとえば1ppmでのガスの有無を測定するのに好適な金属酸化物半導体からなる低濃度ガスセンサSS1〜SS4が第2の流路H1〜H4に設けられている。たとえば、前記高濃度ガスセンサSPのダイナミックレンジは、蓄積タンク10内のNOガスの濃度を測定する濃度センサS1では、100000ppmまでの範囲であり、クリーンルームR内のNOガスの濃度を測定する濃度センサS2では、1000ppmまでの範囲である。
【0094】
制御装置Cの弁制御回路C1は、それらのガスセンサSP;SS1〜SS4を使い分けることで、測定レンジの切換えを行う。これによって、この濃度センサS1,S2は、高濃度域から低濃度域までの広いレンジにおいて、特に低濃度域でのNOガスの有無判定を、高速および高精度に行うことができるようになっている。
【0095】
そのレンジ切換えのために、前記低濃度ガスセンサSS1〜SS4の上流側に電磁弁VS1〜VS4が設けられており、高濃度ガスセンサSPでの測定は常時可能にするとともに、これらの電磁弁VS1〜VS4の遮蔽によって、低濃度ガスセンサSS1〜SS4には、非測定時にNOガスが流れないようになっている。
【0096】
ここで、低濃度ガスセンサSS1〜SS4の感ガス素子は、前述のように、金属酸化物半導体からなり、検知すべきガスの濃度が高くなる程、高い導電度を示す。そして、半導体センサ回路C3は、前記弁制御回路C1からの電磁弁VS1〜VS4の開閉出力に応答して、低濃度ガスセンサSS1〜SS4を択一的に使用して、前記の導電度の変化をガス濃度に対応した入力信号(たとえば電圧)に変換して取込み、前記1ppm以上であるか否かを判定して、その判定結果を出力する。本実施の形態では、半導体センサ回路C3は、前記1ppm以上であるか否かの判定結果を出力するけれども、前記1ppm以下をダイナミックレンジとして、NOガスの濃度に対応した出力を導出するようにしてもよい。具体的には、NOガスの濃度に対応した電圧出力や、NOガスの濃度に対応したデジタル信号出力である。
【0097】
そして、低濃度ガスセンサSS1〜SS4は、半導体センサであるために、高濃度のNOガスに曝されると、センサ特性がシフトしてしまい、正しい測定が行えなくなる。そのため、該低濃度ガスセンサSS1〜SS4に流れるNOガスの濃度は、前記1ppmの判定レベル程度以下の濃度とする必要がある。
【0098】
一方、低濃度ガスセンサSS1〜SS4は、NOガスの流量が多くなっても、故障・誤判定の可能性がある。そこで、前記第2の流路H1〜H4において、低濃度ガスセンサSS1〜SS4の下流側には、NOガスの圧力および流量が適正になるように調整する絞りB1〜B4が設けられている。そして、濃度センサS1はポンプP31の前段に、濃度センサS2はポンプP42,P51,P61の前段に、それぞれ配置されており、通常時は開放されている第1の流路H0にNOガスが流れている間(ポンプが動作している間)は、該濃度センサS1,S2の出口側は若干負圧になり、NOガスが、絞りB1〜B4を超えて、低濃度ガスセンサSS1〜SS4側に逆流することはない。滅菌終了後は、第2の流路H1〜H4にはNOガスは無く、逆流しても問題はない。
【0099】
そして、弁制御回路C1は、光センサ回路C2からの出力に応答して、高濃度ガスセンサSPでの測定結果が前記1ppm以下、すなわち高濃度ガスセンサSPのダイナミックレンジからすると、ほぼ測定可能な最小値レベルとなると、後述するように電磁弁VS1〜VS4を択一的に「開」として、低濃度ガスセンサSS1〜SS4にNOガスを供給するとともに、半導体センサ回路C3に動作許可の信号を与え、濃度判定を可能にする。
【0100】
したがって、弁制御回路C1は、半導体センサからなり、低濃度におけるガスの有無を判定するために高感度な低濃度ガスセンサSS1〜SS4を、非測定時にむやみにNOガスに曝露することなく、また測定時においてもNOガスの濃度が判定レンジ域に入ってから曝露するので、該低濃度ガスセンサSS1〜SS4の劣化や破損を防止し、高濃度域から低濃度域までの広いレンジにおいて、安定して使用することができる。特に、前記測定対象ガスが人体に有害なNOガスである場合に、濃度センサS2によって、低濃度域の判定、すなわち様々な広さを有するクリーンルームRそれぞれへの立ち入り可否の判断を、高速および高精度に行うことができる。
【0101】
なお、第2の流路H1〜H4の管径は第1の流路H0より小さく、さらに絞りB1〜B4を設けているので、該第2の流路H1〜H4の流路抵抗は第1の流路H0の流路抵抗よりも大きくなる。そのため、測定に充分なNOガスが流れない場合には、第1の流路H0に、その流路抵抗を増す絞りなどを介在するようにしてもよい。また、上述の実施の形態では、高濃度ガスセンサSPには、通常、NOガスが流れるようにしているけれども、前記電磁弁VS0を、非測定時には「閉」とするようにしてもよい。
【0102】
前記電磁弁VS0を非測定時に「閉」にする場合には、第2の流路H1〜H4の管径を充分太くする必要がある。これは、管径が細いままであると、低濃度ガスセンサSS1〜SS4の位置で負圧になって誤判定を生じる可能性があり、また、前述のような該低濃度ガスセンサSS1〜SS4の損傷を招く可能性があるためである。或いは、前記電磁弁VS0を非測定時に「閉」にする場合に、第2の流路H1〜H4の管径を太くするのではなく、NOガスの主流を流すバイパス配管を設けるようにしてもよい。それらの場合に、管内での流れを均一にするような構成を設けることが好ましい。
【0103】
また、この濃度センサS1,S2では、前記低濃度ガスセンサSS1〜SS4のために、第2の流路H1〜H4は、相互に並列に複数(図10の例では4つ)に分岐されている。そして、その第2の流路H1〜H4には、前記低濃度ガスセンサSS1〜SS4がそれぞれ設けられるとともに、電磁弁VS1〜VS4が設けられている。前記半導体センサ回路C3は、検出出力が異常値となる毎に、弁制御回路C1に選択信号を出力し、該弁制御回路C1に、その異常となった低濃度ガスセンサの使用を禁止させる。
【0104】
すなわち、弁制御回路C1は、前述のように、光センサ回路C2からの出力に応答し、高濃度ガスセンサSPの測定結果で、低濃度ガスセンサSS1〜SS4の判定レンジまで充分に濃度が下がった状態で、該低濃度ガスセンサSS1〜SS4での判定を可能にするが、その際、前記半導体センサ回路C3からの選択出力に応答することで、異常となった低濃度ガスセンサは使用しないようにする。たとえば、半導体センサ回路C3は、低濃度ガスセンサを、SS1→SS2→SS3→SS4の順で使用するように設定されている場合、SS1が異常値を示すと、弁制御回路C1にSS2に切換えて使用させ、SS2が異常値を示すと、次の順位のSS3に切換えて使用させる。
【0105】
ここで、前述のように、弁制御回路C1は、光センサ回路C2からの出力に応答して、高濃度ガスセンサSPの測定結果で充分に濃度が下がった状態で、電磁弁VS1〜VS4を開けて低濃度ガスセンサSS1〜SS4での判定を可能にすることで、該低濃度ガスセンサSS1〜SS4の劣化や破損を防止している。ところが、判定対象であるクリーンルームRにおいて、たとえば物陰に、或いはポンプ内や配管などに、残存していた高濃度のガスが突発的に流れてくるなどして、使用中の低濃度ガスセンサが不所望に破損してしまう可能性もある。後述するように、たとえばクリーンルームRの滅菌時のNOガスの濃度は200ppm、蓄積タンク10でのNOガスの濃度は、前述のように最大40000ppmと、いずれも低濃度ガスセンサSS1〜SS4の判定レベルである1ppmより非常に高い。
【0106】
したがって、そのような不所望なセンサ故障を、半導体センサ回路C3は検出出力の異常から検知し、代替えの新たな低濃度ガスセンサに切換えて測定を行うことで、前記不所望なセンサ故障に対しても、代替えの低濃度ガスセンサが残っている限り、判定を継続することができる。特に、前記判定対象ガスが人体に有害なNOガスである場合に、安全性を確実に確保することができ、すなわち濃度センサS2によって、クリーンルームRへの立ち入り可否の判断を確実に行うことができ、好適である。
【0107】
図7は、そのような濃度センサS1,S2の弁制御回路C1によるレンジ切換えおよびセンサ切換え動作を説明するためのフローチャートである。測定動作を開始するとステップQ1に移り、使用すべき低濃度ガスセンサSS1〜SS4の順位を表す変数j(=1,2,3,4)が設定される。この変数jは、該滅菌システム1の初回使用時は初期値の1となる。
【0108】
ステップQ2では、弁制御回路C1は、光センサ回路C2に、光センサである高濃度ガスセンサSPを使用させて、NOガスの濃度測定を行わせる。ステップQ3では、弁制御回路C1は、ステップQ2での光センサ回路C2の測定結果から、NOガスの濃度が所定の濃度である前記1ppm以上であるか否かを判断し、濃度が高い場合はステップQ15に移る。ステップQ15では、弁制御回路C1は、終了判定を行い、測定終了の場合は処理を終了し、測定を継続する場合は前記ステップQ2に戻って、引き続き光センサ回路C2に高濃度ガスセンサSPによる濃度測定を行わせる。前記ステップQ3において、弁制御回路C1は、濃度が低い場合はステップQ4に移る。
【0109】
ステップQ4では、弁制御回路C1は、先ずj番目の低濃度ガスセンサSSjに対応した電磁弁VSjを「開」とする。続いてステップQ5では、弁制御回路C1は、半導体センサ回路C3に、前記j番目の低濃度ガスセンサSSjを使用させて、NOガスの濃度判定を行わせる。ステップQ6では、弁制御回路C1は、ステップQ5での半導体センサ回路C3の判定結果から、NOガスの濃度が前記1ppm以上であるか否かを判断し、濃度が高い場合は、ステップQ7で電磁弁VSjを「閉」とした後、前記ステップQ2に戻って光センサ回路C2に高濃度ガスセンサSPによる濃度測定を行わせ、濃度が低い場合にはステップQ8に移る。
【0110】
ステップQ8では、弁制御回路C1は、半導体センサ回路C3に、判定に使用した低濃度ガスセンサSSjの検出出力が正常範囲であるか否かを判断させ、正常範囲である場合はステップQ16に移る。ステップQ16では、弁制御回路C1は、終了判定を行い、測定終了の場合は処理を終了し、測定を継続する場合は前記ステップQ5に戻って、引き続き半導体センサ回路C3に低濃度ガスセンサSSjによる濃度判定を行わせる。前記ステップQ8において、弁制御回路C1は、判定に使用した低濃度ガスセンサSSjが異常である場合はステップQ9に移る。なお、金属酸化物半導体からなる前記低濃度ガスセンサSS1〜SS4の異常時の出力信号レベルによっては、前記ステップQ8による異常判定を、ステップQ6の濃度判定の前に行う必要がある。
【0111】
ステップQ9では、弁制御回路C1は、前記電磁弁VSjを「閉」とする。ステップQ10では、弁制御回路C1は、変数jに1を加算して更新する。ステップQ11では、弁制御回路C1は、前記ステップQ10で更新された変数jが4を超えるか否かを判断し、超えている場合、すなわち総ての低濃度ガスセンサSS1〜SS4を使用してしまい、代替えの低濃度ガスセンサが残っていない場合にはステップQ12でセンサ故障を報知して処理を終了する。これに対して、前記ステップQ11で変数jが4以下、すなわち代替えの低濃度ガスセンサが残っている場合には前記ステップQ4に戻って、その低濃度ガスセンサSSjに対応した電磁弁VSjを「開」にして、低濃度ガスセンサSSjでの判定を継続する。このようにして、低濃度ガスセンサSSjのセンサ故障に対応することができる。
【0112】
そして、前回使用時に、低濃度ガスセンサSSjが故障しなければ、今回の使用時にも前回の使用時にステップQ1で設定された変数jの順位のセンサがステップQ1で再度選択されて引き続き使用され、故障した場合には、ステップQ10で設定された変数jの順位のセンサがステップQ1で選択されることになる。
【0113】
一方、前述のように高濃度ガスセンサSPのダイナミックレンジは、蓄積タンク10用の濃度センサS1と、クリーンルームR用の濃度センサS2とで相互に異なるけれども、測定原理は同じである。すなわち、前記NOガスが茶褐色であることを利用して、光センサ回路C2は、青色発光ダイオードSLを駆動して、前記NOガスの通過空間に青色光を照射させ、光検出素子SRによる透過光量(NOガスによる吸収量)の検出結果から、前記濃度を検出する。このため、前記第1の流路H0において、少なくとも前記青色発光ダイオードSLと光検出素子SRとが相互に対向する部分は、ガラス管などの前記青色光を透過させることができる材料からなる。
【0114】
したがって、光検出素子SRおよび光センサ回路C2は、非接触で、すなわちNOガスに何ら変性を生じさせることなく、リアルタイムに(高い応答性で)、NOガスの濃度を測定することができる。また、前記光検出素子SRおよび光センサ回路C2による測定結果は、ガス流量に依存せず正確である。すなわち、前記茶褐色の濃さは、流量の大小によっては変化せず、ガス密度(圧力)および濃度によって変化し、ここで本実施の形態では、ガス密度(クリーンルームRの圧力)は殆ど変化しないので、結果的にガス濃度のみによって変化することになる。
【0115】
一方、前述のように、1または複数のクリーンルームRは、それぞれ任意の広さに形成され、部屋内に収納される機器の占有スペース等の影響で、NOガスを充填すべき容積も任意である。各クリーンルームRには、空気より重いNOガスや清浄空気の導入用に上部にガス導入孔が、下部にはガス排出孔が設けられている。
【0116】
各クリーンルームR1〜Rnのガス導入孔は、電磁弁RV11〜RVn11を介して、配管101に接続されている。配管101は、前記連携系統40の配管401および吸気系統20の配管203に接続される。また、各クリーンルームR1〜Rnのガス排出孔は、電磁弁RV12〜RVn12を介して、配管102に接続されている。配管102は、前記連携系統40の配管402に接続される。
【0117】
したがって、対を成す電磁弁RV11〜RVn11;RV12〜RVn12が、「開」となった部屋には、前記連携系統40のポンプP41からNOガスが供給され、または吸気系統20のポンプP21から清浄空気が供給され、或いは使用済みのNOガスが排気系統50のポンプP51またはNO回収系統60のポンプP61に吸い出される。
【0118】
続いて、滅菌システム1の電気的な制御構成を図8に基づいて説明する。図1では図示を省略しているが、滅菌システム1は、当該滅菌システム1の動作を電気的に制御するための制御装置90を備えている。制御装置90は、情報処理等を行うCPU(中央演算処理装置)を備え、該滅菌システム1の動作制御を行うべくプログラミングされたソフトウェアが実行されることで、図8に示す機能部を具備するように動作する。制御装置90は、機能的に、全体制御部91、吸気制御部92、供給制御部93、連係制御部94、排気制御部95、回収制御部96およびロック制御部97を備えている。
【0119】
なお、前記濃度センサS1,S2における制御装置Cの構成を、この制御装置90内に設けるようにしてもよい。その場合、前記ステップQ8での低濃度ガスセンサSSjの異常の判定を、所定時間ガスが流れた後に再度行うようにすることが好ましい。すなわち、制御装置は、前記ポンプP31やP42を駆動することで、該低濃度ガスセンサSSjに、前記所定時間NOガスを流し、その後に再度異常判定を行うことで、ガス濃度が高いために低濃度ガスセンサSSjが異常値を示したのか、低濃度ガスセンサ自体が故障したため異常値を示したのかを、確認することができる。そして、制御装置は、センサ故障であれば前記ステップQ9→Q10→Q11→Q5のセンサ切換えを行い、ガス濃度が高かった場合には切換えを行わないようにすることで、切換えたセンサがさらに故障してしまうような不具合を未然に防止することができる。
【0120】
全体制御部91は、滅菌装置1の全体的な動作モードを管理し、各個別の制御部92〜97に対して動作モードの変更および維持を通知する制御信号を与える。濃度センサS1,S2が計測する蓄積タンク10およびクリーンルームR内のNOの濃度データ、圧力センサP0;P1〜Pnが計測する蓄積タンク10および各クリーンルームR内の圧力データ、温度センサT0;T1〜Tnが計測する蓄積タンク10および各クリーンルームR内の温度データは、全体制御部91に入力される。全体制御部91は、これらの濃度データ、圧力データ、温度データ、図略のタイマー装置から与えられるタイムデータ等に基づいて、滅菌システム1の動作モードを管理し、各制御部92〜96に、モード設定を行うとともに、必要なデータを転送する。
【0121】
吸気制御部92は、前記蓄積タンク10やクリーンルームRへ新鮮外気を導入する際に、前記ポンプP21を駆動するとともに、電磁弁V21,V22を制御して、前記蓄積タンク10またはクリーンルームRへ新鮮外気を供給する。その際、湿度センサ22の検出結果に応答してエアドライヤ21を駆動するとともに、エアドライヤ21の異常を監視する。
【0122】
供給制御部93は、前記ガス供給系統30と、蓄積タンク10との間でガスを循環させつつNOの濃度を高めさせてゆくように、前記ガス供給系統30を制御するものであり、濃度センサS1で測定された前記蓄積タンク10内のNOガスの濃度に応答して、電磁弁V31,V32を一対で開閉制御するとともに、マイクロ波供給装置70およびポンプP31に起動または停止を制御する制御信号を与える。また、供給制御部93は、ポンプP31の回転中は、その回転数を、流量計32の計測結果に応じて制御する。こうして、供給制御部93は、NOガスの生成期間は、プラズマ発生ノズル31において安定したプラズマを発生させ、前記NOガスを生成させる。この供給制御部93による濃度センサS1の測定結果に応答したNOガスの生成の制御については、後に詳述する。
【0123】
なお、後述の排気系統50またはNO回収系統60によるNOガスの抜き取り時に、供給制御部93は、電磁弁V31,V32の両方を「開」とするとともに、ポンプP31を駆動して、配管303内からNOガスを完全に除去するようにしてもよく、或いは上流側の電磁弁V31または下流側の電磁弁V32の一方のみを「開」として、前記抜き取りによる負圧を利用して、或る程度のNOガスを除去できるようにしてもよい。
【0124】
連係制御部94は、連係系統40の電磁弁RV11〜RVn1;RV12〜RVn2を対で制御するとともに、ポンプP41,P42および電磁弁V41を制御して、蓄積タンク10内に蓄積されているNOガスを、各クリーンルームRへ、択一的に、順次切り換えて供給してゆく。また、連係制御部94は、蓄積タンク10へのリターン配管402における電磁弁V41を「閉」とすることで、排気系統50またはNO回収系統60による各クリーンルームRからのNOガスの抜き取りを可能にする。
【0125】
このような各クリーンルームRに対するNOガスの流入および流出時に、前記一対の電磁弁RV11〜RVn1;RV12〜RVn2で選択されているクリーンルームR内のNOガスの濃度は、濃度センサS2によって共通に測定され、前記連係制御部94、排気制御部95、回収制御部96およびロック制御部97に与えられる。こうして、各クリーンルームRに、共通の濃度センサS2を使用することで、センサばらつきの影響を無くすことができるようになっている。
【0126】
排気制御部95は、排気系統50の電磁弁V51,V52を制御するとともに、ポンプP51を制御して、蓄積タンク10および各クリーンルームRからのNOガスを抜き取らせ、無害化して外部へ放出させる。無害化処理時は、排気制御部95は、前述のように、ポンプP51を駆動し、かつ電磁弁V51,V52を択一的に「開」として、クリーンルームRまたは蓄積タンク10からNOガスを抜き取り、Nガスに無害化させる。排気制御部95は、クリーンルームRからのNOガスの排気時に、或る程度排気が進んだ段階で、吸気系統20のポンプP21を駆動するとともに、電磁弁V22を「開」として、各クリーンルームRへ新鮮外気を供給するようにしてもよい。同様に、排気制御部95は、蓄積タンク10からのNOガスの排気時には、吸気系統20のポンプP21を駆動するとともに、電磁弁V21を「開」として、蓄積タンク10へ新鮮外気を供給するようにしてもよい。
【0127】
回収制御部96は、前述のように、NO回収系統60の電磁弁V61またはV62の一方、電磁弁V65、および電磁弁V63またはV64の一方を「開」とするとともに、PSA方式の脱湿部61およびNO回収部63のポンプやHO液化部62およびNO液化部64のチラーを駆動して、蓄積タンク10および各クリーンルームRからのNOガスを抜き取らせ、タンク651に蓄積させる。また、回収制御部96は、電磁弁V66を「開」とするとともに、ヒーター652を駆動して、タンク651に蓄積されていたNOガスを蓄積タンク10へ供給し、再利用可能とする。
【0128】
ロック制御部97は、各クリーンルームR1〜Rnの錠装置L1〜Lnの動作を制御する。錠装置L1〜Lnは、各クリーンルームR1〜Rnの図示しない出入口のドアをロックする装置である。前記ドアは、一連の滅菌処理工程中は、安全確保のために、この錠装置L1〜Lnでロックされ、不所望な人員の立ち入りが阻止される。
【0129】
図9は、前記全体制御部91による制御部92〜97を使用しての全体的な制御動作を説明するためのフローチャートである。ステップS1では、各クリーンルームR1〜Rnに繋がる空調ダクトを閉じたり、該クリーンルームRから人員が退避して、錠装置L1〜Lnを施錠するなどの前準備が行われ、全体制御部91は、ロック制御部97から錠装置L1〜Lnの施錠を確認して、インターロックを解除し、滅菌処理動作を実行可能とする。
【0130】
ステップS2では、全体制御部91は、供給制御部93に対して、電磁弁V32を「開」とさせ、かつ電磁弁V31を「閉」とさせるとともに、ポンプP31を駆動させる。同様に、全体制御部91は、電磁弁RV12〜RVn2を「閉」とするとともに、連係制御部94に対して、ポンプP42を駆動させ、かつ電磁弁V41を「開」とさせる。これによって、濃度センサS1,S2の流路H0;H1〜H4が真空に近くなり、該流路H0;H1〜H4の内壁に付着していたNOガスを蒸散させ、濃度センサS1,S2をリフレッシュすることができる。この際に、前記低濃度ガスセンサSS1〜SS4の破損を招く場合には、前記低濃度ガスセンサSS1〜SS4の上流側の電磁弁VS1〜VS4を「閉」とするとともに、下流側にも電磁弁を設けてそれを「閉」とするか、前記絞りB1〜B4を全閉として、低濃度ガスセンサSS1〜SS4を真空状態から切り離すようにすればよい。
【0131】
こうして総ての準備が整うと、ステップS3で、全体制御部91は、吸気制御部20および排気制御部50を使用して、蓄積タンク10内に乾燥外気を導入する。具体的には、全体制御部91は、吸気制御部20に対して、電磁弁V21を「開」とさせ、かつポンプP21およびエアドライヤ21を駆動させて外気を導入するとともに、蓄積タンク10より下流側のポンプを駆動させて、該蓄積タンク10に貯まっていたガス(前回使用後に無害化したガスまたは空気)を排出させる。前記排出は、たとえば、全体制御部91が、排気制御部50に対して、電磁弁V52を「開」とさせるとともに、ポンプP51を駆動させ、或いは連係制御部94に対して、比較的広いクリーンルーム(Rxとすると)の導入側の電磁弁(RVx1)を「開」とさせるとともに、ポンプP41を駆動させることで行うことができる。このとき、全体制御部91は、湿度センサ22の測定結果を監視し、乾燥不良の場合は、エアドライヤ21の異常を報知する。外気導入が終了すると、全体制御部91は、吸気制御部20に対して、電磁弁V21を「閉」とさせ、かつポンプP21およびエアドライヤ21を停止させるとともに、前記排気制御部50や連係制御部94に対して、排出側の弁を「閉」とさせるとともに、ポンプを停止させる。
【0132】
続いてステップS4で、全体制御部91は、滅菌処理の初期に使用するガスを生成する。すなわち、全体制御部91は、供給制御部93に対して、電磁弁V31,V32を「開」とさせるとともに、ポンプP31を駆動させて、ガス供給系統30と蓄積タンク10との間でガスの循環経路を形成させる。併せて、このとき全体制御部91は、供給制御部93に対して、マイクロ波供給装置70を駆動させる。一方、全体制御部91は、連係制御部94に電磁弁V41を「閉」とさせるとともに、同様に、回収制御部96に電磁弁V62を「閉」とさせる。これによって、図10(a)で示すように、蓄積タンク10内のガスがガス供給系統30内を循環し、NOガスの濃度が高められてゆく。
【0133】
ステップS5では、全体制御部91は、濃度センサS1の測定結果を監視し、所定の滅菌処理開始の第1の濃度である前記40000ppmに達したか否かを判断し、達していないときには前記ステップS3に戻ってNOガスの濃度を高め、達している時には供給制御部93に対して、マイクロ波供給装置70およびポンプP31を一旦停止させる。前記第1の濃度は、プラズマ発生ノズル31において、プラズマによって生成されるNOガスの量が、自然に崩壊(分離)するNOガスの量より所定の割合だけ多くなる濃度に設定される。すなわち、前記第1の濃度は、プラズマ発生ノズル31において、或る程度の効率でNOガスを生成できる濃度に設定される。
【0134】
この初期ガスの生成にあたって、前述のようにタンク651に回収されたNOが残っている場合は、それを使用してもよく、その場合、全体制御部91は、乾燥外気を導入した後、マイクロ波供給装置70を駆動してプラズマ点灯させる前に、回収制御部96を介して、電磁弁V66を「開」とさせるとともに、ヒーター652を駆動させて、液体として貯留されているNOを気化させて取り込む。その取り込み時には、全体制御部91は、供給制御部93に対して、電磁弁V31,V32を「開」とさせるとともに、ポンプP31を駆動させてガスの流入を促進するようにしてもよい。或いは、ステップS3での蓄積タンク10への乾燥外気の導入時と同様に、全体制御部91は、排気制御部95に、電磁弁V52を「開」とさせるとともに、ポンプP51を駆動させ、または連係制御部94に、比較的広いクリーンルームRxの電磁弁RVx1を「開」とさせるとともに、ポンプP41を駆動させるなどして、予め蓄積タンク10内を負圧に引いていてもよい。こうして第1の濃度のNOガスが蓄積タンク10に貯まった状態を、図10(b)で示す。
【0135】
続いて、ステップS6で、全体制御部91は、後に詳述するようにして、各クリーンルームRの滅菌処理を行い、ステップS7で所定時間が経過して終了と判定されるまで滅菌処理を継続する。滅菌処理が終了すると、ステップS8で、全体制御部91は、滅菌処理に使用したNOガスを回収するか否かを判断し、回収する場合にはステップS9に移って回収制御部96に回収動作を行わせ、回収しない場合にはステップS11に移って排気制御部95に無害化処理を行わせる。
【0136】
なお、使用済みのNOガスを、NO回収系統60で再利用するか、排気系統50で排気(廃棄)するかは、前述のように次回の滅菌処理までの期間や、NOガスを再利用した回数などによって、適宜選択されればよい。或いは、比較的NOガスの濃度が高い蓄積タンク10内のガスのみを回収し、クリーンルームR内のガスは排出したり、蓄積タンク10およびクリーンルームR共に、回収初期の濃度が高い間のみ回収し、濃度が薄くなると排出する等、濃度に応じて排気(廃棄)するか否かを判断するようにしてもよい。
【0137】
前記回収動作では、前述のように、全体制御部91は、回収制御部96に、前述のように、NO回収系統60の電磁弁V61またはV62の一方と、電磁弁V65と、電磁弁V63またはV64の一方とを「開」とさせるとともに、脱湿部61およびNO回収部63のポンプやHO液化部62およびNO液化部64のチラーを駆動して、蓄積タンク10および各クリーンルームRからのNOガスを順次抜き取らせ、タンク651に蓄積させる。
【0138】
蓄積タンク10からの抜き取り時に、全体制御部91は、供給制御部93に、電磁弁V31,V32を「開」とさせて、ガス供給系統30側の配管301〜303やプラズマ発生ノズル31内などに残留しているNOガスを引き抜くようにしてもよい。一方、クリーンルームRからの抜き取り時には、全体制御部91は、連係制御部94に、電磁弁V41および導入側の電磁弁RV11〜RVn1の総てを「閉」とさせるとともに、排出側の電磁弁RV12〜RVn2を択一的に「開」とさせる。
【0139】
或る程度抜き取りが進行すると、全体制御部91は、供給制御部92にポンプP21を駆動させるとともに、電磁弁V21またはV22を「開」とさせ、さらに連係制御部94に導入側の電磁弁RV11〜RVn1を択一的に「開」とさせ、新鮮外気を導入しながらNOガスの抜き取りを行う。
【0140】
前記無害化動作では、全体制御部91は、排気制御部95に、前述のように、排気系統50の電磁弁V51またはV52の一方を「開」とさせるとともに、ポンプP51を駆動させて、蓄積タンク10および各クリーンルームRからのNOガスを抜き取らせ、排出させてゆく。この場合のクリーンルームR、ガス供給系統30および吸気系統20の制御は、上述の回収動作と同様である。
【0141】
全体制御部91は、前記ステップS9およびステップS11でのNOガスの抜き取り状況を、それぞれステップS10およびステップS12において監視し、抜き取りが完了していない場合には前記ステップS9およびステップS11にそれぞれ戻り、完了している場合にはステップS13に移る。前記NOガスの抜き取り状況は、蓄積タンク10については濃度センサS1で、各クリーンルームRについては濃度センサS2で、それぞれ検出することができる。全体制御部91は、濃度センサS1,S2における低濃度ガスセンサSS1〜SS4の測定結果に対する半導体センサ回路C3での判定結果が、前記1ppm以下となると、前記抜き取り完了と判断する。
【0142】
ステップS13では、全体制御部91は、ロック制御部97に錠装置L1〜Lnを解錠させたり、警告灯を消灯させクリーンルームRへの立ち入りが可能であることを報知させるなどして、処理を終了する。
【0143】
図11は、前記ステップS6における滅菌処理動作を詳しく説明するためのフローチャートである。滅菌処理の際、各クリーンルームRを、順に、滅菌処理を行うべき規定の第3の濃度、たとえば前記200ppmとなるまでNOガスを充填してゆくようにしてもよい。しかしながら、本実施の形態では、NOガスを、各クリーンルームRに、順に少しずつ充填してゆくようにしており、しかも部屋の大きさや内容物の量、すなわち実際にNOガスを充填すべき容積に対応して、充填時間を定めることで、全室の濃度をほぼ同じレベルで高めてゆくようになっている。このため、各クリーンルームRi(i=1〜n)に対して、基本の充填時間Tiが、前記容積に対応して予め設定されているものとする。たとえば、図1の例では、比較的狭いクリーンルームR1,Rnには1分、比較的広いクリーンルームR2には2分が定められている。
【0144】
ステップX1で、全体制御部91は、連係制御部94に、ポンプP41,P42を駆動させるとともに、電磁弁V41を「開」とさせ、蓄積タンク10に連係系統40を連係させる。ステップX2では、全体制御部91は、クリーンルームRの部屋番号を表す変数である前記iを1に初期セットする。ステップX3では、全体制御部91は、部屋番号iに対応した前記充填時間Tiを設定する。
【0145】
こうして滅菌処理の準備が整うと、ステップX4で、全体制御部91は、タイマーCNT1をリセットしてスタートさせる。ステップX5では、全体制御部91は、連係制御部94に、前記部屋番号iのクリーンルームRiの電磁弁RVi1,RVi2を「開」とさせ、NOガスの充填を開始する。
【0146】
ステップX6では、全体制御部91は、濃度センサS2によって前記クリーンルームRiのNOガス濃度を測定する。ステップX7では、全体制御部91は、その測定した濃度が前記第3の濃度以上であるか否かを判断し、第3の濃度に達していないときには、ステップX8で、タイマーCNT1の計測時間が前記充填時間Tiに達したか否かを判断し、達していない場合には前記ステップX6に戻って、同じ部屋にNOガスを充填し続ける。
【0147】
これに対して、前記ステップX7でNOガス濃度が第3の濃度以上である場合、全体制御部91は、ステップX9で、そのクリーンルームRiのガス濃度が第3の濃度に達したことを表すフラグFRiを1にセットする。一方、前記ステップX8で規定の充填時間Tiに達したとき、すなわち今回の充填時間Tiで規定の第3のガス濃度に到達できなかった場合は、全体制御部91は、ステップX10で、前記フラグFRiを0にリセットする。前記ステップX9,X10からはステップX11に移り、全体制御部91は、連係制御部94に、部屋番号iのクリーンルームRiの電磁弁RVi1,RVi2を「閉」とさせ、NOガスの充填を終了する。
【0148】
続いてステップX12では、全体制御部91は、前記変数iに1を加算して、次の部屋番号に更新し、ステップX13では、その変数iが最大の部屋番号nを超えたか否かを判断し、超えていないときには前記ステップX3に戻って次のクリーンルームRi+1へのNOガスの充填が行われることになる。前記ステップX13で総てのクリーンルームR1〜RnへのNOガスの充填が一巡したことが判定されると、全体制御部91は、ステップX14で、フラグFR1〜FRnから、総てのクリーンルームR1〜Rnのガス濃度が前記第3の濃度以上となっているか否かを判断し、第3の濃度に達していない部屋が残されている場合には前記ステップX2に戻って、もう一巡、ガスの充填を行う。そのとき、先に第3の濃度以上となっている部屋については、濃度確認を行わないようにしてもよく、或いは同じステップを繰り返し、再確認を行うようにしてもよい。
【0149】
前記ステップX14で、総てのクリーンルームR1〜Rnのガス濃度が前記第3の濃度以上となっている場合は、ステップX15に移り、全体制御部91は、そのような状態となった最初のタイミングであるか否かを判定する。最初のタイミングである場合は、ステップX16で、全体制御部91は、滅菌処理の継続時間を表すタイマーCNT2をリセットしてスタートさせ、ステップX17に移る。前記ステップX16で最初のタイミングでない場合は、全体制御部91は、直接ステップX17に移る。
【0150】
ステップX17では、全体制御部91は、タイマーCNT2の計測時間が規定の滅菌処理時間T0、たとえば10時間に達したか否かを判断し、達していない場合にはステップX18で、所定時間、たとえば5分待機して、前記ステップX2に戻る。これに対して、前記ステップX17で規定の滅菌処理時間T0を経過している場合には、ステップX19で、全体制御部91は、連係制御部94に、ポンプP41,P42を停止させるとともに、電磁弁V41を「閉」とさせ、蓄積タンク10から連係系統40を切り離し、処理を終了する。
【0151】
ここで、前記ステップS6の滅菌処理が開始された当初は、NOガスは、図10(c)で示すように、蓄積タンク10から連係系統40を介してクリーンルームRまでの範囲で流れる。このようなNOガスの消費によって、蓄積タンク10内の濃度が既定の第2(第2−1)の濃度以下となると、全体制御部91は、図14(d)で示すように、ガス供給部30を動作させて、再びNOガスの生成、すなわち追い炊き動作を行わせる。
【0152】
前記第2(第2−1)の濃度は、滅菌対象空間であるクリーンルームRに対する蓄積タンク10の大きさの比と、前記クリーンルームRに要求されるNOガスの濃度とによって決定され、たとえば蓄積タンク10の容量が4000Lで、要求されるガス濃度(第3の濃度)が前記200ppmの場合、3000〜4000ppmであり、以下3000ppmとする。また、本実施の形態では、前記第2(第2−1)の濃度に対してヒステリシスを持たせるために、追い炊き動作を停止する規定の第4(第2−2)の濃度として、4000ppmが設定されている。
【0153】
図12は、そのような追い炊き動作の一例を示すフローチャートである。この追い炊き動作は、図9におけるステップS6の滅菌処理内で行われ、全体制御部91は、図11で示すメインの滅菌処理を行いながら、所定周期、たとえば1分毎の割り込みで、この図12で示す処理を行う。
【0154】
ステップW1では、全体制御部91は、濃度センサS1によって、蓄積タンク10内のNOガスの濃度を測定する。その測定の際、NOガスの生成が停止していると、前記濃度センサS1へのガス流も停止しているので、全体制御部91は、供給制御部93に、プラズマ点灯はさせなくても、図14(d)で示すように、電磁弁V31,V32を「開」とさせるとともに、ポンプP31を駆動させて、配管303に蓄積タンク10内のガスを循環させるようにしてもよい。
【0155】
ステップW2では、全体制御部91は、前記ステップW1で測定された濃度が前記第4(第2−2)の濃度以上であるか否かを判断し、第4(第2−2)の濃度以上である場合にはステップW3に移って、さらにNOガスの生成中であるか否かを判断し、生成中である場合にはステップW4で生成を停止して、メイン処理に復帰する。
【0156】
一方、前記ステップW2において、前記ステップW1で測定された濃度が前記第4(第2−2)の濃度未満である場合、ステップW5に移り、全体制御部91は、さらに第2(第2−1)の濃度以下であるか否かを判断し、そうでないときにはそのままメイン処理に復帰する。すなわち、ステップW2からW5において、全体制御部91は、蓄積タンク10内のNOガスの濃度が、滅菌処理中において維持すべき3000ppm〜4000ppmの目標濃度の範囲内であるときに、NOガスの生成中であれば生成を継続し、生成していないのであれば生成を行わず、そのままの状態を維持する。
【0157】
また、ステップW5において、前記第2(第2−1)の濃度以下である場合には、ステップW6に移って、全体制御部91は、さらにNOガスの生成中であるか否かを判断し、生成していなければ、ステップW7で生成を開始させて、メイン処理に復帰する。前記ステップW3においてNOガスの生成中でないとき、ステップW6においてNOガスの生成中であるときは、全体制御部91は、メイン処理に復帰して、そのままの状態を維持する。
【0158】
このようにして、全体制御部91は、滅菌処理の初期には、ステップS4,S5で、ガス供給系統30に高効率にNOガスを生成させることができる。一方、滅菌処理の中間期から後期は、全体制御部91は、ガス供給系統30に、図12で示す追い炊き動作を行わせ、必要最小限のNOガスを生成させる。これによって、全体制御部91は、最終的に蓄積タンク10からクリーンルームRに供給されず、使用されないNOガスの量を少なくすることができ、NOガスの生成の無駄を無くすことができるとともに、NOガスを廃棄する場合には、排気系統50に掛かる無害化処理の負担も軽減することができる。こうして、全体制御部91は、比較的広いクリーンルームRを、比較的低濃度のNOガスで、効率良く滅菌処理することができる。
【0159】
また、本実施の形態の滅菌システム1では、ガス供給系統30から直接クリーンルームRにNOガスを供給するのではなく、それらの間に蓄積タンク10を設け、全体制御部91は、滅菌処理の初期に、ステップS4,S5で、ガス供給系統30に、蓄積タンク10との間で、高濃度のNOガスを生成させておくことで、前記ステップS2〜S5を、ステップS1と並列に行うようにもすることができる。その場合、蓄積タンク10にNOガスが充分に蓄積されるまでの間は、クリーンルームRが使用(人が出入りする等)可能になり、実際の滅菌処理時間を短縮することができる。
【0160】
さらにまた、本実施の形態の滅菌システム1では、前記ガス供給系統30は、前記蓄積タンク10内のガスを原料ガスとして、前記NOガスを生成するので、該NOガスの濃度が低下したら、いわゆる追い炊き機能を実現し、前記蓄積タンク10から、それに連なるクリーンルームRを含む気密空間内のガス圧を一定に保つことができる。
【0161】
また、本実施の形態の滅菌システム1では、全体制御部91は、連係系統40を制御して、複数の各クリーンルームRiを択一的に、そのクリーンルームRiに定められた充填時間Tiずつ、順に蓄積タンク10へ連通し、NOガスを充填させるので、各クリーンルームRiのガス濃度を均等に高めてゆくことができる。また、各クリーンルームRのNOガス濃度を、共通の濃度センサS2でそれぞれ検出することで、前記各クリーンルームRの大きさ(容量)が不揃いな場合にも、一定の濃度に保つことができる。
【0162】
さらにまた、本実施の形態の滅菌システム1では、濃度センサS1,S2に、光センサからなる高濃度ガスセンサSPを備えていることで、NOに非接触で、すなわち該NOガスに何ら変性を生じさせることなく、リアルタイムに(高い応答性で)、NOガスの濃度を測定することができ、前記追い炊きの制御などに効果的である。
【0163】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば下記(1),(2)の変形実施形態を取ることができる。
【0164】
(1)上記実施形態では、マイクロ波供給装置70およびプラズマノズル31を用いて、空気をプラズマ化することで滅菌ガスを生成する例を示した。これに代えて、2つの電極35,36間にアーク放電を生じさせることでプラズマを発生させる方法を採用してもよい。
【0165】
(2)上記実施形態では、クリーンルームR内を常圧で滅菌処理を行う例を示したが、減圧した状態で滅菌処理を行うようにしてもよい。
【0166】
(3)クリーンルームRを減圧して滅菌処理を行う場合は、常圧に復帰させるために外気の導入が必要になるが、上述のようにクリーンルームR内をほぼ常圧で滅菌処理を行う場合、特に湿度が問題にならなければ、系統内に存在する空気を使用して、NOガスを生成するようにしてもよい。すなわち、前記吸気系統20を設けなくてもよい。また、吸気系統20を設ける場合も、湿度が問題にならなければ、ポンプP21や電磁弁V21,V22だけを設け、エアドライヤ21や湿度センサ22を省略するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0167】
1 滅菌システム
10 蓄積タンク
20 吸気系統
30 ガス供給系統
31 プラズマ発生ノズル
33 NO変換部
35 内側電極
36 外側電極
37 保持部材
38 センサユニット
39 集束器
40 連係系統
50 排気系統
51 HNO変換部
52 フィルタ
60 NO回収系統
61 脱湿器
62 HO液化部
63 NO回収部
64 NO液化部
641 タンク
642 チラー
65 NO気化部
651 タンク
652 ヒーター
70 マイクロ波供給装置
72 導波管
90 制御装置
91 全体制御部
92 吸気制御部
93 供給制御部
94 連係制御部
95 排気制御部
96 回収制御部
97 ロック制御部
C 制御装置
C1 弁制御回路
C2 光センサ回路
C3 半導体センサ回路
H0 第1の流路
H1〜H4 第2の流路
P0;P1〜Pn 圧力センサ
R1〜Rn クリーンルーム
RV11〜RVn1;RV12〜RVn2 電磁弁
S1,S2 濃度センサ
SP 高濃度ガスセンサ
SS1〜SS4 低濃度ガスセンサ
T0;T1〜Tn 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌処理を行うべき滅菌対象空間と、
前記滅菌処理に使用する二酸化窒素ガスを生成するガス供給源と、
前記ガス供給源と滅菌対象空間との間に介在され、前記ガス供給源で生成された二酸化窒素ガスを貯留する蓄積タンクと、
前記蓄積タンクと滅菌対象空間との間に介在される弁装置と、
前記蓄積タンク側の二酸化窒素ガス濃度を検出する第1のセンサと、
前記第1のセンサの検出結果に応答し、前記弁装置を閉じた状態で前記ガス供給源に二酸化窒素ガスの生成を開始させた後、前記ガス供給源における二酸化窒素ガスの生成と分解とがバランスする濃度よりも低い予め定める第1の濃度になると、前記二酸化窒素ガスの生成を停止させるとともに、前記弁装置を開放させ、以降は、前記第1の濃度より低い予め定める第2の濃度に対して、濃度が低下すると前記二酸化窒素ガスの生成を再開させ、上昇すると生成を停止させる制御装置とを含むことを特徴とする滅菌システム。
【請求項2】
前記第2の濃度は、前記濃度の低下時に二酸化窒素ガスの生成を再開させる第2−1の濃度と、前記上昇時に二酸化窒素ガスの生成を停止させ、かつ前記第2−1の濃度より高い第2−2の濃度とが設定されていることを特徴とする請求項1記載の滅菌システム。
【請求項3】
前記ガス供給源は、前記蓄積タンク内のガスを原料ガスとして、前記二酸化窒素ガスを生成することを特徴とする請求項1または2記載の滅菌システム。
【請求項4】
前記ガス供給源は、前記蓄積タンク内の空気を原料ガスとして、前記空気を該ガス供給源内に循環させつつ、プラズマによって前記二酸化窒素ガスを生成することを特徴とする請求項3記載の滅菌システム。
【請求項5】
前記滅菌対象空間側の二酸化窒素ガス濃度を検出する第2のセンサを備え、
前記制御装置は、前記第2のセンサの検出結果に応答し、前記弁装置を開閉制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の滅菌システム。
【請求項6】
前記滅菌対象空間は複数設けられており、前記制御装置は、前記弁装置を制御して、それら複数の滅菌対象空間を択一的に前記蓄積タンクへ連通し、二酸化窒素ガスを充填させることを特徴とする請求項5記載の滅菌システム。
【請求項7】
前記第1および第2のセンサは、青色光の前記二酸化窒素ガスの透過光量から前記濃度を検出することを特徴とする請求項5または6記載の滅菌システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−125(P2013−125A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130469(P2011−130469)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(310017552)株式会社サイアン (17)
【Fターム(参考)】