説明

濾過システム

【課題】ユーザに、水質の悪化した処理水が極力供給されないようにした濾過システムを提供する。
【解決手段】原水に含まれる懸濁物質を濾材により捕捉して処理水を製造する濾過手段と、逆洗浄工程及び水洗工程からなる前記濾材の洗浄動作が正常に終了したか否かを判定する洗浄動作判定手段34と、洗浄動作判定手段34により洗浄動作が正常に終了していないと判定された場合には、処理水の製造を停止する制御手段35と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地下水等の原水に含まれる懸濁物質(例えば、微粒子、有機物、溶存鉄の酸化析出物等)を濾材層(濾材)により捕捉して、処理水を製造する濾過システムが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−191014号公報
【特許文献2】特開2003−190973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような濾過システムに使用される濾材層は、捕捉した懸濁物質の増加に伴い、次第に濾過性能が低下する。濾材層の濾過性能が低下したまま使用すると、処理水に懸濁物質が漏れてしまい、処理水の水質が悪化する。
【0005】
一般的な濾過システムにおいては、処理水の流路に接続した水質計により処理水の水質を計測している。そして、水質計により計測された水質が所定の水質を満たしていない場合に、処理水の製造を停止するようにしている。しかし、処理水の水質が所定の水質を満たしているか否かを判定するには、所定の時間が必要となる。従って、判定が終了するまでの間に、水質の悪化した処理水がユーザに供給されてしまうおそれがある。特に、洗浄動作を実施したときに、洗浄不良が発生した場合には、濾過塔の内部に水質の悪化した処理水が大量に残留する。このため、洗浄動作の終了後に通水を行うと、水質の悪化した処理水がユーザに供給される可能性がより高くなる。
【0006】
本発明の課題は、ユーザに、水質の悪化した処理水が極力供給されないようにした濾過システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、原水に含まれる懸濁物質を濾材により捕捉して処理水を製造する濾過手段と、逆洗浄工程及び水洗工程からなる前記濾材の洗浄動作が正常に終了したか否かを判定する洗浄動作判定手段と、前記洗浄動作判定手段により洗浄動作が正常に終了していないと判定された場合には、処理水の製造を停止する制御手段と、を備えた濾過システムに関する。
【0008】
また、前記濾過システムにおいて、前記制御手段は、通水優先モード又は水質優先モードの設定が可能であり、前記洗浄動作判定手段により洗浄動作が正常に終了していないと判定された場合において、前記通水優先モードが設定されているときには、処理水の製造を開始し、前記水質優先モードが設定されているときには、処理水の製造を停止することが好ましい。
【0009】
また、前記濾過システムにおいて、前記制御手段は、前記洗浄動作判定手段により洗浄動作が正常に終了していないと判定された場合において、前記濾過手段における洗浄動作の実施回数が当該濾過手段における洗浄動作の実施許可回数以上のときには、設定された通水優先モード又は水質優先モードの処理を実行し、前記濾過手段における洗浄動作の実施回数が当該濾過手段における洗浄動作の実施許可回数未満のときには、前記濾過手段の洗浄動作を実施することが好ましい。
【0010】
また、前記濾過システムにおいて、前記洗浄動作判定手段は、前記逆洗浄工程において前記濾材へ供給した洗浄水の流量及び/又は圧力に基づいて、前記濾材の洗浄動作が正常に終了したか否かを判定することが好ましい。
【0011】
また、前記濾過システムにおいて、前記洗浄動作判定手段は、前記水洗工程において前記濾材へ供給した濯ぎ水の流量及び/又は圧力に基づいて、前記濾材の洗浄動作が正常に終了したか否かを判定することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザに、水質の悪化した処理水が極力供給されないようにした濾過システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態の水処理システム1を示す構成図である。
【図2】実施形態の水処理システム1の制御に係る構成を示す機能ブロック図である。
【図3】実施形態の制御装置30による洗浄動作の制御手順を示すフローチャートである。
【図4】実施形態の制御装置30による洗浄動作の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の濾過システムを水処理システムに適用した場合の実施形態について説明する。図1は、本実施形態の水処理システム1を示す構成図である。図2は、本実施形態の水処理システム1の制御に係る構成を示す機能ブロック図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の水処理システム1は、地下水等の原水W1が流通する原水ラインL1と、原水ポンプ2と、原水バルブ3と、原水W1に含まれる懸濁物質を濾材層(濾材)により捕捉して処理水W2を製造する濾過手段としての濾過処理装置4と、処理水W2が流通する処理水ラインL2と、給水バルブ7と、処理水W2を貯留する処理水タンク8と、処理水配給ラインL3と、処理水配給ポンプ9と、洗浄水供給ラインL5と、洗浄水供給ポンプ15と、洗浄水バルブ16と、排水ラインL4と、薬剤添加装置11と、水圧計17と、流量計18と、処理水用水質計19と、入力部20と、制御装置30と、を備える。なお、「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0016】
原水ラインL1は、原水W1が流通するラインである。原水ラインL1の上流側の端部は、原水W1の供給源(不図示)に接続されている。原水ラインL1の下流側の端部は、コントロールバルブ6(後述)を介して、濾過処理装置4に接続されている。原水ポンプ2は、原水ラインL1に設けられている。原水ポンプ2は、地下水等の原水W1を濾過処理装置4に向けて送出することができる。原水ポンプ2の運転(駆動及び停止)は、制御装置30(後述)によって制御される。
【0017】
原水バルブ3は、原水ラインL1に設けられている。原水バルブ3の開閉は、制御装置30によって制御される。原水バルブ3を開弁することにより、原水ラインL1を流通する原水W1の供給を開始することができる。また、原水バルブ3を閉弁することにより、原水ラインL1を流通する原水W1の供給を停止することができる。
【0018】
これら原水ラインL1、原水ポンプ2及び原水バルブ3は、逆洗浄された濾過処理装置4の濾材層を原水W1で濯ぎ、濾材層を濯いだ原水W1を系外へ排出する水洗手段として機能する。
【0019】
原水ラインL1には、添加点J1において、薬剤添加装置11が接続されている。原水ラインL1には、薬剤添加装置11により所定の薬剤が添加される。また、原水ラインL1の合流点J2には、洗浄水供給ラインL5(後述)が合流している。
【0020】
薬剤添加装置11は、下流側の濾過処理装置4において懸濁物質を除去しやすくするために、所定の薬剤を添加する装置である。薬剤は、凝集剤や酸化剤であり、濾過処理装置4の濾過方法に応じて、適宜選択される。
【0021】
薬剤添加装置11は、薬剤貯留部11aと、薬剤添加ポンプ11bと、を備える。薬剤貯留部11aは、薬剤を貯留するタンクである。薬剤添加ポンプ11bは、原水ラインL1の添加点J1において、薬剤貯留部11aに貯留された薬剤を原水W1に送出する装置である。薬剤添加ポンプ11bの運転(駆動及び停止)は、制御装置30によって制御される。
【0022】
また、原水ラインL1の計測点J3には、水圧計17が接続されている。計測点J3は、合流点J2の下流側に位置する。水圧計17は、原水ラインL1を流通する原水W1(濯ぎ水としての流通を含む)又は洗浄水(後述)の水圧(圧力)を計測する計測装置である。水圧計17は、制御装置30と電気的に接続されている。水圧計17は、計測した水圧の計測値(水圧データ)を、制御装置30に送信する。これにより、制御装置30は、原水ラインL1を流通する原水W1や洗浄水の水圧を算出することができる。
【0023】
また、原水ラインL1の計測点J4には、流量計18が接続されている。計測点J4は、計測点J3の下流側に位置する。流量計18は、原水ラインL1を流通する原水W1(濯ぎ水としての流通を含む)又は洗浄水(後述)の流量を計測する計測装置である。流量計18は、制御装置30と電気的に接続されている。流量計18は、計測した流量の計測値(流量データ)を、制御装置30に送信する。これにより、制御装置30は、原水ラインL1を流通する原水W1や洗浄水の流量を算出することができる。
【0024】
濾過処理装置4は、原水ラインL1の下流側の端部に設けられている。濾過処理装置4は、原水W1に含まれる懸濁物質を濾材層(不図示)により捕捉して、処理水W2を製造する装置である。濾過処理装置4は、濾材層を有する濾過塔5と、逆洗浄手段としてのコントロールバルブ6と、排水ラインL4と、を備える。濾過処理装置4は、これら各部を備えることにより、濾材層の定期的な洗浄動作(逆洗浄工程及び水洗工程)を実施することができる。
【0025】
すなわち、濾過処理装置4には、逆洗浄工程時に、洗浄水供給ラインL5(後述)を介して濾材層に洗浄水が供給される。濾材層によって捕捉された懸濁物質は、洗浄水と共に系外へ排出される。本実施形態においては、洗浄水として、処理水W2が供給される。また、濾過処理装置4には、水洗工程時に、逆洗浄された濾材層を濯ぐために、濾材層に濯ぎ水が供給される。濾材層を濯いだ濯ぎ水は、系外へ排出される。本実施形態においては、濯ぎ水として原水W1が供給される。
【0026】
濾過塔5は、懸濁物質を濾過するための濾材層をその内部に有する。コントロールバルブ6は、濾過塔5に対して流入又は流出する水(原水W1、処理水W2、及び洗浄動作時の洗浄水や濯ぎ水等)の流路を制御する。コントロールバルブ6の開閉は、制御装置30(後述)によって制御される。コントロールバルブ6は、逆洗浄手段及び水洗手段として機能する。
【0027】
排水ラインL4は、コントロールバルブ6に接続されている。排水ラインL4は、後述する逆洗浄工程において濾材層に供給された洗浄水(処理水W2)や、後述する水洗工程において濾材層に供給された濯ぎ水(原水W1)等を系外に排出する。排水ラインL4は、逆洗浄手段及び水洗手段として機能する。
【0028】
濾過処理装置4は、処理水タンク8から洗浄水供給ラインL5を介して供給される処理水W2(洗浄水)によって、逆洗浄可能に構成されている。洗浄水供給ラインL5は、上流側の端部が処理水タンク8に接続され、下流側の端部が原水ラインL1の合流点J2に合流している。
【0029】
洗浄水供給ラインL5は、洗浄水を送出する逆洗浄手段としての洗浄水供給ポンプ15と、洗浄水供給ラインL5を開閉する逆洗浄手段としての洗浄水バルブ16が設けられている。洗浄水供給ポンプ15は、制御装置30と接続されている。洗浄水供給ポンプ15の運転(駆動及び停止)は、制御装置30によって制御される。洗浄水バルブ16は、制御装置30と接続されている。洗浄水バルブ16の開閉は、制御装置30によって制御される。
【0030】
濾過処理装置4の形式は、原水W1中の除去対象物質に応じて種々選択される。濾過処理装置4としては、例えば、次のような砂濾過装置を挙げることができる。
【0031】
砂濾過装置は、原水W1に含まれる微粒子等の懸濁物質を濾材層(不図示)により捕捉して除去する装置である。砂濾過装置としては、例えば、硅石等の粗粒濾材と、アンスラサイト、濾過砂等の細粒濾材と、から形成された濾材層(不図示)を有する塔式のものが挙げられる。濾過処理装置4として、砂濾過装置が使用される場合には、原水W1に含まれる懸濁物質を凝集(フロック化)させて除去し易くする必要がある。そのため、濾過塔の上流側に配置された薬剤添加装置11によって、凝集剤(例えば、ポリ塩化アルミニウム)を添加する。
【0032】
以上のように構成された濾過処理装置4には、処理水ラインL2が接続されている。
次に、処理水ラインL2及び処理水ラインL2に関連する構成要素について説明する。処理水ラインL2の上流側の端部は、濾過処理装置4のコントロールバルブ6に接続されている。処理水ラインL2の下流側の端部は、処理水タンク8に接続されている。処理水ラインL2は、濾過処理装置4によって製造された処理水W2が流通する。
【0033】
処理水ラインL2には、給水バルブ7が設けられている。給水バルブ7は、処理水ラインL2を開閉する。給水バルブ7は、制御装置30と接続されている。給水バルブ7の開閉は、制御装置30によって制御される。
【0034】
また、処理水ラインL2には、計測点J5において、処理水用水質計19が接続されている。処理水用水質計19は、処理水ラインL2を流通する処理水W2の水質(例えば、濁度又は色度等)を計測する装置である。処理水用水質計19は、制御装置30と電気的に接続されている。処理水用水質計19は、計測した水質の計測値(水質データ)を、制御装置30に送信する。制御装置30は、処理水用水質計19から送信された水質の計測値に基づいて、処理水W2の水質を判定することができる。
【0035】
処理水タンク8は、処理水ラインL2の下流側の端部に接続されている。処理水タンク8は、処理水ラインL2を介して導入された処理水W2を貯留するタンクである。
【0036】
処理水タンク8は、水位計8aを備える。水位計8aは、処理水タンク8に貯留された処理水W2の水位を計測する計測装置である。水位計8aは、制御装置30と電気的に接続されている。水位計8aは、計測した水位の計測値(水位データ)を、制御装置30に送信する。制御装置30は、水位の計測値に基づいて処理水タンク8の水位を算出することができる。制御装置30は、処理水タンク8の水位が所定の水位を下回った場合には、処理水タンク8への給水処理を実施する。
【0037】
本実施形態においては、処理水タンク8の処理水W2を洗浄水として使用することにより、濾過処理装置4の逆洗浄工程を実施する。
【0038】
なお、処理水タンク8には、バックアップ給水ライン(不図示)が接続されている。バックアップ給水ラインからは、別系統の水処理システム等で製造された処理水や上水等からなるバックアップ水が供給される。バックアップ水は、処理水タンク8における処理水W2の貯留量が処理水W2の需要量に対して不足する場合(例えば、濾過処理装置4の洗浄動作中等)において、供給される。
【0039】
処理水配給ラインL3は、処理水タンク8から、下流側の需要箇所(不図示)に、処理水W2を流通させるラインである。処理水配給ラインL3の上流側の端部は、処理水タンク8に接続されている。処理水配給ラインL3の下流側の端部は、処理水W2の需要箇所に接続されている。処理水W2の需要箇所としては、例えば、ボイラや飲料水用設備が挙げられる。
【0040】
処理水配給ラインL3には、処理水配給ポンプ9が設けられている。処理水配給ポンプ9は、処理水タンク8からの処理水W2を、下流側の需要箇所に送出することができる。処理水配給ポンプ9は、制御装置30と電気的に接続されている。処理水配給ポンプ9の運転(駆動及び停止)は、制御装置30によって制御される。
【0041】
入力部20は、管理者が水処理システム1に対して、通水優先モード又は水質優先モードを入力したり、洗浄動作の許可回数Nを入力したりするための入力装置である。入力部20は、制御装置30と電気的に接続されている。
【0042】
ここで、通水優先モードとは、洗浄動作が正常に終了しなかった場合に、処理水W2の製造を開始するモードである。すなわち、洗浄動作が正常に終了せず、水質の悪い処理水W2が供給される可能性がある場合でも、供給を許容し、所定水量の処理水2の確保を優先するモードである。一方、水質優先モードは、洗浄動作が正常に終了しなかった場合に、処理水W2の製造を停止するモードである。すなわち、洗浄動作が正常に終了せず、水質の悪い処理水W2が供給される可能性がある場合には、供給を許容せず、所定水質の処理水W2の確保を優先するモードである。上記2つの優先モードのうち、どちらの優先モードを設定するかは、処理水タンク8の下流側に接続された需要箇所(不図示)に応じて、適宜に選択することができる。
【0043】
また、洗浄動作の許可回数Nとは、洗浄動作が正常に終了しなかった場合に、通水優先モード又は水質優先モードの処理に移行するか否かを判定する際に用いられる設定値である。
【0044】
入力部20は、例えば、水処理システム1の制御盤(不図示)に設けられたキーボードやテンキーにより構成される。水処理システム1の管理者は、制御盤を操作することにより、通水優先モード又は水質優先モードのいずれかの優先モードを入力することができる。また、水処理システム1の管理者は、制御盤を操作することにより、洗浄動作の許可回数Nを入力することができる。制御盤から入力された優先モードに関する情報や洗浄動作の許可回数Nに関するデータは、制御装置30のメモリ部40(後述)に記憶(設定)される。
【0045】
次に、図2を参照して、本実施形態の水処理システム1の制御に係る構成について説明する。
【0046】
制御装置30は、水処理システム1における各部を制御する部位である。制御装置30は、例えば、CPU(中央処理装置)やメモリのほか、入出力ポート等の周辺回路を備えたマイクロプロセッサにより構成される。
【0047】
制御装置30は、図2に示すように、例えば、原水ポンプ2、処理水配給ポンプ9、薬剤添加ポンプ11b、洗浄水供給ポンプ15、原水バルブ3、コントロールバルブ6、給水バルブ7及び洗浄水バルブ16と電気的に接続される。また、制御装置30は、図2に示すように、例えば、水圧計17、流量計18、水位計8a、処理水用水質計19及び入力部20と電気的に接続される。なお、図1においては、上記各部が制御装置30と電気的に接続された制御経路を破線で示している。
【0048】
制御装置30は、制御部31と、メモリ部40と、を備える。制御部31は、洗浄動作実施判定部32と、洗浄動作実施制御部33と、洗浄動作判定手段としての洗浄動作成否判定部34と、制御手段としての給水動作制御部35と、を備える。
【0049】
洗浄動作実施判定部32は、処理水用水質計19により計測された処理水W2の水質の計測値に基づいて、処理水W2の水質が所定の水質を満たしているか否かを判定する。洗浄動作実施判定部32は、処理水W2の水質が所定の水質を満たしていないと判定したときは、「濁質漏れあり」と判定する。また、洗浄動作実施判定部32は、処理水W2の水質が所定の水質を満たしていると判定したときは、「濁質漏れなし」と判定する。洗浄動作実施判定部32は、判定結果を洗浄動作実施制御部33に送信する。
【0050】
洗浄動作実施制御部33は、洗浄動作実施判定部32から、濁質漏れありの判定結果を受信した場合に、洗浄動作(逆洗浄工程及び水洗工程)を実施する。洗浄動作実施制御部33は、洗浄動作を実施する場合に、次のような制御を行う。
【0051】
洗浄動作実施制御部33は、逆洗浄工程を実施する場合において、コントロールバルブ6を逆洗浄工程用の流路に切り換える。また、洗浄動作実施制御部33は、原水バルブ3及び給水バルブ7を閉弁すると共に、洗浄水バルブ16を開弁する。これにより、洗浄水(処理水W2)が濾材層に対して上昇するように流される。洗浄動作実施制御部33は、設定された逆洗浄時間だけ洗浄水供給ポンプ15を運転してから停止する。
【0052】
続いて水洗工程を実施する場合に、洗浄動作実施制御部33は、コントロールバルブ6を水洗工程用の流路に切り換える。また、洗浄動作実施制御部33は、給水バルブ7を閉弁したまま洗浄水バルブ16を閉弁し、原水バルブ3を開弁する。これにより、濯ぎ水(原水W1)が濾材層に対して下降するように流される。そして、洗浄動作実施制御部33は、設定された水洗時間だけ原水ポンプ2を運転してから停止する。
【0053】
洗浄動作成否判定部34は、濾過処理装置4の洗浄動作(逆洗浄工程及び水洗工程)が正常に終了したか否かを判定する。
【0054】
洗浄動作成否判定部34は、逆洗浄工程において、濾過処理装置4の濾材層に供給した洗浄水(処理水W2)の流量及び洗浄水の水圧に基づいて、濾材層の洗浄動作が正常に終了したか否かを判定する。洗浄動作成否判定部34は、逆洗浄工程における洗浄水の流量を、流量計18から送信された流量の計測値に基づいて算出する。また、洗浄動作成否判定部34は、逆洗浄工程における洗浄水の水圧を、水圧計17から送信された水圧の計測値に基づいて算出する。
【0055】
洗浄動作成否判定部34は、逆洗浄工程における洗浄水の流量が規定量に達しているか否か、及び逆洗浄工程における洗浄水の水圧が規定値に達しているか否かを判定する。そして、洗浄動作成否判定部34は、洗浄水の流量が規定量に達しており且つ洗浄水の水圧が規定値に達しているときには、濾材層の洗浄動作が正常に終了したと判定する。また、洗浄動作成否判定部34は、洗浄水の流量が規定量に達していないとき及び(又は)洗浄水の水圧が規定値に達していないときには、濾材層の洗浄動作が正常に終了しなかったと判定する。
【0056】
また、続く水洗工程において、洗浄動作成否判定部34は、濾過処理装置4の濾材層に供給した濯ぎ水(原水W1)の流量及び濯ぎ水の水圧に基づいて、濾材層の洗浄動作が正常に終了したか否かを判定する。洗浄動作成否判定部34は、水洗工程における濯ぎ水の流量を、流量計18から送信された流量の計測値に基づいて算出する。また、洗浄動作成否判定部34は、水洗工程における濯ぎ水の水圧を、水圧計17から送信された水圧の計測値に基づいて算出する。
【0057】
洗浄動作成否判定部34は、水洗工程における濯ぎ水の流量が規定量に達しているか否か、及び水洗工程における濯ぎ水の水圧が規定値に達しているか否かを判定する。そして、洗浄動作成否判定部34は、濯ぎ水の流量が規定量に達しており且つ濯ぎ水の水圧が規定値に達しているときには、濾材層の洗浄動作が正常に終了したと判定する。また、洗浄動作成否判定部34は、濯ぎ水の流量が規定量に達していないとき及び(又は)濯ぎ水の水圧が規定値に達していないときには、濾材層の洗浄動作が正常に終了しなかったと判定する。
【0058】
洗浄動作成否判定部34は、逆洗浄工程において、濾材層の洗浄動作が正常に終了した場合でも、続く水洗工程において、濾材層の洗浄動作が正常に終了していなければ、濾材層の洗浄動作が正常に終了していないと判定する。すなわち、洗浄動作成否判定部34は、逆洗浄工程及び水洗工程のいずれの工程においても、濾材層の洗浄動作が正常に終了したときには、濾材層の洗浄動作が正常に終了したと判定する。また、洗浄動作成否判定部34は、逆洗浄工程又は水洗工程のいずれか一方の工程において、濾材層の洗浄動作が正常に終了しなかったときには、洗浄動作が正常に終了していないと判定する。
【0059】
給水動作制御部35は、洗浄動作成否判定部34において、濾材層の洗浄動作が正常に終了したと判定された場合には、原水バルブ3を開弁する。これにより、原水ラインL1を流通する原水W1が濾過処理装置4へ供給され、処理水W2の製造が開始される。
【0060】
一方、給水動作制御部35は、洗浄動作成否判定部34において、濾材層の洗浄動作が正常に終了しなかったと判定された場合には、洗浄動作の許可回数N≦洗浄動作の実施回数nとなる否かを判定する。給水動作制御部35は、洗浄動作の許可回数N≦洗浄動作の実施回数nであると判定した場合には、後述するように、予め設定された通水優先モード又は水質優先モードの処理を実行する。また、給水動作制御部35は、洗浄動作の許可回数N≦洗浄動作の実施回数nでないと判定した場合には、濾材層の洗浄動作を実施する。
【0061】
給水動作制御部35は、通水優先モードの処理を実行する場合には、原水バルブ3を開弁する。これにより、原水ラインL1を流通する原水W1を濾過処理装置4に供給し、処理水W2の製造を開始する。一方、給水動作制御部35は、水質優先モードの処理を実行する場合には、原水バルブ3を閉弁する。これにより、原水ラインL1を流通する原水W1の供給を停止し、処理水W2の製造を強制的に停止する。
【0062】
メモリ部40は、水処理システム1の制御に必要な制御プログラムや各種データ等を記憶する。具体的には、メモリ部40は、水処理システム1の制御に必要な各種機能を動作させる制御プログラム、入力部20から入力された通水優先モード又は水質優先モードに関するデータ、前記各計測装置によって計測された計測値(例えば、流量データ、水圧データ等)、各種閾値等を記憶する。
【0063】
また、メモリ部40には、洗浄動作の許可回数N及び洗浄動作の実施回数nが記憶される。洗浄動作の許可回数Nは、設定値として記憶される。洗浄動作の許可回数Nは、管理者により設定変更することができる。洗浄動作の実施回数nは、洗浄動作が実施される毎に「1」が加算される。洗浄動作の実施回数nは、後述するように、処理水W2の製造を強制的に停止した後に0(ゼロ)にリセットされる。
【0064】
次に、第1実施形態の水処理システム1の基本動作を、図1を参照しながら説明する。まず、水処理システム1の濾過工程について説明する。
【0065】
制御装置30は、通常の運転モードの濾過工程において、処理水タンク8への給水処理を実施する。具体的には、制御装置30は、原水ラインL1における原水ポンプ2及び薬剤添加ポンプ11bを駆動すると共に、原水バルブ3を開弁する。また、濾過処理装置4のコントロールバルブ6を濾過工程用の流路に設定する。更に、制御装置30は、処理水ラインL2の給水バルブ7を開弁する。この場合、洗浄水供給ラインL5における洗浄水供給ポンプ15は、駆動が停止しているため、洗浄水バルブ16は閉弁されたままとなる。
【0066】
原水W1は、原水ポンプ2によって原水ラインL1に供給される。そして、添加点J1において、薬剤添加装置11によって所定の薬剤が添加される。
【0067】
薬剤が添加された原水W1は、濾過処理装置4のコントロールバルブ6を介して濾過塔5の内部に導入される。濾過塔5においては、原水W1が濾材層に対して下降するように流される。これにより、原水W1に含まれる懸濁物質は、濾材により捕捉され、処理水W2が製造される。製造された処理水W2は、コントロールバルブ6を介して処理水ラインL2を流通し、処理水タンク8に貯留される。
【0068】
処理水ラインL2においては、処理水用水質計19によって処理水W2の水質が計測される。処理水用水質計19により計測された水質の計測値(水質データ)は、制御装置30に送信される。処理水タンク8においては、処理水タンク8に貯留された処理水W2の水位が水位計8aによって計測される。この水位の計測値は、水位データとして制御装置30に送信される。処理水タンク8に貯留された処理水W2は、制御装置30によって処理水配給ポンプ9が駆動されることにより、下流側の需要箇所に送出される。
【0069】
次に、濾過処理装置4の洗浄動作(逆洗浄工程及び水洗工程)について説明する。
制御装置30は、逆洗浄工程において、原水ラインL1における原水ポンプ2を停止すると共に、原水バルブ3を閉弁する。また、濾過処理装置4のコントロールバルブ6を逆洗浄工程用の流路に設定する。更に、制御装置30は、処理水ラインL2の給水バルブ7を閉弁すると共に、洗浄水供給ラインL5における洗浄水供給ポンプ15を駆動し、洗浄水バルブ16を開弁する。これにより、濾過塔5において、処理水W2が濾材層に対して上昇するように流され、濾材層に付着した懸濁物質が剥離する。洗浄後の洗浄水は、排水ラインL4を介して、系外に排出される。
【0070】
一方、水洗工程時において、制御装置30は、原水ラインL1における原水ポンプ2を駆動すると共に、原水バルブ3を開弁する。また、制御装置30は、濾過処理装置4のコントロールバルブ6を水洗工程用の流路に設定する。また、制御装置30は、処理水ラインL2の給水バルブ7を閉弁の状態に維持すると共に、洗浄水供給ラインL5における洗浄水供給ポンプ15を停止し、更に、洗浄水バルブ16を閉弁する。
【0071】
これにより、濾過塔5において、濯ぎ水としての原水W1が濾材層に対して下降するように流され、濾材が濯がれる。水洗後の濯ぎ水は、排水ラインL4を介して、系外に排出される。
【0072】
制御装置30は、洗浄動作が終了した後に、通常の運転モードに復帰する。すなわち、濾過工程において、制御装置30は、原水バルブ3及び給水バルブ7を開弁すると共に、原水ポンプ2及び薬剤添加ポンプ11bを駆動する。
【0073】
次に、本実施形態の水処理システム1における特徴的な制御を、図3及び図4を参照しながら説明する。図3及び図4は、本実施形態の制御装置30による洗浄動作の制御手順を示すフローチャートである。本実施形態では、水処理システム1の管理者により、予め通水優先モード又は水質優先モードが設定されているものとする。また、このフローチャートの処理は、制御装置30のメモリ部40に記憶している制御プログラムに基づいて、制御部31(洗浄動作実施判定部32、洗浄動作実施制御部33、洗浄動作成否判定部34及び給水動作制御部35)により実行される。また、このフローチャートの制御は、所定の時間間隔(数ミリ秒〜数秒)毎に繰り返し実行される。
【0074】
図3に示すように、ステップST101において、給水動作制御部35は、メモリ部40に記憶されている優先モードに関するデータを取得する。
【0075】
ステップST102において、洗浄動作実施判定部32は、処理水用水質計19により計測された処理水W2の水質の計測値を取得する。
【0076】
ステップST103において、洗浄動作実施判定部32は、処理水用水質計19により計測された処理水W2の水質の計測値に基づいて、処理水W2の水質が所定値を超えているか否か、すなわち、濁質漏れありか否かを判定する。ここで、濁質漏れあり(YES)と判定した場合には、ステップST104へ進む。また、濁質漏れなし(NO)と判定した場合には、本フローチャートの処理を終了する。
【0077】
ステップST104において、洗浄動作実施制御部33は、逆洗浄工程及び水洗工程のそれぞれの洗浄時間を設定する。
【0078】
ステップST105において、洗浄動作実施制御部33は、ステップST104において設定した洗浄時間に基づいて、上述した洗浄動作(逆洗浄工程及び水洗工程)を実施する。
【0079】
ステップST106において、洗浄動作成否判定部34は、逆洗浄工程の際に、流量計18により計測された洗浄水(処理水W2)の流量の計測値を取得する。また、洗浄動作成否判定部34は、逆洗浄工程の際に、水圧計17により計測された洗浄水の水圧の計測値を取得する。
【0080】
ステップST107において、洗浄動作成否判定部34は、逆洗浄工程における洗浄水の流量及び洗浄水の水圧に基づいて、濾材層の洗浄動作が正常に終了したか否かを判定する。ここで、洗浄動作が正常に終了した(YES)と判定した場合には、ステップST108へ進む。また、洗浄動作が正常に終了していない(NO)と判定した場合には、ステップST110へ進む。
【0081】
ステップST108において、洗浄動作成否判定部34は、水洗工程の際に、流量計18により計測された濯ぎ水(原水W1)の流量の計測値を取得する。また、洗浄動作成否判定部34は、水洗工程の際に、水圧計17により計測された濯ぎ水の水圧の計測値を取得する。
【0082】
ステップST109において、洗浄動作成否判定部34は、水洗工程における濯ぎ水の流量及び濯ぎ水の水圧に基づいて、濾材層の洗浄動作が正常に終了したか否かを判定する。ここで、洗浄動作が正常に終了した(YES)と判定した場合には、本フローチャートの処理を終了する。また、洗浄動作が正常に終了していない(NO)と判定した場合には、ステップST110へ進む。
【0083】
ステップST110において、給水動作制御部35は、メモリ部40に記憶している洗浄動作の実施回数nをn+1にカウントアップして、ステップST111へ進む。
【0084】
図4に示すように、ステップST111において、給水動作制御部35は、メモリ部40に記憶されている洗浄動作の許可回数N及び洗浄動作の実施回数nに関するデータを取得する。
【0085】
ステップST112において、給水動作制御部35は、洗浄動作の許可回数N≦洗浄動作の実施回数nとなるか否かを判定する。ここで、洗浄動作の許可回数N≦洗浄動作の実施回数nとなる(YES)と判定した場合には、ステップST113へ進む。
【0086】
また、洗浄動作の許可回数N≦洗浄動作の実施回数nとならない(NO)と判定した場合には、ステップST104へ進む。このように、給水動作制御部35は、洗浄動作の実施回数nが洗浄動作の許可回数N未満の場合には、上述した洗浄動作を再度実施する。
【0087】
ステップST113において、給水動作制御部35は、設定されている優先モードが水質優先モードか否かを判定する。ここで、水質優先モードが設定されている(YES)と判定した場合には、ステップST114へ進む。また、水質優先モードが設定されていない(NO)と判定した場合には、通水優先モードが設定されているとみなして、ステップST116へ進む。
【0088】
ステップST114において、給水動作制御部35は、原水バルブ3を閉弁し、処理水W2の製造を強制的に停止する。
【0089】
ステップST115において、給水動作制御部35は、メモリ部40に記憶している洗浄動作の実施回数nを0(ゼロ)にリセットして、本フローチャートの処理を終了する。
【0090】
また、給水動作制御部35は、ステップST113において、水質優先モードが設定されていない(NO)と判定した場合には、ステップST116において、原水バルブ3を開弁し、処理水W2の製造を開始する。
【0091】
上述した本実施形態の水処理システム1によれば、例えば、次のような効果が奏される。
【0092】
本実施形態の水処理システム1は、逆洗浄工程及び水洗工程からなる濾材の洗浄動作が正常に終了したか否かを判定する洗浄動作成否判定部34と、洗浄動作成否判定部34により洗浄動作が正常に終了していないと判定された場合には、処理水W2の製造を停止する給水動作制御部35と、を備える。
【0093】
そのため、濾材の洗浄動作が正常に終了していない場合には、処理水W2が製造されることがない。これによれば、処理水W2の水質の悪化を事前に察知して処理水W2の製造を停止することができるので、ユーザに、水質の悪化した処理水W2が極力供給されないようすることができる。
【0094】
また、給水動作制御部35は、通水優先モード又は水質優先モードの設定が可能であり、洗浄動作成否判定部34により洗浄動作が正常に終了していないと判定された場合において、通水優先モードが設定されているときには、処理水W2の製造を開始し、水質優先モードが設定されているときには、処理水W2の製造を停止する。
【0095】
そのため、処理水W2を供給する需要箇所に応じた給水制御を行うことができる。例えば、処理水W2を工業用水としてボイラ(不図示)に供給する場合には、ボイラの運転中に処理水W2の給水を停止することは難しい。従って、処理水W2の給水を停止するよりも、一時的に水質の悪化した処理水W2がボイラに供給されることを許容した方がボイラの運転に与える影響を少なくすることができる。このように、水質よりも通水を優先した方がよい場合には、通水優先モードを設定することが望ましい。
【0096】
一方、処理水W2を飲料用水として飲料水用設備に供給する場合には、水質が重要な条件となるため、水質の悪化した処理水W2を供給することは好ましくない。従って、処理水W2の給水を許容するよりも、処理水W2がユーザに供給されないようにすることが重要となる。このように、通水よりも水質を優先した方がよい場合には、水質優先モードを設定することが望ましい。
【0097】
また、給水動作制御部35は、洗浄動作成否判定部34により洗浄動作が正常に終了していないと判定された場合において、洗浄動作の許可回数N≦洗浄動作の実施回数nであるときには、設定された通水優先モード又は水質優先モードの処理を実行し、洗浄動作の許可回数N≦洗浄動作の実施回数nでないときには、濾材の洗浄動作を実施する。
【0098】
そのため、洗浄動作の実施回数が多い場合には、設定された優先モードが実施される。一方、洗浄動作の実施回数が比較的少ない場合には、設定された優先モードに係わらず、濾材層の洗浄動作が実施される。従って、処理水W2の製造が停止するのを出来るだけ抑制しつつ、より質の高い給水制御を行うことができる。
【0099】
また、洗浄動作成否判定部34は、逆洗浄工程において、濾材層に供給した洗浄水の流量及び洗浄水の水圧に基づいて、濾材層の洗浄動作が正常に終了したか否かを判定する。
【0100】
そのため、本実施形態の水処理システム1においては、濾材層の洗浄動作が正常に終了したか否かを、洗浄水の流量及び洗浄水の水圧により定量的に判定することができる。従って、本実施形態の水処理システム1によれば、濾材層の洗浄動作が正常に終了したか否かを正確に判定することができる。
【0101】
また、洗浄動作成否判定部34は、逆洗浄工程における上記の判定に加えて、水洗工程において、濾材層に供給した濯ぎ水の流量及び濯ぎ水の水圧に基づいて、濾材層の洗浄動作が正常に終了したか否かを判定する。
【0102】
そのため、本実施形態の水処理システム1においては、逆洗浄工程において洗浄動作が正常に終了していても、続く水洗工程において洗浄動作が正常に終了していなければ、濾材層の洗浄動作が正常に終了したと判定しない。従って、本実施形態の水処理システム1によれば、濾材層の洗浄動作が正常に終了したか否かをより正確に判定することができる。
【0103】
本実施形態の水処理システム1は、入力部20を備える。そのため、管理者は、処理水W2の需要箇所に応じて、通水優先モード又は水質優先モードのいずれかを設定することができる。また、管理者は、システムの運用形態に応じて、洗浄動作の許可回数Nを任意に設定することができる。
【0104】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
【0105】
例えば、洗浄動作実施判定部32は、原水ラインL1に接続された原水用水質計(不図示)により計測された原水W1の水質の計測値に基づいて、処理水W2の水質が所定の水質を満たしているか否かを判定するようにしてもよい(図3に示すステップST103の判定)。
【0106】
洗浄動作成否判定部34は、逆洗浄工程において、濾過処理装置4の濾材層に供給した洗浄水(処理水W2)の流量又は洗浄水の水圧のいずれかの計測値に基づいて、濾材層の洗浄動作が正常に終了したか否かを判定するようにしてもよい。
【0107】
洗浄動作成否判定部34は、水洗工程において、濾過処理装置4の濾材層に供給した濯ぎ水(原水W1)の流量又は濯ぎ水の水圧のいずれかの計測値に基づいて、濾材層の洗浄動作が正常に終了したか否かを判定するようにしてもよい。
【0108】
洗浄動作成否判定部34は、上述した洗浄水(処理水W2)及び濯ぎ水(原水W1)の流量及び/又は水圧の他に、洗浄動作の中断の有無、或いは洗浄動作中における停電の有無に基づいて、濾材層の洗浄動作が正常に終了したか否かを判定するようにしてもよい。
【0109】
給水動作制御部35は、処理水W2の製造を強制的に停止したことを管理者に知らせるため、例えば、制御盤(不図示)に設けられたランプを点灯させたり、警告音を発生させたりしてもよい。或いは、給水動作制御部35は、回線(不図示)等を通じて、管理者の操作するパソコン等にメッセージを送信するようにしてもよい。
【0110】
また、本実施形態においては、逆洗浄工程の洗浄水に処理水W2を使用し、水洗工程の濯ぎ水に原水W1を使用した例について説明した。しかし、この例に限らず、洗浄水及び濯ぎ水に処理水W2を使用してもよいし、洗浄水及び濯ぎ水に原水W1を使用してもよい。
【符号の説明】
【0111】
1 水処理システム
4 濾過処理装置(濾過手段)
18 流量計
19 処理水用水質計
30 制御装置
31 制御部
32 洗浄動作実施判定部
33 洗浄動作実施制御部
34 洗浄動作成否判定部(洗浄動作判定手段)
35 給水動作制御部(制御手段)
L1 原水ライン
L2 処理水ライン
W1 原水
W2 処理水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水に含まれる懸濁物質を濾材により捕捉して処理水を製造する濾過手段と、
逆洗浄工程及び水洗工程からなる前記濾材の洗浄動作が正常に終了したか否かを判定する洗浄動作判定手段と、
前記洗浄動作判定手段により洗浄動作が正常に終了していないと判定された場合には、処理水の製造を停止する制御手段と、
を備えた濾過システム。
【請求項2】
前記制御手段は、
通水優先モード又は水質優先モードの設定が可能であり、
前記洗浄動作判定手段により洗浄動作が正常に終了していないと判定された場合において、前記通水優先モードが設定されているときには、処理水の製造を開始し、前記水質優先モードが設定されているときには、処理水の製造を停止する請求項1に記載の濾過システム。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記洗浄動作判定手段により洗浄動作が正常に終了していないと判定された場合において、前記濾過手段における洗浄動作の実施回数が当該濾過手段における洗浄動作の実施許可回数以上のときには、設定された通水優先モード又は水質優先モードの処理を実行し、前記濾過手段における洗浄動作の実施回数が当該濾過手段における洗浄動作の実施許可回数未満のときには、前記濾過手段の洗浄動作を実施する請求項2に記載の濾過システム。
【請求項4】
前記洗浄動作判定手段は、
前記逆洗浄工程において前記濾材へ供給した洗浄水の流量及び/又は圧力に基づいて、前記濾材の洗浄動作が正常に終了したか否かを判定する請求項1〜3のいずれか一項に記載の濾過システム。
【請求項5】
前記洗浄動作判定手段は、
前記水洗工程において前記濾材へ供給した濯ぎ水の流量及び/又は圧力に基づいて、前記濾材の洗浄動作が正常に終了したか否かを判定する請求項4に記載の濾過システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−183334(P2011−183334A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52924(P2010−52924)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】