説明

漏水検査治具及び漏水検査方法

【課題】浴槽の壁部への接続部材の取付部からの漏水を容易に検査することができる漏水検査治具及び漏水検査方法を得る。
【解決手段】漏水検査治具60は、浴槽10の側壁12を貫通すると共に配管を接続する接続部材としての追焚き循環金具14を浴槽10の内側から覆い、浴槽10の内壁との間に流体(例えば水66)が貯留できる貯留部を形成するカバー部62を備えている。カバー部62の内部に流体を貯留した状態で、浴槽10の壁部への追焚き循環金具14の取付部(追焚き循環金具14と浴槽10の壁部との間)の漏水が検査される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏水検査治具及び漏水検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、浴槽に接続された配管の漏水を検査する検査用治具として、配管の端部を検査用治具により閉塞し、配管に水をためて配管からの漏水を検査する構成が開示されている。
【0003】
また、下記特許文献2には、浴槽の側壁の配管接続口からの漏水を受けて排水することができる浴槽構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−178600号公報
【特許文献2】特開2010−142392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の検査用治具は、配管の端部を閉塞する治具であるため、浴槽の壁部への給湯金具(追焚き循環金具など)の取付部、すなわち浴槽の壁部と給湯金具との間の漏水については検査することができない。
【0006】
また、上記特許文献2に記載の浴槽構造は、浴槽の側壁の配管接続口から万が一漏水して、その水が浴槽外にもれた場合の対策として、漏水を受けて排水することができるが、浴槽の壁部と給湯金具との間の漏水を検査することができない。
【0007】
従来から、浴槽の壁部への給湯金具の取付部(浴槽の壁部と給湯金具との間)の漏水については、浴槽がほぼ満水になるまで水を張って検査することが多い(満水試験)。このため、満水試験を行う際に手間がかかり、また、検査用に浴槽に張った水が無駄となる。
【0008】
また、浴室の施工現場の状況を考えると、浴室に給排水の配管等を接続し、浴槽に水を張れるようになった段階で、満水試験を行い、浴槽の壁部と給湯金具との間から漏水が発生することがわかっても、浴室の周囲の工事が進んでいるため、給湯金具の取付部を修理する作業が煩雑である。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、浴槽の壁部への接続部材の取付部からの漏水を容易に検査することができる漏水検査治具及び漏水検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明に係る漏水検査治具は、浴槽の壁部を貫通すると共に配管を接続するための接続部材を前記浴槽の内側から覆い、前記浴槽の内壁との間に流体が貯留できる貯留部を形成するカバー体を備えたものである。
【0011】
本発明によれば、漏水検査治具は、浴槽の壁部を貫通すると共に配管を接続するための接続部材を浴槽の内側から覆うカバー体を備えており、カバー体で接続部材を浴槽の内側から覆うことで浴槽の内壁との間に流体が貯留できる貯留部を形成する。この貯留部により、浴槽の内側の接続部材の周囲が流体で満たされる。この状態で、浴槽の壁部への接続部材の取付部(浴槽の壁部と接続部材との間)からの流体の漏れを検査することで、接続部材の取付部からの漏水を検査することができる。この漏水検査治具により、浴槽の内側の接続部材を覆う部分にだけ流体を貯留できるため、例えば、従来のように浴槽がほぼ満水になるまで水を張って漏水検査を行う必要がなく、接続部材の取付部の漏水検査を容易に行うことが可能となる。
【0012】
請求項2に記載の発明に係る漏水検査治具は、請求項1に記載の発明において、前記カバー体の全縁部は前記浴槽の内壁に密着し、前記貯留部を閉塞空間とするものである。
【0013】
本発明によれば、カバー体の全縁部を浴槽の内壁に密着させ、貯留部を閉塞空間とすることで、接続部材の周囲に流体を封入した状態で、浴槽の壁部への接続部材の取付部(浴槽の壁部と接続部材との間)からの流体の漏れを検査することができる。これにより、流体として液体や空気などを用いることができ、接続部材の取付部の漏水検査がさらに容易となる。なお、「密着」には、カバー体の全縁部を直接浴槽の内壁に密着させる場合のほか、ゴム製のパッキンや接着剤を介して密着させる場合も含まれる。
【0014】
請求項3に記載の発明に係る漏水検査治具は、請求項2に記載の発明において、閉塞空間とされた前記貯留部へ封入された流体を加圧する加圧機構を備えたものである。
【0015】
本発明によれば、流体を加圧する加圧機構を設けることで、閉塞空間とされた貯留部へ封入された流体を加圧する。これにより、流体の圧力が高い状態で、浴槽の壁部への接続部材の取付部(浴槽の壁部と接続部材との間)からの流体の漏れを検査することができ、流体が漏れ出しやすくなる。このため、接続部材の取付部の漏水検査がより一層容易となる。
【0016】
請求項4に記載の発明に係る漏水検査治具は、請求項2に記載の発明において、閉塞空間とされた前記貯留部へ封入された流体を減圧する減圧機構を備えたものである。
【0017】
本発明によれば、流体を減圧する減圧機構を設けることで、閉塞空間とされた貯留部へ封入された流体を減圧する。例えば、流体として液体を用いた場合は、貯留部が減圧されることで、接続部材の取付部の気密性が悪ければ浴槽の壁部と接続部材との間から空気が流入して液体中に泡が発生する。このため、接続部材の取付部の漏水検査がより一層容易となる。
【0018】
また、例えば、流体として空気を用いた場合は、カバー体の全縁部を浴槽の内壁に密着させて減圧し、しばらく放置することで、接続部材の取付部の気密性が悪い場合にはカバー体の内部の圧力が上がってカバー体の形状が変化する。このため、カバー体の内部に液体を張らなくても、接続部材の取付部の漏水検査を行うことができる。
【0019】
請求項5に記載の発明に係る漏水検査治具は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の発明において、前記カバー体は、前記貯留部に流体を入れる開口部を備えているものである。
【0020】
本発明によれば、カバー体は、貯留部に流体を入れる開口部を備えており、開口部から流体を貯留部に入れることができる。このため、漏水検査の作業効率が向上する。
【0021】
請求項6に記載の発明に係る漏水検査治具は、請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の発明において、前記カバー体は、前記貯留部の液体圧を上げる筒状部と、前記筒状部の先端に設けられ前記貯留部に液体を入れる開口部と、を備えているものである。
【0022】
本発明によれば、筒状部の先端に設けられた開口部から貯留部に液体を入れると共に、筒状部により貯留部の液体圧を上げる。このため、貯留部の液体圧を上げた状態で接続部材の取付部の漏水検査を行うことができる。
【0023】
請求項7に記載の発明に係る漏水検査方法は、浴槽の壁部を貫通すると共に配管を接続するための接続部材をカバー体で前記浴槽の内側から覆い、前記カバー体と前記浴槽の内壁との間に流体を貯留して、前記浴槽の外側の前記接続部材の取付部からの流体漏れを検査するものである。
【0024】
本発明によれば、浴槽の壁部を貫通すると共に配管を接続するための接続部材をカバー体で浴槽の内側から覆い、カバー体と浴槽の内壁との間に流体を貯留する。この状態で、浴槽の外側の接続部材の取付部からの流体漏れを検査する。カバー体により、接続部材を覆う部分にだけ流体を貯留できるため、例えば、従来のように浴槽がほぼ満水になるまで水を張って漏水を検査する必要がなく、容易に接続部材の取付部の漏水検査を行うことが可能となる。
【0025】
請求項8に記載の発明に係る漏水検査方法は、浴槽の壁部を貫通すると共に配管を接続するための接続部材の前記浴槽の外側の取付部の周辺に界面活性剤を塗布し、カバー体で前記接続部材を前記浴槽の内側から覆い、前記カバー体と前記浴槽の内壁との間の閉塞空間に封入された空気を加圧して、前記界面活性剤からの泡の発生状態により前記接続部材の取付部からの空気漏れを検査するものである。
【0026】
本発明によれば、浴槽の壁部を貫通すると共に配管を接続するための接続部材の浴槽の外側の取付部の周辺に界面活性剤を塗布し、カバー体で接続部材を浴槽の内側から覆い、カバー体と浴槽の内壁との間の閉塞空間に空気を封入する。そして、閉塞空間に封入された空気を加圧する。その際、浴槽への接続部材の取付部に隙間があると、界面活性剤から空気漏れにより泡が発生する。すなわち、泡の発生状態を検査することで、液体(水など)を用いることなく、接続部材の取付部の漏水検査をより簡便に行うことが可能となる。
【0027】
請求項9に記載の発明に係る漏水検査方法は、浴槽の壁部を貫通すると共に配管を接続するための接続部材をカバー体で前記浴槽の内側から覆い、前記カバー体と前記浴槽の内壁との間に液体が封入された閉塞空間を形成し、前記閉塞空間を減圧して前記接続部材の取付部からの空気の流入状態を検査するものである。
【0028】
本発明によれば、浴槽の壁部を貫通すると共に配管を接続するための接続部材をカバー体で浴槽の内側から覆い、カバー体と浴槽の内壁との間に液体が封入された閉塞空間を形成する。そして、閉塞空間を減圧して接続部材の取付部からの空気の流入状態を検査する。浴槽への接続部材の取付部に隙間があると、その隙間からカバー体の内部に空気が流入し、閉塞空間の液体中に泡が発生する。これにより、接続部材の取付部の漏水検査をより簡便に行うことが可能となる。
【0029】
請求項10に記載の発明に係る漏水検査方法は、浴槽の壁部を貫通すると共に配管を接続するための接続部材をカバー体で前記浴槽の内側から覆い、前記カバー体と前記浴槽の内壁との間に空気が封入された閉塞空間を形成し、前記閉塞空間を減圧状態で放置し、前記カバー体の形状の変化を検査するものである。
【0030】
本発明によれば、浴槽の壁部を貫通すると共に配管を接続するための接続部材をカバー体で浴槽の内側から覆い、カバー体と浴槽の内壁との間に空気が封入された閉塞空間を形成する。そして、空気が封入された閉塞空間を減圧状態で放置する。その際、浴槽への接続部材の取付部に隙間があると、その隙間からカバー体の内部に空気が流入し、カバー体の形状が変化する。これにより、液体(水など)を用いることなく、接続部材の取付部の漏水検査をより簡便に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の漏水検査治具及び漏水検査方法によれば、浴槽の壁部への接続部材の取付部からの漏水を容易に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態に係る追焚き循環金具の取付部検査方法が適用される追焚き循環金具が取り付けられた浴槽及び配管を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す浴槽に取り付けられる追焚き循環金具の一部を示す分解構成図である。
【図3】図1に示す浴槽に取り付けられる追焚き循環金具の分解斜視図である。
【図4】図1に示す浴槽に取り付けられる追焚き循環金具の一部を示す構成図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る漏水検査治具を示す図であって、(A)は漏水検査治具の使用状態を示す断面図、(B)は漏水検査治具の斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る漏水検査治具を示す図であって、(A)は漏水検査治具の使用状態を示す断面図、(B)は漏水検査治具の斜視図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る漏水検査治具を示す図であって、(A)は漏水検査治具の使用状態を示す断面図、(B)は漏水検査治具の斜視図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る漏水検査治具を示す斜視図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る漏水検査治具を示す斜視図である。
【図10】(A)、(B)は図9に示す漏水検査治具の使用方法を示す断面図である。
【図11】本発明の第6実施形態に係る漏水検査治具の使用状態を示す断面図である。
【図12】(A)、(B)は本発明の第7実施形態に係る漏水検査治具の使用方法を示す断面図である。
【図13】本発明の第8実施形態に係る漏水検査治具の使用状態を示す断面図である。
【図14】本発明の第9実施形態に係る漏水検査治具の使用状態を示す断面図である。
【図15】本発明の第10実施形態に係る漏水検査治具の使用状態を示す断面図である。
【図16】本発明の第11実施形態に係る漏水検査治具の使用状態を示す断面図である。
【図17】本発明の第12実施形態に係る漏水検査治具の使用状態を示す断面図である。
【図18】本発明の第13実施形態に係る漏水検査治具の使用状態を示す断面図である。
【図19】(A)〜(C)は、図18に示す漏水検査治具による追焚き循環金具の取付部検査方法を示す断面図である。
【図20】比較例に係る追焚き循環金具の取付部検査方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0034】
図1には、本発明の第1実施形態である漏水検査方法が適用される追焚き循環金具が取り付けられた浴槽及び配管が示されている。また、図2には、追焚き循環金具が分解斜視図にて示されている。
【0035】
図1に示されるように、浴槽10の側壁(壁部)12には、接続部材の一例としての追焚き循環金具14が取り付けられている。追焚き循環金具14には、浴槽10に対して水を供給する供給用の配管16と、浴槽10から水を排出する排出用の配管18とが接続されている。供給用の配管16と排出用の配管18の他端側は、給湯器20にそれぞれ接続されている。浴槽10の湯は、追焚き循環金具14を介して排出用の配管18に排出され、配管18を通って給湯器20に供給される。そして、給湯器20で加熱された湯が供給用の配管16に導入され、配管16から追焚き循環金具14を介して浴槽10に供給される。
【0036】
図2に示されるように、浴槽10の側壁12には、追焚き循環金具14が取り付けられる円形状の開口部12Aが設けられている。追焚き循環金具14は、供給用の配管16と排出用の配管18(図1参照)が接続される継手30と、側壁12における開口部12Aの周囲の外壁面と継手30との間に介在される環状のパッキン32と、浴槽10の側壁12の内側に配置されて継手30に締結固定される金具本体34と、側壁12における開口部12Aの周囲の内壁面と金具本体34との間に介在される環状のパッキン36と、を備えている。なお、パッキン36と金具本体34との間に環状の平シート38を配置してもよい。また、パッキン32、36はゴム製である。
【0037】
さらに、追焚き循環金具14は、金具本体34における浴槽10の内側に取り付けられるフィルターガイド40と、フィルターガイド40の表面に装着されるフィルター42と、を備えている。
【0038】
図2及び図3に示されるように、金具本体34は、側壁12の開口部12Aに挿入される円筒状の筒状部34Aと、筒状部34Aの外周面に形成された雄ねじ部34Bと、筒状部34Aの一端に形成されたフランジ部34Cと、を備えている。フランジ部34Cの側面は、パッキン36を挟んで浴槽10の側壁12の内壁面に押圧される。なお、図3では、金具本体34の構造を分りやすくするため、金具本体34を半裁断面図で示している。また、図3では、フランジ部34Cとパッキン36との間に配置される平シート38を省略している。
【0039】
図2及び図3に示されるように、継手30は、円筒状の筒状部30Aと、筒状部30Aの内周面に形成され金具本体34の雄ねじ部34Bが螺合される雌ねじ部30Bと、筒状部30Aの一端に形成されたフランジ部30Cと、筒状部30Aの他端に形成された連結部30Dと、連結部30Dに設けられた2本の接続管30Eと、を備えている。一方の接続管30Eには、供給用の配管16(図1参照)が接続され、他方の接続管30Eには、排出用の配管18(図1参照)が接続されるようになっている。また、図2に示すフィルターガイド40は、フィルター42をガイドするガイド部40Aと、ガイド部40Aの奥側に形成された小径の管状部40Bと、を備えている。フィルターガイド40は、管状部40Bが金具本体34の筒状部34A及び継手30の筒状部30Aの内部に挿入されて連結部30Dに連結される構成とされている。図示を省略するが、追焚き循環金具14は、所謂一口循環接続金具であり、フィルターガイド40の管状部40Bが継手30の連結部30Dに連結された状態で、供給用の配管16から浴槽10に供給される湯と、浴槽10から排出用の配管18に排出される湯とが混ざり合わない構造となっている。
【0040】
図4に示されるように、金具本体34は、筒状部34Aが側壁12の開口部12Aに挿入され、雄ねじ部34Bが継手30の雌ねじ部30Bに螺合されている。この状態で、継手30のフランジ部30Cの側面は、パッキン32を挟んで浴槽10の側壁12の外壁面に押圧され、金具本体34のフランジ部34Cの側面は、パッキン36を挟んで浴槽10の側壁12の内壁面に押圧される。すなわち、追焚き循環金具14は、側壁12の開口部12Aを貫通するように側壁12に取り付けられている。なお、図4では、金具本体34の構造を分りやすくするため、金具本体34を半裁断面図で示している。また、図4では、フランジ部34Cとパッキン36との間に配置される平シート38を省略している。
【0041】
また、浴槽10の側壁12への追焚き循環金具14の取付部(追焚き循環金具14と側壁12との間)の漏水を検査する際には、継手30の連結部30Dの内周壁に止水プラグ50が取り付けられる。止水プラグ50は、連結部30Dの内周壁に挿入される柱状の軸部50Aと、軸部50Aの一端に形成された頭部50Bと、軸部50Aの外周面に形成された溝部50Cと、を備えている。頭部50Bは、軸部50Aの外径より大きい外径とされている。溝部50Cには、リング状のパッキン(Oリング)52が嵌着されている。止水プラグ50の軸部50Aを継手30の連結部30Dに挿入したときに、連結部30Dの内周壁にリング状のパッキン52が接触することで、浴槽10の内側からの流体(例えば、水など)が接続管30Eに入り込むことを防止するようになっている。
【0042】
次に、本発明の第1実施形態の漏水検査治具であって、浴槽10の側壁12への追焚き循環金具14の取付部(追焚き循環金具14と側壁12との間)の漏水を検査するための漏水検査治具について説明する。
【0043】
図4に示されるように、浴槽10の側壁12への追焚き循環金具14の取付部の漏水を検査する際には、パッキン32、36を側壁12の両側に介在させると共に、金具本体34の筒状部34Aを側壁12の開口部12Aに挿入し、雄ねじ部34Bを継手30の雌ねじ部30Bに螺合させた状態で検査する。継手30の連結部30Dの内周壁には、止水プラグ50が取り付けられ、浴槽10の内側からの流体(例えば、水など)が接続管30Eに入り込まないように防止されている。なお、2本の接続管30Eにそれぞれ配管16、18が接続されている場合(図1参照)は、必ずしも止水プラグ50を継手30の連結部30Dに取り付ける必要はない。
【0044】
図5(A)、(B)に示されるように、漏水検査治具60は、浴槽10の側壁12に取り付けられた追焚き循環金具14を浴槽10の内側から覆うことができるカバー体の一例としてのカバー部62で構成されている。カバー部62は、追焚き循環金具14の上方側を除いた周囲を覆うことができるボウル状の湾曲面62Aと、湾曲面62Aから延びて追焚き循環金具14の左右両側及び下方側で側壁12の内壁に密着される縁部62Bと、湾曲面62Aの上部に形成され浴槽10の上下方向における追焚き循環金具14の上方側を開放する開口部62Cと、を備えている。本実施形態では、カバー部62の縁部62Bの上端部は、浴槽10の高さ方向において追焚き循環金具14の取り付け面の上端部よりやや高く形成されている。このカバー部62の縁部62Bを追焚き循環金具14を覆うように側壁12の内壁に密着されることで、カバー部62と側壁12の内壁との間に液体(水など)が貯留される貯留部が形成される。
【0045】
なお、カバー部62の縁部62Bは、少なくとも浴槽10の高さ方向において追焚き循環金具14の取り付け面の上端部より低い部分で浴槽10の内壁に密着し、追焚き循環金具14の取り付け面を覆う部分に流体(例えば、水などの液体)を入れられる構成であればよい。
【0046】
次に、漏水検査治具60の作用であって、追焚き循環金具14の取付部の漏水検査方法について説明する。
【0047】
図5(A)に示されるように、浴槽10の側壁12に取り付けられた追焚き循環金具14を浴槽10の内側から覆うように漏水検査治具60のカバー部62を配置し、カバー部62の縁部62Bを追焚き循環金具14の左右両側及び下方側で側壁12の内壁に密着させる。そして、カバー部62の内部に開口部62Cから液体の一例としての水66を注入する(水66を溜める)。これにより、浴槽10の内側の追焚き循環金具14の周囲が水で満たされる。
【0048】
この状態で、浴槽10の側壁12への追焚き循環金具14の取付部(側壁12と追焚き循環金具14との間)からの水漏れを検査する。追焚き循環金具14と側壁12との間に隙間がある場合(追焚き循環金具14の締め付けが甘い場合)には、漏水検査治具60(カバー部62)の内部の水が、追焚き循環金具14の取付部から側壁12の外壁側に漏れ出し、漏水が検出される。
【0049】
このような漏水検査治具60では、追焚き循環金具14を覆う部分にだけ水66を貯留できる(水66を溜められる)ため、例えば、浴槽10がほぼ満水になるまで水を張って漏水検査を行う必要がなく、容易に追焚き循環金具14の取付部の漏水検査を行うことができる。さらに、漏水検査治具60では、浴槽10への配管16、18の接続の有無にかかわらず、浴槽10の側壁12への追焚き循環金具14の取付部からの漏水を容易に検査することができる。
なお、カバー部62の縁部62Bを側壁12の内壁に密着させる手段として、接着剤などを用いたり、吸着パッドなどの密着補助手段を用いたりしてもよい。
【0050】
図20には、比較例に係る追焚き循環金具の取付部検査方法が示されている。この図に示されるように、追焚き循環金具14を浴槽10の側壁12に取り付けた後、供給用の配管16と排出用の配管18の一端側を追焚き循環金具14に接続すると共に、供給用の配管16と排出用の配管18の他端側を給湯器20に接続する。この状態で、浴槽10の内部に水66を導入してほぼ満水状態とし、浴槽10の側壁12への追焚き循環金具14の取付部(追焚き循環金具14と側壁12との間)の漏水を検査する(満水試験)。
【0051】
このような追焚き循環金具の取付部検査方法では、浴槽10の内部にほぼ満水となるように水66を張って追焚き循環金具14と側壁12との間の漏水を検査するため、漏水検査を行う際に手間がかかり、また、浴槽10に張った水66が無駄となる。また、追焚き循環金具14の取付部の漏水検査は、追焚き循環金具14の浴槽10の側壁12への取り付け後にすぐに実施したいが、配管16、18が接続されておらず、実施できない場合がある。また、追焚き循環金具14の側壁12への取り付け直後は、給水が接続されておらず、満水試験を実施したくても、水を溜める術がないことが多い。さらに、浴槽10に排水管が接続されていないことが多く、満水試験を実施した後に浴槽10に溜めた水66を排水することができない可能性がある。
【0052】
これに対して、本実施形態の漏水検査治具60では、追焚き循環金具14を覆う部分にだけ水66を溜めることができ、浴槽10の側壁12への追焚き循環金具14の取付部からの漏水を容易に検査することができる。また、追焚き循環金具14に配管16、18が接続されていなくても、止水プラグ50を用いて止水することで、配管16、18の接続の有無にかかわらず、側壁12への追焚き循環金具14の取付部からの漏水を検査することができる。さらに、本実施形態の漏水検査治具60は、新築工事以外にも、竣工後の追焚き循環金具14の取付部の漏水検査にも使用することができる。すなわち、追焚き循環金具14は、新築時には浴槽10の側壁12にしっかりと締め付けられていても、使用中に段々緩んできて漏水が発生する場合がある。このような場合でも、本実施形態の漏水検査治具60を用いることで、追焚き循環金具14の取付部からの漏水を容易かつ簡便に検査することができる。
【0053】
次に、本発明の第2実施形態である漏水検査治具について説明する。なお、第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0054】
図6(A)、(B)に示されるように、漏水検査治具70は、浴槽10の側壁12に取り付けられた追焚き循環金具14を浴槽10の内側から覆うことができるカバー体の一例としてのボウル状のカバー部72で構成されている。カバー部72は、追焚き循環金具14のほぼ全体を覆う略半球状の湾曲面72Aを備えており、湾曲面72Aの縁部72B全体が側壁12の内壁に密着されることで、カバー部72の内部に流体(例えば、水66などの液体)が封入される。すなわち、カバー部72の内部は、流体が封入される貯留部とされる共に、湾曲面72Aの縁部72B全体が側壁12の内壁に密着されることで、貯留部が閉塞空間とされている。
【0055】
この漏水検査治具70では、カバー部72の湾曲面72Aの内部に流体の一例としての水66を入れ、図6(A)に示されるように、追焚き循環金具14を浴槽10の内側から覆うようにカバー部72の縁部72Bを側壁12の内壁に密着させる。これにより、カバー部72内の追焚き循環金具14の浴槽10側が水66で満たされる。この状態で、浴槽10の側壁12への追焚き循環金具14の取付部(側壁12と追焚き循環金具14との間)からの水漏れが検査される。
【0056】
このような漏水検査治具70では、追焚き循環金具14を覆う部分にだけ水66を貯留できる(水66を溜められる)ため、容易に追焚き循環金具14の取付部の漏水検査を行うことができる。
【0057】
次に、本発明の第3実施形態である漏水検査治具について説明する。なお、第1及び第2実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0058】
図7(A)、(B)に示されるように、漏水検査治具80は、略半球状のカバー部72と、カバー部72の上部に接続された筒状部82と、を備えている。筒状部82は、カバー部72の縁部72Bが浴槽10の側壁12に密着された状態で上方に向かって延びており、筒状部82の上端(先端)には、カバー部72の内部に液体(例えば水)を注入するための開口部84が形成されている。筒状部82の上下方向の長さを伸ばすことで、筒状部82及びカバー部72の内部に液体が溜められたときに、カバー部72の内部の液体圧を上げることができる。本実施形態では、筒状部82は円筒管とされている。
【0059】
この漏水検査治具80では、図7(A)に示されるように、追焚き循環金具14を浴槽10の内側から覆うようにカバー部72の縁部72Bを側壁12の内壁に密着させる。そして、筒状部82の開口部84から水66を注入し、カバー部72の内部に水を溜めることで、カバー部72内の追焚き循環金具14の浴槽10側が水66で満たされる。この状態で、浴槽10の側壁12への追焚き循環金具14の取付部(側壁12と追焚き循環金具14との間)からの水漏れが検査される。
【0060】
このような漏水検査治具80では、追焚き循環金具14を覆う部分にだけ水66を貯留できる(水66を溜められる)ため、容易に追焚き循環金具14の取付部の漏水検査を行うことができる。また、筒状部82の上下方向の長さを伸ばすことで、筒状部82に満たされる水66により、カバー部72内の追焚き循環金具14の周囲の水圧を上げることができる。このため、側壁12と追焚き循環金具14との隙間から水66が漏れ出しやすくなり、追焚き循環金具14の取付部の漏水検査がより確実となる。
【0061】
次に、本発明の第4実施形態である漏水検査治具について説明する。なお、第1〜第3実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0062】
図8に示されるように、漏水検査治具90は、追焚き循環金具14(図5参照)の上方側を除いた周囲を覆う湾曲面62Aを備えたカバー部62の縁部62Bにゴム製のパッキン92が貼着されている。本実施形態では、パッキン92はカバー部62の縁部62Bに接着剤で接着されている。
【0063】
このような漏水検査治具90では、カバー部62の縁部62Bに貼着されたパッキン92が側壁12(図5参照)の内壁に密着されることで、カバー部62の内部に水を溜めたときに、カバー部62と側壁12の間から水が漏れることが抑制される。
【0064】
次に、本発明の第5実施形態である漏水検査治具について説明する。なお、第1〜第4実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0065】
図9及び図10に示されるように、漏水検査治具100は、略半球状のカバー部72と、カバー部72に連結されてカバー部72内を加圧又は減圧する加圧機構又は減圧機構の一例としての圧力可変部材102と、を備えている。圧力可変部材102は、カバー部72の上部に連結された連結管102Aと、連結管102Aの端部に設けられた伸縮可能な蛇腹部102Bと、を備えている。蛇腹部102Bの上端面は閉塞されている。蛇腹部102Bは、連結管102Aの軸方向に沿って伸縮可能に構成されている。この圧力可変部材102は、蛇腹部102Bを圧縮又は伸長することにより、加圧機構と減圧機構を兼用できる構造とされている。
【0066】
本実施形態では、漏水検査治具100のカバー部72に封入される流体として水(液体)66を用い、圧力可変部材102を加圧機構として使用する。図10(A)に示されるように、圧力可変部材102の蛇腹部102Bを伸長させ、カバー部72に流体の一例としての水66を入れた状態で、追焚き循環金具14を浴槽10の内側から覆うようにカバー部72の縁部72Bを側壁12の内壁に密着させる。これにより、カバー部72の内部に水66が封入され、カバー部72の内部が閉塞状態とされる。そして、図10(B)に示されるように、蛇腹部102Bを潰す(圧縮する)ことで、カバー部72の内部が加圧される。これによって、カバー部72の内部の水圧が高い状態で、浴槽10の側壁12への追焚き循環金具14の取付部(側壁12と追焚き循環金具14との間)からの水漏れを検査することができ、側壁12と追焚き循環金具14との間に隙間がある場合は水66が漏れ出しやすくなる。このため、追焚き循環金具14の取付部の漏水検査がより一層容易となる。
【0067】
次に、本発明の第6実施形態である漏水検査治具について説明する。なお、第1〜第5実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0068】
図11に示されるように、本実施形態では、漏水検査治具100のカバー部72に封入される流体として空気106を用い、圧力可変部材102を加圧機構として使用する。この漏水検査治具100では、圧力可変部材102の蛇腹部102Bを伸長させると共に、カバー部72に流体の一例としての空気106を入れた状態で、追焚き循環金具14を浴槽10の内側から覆うようにカバー部72の縁部72Bを側壁12の内壁に密着させる。これによって、カバー部72の内部は、空気106が密封された閉塞空間とされ、カバー部72の内部が気密状態に保たれる。この状態で、追焚き循環金具14の側壁12の外壁側部分(継手30側)のパッキン32とフランジ部30C付近にスプレー108により界面活性剤の一例としての石鹸水を噴霧する。
【0069】
その後、蛇腹部102Bを潰すことで、カバー部72の内部が加圧される。側壁12と追焚き循環金具14との間に隙間がある場合は、カバー部72の内部の空気106がパッキン32とフランジ部30C付近から漏れ出し、石鹸水中に泡が出る。これによって、実際に水などの液体を使用しなくても、側壁12への追焚き循環金具14の取付部(側壁12と追焚き循環金具14との間)の漏水検査を行うことができ、漏水検査がより簡便となる。
【0070】
なお、カバー部72に空気106を入れて検査する方法においては、本実施形態の石鹸水をかける方法以外に、カバー部72の中に貯める空気に線香等で煙を入れる方法も考えられる。
【0071】
次に、本発明の第7実施形態である漏水検査治具について説明する。なお、第1〜第6実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0072】
図12に示されるように、本実施形態では、漏水検査治具100のカバー部72に封入される流体として水66を用い、圧力可変部材102を減圧機構として使用する。また、本実施形態の漏水検査治具100は、カバー部72を樹脂等の透明部材で形成する。図12(A)に示されるように、圧力可変部材102の蛇腹部102Bを潰すと共に、カバー部72に流体の一例としての水(液体)66を入れた状態で、追焚き循環金具14を浴槽10の内側から覆うようにカバー部72の縁部72Bを側壁12の内壁に密着させる。これにより、カバー部72の内部に水(液体)66が封入される。そして、図12(B)に示されるように、蛇腹部102Bを伸長することで、カバー部72の内部が減圧される。側壁12と追焚き循環金具14との間に隙間がある場合(追焚き循環金具14の締め付けが甘い場合)は、側壁12の外壁側から空気が入り込み、カバー部72の内部の水66中で泡が発生する。カバー部72を透明部材で形成することで、カバー部72の外側から水66中の泡を視認できる。このため、追焚き循環金具14の取付部の漏水検査がより一層容易となる。
【0073】
次に、本発明の第8実施形態である漏水検査治具について説明する。なお、第1〜第7実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0074】
図13に示されるように、漏水検査治具120は、浴槽10の側壁12(図10参照)に取り付けられた追焚き循環金具14を浴槽10の内側から覆うことができるカバー体の一例としての凸状のカバー部122と、カバー部122の外周面に設けられ、カバー部122内を加圧又は減圧する加圧機構又は減圧機構の一例としての圧力可変部124と、を備えている。カバー部122には、浴槽10の側壁12(図10参照)に密着される縁部122Aが設けられている。圧力可変部124は、凸状のカバー部122の外周面の略全体に形成された蛇腹状部からなり、蛇腹状部を縁部122Aの面方向に対して略直交する方向に伸長又は圧縮することで、カバー部122内を減圧又は加圧するようになっている。凸状のカバー部122の端面は閉塞されている。すなわち、カバー部122自体が伸長又は圧縮されることで、減圧機構と加圧機構を兼用できる構造とされている。
【0075】
このような漏水検査治具120は、第5〜第7実施形態の漏水検査治具100と同様の検査方法により追焚き循環金具14と側壁12(図10参照)との間の漏水検査を行うことができる。
【0076】
次に、本発明の第9実施形態である漏水検査治具について説明する。なお、第1〜第8実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0077】
図14に示されるように、漏水検査治具130は、浴槽10の側壁12に取り付けられた追焚き循環金具14を浴槽10の内側から覆うことができる略半球状のカバー部72と、カバー部72の上端から延設され、側壁12の上端部13に係止される(引っ掛かる)係止部132と、を備えている。係止部132は、側壁12の上端部13の表面形状に沿って断面略U字状に形成されており、カバー部72の縁部72Bを側壁12の内壁に密着させた状態で、側壁12の上端部13に引っ掛かるように形成されている。
【0078】
このような漏水検査治具130は、カバー部72の内部に水66を入れた状態でカバー部72の縁部72Bを側壁12の内壁に密着させ、係止部132を側壁12の上端部13に引っ掛ける。この状態で漏水検査治具130をしばらく放置することができ、追焚き循環金具14と側壁12との間の漏水検査が容易となる。このため、係止部132がない場合と比較して、作業中にカバー部の内部に水66を入れた状態でカバー部を支える必要がなく、作業負担を軽減することができる。
【0079】
次に、本発明の第10実施形態である漏水検査治具について説明する。なお、第1〜第9実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0080】
図15に示されるように、漏水検査治具140は、浴槽10の側壁12に取り付けられた追焚き循環金具14の上方側を除いた周囲を覆うカバー部62と、カバー部62の縁部62Bを側壁12に密着した状態でカバー部62の下部に設けられた排水管142と、を備えている。排水管142には、開閉可能な弁144が設けられている。
【0081】
このような漏水検査治具140は、弁144を閉止した状態で、カバー部62に水66を溜めて側壁12への追焚き循環金具14の取付部(側壁12と追焚き循環金具14との間)の漏水検査を行った後、弁144を開放することで、排水管142から水66が排水される。このため、漏水検査治具140の取り扱い性が向上する。
【0082】
次に、本発明の第11実施形態である漏水検査治具について説明する。なお、第1〜第10実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0083】
図16に示されるように、漏水検査治具150は、浴槽10の側壁12に取り付けられた追焚き循環金具14を浴槽10の内側から覆うことができる略半球状のカバー部72と、カバー部72の中央部からカバー部72の内側方向に延びた棒状部152と、棒状部152の先端に設けられた止水プラグ154と、を備えている。棒状部152は、カバー部72の接線と直交する方向に延びており、カバー部72の縁部72Bを側壁12の内壁に密着させた状態で、棒状部152が追焚き循環金具14の継手30の内部に挿入される。止水プラグ154は、軸部の外周面に形成された溝部にリング状のパッキン52が嵌着されたものであり、止水プラグ154が継手30の連結部30Dの内周壁に取り付けられることで、カバー部72内の水66が配管16、18(図1参照)に流れ込むことを防止している。漏水検査治具150は、カバー部72の縁部72Bが側壁12の内壁に密着されたときに、止水プラグ154が継手30の連結部30Dの内周壁に取り付けられるように構成されている。
【0084】
この漏水検査治具150では、カバー部72が止水プラグ154と一体に形成されているので、止水プラグ154の脱落を防止できる。また、止水プラグ154及び棒状部152によって、カバー部72の縁部72Bが側壁12の内壁に密着された状態で保持されるので、漏水検査治具150の取り扱い性が向上する。
【0085】
次に、本発明の第12実施形態である漏水検査治具を用いた追焚き循環金具の取付部検査方法の一例について説明する。なお、第1〜第11実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0086】
図17に示されるように、浴槽10の側壁12に取り付けられた追焚き循環金具14を浴槽10の内側から覆うように漏水検査治具60が配置されており、側壁12の内壁にカバー部62の縁部62Bが密着されると共に、カバー部62の内部に水66が溜められている。側壁12の外壁には、漏水検査治具60のパッキン32の周囲に漏水検知用のテープ160が取り付けられている。本実施形態では、テープ160として、水分を検知すると変色する紙が用いられている。また、テープ160は、パッキン32の周囲を囲むようにリング状に形成されている。
【0087】
側壁12への追焚き循環金具14の取付部(側壁12と追焚き循環金具14との間)からの漏水は、通常では微小漏水であるため、しっかりと観察しないと漏水しているか否かがわからない場合が多い。このため、テープ160の変色を検知することで、側壁12と追焚き循環金具14との間の漏水を容易に確認することができ、漏水検知能力が向上する。
【0088】
次に、本発明の第13実施形態である漏水検査治具を用いた追焚き循環金具の取付部検査方法の一例について説明する。なお、第1〜第12実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0089】
図18に示されるように、漏水検査治具170は、浴槽10の側壁12に取り付けられた追焚き循環金具14を浴槽10の内側から覆うことができるカバー体の一例としてのボウル状のカバー部172で構成されており、カバー部172は、略半球状の湾曲面172Aの縁部172B全体が側壁12の内壁に密着される。カバー部172は、比較的柔らかい部材(例えば、樹脂製)で形成されており、湾曲面172Aの頂部が縁部172B側に弾性変形可能となっている。すなわち、漏水検査治具170は、カバー部172を縁部172B側に弾性変形させることで、カバー部172内が負圧となって、カバー部172の縁部172Bが側壁12に吸着される吸盤形状とされている。
【0090】
この漏水検査治具170では、図18及び図19(A)に示されるように、湾曲面172Aの頂部を縁部172B側に変形させた状態で、カバー部172の縁部172B全体を側壁12の内壁に吸着させることで、カバー部172の内部に空気106が密封されて負圧になる(減圧状態)。この状態で、漏水検査治具170を放置する。
【0091】
図19(B)に示されるように、側壁12と追焚き循環金具14との間に隙間がある場合は、カバー部172の内部に空気が入り込み、カバー部172の湾曲面172Aが膨らんでくる。
【0092】
そして、カバー部172の内部が大気圧とほぼ同じになると、図19(C)に示されるように、漏水検査治具170が側壁12から脱落する。
【0093】
このような漏水検査治具170では、図19(A)に示されるように、カバー部172を変形させカバー部172内を負圧にした状態で所定時間放置することで、漏水検査治具170が側壁12に吸着されたままであれば、側壁12への追焚き循環金具14の取付部からの漏水が発生せず、漏水検査治具170が側壁12から脱落していれば、側壁12への追焚き循環金具14の取付部からの漏水が発生する。このため、漏水検査治具170により、実際に水(液体)を溜めなくても追焚き循環金具14の取付部からの漏水検査を行うことができ、漏水検査がより一層容易となる。
なお、漏水検査治具170が側壁12から脱落しなくても、カバー部172の形状の変化を検査することで、追焚き循環金具14の取付部からの漏水検査を行うことができる。
【0094】
なお、上記第1実施形態〜第13実施形態では、漏水検査治具のカバー部の形状は、本発明を逸脱しない範囲で変更可能である。すなわち、カバー部の形状は、追焚き循環金具14を浴槽の内側から覆い、浴槽の内壁との間に流体を貯留できる形状であれば、変更可能である。
【0095】
また、上記第4実施形態は、漏水検査治具90を構成するカバー部62の縁部62Bにパッキンを備えているが、他の実施形態の漏水検査治具についても同様にカバー部の縁部にパッキンを設けることができる。これにより、追焚き循環金具14の取付部の漏水検査を行うときに、漏水検査治具を構成するカバー部の縁部と浴槽の壁面との間から流体が漏れることを抑制することができる。なお、パッキンに代えて、カバー部の縁部を接着剤や吸着パッドなどの密着補助手段を用いて浴槽の壁面に密着させるようにしてもよい。
【0096】
また、上記第1実施形態〜第13実施形態に記載の漏水検査治具は、一口循環接続金具である追焚き循環金具14の取付部の漏水検査に用いられているが、この追焚き循環金具14に限定されず、他のタイプの接続部材(例えば、2つ穴タイプの2口循環接続金具、追焚きを行わず、給湯のみを行う給湯金具、又は樹脂製の接続部材)の取付部の漏水検査にも適用することができる。
【符号の説明】
【0097】
10 浴槽
12 側壁(壁部)
14 追焚き循環金具(接続部材)
60 漏水検査治具
62 カバー部(カバー体)
62B 縁部
62C 開口部
66 水(流体)
70 漏水検査治具
72 カバー部(カバー体)
72B 縁部
80 漏水検査治具
82 筒状部
84 開口部
90 漏水検査治具
100 漏水検査治具
102 圧力可変部材(加圧機構、減圧機構)
102B 蛇腹部
106 空気(流体)
120 漏水検査治具
122 カバー部(カバー体)
122A 縁部
124 圧力可変部(加圧機構、減圧機構)
130 漏水検査治具
140 漏水検査治具
150 漏水検査治具
170 漏水検査治具
172 カバー部(カバー体)
172B 縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の壁部を貫通すると共に配管を接続するための接続部材を前記浴槽の内側から覆い、前記浴槽の内壁との間に流体が貯留できる貯留部を形成するカバー体を備えた漏水検査治具。
【請求項2】
前記カバー体の全縁部は前記浴槽の内壁に密着し、前記貯留部を閉塞空間とする請求項1に記載の漏水検査治具。
【請求項3】
閉塞空間とされた前記貯留部へ封入された流体を加圧する加圧機構を備えた請求項2に記載の漏水検査治具。
【請求項4】
閉塞空間とされた前記貯留部へ封入された流体を減圧する減圧機構を備えた請求項2に記載の漏水検査治具。
【請求項5】
前記カバー体は、前記貯留部に流体を入れる開口部を備えている請求項1に記載の漏水検査治具。
【請求項6】
前記カバー体は、前記貯留部の液体圧を上げる筒状部と、前記筒状部の先端に設けられ前記貯留部に液体を入れる開口部と、を備えている請求項1に記載の漏水検査治具。
【請求項7】
浴槽の壁部を貫通すると共に配管を接続するための接続部材をカバー体で前記浴槽の内側から覆い、前記カバー体と前記浴槽の内壁との間に流体を貯留して、前記浴槽の外側の前記接続部材の取付部からの流体漏れを検査する漏水検査方法。
【請求項8】
浴槽の壁部を貫通すると共に配管を接続するための接続部材の前記浴槽の外側の取付部の周辺に界面活性剤を塗布し、カバー体で前記接続部材を前記浴槽の内側から覆い、前記カバー体と前記浴槽の内壁との間の閉塞空間に封入された空気を加圧して、前記界面活性剤からの泡の発生状態により前記接続部材の取付部からの空気漏れを検査する漏水検査方法。
【請求項9】
浴槽の壁部を貫通すると共に配管を接続するための接続部材をカバー体で前記浴槽の内側から覆い、前記カバー体と前記浴槽の内壁との間に液体が封入された閉塞空間を形成し、前記閉塞空間を減圧して前記接続部材の取付部からの空気の流入状態を検査する漏水検査方法。
【請求項10】
浴槽の壁部を貫通すると共に配管を接続するための接続部材をカバー体で前記浴槽の内側から覆い、前記カバー体と前記浴槽の内壁との間に空気が封入された閉塞空間を形成し、前記閉塞空間を減圧状態で放置し、前記カバー体の形状の変化を検査する漏水検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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