説明

火災感知器における電池の取り付け構造

【課題】電池収容部分の構造を容易に共通化することが可能となる、火災感知器における電池の取り付け構造を提供すると。
【解決手段】電池式の煙感知器1における電池の取り付け構造であって、煙感知器1は、火災感知を行う感知器本体と、この感知器本体の電源となる電池21を有する電源ユニット20と、感知器本体を監視領域側に収容すると共に電源ユニット20を監視領域とは反対側に収容する感知器カバー30とを備える。電源ユニット20は、感知器本体側に配置される本体側カバー22と、感知器本体とは反対側に配置される外側カバー23と、これら本体側カバー22と外側カバー23の相互間に配置された電池21とを一体に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線式の火災感知器における電池の取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
火災感知器は、火災の感知原理に基づいて、熱感知式と煙感知式に大別できる。
【0003】
熱感知式の火災感知器は、感知器本体と感知器カバーとを備えて構成されており、感知器本体は、端子盤にサーミスタを実装して構成されており、このサーミスタを使用して火災から発せられる熱を感知する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、煙感知式の火災感知器は、感知器本体と感知器カバーとを備えて構成されており、感知器本体は、端子盤、検煙部本体、防虫網、及びラビリンスを備えて構成されている。検煙部本体には、発光部と受光部が設けられており、受光部は、発光部にて発せられた光を直接受光しないように配置されている。ラビリンス内には検煙空間(チャンバー)が形成され、このチャンバーには防虫網を介して外気が流入可能であるが、チャンバーに入射した外乱光はラビリンスにより遮光されて受光部に入射することが防止される。このような構成において、チャンバーに流入した外気中に煙が存在しない場合には、発光部にて発せられた光が受光部にて受光されないが、この外気中に煙が存在する場合には、発光部にて発せられた光が煙粒子にて散乱されて受光部にて受光されるため、この受光部における受光量に基づいて煙の濃度を算定することが可能となり、この煙の濃度が一定濃度以上の場合には火災が発生したものと判断して火災検出信号を出力する(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、このような火災感知器は、信号の送受信形態に基づいて、有線式と無線式に大別される。有線式の火災感知器は、受信機に対して電線を介して接続され、この電線を介して受信機から電力供給を受けると共に、火災検出信号の送信等を行う。一方、無線式の火災感知器は、自己に内蔵した電池から電力供給を受けると共に、受信機や同一住宅内に設置された他の火災感知器との相互間において、無線にて火災検出信号の送信等を行う。このような住宅用火災警報器のうち、特に、無線式の火災警報器は、電線を施設する必要がないという利点を有するため、特に普及することが期待されている。
【0006】
この無線式の火災警報器のように、電池を内蔵した電池式の火災感知器は、一般に、筐体の背面側に電池収容部を備えて構成されており、この電池収容部に電池を収容した状態で、電池収容部を電池蓋で閉鎖していた(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−325674号公報
【特許文献2】特開2006−267128号公報
【特許文献3】特開2007−286795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、従来、これら熱感知式の火災感知器と煙感知式の火災感知器とは、感知構造が相互に異なるため、感知器本体や感知器カバーが相互に異なる構造となっていた。しかしながら、設計効率や製造効率を向上させるため、これら熱感知式の火災感知器と煙感知式の火災感知器とを、相互に極力共通の構造にしたいとのニーズがあった。特に、電池式の火災感知器においては、全体の体積に対して電池収容部分の占める体積が比較的大きいため、電池式の熱感知器と煙感知器の相互間において、電池収容部分の構造を共通化したいとのニーズがあった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電池収容部分の構造を容易に共通化することが可能となる、火災感知器における電池の取り付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の火災感知器における電池の取り付け構造は、監視領域の火災を感知する電池式の火災感知器における電池の取り付け構造であって、前記火災感知器は、火災感知を行う感知器本体と、この感知器本体の電源となる前記電池を有する電源ユニットと、前記感知器本体を前記監視領域側に収容すると共に前記電源ユニットを前記監視領域とは反対側に収容する感知器カバーとを備え、前記電源ユニットは、前記感知器本体側に配置される本体側カバーと、前記感知器本体とは反対側に配置される外側カバーと、これら本体側カバーと外側カバーの相互間に配置された前記電池とを一体に備える。
【0011】
また、請求項2に記載の火災感知器における電池の取り付け構造は、請求項1に記載の火災感知器における電池の取り付け構造において、前記本体側カバーを、前記感知器カバーに対して専用治具にて固定解除可能な固定部にて固定し、前記外側カバーを、前記本体側カバーに対して螺合又は係合にて固定した。
【0012】
また、請求項3に記載の火災感知器における電池の取り付け構造は、請求項1又は2に記載の火災感知器における電池の取り付け構造において、前記電源ユニットにおける前記監視領域とは反対側に、前記火災感知器を設置面に取り付けるための取付金具を設けた。
【0013】
また、請求項4に記載の火災感知器における電池の取り付け構造は、請求項1から3のいずれか一項に記載の火災感知器における電池の取り付け構造において、前記外側カバーを透明又は半透明に形成した。
【0014】
また、請求項5に記載の火災感知器における電池の取り付け構造は、請求項1から4のいずれか一項に記載の火災感知器における電池の取り付け構造において、前記電源ユニットとして、第1の所定本数の前記電池を収容した第1の電源ユニットと、前記第1の所定本数より多い第2の所定本数の前記電池を収容した第2の電源ユニットとを設け、これら第1の電源ユニットと第2の電源ユニットのいずれか一方を前記感知器カバーに収容した。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の火災感知器における電池の取り付け構造によれば、電源ユニットは、感知器本体側に配置される本体側カバーと、感知器本体とは反対側に配置される外側カバーと、これら本体側カバーと外側カバーの相互間に配置された電池とを一体に備えるので、電源ユニットの取り扱いが用意になる。特に、電源ユニットの各部を一体にユニット化することで、共通の電源ユニットを構造が異なる複数の火災感知器に兼用することが容易となる。
【0016】
また、請求項2に記載の火災感知器における電池の取り付け構造によれば、本体側カバーを、感知器カバーに対して専用治具にて固定解除可能な固定部にて固定することにより、専用治具がなければ本体側カバーを取り外すことができず、感知器本体が本体側カバーによって覆われた状態を維持することができるので、感知器本体に利用者が触れることを防止することができる。一方、外側カバーを、本体側カバーに対して螺合又は係合にて固定したので、治具を用いることなく利用者が外側カバーのみを容易に取り外すことができ、電池を用意に交換することが可能である。
【0017】
また、請求項3に記載の火災感知器における電池の取り付け構造によれば、電源ユニットにおける前記監視領域とは反対側に、火災感知器を設置面に取り付けるための取付金具を設けたので、この取付金具を介して火災感知器を設置面に取り付けることが可能となる。
【0018】
また、請求項4に記載の火災感知器における電池の取り付け構造によれば、外側カバーを透明又は半透明に形成したので、外側カバーを取り付けた状態においても、電池の有無を外部から容易に確認することができる。
【0019】
また、請求項5に記載の火災感知器における電池の取り付け構造によれば、第1の所定本数の電池を収容した第1の電源ユニットと、第1の所定本数より多い第2の所定本数の電池を収容した第2の電源ユニットとを設け、これら第1の電源ユニットと第2の電源ユニットのいずれか一方を前記感知器カバーに収容したので、所要の電池量に応じた電源ユニットを選択して使用することができ、火災感知器の電池量を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に係る無線式の煙感知器の側面図である。
【図2】図1の煙感知器の底面図である。
【図3】図2のA−A矢視断面図である。
【図4】煙感知器の要部の分解斜視図である。
【図5】検煙部アダプタの側面図である。
【図6】検煙部アダプタの平面図である。
【図7】電源ユニットの分解斜視図である。
【図8】電源ユニットの分解斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る無線式の熱感知器の側面図である。
【図10】図9の熱感知器の底面図である。
【図11】図10のB−B矢視断面図である。
【図12】端子盤とアンテナ支持板の斜視図である。
【図13】端子盤とアンテナ支持板の分解斜視図である。
【図14】端子盤とアンテナ支持板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る火災感知器における電池の取り付け構造の各実施の形態を詳細に説明する。ただし、これらの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
〔実施の形態1〕
最初に、実施の形態1について説明する。この形態は、住宅用火災警報器として構成された無線式かつ電池式の煙感知器における電池の取り付け構造に関する形態である。
【0023】
図1は、本実施の形態に係る無線式の煙感知器の側面図、図2は、図1の煙感知器の底面図、図3は、図2のA−A矢視断面図、図4は、煙感知器の要部の分解斜視図である。以下では、煙感知器を天井面(図示せず)に設置した状態を基準に説明するものとし、図1における図示上側を上方、図1における図示下側を下方とし、図2に示す面を底面、図2に示す面と反対側の面を平面と称する。
【0024】
これら各図に示すように、煙感知器1は、監視領域の火災を感知するためのものであって、煙感知を行うための感知器本体10と、この感知器本体10の電源となる電池21を有する電源ユニット20と、これら感知器本体10及び電源ユニット20を収容するための感知器カバー30と、取付金具40とを備えて構成されている。
【0025】
感知器本体10は、検煙部50及び端子盤60を備えて構成されており、これら検煙部50と端子盤60の相互間に配置される検煙部アダプタ70を備えて構成されている。
【0026】
検煙部50は、散乱光式の煙検出を行う部分であり、検煙部本体51、検煙部カバー52、及び防虫網53を備えて構成されている。検煙部本体51は、全体として円盤状に形成されており、検出光としての光を発光する発光手段としての発光部54(具体的には、発光ダイオード)と、当該発光部54から発せられ煙により散乱されることで生ずる散乱光を受光する受光手段としての受光部55(具体的には、フォトダイオード)とを備える。これら発光部54と受光部55は、各々の光軸が同一直線上に位置しないように配置されており、発光部54から発せられた光を受光部55で直接受光しない位置に配置されている。検煙部カバー52は、検煙部50を覆うものであって、検煙部本体51より小径の円盤状に形成されており、その検煙部本体51側の面にはラビリンス56が一体に形成されている。ラビリンス56は、その内部に検煙空間(チャンバー)を形成するもので、このチャンバーに入射した外乱光を遮光して受光部55に入射することを防止する。防虫網53は、ラビリンス56の外周を囲繞する円環状に形成され、図示しない多数の小孔を有し、外気が小孔を介してチャンバーに入ることを許容する一方で、チャンバーに虫が入ることを防止する。ただし、この検煙部50は、特許文献2における有線式の煙感知器の検煙部と共通の構造を有するものであるため、その詳細な説明は省略する。
【0027】
端子盤60は、煙感知機能を実現するための各種の電子部品を実装(電気的に接続)するための実装基板である。ここで、有線式の煙感知器に比べて、無線式の煙感知器1においては、送受信用部品等を実装する必要がある分だけ、広い実装面積が必要になることから、端子盤60が特許文献2の端子盤よりも大径化されている。実装される電子部品の具体的内容やその実装構造については、公知の無線式の煙感知器におけるものと同様であるためにその説明を省略し、ここでは、発光部54、受光部55、無線による信号の送受信を行うためのアンテナ57、及び煙感知器1の各種の状態を外部に報知するための表示部58(具体的には、発光ダイオード)を実装部品として説明する。発光部54及び受光部55は、上述のように検煙部本体51に配置され、図示しない電線を介して端子盤60に実装される。アンテナ57は、端子盤60の外形に略沿って湾曲する線状体として形成されており、後述するように検煙部アダプタ70によって支持されると共に、その端部が検煙部アダプタ70を貫通して端子盤60に至り実装される。表示部58は、2つ設けられており、これら2つの表示部58が、後述するように検煙部アダプタ70における相互に対向する位置に配置され、この検煙部アダプタ70によって支持されると共に、その端子が検煙部アダプタ70を貫通して端子盤60に至り実装される。
【0028】
検煙部アダプタ70は、有線式の煙感知器と共通化された検煙部を、有線式の煙感知器とは異なる構造の端子盤60に対して固定可能とするための接続手段である。図5は、検煙部アダプタ70の側面図、図6は、検煙部アダプタ70の平面図(図4に示す面と反対側の面を示す図)である。図4から図6に示すように、概略的には、検煙部50、検煙部アダプタ70、及び端子盤60を、検煙部本体51、検煙部アダプタ70、及び端子盤60の面方向が相互に平行となる向きに配置した状態で、順次重合することにより、感知器本体10が構成されている。
【0029】
この検煙部アダプタ70は、全体的には、端子盤60とほぼ同一の径又は端子盤60より大きい径の円盤状に形成されている。ここで、光は、端子盤60の内部透過により導光されて受光部55に受光される可能性があるため、検煙部アダプタ70を上記のような径で形成することで、検煙部アダプタ70によって端子盤60を検煙部本体51に対して覆うことができ、端子盤60にて導光された光が受光部55に入射することを防止できる。
【0030】
次に、電源ユニット20について説明する。図7は、電源ユニット20の分解斜視図を示す(なお、螺号用溝部や電池接点の図示を省略し、本体側カバーの一部を破断して示す。図8も同様)。この電源ユニット20は、電池21を感知器カバー30に対して着脱自在に取り付けるためのもので、感知器本体10側に配置される本体側カバー22と、感知器本体10とは反対側に配置される外側カバー23と、これら本体側カバー22と外側カバー23の相互間に配置された電池21とを備えて構成されている。
【0031】
ここでは、電源ユニット20として、第1の所定本数(ここでは2本)の電池21を収容した図7の電源ユニット20A(第1の電源ユニット)と、第1の所定本数より多い第2の所定本数(ここでは3本)の電池21を収容した図8の電源ユニットB(第2の電源ユニット)との2種類の電源ユニット20A、20Bが設けられており、これら電源ユニット20A、20Bの中から選択されたいずれか一方が、感知器カバー30の後述する電源部収容空間に収容される。これら2種類の電源ユニット20A、20Bは、いずれも、外形は同じであって、第2の所定本数を収容可能な内部空間を有しており、同一の感知器カバー30に対していずれか一方を選択的に接続することができる。ここでは、これら電源ユニット20A、20Bの各部に共通の符号を付して説明し、特に両者を区別する必要がない場合には、単に電源ユニット20と称する。
【0032】
図3、7、8に示すように、本体側カバー22は、端子盤60における監視領域と反対側の側方に配置されるもので、端子盤60を覆うことによって当該端子盤60を外部に対して非露出状とするものである。この本体側カバー22は、主面部22aと、側部突起22bと、接続突起22cと、複数の電池固定突起22dとを一体に備えて構成されている。
【0033】
主面部22aは、端子盤60の径に対して同一の径又は大きな径の円盤状に形成されており、端子盤60と平行に配置されることで、端子盤60を覆っている。この主面部22aの外周端近傍位置には、相互に対向する位置に一対の固定部(図示省略)が設けられており、この固定部を感知器カバー30に固定することにより、本体側カバー22を感知器カバー30に固定することができる。この固定部は、当該固定部の固定を解除するための専用治具にて固定解除可能なものであり、例えば、特開平08−212473号公報に開示されているように、感知器カバー30に設けた貫通孔31を介して挿入された解除ピックにより押圧されることで固定解除可能な固定ピンとして形成されている。特に、この固定部は、外側カバー23よりも側方側に配置されているので、外側カバー23を本体側カバー22に固定している状態であっても、この固定部も目視して位置合わせ等しながら、電源ユニット20を感知器カバー30に収容することが可能である。
【0034】
また、図3、7、8において、側部突起22bは、主面部22aの端部に一体に設けられたものであって、主面部22aから監視領域と反対側に向けて突出する円環状の壁体として形成されており、感知器カバー30の後述するカバー本体部の内面に沿って配置される。
【0035】
接続突起22cは、主面部22aから監視領域と反対側に向けて突出する円環状の壁体として形成されており、その外面には図示しない螺号用溝部が形成されており、この外面において外側カバー23と螺合される。
【0036】
複数の電池固定突起22dは、主面部22aから監視領域と反対側に向けて突出する板状の壁体であって、接続突起22cよりも中央側の位置において、電池21の長手方向に沿った側面に配置されている。そして、この複数の電池固定突起22dの相互間に電池21を配置することで、電池21がその短手方向に不用意に移動することが防止されている。ここで、図7の電源ユニット20Aの電池固定突起22dは、第1の所定本数(ここでは2本)の電池21の各々の側面に配置されており、図8の電源ユニット20Bの電池固定突起22dは、第2の所定本数(ここでは3本)の電池21の各々の側面に配置されている。なお、電池21に関しては、具体的な種類は任意であるが、例えば、マンガン乾電池やアルカリ乾電池の如き一次電池が使用される。
【0037】
外側カバー23は、電池21を挟んで本体側カバー22と対向する位置に配置されるもので、電池21を覆うものである。この外側カバー23は、主面部23aと、接続突起23bとを一体に備えて構成されている。
【0038】
主面部23aは、電池21の外形に対して同一の径又は大きな径であって、本体側カバー22の主面部22aに対して同一の径又は小さな径の円盤状に形成されており、主面部22aと平行に配置されることで、電池21を覆っている。
【0039】
接続突起23bは、主面部23aから監視領域側に向けて突出する円環状の壁体として形成されており、その内面には図示しない螺号用溝部が形成されており、この内面において本体側カバー22の接続突起22cの螺号用溝部と螺合されることにより、外側カバー23を本体側カバー22に固定することができる。また、接続突起22cと接続突起23bを螺合した状態において、主面部23aは電池21の側面に当接し、電池21の不用意な移動を一層効果的に防止する。
【0040】
ここで、外側カバー23は、透明に形成されている。すなわち、外側カバー23は、ポリカーボネートやABSの如き透明又は半透明の樹脂を射出形成することによって構成されており、外側カバー23を取り付けた状態においても、電池21の有無が外部から確認することが可能となっている。ただし、外側カバー23は、必ずしも全体に渡って透明に形成される必要はなく、少なくとも電池21の有無を外部から可能な程度の一部領域のみを透明に形成すればよく、また、透明でなくても、半透明にしてもよい。
【0041】
次に、図1から図3の感知器カバー30について説明する。この感知器カバー30は、外気流入部32とカバー本体部33を、樹脂成型により一体に形成して構成されたもので、監視領域側に配置された感知器本体収容空間と、監視領域とは反対側に配置された空間であって電源ユニット20を着脱自在に収容する電源部収容空間とを有する。
【0042】
外気流入部32は、検煙部50を収容するものである。この外気流入部32は、複数のリブの相互間に形成された複数の外気流入口34を有し、この外気流入口34を介して外気を検煙部50に導入することができる。この外気流入部32には、表示部58を外部に露出させるための貫通孔35と、本体側カバー22の固定部を固定解除するための専用治具を挿入するための上述した貫通孔31を備える。
【0043】
また、カバー本体部33は、端子盤60、検煙部アダプタ70、及び電源ユニット20を収容するものである。このカバー本体部33は、端子盤60、検煙部アダプタ70、及び電源ユニット20よりも大きな径であって、これら端子盤60、検煙部アダプタ70、及び電源ユニット20を重合させた高さに略等しい高さの円環状に形成されている。このカバー本体部33は、端子盤60や検煙部アダプタ70に対して直交する方向に沿って配置されている。
【0044】
次に、図6から図8の取付金具40について説明する。この取付金具40は、煙感知器1を設置面(ここでは、図示しない天井面)に取り付けるためのものであり、電源ユニット20における監視領域とは反対側に配置されたものであって、主面部40aと、側部突起40bとを一体に備えて構成されている。
【0045】
主面部40aは、本体側カバー22の主面部22aと同一の径の円盤状に形成されており、主面部22aと平行に配置される。この主面部40aには、複数の貫通孔40cが形成されており、設置面にネジ込んだ取り付けネジの頭部を貫通孔40cに係止させることで、取付金具40を設置面に固定することができる。
【0046】
側部突起40bは、主面部40aから監視領域側に向けて突出する円環状の壁体として形成されており、その外面には図示しない螺号用溝部が形成されており、この外面において本体側カバー22の側部突起22bと螺合されることにより、取付金具40を本体側カバー22に固定することができる。
【0047】
次に、煙感知器1の製造方法について説明する。まず、検煙部本体51を、検煙部アダプタ70を介して端子盤60に対して実装する。この実装は、具体的には、検煙部本体51、検煙部アダプタ70、及び端子盤60を、相互に重合する。そして、重合の際に、発光部54及び受光部55の端子を端子盤60に接続するための図示しない電線を、端子盤60に引き出し、この電線を端子盤60に半田にて接続する。また、表示部58の端子を、端子盤60の貫通孔に通し、端子盤60に半田にて接続する。さらに、アンテナ57を検煙部アダプタ70の外縁部に載置し、このアンテナ57の端部を、端子盤60の貫通孔に通し、端子盤60に半田にて接続する。その後、このように組み立てた感知器本体10を感知器カバー30に収容する。
【0048】
次いで、電源ユニット20を準備する。このため、本体側カバー22に電池21を載置し、本体側カバー22に外側カバー23を固定することで、これら本体側カバー22、電池21、及び外側カバー23を、相互に一体にユニット化する。このように電源ユニット20をユニット化することで、電源ユニット20の取り扱いが容易になる。ここでは、2種類用意の電源ユニット20A、20Bのうち、必要な電池量に応じたいずれか一方の電源ユニット20を選択する。そして、当該選択した電源ユニット20を、感知器カバー30に挿入し、本体側カバー22の固定部を介して感知器カバー30に固定する。最後に、取付金具40を本体側カバー22に取り付けることで、煙感知器1の製造が終了する。
【0049】
この煙感知器1を使用する際には、取付金具40を本体側カバー22から取り外し、設置面にネジ込んだ取り付けネジの頭部に、取付金具40のみを係止する。次いで、この取付金具40に対して本体側カバー22を取り付けることで、煙感知器1を設置面に取り付ける。
【0050】
ここで、電池残量が低下し、電池21を交換する場合には、取付金具40から本体側カバー22を取り外すことで、煙感知器1を設置面から取り外す。この状態において、外側カバー23は、本体側カバー22に対して螺合にて固定されているので、治具を用いることなく利用者が外側カバー23のみを容易に取り外すことができ、電池21を用意に交換することが可能である。一方、本体側カバー22は、感知器カバー30に対して専用治具にて固定解除可能な固定部にて固定されているので、専用治具がなければ本体側カバー22を取り外すことができず、感知器本体10が本体側カバー22によって覆われた状態を維持することができるので、感知器本体10に利用者が触れることを防止することができる。特に、端子盤60には無線通信用の回路部品が実装されており、この回路部品は消防法によって利用者が触れる位置に配置することが禁止されているため、この回路部品に利用者が触れることを防止することで、法令を順守することが可能となる。
【0051】
(効果)
このように実施の形態1によれば、電源ユニット20は、感知器本体10側に配置される本体側カバー22と、感知器本体10とは反対側に配置される外側カバー23と、これら本体側カバー22と外側カバー23の相互間に配置された電池21とを一体に備えるので、電源ユニット20の取り扱いが用意になる。特に、電源ユニット20の各部を一体にユニット化することで、共通の電源ユニット20を構造が異なる複数の煙感知器1に兼用することが容易となる。
【0052】
また、本体側カバー22を、感知器カバー30に対して専用治具にて固定解除可能な固定部にて固定することにより、専用治具がなければ本体側カバー22を取り外すことができず、感知器本体10が本体側カバー22によって覆われた状態を維持することができるので、感知器本体10に利用者が触れることを防止することができる。一方、外側カバー23を、本体側カバー22に対して螺合又は係合にて固定したので、治具を用いることなく利用者が外側カバー23のみを容易に取り外すことができ、電池21を用意に交換することが可能である。
【0053】
また、電源ユニット20における監視領域とは反対側に、煙感知器1を設置面に取り付けるための取付金具40を設けたので、この取付金具40を介して煙感知器1を設置面に取り付けることが可能となる。
【0054】
また、外側カバー23を透明又は半透明に形成したので、外側カバー23を取り付けた状態においても、電池21の有無を外部から容易に確認することができる。
【0055】
また、第1の所定本数の電池21を収容した第1の電源ユニット20Aと、第1の所定本数より多い第2の所定本数の電池21を収容した第2の電源ユニット20Bとを設け、これら第1の電源ユニット20Aと第2の電源ユニット20Bのいずれか一方を感知器カバー30に収容したので、所要の電池21量に応じた電源ユニット20を選択して使用することができ、煙感知器1の電池量を容易に調整することができる。
【0056】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、住宅用火災警報器として構成された無線式の熱感知器における電池の取り付け構造に関する形態である。ただし、実施の形態2における構成は、特記する部分を除いて、実施の形態1における構成と同一であり、実施の形態1で使用した符号を必要に応じて付することにより、その説明を省略する。
【0057】
図9は、本実施の形態に係る無線式の熱感知器の側面図、図10は、図9の熱感知器の底面図、図11は、図10のB−B矢視断面図である。以下では、熱感知器100を図示しない天井面に設置した状態を基準に説明するものとし、図9における図示上側を上方、図9における図示下側を下方とし、図10に示す面を底面、図10に示す面と反対側の面を平面と称する。
【0058】
これら各図に示すように、熱感知器100は、熱感知を行うための感知器本体110と、この感知器本体110の電源となる電池21を有する電源ユニット20と、これら感知器本体110及び電源ユニット20を収容するための感知器カバー120と、取付金具40とを備えて構成されている。
【0059】
感知器本体110は、端子盤130及びアンテナ支持板140を備えて構成されている。図12は、端子盤130とアンテナ支持板140の斜視図、図13は、端子盤130とアンテナ支持板140の分解斜視図、図14は、端子盤130とアンテナ支持板140の断面図である。
【0060】
端子盤130は、熱感知機能を実現するための各種の電子部品を実装(電気的に接続)するための実装基板である。ここで、実装される電子部品の具体的内容やその実装構造については、公知の無線式の熱感知器におけるものと同様であるためにその説明を省略し、ここでは、サーミスタ131、無線による信号の送受信を行うためのアンテナ57、及び熱感知器100の各種の状態を外部に報知するための表示部58(具体的には、発光ダイオード)を実装部品として説明する。サーミスタ131は、端子盤130の中心位置において当該端子盤130に直交するように取り付けられている。アンテナ57は、端子盤130の外形に略沿って湾曲する線状体として形成されており、後述するようにアンテナ支持板140の外縁部によって支持されると共に、その端部がアンテナ支持板140を貫通して端子盤130に至り実装される。表示部58は、2つ設けられており、これら2つの表示部58が、後述するようにアンテナ支持板140の外縁部における相互に対向する位置に配置され、この外縁部によって支持されると共に、その端子がアンテナ支持板140を貫通して端子盤130に至り実装される。
【0061】
アンテナ支持板140は、端子盤130に平行に重合されるものであり、全体的には、端子盤130とほぼ同一の径の円盤状に形成されている。このアンテナ支持板140の中央位置には、サーミスタ131を挿通させるための貫通孔が形成されており、この貫通孔から挿通させたサーミスタ131の基部に対して、樹脂142をシーリングすることで、サーミスタ131が一層強固に固定される。
【0062】
次に、電源ユニット20について説明する。この電源ユニット20は、実施の形態1と同様に構成されている。すなわち、図7、8に示すように、電源ユニット20は、感知器本体10側に配置される本体側カバー22と、感知器本体10とは反対側に配置される外側カバー23と、これら本体側カバー22と外側カバー23の相互間に配置された電池21とを備えて構成されている。そして、感知器カバー120における電源ユニット20の収納空間部は、煙感知器1と熱感知器100との相互間において共通化されており、これら煙感知器1と熱感知器100とに、共通の電源ユニット20を使用することが可能となっている。
【0063】
次に、図9から図11を参照して、感知器カバー120について説明する。この感知器カバー120は、外気流入部121とカバー本体部122を、樹脂成型により一体に形成して構成されている。外気流入部121は、サーミスタ131を収容するものであり、複数のリブの相互間に形成された外気流入口123を有し、この外気流入口123を介して外気をサーミスタ131に導入することができる。また、カバー本体部122は、端子盤130、アンテナ支持板140、及び電源ユニット20を収容するものである。このカバー本体部122は、端子盤130、アンテナ支持板140、及び電源ユニット20よりも大きな径であって、これら端子盤130、アンテナ支持板140、及び電源ユニット20を重合させた高さに略等しい高さの円環状に形成されている。このカバー本体部122は、端子盤130やアンテナ支持板140に対して直交する方向に沿って配置されている。
【0064】
次に、取付金具40について説明する。この取付金具40は、実施の形態1と同様に構成されている。すなわち、図7、8に示すように、主面部40aと、側部突起40bとを一体に備えて構成されている。そして、感知器カバー120における取付金具40の収納空間部は、煙感知器1と熱感知器100との相互間において共通化されており、これら煙感知器1と熱感知器100とに、共通の取付金具40を使用することが可能となっている。
【0065】
(効果)
このように実施の形態2によれば、熱感知器100において、実施の形態1と同様の効果を得ることが可能となる。
【0066】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0067】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0068】
(感知器について)
上述の各実施の形態では、住宅用火災警報器である煙感知器1と熱感知器100における電源ユニット20の共通化を図る例について説明したが、住宅用火災警報器以外の煙感知器や熱感知器に適用してもよい。また、上述の各実施の形態で説明したものとは異なる火災感知構造を有する火災感知器に適用することができ、例えば、セラミック素子を熱感知素子として用いた熱感知器に適用してもよい。
【0069】
(電池の数について)
電池21の数は、第1の所定本数を2本、第2の所定本数を3本として説明したが、第1の所定本数より第2の所定本数を多く設定する限りにおいて、この本数は変更することが可能であり、例えば、第1の所定本数を1本、第2の所定本数を2本としてもよい。また、3種類以上の本数を収容可能となるように電源ユニット20を構成してもよく、この場合には、火災感知器の電池量の調整範囲を一層広げることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 煙感知器
10、110 感知器本体
20、20A、20B 電源ユニット
21 電池
22 本体側カバー
22a、23a、40a 主面部
22b、40b 側部突起
22c、23b 接続突起
22d 電池固定突起
23 外側カバー
30、120 感知器カバー
31、35 貫通孔
32、121 外気流入部
33、122 カバー本体部
34、123 外気流入口
40 取付金具
50 検煙部
51 検煙部本体
52 検煙部カバー
53 防虫網
54 発光部
55 受光部
56 ラビリンス
57 アンテナ
58 表示部
60、130 端子盤
70 検煙部アダプタ
100 熱感知器
131 サーミスタ
140 アンテナ支持板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域の火災を感知する電池式の火災感知器における電池の取り付け構造であって、
前記火災感知器は、火災感知を行う感知器本体と、この感知器本体の電源となる前記電池を有する電源ユニットと、前記感知器本体を前記監視領域側に収容すると共に前記電源ユニットを前記監視領域とは反対側に収容する感知器カバーとを備え、
前記電源ユニットは、前記感知器本体側に配置される本体側カバーと、前記感知器本体とは反対側に配置される外側カバーと、これら本体側カバーと外側カバーの相互間に配置された前記電池とを一体に備える、
火災感知器における電池の取り付け構造。
【請求項2】
前記本体側カバーを、前記感知器カバーに対して専用治具にて固定解除可能な固定部にて固定し、
前記外側カバーを、前記本体側カバーに対して螺合又は係合にて固定した、
請求項1に記載の火災感知器における電池の取り付け構造。
【請求項3】
前記電源ユニットにおける前記監視領域とは反対側に、前記火災感知器を設置面に取り付けるための取付金具を設けた、
請求項1又は2に記載の火災感知器における電池の取り付け構造。
【請求項4】
前記外側カバーを透明又は半透明に形成した、
請求項1から3のいずれか一項に記載の火災感知器における電池の取り付け構造。
【請求項5】
前記電源ユニットとして、第1の所定本数の前記電池を収容した第1の電源ユニットと、前記第1の所定本数より多い第2の所定本数の前記電池を収容した第2の電源ユニットとを設け、これら第1の電源ユニットと第2の電源ユニットのいずれか一方を前記感知器カバーに収容した、
請求項1から4のいずれか一項に記載の火災感知器における電池の取り付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−248547(P2011−248547A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119928(P2010−119928)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】