説明

漂白された木材粒子及び淡色ないし白色の木材料の製造方法

本発明は、漂白された木材粒子の製造方法及び当該木材粒子から製造された淡色ないし白色の木材料の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漂白された木材粒子の製造方法ならびに当該漂白された木材粒子からの淡色ないし白色の木材料の製造方法に関する。
【0002】
木材料の分野において、いわゆる中密度繊維板(中密度ファイバーボード、MDF板)及び高密度繊維板(高密度ファイバーボード、HDF板)の市場が大きく増加しつつある。その生産量はここ10年において3倍になっている。
【0003】
MDF板及びHDF板は、従来のパーティクルボードのように加工することができる。そのむらのない構造によって異形材を製造するのにも適しており、ゆえに家具の補強材として定着している。したがってこれらの板から、例えばスペース及び装飾目的のための取り付け家具(例えば工業生産品)、さらにはすでにより高価な家具を制作し、引き続いて視認可能な木様のストラクチャーを達成するために無色のラッカーを塗布するか、又はトップコートで被覆する。
【0004】
これらの板は天然によるものであり、使用された木材の種類に応じて多かれ少なかれ、家具分野における用途に関しては専ら減少した美的価値である褐色の色調が表れる。
【0005】
WO-A 04/35276から公知の顔料及び染料を含有する着色剤を用いての素地着色(Massefaerbung)によって、木質繊維固有の色調を補うことができる。この方法で、色鮮やかで完全に着色され、色あせのない、かつそれによって美的価値の高いMDF板が得られ、このMDF板は、例えば長寿命の製品、例えば住宅分野における家具の製造に適している。
【0006】
家具及び内部装飾品、例えば台所又は浴室のためのもの、の製造のために、特に淡色又はそれどころ白色の木材料、特に木材板が重要である。
【0007】
WO 2006/042651には、淡色ないし白色の木材板が記載されており、淡色のそれ自体の色は、漂白された木質繊維の使用並びに場合によっては白色顔料及び/又は蛍光増白剤を用いて達成される。化学漂白の場合には、木材粒子の着色している内容成分を酸化性及び/又は還元性薬剤により破壊するか、あるいは効果のないものにする。木質繊維は通常漂白塔中において向流で漂白されるか、あるいは、原料として通常使用される木片の処理の際に予備加熱装置又はコッヘル中で漂白する。可塑化された木片は、後続のリファイナー中で繊維状にし、かつこの繊維をいわゆるブローラインを介してリファイナーから搬出する。漂白剤として、酸化的作用を有する物質、例えば過酸化水素及び無機及び有機性過酸塩(例えばパーカーボネート)を使用すると同様に、還元的作用を有する物質、例えばスルフィン酸、亜硫酸塩及び亜ジチオン酸塩も使用する。
【0008】
漂白塔中での木質繊維の漂白は、その製造において設備コストを増加させる付加的な工程である。したがってその工程中での木質繊維の漂白は、WO 2006/042651 A1に記載されているようにその製造を困難なものとする。漂白剤は注意深く選択しなければならず、それというのも工程において取り込まれる漂白剤並びにその反応生成物及び分解生成物は、一般に木質繊維及びそれから製造される製品上に残留するためである。すでに存在するプラント中で木質繊維の製造に使用するためには、相当する安定性、レドックスポテンシャル及び反応時間を示さなければならない漂白剤が特に適している。加えて、不利な後反応は生じさせてはならない。
【0009】
したがって、例えば過酸化水素は漂白剤としては適しておらず、それというのもアルカリで処理をしなければならないためであり、これは、最終製品において望ましくない木質繊維の膨潤及び後の黄変化を招く。さらに酸素及びオゾンもパルプの漂白の際に使用されるが、リグニン含有木材の漂白は長い反応時間を必要とする。亜硫酸及び多くの有機性漂白剤は、設定された条件下で少ないレドックスポテンシャルを有し、この場合、これはさらに漂白剤としては弱い。これに対して亜ジオチン酸ナトリウムはさらに高い反応性を有するが、80〜100℃を上回る温度の場合には分解する。これにより生じて木質繊維中に残留する分解生成物は、例えば硫化水素及びチオ硫酸塩でありこれは最終生成物中で不快な匂いとなる。
【0010】
したがって本発明の課題は、漂白された木材粒子を製造するための代替法であり、この方法は、望ましくないあるいは負の作用を有する化合物のいずれでもない、漂白剤に由来する化合物が木材粒子上又は木材粒子中に残留して、これにより良好な漂白作用が達成され、かつ大きな設備コストなして、存在する木質繊維の製造プロセス中で一体化することができる。
【0011】
本発明の課題は、
a)リファイナー中で、場合によっては前処理され粉砕された、セルロース含有原料を木材粒子に細砕し、かつ、
b)この木材粒子をリファイナーから搬出する、
工程を含む、漂白された木材粒子を製造する方法によって解決され、その際、この木材粒子は工程a)又は工程b)中で、スルフィン酸及びその塩、安定化された亜硫酸水素塩(Hydrosulfite)、安定化された亜硫酸塩(Sulfite)及び安定化された亜ジチオン酸塩(Dithionite)から成る群から選択された少なくとも1種の漂白剤を含有する漂白剤組成物を添加することによって漂白する。
【0012】
好ましい実施態様において、木材粒子は工程b)中でブローラインを介して搬出される。
【0013】
同様に好ましい実施態様において、粉砕されたセルロース含有原料をコッヘル中で、本発明による方法の工程a)中で使用する前に、前処理する。
【0014】
さらに、淡色ないし白色の木材料を製造するための方法が見出され、この場合、この方法は:
a)リファイナー中で、場合によっては前処理され粉砕された、セルロース含有原料を木材粒子に細砕し、
b)この木材粒子をリファイナーから搬出し、かつ、
c)漂白された木材粒子を、淡色ないし白色の木材料に加工する、
工程を含み、その際、この木材粒子は、工程a)又は工程b)中で、スルフィン酸及びその塩、安定化された亜硫酸水素塩、安定化された亜硫酸塩及び安定化された亜ジチオン酸塩から成る群から選択された少なくとも1種の漂白剤を含有する漂白剤組成物を添加することによって漂白する。
【0015】
好ましい実施態様において、木材粒子は工程b)中で、ブローラインを介して搬出される。
【0016】
同様に好ましい実施態様において、粉砕されたセルロース含有原料をコッヘル中で、本発明による方法の工程a)中で使用する前に、前処理する。
【0017】
本発明による漂白された木材粒子を製造する方法は、木材粒子を存在する製造プロセス中で、大きな設備コストなしに漂白することができる。本発明によって使用される漂白剤組成物は、リファイナーないしブローライン中で早期に分解することなく、かつ、リファイナー中でミリ秒の範囲及びブローラインによる分の範囲である木材粒子の極めて短いか又は短い滞留時間にもかかわらず、極めて良好ないし良好な漂白作用を、木材粒子上又は木材粒子中に不利であるか、あるいはそれどころか有害な化合物を残留させることなしに発揮する。
【0018】
木材粒子として同じ原料を使用する場合には、本発明により製造された木材料は、コッヘル又は予加熱装置中で漂白された木材粒子から製造された木材料と比較して、予測できない大きい明度を示す。
【0019】
本発明による漂白された木材粒子の製造に対して、直接接続された木材料の製造は特に有利であり、それというのもここでは、さらなる設備コストなしで淡色ないし白色の木材料が得られるためである。
【0020】
本発明の範囲内において「木材粒子」とは、小粒のセルロース含有粒子であると理解される。これに関して、例えば木材又は他のセルロース含有材料からの繊維及び削り屑が挙げられる。本発明による木材粒子及び木材料のための基礎材料としては、原則、植物から得られるべき繊維様材料のすべてを使用することができる。したがって、通常は原料として木材を使用するが、しかしながらさらにはヤシ並びに一年生植物、例えばバガス又は藁から適したセルロース含有粒子を得ることができる。他の源は、農業における廃棄物である。好ましい基礎材料は、淡色の木類、特にトウヒ又はマツであるが、しかしながらさらに濃色の木類、例えばブナ又はユーカリを使用することもできる。
【0021】
セルロース含有原料は先ず粉砕され、かつ場合によっては洗浄される。引き続いて場合によっては前処理をおこなう。木材は、例えば先ず細かく刻まれ、洗浄され、かつ含水性の木くず(木片)を最初に予め加熱する。
【0022】
本発明による方法の好ましい実施態様において、粉砕されたセルロース含有原料を、いわゆるコッヘル中で前処理する。通常は、これを2〜5バールの圧力で、かつ100〜180℃の温度で実施する。適した温度及び圧力は、それぞれ使用された原料に依存する。一年生植物の溶解については、多年生植物、例えば木の溶解の場合よりも通常低い温度に調整する。
【0023】
工程a)において、場合によっては前処理された粉砕された、セルロース含有原料を、いわゆるリファイナー中に連行し、かつここで木材粒子に細砕する。リファイナーは、通常は、繊維材料を粉砕するための回転及び場合によっては固定された刃/ディスクを備えた粉砕装置であり、かつ好ましくは放射状のレリーフを備えた2個の金属ディスクから構成され、この場合、この2個の金属ディスクは互いに密接して存在する。この2個のディスクのうちの1個を移動することができるが、さらには2個のディスクを反対方向に回転させることができる。通常、リファイナー中では過圧で運転する。場合により前処理され粉砕された、セルロース含有原料の粉砕は、さらにこの目的に適した他の装置中で実施することもできる。
【0024】
工程b)において、木材粒子をリファイナーから搬出する。本発明の好ましい実施態様において、木材粒子は、この際、リファイナーからいわゆるブローラインを介して吹き出される。ブローラインとは、通常、噴出管(Blasleitung)と理解され、これによって木材粒子をリファイナー中に占める過圧により搬出する。
【0025】
本発明によれば、木材粒子は、リファイナー中又はリファイナーからの木材粒子の搬出の際に、少なくとも1種の漂白剤を含有する漂白剤組成物を添加することにより漂白する。好ましい実施態様によりブローラインを介して木材粒子を搬出する場合には、漂白剤組成物の添加はリファイナー中又はブローライン中で実施する。
【0026】
本発明によれば、木材粒子は還元的に漂白される。この還元漂白に関しては、例えば還元性硫黄化合物、例えば亜ジオチン酸塩、二亜硫酸塩、亜硫酸塩ないし二酸化硫黄、スルフィン酸及びその塩、特にアルカリ金属塩及びとりわけナトリウム塩、及びヒドロキシカルボン酸、例えばクエン酸及びリンゴ酸が適している。本発明によれば、安定された亜ジオチン酸塩、安定化された亜硫酸水素塩、安定化された亜硫酸塩及びスルフィン酸及びその塩から成る群から選択された少なくとも1種の漂白剤を含有する漂白剤組成物を使用する。好ましくは漂白剤として、安定化された亜硫酸水素塩及び安定化された亜硫酸塩並びにスルフィン酸及びその塩が適しており、その際、スルフィン酸としてヒドロキシメチルスルフィン酸が好ましい。
【0027】
亜ジオチン酸塩、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩の安定化は、塩基性塩の添加によって実施する。
【0028】
漂白剤組成物は、少なくとも1種の漂白剤及び場合によるその安定化剤の他にさらに他の助剤を含有していてもよく、この場合、これは例えば錯形成剤、例えばEDTA又はポリホスフェートである。
【0029】
好ましくは本発明による木材粒子は、以下に記載する漂白剤組成物を用いて漂白する。本発明による漂白剤組成物は、
a)1種又はそれ以上の亜硫酸水素塩 60〜95質量%、
b)1種又はそれ以上の亜硫酸塩 1〜25質量%、
c)1種又はそれ以上の塩基性塩 1〜10質量%、
d)1種又はそれ以上のトリポリリン酸塩 0〜10質量%
を含有する。
【0030】
亜硫酸水素塩としてアルカリ金属塩を使用することができ、この場合、これは好ましくは亜硫酸水素ナトリウム及び亜硫酸水素カリウムであり、特に好ましくは亜硫酸水素ナトリウムである。
【0031】
亜硫酸塩としてアルカリ金属塩を使用し、好ましくは亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸カリウム、特に好ましくは亜硫酸ナトリウムである。
【0032】
塩基性塩は、炭酸塩及び炭酸水素塩からなる群から選択されてもよく、好ましくはアルカリ金属炭酸塩、特に好ましくは炭酸ナトリウムである。
【0033】
トリポリリン酸塩として、トリポリリン酸カリウム及びトリポリリン酸ナトリウムを使用することができ、好ましくはトリポリリン酸ナトリウムである。
【0034】
本発明によれば、漂白剤組成物を、セルロース含有原料又は木材粒子にその製造中に添加する。この添加はリファイナー中で実施されるか、あるいは、木材粒子の搬出の際に実施する。好ましい実施態様によれば、木材粒子はブローラインを介して搬出され、本発明によれば少なくとも1種の漂白剤を含有する漂白剤組成物が、その搬出形態でリファイナー中には又はブローライン中で、好ましくはリファイナー中又はブローラインの開始部分において、特に好ましくはリファイナー中に添加する。
【0035】
漂白剤組成物は、絶乾繊維(atro)に対して0.1〜6質量%、好ましくは0.5〜5質量%及び特に好ましくは1〜3質量%の漂白剤の量で計量供給する。
【0036】
漂白剤組成物は、木材粒子をリファイナー中に又はブローライン中に、通常、水性溶液の形で供給し、その際、漂白剤組成物の水溶液中での濃度は1〜25質量%、好ましくは5〜20質量%及び特に好ましくは10〜15質量%である。
【0037】
漂白された木材粒子を直接後処理することができ、この場合、これはさらに乾燥させ、かつ乾燥状態で後処理する。さらに乾燥させた木材粒子を後処理前に、一時的に貯蔵することもできる。漂白された木材粒子のための後処理に関する好ましい可能性は、特に、漂白工程に直接接続された木材料の製造である。
【0038】
本発明の他の対象は、淡色ないし白色の木材料を製造するための方法に関し、この場合、この方法は、
a)リファイナー中で、場合によっては前処理され粉砕された、セルロース含有原料を木材粒子に細砕し、
b)この木材粒子をリファイナーから搬出し、かつ、
c)漂白された木材粒子を、淡色ないし白色の木材料に加工する、
工程を含み、その際、この木材粒子は、工程a)又は工程b)中で、スルフィン酸及びその塩、安定化された亜硫酸水素塩、安定化された亜硫酸塩及び安定化された亜ジチオン酸塩から成る群から選択された少なくとも1種の漂白剤を含有する漂白剤組成物を添加することによって漂白する。
【0039】
好ましくは、本発明による木材粒子は、工程a)又はb)中で、以下に示す漂白剤組成物を用いて漂白する:
a)1種又はそれ以上の亜硫酸水素塩 60〜95質量%、
b)1種又はそれ以上の亜硫酸塩 1〜25質量%、
c)1種又はそれ以上の塩基性塩 1〜10質量%、
d)1種又はそれ以上のトリポリリン酸塩 0〜10質量%。
【0040】
淡色ないし白色の木材料を製造するための好ましい実施態様において、木材粒子を工程b)中で、ブローラインを介して搬出する。
【0041】
同様に好ましい実施態様において、粉砕されたセルロース含有原料を、本発明による方法の工程a)中で使用する前に、コッヘル中で前処理する。
【0042】
本発明によって製造された木材料は、MDF板、HDF板、パーティクルボード又はOSB板であってもよい。好ましくはMDF板及びHDF板であり、特に好ましくはMDF板である。
【0043】
MDF板、HDF板、OSB板及びパーティクルボードは、木材ボードとも呼称される。これは好ましくは、接着された(beleimte)繊維又は削り屑を注ぎ入れてマットにし、場合によっては予め冷圧プレスし、かつ加熱されたプレス機中で、170〜240℃の温度でプレスされてボードとなる。
【0044】
本発明によれば、接着剤(Leim)として使用される結合剤は、通常、尿素−ホルムアルデヒド樹脂であり、この場合、これは部分的にメラミンで強化されており、尿素−メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、フェノールメラミン樹脂及びフェノール−ホルムアルデヒド樹脂である。他の結合剤としてはイソシアネートを使用し、これは、通常、ポリメチレンジイソシアネートに基づく。
【0045】
木材粒子は、本発明によれば直接、すなわち湿性のままで、ブローライン中で接着することができる。しかしながら、予め乾燥させた木材粒子をミキサー中、好ましくは連続的に操作されるミキサー中で接着することもできる。ミキサー中での接着は、特にパーティクルボード及びOSB板を製造する場合に好ましく、HDF板及びMDF板を製造する場合には、接着は好ましくはブローライン中でおこなう。接着のための他の可能な方法は、いわゆる乾燥接着法(Trockenbeleimung)であり、この方法は、乾燥した木材粒子を接着剤と一緒に噴霧するものである。
【0046】
木材粒子をブローライン中で接着する場合には、引き続いて乾燥機中を貫流させ、残湿分率8〜15質量%までに乾燥させる。接着され、かつ場合によっては乾燥された木材粒子は、引き続いて注ぎ入れてマットにし、場合によっては予め冷圧プレスされ、かつ加熱されたプレス機中で、170〜240℃の温度でプレスされてボードとなる。
【0047】
本発明の特に好ましい実施態様において、漂白された木材粒子の後処理工程を、直接、漂白工程に接続する。これに関して、漂白された木材粒子は、リファイナー中又はブローラインの開始部分で漂白組成物を添加することによる本発明による漂白の後に、ブローライン中で接着し、引き続いて乾燥器中で、残湿分率8〜15質量%に乾燥させ、かつさらに木材料に加工する。
【0048】
淡色ないし白色の木材料を製造するための本発明による方法の他の好ましい実施態様において、木材粒子の製造プロセス中で少なくとも1種の白色顔料を添加する。この結果、得られる木材料の素地着色が生じる。
【0049】
用語「白色顔料」は、本発明によれば、無機顔料、例えば二酸化チタン(ルチル、Cl顔料ホワイト6)、炭酸カルシウム及びカルシウム/マグネシウム混合炭酸塩(例えばドロマイト)、酸化亜鉛、亜硫酸亜鉛、リトポン及びナトリウム−アルミニウムシリケートと同様に、白色に着色された強い光散乱性のプラスチックエマルション及び分散液を含む。好ましくは無機白色顔料、特に好ましくは二酸化チタンである。さらに白色顔料混合物を使用することもできる。
【0050】
白色顔料は、好ましくは水性分散液の形でその中に微細に分散して存在するものを使用し、それというのも、ブローラインを介して接着剤と別個に又は一緒に、直接、木材料の製造プロセス中に装入することができるためである。この顔料分散液は、他の通常の助剤、特に架橋剤及び分散化剤、消泡剤及び殺生剤、沈澱防止剤、保水剤及びレオロジー調整剤を含有していてもよく、かつ好ましくはすべての成分の湿式ミルによって、例えば攪拌ボールミル中で製造する。
【0051】
完成した木材料中での白色顔料の推奨される濃度は、一般には絶乾木質繊維当たり0.5〜15%、好ましくは1〜6%である。
【0052】
白色度のさらなる増加は、蛍光増白剤の添加によって達成され、この場合、これは、その青みがかった蛍光性(補色)によって、灰色化及び黄色化を補う。
【0053】
原則的に、青色を放出するすべての蛍光染料が適しており、特に商業的に入手可能な製品、例えばUltraphor(R)(BASF)、Leucophor(R)(Clariant)又はTinopal(R)(Ciba)であり、この場合、これらはスチューベン、ジスチリルビフェニル、クマリン、ナフタル酸イミド及び二重結合を介して結合されるベンズオキサゾール及びベンズイミダゾール系の化学物質群からのものである。
【0054】
蛍光増白剤は、水性分散液又は溶液の形で、接着剤と別個に又は一緒に、木材料の製造プロセス中に装入することができる。
【0055】
蛍光増白剤を使用する場合には、完成した木材料中でのその濃度は、一般に、絶乾木質繊維当たり0.01〜1%、好ましくは0.08〜0.2%である。
【0056】
特に好ましくは、少なくとも1種の白色顔料と少なくとも1種の蛍光増白剤を組み合わせて含有する、本発明による木材料であり、それというのもこれら個々の寄与は相乗効果によって、最大の全白色度にまで高めるためである。
【0057】
さらに、白色顔料と蛍光増白剤が一緒になって単一の水性分散液の形に調製され、接着剤溶液を、ブローラインを介して木材料の製造プロセスに注入する前に、これを接着剤溶液に添加することは、プロセス技術的に特に有利である。
【0058】
本発明による処理から場合により生じる、プレスされた木材ボードの物理的性質の変更は、接着剤の品質及び接着剤の量を選択することによって制御することができる。相当するパラメータの選択は、当業者に公知である。
【0059】
本発明の他の対象は、漂白された木材粒子を製造するための本発明による方法にしたがって製造可能な、漂白された木材粒子である。
【0060】
本発明の他の対象は、前記本発明による方法にしたがって製造可能な、淡色ないし白色の木材料である。
【0061】
本発明を、実施例におけるMDF板の製造に基づいて説明する。
【0062】
MDF−製造プロセスは、通常、28〜30kg/hの装入量で実施し、この場合、木片はリファイナーによって繊維状され、得られた繊維はブローラインによって運搬され、かつブローライン中で、それぞれ実施例で挙げられた接着剤バッチを用いて接着する。
【0063】
接着された木質繊維は、後続の連続式乾燥器中で約9質量%の残湿分率に乾燥させ、その後に断続的に注ぎ入れてマットにし、予め冷圧プレスし、かつ190℃で、15s/2mmのプレススケジュール(Presszeitfaktor)で、16mmmの厚さのボードにプレスした。
【0064】
比較例V1(本発明によらない例)
セルロース含有原料として、ドイツトウヒ材からの木くずを使用する。繊維は、漂白剤組成物を使用することなく繊維状にほぐし、かつブローライン中で、連続的に、第1表に挙げた接着剤バッチで被覆した。
【0065】
【表1】

【0066】
比較例V2(本発明によらない例)
ドイツトウヒ材からの木くずを、MDF製造プロセス中で、リファイナー中で、絶乾繊維(atro Fasern)あたり5質量%の漂白剤に相当する15質量%の水性亜硫酸水素塩溶液と一緒に混合した。ブローライン中で、当該繊維を、第1表に挙げられた接着剤バッチで被覆した。
【0067】
第2表では、標準としての比較例V1に対して達成された白色度(明度差ΔL中表した)を記載した。
【0068】
【表2】

【0069】
例1(本発明による)
ドイツトウヒ材からの木くずを、MDF製造プロセス中で、リファイナー中で、第3表に挙げられた漂白剤組成物1a〜1cの15質量%濃度の水性溶液と一緒に混合し、この場合、この溶液は、絶乾繊維当たり5質量%の漂白剤に相当するものである。
【0070】
得られた繊維を、ブローライン中で、連続的に、第1表に挙げられた接着剤バッチで被覆した。
【0071】
比較例V3
例1に記載された方法と同様であるが、しかしながら漂白剤含有組成物を添加することなく、MDF板を製造した。
【0072】
第3表において、例1a、1b及び1cの達成された白色度は、標準としての比較例V3に対する明度差ΔLとして表した。
【0073】
【表3】

【0074】
例2(本発明による)
ドイツトウヒ材からの木くずをリファイナー中で繊維状にほぐし、かつ例1bで挙げられた漂白剤組成物の15質量%濃度の水溶液と混合し、この場合、この溶液は、絶乾繊維当たり5質量%の漂白剤に相当するものである。引き続いて、この繊維をブローライン中で、第1表に挙げられた接着剤バッチで被覆した。この被覆された繊維を、引き続いて、MDF板にプレスした。
【0075】
比較例V4
例2に記載された方法と同様であるが、しかしながら漂白剤含有組成物を添加することなく、MDF板を製造した。
【0076】
第4表において、標準としての比較例V4に対する達成された白色度(明度差ΔLで表したもの)を記載した。
【0077】
【表4】

【0078】
例3(本発明による)
ドイツトウヒ材及びブナ材から成る木くずを、リファイナー中で、例1bによる15質量%濃度の水性漂白剤組成物と混合し、この場合、これは、絶乾繊維に対して5%の漂白剤に相当するものである。この繊維を、ブローライン中で連続的に、第5表に記載された白色顔料二酸化チタン含有接着剤で被覆し、乾燥させ、かつMDF板にプレスした。
【0079】
【表5】

【0080】
比較例V5
例3に記載された方法と同様であるが、しかしながら白色顔料二酸化チタンを添加することなく、MDF板を製造した。被覆のために第5表による接着剤バッチを使用し、その際、二酸化チタン調製物を同量の水と置き換える。
【0081】
第6表において、標準としての比較例V5に対して達成された白色度(明度差ΔLで表したもの)を記載した。
【0082】
【表6】

【0083】
例4(本発明による)
MDF板を製造するために、ブナ材から成る木くずをリファイナー中で、例1bによる15質量%濃度の水性漂白剤組成物と混合し、この場合、これは絶乾繊維に対して5%の漂白剤に相当するものである。ブローライン中で、この得られた繊維を、連続的に第7表に記載された接着剤バッチで被覆した。乾燥後に、この被覆された繊維をMDF板にプレスした。
【0084】
【表7】

【0085】
例5(本発明による)
例4に記載された方法と同様であるが、しかしながら第5表に記載された白色顔料二酸化チタンを含有する接着剤バッチを使用して、MDF板を製造した。
【0086】
例6(本発明による)
例5に記載された方法と同様であるが、しかしながら第8表に記載された接着剤バッチを使用して、この場合、このバッチは、白色顔料二酸化チタンと蛍光増白剤との組合せを含有するものであって、MDF板を製造した。
【0087】
【表8】

【0088】
比較例V6
例4に記載された方法と同様であるが、しかしながらリファイナー中で、漂白剤含有組成物を添加することなく、MDF板を製造した。
【0089】
第9表において、標準としての比較例V6に対して達成された白色度(明度差ΔLで表されたもの)を記載する。
【0090】
【表9】

【0091】
例7(本発明による)
ドイツトウヒ材から成る木くずを、リファイナー中で、ヒドロキシメタンスルフィン酸の15質量%濃度の水性溶液で処理し、この場合、この溶液は、絶乾繊維当たり5%の漂白剤に相当するものである。ブローライン中で、この漂白された繊維を、第1表に記載された接着剤バッチで被覆する。
【0092】
比較例V7
例7に記載された方法と同様であるが、しかしながら漂白剤含有組成物を添加することなく、MDF板を製造した。
【0093】
第10表において、標準としての比較例V7に対して達成された白色度(明度差ΔLで表したもの)を記載した。
【0094】
【表10】

【0095】
例8(本発明による)
ポプラ材から成る木くずを、MDF製造プロセス中で、リファイナー中で、例1bによる15質量%濃度の水性漂白剤組成物で処理し、この場合、これは、絶乾繊維当たり5%の漂白剤に相当するものである。この得られた繊維を、ブローライン中で第1表に記載された接着剤バッチで被覆した。
【0096】
比較例V8
例8に記載された方法と同様であるが、しかしながら漂白剤含有組成物を添加することなく、MDF板を製造した。
【0097】
第11表において、標準としての比較例V8に対して達成された白色度(明度差ΔLで表す)を記載した。
【0098】
【表11】

【0099】
例9(本発明による)
トウヒ材から成る木くずを、MDF製造プロセス中で、リファイナー中で、例1bによる15質量%濃度の水性漂白剤組成物で処理し、この場合、これは、絶乾繊維当たり5%の漂白剤に相当するものである。この得られた繊維を、ブローライン中で、第1表に記載され接着剤バッチで被覆した。
【0100】
被覆された木質繊維を乾燥させ、かつプレスしてボードにした。このボードを引き続いて24時間に亘って太陽試験装置中で暴露し、かつ白色度(暴露されていない板に対する明度差ΔLで表したもの)を測定した。
【0101】
第12表において、この結果を記載する。
【0102】
【表12】

【0103】
比較例V9
トウヒ材からの木くずを、MDF製造プロセス中で、リファイナー中で、15質量%濃度の水性亜硫酸水素塩溶液で処理し、この場合、この溶液は、絶乾繊維当たり5質量%の漂白剤に相当するものである。この得られた繊維を、ブローライン中で、連続的に、第1表に記載された接着剤バッチで被覆した。乾燥した被覆された木質繊維を、MDF板にプレスした。
【0104】
引き続いてこのMDF板の一部分を24時間に亘って、太陽試験装置中で暴露し、かつ白色度(暴露されていないMDF板に対する明度差ΔLで表したもの)を測定した。
【0105】
第13表において、達成された白色度を記載する。
【0106】
【表13】

【0107】
例10(本発明による)
トウヒ材から成る木くずを、MDF製造プロセス中で、リファイナー中で例1bによる漂白剤組成物を含有する15質量%濃度の水性溶液と混合し、この場合、この溶液は、絶乾繊維当たり5%の漂白剤に相当するものである。この得られた繊維を、ブローライン中で、連続的に、第1表に記載された接着剤バッチで被覆した。
【0108】
比較例V10
例4に記載した方法と同様であるが、しかしながら木質繊維の処理を、リファイナー中で漂白剤含有組成物を用いておこなうことなく、MDF板を製造した。
【0109】
第14表において、明度差ΔLにより表される達成された白色度、横断面の引っ張り強さ、膨潤度及び官能的に測定された板の臭気を記載し、この場合、これらはそれぞれ標準としての比較例V10に対するものである。
【0110】
得られたMDF板の横断面の引張強度は、DIN319、パーティクルボード及び繊維板、引っ張り強さの測定にしたがって、板の平面に対して垂直に測定した。
【0111】
膨潤度は、DIN EN 317パーティクルボード及びファイバーボードにしたがっ、膨潤厚さ度及び吸水率を測定した。
【0112】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)場合により前処理された、細砕されたセルロース含有原料を、リファイナー中で木材粒子に粉砕し、かつ、
b)当該木材粒子をリファイナーから搬出する、
工程を含み、その際、工程a)又は工程b)中の木材粒子を、スルフィン酸及びその塩、安定化された亜硫酸水素塩、安定化された亜硫酸塩及び安定化された亜ジチオン酸塩から成る群から選択された少なくとも1種の漂白剤を含有する漂白剤組成物を添加することにより漂白する、漂白された木材粒子を製造する方法
【請求項2】
漂白剤組成物が、安定化された亜硫酸水素塩、安定化された亜硫酸塩及びスルフィン酸から成る群から選択された少なくとも1種の漂白剤を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
漂白剤組成物が、
i)1種又はそれ以上の亜硫酸水素塩 60〜95質量%、
ii)1種又はそれ以上の亜硫酸塩 1〜25質量%、
iii)1種又はそれ以上の塩基性塩 1〜10質量%、
iv)1種又はそれ以上のトリポリリン酸塩 0〜10質量%
を含有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程b)中の木材粒子をブローラインを介して搬出する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
細砕されたセルロース含有原料を、工程a)中に添加する前にコッヘル中で前処理する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
木材粒子のための原料として、木材、バガス又は藁を使用する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の工程a)及びb)ならび
c)漂白された木材粒子を、淡色ないし白色の木材料に加工する、
工程を含む、淡色から白色の木材料を製造する方法。
【請求項8】
工程c)を直接、工程b)に引き続いておこなう、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
淡色ないし白色の木材料の製造の際に、少なくとも1種の白色顔料を添加する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
淡色ないし白色の木材料の製造の際に、少なくとも1種の蛍光増白剤を添加する、請求項7から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
淡色ないし白色の木材料の製造の際に、少なくとも1種の白色顔料及び少なくとも1種の蛍光増白剤を添加する、請求項7から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
淡色ないし白色の木材料が、MDF板、HDF板、OSB板又はパーティクルボードである、請求項7から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法にしたがって製造可能な漂白された木材粒子。
【請求項14】
請求項7から12までのいずれか1項に記載の方法にしたがって製造可能な淡色ないし白色の木材料。

【公表番号】特表2010−524738(P2010−524738A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504667(P2010−504667)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【国際出願番号】PCT/EP2008/054879
【国際公開番号】WO2008/129048
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】