説明

潜熱回収熱源装置

【課題】潜熱回収熱交換器において発生したドレンを排出するにあたり、目詰まりを起こすおそれのある中和剤の使用を回避し、かつ上水利用コストの低減を図ることが可能な潜熱回収熱源装置を提供する。
【解決手段】ドレンタンクDTにドレンとは異なる希釈用流体を供給するための希釈用流体供給路D2の一端側が接続され、循環路Cにおける追焚用循環ポンプPよりも下流側に、循環路Cの上流側と下流側とを接続した追焚用接続状態と循環路Cの上流側と、希釈用流体供給路D2の他端側とを接続して循環路Cの上流側をドレンタンクDTに連通するドレン希釈用接続状態とに切換え自在な流路切換手段K1が設けられ、制御手段Hが流路切換手段K1をドレン希釈用接続状態に切換え、且つ、追焚用循環ポンプPを駆動させてドレンタンクDTに希釈用流体として浴槽Y1内の水を供給する希釈用流体供給処理を実行可能可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜熱回収熱交換器を備えた加熱部において発生したドレンを含有するドレン含有流体を貯留するドレンタンクと、前記ドレンタンクとドレン排出箇所とを接続するドレン排出管路と、前記ドレン排出管路を通じて前記ドレンタンク内のドレン含有流体を前記ドレン排出箇所に排出するドレン排出状態と前記ドレンタンク内のドレン含有流体を前記ドレン排出箇所に排出しないドレン非排出状態とに切換えるドレン排出状態切換手段と、追焚用循環ポンプにより浴槽内の水を前記加熱部との間で強制循環させる追焚用循環路と、前記追焚用循環ポンプ及び前記ドレン排出状態切換手段の作動を制御する制御手段とが設けられ、前記制御手段が、前記ドレン排出状態切換手段を前記ドレン排出状態として、前記ドレンタンク内のドレン含有流体を前記ドレン排出箇所に排出するドレン排出処理を実行可能に構成された潜熱回収熱源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、熱源装置の高効率化の需要を受けて、潜熱回収熱交換器を備えた加熱部が設けられた潜熱回収式熱源装置が採用されつつある。この潜熱回収式熱源装置においては、その運転に伴って潜熱回収熱交換器から発生する強酸性のドレンの処理が問題となる。
潜熱回収熱交換器から発生するドレンを処理する方法として、従来、図7に示すように、多孔質の中和剤Wを介装した中和槽DCに潜熱回収熱交換器N1から発生したドレンを導入し、中和槽DC内にてドレンと中和剤Wとを接触させてドレンを中和し、その後、中和処理後のドレンを中和槽DCよりオーバーフローさせて浴室内の排水箇所や雨水枡等のドレン排出箇所に排水するように構成されたものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上述したような多孔質の中和剤Wは、ドレンとの接触面積を大きくするために微小な気孔を複数備える粒状物にて構成されているため、これらの気孔に対して例えば熱源装置周辺の空気中に含まれていた黄砂等の塵埃が熱源装置排気口部から侵入する等の影響により中和剤Wが目詰まりを起こし、ドレンが中和剤W中を通過しにくくなってドレン排水不良を起こす等の問題があった。
このため、別の従来例として、中和槽を備えない構成を採用して、潜熱回収熱交換器から発生したドレンをドレンタンクに貯留し、そのドレンタンクに上水を供給して、ドレンタンク内のドレンを希釈するように構成されたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
この特許文献2においては、ドレンタンク内に水位検出手段を設け、ドレン排出処理を行った後にドレンが所定水位まで貯留されると、上水をさらに高位の所定水位まで供給してドレンを希釈し、上水によって希釈された状態であるドレン含有流体をドレン排出箇所に排出する形態と、同様にドレンタンク内に水位検出手段を設け、ドレン排出後にまず上水を所定水位まで供給しておき、その後ドレンが貯留されることによって水位がさらに高位の所定水位に達すると、上水によって希釈された状態であるドレン含有流体をドレン排出箇所に排出する形態とが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−272173号公報
【特許文献2】特開2005−265228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2の構成では、中和剤が目詰まりを起こすことによってドレン排水不良を起こすという問題は解消できるものの、ドレン排出に伴って上水を消費することになるため、上水利用コストが高くなるという課題があった。本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、潜熱回収熱交換器を備えた加熱部において発生したドレンをドレン排出箇所に排出するにあたり、目詰まりを起こすおそれのある中和剤の使用を回避するものでありながら、上水利用コストの低減を図ることが可能な潜熱回収熱源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る潜熱回収熱源装置は、潜熱回収熱交換器を備えた加熱部において発生したドレンを含有するドレン含有流体を貯留するドレンタンクと、前記ドレンタンクとドレン排出箇所とを接続するドレン排出管路と、前記ドレン排出管路を通じて前記ドレンタンク内のドレン含有流体を前記ドレン排出箇所に排出するドレン排出状態と前記ドレンタンク内のドレン含有流体を前記ドレン排出箇所に排出しないドレン非排出状態とに切換えるドレン排出状態切換手段と、追焚用循環ポンプにより浴槽内の水を前記加熱部との間で強制循環させる追焚用循環路と、前記追焚用循環ポンプ及び前記ドレン排出状態切換手段の作動を制御する制御手段とが設けられ、前記制御手段が、前記ドレン排出状態切換手段を前記ドレン排出状態として、前記ドレンタンク内のドレン含有流体を前記ドレン排出箇所に排出するドレン排出処理を実行可能に構成されたものであって、
その第1特徴構成は、前記ドレンタンクに前記ドレンとは異なる希釈用流体を供給するための希釈用流体供給路の一端側が接続され、前記追焚用循環路における前記追焚用循環ポンプよりも下流側に、前記追焚用循環路の上流側と下流側とを接続した追焚用接続状態と、前記追焚用循環路の上流側と前記希釈用流体供給路の他端側とを接続して前記追焚用循環路の上流側を前期ドレンタンクに連通するドレン希釈用接続状態とに切換え自在な流路切換手段が設けられ、前記制御手段が、前記流路切換手段をドレン希釈用接続状態に切換え、且つ、前記追焚用循環ポンプを駆動させて、前記ドレンタンクに、前記希釈用流体として、前記浴槽内の水を供給する希釈用流体供給処理を実行可能に構成されている点にある。
【0007】
すなわち、追焚用循環路における追焚用循環ポンプよりも下流側に設けられる流路切換手段を、追焚用循環路の上流側と下流側とを接続する追焚用接続状態に切換えることによって追焚用循環路が形成されることとなって、追焚用循環ポンプにより浴槽内の水を追焚用循環路加熱部との間で強制循環させて浴槽内の水の加熱すなわち追焚きが行えるものであり、しかも、流路切換手段を追焚用循環路の上流側と前記希釈用流体供給路の他端側とを接続するドレン希釈用接続状態に切換え且つ追焚用循環ポンプを駆動させることによって、ドレンタンクに希釈用流体として浴槽内の水を供給する希釈用流体供給処理を実行することができる。そのため、浴槽内に例えば残水がある場合において、希釈用流体として、上水ではなく浴槽内の水を有効に利用してドレンタンク内に貯留されるドレンを希釈することができる。
したがって、潜熱回収熱交換器を備えた加熱部において発生したドレンをドレン排出箇所に排出するにあたり、目詰まりを起こすおそれのある中和剤の使用を回避するものでありながら、上水利用コストの低減を図ることが可能な潜熱回収熱源装置を提供することができる。
【0008】
本発明に係る潜熱回収熱源装置の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記ドレンタンク内に貯留されるドレン含有流体の水位が前記ドレン排出処理の完了時の水位よりも高位である低位側水位であることを検出する低位側水位検出部と、前記低位側水位よりも高位である高位側水位であることを検出する高位側水位検出部とを備えた水位検出手段が設けられ、前記制御手段が、前記水位検出手段によって前記低位側水位が検出されると前記希釈用流体供給処理を実行する希釈用流体供給タイミングであると判別して、前記水位検出手段によって前記高位側水位が検出されるまで前記希釈用流体供給処理を実行し、その後、前記水位検出手段によって前記高位側水位が検出されると、前記ドレン排出処理を実行するドレン排出タイミングであると判別して前記ドレン排出処理を実行するように構成されている点にある。
【0009】
すなわち、制御手段は、水位検出手段によって、ドレンタンク内に貯留されるドレン含有流体の水位がドレン排出処理の完了時の水位よりも高位である低位側水位であることが検出されると、希釈用流体供給タイミングであると判別して、希釈用流体供給処理として、水位検出手段によって高位側水位が検出されるまでドレンタンク内に浴槽内の水を供給する希釈用流体供給処理を実行し、その後、水位検出手段によって低位側水位よりも高位である高位側水位が検出されると、ドレン排出タイミングであると判別して、ドレン排出処理を実行することになる。
【0010】
つまり、ドレン排出処理の完了時の水位からそのドレン排出処理の完了時の水位よりも高位である低位側水位となるまでドレンを貯留し、貯留されたドレンが低位側水位となると、希釈用流体を、その低位側水位よりも高位である高位側水位となるまで供給することによって、ドレンタンク内に貯留されたドレンを希釈し、そのように希釈されたドレン含有流体をドレン排出箇所に排出することになる。
【0011】
ここで、ドレン排出処理の完了時の水位、低位側水位、高位側水位を適切に設定することにより、ドレン排出時の希釈状態を適切に設定できる。この例の場合は、希釈用流体は、(高位側水位−低位側水位)に対応する水量であり、(低位側水位−ドレン排出処理の完了時の水位)の量のドレンが希釈される。
このように、第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成の好適な実施形態を提供することができる。
【0012】
本発明に係る潜熱回収熱源装置の第3特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記ドレンタンク内に貯留されるドレン含有流体の水位が前記ドレン排出処理の完了時の水位よりも高位である低位側水位であることを検出する低位側水位検出部と、前記低位側水位よりも高位である高位側水位であることを検出する高位側水位検出部とを備えた水位検出手段が設けられ、前記制御手段が、前記ドレン排出処理の完了時を前記希釈用流体供給処理を実行する希釈用流体供給タイミングであると判別して、前記水位検出手段によって前記低位側水位が検出されるまで前記希釈用流体供給処理を実行し、その後、前記水位検出手段によって前記高位側水位が検出されると、前記ドレン排出処理を実行するドレン排出タイミングであると判別して前記ドレン排出処理を実行するように構成されている点にある。
【0013】
すなわち、制御手段は、ドレン排出処理の完了時を希釈用流体供給タイミングであると判別して、希釈用流体供給処理として、水位検出手段によって低位側水位が検出されるまでドレンタンク内に浴槽内の水を供給する希釈用流体供給処理を実行し、その後、水位検出手段によって低位側水位よりも高位である高位側水位が検出されるとドレン排出タイミングであると判別して、ドレン排出処理を実行することになる。
【0014】
つまり、ドレン排出処理の完了時の水位からそのドレン排出処理の完了時の水位よりも高位である低位側水位となるまで希釈用流体としての浴槽内の水を貯留し、その後ドレンが貯留されることになるから、ドレンは浴槽内の水にて希釈されながら貯留されることになる。そして、ドレンの貯留に伴って、水位検出手段にて検出される水位が低位側水位よりも高位である高位側水位となると、希釈されたドレン含有流体をドレン排出箇所に排出することになる。
【0015】
ここで、ドレン排出処理の完了時の水位、低位側水位、高位側水位を適切に設定することにより、ドレン排出時の希釈状態を適切に設定できる。この例の場合は、希釈用流体は、(低位側水位−ドレン排出処理の完了時の水位)に対応する水量であり、(高位側水位−低位側水位)の量のドレンが希釈される。
このように、第3特徴構成によれば、上記第1特徴構成の好適な実施形態を提供することができる。
【0016】
本発明に係る潜熱回収熱源装置の第4特徴構成は、上記第2又は第3特徴構成のいずれかに加えて、前記追焚用循環路における前記流路切換手段より上流側に、給水圧により給水源からの湯水を前記追焚用循環路に通流させる給水管路が接続され、且つ、前記追焚用循環路における前記給水管路が接続される箇所よりも上流側に、前記追焚用循環路における給水管路接続箇所よりも上流側の流路を開成する通流状態と閉止する通流停止状態とに切換え自在な通流開閉手段が設けられ、前記給水管路に、前記給水源からの給水を行う給水状態と、前記給水源からの給水を停止する給水停止状態とに切換え自在な給水切換手段が設けられ、前記浴槽の水位を検出する浴槽水位検出手段が設けられ、前記制御手段が、前記希釈用流体供給タイミングにおいて、前記浴槽水位検出手段の検出情報に基づいて前記浴槽の水が前記所定水位以下であると判別したときには、前記流路切換手段をドレン希釈用接続状態に切換え、前記通流開閉手段を前記通流停止状態に切換え、且つ、前記給水切換手段を前記給水状態に切換えて、前記ドレンタンクに、前記希釈用流体として、前記給水源からの給水を前記所定量供給するように構成されている点にある。
【0017】
すなわち、希釈用流体供給タイミングにおいて、浴槽水位検出手段によって浴槽の水が所定水位以下であると判別されると、流路切換手段を追焚用循環路の上流側と希釈用流体供給路の他端側とを接続するドレン希釈用接続状態に切換え、通流開閉手段を通流停止状態に切換え、且つ、給水切換手段を給水状態に切換えて、ドレンタンクに、希釈用流体として、給水源からの給水を前記所定量供給することになる。
したがって、浴槽の水が希釈用流体供給処理を実行するのに不足する場合には、希釈用流体として給水源からの給水をドレンタンクに供給することができるものとなるから、浴槽内に例えば残水があるときにはその残水を有効利用できるものでありながらも、浴槽内に水が無いときにおいても適切に希釈用流体供給処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の潜熱回収熱源装置を適用した追焚給湯装置の全体構成図
【図2】追焚運転時の流路を示す図
【図3】希釈用流体として浴槽の水を供給する場合の流路を示す図
【図4】希釈用流体として給水源からの給水を供給する場合の流路を示す図
【図5】第1実施形態における水位検出手段の構成を示す図
【図6】第2実施形態における水位検出手段の構成を示す図
【図7】従来の潜熱回収熱源装置を適用した追焚給湯装置の全体構成図
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る潜熱回収熱源装置を備えた追焚給湯装置の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この追焚給湯装置は、浴室Yに備えられる浴槽Y1と潜熱回収熱源装置本体1に備えられる加熱部Nとの間を、浴槽往路C1と浴槽戻路C2とから構成され且つ追焚用循環ポンプPにより浴槽Y1内の水を加熱部Nとの間で強制循環させるように構成される追焚用循環路Cにて接続して、浴槽Y1内の水を加熱部Nにて加熱して浴槽Y1に供給する追焚運転を実行可能に構成される。また、追焚用循環路Cにおける加熱部Nよりも上流側に接続される給水管路C3から供給される給水を加熱部Nにて加熱して浴槽Y1に供給する湯張り運転を実行可能に構成されている。
【0020】
潜熱回収熱源装置本体1は、潜熱回収熱交換器N1と顕熱回収熱交換器N2とからなる加熱部Nと、加熱部Nの下方に設けられて、供給される燃料ガスを燃焼させるバーナBとを備えている。そして、追焚用循環路Cにおける加熱部Nよりも上流側に、浴槽Y1内の水を浴槽Y1と加熱部Nとの間で循環させる追焚用循環ポンプPが設けられている。追焚用循環路Cは、その上流側から潜熱回収熱交換器N1、顕熱回収熱交換器N2の順に通過する状態で設けられている。したがって、追焚用循環路Cを通流する浴槽Y1内の水又は給水管路C3から供給される給水(以降、加熱対象流体という)は、まず潜熱回収熱交換器N1にて加熱され、その後、顕熱回収熱交換器N2にて加熱されることになる。
【0021】
潜熱回収熱交換器N1の下方には、潜熱回収熱交換器N1において発生した強酸性のドレンを受ける漏斗状のドレン受けTが設けられている。また、ドレン受けTの下方には、加熱部Nにおいて発生したドレンを含有するドレン含有流体を貯留するドレンタンクDTが設けられている。そして、ドレン受けTの漏斗状部の最下方部とドレンタンクDTの上部とに亘って、それらを接続するドレン導入管路D1が設けられている。
【0022】
ドレンタンクDTの内部には、図5に示すように、水位検出手段としてのタンク内水位センサS1が設けられている。このタンク内水位センサS1は、ドレン排出処理実行後の排出時水位LEを検出する電極S1E、排出時水位LEよりも高位である低位側水位LDを検出する低位側水位検出部としての電極S1D、及び、低位側水位LDよりも高位である高位側水位LWを検出する高位側水位検出部としての電極S1Wより構成されている。
【0023】
ドレンタンクDTの下部には、ドレンタンクDTとドレン排出箇所とを接続するドレン排出管路D3が接続され、且つ、そのドレン排出管路D3に、ドレン排出管路D3を通じてドレンタンクDT内のドレンをドレン排出箇所に排出するドレン排出状態とドレンタンクDT内のドレンをドレン排出箇所に排出しないドレン非排出状態とに切換えるドレン排出状態切換手段としてのドレン排出弁K3が設けられている。また、ドレンタンクDTの上部には、ドレン導入管路D1に加えて、ドレンタンクDT内に希釈用流体を供給するための希釈用流体供給路D2の一端側が接続されている。
【0024】
図1に示すように、追焚用循環路Cにおける追焚用循環ポンプPよりも下流側には、追焚用循環路Cの上流側と下流側とを接続して追焚用循環路Cを形成する追焚用接続状態と、追焚用循環路Cの上流側と希釈用流体供給路D2の他端側とを接続して追焚用循環路Cの上流側をドレンタンクDTに連通するドレン希釈用接続状態とに切換え自在な流路切換手段としての三方弁K1が設けられている。
追焚用循環路Cにおける三方弁K1よりも上流側には、給水圧により給水源からの湯水を供給する給水管路C3が接続され、この給水管路C3には、給水源からの給水を行う給水状態と、給水源からの給水を停止する給水停止状態とに切換え自在な給水切換手段としての給水切換弁K2が設けられている。なお、この実施形態においては、追焚用循環路Cにおける三方弁K1の上流側の追焚用循環ポンプPよりもさらに上流側に給水管路C3を接続しており、給水源からの湯水を追焚用循環ポンプPにより給水管路C3から吸引して追焚用循環路Cに送り出すように構成してもよい。
さらに、追焚用循環路Cにおける給水管路C3が接続されている箇所である給水管路接続箇所CTよりも上流側には、追焚用循環路Cにおける給水管路接続箇所CTよりも上流側の流路を開成する通流状態と閉止する通流停止状態とに切換え自在な通流開閉手段としての通流切換弁K4が設けられている。
【0025】
また、追焚用循環路Cには、水圧を検出する等公知の方法によって浴槽Y1内に貯留されている湯水の水位を検出する浴槽水位検出手段としての浴槽水位センサS2が設けられている。
【0026】
この追焚給湯装置の運転状態を制御する制御手段Hは、潜熱回収熱源装置本体1に装備され、マイクロコンピュータを備えたプログラム制御方式のコントローラで構成されている。制御手段Hは、浴室Y等に設けられるリモコンRとの間で通信可能に構成されている。また、制御手段Hは、タンク内水位センサS1と通信可能に接続されて、ドレンタンクDT内に貯留されるドレン含有流体の水位を検出するように構成されるとともに、浴槽水位センサS2と接続されて、浴槽Y1内の水位を検出するように構成されている。さらに、制御手段Hは、三方弁K1、給水切換弁K2、ドレン排出弁K3、通流切換弁K4、及び、追焚用循環ポンプPとも通信可能に接続されて、それらの作動を制御するように構成されている。
【0027】
次に、追焚給湯装置の使用態様について説明する。
この追焚給湯装置は、上述した如く、追焚運転と湯張り運転とを実行可能に構成されている。リモコンRから追焚運転の実行が指令された場合の制御及び流路構成を図2にもとづいて説明する。
【0028】
図2においては、三方弁K1、給水切換弁K2、ドレン排出弁K3、通流切換弁K4において流路が形成されている部分を白抜で、また、流路が閉止されている部分を黒塗りで示し、流体が通流している管路に網掛けを付し、その通流方向を矢印で示している。
すなわち、制御手段Hは、リモコンRから追焚運転の実行が指令されると、三方弁K1を追焚用循環路Cの上流側と下流側とを接続する追焚用接続状態とし、給水切換弁K2を給水停止状態とし、通流切換弁K4を通流状態として、追焚用循環ポンプPを駆動し、且つ、バーナBに燃料ガスを供給して燃焼させることによって、追焚用循環路Cを通流する浴槽Y1内の水を加熱する追焚運転を実行する。
【0029】
また、図示はしないが、制御手段Hは、リモコンRから湯張り運転の実行が指令されると、三方弁K1を追焚用循環路Cの上流側と下流側とを接続する追焚用接続状態とし、給水切換弁K2を給水状態とし、且つ、バーナBに燃料ガスを供給して燃焼させることによって、追焚用循環路Cを通流する給水源からの給水を加熱する湯張り運転を実行する。
【0030】
そして、このように追焚運転又は湯張り運転を実行する際において、潜熱回収熱源装置本体1では、低温である加熱対象流体との熱交換によってドレンが発生することになり、そのドレンがドレンタンクDTに導入されることになる。
【0031】
制御手段Hは、タンク内水位センサS1によって低位側水位LDが検出されると、希釈用流体供給処理を実行する希釈用流体供給タイミングであると判別する。そして、その希釈用流体供給タイミングにおいて、浴槽水位センサS2の検出情報に基づいて浴槽Y1内の水が所定量(ドレンタンクDTにおける高位側水位LWと低位側水位LDとの間に相当する容積)以上であると判別したときにはタンク内水位センサS1によって高位側水位LWが検出されるまで、図3に示すように、三方弁K1をドレン希釈用接続状態に切換え、通流切換弁K4を通流状態に、且つ、追焚用循環ポンプPを駆動させて、ドレンタンクDTに、希釈用流体として、浴槽内の水を供給する希釈用流体供給処理を実行する。
【0032】
また、制御手段Hは、希釈用流体供給タイミングにおいて、浴槽水位センサS2の検出情報に基づいて浴槽Y1内の水が所定量以下であると判別したときには、図4に示すように、三方弁K1をドレン希釈用接続状態に切換え、通流切換弁K4を通流停止状態に切換え、且つ、給水切換弁K2を給水状態に切換えて、ドレンタンクDTに、希釈用流体として、給水源からの給水を所定量供給する。
【0033】
その後、制御手段Hは、タンク内水位センサS1によって、高位側水位LWが検出されると、ドレン排出処理を実行するドレン排出タイミングであると判別して、ドレン排出弁K3をドレン排出状態としてドレンタンクDT内のドレン含有流体をドレン排出箇所に排出するドレン排出処理を実行する。
【0034】
〔第2実施形態〕
次に、本発明に係る潜熱回収熱源装置を備えた追焚給湯装置の第2実施形態について説明するが、この第2実施形態は、ドレンタンクDT内の水位の検出方法と、希釈用流体供給タイミングが第1実施形態と異なるものであって、共通する部分については説明を省略して、相違する部分のみを説明する。
【0035】
第2実施形態におけるタンク内水位センサS1は、図6に示すように、ドレンタンクDT内に貯留されるドレン含有流体の水位がドレン排出処理実行後の完了時の水位である排出時水位LEであることを検出する電極S1E、排出時水位LEよりも高位である低位側水位LWを検出する低位側水位検出部としての電極S1W、及び、低位側水位LWよりも高位である高位側水位LDを検出する高位側水位検出部としての電極S1Dより構成されている。
【0036】
制御手段Hは、ドレン排出処理の完了時を希釈用流体供給処理を実行する希釈用流体供給タイミングであると判別する。そして、その希釈用流体供給タイミングにおいて、浴槽水位センサS2の検出情報に基づいて浴槽Y1内の水が所定量(ドレンタンクDTにおける低位側水位LWと排出時水位LEとの間に相当する容積)以上であると判別したときには、図3に示すように、タンク内水位センサS1によって低位側水位LWが検出されるまで、三方弁K1をドレン希釈用接続状態に切換え、通流切換弁K4を通流状態に、且つ、追焚用循環ポンプPを駆動させて、ドレンタンクDTに、希釈用流体として、浴槽内の水を供給する希釈用流体供給処理を実行する。
【0037】
また、制御手段Hは、希釈用流体供給タイミングにおいて、浴槽水位センサS2の検出情報に基づいて浴槽Y1内の水が所定量以下であると判別したときには、図4に示すように、タンク内水位センサS1によって低位側水位LWが検出されるまで、三方弁K1をドレン希釈用接続状態に切換え、通流切換弁K4を通流停止状態に切換え、且つ、給水切換弁K2を給水状態に切換えて、ドレンタンクDTに、希釈用流体として、給水源からの給水を供給する。
【0038】
その後、ドレンタンクDT内にはドレンが貯留されることになる。制御手段Hは、ドレンがドレンタンクDT内に貯留されるに伴って、タンク内水位センサS1によって、高位側水位LDが検出されると、ドレン排出処理を実行するドレン排出タイミングであると判別して、ドレン排出弁K3をドレン排出状態としてドレンタンクDT内のドレン含有流体をドレン排出箇所に排出するドレン排出処理を実行する。
【0039】
上述のように、ドレン排出処理の完了時の水位、低位側水位、高位側水位を適切に設定することにより、ドレン排出時の希釈状態を適切に設定できる。
すなわち、第1実施形態における希釈用流体の水量、つまり(高位側水位−低位側水位)に対応する水量は、(低位側水位−ドレン排出処理の完了時の水位)に対応する量のドレンを適切に希釈できる量であり、第2実施形態における希釈用流体の水量、つまり(低位側水位−ドレン排出処理の完了時の水位)に対応する水量は、(高位側水位−低位側水位)に対応する量のドレンを適切に希釈できる量である。
したがって、本発明によれば、ドレンタンク内に貯留されるドレンを適切に希釈することができる。
【0040】
〔別実施形態〕
次に本発明の別実施形態を説明する。
(イ)上記第1及び第2実施形態においては、追焚用循環路Cにおける三方弁K1の上流側に給水管路C3を接続し、追焚用循環路Cにおける給水管路接続箇所CTよりも下流側は追焚運転と湯張り運転とに共用する構成としたが、このような構成に限定されるものではなく、追焚用循環路Cと湯張り運転用の湯張り回路を夫々独立に設ける構成としてもよい。
【0041】
(ロ)上記第1及び第2実施形態においては、ドレン排出処理の完了時の水位を、排出時水位LEを検出する電極S1Eによって検出するように構成したが、このような構成に代えて、例えば、ドレンを排出するに十分な時間として設定されたドレン排出用設定時間の間ドレン排出弁K3をドレン排出状態とし、ドレン排出用設定時間経過が経過した時点をもってドレン排出処理の完了時の水位となったと看做すように構成してもよい。
【0042】
(ハ)上記第1及び第2実施形態においては、水位検出手段S1をドレン排出処理実行後の排出時水位LEを検出する電極S1E、排出時水位LEよりも高位である低位側水位LDを検出する電極S1D、及び、低位側水位LDよりも高位である高位側水位LWを検出する電極S1Wより構成したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、ドレンタンクDT内に、ドレン含有流体の水位に応じて上下するフロートを設け、そのフロートに備える検出部の位置を検出するフォトインタラプタや磁気検出センサ等の位置検出手段を排出時水位LE、低位側水位LD、及び、高位側水位LWに対応して設けて、その位置検出手段によって水位を検出する等、各種の水位検出方法が適用可能である。
【0043】
(ニ)上記第1及び第2実施形態においては、ドレン排出状態切換手段をドレン排出弁K3にて構成したが、このような構成に代えて、ドレン排出状態切換手段をドレン排出ポンプにて構成してもよい。
【0044】
(ホ)上記第1及び第2実施形態においては、制御手段Hが、希釈用流体供給タイミングであると判別したときに希釈用流体供給処理を実行するように構成したが、このような構成に限定されるものではなく、利用者が入浴中であると考えられる場合(例えば、追焚運転が実行されてから所定時間(例えば1時間)以内の時間帯や、入浴時刻として利用者に設定された時間帯等)には希釈用流体供給処理を行わない構成としても良い。このときには、利用者が入浴中であると考えられる場合が解消すると同時に希釈用流体供給処理を開始するように構成してもよいし、その解消から所定時間(例えば30分等)を経過したときに希釈用流体供給処理を開始するように構成してもよい。また、希釈用流体供給タイミングであると判別したときに利用者が入浴中であると考えられる場合においては、希釈用流体として給水源からの給水を供給するように構成することも可能である。
【0045】
(へ)上記第1及び第2実施形態においては、浴槽水位センサS2の検出情報に基づいて浴槽Y1内の水が所定水位以上であるか否か、つまり、浴槽Y1内に残水があるか否かを判別する構成について説明したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、浴槽水位センサS2を設けない構成とし、追焚用循環ポンプPを駆動させて、追焚用循環路Cに設けられる水流スイッチのON/OFFによって残水の有無を検知するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によれば、潜熱回収熱交換器を備えた加熱部において発生したドレンをドレン排出箇所に排出するにあたり、目詰まりを起こし易い中和剤の使用を回避するものでありながら、上水利用コストの低減を図ることが可能な潜熱回収熱源装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 潜熱回収熱源装置本体
N 加熱部
N1 潜熱回収熱交換器
N2 顕熱回収熱交換器
B バーナ
C 追焚用循環路
C1 浴槽往路
C2 浴槽戻路
C3 給水管路
T ドレン受け
DT ドレンタンク
D1 ドレン導入管路
D2 希釈用流体供給路
D3 ドレン排出管路
K1 流路切換手段
K2 給水切換手段
K3 ドレン排出状態切換手段
K4 通流切換弁
P 追焚用循環ポンプ
S1 水位検出手段
S2 浴槽水位センサ
R リモコン
Y 浴室
Y1 浴槽
H 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜熱回収熱交換器を備えた加熱部において発生したドレンを含有するドレン含有流体を貯留するドレンタンクと、
前記ドレンタンクとドレン排出箇所とを接続するドレン排出管路と、
前記ドレン排出管路を通じて前記ドレンタンク内のドレン含有流体を前記ドレン排出箇所に排出するドレン排出状態と前記ドレンタンク内のドレン含有流体を前記ドレン排出箇所に排出しないドレン非排出状態とに切換えるドレン排出状態切換手段と、
追焚用循環ポンプにより浴槽内の水を前記加熱部との間で強制循環させる追焚用循環路と、
前記追焚用循環ポンプ及び前記ドレン排出状態切換手段の作動を制御する制御手段とが設けられ、
前記制御手段が、前記ドレン排出状態切換手段を前記ドレン排出状態として、前記ドレンタンク内のドレン含有流体を前記ドレン排出箇所に排出するドレン排出処理を実行可能に構成された潜熱回収熱源装置であって、
前記ドレンタンクに前記ドレンとは異なる希釈用流体を供給するための希釈用流体供給路の一端側が接続され、
前記追焚用循環路における前記追焚用循環ポンプよりも下流側に、前記追焚用循環路の上流側と下流側とを接続した追焚用接続状態と、前記追焚用循環路の上流側と前記希釈用流体供給路の他端側とを接続して前記追焚用循環路の上流側を前期ドレンタンクに連通するドレン希釈用接続状態とに切換え自在な流路切換手段が設けられ、
前記制御手段が、前記流路切換手段をドレン希釈用接続状態に切換え、且つ、前記追焚用循環ポンプを駆動させて、前記ドレンタンクに、前記希釈用流体として、前記浴槽内の水を供給する希釈用流体供給処理を実行可能に構成されている潜熱回収熱源装置。
【請求項2】
前記ドレンタンク内に貯留されるドレン含有流体の水位が前記ドレン排出処理の完了時の水位よりも高位である低位側水位であることを検出する低位側水位検出部と、前記低位側水位よりも高位である高位側水位であることを検出する高位側水位検出部とを備えた水位検出手段が設けられ、
前記制御手段が、前記水位検出手段によって前記低位側水位が検出されると前記希釈用流体供給処理を実行する希釈用流体供給タイミングであると判別して、前記水位検出手段によって前記高位側水位が検出されるまで前記希釈用流体供給処理を実行し、その後、前記水位検出手段によって前記高位側水位が検出されると、前記ドレン排出処理を実行するドレン排出タイミングであると判別して前記ドレン排出処理を実行するように構成されている請求項1記載の潜熱回収熱源装置。
【請求項3】
前記ドレンタンク内に貯留されるドレン含有流体の水位が前記ドレン排出処理の完了時の水位よりも高位である低位側水位であることを検出する低位側水位検出部と、前記低位側水位よりも高位である高位側水位であることを検出する高位側水位検出部とを備えた水位検出手段が設けられ、
前記制御手段が、前記ドレン排出処理の完了時を前記希釈用流体供給処理を実行する希釈用流体供給タイミングであると判別して、前記水位検出手段によって前記低位側水位が検出されるまで前記希釈用流体供給処理を実行し、その後、前記水位検出手段によって前記高位側水位が検出されると、前記ドレン排出処理を実行するドレン排出タイミングであると判別して前記ドレン排出処理を実行するように構成されている請求項1記載の潜熱回収熱源装置。
【請求項4】
前記追焚用循環路における前記流路切換手段より上流側に、給水圧により給水源からの湯水を前記追焚用循環路に通流させる給水管路が接続され、且つ、前記追焚用循環路における前記給水管路が接続される箇所である給水管路接続箇所よりも上流側に、前記追焚用循環路における前記給水管路接続箇所よりも上流側の流路を開成する通流状態と閉止する通流停止状態とに切換え自在な通流開閉手段が設けられ、
前記給水管路に、前記給水源からの給水を行う給水状態と、前記給水源からの給水を停止する給水停止状態とに切換え自在な給水切換手段が設けられ、
前記浴槽の水の水位を検出する浴槽水位検出手段が設けられ、
前記制御手段が、前記希釈用流体供給タイミングにおいて、前記浴槽水位検出手段の検出情報に基づいて前記浴槽の水が所定水位以下であると判別したときには、前記流路切換手段をドレン希釈用接続状態に切換え、前記通流開閉手段を前記通流停止状態に切換え、且つ、前記給水切換手段を前記給水状態に切換えて、前記ドレンタンクに、前記希釈用流体として、前記給水源からの給水を前記所定量供給するように構成されている請求項2又は3に記載の潜熱回収熱源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−215330(P2012−215330A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79824(P2011−79824)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】