説明

濃度測定装置

【課題】 静電容量を形成する電極表面への気泡の付着を防止し、濃度を高精度に検出することが可能な濃度測定装置を提供する。
【解決手段】
表面に静電容量を形成する電極が設けられた帯状の濃度センサ20が、ケース本体11の内部に設けられた小部屋11Aの中央に保持されている。被測定流体が流入口14から流出口15に向かって流れる際、被測定流体が濃度センサ20の両面で乱流を起こすため、気泡の前記電極への付着を防止する。よって、静電容量が濃度変化に対して安定的に変化するようになるため、所定の測定回路を用いることにより前記被測定流体の濃度を高精度に測定することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタノールなど液体の濃度の検出を行う濃度測定装置に係わり、特に電極表面への気泡の付着を防止することにより液体濃度を高い精度で検出できるようにした濃度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、急速に開発が進んでいる固体高分子形燃料電池(PEFC)の技術をベースとし、メタノールを改質せずに直接燃料とする、ダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)の研究が活発化している。
【0003】
前記DMFCは水素容器や改質器が不用であるため、コンパクトで起動が早く、負荷変動応答性も優れているため、自動車や電子機器などのポータブル電源としての利用が期待されている。
【0004】
前記DMFCの構造は前記PEFCとほぼ同様であり、発電部に設けられたアノード側でメタノールが水と反応して水素イオン、電子および二酸化炭素が生成され、前記生成された水素イオンが固体高分子電解質膜中を移動してカソード側で酸素、電子と結合して水になるが、このとき前記アノードとカソードとの間に電流が流れる。
【0005】
このような従来のDMFCは、燃料の濃度が性能の出しやすい3〜6%程度に設定されているため、エネルギー密度の関係から燃料タンクが大きくなりやすく、燃料電池全体として小型化することが困難という問題があった。
【0006】
一方、高濃度メタノールを採用した場合には発電効率が悪く、DMFCの出力電圧が不安定になるという欠点を有するが、高濃度燃料は体積エネルギー密度が高いため、燃料体積を大幅に減らすことができ、例えば3〜6%の濃度の場合よりも、燃料タンクを10分の1以下の体積に小型化することが可能となる。
【0007】
したがって、高濃度メタノールを燃料として採用し、発電部に供給する段階で濃度を希釈化して最適な濃度に調整するようにすれば小型で発電効率に優れた燃料電池を提供することが可能となる。
【0008】
従来、このような混合液体の濃度を測定する装置としては、例えば下記の特許文献1に示すような技術が存在する。特許文献1では、一対の導電性電極の間に混合液体(水とメタノール)を通したときに、前記混合液体の濃度に基づいて前記一対の導電性電極間の静電容量が変化することを利用したものであり、前記静電容量を所定の濃度測定回路内に組み込むことにより、混合液体の濃度の測定が可能となっている。
【特許文献1】特開平11−352089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記液体濃度センサでは、静電容量が前記混合液体の濃度のみに基づいて変化することが理想的である。
【0010】
しかし、上記のような燃料電池では、メタノールと水が反応して二酸化炭素の気泡が生成されるが、このとき生成された気泡が前記一対の導電性電極の間に付着すると、その付着量に応じて静電容量が低下させられることになる。
【0011】
また、混合液体の温度が変化したり、混合液体中への不純物の混入などがあると、前記導電性電極間の誘電率が変化するため、これに基づいて前記静電容量が変動させられることになる。すなわち、上記従来の濃度センサでは、静電容量が不安定となってその検出精度を高め難いという問題を有している。
【0012】
この点、前記混合液体の温度変動の問題は、例えば温度補償回路やソフトウェア処理などを用いて温度補正することにより、また不純物の混入の問題はフィルタの性能を高めること等により、ある程度解消することが可能となっている。
【0013】
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、静電容量を形成する電極表面への気泡の付着を防止することにより、濃度検出の精度を高めるようにした濃度測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、被測定流体を流す流路と、前記流路中に設けられ前記被測定流体の濃度を検出する濃度センサとを備えた濃度測定装置において、
前記流路中に濃度測定用の小部屋と、前記小部屋に通ずる流入口及び流出口とを備えたケース本体が設けられており、前記被測定流体が前記流入口から流出口に向かって流れるときに、前記濃度センサの両面を幅方向に横切るとともに、前記濃度センサの両側面を膜厚方向に横切る流動経路が設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
また本発明は、小部屋を有するとともに前記小部屋に通ずる流入口と流出口とが設けられたケース本体と、前記小部屋内を流れる前記被測定流体の濃度を検出する濃度センサとを備えた濃度測定装置であって、
前記濃度センサが、前記小部屋を形成する前記ケース本体の上下方向の両内壁面、左右方向の両内壁面、前後方向の両内壁面のうちいずれか一つの両内壁面間に架設されるとともに、他の2つの両内壁面から離れた位置に設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の濃度測定装置では、濃度センサの両面の近傍において被測定流体が滞留するのを防止することができるため、気泡が濃度センサの両面に付着するのを防止することができる。
【0017】
上記において、前記流入口と流出口とが、前記ケース本体の対角を形成する位置の近傍に設けられていることが好ましい。
【0018】
上記手段では、濃度センサの両面に乱流を生じさせやすくすることができる。このため、濃度センサの両面から気泡を効率よく排除することができる。
【0019】
また前記小部屋を形成する前記ケース本体の内壁面の角部が曲面で形成されていることが好ましい。
【0020】
上記手段では、小部屋内を通過する被測定流体の流れをスムーズ化することが可能となるため、気泡がケース本体内の角部に貯蔵されるのを防止することができる。
【0021】
さらには、前記ケース本体が、前記流入口を有する第1のハウジングと前記流出口を有する第2のハウジングとが組み合わされることにより形成されるものが好ましい。
【0022】
上記手段では、濃度測定装置の構造を簡素化することができるため、製造コストを安価とすることができる。
【0023】
また前記濃度センサが第1のハウジングと第2のハウジングとの接合部に挟持されている構成とすることができる。
上記構成では、濃度センサを簡単且つ確実に保持することができる。
【0024】
本発明の濃度測定装置では、前記濃度センサの両面と対向する一方の位置に第1の流路が形成され、他方の位置に第2の流路が形成されており、且つ前記濃度センサの幅方向の側方となる一方の位置に第3の流路が形成され、他方の位置に第4の流路が形成される。
【0025】
前記濃度センサの少なくとも一方の面には、静電容量を形成する電極が配置されているものである。
【0026】
すなわち、静電容量を形成する電極は、一方の面にのみ形成されていてもよく、他方の面に形成されていてもよい、さらには両面に形成される構成であってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、被測定流体が、常に液体濃度センサを形成するシートの表面および裏面に沿って流れ、気泡が前記シートの表裏面に滞留しにくくすることができる。このため、気泡の付着による静電容量の変動を抑えることができるため、濃度検出の精度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は本発明の濃度測定装置を示す分解斜視図、図2は濃度センサの平面図、図3は濃度測定装置の側面方向からの断面図、図4は図3の4−4線における断面図、図5は図3の5−5線における断面図である。このような濃度測定装置は例えばダイレクトメタノール形燃料電池(DMFC)に用いられるものである。
【0029】
図1に示すように、本発明の濃度測定装置10は、下部側に設けられた第1のケース12と、上部側に設けられた第2のケース13とからなるケース本体11を有している。
【0030】
前記第1のケース12は略直方体形状をしている。このうち、図示下方(Z2方向)に位置する面が底面12A、であり、長手方向(Y方向)において対向する一対の面が前面12Bと後面12Cであり、幅方向(X方向)において対向する一対の面が右側面12Dと左側面12Eである。また第2のケース13と対向する面が合わせ面12Fである。
【0031】
図1に示すように、前記第1のケース12の内部には、前記合わせ面12Fから図示下方(Z2方向)に陥没する凹部12aが形成されている。前記合わせ面12F上で且つ前記凹部12aの周囲には溝12bが周設されている。また前記合わせ面12Fの四方の隅部には、嵌合凸部12c又は嵌合凹部12dが形成されている。
【0032】
前記第1のケース12の前記前面12Bで且つ頂点Aの近傍には、前記図示長手方向に延びる管状の流入口14が設けられている。そして、この流入口14により、前記第1のケース12の内部である凹部12aとその外部とが連通されている。
【0033】
他方、前記第2のケース13も上記第1のケース12と同様の構成である。すなわち、前記第2のケース13は略直方体形状をしており、図示上方(Z1方向)に位置する天面13Aと、長手方向(Y方向)において対向する一対の前面13B及び後面13Cと、幅方向(X方向)において対向する一対の右側面13D及び左側面13Eとを有している。
【0034】
また第1のケース12の前記合わせ面12Fと対向する面が合わせ面13Fであり、この合わせ面12Fには図示上方(Z1方向)に窪む凹部13aが形成されている。
【0035】
さらに前記合わせ面13F上で且つ前記凹部13aの周囲には、上記第2のケース13に設けられた溝13bと同様の溝(図示せず)が周設されている。そして、前記合わせ面13Fの四方の隅部には、嵌合凸部13c又は嵌合凹部13dが形成されている。
【0036】
前記第2のケース13の前記後面13Cで且つ図1に示す頂点Gの近傍には、図示長手方向に延びる管状の流出口15が設けられている。そして、この流出口15により、前記第2のケース13の内部である凹部13aとその外部とが連通されている。
【0037】
前記第1のケース12と第2のケース13とは、前記合わせ面12Fと合わせ面13Fを対向させるとともに、一方の嵌合凸部12c又は嵌合凹部12dに他方の嵌合凸部13c又は嵌合凹部13dが挿入された状態で一体化される。
【0038】
前記合わせ面12Fと合わせ面13Fが重なることにより形成される接合面内には、薄い帯状の濃度センサ20が設けられる。
【0039】
前記濃度センサ20は、例えばポリイミドなど絶縁性と可撓性を有する薄い帯状のシート21を母材として形成されており、前記シート21上には容量部22が設けられている。
【0040】
図2に示すものでは、前記容量部22が大きな静電容量を形成するべく、3本の平行な電極線22a,22b,22cが互いに一定の間隔を維持しながら蛇行状(ミアンダー(meander)ともいう。)にパターン化するなどして形成されている。ただし、前記容量部22の形状はこれに限られるものではなく、その他の形状であってもよい。
【0041】
なお、図2に示す容量部22では、中央の電極線22bがコモン電極である。後述するように外部に設けられた測定回路から、一方の電極線22aと前記電極線22bの間に所定の電気信号が印加されると、これらの間に第1の静電容量C1が形成され、同様に他方の電極線22cと前記電極線22bの間に所定の電気信号を印加すると、これらの間に第2の静電容量C2が形成されるようになっている。
【0042】
前記第1のケース12と第2のケース13とを組み合わせて一体化すると、前記凹部12aと凹部13aとの連結により、前記ケース本体11内に小部屋11Aが形成される。そして、前記第1のケース12の前面12Bに設けられた前記流入口14及び前記第2のケース13の後面13Cに設けられた流出口15が前記前記ケース本体11内の小部屋11Aに通じている。
【0043】
前記濃度センサ20は、その前端部分20Aが前面12Bと前面13Bとの間に挟持され、後端部分20Bが後面12Cと後面13Cとの間に挟持された状態で架設されている。前記濃度センサ20は、小部屋11Aの中央の位置に設けられている。
【0044】
なお、前記第1のケース12と第2のケース13とを組み合わせて一体化する際には、前記溝12bと溝13bとの間に液漏れ用のOリング(パッキン)などが設けられる。
【0045】
この状態では、図3に示すように、小部屋を形成する前記天面13Aの内壁面と前記濃度センサ20の表面との間に空間を有し、この空間が第1の流路31を形成している。同じく小部屋を形成する前記底面12Aの内壁面と前記濃度センサ20の裏面との間に空間を有し、この空間が第2の流路32を形成している。
【0046】
また図4に示すように、小部屋を形成する前記右側面12D及び右側面13Dと前記濃度センサ20のX1側の側面との間に空間を有し、この空間が第3の流路33を形成している。同じく小部屋を形成する前記左側面12E及び左側面13Eと前記濃度センサ20のX2側の側面との間に空間を有し、この空間が第4の流路34を形成している。
【0047】
さらに図3ないし図5に示すように、第1のケース12および第2のケース13内の角部、すなわち前記小部屋11Aを形成するの内壁面の角部が所定の曲率半径からなる曲面12e,13eで形成されている。
【0048】
例えば、図4に示すように前記流入口14と流出口15にチューブ19を接続し、メタノール水溶液などの被測定流体を流すと、被測定流体が前記小部屋11A内を通過する。
【0049】
前記被測定流体は、前記小部屋11A内を前記流入口14から流出口15に向かって流れるが、前記流入口14及び流出口15は前記小部屋11Aに対し対角となる位置(角部A,Gの近傍)に形成されている。このため、前記被測定流体の経路は、図5に示すように、前記流入口14から第2の流路32に入り、前記濃度センサ20の下部(第2の流路32)をX1方向(幅方向)に横切って第3の流路33に至り、前記第3の流路33をZ1方向(膜厚方向)に横切って前記流出口15に流出する第1の流動経路41と、同じく前記流入口14から第2の流路32に入り、ここから前記第4の流路34をZ1方向(膜厚方向)に横切って第1の流路31に入り、前記濃度センサ20の上部(第1の流路31)をX1方向(幅方向)に横切って前記流出口15に至る第2の流動経路42とに大別される。そして、このような第1の流動経路41と第2の流動経路42とが、前記濃度センサ20の周囲に前記濃度センサ20の長手方向に沿って形成されている。
【0050】
図5に示すように、濃度センサ20は前記流入口14と前記流出口15とを通る直線49に対し所定の角度θを有して配置されている。しかも前記第1の流動経路41と前記第2の流動経路42は前記流入口14と前記流出口15とを結ぶ最短経路を形成するものではない。このため、前記小部屋11A内を流れる被測定流体は中央に設けられた前記濃度センサ20の表面および両面に当たって適度な抵抗を形成する。そして、この抵抗が前記濃度センサ20の両面に複雑な乱流を発生させるため、濃度センサ20の両面に付着している気泡を排除することができる。
【0051】
また小部屋11Aの角部が所定の曲面12e,13eが形成されているため、前記被測定流体の流れをスムーズとすることができる。このため、気泡が前記小部屋11Aの角部付近が滞留し、この部分に貯蔵されてしまうことがない。
【0052】
このように、上記濃度測定装置10では、前記被測定流体が、前記濃度センサ20の両面で滞留するのを防止することができる。このため、特に容量部22を形成する電極線22aと電極線22bとの間、あるいは電極線22cと電極線22bとの間に気泡が付着することをなくすこと、または少なくすることができる。このため、これらの電極線間で形成される前記第1の静電容量C1および第2の静電容量C2の変動を低く抑えることができる。
【0053】
よって、このような安定性の高い前記第1の静電容量C1および第2の静電容量C2を用いることにより、被測定流体の濃度を高精度に検出することが可能である。
【0054】
以下には、上記濃度測定装置10を用いた被測定流体の濃度測定例について説明する。
図6は濃度センサの容量部の等価回路図、図7は被測定流体の濃度を検出するための測定回路の一例を示す構成図である。
【0055】
前記容量部22を有するシート21を被測定流体内に入れると、被測定流体が電極間内を通過する。このとき、被測定流体が誘電体として機能するため、前記容量部22を形成する電極間のインピーダンスは、簡易的には図6に示すような溶液抵抗Rsと静電容量Cとが直列接続された等価回路で表すことができる。具体的には、前記電極線22aと電極線22bとの間は溶液抵抗Rsと前記第1の静電容量C1とが直列接続された第1の等価回路E1となり、および電極線22cと電極線22bの間は溶液抵抗Rsと前記第2の静電容量C2とが直列接続された第2の等価回路E2となる(図7参照)。
【0056】
このため、例えば図7に示すような測定回路を用いることにより、被測定流体の濃度を測定することが可能となる。図7に示す測定回路では、外部に設けられた発振回路51から、所定の電気信号としてのパルス状の入力信号S0が、外付けされた固定抵抗R1,R2(R1>R2)を介して前記第1,第2の等価回路E1,E2の一端である溶液抵抗Rsにそれぞれ与えられる。なお、前記第1,第2の等価回路E1,E2の一端に相当する電極線(コモン電極)22bは接地されている。
【0057】
ここで、図7に示す前記固定抵抗R1と第1の等価回路E1からなる回路、および前記固定抵抗R2と第2の等価回路E2からなる回路は一種の積分回路を構成している。前記固定抵抗R1と第1の等価回路E1からなる積分回路から出力される信号S1の時定数をT1、前記固定抵抗R2と第2の等価回路E2からなる積分回路から出力される信号S2の時定数をT2とすると、T1,T2は以下の数1と数2で表すことができる。
【0058】
【数1】

【0059】
【数2】

【0060】
上記濃度測定装置では、上述したように濃度センサへの気泡の付着を防止することができるため、前記第1の静電容量C1と第2の静電容量C2を近似的に等しいとみなすことが可能である(C1≒C2)。
【0061】
よって、C=C1≒C2として、前記数1から数2を差し引くと、以下の数3を導くことができる。
【0062】
【数3】

【0063】
数3では、溶液抵抗Rsを相殺することができ、(T1−T2)が前記溶液抵抗Rsの影響を受けない関数として表されることがわかる。すなわち、(R1−R2)は定数となるため、(T1−T2)が静電容量Cをパラメータとする比例関数で表される。
【0064】
図7では、前記固定抵抗R1と第1の等価回路E1からなる積分回路の出力を直流化した電圧V1と、前記固定抵抗R2と第2の等価回路E2からなる積分回路の出力を直流化した電圧V2との差動を求めることにより、前記(T1−T2)に相当する電圧(V1−V2)を出力することが可能となっている。
【0065】
なお、前記出力電圧V1,V2は、例えば前記信号S1とS2を所定のスレッショルレベルで切ることにより入力信号S0から遅れた遅延信号を生成(デジタル化)した後、これらの遅延信号と前記入力信号S0とをそれぞれ排他的論理和回路などの手段を用いて位相比較し、このとき生成される比較信号をそれぞれ積分することにより直流化することが可能である。
【0066】
上記濃度測定装置と上記測定回路を用いて水中のメタノール濃度を測定すると、例えば被測定流体の濃度が高い場合には、前記静電容量C(第1の静電容量C1及び第2の静電容量C1)の値が小さくなるため、前記出力(T1−T2)も小さな値として出力され、その反対に被測定流体の濃度が低い場合には、前記静電容量Cの値が大きくなるため、前記出力(T1−T2)も大きな値として出力される。すなわち、前記測定回路の出力(T1−T2)に相当する出力電圧(V1−V2)から、前記濃度測定装置10の小部屋11A内を流れる被測定流体の濃度を求めることが可能となる。
【0067】
なお、上記実施の形態では、被測定流体としてメタノール水溶液の場合を例示して説明したが、前記被測定流体はメタノール水溶液に限定されるものではなく、その他の混合液体であってもよい。
【0068】
また上記実施の形態では濃度を検出する一手段として図7に示す測定回路を用いて説明したが、本発明は前記の測定回路に限定されるものではなく、例えば特許文献1に記載されている測定回路部やその他の測定回路を用いるものであってもよい。
【0069】
また上記実施の形態では、濃度センサ20が、容量部22として第1の静電容量C1と第2の静電容量C2の2つの静電容量を有する構成として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つの静電容量を有する構成であってもよいし、3つ以上の静電容量を有する構成であってもよい。
【0070】
さらに、また前記容量部22は前記シート21の一方の面(表面又は裏面)に形成される構成であってもよいし、両面に形成される構成であってもよい。さらには電極線を形成する金属の全面が絶縁樹脂で覆われている構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の濃度測定装置を示す分解斜視図、
【図2】濃度センサの平面図、
【図3】濃度測定装置の側面方向からの断面図、
【図4】図3の4−4線における断面図、
【図5】図3の5−5線における断面図、
【図6】濃度センサの容量部の等価回路図、
【図7】被測定流体の濃度を検出するための測定回路の一例を示す構成図、
【符号の説明】
【0072】
10 濃度測定装置
11 ケース本体
12 第1のケース
13 第2のケース
14 流入口
15 流出口
20 濃度センサ
21 シート
22 容量部
22a,22b,22c 電極線
31 第1の流路
32 第2の流路
33 第3の流路
34 第4の流路
41 第1の流動経路
42 第2の流動経路
C 静電容量
C1 第1の静電容量
C2 第2の静電容量
E1 第1の等価回路
E2 第2の等価回路
R1,R2 固定抵抗
Rs 溶液抵抗
S0 入力信号
S1,S2 信号
T1,T2 時定数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定流体を流す流路と、前記流路中に設けられ前記被測定流体の濃度を検出する濃度センサとを備えた濃度測定装置において、
前記流路中に濃度測定用の小部屋と、前記小部屋に通ずる流入口及び流出口とを備えたケース本体が設けられており、前記被測定流体が前記流入口から流出口に向かって流れるときに、前記濃度センサの両面を幅方向に横切るとともに、前記濃度センサの両側面を膜厚方向に横切る流動経路が設けられていることを特徴とする濃度測定装置。
【請求項2】
小部屋を有するとともに前記小部屋に通ずる流入口と流出口とが設けられたケース本体と、前記小部屋内を流れる前記被測定流体の濃度を検出する濃度センサとを備えた濃度測定装置であって、
前記濃度センサが、前記小部屋を形成する前記ケース本体の上下方向の両内壁面、左右方向の両内壁面、前後方向の両内壁面のうちいずれか一つの両内壁面間に架設されるとともに、他の2つの両内壁面から離れた位置に設けられていることを特徴とする濃度測定装置。
【請求項3】
前記流入口と流出口とが、前記ケース本体の対角を形成する位置の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の濃度測定装置。
【請求項4】
前記小部屋を形成する前記ケース本体の内壁面の角部が曲面で形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の濃度測定装置。
【請求項5】
前記ケース本体が、前記流入口を有する第1のハウジングと前記流出口を有する第2のハウジングとが組み合わされることにより形成される請求項1ないし4のいずれか記載の濃度測定装置。
【請求項6】
前記濃度センサが第1のハウジングと第2のハウジングとの接合部に挟持されていることを特徴とする請求項5記載の濃度測定装置。
【請求項7】
前記濃度センサの両面と対向する一方の位置に第1の流路が形成され、他方の位置に第2の流路が形成されており、且つ前記濃度センサの幅方向の側方となる一方の位置に第3の流路が形成され、他方の位置に第4の流路が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の濃度測定装置。
【請求項8】
前記濃度センサの少なくとも一方の面には、静電容量を形成する電極が配置されていることを特徴とする請求項1、2、6又は7のいずれか記載の濃度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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