説明

滅菌用包装体

【課題】 製品の形状を変形させることなく滅菌することができる安価な滅菌用包装形態を提供する。
【解決手段】 透明フィルム1と帯状の滅菌ガス透過性シート2とにより筒状に形成され、その中に製品が入れられる。そして、筒状体の両端部を90度ずらしてヒートシール(3、4)することで、4面体に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス滅菌を要する製品を包装するための滅菌用包装体(包装形態)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の滅菌包装形態として、滅菌バッグ(滅菌ガス透過性シートと透明フィルムとを重ねて周縁部をシールすることで袋状にして内部に製品を収納するもの;例えば特許文献1)や、滅菌ブリスター包装(製品収納用の凹部を形成した透明樹脂製のトレイと、その凹部を覆って外枠平面部に貼り付けられる滅菌ガス透過性シートとからなるもの;例えば特許文献2)がある。
【特許文献1】特開2004−121838号公報
【特許文献2】特開2004−035024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、滅菌バッグでは、収納する製品が変形しやすい場合、製品が外圧を受けて変形してしまう恐れがある。
一方、滅菌ブリスター包装では、ブリスター成形金型を必要とするなど、包装設備にコストがかかる。
本発明は、このような実状に鑑み、製品の形状を変形させずに滅菌処理を行うことができ、また、ブリスター包装に比べて安価に作成できる滅菌用包装体(包装形態)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このため、本発明では、透明若しくは半透明のフィルムと滅菌ガス透過性シートとにより筒状に形成されて、その中に製品が入れられ、両端部が角度をずらしてシールされることで、4面体に形成される滅菌用包装体を提供する。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、4面体の内部に三角錐の収納空間ができ、これが自己保持されるので、製品を変形させずに滅菌処理を行うことができる。また、ブリスター包装に比べ、安価に作成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は底面図である。図2は同上の斜視図である。
本発明に係る滅菌用包装体は、透明フィルム1と、滅菌ガス透過性シート2とから、4面体(テトラパック)に形成される。
【0007】
透明フィルム1は、例えばポリエチレン樹脂のフィルムで、長方形のものを使用する。尚、フィルムを通して内部を視認できれば半透明でもよい。
滅菌ガス透過性シート2は、滅菌ガス(EOG;エチレンオキサイドガス)透過性を有するシートで、例えば「TYVEK(タイベック)」という商標名(デュポン社の登録商標)で知られているポリエチレン系シート、又は、紙からなり、帯状のものを使用する。
【0008】
理論的な成形方法を図3により説明する。長方形の透明フィルム1の互いに平行な2つの辺を、所定の間隔をあけて対向させ、これらの辺と平行に延びる帯状の滅菌ガス透過性シート2を介してつなぐことで、筒状に形成する。ここで、滅菌ガス透過性シート2の幅方向中央部2aは、滅菌ガス透過性を保つため、透明フィルム1と重ならないようにする。幅方向両端部2b、2bは、透明フィルム1と重ねてヒートシール(熱溶着)する。尚、ここでいう筒状とは、扁平なものでもよく、製品を入れるときに、筒状に広げることができればよい。
【0009】
そして、この筒状体の内部に被包装物である製品(図示せず)を入れ、筒状体の両端部をヒートシール(熱溶着)により密閉するが、この際に筒状体の両端部を筒状体の周方向に90度ずらしてヒートシールする。すなわち、筒状体の一端部は図の縦方向HS(3)から図示しない一対のヒートシーラーにより挟んでヒートシールし、他端部は図の横方向HS(4)から一対のヒートシーラーにより挟んでヒートシールする。
【0010】
これにより、図1及び図2に示されるような、A〜Dの4つの面を持つ、4面体(テトラパック)に形成する。図1及び図2中に符号3で示すハッチング部分が一端部側のヒートシール部であり、符号4で示すハッチング部分が他端部側のヒートシール部である。
より実際的な成形方法を図4により説明する。先ず図4(a)に示すように、長方形の透明フィルム1の両側部を折り曲げて、中央部に折り重ねる。このとき、対向する両側部の間に隙間を空けるようにし、この隙間を塞ぐように、帯状の滅菌ガス透過性シート2を配置する。ここで、滅菌ガス透過性シート2の幅方向中央部2aは、滅菌ガス透過性を保つため、透明フィルム1と重ならないようにする。幅方向両端部2b、2bは、透明フィルム1と重ねてヒートシールする。従って、この場合は、筒状であるが、扁平となる。
【0011】
次に図4(b)に示すように、扁平な筒状体の一端部をヒートシールして(ヒートシール部3)、他端部が開口する袋状に形成する。
次に図4(c)、(d)に示すように、扁平な筒状体の他端部である開口部を広げて、内部に製品(図示せず)を入れた後、その開口部をヒートシールする。このとき、他端部のヒートシール方向HS(4)は、一端部のヒートシール方向HS(3)に対し、90度ずらす。これにより、図1及び図2に示されるような4面体(テトラパック)に形成するのである。
【0012】
尚、筒状体の両端部を筒状体の周方向に角度をずらしてシールすることで、その内部に空間を形成することができ、ずらす角度は必ずしも90度に限るものではないが、90度が理想的であることは言うまでもない。
また、両端部をヒートシールする際、滅菌ガス透過性シート1がポリエチレン系シートである場合、ポリエチレン系シート同士をヒートシールすることになっても、ヒートシール可能なため問題はない。これに対し、滅菌ガス透過性シート1が紙である場合、紙同士はヒートシール不能なため、紙同士が重ならないように、中心より左右どちらかに寄せてからヒートシールすることで、密閉性を保つことができる。
【0013】
かかる構成によれば、4面体の内部に三角錐の収納空間ができ、これが自己保持されるので、製品を変形させることがない。
包装後、EOG滅菌機を用いて滅菌ガスに曝すことで、滅菌ガス透過性シート2を介して、滅菌処理を行う。このときも、製品を変形させることなく、滅菌処理を行うことができる。
【0014】
また、本実施形態では、帯状の滅菌ガス透過性シート2を帯状にして用いることにより、透明フィルム1の表面積を大きくし、すなわち、4面体のうち、1つの面Cの一部のみに不透明な滅菌ガス透過性シート2が存在するようにして、残りの3つの面A、B、Dの透明性を確保しているので、内容物の視認性を高めることができる。
尚、開封する場合は、透明フィルム1を引き裂くようにすればよいが、これを容易にするため、図1及び図2に示すように、切断誘導用の切欠き5を設けておくとよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態を示す正面図(a)、側面図(b)、平面図(c)、底面図(d)
【図2】同上の斜視図
【図3】理論的成形方法の説明図
【図4】実際的成形方法の説明図
【符号の説明】
【0016】
1 透明フィルム
2 滅菌ガス透過性シート
2a 幅方向中央部(滅菌ガス透過部)
2b 幅方向両端部(ヒートシール部)
3 一端部側のヒートシール部
4 他端部側のヒートシール部
5 切欠き
A〜D 4面体の各面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明若しくは半透明のフィルムと滅菌ガス透過性シートとにより筒状に形成されて、その中に製品が入れられ、両端部が角度をずらしてシールされることで、4面体に形成される滅菌用包装体。
【請求項2】
長方形のフィルムの互いに平行な2つの辺が、これらの辺と平行に延びる帯状の滅菌ガス透過性シートを介してつながれることで、筒状に形成されることを特徴とする請求項1記載の滅菌用包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−44658(P2008−44658A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−223177(P2006−223177)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【出願人】(390024545)セイリン株式会社 (14)
【Fターム(参考)】