説明

濾過装置

【課題】1次濾過の後あるいは2次濾過の後にクーラント液内に残っているヘドロ状のスラッジをも除去可能な濾過装置を提供すること。
【解決手段】筒体2と、筒体2の外周に螺旋状に配設した搬送用ガイド9と、マグネットケース5とマグネットケース5の外面に配設した複数個のマグネット6を具備して筒体2内に固定した磁力発生部4と、筒体2の上方部分を収容した本体ケース10と、筒体2の外表面に近接した受入口15aと本体ケース10の外側に突出した位置に配設された排出口15bを具備して本体ケース10に取り付けられた排出部15と、筒体2又は搬送用ガイド9を回動する駆動手段14を具備し、使用済クーラント液中に下方部分を浸漬した状態で筒体2又は搬送用ガイド9を回動することで、クーラント液中の切粉を、筒体2の外表面に吸着させつつ搬送用ガイド9に沿って上方に搬送して排出部より排出可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属切削加工において使用されたクーラント液中に含まれる切粉等の磁性体の異物をマグネットの磁力により除去するための濾過装置に係り、より詳しくは、1次濾過の後、あるいは更に2次濾過の後にクーラント液中に含まれる微細な切粉をも除去可能とした濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、金属切削加工に際しては、潤滑、冷却などを目的として、被切削物と刃物に切削油(以下「クーラント液」という。)が注がれ、更に、この使用された切削油は再利用されるが、使用済のクーラント液の中には、切粉等の磁性体の異物が含まれているために、再利用に際してはまず、濾過装置によってクーラント液中に含まれる切粉等の磁性体の異物が除去される。
【0003】
そして、この使用済クーラント液の中から切粉等の磁性体の異物を除去する濾過装置の中には、マグネットの磁力によって切粉等を吸着して除去するものがある。
【0004】
例えば、特開2003−33676号に記載されるマグネットスクリュー式濾過機では、基端及び先端を閉鎖した長尺の筒体の内部に、外周に磁石を螺旋状に配置した磁石支持体を取り付けた回転軸を回転自在に支持して構成されており、この濾過機でクーラント液中に含まれる切粉等の磁性体の異物を除去するときには、先端部をクーラントタンク内のダーティー液に浸漬した状態で筒体を回転する。
【0005】
そうすると、ダーティー液内の切粉等の磁性体の異物は、磁力によって筒体の外面に吸着されるとともに、筒体の外面上を、基端部に向かって搬送されていき、それによってダーティー液内から除去することが可能である。
【0006】
またそのほか、鋼球、小ネジ、ボルト、ナット等の磁性体材料からなる物品を磁力によって搬送する発明として特開平9−328229号公報に記載された搬送装置があり、この搬送装置では、筒状の搬送部材の内部に、円柱状の回転軸と磁力発生部を有する回転ヨーク部を配設し、搬送部材の外周面には搬送路用支持ガイドをスパイラル状に巻き付けており、回転軸を回転することで、搬送路用支持ガイドに沿って、搬送部材の外周面に吸着した被搬送物品を上端に向かって搬送することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−33676号公報
【特許文献2】特開平9−328229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述した濾過装置では、クーラント液中に含まれる比較的大きな切粉等を除去することは可能であるが、1次濾過の後、あるいは2次濾過の後にクーラント液内に残っている微細な切粉(以下「スラッジ」という。)を除去することは不可能であった。
【0009】
即ち、このような、1次濾過の後、あるいは更に2次濾過の後にクーラント液内に残っているスラッジは、クーラントタンク内でヘドロ状になってしまっているために、前述の従来の濾過装置では、磁力によって筒体の外面に吸着することは可能だが、この吸着したスラッジを上方に搬送することができず、その結果として、クーラント液中から除去することができなかった。
【0010】
そこで、本発明は、1次濾過の後あるいは2次濾過の後にクーラント液内に残っているヘドロ状のスラッジをも除去可能な濾過装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の濾過装置は、使用済のクーラント液内に含まれる切粉、スラッジを除去するための濾過装置であって、
上部及び底部を閉鎖した円筒状の筒体と、
内周側の側面を前記筒体の外表面に当接あるいは近接させつつ前記筒体の外周に螺旋状に配設した搬送用ガイドと、
前記筒体内において筒体に固定した、マグネットケースと、該マグネットケースの外面に配設した複数個のマグネットと、を具備する磁力発生部と、
前記筒体の上方部分を収容した本体ケースと、
該本体ケースに本体ケースを貫通して取り付けられて、前記筒体の外表面に近接した受入口と、前記本体ケースの外側に突出した位置に配設された排出口と、を具備した排出部と、
前記筒体あるいは前記搬送用ガイドのいずれかを回動するための駆動手段と、を具備して、
クーラントタンク内の使用済クーラント液中に下方部分を浸漬した状態で、前記筒体あるいは搬送用ガイドのいずれかを回動することで、クーラント液中の切粉等の磁性体の異物を、筒体の外表面に吸着させつつ、搬送用ガイドに沿って上方に搬送可能として前記排出部より排出可能とした、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明者の実験によると、外周に搬送用ガイドを螺旋状に配設し、内部にはマグネットを外面に配設したマグネットケースを固定した筒体の下方部分をクーラントタンク内の使用済クーラント液中に浸漬し、この状態で、マグネットケースとともに筒体を回動し、あるいは筒体を静止させた状態で搬送用ガイドを回動すると、クーラント液中の切粉等の磁性体の異物は、ヘドロ状になったスラッジを含めて、筒体の外表面に吸着されつつ、搬送用ガイドに沿って上方に搬送されていくことが判明した。
【0013】
従って、本発明の濾過装置では、1次濾過の後、あるいは2次濾過の後にクーラント液内に残っているヘドロ状のスラッジをも確実に除去することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の濾過装置の実施例の斜視図である。
【図2】本発明の濾過装置の実施例の構造を説明するための断面図である。
【図3】本発明の濾過装置の実施例における磁力発生部を説明するための図である。
【図4】本発明の濾過装置の実施例における磁力発生部を説明するための図である。
【図5】本発明の濾過装置の実施例における排出部を説明するための図である。
【図6】本発明の濾過装置の実施例における排出部を説明するための図である。
【図7】本発明の濾過装置の実施例の使用方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の濾過装置では、上部及び底部を閉鎖した円筒状の筒体を有しており、この筒体の外周には搬送用ガイドが配設されている。
【0016】
そして、搬送用ガイドは、その内周側の側面を前記筒体の外表面に当接させ、あるいは近接させつつ、螺旋状に、筒体の外周に配設されている。
【0017】
一方、前記筒体の内部には磁力発生部が、筒体に固定されており、この磁力発生部は、マグネットケースの外面にマグネットを配設して構成され、マグネットケースは、上端部が筒体内の天井部に近接するとともに下端部は筒体の底部に近接する寸法としており、筒体の内部にボルト等によって固定されている。
【0018】
そして、マグネットケースは、上端部が筒体内の天井部に近接するとともに下端部は筒体の底部に近接する寸法とした角パイプ状としており、マグネットは、マグネットケースの各面に、上下方向に多段に亘って配設されている。
【0019】
また、本発明の濾過装置では本体ケースを具備しており、この本体ケースは、筒体の上方部分を収容し、任意の箇所には、本体ケースを貫通した形態で、排出部が取り付けられている。そして、排出部は、受入口と排出口を具備し、受入口は筒体の外表面に近接した位置に配設され、排出口は本体ケースの外側に突出した位置に配設されている。
【0020】
更に、本発明の濾過装置では駆動手段を有しており、この駆動手段は、筒体あるいは搬送用ガイドのいずれかを回動させることとしている。
【0021】
そして、クーラントタンク内の使用済クーラント液中に筒体の下方部分を浸漬した状態で、駆動手段を駆動させて筒体あるいは搬送用ガイドのいずれかを回動することで、クーラント液中の切粉等の磁性体の異物を、筒体の外表面に吸着させつつ、搬送用ガイドに沿って上方に搬送可能として、排出部より排出可能としている。
【0022】
ここで、排出部を、基端側が筒体の外表面に近接して、先端側が本体ケースの外側に突出した底板と、この底板の両端部に上方に向けて連設した一対の側板とで形成するとともに、筒体の回転方向に見た手前側の側板の筒体側の端部をわずかに切り欠き、筒体の外表面における、筒体を回動した際に排出部の底板の上面近傍を通過可能な箇所には押し出し突起を形成するとよく、これにより、搬送用ガイドに沿って上方に搬送された切粉等の磁性体の異物を確実に排出部から排出することが可能である。
【実施例1】
【0023】
本発明の濾過装置の実施例について図面を参照して説明すると、図1は本実施例の濾過装置の斜視図、図2は本実施例の濾過装置の構造を説明するための一部断面図であり、図において1が本実施例の濾過装置である。
【0024】
そして、本実施例の濾過装置1では筒体を有しており、この筒体の外表面に切粉等の磁性体の異物(以下単に「切粉」という。)を吸着させて搬送及び除去することとしている。即ち図において2が筒体であり、本実施例においてこの筒体2は、ステンレス製の丸パイプとし、上部及び底部を閉鎖して、ベース3に回動自在に取り付けられている。
【0025】
また、本実施例の濾過装置1においては、前記筒体2の内部に磁力発生部が備えられており、この磁力発生部の磁力によって、前記筒体2の外表面に切粉を吸着可能としている。
【0026】
ここで、前記磁力発生部について説明すると、図2において4が磁力発生部であり、また図3は磁力発生部の正面図、及び図4は図3におけるA−A線断面拡大図である。そして、本実施例における前記磁力発生部4は、マグネットケース5を有しており、このマグネットケース5は、鉄製の四角パイプ状としている。
【0027】
また、マグネットケース5は、上端が前記筒体2内の天井部近傍に位置し、下端部は前記筒体2内の底部近傍に位置する長さ寸法としており、その上部において、ボルト等8によって、前記筒体2に固定されている。
【0028】
そして、本実施例において前記マグネットケース5の外面には、多数個のマグネットが配設されている。即ち、図において6がマグネットであり、本実施例において前記マグネット6は、所定の寸法とした長方形状としており、前記マグネットケース5の4面のそれぞれに、所定間隔で、上下多段に亘って、取り付けている。
【0029】
なお、本実施例においては、前記マグネットケース5の4面のそれぞれに長板状の固定座7を溶接して、この固定座7にタップ孔を立てて、このタップ孔を介して、ボルト等によって、前記固定座7にマグネットを固着している。そして、マグネット6のそれぞれは、その表面が前記筒体2の内壁に近接する配置としており、この構成により、マグネット6の磁力によって、前記筒体2の外表面に切粉を吸着可能としている。また、本実施例において前記マグネット6としては、強力な磁力を備えた希土類磁石を用いている。
【0030】
次に、図1、図2において、前記ベース3の上方には4本の支柱12が立設されており、この支柱12の上端には固定ベース11が取り付けられ、この固定ベース11の上部には、本体ケース10が備えられている。
【0031】
そして、前記本体ケース10は、鉄製あるいはステンレス製で、天井部分を有するとともに前記固定ベース11により底部を閉鎖された箱状としており、その内部には、前記固定ベース11に形成した挿通孔1101を貫通した筒体2の上方部分が収容されている。
【0032】
また、前記本体ケース10内において、前記筒体2の上部にはカップリング13が連結されるとともに、このカップリング13は、前記本体ケース10の上部に配設した、駆動手段としてのモーター14に連結されており、これにより、モーター14を駆動することで、前記筒体2を回動自在としている。
【0033】
次に、図において9は搬送用ガイドである。即ち、本実施例の濾過装置1では、前記筒体2の外周に搬送用ガイド9を配設して、前記筒体2の外表面に吸着した切粉を、搬送用ガイド9に沿って上方に搬送することとしている。
【0034】
ここで、前記搬送用ガイド9について説明すると、本実施例において前記搬送用ガイド9は、長尺のステンレス製の平板状としており、その側面を前記筒体2の外表面に当接させ、あるいは近接させつつ、前記筒体2の外周に、螺旋状に配設している。そして、下端部分9aは前記ベース3に固定しており、上端部分9bは前記本体ケース10の内壁に固定されている。そして、この構成で筒体2を回動すると、筒体2の内部において筒体2に固定されている磁力発生部4も回動して、筒体2の外表面に吸着されている切粉は、筒体2とともに回動しつつ、搬送用ガイド9に沿って筒体2上を上方に搬送されていく。
【0035】
次に、図において15は、筒体2の上方に搬送された切粉を排出するための排出部であり、本実施例においてこの排出部15は、前記本体ケース10に形成した取付孔1001に、本体ケース10の内壁を貫通して取り付けられており、受入口15aと排出口15bを有している。そして、受入口15aは、前記筒体2の外表面に近接した箇所に位置しており、排出口15bは、前記本体ケース10の外側に突出した位置に配設されている。
【0036】
ここで、前記排出部15について詳細に説明すると、図5は本実施例における前記排出部15の斜視図であり、前記排出部15は平板状とした底板16を有しており、この底板16は、基端側が前記筒体2の外表面に近接し、先端側は前記本体ケース10の外側に突出した配置で本体ケース10に取り付けられ、図1からも明らかなように、基端側から先端側に向けて、約45度程度の角度で下側に傾斜している。
【0037】
そして、この底板16の両端にはそれぞれ、上方に向けて側板17が連設されており、この底板16と一対の側板17とで排出部15が構成されている。
【0038】
また、前記側板17において、筒体2の回転方向に見た手前側の側板17aは、図5に示されるように、筒体2側の端部をわずかに切り欠いている。そしてこれにより、筒体2の外表面に吸着された切粉を底板16上に導き、この底板16上に導いた切粉を、筒体2の回転方向に見た前方側の側板17bによって、筒体2の外表面から剥ぎ取ることとしている
【0039】
一方前記筒体2の外表面において筒体2を回動した際に前記底板16の上面近傍を通過可能な箇所には、外周側に向けて押し出し突起18を突出させ、この押し出し突起18が底板16の上方を通過可能とし、これにより、底板16上に溜まってしまう切粉を底板16に沿って落下させることを可能にしている。
【0040】
即ち、本発明者の実験によると、底板16上に導かれた切粉は、何らの手当をしない場合には、底板16における受入口15a近傍に蓄積されていき排出口15b側に移動しないことが判明した。この状態を示した図が図6であり、図6に示すように、排出部15の受入口15aに搬送された切粉19は、理論的には、底板16の傾斜によって排出口15bに向かって移動していくところであるが実際は、受入口15aの近傍に留まって蓄積されてしまう。
【0041】
そこで、本実施例の濾過装置1では、筒体2の外表面に、筒体2を回動した際に前記底板16の上面を通過可能な配置で押し出し突起18を突出させており、この押し出し突起18によって、受入口15aの近傍に留まっている切粉を排出口15b側へ押し出すこととしている。
【0042】
なお、本実施例において前記搬送用ガイド9は、前記筒体2の外表面における前記排出部15の受入口15aの近傍部分まで配設している。またマグネット6は、前記筒体2の内部における前記排出部15の受入口15aの近傍部分まで配設しているとともに、最上部のマグネット6は、マグネットケース5の4面のうちの一つのみに配設している。
【0043】
次に、このように構成される本実施例の濾過装置1の作用について説明すると、筒体2の外表面に切粉が吸着している状態で筒体2を回動すると、筒体2の内部で筒体2に固定されている磁力発生部4も筒体2と同様に回動し、その回動に伴い筒体2の外表面に吸着されている切粉は、筒体2に吸着した状態で筒体2とともに回動していくが、筒体2の外周には搬送用ガイド9が、螺旋状に配設されているために、筒体2の回動とともに回動していく切粉は、搬送用ガイド9に沿って、上方に搬送されていく。
【0044】
そして、排出口15の受入口15aまで搬送された切粉は、排出部15の底板16上まで搬送された後に、筒体2の回転方向に見た前方側の側板17bの筒体側端部近傍によって筒体2からはぎ取られて底板16上の受入口15aの近傍に溜まっていく。
【0045】
そして、底板16上の受入口15aの近傍に溜まった切粉は、筒体2の回転に伴い底板16上を通過する押し出し突起18によって、排出口15b側に押し出されて、底板16上に落下して、排出口15bに向けて底板16上を移動して、その後排出口15bから排出されていく。
【0046】
そのために、本実施例の濾過装置1によれば、クーラント液中に含まれる切粉を効率よく除去することができるとともに、本発明者の実験によると、筒体を磁力発生部とともに回動する本実施例の濾過装置では、ヘドロ状になったスラッジをも、搬送用ガイド9に沿って、筒体2の外表面を上方に搬送することが可能であったため、1次濾過の後、あるいは2次濾過の後にクーラント液内に残っているヘドロ状のスラッジをも確実に除去することが可能である。
【0047】
次に、本実施例の濾過装置1を用いてクーラントタンク内に含まれる切粉を除去する方法について図7を参照して説明すると、図7において21がクーラントタンクであり、このクーラントタンク21内には使用済クーラント液22が入れられており、このクーラント液22内には、切粉23が含まれている。
【0048】
そして、このクーラントタンク21内のクーラント液22の濾過を行う場合には、筒体2がクーラント液22内に浸漬される形態で、固定ベース11によって本実施例の濾過装置1をクーラントタンク21に取り付けて、更に、図示を省略するが、排出部15における排出口の下方に、クーラント液から除去した切粉を受け入れる手段、あるいは搬送するコンベア等の手段を配設しておく。
【0049】
そして、この状態で、モーター14を駆動して筒体2を、磁力発生部4とともに回動する。そうすると、前述のように、筒体2の外表面に吸着した切粉は、搬送用ガイド9によって導かれながら筒体2の外表面を上方に搬送されていき、排出部15の底板16上に排出され、更に、押し出し突起18によって押し出されることで、排出口15bに向かって底板16上を移動した後に、排出口15bから排出される。
【0050】
このように、本実施例の濾過装置では、筒体の外周に搬送用ガイドを螺旋状に配設し、筒体の内部にはマグネットを備えた磁力発生部を固定して、磁力発生部とともに筒体を回動することで、ヘドロ状となったスラッジをも搬送用ガイドに沿って筒体上を上方に搬送可能としたため、1次濾過の後、あるいは2次濾過の後にクーラント液内に残っているヘドロ状のスラッジをも確実に除去することが可能である。
【0051】
なお、前述の説明では、筒体2を回動した形態を説明したが、そのほか、筒体を固定としており、搬送用ガイドを回動することとしても良く、かかる場合には、例えば、搬送用ガイドの上下端部にそれぞれ回動ベース等を取付けるとともに、その回動ベースをモーターに連結すると良い。
【0052】
また、磁力発生部4におけるマグネットケース5は必ずしも角パイプ状にする必要は無く、マグネットケースを丸パイプ状にして、その外周に、周方向に間隔を置くとともに上下多段に亘って、円弧状の内面を有するマグネットを多数個配設しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の濾過装置は、マグネットの磁力を用いて、クーラント液中に含まれるヘドロ状となったスラッジをも除去可能としているために、マグネットの磁力を用いた濾過装置の全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 濾過装置
2 筒体
3 ベース
4 磁力発生部
5 マグネットケース
6 マグネット
7 固定座
8 ボルト
9 搬送用ガイド
10 本体ケース
11 固定ベース
12 支柱
13 カップリング
14 モーター
15 排出部
16 底板
17 側板
18 押し出し突起
19 切粉、スラッジ等の異物
21 クーラントタンク
22 クーラント液
23 磁性体異物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済のクーラント液内に含まれる切粉等の磁性体の異物を除去するための濾過装置であって、
上部及び底部を閉鎖した円筒状の筒体(2)と、
内周側の側面を前記筒体(2)の外表面に当接あるいは近接させつつ前記筒体(2)の外周に螺旋状に配設した搬送用ガイド(9)と、
前記筒体(2)内において前記筒体(2)に固定した、マグネットケース(5)と、該マグネットケース(5)の外面に配設した複数個のマグネット(6)と、を具備する磁力発生部(4)と、
前記筒体(2)の上方部分を収容した本体ケース(10)と、
該本体ケース(10)に本体ケース(10)を貫通して取り付けられて、前記筒体(2)の外表面に近接した受入口(15a)と、前記本体ケース(10)の外側に突出した位置に配設された排出口(15b)と、を具備した排出部(15)と、
前記筒体(2)あるいは前記搬送用ガイド(9)のいずれかを回動するための駆動手段(14)と、を具備して、
クーラントタンク内の使用済クーラント液中に下方部分を浸漬した状態で、前記筒体(2)あるいは搬送用ガイド(9)のいずれかを回動することで、クーラント液中の切粉等の磁性体の異物を、筒体(2)の外表面に吸着させつつ、搬送用ガイド(9)に沿って上方に搬送して前記排出部(15)より排出可能とした、ことを特徴とする濾過装置。
【請求項2】
基端側が前記筒体(2)の外表面に近接して先端側が前記本体ケース(10)の外側に突出した底板(16)と、該底板(16)の両端部に上方に向けて連設した一対の側板(17)と、で前記排出部(15)を形成するとともに、筒体(2)の回転方向に見た手前側の側板(17a)の筒体(2)側の端部をわずかに切り欠き、前記筒体(2)の外表面における、筒体(2)を回動した際に前記底板(16)の上面近傍を通過可能な箇所に押し出し突起(18)を形成した、ことを特徴とする請求項1に記載の濾過装置。
【請求項3】
前記磁力発生部(4)は、角パイプ状としたマグネットケース(5)と、該マグネットケース(5)の各面に上下方向に多段に亘って配設した複数個のマグネット(6)と、を具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の濾過装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−111661(P2013−111661A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257125(P2011−257125)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(500562422)モスニック株式会社 (13)
【Fターム(参考)】