説明

漬けものふりかけとその製造方法

【課題】風味豊かな漬けものを乾燥してふりかけ状にして、保存性が良く、容易に食することができる漬けものふりかけとその製造方法を提供する。
【解決手段】漬けものの風味が飛散せず凍結しない温度である10℃以下の低温で乾燥させる乾燥工程と、乾燥した前記漬けものを粉砕する粉砕工程とからなる。例えば乾燥工程は、温度が7℃〜−3℃で、湿度が10%〜1%の雰囲気で行う

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、米飯等とともに食する漬けものをふりかけ状にした漬けものふりかけとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、和食において米飯とともに食する漬けものは、多くの種類があり、古くは保存食として発達し、近年はその発酵に用いられる乳酸菌等の微生物が注目され、健康志向から塩分を抑えた漬けものが多くなっている。この漬けものは、その風味とともに歯ごたえも重要な要素である。
【0003】
また、朝食等でよく食されるふりかけも和食において種類が多く、多くの人に好まれ食されている。このふりかけとして、例えば、特許文献1に開示されているように、野菜類のふりかけが提案されている。ふりかけを製造する際の食品の乾燥方法としては、効率よく行うために、80℃程度の比較的高温で乾燥しているものが多く、特許文献2に開示されているように、冷風乾燥であっても20℃〜40℃程度温度で乾燥させるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−194502号公報
【特許文献2】特開2008−107072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように漬けものは多くの人が好む食材であり、その食味や歯ごたえに大きな特徴があるが、高齢者や一部の病気の人にとっては、歯ごたえのある漬けものを上手くかみ切れなかったり、噛み砕いて食することができない場合があった。しかも、近年の漬けものは塩分が薄く、常温において日持ちがせず、旅行等に持参することも不向きなものであった。
【0006】
さらに、特許文献1のような野菜の乾燥ふりかけは、単に野菜を乾燥した粉であり、乾燥工程での加熱や時間の経過により、風味が低下し、食品成分やビタミン等の栄養成分が変質してしまうものであった。特許文献2に開示されているような冷風乾燥であっても、乾燥中に風味が飛散し、栄養成分も変質してしまうものであった。特に、食品を乾燥させると、その食物の細胞壁が破れたりして、中のうまみ成分が飛散してしまい、後に水で戻しても、風味が落ちてしまうものであった。
【0007】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、風味豊かな漬けものを乾燥してふりかけ状にし、保存性が良く、容易に食することができる漬けものふりかけとその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、一定時間経過して熟成された漬けものを、その細胞壁が破壊されず風味が飛散しない低温で乾燥させ、粉砕してなる漬けものふりかけである。
【0009】
またこの発明は、漬けものの風味が飛散せず凍結しない温度である10℃以下の低温で乾燥させる乾燥工程と、乾燥した前記漬けものを粉砕する粉砕工程とからなる漬けものふりかけの製造方法である。
【0010】
前記乾燥工程は、温度が7℃〜−3℃で、湿度が10%〜1%の雰囲気で行うものである。さらに、前記乾燥工程は、漬けものを、氷温で乾燥させるものであっても良い。
【発明の効果】
【0011】
この発明の漬けものふりかけとその製造方法は、種々の漬けものの風味を残したまま、確実に乾燥され、うまみ成分や栄養素の損失が極めて少なく、保存性や栄養価も高く、容易においしく食することができる。これにより、漬けものの用途が増加し、漬けものの付加価値を高め販路も広がるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の一実施形態の漬けものふりかけとその製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の一実施形態について説明する。この実施形態の漬けものふりかけ10は、米飯にかけることができるような、適度な細かさに粉砕された乾燥した漬けものである。ここで言う漬けものは、たくあん、奈良漬け、ぬか漬け、千枚漬け等、何れの種類の漬けものでも良く、材料もキュウリ、なす、白菜、ニンジン、ゴボウ、蕪など、適宜の野菜の漬けものであり、キムチのように複数の食材や、魚介類を混ぜたものでも良い。
【0014】
漬けものは、漬ける食材を一定濃度以上の食塩その他調味料を含む漬け液中に漬し、所定の圧力を掛けて保存し、中で乳酸菌等の発酵菌の働きで熟成したものである。
【0015】
この実施形態のふりかけは、適宜の大きさに乾燥した漬けものが粉砕されたものである。漬けものふりかけは、1種類のものに限らず、複数種類の漬けものの粉末が混合されたものでも良く、漬けもの以外の食材のふりかけが混合されたものでも良い。
【0016】
次に、この漬けものふりかけの製造方法について説明する。図1は、漬けものふりかけ10の製造工程を示した概略図である。まず、漬けものを公知の方法で作成する。例えば、たくあんであれば、大根を洗って乾燥させ、多少萎びたところで、たくあん漬けの容器に入れて、塩とその他の調味料を混合し、米糠の中に入れて、一定期間熟成させる。その他の糠漬けも同様に製造する。
【0017】
次に、既存の方法で製造した漬けものを乾燥させる。乾燥は、温度と湿度が精密にコントロールされた乾燥室14で行う。乾燥室14内の温度は10℃〜−5℃、好ましくは、7℃〜−3℃、より好ましくは、漬けもの12中の水分が凍結しない程度の氷温状態で行う。湿度は、できるだけ低い方が好ましいが、20%〜1%の雰囲気、より好ましくは、10%〜1%程度の雰囲気中で乾燥させる。さらに、湿度や温度のムラをなくすために、乾燥室14の空気を循環させ、漬けもの12を載置した乾燥用テーブル16もコンベア等により移動式にすると良い。乾燥時間は、漬けもの12の量や厚みで異なるが、通常は、1〜数時間程度で乾燥が完了する。これにより、漬けもの12の細胞壁が破壊されず、風味やうまみ成分の飛散がなく、漬けもの12自体の味覚を維持した状態で乾燥状態となる。
【0018】
この後、低温で乾燥した漬けもの12をふりかけにするため、適度な細かさに粉砕する。粉砕は、平均粒径が0.5mm〜5mm程度で良く、大きすぎると食し難く、細かすぎるとかえって食感が悪くなる。多少つぶつぶ感が残る程度で、噛み砕かなくても飲み込み可能な粒度にすると良い。この後、この漬けものふりかけ10を、適宜に包装して商品とする。包装形態は、袋詰めや筒状の容器に入れても良く、1食分ずつ包装しても良い。
【0019】
この実施形態の漬けものふりかけとその製造方法によれば、漬けものの食材の細胞壁が破壊されたり損傷したりすることが防止され、漬けものとしての食材の風味を残したまま確実に乾燥され、保存性や栄養価が高く、容易においしく食することができる。特に高齢者や病気の人によって、好みの漬けものを容易に流動食等とともに食することができ、大きな満足感を得ることができる。さらに、乾燥してふりかけとすることにより、漬けものの用途が増加し、旅行や長期間の保存食としても利用可能であり、漬けものの付加価値を高め、販路も広げることができるものである。
【0020】
なお、この発明の漬けものふりかけは、上記実施形態に限定されるものではなく、製造方法において、低温乾燥の温度や湿度の調整は、適宜変更可能である。また、対象となる漬けものは種類を選ばず、自由に選択することができる。
【符号の説明】
【0021】
10 漬けものふりかけ
12 漬けもの
14 乾燥室
16 乾燥用テーブル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定時間経過して熟成された漬けものを、その細胞壁が破壊されず風味が飛散しない低温で乾燥させ、粉砕してなることを特徴とする漬けものふりかけ。
【請求項2】
漬けものの風味が飛散せず凍結しない温度である10℃以下の低温で乾燥させる乾燥工程と、乾燥した前記漬けものを粉砕する粉砕工程とからなることを特徴とする漬けものふりかけの製造方法。
【請求項3】
前記乾燥工程は、温度が7℃〜−3℃で、湿度が10%〜1%の雰囲気で行う請求項3記載の漬けものふりかけの製造方法。
【請求項4】
前記乾燥工程は、漬けものを、氷温で乾燥させるものである請求項3記載の漬けものふりかけの製造方法。


【図1】
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【公開番号】特開2012−200232(P2012−200232A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70033(P2011−70033)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(591041163)
【出願人】(511079171)
【出願人】(511079425)
【Fターム(参考)】