説明

濃縮洗剤組成物

【課題】界面活性剤SASの一つの問題である粘り不足を改良しながら、最大の特性を十二分に活かすこと。一方、台所用洗剤のボトルや包材の低減化を図り、使用時に水で薄めても、性能,使用感が変わらず、むしろ良くなる公約数を見出し、包材,物流,廃棄物,水質汚染などの大幅改良を図り、エコタイプの無駄のない合理的な洗剤をなし、併せて弱酸性のコンセプトをフルに活かしていく。
【解決手段】その為に本発明では、3大成分をゴールデントライアングルフォーミュラの形式で配合し、そのバランスの上にその支持体(サポート)媒体を自然に含ませてアクアゲルのソリューションを形成し、水を10〜12倍入れることにより、より粘りのある、泡立ちや分散力のある、しかも水切りの良い弱酸性の感触のよい商品とする。即ち3大成分として、SAS,アルキル脂肪酸アミドノニオン+アルキルアミドプロピルベタイン両性イオンを60%以上とし、これにフルに1〜多価アルコールを加えて、安定的で使いやすい、初の弱酸性タイプの洗浄,除菌,消臭に優れた、かつ安心,安全,エコに即した未来型の商品形態を確立する。

【発明の詳細な説明】
【技術の分野】
【0001】
本発明は弱酸性タイプの濃縮洗剤組成物で、野菜果物から食器調理用具まで手洗いで洗浄する洗剤に関わり、特に使用時に水で希釈して自らの製品(マイデタージェント)を作製し、以てそれぞれの特性を活かした洗剤商品に関するものである。
特に予てから注目されているアルキルスルホン酸塩(SASという)をフルに利用して、小さくしても大きな力(エントロピー)を発揮する化学の力を信じて組成した、SAS−脂肪酸アミドエステル−アミドベタインの3分体をトライアングルのコンセプトに加えた。
【0002】
以てSASの特徴をフルに出現させることに成功したものである。本発明は弱酸性タイプにして、従来からこれに両性イオンとアニオンの界面活性剤を使用したもの自体は山ほどあり、SASの補助剤とされていた。
【0003】
ところがSASのメーカーが少なく、SASの独占的生産はドイツ(IGグループからの3社)だけで、他のメーカーがトライしても全く成功しなかった。
【背景技術】
【0004】
SASはドイツのIGグループが、n−パラフィンからこれをスルホン化し、アルカリ中和して製造するものとして戦後注目され、日本でも1980年代に生分解性の優れた界面活性剤としてPRされていた。LAS,AES,ASのものが安く、メーカーも多く、汎用品で粉末からリキッドまで応用でき、戦前から(LASは戦後)注目され始めてから他の界面活性剤と抜群の安定性があり、酸,アルカリ,酸化剤にも強いという良過ぎた反面、コスト的にLASやアルコール系に及ばず、作業性も悪く、また粘度が出にくく、粉末化が困難であった。
これに対して、我が国で唯一n−パラフィンを利用して、このSASの商品化に成功したメーカー(日本鉱業)が1990年前半に石油化学のバイプロのn−パラフィンのスルホン化し、このスルホン化ソーダは競合品が少なく、C15にピークを置くものが優れた性能を有することも判明して、いくつかの特性が示されている。
【0005】
アミンオキシドとSASのクレンザー組成物,アミンオキシドとSASの次亜塩素酸ソーダの増粘化や安定化,SASとゼオライトの粉末洗剤,SASをカチオン化セルロースやエトキシ4分子アンモニウム塩や各種コンディショニング剤(アロマ,プロテイン,コラーゲン,コンドロイチン,ヒアルロン酸,サイクロデキストリン,トレハロース,ポリフェノール,グルコサミン,葉酸,パンテノール,甘草等)などを併用したヘアケア,スキンケア化粧品などである。
【0006】
本発明書も日本初の国産化に対して、対象品(ドイツ)との比較データを綿密に取っているが、総合力で国産が良いことを知りつつ、21世紀を迎えてエコブームがSASを再燃させた。
それと共に併用する非イオンタイプも両性タイプも大幅に改良され、SASのストレートなスルホン化物の洗浄力の良いものが出現しつつ、とりわけアミンオキシド,アルキルグルコシド,アルキル脂肪酸エステル,エーテル化脂肪酸エステル,ベタイン系両性イオンのアルキル部の異性体(アルキルアミドプロピル,アルキルヒドロキシなど)がある。
【0007】
一方では濃縮タイプ(界面活性剤が60%以上)が注目され、水を運んでいるようなことなく、付加価値の高い洗剤を送ることのメリットを追求して、両性イオンや脂肪酸アルカノールアミドや親水性ポリマー(PVA,アクリル,変性でんぷん,エトキシゴム系など)を併用して濃縮化を図ることとなった。
例えばLAS塩はアルカノールアミンで中和して、より粉末化やスキンケア商品となった。
ASは噴霧(スプレー)し易く、主に粉せっけんなどに併用された。
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
先述したようにSASの特徴をそのまま生かしながらバランスのとれた洗剤、即ち仕上がりが爽やかで泡切れの優れた、さっと洗えてべとつかない、最小の使用で最大のパワー(エントロピー第二の法則)を目指すことにより、シンプルブレンド,設備の不要,直観として使いやすいと思うこと,肝心の汚れ落ちの良さ水中で分散力が抜群に良い,TLmも小さいなどベストエコロジーを狙うことが肝要である。
【0009】
本発明は歴史的に、また日本で初めての国産SASの優秀度を十分把握しながら、これに省エネ,省資源,配送コストの低下,包材の削減,ごみの削減を通して、COの削減や有限材料の縮減を図り、排水の化学的影響を極力抑えることを考え、本発明がこれに対応できることを秘めている。
【0010】
そのため本発明では、はじめにアミンオキシドを切り(PRTR対応)、第一にヤシ油脂肪酸アルカノールアミド(脂肪酸のアミドエステル)の使用を大前提として、この脂肪酸アミドエステルの塩類をSASと同量近く(従来はアニオン:ノニオン=6〜7:3〜4がベストとされていた)に、第三成分としてベタイン系両性イオン(pHが4〜5位)で+,−イオンの両方を共役する界面活性剤を、またSAS,脂肪酸アミドエステルと等量に近い量(レシオ)で配合し、この分散媒として−OHラジカルを有する1〜多価のアルコールを全界面活性剤の10〜15%含有させることによって均一なソリューションを組成することと共に、この中に水分を6〜12倍も配合して構造変化で増粘化して三次元的な複合体が得られることを認めた。
【0011】
主役のSASは言うに及ばずn−パラフィンから得られる安定性の高い油分で、これをスルホン化して苛性ソーダで中和した、平均MW=314の高分子化合物である。

これにノニオン系のヤシ油(C12〜C18)のエタノールアミド(C12〜C14がベスト)、およびベタイン系の両性イオン


が、代表であり、アニオン,ノニオンと両性(AMPとする)はイーブンレシオ(最大±25%以内)で混ざり合って、均一なソリューションを形成する。
時にはコロイド粒子位に肥大するものが、1〜多価アルコールがこれをセーブする。
界面活性剤の3成分の相互作用において、例えば「油化学」(昭和53年10月 日本化学会主催vol.28/8‘79)で例示されているようにこの複合効果を狙うことが使用量の低減につながり、最小で最大の効果への応用へとつながる。
【0012】
本発明は、この3大界面活性剤とアルコール系分散剤であって、さらにpHを3〜6(4〜5.5が好ましい)に調整する。このpH域は極めて安定なファクターである。
本発明の最大のポイントは、水で10〜12倍(最大15倍)まで希釈しても増粘系を形成し、発泡性も向上するカウンターアタック現象を示すものである。
当該洗剤組成物、特に台所用(JIS K−3370)洗剤にとっては、極めて重要な意義をもつ。
【課題を解決するための具体的手段】
【0013】
本発明は一般普及のある手洗いの台所用洗剤(JIS K−3370)のクライテリアを構築することで、トライアングルバランスのSAS−アミドエステル−アミドベタインをイーブンレシオで60%以上配合し、その上でこの可溶化共存を踏まえ、水の加入でヒドロゲルを形成するように、1〜多価のアルコールを当該界面活性剤の10〜15%を含ませてソリューションの親水体を形成する。そのpHを3〜6の弱酸性をセレクトして、手肌やタンパク変性の低い状況を作り、抗菌力,除菌力のあるサプリメントも発揮させるものである。
【0014】
本発明のSASアニオンはn−パラフィン(R−H)を極短波長系(hν)でスルホン化して中和したもので、R−SONaが中心として(RはC15中心)、MW=310〜320近辺のものを5〜30w%(8〜25%がより好ましい)−(1)
アルキル脂肪酸ジエタノールアミドエステルノニオンはヤシ,ラウリル,ミリスチル,脂肪酸ジエタノールアミドエステルが5〜30w%(6〜28%がより好ましい)−(2)
と、今ひとつ第三成分として、ベタイン系両性イオンでpH5〜5.5のもの、ヤシアミドプロピル,ヤシイミダゾリウム,ヤシアルキル酢酸ベタイン系など、5〜30w%(6〜24%がより好ましい)と、(1),(2),(3)がまるで正三角形を描くように配合し、ゴールデントライアングルフォーミュラとすることが、配合マトリックスで中粘性(20℃:150〜400cP)を発揮し、この状態が使用する者にとって最も使いやすい液状である。
【0015】
さらに本発明の第四成分は、1〜多価のアルコールである。
アルコールは末端に−OH基を有するもので、本発明でも水溶性アルコールに限る。1価ではC〜Cのアルコール、2価はPP,BG,HG,HPG,DPG,TPG,ソルビトール,マルチトール、その他グリセリン,ポリグリセリン,乳酸ソーダ,PCAソーダ,エリスリトールなどが含まれる。
またさらにハイドロトロープとして

や、尿素,メチロール尿素,ヒドロキシアミンも加入される。
当該物は全界面活性剤の10〜15%がベストであるが必ずしも限定されない。
【0016】
その他、本発明品は3つの界面活性剤のゴールデントライアングルをフォローするので、イソプレン化合物(リモネン,ピネン,スクワラン,メンソール,ミルセン等)などのテルペノドを含むこと。
またBHT,BHA,ピロガロール,ビタミンE,レチノールを含ませること。
【0017】
さらにpHを3〜6、特に4〜5.5に調整するためのアジャスターとしてのAHA(リンゴ酸,乳酸,グリコール酸,酒石酸,グルコン酸,クエン酸)や、若干の無機酸(リン酸,塩酸,酸性硫酸塩,スルファミン酸など)を含ませる。
これらの酸はpHが3〜6の当該液に有効で、例えば防菌剤(Anti−Fungi,Anti−Bacteria)の目的としてグレープフルーツ種子エキスやCAE▲R▼系のカチオン除菌剤,サリチル酸,安息香酸,ソルビン酸などが有効に働くこととなる。
こうして液のバイオ安定効果がキープされる。
【0018】
特に本発明の組成物は、通常の台所用洗剤の色素,香料,酵素,VA,VB,VC,VD,VE,パントテン酸,葉酸やアロマエキス(ユーカリ,ハッカ,桂皮,ローズマリー,シコニックス,ヒノキチオール,ポリフェノール,キトサン,コンドロイチン,タウリン),18種の必須アミノ酸,コラーゲンの加入を妨げない。
食品衛生法の範囲内で自由に含ませることができる。
【発明の効果】
【0019】
(1)本発明の最大のポイントは、SAS中心に超濃縮の界面活性剤(60%以上)を作製し、これを10〜12倍に水で希釈して一般既製品相当品にすることができること。つまり包装,包材,送料,在庫,取り扱いコストなどのエネルギーの節減が図れることである。
(2)その上、スピード洗浄,スピードリンスが可能で、水の節約や汚染の削減、即ちエコプランを改良する。
(3)台所用に限らず、グリーストラップ用,業務用厨房洗剤,そのまま中性系のドライクリーニング洗剤(ウールやシルクなど)や手洗い用にも利用できるほか、中性のランドリー用にも流用できる。
(4)弱酸性のために、アミン系の尿,汗,体液,加齢臭,アンモニア臭などの消臭抗菌にも優れている
(5)抜群の泡切れ、つまり両性イオンがカチオン系のものに効果し、ソフトニング効果も期待できる。
(6)一般人でも判り易い泡立ち,泡切れ,スキンケア,仕上がり,におい,風合いで、ストレートに判断でき、限りないニーズに対応することも可能である。
【0020】
以下、本発明の具体的内容を実施例により証明する。
次の処方からなる試作品を調べて、本発明の優位性を確認した。
【表−1】

【0021】
I:テスト−(1)方法

(c)10%水溶液の粘度(cP,20℃,B型粘度計)(一般既製品は100〜200cP)
テスト−(2)方法
(d)泡立ち(ロスマイルス法)
試作品10%液,市販品−▲1▼,▲2▼
n=3の平均,CaCO:300ppm
(e)洗浄力
▲A▼油…大豆油+サフラワー油(1:1)
タンパク質…レシチン,アルブミン,シクロカゼイン,モノオレイン酸,イソステアリン酸
皿…φ15cmの丸皿
※皿洗いは使用濃度を決め(10倍)、泡が無くなるまでの枚数で示した。
▲B▼リーナッツ法
JIS K−3370の方法で、スライドグラスに着色した汚垢(n=5)を5%水溶液に60分浸漬後の残液の色相を比較し、JIS指標より、+2(優れている),+1(やや優れている),0(差なし),−1(やや劣る),−2(劣る)の5ステージで、モニター(n=3)の合計点で示す。
【0022】
II:テスト−(1)結果
【表−2】

III:コメント
本発明のSAS中心の洗浄剤は、際立って安定性は勿論、泡立ち,洗浄力および使用感に優れていることが証明できた。
(SAS−アミドエステル−アルキルベタインの3分体の割合が、断然相乗効果を発揮したとの証である)
【0023】
本発明の試作品を、従来品のタイプと比較した結果、格段の有意義と意外性を確認した
【表−3】

IV:テスト方法
安定性…原液で−15℃〜40℃,90日間
◎:優れている,○:やや優れている,×:不明
経時的状態…外観,粘度,使用感を比較、評価は3人のモニターの平均値
◎:優れている,○:同等,×:劣る
粘度…本品8.3%水溶液(約12倍)と従来品の10%水溶液
20℃と40℃の粘度を測定(n=3の平均)
【表−4】

【0024】
V:コメント
本発明の組成物は、8.3%(12倍)の粘性水溶液で、従来品の10倍の粘度を調べた結果、外観,状態,実質の粘度共、本発明の希釈水溶液のみが極端に差異がみられた。
即ち、本発明の構成液は従来の同一組成でのAES,LAS,SASの一般型を明らかにし、外観,粘度の温度依存性,使用感において明白の有意義があり、本発明組成物の特徴を証明するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)アルキルスルホン酸塩(アルキル:R=C12〜C18)(Na,K,NH)の5〜30w%含む水溶液に、脂肪酸アルカノールアミド(アルキル:C12〜C18)が5〜30w%、およびアルキルアミドプロピルベタイン(C10〜C18),アルキルイミダゾリニウム,アルキルヒドロスルホキシルベタイン,アルキル(C12〜C15)酢酸ベタインから選ばれる両性イオン系が5〜30w%含む、アニオン−ノニオン−両性イオン系に界面活性剤が60〜90w%混合して、親水性アルコール(1価または多価のアルコール,EG,PG,DPG,1.3BG,HG,PEG−200〜600,グリセリン,ソルビトール,マルチトールからの多価アルコール)を5〜15w%含んだ、pHが3〜6に調整された洗浄剤組成物
【請求項2】
(1)アルキルスルホン酸塩(R=C12〜C18)(Na,K,NH)のアニオン5〜30w%(10〜20%)
(2)脂肪酸アルカノールアミド(R=12〜15)ノニオンが5〜30w%(10〜30%)
(3)アルキル(C12〜C18)アミドプロピルベタイン,アルキルイミダゾリニウムベタイン,アルキル酢酸ベタイン,アルキルヒドロスルホキシルベタインの両性イオンが5〜30w%(3〜15%)の(1)+(2)+(3)=60〜90w%(65〜90%)に、(4)アルコール系分散媒体(PG,EG,1,3BG,DPG,HG,ソルビトール,マルチトース,グリセリン,PEG−200〜600)を5〜15w%含ませて、当該(1)〜(4)の水性混合体のpHを3〜6に有機酸(ヒドロキシカルボン酸)で調整した洗浄剤組成物

【公開番号】特開2011−127087(P2011−127087A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299428(P2009−299428)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(509036300)株式会社東企 (13)
【Fターム(参考)】