説明

潜熱回収ユニット

【課題】潜熱回収用熱交換器を具備した潜熱回収ユニットを設置して、潜熱回収用熱交換器により高温の排気ガスの熱を効率よく回収することができる温水発生機を提供する。
【解決手段】熱媒水を収容する温水発生機本体と、温水発生機本体内の熱媒水を加温する燃焼室と、温水発生機本体に収容された熱媒水と熱交換された2次湯水を循環させる2次側循環路と、を備える温水器に取付可能とした潜熱回収ユニットであって、燃焼室と連通連結可能であり、当該燃焼室より排出される排気ガスを外部に排出する煙道構成体と、2次側循環路とは独立して構成され、熱媒水を循環させる1次側循環路と、燃焼室より排出され、煙道構成体内を通過する排気ガスと1次側循環路中の熱媒水とを熱交換して当該排気ガスの潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器と、1次側循環路を循環する熱媒水と2次側循環路を循環する2次湯水との熱交換を行う間接熱交換器と、が所定のケーシングに収納配設されている潜熱回収ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水発生機に関し、詳しくは燃焼装置の排気ガスの潜熱を回収して2次側の湯水を予熱可能とした潜熱回収用熱交換器を備えた温水発生機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温水発生機では、燃費の向上を図るために、バーナを燃焼室で燃焼させてその燃焼熱により熱媒水や2次側の湯水を加温するだけではなく、バーナを燃焼させた後に発生する排気ガスの熱を利用して、熱媒水や2次側の湯水を予熱する方法があった。
【0003】
例えば、ボイラ等から排出される燃焼排気ガスの熱を有効活用するために、燃焼排気ガスの顕熱だけではなく潜熱をも最大限吸収して熱吸収量を増大させた潜熱回収用熱交換器(エコノマイザ)が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
かかる潜熱回収用熱交換器を利用した従来の温水器を、例えば銭湯などのような施設で給湯用に用いる場合、図2に示すような構成が採用されることが多い。
【0005】
図2に示すように、従来の温水発生機は、バーナ110が設けられた燃焼室120を備え、熱媒水200を収容可能とした温水発生機本体100と、温水発生機本体100に収容された熱媒水200を循環させる1次側循環路300と、給湯のために設けられたカラン410に2次湯水500を循環させる2次側循環路400と、1次側循環路300を循環する高温の熱媒水200と2次側循環路400を循環する低温の2次湯水500との熱交換を行う間接熱交換器600と、バーナ110の燃焼により発生した排気ガス130の熱(顕熱、潜熱)を回収する潜熱回収用熱交換器700と、により構成されている。図中、符号310で示したものは1次側循環路300に設けられた熱媒循環ポンプ、符号420で示したものは2次側循環路400に設けられた循環ポンプ、また、符号800で示したものは、潜熱回収用熱交換器700を介して燃焼室120に連通連結した煙道を示す。
【0006】
上記構成の温水発生機は、ガス・油等の燃料をバーナ110により燃焼室120で燃焼して、その燃焼熱により温水発生機本体100に収容した熱媒水200を加温する。そして、熱媒循環ポンプ310により高温の熱媒水200を1次側循環路300に循環させ、同様に、循環ポンプ420により低温の2次湯水500を2次側循環路400に循環させて、間接熱交換器600により熱交換して2次側循環路400を循環する2次湯水500を加温している。
【0007】
さらに、図示するように、2次側循環路400を循環する2次湯水500は、間接熱交換器600に供給されて加温される前に、潜熱回収用熱交換器700と熱交換することにより予熱されるようになっている。すなわち、従来の温水器においては、2次側循環路400を循環する2次湯水500を予熱するために潜熱回収用熱交換器700が用いられていた。
【0008】
また、図2に示す温水発生機は、複数の1次側循環路300とそれに応じた複数の間接熱交換器600及び複数の2次側循環路400を備えることにより、給湯のみならず、例えば、暖房、循環加熱などを同時に行うことができる構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−248105
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したような、潜熱回収用熱交換器を備えた従来の温水発生機は、元来捨てていた燃焼排気ガスの熱を有効活用できるために極めて好ましい構成といえるが、潜熱回収用熱交換器を備えていない温水発生機を用いている施設の方がまだまだ多い。
【0011】
そして、潜熱回収用熱交換器を配設して省エネを図りたくとも、温水発生機本体100などの燃焼装置を含む装置全体を再構築するとなると、大がかりな配管、煙道の改造が必要になってコストが嵩むため簡単ではない。
【0012】
しかも、例えば、銭湯などのような施設の場合、常時所定温度の湯水を提供する必要があるため、図2に示すように、2次側循環路400を循環する2次湯水500を予熱して、常に2次湯水500を2次側循環路400内で循環させている。
【0013】
このため、カラン410から供給される2次湯水500の使用頻度が低下すると、2次側循環路400の内部を循環する2次湯水500の温度が必要以上に上昇してしまい、潜熱回収用熱交換器700へ高温の2次湯水500が入水されることになる。一般に、潜熱回収用熱交換器700に入水する2次湯水500の温度が高くなると、潜熱回収用熱交換器700の特性上、排気ガス130中の水分凝縮が生起されにくくなり、結果として潜熱回収用熱交換器700内における熱交換の効率が低下する虞があった。
【0014】
また、給湯のための温水発生機においては、カラン410の開閉頻度、つまり、給湯頻度により、潜熱回収用熱交換器700へ入水する2次湯水500の量や温度にばらつきが生じ、結果的に潜熱回収用熱交換器700内における熱交換の効率もばらついてしまう。さらに、潜熱回収用熱交換器700の熱交換能力は、2次側循環路400を循環する2次湯水500の量や温度に依存するため、例えば、循環する2次湯水500の量が少ないときや循環ポンプ420の発停制御を行っている場合、熱の受け渡しが十分でなければ、排気ガス130の熱により潜熱回収用熱交換器700の内部が過熱状態や圧力上昇する危険性がある。
【0015】
本発明は、上述した課題を解決し、潜熱回収用熱交換器のヒータ効率の低下や過熱状態が発生することを防止し、かつ、既設の給湯装置に潜熱回収用熱交換器を簡単に後付け可能とした技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明においては上記課題を解決するために以下の手段を講じた。
【0017】
(1)熱媒水を収容する温水発生機本体と、前記温水発生機本体内の熱媒水を加温する燃焼室と、前記温水発生機本体に収容された熱媒水と熱交換された2次湯水を循環させる2次側循環路と、を備える温水発生機に取付可能とした潜熱回収ユニットであって、前記燃焼室と連通連結可能であり、当該燃焼室より排出される排気ガスを外部に排出する煙道構成体と、前記2次側循環路とは独立して構成され、熱媒水を循環させる1次側循環路と、前記燃焼室より排出され、前記煙道構成体内を通過する排気ガスと前記1次側循環路中の熱媒水とを熱交換して当該排気ガスの潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器と、前記1次側循環路を循環する熱媒水と前記2次側循環路を循環する2次湯水との熱交換を行う間接熱交換器と、が所定のケーシングに収納配設されていることとした。
【0018】
(2)上記(1)の潜熱回収ユニットにおいて、前記2次側循環路を複数路具備する温水発生機に取付可能な潜熱回収ユニットであって、前記ケーシング内に、前記2次側循環路の数と同数の間接熱交換器を収納配設したことを特徴とする。
【0019】
(3)上記(1)又は(2)の潜熱回収ユニットにおいて、前記1次側循環路を循環する熱媒水の温度変化による膨張及び収縮を吸収する開放筒を具備することを特徴とする。
【0020】
(4)上記(1)〜(3)の潜熱回収ユニットにおいて、前記潜熱回収用熱交換器による排気ガスの潜熱回収により発生する酸性のドレンを中和する中和装置を具備することを特徴とする。
【0021】
(5)上記(1)〜(4)の潜熱回収ユニットにおいて、前記潜熱回収用熱交換器を通過する前と通過した後の排気ガスの温度を測定する複数の温度センサを前記煙道構成体に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、潜熱回収用熱交換器が設けられていない既設の温水発生機に、潜熱回収用熱交換器を含む潜熱回収ユニットを後付けすることを可能とするとともに、潜熱回収ユニットは、潜熱回収用熱交換器に供給される熱媒水の温度を、比較的低温度とすることができるので熱交換効率を高くすることができ、さらに、開放筒を設け潜熱回収用熱交換器の過熱や圧力上昇を防止することができるので、安全性に優れた潜熱回収ユニットを具備する温水発生機とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態の温水発生機を示す概略構成図である。
【図2】潜熱回収用熱交換器を備えた従来の温水発生機を示す概略構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る潜熱回収ユニットについて、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は本実施形態に係る温水発生機10を示す概略構成図である。
【0025】
なお、この潜熱回収ユニットを備えた本実施形態における温水発生機10は、例えば、ビルや工場、あるいは銭湯施設などでの給湯や暖房などに好適に使用できるものであるが、給湯や暖房が必要な場所であれば如何なる場所にも設置できる。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係る温水発生機10は、バーナ装置12が設けられた燃焼室13と温水発生機付属熱交換器16とを備えるとともに、減圧蒸気室11aと熱媒水を収容可能とした熱媒水貯留室11bで構成される温水発生機本体11と、燃焼室13より排出される排気ガスを外部に排出する煙道15と、給湯のために設けられた出湯端末である複数のカラン32を備え、各カラン32から出湯される2次湯水を循環させる複数の2次側循環路30と、本実施形態の要部をなし、後に詳述する潜熱回収ユニット90とを具備する構成としている。
【0027】
潜熱回収ユニット90は、上記2次側循環路30とは独立して構成される1次側循環路20と、この1次側循環路20を循環する熱媒水と2次側循環路30を循環する2次湯水との熱交換を行う間接熱交換器50と、既設の煙道15と接続可能に設けられ、バーナ装置12の燃焼により発生した排気ガスを、ケーシング91内を支障なく通過させて既設の煙道15に導出するための煙道構成体70と、この煙道構成体70を通過する排気ガスの熱(顕熱、潜熱)を回収する潜熱回収用熱交換器40とを、所定形状のケーシング91に収納配設した構成としている。
【0028】
また、潜熱回収ユニット90は、1次側循環路20を循環する熱媒水の温度変化による膨張及び収縮を吸収する開放筒22と、潜熱回収用熱交換器40による排気ガスの潜熱回収により発生する酸性のドレンを中和する中和装置23と、煙道構成体70を通過する排気ガスが潜熱回収用熱交換器を通過する前と通過した後の排気ガスの温度を測定する2個の温度センサ41,41と、を具備している。
【0029】
つまり、本実施形態の温水発生機10は、潜熱回収用熱交換器40を具備した潜熱回収ユニット90を備え、この潜熱回収ユニット90により、燃焼室13から排出される排気ガスの熱(潜熱及び顕熱)を効率よく回収して、2次側循環路30を循環する2次湯水を予熱することで、煙道15より排出される熱量を回収して燃料の削減を図っている。
【0030】
また、潜熱回収ユニット90は、煙道構成体70を通過する排気ガスの潜熱を潜熱回収用熱交換器40により、潜熱回収ユニット90に設けられた1次側循環路20を循環する熱媒水に回収し、1次側循環路20を循環する熱媒水と2次側循環路30を循環する2次湯水とを間接熱交換器50により熱交換させて2次側循環路30を循環する2次湯水を加温する1次循環方式を用いている。
【0031】
つまり、カラン32から出湯される2次湯水は、図示しない水源(上水など)から2次側循環路30に供給された常温の2次湯水(つまり、比較的低温の水である)を、1次側循環路20を循環する高温の熱媒水と間接熱交換器50により熱交換して予熱した後に、さらに、温水発生機本体11に収納されている熱媒水を熱源とした温水発生機付属熱交換器16で加温して、所定温度の2次湯水として供給する。
【0032】
また、図示するように、潜熱回収ユニット90は、排気ガスが通過する煙道構成体70と、この煙道構成体70に設けられた潜熱回収用熱交換器40と、潜熱回収ユニット90の内部で熱媒水を循環させる複数の1次側循環路20と、複数の間接熱交換器50と、外部からの2次湯水を間接熱交換器50へ供給および外部へ排出する複数の2次側循環路30とをケーシング91に収納してユニット化した構成としている。
【0033】
このため、ケーシング91には、複数の2次側循環路30を循環する2次湯水を潜熱回収ユニット90の内部の複数の2次側循環路30に供給し、複数の間接熱交換器50により熱交換されて予熱された後の2次湯水を、潜熱回収ユニット90の外部の複数の2次側循環路30に排出する2次側接続部30aが設けられている。
【0034】
また、ケーシング91には、温水発生機本体11の燃焼室13及び既設の煙道15、あるいは潜熱回収ユニット90を配設するために用意した煙道15と、ケーシング91の内部の煙道構成体70とを接続する煙道接続部15aが設けられている。かかる煙道接続部15aを介して、温水発生機本体11の燃焼室13から排出される排気ガスはケーシング91内の煙道構成体70に供給され、煙道構成体70を通過して潜熱回収用熱交換器40により熱を回収された後の排気ガスは、ケーシング91の外部に設置された煙道15に排出することができる。
【0035】
なお、潜熱回収ユニット90のケーシング91に設けられた2次側接続部30aは、外部の2次側循環路30を構成する配管等と簡易に接続できる接続機器を採用し、煙道接続部15aも同様に、燃焼室13から排出される排気ガスの煙道15と簡易に接続できる接続機器を採用することが望ましい。これにより、潜熱回収用熱交換器40を有しない既存の温水発生機10等に対する潜熱回収ユニット90の後付け作業を簡易とすることができる。
【0036】
また、本実施形態においては、1次側循環路20、間接熱交換器50及び2次側循環路30により構成される回路を、例えば、給湯や暖房のための目的の異なる複数組の回路(例えば、給湯回路、暖房回路など)を備えた構成としている。各回路は基本的に同じ構成となるため、以下の説明では、一組の1次側循環路20、間接熱交換器50及びカラン32を備えた2次側循環路30からなる給湯回路について説明する。
【0037】
温水発生機本体11内の熱媒水貯留室11bには、燃焼室13が設けられており、この燃焼室13の一端側にバーナ装置12を取付けてバーナ口を燃焼室13内に臨ませる一方、他端側には、潜熱回収ユニット90の煙道構成体70と接続されて煙道15の一部となる筒体の基端を連通連結している。なお、筒体としては、潜熱回収ユニット90を後付けする前に配設されていた煙道の一部であってもよい。そして、燃焼室13内での所定の燃料(例えば、ガス・油等)をバーナ装置12により燃焼させた燃焼熱により、温水発生機本体11内の熱媒水貯留室11bに収容されている熱媒水を加温する。
【0038】
本実施形態に係る潜熱回収ユニット90は、潜熱回収用熱交換器40を、燃焼室13と連通連結された煙道構成体70の燃焼室側に配設し、高温の排気ガスが潜熱回収用熱交換器40を通過するようにしている。そして、潜熱回収用熱交換器40により熱を回収された排気ガスは、煙道構成体70と連通連結された煙道15から外部へ排出される。すなわち、この潜熱回収用熱交換器40は、1次側循環路20を循環する熱媒水を、燃焼室13で所定の燃料(例えば、ガス・油等)を燃焼させた後の排気ガスと熱交換して、1次側循環路20を循環する熱媒水を加温するものであり、1次側循環方式の温水発生機10を実現している。
【0039】
なお、上述した熱交換を行う潜熱回収用熱交換器40及び間接熱交換器50については周知のものであるので説明は省略する。なお、潜熱回収用熱交換器40を用いて行われる熱交換の結果、排気ガスの中の水分が凝縮して酸性のドレンが発生するが、潜熱回収ユニット90には中和装置23が付設されており、潜熱回収用熱交換器40から排出される酸性のドレンはこの中和装置23により処理された後に、温水発生機10の外部へ排水される。
【0040】
潜熱回収ユニット90の内部の1次側循環路20には、1次側循環ポンプ21が配設されている。この1次側循環ポンプ21は、潜熱回収用熱交換器40と熱交換して加温された比較的高温の熱媒水を間接熱交換器50に供給して、熱媒水と2次側循環路30を循環する2次湯水との熱交換を行うために1次側循環路20の内部の熱媒体を循環させるためのものである。
【0041】
1次側循環路20には、開放筒22が設けられている。この開放筒22は、1次側循環路20を循環する熱媒水の温度変化による膨張及び収縮を吸収する機器としての機能を有し、このように開放式の開放筒22を用いることで、潜熱回収用熱交換器40を含む潜熱回収ユニット90が第一種圧力容器に該当しないため、本実施形態における温水発生機10の取り扱いが専用の有資格者に限定されることがない。
【0042】
1次側循環路20を循環する熱媒水は、潜熱回収用熱交換器40で高温の排気ガスの熱を回収して加温され、間接熱交換器50で2次側循環路30を循環する2次湯水と熱交換する。そして、2次湯水と熱交換して温度が低下した熱媒水は、再び潜熱回収用熱交換器40で熱交換して加温されて再び間接熱交換器50に供給される。つまり、潜熱回収ユニット90の内部で1次側循環路20を循環する熱媒水は、潜熱回収用熱交換器40における排気ガスとの熱交換による温度の上昇と、間接熱交換器50における2次側循環ポンプ31を循環する2次湯水との熱交換による温度の低下とを繰り返しながら1次側循環路20を循環する。
【0043】
1次側循環路20には給水弁61が設けられた給水管60が接続されている。これは、1次側循環路20内を循環する熱媒水を自動的に補給するためのものである。つまり、潜熱回収ユニット90内の複数の回路において、自然蒸発等により1次側循環路20を循環する熱媒水の量が減少した場合は、給水管60の給水弁61開放して、給水管60から熱媒水を1次側循環路20に補給することで、1次側循環路20内を循環する熱媒水の量を一定に保っている。
【0044】
潜熱回収ユニット90の煙道構成体70には、排気ガスが潜熱回収用熱交換器40を通過する前と通過した後に、当該排気ガスの温度を測定する2個の温度センサ41,41が設けられている。そして、温度センサ41,41で測定した排気ガスの温度が所定の温度より上昇したことを検出することにより、潜熱回収用熱交換器40の清掃時期を予測することができる。
【0045】
一方、2次側循環路30には、2次湯水を循環させる2次側循環ポンプ31が配設されている。2次側循環ポンプ31により2次側循環路30内を循環する2次湯水は、潜熱回収ユニット90内の間接熱交換器50に供給され、1次側循環路20を循環する熱媒水と熱交換して予熱された後、潜熱回収ユニット90から排出される。
【0046】
そして、潜熱回収ユニット90内の間接熱交換器50により予熱された後の2次湯水は、2次側循環路30を循環して温水発生機本体11に付設された温水発生機付属熱交換器16と熱交換してさらに加温される。
【0047】
本実施形態における温水発生機本体11は、内部圧を大気圧以下とした缶体に熱媒水を封入して減圧蒸気室11aと熱媒水貯留室11bを形成すると共に、同熱媒水を加熱するバーナ装置12を燃焼室13に連設し、さらに、熱を取り出すための温水発生機付属熱交換器16を減圧蒸気室11a内に配設して、缶体内に発生する蒸気により2次側循環路30内を循環する2次湯水を加温する。
【0048】
つまり、2次側循環路30を循環する2次湯水は、潜熱回収ユニット90の間接熱交換器50により、1次側循環路20を循環する熱媒水と熱交換して予熱され、その後さらに、温水発生機本体11に付設された温水発生機付属熱交換器16と熱交換してさらに加温されて、2次側循環路30に配設されているカラン32から給湯される。
【0049】
また、2次側循環路30には、カラン32から給湯された分の2次湯水を補給する給水口(図示せず)が設けられており、常に2次側循環路30内を所定量の2次湯水が循環するようにしている。
【0050】
上述したように、本実施形態においては、潜熱回収ユニット90の潜熱回収用熱交換器40で加温された比較的高温の熱媒水は、複数の1次側循環路20を循環させて複数の間接熱交換器50に供給される。一方、給湯のための比較的低温の2次湯水は、潜熱回収ユニット90内の1次側循環路20とは独立して配管されている複数の2次側循環路30を循環させて複数の間接熱交換器50に供給される。そして、それぞれの間接熱交換器50において熱交換して、複数の2次側循環路30を循環する2次湯水を予熱する構成としている。
【0051】
そして、2次側循環路30の2次湯水と熱交換して、温度の低下した1次側循環路20の熱媒水は、潜熱回収用熱交換器40において、排気ガスと熱交換して再度加温される。このように、本実施形態に係る温水発生機10は、1次側循環路20を循環する熱媒水を加温するために潜熱回収用熱交換器40を用いている。
【0052】
以上、上述した実施形態によれば、潜熱回収ユニット90は、内部に複数の間接熱交換器50、複数の1次側循環路20、複数の2次側循環路30、潜熱回収用熱交換器40が配置された煙道構成体70などをケーシング91に収納した独立した回路となっているため、潜熱回収用熱交換器40が設置されていない既存の温水発生機にも、最小の配管工事や煙道15の改造により、潜熱回収ユニット90を後付けすることが可能であり、今まで捨てていた高温の排気ガスの熱を有効に回収して、燃費等の向上を図ることができる潜熱回収ユニット90を具備する温水発生機10とすることができる。
【0053】
また、潜熱回収ユニット90の内部で1次側循環路20を循環する熱媒水は、複数の2次側循環路30を循環する2次湯水と複数の間接熱交換器50で熱交換されて温度が低下するため、比較的安定した低温の熱媒水を潜熱回収用熱交換器40に提供することができる。これにより、潜熱回収用熱交換器40の内部の過熱状態や圧力上昇を防ぐとともに、潜熱回収用熱交換器40により効率の高い熱交換を行うことができる。
【0054】
また、潜熱回収ユニット90では、1次側循環路20と2次側循環路30とは、間接熱交換器50の内部で切り離されているため、2次側循環路30を循環する2次湯水のスケール成分等が1次側循環路20を循環する熱媒水に侵入することはない。このため、潜熱回収用熱交換器40の内部において、スケール成分等の付着による過熱が起こることはなく、また、腐食等も発生することがない。
【0055】
また、潜熱回収ユニット90は、開放筒22を備えているため、1次側循環路20を循環する熱媒水の温度変化による膨張及び収縮を吸収する。このように、開放式の開放筒22を用いることで、潜熱回収用熱交換器40が第一種圧力容器に該当することはない。
【0056】
また、潜熱回収ユニット90は、中和装置23を備えているため、潜熱回収用熱交換器40から排出される酸性のドレンを、中和装置23により処理した後に温水発生機10の外部へ排水する。これにより、酸性のドレンによる下水や河川の汚染を防止している。
【0057】
なお、潜熱回収ユニット90を既存の温水発生機に新しく付設すると、潜熱回収用熱交換器40による熱交換により排気ガスの温度が低下するため、煙道構成体70のドラフトが不足して、排気ガスの排出が滞る場合がある。この場合は、煙道構成体70に排気ガスの誘引ファンなどを設けて、煙道構成体70から煙道15へ排気ガスを強制的に排出することで、排気ガスの排出を促進することができる。
【0058】
また、新規に温水発生機10を設置する場合でも、潜熱回収ユニット90を独立させているため、例えば、潜熱回収ユニット90を構成する要素の故障時の対応や部品の交換などが容易である。
【0059】
上述してきた実施形態より、以下の潜熱回収ユニット90を具備した温水発生機10が実現できる。
【0060】
(1)熱媒水を収容する温水発生機本体11と、温水発生機本体11内の熱媒水を加温する燃焼室13と、温水発生機本体11に収容された熱媒水と熱交換された2次湯水を循環させる2次側循環路30と、を備える温水発生機10に取付可能とした潜熱回収ユニット90であって、燃焼室13と連通連結可能であり、当該燃焼室13より排出される排気ガスを外部に排出する煙道構成体70と、2次側循環路30とは独立して構成され、熱媒水を循環させる1次側循環路20と、燃焼室13より排出され、煙道構成体70を通過する排気ガスと1次側循環路20中の熱媒水とを熱交換して当該排気ガスの潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器40と、1次側循環路20を循環する熱媒水と2次側循環路30を循環する2次湯水との熱交換を行う間接熱交換器50と、が所定のケーシングに収納配設されている潜熱回収ユニット90。
【0061】
かかる構成により、例えば、潜熱回収用熱交換器40を備えていない既設の温水発生機10に対して、最小の配管工事や煙道15の改造で、排気ガスの高温の熱を効率よく回収することができる潜熱回収ユニット90を設置することができ、排気ガスの熱を有効に活用して、燃費の向上を図るとともに、二酸化炭素の削減、温室効果の防止等環境に配慮した温水発生機10とすることができる。
【0062】
(2)2次側循環路30を複数路具備する温水発生機10に取付可能な潜熱回収ユニット90であって、潜熱回収ユニット90を構成するケーシング内に、2次側循環路の数と同数の間接熱交換器50を収納配設した潜熱回収ユニット90。
【0063】
かかる構成により、1次側循環路20を循環する熱媒水を、複数の間接熱交換器50により複数路の2次側循環路30を循環する2次湯水と効率よく熱交換して、1次側循環路20を循環して潜熱回収用熱交換器40に供給される熱媒水の温度を低下させることができるため、潜熱回収用熱交換器40内部での熱交換の効率を向上させることができる。
【0064】
(3)1次側循環路20を循環する熱媒水の温度変化による膨張及び収縮を吸収する開放筒22を具備する潜熱回収ユニット90。
【0065】
かかる構成により、1次側循環路20を循環する熱媒水の温度変化による膨張及び収縮を吸収する機器として開放式の開放筒22を用いたため、第一種圧力容器に該当しない潜熱回収ユニット90を具備した温水発生機10とすることができる。
【0066】
(4)潜熱回収用熱交換器40による排気ガスの潜熱回収により発生する酸性のドレンを中和する中和装置23を具備する潜熱回収ユニット90。
【0067】
かかる構成により、潜熱回収用熱交換器40により生じる酸性のドレンを中和処理した後に排出することができるので、自然環境を破壊することのない環境に優しい潜熱回収ユニット90を具備した温水発生機10とすることができる。
【0068】
(5)潜熱回収用熱交換器40を通過する前と通過した後の排気ガスの温度を測定する複数の温度センサ41,41を煙道構成体70に設けた潜熱回収ユニット90。
【0069】
かかる構成により、潜熱回収用熱交換器40による熱交換の効率の低下を知ることができるため、潜熱回収ユニット90に具備されている潜熱回収用熱交換器40の清掃時期の予測を容易に行うことができる。
【0070】
なお、本実施形態においては、熱媒水として水(熱媒水)を加熱する潜熱回収ユニット90を具備する温水発生機10を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ガスエンジンの排熱回収、その他高温の排気ガスが発生する機器に適用することも可能である。
【0071】
以上、実施例を説明したが、本発明の具体的な構成は前記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
10 温水発生機
11 温水発生機本体
12 バーナ装置
13 燃焼室
15 煙道
16 温水発生機付属熱交換器
20 1次側循環路
21 1次側循環ポンプ
22 開放筒
23 中和装置
30 2次側循環路
31 2次側循環ポンプ
32 カラン
40 潜熱回収用熱交換器
41 温度センサ
50 間接熱交換器
60 給水管
61 給水弁
70 煙道構成体
90 潜熱回収ユニット
91 ケーシング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒水を収容する温水発生機本体と、
前記温水発生機本体内の熱媒水を加温する燃焼室と、
前記温水発生機本体に収容された熱媒水と熱交換された2次湯水を循環させる2次側循環路と、を備える温水器に取付可能とした潜熱回収ユニットであって、
前記燃焼室と連通連結可能であり、当該燃焼室より排出される排気ガスを外部に排出する煙道構成体と、
前記2次側循環路とは独立して構成され、熱媒水を循環させる1次側循環路と、
前記燃焼室より排出され、前記煙道構成体内を通過する排気ガスと前記1次側循環路中の熱媒水とを熱交換して当該排気ガスの潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器と、
前記1次側循環路を循環する熱媒水と前記2次側循環路を循環する2次湯水との熱交換を行う間接熱交換器と、
が所定のケーシングに収納配設されていることを特徴とする潜熱回収ユニット。
【請求項2】
前記2次側循環路を複数路具備する温水器に取付可能な潜熱回収ユニットであって、
前記ケーシング内に、前記2次側循環路の数と同数の間接熱交換器を収納配設したことを特徴とする請求項1に記載の潜熱回収ユニット。
【請求項3】
前記1次側循環路を循環する熱媒水の温度変化による膨張及び収縮を吸収する開放筒を具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の潜熱回収ユニット。
【請求項4】
前記潜熱回収用熱交換器による排気ガスの潜熱回収により発生する酸性のドレンを中和する中和装置を具備することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の潜熱回収ユニット。
【請求項5】
前記潜熱回収用熱交換器を通過する前と通過した後の排気ガスの温度を測定する複数の温度センサを前記煙道構成体に設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の潜熱回収ユニット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−127804(P2011−127804A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284933(P2009−284933)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(390001568)昭和鉄工株式会社 (27)
【Fターム(参考)】