説明

潤滑剤組成物

【課題】増稠剤として適当な添加割合で粉末状フッ素樹脂をフッ素油に添加した潤滑剤組成物であって、防錆性にすぐれかつ熱履歴を受けた後の防錆性も良好なものを提供する。
【解決手段】フッ素油、粉末状フッ素樹脂増稠剤および防錆性添加剤としての芳香族スルホン酸または飽和脂肪族ジカルボン酸のCa塩またはNa塩を含有してなり、これらの合計量中増稠剤が10〜40重量%を、また添加剤が0.3〜10重量%を占め、残りがフッ素油で構成される潤滑剤組成物。フッ素油としては、一般にパーフルオロポリエーテル油が用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑剤組成物に関する。さらに詳しくは、防錆性にすぐれかつ熱履歴を受けた後の防錆性も良好な潤滑剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
グリース等の潤滑剤は、自動車、建設機械、産業機械、工作機械等の各種機械およびそれらを構成する各種部品の潤滑に広く使用されている。また、これらの機械の使用個所によっては水が侵入してくる可能性があり、防錆性に対する要求は益々強くなってきている。さらに、高速化、小型化、高性能化、軽量化などに伴い、これら周辺機器の使用温度は益々上昇する傾向にあるため、熱履歴を受けた後の防錆性も求められることになる。
【0003】
これ迄、防錆性改善のためにいくつかの添加剤が検討されている。シリコーン油系またはふっ素油系潤滑油を基油とするグリース組成物にマグネシウム化合物および気化性防錆剤を必須成分とする防錆剤を配合した転がり軸受用グリース組成物が提案されており、気化性防錆剤としてはベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール等のトリアゾール系化合物やジシクロヘキシルアンモニウムナイトライトが好ましいとされている。
【特許文献1】特開平9−59664号公報
【0004】
この転がり軸受用グリース組成物は、高温での耐久性に加えて、錆止め性能にもすぐれているとされているが、気化性防錆剤が防錆剤の一成分として用いられているため、高温下での長期間の防錆性は不十分であり、また酸化マグネシウム等のアルカリ成分については、環境への影響を考慮しなければならない。
【0005】
また、フルオロシリコーンオイル、フッ素樹脂系増稠剤およびアルキルスルフォン散Ca等の添加剤よりなり、他の公知の増稠剤、例えばステアリン酸Ca等を添加し得る耐熱性グリース組成物も提案されており、耐熱性にすぐれかつこの耐熱性が長期的に安定であることが、蒸発テストやエンジンテストによって示されているが、防錆性、特に耐熱試験後の防錆性については何らの言及もない。
【特許文献2】特開平8−143883号公報
【0006】
本出願人は先に、パーフルオロポリエーテル基油に増稠剤としての脂肪族ジカルボン酸金属塩を添加した潤滑グリース組成物を提案しており、この組成物中にはさらに粉末状のフッ素樹脂を添加してもよいとされていて、相手材に対する耐摩耗性、耐漏洩性、洗浄性などの改善が達成されるとしている。
【特許文献3】特開2001−354986号公報
【0007】
この潤滑グリース組成物において、増稠剤として用いられる脂肪族ジカルボン酸金属塩の添加割合は、組成物中約1〜50重量%、好ましくは3〜35重量%とされており、これらの増稠剤とパーフルオロポリエーテル油との2成分よりなる潤滑グリース組成物についての実施例1〜14においても、このような好ましい添加割合の増稠剤が用いられている。
【0008】
一方、さらに添加し得る成分である粉末状のフッ素樹脂については、その添加割合は組成物中約50重量%以下、好ましくは約3〜35重量%であるとされているが、これら3成分よりなる潤滑グリース組成物についての実施例15〜17では、粉末状のフッ素樹脂の添加割合が5重量%に対し、増稠剤である脂肪族ジカルボン酸金属塩の添加割合が15〜25重量%となっており、このような結果からも分るように、増稠剤としての脂肪族ジカルボン酸金属塩の添加割合を増すと、粉末状フッ素樹脂の添加割合を高めることができなくなってしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、増稠剤として適当な添加割合で粉末状フッ素樹脂をフッ素油に添加した潤滑剤組成物であって、防錆性にすぐれかつ熱履歴を受けた後の防錆性も良好なものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる本発明の目的は、フッ素油、粉末状フッ素樹脂増稠剤および防錆性添加剤としての芳香族スルホン酸または飽和脂肪族ジカルボン酸のCa塩またはNa塩を含有してなり、これらの合計量中増稠剤が10〜40重量%を、また添加剤が0.3〜10重量%を占め、残りがフッ素油で構成される潤滑剤組成物によって達成される。フッ素油としては、一般にパーフルオロポリエーテル油が用いられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る潤滑剤組成物は、防錆性にすぐれかつ熱履歴を受けた後の防錆性も良好なので、特に屋外で使用される機械や部品の潤滑に広く使用することができる。具体的には、例えば自動車の電動ファンモータ、燃料噴射装置、オルタネータ等で代表される自動車用補機であって、防錆性、耐熱性、低温特性、耐荷重性などが要求される軸受の潤滑などに有効に使用される。この他、転がり軸受、すべり軸受、焼結軸受、ギャ、バルブ、コック、オイルシール、ロール、電気接点等の摺動部など、固体間接触部の潤滑目的にも使用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
基油として用いられるフッ素油としては、一般にパーフルオロポリエーテル油が用いられる。かかるパーフルオロポリエーテルとしては、一般式
RfO(CF2O)x(C2F4O)y(C3F6O)zRf
で表わされるものが用いられる。具体的には、例えば下記一般式(1)〜(3)で表わされるようなものが用いられ、この他一般式(4)で表わされるようなものも用いられる。なお、Rfはパーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基等の炭素数1〜5、好ましくは1〜3のパーフルオロ低級アルキル基である。
(1) RfO(CF2CF2O)m(CF2O)nRf
ここで、m+n=3〜200、m:n=10〜90:90〜10であり、またCF2CF2O基およびCF2O基は主鎖中にランダムに結合しているものであり、テトラフルオロエチレンの光酸化重合で生成した先駆体を完全にフッ素化することによって得られる。
(2) RfO[CF(CF3)CF2O]p(CF2CF2O)q(CF2O)rRf
ここで、p+q+r=3〜200でqおよびrは0であり得、(q+r)/p=0〜2:1であり、またCF(CF3)CF2O基、CF2CF2O基およびCF2O基は主鎖中にランダムに結合しているものであり、ヘキサフルオロプロペンおよびテトラフルオロエチレンの光酸化重合で生成した先駆体を完全にフッ素化することにより得られる。
(3) RfO[CF(CF3)CF2O]s(CF2CF2O)tRf
ここで、s+t=2〜200でtは0であり得、t/s=0〜2:1であり、またCF(CF3)CF2O基およびCF2CF2O基は主鎖中にランダムに結合しているものであり、ヘキサフルオロプロペンおよびテトラフルオロエチレンの光酸化重合で生成した先駆体を完全にフッ素化することにより、あるいはフッ化セシウム触媒の存在下にヘキサフルオロプロピレンオキサイドまたはテトラフルオロエチレンオキサイドをアニオン重合させ、得られた末端-CF(CF3)COF基を有する酸フロライド化合物をフッ素ガスで処理することによって得られる。
(4) F(CF2CF2CF2O)2〜100C2F5
これは、フッ化セシウム触媒の存在下に2,2,3,3-テトラフルオロオキセタンをアニオン重合させ、得られた含フッ素ポリエーテル(CH2CF2CF2O)nを紫外線照射下に約160〜300℃でフッ素ガスで処理することによって得られる。
【0013】
これらのパーフルオロポリエーテル基油は、単独であるいは混合して用いることができるが、潤滑油として用いる場合には、その粘度(40℃)が約5〜2000mm2/秒、好ましくは約10〜1500mm2/秒であることが望ましい。粘度がこれ以下のものは蒸発量が多く、耐熱用のグリースとしてJIS転がり軸受用グリース3種で規定されている蒸発量1.5%以下という条件を満さなくなり、一方これ以上の粘度を有するものは、流動点(JIS K-2283準拠)が10℃以上となり、通常の方法では低温時にベアリング、ギャ、チェーン等が起動せず、それを使用可能とするには加熱する必要があり、一般的なグリースとしては使用適格を欠くようになる。
【0014】
増稠剤としてのフッ素樹脂としては、従来から潤滑剤として用いられているポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロペン共重合体〔FEP〕、パーフルオロアルキレン樹脂等が用いられる。ポリテトラフルオロエチレンは、テトラフルオロエチレンの乳化重合、けん濁重合、溶液重合などの方法によってポリテトラフルオロエチレンを製造し、それを熱分解、電子線照射分解、物理的粉砕などの方法によって処理して、数平均分子量Mnを約1000〜1000000から約1000〜500000程度に低下させたものが用いられる。また、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロペンとの共重合反応および低分子量化処理も、ポリテトラフルオロエチレンの場合と同様にして行われ、数平均分子量を約1000〜600000程度としたものが用いられる。特に、本発明で好適に使用される融点が300℃以上のPTFEを得るためには、Mnが約10000以上であることが望ましい。なお、分子量の制御は、共重合反応時に連鎖移動剤を用いても行うことができる。得られた粉末状のフッ素樹脂の内、一般に約500μm以下、好ましくは約0.1〜30μmの平均一次粒径を有するものが用いられる。
【0015】
これらの粉末状フッ素樹脂は、基油、防錆性添加剤との合計量中10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%の割合で添加されて用いられる。フッ素樹脂増稠剤がこれ以上の割合で用いられると、組成物が硬くなりすぎるようになり、一方これ以下の割合で用いられると、フッ素樹脂等の増稠能力が発揮されず、離油の悪化を招き、耐飛散・漏洩性の向上が十分期待できなくなる。
【0016】
また、これらの粉末状フッ素樹脂と共に他の増稠剤を併用することもでき、かかる増稠剤としては、Li石けん等の金属石けん、ウレア樹脂、ベントナイト、シリカ、粘土、グラファイト、カーボン、酸化亜鉛等の鉱物、有機顔料、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドも使用できるが、耐熱性、潤滑性の面から考えると、好ましくはモノアミドモノカルボン酸金属塩、モノエステルカルボン酸金属塩、ジウレア、トリウレア、テトラウレアなどが用いられる。これらの他の増稠剤も、融点が300℃以上のものが好んで用いられる。
【0017】
防錆性添加剤として使用される芳香族スルホン酸塩としては、石油スルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、ジアルキルナフタレンスルホン酸等のCa塩またはNa塩が用いられる。これらの芳香族環を有するスルホン酸塩は、耐熱性と防錆性とにすぐれている。
【0018】
また、飽和脂肪族ジカルボン酸としては、例えばしゅう酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナメチレンジカルボン酸、デカメチレンジカルボン酸、ウンデカメチレンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸、トリデカメチレンジカルボン酸、テトラデカメチレンジカルボン酸、ペンタデカメチレンジカルボン酸、ヘキサデカメチレンジカルボン酸、ヘプタデカメチレンジカルボン酸、オクタデカメチレンジカルボン酸等のCa塩またはNa塩が用いられ、好ましくは特に防錆性の点ですぐれている脂肪族基の炭素数が6〜12のものが用いられる。
【0019】
これらの防錆性添加剤は、基油、粉末状フッ素樹脂増稠剤との合計量中0.3〜10重量%、好ましくは0.3〜5重量%の割合で用いられる。添加割合がこれ以下では、目的とする防錆効果が得られず、一方これ以上の割合で添加して用いられると、増稠剤の所望量を添加できなくなり、増稠効果が期待できなくなる。
【0020】
なお、これらの芳香族スルホン酸や飽和脂肪族ジカルボン酸でも、アミン塩は耐熱性が不十分であり、またBa塩、Zn塩は防錆性、耐熱性の点では満足できる性能を有してはいるが、近年の環境問題の点からラベル表示が必要となる。
【0021】
潤滑剤組成物中には、さらに従来潤滑剤に添加されている酸化防止剤、他の防錆剤、腐食防止剤、極圧剤、油性剤、固体潤滑剤等のその他の添加剤を必要に応じて添加することができる。酸化防止剤としては、例えば2,6-ジ第3ブチル-4-メチルフェノール、4,4′-メチレンビス(2,6-ジ第3ブチルフェノール)等のフェノール系の酸化防止剤、アルキルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニル-α-ナフチルアミン、フェノチアジン、アルキル化フェニル-α-ナフチルアミン、フェニチアジン、アルキル化フェニチアジン等のアミン系の酸化防止剤などが挙げられる。
【0022】
他の防錆剤としては、例えば脂肪酸、脂肪酸アミン、アルキルスルホン酸金属塩、アルキルスルホン酸アミン塩、酸化パラフィン、ポリオキシアルキルエーテル等が挙げられ、また腐食防止剤としては、例えばベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、チアジアゾール等が挙げられる。
【0023】
極圧剤としては、例えばリン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩等のリン系化合物、スルフィド類、ジスルフィド類等のイオウ系化合物、ジアルキルジチオリン酸金属塩、ジアルキルジチオカルバミン酸金属塩等のイオウ系化合物金属塩などが挙げられる。
【0024】
油性剤としては、例えば脂肪酸またはそのエステル、高級アルコール、多価アルコールまたはそのエステル、脂肪族アミン、脂肪酸モノグリセライド等が挙げられる。また、他の固体潤滑剤としては、例えば二硫化モリブデン、グラファイト、窒化ホウ素、窒化シラン等が挙げられる。
【0025】
組成物の調製は、潤滑油組成物にあっては、パーフルオロポリエーテル基油に含フッ素ポリエーテルジホスホン酸エステルを添加し、攪拌するだけで容易に行われ、またグリース組成物にあっては、(a)パーフルオロポリエーテル基油に予め合成された含フッ素ポリエーテルジホスホン酸エステル、増稠剤および他の必要な添加剤を所定量添加し、3本ロールまたは高圧ホモジナイザで十分に混練する方法、あるいは(b)加熱攪拌が可能な反応釜に、パーフルオロポリエーテル基油と脂肪族カルボン酸を加えて加熱し、そこに金属水酸化物(およびアミンまたはアルコール)を所定量添加して金属塩化反応(およびアミド化反応またはエステル化反応)させ冷却した後、含フッ素ポリエーテルジホスホン酸エステルを添加し、3本ロールまたは高圧ホモジナイザで十分に混練する方法等によって行われる。
【実施例】
【0026】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0027】
実施例1〜25、比較例1〜7
下記基油、増稠剤および防錆性添加剤を、攪拌するだけで容易に混合することができ、これによって潤滑剤組成物を調製した。
〔基油〕
A-1:RfO(CF2CF2O)m(CF2O)nRf 粘度(40℃) 85mm2/秒
A-2:RfO(CF2CF2O)m(CF2O)nRf 粘度(40℃)150mm2/秒
A-3:RfO[CF(CF3)CF2O]pRf 粘度(40℃)390mm2/秒
A-4:RfO[CF(CF3)CF2O]p(CF2C)rRf 粘度(40℃)230mm2/秒
A-5:F(CF2CF2CF2O)2〜100C2F5 粘度(40℃)200mm2/秒
〔増稠剤〕
B-1:乳化重合法PTFE(分子量10〜20万、融点330℃、平均一次粒子径0.2μm)
B-2:けん濁重合法PTFE(分子量1〜10万、融点318℃、平均一次粒子径5μm)
B-3:溶液重合法FEP(分子量5〜15万、融点256℃、平均一次粒子径0.2μm)
〔防錆性添加剤〕
C-1:ジノニルナフタレンスルホン酸Ca
C-2:石油スルホン酸Na
C-3:セバシン酸Na
C-4:PfO[CF(CF3)CF2O]nCF(CF3)COOH
C-5:ベンゾトリアゾール
C-6:ジノニルナフタレンスルホン酸オクチルアミン塩
【0028】
得られた潤滑剤組成物について、エムコー試験(腐食度)が行われた。この試験は、下記の如き通常条件の他に、グリース封入後の試験軸受を180℃で500時間加熱した後に同様の試験を行い、熱履歴を受けた後の腐食度の比較も行った。
<DIN 51802によるエムコー試験(腐食度)>
1306K軸受にグリースを10ml封入し、エムコー試験機に取り付け、回転数:80rpm、回 転サイクル:8時間回転→16時間停止→8時間回転→16時間停止→8時間回転→108時間 停止=合計164時間のサイクル条件下で試験を行い、軸受外輪軌道面の腐食状態を下 記基準に従って評価する
なお、本試験には、蒸留水を使用した
腐食度 外観 評価基準
0 腐食なし 無変化
1 腐食の跡 1mm以下の腐食点3つまで
2 弱い腐食 腐食度1以上で腐食部分表面の1%以内
3 腐食 1%以上5%以内の腐食
4 強い腐食 5%以上10%以内の腐食
5 非常に強い腐食 表面10%以上の腐食
得られた結果は、潤滑剤組成物の組成と共に、次の表に示される。

エムコー試験
基油 増稠剤 防錆性添加剤 通常 加熱後
種類 重量% 種類 重量% 種類 重量% 腐食度 腐食度
実施例1 A−1 74.2 B−1 24 C−1 1.8 0 0
〃 2 〃 74 〃 〃 C−2 2.0 0 1
〃 3 〃 72.6 〃 〃 C−3 3.4 0 0
〃 4 〃 67.2 B−2 31 C−1 1.8 0 0
〃 5 〃 67 〃 〃 C−2 2.0 0 1
〃 6 〃 65.6 〃 〃 C−3 3.4 0 0
〃 7 〃 77.2 B−3 21 C−1 1.8 0 0
〃 8 〃 77 〃 〃 C−2 2.0 0 1
〃 9 〃 75.6 〃 〃 C−3 3.4 0 0
〃 10 A−2 74.2 B−1 24 C−1 1.8 0 0
〃 11 〃 74 〃 〃 C−2 2.0 0 1
〃 12 〃 72.6 〃 〃 C−3 3.4 0 0
〃 13 〃 67.2 B−2 31 C−1 1.8 0 0
〃 14 〃 67 〃 〃 C−2 2.0 0 1
〃 15 〃 65.6 〃 〃 C−3 3.4 0 0
〃 16 A−3 74.2 B−1 24 C−1 1.8 0 0
〃 17 〃 74 〃 〃 C−2 2.0 0 0
〃 18 〃 67.2 B−2 31 C−1 1.8 0 0
〃 19 〃 67 〃 〃 C−2 2.0 0 0
〃 20 A−4 74.2 B−1 24 C−1 1.8 0 0
〃 21 〃 74 〃 〃 C−2 2.0 0 0
〃 22 〃 72.6 〃 〃 C−3 3.4 0 0
〃 23 A−5 74.2 〃 〃 C−1 1.8 0 0
〃 24 〃 74 〃 〃 C−2 2.0 0 0
〃 25 〃 72.6 〃 〃 C−3 3.4 0 0
比較例1 A−1 73 〃 〃 C−4 3.0 4 5
〃 2 〃 75 〃 〃 C−5 1.0 2 5
〃 3 〃 74 〃 〃 C−6 2.0 0 5
〃 4 A−2 73 〃 〃 C−4 3.0 4 5
〃 5 〃 75 〃 〃 C−5 1.0 2 5
〃 6 〃 74 〃 〃 C−6 2.0 0 4
〃 7 A−1 61 〃 〃 C−3 15 − −
【0029】
なお、比較例7の潤滑剤組成物は、稠度番号(JIS K2220 7)が4号と試験を行うことができない程硬くなりすぎ、グリースとして実用に供することができない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素油、粉末状フッ素樹脂増稠剤および防錆性添加剤としての芳香族スルホン酸または飽和脂肪族ジカルボン酸のCa塩またはNa塩を含有してなり、これらの合計量中増稠剤が10〜40重量%を、また添加剤が0.3〜10重量%を占め、残りがフッ素油で構成される潤滑剤組成物。
【請求項2】
フッ素油が、一般式
PfO(CF2O)x(C2F4O)y(C3F6O)zRf′ 〔I〕
(ここで、RfおよびRf′は同一または互いに異なる炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であり、x+y+z=3〜200でxおよびYは0であり得る)で表わされるパーフルオロポリエーテルまたは一般式
F(CF2CF2CF2O)nC2F5 〔II〕
(ここで、nは2〜100の整数である)で表わされるパーフルオロポリエーテルである請求項1記載の潤滑剤組成物。
【請求項3】
一般式〔I〕で表わされるパーフルオロポリエーテルが、次の各一般式で表わされるパーフルオロポリエーテル
(1) RfO(CF2CF2O)m(CF2O)nRf
(ここで、m+n=3〜200、m:n=10〜90:90〜10であり、またCF2CF2O基およびCF2O基は主鎖中にランダムに結合している)
(2) RfO[CF(CF3)CF2O]p(CF2CF2O)q(CF2O)rRf
(ここで、p+q+r=3〜200でqおよびrは0であり得、(q+r)/p=0〜2:1であり、またCF(CF3)CF2O基、CF2CF2O基およびCF2O基は主鎖中にランダムに結合している)
(3) RfO[CF(CF3)CF2O]s(CF2CF2O)tRf
(ここで、s+t=2〜200でtは0であり得、t/s=0〜2:1であり、またCF(CF3)CF2O基およびCF2CF2O基は主鎖中にランダムに結合している)
の少くとも一種である請求項2記載の潤滑剤組成物。
【請求項4】
さらに他の増稠剤が添加された請求項1、2または3記載の潤滑剤組成物。
【請求項5】
グリースとして用いられる請求項1、2、3または4記載の潤滑剤組成物。

【公開番号】特開2006−241386(P2006−241386A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−61811(P2005−61811)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000102670)NOKクリューバー株式会社 (36)
【Fターム(参考)】