説明

濾過部材およびそれを備える浄水カートリッジ

【課題】長寿命化を図ることのできる濾過部材およびそれを備える浄水カートリッジを得る。
【解決手段】多孔質の本体11に第1流路15および第2流路16を設け、第1流路15および第2流路16のうちいずれか一方の第2流路16と隣り合う位置に第1流路15を配設することで、目詰まりによって吐出量が低下してしまうのを抑制し、濾過部材10の長寿命化を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過部材およびそれを備える浄水カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、濾過部材として、多数の流通路を連通させた多孔質フィルターの線状に連続して隣接する流通路を一端面において封止するとともに、残余の流通路を他端面において封止することで、流入側に開口した流通路と流出側に開口した流通路とを形成し、流入側に開口した流通路に流入した水を多孔質フィルターの基体を通過させて流出側に開口した流通路に流入させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−080041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、線状に連続して隣接する流通路を一端面において封止しており、多孔質フィルターの基体のうち、流入側に開口した流通路内の水を流出側に開口した流通路へと送ることのできる部分の割合が低いため、目詰まりによって吐出量が早期に低下してしまうおそれがあり、多孔質フィルターの長寿命化を図りがたかった。
【0005】
そこで、本発明は、長寿命化を図ることのできる濾過部材およびそれを備える浄水カートリッジを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明にあっては、多孔質の本体に流路を設けて流入部と流出部とを形成した濾過部材であって、前記流路は、前記本体の流入部側が封止される第1流路と、当該本体の流出部側が封止される第2流路と、で構成されており、前記第1および第2流路のうちいずれか一方の流路と隣り合う位置に他方の流路を配設したことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明にあっては、請求項1に記載の濾過部材において、前記一方の流路と他方の流路の断面形状を略同一とするとともに、前記他方の流路を、前記流路の延在方向に直交する断面視で、他方の流路の重心が略正多角形の頂点に位置するように配設したことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明にあっては、請求項1または請求項2に記載の濾過部材において、前記一方の流路と他方の流路の断面形状が略正多角形であることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明にあっては、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の濾過部材において、前記本体は、流入部側および流出部側が開口した流通路が複数形成された流通路形成部と、前記流通路のうち前記第2流路となる流通路に連通する開口を有し、前記流通路形成部の流入部側に固定されて前記第1流路を形成する第1封止部材と、前記流通路のうち前記第1流路となる流通路に連通する開口を有し、前記流通路形成部の流出部側に固定されて前記第2流路を形成する第2封止部材と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明にあっては、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の濾過部材を有する浄水カートリッジであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、多孔質の本体に第1および第2流路を設け、第1および第2流路のうちいずれか一方の流路と隣り合う位置に他方の流路を配設することで、多孔質の本体のうち、第1流路から第2流路へと水を送ることのできる部分の割合を高めることができるようになるため、目詰まりによって吐出量が低下してしまうのを抑制することができ、濾過部材の長寿命化を図ることができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、一方の流路と他方の流路の断面形状を略同一とするとともに、他方の流路を、流路の延在方向に直交する断面視で、他方の流路の重心が略正多角形の頂点に位置するように配設することで、一方の流路とそれぞれの他方の流路との間の壁部の厚さが厚くなってしまうのを抑制することができるため、壁部における圧力損失を低減させることができ、より効率的に水を吐出させることができるようになる。
【0013】
請求項3の発明によれば、一方の流路と他方の流路の断面形状を略正多角形としたため、より簡素な構成で長寿命化を図ることのできる濾過部材を得ることができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、本体が、流入部側および流出部側が開口した流通路が複数形成された流通路形成部と、流通路のうち第2流路となる流通路に連通する開口を有し、流通路形成部の流入部側に固定されて第1流路を形成する第1封止部材と、流通路のうち第1流路となる流通路に連通する開口を有し、流通路形成部の流出部側に固定されて第2流路を形成する第2封止部材とを備えることで、長寿命化を図ることのできる濾過部材を容易に製造することができるようになるため、構成の簡素化を図るとともにコストの低減を図ることができる。
【0015】
請求項5の発明によれば、上記作用効果を奏する濾過部材を装備した浄水カートリッジを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態にかかる浄水カートリッジの断面図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態にかかる多孔質フィルタを示す図であって、(a)は、多孔質フィルタを流出口側から見た図、(b)は、図2(a)のA−A断面図、(c)は、多孔質フィルタを流入口側から見た図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態にかかる多孔質フィルタの流路の配置を示す図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態の第1変形例にかかる多孔質フィルタの流路の配置を示す図である。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態の第2から第4変形例にかかる多孔質フィルタの流路の断面形状を示す図である。
【図6】図6は、本発明の第2実施形態にかかる多孔質フィルタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0018】
(第1実施形態)図1〜5は、本発明の第1実施形態を示しており、図1は、浄水カートリッジの断面図、図2は、多孔質フィルタを示す図であって、(a)は、多孔質フィルタを流出口側から見た図、(b)は、図2(a)のA−A断面図、(c)は、多孔質フィルタを流入口側から見た図、図3は、多孔質フィルタの流路の配置を示す図、図4は、本実施形態の第1変形例にかかる多孔質フィルタの流路の配置を示す図、図5は、本実施形態の第2から第4変形例にかかる多孔質フィルタの流路の断面形状を示す図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態にかかる浄水カートリッジ1は、一端部(図1中下端部)に原水の流入口2と他端部(図1中上端部)に浄水の流出口3とを有するカートリッジケース4と、このカートリッジケース4の内部の流入口2と流出口3との間に設けられた浄化材収納部5と、この浄化材収納部5の内部に収納される浄化材9と、カートリッジケース4内の浄化材収納部5の下流側に設けられた濾過部材収納部6と、この濾過部材収納部6の内部に収納される濾過部材10と、を備えており、流入口2からカートリッジケース4内に流入した原水が浄化材収納部5内の浄化材9および濾過部材収納部6内の濾過部材10を通過して濾過され、濾過された浄水が流出口3から流出されるようになっている。
【0020】
カートリッジケース4は、上述した浄化材収納部5が設けられるロワーケース41と、濾過部材収納部6が設けられるアッパーケース42とを備えており、ロワーケース41とアッパーケース42とを結合することで形成されている。
【0021】
ロワーケース41は、下端が底壁(カートリッジケースの底壁)41aによって閉塞された有底円筒状に形成されており、その底壁41aの中央部に上述の流入口2が形成されている。また、アッパーケース42は、上端が天壁42aによって閉塞される円筒状に形成されており、その天壁42aの中央部に上述の流出口3が形成されている。そして、ロワーケース41の側壁41bの上端部には、拡径部41cが形成されており、この拡径部41cの下端内周側には段部41dが形成されている。さらに、拡径部41cの外周にはリブ41eが突設されている。また、アッパーケース42の側壁41bの下端には内径がロワーケース41の拡径部41cの外径とほぼ同一となる拡径部42cが形成されている。そして、アッパーケース42の拡径部42cをロワーケース41の拡径部41cに嵌め込むとともに、アッパーケース42の拡径部42cの先端をリブ41eに突き当てた状態で、拡径部42cの内周に拡径部41cの外周を超音波溶着等により接合することで、ロワーケース41とアッパーケース42とを液密構造をもって固定している。
【0022】
また、ロワーケース41の拡径部41cの下端内周側に形成した段部41dには、浄化材収納部5と濾過部材収納部6とを仕切る中間板7が設けられている。本実施形態では、中間板7は、外径が、ロワーケース41の拡径部41cの内径とほぼ同一となっており、ロワーケース41の拡径部41cに嵌め込んで超音波溶着等により接合している。なお、ロワーケース41の上端部とアッパーケース42の下端部とで中間板7を挟持するようにしてもよい。さらに、中間板7と濾過部材10との間に不織布を配設し、浄化材9を通過して吐出される水がこの不織布によって整流されるようにしてもよい。
【0023】
また、中間板7の中央部には略円環状の開口が形成されており、当該開口には、浄化材9の通過は阻止するが水の通過を許容する多孔質膜が設けられている。そして、濾過部材10の本体11の側壁11aの外周部には、環状溝11bが形成されており、この環状溝11bに嵌合したシールリング8によって、濾過部材10とアッパーケース42との液密性が確保されている。
【0024】
また、本実施形態では、浄化材9として活性炭やセラミックを用いている。そして、浄化材収納部5の下端は、メッシュ51によって閉塞されており、浄化材9が流入口2からこぼれ落ちてしまうのを抑制している。
【0025】
濾過部材10は、例えばセラミックス等の焼成により略円筒状に形成された多孔質体の本体11を有している。この本体11には、複数の流路14が設けられており、本体11の軸C方向一端側には流入部12が形成されるとともに、他端側には流出部13が形成されている。
【0026】
複数の流路14は、本体11の流入部12側が封止されるとともに本体11の流出部13側が開口する流出側流路(第1流路)15と、当該本体11の流出部13側が封止されるとともに本体11の流入部12側が開口する流入側流路(第2流路)16と、で構成されている。
【0027】
本実施形態では、両端が開口する流通路を複数設けた本体11を焼成により形成した後に、流通路のうち流出側流路15を形成する流通路の流入部12側端部および流通路のうち流入側流路16を形成する流通路の流出部13側端部をウレタン樹脂で固めることにより封止部17を形成している。なお、両端が開口する流通路を複数設けた本体11の焼成前に、流通路のうち流出側流路15を形成する流通路の流入部12側端部および流通路のうち流入側流路16を形成する流通路の流出部13側端部に、例えばアルミナやシリカなどを主原料とした目詰め剤を詰めた状態で焼成することにより封止してもよいし、略円筒状の本体11の軸C方向一端側(流入部12側)から他端側の途中まで穿設して流入側流路16を形成するとともに、軸C方向他端側(流出部13側)から一端側の途中まで穿設して流出側流路15を形成し、焼成することによって本体11に流入部12側および流出部13側の封止部17を形成するようにしてもよい。
【0028】
また、本実施形態では、流出側流路15および流入側流路16の軸C方向(流路14の延在方向)に直交する断面形状が、ほぼ同径の円形となるようにしている。
【0029】
さらに、流出側流路15および流入側流路16のうちいずれか一方の流路である流入側流路16と隣り合う位置に他方の流路である流出側流路15を配設している。
【0030】
具体的には、1つの流入側流路16の周囲に、6つの流出側流路15を当該流入側流路16を囲うように配設するとともに、複数の流入側流路16を離散配置している。本実施形態では、流入側流路16のうちの任意の1つの流入側流路16から、その他の流入側流路16までの距離のうち最短の距離D1が、当該1つの流入側流路16から当該1つの流入側流路16を囲う複数の流出側流路15までの距離のうち最長の距離(本実施形態では、流出側流路15のそれぞれと流入側流路16との間の壁部18の厚さ)D2よりも長くなるように、複数の流入側流路16を離散配置している。
【0031】
また、本実施形態では、1つの流入側流路16から各流出側流路15までの距離がほぼ同一となるように流出側流路15および流入側流路16を設けている。
【0032】
具体的には、流出側流路15を、軸C方向(流路14の延在方向)に直交する断面視で、流出側流路15の中心(重心)15aが略正六角形(略正多角形)の頂点に位置するように配設するとともに、流出側流路15の中心(重心)15aを結んで形成される正六角形の重心部分に流入側流路16の中心16aが配置されるようにしている。
【0033】
なお、本実施形態では、流出側流路15の中心(重心)15aが略正六角形(略正多角形)の頂点に位置するように配設しているが、図4に示すように、流入側流路16の周囲に8個の流出側流路15を配設して、流出側流路15が正方形の頂点に位置するようにしてもよい。
【0034】
また、本実施形態では、流出側流路15および流入側流路16の断面形状をほぼ同径の円形としているが、図5(a)〜(c)に示すように、流出側流路および流入側流路の断面形状を、略正三角形の流出側流路15Aおよび流入側流路16Aとし、流出側流路15Aの重心が略正三角形(略正多角形)の頂点に位置するように配設したり、略正方形の流出側流路15Bおよび流入側流路16Bとし、流出側流路15Bの重心が略正方形(略正多角形)の頂点に位置するように配設したりしてもよいし、略正六角形の流出側流路15Cおよび流入側流路16Cとし、流出側流路15Cの重心が略正六角形(略正多角形)の頂点に位置するように配設することも可能である。このとき、流出側流路の辺と流入側流路の辺とを対向させるとともに、流出側流路のそれぞれと流入側流路との間の壁部の厚さがほぼ同一となるように配設するのが好適である。
【0035】
このように構成された濾過部材10の本体11の流入部12側から水を流入側流路16内に流入させると、図1に示すように、流入側流路16内の水は当該流入側流路16と流出側流路15との間の壁部18を透過することで濾過され、流出側流路15内に送られる。そして、流出側流路15内の水が本体11の流出部13から流出して流出口3から流出される。
【0036】
以上の本実施形態によれば、多孔質の本体11に流出側流路(第1流路)15および流入側流路(第2流路)16を設け、流出側流路15および流入側流路16のうちいずれか一方の流入側流路16と隣り合う位置に流出側流路15を配設することで、多孔質の本体11のうち第1流路から第2流路へと水を送ることのできる壁部18の割合を高めることができるようになるため、目詰まりによって吐出量が低下してしまうのを抑制することができ、濾過部材10の長寿命化を図ることができる。
【0037】
また、流入側流路(一方の流路)16と流出側流路(他方の流路)15の断面形状を略同一の円形とするとともに、流出側流路(他方の流路)15を、軸C方向(流路14の延在方向)に直交する断面視で、流出側流路15の中心(重心)15aが略正六角形や略正方形(略正多角形)の頂点に位置するように配設することで、流入側流路(一方の流路)16と当該流入側流路(一方の流路)16を囲うそれぞれの流出側流路(他方の流路)15との間の壁部18の厚さが厚くなってしまうのを抑制することができるため、壁部における圧力損失を低減させることができ、より効率的に水を吐出させることができるようになる。また、略正多角形の頂点に位置させることで、流出側流路15および流入側流路16を規則性をもって配設することが可能となるため、壁部18の厚さが極端に薄くなってしまう部位が形成されるのを抑制することもでき、本体11の強度が低下してしまうのを抑制することができる。また、流路14の構成を簡素化できるため、本体11を容易に製造することができるようになるという利点もある。
【0038】
なお、本実施形態の第2から第4変形例のように、流出側流路および流入側流路の形状を略多角形状とし、規則性をもって配置させるようにしても、上記とほぼ同様の作用効果を奏することができる。また、流出側流路のそれぞれと流入側流路との間の壁部の厚さの調整が容易になり、本体の強度が低下してしまうのを抑制しつつ、壁部における圧力損失を低減させることができるようになる。
【0039】
また、壁部の厚さをより均等にさせることで、流入側流路の周方向における圧力損失の差を低減させることができるため、流入側流路から流出側流路への水の移動が所定の箇所に偏ってしまうのを抑制することができ、濾過部材のさらなる長寿命化を図ることができるようになる。すなわち、図5に示すように、流路の断面形状を略正多角形とすれば、より簡素な構成で長寿命化を図ることのできる濾過部材10を得ることができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、上記作用効果を奏する濾過部材10を装備した浄水カートリッジ1を得ることができる。
【0041】
(第2実施形態)図6は、本発明の第2実施形態を示しており、図6は、多孔質フィルタの断面図である。
【0042】
図6に示すように、本実施形態にかかる濾過部材20は、基本的に上記第1実施形態の濾過部材10と同様の構成をしており、略円筒状に形成された多孔質体の本体21を有している。この本体21の軸C方向一端側には流入部23が形成されるとともに、他端側には流出部24が形成されている。
【0043】
そして、本体21には、本体21の流入部23側が封止されるとともに本体21の流出部24側が開口する流出側流路(第1流路)28と、当該本体21の流出部24側が封止されるとともに本体21の流入部23側が開口する流入側流路(第2流路)29と、が形成されている。
【0044】
この流出側流路(第1流路)28および流入側流路(第2流路)29は、断面形状が円形をしており、上記第1実施形態と同様に、流出側流路28および流入側流路29のうちいずれか一方の流路である流入側流路29と隣り合う位置に他方の流路である流出側流路28を配設するとともに、流出側流路(他方の流路)28を、断面視で、流出側流路28の中心(重心)が略正六角形(略正多角形)の頂点に位置するように配設している。
【0045】
なお、本実施形態にかかる流出側流路(第1流路)28および流入側流路(第2流路)29の断面形状や配置の仕方を、上記第1実施形態の変形例と同様とすることも可能である。
【0046】
ここで、本実施形態が上記第1実施形態と主に異なる点は、本体21が、流入部23側および流出部24側が開口した流通路25が複数形成された流通路形成部22と、流通路25のうち第2流路29となる流通路25に連通する開口26aを有し、流通路形成部22の流入部23側に固定されて第1流路28を形成する第1封止板(第1封止部材)26と、流通路25のうち第1流路28となる流通路25に連通する開口27aを有し、流通路形成部22の流出部24側に固定されて第2流路29を形成する第2封止板(第2封止部材)27と、を備えていることにある。
【0047】
本実施形態では、流通路形成部22は略円筒状をしており、当該流通路形成部22には、軸C方向両端部を連通させた流通路25が軸C方向に沿って複数設けられている。また、流通路形成部22の側壁22aの外周部には、シールリングを嵌合させる環状溝22bが形成されている。
【0048】
そして、流通路形成部22の軸C方向一端側(流出部24側)に、開口26aが第1流路28となる流通路25の開口に連通するように略円板状の第1封止板(第1封止部材)26を貼着(固定)させ、流通路形成部22の軸C方向他端側(流入部23側)に、開口27aが第2流路29となる流通路25の開口に連通するように略円板状の第2封止板(第2封止部材)27を貼着(固定)させることで、流出部24側が封止されるとともに流入部23側が開口する流入側流路29と、流入部23側が封止されるとともに流出部24側が開口する流出側流路28とが設けられた本体21を形成している。
【0049】
なお、第1封止板26の第2流路29となる流通路25の開口と対応する部位に当該開口に嵌合する突起を設けるとともに、第2封止板27の第1流路28となる流通路25の開口と対応する部位に当該開口に嵌合する突起を設け、第1封止板26および第2封止板27の突起を流通路25の開口に嵌合させることで第1封止板26および第2封止板27を流通路形成部22に固定させるようにしてもよい。
【0050】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、本体21が、流入部23側および流出部24側が開口した流通路25が複数形成された流通路形成部22と、流通路25のうち第2流路29となる流通路25に連通する開口26aを有し、流通路形成部22の流入部23側に固定されて第1流路28を形成する第1封止板(第1封止部材)26と、流通路25のうち第1流路28となる流通路25に連通する開口27aを有し、流通路形成部22の流出部24側に固定されて第2流路29を形成する第2封止板(第2封止部材)27とを備えることで、長寿命化を図ることのできる濾過部材20を容易に製造することができるようになるため、構成の簡素化を図るとともにコストの低減を図ることができる。
【0052】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0053】
例えば、浄水カートリッジを円筒形以外の形状としてもよい。また、濾過部材収納部や、浄化材収納部、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【0054】
また、上記実施形態では、濾過部材以外に浄化材を設けたものを例示したが、浄化材を設けなくてもよい。また、浄化材は活性炭やセラミック以外にも、水を濾過または浄化できる材料を用いてあればよい。
【0055】
さらに、上記実施形態では、流入側流路を一方の流路としたが、流出側流路を一方の流路としてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 浄水カートリッジ
2 流入口
3 流出口
6 濾過部材収納部
10 濾過部材
11 本体
12 流入部
13 流出部
14 流路
15、15A、15B、15C 流出側水路(第1流路)
15a 中心(重心)
16、16A、16B、16C 流入側水路(第2流路)
16a 中心(重心)
17 封止部
18 壁部
20 濾過部材
21 本体
22 流通路形成部
23 流入部
24 流出部
25 流通路
26 第1封止板
26a 開口
27 第2封止板
27a 開口
28 流出側水路(第1流路)
29 流入側水路(第2流路)
C 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質の本体に流路を設けて流入部と流出部とを形成した濾過部材であって、
前記流路は、前記本体の流入部側が封止される第1流路と、当該本体の流出部側が封止される第2流路と、で構成されており、
前記第1および第2流路のうちいずれか一方の流路と隣り合う位置に他方の流路を配設したことを特徴とする濾過部材。
【請求項2】
前記一方の流路と他方の流路の断面形状を略同一とするとともに、
前記他方の流路を、前記一方の流路の延在方向に直交する断面視で、他方の流路の重心が略正多角形の頂点に位置するように配設したことを特徴とする請求項1に記載の濾過部材。
【請求項3】
前記一方の流路と他方の流路の断面形状が略正多角形であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の濾過部材。
【請求項4】
前記本体は、流入部側および流出部側が開口した流通路が複数形成された流通路形成部と、前記流通路のうち前記第2流路となる流通路に連通する開口を有し、前記流通路形成部の流入部側に固定されて前記第1流路を形成する第1封止部材と、前記流通路のうち前記第1流路となる流通路に連通する開口を有し、前記流通路形成部の流出部側に固定されて前記第2流路を形成する第2封止部材と、を備えることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の濾過部材。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の濾過部材を有することを特徴とする浄水カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−214226(P2010−214226A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60815(P2009−60815)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】