説明

漏斗パーツ並びにこれを用いた包装容器及びパッケージ

【課題】開放端に段差や隙間を有する容器本体で構成されるパッケージの気密性を良好に保つことができる漏斗パーツ、さらには漏斗パーツを用いた包装容器及びパッケージを提供する。
【解決手段】容器本体20に嵌め込まれ漏斗パーツ10は、広口側から狭口側に向かって径が狭まる漏斗11と、漏斗11と一体的に形成される溶融部材16とを備えている。溶融部材16は、容器本体20の開放端21に嵌め込まれた状態において、段差25上に配置され、加熱によって溶融して、容器本体20の開放端面上の段差25及び隙間を埋めている。この結果、容器本体20の開放端にシールされるシール蓋のシーラント層を厚くすることなく、シール蓋シール時の気密性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒状または液状の材料を包装し、内容物を他の容器に移し替えるための包装容器を構成する漏斗パーツ並びにこれを用いた包装容器及びパッケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インスタントコーヒー等の粉粒状(粉状または粒状)食品は、開封後の気密性を保つために、一般にキャップ付瓶等の密閉容器に充填して販売されている。また、内容物の消費後に、密閉容器を再利用し、内容物のみを再充填する目的で、内容物を簡易に包装したパッケージも知られている。パッケージの容器としては、パウチ、ガゼット袋、開口部が封止された筒状容器等が広く用いられている。
【0003】
これらのパッケージから他の容器へと内容物を再充填する際には、パッケージを開封して他の容器の開口部に宛がい、内容物を徐々に移し替える。この時内容物がこぼれて手や周囲を汚してしまう場合があり、移し替え作業が煩雑であった。
【0004】
この問題を解決するために、特許文献1では、より簡便に内容物の移し替え作業が行えるパッケージが提案されている。
【0005】
図5は、特許文献1に記載された従来のパッケージの斜視図であり、図6は図5に示すB−B’ラインに沿った断面図である。
【0006】
パッケージ160は、円筒形状の容器本体120と、広口側の開口部112から狭口側の開口部113にかけて径が狭まる漏斗111を有する漏斗パーツ110と、シール蓋150とから構成されている。漏斗110パーツは、狭口側の開口部113を容器本体120の開放端121に向けて容器本体120内部に装着され、容器本体120の内面に接合されている。容器本体120の内部に粉粒状又は液状の内容物140が充填された後、容器本体120の開放端121がシール蓋150で封止される。さらに保管や流通時等に、シール蓋150の破断を防止するために、シール蓋150の上を覆う図示しないオーバーキャップが取り付けられ、更にオーバーキャップの容器本体120からの脱落を防ぐために図示しないシュリンクが設けられる。
【0007】
図7は、図5に示すパッケージの使用状態を示す断面図である。
【0008】
まず、図7(a)に示すように、オーバーキャップを取り外したパッケージ160を倒立させ、シール蓋150を他の容器170の開口部171に当接させる。この時、パッケージ160及び他の容器170の各々の軸中心が略一致した状態とする。
【0009】
次に、パッケージ160の底部を図の矢印の方向に押圧すると、図7(b)に示すように、シール蓋150が破断する。
【0010】
この結果、漏斗110の内面をつたって内容物140が他の容器170へと流れ出し、内容物140の移し替えが完了する。
【0011】
特許文献1に記載のパッケージ160は、内容物140を他の容器170内部へと導く漏斗111を備え、シール蓋150の破断と同時に漏斗110の開口部が他の容器170の内部に挿入されるので、移し替え時に内容物140をこぼすことなく、簡便に移し替えができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−7067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記のパッケージに用いられる容器本体は、コスト削減や省資源化といった観点から紙を主体としたシート材を用いて作製することが望まれる。この場合、シート材を部分的に重ねて貼り合わせることによって、筒形状に形成する。更に容器本体の開放端には補強等の目的で折り返し又はカーリング等を設けるため、シート材の重なり部分が外側に折り返される。この結果、開放端の端面に、シート材の重なり部分によって段差が形成される。
【0014】
容器本体に内容物を充填した後は、開放端をシール蓋で封止するが、段差が存在することにより、シール蓋と容器本体との間に隙間が形成され、気密性が損なわれるという問題がある。これまでは、シール蓋のシーラント層で段差を埋めることにより対処してきた。
【0015】
しかし、シーラント層では段差を完全に埋めることは容易ではなく、パッケージの気密性の確保が困難であった。特に、容器本体の強度を向上させるためにシートの厚みを増すと、段差が更に大きくなるので、この問題はより顕著となる。一方、確実に段差を埋めるためにシーラント層を厚くすると、パッケージ開封時におけるシール蓋の破断に要する押圧力が大きくなり開封し易さを損なうという問題があった。また、容器本体の開放端にシール蓋をヒートシールした後に、余分なシーラント層(PE)がはみ出すなどして、容器のフランジ径が大きくなるという問題があった。更に、容器本体を構成するシートの厚みを増したり、シール蓋のシーラント層を厚くしたりするとコスト増加に繋がるという問題があった。
【0016】
それ故に、本発明は、コスト増加を招くことなくパッケージの気密性を良好に保つことができる漏斗パーツ、さらには漏斗パーツを用いた包装容器及びパッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、筒形状の容器本体の開放端をシール蓋で封止したパッケージに用いられ、容器本体の開放端に嵌め込まれる漏斗パーツに関するものである。容器本体は、シート材を部分的に重ねて貼り合わせることによって筒形状に形成され、シート材の重なり部によって開放端の端面上に段差が形成されている。漏斗パーツは、熱可塑性樹脂によりなる漏斗と、漏斗と一体成型され、漏斗を容器本体の開放端に挿入した際に段差を覆うように配置され、加熱によって溶融して段差を埋める溶融部材とを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、漏斗と一体的に形成された溶融部材によって、シール蓋の貼着箇所となる容器本体の開放端の段差を埋めることができるので、シール蓋に特段の工夫をすることなく、気密性に優れたパッケージを作製できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る漏斗パーツの斜視図
【図2】本発明の実施形態に係る包装容器の斜視図
【図3】図2に示す包装容器のA−A’ラインの断面図
【図4】溶融部材を熱融着する状態を示す断面図
【図5】従来のパッケージの斜視図
【図6】図5に示すパッケージのB−B’ラインの断面図
【図7】図5に示すパッケージの使用状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る漏斗パーツの斜視図である。
【0021】
漏斗パーツ10は、内容物を他の容器に導くための漏斗11と、包装容器の組み立て時に容器本体に接続される角筒形状の側壁14と、漏斗パーツ10を補強する複数のリブ15と、容器本体の開放端の段差を埋めるための溶融部材16とから構成される。
【0022】
漏斗11は、広口側の開口部12と狭口側の開口部13とを備え、より詳細には、広口側の開口部12から狭口側の開口部13にかけて、径が狭まる形状を有している。
【0023】
側壁14は、漏斗11に接続され、漏斗11を取り囲むように立ち上がる角筒形状を有している。
【0024】
リブ15は、漏斗11の外面及び側壁14の内面を架け渡すように接続され、周方向にほぼ等間隔に配置される。
【0025】
溶融部材16は、側壁14の上端からに外方に突出するフィルム状の突出片であり、漏斗11と同一材料で漏斗11と一体成型されている。溶融部材16は、容器本体の開放端に生じる段差を埋めるための部材であり、漏斗パーツ10を容器本体に装着した際に、開放端の段差を覆うように配置される。
【0026】
溶融部材16がフィルム状である場合、その厚みは50μm〜500μmであることが望ましい。厚みが50μmを下回ると、段差を埋めることができなくなり、シール蓋シール時の密封性を確保できない。逆に厚みが500μmを上回ると、溶融部材16の厚みによって段差が生じ、シール蓋シール時の密封性を損なうので好ましくない。
【0027】
上記の構成を有する漏斗パーツ10(溶融部材16)の材質は、シール蓋のシーラント層と接着可能な熱可塑性樹脂であれば良く、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等を利用できる。また、使用する樹脂のメルトフローレート(MFR)は4g/10min以上であることが望ましい。MFRが4g/10minを下回ると、溶融部材16によって開放端の段差を埋めることが困難となる。
【0028】
図2は、本発明の実施形態に係る包装容器の斜視図であり、図3は、図2に示す包装容器のA−A’ラインの断面図である。
【0029】
包装容器30は、容器本体20の開放端21に上述した漏斗パーツ10を装着したものである。
【0030】
容器本体20は、開放端21と底部と側壁とからなる角筒形状を有しており、その側壁は、紙を主体としたシート材を部分的に重ねて貼り合わせて筒状に作製される。また開放端21は外方に巻き込むようにカーリング状に形成される。シート材の重ね合わせ部分が外側に環状に巻き込まれることにより、開放端の端面上には、外側のシート材22と内側のシート材23との段差25が形成される。更に、外側のシート材22の端縁部24と内側のシート材23との間には隙間26が形成される。この隙間26も、シール蓋を開放端に貼り付けて作製されるパッケージの気密性を阻害する要因となる。
【0031】
漏斗パーツ10は狭口側の開口部13を容器本体20の外方側に向けて、容器本体20の開放端21に嵌め込まれる。この状態において、溶融部材16は段差25の上に配置される。
【0032】
図4は、溶融部材を開放端に熱融着させる方法を示す断面図である。
【0033】
溶融部材16が開放端21上の段差25に対応するように容器本体20の開放端21に漏斗パーツ10を嵌め込む。そして段差25上に位置した溶融部材16を、公知の熱プレス法等により、溶融させつつ加圧する。これにより、溶融部材16が熱溶融して流動状態となり、段差25及び隙間26を埋め、開放端21に融着される。尚、熱プレスの条件は、溶融部材16の形状や漏斗パーツ10の材質である熱可塑性樹脂のMFR等を考慮して適宜選択することが好ましい。
【0034】
このように溶融部材16を開放端21に熱融着させることで、図3に示したように、開放端21上の段差25及び隙間26が埋め込まれた状態となる。これにより、容器本体20に内容物を充填した後にシール蓋で封止する際に、図3の仮想線で示すように、シール蓋を開放端21と溶融部材16とに隙間なく沿って密着状態で貼着することができる。この結果、パッケージに要求される気密性を得ることが可能となる。
【0035】
また、容器本体20に漏斗パーツ10を装着する際には、側壁14から外方に突出する溶融部材16が容器本体20の開放端21に当接する。これによって、漏斗パーツ10と容器本体20との接合前に、容器本体20の開放端21と漏斗パーツとの位置関係をほぼ一定に制御することができる。従って、容器本体20の大きさにバラツキが生じても、溶融部材16が位置規制の役割を果たし、容器本体20内部の所定位置に漏斗パーツ10を装着することが容易となる。
【0036】
更に、本実施形態においては、容器本体20及び漏斗パーツ10の外形が角筒形状であるため、漏斗パーツ10を容器本体20に嵌め込んだ際に、溶融部材16を段差25の上に位置させることが容易となる利点がある。
【0037】
本実施形態に係るパッケージは、上記の包装容器30に内容物を充填したものであり、保管時や輸送時において良好な気密性を確保できる。のみならず、内容物の移し替え時においても、シール蓋と容器本体20との良好なシール性から優れた効果を発揮する。これについて以下に説明する。
【0038】
また、実施形態に係るパッケージは、図7に示したものと同様の使用方法を想定したものであるが、シール蓋が容器本体20の開放端に密着状態でシールされているため、シール蓋の破断箇所以外に空気の流路が生じることはない。したがって、内容物が微細な粉末状の場合でも、エアリークと共に内容物が漏れ出す虞がなく、手や周囲を汚したりすることを効果的に防止できる。
【0039】
尚、上記の実施形態では、容器本体及び漏斗パーツの外形を角筒状としているが、形状については任意である。容器本体及び漏斗パーツは、嵌め込み可能となるような互いに対応する形状であれば良く、例えば背景技術として記載したパッケージのように円筒形状にしても良い。
【0040】
また、上記の実施形態では、漏斗は円錐台形状を有しているが、漏斗の横断面形状は必ずしも円形である必要はない。例えば、横断面形状が多角形の角錘台形状の漏斗を採用しも良い。
【0041】
更に、上記の実施形態では、漏斗パーツに側壁を設けているが、必ずしも設ける必要はなく任意である。漏斗と側壁とを接続するリブも任意である。側壁を設けない場合は、溶融部材は漏斗外面に直に接続される。
【0042】
更に、上記の実施形態では、溶融部材はフィルム状であるが、形状については、加熱融解によって開放端面状の段差及び隙間を埋めることができるものであれば特に制限されず、例えば棒状であっても良い。また溶融部材は段差近辺のみならず、側壁の上端から全周に渡りフランジ状に設けても良い。また、側壁から外方に突出しているが、側壁に接続されているのであれば特に制限されず、例えば側壁の延長方向(図1の上下方向)に突出するように設けても良い。
【0043】
更に、上記の実施形態では、容器本体の開放端にカーリングが設けられた例を説明したが、カーリングの代わりに、容器本体の開放端部分を外方に折り返してフランジを形成した場合でも、漏斗パーツの溶融部材によって、開放端面(フランジ上面)に形成された段差及び隙間の両方を埋めることができる。
【実施例】
【0044】
以下に、本発明を具体的に実施した実施例及び比較例について説明する。
【0045】
(実施例1)
漏斗パーツは、図1に示したように、漏斗、四角筒形状の側壁、補強用のリブ、及び溶融部材を有する構造とし、ポリエチレン樹脂(MFR=7g/10min)により作製した。溶融部材の寸法は、幅5mm×奥行き(側壁からの突出方向)2mm×厚みが60μmである。
【0046】
容器本体は、幅70mm×奥行き70mm×高さ100mmの四角の筒形状である。容器本体の材質は、外側面から順に、厚み25μmのポリエチレン層(PE)、秤量270g/m2の紙層、厚み25μmのPE層、厚み7μmのアルミニウム層、厚み12μmのPET層、厚み60μmの低密度ポリエチレン層(LDPE)を積層したシートを用いた。容器本体を構成するシートを筒形状に形成した後、開放端部分を折り返し幅6mmで外側に折り返した。
【0047】
容器本体の開放端を封止するシール蓋は、容器本体に貼着される面から順に、30〜60μmのLDPE層、厚み12μmのPET層、厚み7μmのアルミ箔層を積層したシートで形成した。
【0048】
パッケージの組み立ては、まず、溶融部材が開放端上の段差の上に位置するように容器本体に漏斗パーツを組み込み、溶融部材分を熱プレスにより熱融着した。その後、ヒートシール法により容器本体内側に漏斗パーツを接合した。最後に、容器本体の開放端にシール蓋をヒートシールによって貼着し、パッケージを作製した。
【0049】
(実施例2)
実施例2に係るパッケージは、実施例1のものと比較して、容器本体の材質のみが異なる。
【0050】
具体的には、実施例2に係るパッケージに用いられる容器本体の材質として、外側面から順に、厚み25μmのPE層、秤量270g/m2の紙層、厚み25μmのPE層、厚み12μmの透明蒸着フィルム層(ガスバリア性フィルム)、厚み60μmのLDPE層を積層したシートを用いた。漏斗パーツの形状及び容器本体と漏斗パーツとの接合方法は実施例1と同じである。
【0051】
(比較例1)
比較例1に係るパッケージに用いられる漏斗パーツは、図1に示す漏斗パーツにおいて、溶融部材16を省略したものであり、ポリエチレン樹脂(MFR=7g/10min)により作製した。
【0052】
容器本体は、幅70mm×奥行き70mm×高さ100mmの四角の筒形状である。容器本体を構成する材質は、外側面から順に、厚み25μmのPE層、秤量270g/m2の紙層、厚み25μmのPE層、厚み7μmのアルミニウム層、厚み12μmのPET層、厚み60μmのLDPE層を積層したシートを用いた。容器本体を構成するシートを筒形状に形成した後、開放端を折り返し幅6mmで外側に折り返した。
【0053】
容器本体の開放端を封止するシール蓋は、開放端に貼着される面から順に、LDPE層、厚み12μmのPET層、厚み7μmのアルミニウム層を積層したシートを用いた。
【0054】
パッケージの組み立ては、容器本体内部に漏斗パーツを嵌めこみ、高周波シール法を用いて容器本体内面に漏斗パーツを溶着した。そして、容器本体の開放端にシール蓋をヒートシールによって貼着した。
【0055】
(比較例2)
比較例2に係るパッケージは、比較例1のものと比較して、容器本体の材質のみが異なる。
【0056】
具体的には、容器本体の材質として、外側面から順に、厚み25μmのPE層、秤量270g/m2の紙層、厚み25μmのPE層、厚み20μmのアルミニウム層、厚み60μmのLDPE層を積層したシートを用いた。漏斗パーツ及び容器本体と漏斗パーツとの接合方法は比較例1と同じである。
【0057】
(比較例3)
比較例3に係るパッケージは、比較例1のものと比較して、容器本体の材質のみが異なる。
【0058】
具体的には、容器本体の材質として、外側面から順に、厚み25μmのPE層、秤量270g/m2の紙層、厚み25μmのPE層、厚み12μmの透明蒸着フィルム層、厚み60μmのLDPE層を積層したシートを用いた。漏斗パーツ及び容器本体と漏斗パーツとの接合方法は比較例1と同じである。
【0059】
上記のように作製したパッケージを用いて、次の各項目について評価を行った。表1は評価試験の結果をまとめたものである。
【0060】
[本体と漏斗パーツとの接合強度]
容器本体に漏斗パーツとの接合強度を、「○:良好、×:接合しない」により評価した。
【0061】
[溶着後の容器本体の外観]
容器本体に漏斗パーツを溶着した後の容器本体の外観を、「○:問題なし、×:外観不良」により評価した。
【0062】
[位置規制]
容器本体に漏斗パーツを嵌め込んだ際に、所定の位置に漏斗パーツを位置決めできるか否かを、「○:位置決め可能、×:位置決め不可」により評価した。
【0063】
[気密性]
シール蓋のシーラント層の厚みを変化させて容器本体の開放端を封止した時の、パッケージの気密性について、「○:気密性良好、×:エアリーク発生」により評価した。
【0064】
[開封性]
パッケージの開封性(シール蓋を開封するのに要する体感強度)について、「○:軽く押し込むことで容易に開封可能、△:押し込むことで比較的容易に開封可能、×:押し込みに力を要し、容易には開封不可」により評価した。
【0065】
[総合評価]
上記の各項目の評価に基づき、実施例及び各比較例のパッケージの総合評価を、「○:上記項目全ての評価が○、×:上記項目の1つ以上の評価が×」で評価した。
【0066】
【表1】

【0067】
容器本体の寸法は、製造によるバラツキによって変動する。比較例では、漏斗パーツが溶融部材を備えていないため、容器本体と漏斗パーツとの位置規制ができなかった。従って、容器本体と漏斗パーツとの位置関係にバラツキが発生した。一方、実施例では、溶融部材が容器本体の開放端に当接することにより、容器本体と漏斗パーツとの位置規制が可能であった。これにより、容器本体と漏斗パーツとの位置決め精度が良好であった。
【0068】
シーラント層の厚みが40μm以下であれば、必要以上の力を加えることなくスムーズにシール蓋を開封することができた。また、シーラント層の厚みが50μmの場合はパッケージを押し込むことでシール蓋を開封できるが、試験者により押し込みの体感強度にバラツキがあった。実施例1及び2では、溶融部材が開放端の段差及び隙間を埋めているため、シーラント層の厚みを30μmまで薄くしても、パッケージの気密性を確保することができた。したがって、各実施例に係る漏斗パーツを用いて、シール蓋のシーラント層を薄くすることで、開封間に優れたパッケージを実現できることが確認された。一方、比較例1〜3では、シーラント層で段差及び隙間を埋める必要があることから、パッケージの気密性を確保するには、シーラント層の厚みを60μm以上にする必要があり、開封性を向上させることができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、フリーズドライコーヒーや粉ミルク等の食品や、複写機やレーザープリンター用のトナーなど、粉状・顆粒状・液状の流動性を有する材料を他の容器に移し替えるための漏斗パーツ及びこれを用いた包装容器とパッケージに利用できる。
【符号の説明】
【0070】
10 漏斗パーツ
11 漏斗
12、13 開口部
14 側壁
16 溶融部材
20 容器本体
21 開放端
25 段差
26 隙間
30 包装容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形状の容器本体の開放端をシール蓋で封止したパッケージに用いられ、前記容器本体の開放端に嵌め込まれる漏斗パーツであって、
前記容器本体は、シート材を部分的に重ねて貼り合わせることによって筒形状に形成され、前記シート材の重なり部によって前記開放端の端面上に段差が形成されており、
前記漏斗パーツは、
熱可塑性樹脂によりなる漏斗と、
前記漏斗と一体成型され、前記漏斗を前記容器本体の開放端に挿入した際に前記段差を覆うように配置され、加熱によって溶融して前記段差を埋める溶融部材とを備える、漏斗パーツ。
【請求項2】
前記溶融部材は、フィルム状である、請求項1に記載の漏斗パーツ。
【請求項3】
前記漏斗の外面を取り囲み、前記容器本体の内面に接続される側壁を更に備え、
前記溶融部材は、前記漏斗の狭口側に位置する前記側壁の端縁から前記側壁の外方に突出するように設けられる、請求項1または2に記載の漏斗パーツ。
【請求項4】
前記漏斗の外面を取り囲み、前記容器本体の内面に接続される側壁を更に備え、
前記容器本体及び前記側壁は、互いに対応する角柱形状を有する、請求項1または2に記載の漏斗パーツ。
【請求項5】
内容物を他の容器に移し替えるためのパッケージであって、
シート材を部分的に重ねて貼り合わせることによって筒形状に形成され、前記シート材の重なり部によって前記開放端の端面上に段差が形成される容器本体と、
前記容器本体の開放端に嵌め込まれる漏斗パーツと、
前記容器本体の開放端を封止するシール蓋とを備え、
前記漏斗パーツは、
熱可塑性樹脂によりなる漏斗と、
前記漏斗と同一材料よりなり、前記開放端の端面に密着して前記段差を埋める溶融部材とを備える、パッケージ。
【請求項6】
筒形状の容器本体の開放端をシール蓋で封止したパッケージに用いられ、前記容器本体の開放端に嵌め込まれる漏斗パーツであって、
前記容器本体は、シート材を部分的に重ねて貼り合わせることによって筒形状に形成され、前記シート材の重なり部によって前記開放端の端面上に段差が形成されており、
前記漏斗パーツは、
熱可塑性樹脂によりなる漏斗と、
前記漏斗と一体成型され、前記漏斗を前記容器本体の開放端に挿入した際に前記段差を覆うように配置され、加熱によって溶融して前記重なり部に生じる隙間を埋める溶融部材とを備える、漏斗パーツ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−73701(P2011−73701A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225256(P2009−225256)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】