説明

火災警報システム

【課題】火災警報の停止操作に関する使い勝手を向上する。
【解決手段】連動鳴動状態において、何れかの火災警報器TRの操作入力受付部6で警報音の鳴動停止の操作入力を受け付けた場合、火元の火災警報器TRにおける警報音の鳴動は継続され、火元以外の火災警報器TRで警報音の鳴動が停止されて連動停止状態に遷移する。その際、制御部1では所定の警報音停止時間の限時を開始し、この警報音停止時間が経過した後に、全ての火災警報器TRで火災を感知していなければ待機状態に遷移し、少なくとも1台の火災警報器TRで火災を感知していれば連動鳴動状態に遷移する。又、連動停止状態において、何れかの火災警報器TRが新たに火災を感知した場合にも、連動鳴動状態に遷移する。故に、各火災警報器TRにおける火災感知の状況に応じて適切に警報音の鳴動を停止でき、その結果、火災警報の停止操作に関する使い勝手が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の火災警報器が電波を媒体とする無線信号を送受信するようにした火災警報システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅への火災警報器の設置義務が法制化されたため、既存住宅への施工性の観点から無線信号を利用して複数の火災警報器を連動させる火災警報システムが望まれている。かかる火災警報システムは、多箇所に設置された複数台の火災警報器がそれぞれに火災を感知する機能と警報音を鳴動する機能を有しており、何れかの火災警報器が火災を感知すると、当該火災警報器が警報音を鳴動するとともに火災感知を知らせる情報(火災感知情報)を無線信号で他の火災警報器に伝送することにより、火元の火災警報器だけでなく複数台の火災警報器が連動して一斉に警報音を鳴動することにより、火災の発生を迅速且つ確実に知らせることができる(例えば、特許文献1参照)。このような火災警報器は、火災感知情報を無線信号で伝送するという特性を活かすために電池を電源として駆動され、しかも、通常は室内の天井のようにメンテナンス(電池交換)のし難い場所に設置されることから、例えば数年といった長期間にわたってメンテナンス無しに使用できることが望ましい。
【0003】
ところで、この種の火災警報器が具備する火災警報手段は、火災に伴って発生する煙の濃度や温度上昇などを検出することで火災を感知しているが、火災以外の原因で発生する、例えば、調理に伴う煙や煙草の煙などを検知し、誤って火災を感知してしまうことがある。そして、誤って火災を感知した場合でも全ての火災警報器が連動して警報音を鳴動してしまうが、このような誤報は早急に停止させないと近隣住戸に対して騒音により迷惑をかけてしまう虞がある。
【0004】
そこで特許文献1に記載されている従来例では、複数台の火災警報器が連動して警報音を鳴動しているときに、火災を感知した火災警報器(以下、火元の火災警報器と呼ぶ。)で警報停止釦が操作されると当該火災警報器の警報音が停止するとともに当該火災警報器から他の全ての火災警報器に対してリセット信号が送信され、当該リセット信号を受信した他の全ての火災警報器でも警報音を停止するようになっている。但し、火元以外の火災警報器で警報停止釦が操作された場合、火元の火災警報器ではリセット信号を受信しても警報音を停止しないことで火元の火災警報器が容易に特定できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−4033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように特許文献1に記載されている従来例では、火元の火災警報器で警報停止釦が操作されれば火元を含む全ての火災警報器で一斉に警報音を停止させることができ、火元以外の火災警報器で警報停止釦が操作されれば火元を除く他の全ての火災警報器で一斉に警報音を停止させることができる。しかしながら、使用者には誤報であることが明確に判っている場合、火元の火災警報器の設置場所まで赴いて当該火元の火災警報器の警報停止釦を操作しなければ、火元を含む全ての火災警報器に対して一斉に警報音を停止させることができず、使い勝手がよくないものであった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、火災警報の停止操作に関する使い勝手を向上した火災警報システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、複数の火災警報器を備え、これら複数の火災警報器の間で電波を媒体とする無線信号を伝送する火災警報システムであって、各火災警報器は、火災を感知する火災感知手段と、警報音を鳴動することにより火災警報を報知する警報手段と、無線信号を送信する送信手段と、無線信号を受信する受信手段と、火災感知手段で火災を感知したときに警報手段に火災警報を報知させるとともに他の火災警報器に火災警報を報知させるための火災警報メッセージを含む無線信号を送信手段から送信させ、且つ受信手段により他の火災警報器から送信される無線信号を受信して前記火災警報メッセージを受け取ったときに警報手段に火災警報を報知させる制御手段と、警報音の鳴動停止の操作入力を受け付ける操作入力受付手段とを具備し、何れの火災警報器においても火災が感知されていない待機状態と、全ての火災警報器が警報音を鳴動している連動鳴動状態と、火災を感知している火元の火災警報器のみが警報音を鳴動して火元以外の火災警報器が警報音の鳴動を停止している連動停止状態との間で動作状態が遷移するものであり、連動鳴動状態において、何れかの火災警報器の操作入力受付手段で警報音の鳴動停止の操作入力を受け付けた場合、火元の火災警報器における警報音の鳴動は継続され、火元以外の火災警報器で警報音の鳴動が停止されて連動停止状態に遷移し、その際、制御手段では所定の警報音停止時間の限時を開始し、この警報音停止時間が経過した後に、全ての火災警報器で火災を感知していなければ待機状態に遷移し、少なくとも1台の火災警報器で火災を感知していれば連動鳴動状態に遷移し、又、連動停止状態において、何れかの火災警報器が新たに火災を感知した場合にも、連動鳴動状態に遷移するものであることを特徴とする。
【0009】
請求項1の発明によれば、連動鳴動状態において、何れかの火災警報器の操作入力受付手段で警報音の鳴動停止の操作入力を受け付けた場合、火元の火災警報器における警報音の鳴動は継続され、火元以外の火災警報器で警報音の鳴動が停止されて連動停止状態に遷移し、その際、制御手段では所定の警報音停止時間の限時を開始し、この警報音停止時間が経過した後に、全ての火災警報器で火災を感知していなければ待機状態に遷移し、少なくとも1台の火災警報器で火災を感知していれば連動鳴動状態に遷移し、又、連動停止状態において、何れかの火災警報器が新たに火災を感知した場合にも、連動鳴動状態に遷移するので、各火災警報器における火災感知の状況に応じて適切に警報音の鳴動を停止することができ、その結果、火災警報の停止操作に関する使い勝手が向上する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、火災警報の停止操作に関する使い勝手が向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は本発明の実施形態1〜3における火災警報器(親局及び子局)のブロック図、(b)は火災警報器が具備する操作入力受付部のブロック図である。
【図2】同上における無線信号のフレームフォーマットである。
【図3】同上の待機状態から火災連動状態へ遷移する動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】同上の連動鳴動状態から連動停止状態へ遷移する動作を説明するためのタイムチャートである。
【図5】同上の連動鳴動状態から連動停止状態へ遷移する動作を説明するためのタイムチャートである。
【図6】同上の火災連動状態から待機状態へ遷移する動作を説明するためのタイムチャートである。
【図7】同上の火災連動状態における動作を説明するためのタイムチャートである。
【図8】同上の火災連動状態における親局の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0013】
(実施形態1)
図1(a)は本実施形態のシステム構成図であり、複数台(図示は2台のみ)の火災警報器TRで火災警報システムが構成されている。なお、以下の説明では、火災警報器TRを個別に示す場合は火災警報器TR1,TR2,…,TRnと表記し、総括して示す場合は火災警報器TRと表記する。
【0014】
火災警報器TRは、アンテナ3から電波を媒体とした無線信号を送信するとともに他の火災警報器TRが送信した無線信号をアンテナ3で受信する無線送受信部2と、音(ブザー音や音声メッセージなど)による火災警報(以下、「警報音」と呼ぶ。)を報知(スピーカから鳴動)する警報部5と、マイコンを主構成要素とし火災感知部4で火災を感知したときに警報部5に警報音を鳴動させるとともに他の火災警報器TRに対して火災警報を報知させるための火災警報メッセージを含む無線信号を無線送受信部2より送信させる制御部1と、後述するように警報音の鳴動を停止するための操作入力などを受け付ける操作入力受付部6と、乾電池等の電池を電源として各部に動作電源を供給する電池電源部7とを具備している。
【0015】
無線送受信部2は、電波法施行規則第6条第4項第3号に規定される「小電力セキュリティシステムの無線局」に準拠して電波を媒体とする無線信号を送受信するものである。なお、各火災警報器TR1,TR2,…には固有の識別符号が割り当てられており、当該識別符号によって無線信号の宛先並びに送信元の火災警報器TR1,TR2,…が特定できる。また火災感知部4は、例えば、火災に伴って発生する煙や熱、炎などを検出することで火災を感知するものである。但し、無線送受信部2並びに火災感知部4の詳細な構成については、従来周知であるから詳細な説明は省略する。
【0016】
図1(b)に示すように、操作入力受付部6は押釦スイッチなどからなる第1操作部6a及び第2操作部6bを含む複数の操作部を有しており、操作部が操作されることで各操作部に対応した操作入力を受け付けるとともに当該操作入力に対応した操作信号を制御部1に出力する。
【0017】
制御部1は、メモリに格納されたプログラムをマイコンで実行することによって後述する各種の機能を実現している。火災感知部4で火災の発生が感知されると、制御部1は警報部5が備えるブザーを駆動して警報音を鳴動させたり、あるいは予めメモリ等に格納されている警報用の音声メッセージ(例えば、「火事です」など)をスピーカに鳴動させることで火災警報を報知するとともに、他の火災警報器TRにおいても火災警報を報知させるため、火災警報メッセージを含む無線信号を無線送受信部2より送信させる。また、他の火災警報器TRから送信された無線信号を無線送受信部2で受信することにより火災警報メッセージを受け取ったときも、制御部1が警報部5を制御して警報音を鳴動させる。つまり、制御部1では火災感知部4が火災を感知したときに警報部5から警報音を鳴動させて火災警報を報知するとともに火災警報メッセージを含む無線信号を無線送受信部2より送信させる機能を有している。
【0018】
ここで、電波法施行規則の無線設備規則第49条の17「小電力セキュリティシステムの無線局の無線設備」では、無線信号を連続して送信してもよい期間(送信期間)が3秒以下、送信期間と送信期間の間に設けられた、無線信号を送信してはいけない期間(休止期間)が2秒以上とすることが規定されている(同条第5号参照)。このために本実施形態における制御部1では、上記無線設備規則に適合する送信期間に無線信号を送信させるとともに休止期間に送信を停止し且つ受信可能な状態としている。
【0019】
また電池電源部7の電池寿命をできるだけ長くするため、制御部1ではマイコンに内蔵するタイマで所定の間欠受信間隔(但し、間欠受信間隔は前記送信期間よりも長い時間とする)を繰り返しカウントするとともに間欠受信間隔のカウントが完了する毎に無線送受信部2を起動して所望の電波(他の火災警報器TRが送信した無線信号)が受信できるか否かをチェックし、当該電波が捉えられなければ直ちに無線送受信部2を停止して待機状態に移行させることで平均消費電力を大幅に低減している。なお、電波の受信チェックは、無線送受信部2から出力される、受信信号強度の大小に比例した直流電圧信号である受信信号強度表示信号(Receiving Signal Strength Indication:RSSI信号)に基づいて制御部1が行っており、詳細については従来周知であるから省略する。
【0020】
さらに特定の火災警報器TR1(以下、親局と呼ぶ。)の制御部1では、定期的(例えば、24時間毎)に無線送受信部2を起動して他の火災警報器TR2,TR3,…(以下、子局と呼ぶ。)が正常に動作しているか否かの確認(定期監視)を行うために定期監視メッセージを含む無線信号を送信させる。子局TR2,…においては、制御部1が火災感知部4の故障の有無及び電池電源部7の電池切れの有無を一定周期で(例えば、1時間毎に)監視するとともに、その監視結果(故障の有無及び電池切れの有無)を図示しないメモリに記憶しており、親局TR1から定期監視メッセージを受け取ったときに、メモリに記憶している監視結果を通知するための通知メッセージを含む無線信号を親局TR1に返信する。親局TR1の制御部1は、通知メッセージを含む無線信号を送信した後、無線送受信部2を受信状態に切り換えて各火災警報器TR2,…から送信される無線信号を受信し、定期監視メッセージを含む無線信号を送信してから所定時間内に通知メッセージを含む無線信号を送信してこない子局TR2,…があったり、あるいは、何れかの子局TR2,…が送信してきた通知メッセージが故障有り若しくは電池切れ有りの監視結果を通知するものである場合に、警報部5が備えるブザーを駆動して報知音を鳴動させるなどして子局TR2,…に異常(通信不可や故障有り、電池切れなど)が発生したことを知らせる機能も有している。尚、親局TR1及び子局TR2,…の制御部1は、故障若しくは電池切れが生じていると判断した場合、直ちに警報部5から異常(故障若しくは電池切れ)の発生を知らせるための警告音(ブザー音や音声メッセージなど)を警報部5のスピーカから鳴動させるようになっている。
【0021】
また親局TR1の制御部1は、火災感知部4が火災を感知して警報部5から警報音を鳴動させるとともに各子局TR2,…に火災警報メッセージを送信した後、若しくは何れかの子局TR2,…から火災警報メッセージを受信した後においては、無線送信部2に一定周期で同期信号を送信させる。この同期信号は、複数の火災警報器TR同士でTDMA(時分割多元接続)方式の無線通信(以下、「同期通信」と呼ぶ。)を行うために必要なタイムスロットを規定する信号であって、その1周期(サイクル)が複数のタイムスロットに分割され、全ての子局TR2,…にそれぞれ互いに異なるタイムスロットが1つずつ割り当てられる。そして、親局TR1から子局TR2,…へのメッセージは同期信号に含めて送信され、子局TR2,…から親局TR1へのメッセージを含む無線信号は、各子局TR2,…に割り当てられているタイムスロットに格納されて送信される。故に、複数台の火災警報器TR(親局TR1並びに子局TR2,…)から送信される無線信号の衝突を確実に回避することができる。なお、各火災警報器TRに対するタイムスロットの割当は固定であってもよいが、親局TR1から送信する同期信号によってタイムスロットの割当情報を各子局TR2,…に通知しても構わない。
【0022】
図2は火災警報器TRが送受信する無線信号のフレームフォーマットを示しており、同期ビット(プリアンブル:PA)、フレーム同期パターン(ユニークワード:UW)、宛先アドレスDA、送信元アドレスSA、メッセージM、CRC符号で1フレームが構成されている。ここで、宛先アドレスDAとして各火災警報器TRの識別符号を設定すれば当該識別符号の火災警報器TRのみが無線信号を受信してメッセージを取得することになるが、宛先アドレスDAとして何れの火災警報器TRにも割り当てられていない特殊なビット列(例えば、すべてのビットを1としたビット列)を設定することで無線信号を同報(マルチキャスト)して全ての火災警報器TRにメッセージを取得させることができる。例えば、火災警報メッセージを含む無線信号が親局TR1から全ての子局TR2,…に同報される。なお、制御部1は、非同期で無線信号を伝送しているときには1フレーム分の無線信号を1回の送信期間内で送信可能な数だけ連続して無線送受信部2から送信させるが、無線信号をTDMA方式で送受信するときは1つのタイムスロットに複数フレーム分の無線信号を格納する必要はない。
【0023】
次に、図3のタイムチャートを参照して、TDMA方式の無線通信に移行する際の本実施形態の送受信動作を説明する。
【0024】
例えば、子局TR2において火災感知部4が火災を感知すると、子局TR2の制御部1は警報部5より警報音を鳴動させるとともに無線送受信部2を起動し、火災警報メッセージを含む無線信号を送信(マルチキャスト)する。この際、送信元の子局TR2の制御部1は、送信期間内で送信可能なフレーム数だけ無線信号を連続して送信(以下、「連送」と呼ぶ。)し、送信期間後の休止期間(受信期間)には無線送受信部2を受信状態に切り換える。尚、各火災警報器TRは非同期で間欠受信しているが、ある程度の回数(例えば、2回)の送信(連送)期間を繰り返せば、火災警報メッセージを含む無線信号を受信することができる。
【0025】
ここで、小電力無線を利用すれば、無線通信距離としては通常の住宅ひとつのエリア内であれば十分カバーできるので、火災元の子局TR2が、他の火災警報器TR(親局TR1及び他の子局TR3,…)に対しメッセージを送信することは通常は十分可能である。しかしながら、上述したように親局TR1は各子局TR2〜TR5に対して定期監視を行っており、親局TR1と各子局TR3〜TR5との間では通信パスの正常性が確認されているが、子局TR2〜TR5間の通信パスは確認されていないため、例えば障害物などの影響によって、ある子局にはメッセージが届いていない可能性もある。
【0026】
そこで、火災警報メッセージを受信した親局TR1の制御部1は、送信元の子局TR2を含む他の全ての子局TR2〜TR5に対して火災警報メッセージを含む無線信号(フレーム)をN回連続して無線送受信部2から送信させるとともに、当該N回の送信後に無線送受信部2を受信状態に切り換えている。他の子局TR3〜TR5の制御部1では、子局TR2又は親局TR1から送信された火災警報メッセージを受け取ると直ちに警報部5より警報音を鳴動させるとともに無線送受信部2より火災警報メッセージの受信を確認する応答メッセージ(ACK)を無線信号によって返信する。尚、このように少なくとも1台の火災警報器TRで火災が感知されることで全ての火災警報器TRが火災警報を報知(警報音を鳴動)することを、以下では「火災連動」と呼ぶ。
【0027】
ここで、親局TR1から火災警報メッセージを受け取った各子局TR2,…が非同期で応答メッセージを含む無線信号を返信した場合、複数の子局TR2,…が送信した無線信号が衝突して親局TR1に届かず、親局TR1が火災警報メッセージの再送を繰り返すことで電池の消耗が早まったり、後述する非同期通信から同期通信への切り換わりが遅れてしまう虞がある。そこで親局TR1の制御部1では、それぞれの無線信号(フレーム)におけるメッセージMの先頭に当該フレームの順番i(i=1,2,…,N)を格納しており、各子局TR2,…の制御部1においては、受信した無線信号のメッセージMに格納されている順番iに基づいて親局TR1の無線送受信部2が送信状態から受信状態に切り換わるタイミングを推定している。すなわち、1フレームのフレーム長をTf[秒]とすれば、当該受信した無線信号の終わりからTf×(N−i)[秒]が経過した時点で親局TR1の無線送受信部2が送信状態から受信状態に切り換わると推定できる。
【0028】
そして、親局TR1の無線送受信部2が受信状態に切り換わっている期間をM個のタイムスロットに分割し、各子局TR2,…毎に決められたタイムスロットk(k=1,2,…,M)に応答メッセージを含む無線信号を格納して各子局TR2,…から親局TR1に返信すれば、子局TR2,…から送信される応答メッセージを含む無線信号の衝突を回避することができる。図3においては、各子局TR2〜TR5がそれぞれタイムスロット1,2,3,4に応答メッセージを含む無線信号を格納して親局TR1に返信している。
【0029】
親局TR1の制御部1は、他の全ての子局TR3〜TR5からACKを受け取れば、タイムスロットを規定するための同期信号を一定の周期で無線送受信部2から送信させる。尚、本実施形態では先頭のタイムスロットTS1を子局TR2に、2番目のタイムスロットTS2を子局TR3に、3番目のタイムスロットTS3を子局TR4に、4番目のタイムスロットTS4を子局TR5にそれぞれ割り当てている。
【0030】
ここで、親局TR1は各子局TR2〜TR5に対して定期監視を行っており、親局TR1と各子局TR3〜TR5との間では通信パスの正常性が確認されているが、子局TR2〜TR5間の通信パスは確認されていない。したがって、子局TR2,…が多数配置された場合、子局TR2,…間の通信パスの数は非常に多くなる為、子局TR2,…間の通信パスの正常性の確認を行うと電池消耗が激しくなるので、上述のように特定の火災警報器TR1を親局とし、その他の火災警報器TR2,…を子局として親局TR1から各子局TR2,…に火災警報メッセージやその他のメッセージ(後述する)を通知することで相互に通信パスが確立できない子局が存在する場合でも確実に火災連動させることができるものである。
【0031】
また、全ての火災警報器TRが警報音を鳴動することにより連動が開始されると、上述のように親局TR1から一定周期で同期信号が送信され、非同期通信からTDMA方式の同期通信に移行するのであるが、親局TR1の制御部1では、同期信号に含めることで火災警報メッセージを一定周期で全ての子局TR2,…に繰り返し送信している。そして、各子局TR2,…の制御部1では、親局TR1から送信される火災警報メッセージを受け取る度に警報部5の状態を確認し、仮に警報部5が停止していたとしたら警報部5に再度警報音を鳴動させる。したがって、全ての火災警報器TRで火災警報が報知され始めてからは特定の火災警報器(親局)TR1が送信する同期信号によって規定される複数のタイムスロットに他の全ての火災警報器(子局)TR2,…を割り当てて時分割多元接続(TDMA)による無線通信を行うことで衝突を回避することができ、さらに、特定の火災警報器(親局)TR1から他の全ての火災警報器(子局)TR2,…に対して火災警報メッセージを同期信号に含めて周期的に送信することで確実に火災警報を報知することができる。その結果、無線信号の衝突を回避しつつ複数の火災警報器TRを効果的に連動させることができる。
【0032】
ところで、本実施形態の火災警報システムは、何れの火災警報器TRにおいても火災が検出されていない状態(待機状態)と、全ての火災警報器TRが警報音を鳴動している状態(連動鳴動状態)と、後述するように火災を検出している(火元の)火災警報器TRのみが警報音を鳴動し、火元以外の火災警報器TRが警報音を停止している状態(連動停止状態)との間で動作状態を遷移させている。すなわち、待機状態において少なくとも何れか1台の火災警報器TRで火災が検出されると、上述したように火元の子局TR2並びに親局TR1から他の全ての子局TR3,…に火災警報メッセージが送信されることで親局TR1と子局TR2,…を含む全ての火災警報器TRで警報音が鳴動されて連動鳴動状態に遷移する。
【0033】
そして、連動鳴動状態において何れかの火災警報器TRの操作入力受付部6で警報音の鳴動を停止するための操作入力が受け付けられた場合、当該火災警報器TRが親局TR1であれば親局TR1から全ての子局TR2,…に対して警報音の停止を要求するメッセージ(警報停止メッセージ)を送信することにより、あるいは、当該火災警報器TRが子局TR2,…であれば当該子局TR2,…から警報停止メッセージを受け取った親局TR1が他の子局TR2,…に対して警報停止メッセージを送信することにより、火元以外の火災警報器TRで警報音が停止されて連動停止状態に遷移する。但し、後述するように第1操作部6bが操作された場合には、火元の火災警報器TRでも警報音を停止する。ここで、親局TR1の制御部1は図示しないメモリに親局TR1並びに各子局TR2,…毎の火災検出状況を随時更新しながら保持しており、後述するように全ての火災警報器TRで火災が検出されなくなったときに火災連動状態から待機状態に遷移する。
【0034】
また、連動鳴動状態から連動停止状態に遷移した場合、親局TR1の制御部1では所定(例えば、5分間)の警報音停止時間(警報停止時間)の限時を開始する。そして、警報音停止時間が経過したのち、親局TR1の制御部1はメモリに保持している火災検出状況を参照し、全ての火災警報器TRで火災を検出していなければ、同期信号によって復旧通知のメッセージを送信することで火災連動状態から待機状態に遷移し、仮に少なくとも1台の火災警報器TRで火災を検出していれば、同期信号によって火災警報メッセージを送信することで連動停止状態から連動鳴動状態へ遷移させる。尚、連動停止状態において何れかの火災警報器TRが新たに火災を検出した場合にも親局TR1の制御部1が同期信号によって火災警報メッセージを送信することで連動停止状態から連動鳴動状態へ遷移させる。
【0035】
例えば、図4のタイムチャートに示すように、親局TR1を火元とする火災連動状態(連動鳴動状態)において、火元でない子局TR4の操作入力受付部6で警報音停止の操作入力が受け付けられることで当該子局TR4から警報停止メッセージが送信されると、警報停止メッセージを受け取った親局TR1の制御部1は同期信号によって警報停止メッセージM2を送信しつつ警報音停止時間の限時を開始する。但し、後述するように第2操作部6bが操作された場合においては、火元である親局TR1で警報部5による警報音の鳴動が継続される。そして、警報音停止時間の限時が終了すると、親局TR1の制御部1は自らの火災感知部4による火災検出状況並びに子局TR2,…おける火災検出状況を確認し、少なくとも何れか1台の火災警報器TRが火災を検出しているときは再度火災警報メッセージを同期信号により各子局TR2,…に送信することで連動停止状態から連動鳴動状態へ遷移させる。
【0036】
一方、図5のタイムチャートに示すように、警報音停止時間内に火災が鎮火して火災感知部4が火災を検出しなくなっていれば、親局TR1の制御部1は警報音停止時間が経過したのちに同期信号によって各子局TR2,…に復旧通知メッセージを送信し、全ての子局TR2,…から返信されるACKを受け取った時点で連動停止状態から待機状態に遷移し、同期信号の送信を停止することでTDMA方式による無線通信(同期通信)から間欠送信・間欠受信による無線通信(非同期通信)に戻る。
【0037】
また、図6のタイムチャートに示すように、子局TR4を火元とする連動鳴動状態において、火元の火災が鎮火して子局TR4の火災感知部4が火災を検出しなくなれば、子局TR4から親局TR1に宛てて復旧通知メッセージが送信される。当該復旧通知メッセージを受け取った親局TR1の制御部1はメモリに保持している火災検出状況を参照し、全ての火災警報器TRで火災を検出していなければ同期信号によって復旧通知メッセージM3を各子局TR2,…に送信する。そして、全ての子局TR2,…から返信されるACKを親局TR1の制御部1が受け取れば、連動停止状態から待機状態に遷移し、同期信号の送信を停止することで同期通信から非同期通信に戻る。
【0038】
一方、図7のタイムチャートに示すように、新たに別の火災警報器(例えば、子局TR3)で火災が検出された場合、初めの火元である子局TR4から復旧通知メッセージを受け取った親局TR1の制御部1は、メモリに保持している火災検出状況を参照し、子局TR3が火災検出中であることから復旧通知メッセージを送信せず、引き続き火災警報メッセージを送信することで火災連動状態を維持する。
【0039】
ここで、火災連動状態における親局TR1の制御部1が行う処理について、図8のフローチャートを参照して簡単にまとめる。待機状態において何れかの子局TR2,…から火災警報メッセージを受け取ると(ステップS1)、親局TR1の制御部1は図示しないメモリに各子局TR2,…毎に保持している火災検出状況を更新(火災非検出から火災検出へ変更)し(ステップS2)、一方、火元の子局TR2,…から復旧通知メッセージを受け取れば(ステップS3)、当該子局TR2,…の火災検出状況を火災検出から火災非検出に更新する(ステップS4)。火災連動状態において何れの子局TR2,…からも復旧通知メッセージを受け取っていないときに何れかの子局TR2,…から警報停止メッセージを受け取った場合(ステップS5)、親局TR1の制御部1は警報を停止することを決定して無線送受信部2から警報停止メッセージを含む同期信号を送信させる(ステップS6)。また、連動鳴動状態から連動停止状態へ遷移してから警報音停止時間が経過するまでの間は同期信号によって定期的に警報停止メッセージを送信し(ステップS7,S8,S6)、警報音停止時間が経過したら(ステップS8)、メモリに保持している火災検出状況を参照して火災検出中の火災警報器(親局TR1及び子局TR2,…)が残っているか否かを判断し(ステップS9)、1台でも火災検出中の火災警報器が残っていれば火災連動の継続を決定して無線送受信部2から火災警報メッセージを含む同期信号を送信させ(ステップS10)、一方、全ての火災警報器が火災非検出になっていれば火災連動状態から待機状態への復旧を決定して無線送受信部2から復旧通知メッセージを含む同期信号を送信させる(ステップS11)。
【0040】
ここで、何れかの子局TR2,…が復旧通知メッセージに対してACKを返信しなかった場合、親局TR1の制御部1は、再度復旧通知メッセージを含む無線信号を無線送受信部2から送信させ、当該子局TR2,…からACKを受け取った時点、若しくは復旧通知メッセージを所定の複数回数再送してから一定時間が経過した時点で無線送受信部2に同期信号の送信を停止させることが望ましい。また、連動鳴動状態若しくは連動停止状態において親局TR1が故障して同期信号が送信されなくなった場合、子局TR2,…の無線送受信部2が同期信号を受信するために受信状態のままとなって電池が著しく消耗してしまう虞があるので、子局TR2,…の制御部1では、同期信号が受信できない期間が所定時間(例えば、同期信号の数周期分の時間)以上継続したときに送受信部2を休止させて電池の消耗を抑えることが望ましい。
【0041】
ところで、本実施形態においては火災警報器TRの操作入力受付部6が第1操作部6aと第2操作部6bを有しており、第1操作部6aが操作されたときには操作入力受付部6から制御部1へ第1の警報停止操作信号が出力され、第2操作部6bが操作されたときには操作入力受付部6から制御部1へ第2の警報停止操作信号が出力される。そして、第1又は第2の警報停止操作信号を受け取った制御部1では、何れの警報停止操作信号を受け取った場合でも警報部5に警報音の鳴動を停止させ、さらに、第1の警報停止操作信号を受け取った場合は第1の警報停止メッセージを含む無線信号を、第2の警報停止操作信号を受け取った場合は第2の警報停止メッセージを含む無線信号を、それぞれ無線送受信部2から送信させる。
【0042】
一方、他の火災警報器TRから送信される第1又は第2の警報停止メッセージを含む無線信号を受信した火災警報器TR(親局TR1及び子局TR2,…の何れも含む。)の制御部1では、第1の警報停止メッセージを受け取った場合は火災感知部4が火災感知しているか否かに関わらず警報部5に警報音の鳴動を停止させ、一方、第2の警報停止メッセージを受け取った場合は火災感知部4が火災を感知していないときにのみ警報部5に警報音の鳴動を停止させる。
【0043】
而して、本実施形態によれば、火元か否かに関わらず、何れかの火災警報器TRにおいて第1操作部6aが操作されると全ての火災警報器TRの警報部5から報知(鳴動)されている火災警報(警報音)を一斉に停止し、また、何れかの火災警報器TRにおいて第2操作部6bが操作されると火元の火災警報器TRを除く他の全ての火災警報器TRの警報部5から報知(鳴動)されている火災警報(警報音)が一斉に停止するので、全ての火災警報器TRが連動して報知する火災警報を、火元を含む全ての火災警報器TRで停止するか、火元を除く他の全ての火災警報器TRで停止するかを択一的に選択することができる。従って、誤報か否かが不明確である場合、第2操作部6bを操作して火元以外の火災警報器TRに火災警報の報知を停止させることで火元の火災警報器TRを特定し、当該火元の火災警報器TRの設置場所に赴いて火災の有無を確認することができ、さらに、誤報であることが確認できれば、当該火災警報器TRの第1操作部6a又は第2操作部6bを操作して火災警報(警報音)を停止すればよい。一方、誤報であることが明確である場合、第1操作部6aを操作して火元を含む全ての火災警報器TRに火災警報の報知を停止させることができるから、火元の火災警報器TRの設置場所へ赴く手間が不要である。その結果、火災警報の停止操作に関する使い勝手を向上することができる。
【0044】
ところで、最近の住宅では天井高が高くなる傾向に有り、火災警報器TRが天井に設置される場合、第1操作部6aや第2操作部6bを操作するために脚立や椅子などが必要となってしまうことが多い。そこで、操作入力受付部6以外の制御部1、無線送受信部2、アンテナ3、火災感知部4、警報部5、電池電源部7が収納される本体ハウジング(図示せず)と、操作入力受付部6が収納される操作ハウジング(図示せず)と、操作入力受付部6と制御部1を接続して操作入力受付部6で受け付けた操作入力に対応する操作信号(第1及び第2の警報停止操作信号など)を伝送するための伝送線(図示せず)とで火災警報器TRを構成すれば、本体ハウジングを天井に設置するとともに、操作ハウジングを天井よりも低い位置で壁などに設置することができるから、脚立などを用いずに第1操作部6a及び第2操作部6bを操作することができて操作性が向上するという利点がある。
【0045】
また、伝送線を介して操作信号を伝送する場合、天井に設置する本体ハウジングと壁に設置する操作ハウジングとの間に伝送線を露出配線しなければならず、施工に手間がかかるとともに見栄えもよくない。そこで、伝送線で接続する代わりに、赤外線や電波を媒体とするワイヤレス信号で操作ハウジングから本体ハウジングへ操作信号を送信する構成とすれば、伝送線を施工する手間が不要になるとともに見栄えもよくなる。但し、赤外線や電波を媒体としてワイヤレス信号を伝送する手段については従来周知の技術を用いて実現可能であるので、詳細な構成についての図示並びに説明は省略する。尚、第1操作部6a及び第2操作部6bを有する操作入力受付部6を各火災警報器TR毎に設ける代わりに、一つの操作入力受付部6から全ての火災警報器TRの制御部1へ操作信号を伝送する構成とすることも可能である。
【0046】
ところで、連動停止状態において限時される警報音停止時間は必ずしも固定的な時間である必要はなく、例えば、ディップスイッチなどによって任意の時間に設定するようにしても構わない。すなわち、制御部1でディップスイッチの値を読み取れば、読み取った値に対応する警報音停止時間が設定されるのである。このようにすれば、設置場所や設置環境などに応じた適切な警報音停止時間に設定できるために使い勝手がさらに向上する。
【0047】
(実施形態2)
実施形態1で説明したように何れかの火災警報器TRの第1操作部6a又は第2操作部6bを操作することにより、全ての火災警報器TR若しくは火元を除く他の全ての火災警報器TRの警報部5が鳴動する警報音を停止させることは、誤報に対する対処や火元の火災警報器TRを特定する為には有効な方法である。しかしながら、誤報ではなく実際に火災が発生している場合、火災警報器TRの警報音が安易に停止されてしまうと就寝中の人や耳の遠い高齢者などが警報音を聞き逃してしまう虞がある。
【0048】
そこで本実施形態では、各火災警報器TRの制御部1が、第1及び第2の警報停止メッセージを受け取ったときに警報部5に警報音の鳴動を停止させる停止許可制御と、第1及び第2の警報停止メッセージを受け取ったときに警報部5に警報音の鳴動を停止させない停止禁止制御との何れか一方を択一的に実行するようにしている。但し、制御部1が停止許可制御と停止禁止制御の何れの制御を実行するかは、操作入力受付部6が有するディップスイッチなどで設定できる。
【0049】
例えば、高齢者の寝室に設置される火災警報器TRにおいては制御部1が停止禁止制御を実行し、その他の場所に設置される火災警報器TRにおいては制御部1が停止許可制御を実行するように設定すれば、上述のように高齢者が警報音を聞き逃す可能性を減らしつつ火災警報の報知を停止する際の使い勝手も向上可能である。尚、本実施形態における火災警報器TRの構成は実施形態1と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して図示並びに説明を省略している。
【0050】
(実施形態3)
本発明に係る火災警報システムが部屋数の多い個人住宅や多人数が共同生活するグループホームなどに設置される場合、隣接する部屋に設置されている火災警報器TRのみが連動して警報音を停止するようにすれば、使い勝手もよく、且つ警報音の聞き逃しも防ぐことができると考えられる。
【0051】
そこで本実施形態では、自らが属するグループの識別符号若しくは同じグループに属する他の火災警報器TRを識別する識別符号(グループ番号など)を記憶する記憶手段(図示せず)を各火災警報器TRに具備し、操作入力受付部6で火災警報停止の操作入力が受け付けられた場合(第1操作部6a又は第2操作部6bが操作された場合)、並びに無線送受信部2により同じグループに属する火災警報器TRから第1又は第2の警報停止メッセージを受け取った場合に警報部5に警報音を停止させ、別のグループに属する他の火災警報器TRから第1又は第2の警報停止メッセージを受け取った場合は警報部5に警報音を停止させないようにしている。尚、各火災警報器TRに対して何れのグループに属するかを設定する方法としては、ディップスイッチを用いてグループ番号を設定する方法や、火災警報器TRの間で自らの識別符号を含む無線信号を送受信して同一のグループに属する火災警報器TR同士で識別符号を交換する方法などがある。
【0052】
而して、第1操作部6a又は第2操作部6bが操作された火災警報器TRから第1又は第2の警報停止メッセージを含む無線信号を送信する際、当該火災警報器TRの制御部1が自己の属するグループの識別符号(グループ番号)を警報停止メッセージとともに伝送し、第1又は第2の警報停止メッセージを受け取った他の火災警報器TRにおいて、制御部1が当該警報停止メッセージとともに受け取ったグループ番号が自己の属するグループ番号に一致すれば警報部5に警報音の鳴動を停止させ、グループ番号が一致しなければ警報部5に警報音の鳴動を停止させないようにできる。このように、異なるグループに属する火災警報器TRから警報停止メッセージを受信したときには火災警報の報知を停止せず、同じグループに属する火災警報器TRから警報停止メッセージを受信したときに火災警報の報知を停止すれば、上述のように部屋数の多い個人住宅や多人数が共同生活するグループホームなどに設置される場合、隣接する部屋に設置されている火災警報器TRのみを連動して警報音を停止させることができて使い勝手が向上するものである。尚、本実施形態における火災警報器TRの構成は実施形態1と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して図示並びに説明を省略している。
【符号の説明】
【0053】
TR1 火災警報器(親局)
TR2 火災警報器(子局)
1 制御部(制御手段)
2 無線送受信部(受信手段,送信手段)
4 火災感知部(火災感知手段)
5 警報部(警報手段)
6 操作入力受付部6(操作入力受付手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の火災警報器を備え、これら複数の火災警報器の間で電波を媒体とする無線信号を伝送する火災警報システムであって、
各火災警報器は、火災を感知する火災感知手段と、警報音を鳴動することにより火災警報を報知する警報手段と、無線信号を送信する送信手段と、無線信号を受信する受信手段と、火災感知手段で火災を感知したときに警報手段に火災警報を報知させるとともに他の火災警報器に火災警報を報知させるための火災警報メッセージを含む無線信号を送信手段から送信させ、且つ受信手段により他の火災警報器から送信される無線信号を受信して前記火災警報メッセージを受け取ったときに警報手段に火災警報を報知させる制御手段と、警報音の鳴動停止の操作入力を受け付ける操作入力受付手段とを具備し、
何れの火災警報器においても火災が感知されていない待機状態と、全ての火災警報器が警報音を鳴動している連動鳴動状態と、火災を感知している火元の火災警報器のみが警報音を鳴動して火元以外の火災警報器が警報音の鳴動を停止している連動停止状態との間で動作状態が遷移するものであり、
連動鳴動状態において、何れかの火災警報器の操作入力受付手段で警報音の鳴動停止の操作入力を受け付けた場合、火元の火災警報器における警報音の鳴動は継続され、火元以外の火災警報器で警報音の鳴動が停止されて連動停止状態に遷移し、その際、制御手段では所定の警報音停止時間の限時を開始し、この警報音停止時間が経過した後に、全ての火災警報器で火災を感知していなければ待機状態に遷移し、少なくとも1台の火災警報器で火災を感知していれば連動鳴動状態に遷移し、又、連動停止状態において、何れかの火災警報器が新たに火災を感知した場合にも、連動鳴動状態に遷移するものであることを特徴とする火災警報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−27084(P2010−27084A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252363(P2009−252363)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【分割の表示】特願2008−138689(P2008−138689)の分割
【原出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】