説明

滅菌蒸気の凝結点の検出

この開示は、滅菌剤/水の蒸気を生成するステップと、この蒸気を封止空間に供給して滅菌するステップとを備えた、蒸気化した滅菌剤を用いた滅菌を検知する方法に関する。滅菌剤蒸気の供給は、封止空間中の滅菌剤濃度を上昇し続け、蒸気中の滅菌剤の濃度を監視して、濃度の変化率が、凝結が生じてこの空間中の全ての細菌を滅菌したことを示す所定の最小水準まで低下するときを決定する。そして、この空間への滅菌剤蒸気の供給を終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス状バイオ除染工程に成功した時を決定するための技術を記載する。
【背景技術】
【0002】
本発明の課題は、チャンバのガス状バイオ除染がいつ成功裏に完了したかを確定する方法である。バイオ除染が成し遂げられたことを示すために最も一般的に用いられる技術はバイオロジカルインジケータ(BIs)に関するものである(「Disinfection, Sterilization, and Preservation(消毒、滅菌及び保存)」、第5版、ブロック、リピンコット・ウィリアムズ及びウィルキンス、22頁、及び「Principles and Practice of Disinfection, Preservation and Sterilisation(消毒、保存及び滅菌の原理と実際)」第3版、ラッセル、ヒューゴ及びアイリフェ、Blackwell Science、708頁参照)。これらのBIsは小さなクーポン券で、通常直径10mmで、ステンレス鋼製で、ほぼ100万細菌胞子で接種される。内生胞子は、より多い対性細菌の一つであると一般に思われているため、この目的のために選択される。BIsをチャンバの周りにおいて、除染され、それから、ガス処理期間の終わりに取り除かれ、あるいは増殖培地中に置かれ、それから胞子のいくらかでもまだ生存可能であるかどうかを見るために培養され、あるいは緩衝液中に置かれて、生存可能な胞子の数が見積もられる。BIsを用いることは、時間が掛かり、それらが増殖倍地中に置かれるときは、その結果は、少なくとも7日間は決定的ではないと一般に考えられている。BIsを緩衝液中に置いた後、生存可能な胞子の数を評価する工程は、労働集約的で、再び、その結果は直ちに利用できるものではない。
【0003】
(解析法により生じる遅延のため)ガス状バイオ除染が成功したかどうかを確定するために必要な時間の結果、多すぎる量のガスを使って、チャンバを必要以上に長時間ガスに暴露することにより、全体的な過剰滅菌を確実にすることが一般的である。BI上で胞子を滅菌するのに失敗した場合、同じ工程を繰り返さざるを得ず、したがってバイオ除染工程の時間が2倍になる。多すぎるガスの長時間の暴露により、この工程の終わりにチャンバからガスを取り除くのに必要な時間が長くなり、したがって全体のサイクル時間が更に長くなる。
【0004】
ガス処理工程中の微生物が滅菌された時点を確定する方法は、サイクル時間を短くして、その工程が成功したことの不確実性を取り除くため、有益であろう。
【0005】
微生物の集合が、それらを滅菌するのに十分な水準の一貫したストレス水準に曝された場合、生存可能な集合を10の係数だけ減少させるのに必要な時間は常に同じであることが一般に受け入れられている。したがって、初めの集合が1,000,000で、これが2分後に100,000に減少した場合、更に2分後に生存可能集合は10,000に落ちる。10倍の減少を達成するのに必要な時間は、時には1ログ減少とも呼ばれるが、D値と呼ばれる(「Disinfection, Sterilization, and Preservation(消毒、滅菌及び保存)」第5版、ブロック、リピンコット・ウィリアムズ及びウィルキンス、82−83頁参照)。微生物の死の動態は常に厳密に線形であるとは言えないが、D値概念は細菌学の分野で広く受け入れられている。
【0006】
その工程が迅速で、信頼性が高く、残滓を残さないため、薬品工業において、過酸化水素の蒸気がガス状バイオ除染に対するえり抜きの汚染除去剤になった(リザフォード・ジェイ、ISPE隔膜会議、2004年5月、ワシントン参照)。工程の終わりに、その蒸気が水と酸素とに変換できるため、それは環境にも優しい。一旦正しいストレス水準が達成されると、ゲオアシラス・ステアロサーモフィラス(Geoacillus stearothermophilus)内生胞子のD値は、2分以内であることが確定している(「Resistance of common environmental spores of the genus Bacillus to vapour hydrogen peroxide(桿菌属の一般環境胞子の過酸化水素蒸気に対する抵抗)」コクボ・エム他、PDA J. of Phar. Sci. & Tech.第52巻第5号、9月/10月、1998年、228−231頁)。したがって、試験集合が1,000,000有機体であれば、一旦正しいストレス水準が確定すると、バイオ除染は12分で達成されるであろう。この議論の目的で、必要なストレス水準が達成されたときに、ガス状過酸化水素除染サイクル中でその点をどのように見出すかを検討する。しかし、同様な議論は、他のガス状バイオ除染工程及び他の微生物にも適用される。
【0007】
【特許文献1】英国特許出願公開第2,354,443号明細書
【特許文献2】国際公開第03/082355号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、チャンバのガス状バイオ除染がいつ成功裏に完了したかを確定する方法である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、気化した滅菌剤を用いた滅菌を検出する方法を提供し、この方法は、滅菌剤/水の蒸気を生成して該蒸気を、滅菌する封止空間に供給するステップと、滅菌剤の蒸気を供給し続けて前記封止空間中の滅菌剤の濃度を上昇させるステップと、前記蒸気中の前記滅菌剤の濃度を監視するステップと、凝結が起こり前記空間中の全ての細菌を滅菌したことを示す所定の最小水準まで濃度の変化率が降下したことを検出し、滅菌剤の蒸気の供給を終わらせるステップとを備えたことを特徴とする。
【0010】
前記滅菌剤/水の蒸気の濃度の前記所定の最小の変化率は、正又は負の変化率であってよい。
【0011】
上記の全ての方法において、前記密閉空間中の雰囲気の温度は、監視してもよく、滅菌剤/水の蒸気の前記封止空間への供給は、前記濃度の変化率が前記所定の水準まで降下するまで温度が上昇している間継続する。
【0012】
また、上記の全ての方法において、前記滅菌剤/水の蒸気を、前記チャンバに供給し、該チャンバ中の前記滅菌剤の濃度の上昇中に多数の雰囲気の交換を該チャンバ中に生じさせても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明のいくらかの特定の実施の形態を説明する。
【0014】
この装置は、封止チャンバ10と、封止チャンバ10を除湿、滅菌、曝気するための双対の回路を組み込み、全体的に番号11で表された装置とを備えている。搬送ガス、即ち空気、及び(一種又は複数種の)滅菌ガスが、チャンバとこの装置とを流体的に接続する封止接合部を通って、封止チャンバからこの装置に引き出される。
【0015】
この装置は、ガス流回路12を備え、このガス流回路12は、直列に、ガスモニタ13、温度及び湿度モニタ14、及び流れ測定装置15を含む。ガスモニタは、ガス濃度に比例した信号を与える電気化学セルであるか、又は近赤外分光光度計でもよい。適当な温度及び湿度センサ14は、一般的に単体の商品として利用可能であり、過酸化水素の蒸気に耐性を有するこのような装置は全てこの用途に適していよう。最も適切な、そして費用効率の良い流れ測定15のシステムは、流れにおける制限の両端の圧力差の測定に基づいたものであり、典型的にはオリフィス板である。
【0016】
封止チャンバに取り付けられて、凝結測定システム16が存在する。特許システムは容易に利用できないが、チャンバ表面の反射率の変化に頼って、形成された凝縮物の質量を示す技術が開発された。測定機器を含み得る代替技術が、チャンバの外側に装着されてもよい。
【0017】
流れ測定システムの下流でこの回路は二つの平行な分岐17、18に分かれる。各分岐はファン18、19を有し、各ファンは関連付けられた逆止め弁21を有する。システムを循環するガスに力を与えるために必要な圧力は一般に大きくないため、標準的な可変速遠心ファンがこのような用途に十分であろう。逆止め弁は、間違った方向への逆流が存在しないことを確実にするために必要となる。単純なフラップ装置が、この用途に必要とされる全てである。第一の平行分岐17中に、(単一又は複数種の)滅菌剤ガスを不活性にして搬送ガスから取り除くシステム22と、ガス流を除湿するシステム23とが存在する。この除湿システムの下流に循環ガスの温度を上昇させる加熱器24が存在する。この滅菌剤ガスに対する不活性化システムは触媒床を備えている。この触媒床は、この蒸気を無害な成分に分解する。過酸化水素ガスに対して適当な触媒は、このガスを水蒸気と酸素に分解する不活性パレット上のルテニウムであろう。
【0018】
乾燥剤を用いた乾燥機を除湿工程に組み入れても良いが、より適切な技術は、冷却システムを用いてガス温度を下げることであろう。温度の低下により、水蒸気が、分解の生成物と共に凝結する。その結果生じる凝縮物と分解生成物とは、それからポンプで送り出される。除湿後、循環ガスの温度を上昇させる必要があり、電気加熱器24又は他の加熱手段が、その目的のために、除湿器の下流に置かれる。
【0019】
第二の平行分岐中に、蒸発器26に入る前にガスの温度を上昇させるための加熱器25が存在し、蒸発器26中で加熱により液体滅菌剤が蒸気に変化する。液体滅菌剤供給27は、液体の流れを蒸発器に制御する。
【0020】
加熱器25は、他の加熱器24の構成と同様であってよい。蒸発器は、加熱された表面上に液体の流れを重力により滴下することにより、液体滅菌剤がその中で蒸発するフラッシュ蒸発器である。滅菌剤供給からの液体の流れは、可変速ポンプを用いることにより、選択された速度で加熱表面上に供給され、この可変速ポンプは流れ測定システムにより制御される。封止チャンバ10に入るガス温度は、標準的な温度プローブを用いて28で測定される。チャンバ10へのガス入力は、チャンバの各部に高温度高速度でガスを発射する回転ノズル装置を含むガス供給システム29を介してなされる。さらに、必要に応じてガス圧を上昇又は減少するガス圧制御システムが回路中に設けられている。
【0021】
上述した装置を用いて封入容器を滅菌する方法は、封入容器中の相対湿度を減少するステップと、続いて(一種又は複数種の)滅菌ガスの水性蒸気を含む搬送ガスを循環するステップと、最後にその滅菌ガスを除去するステップとを有する。
【0022】
相対湿度を減少する第一の相は、封止可能なチャンバの内側の全ての表面が同じ状態の乾燥度にあることを確実にするために必須である。第二の相の間、できるだけ多くの滅菌剤が封止チャンバ中に搬送されるように上昇した温度で滅菌ガスが封止チャンバに供給される。第三の最終段階では、清掃乾燥搬送ガスを封止チャンバ中に通過させ、活性ガスを運び去ることにより滅菌剤ガスの除去を行う。
【0023】
湿度を減少させる第一の相は、二つの部分に分かれ、第一の部分は、相対湿度を予め選択した値まで減少させ、第二の部分は、湿度をその値に保って封止チャンバが安定状態になれるようにする。
【0024】
ガスが封止チャンバ中を通過するときの第二の相は、同様に、二つの部分に分かれる。第一の部分では、濃度を上昇させ、表面上に必要な水準の凝結を生じることができ、第二のドエル部では凝縮物が微生物に作用することができる。凝縮の水準は、第二の相の第一の部分の間、測定され、その水準が必要な水準に達したときに、滅菌ガスの供給が停止されるが、関連付けられた飽和蒸気を有する搬送ガスは循環し続ける。この循環する飽和蒸気が凝結層の蒸発を防止し、液膜が微生物に作用できるようにする。
【0025】
この滅菌サイクルの最終の第三の相の間、滅菌ガスと共に、搬送ガスはシステム中を循環し、活性ガスを無害にし、その結果滅菌ガスは取り除かれ、同時に除湿器中の水蒸気も取り除かれる。清掃搬送ガスは、そして、封止チャンバに戻り、そこで清掃搬送ガスは活性ガスの多くを集め、それにより活性成分の水準を更に減少する。この工程は、活性成分が受け入れ可能な水準まで減少するまで続けられる。
【0026】
非常に微細な凝結層が一旦形成されると微生物にとって危険なストレス水準が達成されることが示されている(ワトリング、ISPE Barrier Conference 2000年5月ワシントン参照)。この凝結層は、たいてい1〜2ミクロンの次元であり、裸眼では見えない可能性が有る。このような微細な凝結層を検出するのは困難であるので、この層がいつ形成されたかを示す十分に正確な利用可能な商品は一般に市販されていない。過酸化水素、水蒸気及びそれらの凝結の関係はワトリングにより解析された(「Theoretical analysis of the condensation of hydrogen peroxide gas and water vapor as used in surface decontamination(表面除染に用いられる過酸化水素ガスおよび水蒸気の凝結の理論的解析)」ワトリング他PDA J. of Phar. Sci & Tech.第56巻、第6号、11月/12月、2002年、291−299頁参照)。ワトリングにより開発された方程式は、凝結の第一のビードが、凝結層が一旦増加すると低下する高ガス濃度に導く蒸発液体よりも高濃度でありがちであることを示唆する。この高水準のガス濃度は、凝結が形成される表面の温度が等しくガスの温度がチャンバの壁の温度よりもはるかに高い小さなチャンバにおいてのみ生じる。空間でガスが冷める大きなチャンバにおいては、一般に、凝結工程の始めにガス凝結のピークは存在しない。
【0027】
チャンバ中の過酸化水素ガスの濃度は、供給されたガスがチャンバ中で空気を空気及びガスの混合物に置換するに従って増大することとなる。ガス濃度の上昇率を計算するために用いられる標準的な方程式は、
(取り除かれる空気の割合)=1−e−N
から導かれ、ここでNは空気の交換の回数であり、特定の時間まで供給された空気の全体積でチャンバの体積を割ったものである。
【0028】
したがって、チャンバ中の過酸化水素の濃度は、
(濃度)=C(1−e−N
により与えられる(「Theoretical analysis of the condensation of hydrogen peroxide gas and water vapour as used in surface decontamination(表面除染に用いられる過酸化水素ガス及び水蒸気の凝結の理論的解析)」ワトリング他、PDA J. of Phar. Sci & Tech.第56巻、第6号、11月/12月、2002年、291−299頁参照)。ここで、Cは供給されるガスの濃度である。
【0029】
ここで、チャンバ中のガス濃度のグラフを示す図2を参照する。より詳細には、図2はチャンバ中の空気交換に対する分配ガス濃度の割合を示す図である。
【0030】
チャンバ中のガス濃度は、約6回の空気交換後に、供給される濃度まで上昇することが分かる。ガス状過酸化水素のバイオ除染が有効であるためには、チャンバに対して、飽和蒸気圧より高いガス濃度を供給する必要がある。前に示唆したように、このためには、供給されたガスの温度がチャンバ内部の温度よりも高いことが必要である。実際には、過酸化水素ガスは、原液と同じ重量濃度を有する蒸気を生じるような方法で水溶液を蒸発させることにより、生成される。
【0031】
チャンバに供給されたガスの濃度が、そのチャンバ温度の飽和蒸気圧以上である場合には、蒸気相と平衡して凝結が形成される。この過酸化水素の平衡蒸気圧は、チャンバ内の温度、蒸発した水性過酸化水素溶液の濃度及び工程の開始時のチャンバ内の空気の含水量に依存する。このガス濃度は、したがって、供給されたガスの濃度に達せず、その代わりに、飽和蒸気圧で横ばいとなる。この平坦化は、凝結が形成され、微生物上のストレス水準が、迅速で信頼できる滅菌が行われる水準に達したことを示す。チャンバ内の水と過酸化水素の蒸気濃度とを必要な精度で測定するのが困難であるため、計器による計測から、凝結が生じる時を見出すことは困難である。25℃で2.5%ポイントの相対湿度の変化が、過酸化水素の飽和蒸気濃度を約10%変化させる。
【0032】
実際には、チャンバに供給される過酸化水素ガスの濃度は、3500ppmの次元以上で、飽和蒸気圧は略450ppmである。このようにして、理想的なガス条件の下で、ガス濃度が、理想的なガス濃度曲線を描くグラフであり、より詳細には、チャンバ中の空気の交換に対してガス濃度を関連付ける、図3に示されるガス濃度に類似したものであろうことが期待される。しかし、温度の変化が小さく、また、チャンバに入るガスの完全な混合を達成することが困難であるので、ガス濃度プロフィールは過渡的な相を示す。図3は、実際の部屋でのガス処理からのガス濃度プロフィールを示す図であり、ガス処理の開始時の濃度の増加と一旦凝結が開始した曲線の平坦化との間の典型的な遷移を示す。
【0033】
部屋の大きさ、液体の蒸発速度、チャンバ中での開始時の相対湿度及びチャンバ温度を知ることにより、理論的なガス濃度曲線を計算できる。この計算はなされ、その結果は、測定されたガス濃度と共に図5のグラフ中に示される。
【0034】
実際のガス濃度曲線は、40分を超えてから平坦化し、凝結が生じたことを示すことが上の図中で注目され、この実際のガス濃度曲線は、チャンバ内でのガスの混合が不完全であり温度が変化するため、理論的に予測されたガス濃度より遅れている。
【0035】
曲線の平坦化は、凝結が始まり、これをもとに微生物を滅菌するために必要なストレス水準が達成されたことを示す。理論的には、ガス処理サイクルが、D値の6倍に等しい時間更に継続した場合、バイオ除染が生じているはずである。実際に、滅菌は、特に室内及び大きなチャンバでは、この平坦化の前に生じ得る。その理由は、過渡的な相の間、凝結が優先的に微生物上に形成されるからである(ISPE Barrier Isolation Technology Forum、アーリントン 2002、ワトリング、「Why bother to understand the behaviour of flash evaporated hydrogen peroxide?(何故フラッシュ蒸発過酸化水素の振舞いの理解に悩むのか?)」参照)。しかし、曲線が平坦化した後、D値の6倍に等しい期間、凝結の危険な水準を維持し、滅菌が行われていることを確実にすることが検出できる。例えば10mまでの小さなチャンバにおいては、ガス濃度は、非常に速く上昇し、しばしばD値の6倍よりも短い期間に飽和に達し、したがって、これらの小さなチャンバでは飽和状態を維持すること、したがって滅菌するのに十分な期間平坦なガス濃度曲線を維持することが必須である。ガス濃度曲線の平坦化の観察は、目視により又は記録されたデータを曲線に嵌め込む何らかの記録コンピュータソフトウェアを用いて行われ、ガス濃度が上昇を停止した瞬間を見出す。このことにより、凝結が危険な滅菌水準に到達したに違いない瞬間が与えられる。
【0036】
室内のガス濃度を測定し、ゲオバシラス・ステアロサーモフィリス(Geobacillus stearothermophilis)バイオロジカルインジケータを計時された間隔で取り除き、滅菌が達成された時点を確定する二つの試験を行った。部屋は略110mの体積で、過酸化水素の蒸発速度は12g/分であった。部屋の初期温度は23℃で、開始相対湿度は38.5%、周囲温度は18.6℃であった。部屋の窓の一つのグローブポートを介して作業することにより、ガス処理の開始後20分で開始する5分間の時間間隔でBIを増殖培地中においた。除去後BIを増殖培地中に置き、14日間毎日成長を検査した。増殖培地の濁りはガス処理期間の最初の30分間で取り除いた試料に見られ、その後は何の成長もなかった。
【0037】
結果を図6及び7にグラフとして示す。滅菌領域と成長領域とを各図中にマークして、曲線が一旦略平坦化すると滅菌が達成されたことを示す。平坦化後の全ての追加時間は滅菌サイクルに対する追加のセキュリティを与える。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】封止チャンバと、液体滅菌剤の水蒸気を運ぶガスを用いてチャンバの内部と内容とを滅菌するためにチャンバに接続された、二つのポンプ又はファンを有する滅菌回路との概略図である。
【図2】実際例のチャンバ中の分配ガス濃度の割合を表すグラフである。
【図3】理想的なガスの状態での空気の交換に対して描いたガス濃度のグラフである。
【図4】ガス処理の開始時の濃度の初期増加と、一旦凝結が始まった曲線の平坦化を示す実際の部屋でのガス処理に対するガス濃度を示す図である。
【図5】ガス濃度の理論値と測定値の双方を結びつける、図3に類似のグラフである。
【図6】室内のガス濃度を測定し、滅菌が達成されたときの計時間隔で特定のバイオロジカルインジケータを除去することにより得られた試験結果を示すグラフである。
【図7】室内のガス濃度を測定し、滅菌が達成されたときの計時間隔で特定のバイオロジカルインジケータを除去することにより得られた試験結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気化した滅菌剤を用いて滅菌を検出する方法であって、
滅菌剤/水の蒸気を発生して、該蒸気を、滅菌する封止空間に供給するステップと、
滅菌剤の蒸気を供給し続けて前記封止空間中の滅菌剤の濃度を上昇させるステップと、
前記蒸気中の前記滅菌剤の濃度を監視するステップと、
凝結が起こり、前記空間中の全ての細菌を滅菌したことを示す所定の最小水準まで濃度の変化率が降下したことを検出し、滅菌剤の蒸気の供給を終わらせるステップと
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記滅菌剤/水の蒸気の濃度の前記所定の最小の変化率は、正の変化率であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記濃度の所定の最小の変化率は負の変化率であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法であって、前記密閉空間中の前記雰囲気の前記温度を監視し、滅菌剤/水の蒸気の前記封止空間への供給を、前記濃度の変化率が前記所定の水準まで降下するまで、温度が上昇している間、継続することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法であって、前記滅菌剤/水の蒸気を前記チャンバに供給して、該チャンバ中の前記滅菌剤の濃度の上昇中に多数の雰囲気の交換を該チャンバ中に生じさせることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−502286(P2009−502286A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523456(P2008−523456)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002817
【国際公開番号】WO2007/012866
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(501468208)バイオケル ユーケイ リミテッド (10)
【Fターム(参考)】