説明

潤滑剤塗布装置及び画像形成装置

【課題】潤滑剤を感光体等に塗布する塗布ブレードに、異物等が噛み込むことによる異常画像を発生させない潤滑剤塗布装置及びこれを用いる画像形成装置を提供する。
【解決手段】静電潜像を形成する感光体3と、前記感光体3表面を帯電する帯電装置10と、前記感光体3表面に当接するクリーニングブレード21を有し、前記クリーニングブレード21に対して感光体3表面の移動方向下流に配置され、少なくとも固形潤滑剤32と、潤滑剤供給ローラ31と、潤滑剤均しブレード34を備えている潤滑剤塗布装置30において、予め定めた画像形成動作の終了後、帯電装置10により表面を帯電させながら感光体3を画像形成動作時とは逆方向に、少なくとも帯電装置10による帯電位置から潤滑剤均しブレード34が当接する均し位置まで感光体3を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の静電複写プロセスによる画像形成で静電潜像担持体表面に潤滑剤を供給する潤滑剤塗布装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
静電複写プロセスに用いられるクリーニングブレードは、感光体との摺擦を続けると、経時で摩耗し、欠けや変形等が起因してクリーニング性能が低下するという問題がある。また、感光体表面も摩耗するため、寿命が短くなる。
そこで、感光体とこれらのクリーニング部材との間に働く摩擦抵抗を低減して、クリーニング部材、感光体の摩耗等の不具合を解消するために、感光体表面に潤滑剤を塗布するなどの手法が公知である。
また、感光体表面に潤滑剤を塗布すると、感光体表面の摩擦係数が低下するため、トナーに外添される流動化剤や帯電制御剤等がクリーニング部材との当接圧で感光体表面に膜状に固着する、いわゆるフィルミングの発生を防止することができる。更に、感光体上に現像されたトナーも感光体表面との付着力が低減することで、転写性が向上する。
【0003】
例えば、特許文献1では、潤滑剤を塗布する塗布ローラと、像担持体上に塗布された潤滑剤を伸展させて薄層を形成する均し部材とを備え、被塗布面上の付着物をクリーニングした後に潤滑剤を塗布し、さらにその塗布した潤滑剤を均すことにより、上記の効果を維持したまま、球形化、小粒径化されたトナーを用いても、感光体表面全域において塗布ムラを生じることなく、また、過剰な塗布も防いで、適切な量の潤滑剤塗布が可能な構成をもつ潤滑剤塗布装置を提供している。このように、特許文献1の技術を採用した画像形成装置では、感光体の周囲にはクリーニング部材であるクリーニングブレード、塗布ローラであるブラシローラ、固形潤滑剤が配設されており、感光体表面に供給された潤滑剤は均し部材である塗布ブレードにより均一化される。
しかし、通常、固形潤滑剤はブラシローラにより微小な粉体として供給されるが、ある程度の大きさで固形状態で塗布ブレードの当接部に流入してしまった場合や、潤滑剤以外の異物、例えば、潤滑剤以外の添剤等の紙粉、機械部品のバリ、破損した破片、現像剤中のキャリア粉等の異物が当接部に流入してしまった場合、塗布ブレードと感光体の間に噛み込んでしまう。このとき、塗布ブレード先端を感光体表面から離間させてしまい所望の均し効果が得られず、感光体表面の摩擦低減ができなくなったり、均されなかった粉体上の潤滑剤が下流の帯電部材に付着して正常な帯電機能が得られずに異常画像が発生してしまうという問題がある。
また、近時における技術として、塗布ブレードの感光体に対する当接を、クリーニングブレードのようにエッジ接触とせず面接触とすることで、エッジの摩耗による経時での塗布性能の劣化を防いでいる。
しかし、この技術では、経時での塗布性能の劣化を防ぐことが可能になっているが、面接触とすることで異物等の噛み込みが発生し易くなってしまうという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、潤滑剤を感光体等に塗布する塗布ブレードに、異物等が噛み込むことによる異常画像を発生させない潤滑剤塗布装置及びこれを用いる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の潤滑剤塗布装置は、静電潜像を形成する静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体表面を帯電する帯電装置と、前記静電潜像担持体表面に当接するクリーニング部材を有し、前記クリーニング部材に対して静電潜像担持体表面の移動方向下流に配置され、少なくとも固形潤滑剤と、潤滑剤供給部材と、潤滑剤均し部材を備えている潤滑剤塗布装置において、予め定めた画像形成動作の終了後、帯電装置により表面を帯電させながら静電潜像担持体を画像形成動作時とは逆方向に、少なくとも帯電装置による帯電位置から潤滑剤均し部材が当接する均し位置まで静電潜像担持体を移動させることを特徴とする。
また、本発明の潤滑剤塗布装置は、さらに、前記均し部材が、静電潜像担持体に対してトレーリング当接した板状であり、且つ静電潜像担持体に対して面接触であることを特徴とする。
また、本発明の潤滑剤塗布装置は、さらに、クリーニング部材よりも画像形成時の静電潜像担持体移動方向上流側にシール部材を設け、帯電位置から均し位置までの距離が、クリーニング部材が静電潜像担持体に当接するクリーニング位置からシール部材が当接するシール位置までの距離よりも小さく、
予め定めた画像形成動作の終了後、帯電装置により表面を帯電させながら静電潜像担持体を画像形成時とは逆方向に、帯電位置から均し位置までの距離よりも大きく、且つクリーニング位置からシール位置までの距離よりも小さい距離だけ静電潜像担持体を移動させる
ことを特徴とする潤滑剤塗布装置。
【0006】
本発明の画像形成装置は、静電潜像を形成する静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体表面を帯電する帯電装置と、前記静電潜像担持体表面に当接するクリーニング部材を備えたクリーニング装置と、前記クリーニング部材に対して静電潜像担持体表面の移動方向下流に配置され、少なくとも固形潤滑剤と、潤滑剤供給部材と、潤滑剤均し部材を備えている潤滑剤塗布装置とを備える画像形成装置において、予め定めた画像形成動作の終了後、帯電装置により表面を帯電させながら静電潜像担持体を画像形成動作時とは逆方向に、少なくとも帯電装置による帯電位置から潤滑剤均し部材が当接する均し位置まで静電潜像担持体を移動させることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記均し部材が、静電潜像担持体に対してトレーリング当接した板状であり、且つ静電潜像担持体に対して面接触であることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記クリーニング装置が、クリーニング部材よりも画像形成時の静電潜像担持体移動方向上流側にシール部材を設け、帯電位置から均し位置までの距離が、クリーニング部材が静電潜像担持体に当接するクリーニング位置からシール部材が当接するシール位置までの距離よりも小さく、画像形成終了後、帯電装置により表面を帯電させながら静電潜像担持体を画像形成時とは逆方向に、帯電位置から均し位置までの距離よりも大きく、且つクリーニング位置からシール位置までの距離よりも小さい距離だけ静電潜像担持体を移動させることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、少なくとも静電潜像担持体を有するプロセスカートリッジを着脱可能に配置していることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記現像手段で用いられるトナーは、体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記現像手段で用いられるトナーは、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記現像手段で用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記課題を解決する手段である本発明によって、以下のような特有の効果を奏する。
本発明の潤滑剤塗布装置及び画像形成装置によって、均し部材に異物等が噛み込んで異常画像が発生することなく、且つ清掃部材により塞き止められた現像剤が静電潜像担持体表面に露出することにより発生する機内汚染を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の潤滑剤塗布装置を適用する画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の潤滑剤塗布装置を適用するプロセスカートリッジの構成を示す図である。
【図3】従来の潤滑剤塗布装置の潤滑剤均しブレードが感光体に接触している部分の経時における変化を模式的に示す図である。
【図4】本発明の潤滑剤塗布装置の潤滑剤均しブレードの当接する状態を示す図である。
【図5】感光体と潤滑剤均しブレードとの間に異物を挟み込んだ状態を示す図である。
【図6】感光体を逆方向に動作させたときの異物の状態を説明する図である。
【図7】感光体を逆方向に動作させ、異物を潤滑剤供給ローラに接触させたときの状態を説明する図である。
【図8】感光体を逆方向に動作させ、異物を潤滑剤供給ローラに接触させたときの他の状態を説明する図である。
【図9】本発明の潤滑剤塗布装置を適用する画像形成装置における移動動作を説明する図である。
【図10】本発明の潤滑剤塗布装置を適用する画像形成装置が用いるトナーの球形度を説明する図であり、(a)は形状係数SF−1、(b)は形状係数SF−2を説明するための図である。
【図11】本発明の潤滑剤塗布装置を適用する画像形成装置が用いるトナーの形状を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における実施の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0010】
以下、図を用いて発明の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の潤滑剤塗布装置を適用する画像形成装置の構成を示す図である。
ここでは、複数の感光体3K、3M、3C、3Yを有する画像形成装置1で説明するが、この形態の画像形成装置1に限定するものではない。さらに、ここでは、それぞれの感光体3K、3M、3C、3Yのトナー量に応じて制御するが、プロセスカートリッジ2がすべて同じ形態であり、各々の構成を限定せずに説明する。
本発明の潤滑剤塗布装置を適用する画像形成装置1は、上の方から、トナー画像を形成する像担持体である感光体3等を有する画像形成部6と、そして、その下に給紙装置60とが配置されている。その他に、画像形成部の上方に、画像が形成された記録部材9を積載する排紙トレイ91が配置されている。
画像形成装置1は、その中央部に画像形成部6が配置されている。画像形成部6では、その内部の略中央に、作像ユニットとしてのプロセスカートリッジ2をイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーに対応した4つを並列に転写装置50に沿ってタンデム型に配列している。その転写装置50には、ポリイミドやポリアミド等の耐熱性材料からなり、中抵抗に調整された基体からなる無端状ベルトで、4つのローラ531、532、533、534に掛け回して支持され、図中矢印A方向に回転駆動するである中間転写体である中間転写ベルト51を備えている。
また、4つのプロセスカートリッジの下方には、帯電した各感光体3の表面に各色の画像データに基づいて露光をし、潜像を形成する露光装置4が備えられている。中間転写ベルト51を挟んで、各感光体3と対向する位置には、感光体3上に形成されたトナー像を中間転写ベルト51上に一次転写する一次転写装置として一次転写ローラ52がそれぞれ配置されている。一次転写ローラ52は、図示しない電源に接続されており、所定の電圧が印加される。
【0011】
中間転写ベルト51の支持ローラ532で支持された部分の外側には、二次転写装置として二次転写ローラ54が圧接されている。二次転写ローラ54は、図示しない電源に接続されており、所定の電圧が印加される。二次転写ローラ54と中間転写ベルト51との接触部が二次転写部であり、中間転写ベルト51上のトナー像が記録部材9に転写される。
中間転写ベルト51の支持ローラ531で支持された部分の外側には、二次転写後の中間転写ベルト51の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置55が設けられている。
二次転写部の上方には、記録部材9上のトナー像を記録部材9に半永久的に定着させる定着装置70が備えられている。定着装置70は、定着ローラ71と、これに対向し、圧接して配置される、内部にハロゲンヒータを有する加圧ローラ72とから構成されている。この他に、定着ローラ71の代わりに、図示しないが、内部にハロゲンヒータを有する加熱ローラ及び定着ローラに巻き掛けられた無端の定着ベルトを用いても良い。
画像形成装置の下部には、記録部材9を載積し二次転写部に向けて記録部材9を送り出す給紙装置60が備えられている。
【0012】
図2は、本発明の潤滑剤塗布装置を適用するプロセスカートリッジの構成を示す図である。いずれのプロセスカートリッジでも同様の構成であるので、この図においては、色の区別を示すY、M、C、Kの表示を省略する。各プロセスカートリッジは感光体3を有し、各感光体3の周りには、感光体3表面に電荷を与える帯電装置10、感光体3表面に形成された潜像を各色トナーで現像してトナー像とする現像装置40、感光体3表面に潤滑剤32を塗布する潤滑剤塗布装置30、トナー像転写後の感光体3表面のクリーニングをするクリーニング装置20がそれぞれ配置されている。
図2に示した各要素を画像形成装置本体にそれぞれ別個に組み付けてもよいが、感光体3と、帯電装置10、現像装置40、クリーニング装置20、潤滑剤塗布装置30のいずれか1つ以上を一体的に支持していて、画像形成装置1に着脱可能になっている。本実施形態では、少なくとも、感光体3と、潤滑剤塗布装置30とを備えていることにより、セット性、メンテナンス性に優れ、かつ位置精度が良くなる。
【0013】
感光体3は、アモロファスシリコーン、セレン等の金属物質を用いる感光体3、または、有機感光物質を用いる感光体3がある。ここでは、有機感光体で説明する。感光体3としては、導電性支持体上に、フィラー分散した樹脂層、電荷発生層及び電荷輸送層を有する感光層、その表面にフィラーを分散させた保護層を有する。
感光層は電荷発生物質と電荷輸送物質を含む単層構成の感光層でも構わないが、電荷発生層と電荷輸送層で構成される積層型が感度、耐久性において優れている。
電荷発生層は、電荷発生能を有する顔料を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。結着樹脂としてはポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等があげられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100質量部に対し0〜500質量部、好ましくは10〜300質量部が適当である。
また、電荷輸送層は、電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリルニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、保護層が感光層の上に設けられることもある。保護層を設け、耐久性を向上させることによって、本発明の高感度で異常欠陥のない感光体3を有用に用いることができる。
保護層に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネートもしくはポリアリレートが最も良好に使用できる。保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、シリカ等の無機フィラー、また有機フィラーを分散したもの等を添加することができる。保護層中のフィラー濃度は使用するフィラー種により、また感光体3を使用する電子写真プロセス条件によっても異なるが、保護層の最表層側において全固形分に対するフィラーの比で5質量%以上、好ましくは10質量%以上、50質量%以下、好ましくは30質量%以下程度が良好である。
【0014】
帯電装置10は、タングステン、モリブデン等の細い金属ワイヤー、または、これらの表面に金属めっきしたワイヤーをアルミニウム製のケース内に張架したコロトロン方式、または、アルミニウム製のケースにグリッドになる金属製のワイヤーを張架しているスコロトロン方式の放電チャージャー方式を用いる。その他に、回転するローラを感光体に接触又は微小の隙間を設けて非接触に対向させるローラ方式がある。いずれの方式でも良い。
帯電部材として導電性芯金の外側に中抵抗の弾性層を被覆して構成される帯電ローラ11を備える。帯電ローラ11は、電源に接続されており、所定の電圧が印加される。帯電ローラ11は、感光体3に対して接触して配置される。接触していても、円形形状の断面は、感光体3に近接する部分を有している。感光体3に近接している部分で、放電して、感光体3を帯電させることができる。本発明では帯電ローラ11表面に接触してクリーニングする接触帯電ローラ12を搭載するので、オゾンの発生が少なくなり環境に配慮する現在のニーズに適合している。
【0015】
この帯電ローラ11は、中心に金属製芯金による軸部、その外側に抵抗調整層と最外層に表面層とを有する構造をしている。軸部は、例えば、直径が8〜20mmのステンレス、アルミニウムの高い剛性と導電性を有している金属製又は1×10Ω・cm以下、好ましくは1×10Ω・cm以下で高い剛性を有する導電性の樹脂等で構成される。
抵抗調整層は、1×10Ω・cm〜1×10Ω・cmの体積抵抗率で、1〜2mm程度の厚さにすることが好ましい。
表面層は、1×10Ω・cm〜1×1012Ω・cmの体積抵抗率で、10μm程度の厚さが好ましい。表面層の体積抵抗率は、抵抗調整層の電気抵抗率より高くすることが好ましい。ここで、帯電ローラ11は、抵抗調整層と表面層との2層構造で示したが、特にこの構造に限定されるものではなく、単層でも3層であっても良い。
抵抗調整層は、樹脂組成物を押出成形又は射出成形等により芯金の周面に設けることで形成される。また、抵抗調整層が経時で変形し、感光体3と帯電ローラ11との間隙が変化するのを防ぐため、抵抗調整層のJIS−D硬度は45度以上とする。
抵抗調整層に用いられる熱可塑性樹脂は、成形後のJIS−D硬度を保持することができれば特に限定するものでないが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)及びその共重合体(AS、ABS等)等の汎用樹脂を用いる方が、成形加工が容易であり好ましい。
電気抵抗の調整のために、高分子型イオン導電剤、カーボンブラック、金属粉等の導電材を用いることができる。
【0016】
帯電ローラ11は、電源に接続されており、所定の電圧が印加される。その電圧は、直流(DC)電圧のみでもよいが、DC電圧に交流(AC)電圧を重畳させた電圧であることが好ましい。AC電圧を印加することにより、感光体ドラム1表面をより均一に帯電することができる。本実施形態では、DC電圧にAC電圧を重畳させている。帯電ローラ11を感光体3に接触させて、感光体3を帯電させるもので、この接触式の帯電装置10は、従来用いられているコロナ帯電方式に比べて、放電生成物の発生量が極めて少ない、印加電圧が低いため電源のコストが小さくなる、電気絶縁の設計が行いやすい等の利点を有している。もちろん、上記のオゾン、窒素酸化物などによる不具合も低減する。
また、帯電ローラ11は、感光体ドラム1に対して微小な間隙をもって配設される。この微小な間隙は、帯電ローラ11の両端部の非画像形成領域に一定の厚みを有するスペーサ部材を巻き付けるなどして、スペーサ部材の表面を感光体ドラム1表面に当接させることで、設定することができる。
スペーサ部材は、帯電ローラ11は、微小な間隙を設けて、感光体3に対して非接触で設けても良い。この場合、帯電ローラ11の両端部にフィルムを巻きつけてスペーサとしている。このスペーサは、感光体3の感光面に接触させ、帯電ローラ11と感光体3の画像領域にある一定の微小ギャップを得るようになっている。印加バイアスは、AC重畳タイプの電圧を印加して、帯電ローラ11と感光体3との微小ギャップに生じる放電により、感光体3を帯電させる。さらに、軸部111をスプリング等で加圧することで、微小ギャップの維持精度が向上する。
さらに、スペーサ部材を帯電ローラ11と一体成型にしてもよい。このとき、ギャップ部分は、すくなくともその表面を絶縁体にする。このようにすることにより、ギャップ部分で放電をなくし、ギャップ部分に放電生成物が堆積し、放電生成物の粘着性により、トナーがギャップ部分に固着し、ギャップが広がることがなくなる。
【0017】
現像装置40は、感光体3と対向する位置に、図示しないが内部に磁界発生手段を備える現像ローラ41が配置されている。現像ローラ41の下方には、図示しないトナーボトルから投入されるトナーを現像剤と混合し、攪拌しながら現像ローラ41へ汲み上げる機構を併せて有する2つの攪拌・搬送スクリュー43、44が備えられている。現像ローラ41によって搬送されるトナーと磁性キャリアからなる現像剤は、規制部材42によって所定の現像剤層の厚みに規制され、現像ローラ41に担持される。現像ローラ41は、感光体3との対向位置において同方向に移動しながら、現像剤を担持搬送し、トナーを感光体3の潜像面に供給する。
また、図1に示しているが、未使用のトナーが収納された各色のトナーカートリッジ45Y、45C、45M、45Kが、着脱可能に感光体3上部の空間に収納される。図示しないモーノポンプやエアーポンプなどのトナー搬送手段により、各現像装置40に必要に応じトナーを供給するようになっている。消耗の多いブラックトナー用のトナーカートリッジ45Kを、特に大容量としておくことも可能である。
【0018】
クリーニング装置20は、プロセスカートリッジ2のカートリッジケースの枠体201にブレードホルダ25を取り付け、そのブレードホルダ25でクリーニング部材であるクリーニングブレード21の基端を支持し、クリーニングブレード21の先端を感光体3の外周面に押し当てる。カートリッジケースの枠体201には、またマイラ(登録商標)フィルム等の飛散防止のためのシール部材23の基端を取り付け、先端を同じく感光体3の外周面に軽く押し当ててなる。これにより、カートリッジケースの枠体201内には、回収トナー収納空間を形成する。その回収トナー収納空間には、廃トナー回収ブラシ22を回転自在に設ける。
そして、感光体3の回転とともに、感光体3上に残留するトナーをクリーニングブレード21で掻き落として除去し、掻き落としたトナーが飛散することをシール部材23で防止しながら、掻き落としたトナーを回収トナー収納空間に収納する。回収トナー収納空間に収納したトナーは、廃トナー回収ブラシ22でクリーニング装置20の片側に集めてそこからカートリッジケースの枠体201の外へ、回収搬送コイル24で排出し、詳しくは図示省略した粉体搬送装置で搬送して、この例では廃棄すべく、下方の廃トナー容器46へと搬送して貯留する。混色のおそれがなければ、リサイクル使用すべく、現像装置40へと戻すようにしてもよい。
【0019】
潤滑剤塗布装置30は、固定されたケースに収容された固形潤滑剤32と、固形潤滑剤32に接触して潤滑剤を削り取り、感光体3に塗布する潤滑剤供給ローラ31と、潤滑剤供給ローラ31で塗布された潤滑剤を均す潤滑剤均しブレード34を備える。潤滑剤供給ローラ31は、少なくとも1つは設ける。複数設けても良いが、ここでは、1つの潤滑剤供給ローラ31で説明する。固形潤滑剤32は、直方体状に形成されており、加圧バネ33によって潤滑剤供給ローラ31側に付勢されている。固形潤滑剤32は潤滑剤供給ローラ31によって削り取られ消耗し、経時的にその厚みが減少するが、加圧バネ33で加圧されているために常時潤滑剤供給ローラ31に当接している。潤滑剤供給ローラ31は、回転しながら削り取った潤滑剤を感光体3表面に塗布する。感光体3に塗布する潤滑剤の塗布量は、潤滑剤供給ローラ31の回転数で調整する。回転数が早くなるにつれて、固形潤滑剤32から削り取る量が潤滑剤の量が増加し、感光体3に塗布する塗布量は増加する。逆に、回転数が遅くなるにつれて、固形潤滑剤32から削り取る量が減少し、感光体3に塗布する塗布量は減少する。潤滑剤供給ローラ31の回転方向は、図2に示す感光体3の移動方向に対し順方向であることが好ましいが、逆方向に回転してもよい。
また、上記潤滑剤供給ローラ31による潤滑剤塗布位置に対して移動方向の下流側の感光体表面に潤滑剤均し手段としての潤滑剤均しブレード34を当接させている。潤滑剤均しブレード34は弾性体であるゴムから構成されているものであり、感光体3の移動方向に対してトレーリング方向に当接してある。固形潤滑剤32に接触して潤滑剤を削り取り、感光体3に塗布する潤滑剤供給ローラ31のブラシ繊維の太さは、3〜8デニールが好ましく、ブラシ繊維の密度は2万〜10万本/inchが好ましい。ブラシ繊維の太さが細すぎると、潤滑剤供給ローラ31が感光体3表面に当接したときに毛倒れを起こしやすくなり、逆にブラシ繊維が太すぎると繊維の密度を高くすることができなくなる。また、ブラシ繊維の密度が低いと感光体3表面に当接するブラシ繊維の本数が少ないため、潤滑剤を均一に塗布することができず、逆にブラシ繊維の密度が高すぎると繊維と繊維の隙間が小さくなり、掻き取った潤滑剤の粉体の付着量が減るため、塗布量が不足してしまう。
そこで、毛倒れを起こりにくくするためのブラシ繊維の太さと、潤滑剤の均一な塗布を効率的に行うことができるブラシ繊維の密度とを有する、上記設定範囲の潤滑剤供給ローラ31とする。
【0020】
またさらに、この画像形成装置1の潤滑剤は、脂肪酸金属塩(A)及び/又は無機潤滑剤(B)を含有している。
脂肪酸金属塩(A)が、帯電電流により破壊されて、感光体3の表面が破壊されるのを防止すると同時に、帯電電流では破壊されない無機潤滑剤により、潤滑作用が維持されるため、感光体3のクリーニングを良好に維持することが可能となる。
脂肪酸金属塩(A)の例としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレインサン銅、オレイン酸鉛、オレイン酸マンガン、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸コバルト、パルミチン酸鉛、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム、カプリル酸鉛、カプリン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸カドミウム及びそれらの混合物があるが、これに限るものではない。また、これらを混合して使用してもよい。本発明においては、中でもステアリン酸亜鉛が特に感光体への成膜性に優れることから、最も好ましく用いられる。
また、無機潤滑剤(B)とは、自身が劈開して潤滑する、或いは内部滑りを起こす無機化合物のことを指す。具体的な物質例としては、タルク、マイカ、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、カオリン、スメクタイト、ハイドロタルサイト化合物、フッ化カルシウム、グラファイト、板状アルミナ、セリサイト、合成マイカなどがあるがこれに限るものではない。中でも窒化ホウ素は、原子がしっかりと組み合った六角網面が広い間隔で重なり、層間に働く力は弱いファンデルワールス力のみであるため、容易に劈開、潤滑することから、本発明においては最も好ましく用いられる。なお、これらの無機潤滑剤は疎水性付与等の目的で、必要に応じて表面処理がなされていても良い。
本発明の潤滑剤塗布装置を適用する画像形成装置では脂肪酸金属塩がステアリン酸亜鉛の物質であることにより感光体3への成膜性、潤滑性、保護性に優れさらに、無機潤滑剤が窒化ホウ素なので、より潤滑性に優れていて、脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)の両方を塗布又は付着させる工程を行うことでクリーニングに関してさらに大きな効果が得られる。
【0021】
図3は、従来の潤滑剤塗布装置の潤滑剤均しブレードが感光体に接触している部分の経時における変化を模式的に示す図である。潤滑剤均しブレード34と感光体3の接触部36が潤滑剤均しブレード34のエッジで接触している部分を拡大して、経時における状態の変化を表わしている。(a)で表したような画像形成装置1では、潤滑剤均しブレード34は、感光体3と潤滑剤均しブレード34のエッジを接触させて、感光体3の回転によって、摺動している。この接触摺動により、時間が経つと、(b)も表したように、感光体3と接触する潤滑剤均しブレード34のエッジが摩耗する。潤滑剤均しブレード34のエッジが摩耗すると、潤滑剤が漏れたり、潤滑剤の塗布が不十分になり塗布不足が発生したりして、潤滑剤塗布性能が劣化する。潤滑剤が漏れると、帯電ローラ11の表面が潤滑剤で汚れ、ローラ抵抗が上昇して色スジ画像を発生させる。また、潤滑剤の塗布が不十分で、潤滑剤塗布不足になると、感光体3の保護作用が不十分になり、帯電電流による感光体3の破壊が進行し、感光体3にフィルミングして、濃度ムラ画像が発生する。
【0022】
図4は、本発明の潤滑剤塗布装置の潤滑剤均しブレードの当接する状態を示す図である。
可撓性を有する潤滑剤均しブレード34を、トレーリング方向に当接させて、潤滑剤均しブレード34の面を感光体3に接触させている。
そのため、感光体3との接触面積が、潤滑剤均しブレード34のエッジ分での接触時よりも、大幅に大きくなり、潤滑剤均しブレード34の接触圧力が、潤滑剤均しブレード34のエッジ分での接触時よりも、大幅に小さくなるので、感光体3の回転によって、潤滑剤均しブレード34と感光体3とが接触摺動しても、潤滑剤均しブレード34が摩耗することがない。潤滑剤均しブレード34が摩耗しないので、長期にわたって、潤滑剤の漏れや潤滑剤の塗布不足の発生を防止でき、潤滑剤の塗布性能を良好に維持可能となる。
また、この画像形成装置1は、クリーニングブレード21のエッジ分への異物挟み込み防止のために、感光体3の停止時、感光体3が作像時とは逆に回転する。こうすると正回転時にカウンター方向から当接していたクリーニングブレード21のエッジに対流していた異物等を除去できるので、ブレードエッジへの異物挟み込みによるクリーニング不良が発生した場合でも、逆転時、異物がエッジから除去されるのでクリーニング不良を防ぐことが可能となる。
さらに、潤滑剤均しブレード34が、潤滑剤均しブレード34の面で感光体3に接触しているので、感光体逆転時にも、潤滑剤均しブレード34がめくれて画像形成装置1が破損することはない。
【0023】
感光体3に潤滑剤均しブレード34のブレード面で接触していることを示している。この画像形成装置1では、潤滑剤塗布安定化のために、潤滑剤塗布装置30が感光体3の回転方向の下流側に設けられている。感光体3の回転方向に対して、感光体3の残留トナーをクリーニングするクリーニング装置20の上流側に潤滑剤塗布装置30が設けられていると画像面積が増加し潤滑剤と感光体3の表面との接触面積が減少し、潤滑剤塗布不足が起こる。しかし、本発明の潤滑剤塗布装置を適用する画像形成装置1では感光体3の回転方向に対して、感光体3のクリーニング装置20の下流側に潤滑剤塗布装置30が設けられているため、画像面積率による感光体3への潤滑剤供給過不足がなく安定して潤滑剤塗布が可能となる。
この潤滑剤塗布装置30は、固形潤滑剤32を、スプリング等の加圧バネ33で潤滑剤供給ローラ31に所定の圧力で押し付けて、潤滑剤供給ローラ31の回転によって潤滑剤を削り取り、感光体3表面に塗布して、ブラシ下流側のポリウレタン等の材質の可撓性の潤滑剤均しブレード34にて薄膜化している。
また、潤滑剤均しブレード34は、トレーリング方向から感光体に当接している。トレーリング方向から潤滑剤均しブレード34を当接させると、潤滑剤を感光体から掻き落すことが少なく潤滑剤塗布効率がよい。
【0024】
また、図のように潤滑剤均しブレード34をトレーリング方式かつエッジよりも手前の面が主に接触する方式を用いることで、潤滑剤均しブレード34の接触面圧を小さくすることが可能となり、潤滑剤均しブレード34の摩耗する量を従来よりも大きく減らすことができる。
具体的には、同じ当接線圧20g/cmに設定して、潤滑剤均しブレード34をエッジで当接させると、感光体3の表面の移動距離が約80kmでは、潤滑剤均しブレード34の摩耗量は60〜100μmm程度の摩耗深さ(図の感光体3から離れる方向の摩耗距離)である。これに対して、同じ当接線圧で腹当たり方式を用いた場合は、感光体3の表面の移動距離約200kmでは、摩耗量は5μm以下の摩耗深さであり大きく改善することが可能である。
また、図4のように、潤滑剤均しブレード34の方向(断面における感光体3による撓みがない状態での潤滑剤均しブレード34の長手方向)を概略感光体3の中心に向ける配置とすることで、潤滑剤均しブレード34の配置面積を小さくでき、潤滑剤塗布装置20の省スペース化が可能となる。
潤滑剤供給ローラ31にブラシローラを用いることができる。ブラシローラを用いることで潤滑剤供給ローラ31の回転方向をカウンタ方向で回した場合にも感光体3の回転トルクを特別に大きくすることなく、潤滑剤を供給することが可能である。
また、潤滑剤供給ローラ31は発泡ポリウレタンローラであっても良い。この場合、回転トルクは大きくなるが、特に潤滑剤をムラなく供給できるためより効率よく潤滑剤を供給することが可能となる。
潤滑剤供給ローラ31の回転方向はカウンタ方向に限定されるものではない。図のように潤滑剤供給ローラ31をカウンタ方向で回転させる場合には潤滑剤の供給と同時に感光体3の表面の付着物の除去の効果が大きくなる。逆に順方向に回転させる場合には感光体3の回転トルクの低下による省エネ化に対して効果がある。
【0025】
図5は、感光体と潤滑剤均しブレードとの間に異物を挟み込んだ状態を示す図である。
異物は、図5の丸の中に示すように、感光体3と潤滑剤均しブレード34との狭い部分に入り込んでいっている状態を示している。感光体3と潤滑剤均しブレード34との間は、狭い角度になっていて、一端挟まった異物の、この間からの脱出は非常に困難である。
図6は、感光体を逆方向に動作させたときの異物の状態を説明する図である。
図6の丸の中に示すように、感光体3の逆方向動作時では、感光体3と潤滑剤均しブレード34に挟まった異物は、逆方向動作によってほとんどが感光体3に付着して移動する。
このときに逆方向動作による移動量が、後述する距離L1より小さい場合、つまり、異物が潤滑剤供給ローラ31に達する前に、感光体3の逆方向への移動を中止すると、この間で他の部材に接触することがないために、感光体3上に付着した感光体3と潤滑剤均しブレード34に挟まっていた異物は感光体3から落ちずに、次回の通常動作で再度感光体3と潤滑剤均しブレード34との間に挟みこむことになる。この場合、異物は図5と図6の状態を繰り返すことになる。
【0026】
図7は、感光体を逆方向に動作させ、異物を潤滑剤供給ローラに接触させたときの状態を説明する図である。
図7の丸の中に示すように、感光体3の逆方向動作時では、感光体3と潤滑剤均しブレード34に挟まった異物は、逆方向動作によってほとんどが感光体3に付着して移動する。このときに、逆方向動作による移動量が、後述する帯電ローラ11の帯電位置から潤滑剤均し部材34が当接する均し位置までの距離L1より大きい場合、つまり、異物が潤滑剤供給ローラ31に達することで、ブラシローラ等の潤滑剤供給ローラ31を、潤滑剤の供給時と逆方向に回転させることで、感光体3上の異物の、感光体3の動作方向から見て、後端を掻き上げて、払い落とすことができる。
このときに、潤滑剤供給ローラ31を潤滑剤の供給時と同じ方向に回転させては、異物を挟み込む方向になるので好ましくない。あくまで、感光体3の回転する方向に、対向して衝突する方向にすることが好ましい。
図8は、感光体を逆方向に動作させ、異物を潤滑剤供給ローラに接触させたときの他の状態を説明する図である。
図8の丸の中に示すように、感光体3の逆方向動作時では、感光体3と潤滑剤均しブレード34に挟まった異物は、逆方向動作によってほとんどが感光体3に付着して移動する。このときに、逆方向動作による移動量が、後述する帯電ローラ11の帯電位置から潤滑剤均し部材34が当接する均し位置までの距離L1より更に大きい場合、つまり、異物が潤滑剤供給ローラ31の感光体3に接触している部分以上に進んだことで、ブラシローラ等の潤滑剤供給ローラ31を、潤滑剤の供給時と同じ方向に回転させることで、感光体3上の異物の、感光体3の動作方向から見て、先端を掻き上げて、払い落とすことができる。図8のように逆方向動作による移動量が後述する距離L1以上となる場合には、潤滑剤供給ローラ31の回転方向によらず異物を払い落とすことが可能となる。
【0027】
図9は、本発明の潤滑剤塗布装置を適用する画像形成装置における移動動作を説明する図である。
感光体3に対して帯電ローラ11及び均しブレード34が当接している部分である。一つの画像形成終了後、帯電ローラ11には図示せぬ電源装置から帯電バイアスが印加され、感光体3に対して帯電ローラ11の帯電位置から潤滑剤均し部材34が当接する均し位置までの距離L1よりも大きく、画像形成時の移動方向であるa方向とは逆方向に移動してから停止するとともに帯電バイアスの印加を停止する。
ことのき、帯電された感光体3表面は、表面の潤滑剤が劣化して摩擦係数が上昇しているため、均しブレード34と感光体3の間に噛み込んだ異物は、上述したように、感光体3表面に付着して均しブレード34の当接位置から取り除くことができる。
ここでいう予め定めた画像形成とは、1枚の記録部材9に画像を形成することでも、連続して複数枚の記録部材9に画像を形成することでも、また、一定の数枚の予め定めた記録部材9に画像を形成することでもよい。したがって、予め定めた画像形成動作の終了後に、これらの動作を行う。
さらに、図9では、クリーニングブレード21及びシール部材23が感光体3に対して当接している部分を示している。ここでは、感光体3に対してクリーニングブレード21とシール部材23が当接している位置との距離L2とすると、L1<L2の関係となるよう各部材を配置することで上述した効果を損なわずにクリーニングブレード21が塞き止めたトナーをシール部材23を超えて露出することがなく、機内汚染を防止することができる。
【0028】
また、本発明の潤滑剤塗布装置を適用する画像形成装置1では、液状の媒体を使い、化学反応を利用して生成したページプリンター用トナーである重合トナーを使用する。従来の粉砕トナーはその粒が大きさや形状がばらばらで、感光ドラムや用紙の上で転写する際の電気特性にばらつきが出やすい等の問題があった。それに比べ重合トナーは大きさがそろっていて、形状も球形に近く粒径も小さいので、現像特性、転写性が向上し高画質が実現できる。
【0029】
トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤によって構成され、摩擦を低減する潤滑剤がトナー表面に外添されるが、その他に、トナーの帯電性を制御する荷電制御剤、定着装置に対する離型性を向上させる離型剤等を含有し、流動性を付与する外添剤を有してもよい。
結着樹脂としては、エステル樹脂、ビニル系樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等からなり、特にビニル系樹脂が好ましく、具体的にはポリスチレン、ポリP−クロルスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単独重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体等を用いることができる。
【0030】
着色剤としては、染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15%、好ましくは3〜10%である。
【0031】
荷電制御剤としては、例えば、サリチル酸化合物、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩化合物、アルキルピリジニウム化合物等を用いることができる。含有量はトナーに対して通常0.1〜5%、好ましくは1〜3%である。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体等のポリオレフィンワックス、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸高級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル等のエステル系ワックス、アミド系ワックス等を用いることができる。含有量はトナーに対して通常0.5〜10%、好ましくは1〜5%である。
【0032】
また、トナーの形状は、円形度が0.92以上あることが好ましい。円形度SR=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長)×100%で定義され、トナーが真球に近いほど100%に近い値となる。従来の画像形成装置において、このようなトナーを使用するとクリーニングブレード等のクリーニング部材の当接で十分掻き取れない場合が発生する。これはトナーが感光体3上で転がりやすくなることに起因する。この場合、対策としてはクリーニングブレードでより強い力で感光体3に当接させることが考えられるが、感光体3の回転もしくは移動精度に影響を与え、バンディングの原因となる。これに対し、塗布手段17とトナーとの双方から感光体3表面に潤滑剤を塗布し、感光体3表面の摩擦係数を低減させることで、転写時における転写率を高めて残留するトナー低減してクリーニングブレードによるクリーニングの負担を減らし、且つ、クリーニングブレードを強い力で当接してもバンディングせずにクリーニングすることが可能となる。
【0033】
この円形度は、乾式粉砕で製造されるトナーでは、熱的又は機械的に球形化処理する。熱的には、例えば、アトマイザーなどに熱気流とともにトナー母体粒子を噴霧することで球形化処理を行うことができる。また、機械的にはボールミル等の混合機に比重の軽いガラス等の混合媒体とともに投入して攪拌することで、球形化処理することができる。ただし、熱的球形化処理では凝集し粒径の大きいトナー母体粒子又は機械的球形化処理では微粉が発生するために再度の分級工程が必要になる。また、水系溶媒中で製造されるトナーでは、溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、形状を制御することができる。
さらに、トナーには、流動性付与剤を添加してもよい。流動性付与剤としては、シリカ、チタニア、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、フェライト、マグネタイト等の金属酸化物の微粒子及びそれら微粒子をシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、ジルコアルミネートで処理した金属酸化物微粒子である。カップリング剤で疎水化処理されたシリカ、チタニアが好ましい。シリカの1次粒子径が小さいことで、流動性を付与する効果が大きい。また、チタニアはトナー帯電量を制御することができる。これらを組み合わせて添加することがさらに好ましい。
また、トナーに外添される潤滑剤の添加量は、0.1〜2.0%の範囲にあることが好ましい。潤滑剤の添加量が0.1%未満では感光体3に供給される量が少なく感光体3の摩擦係数を低下させるのが困難であり、2.0%を越えると感光体3から帯電ローラ14a等に付着して異常画像の原因となることがある。
【0034】
また、トナーの体積平均粒径(Dv)は、小さい方が細線再現性を向上させることができるために、大きくとも8μm以下のトナーを用いる。しかし、粒径が小さくなると現像性、クリーニング性が低下するために、小さくとも3μm以上が好ましい。さらに、3μm未満では、キャリア又は現像ローラ41の表面に現像されにくい微小粒径のトナーが多くなるために、その他のトナーにおけるキャリアまたは現像ローラ41との接触・摩擦が不十分となり逆帯電性トナーが多くなり地かぶり等の異常画像を形成するため好ましくない。
また、体積平均粒径(Dv)と数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)で表される粒径分布は、1.05〜1.40の範囲であることが好ましい。粒径分布をシャープにすることで、トナー帯電量分布が均一にすることができる。Dv/Dnが1.40を越えると、トナーの帯電量分布も広く、逆帯電トナーが多くなるために高品位な画像を得るのが困難になる。Dv/Dnが1.05未満では、製造が困難であり、実用的ではない。トナーの粒径は、コールターカウンターマルチサイザー(コールター社製)を用いて、測定するトナーの粒径に対応させて測定用穴の大きさが50μmのアパーチャーを選択して用い、50,000個の粒子の粒径の平均を測定することで得られる。
【0035】
また、トナーは、円形度のうち形状係数SF−1が100以上180以下の範囲にあり、形状係数SF−2が100以上180以下の範囲にあることが好ましい。図10は、本発明の潤滑剤塗布装置を適用する画像形成装置が用いるトナーの球形度を説明する図であり、(a)は形状係数SF−1、(b)は形状係数SF−2を説明するための図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4)……式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100/4π)……式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
【0036】
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナー又は感光体3との接触が点接触になるために、トナー同士の吸着力が弱くなり、その結果流動性が高くなり、また、トナーと感光体3との吸着力が弱くなって、転写率が高くなり、また、逆帯電トナーT1を一時保持装置40で回収しやすくなる。
トナーの形状係数SF−1とSF−2は100以上がよい。また、SF−1とSF−2が大きくなると逆帯電トナーT1が多くなり、また、トナーの帯電量分布が広くなり、一時保持装置に対する負荷が大きくなる。このために、SF−1は180を越えない方が好ましく、SF−2は180を越えない方が好ましい。
【0037】
さらに、この画像形成装置に用いるトナーは、略球形であってもよい。図11は、本発明の潤滑剤塗布装置を適用する画像形成装置が用いるトナーの形状を説明する図である。ここでは、X軸がトナーの最も長い軸の長軸r1を、Y軸が次に長い軸の短軸r2を、Z軸に最も短い軸の厚さr3を表し、長軸r1≧短軸r2≧厚さr3の関係を有している。
このトナーは、長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5〜1.0で、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7〜1.0で表される略球形の形状を有している。長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5未満では、不定形状に近づくために帯電量分布が広くなる。
厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7未満では、不定形状に近づくために帯電量分布が広くなる。特に、厚さと短軸との比(r3/r2)が1.0では、略球形の形状になるために、帯電量分布が狭くなる。
なお、これまでのトナーの大きさは、走査型電子顕微鏡(SEM)で、視野の角度を変え、その場観察しながら測定した。
トナーの形状は、製造方法により制御することができる。例えば、乾式粉砕法によるトナーは、トナー表面も凸凹で、トナー形状が一定しない不定形になっている。この乾式粉砕法トナーであっても、機械的又は熱的処理を加えることで真球に近いトナーにすることができる。懸濁重合法、乳化重合法により液滴を形成してトナーを製造する方法によるトナーは、表面が滑らかで、真球形に近い形状になることが多い。また、溶媒中の反応途中で攪拌して剪断力を加えることで楕円にすることができる。
【0038】
また、このような略球形の形状のトナーとしては、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤を含むトナー組成物を水系媒体中で樹脂微粒子の存在下で架橋及び/又は伸長反応させるトナーが好ましい。
以下に、トナーの構成材料及び好適な製造方法について説明する。
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコー
ル(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0039】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0040】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。
また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
【0041】
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0042】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0043】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0044】
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
【0045】
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0046】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置100に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。なお、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでもよい。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。したがって、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
なお、ここで、着色剤、帯電制御剤、離型剤、外添剤等は、既述の物質を用いることができる。
【0047】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組み合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0048】
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でもよいし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
【0049】
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0050】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果を挙げることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0051】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0052】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン−アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0053】
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させてもよい。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン、ラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0054】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0055】
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0056】
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0057】
5)上記で得られたトナー母体粒子に、帯電制御剤を打ち込み、次いで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。
外添剤、潤滑剤を添加して現像剤を調製する際には、これらを同時に又は別々に添加して混合してもよい。外添剤等の混合は一般の粉体の混合機が用いられるがジャケット等装備して、内部の温度を調節できることが好ましい。使用できる混合設備の例としては、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられる。混合条件である回転数、転動速度、時間、温度などを変化させて、外添剤の埋め込み、潤滑剤のトナー表面の薄膜形成を防止することが好ましい。
これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状から紡錘形状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
【0058】
本発明のトナーは、磁性キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合、現像剤中のキャリアとトナーとのトナー濃度は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部が好ましい。また、本発明のトナーはキャリアを使用しない一成分系の磁性トナーあるいは、非磁性トナーとしても用いることができる。
【0059】
上記の構成においてフルカラー画像を形成する動作について説明する。
本発明の潤滑剤塗布装置を適用する画像形成装置1は、画像形成動作は、まず、負荷電極性の感光体3に対し、露光装置4のレーザビームにより各感光体3の表面に形成された色毎の静電潜像が形成される。つぎに、現像装置40で、感光体3の帯電極性と同極性(負極性)の所定の色のトナーで現像され、顕像となる反転現像がおこなわれる。このときに、無端状の中間転写ベルト51が、複数のローラ531〜534により支持されて、感光体3Y、3C、3M、3Kの上部に設けられて、各感光体3Y、3C、3M、3Kの現像工程後の一部が接触するように張架、配置されて、矢印方向に走行している。また、中間転写ベルト51には、各感光体3Y、3C、3M、3Kに形成されたトナー画像を1次転写ローラ52Y、52C、52M、52Kで、中間転写ベルト51上に転写され、トナー画像が重ねられて、未定着の画像が形成される。中間転写ベルト51の外周部には、ローラ534に対向する位置にベルトクリーニング装置55が設けられている。このベルトクリーニング装置55は、中間転写ベルト51の表面に残留する不要なトナーや、紙粉などの異物を拭い去る。中間転写ベルト51に関連する部材は、転写装置50として一体的に構成してあり、画像形成装置1に対し着脱が可能となっている。
さらに、中間転写ベルト51の外周で、支持ローラ532の近傍には、2次転写ローラ54が設けてある。中間転写ベルト51と2次転写ローラ54の間に記録部材9を通過させながら、2次転写ローラ54にバイアスを印加することで中間転写ベルト51が担持するトナー画像が記録部材9に転写される。2次転写ローラ54に印加される転写電流の極性は、トナーの極性と逆のプラス極性である。
画像形成装置1の下側には記録部材9を供給可能に収納した給紙カセット61を備える給紙装置60が配備されている。この給紙カセット6から、確実に記録部材9の一枚だけが搬送ローラ62によりレジストローラ63に送られる。更に、転写ローラ54を通過した記録部材9は、搬送方向下流に備えられた定着装置70まで搬送される。定着装置70では、加熱手段を有する定着装置70はローラ内部にヒータを備えるタイプ、加熱されるベルトを走行させるベルト定着装置、また加熱の方式に誘導加熱を採用した定着装置70などが採用できる。定着装置70は、フルカラーとモノクロ画像、あるいは片面か両面かにより定着条件を制御したり、用紙の種類に応じて最適な定着条件となるよう、不図示の制御手段により制御される。
定着後の記録部材9は、排紙ローラ93により、画像形成装置1の胴内に設けた排紙トレイ91に排紙、スタックさせる。
【符号の説明】
【0060】
1 画像形成装置
2 プロセスカートリッジ
201 枠体
3 感光体
4 露光装置
6 画像形成部
9 記録部材
10 帯電装置
11 帯電ローラ
12 帯電ローラクリーナー
20 クリーニング装置
21 クリーニングブレード
22 廃トナー回収ブラシ
23 シール部材
24 回収搬送コイル
25 ブレードホルダ
30 潤滑剤塗布装置
31 潤滑剤供給ローラ
32 固形潤滑剤
33 加圧バネ
34 潤滑剤均しブレード
35 潤滑剤保持部材
36 感光体と潤滑剤潤滑剤均しブレードの接触部
37 撹拌部材
40 現像装置
41 現像ローラ
42 規制部材
43、44 攪拌・搬送スクリュー
45K、45M、45C、45Y トナーカートリッジ
46 廃トナー回収容器
50 転写装置
51 中間転写ベルト
52K、52M、52C、52Y 一次転写手段
531、532、533、534 支持ローラ
54 二次転写手段
55 中間転写ベルトクリーニング装置
59 ユニットケース
60 給紙装置
61 給紙ユニット
62 給紙ローラ
63 レジストローラ
70 定着装置
71 定着ローラ
72 加圧ローラ
90 排紙装置
91 排紙トレイ
92 排紙口
93 排紙ローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【特許文献1】特開2006−251751

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を形成する静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体表面を帯電する帯電装置と、前記静電潜像担持体表面に当接するクリーニング部材を有し、前記クリーニング部材に対して静電潜像担持体表面の移動方向下流に配置され、少なくとも固形潤滑剤と、潤滑剤供給部材と、潤滑剤均し部材を備えている潤滑剤塗布装置において、
前記潤滑剤塗布装置は、
予め定めた画像形成動作の終了後、帯電装置により表面を帯電させながら静電潜像担持体を画像形成動作時とは逆方向に、少なくとも帯電装置による帯電位置から潤滑剤均し部材が当接する均し位置まで静電潜像担持体を移動させる
ことを特徴とする潤滑剤塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の潤滑剤塗布装置において、
前記均し部材が、静電潜像担持体に対してトレーリング当接した板状であり、且つ静電潜像担持体に対して面接触である
ことを特徴とする潤滑剤塗布装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の潤滑剤塗布装置において、
前記クリーニング部材よりも画像形成時の静電潜像担持体移動方向上流側にシール部材を設け、帯電位置から均し位置までの距離が、クリーニング部材が静電潜像担持体に当接するクリーニング位置からシール部材が当接するシール位置までの距離よりも小さく、
予め定めた画像形成動作の終了後、帯電装置により表面を帯電させながら静電潜像担持体を画像形成時とは逆方向に、帯電位置から均し位置までの距離よりも大きく、且つクリーニング位置からシール位置までの距離よりも小さい距離だけ静電潜像担持体を移動させる
ことを特徴とする潤滑剤塗布装置。
【請求項4】
静電潜像を形成する静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体表面を帯電する帯電装置と、前記静電潜像担持体表面に当接するクリーニング部材を備えたクリーニング装置と、前記クリーニング部材に対して静電潜像担持体表面の移動方向下流に配置され、少なくとも固形潤滑剤と、潤滑剤供給部材と、潤滑剤均し部材を備えている潤滑剤塗布装置とを備える画像形成装置において、
前記画像形成装置は、
予め定めた画像形成動作の終了後、帯電装置により表面を帯電させながら静電潜像担持体を画像形成動作時とは逆方向に、少なくとも帯電装置による帯電位置から潤滑剤均し部材が当接する均し位置まで静電潜像担持体を移動させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記均し部材が、静電潜像担持体に対してトレーリング当接した板状であり、且つ静電潜像担持体に対して面接触である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の画像形成装置において、
前記クリーニング装置が、クリーニング部材よりも画像形成時の静電潜像担持体移動方向上流側にシール部材を設け、帯電位置から均し位置までの距離が、クリーニング部材が静電潜像担持体に当接するクリーニング位置からシール部材が当接するシール位置までの距離よりも小さく、
予め定めた画像形成動作の終了後、帯電装置により表面を帯電させながら静電潜像担持体を画像形成時とは逆方向に、帯電位置から均し位置までの距離よりも大きく、且つクリーニング位置からシール位置までの距離よりも小さい距離だけ静電潜像担持体を移動させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置が、少なくとも静電潜像担持体を有するプロセスカートリッジを着脱可能に配置している
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項4乃至7のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記現像手段で用いられるトナーは、体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にある
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項4乃至8のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記現像手段で用いられるトナーは、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にある
ことを特徴とする画像形成装置置。
【請求項10】
請求項4乃至9のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記現像手段で用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−145663(P2012−145663A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2654(P2011−2654)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】