説明

潤滑剤供給装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置

【課題】固形潤滑剤を圧接方向に付勢するための圧縮スプリングの組付不良が生じにくい、潤滑剤供給装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供する。
【解決手段】固形潤滑剤を潤滑剤供給ローラに向けて付勢するために一端側が保持部材に当接する圧縮スプリング16cと、装置15の外側を装うためのケース15cと、を備える。そして、ケース15cには、保持部材に一端側が当接した状態の圧縮スプリング16cの他端側が露呈するように開口する開口部15c1と、圧縮スプリング16cの他端側に当接するように開口部15c1に対して着脱可能に設置される蓋部材16dと、が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置と、そこに設置される潤滑剤供給装置と、プロセスカートリッジと、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、感光体ドラムや中間転写ベルト等の像担持体上に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置を用いる技術が知られている(例えば、特許文献1、2等参照。)。
【0003】
詳しくは、転写工程後の感光体ドラム上に残留する未転写トナーは、感光体ドラムに当接するクリーニングブレード(クリーニング装置)によってすべて除去されるべきものである。しかし、感光体ドラムとの摩擦によってクリーニングブレードの当接部に欠け(欠損)が生じた場合には、未転写トナーが欠損したクリーニングブレードと感光体ドラムとの隙間をすり抜けてクリーニング不良が生じてしまっていた。
【0004】
このような問題に対して、感光体ドラム上に潤滑剤を塗布することで、感光体ドラム上の摩擦係数が低下してクリーニングブレードの磨耗・欠損や感光体ドラムの劣化が低減されて、経時におけるクリーニング不良の発生を抑止することができる。
【0005】
具体的に、特許文献1、2において、潤滑剤塗布装置は、感光体ドラム(像担持体)に摺接するブラシローラ(潤滑剤供給ローラ)、ブラシローラに当接する固形潤滑剤、固形潤滑剤を保持する保持部材、固形潤滑剤を保持部材とともにブラシローラに向けて圧接方向に付勢する圧縮スプリング、等で構成される。そして、所定方向に回転するブラシローラによって固形潤滑剤から潤滑剤が徐々に削り取られて、ブラシローラによって削り取られて搬送された潤滑剤が像担持体の表面に塗布(供給)される。ここで、固形潤滑剤を圧接方向に付勢する圧縮スプリングは、固形潤滑剤を保持する保持部材とケース(外装カバー)との間であって、幅方向両端部にそれぞれ設置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の潤滑剤供給装置は、固形潤滑剤を圧接方向に付勢するための圧縮スプリングが保持部材とケースとの間で視認できない状態で取り付けられるために、圧縮スプリングが座屈した状態で取り付けられてしまったり、圧縮スプリングが外れてしまったりして、圧縮スプリングの組付不良が生じやすかった。そして、このような不具合が生じてしまうと、潤滑剤供給装置としての本来の機能が発揮されなくなってしまうことになる。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、固形潤滑剤を圧接方向に付勢するための圧縮スプリングの組付不良が生じにくい、潤滑剤供給装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の請求項1記載の発明にかかる潤滑剤供給装置は、トナー像が担持される像担持体上に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置であって、所定方向に回転するとともに、前記像担持体に摺接する潤滑剤供給ローラと、前記潤滑剤供給ローラに摺接する固形潤滑剤と、前記固形潤滑剤を保持する保持部材と、前記固形潤滑剤を前記潤滑剤供給ローラに向けて付勢するために一端側が前記保持部材に当接する圧縮スプリングと、装置の外側を装うためのケースと、を備え、前記ケースは、前記保持部材に前記一端側が当接した状態の前記圧縮スプリングの他端側が露呈するように開口する開口部と、前記圧縮スプリングの前記他端側に当接するように前記開口部に対して着脱可能に設置されて前記圧縮スプリングの付勢力を定める蓋部材と、を具備したものである。
【0009】
また、請求項2記載の発明にかかる潤滑剤供給装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記蓋部材は、前記圧縮スプリングの内周部に遊挿されるボス部と、前記圧縮スプリングの外周部の一部又は全部を覆うように起立する壁部と、を具備したものである。
【0010】
また、請求項3記載の発明にかかる潤滑剤供給装置は、前記請求項2に記載の発明において、前記蓋部材の前記壁部は、前記ケースの前記開口部への装着時において前記ケースの壁面に対向しない側に切欠部が形成されたものである。
【0011】
また、請求項4記載の発明にかかる潤滑剤供給装置は、前記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記保持部材は、前記圧縮スプリングの内周部に挿入される突起部と、前記圧縮スプリングの外周部の一部又は全部を覆うように起立する起立部と、を具備したものである。
【0012】
また、請求項5記載の発明にかかる潤滑剤供給装置は、前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記ケースは、前記開口部に装着される前記蓋部材を案内するために前記圧縮スプリングの付勢方向に沿うように傾斜する壁面と、前記開口部に装着される前記蓋部材を案内するために前記蓋部材の幅方向両端部をガイドするガイド部と、を具備したものである。
【0013】
また、請求項6記載の発明にかかる潤滑剤供給装置は、前記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記ケースの前記開口部は、前記保持部材に前記一端側が当接した状態の前記圧縮スプリングの外周部を覆うように形成されたものである。
【0014】
また、請求項7記載の発明にかかる潤滑剤供給装置は、前記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記開口部に設置された状態の前記蓋部材とその周囲とを外側から覆うシール材が前記ケースに貼着されるものである。
【0015】
また、この発明の請求項8記載の発明にかかるプロセスカートリッジは、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるプロセスカートリッジであって、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の潤滑剤供給装置と前記像担持体とを備えたものである。
【0016】
また、請求項9記載の発明にかかるプロセスカートリッジは、前記請求項8に記載の発明において、前記像担持体上をクリーニングするクリーニングブレードを、前記潤滑剤供給装置に対して前記像担持体の回転方向下流側に備えたものである。
【0017】
また、この発明の請求項10記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の潤滑剤供給装置と前記像担持体とを備えたものである。
【0018】
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電部と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像部(現像装置)と、像担持体上をクリーニングするクリーニング部とのうち、少なくとも1つと、像担持体とが、一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるユニットと定義する。
【0019】
また、本願において、「幅方向」とは、記録媒体の搬送方向に対して直交する方向であって、像担持体における主走査方向と同じ方向であるものと定義する。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、保持部材に一端側が当接した状態の圧縮スプリングの他端側が露呈するように開口する開口部をケースに設けて、圧縮スプリングの他端側に当接するように開口部に対して着脱可能に設置される蓋部材を設けている。これにより、固形潤滑剤を圧接方向に付勢するための圧縮スプリングの組付不良が生じにくい、潤滑剤供給装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】作像部を示す構成図である。
【図3】プロセスカートリッジを示す斜視図である。
【図4】図3のプロセスカートリッジにおいて蓋部材が着脱される状態を示す斜視図である。
【図5】圧縮スプリングがセットされる状態を示す拡大斜視図である。
【図6】蓋部材がセットされる状態を示す拡大斜視図である。
【図7】圧縮スプリングと蓋部材とがセットされた状態を示す断面図である。
【図8】固形潤滑剤を保持した保持部材を示す斜視図である。
【図9】蓋部材を示す斜視図である。
【図10】蓋部材を示す別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施の形態.
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0023】
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機の装置本体、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、3は原稿Dを原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部、7は転写紙等の記録媒体Pが収容される給紙部、9は記録媒体Pの搬送タイミングを調整するレジストローラ、11Y、11M、11C、11BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される像担持体としての感光体ドラム、12は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上を帯電する帯電部、13は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成される静電潜像を現像する現像装置、14は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成されたトナー像を記録媒体P上に重ねて転写する転写バイアスローラ(1次転写バイアスローラ)、15は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の未転写トナーを回収するクリーニング部、を示す。
【0024】
また、17は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、18は中間転写ベルト17上のカラートナー像を記録媒体P上に転写するための2次転写バイアスローラ、19は中間転写ベルト17を清掃する中間転写ベルトクリーニング部、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置、を示す。
【0025】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。なお、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上でおこなわれる作像プロセスについては、図2をも参照することができる。
まず、原稿Dは、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス5上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス5上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
【0026】
詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス5上の原稿Dの画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿Dにて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿Dのカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
【0027】
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光L(図2を参照できる。)が、それぞれ、対応する感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に向けて発せられる。
【0028】
一方、4つの感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKは、それぞれ、図1の反時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、帯電部12との対向部で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれのレーザ光の照射位置に達する。
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
【0029】
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目の感光体ドラム11Y表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム11Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電部12にて帯電された後の感光体ドラム11Y上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
【0030】
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から2番目の感光体ドラム11M表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、紙面左から3番目の感光体ドラム11C表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目の感光体ドラム11BK表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0031】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、現像装置13との対向位置に達する。そして、各現像装置13から感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、中間転写ベルト17との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、中間転写ベルト17の内周面に当接するように転写バイアスローラ14が設置されている。そして、転写バイアスローラ14の位置で、中間転写ベルト17上に、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
【0032】
そして、転写工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、クリーニングブレード15a(クリーニング部)との対向位置に達する。そして、クリーニングブレード15aで、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
【0033】
他方、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の各色のトナーが重ねて転写(担持)された中間転写ベルト17は、図中の時計方向に走行して、2次転写バイアスローラ18との対向位置に達する。そして、2次転写バイアスローラ18との対向位置で、記録媒体P上に中間転写ベルト17上に担持されたカラーのトナー像が転写される(2次転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト17表面は、中間転写ベルトクリーニング部19の位置に達する。そして、中間転写ベルト17上に付着した未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング部19に回収されて、中間転写ベルト17における一連の転写プロセスが終了する。
【0034】
ここで、中間転写ベルト17と2次転写バイアスローラ18との間(2次転写ニップである。)に搬送される記録媒体Pは、給紙部7からレジストローラ9等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送された記録媒体Pが、搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ9に導かれる。レジストローラ9に達した記録媒体Pは、タイミングを合わせて、2次転写ニップに向けて搬送される。
【0035】
そして、フルカラー画像が転写された記録媒体Pは、搬送ベルトによって定着装置20に導かれる。定着装置20では、定着ベルトと加圧ローラとのニップにて、カラー画像が記録媒体P上に定着される。
そして、定着工程後の記録媒体Pは、排紙ローラによって、装置本体1外に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0036】
次に、図2にて、画像形成装置の作像部について詳述する。
図2に示すように、作像部は、像担持体としての感光体ドラム11、感光体ドラム11を帯電する帯電部12(帯電ローラ)、感光体ドラム11上に形成される静電潜像を現像する現像装置13(現像部)、感光体ドラム11上の未転写トナーを回収するクリーニングブレード15a(クリーニング部)、感光体ドラム11上に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置16(潤滑剤供給部)、等で構成されている。
そして、本実施の形態では、作像部のうち、感光体ドラム11と帯電部12とクリーニングブレード15a(クリーニング部)と潤滑剤供給装置16とが、プロセスカートリッジ15として一体化されていて、プロセスカートリッジ15として装置本体1に着脱可能に構成されている。また、現像装置13は、プロセスカートリッジ15とは別のユニットとして、装置本体1に対して着脱可能に構成されている。
なお、各色の作像部(又は、プロセスカートリッジ)はほぼ同一構造であるために、図2〜図10にて作像部やプロセスカートリッジは符号のアルファベット(Y、C、M、BK)を除して図示する。
【0037】
ここで、像担持体としての感光体ドラム11は、負帯電性の有機感光体であって、ドラム状導電性支持体上に感光層等を設けたものである。
図示は省略するが、感光体ドラム11は、基層としての導電性支持体上に、絶縁層である下引き層、感光層としての電荷発生層及び電荷輸送層、保護層(表面層)が順次積層されている。
感光体ドラム11の導電性支持体(基層)としては、体積抵抗が1010Ωcm以下の導電性材料を用いることができる。
【0038】
帯電部12(帯電ローラ)は、導電性芯金の外周に中抵抗の弾性層を被覆してなるローラ部材であって、潤滑剤供給装置16に対して感光体ドラム11の回転方向下流側において感光体ドラム11に当接するように配設されている。なお、帯電部12(帯電ローラ)は、感光体ドラム11に対して非接触で対向するように配設することもできる。
そして、帯電部12には不図示の電源部から所定の電圧が印加されて、これにより対向する感光体ドラム11の表面を一様に帯電する。
【0039】
現像装置13は、現像ローラ13aが感光体ドラム11に接触するように配置されていて、双方の部材の間には現像領域(現像ニップ部)が形成される。現像装置13内には、トナーT(1成分現像剤)が収容されている。そして、現像装置13は、感光体ドラム11上に形成される静電潜像を現像する(トナー像を形成する。)。
詳しくは、図2を参照して、本実施の形態における現像装置13は、1成分現像方式の現像装置であって、現像ローラ13a(現像剤担持体)、供給ローラ13b、薄層化部材としてのドクターブレード13c、撹拌部材13d、等で構成されている。
【0040】
このように構成された現像装置13は、次のように動作する。
まず、現像装置13内に供給され収容されたトナーの一部が、供給ローラ13bに担持される。供給ローラ13bに担持されたトナーは、現像ローラ13aとの圧接部で摩擦帯電された後に、現像ローラ13a上に移動して担持される。その後、現像ローラ13a上に担持されたトナーは、ドクターブレード13cの位置で、薄層化・均一化された後に、感光体ドラム11との当接位置(現像領域)に達する。そして、この位置で、現像領域に形成された電界(現像電界)によって、感光体ドラム11上に形成された潜像にトナーが吸着される。
【0041】
なお、本実施の形態において、画質向上のために、円形度が0.98以上の球形トナーをトナーTとして使用している。「円形度」は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−2000」(東亜医用電子社製)により計測した平均円形度である。具体的には、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に、分散剤として界面活性剤(好ましくは、アルキルベンゼンスルホン酸塩である。)を0.1〜0.5ml加えて、さらに測定試料(トナー)を0.1〜0.5g程度加える。その後、このトナーが分散した懸濁液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理して、分散液濃度が3000〜10000個/μlとなるようにしたものを上述の分析装置にセットして、トナーの形状及び分布を測定する。
【0042】
球形トナーとしては、従来から広く用いられている粉砕法によって形状が歪な異形のトナー(粉砕トナー)を加熱処理等して球形化したものや、重合法により製造されたもの等を用いることができる。
このような球形トナーを用いる場合、従来は、クリーニングブレード15aと感光体ドラム11との僅かな隙間に入り込んでやがてその隙間をすり抜けてクリーニング不良が生じることがあった。しかし、本実施の形態では、潤滑剤供給装置16によって潤滑剤を感光体ドラム11表面に塗布して、感光体ドラム11上におけるトナー剥離性(除去性)を向上させるために、クリーニング不良の発生が抑止される。
【0043】
クリーニングブレード15aは、潤滑剤供給装置16に対して感光体ドラム11の回転方向下流側に配設されている。クリーニングブレード15aは、ウレタンゴム等のゴム材料からなり、感光体ドラム11表面に所定角度かつ所定圧力で当接している。これにより、感光体ドラム11上に付着する未転写トナー等の付着物が機械的に掻き取られてプロセスカートリッジ15内に回収されることになる。そして、プロセスカートリッジ15内に回収されたトナーは、廃トナーとして廃トナー回収容器(不図示である。)に向けて搬送コイル15bによって搬送される。ここで、感光体ドラム11上に付着する付着物としては、未転写トナーの他に、記録媒体P(用紙)から生じる紙粉、帯電ローラ12aによる放電時に感光体ドラム11上に生じる放電生成物、トナーに添加されている添加剤、等がある。
また、本実施の形態におけるクリーニングブレード15aは、潤滑剤供給ローラ16aによって感光体ドラム11上に供給された潤滑剤を薄層化する薄層化ブレードとしても機能する。
【0044】
潤滑剤供給装置16は、固形潤滑剤16b、感光体ドラム11と固形潤滑剤16bとに摺接する潤滑剤供給ローラ16a(ブラシ状ローラ)、固形潤滑剤16bを保持する保持部材16e、保持部材16eとともに固形潤滑剤16bを潤滑剤供給ローラ16aに向けて付勢する圧縮スプリング16c(付勢部材)、等で構成される。
このように構成された潤滑剤供給装置16によって、感光体ドラム11上に潤滑剤が供給される。そして、潤滑剤供給装置16の下流側に配設されたクリーニングブレード15aによって、感光体ドラム11上に供給された潤滑剤が薄層化される。
【0045】
以下、本実施の形態における、潤滑剤供給装置16(潤滑剤供給部)の構成・動作について詳しく説明する。
図2に示すように、潤滑剤供給装置16は、固形潤滑剤16b、感光体ドラム11と固形潤滑剤16bとに摺接するブラシ毛が周設された潤滑剤供給ローラ16a(ブラシ状ローラ)、固形潤滑剤16bを保持する保持部材16e(保持板)、保持部材16eを介して固形潤滑剤16bを潤滑剤供給ローラ16aに向けて付勢する圧縮スプリング16c、等で構成される。
【0046】
潤滑剤供給ローラ16a(ブラシ状ローラ)は、長さ(毛足)が0.2〜20mm(好ましくは、0.5〜10mm)の範囲のブラシ毛が基布上に植毛されたものを芯金上にスパイラル状に巻き付けたものである。
ブラシ毛の長さが20mmを超えると、経時における感光体ドラム11との繰り返し摺擦によって、ブラシ毛が所定方向に倒毛して、固形潤滑剤16bの掻取性や感光体ドラム11からのトナー除去性が低下してしまう。これに対して、ブラシ毛の長さが0.2mm未満であると、固形潤滑剤16bや感光体ドラム11に対する物理的な当接力が不足してしまう。したがって、ブラシ毛の長さは上述の範囲であることが好ましい。
【0047】
潤滑剤供給ローラ16aは、図2の反時計方向に回転する感光体ドラム11に対してカウンタ方向で接触するように回転する(図2の反時計方向の回転である。)。また、潤滑剤供給ローラ16a(ブラシ毛)は、固形潤滑剤16bと感光体ドラム11とに摺接するように配置されていて、潤滑剤供給ローラ16aが回転することによって固形潤滑剤16bから潤滑剤を掻き取り、その掻き取った潤滑剤を感光体ドラム11との摺接位置まで搬送した後に、その潤滑剤を感光体ドラム11上に塗布する。
固形潤滑剤16bの後方部には,潤滑剤供給ローラ16aと固形潤滑剤16bとの接触ムラをなくすために圧縮スプリング16cが配置されていて、保持部材16eに保持(貼着)された状態の固形潤滑剤16bを潤滑剤供給ローラ16aに向けて付勢している。ここで、圧縮スプリング16cは、一端側が保持部材16eに当接していて、他端側がケース15cに着脱可能に設置された蓋部材16dに当接しているが、これについては後で詳しく説明する。
【0048】
本実施の形態では、固形潤滑剤16bを主としてステアリン酸亜鉛で形成している。詳しくは、固形潤滑剤16bは、ステアリン酸亜鉛を主成分とする潤滑油添加剤を溶解したもので、塗りすぎによる副作用がなく、充分な潤滑性があるものが好適である。
ステアリン酸亜鉛は、代表的なラメラ結晶紛体である。ラメラ結晶は両親媒性分子が自己組織化した層状構造を有していて、せん断力が加わると層間にそって結晶が割れて滑りやすい。したがって、感光体ドラム11表面を低摩擦係化することができる。すなわち、せん断力を受けて均一に感光体ドラム11表面を覆っていくラメラ結晶によって、少量の潤滑剤によって効果的に感光体ドラム11表面を覆うことができる。
【0049】
なお、固形潤滑剤16bとしては、ステアリン酸亜鉛の他にも、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチュウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸基を有するものを用いることができる。また、同じ脂肪酸基であるオレイン酸亜鉛、オレイン酸バリウム、オレイン酸鉛、以下、ステアリン酸と同様の化合物や、パルチミン酸亜鉛、パルチミン酸バリウム、パルチミン酸鉛、以下、ステアリン酸と同様の化合物を使用して良い。他にも、脂肪酸基として、カプリル酸、リノレン酸、コリノレン酸等を使用することができる。さらに、カンデリラワックス、カンルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、おおば油、みつろう、ラノリン等のワックスを使用することもできる。これらは有機系の固形潤滑剤となりやすく、トナーとの相性が良い。
【0050】
固形潤滑剤16bを潤滑剤供給ローラ16aを介して感光体ドラム11表面に塗布すると、感光体ドラム11表面には粉体状の潤滑剤が塗布されるが、この状態のままでは潤滑性は充分に発揮されないため、クリーニングブレード15aが潤滑剤を均一化する薄層化ブレードとしても機能することになる。クリーニングブレード15aにより、感光体ドラム11上での潤滑剤の皮膜化がおこなわれて、潤滑剤はその潤滑性を充分に発揮することになる。
このとき、潤滑剤供給ローラ16aにより塗布する粉体状の潤滑剤は微粉であるほど、クリーニングブレード15aにより感光体ドラム11上に分子膜レベルで薄膜化される。
【0051】
以下、図3〜図10を用いて、本実施の形態において特徴的な、潤滑剤供給装置16(プロセスカートリッジ15)の構成・動作について詳述する。
図3は、潤滑剤供給装置16が内設されたプロセスカートリッジ15を示す斜視図である。また、図4は、図3のプロセスカートリッジ15において2つの蓋部材16dのうち一方が着脱される状態を示す斜視図である。
図3及び図4を参照して、プロセスカートリッジ15(潤滑剤供給装置16)の外側を装うためのケース15c(外装カバー)には、幅方向(図2の紙面垂直方向に対応する方向である。)の両端部に、開口部15c1が形成されていて、その開口部15c1に対して蓋部材16dがパッチン止めにて着脱できるように構成されている。
ここで、図4及び図6を参照して、ケース15cの開口部15c1は、固形潤滑剤16bを保持した保持部材16eに一端側が当接した状態の圧縮スプリング16cの他端側が露呈するように開口している。そして、蓋部材16dは、開口部15c1から露呈している圧縮スプリング16cの他端側に当接するように開口部15c1に装着されて、圧縮スプリングの付勢力を定めることになる。すなわち、図7等を参照して、蓋部材16dが開口部15c1に嵌合するようにケース15cに装着されることで、蓋部材16dと保持部材16eとの間に圧縮スプリング16cがセットされて、圧縮スプリング16cの使用長が定められ、固形潤滑剤16bを保持部材16eとともに潤滑剤供給ローラ16aに向けて所定の加圧力で付勢することになる。
【0052】
このような構成により、圧縮スプリング16cの他端側(加圧位置となる部分である。)を視認しながら、圧縮スプリング16cを加圧状態にセッティングすることができるため、組付け工程において圧縮スプリング16cが座屈した状態で取り付けられてしまったり、圧縮スプリング16cが外れてしまったりする不具合が抑止される。すなわち、プロセスカートリッジ15(潤滑剤供給装置16)における圧縮スプリング16cの組付性やメンテナンス性が格段に向上することになる。
【0053】
このようなプロセスカートリッジ15(潤滑剤供給装置16)に対する圧縮スプリング16cと蓋部材16dとの組付けは、その他の部材の組付けがすべて終了している状態の後におこなうことができる。すなわち、図5、図6に示す手順で、プロセスカートリッジ15への圧縮スプリング16cのセットと蓋部材16dのセットとが順次おこなわれる。したがって、潤滑剤供給ローラ16aに対する固形潤滑剤16bの圧接力を可変したい場合であっても、上述した蓋部材16dの着脱動作とともにバネ定数の異なる圧縮スプリング16cを簡単に交換することができる。
【0054】
詳しくは、図5に示すように、圧縮スプリング16cと蓋部材16dとを除くその他の部材の組付けが終了しているプロセスカートリッジ15(潤滑剤供給装置16)において、ケース15cの開口部15c1から内部に向けて圧縮スプリング16cをセットする(図5の矢印方向の移動である)。このとき、図7、図8等を参照して、圧縮スプリング16cは、その一端側(図5の下方側である。)の内周部に保持部材16eの突起部16e1が挿入され、その一端側の外周部の一部が保持部材16eの起立部16e2に覆われるようにセットされる。さらに、図6を参照して、保持部材16eに一端側が当接した状態の圧縮スプリング16cは、その他端側(図6において開口部15c1から露呈している側である。)の外周部が、開口部15c1によって覆われるようにセットされる。このような状態の圧縮スプリング16cは、他端側が固定・保持されていないものの、その姿勢が上述した突起部16e1、起立部16e2、開口部15c1によってある程度保持されることになる。そのため、その後に、図6に示すように、蓋部材16dが開口部15c1に嵌合するように上方からセットされるときに、蓋部材16dに対する圧縮スプリング16cの位置ズレが生じにくくなる。
【0055】
なお、図8に示すように、保持部材16eは、板金に曲げ加工等を施して略箱状に形成したものであって、その幅方向両端部にはそれぞれ突起部16e1と起立部16e2とが形成されている。
保持部材16eの突起部16e1は、半球状に突出するように形成されていて、上述したように圧縮スプリング16cの内周部が挿入される。この突起部16e1は、圧縮スプリング16cのスプリング力に影響しないように、圧縮スプリング16cの内周部に軽接触する(又は、接触しない)ように構成されている。突起部16e1を設けることにより、図6に示すように開口部15c1からセットされた状態の圧縮スプリング16cの姿勢を安定化することができる。
また、保持部材16eの起立部16e2は、突起部16e1を挟む幅方向の位置に切曲げ加工によって曲げ角度が90度よりも小さくなるように形成されたものであって、上述したように圧縮スプリング16cの外周部を非接触で覆うように起立している。起立部16e2を設けることにより、図6に示すように開口部15c1からセットされた状態の圧縮スプリング16cの倒れを防止することができる。
なお、本実施の形態では、図8の破線で囲んだ保持部材16eの曲げ部も、第2の起立部として、圧縮スプリング16cの倒れを防止する機能を有することになる。また、本実施の形態では、起立部16e2と第2の起立部とで圧縮スプリング16cの外周部の一部を覆うように構成したが、圧縮スプリング16cの外周部の全部(全周)を覆うように起立部を構成することもできる。
【0056】
ここで、本実施の形態では、図5及び図6を参照して、ケース15c1に、開口部15c1に装着される蓋部材16dを案内するための傾斜壁面15c3(壁面)とガイド部15c2とが形成されている。換言すると、傾斜壁面15c3とガイド部15c2とによって、蓋部材16dを案内するための溝部が形成されている。
詳しくは、壁面としての傾斜壁面15c3は、圧縮スプリング16cの付勢方向に沿うように傾斜している。そして、図6に示すように、蓋部材16dの端面を傾斜面15c3に接触させながら、蓋部材16dを傾斜面15c3に沿って矢印方向にスライド移動させることで、蓋部材16dが開口部15c1を塞ぐ位置にスムーズに装着されることになる。なお、傾斜壁面15c3は圧縮スプリング16cの付勢方向に対して平行に傾斜しているため、傾斜壁面15c3に沿って装着される蓋部材16dは引張スプリング16cに対して付勢方向に平行に当接されることになり、蓋部材16dの装着による引張スプリング16cの倒れが生じにくくなる。
また、ガイド部15c2は、傾斜壁面15c3の幅方向両端部に起立するように形成されていて、蓋部材16dの幅方向両端部をガイドするためのものである。そして、図6に示すように、ガイド部15c2の間に挟まれるように蓋部材16dを把持しながら、蓋部材16dを矢印方向にスライド移動させることで、蓋部材16dが開口部15c1を塞ぐ位置にスムーズに装着されることになる。
【0057】
そして、図7を参照して、蓋部材16dは、ボス部16d1が圧縮スプリング16cの他端側における内周部に遊挿されて、壁部16d2が圧縮スプリング16cの他端側における外周部を覆った状態で、爪部16d3と庇部16d4とがそれぞれケース15cの係合部に係合してケース15cに係止(パッチン止め)されることになる。
【0058】
詳しくは、図9及び図10を参照して、蓋部材16dには、ボス部16d1、壁部16d2、爪部16d3、庇部16d4等が形成されている。
蓋部材16dのボス部16d1は、先端が半球状に形成された略円柱部材であって、圧縮スプリング16cの内周部が隙間を空けて挿入される。ボス部16d1を設けることにより、図7に示すように蓋部材16dと保持部材15eとの間にセットされた状態の圧縮スプリング16cの姿勢を安定化することができる。
また、蓋部材16dの壁部16d2は、ボス部16d1を挟む幅方向の位置にそれぞれ円弧状に形成されたものであって、圧縮スプリング16cの外周部の一部を非接触で覆うように起立している。壁部16d2を設けることにより、図7に示すように蓋部材16dと保持部材15eとの間にセットされた状態の圧縮スプリング16cの倒れを防止することができる。
なお、本実施の形態では、壁部16d2によって圧縮スプリング16cの外周部の一部を覆うように構成したが、圧縮スプリング16cの外周部の全部(全周)を覆うように壁部16d2を構成することもできる。
【0059】
さらに、蓋部材16dの爪部16d3は、図9及び図10に示すように、蓋部材16dの幅方向両端部の腕部上に突出するように形成されている。そして、開口部15c1への蓋部材15dの装着時において、開口部15c1の縁部との干渉を避けるように外力の付与により腕部が弾性変形されて、その後に外力が除去されることによって腕部の弾性変形が復元されて爪部16d3が開口部15c1の係合部に係合する(図7の状態である。)。これにより、蓋部材16dがケース15c(開口部15c1)に嵌合して、ケース15cから蓋部材16dが容易に外れにくくなる。
また、蓋部材16dの庇部16d4は、図9及び図10に示すように、蓋部材16dにおいて傾斜壁面15c3に対向しない側に形成されていて、その先端に爪状の被係合部が形成されている。そして、開口部15c1への蓋部材15dの装着時において、開口部15c1の縁部との干渉を避けるように外力の付与により庇部16d4が弾性変形されて、その後に外力が除去されることによって庇部16d4の弾性変形が復元されて被係合部が開口部15c1の係合部に係合する(図3の状態である。)。これにより、蓋部材16dがケース15c(開口部15c1)に嵌合して、ケース15cから蓋部材16dが容易に外れにくくなる。
【0060】
ここで、本実施の形態では、蓋部材16dの壁部16d2に、ケース15cの開口部15c1への装着時においてケース15cの傾斜壁面15c3に対向しない側に切欠部(図9の破線で囲んだ部分である。)が形成されている。すなわち、壁部16d2は、円周状に形成されているのではなくて、開口部15c1に蓋部材16dを装着する作業者に対向する側に切欠部が形成されている。
このような構成により、開口部15c1に蓋部材16dを装着する作業者は、開口部15c1から露呈する圧縮スプリング16cを切欠部を通して視認しながら、蓋部材16dのセットを完遂することができる。そのため、圧縮スプリング16cの組付け不良を抑止する効果がさらに確実に発揮されることになる。
【0061】
ここで、本実施の形態では、図3を参照して、開口部15c1に設置された状態の蓋部材16dとその周囲とを外側から覆うシール材15gがケース15cに貼着されている。すなわち、先に図5及び図6等を用いて説明したように開口部15c1への圧縮スプリング16cと蓋部材16dとのセットが完了すると、その後に蓋部材16dとその周囲とを外側から覆うようにシール材15gがケース15c上に貼着される。
このシール材15gは、厚さが0.1mm以下のマイラー等の可撓性材料からなり、ケース15cとの貼着面には両面テープが設けられている。そして、蓋部材16dとケース15c(開口部15c1)との隙間(境界)を封止するように、ケース15cと蓋部材15dとに密着して貼着される。
このような構成により、蓋部材16dとケース15c(開口部15c1)との隙間から、プロセスカートリッジ15内のトナーが外部に漏出する不具合が抑止される。さらに、蓋部材16dがケース15cにさらに強固に固定されることになる。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態によれば、保持部材16eに一端側が当接した状態の圧縮スプリング16cの他端側が露呈するように開口する開口部15c1をケース15cに設けて、圧縮スプリング16cの他端側に当接するように開口部15c1に対して着脱可能に設置される蓋部材16dを設けている。これにより、固形潤滑剤16bを圧接方向に付勢するための圧縮スプリング16cの組付不良を生じにくくすることができる。
【0063】
なお、本実施の形態では、作像部における感光体ドラム11、帯電部12、クリーニングブレード15a(クリーニング部)、潤滑剤供給装置16を一体化してプロセスカートリッジ15を構成して、作像部のコンパクト化とメンテナンス作業性の向上とを図っている。
これに対して、現像装置13をもプロセスカートリッジ15の構成部材とすることもできる。さらに、作像部における各部11、12、13、15a、16をプロセスカートリッジの構成部材とせずに、それぞれ単体で装置本体1に交換自在に設置されるように構成することもできる。このような場合にも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、1成分現像剤を用いる1成分現像方式の現像装置13が搭載された画像形成装置に対して本発明を適用したが、2成分現像剤を用いる2成分現像方式の現像装置13が搭載された画像形成装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
【0064】
また、本実施の形態では、中間転写ベルト17を用いたタンデム型のカラー画像形成装置に対して本発明を適用した。これに対して、転写搬送ベルトを用いたタンデム型のカラー画像形成装置(転写搬送ベルトに対向するように並設された複数の感光体ドラム上のトナー像を、転写搬送ベルトによって搬送される記録媒体上に重ねて転写する装置である。)や、モノクロ画像形成装置等、その他の画像形成装置に対しても、本発明を適用することができる。そして、このような場合であっても、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
また、本実施の形態では、像担持体としての感光体ドラム11上に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置16に対して本発明を適用したが、感光体ドラム11以外の像担持体に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置(例えば、中間転写ベルト17に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置である。)に対しても当然に本発明を適用することができる。そして、このような場合であっても、本実施の形態と同様に圧縮スプリング16cの他端側に当接するように開口部15c1に対して着脱可能に設置される蓋部材16dを設けることで、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
また、本実施の形態では、潤滑剤供給ローラ16aとしてブラシ毛が周設されたブラシ状ローラを用いたが、潤滑剤供給ローラ16aとしてスポンジ状部材(弾性材料)が周設されたスポンジ状ローラを用いることもできる。そして、このような場合であっても、本実施の形態と同様に圧縮スプリング16cの他端側に当接するように開口部15c1に対して着脱可能に設置される蓋部材16dを設けることで、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0067】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 画像形成装置本体(装置本体)、
11、11Y、11M、11C、11B 感光体ドラム(像担持体)、
15 プロセスカートリッジ、
15a クリーニングブレード(クリーニング部)、
15c ケース(外装カバー)、
15c1 開口部、
15c2 ガイド部、
15c3 傾斜壁面(壁面)、
15g シール材、
16 潤滑剤供給装置(潤滑剤供給部)、
16a 潤滑剤供給ローラ(ブラシ状ローラ)、
16b 固形潤滑剤、
16c 圧縮スプリング、
16d 蓋部材、
16d1 ボス部、 16d2 壁部、
16d3 爪部、 16d4 庇部、
16e 保持部材、
16e1 突起部、 16e2 起立部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【特許文献1】特開2006−201565号公報
【特許文献2】特開2001−305907号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が担持される像担持体上に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置であって、
所定方向に回転するとともに、前記像担持体に摺接する潤滑剤供給ローラと、
前記潤滑剤供給ローラに摺接する固形潤滑剤と、
前記固形潤滑剤を保持する保持部材と、
前記固形潤滑剤を前記潤滑剤供給ローラに向けて付勢するために一端側が前記保持部材に当接する圧縮スプリングと、
装置の外側を装うためのケースと、
を備え、
前記ケースは、
前記保持部材に前記一端側が当接した状態の前記圧縮スプリングの他端側が露呈するように開口する開口部と、
前記圧縮スプリングの前記他端側に当接するように前記開口部に対して着脱可能に設置されて前記圧縮スプリングの付勢力を定める蓋部材と、
を具備したことを特徴とする潤滑剤供給装置。
【請求項2】
前記蓋部材は、
前記圧縮スプリングの内周部に遊挿されるボス部と、
前記圧縮スプリングの外周部の一部又は全部を覆うように起立する壁部と、
を具備したことを特徴とする請求項1に記載の潤滑剤供給装置。
【請求項3】
前記蓋部材の前記壁部は、前記ケースの前記開口部への装着時において前記ケースの壁面に対向しない側に切欠部が形成されたことを特徴とする請求項2に記載の潤滑剤供給装置。
【請求項4】
前記保持部材は、
前記圧縮スプリングの内周部に挿入される突起部と、
前記圧縮スプリングの外周部の一部又は全部を覆うように起立する起立部と、
を具備したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の潤滑剤供給装置。
【請求項5】
前記ケースは、
前記開口部に装着される前記蓋部材を案内するために前記圧縮スプリングの付勢方向に沿うように傾斜する壁面と、
前記開口部に装着される前記蓋部材を案内するために前記蓋部材の幅方向両端部をガイドするガイド部と、
を具備したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の潤滑剤供給装置。
【請求項6】
前記ケースの前記開口部は、前記保持部材に前記一端側が当接した状態の前記圧縮スプリングの外周部を覆うように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の潤滑剤供給装置。
【請求項7】
前記開口部に設置された状態の前記蓋部材とその周囲とを外側から覆うシール材が前記ケースに貼着されることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の潤滑剤供給装置。
【請求項8】
画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるプロセスカートリッジであって、
請求項1〜請求項7のいずれかに記載の潤滑剤供給装置と前記像担持体とを備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項9】
前記像担持体上をクリーニングするクリーニングブレードを、前記潤滑剤供給装置に対して前記像担持体の回転方向下流側に備えたことを特徴とする請求項8に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載の潤滑剤供給装置と前記像担持体とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−155164(P2012−155164A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14799(P2011−14799)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】