説明

灌注並びに組織排出及び収集システム及びその方法

【課題】改良型の灌注並びに組織排出及び収集システムの提供。
【解決手段】本発明は、患者の体腔を灌注し、組織を体腔から収集するシステム及び方法を提供する。このシステムは、灌注液を体腔中に注入する灌注及び収集装置を含む。灌注装置は、装置内に正圧を生じさせて灌注液を装置から体腔中に追い出すことにより流体を体腔内に注入する。灌注液は、装置内に結果的に生じた負圧により灌注液及びばらばらの組織又は粒状物を装置内に吸い込むことにより体腔から排出される。灌注液を濾過し、排出された組織及び粒状物を収集用入れ物内に収集し、それにより灌注液中の排出組織及び粒状物を隔離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灌注並びに組織排出及び収集システム、及び医療手技における使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの医療手技では、体腔の灌注が行われる。例えば、多くの内視鏡的泌尿器手技の際、膀胱灌注して凝血塊して、組織片等を洗浄排除(場合によっては、収集)することが必要である。これを達成する一般的な方法は、無菌生理食塩液又は生理食塩水を膀胱内に導入し、次に、除去されるべき混合及び懸濁状態の物質を含む流体を抜き取ることである。この方法は、抜き取った流体が透明になり、満足のいくほど粒状物の無いようになるまで繰り返される必要がある。
【0003】
現在、膀胱灌注に用いられる最も普及している装置は、エリック(Ellik)排出(吸出)器である。エリック排出器は、透明な砂時計の形をしたボウルから成り、このボウルは、ゴム製球体及び上方のボウルに取り付けられていて、尿道及び膀胱を通って溶液を循環させるノズルを備えている。球体は、不透明であって、砂時計形ボウルの軸線に対して直角に差し向けられている。このために、エリック排出器に関する1つの問題は、流体の充填及び空気のパージが困難なことである。溶液の戻り還流中に見受けられる組織は理想的には、下方チャンバ内に集められる。組織は、重力の作用によりここに集まる。かくして、エリック排出器のもう1つの欠点は、同伴された状態の組織が重力により下方チャンバ内に沈澱するに違いないということである。その結果、無菌溶液の比重よりも大きな比重及び粒子及び組織だけが下方チャンバ内に沈澱することになる。上方チャンバ内の懸濁状態の粒子は、球体を再び圧縮したときに、膀胱内に再び導入される傾向がある。また、組織又は粒状物は、比重にもかかわらず球体内に吸い込まれる場合が多く、球体が不透明なので、この中に取り込まれた組織は、視覚化できず、取り逃がし状態になる場合がある。エリック排出器により当初の灌注により生じる汚染状態の溶液の再循環を阻止するため、外科医は、最終の灌注が透明のままになるまで、エリック排出器を繰り返し空にしたり再充填しなければならない。この繰り返し作業に加えて、エリック排出器を空にしたり再充填するたびに、灌注液中に蓄積した組織を濾過し、そして灌注の終了時に手でたらいから除去しなければならない。この段階中、組織は、場合によってはテーブル又はフロア上で失われるので、手術室内の職員にとって血液及び組織にさらされるという深刻な恐れがある。エリック排出器と関連した最後の問題は、ゴム製球体がストッパのように滑らかなガラス管状ポート内にプラグ接続されるということにある。球体のネックは、滑らかであって円筒形なので、これらを互いに保持するのに摩擦の作用しかなく、機械的な利点は無い。その結果、球体は、取り扱い中、不用意にガラス容器から容易に離脱する場合があり、その結果、ガラス容器は、がちゃんと音を立ててフロアに当たって砕ける場合がある。
【0004】
エリック排出器を改良する多くの試みが行われた。これら技術的努力としては、米国特許第3,892,226号明細書、同第4,282,873号明細書、同第4,729,764号明細書、同第4,801,292号明細書、同第5,338,294号明細書、同第5,421,824号明細書に記載された装置が挙げられる。これら米国特許により教示された装置は全て、これらの独自の欠点に加えて、エリック排出器により生じる流体の乱流の理想的な度合及び速度を再現することがない。さらに、これら装置の中で、容易に移送できる組織収集機構を有するものは無い。例えば、米国特許第5,421,824号明細書では、容器の握り絞り又は圧搾可能な部分は、流体を容器から体腔内に強制的に送り込み、圧縮力を解除することにより、握り絞り可能な部分は、拡張して流体を回収する。残念ながら、この握り絞り可能な部分により生じる流体の乱流及び特に圧縮力を解除したときに生じる負圧は、不適当であり、エリック排出器の乱流及び負圧に匹敵しない。さらに、容器とそのキャップとの接合部のところに流体の漏れが生じる場合が多い。さらに、この米国特許第5,421,824号明細書の装置は、粒子状組織が体腔に再び入るのを阻止するが、この装置は、容易に移送できる組織収集機構を備えておらず、かくして、装置により収集された組織を濾過し、灌注の終わりに手でたらいから除去しなければならないという点においてエリック排出器と同一の欠点を有している。この段階中、組織は、場合によってはテーブル又はフロア上で失われるので、手術室内の職員にとって血液及び組織にさらされるという深刻な恐れがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かくして、改良型の灌注並びに組織排出及び収集システムが要望され続けている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、流体ラインを介して流体を体腔に導入したり流体を体腔から抜き取る医用灌注及び組織収集システムに関する。このシステムは、流体を入れる内部を備えた容器と、容器と流体連通状態にあるポンプ球と、流体ラインに連結された第1の端部及び容器の内部と流体連通状態にある第2の端部を備えた管と、粒状物を収集する収集用入れ物とを有する。この収集用入れ物は、容器の内部に設けられると共に流体ラインの第2の端部に着脱自在に連結されている。収集用入れ物は、流体及び所定寸法よりも小さな粒状物の通過を可能にする複数個の開口部を備えている。
【0007】
一実施形態では、第2の端部は、流体及び所与の寸法の粒状物の通過を可能にする複数個の細孔を備えた有孔部分を有する。細孔と開口部の相対寸法を所望に応じて選択することができる。例えば、平均で開口部の寸法は、平均で細孔の寸法よりも大きいのがよい。かくして、寸法がこれよりも小さい及び寸法が中程度の粒子は、管の第2の端部を通るよりも容易に収集用入れ物に自由に出入りすることができ、それにより収集用入れ物内に大きな寸法の粒子を収集することができる。
【0008】
流体及び粒状物が管を通過して収集用入れ物内に流入することができるようにする一方弁を管に作動的に関連させるのがよい。一方弁を管の第2の端部に結合するのがよく、この一方弁は、ポンプ球により生じる差圧下で潰れる1本のチューブを備えている。
【0009】
収集用入れ物は、硬質ポリマー材料で作られたバスケットであるのがよい。変形例として、収集用入れ物は、メッシュ袋であってもよい。一方弁を用いる代わりの手段として又はその保管手段として、メッシュ袋は、ポンプ球により生じた差圧下で潰れるのがよい。
【0010】
キャップを容器に着脱自在に結合するのがよく、ポンプ導管が、キャップから延びる第1の端部及びポンプ球に結合された第2の端部を有する。ポンプ導管は、キャップから直角に延びてもよく、或いは、キャップから非直角の角度をなして下方に延びてもよい。例示の実施形態では、容器は、上方部分及び下方部分を有し、キャップは、この上方部分に着脱自在に結合され、収集用入れ物は、容器の下方部分内に設けられる。
【0011】
容器の上方部分及び下方部分は、ポンプ球を圧縮することにより生じた圧力に起因する乱流が容器の下方部分内と比較して容器の上方部分内の方において高いような寸法形状のものであるのがよい。さらに、バスケットを、ポンプ球を圧縮することにより生じた圧力に起因して乱流が実質的に生じることがないように位置決めするのがよい。キャップは、キャップ内部を備えるのがよく、ポンプ球を圧縮することにより生じた圧力に起因する乱流が実質的にキャップ内部に限定されるようにする。
【0012】
フローレストリクタをキャップ内部と容器の上方部分との間に設けるのがよい。一実施形態では、フローレストリクタは、キャップのリップ付き部分である。別の実施形態では、フローレストリクタは、内部管に取り付けられた外部フランジである。
【0013】
本発明は又、組織及び粒状物を患者の体腔から収集する方法に関する。この方法は、医用灌注及び組織収集装置を体腔と流体連通関係をなして位置決めする段階と、灌注液を医用灌注及び組織収集装置から体腔内に注入する段階と、灌注液を体腔から医用灌注及び組織収集装置内に排出する段階とを有する。排出された灌注液が体腔からの組織及び粒状物を含むので、排出された灌注液を濾過して灌注液中の組織及び粒状物を隔離して、組織及び粒状物が医用灌注及び組織収集システム内に設けられた収集用入れ物内に収集されるようにする。濾過は、選択された最小寸法の組織及び粒状物が、医用灌注及び組織収集装置内の収集用入れ物内に収集されるように行われる。
【0014】
灌注流体を医用灌注及び組織収集装置から体腔内に注入する段階は、正圧を医用灌注及び組織収集システム内に生じさせてこれを体腔内に作用させる段階を含むのがよい。これにより、医用灌注及び組織収集システムの上方部分内に乱流を生じさせる一方で、医用灌注及び組織収集システムの下方部分内に実質的に乱流の無い流れを維持する。排出された灌注液を濾過して灌注液中の組織及び粒状物を隔離する段階は、組織及び粒状物を医用灌注及び組織収集装置の下方部分内に収集する段階を含むのがよい。これら段階を所望に応じて繰り返すのがよい。
【0015】
本発明の内容、並びにその付随する利点及び特徴をより完全に理解することは、添付の図面と関連して以下の詳細な説明を読むと容易になろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、患者の体腔を灌注し、組織を体腔から収集するシステム及び方法を提供する。このシステムは、灌注液を体腔中に注入する灌注及び収集装置を含む。灌注装置は、装置内に正圧を生じさせて灌注液を装置から体腔中に追い出すことにより流体を体腔内に注入する。灌注液は、装置内に結果的に生じた負圧により灌注液及びばらばらの組織又は粒状物を装置内に吸い込むことにより体腔から排出される。灌注液を濾過し、排出された組織及び粒状物を収集用入れ物内に収集し、それにより灌注液中の排出組織及び粒状物を隔離する。
【0017】
この方法を繰り返すために、正圧を装置内に生じさせ、灌注液をこの装置から追い出してこれを体腔内に送り込む。灌注液の排除中、先に収集された組織及び粒状物は、収集用入れ物内に保持されて、これらが、追い出されている灌注液と一緒に体腔に再び入ることがないようにする。灌注液はこの場合も又、装置内に結果的に生じた負圧により体腔から排出され、灌注液及びばらばらの粒子又は粒状物が装置内に吸い込まれる。灌注液を濾過して追加の排出組織及び粒状物を収集用入れ物内に収集する。この方法を繰り返し実施すると、ばらばらの組織及び粒状物の実質的に全てを体腔から除去することができる。
【0018】
次に、図面の図(図中、同一の符号は同一の要素を示している)を参照すると、図1及び図2には、本発明の灌注並びに組織排出及び収集システム10が示されている。灌注並びに組織排出及び収集システム10は、灌注液を収容する容器12を有している。灌注液は、灌注又は洗浄に用いられる任意の流体、例えば、無菌生理食塩液又は無菌水溶液であるのがよい。ポンプ球14が、ポンプ導管16を介して容器12に結合されている。ポンプ導管16は、容器12に取り付けられたものとして示されているが、ポンプ導管16を取り外し可能なキャップ18に連結してもよい。キャップ18は、ねじ山により容器12に連結されたものとして示されているが、他の結合機構を用いてもよい。
【0019】
ポンプ球14は、弾性材料で作られていて、ポンプ球14を握り絞ると、正の圧力が生じて灌注液を容器12から押し出すようになっている。押し潰し力を除くと、ポンプ球14は、その非圧縮状態に戻り、それにより灌注液を容器12内に吸い込む負の圧力を生じさせる。ポンプ球14は、ポンプ導管16に摩擦の作用で連結された状態で示されているが、他の結合機構を用いてもよい。例えば、ポンプ導管16は、ポンプ球14を螺合状態で受け入れるよう内部に(又は外部)にねじ山が設けられたものであるのがよく、ポンプ球は、これに対応したねじ山を有する。ねじ山の噛み合いにより、単純な摩擦嵌めよりもしっかりとした連結具合が得られる。これは、ポンプ球が臨床医により保持される器具の唯一の部分であるので有利である。適当なポンプ部材をポンプ球14の代替手段として使用できることは注目されるべきである。
【0020】
管20が、容器12に出入りする灌注液の経路を提供する。管20は、経尿道的切除(TUR)術後に人工組織チップを除去するために治療中の(例えば、内視鏡の作業チャネルを介して)患者の体腔、例えば膀胱内に挿入可能な流体ライン(図示せず)に結合された第1の端部を有する。管20の第2の端部は、容器12の内部と流体連通状態にある。この実施形態では、第2の端部は、解除可能なコネクタ24(例えば、Oリング)により収集用袋22に結合されていて、収集用袋22を取り外すことができるようになっている。
【0021】
使用にあたり、収集用袋22を容器12の内部に入れ、これを用いて粒状物のサンプルを得る。収集用袋22は、流体及び所与の寸法の粒状物の通過を可能にする複数個の開口部を備えている。収集用袋22のかかる開口部は、所定寸法の粒状物の貫流を制限するような寸法を有している。収集用袋22を、メッシュタイプの材料、例えばメッシュ織物袋で作ることができるので、或る範囲のメッシュ寸法開口部を有する種々の袋を用いて特定の用途に適合させることができる。例えば、大きな組織粒子を収集することが望ましい場合、比較的大きなメッシュ寸法の開口部を有する収集用袋が用いられる。また、一連の収集用袋22を用いて種々の寸法の粒子を含有したサンプルを得ることができるようになっている。
【0022】
収集用袋22の製造にあたり、開口部の寸法形状は、必ずしも一定である必要は無い。この結果、種々の寸法の開口部及び或る寸法範囲の開口部(例えば、或る範囲の開口部断面積)が得られる。したがって、当該技術分野においては慣例であるように、収集用袋22の開口部を平均寸法を有するものとして考えることができる。
【0023】
管20は、流体(粒状物ではない)が容器12に循環して出入りできるようにするフィルタ28、例えば有窓部分を更に有する。フィルタ28は、流体及び所与の寸法の粒状物の通過を可能にする複数個の細孔を備えている。フィルタ28の細孔は、所定寸法の粒状物の貫流を制限する寸法を有する。収集用袋22と同様、フィルタ28の製造にあたり、細孔の寸法形状は、必ずしも一定である必要は無い。この結果、種々の寸法の細孔及び或る寸法範囲の細孔(例えば、或る範囲の細孔断面積)が得られる。したがって、当該技術分野においては慣例であるように、収集用袋22の細孔を平均寸法を有するものとして考えることができる。
【0024】
開口部(収集用袋22の開口部)と細孔(フィルタ28の細孔)の相対的な寸法を特定の臨床上の状況に合わせて所望に応じて調節できる。例えば、フィルタ28の細孔は、収集用袋22の開口部の平均寸法よりも小さい平均寸法を有するよう作られたものであるのがよい。かくして、小さな寸法及び中位の寸法の粒子は、フィルタ28を通るよりも自由に収集用袋22に出入りすることができ、それにより収集用袋22で大きな寸法の粒子を収集することができる。
【0025】
管20の第2の端部は、流体(粒状物を含む)が収集用袋22に流入することができるが、管20内には戻ることがないようにするフローリミッタ26で終端している。使用できるフローリミッタ26の一例は、弁、例えば逆止弁である。使用できる別のフローリミッタは、ペンローズ排膿器具又は他形式の柔軟な(曲げやすい)又はしなやかな1本の管類である。逆止弁は、収集用袋22からの流出を阻止する上では制約があるが、柔軟な1本の管材を用いることは、この管材が可動部分を備えておらず、費用効果がよいので有利な場合がある。
【0026】
図3を参照すると、管20は、柔軟なチューブ29を含む。灌注液を容器12から押し出すために正圧が容器12内に作られると(例えば、ポンプ球14を握り絞ることにより)、柔軟性チューブ29内の灌注液と柔軟性チューブ29の周りの灌注液との間に圧力差が生じる。柔軟性チューブ29の周りの灌注液は、柔軟性チューブ29内の灌注液よりも圧力が高く、それにより、柔軟性チューブ29は、中で潰れ、収集用袋22を効果的に封止し、集められた組織及び粒状物が再循環灌注液と共に体腔に再び入るのを阻止する。柔軟性チューブ29は、そのルーメンの開閉を容易にするスリットを備えるのがよい。
【0027】
握り絞り力をポンプ球14から除いて負圧を生じさせると、流体は、体腔から管20を通って容器12内へ吸い込まれる。灌注液が管20を通って容器12内へ吸い込まれると、柔軟性チューブ29内の灌注液と柔軟性チューブ29の周りの灌注液との間に差圧が生じる。柔軟性チューブ29内の灌注液は、柔軟性チューブ29の周りの灌注液よりも圧力が高いので、柔軟性チューブ29が拡張し、それにより収集用袋22への出入りが可能となり、排出された組織及び粒状物が灌注液から収集されて隔離される。
【0028】
本発明の収集用袋22は、柔軟性材料で(又は、柔軟性チューブの代替手段として)作られたものであってもよい。図5の矢印で示すように、灌注液を容器12から押し出す正圧が作られると、収集用袋22内の灌注液と収集用袋22の周りの灌注液との間に圧力差が生じる。収集用袋22の周りの灌注液は、収集用袋22内の灌注液よりも圧力が高いので、収集用袋22がそれ自体潰れ、収集された組織及び粒状物25が体腔に再び入るのを阻止する。
【0029】
握り絞り力をポンプ球14から除いて負圧を生じさせると、図4に示されているように、流体は、管20を通って収集用袋22内へ吸い込まれる。灌注液が管20を通って収集用袋22内へ吸い込まれると、収集用袋22内の灌注液と収集用袋22の周りの灌注液との間に差圧が生じる。収集用袋22内の灌注液は、収集用袋22の周りの灌注液よりも圧力が高いので、収集用袋22が拡張し、それにより収集用袋22への出入りが可能となり、排出された組織及び粒状物25が灌注液から収集されて隔離される。
【0030】
使用にあたり、システム10は、体腔のどれか、例えば膀胱のための灌注並びに組織排出及び収集システムとなる。容器12を灌注液で満たすのがよく、システム全体から空気をパージするのがよい。当該技術分野においては周知のように、パージは、例えば、開口状態の器具を流体の入ったたらいの中に沈め、ポンプ球を繰り返し圧縮することにより、或いは、閉鎖状態の器具のノズルを灌注液中に浸漬し、一杯になるまでポンプ球で吸引するのを繰り返すことにより、達成できる。内視鏡を用いて流体ラインを関心のある体腔(管20に連結されている)まで前進させるのがよい。
【0031】
ポンプ球14を圧縮することにより、容器12内の灌注液は、フィルタ28を通って管20から送り出され、この管20は、流体ラインを経て体腔に連結されている。ポンプ球14に加わる圧力を除くと、流体は、体腔内から流体ラインを通り、管20を通って吸い戻される。粒状組織及び他の物体は、収集用袋22内に捕捉され、流体の残部は、容器12及びポンプ球14を再び満たす。所望に応じて、収集用袋22を取り外して検体ジャー内に落下させてもよい。このように、別々の検体を正確に収集して送ることができ、この場合、検体組織が失われ又はごちゃまぜになる恐れは無い。この点に関し、容器12又はその一部は、流体の混濁度を目で吟味できるよう透明又は半透明に作られたものであるのがよい。
【0032】
図6〜図8を参照すると、本発明の別の実施形態としての灌注並びに組織排出及び収集システム30が示されている。一般に、システム30の構造及び機能の大部分は、システム10の構造及び機能と同一又は同等であり、したがって、同一のコンポーネントについて同一の名称及び類似した参照符号が用いられ、これら同一のコンポーネントについての説明は不要であると考えられる。
【0033】
システム30は、灌注液を収容する容器32を有している。ポンプ球34が、ポンプ導管36を介して取り外し可能なキャップ38に結合されている。変形例として、ポンプ導管36は、容器32に取り付けられる。導管16とは対照的に、導管36は、キャップ38から直角ではない角度をなして下方に延びている。感触及び取り扱いの向上に加えて、この形態は又、ポンプ球34による空気のパージを容易にする。
【0034】
管40が、容器32に出入りする灌注液の経路となる。管40の一端部は、連結管44を介して収集用バスケット42に着脱自在に結合されている。収集用バスケット42を、メッシュタイプの材料で作ることができ又はアレイ状に配列された開口部43を有するよう穴あけしてもよいので、或る範囲のメッシュ寸法開口部を有する種々のバスケットを用いて特定の用途に適合させることができる。所望ならば、収集用バスケット42を硬質の材料、例えば適当なポリマーで作ってもよい。
【0035】
連結管44は、フランジ46を形成するよう外方にラッパ状に広がっている。フランジ46は、収集用バスケット42に設けられたねじ山と噛み合うようねじ山が切られたものとして示されているが、他の結合機構を使用できる。収集用バスケット42と同様に、連結管44は、或る特定の寸法以上の粒状物の貫流を制限する細孔45を備えている。システム10の場合と同様、開口部43及び細孔45の相対寸法(平均断面積)は、特定の用途に合うように様々であってよい。
【0036】
連結管44は、キャップ38内にこれと密接して位置する連結管44の部分が他の部分(即ち、フランジ46の近くに位置する部分)と比較して強い乱流及び高い流量を受けるように形作られ且つ寸法決めされると共に導管36に対して配置されている。その結果、収集用バスケット42の底部の近くの容器32のベースの近くの流体は、実質的に乱されず実質的に乱流が無い状態のままである。これにより、物体が収集用バスケット42内で沈澱できる傾向を生じる一方で、依然として流体の適度の循環が可能である。
【0037】
図9を参照すると、容器32は、上方部分48及び下方部分50を有している。容器32は、下方部分50の断面積が上方部分48の断面積よりも大きいような寸法形状のものであるのがよい。例えば、全体的に示されているように、容器42は、実質的に切頭円錐形のものであるのがよい。かかる容器32の寸法形状により、流体が容器32の上方部分48から下方部分50に流れるときに乱流が分散される。上述したように、ポンプ球34を圧縮することにより、灌注液が容器32内に送り込まれ、強い(強度の)乱流(HT)が容器32の上方部分48内に生じる。灌注液が容器32の下方部分50内に送り込まれると、容器32の断面の増加により、乱流が分散し、弱い(軽度の)乱流(LT)が生じる。その結果、収集用バスケット42の底部の付近の容器32の下方部分50内の流体は、実質的に乱されず実質的に乱流が無い(NT)状態のままである。これにより、物体が収集用バスケット42内で沈澱できる傾向を生じる一方で、依然として流体の適度の循環が可能である。
【0038】
一実施形態では、着脱可能なキャップ38は、キャップ内部52を備える。キャップ内部52は、容器32に着脱自在に取り付けられ、このキャップ内部は、容器32の上方部分48とキャップ内部52との間に流体インタフェース54を構成している。ポンプ球34を圧縮することにより、灌注液が、キャップ内部52に送り込まれ、それによりキャップ内部52及び容器32の上方部分48内に強度の乱流(HT)が生じる。灌注液が容器32の下方部分50内に送り込まれると、距離の増大、制流及び他の実施形態では容器32の断面積の増大により、乱流が分散され、軽度の乱流(LT)が生じる。その結果、収集用バスケット42の底部の付近の容器32の下方部分50内の流体は、実質的に乱されず実質的に乱流が無い(NT)状態のままである。これにより、物体が収集用バスケット42内で沈澱することができる一方で、依然として流体の適度の循環が可能である。
【0039】
システム30は、フローレストリクタ56を有するが、このようにするかどうかは任意であり、このフローレストリクタは、キャップ内部52を容器32の上方部分48から部分的に隔離する。フローレストリクタ56は、着脱可能なキャップ38の一部であるのがよい。例えば、フローレストリクタ56は、キャップ内部52を容器32の上方部分48から部分的に隔離するようキャップ38から円周方向に延びるリップであるのがよい。変形例として、フローレストリクタ56を容器32の上方部分48内に位置決めしてもよい。
【0040】
フローレストリクタ56は、キャップ内部52と容器32の上方部分48との間の流体インタフェース54の断面積を減少させるのに役立つ。流体インタフェース54の制限は、ポンプ球34を圧縮することにより引き起こされキャップ内部52から容器32の下方部分50内への強度の(強い)乱流(HT)の伝搬を制限するのに役立つ。
【0041】
上述したように、ポンプ球34を圧縮することにより、キャップ内部52内に強度の乱流(HT)が生じる。灌注液が容器32の上方部分48内に送り込まれると、制限された流体インタフェース54は、容器32の上方部分48内への強い乱流の伝搬を制限する。さらに、容器32の断面積の増加により、残存する乱流が一段と分散され、軽度の乱流(LT)が生じる。その結果、収集用バスケット42の底部の付近の容器32の下方部分50内の流体は、実質的に乱されず実質的に乱流が無い(NT)状態のままである。これにより、物体が収集用バスケット42内で沈澱できる傾向を生じる一方で、依然として流体の適度の循環が可能である。
【0042】
図10は、本発明の別の実施形態としての灌注並びに組織排出及び収集システム60が示されている。一般に、システム60の構造及び機能の大部分は、先のシステムの構造及び機能と同一又は同等であり、したがって、同一のコンポーネントについて同一の名称及び類似した参照符号が用いられ、これら同一のコンポーネントについての説明は不要であると考えられる。
【0043】
システム60は、灌注液を収容する容器62を有している。ポンプ球64が、ポンプ導管66を介して取り外し可能なキャップ68に結合されている。変形例として、ポンプ導管66は、容器62に取り付けられる。導管16とは対照的に、導管66は、キャップ68から或る角度をなして下方に延びている。感触及び取り扱いの向上に加えて、この形態は又、ポンプ球64による空気のパージを容易にする。ポンプ球64は、ポンプ球64の一部を導管66内に差し込むことによりポンプ導管66に摩擦の作用で連結されている。変形例として、ポンプ球64は、ポンプ導管66に螺合可能に連結される。
【0044】
管70が、容器62に出入りする灌注液の経路となる。管70の一端部は、連結管74を介して収集用バスケット72に着脱自在に結合されている。収集用バスケット72を、メッシュタイプの材料で作ることができ又はアレイ状に配列された開口部73を有するよう穴あけしてもよいので、或る範囲のメッシュ寸法開口部を有する種々のバスケットを用いて特定の用途に適合させることができる。所望ならば、収集用バスケット72を硬質の材料、例えば適当なポリマーで作ってもよい。
【0045】
連結管74は、フランジ76を形成するよう外方にラッパ状に広がっている。フランジスカート78が、フランジ76から延びている。フランジスカート78は、収集用バスケット72に設けられたねじ山と噛み合うようねじ山が切られたものとして示されているが、他の結合機構を使用してもよい。収集用バスケット72と同様に、連結管74は、或る特定の寸法以上の粒状物の貫流を制限する細孔75を備えている。先のシステムの場合と同様、開口部73及び細孔75の相対寸法(平均断面積)は、特定の用途に合うように様々であってよい。
【0046】
連結管74は、キャップ68内にこれと密接して位置する連結管74の部分が他の部分(即ち、フランジ76の近くに位置する部分)と比較して強い乱流及び高い流量を受けるように形作られ且つ寸法決めされると共に導管66に対して配置されている。その結果、収集用バスケット72の底部の近くの容器62のベースの近くの流体は、実質的に乱されず実質的に乱流が無い状態のままである。これにより、物体が収集用バスケット72内で沈澱できる傾向を生じる一方で、依然として流体の適度の循環が可能である。
【0047】
容器62は、上方部分80及び下方部分82を有する。容器62、フランジ76及びフランジスカート78の寸法形状により、流体が容器62の上方部分80から下方部分82に流れる際の乱流の伝搬が制限される。上述したように、ポンプ球64を圧縮することにより、灌注液が、容器62内に送り込まれ、それにより容器62の上方部分80内に強度の乱流(HT)が生じる。灌注液が容器62の下方部分82に送り込まれると、容器62の内壁とフランジ76及びフランジスカートとの間の間隔が狭まることにより、乱流の伝搬が制限され、弱い乱流(LT)が生じる。乱流は又、ポンプ導管66からの距離の増大(即ち、容器62の距離の増大)により下方部分82内で減少する。その結果、収集用バスケット72の付近の(特に収集用バスケット72の底部の近くの)容器62の下方部分82内の流体は、実質的に乱されず実質的に乱流が無い(NT)状態のままである。これにより、物体が収集用バスケット72内で沈澱できる傾向を生じる一方で、依然として流体の適度の循環が可能である。
【0048】
一実施形態では、着脱可能なキャップ78は、キャップ内部84を備える。キャップ内部84は、容器62に着脱自在に取り付けられ、このキャップ内部は、容器62の上方部分78とキャップ内部84との間に流体インタフェース86を構成している。ポンプ球64を圧縮することにより、灌注液が、キャップ内部84に送り込まれ、それによりキャップ内部84及び容器62の上方部分80内に強度の乱流(HT)が生じる。灌注液が容器62の下方部分82内に送り込まれると、距離の増大及び制流により、乱流が分散され、軽度の乱流(LT)が生じる。その結果、収集用バスケット72の付近の(特に収集用バスケット72の底部の近くの)容器62の下方部分82内の流体は、実質的に乱されず実質的に乱流が無い(NT)状態のままである。これにより、物体が収集用バスケット72内で沈澱できる傾向を生じる一方で、依然として流体の適度の循環が可能である。
【0049】
図11に示すように、フランジ76は、フランジ76から半径方向に延びるリップ部分88を有しているが、このようにするかどうかは任意である。リップ部分88は、容器72の底部への乱流の伝搬を一段と制限するのに役立つ。
【0050】
図12を参照すると、本発明の別の実施形態としての灌注並びに組織排出及び収集システム90が示されている。一般に、システム90の構造及び機能の大部分は、システム10,30,60の構造及び機能と同一又は同等であり、したがって、同一のコンポーネントについて同一の名称及び類似した参照符号が用いられ、これら同一のコンポーネントについての説明は不要であると考えられる。
【0051】
システム90は、灌注液を収容する容器92を有している。ポンプ球94が、ポンプ導管96を介して取り外し可能なキャップ98に結合されている。変形例として、ポンプ導管96は、容器92に取り付けられる。
【0052】
管100が、容器92に出入りする灌注液の経路となる。管100の一端部は、連結管104を介して収集用バスケット102に着脱自在に結合されている。収集用バスケット102を、メッシュタイプの材料で作ることができ又はアレイ状に配列された開口部103を有するよう穴あけしてもよいので、或る範囲のメッシュ寸法開口部を有する種々のバスケットを用いて特定の用途に適合させることができる。所望ならば、収集用バスケット102を硬質の材料、例えば適当なポリマーで作ってもよい。
【0053】
連結管104は、フランジ106を形成するよう外方にラッパ状に広がっている。フランジ106は、収集用バスケット102に設けられたねじ山と噛み合うようねじ山が切られたものとして示されているが、他の結合機構を使用してもよい。収集用バスケット102と同様に、連結管104は、或る特定の寸法以上の粒状物の貫流を制限する細孔105を備えている。レストリクタ板108が、連結管104から半径方向に延びており、このレストリクタ板は、フランジ106とキャップ98との間に介在して設けられている。
【0054】
連結管104、フランジ106及びレストリクタ板108は、キャップ68内にこれと密接して位置する連結管104の部分が他の部分(即ち、フランジ106の近くに位置する部分)と比較して強い乱流及び高い流量を受けるように形作られ且つ寸法決めされると共に導管96に対して配置されている。その結果、収集用バスケット102の付近の(特に収集用バスケット102の底部の近くの)容器92のベースの近くの流体は、実質的に乱されず実質的に乱流が無い状態のままである。特に、レストリクタ板108は、流体をポンプ導管96から管100へ差し向ける遮蔽体のように働く。これら特徴の組合せ効果により、物体が収集用バスケット102内で沈澱できる傾向を生じる一方で、依然として流体の適度の循環が可能である。
【0055】
容器92は、上方部分110及び下方部分112を有する。容器92、フランジ106及びレストリクタ板108の寸法形状により、流体が容器92の上方部分110から下方部分112に流れる際の乱流の伝搬が制限される。上述したように、ポンプ球94を圧縮することにより、灌注液が、容器92内に送り込まれ、それにより容器92の上方部分110内に強度の乱流(HT)が生じる。灌注液が容器92の下方部分112に送り込まれると、レストリクタ板108及びフランジ106は、乱流の伝搬を制限し、弱い乱流(LT)を生じさせる。収集用バスケット102の付近の(特に収集用バスケット102の底部の近くの)容器92の下方部分内の流体は、実質的に乱されず実質的に乱流が無い状態のままである。特に、レストリクタ板108は、流体をポンプ導管96から管100へ差し向ける遮蔽体のように働く。これら特徴の組合せ効果により、物体が収集用バスケット102内で沈澱できる傾向を生じる一方で、依然として流体の適度の循環が可能である。その結果、収集用バスケット102の底部の付近の容器92の下方部分112内の流体は、実質的に乱されず実質的に乱流が無い(NT)状態のままである。これにより、物体が収集用バスケット102内で沈澱できる傾向を生じる一方で、依然として流体の適度の循環が可能である。
【0056】
一実施形態では、着脱可能なキャップ98は、キャップ内部114を備える。キャップ内部114は、容器92に着脱自在に取り付けられ、このキャップ内部は、容器92の上方部分110とキャップ内部114との間に流体インタフェース116を構成している。ポンプ球94を圧縮することにより、灌注液が、キャップ内部114に送り込まれ、それによりキャップ内部114及び容器92の上方部分110内に強度の乱流(HT)が生じる。灌注液が容器92の下方部分112内に送り込まれると、距離の増大及び制流により、乱流が分散され、軽度の乱流(LT)が生じる。その結果、収集用バスケット102の付近の(特に収集用バスケット102の底部の近くの)容器92の下方部分112内の流体は、実質的に乱されず実質的に乱流が無い(NT)状態のままである。これにより、物体が収集用バスケット102内で沈澱できる傾向を生じる一方で、依然として流体の適度の循環が可能である。
【0057】
図13を参照すると、本発明の別の実施形態としての灌注並びに組織排出及び収集システム120が示されている。一般に、システム120の構造及び機能の大部分は、先のシステムの構造及び機能と同一又は同等であり、したがって、同一のコンポーネントについて同一の名称及び類似した参照符号が用いられ、これら同一のコンポーネントについての説明は不要であると考えられる。
【0058】
システム120は、灌注液を収容する容器122を有している。ポンプ球124が、ポンプ導管126を介して取り外し可能なキャップ128に結合されている。変形例として、ポンプ導管126は、容器122に取り付けられる。上述したように、又図15に示すように、ポンプ球124は、ポンプ導管126に螺合可能に連結されている。
【0059】
管130が、容器122に出入りする灌注液の経路となる。管130の一端部132は、連結管134を介して収集用バスケット(図示せず)に着脱自在に結合されている。収集用バスケットを、メッシュタイプの材料で作ることができ又はアレイ状に配列された開口部を有するよう穴あけしてもよいので、或る範囲のメッシュ寸法開口部を有する種々のバスケットを用いて特定の用途に適合させることができる。所望ならば、収集用バスケットを硬質の材料、例えば適当なポリマーで作ってもよい。
【0060】
収集用バスケットと同様に、連結管134は、或る特定の寸法以上の粒状物の貫流を制限する細孔136を備えている。先のシステムの場合と同様、収集用袋の開口部及び細孔136の相対寸法(平均断面積)は、特定の用途に合うように様々であってよい。
【0061】
連結管134は、キャップ128内にこれと密接して位置する連結管134の部分が他の部分と比較して強い乱流及び高い流量を受けるようにたかちつぐられ且つ寸法決めされると共に導管126に対して配置されている。その結果、収集用袋の付近の(特に収集用袋の底部の近くの)容器122のベースの近くの流体は、実質的に乱されず実質的に乱流が無い状態のままである。これにより、物体が収集用袋内で沈澱できる傾向を生じる一方で、依然として流体の適度の循環が可能である。
【0062】
図14を参照すると、連結管134は、これから半径方向に延びるレストリクタ板138を有している。レストリクタ板138は、管130の下端部134とキャップ128との間に介在して位置し、このレストリクタ板は、流体をポンプ導管126から管130の方へ差し向ける遮蔽体のように働く。望ましくは、レストリクタ板138は、流体密関係をなすようキャップ126の縁部にぴったりと嵌合するのがよく、それにより、流体が容器122の下方部分に達するには連結管134を通過しなければならないようにするバルクヘッドとしての役目を果たす。
【0063】
容器122は、上方部分140及び下方部分142を有する。容器122及びレストリクタ板138の寸法形状により、流体が容器122の上方部分140から下方部分142に流れる際の乱流の伝搬が制限される。上述したように、ポンプ球124を圧縮することにより、灌注液が、容器122内に送り込まれ、それにより容器122の上方部分140内に強度の乱流(HT)が生じる。灌注液が容器122の下方部分142に送り込まれると、レストリクタ板138は、乱流の伝搬を制限し、弱い乱流(LT)を生じさせる。その結果、収集用袋の付近の(特に収集用袋の底部の近くの)容器122の下方部分142内の流体は、実質的に乱されず実質的に乱流が無い(NT)状態のままである。これにより、物体が収集用袋内で沈澱できる傾向を生じる一方で、依然として流体の適度の循環が可能である。
【0064】
本明細書に記載した技術文献の全てを参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部となす。加うるに、別段の指摘がなされない限り、添付の図面の全ては、同一縮尺のものではないことは注目されるべきである。
【0065】
本発明には多くの種々の特徴が存在し、これら特徴を一緒に又は別々に利用できることが想定されている。かくして、本発明は、本発明の特徴の任意の特定の組合せ又は特定の用途には限定されるものではない。例えば、フローリミッタ26をシステム10の一部として説明したが、本発明では、フローリミッタ26又はこれに類似した機構を他の実施形態のどれとも関連して使用できることも想定される。さらに、当業者であれば、本発明の精神及び範囲に属する変形例及び改造例を想到できることは理解されるべきである。したがって、本明細書に記載された開示内容から当業者により容易に達成でき、本発明の範囲及び精神に含まれる全ての都合のよい改造例は、本発明の別の実施形態として本発明に含まれるべきである。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明のシステムの一実施形態の斜視図である。
【図2】キャップが流体容器から外され、ポンプ球が省かれた状態の図1のシステムの側面図である。
【図3】本発明のフローリミッタの断面図である。
【図4】流体が流入している際のメッシュ袋の形態の略図である。
【図5】流体が流出している際のメッシュ袋の形態の略図である。
【図6】本発明のシステムの別の実施形態の斜視図である。
【図7】図6のシステムの第1の分解組立図である。
【図8】図6のシステムの第2の分解組立図である。
【図9】図6のシステムの断面図であり、流体の流れパターンを示す図である。
【図10】本発明のシステムの別の実施形態の斜視図である。
【図11】図10のシステムの変形実施形態を示す図である。
【図12】本発明のシステムの別の実施形態の斜視図である。
【図13】本発明のシステムの別の実施形態の斜視図である。
【図14】図13のシステムの変形実施形態を示す図である。
【図15】ポンプ導管に螺合可能に結合されたポンプ球を示す分解組立図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ラインを介して流体を体腔に導入したり流体を体腔から抜き取る医用灌注及び組織収集システムであって、
流体を入れる内部を備えた容器と、
前記容器と流体連通状態にあるポンプ球と、
前記流体ラインに連結された第1の端部及び前記容器の前記内部と流体連通状態にある第2の端部を備えた管と、
前記容器の前記内部に設けられると共に前記管の前記第2の端部に着脱自在に連結されていて、粒状物を収集する収集用入れ物とを有し、
前記収集用入れ物は、流体及び所定寸法よりも小さな粒状物の通過を可能にする複数個の開口部を備えている、医用灌注及び組織収集システム。
【請求項2】
前記第2の端部は、流体及び所与の寸法の粒状物の通過を可能にする複数個の細孔を備えた有孔部分を有する、請求項1記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項3】
前記複数個の開口部は、平均開口部寸法を有し、前記複数個の細孔は、平均細孔寸法を有し、前記平均細孔寸法は、前記平均開口部寸法よりも小さい、請求項2記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項4】
前記管と作動的に関連していて、流体及び粒状物が前記管を通って流れて前記収集用入れ物内に流入することができるようにする一方弁を更に有する、請求項2記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項5】
前記一方弁は、前記管の前記第2の端部に結合され、前記一方弁は、前記ポンプ球により生じる差圧下で潰れる1本のチューブを備えている、請求項4記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項6】
前記収集用入れ物は、メッシュ袋である、請求項5記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項7】
前記メッシュ袋は、前記ポンプ球により生じた差圧下で潰れる、請求項6記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項8】
前記収集用入れ物は、メッシュ袋である、請求項2記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項9】
前記メッシュ袋は、前記ポンプ球により生じる差圧下で潰れる、請求項8記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項10】
前記メッシュ袋の上方に配置されたフローレストリクタを更に有する、請求項9記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項11】
前記フローレストリクタは、前記管から半径方向に延びるレストリクタ板である、請求項10記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項12】
前記容器に着脱自在に結合されたキャップを更に有する、請求項2記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項13】
前記キャップから延びる第1の端部及び前記ポンプ球に結合された第2の端部を備えるポンプ導管を更に有する、請求項12記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項14】
前記ポンプ球は、前記ポンプ導管に螺着されている、請求項13記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項15】
前記ポンプ導管は、前記キャップから下方に延びる、請求項13記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項16】
前記収集用入れ物は、硬質ポリマー材料で作られたバスケットである、請求項15記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項17】
前記容器は、上方部分及び下方部分を有し、前記キャップは、前記上方部分に着脱自在に結合される、請求項13記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項18】
前記収集用入れ物は、前記容器の前記下方部分内に設けられている、請求項17記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項19】
前記容器の前記上方部分及び前記下方部分は、前記ポンプ球を圧縮することにより生じた圧力に起因する乱流が前記容器の下方部分内と比較して前記容器の前記上方部分内の方において高いような寸法形状のものである、請求項18記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項20】
前記収集用入れ物は、硬質ポリマー材料で作られたバスケットである、請求項19記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項21】
前記バスケットの底部では、前記ポンプ球を圧縮することにより生じた圧力に起因して乱流が実質的に生じることはない、請求項20記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項22】
前記キャップは、キャップ内部を備え、前記ポンプ球を圧縮することにより生じた圧力に起因する乱流は、実質的に前記キャップ内部に制限される、請求項17記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項23】
前記キャップ内部と前記容器の前記上方部分との間に設けられたフローレストリクタを更に有する、請求項22記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項24】
前記フローレストリクタは、前記キャップのリップ付き部分である、請求項23記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項25】
前記フローレストリクタは、前記管から半径方向に延びるレストリクタ板である、請求項23記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項26】
流体ラインを介して流体を体腔に導入したり流体を体腔から抜き取る医用灌注及び組織収集システムであって、
流体を入れる容器内部を備えた容器と、
前記容器内部と流体連通状態にあるポンプ球と、
前記流体ラインに連結された第1の端部及び前記容器内部に位置決めされた第2の端部を備えた管と、
前記容器内部に位置決めされると共に前記管の前記第2の端部に連結された収集用入れ物とを有し、前記収集用入れ物は、流体及び所定寸法よりも小さな粒状物を通過させることができる複数個の開口部を有し、
前記容器内部は、上方部分及び下方部分を有し、該上方部分及び該下方部分は、前記ポンプ球により生じる乱流が実質的に前記上方部分に制限され、前記下方部分には実質的に乱流が生じないように形作られると共に寸法決めされ且つ前記ポンプ球に対して配置されている、医用灌注及び組織収集システム。
【請求項27】
前記容器から延びていて、前記容器内部の前記上方部分と流体連通状態にある第1の端部及び前記ポンプ球に結合された第2の端部を備えるポンプ導管を更に有する、請求項26記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項28】
前記ポンプ導管は、前記ポンプ球を前記容器内部の上方部分の下に位置決めするよう構成されている、請求項27記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項29】
前記容器に着脱自在に結合されたキャップを更に有する、請求項26記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項30】
前記管は、前記流体及び所与の寸法の粒状物を通過させることができる複数個の細孔を備えた有孔部分を有する、請求項29記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項31】
前記キャップ内部と前記容器の前記上方部分との間に設けられたフローレストリクタを更に有する、請求項30記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項32】
前記フローレストリクタは、前記キャップのリップ付き部分である、請求項31記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項33】
前記フローレストリクタは、前記管から半径方向に延びるレストリクタ板である、請求項31記載の医用灌注及び組織収集システム。
【請求項34】
組織及び粒状物を患者の体腔から収集する方法であって、
医用灌注及び組織収集装置を前記体腔と流体連通関係をなして位置決めする段階と、
灌注液を前記医用灌注及び組織収集装置から前記体腔内に注入する段階と、
前記灌注液を前記体腔から前記医用灌注及び組織収集装置内に排出し、前記排出された灌注液が前記体腔からの組織及び粒状物を含むようにする段階と、
前記排出された灌注液を濾過して前記灌注液中の組織及び粒状物を隔離して、前記組織及び粒状物が前記医用灌注及び組織収集システム内に設けられた収集用入れ物内に収集されるようにする段階とを有する、方法。
【請求項35】
灌注流体を前記医用灌注及び組織収集装置から前記体腔内に注入する前記段階は、正圧を前記医用灌注及び組織収集システム内に生じさせてこれを前記体腔内に作用させる段階を含み、該段階は、前記医用灌注及び組織収集システムの上方部分内に乱流を生じさせる一方で、前記医用灌注及び組織収集システムの下方部分内に実質的に乱流の無い流れを維持する段階を含む、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記排出された灌注液を濾過して前記灌注液中の組織及び粒状物を隔離する前記段階は、組織及び粒状物を前記医用灌注及び組織収集装置の前記下方部分内に収集する段階を含む、請求項34記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2007−514456(P2007−514456A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526264(P2006−526264)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/029312
【国際公開番号】WO2005/023095
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(506082009)シヴコ メディカル インスツルメンツ カンパニー インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】