説明

漂白抵抗性を有するナイロン絨毯の繊維

本発明はi)ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリカプロラクタムおよびそれらの混合物から選択されるポリアミド成分、並びにii)ナイロン11成分、を有する微細に分散された溶融配合重合体アロイのナイロン糸に関し、ここでポリアミド成分が総溶融配合重合体重量の主要成分であり、そしてポリアミド成分が96%の硫酸中で測定される時に約2.6IV以上の粘度を有する。生成されるナイロン糸は改善された漂白抵抗性を示す。本発明はまた、糸および、前記の糸を含んでなるナイロン絨毯を製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少量の、適度に長鎖のポリアミドを含む溶融体形態にアロイ化された、高粘度のポリヘキサメチレンアジパミド、高粘度のポリカプロラクタムおよびそれらの混合物から形成される漂白抵抗性の絨毯の糸に関する。本発明はまた、着色された、または染色された、あるいは着色しそして染色された、並びに前記染料と顔料の漂白に抵抗性のような糸に関する。
【背景技術】
【0002】
ナイロンを含むポリアミド繊維は、敷物および絨毯を含むタフト商品の製造のための重要な材料であると考えられる。それらの主要な利点には、広範な色彩に染めることができ、そして使用の環境条件に応じて、何年も、そして数十年にわたってすら、それらの最初の外観を保持することができる耐久性で、均一な商品に製造されるそれらの適合性がある。天然繊維、例えば羊毛に比較して、一般にナイロンと呼ばれるポリアミドを含む溶融紡糸合成繊維の一つの利点は、それらが繊維の全断面にわたり、顔料により着色されることができる点である。それに対し、染料は局所的に適用され、そして繊維全体に浸透することができない。
【0003】
ポリアミドは全般的に、染色されても着色されても、染色可能なアミン官能基を含み、そして、更なる染色および染みを防止するために、絨毯が染色された後に、このようなアミン基の利用性を制限するための多数の進歩が実施されてきた。しかし、本発明までは、有機染料と顔料で着色されたナイロン糸で製造された絨毯は、塩素漂白剤のような強酸化剤を含む強洗浄剤に曝露することにより容易に染みが付けられた。有機染料と顔料は全般的に強酸化剤に非耐容用性であるために、これは容易に理解される。前記のように、染料は局所的に適用され、そのために酸化に幾らか多く曝露される傾向があるために、染料は顔料より、酸化に更に感受性である傾向がある。
【0004】
以前に言及されたように、ポリアミドの絨毯の糸の重要な態様は、今日販売される多数のスタイルのナイロン絨毯を創作するために、様々な色彩に、深くそして均等に染められ、そして着色されるそれらの性能である。しかし、ナイロン絨毯上に使用される多数の染料と顔料は塩素漂白剤のような酸化剤に非耐容性であり、希薄漂白剤溶液に対する短時間の曝露ですら、恒久的な薄色の染みを形成する可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
劣化を伴わずにこのような処理に耐える能力は全般的に望ましく、そして強度な洗浄剤と消毒剤がしばしば使用される学校、病院等のような公共的場所に特に望ましい。更に、このような適用において漂白抵抗性は極めて望ましいが、絨毯の摩耗動態が何か重要な方法で妥協される場合には、このような抵抗性はほとんど価値をもたない。
【0006】
外観の保持が、ナイロン糸の本質的態様および、それが完成絨毯に与える、より高い価値であるために、漂白抵抗性をも持ちながら、優れた摩耗動態を示す改善されたナイロン糸が極めて望ましい。
【0007】
本発明に従うと、ポリアミドの糸には、適度に長鎖のポリアミドの少量成分との、高粘度のポリヘキサメチレンアジパミド、ポリカプロラクタムまたはそれらの混合物の主要成分の溶融相中での組み合わせにより、高粘度ポリヘキサメチレンアジパミドおよび/またはポリカプロラクタムの重合体マトリックス中に微細に分散されたアロイを形成することにより、他の糸の特性の有意な妥協を伴わずに、漂白剤のような酸化剤に対する様々な程
度の抵抗性が提供され得ることが見いだされた。本発明の糸により、そして更に漂白に感受性の染料で染色された後の同一の糸により、改善された漂白抵抗性が示される。
【0008】
一つの態様において、i)ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリカプロラクタムおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるポリアミド成分(ここでポリアミド成分が96%硫酸中で測定される時に約2.6IV以上の粘度を有し、そして総溶融配合重合体の重量の主要成分である)、並びにii)ナイロン11成分、を含んでなる、微細に分散された溶融配合重合体アロイを含んでなるナイロン糸が開示される。ポリアミド成分は総溶融配合重合体の約98重量%〜約65重量%で存在することができ、そしてナイロン11成分が、ポリアミド成分により包囲されているがそれに溶解されてはいない、別々に検出可能な領域内に分散されている。
【0009】
他の態様において、ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミドおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるポリアミド成分を、ナイロン11成分とともに、混合ヘッドを伴う二軸スクリューまたは一軸スクリュー押し出し機のいずれかよりなる押し出し工程において溶融配合して、微細に分散された溶融配合重合体アロイを形成し;溶融配合重合体アロイを、紡糸口金を通して押し出してフィラメントを形成し;そしてフィラメントを糸に集束し、そして糸を巻き取る工程:を含んでなる、ナイロン糸を製造する方法が開示され、ここで、ポリアミド成分が溶融配合重合体アロイの少なくとも約65重量%を含んでなり、そして更に、ポリアミド成分が96%硫酸中で測定される時に約2.6IV以上の粘度を有し、ナイロン11成分が、ポリアミド成分により包囲されているがそれに溶解されてはいない、糸の別々に検出可能な領域内に留まる。
【0010】
更なる態様において、ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミドおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるポリアミド成分をナイロン11成分と溶融混合して、微細に分散された溶融配合重合体アロイを形成し;溶融配合重合体アロイを、紡糸口金を通して押し出してフィラメントを形成し;そしてフィラメントを糸に集束し、糸を延伸し、糸をバルキー加工し、糸を巻き取り、糸を絨毯にタフト処理し、そして場合により絨毯を染色する工程を含んでなる、漂白抵抗性のナイロンの絨毯を製造する方法が開示され、ここでポリアミド成分が96%硫酸中で測定される時に約2.6IV以上の粘度を有し、そして糸のナイロン11成分が、ポリアミド成分により包囲されているがそれに溶解されてはいない、別々に検出可能な領域内に分散されている。
【0011】
更に他の態様において、ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミドおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるポリアミド成分をナイロン11成分および少量の着色された重合体成分と溶融混合して、微細に分散された、着色された溶融配合重合体アロイを形成し;溶融配合重合体アロイを、紡糸口金を通して押し出してフィラメントを形成し;そしてフィラメントを糸に集束し;糸を延伸し;糸をバルキー加工し;糸を巻き取り;糸を絨毯にタフト化し;そして場合により絨毯を染色する工程を含んでなる、着色された、漂白抵抗性のナイロンの絨毯を製造する方法が開示され、ここでポリアミド成分が96%硫酸中で測定される時に約2.6IV以上の粘度を有し、そして糸のナイロン11成分が、ポリアミド成分により包囲されているがそれに溶解されてはいない、別々に検出可能な領域内に分散されている。
【0012】
まだ更なる態様において、i)ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミドおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるポリアミド成分、並びにナイロン11成分を含んでなる、微細に分散された溶融配合重合体アロイを含んでなるポリアミドの糸、並びにii)絨毯の裏材:を含んでなる漂白抵抗性ナイロン絨毯が開示され、ここで、ポリアミド成分が96%硫酸中で測定される時に約2.6IV以上の粘度を有し、そして糸のナイロン11成分が、ポリアミド成分により包囲されているがそれに溶解されてはいない、
別々に検出可能な領域内に分散されている。
【0013】
ポリアミドの糸は着色され、染色され、またはそれら両方を実施することができる。更に、ナイロンの絨毯は染色することができ、着色されたナイロンを含むことができ、または染色されそして着色されたナイロンを含むことができる。前記のポリアミドの糸およびナイロンの絨毯は、ナイロン11成分を含まないポリアミドの糸およびナイロンの絨毯に比べて改善された漂白抵抗性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1a−1b】図1aおよび1bはナイロン6,6+ナイロン11(10重量%)の重合体アロイと、ナイロン6+ナイロン11(10重量%)の重合体アロイの形態を示す。
【図2】図2は漂白前の、ナイロン6+10%ナイロン6,10、16%ナイロン6,10、および10%ナイロン11のニットソックスそれぞれの融点DSC曲線を示す。
【図3】図3は漂白の4時間後の、ナイロン6+10%ナイロン6,10、16%ナイロン6,10、および10%ナイロン11それぞれのニットソックスの融点DSC曲線を示す。
【図4】図4は漂白の24時間後の、ナイロン6+10%ナイロン6,10、16%ナイロン6,10、および10%ナイロン11それぞれのニットソックスの融点DSC曲線を示す。
【図5a−5b】図5aおよび5bはナイロン6+10%ナイロン6,10および10%ナイロン11それぞれの融点DSC曲線を示す。
【図6】図6はナイロン6,6の融点DSC曲線を示す。
【図7】図7はナイロン6,6+10%ナイロン11の融点DSC曲線を示す。
【発明の詳細な説明】
【0015】
i)ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリカプロラクタムおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるポリアミド成分、並びにii)ナイロン11成分、を含んでなる、微細に分散された溶融配合重合体アロイを含んでなるナイロン糸が開示され、ここでポリアミド成分が96%硫酸中で測定される時に約2.6IV以上の粘度を有し、そして総溶融配合重合体の重量の主要成分である。糸のナイロン11の少量成分は、ポリアミド成分により包囲されているがそれに溶解されてはいない、別々に検出可能な領域内に分散されており、そして総溶融配合重合体の約2重量パーセント〜約35重量パーセントの範囲内、例えば総溶融配合重合体の約5重量パーセント〜約20重量パーセントの範囲内、または総溶融配合重合体の約10重量%を含む、約10重量パーセント〜約20重量パーセントの範囲内の濃度で存在することができる。ポリアミド成分の粘度は96%硫酸中で測定される時に約2.6IV〜約4IV、例えば96%硫酸中で測定される時に約2.7IV〜約3.5IVまたは約3.0IV〜約3.4IVの範囲内にあることができる。ポリアミド成分の粘度はまたRVとして測定することができ、ギ酸中で測定される時に約55RV以上であり、例えばギ酸中で測定される時に約55RV〜約90RV、例えばギ酸中で測定される時に約60RV〜約80RVまたは約60RV〜約75RVの範囲内にあることができる。ナイロン糸は更に染料(例えば酸性染料または分散染料)、顔料(例えば有機顔料)、または双方を含むことができる。
【0016】
更に、ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミドおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるポリアミド成分を、ナイロン11成分とともに押し出し工程におい
て溶融配合して微細に分散された溶融配合重合体アロイを形成し;溶融配合重合体アロイを、紡糸口金を通して押し出してフィラメントを形成し;そしてフィラメントを糸に集束して、糸をまきとる工程:を含んでなるナイロン糸を製造する方法が開示され、ここで、ポリアミド成分が溶融配合重合体アロイの少なくとも約65重量%を含んでなり、そして更に、ポリアミド成分が96%硫酸中で測定される時に約2.6IV以上の粘度を有する。溶融配合重合体アロイは更に、顔料(例えばポリアミド成分中に含まれることができる有機顔料)、ナイロン11成分、または着色されたナイロン糸を形成するために使用されるような、溶融前に着色ペレットの形状で供給される更なる重合体の少量成分、を含むことができる[例えばAnton等に対する米国特許第5,830,572号明細書を参照されたい]。顔料はまたナイロン6の着色重合体であることもできる。その方法は更に、糸を延伸し、バルキー加工を実施する工程を含むことができる。その方法は更に、例えば、その染料が酸性染料または分散染料である、糸を染色する工程を含むことができる。
【0017】
押し出し法は、適度に高い剪断混合を与える混合ヘッドを有する一軸または二軸スクリュー押し出し機を使用して実施することができる。適度に高い剪断混合はポリアミド成分中へのナイロン11成分の微細な分散を可能にする。
【0018】
ナイロン11は総溶融配合重合体の約2重量パーセント〜約35重量パーセントの範囲内、例えば総溶融配合重合体の約5重量パーセント〜約20重量パーセントの範囲内、または、総溶融配合重合体の約10重量%を含む、約10重量パーセント〜約20重量パーセントの範囲内の濃度で存在することができる。ポリアミド成分の粘度は96%硫酸中で測定される時に約2.6IV〜約4IV、例えば96%硫酸中で測定される時に約2.7IV〜約3.5IVまたは約3.0IV〜約3.4IVの範囲内にあることができる。ポリアミド成分の粘度はまたRVとして測定することができ、ギ酸中で測定される時に約55RV以上であり、例えばギ酸中で測定される時に約55RV〜約90RV、例えばギ酸中で測定される時に約60RV〜約80RVまたは約60RV〜約75RVの範囲内にあることができる。
【0019】
本発明の方法において、少なくとも2種の重合体、主要ポリアミド成分(第1)および少量(第2)のナイロン11重合体成分が押し出し機中に供給され、溶融され、そして溶融体形態で混合されて重合体アロイを形成する。溶融体形態において成分が一緒に過ごす総時間が適切に短く、約20分間未満を含む、約30分間未満であり、そして更に主要成分の重合体粘度が溶融温度の少量成分の粘度より高く、そして押し出し法が主要成分内に少量成分の分散を提供するのに十分な剪断を使用して実施される場合は、主要および少量重合体成分の前配合、並びに一方または双方の重合体成分のサイドストリームの添加が、固体形態における同時供給に対する適切な代替法である。
【0020】
一例(BerstorffタイプZE40)において、ナイロン6,6とナイロン11の重合体アロイを形成するのに十分な剪断を使用して重合体混合物を溶融混合するために、複数の混合要素を含む、二葉構造をもつ、40mmの二軸スクリュー押し出し機が使用された。押し出し機のスクリュー速度は190rpmに設定され、温度プロファイルはその供給口で230℃、そして放出口で285℃に設定された。主要ポリアミド成分の、60(RV)の相対粘度をもつナイロン6,6重合体と、少量成分のナイロン11のペレット(BESNO等級ポリアミド11、Arkemaから販売)を押し出し機のスロート中に同時供給した。溶融重合体アロイが押し出し機内に形成され、押し出し機のポンプ区域によりブースターポンプを通して移動ライン中に押し出された。溶融重合体混合物は移動ラインを通して紡糸ポンプに、次に十分な圧力下のフィルターパックおよび紡糸口金に運搬されて、重合体フィラメントを形成した。重合体フィラメントは空中で急冷され、潤滑仕上げ物で被覆され、延伸、バルク加工、織編され(interlaced)、そして紙のチューブ上に巻き取られた。
【0021】
次に、場合により加撚およびヒートセットを含む糸の加工を実施し、次に、タフト化、染色および仕上げが続くことができる。
【0022】
2種のポリアミド成分のランダムな共重合体を形成せずに、大部分のナイロン重合体成分中に、適度に長鎖のポリアミドの有効に配合された混合を提供して重合体アロイを形成するために、混合効率、溶融時間および溶融温度それぞれが制御される。ランダム共重合体は、バルクの回復、すなわち押し潰し後の「跳ね返り」に対する絨毯の能力、のような重要な、望ましい物理的特性に直接関連する利点の、重合体全体のより低い配向性(orientation)および結晶性、を有する傾向があるために、これは絨毯の糸に対して重要である。高い押し潰し回復性をもつ絨毯に使用される糸の少量成分の約10〜20%の範囲を有する組成物に対する外観保持の結果は以下に示される。
【0023】
押し出し機のサイズと種類は、押し出し機と紡糸口金の間の停滞時間および押し出し機のスクリュー上または紡糸口金に運搬する経路中のいずれかの混合要素の性状に関する、記載された工程の変数に実質的に影響を与える。不適切な混合は低い分散および不均一な糸の品質をもたらし、そして更に糸の繊維の長さに沿った不整合により誘発される脆弱性による、低い紡糸性および加工性をもたらす可能性がある。あるいはまた、溶融相中の過剰な熱および時間はアミン基転移および物理的特性の喪失をもたらす可能性がある。従って、溶融相においては、サイズの大きすぎる重合体移動ラインの配管を含む、非押しのけ容量または「非使用」容量は回避しなければならない。
【0024】
更に、ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミドおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるポリアミド成分をナイロン11成分と溶融混合して、溶融配合重合体アロイを形成し;溶融配合重合体アロイを、紡糸口金を通して押し出してフィラメントを形成し;フィラメントを糸に集束させ;糸を延伸し;糸をバルキー加工し;糸を巻き取り;糸を絨毯にタフト化し;そして場合により絨毯を染色する工程:を含んでなる、漂白抵抗性のナイロンの絨毯を製造する方法が開示され、そこで、ポリアミド成分が96%の硫酸中で測定される時に約2.6IV以上の粘度を有し、そして糸のナイロン11成分が、ポリアミド成分により包囲されているがその中に溶解されてはいない、別々に検出可能な領域中に分散されている。溶融配合重合体アロイは更に溶融配合重合体アロイ内の少量重合体成分として、顔料、例えば有機顔料を含むことができる。絨毯は染料、例えば酸性染料または分散染料で染色することができる。その方法は更に染み抵抗性化学薬品および/または汚れ抵抗性化学薬品で絨毯を処理する工程を含むことができる。
【0025】
更に他の態様において、(i)ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミドおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるポリアミド成分、並びにナイロン11成分を含んでなる溶融配合重合体アロイを含んでなるポリアミド糸、並びに(ii)絨毯の裏材:を含んでなる、漂白抵抗性ナイロンの絨毯が開示され、ここでポリアミド成分が96%硫酸中で測定される時に約2.6IV以上の粘度を有し、そして糸のナイロン11成分が、ポリアミド成分により包囲されているがそれに溶解されてはいない、別々に検出可能な領域内に分散されている。絨毯はまた、酸性または分散染料を含む染料で染色し、糸の重合体マトリックス内に含まれる,有機顔料を含む顔料で着色する、またはそれら双方の組み合わせを受けることができる。
【0026】
開示された絨毯,および絨毯を製造する方法中のナイロン11は、総溶融配合重合体アロイの約2重量パーセント〜約35重量パーセントの範囲内、例えば総溶融配合重合体の約5重量パーセント〜約20重量パーセントの範囲内、または総溶融配合重合体の約10重量%を含む、約10重量パーセント〜約20重量パーセントの範囲内の濃度で存在することができる。更に、ポリアミド成分の粘度は96%硫酸中で測定される時に約2.6I
V〜約4IV、例えば96%硫酸中で測定される時に約2.7IV〜約3.5IVまたは約3.0IV〜約3.4IVの範囲内にあることができる。ポリアミド成分の粘度はまた、RVとして測定することができ、ギ酸中で測定される時に約55RV以上であり、例えばギ酸中で測定される時に約55RV〜約90RV、例えばギ酸中で測定される時に約60RV〜約80RVまたは約60RV〜約75RVの範囲内にあることができる。
【0027】
図1に示すように、2種の重合体成分は、その少量重合体成分(ナイロン11)が主要重合体(ポリアミド成分)のマトリックス内に微細に分散されている重合体アロイを形成する。これは、その成分が実質的に非混和性であるミクロ−分散コンシステンシーを有する「海中の島」様組成物を形成する。具体的には、主要成分のマトリックス中の平均の少量重合体成分の粒度は、約0.110ミクロン〜約0.75ミクロンを含む、約0.150ミクロン〜約0.70ミクロンの範囲にある。粒度は押し出し機のrpmに反比例する。この重合体アロイは、2種の重合体成分を同時重合する工程に伴う、可溶性または完全に混和性の溶融配合物または「分子分散物」とは異なる。更に、重合体アロイはブロックまたはランダム共重合体ではない。
【0028】
図2〜4に示すように、生成される重合体アロイは、分子分散物または2種以上の成分の共重合体の場合に一般的な、単一成分系に対する融点降下を示さない。更に、図5は溶融配合重合体アロイがポリアミド成分の結晶化エネルギーの約90%以上の結晶化エネルギーをもつことができることを示し、それは本発明の重合体アロイの2成分が別の相として維持されることを示している。図6と7は、開示された本発明の方法のナイロン6,6+10%ナイロン11重合体アロイが純粋なナイロン6,6系に対して融点降下をもたないことを示す。
【0029】
定義
IVは内部粘度を意味する。これはISO 307:2007(E)のVN決定法に従って測定され、次に重量%濃度に正規化される。
【0030】
RVはASTM D789 ISO 307:2007(E)に従って90%ギ酸中で測定されるギ酸中の相対粘度を意味する。
【0031】
VNはISO 307:2007(E)に従って測定される硫酸中の粘度を意味する。
【0032】
DSCは、それが加熱または冷却される時の、サンプルにより消費または放出される熱量の測定値である、示差熱量測定値を意味し、重合体の融点、結晶度および純度の指標である。
【0033】
溶融配合重合体」は相互に相溶性であるが必ずしも無限に混和性であるとは限らない2種以上の重合体の混合物と定義される。重合体は押し出し機のような溶融混合装置中で混合される。
【0034】
ナイロン6は「ポリカプロラクタム」または[ポリ(イミノ−1−オキソヘキサメチレン)]を意味する。
【0035】
ナイロン6,6はポリヘキサメチレンアジパミドまたは[ポリ(イミノアジポイルイミノヘキサメチレン)]を意味する。
【0036】
ナイロン11は「ポリ(イミノ−1−オキソウンデカメチレン)」を意味する。
【0037】
適度に長鎖のポリアミドは、単一単量体よりなる場合は、それらの重合体反復単位に9
〜12個の炭素をもち、そしてポリアミドが2個の単量体(1個は二酸で、1個はジアミン)よりなる場合は、反復単位1個あたり16〜20個の炭素原子をもつポリアミドと定義される。適度に長鎖の炭素のポリアミドは具体的にナイロン9、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン6,10、ナイロン6,9、ナイロン10,10、ナイロン12およびナイロン6,12を含む。
【0038】
試験方法:
漂白に対する抵抗性は、糸のソックスを編み、それを黄色、赤および青の染料で灰色に染め、そして4時間と24時間、漂白溶液中にそれを入れる工程により決定された。各時間の期間に、ソックスを取り出し、その色彩の変化を分光光度計により測定する。
【実施例】
【0039】
比較例1 (1270−対照)
1270デニールの66フィラメント、半艶消し、4−穴の中空充填、メジウム酸(medium acid)のナイロン6,6糸を、その全体を引用することにより本明細書に取り入れたこととされる、重合体に対する米国特許第5,223,196号明細書を含む当該技術分野で周知の方法に従って製造した。次に、37meq/kgのアミン末端濃度をもつメジウム染料(medium dye)のナイロン6,6重合体チップを165℃で8時間状態調整して、RVを37〜38から60に増加させ、190rpm、供給口で230℃、そして放出口で285℃の温度プロファイルで走行している二軸スクリュー押し出し機中に供給した。溶融重合体はブースターポンプ、次に加熱移動ライン、紡糸ポンプおよびフィルターパックを通り、そして次に紡糸口金に通って重合体を個々のフィラメントに形成した。混合物が溶融相中で過ごした総時間は約8分間であった。フィラメントを空気で急冷し、次にタッチローラーにより通過されて、そこで適当な仕上げ処理を適用した。次に仕上げされたフィラメントを糸の束に集束して、次にそれを延伸し、加熱ローラー上を通し、Coonにより米国特許第3,525,134号明細書中に記載のバルキー加工法に従ってバルキー加工を施し、弛緩させ、チューブ上に巻き取った。仕上げ糸の重合体の粘度は60.8(RV)であった。
【0040】
実施例2 (1270−試験)
ナイロン11(BESNO等級のポリアミド11、Arkemaから販売)を、10重量%のナイロン11を製造する1:9の比率で、実施例2に使用されたものと同様なナイロン6,6(RV60)とともに押し出し機に同時添加したことを除いて同様な条件下で、1270−A1を、製品1270−対照(比較例2)と同様な典型的な紡糸機において紡糸した。二軸スクリュー押し出し機は190rpmで、供給口で230℃そして放出口で285℃の温度プロファイルで走行した。溶融重合体は加熱された移動ライン、紡糸ポンプ、フィルターパックを通され、次に紡糸口金に通されて、重合体を個々のフィラメント中に形成した。混合物が溶融相中で過ごした総時間は約8分間であった。フィラメントを空気急冷し、次にタッチローラーを通されて、適当な仕上げ処理を適用された。次に仕上がりフィラメントを糸の束に集束させて、次に実施例1と同様な方法でそれを延伸し、加熱ローラー上を通過させ、バルキー加工し、弛緩させ、そしてチューブ上に巻き取った。
【0041】
漂白に対するサンプル試験法
実施例の各糸をニットソックスに製造し、265°FのSuperbaヒートセット装置でヒートセットさせた。次にヒートセットされたニットソックスを以下の方法を使用して小型ベック(beck)染料浴中で個別に染色した:
浴の比率は40:1であった。最初にニットソックスと水を浴に添加し、次に助染剤(金属イオン封鎖剤)のMayo Quest 200@0.2%(Compass Chemical International LLCにより製造)、(均染剤/リターダ
ー)Dowfax@1.0%(Dow Chemicalにより製造)を添加した。これらの添加物は繊維に対する重量%に基づいた。次に染料のイエロー3R@0.0231%、レッド2B@0.01365%、ブルー4R@0.022%(すべて繊維の重量に基づく%)を添加した。次にニットソックスを含む染料溶液を酢酸でpH6.0に調整した。次に浴を30分間加熱沸騰させた。次にニットソックスをすすぎ、遠心分離にかけ、空気乾燥した。
【0042】
要約すると、同様な染料のレシピおよび同様な染色法を個々に使用して、各繊維のニットソックスを染色した。次に染色されたニットソックスをそれぞれ個々に、以下の方法を使用して漂白動態につき試験された:
Ultra Clorox(水中6%のNaOCl)の通常の漂白剤を希釈して、5.25%のNaOCl溶液を生成することにより漂白溶液を調製した。シールされたプラスチックバッグ中に20℃のこの漂白溶液中にサンプルを浸漬して、サンプルを空気曝露から保護した。バッグを一定温度の浴中に20℃で4時間維持した。
【0043】
次にサンプルをバッグから取り出し、流水で10分間すすいだ。サンプルを遠心抽出して水を除去した。次にそれらを重硫酸ナトリウム水溶液(10g/リットル)中に30分間浸漬して、過剰な次亜塩素酸塩を中和した。次にサンプルを10分間流水ですすいで、塩を除去し、次に遠心抽出して、過剰な水分を除去した。次にサンプルを洗剤(水1リットル中Ultra Tide液体洗剤7.5ml)中に10分間浸漬し、流水ですすぎ、遠心抽出して、空気乾燥した。
【0044】
漂白剤中の浸漬時間を24時間まで増やすことにより、24時間の漂白動態を測定するために、すべての他の方法を前記と同様に維持しながら、更なるサンプルについて前記の試験を反復した。Data Color Systems分光光度計を使用して、漂白試験の前後のこれらのニットソックスの色彩値(L、a、b)を測定した。Delta E
CIEおよびDelta E CMCを記録した。AATCC灰色段階(1〜5の段階、5は変化なし)の機械読み取り値も記録された。
【0045】
各染色ニットソックスのL、a、b色彩読み取り値を漂白曝露前に測定し、以下の通りに記録された:
【0046】
【表1】

【0047】
4時間の漂白試験の結果は表1に示される。
【0048】
[より低い数字は漂白処理前に測定された色彩からの、より少ない色彩変化を示すことに注意されたい]
【0049】
【表2】

【0050】
本表に示されるように、10%ナイロン11による1270−試験は対照の1.5評価に対して2.5の灰色段階評価を有する。それはまた、対照の値より有意に小さい5.78のDE CIEを示す。これは、10%のナイロン11が染色布の4時間の漂白抵抗性を有意に改善したことを示す。染色前の条件が最初の色彩強度(L値を参照)において、対照よりより淡いかまたはより深いかに拘わらず、漂白剤中の染料の安定度は、対照より実質的により良かった。
【0051】
24時間の漂白試験のデータは表2に示す:
【0052】
【表3】

【0053】
前記の表に示すように、10%ナイロン11による1270−試験は、対照に対する1.0評価に対して1.5の灰色段階評価を有する。それはまた、対照の値より有意に小さい11.35のDE CIEを示す。再度、10%のナイロン11は24時間の漂白曝露後ですら、対照サンプルとの明白な相異を伴って、染色布の24時間漂白抵抗性を有意に改善したことを認めることができる。
【0054】
実施例3〜5 更なる漂白抵抗性の試験
ナイロン6、ナイロン6+ナイロン6,10およびナイロン6+ナイロン11で製造されたニットソックスに対して、更なる漂白抵抗性試験を実施した。ここでは実施例1と2に関する前記と同様の繊維、ソックスの製造、染色および漂白方法を使用した。
【0055】
各染色ニットソックスのL、a、b色彩読み取り値を4時間および24時間の漂白曝露の前に測定し、以下の通りに記録した。ナイロン6,10とナイロン11のソックスに対するL、aおよびbの色彩読取り値は配合百分率の平均読取り値である。配合百分率は表3に認めることができる。
【0056】
【表4】

【0057】
ナイロン6,10とナイロン11の様々な濃度における4時間の漂白試験および24時間の漂白試験の結果はそれぞれ、表3と表4に示される。
【0058】
[低い数字は漂白処理前に測定された色彩からの、少ない色彩変化を示すことに注意されたい]
【0059】
【表5】

【0060】
【表6】

【0061】
実施例6〜7 押し潰し試験
2種の繊維、実施例6と実施例7を押し潰し試験に使用した。それらは両方とも典型的な紡糸機において同様な条件の組み合わせ下で製造された。実施例6は淡いベージュ色と三葉断面を有する着色ナイロン6,6の繊維であった。実施例7は、重合体アロイを形成するために繊維を溶融配合し、紡糸する前に、20%ナイロン11がナイロン6,6重合体と同時添加されたことを除いて、同一種類の着色繊維であった。繊維を1インチ(2.54cm)当たり5.0の撚りをもつ糸に別々に撚糸し、265°F(129.4℃)のSuperba装置でヒートセットさせ、1/10”(0.25cm)ゲージで36オンス(1.019kg)の面重量をもつカットパイル絨毯にタフト加工を施した。次にタフト加工絨毯をラテックス裏材でコートした。
【0062】
タフト加工絨毯から6インチ(15.24cm)の直径のサンプルを切り取り、1平方インチ(6.45cm)の足の領域上に50lbs(22.67kg)の荷重を使用し、それにより絨毯上に50psiの圧力を形成して、押し潰し試験装置上で試験した。絨毯の切片をこの荷重下で10日間維持して、1平方インチ(6.45cm)の標的領域内の絨毯を圧縮した。Wronz developments,Christ Church,New Zealandにより製造されたパイルの厚さゲージを使用して、裏材上の最初のパイルの高さを測定し、そして圧縮された区域のパイルの高さに比較した。次に最初の10日間の押し潰し試験期間の1日後と7日後に測定を実施して、パイルの高さの回復を記録した。これらのデータは表5に提供される。
【0063】
【表7】

【0064】
これらの結果は、20%ナイロン11を含む実施例7の糸で製造された絨毯が、ナイロン11を含まない実施例6の糸で製造された対照の絨毯と同様な押し潰し試験の回復を有し、従って、重合体アロイを形成するためにナイロン6,6と配合された20%ナイロン11を含む繊維は、許容され得る押し潰し試験の特性を有することを示す。更に、開示された重合体アロイで製造されたナイロン糸は、最初のパイルの高さの50%を超える押し潰し試験における10日後のパイルの高さの割合、および最初のパイルの高さの89%を超える回復の1日後のパイルの高さの割合を有する。
【0065】
実施例8および9 着色ナイロンの漂白抵抗性
更に、0重量%、10重量%および20重量%のナイロン11を含む着色ナイロン6,6の糸から製造されたソックス上で4時間の漂白試験を実施した。実施例8a〜cはそれぞれ、0%、10%および20%のナイロン11を含むベージュ色に着色された糸から製造されたソックスである。実施例9a〜bはそれぞれ、0%および10%のナイロン11を含む暗灰色に着色された糸から製造されたソックスである。ソックスを製造するために使用された繊維は三葉断面および1235の平均デニールを有した。着色繊維を製造する方法は、重合体チップがほぼ60のRVを達成するために8時間201℃で状態調整されたことを除き、その全体を引用することにより本明細書に取り入れたこととされる米国特許第5,830,572号明細書に記載されている。更に、ナイロン6は着色されたキャリアーとして使用され、それは押し出し機に添加されて、最終的着色重合体中に以下の表に記載の濃度を達成した。染色されたソックスの特性は以下の表に記載される。
【0066】
【表8】

【0067】
ナイロン11の様々な濃度における4時間の漂白試験の結果は表6に示される。4時間の漂白試験は実施例1と2の前記と同様な方法を使用して実施された。以下に示すように、ナイロン11の成分を含む繊維は改善された漂白抵抗性を示す。実施例8bはCIE Delta Eおよび灰色段階評価には反映されなかったが、実施例8aより明らかに漂白が弱かった。
【0068】
【表9】

【0069】
ナイロン6,6またはナイロン6の主要成分のマトリックス中の約10%以上の濃度のナイロン11において、漂白抵抗性に対する有意に有利な効果が同時に認められたが、概括的に糸の特性に対して最少の影響を認めた。この10%の添加レベルの少量成分(90:10重合体配合物)は重合体全体の結晶性の比較的僅かな低下をもたらし、ここで結晶性の総エネルギーはDSCにより測定された、対照に対する約66.1J/gに対して、約64.7J/gであった。結晶度の測定値はスキャンされている加熱または冷却速度により幾らか影響を受けるかも知れないことは当業者により理解されるが、ここでは、本発明の組成物に対して測定された主要重合体のものとの結晶度の僅かな相異は、主要重合体の特性が大部分維持されていることを積極的に示すものであることが認められる。ナイロン11の更なる添加は、非常に緩徐に劣化された、バルク回復のような糸の物理的特性に対する随伴する影響を伴って、配合物の結晶化エネルギーを更に減少させることが認められた。バルク回復の指標の7日間の押し潰し試験は、対照に対してする90:10重合体アロイ配合物の非常に類似した動態を見いだした。摩耗試験は、80:20重合体アロイ配合物に対して緩徐に増加した摩耗を示したが、90:10重合体アロイ配合物にはほとんど影響を示さなかった。
【0070】
更に、ナイロン6+ナイロン11の重合体アロイは、同一濃度百分率において比較すると、ナイロン6+ナイロン6,10重合体アロイよりも改善した漂白抵抗性を示した。それらの同様な分子構造と化学官能基のために、2種のアロイは同様な漂白抵抗性をもつことが期待されると考えられるので、この相異は驚くべき結果である。この相異の一つの可能性は、ナイロン6+ナイロン11のアロイがより著明な「海中の島状形態」を示す、すなわち、ナイロン6+ナイロン6,10のアロイに比較して2種の異なる相がより明白である点である。これはナイロン6+ナイロン6,10のアロイによる一つのエネルギーピークに対する、ナイロン6+ナイロン11のアロイによる2つのエネルギーピークにより証明される(図2〜4を参照されたい)。
【0071】
本発明はそれらの特定の態様に関連して説明されてきたが、以上の説明を考慮して、多数の代替物、修飾物および変更物が当業者に明白であると考えられることは明白である。従って、本発明は請求項の精神と範囲内に入るようなすべての代替物、修飾物および変更物を含むことが意図される。
【図1a】

【図1b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリカプロラクタムおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるポリアミド成分、並びにii)ナイロン11成分、を含んでなる、微細に分散された溶融配合重合体アロイを含んでなるナイロン糸であって、ここでポリアミド成分が総溶融配合重合体アロイの重量の主要成分であり、そしてポリアミド成分が96%硫酸中で測定される時に約2.6IV以上の粘度を有する、ナイロン糸。
【請求項2】
ナイロン11成分が、ポリアミド成分により包囲されているがその中に溶解されてはいない、別々に検出可能な領域中に分散されている、請求項1のナイロン糸。
【請求項3】
ナイロン11成分が総溶融配合重合体アロイの約2重量パーセント〜約35重量パーセントの範囲の濃度で存在する、請求項1の糸。
【請求項4】
ナイロン11成分が総溶融配合重合体アロイの約5重量パーセント〜約20重量パーセントの範囲の濃度で存在する、請求項1の糸。
【請求項5】
前記の糸から製造された染色ニットソックスが、ポリアミド成分のみを含む糸から製造された染色ニットソックスに比較される時に、4時間漂白にさらされる時の灰色段階評価に、少なくとも、正の0.5単位の相異を有する、請求項1〜4のいずれか1項の糸。
【請求項6】
溶融配合重合体アロイがポリアミド成分の結晶化エネルギーの約90%以上の結晶化エネルギーを有する、請求項1〜4のいずれか1項の糸。
【請求項7】
更に染料を含んでなる、請求項1〜4のいずれか1項の糸。
【請求項8】
染料が酸性染料である、請求項7の糸。
【請求項9】
染料が分散染料である、請求項7の糸。
【請求項10】
更に顔料を含んでなる、請求項1〜4のいずれか1項の糸。
【請求項11】
顔料が有機顔料である、請求項10の糸。
【請求項12】
i)ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミドおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるポリアミド成分を、ナイロン11成分と、混合ヘッドを伴う二軸スクリューまたは一軸スクリュー押し出し機のいずれかよりなる押し出し工程において溶融配合して、微細に分散された溶融配合重合体アロイを形成し、
ii)溶融配合重合体アロイを、紡糸口金を通して押し出してフィラメントを形成し、そして
iii)フィラメントを糸に集束して、糸を巻き取る工程、
:を含んでなるナイロン糸を製造する方法であって、
ここで、ポリアミド成分が溶融配合重合体アロイの少なくとも約65重量%を含んでなり、ポリアミド成分が96%硫酸中で測定される時に約2.6IV以上の粘度を有し、そして更に、ナイロン11成分が、ポリアミド成分により包囲されているがそれに溶解されてはいない、糸の別々に検出可能な領域内に留まる、方法。
【請求項13】
溶融配合重合体アロイが更に有機顔料を含んでなる、請求項12の方法。
【請求項14】
更に、糸を延伸し、そしてバルキー加工(bulk−texturing)を実施する
工程を含んでなる、請求項12または13の方法。
【請求項15】
更に、糸を染色する工程を含んでなる、請求項12の方法。
【請求項16】
染料が酸性染料である、請求項15の方法。
【請求項17】
染料が分散染料である、請求項15の方法。
【請求項18】
i)ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミドおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるポリアミド成分をナイロン11成分とともに溶融混合して、微細に分散された溶融配合重合体アロイを形成し、
ii)溶融配合重合体アロイを、紡糸口金を通して押し出して、フィラメントを形成し、
iii)フィラメントを糸に集束させ、
iv)糸を延伸し、
v)バルキー加工を実施し、
vi)糸を巻き取り、
vii)糸を絨毯にタフト化し、そして
viii)場合により絨毯を染色する工程:
を含んでなる、漂白抵抗性のナイロン絨毯を製造する方法であって、
そこで、ポリアミド成分が96%の硫酸中で測定される時に約2.6IV以上の粘度を有し、そして更に、糸のナイロン11成分が、ポリアミド成分により包囲されているがその中に溶解されてはいない、別々に検出可能な領域中に分散されている、方法。
【請求項19】
溶融配合重合体アロイが更に有機顔料を含んでなる、請求項18の方法。
【請求項20】
絨毯が酸性染料で染色される、請求項18または19の方法。
【請求項21】
更に、絨毯を染み抵抗性化学薬品で処理する工程を含んでなる、請求項18または19の方法。
【請求項22】
更に、絨毯を汚れ抵抗性化学薬品で処理する工程を含んでなる、請求項18または19の方法。
【請求項23】
i)ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミドおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるポリアミド成分、並びにナイロン11成分を含んでなる、微細に分散された溶融配合重合体アロイを含んでなるポリアミド糸、並びに
ii)絨毯の裏材料:
を含んでなる漂白抵抗性ナイロン絨毯であって、
ここで、ポリアミド成分が96%硫酸中で測定される時に約2.6IV以上の粘度を有し、そして更に、ナイロン11成分が、ポリアミド成分により包囲されているがそれに溶解されてはいない、別々に検出可能な領域内に分散されている、ナイロン絨毯。
【請求項24】
更に染料を含んでなる、請求項23のナイロン絨毯。
【請求項25】
染料が酸性染料である、請求項24のナイロン絨毯。
【請求項26】
染料が分散染料である、請求項24のナイロン絨毯。
【請求項27】
更に顔料を含んでなる、請求項23のナイロン絨毯。
【請求項28】
顔料が有機顔料である、請求項27のナイロン絨毯。
【請求項29】
最初のパイルの高さを有するナイロン糸が10日間、50psiの押し潰し試験直後に最初のパイルの高さの50%超を回復する、請求項23〜28のいずれか1項のナイロン絨毯。
【請求項30】
最初のパイルの高さを有するナイロン糸が10日間、50psiの押し潰し試験後24時間以内に、最初のパイルの高さの89%超を回復する、請求項23〜28のいずれか1項のナイロンの絨毯。
【請求項31】
i)ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミドおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるポリアミド成分をナイロン11成分および少量の着色された重合体成分と溶融混合して、微細に分散された溶融配合重合体アロイを形成し、
ii)溶融配合重合体アロイを、紡糸口金を通して押し出して、フィラメントを形成し、
iii)フィラメントを糸に集束させ、
iv)糸を延伸し、
v)バルキー加工を施し、
vi)糸を巻き取り、
vii)糸を絨毯にタフト化し、そして
viii)場合により絨毯を染色する工程:
を含んでなる、着色された、漂白抵抗性のナイロン絨毯を製造する方法であって、
ここで、ポリアミド成分が96%硫酸中で測定される時に約2.6IV以上の粘度を有し、そして更に、糸のナイロン11成分が、ポリアミド成分により包囲されているがそれに溶解されてはいない、別々に検出可能な領域内に分散されている、方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−526925(P2012−526925A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510937(P2012−510937)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/034388
【国際公開番号】WO2010/132450
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(309028329)インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル (80)
【Fターム(参考)】