説明

漂白工程の多変数制御方法及びその装置

【課題】漂白工程内に設置したパルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量を測定できるオンラインセンサーを使用して、このヘキセンウロン酸成分含有量の測定値を制御変数に組み込み、二酸化塩素の使用量他を抑制可能な漂白工程の多変数制御方法及びその装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、漂白パルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量をオンラインで測定するセンサーを制御対象の漂白プロセスの中に設置し、この計測値を多変数制御である「モデル予測制御」の制御変数の中に取り込み、他の制御変数と共に総合的な漂白コントロールを実行する漂白工程の多変数制御方法及びその装置である。これにより、紙の褪色トラブルを起こさない範囲で、ヘキセンウロン酸を分解する働きがあるが高価な「二酸化塩素水(ClO2)」の添加率を抑え、ヘキセンウロン酸を分解する働きはないが安価な「過酸化水素水(H22)」の添加率を高めることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漂白工程の多変数制御方法及びその装置に関し、より詳細には、パルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量を考慮に入れた漂白工程の多変数制御方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パルプ原料の漂白法として、かつて普及していた「塩素漂白」では、漂白薬品として塩素水(Cl2)が用いられた。しかし、この漂白法では生物に有害なクロロホルム成分やダイオキシンを発生する恐れがあることが、近年、判ってきたため、現在では環境保護のためクロロホルム成分やダイオキシンの発生を回避することができる「ECF漂白(Elemen- tary Chlorine Free bleaching)」が、パルプ原料の漂白工程で広く採用されるようになっている。ECF漂白では、主要な漂白薬品として、塩素漂白で使われた塩素水(Cl2)に代えて、二酸化塩素水(ClO2)が使われるが、パルプ原料が漂白された白さを表わす値であるパルプの白色度は、主に、この二酸化塩素水の添加率を変化させることによって調節される。
【0003】
しかし、二酸化塩素は高価な薬品であり、漂白薬品の使用量を少しでも減らすため、漂白能力的には少し劣るが、この二酸化塩素添加の一部分を安価なパルプ原料の漂白薬品である過酸化水素水(H22)に置き換えていくことが広く行なわれている。
【0004】
また一方で、紙の原料となるチップ材として、最近、多く使用されるようになってきたユーカリ材などの広葉樹パルプのECF漂白において、漂白薬品の一部を上記の理由で過酸化水素水に置き換えて行った場合、製造直後のパルプ原料の外観から検査される白色度の値だけからは判らないが、紙製品になった場合に紙の白色度を低下させてしまう褪色トラブル(色戻りトラブル)を引起こすことのある、パルプ原料中に含まれるヘキセンウロン酸成分の含有量の多寡についての注意が特に重要となる。
【0005】
その理由として、植林木であるユーカリ材などの広葉樹チップ材から作られたパルプ原料には、その樹種の特性として、ヘキセンウロン酸成分の含有量が他のチップ材に比べて多いことが挙げられる。その場合、ヘキセンウロン酸成分も分解する能力を持つ二酸化塩素水の添加率を増やせば、パルプ原料中に残留するヘキセンウロン酸量が減り、紙の褪色トラブルを回避することが可能となるが、上述したように、コスト対策などで二酸化塩素水(ClO2)の添加率を減らして、代替の漂白薬品として過酸化水素水(H22)の添加に置き換えていった場合、過酸化水素水はパルプ原料中のヘキセンウロン酸成分を分解する薬品効果を持たないため、白色度の最終到達値については問題ないが、場合によってはパルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量を十分に減らすことができずに、本来、期待されるパルプ品質を確保することができなくなり、紙の褪色トラブルの危険性がより高まる。
【0006】
すなわち、パルプ原料の白色度だけの外観検査を基に、白色度品質に問題がないとして、客先に紙製品が出荷された後、悪条件が重なり長期間を経て、紙の褪色トラブル(色戻りトラブル)が客先で発生したりすると、大きなクレーム問題に発展する。
【0007】
尚、補足説明となるが、「ECF漂白」が普及する以前に広く用いられていた塩素水(Cl2)を用いたパルプ原料の「塩素漂白」では、広葉樹チップ中に多く含まれるヘキセンウロン酸成分は、塩素水を用いた漂白反応で強く分解されていたため、ヘキセンウロン酸に起因する紙製品での褪色トラブルは、漂白工程の問題として全く認識されていなかった。
【0008】
また、パルプ原料の白色度の値は、光学式の白色度センサーを用いて、製造プラント内でオンライン測定することが一般に行われているが、パルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量は、もともと非常に微量(含有量はミリmol/kgのオーダー)で特殊な物質であるため、その検出は極めて難しく、紙の褪色トラブル問題が顕在化した時点では、ラボ(実験室)でパルプ原料に前処理を施した後、大型で精密な分光装置を用いて含有量を検出する手段しかなく、製造プラント内でオンライン測定できるセンサーは、最近まで存在していなかった。
【0009】
しかし、既に製造プロセス中に設置され、分光原理を使ってパルプ原料中のリグニン成分の含有量の指標となるカッパー価をオンラインで測定していた光学式の「カッパー価計」を利用して、この「カッパー価計」センサー内部に特定の波長帯の発光装置を持つ分光装置を追加装備して、この波長帯の光がヘキセンウロン酸成分で吸収される吸収度を計測することで、パルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量を正確に測定できることがわかり、そのオンライン測定が可能となった。
【0010】
すなわち、稀釈したパルプ原料の測定物質に、紫外光領域の230〜240nmの特定波長帯の光を当て、その紫外光の吸収度からパルプ原料中に含有されるヘキセンウロン酸成分量を測定することが可能となった(特許文献2参照)。
【0011】
この測定方法はISO白色度の値が80%以上の高白色度領域のパルプ原料に対して有効な測定方法であり、また、漂白薬品として二酸化塩素水(ClO2)を使うECF(Elementary Chlorine Free)漂白工程だけでなく、漂白薬品として塩素元素成分を全く使わないTCF(Total Chlorine Free)漂白工程でも有効なヘキセンウロン酸成分量の測定方法である。尚、パルプ白色度の管理値であるISO白色度の値は100%を最大値として、パルプ漂白が進んでパルプ原料の白さが増して行くと共に、その値は増加していく。
【0012】
このセンサー開発により、パルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量分析が可能となったが、この測定原理を用いたオンラインの分光分析センサーを使って、パルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量の値を連続的に計測していくことにより、本明細書で目的とするパルプ原料の漂白制御に応用していくことが可能となった。
【0013】
また一方で、複雑なパルプ原料の漂白反応を、総合的に常に適切な状態となるよう管理していくため、漂白工程に自動漂白制御の機能を組み込んで行こうとする場合には、多変数制御手法の適用が不可欠となるが、その多変数制御に用いられる手法としては、近年、化学プラントに向いた制御手法として多用される「モデル予測制御」と呼ばれる制御機能が、広く知られている(特許文献1、非特許文献1、2を参照)。
【0014】
また、パルプ製造工程の中のECF漂白工程は、多段構成の複数の漂白塔からなる設備で実現されており、パルプ原料は、複数台ある漂白塔の中をゆっくり移動しながら、段階的に漂白反応が進行して行く。そして、パルプ原料の滞留時間は生産レートに伴なって変化するが、全体で3〜6時間の長い反応時間となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2010−255138号公報
【特許文献2】特開2008−266798号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】森芳立、川北真裕、西村淳、末吉一雄、「pH制御によるパルプ漂白工程での晒効率向上」、第52回自動制御連合講演会、大阪大学、2009年11月
【非特許文献2】川北真裕、森芳立、西村淳、「モデル予測制御を用いた晒白色度の多変数制御」、紙パ技協誌、Vol.61、No.3、2007年
【非特許文献3】森芳立、川北真裕、西村淳、末吉一雄、「紙パルプ漂白工程におけるモデル予測制御の適用と効果」、計装、Vol.50、No.6、2007年
【非特許文献4】Rick Van Fleet,“Spreading the Bleaching Load”,Honeywell,MPC in the Bleach Plant through the use of RMPCT,PAPTAC Control Systems2000/Workshop資料,2000年
【非特許文献5】Teuvo Peltomaki,“ECF漂白制御の最新技術”,Tappi 1998 Pulping Conference, Montreal .
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、各漂白塔内部で漂白薬品によって進行していくパルプ原料の漂白反応は、とても複雑な上に、漂白工程途中のpH値、パルプ原料中や洗浄ろ液中に残留する漂白薬品の残塩素濃度などの応答変数同士で、また、操作変数や応答変数間でも相互に干渉し合うものが多くあり、ECF漂白工程の運転は容易ではない。
【0018】
そのため、パルプ白色度の上昇に効果のある漂白薬品、ヘキセンウロン酸を分解する効果のある漂白薬品など、複数種類使われている漂白薬品の添加操作を自動化し、常に適切な形で行なっていけるようにしたいという課題があった。
【0019】
また、漂白プロセスの運転には熟練したオペレータによる管理操作が必要であるが、オペレータがプラントの運転操作に使うDCS装置において、DCS装置が持つPID制御機能だけで行なわれる運転には、自ずと制御性能面での限界が生じてくる。
【0020】
従って、このような漂白工程に対して、パルプ原料の目標品質に対する到達精度をできるだけ高め、かつ、製造コストを低減させる形で、効果的な制御運転を行なっていくことが期待されてくる。
【0021】
本発明は、このような課題に対してなされたもので、その目的は、パルプ原料を漂白する白色度制御において、漂白工程内に設置したパルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量を測定できるオンラインセンサーを使用して、白色度と共にヘキセンウロン酸の含有量を制御し、さらに、二酸化塩素他の漂白薬品の使用量を抑制可能な漂白工程の多変数制御方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、漂白工程の多変数制御方法であって、広葉樹パルプをECF漂白する工程において、制御変数として少なくともパルプ原料の白色度及びヘキセンウロン酸含有量に関わる数値を設定し、操作変数として少なくとも二酸化塩素、苛性ソーダ、他の複数の漂白薬品の添加率を設定して、モデル予測制御の手法を用いて制御することを特徴とする。
【0023】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の漂白工程の多変数制御方法において、前記パルプ原料中のヘキセンウロン酸含有量に関わる数値は、測定試料の230〜240nmの紫外光吸収度、又はJIS P 8206:1994で規定するK価であることを特徴とする。
【0024】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の漂白工程の多変数制御方法において、前記制御変数として、更に、パルプ原料のpH値及び残塩素濃度を含むことを特徴とする。
【0025】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の漂白工程の多変数制御方法において、前記制御変数として、更に、漂白塔の液面レベルを含むことを特徴とする。
【0026】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の漂白工程の多変数制御方法において、前記漂白薬品は、更に、過酸化水素水を含むことを特徴とする。
【0027】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の漂白工程の多変数制御方法において、前記制御変数の予測には伝達関数を用いることを特徴とする。
【0028】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載した漂白工程の多変数制御方法において、前記モデル予測制御における評価関数として、「制御変数の偏差量の総和」、「操作変数の操作変量の総和」、「添加する漂白薬品の総費用」の3つの合計値を用いて、この評価関数が最小となるように制御することを特徴とする。
【0029】
請求項8に記載の発明は、漂白工程の多変数制御装置であって、広葉樹パルプをECF漂白する製造装置において、制御変数として少なくともパルプ原料の白色度及びヘキセンウロン酸含有量に関わる数値を設定し、操作変数として少なくとも二酸化塩素、苛性ソーダ、他の複数の漂白薬品の添加率を設定して、モデル予測制御の手法を用いて制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、モデル予測制御機能を用いて、パルプ原料の白色度とパルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量の両品質を同時にコントロールしていくことにより、複数種類、使われている漂白薬品の添加量の配分の相互バランス状態が、自動的により適切な形で行なえるようになることにより、パルプ漂白に使われる総漂白薬品費を極限近くまで削減し、パルプ製造時の経済効果を実現していくことが可能となる。
【0031】
この運転操作を24時間連続して継続していく場合に常に必要とされる、複数種類からなる漂白薬品の各添加量の最適値の決定は、人間による運転ではかなり難しい操作判断であるが、モデル予測制御を用いた自動運転によれば、制御機能内部の最適化計算により正確に行なえるようになると共に、オペレータの操業負荷低減も同時に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例に係るクラフトパルプの多段漂白工程のフローを示す図である。
【図2】本発明の実施例のパルプ漂白制御に使用した設置センサーの設置例を示した表である。
【図3】本発明の多変数制御を用いたパルプ漂白制御の構成例について示す図である。
【図4】図3の構成に基づいて、モデル予測制御を適用したパルプ漂白制御の構成の具体例を示す図である。
【図5】(a)は、パルプ原料中のヘキセンウロン酸成分量と、精密分光装置による232nmの波長帯の紫外光を用いた時の「吸収度」の分布を示す図であり、(b)は、カッパー価計を用いて232nmの波長の光をパルプ原料に当てて測定された「吸収度」と、パルプ原料の「K価」の手分析値の分布状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0034】
本発明が制御対象とする漂白工程は、広葉樹のパルプ原料をECF漂白する工程であり、漂白薬品として、分子状塩素を使用せずに、例えば、二酸化塩素、オゾン、過酸化水素、過酸などを用いる漂白プロセスである。
【0035】
また、ECF漂白は多段で漂白され、例えば、二酸化塩素段(D段またはDと言うことがある)、オゾン段(Z段またはZと言うことがある)、アルカリ抽出段(E段またはEと言うことがある)、酸素添加アルカリ抽出段(Eo段またはEoと言うことがある)、過酸化水素添加アルカリ抽出段(Ep段またはEpと言うことがある)、酸素、過酸化水素添加アルカリ抽出段(Eop段またはEopと言うことがある)、過硫酸、過酢酸等の過酸段(Pa段またはPaと言うことがある)、酸処理段(A段またはAと言うことがある)などの各漂白段を組み合わせた漂白シーケンスを適用することができる。組み合わせる段数は目的に応じて適宜選択すれば良く、また、漂白効果を高めたい場合には漂白段数を増やせば良い。
【0036】
そして、ECF漂白における具体的な漂白シーケンスとして、D−E−D、Z−E−D、Z/D−E−D、D−Eo−D、Z−Eo−D、Z/D−Eo−D、D−Ep−D、Z−Ep−D、Z/D−Ep−D、D−Eop−D、Z−Eop−D、Z/D−Eop−D、Pa−D−Ep−D、D−Ep−D−Pa、D−Eop−D−Pa、A−D−Eop−D、A−Z−Eop−D、A−Z/D−Eop−Dなどがある。
【0037】
そして、二酸化塩素漂白での漂白条件、オゾン漂白での漂白条件、オゾン/二酸化塩素漂白での漂白条件、アルカリ抽出での抽出条件、酸素添加アルカリ抽出での抽出条件、酸素過酸化水素添加アルカリ抽出での抽出条件、過酸漂白での漂白条件は特に限定されるものではなく、目的に応じて、適宜変更することができる。
【0038】
本発明は、上記のようなECF漂白において、漂白パルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量をオンラインで測定するセンサーを制御対象の漂白プロセスの中に設置し、この計測値を多変数制御である「モデル予測制御」の制御変数の中に取り込み、他の制御変数と共に漂白コントロールを総合的に実行していく漂白工程の多変数制御方法及びその装置である。これにより、漂白工程で製造されたパルプ原料が紙製品になった時に、褪色トラブルを起こさない範囲で、ヘキセンウロン酸を分解する働きがあるが高価な「二酸化塩素水(ClO2)」の添加率を抑え、ヘキセンウロン酸を分解する働きはないが安価な「過酸化水素水(H22)」の添加率を高めることが可能になる。
【0039】
さて、クラフトパルプでは、紙の原料となる木材チップに苛性ソーダ(NaOH)、硫化ソーダ(Na2S)などからなる蒸解薬液を添加して、高温高圧の連続蒸解釜の内部での蒸解反応によって作られるが、出来上ってくるクラフトパルプは濃い茶褐色をしている。そのため、ECF(Elementary Chlorine Free)漂白工程と呼ばれるパルプ漂白工程で、パルプ原料が所定の白色度となるよう、ECF漂白の処理をしていく。
【0040】
従来のパルプ製造工程の中の漂白工程でのコントロールでは、パルプ原料の白色度を管理するパルプ白色度制御だけが着目されていたが、本発明のECF漂白工程のコントロールでは、このパルプ白色度の値の管理に加えて、パルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量の値についても、多変数制御により管理してコントロールしていく。
【0041】
つまり、パルプ白色度以外の品質管理項目として、「ヘキセンウロン酸成分の含有量」をさらに追加して、パルプ原料中に含まれるヘキセンウロン酸の含有量の多寡についても同時に管理していくことにより、そのパルプ原料が紙製品となった後に、発生することがある紙の褪色トラブルを未然に防ぐことができるようにする。
【0042】
また、制御手法としては、多変数制御の中で広く用いられている「モデル予測制御(MPC:Model Predictive Control)」を適用し、本発明では、この制御手法を用いた漂白制御システム全体の構成方法を提供する。
【0043】
現在、オンラインのヘキセンウロン酸成分含有量測定センサーとして、例えば、メッツォオートメーション(株)社製の分光センサーを使用することにより、そのパルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量を測定することができる(特許文献2を参照)。
【0044】
この分光センサーで測定する紫外光領域の230〜240nmの特定波長帯の光に対するヘキセンウロン酸成分による「吸収度」は、従来からパルプ製造工程の操業現場においてパルプ原料の蒸解反応の進行度合いの指標となるリグニン成分含有量を判定するための品質管理法に使われてきた滴定操作による手分析測定値である「K価(JIS P 8206:1994に依存)」の値と良い比例関係にあることが判っている。
【0045】
そのため後述する多変数漂白制御に際しては、分光センサーによる「吸収度」の値を用いても、或いは、操業現場でリグニン成分含有量の指標として使われてきた手分析測定値による「K価」で代用しても良い。尚、「K価」による測定値は、パルプ原料中のリグニン成分とヘキセンウロン酸成分の両成分の含有量が混合成分として足し合わされた指標値に該当することが判っている。
【0046】
参考に、図5(a)にパルプ原料中のヘキセンウロン酸成分量と、精密分光装置による232nmの波長帯の紫外光を用いた時の「吸収度」の関係を示す。また、図5(b)に、上述したオンラインセンサーであるカッパー価計を用い、同様の232nmの波長の光をパルプ原料に当てて測定された「吸収度」と、パルプ原料の「K価」の手分析値の関係を示すが、これらは、いずれも良い比例関係を示している。
【0047】
尚、「吸収度」の値や「K価」の値が小さくなるに伴いパルプ原料中に残留しているヘキセンウロン酸成分の含有量は減少して行く。逆に、これらの値が大きくなるとパルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量は増加して、そのパルプ原料が紙製品となった時点で、褪色トラブルの問題を引き起す危険性が高まることになるが、このヘキセンウロン酸成分の含有量を「K価」の値で管理して行く場合には、この値の許容値として、例えば、1.1以下となるように管理して行くことにより褪色トラブルが回避できる。
【0048】
尚、ヘキセンウロン酸成分の含有量を測定するオンラインセンサーを使用する代わりに、他の操作変数や制御変数からパルプ原料中の該成分の含有量を推定できるソフトセンサーの機能を備えることにより、ヘキセンウロン酸成分の含有量の推定値を用いることで代用しても良い。
【0049】
モデル予測制御を用いて、パルプ漂白工程の自動化を実現していくためには、特に、二酸化塩素水と過酸化水素水の両方の漂白薬品の添加率の相互バランスに注意して、最終のパルプ白色度とパルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量の両方が規定範囲に入るように管理していくことが重要である。また、漂白時に過酸化水素水を使わずに、二酸化塩素水だけ単一の漂白薬品を用いてパルプ原料の漂白を行なっていく場合もあるが、その場合にも最終のパルプ白色度とパルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量の両方に注意して、共に規定の範囲に入るように管理していくことが同様に重要である。
【0050】
モデル予測制御による漂白制御の実現には、例えば、図3に示したように、「制御変数(CV値:Controled Variable)」、「外乱変数(DV値:Disturbance Variable)」、そして、「操作変数(MV値:Manipulated Variable)」で構成される複数の伝達関数モデルからなる制御機能を組み込んでいくが、本発明では、操作変数(MV値)の中に、少なくとも一台のヘキセンウロン酸成分の含有量を測定する「オンラインセンサー」か、或いは、その測定センサーの代替となる「ソフトセンサー」機能のいずれかを含み、制御変数(CV値)には、例えば「二酸化塩素水(ClO2)」の添加率、「過酸化水素水(H22)」等の添加率を含むことを特徴とする。
【0051】
また、多変数制御であるモデル予測制御の機能において、複数の制御操作量を決定する際に用いる「評価関数」には、通常、行なわれるように、制御端としている変数の制御偏差量の総和、操作端としている操作変数の操作変量の総和、それにさらに加えて、例えば、漂白工程において添加される主要薬品(二酸化塩素水、過酸化水素水、苛性ソーダ薬液、酸素ガス等)の総薬品コストの、全合計値を最小にする形態を持つように組込んで行けば良い。
【0052】
次に、本発明の実施形態について、ECF漂白のD−Eop−Dの漂白シーケンスに対して多変数制御を行なった例について詳細に説明する。尚、本発明は本例に限定されるものではなく、その他のECF漂白シーケンスの場合であっても、本発明の技術的思想に基づき、制御していくことが可能である。
【0053】
図1に本願発明の実施形態に係るクラフトパルプの多段漂白工程のフローを示す。
【0054】
木材チップを原料にして、クラフトパルプ連続蒸解釜内部の蒸解反応で作られたクラフトパルプは濃い茶褐色をしている。図1の中には示していないが、この蒸解パルプ原料に洗浄処理、精選処理が施された後、パルプ原料は図1の左側に示している酸素晒搭に送られる。酸素晒搭では、パルプ原料中に酸素ガス(O2)が注入され、高温高圧下でECF漂白の前処理となる酸素漂白処理が行なわれる。
【0055】
次に、プレス装置でパルプ原料を洗浄脱水処理した後、パルプ原料は、再度、晒フィルターで洗浄されてスタンドパイプに落とされる。スタンドパイプを出たパルプ原料には、漂白薬品である強酸性の二酸化塩素水(ClO2)が添加された後、ECF多段漂白工程の最初に設置されているD0搭(D段)に入り、二酸化塩素水によって、蒸解パルプ中に残留している木材由来の着色化学物質であるリグニン成分を酸化分解する形で第一段目の漂白反応が進行する。尚、D0塔内でのパルプ原料の漂白反応に費やす滞留時間は、通常の生産量の場合、1時間程である。
【0056】
また、D0塔流入時のパルプ原料の白色度は、ISO白色度で40%程の薄茶色であるが、D0段を出たパルプ原料の白色度は73%程に上昇し、かなり白くなってくる。尚、白色度の値は100%を最大値として、パルプ漂白が進んでパルプ原料の白さが増して行くと共に、その値は大きくなっていく。
【0057】
D0搭を出たパルプ原料は、再度、D0フィルターで洗浄した後、苛性ソーダ(NaOH)薬液が添加されてスタンドパイプに落とされる。
【0058】
その後、スタンドパイプを出た後、パルプ原料に、さらに、過酸化水素水(H22)、そして、酸素ガス(O2)が添加された後、パルプ原料は第二段目のEop搭(Eop段)に入る。
【0059】
Eop搭では、パルプ原料はダウンフローの状態で1時間程をかけて、D0段で酸化分解したリグニン成分をアルカリ抽出反応により抽出除去していくと共に、酸素ガスによって漂白反応をさらに進める。尚、Eop塔を出たアルカリ抽出反応後のパルプ原料の白色度は、D0搭を出た時より一般に少し低下して72%程になる。
【0060】
また、このEop段では、Eop塔内のパルプ原料の液面レベルを測定し、液面レベルが所定のレベルに維持されるようにEopフィルター送り量を調整する。これにより、原料の滞留時間を一定に保ち、Eop塔内でのパルプ原料の漂白反応時間が変動しないようにする。
【0061】
Eop搭を出たパルプ原料は、再び、Eopフィルターで洗浄され、スタンドパイプに落とされた後、再度、二酸化塩素水(ClO2)が添加され、漂白工程の第三段目、最終段である置換晒搭のD1段に入る。ここで約1時間、最後の漂白反応を受けて多段漂白の全漂白工程が終了する。尚、D1段出の最終のパルプ白色度は、ここでは84%程で管理している。
【0062】
尚、生産量により各漂白塔での原料滞留時間は大きく変化するが、通常の生産量の場合でも合計3時間程の長い反応時間をかけて全漂白工程での反応が進行する。そして、でき上ったパルプ原料は、大容量のクッションチェストに貯められ、最終的に、紙を製造する抄紙機工程に送液されていく。
【0063】
次に、この漂白設備に設置されているセンサーについて説明する。
【0064】
D0搭の入り側に、パルプ原料の白色度を連続的にオンライン測定する光学式の白色度計を1台(101−1)、そして、出側にも1台(101−2)設置している。さらに、Eop搭の出側に、オンラインでパルプ原料の白色度を測定する白色度計(101−3)を設置、そして、置換晒搭の出側に最後のオンライン白色度計(101−4)を設置して、各漂白塔入り側と出側において漂白されて行くパルプ原料の白色度値を監視できるようにしている。
【0065】
また、D0搭の入り側に、漂白工程に流入してくるパルプ原料中のリグニン含有量の指標となるカッパー価をオンラインで測定する分光方式のカッパー価計(102)が1台設置され、Eop搭の出側には、パルプ原料中に残留するヘキセンウロン酸成分の含有量をオンラインで測定する分光方式の測定センサーが1台(103−1)、そして、置換晒搭の出側にも、パルプ原料中に残留するヘキセンウロン酸成分の含有量をオンラインで測定するセンサー(103−2)をもう1台設置して、紙の褪色トラブルが、先々、発生することがないよう、パルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量の値を監視できるようにしている。
【0066】
その他、漂白工程の随所に、pH計、温度計、流量計、そして、パルプ原料中に残留する漂白薬品由来の塩素濃度成分を測定するオンラインの残塩素濃度計などを設置しているが、それらセンサーの構成の詳細説明については省略する。尚、図2に、本発明の漂白工程の漂白制御に使用したセンサーの設置例について表にしてまとめて示した。
【0067】
尚、実際にこれらのセンサーを設置する代わりにソフトセンサーの機能を用いることも可能である。ソフトセンサーは、測定されたパルプ原料の「白色度」、「ヘキセンウロン酸成分の含有量」の手分析の値と、その結果値に関わった時間帯の、複数の操作変数や制御変数のプロセス値を用いて、統計解析などから求められた重回帰式などを使って推定する形態で実現することができる。
【0068】
また、図3に、本発明の多変数制御を用いた漂白制御の構成例の概要について示す。多段漂白の各漂白段に、モデル予測制御を適用していく際の、「操作変数(MV値:Manipulated Variable)」、「制御変数(CV値:Controled Variable)」、そして、「外乱変数(DV値:Disturbance Variable)」に取込む変数の一例について示している。
また、図4に、この図3の構成に基づいて、モデル予測制御を適用した漂白制御の構成の具体例を示した。最上段の各列に各漂白段での「制御変数(CV値:Controled Variable)」を示し、左側の各行に各漂白段での「外乱変数(DV値:Disturbance Variable)」、そして、「操作変数(MV値:Manipulated Variable)」を示している。
【0069】
尚、ここでは12行×11列ある行列の合計131マスある中の内、実プロセスでのステップ応答テストを通して得られたプロセスデータを用いたシステム同定解析によって、必要であった合計27マスに対して伝達関数を求めたが、それぞれの制御応答は、ここでは、主に「むだ時間+一次遅れモデル」で表した伝達関数を使用している。
【0070】
伝達関数の式の中に現れる各数値の「Aij」、「Lij」、「Tij」は、実プロセスでのステップ応答テストから得たプロセスデータを用いて、システム同定解析から統計的に求められた値である。「Aij」は、操作する「i変数」を変化させた時に応答した「j変数」が変化する比率である「定常ゲイン」の値を示し、同様に、「Lij」はその時の「むだ時間」の値を、「Tij」はその時の「時定数」の値を表している。
【0071】
尚、図4では、横方向の制御変数(CV値)の4列目と11列目に、パルプ原料中の「ヘキセンウロン酸成分の含有量」の変数値、および、1列目、6列目、10列目に「パルプ白色度」の変数値を組み込んでいる。また、縦方向の操作変数(MV値)の4行目、12行目に、「二酸化塩素水」の添加率、および9行目に、「過酸化水素水」の添加率の変数値を組み込んでいる。
【0072】
また、制御操作量を決定する際に用いる「評価関数」として、ここでは、モデル予測制御で一般に行なわれているように、制御端の制御偏差量の総和、操作端の操作変数の操作変量の総和、および、漂白工程において添加される主要薬品(本実施形態では、二酸化塩素水、過酸化水素水、苛性ソーダ薬液)の総薬品コストの合計値を用いる。正確には、モデル予測制御の評価関数における制御端の制御偏差量の総和値として、各偏差量を二乗した上で、各項の値に適切な重みの値を乗じた値、そして、操作端の操作変数の操作変量の総和値としても、各操作端の操作変更量を二乗した上で、各項の値に適切な重みの値を乗じた値を計算し、それらの値を全て足し合わせた値を用いている。また、主要薬品の総薬品コストに関しては、各薬品の添加流量に、それぞれの薬品単価を乗じた値を算出して全て足し合わせて算出する。そして、本発明では、このような評価関数の値を最小にするように操作変数をコントロールしていく。
【0073】
以上述べた漂白制御モデルを、モデル予測制御のシステムとして、実際の漂白プラントに組み込み、各種センサーで測定された値に基づいて、操作端である各操作変数の操作量をモデル予測制御機能で決定して、実機での漂白制御を実行していった。
【0074】
制御効果を、下表(表1)に示す。ここでは、手動運転時と本発明のモデル予測制御による漂白制御時の制御効果について比較するため、最終白色度の平均値と標準偏差、そして、最終のパルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量の平均値と標準偏差の統計値を示した。尚、この表1の中の「漂白完了後のパルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量(K価での管理の場合)」の数値は、オンラインセンサーにより吸光度を測定して、図5(b)の表に示した相関により、K価に変換した数値である。
【0075】
【表1】

【0076】
表1によれば、パルプ原料の最終白色度の標準偏差(1σ)の値は、手動運転時の値の0.308に対して、自動コントロール時には0.290の変動となり、わずかだが向上した。
【0077】
また、パルプ原料中の最終のヘキセンウロン酸成分の含有量の値は、紙製品で褪色トラブルが起こらないよう管理して行くためには、上記のK価の値を、例えば1.1以下に押さえる必要がある。
【0078】
この場合、モデル予測制御を用いた本発明での自動コントロール時には、主要な漂白薬品である二酸化塩素水の一部を、パルプ原料の白色度を上昇させる効果は持つがパルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量を下げる効果は持たない過酸化水素水に自動的に振替えていく制御動作になり、その結果、手動運転による操作時に十分に余裕があったパルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量の平均値0.99(K価での管理の場合)に対して、モデル予測制御時のパルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量(K価での管理の場合)は1.03へと0.04増えたが、K価値の上限制約値であった1.1以下の条件にはまだ十分に余裕幅が確保されている。
【0079】
また、トータル漂白薬品費においては、上述したようなモデル予測制御を用いた自動運転による漂白薬品間の添加量の振替え操作により、約0.07円/パルプkgのコストダウンが認められた。これは小さな減少幅にも思われるが、対象プラントの生産量を考慮して計算すると年間約1,500万円の大きなコストダウンとなる。
【0080】
手動運転では、紙製品の褪色トラブルの発生を避けるため、パルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量に安全を持たせて必要以上に目標値を下げることがあり、そのため、高価な漂白薬品が多添加の傾向となり、トータル漂白薬品費を高くしてしまうことがある。
【0081】
一方、本発明のモデル予測制御を用いた漂白制御では、最終的なパルプ原料の白色度とパルプ原料中のヘキセンウロン酸成分の含有量の両方の品質条件を満たした上で、さらに経済運転を行っていくこと、すなわち、紙の褪色トラブルを起こさない範囲で、ヘキセンウロン酸を分解する働きがあるが高価な「二酸化塩素水(ClO2)」の添加率を抑え、ヘキセンウロン酸を分解する働きはないが安価な「過酸化水素水(H22)」の添加率を高めた極限的なコントロール動作を、安全に自動運転で実行していくことが可能となる。
【符号の説明】
【0082】
101 白色度計
102 カッパー価計
103 ヘキセンウロン酸分析計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広葉樹パルプをECF漂白する工程において、
制御変数として少なくともパルプ原料の白色度及びヘキセンウロン酸含有量に関わる数値を設定し、操作変数として少なくとも二酸化塩素、苛性ソーダ、他の複数の漂白薬品の添加率を設定して、モデル予測制御の手法を用いて制御することを特徴とする漂白工程の多変数制御方法。
【請求項2】
前記パルプ原料中のヘキセンウロン酸含有量に関わる数値は、測定試料の230〜240nmの紫外光吸収度、又はJIS P 8206:1994で規定するK価であることを特徴とする請求項1に記載した漂白工程の多変数制御方法。
【請求項3】
前記制御変数として、更に、パルプ原料のpH値及び残塩素濃度を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載した漂白工程の多変数制御方法。
【請求項4】
前記制御変数として、更に、漂白塔の液面レベルを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載した漂白工程の多変数制御方法。
【請求項5】
前記漂白薬品は、更に、過酸化水素水を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載した漂白工程の多変数制御方法。
【請求項6】
前記制御変数の予測には伝達関数を用いることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載した漂白工程の多変数制御方法。
【請求項7】
前記モデル予測制御における評価関数として、「制御変数の偏差量の総和」、「操作変数の操作変量の総和」、「添加する漂白薬品の総費用」の3つの合計値を用いて、この評価関数が最小となるように制御することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載した漂白工程の多変数制御方法。
【請求項8】
広葉樹パルプをECF漂白する製造装置において、
制御変数として少なくともパルプ原料の白色度及びヘキセンウロン酸含有量に関わる数値を設定し、操作変数として少なくとも二酸化塩素、苛性ソーダ、他の複数の漂白薬品の添加率を設定して、モデル予測制御の手法を用いて制御することを特徴とする漂白工程の多変数制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−7135(P2013−7135A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140458(P2011−140458)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000122298)王子ホールディングス株式会社 (2,055)
【出願人】(000191320)王子エフテックス株式会社 (79)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】