説明

潤滑剤組成物

エステル基油と非常に少量の添加剤ブレンドとを含む潤滑油組成物を用いて駆動する場合、圧縮機、油圧装置またはタービンなどの機械を、増大したエネルギー効率で操作することができる、ここで、上記の添加剤ブレンドは、(a)ジチオホスフェートおよび(b)アルキル化ホスホロチオネートから選択される少なくとも2種の異なる添加剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑剤、作動油またはタービン油として有用な組成物に関し、詳細には、圧縮機を潤滑にするための組成物に関する。本発明の組成物を用いることによって、上記の組成物を入れて機械を動かすと、エネルギー消費量を減らすことができる。
【0002】
エネルギーの節約は、あらゆる産業用途および工業用途において常に必要である。エネルギーを消費する主な原因は摩擦であり、機械の固体部分が動きながら接触する場合、常に摩擦が生じる。金属部分が回転し摩擦を避けたい多くの機械において、この摩擦を低減し、上記の摩擦力に打ち勝つために使用されるエネルギーを減らすために、潤滑剤が使用される。機械において摩擦が減ると、明らかに、エネルギー消費も減る。本発明は、特に、摩擦力を低減し、それによってエネルギー消費も減らすような潤滑剤の改良に関する。
【背景技術】
【0003】
回転する固体部分を備える典型的な機械は、圧縮機である。圧縮機は広く知られており、さまざまな種類の圧縮機が当該技術分野で知られている。圧縮機の典型的な仕事は、気体、特に空気を運ぶことである。
【0004】
これに関し、ねじ圧縮機や遠心式圧縮機が使用されるが、詳細には、この種の用途には回転式ねじ駆動圧縮機が好ましい。ねじ駆動圧縮機は、回転式圧縮機であり、穴と、軸受と、低圧注入口を有する低圧端と、高圧出口を有する高圧端とを備える筺体が備わっている。ローターは、穴の中に、軸受によって回転可能に取り付けられており、変動する軸方向の推力を受ける末端面を有している。この種の圧縮機はよく知られており、ほとんどは、圧縮気体、主に空気を運ぶために使用される。ねじ圧縮機は、30barまでの圧力を発生させ、それにより、中間領域で、20barまでの圧力が作られ得る。
【0005】
ねじ圧縮機に入っている油の機能は、圧縮熱を放出し、ローターを密閉し、移動する部品を潤滑にし、腐食しないように保護するという主な需要に基づく。給油式ねじ圧縮機のための空気圧縮機用油は、一般的な標準品として鉱物油に由来している。意欲的な用途におけるより効率のよい油は、基油としてポリアルファオレフィン(PAO)に由来している。部分エステルに由来する配合物も、上の用途で記載されている。国際公開第99/10455号には、回転式ねじ圧縮機の潤滑剤/冷却剤として、異なるポリオールエステルの混合物が記載されている。米国特許第4,175,045号には、同じ目的のための、4〜13個のC原子を有するカルボン酸エステルを有するポリオールから得られるエステルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第99/10455号パンフレット
【特許文献2】米国特許第4,175,045号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
高温、高圧、酸素に接する所与の条件下での耐用年数を延ばすために、あらゆる種類の基油を酸化および劣化のプロセスから守ることが必要である。これには、既知のフェノール系酸化防止剤およびアミン系酸化防止剤や、他のラジカル捕捉剤が含まれる。既知の腐食防止添加剤は、腐食を防ぐ。一般的な製品の空気放出は、仕様が10分未満になっており、通常は、3分未満、またはそれよりも短い。産業用途で圧縮空気を作り出すには、主に、ねじ圧縮機が用いられている。通常、絶え間なく圧縮空気を提供する必要があるために、エネルギー消費のために、高価な維持管理となる。したがって、本発明の目的の1つは、この種の圧縮機のエネルギー効率を高めることであり、エネルギー効率を高めるとは、一定のエネルギー量で圧縮可能な気体の量を増やすこと、または、一定量の気体を圧縮するのに必要なエネルギー量を小さくすることを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添加剤から選択された特定の添加剤を含む潤滑剤組成物が、特定の少量で、この問題を解決することがわかった。
【0009】
本発明の第1の態様は、(A)モノアルコール、ジアルコールおよび/またはポリアルコールとモノカルボン酸および/またはジカルボン酸との反応から誘導されるカルボン酸エステルと、(B)少なくとも2種の異なる添加剤(a)および(b)を共に含む添加剤ブレンドとを含み、ここで、化合物(a)は、ジチオホスフェートから選択され、化合物(b)は、アルキル化ホスホロチオネートから選択される組成物の、潤滑剤、作動油またはタービン油としての使用であって、添加剤ブレンド(B)の合計量が組成物全体の重量に基づいて算出して0.1重量%以下であることを特徴とする使用に関する。
【0010】
本発明の主旨は、特定の添加剤ブレンドを選択することにより、通常ではあり得ない少量で使用する場合のみならず、潤滑剤、作動油、タービン油の、特に圧縮機内で操作される潤滑剤のエネルギー効率が高められるという驚くべき発見である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の組成物は、(A)エステル系ベース流体と(B)上に定義した添加剤ブレンドの2種の必須化合物を含み、但し、(B)は、組成物の合計重量に基づいて0.1重量%未満の量で存在する。本発明を実施するには、添加剤ブレンド(B)が、少なくとも2種の異なる成分(a)および(b)を共に含むことが必須である。
【0012】
添加剤を使用することは当該技術分野でよく知られているが、驚くべきことに、このような添加剤が非常に少量であっても、組成物の特性に有益な影響を及ぼすことがわかった。添加剤パッケージ自体の使用は当業者に既知であり、例えば、欧州特許出願公開第1529830号または欧州特許出願公開第1734103号には、添加剤パッケージの入った潤滑油も記載されている。後者の欧州特許出願公開第1734103号には、比較的少量の添加剤が、操作条件で潤滑剤のエネルギー効率を高め得るという本発明の教示内容は開示されていない。さらに、欧州特許出願公開第1734103号には、必須の添加剤として、本件の請求項1のいわゆる成分(C-1)および/または成分(C-2)から選択されるものを次のように開示している。
成分(C-1):以下の式(1)〜(3)によって表される少なくとも1種の化合物:R1-CO-NR2-(CH2)n-COOX1(1)〔式中、R1は、炭素原子を6〜30個含むアルキル基、または炭素原子を6〜30個含むアルケニル基であり、R2は、炭素原子を1〜4個含むアルキル基であり、X1は、水素、炭素原子を1〜30個含むアルキル基、または炭素原子を1〜30個含むアルケニル基であり、nは、1〜4の整数である〕、[R1-CO-NR2-(CH2)n-COO]mY1(2)〔式中、R1は、炭素原子を6〜30個含むアルキル基、または炭素原子を6〜30個含むアルケニル基であり、R2は、炭素原子を1〜4個含むアルキル基であり、Y1は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、nは、1〜4の整数であり、Y1がアルカリ金属である場合、mは1であり、Y1がアルカリ土類金属である場合、mは2である〕、[R1-CO-NR2-(CH2)n-COO]m-Z-(OH)m(3)〔式中、R1は、炭素原子を6〜30個含むアルキル基、または炭素原子を6〜30個含むアルケニル基であり、R2は、炭素原子を1〜4個含むアルキル基であり、Zは、2以上の価数をもつ多価アルコールからヒドロキシル基をのぞいた残基であり、mは、1以上の整数であり、m'は0以上の整数であり、m+m'は、Zの価数であり、nは、1〜4の整数である〕、
成分(C-2):以下の式(4):R3-CH2COOH(4)〔式中、R3は、炭素原子を7〜29個含むアルキル基、炭素原子を7〜29個含むアルケニル基である〕、または式(5):R4-C6H4O-(5)〔式中、R4は、炭素原子を1〜20個含むアルキル基であるか、または水素である〕で表される化合物。
上に記載した成分C-1および/またはC-2の記載の範囲内に入る成分を併用することは好ましくなく、除外することができる。特に、N−オレイルサルコシンの併用および/またはノニルフェノキシアセテートの併用は、有益ではなく、これら特定の成分の使用は、好ましくは本発明の範囲外であり、そのため、除外することができる。
【0013】
この組成物は、潤滑剤として有用であるが、作動油またはタービン油として有益に使用することもできる。しかし、潤滑剤としての使用が、本発明の主な用途である。
【0014】
〔エステル〕
潤滑剤、作動油またはタービン油用の基油として、あらゆる種類のエステルが一般的に知られている。本発明の組成物の化合物(A)は、既知のカルボン酸エステルであるか、または天然源から誘導してもよい。
【0015】
これらエステルは、既知のあらゆる調製法によって入手可能であり、好ましくは、酸とアルコールとの反応から得ることができる。アルコールは、それぞれ、有機モノアルコール、ジオールまたはポリオールである。酸部分は、有機一塩基酸または二塩基酸から選択される。「有機」とは、アルコールおよび酸が炭素原子を含むことを意味する。しかし、炭酸塩は「有機」化合物の定義には入らない。
【0016】
エステルを調製するのに適した酸は、一方では一般式R'-COOZのモノカルボン酸であり、R'は、炭素原子を1〜30個含む直鎖状、分枝状、環状、芳香族または飽和または不飽和の部分である。この種の好ましい酸は、飽和または分枝状の酸であり、特に、炭素原子を6〜22個含む酸である。本発明の技術的教示にしたがって、この種の酸のあらゆるブレンドを使用し、エステルを調製することができる。
【0017】
好ましい態様は、二塩基性カルボン酸の使用に関する。また、酸部分は、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和、環状または芳香族の二塩基酸から選択される。これらエステルのさまざまな種類のブレンドも有利に使用することができる。典型的な飽和ジカルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸である。不飽和ジカルボン酸は、例えばフマル酸およびマレイン酸、イタコン酸およびムコン酸である。芳香族酸の例は、フタル酸およびテレフタル酸である。本発明の教示にしたがって、上記のようなあらゆる種類の酸のブレンドを用いることによってエステルを調製することもできる。
【0018】
しかし、好ましい二塩基酸は、炭素原子を合計で6〜10個含む酸、例えば、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、ノナン二酸(アゼライン酸)であり、最も好ましくは、デカン二酸(セバシン酸)である。これらの酸は既知であり、酸触媒反応または塩基触媒反応によって完全にエステル化するか、または部分的にエステル化する方法も既知である。
【0019】
本発明の好ましい二酸は、完全にエステル化されていても部分的にエステル化されていてもよく、または、組成物は、両方の種類のエステルを任意の重量比で含む。完全にエステル化された酸(=ジエステル)を適宜使用することが好ましい。しかし、反応条件によっては、少量のモノエステルが存在していてもよく、少量のエステル化されていない酸が存在していてもよい。本教示における少量とは、15重量%以下、好ましくは10重量%以下、または5重量%以下の値である。1.0重量%以下または0.1重量%以下のようなより少量が最も好ましい。しかし、ジエステルのみを使用することも好ましく、モノエステルの量や、遊離酸の量を可能な限り少なく制限することも好ましい。
【0020】
エステルのアルコール部分は、モノアルコール、ジアルコールまたはポリアルコールから広く選択される。アルコールは、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和、環状または芳香族のアルコールであってもよい。
【0021】
アルキルアルコールは、好ましい態様では、炭素原子を1〜31個含む、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和アルキルモノアルコール、炭素原子を2〜25個含むジオールまたはポリオールからなる群から選択される。直鎖状モノアルコールは、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ヘンエイコサノール、ドコサノール、トリコサノール、テトラコサノール、ペンタコサノール、ヘキサコサノール、ヘプタコサノール、オクタコサノール、ノナコサノール、トリコンタノールまたはヘントリアコンタゾールである。これらのアルコールにおいて、OH-官能基は、「1」位にあるが、その全ての異性体も適している。上記アルコールのあらゆる種類の分枝状異性体についても、同じことがあてはまる。好ましい分枝状アルコールは、いわゆるゲルベアルコールである。不飽和モノアルコールは、例えば、オレイルアルコール、リノールアルコール、9Z-および9E-オクタデカ-9-エン-1-オール、(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエン-1-オール、(9Z)-エイコサ-9-エン-1-オール、または13E-または13Z-ドコセン-1-オールである。
【0022】
さらに、ジオール、好ましくはグリコール(そのオリゴマーまたはポリマーを含む)は、本発明のエステルを調製するのに適したアルコールである。エチレングリコールまたはジエチレングリコールまたはそのオリゴマー、プロパンジオールおよびブタンジオールも好ましい選択肢である。ポリオールも適切なアルコール成分である。好ましい例は、グリセロール、オリゴグリセロールまたはポリグリセロール、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトール、ならびにそのオリゴマーまたはポリマーである。本発明の教示にしたがって、上記のようなあらゆる種類の酸のブレンドを用いることによってエステルを調製することもできる。好ましい種類のアルコールは、分枝状モノアルコールから選択され、好ましくは、C原子を6〜12個含む分枝鎖アルコールから選択される。好ましくは、C原子を合計で6〜10個含む分枝状アルコールである。2-エチルヘキサノールおよびイソノナノールが、アルコールとして最も好ましい。これらの分枝状アルコールは市販されている。
【0023】
また、本発明は、立体的に嵩高いポリオールと直鎖状または分枝状のアルカノールとのエステル(「複合エステル」として知られている)を必須構成要素として含むポリオールエステルおよびそのブレンドを包含している。例として、炭素原子を7〜10個含む少なくとも1種類のモノカルボン酸のネオペンチルグリコールエステル、異なる嵩高いポリオールと炭素原子を5〜10個含むモノカルボン酸とのエステルが述べられている。
【0024】
好ましい形態では、潤滑剤のベース流体は、炭素原子を7〜10個含む少なくとも1種類のモノカルボン70アルカノン酸のネオペンチルグリコールエステル30〜60重量%、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールブタン、およびペンタエリスリトールから選択される嵩高いポリオールの少なくとも1種類と、炭素原子を5〜10個含むモノカルボンアルカノン酸との他のエステル40〜70重量%を必須の構成要素として含むポリオールエステルのブレンドを含み、この割合は、嵩高いポリオールエステルの合計重量によるものである。適切なベース流体は、40〜45重量%のネオペンチルグリコールエステルと、55〜60重量%のトリメチロールエステルまたはペンタエリスリトールエステルとを含む。ペンタエリスリトールエステルをネオペンチルグリコールエステルと共に使用する場合、エーテル化する酸の炭素鎖長は、好ましくは5〜10であるが、トリメチロールアルカンエステルと共に使用する場合、酸が、7〜10個の炭素原子の鎖長を有することが好ましい。
【0025】
潤滑剤ベース流体中で使用するのに適しており、この目的のために認識されている他のエステルは、2,2,4-トリメチルペンタン、1,3-ジオール-ジぺラルゴネート、ジ-2-エチルヘキシルアゼレート、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジイソオクチル、ペラルゴン酸イソデシル、ジペラルゴン酸ジエチレングリコール、およびこれらの混合物である。
【0026】
米ぬか油またはその誘導体のような食用植物油に由来しないエステルを使用することは好ましくない。
【0027】
特に有利な場合、エステル化合物(A)は、少なくとも1個の二塩基性エステルを含み、特に、これらの二塩基性エステルは、以下の一般式(I):
【化1】

[ここで、Xは、飽和または不飽和、直鎖状、分岐状、環状または芳香族であり、炭素原子を1〜30個含む二価部分またはその塩を表す]
で示されるジカルボン酸から誘導される。
【0028】
さらに好ましい態様では、一般式(II):
【化2】

[ここで、RおよびR’は、互いに独立して、炭素原子を4〜12個を含む分枝状、飽和または不飽和アルキル部分を表し、指数nは、1〜22の値、好ましくは6〜18、最も好ましくは、nは、6〜12または8〜10であり、最も好ましいnは8である]
で示されるエステル(A)が使用される。
【0029】
好ましいエステル化合物(A)は、式(II)で示される二塩基性エステルのみを含み、少量の遊離酸または副生成物が、好ましくは10重量%以下、5.0重量%以下、最も好ましくは1.0重量%以下の量で、存在していてもよい。
【0030】
式(II)で示されるエステルは、ジエステルでもあり、両カルボン酸基がエステル化されていることが好ましい。これらのジエステルは、酸性触媒または塩基性触媒の存在下、高温および/または高圧で、カルボン酸とアルコールから標準的な反応により調製される。
【0031】
この反応条件のために、エステルのうち、少量はモノエステル誘導体であってもよいが、全エステルの合計重量を基準として、5.0重量%以下であり、遊離アルコールの量は、好ましくは0.01〜3.0重量%であり、最も好ましくは0.1〜1.0重量%である。典型的には、本発明のエステルは、5未満、好ましくは3未満、または1以下のOH価を示す。
【0032】
本発明を実行するために使用可能なエステルは、DIN 51562、T1にしたがって測定した場合、好ましくは10〜100mm/s(40℃で)、より好ましくは20〜50mm/s(40℃で)の所定の動粘度を示す。
【0033】
本発明は、上記エステルの使用を包含し、式(II)のエステルを単独で、または、ポリアルファオレフィン(PAO)、内部オレフィン(IO)またはポリオールエステルのような他の適当なベース流体(あらゆる種類の鉱物油、いわゆる水素化分解油、およびディーゼル油を含む他のパラフィン油またはナフテン系鉱油(およびこれらのブレンド)、ポリアルキレングリコールが好ましくあり得る)と組み合わせて、使用することが好ましい。
【0034】
このようなブレンドを使用する場合、主要なベース流体は、式(I)で示される二塩基性エステルであり、これは、少なくとも50重量%、70〜90重量%、より好ましくは80〜95重量%の量が有利であることを意味する。典型的なブレンドは、PAO10重量%、エステル、好ましくは式(II)で示されるエステル90重量%を含有してよく、またはこれらの任意のブレンドを含有してよい。
【0035】
〔添加剤成分(a)〕
本発明の潤滑剤組成物の第2の化合物は、一般式(II):
【化3】

[式中、Rは、(分枝状、直鎖状、飽和または不飽和)アルキル部分であり、1個または2個の酸素原子で遮られてよく、1〜12個の炭素原子を含むか、または、(少なくとも1のC〜C12アルキル基で置換されているか、または非置換)C〜C10アリール基である。ここで、両方のR基は同一または互いに異なり、Rは、(CH)-COOX基〔式中、Xは水素原子またはカチオンであり、nは1〜10の値を有する〕またはOH基、NR基、NHCHCOOX基、NHCHCOOR基、N(CH-COOX)基、N(CH-COOR)基、NHCHOH基、N(CHCHOH)基のいずれかを表す]
で示されるジチオホスフェート誘導体である。
【0036】
Xは、上記と同じ意味を有する。RおよびRは、互いに独立して、酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子で遮られいてよい、C1〜C18アルキル基またはアルケニル基を表す。Xは、好ましくは、水素原子または-OHまたはNRを表す。一般的に、「無灰」であると定性することができる添加剤が有利である。HであるXを有するものが、このような無灰添加剤である。これらの化合物も既知であり、特に、潤滑剤組成物における耐摩耗性添加剤または高圧添加剤として知られている。この種のさまざまな添加剤が市販されている。
【0037】
米国特許第4333841号には、この種(a)のあらゆる化合物、およびその調製法が開示されており、これらは、本発明の化合物にも適している。米国特許第4333841号の請求項1、詳細には、第3欄〜第10欄の表1にそれぞれ開示されているものが参照できる。このような添加剤は、Rohm and HaasよりPrimene(商標)81-RまたはPrimene(商標)JM-Tのような、Primene(商標)という商品名で提供されており、これは、米国特許第4333841号の第9欄および第10欄の表1にも開示されている。欧州特許出願公開第1529830号から、チオホスフェートおよびジチオホスフェートを含む添加剤パッケージが既知であるが、この添加剤は、潤滑組成物中に存在するカルシウムイオンに対し、相溶性が予測できないと言われている。
【0038】
〔添加剤成分(b)〕
この種の化合物は、トリフェニルホスホロチオネートの誘導体として知られており、極圧剤および耐摩耗剤としても使用される。一般式(III):
【化4】

で示される化合物が、本発明の意味するところにおいて好ましい。Rは(直鎖状または分枝状、飽和または不飽和)C〜C18アルキル部分を表し、Arは少なくとも1個のR-基で置換されているC-芳香族基(すなわちベンジル基)である。Rは、炭素原子を8〜18個、好ましくは8〜12個含む直鎖状アルキル基であることが好ましい。
【0039】
添加剤(a)および(b)のいずれもが、本発明を可能とするのに必要である。添加剤(a)と(b)を、合わせて0.001〜0.099重量%使用することが好ましく、0.01〜0.09重量%使用することがより好ましい。具体的に好ましい範囲は、0.02〜0.090重量%、0.03〜0.090重量%、0.05〜0.090重量%から選択される。なお、化合物(a)および(b)は、副生成物または溶媒を含んでいてもよい。通常は、このさらなる化合物は、(a)および(b)のブレンドの合計重量に基づいて計算すると、最大で10重量%の量で存在し、好ましくは5重量%以下、例えば1重量%以下の量で存在し、またはゼロでさえある。
【0040】
化合物(a)および(b)を互いに異なる量で使用することができ、重量比(a):(b)が3:1〜1:3、好ましくは2:1〜1:2であることが好ましい。しかし、それぞれの添加剤(a):(b)の比率が、約1:1であることが最も好ましい。好ましい態様において、添加剤成分(B)は、(a)と(b)のブレンドのみから構成される。金属原子を含まない、(a)型および(b)型の添加剤のみを選択することが好ましい。
【0041】
本発明の組成物は、酸化防止剤、腐食抑制剤(またはさび止め添加剤)、発泡防止剤、防腐剤、黄色金属不活性化剤、摩擦調整剤、粘度調整剤、および粘度指数(VI)向上剤のようなそのほかの添加剤((a)および/または(b)の構造と異なる)を含んでいてもよい。
【0042】
潤滑剤組成物の一成分として使用可能な酸化防止添加剤としては、フェノール系酸化防止剤およびアミン酸化防止剤、およびこれらの混合物が挙げられる。フェノール系酸化防止剤としては、油溶性で立体的に嵩高いフェノールおよびチオフェノールを挙げることができる。フェノール系酸化防止剤およびチオフェノール系酸化防止剤の定義に含まれるものは、立体的に嵩高いフェノール類、例えば、嵩高いフェノールおよびビスフェノール、嵩高い4,4’-チオビスフェノール、嵩高い4-ヒドロキシ-および4-チオールの安息香酸エステルおよびジチオエステル、嵩高いビス(4-ヒドロキシ-および4-チオールの安息香酸およびジチオ酸)アルキレンエステルである。フェノール部分は、ヒドロキシ基またはチオール基のオルト位の両方が、これらの基を立体的に隠してしまうアルキル基で置換されていてもよい。このようなアルキル置換基は、通常、3〜10個、適切には4〜8個の炭素を有し、1個のアルキル基は、一般的に、直鎖状よりむしろ分枝状(例えば、t−ブチル、t−アミルなど)である。
【0043】
本発明の組成物は、典型的には、1種の酸化防止添加剤を含有してよい。しかし、上記の酸化防止添加剤を組み合わせて使用してもよい。
【0044】
さび止め添加剤成分は、イオン性および非イオン性の表面活性さび止め成分を含んでよい。所望のさび止め性能を付与するのに必要なイオン性および非イオン性の表面活性さび止め添加剤の合計量は、いずれかのさび止め添加剤のみを使用するよりもかなり少なくなる。本明細書に記載の組成物において使用可能なイオン性のさび止め潤滑添加剤としては、リン酸、テトラメチルノニルアミン、C10〜C18アルキルアミンのモノヘキシルエステル化合物およびジヘキシルエステル化合物が挙げられる。本明細書に記載の組成物において使用可能な非イオン性のさび止め潤滑添加剤としては、脂肪酸、および、ソルビタン、グリセロールまたは他の多価アルコール、またはポリアルキレングリコールを添加して作られる脂肪酸エステルが挙げられる。他の非イオン性のさび止め潤滑添加剤としては、アルキレンオキシドでアルコキシ化した脂肪アルコールのエーテル、アルキレンオキシドでアルコキシ化したソルビタン、またはアルキレンオキシドでアルコキシ化したソルビタンエステルが挙げられる。適当な非イオン性のさび止め潤滑添加剤の例としては、ソルビタンモノ−オレエート、エトキシ化植物油、オレイン酸イソプロピル、エトキシ化脂肪酸、エトキシ化脂肪アルコール、脂肪グリセリドエステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノ−オレエート、ポリオキシエチレンソルビタン、グリセロールモノ−オレエート、グリセロールジ−オレエート、グリセロールモノ−ステアレート、およびグリセロールジ−ステアレートが挙げられる。
【0045】
一部の態様において、腐食防止剤は、本明細書に記載の組成物に含まれるのに適した別の種類の添加剤を構成してよい。このような化合物としては、チアゾール、トリアゾール、およびチアジアゾールが挙げられる。このような化合物の例としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、オクチルトリアゾール、デシルトリアゾール、ドデシルトリアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-メルカプト-5-ヒドロカルビルチオ-1,3,4-チアジアゾール、2-メルカプト-5-ヒドロカルビルジチオ-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(ヒドロカルビルチオ)-1,3,4-チアジアゾール、および2,5-ビス(ヒドロカルビルジチオ)-1,3,4-チアジアゾールが挙げられる。適当な化合物としては、1,3,4-チアジアゾール(多くは商品として入手可能である)、トリアゾール(例えばトリルトリアゾール)と1,3,5-チアジアゾール(例えば2,5-ビス(アルキルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール)との組み合わせ、ビス-アルキル-アリールアルキルベンゾトリアゾールアルキルアミン(例えば、N,N-ビス(2-エチル)アラ-メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-メタンアミンが挙げられる。本明細書に記載の配合物中の腐食防止剤の量は、潤滑剤組成物の合計重量を基準として、約0.01〜約1.0重量%の範囲であってもよく、0.2〜0.5重量%が有利である。
【0046】
発泡防止剤は、シリコーン、ポリアクリレート、メタクリレート、界面活性剤、エチレン-プロピレンブロックコポリマーなどから選択してよい。本明細書に記載の配合物中の消泡剤の量は、潤滑剤組成物の合計重量を基準として、約0.0025〜約0.1重量%の範囲であってよい。この種の添加剤の最大量が0.01重量%であることがより好ましい。
【0047】
これらの潤滑剤油に、粘度および温度特性を高めるために、粘度指数(VI)向上剤、例えばエチレン/-オレフィンコポリマーおよびポリ(メタ)アクリレートを組み込むことも知られている。この種の添加剤は、例えば、Evonik製のViscoplex(登録商標)シリーズ、すなわち、Viscoplex Series 8または10から選択され、この目的のために当業者に知られている。
【0048】
本発明の組成物で使用するための増粘剤は、例えば、エチレン/プロピレン/スチレンコポリマー、ブチレン/エチレン/スチレンコポリマー;Penrecoから入手可能なVersagel M750、Versagel ME 750、Versagel MP 500、Versagel MD 1600のような市販製品;Ritaから入手可能なTransgel 105およびTransgel 110;ポリイソブチレン、水素化ポリイソブチレン、ワックス、例えばポリエチレンワックス、蜜蝋など:油溶性ポリアクリレート、油溶性ポリ(メタ)アクリレート、エチレン-プロピレンコポリマー、官能基化オレフィンコポリマー、オレフィンターポリマーおよび官能基化オレフィンターポリマー、疎水化変性クレー、シリカ、スチレンとオレフィンのコポリマーである。
【0049】
添加剤(a)および(b)に加えて、構造が異なる耐摩耗性または高圧/極圧添加剤(「EP添加剤」)が、潤滑剤組成物中にも存在してよい。これらの場合、典型的な量は、合計で0.1〜5.0重量%、または0.5〜2.5重量%である。
【0050】
本明細書に記載の組成物を処方する際に用いる添加剤を、基油に個々にブレンドしてもよく、あらゆる部分的な組合せでブレンドしてよい。しかし、添加剤濃縮物を用いて、全成分(すなわち、添加剤と、基油のような希釈剤)を同時にブレンドすることが適当である。添加剤濃縮物の使用は、添加剤濃縮物の形態の際に、成分を組み合わせることによって得られる相互相溶性を利用している。また、濃縮物を使用することによって、ブレンドする時間が短くなり、ブレンドを間違う可能性が減る。
【0051】
処方された圧縮機用潤滑剤組成物の製造において、添加剤をエステル化合物に直接加えて十分に混合し、均一な分散物を得てもよい。場合によっては、エステル中への添加剤の溶解を促進するために、添加剤を加える前にエステルを加熱することが望ましい。あるいは、場合によっては、エステルを加えた後に「添加剤パッケージ」を作成することも望ましい。このような添加剤パッケージを、例えば、添加剤を適当な溶媒中で共に混合することにより調製してよい。この目的に適当な溶媒としては、鉱物油、ベンゼン、ディーゼル油、トルエン、オクタン、ポリオールエステルなどが挙げられる。
【0052】
本発明のさらなる態様は、組成物に関する。上述のエステル化合物(A)90〜99重量%と、上述の添加剤(a)および(b)を含有する添加剤パッケージ(B)0.01〜0.099重量%とを含み、(a)および(b)が、重量比2:1〜2:1、好ましくは1:1で存在し、100重量%になるまでの残りは、他の添加剤である。上記の式(II)で示されるジカルボン酸エステルを含有するこのような組成物が好ましい。
【0053】
さらに、上述のような潤滑剤組成物を用いて駆動する圧縮機を特許請求する。回転式ねじ駆動圧縮機は、好ましい態様である。これに関し、圧縮機は、最大で20barまでの圧力を発生することが好ましく、典型的な範囲は10〜20bar、または12〜18barである。
【0054】
上記の特徴を有する組成物の使用は、標準的な油を用いて駆動する圧縮機と比較した場合、回転式ねじ圧縮機のエネルギー消費を最大で20%まで下げることができる。向上は、例えば15%までの範囲であり、既知の分野の標準的な潤滑剤を用いて操作される同じ圧縮機と比較して、10%または5%、または3〜5%の範囲が好ましい値である。これに関し、標準的な潤滑剤はAtlas Copco製のRotoXtendである。したがって、移動する部分が潤滑を必要とするエンジン、特に圧縮機のエンジン、より好ましくはねじ駆動圧縮機のエンジンのエネルギー効率を上述の組成物を用いて向上させることも、本発明の一態様である。
【0055】
さらに、(a)ジチオホスフェート、および(b)アルキル化ホスホロチオネートから選択される少なくとも2種の添加剤を含む添加剤ブレンドを用い、添加剤ブレンドの合計量が、組成物全体の重量に基づいて計算すると0.1重量%以下である、潤滑剤組成物のエネルギー効率を向上させる方法が、本出願の好ましい態様である。添加剤ブレンドを含まない同じ組成物と比較することにより、向上が示され得る。
【0056】
本発明の組成物は、sec-チオホスフェートおよびtert-チオホスフェートを組み合わせることにより、低いせん断損失、優れた空気放出性、非常に効果的な耐摩耗性を示す。高圧での粘度は、この処方において、通常ではないレベルで高い。高空気混入下で行うことは、空気放出テスターにおける1分よりも短い。
【実施例】
【0057】
本発明の組成物の優れた特性を示すために、試験を行った。4種類の潤滑剤組成物、C1〜C4を調製し、本発明の組成物(A)と比較した。詳細は以下の表1から決定され得る。C1は、Roto Xtendと呼ばれるAtlas Copco製の市販の潤滑組成物である。
【0058】
組成物C4およびAは、両方とも、ジチオホスフェートとトリフェニルホスホロチオネートのブレンドを、本発明にしたがい、0.09g以下の量で含んでいた(以下の表で添加剤ブレンドと呼ばれる)。
【0059】
【表1】

【0060】
表1に、以下の化合物を列挙している。
Synative(登録商標)DEHS セバシン酸の2-エチルヘキシル-ジエステル(Cognis)
Nexbase 2008 デセン-1ホモポリマー、水和
Viscoplex(登録商標)8-100 ポリマー(Degussa)
Viscoplex(登録商標)8-800 ポリマー(Degussa)
【0061】
表2に、100℃および40℃で測定した粘度データ、粘度指数(VI)を示す。
【表2】

【0062】
エネルギー効率の向上を示すために、ISO 1217にしたがい、標準的なねじ圧縮機(Atlas Copco GAS-7,5 EZP)を用いて試験を行った。一連の試験において、異なる潤滑剤組成物C1、C2、およびAをそれぞれ用い、4時間かけて圧縮機を操作した。運ばれた空気の体積を測定した。表3に、C1およびC2を用いて運ばれた体積と、Aを用いて運ばれた体積との比較結果を百分率基準で示す。ゼロを超える値は、Aのより良好な性能を示している。
【0063】
【表3】

【0064】
本発明の潤滑剤(A)を使用することにより、主要な試験条件下で、装置の性能が向上し、同じ体積の空気に関して、使用するエネルギー量が下がる。また、これらの結果から、少量の特定の添加剤パッケージと特定の種類のエステル基油の選択の両方の選択によって向上が見られることが明らかである。
【0065】
さらなる試験において、種々の組成物の負荷特性を、DIN ISO 51350にしたがって試験した。結果を表4に示す。
【0066】
【表4】

【0067】
この結果は、本発明の組成物が、少量の添加剤を含む同様の組成物と比較して、優れた潤滑特性も示すことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)モノアルコール、ジアルコールおよび/またはポリアルコールとモノカルボン酸および/またはジカルボン酸との反応から誘導されるカルボン酸エステルと、(B)少なくとも2種類の異なる添加剤(a)および(b)を共に含む添加剤ブレンドとを含み、ここで、化合物(a)は、ジチオホスフェートから選択され、化合物(b)は、アルキル化ホスホロチオネートから選択される組成物の、潤滑剤、作動油またはタービン油としての使用であって、添加剤ブレンド(B)の合計量が組成物全体の重量に基づいて算出して0.1重量%以下であることを特徴とする使用。
【請求項2】
カルボン酸エステル(A)の酸部分が、一般式(I):
【化1】

[式中、Xは、1〜30個のC原子を含む、飽和または不飽和、直鎖状、分枝状、環状または芳香族の二価部分を表す]
で示されるジカルボン酸から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
アルコールが、1〜31個のC原子を含む直鎖状または分枝状、飽和または不飽和アルキルモノアルコール、2〜25個のC原子を含むジオール、および、グリセロール、ネオペンチルグリコール、オリゴグリセロールまたはポリグリセロール、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールからなる群から選択されるポリオール、ならびにこれらのオリゴマーまたはポリマーであることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
エステルが、ポリオールと少なくとも2種の異なるカルボン酸の混合物との反応に由来する複合エステルから選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
式(I)中のXは、1〜22個のC原子を含む直鎖状または分枝状アルキルまたは不飽和アルケニル部分を表すことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
アルキルアルコールが、分枝状飽和アルキル基から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
エステルがモノエステルまたはジエステル、好ましくはジエステルであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
ジカルボン酸エステルが、一般式(II):
【化2】

[式中、RおよびR’は、互いに独立して、4〜12個の炭素原子を含む分枝状、飽和または不飽和アルキル部分を表し、指数nは6〜18の値を有する]
で表される、請求項1〜7のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
式(II)のRおよびR’は、いずれも2-エチルヘキシル基を表すことを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
式(II)の指数nが、6〜8、好ましくは8の値であることを特徴とする、請求項8または9に記載の使用。
【請求項11】
前記添加剤(a)および(b)が、合計で、全組成物の重量に基づいて、0.01〜0.099重量%、好ましくは0.05〜0.090重量%で存在することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
添加剤(a)および(b)が、2:1〜1:2、好ましくは1:1の重量比で存在することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の使用。
【請求項13】
組成物が、潤滑剤として、好ましくは圧縮機用潤滑剤として使用されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
組成物が、ねじ駆動圧縮機または遠心式圧縮機、好ましくは回転式ねじ駆動圧縮機の潤滑剤として使用されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の使用。
【請求項15】
カルボン酸エステルが、20〜50mm/sの動的粘度を示すことを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の使用。
【請求項16】
添加剤(a)および(b)のいずれも金属原子を含まないことを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の使用。
【請求項17】
組成物が、N-オレイルサルコシンおよび/またはノニルフェノキシアセテートを含まないことを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の使用。
【請求項18】
請求項1に記載のエステル90〜99重量%と、2種類の添加剤(a)および(b)を請求項1にしたがって重量比1:1で共に含む添加剤パッケージ0.01〜0.099重量%とを含み、100重量%になるまでの残りが他の潤滑剤添加剤である、潤滑剤組成物。
【請求項19】
請求項1〜16のいずれかに記載の組成物を潤滑剤として含む、好ましくはねじ駆動圧縮機である、圧縮機。
【請求項20】
請求項1〜16のいずれかに記載の潤滑剤を用いることにより、エンジン、好ましくは圧縮機のエンジンのエネルギー効率を高める方法。
【請求項21】
少なくとも1種の(a)型添加剤と少なくとも1種の(b)型添加剤とを含み、化合物(a)はジチオホスフェートから選択され、化合物(b)はアルキル化ホスホロチオネートから選択され、(a)と(b)の合計量が、組成物の合計重量を基準として計算して0.1重量%以下である添加剤として用いることを特徴とする、基油および添加剤を含む潤滑剤組成物のエネルギー効率を改善する方法。

【公表番号】特表2013−505341(P2013−505341A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530153(P2012−530153)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005670
【国際公開番号】WO2011/035865
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】