災害危機管理装置、被害レベル計算方法、およびプログラム
【課題】発生した災害に関する被害の程度をエリアごとに数値化する。
【解決手段】被害情報集計部15Aで、入力された被害報告情報に基づいて、エリアごとに、被害者数、被害家屋数、および避難者数をそれぞれ集計し、被害レベル計算部15Bで、エリアごとに、当該エリアの被害者数を当該エリアのエリア人口で除算して得た被害率、当該エリアの被害家屋数を当該エリアのエリア家屋数で除算して得た被害家屋率、および当該エリアの避難者数を当該エリアのエリア人口で除算して得られた避難率に基づいて、当該エリアにおける被害の程度を示す被害レベルを計算する。
【解決手段】被害情報集計部15Aで、入力された被害報告情報に基づいて、エリアごとに、被害者数、被害家屋数、および避難者数をそれぞれ集計し、被害レベル計算部15Bで、エリアごとに、当該エリアの被害者数を当該エリアのエリア人口で除算して得た被害率、当該エリアの被害家屋数を当該エリアのエリア家屋数で除算して得た被害家屋率、および当該エリアの避難者数を当該エリアのエリア人口で除算して得られた避難率に基づいて、当該エリアにおける被害の程度を示す被害レベルを計算する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害危機管理技術に関し、特に災害発生時に実行すべき業務を管理する災害危機管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
災害発生時に災害対策を実行する場合、災害対策関連の法律や災害対策マニュアルなどに基づいて、必要な災害対策を選択して実行する必要がある。
従来、このような災害危機発生時の業務を管理する災害危機管理システムとして、災害発生時に実行すべき災害対策を自動的に選択して表示し、その進捗状況を併せて示す技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。この技術は、災害危機発生時の業務を迅速にかつ効果的に行うためには、業務のフロー化やマニュアルの策定を事前に行い、進捗に合わせて、自動的に選択して表示することによって、業務が予め規定された定型業務を確実に実行するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−230235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
災害危機発生時に実行すべき業務を定義する際に、業務の重要度を規定し、閾値を設定することによって重要度を選別することは可能である しかしながら、対象とする緊急事態などにおいては、事案毎に重要となる課題が異なる。このため、実際には、前述した従来技術で必要とされる、事前にそれらの重要度を規定することは難しく、また現実にあっていないという問題点があった。
【0005】
一般に、業務を迅速にかつ効果的に行うためには、業務のフロー化やマニュアルの策定が重要である。業務の手順や、流れが予め規定された定型業務においては、非常に効果的であることは明らかである。例えば、全国展開を行うフランチャイズ店舗では、同様のサービスを同じレベルで提供することが求められる。そのためには、手順書やマニュアルを整備し、十分な訓練を行うことによって、標準化が行われている。
【0006】
一方、災害危機発生時においては、危機対応などの予め計画やマニュアルが整備されているにもかかわらず、状況が事案毎に異なるために必ずしも同じ対応が求められるわけではない。状況に応じて柔軟に対応することが必要とされる。このような場合には、事前に業務フローやマニュアルを整備することが重要であるだけでなく、どの業務が重要であるか、もしくは、他の業務より優先されるべきであるかを明確にする必要がある。しかし、これまでの業務フローやマニュアルでは業務の流れや手順を明確することは可能であるが、業務の重要度を定量的に分析することはできない。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、発生した災害に関する被害の程度をエリアごとに数値化できる災害危機管理技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明にかかる災害危機管理装置は、災害が発生した際、入力された各エリアからの被害報告情報を集計して出力する災害危機管理装置であって、エリアごとに、当該エリアにおけるエリア人口およびエリア家屋数を記憶する記憶部と、被害報告情報に基づいて、エリアごとに、被害者数、被害家屋数、および避難者数をそれぞれ集計する被害情報集計部と、エリアごとに、当該エリアの被害者数を当該エリアのエリア人口で除算して得た被害率、当該エリアの被害家屋数を当該エリアのエリア家屋数で除算して得た被害家屋率、および当該エリアの避難者数を当該エリアのエリア人口で除算して得られた避難率に基づいて、当該エリアにおける被害の程度を示す被害レベルを計算する被害レベル計算部とを備えている。
【0009】
この際、被害レベル計算部で、エリアごとに、当該エリアの被害率と被害家屋率とを重み付けて加算し、この加算結果から当該エリアの避難率を重み付けて減算することにより、当該エリアの被害指標値を計算し、この被害指標値をすべてのエリアの被害指標値の総和で除算することにより、当該エリアに関する被害レベルを計算するようにしてもよい。
【0010】
また、エリアごとに、当該エリアの被害レベルに対して、単位被害レベル当たりに要する担当人数を示す単位担当人数を乗算することにより、当該エリアで必要となるエリア担当人数を計算する現場対応計算部をさらに備えてもよい。
【0011】
また、被害情報集計部で、被害報告情報に基づいて、エリアごとに避難世帯数を集計するとともに、入力されたライフラインの被害報告情報に基づいて、エリアごとに、ライフラインの供給が停止した供給停止加入者数を集計し、被害予測部で、エリアごとに、当該エリアの供給停止加入者数を、記憶部で記憶している当該エリアのライフラインの供給加入者数で除算してライフライン被害率を計算するとともに、当該エリアの避難世帯数を記憶部で記憶している当該エリアのエリア世帯数で除算して世帯避難率を計算し、当該エリアのライフライン被害率から当該エリアの世帯避難率を減算して差分を計算し、各エリアのうち、当該エリアの差分が判定しきい値より大きいエリアを、被害増大が予測される注意エリアとして特定する被害予測部をさらに備えてもよい。
【0012】
また、本発明にかかる被害レベル計算方法は、災害が発生した際、入力された各エリアからの被害報告情報を集計して出力する災害危機管理装置で用いられる被害レベル計算方法であって、記憶部が、エリアごとに、当該エリアにおけるエリア人口およびエリア家屋数を記憶する記憶ステップと、被害情報集計部が、被害報告情報に基づいて、エリアごとに、被害者数、被害家屋数、および避難者数をそれぞれ集計する被害情報集計ステップと、被害レベル計算部が、エリアごとに、当該エリアの被害者数を当該エリアのエリア人口で除算して得た被害率、当該エリアの被害家屋数を当該エリアのエリア家屋数で除算して得た被害家屋率、および当該エリアの避難者数を当該エリアのエリア人口で除算して得られた避難率に基づいて、当該エリアにおける被害の程度を示す被害レベルを計算する被害レベル計算ステップとを備えている。
【0013】
この際、被害レベル計算ステップで、エリアごとに、当該エリアの被害率と被害家屋率とを重み付けて加算し、この加算結果から当該エリアの避難率を重み付けて減算することにより、当該エリアの被害指標値を計算し、この被害指標値をすべてのエリアの被害指標値の総和で除算することにより、当該エリアに関する被害レベルを計算するようにしてもよい。
【0014】
また、現場対応計算部が、エリアごとに、当該エリアの被害レベルに対して、単位被害レベル当たりに要する担当人数を示す単位担当人数を乗算することにより、当該エリアで必要となるエリア担当人数を計算する現場対応計算ステップをさらに備えてもよい。
【0015】
また、被害情報集計ステップで、被害報告情報に基づいて、エリアごとに避難世帯数を集計するとともに、入力されたライフラインの被害報告情報に基づいて、エリアごとに、ライフラインの供給が停止した供給停止加入者数を集計し、被害予測部が、エリアごとに、当該エリアの供給停止加入者数を、記憶部で記憶している当該エリアのライフラインの供給加入者数で除算してライフライン被害率を計算するとともに、当該エリアの避難世帯数を記憶部で記憶している当該エリアのエリア世帯数で除算して世帯避難率を計算し、当該エリアのライフライン被害率から当該エリアの世帯避難率を減算して差分を計算し、各エリアのうち、当該エリアの差分が判定しきい値より大きいエリアを、被害増大が予測される注意エリアとして特定する被害予測ステップをさらに備えてもよい。
【0016】
また、本発明にかかるプログラムは、コンピュータを、前述したいずれかの災害危機管理装置を構成する各部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、入力された各エリアの被害報告情報に基づいて、災害管理地域を分割して設けたエリアごとに被害レベルが計算されるため、発生した災害に関する被害の程度を、エリアごとに数値化することができる。
これにより、災害危機管理システムにおいて、災害危機発生時に実行すべき業務の重要度を、入力された被害報告情報からエリアごとに定量的に分析することができる。このため、実行すべき業務の優先度を客観的にすばやく判断することが可能となり、緊急性を有する災害危機発生時に、極めて多大に効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施の形態にかかる災害危機管理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】被害レベル計算処理を示すフローチャートである。
【図3】現場対応計算処理を示すフローチャートである。
【図4】被害状況出力処理(被害レベル)を示すフローチャートである。
【図5】被害状況リスト(被害レベル)の画面表示例である。
【図6】被害状況マップ(被害レベル)の画面表示例である。
【図7】第2の実施の形態にかかる災害危機管理装置の構成を示すブロック図である。
【図8】被害予測処理を示すフローチャートである。
【図9】被害状況出力処理(注意クラス)を示すフローチャートである。
【図10】被害状況リスト(注意クラス)の画面表示例である。
【図11】被害状況マップ(注意クラス)の画面表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる災害危機管理装置について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる災害危機管理装置の構成を示すブロック図である。
この災害危機管理装置10は、全体としてサーバ装置などの情報処理装置からなり、災害が発生した際、災害管理地域を分割して設けた各エリアからの被害報告情報を集計して出力する機能を有している。
【0020】
本実施の形態は、入力された被害報告情報に基づいて、エリアごとに、被害者数、被害家屋数、および避難者数をそれぞれ集計し、エリアごとに、当該エリアの被害者数を当該エリアのエリア人口で除算して得た被害率、当該エリアの被害家屋数を当該エリアのエリア家屋数で除算して得た被害家屋率、および当該エリアの避難者数を当該エリアのエリア人口で除算して得られた避難率に基づいて、当該エリアにおける被害の程度を示す被害レベルを計算するようにしたものである。
【0021】
[災害危機管理装置]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかる災害危機管理装置10の構成について説明する。
災害危機管理装置10には、主な機能部として、操作入力部11、画面表示部12、通信インターフェース部(以下、通信I/F部という)13、記憶部14、および演算処理部15が設けられている。
【0022】
操作入力部11は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなり、オペレータの操作を検出して演算処理部15へ出力する機能を有している。
画面表示部12は、LCDなどの画面表示装置からなり、演算処理部15からの指示に応じて、操作メニューや各エリアの被害情報を画面表示する機能を有している。
【0023】
通信I/F部13は、専用の通信回路からなり、通信回線を介して接続された外部装置との間でデータ通信を行うことにより、各エリアで発生している災害の内容を示す被害報告情報や、災害危機管理装置10で集計した被害情報など、各種情報をやり取りする機能を有している。
【0024】
記憶部14は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、演算処理部15での処理動作に用いる各種処理情報やプログラムを記憶する機能を有している。
記憶部14で記憶する主な処理情報としては、各エリアにおける、エリア人口、エリア家屋数、ライフラインに加入するエリア加入者数などの各種統計情報がある。
【0025】
演算処理部15は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部14からプログラムを読み込んで実行することにより、各種処理部を実現する機能を有している。
演算処理部15で実現される主な処理部として、被害情報集計部15A、被害レベル計算部15B、現場対応計算部15C、被害状況出力部15D、およびアラーム出力部15Eがある。
【0026】
被害情報集計部15Aは、操作入力部11や通信I/F部13から入力された被害報告情報に基づいて、エリアごとに、被害者数、被害家屋数、および避難者数をそれぞれ集計する機能を有している。この際、被害報告情報には、情報収集に関する日時および場所、被害者数、被害者家屋数、避難者数などが含まれている。
【0027】
被害レベル計算部15Bは、エリアごとに、当該エリアの被害者数を当該エリアのエリア人口で除算して得た被害率、当該エリアの被害家屋数を当該エリアのエリア家屋数で除算して得た被害家屋率、および当該エリアの避難者数を当該エリアのエリア人口で除算して得られた避難率を計算する機能と、これに被害率、被害家屋率、および避難率に基づいて、当該エリアにおける被害の程度を示す被害レベルを計算する機能と、これら被害レベルをしきい値処理することにより、各エリアにおける被害規模を特定する機能とを有している。
【0028】
より具体的には、エリアごとに、当該エリアの被害率と被害家屋率とを重み付けて加算し、この加算結果から当該エリアの避難率を重み付けて減算することにより、当該エリアの被害指標値を計算する機能と、この被害指標値をすべてのエリアの被害指標値の総和で除算することにより、当該エリアに関する被害レベルを計算する機能とを有している。
【0029】
現場対応計算部15Cは、各エリアの被害レベルの大きい順に、優先して現場対応すべき現場対応順序を特定する機能と、エリアごとに、当該エリアの被害レベルに対して、記憶部14に予め記憶している、単位被害レベル当たりに要する担当人数を示す単位担当人数を乗算することにより、当該エリアで必要となるエリア担当人数を計算する機能とを有している。
【0030】
被害状況出力部15Dは、エリアごとに、被害情報集計部15Aで集計された、当該エリアの被害者数、被害家屋数、および避難者数と、被害レベル計算部15Bで計算された、当該エリアの被害レベルとを、画面表示部12で画面表示する機能と、エリアごとに、現場対応計算部15Cで特定された現場対応順序と、現場対応計算部15Cで計算されたエリア担当人数を画面表示部12で画面表示する機能と、これら画面表示の際、被害レベル計算部15Bで特定された、各エリアの被害規模に応じて色分け表示する機能とを有している。
【0031】
アラーム出力部15Eは、各エリアのうち、被害レベル計算部15Bで得られた被害規模が警報被害規模に達しているエリアを選択し、これら選択エリアでの被害規模が大きい旨を画面表示部12でアラーム表示を行う機能を有している。アラーム表示の具体例としては、例えば画面表示部12の表示画面上に、選択エリアのエリア名とこのエリアでの被害規模が大きい旨のメッセージとを、ポップアップ画面で表示してもよい。
【0032】
[第1の実施の形態の動作]
次に、本実施の形態にかかる災害危機管理装置10の動作について説明する。ここでは、災害危機管理装置10の動作を、被害レベル計算動作、現場対応計算動作、および被害状況出力動作に分けて、それぞれ個別に説明する。
【0033】
[被害レベル計算動作]
まず、図2を参照して、本実施の形態にかかる被害レベル計算動作について説明する。図2は、被害レベル計算処理を示すフローチャートである。
災害危機管理装置10の被害レベル計算部15Bは、例えば操作入力部11で検出されたオペレータ指示に応じて、あるいは定期的に、図2の被害レベル計算処理を実行する。なお、被害レベル計算処理を実行する際、予め被害情報集計部15Aにより、操作入力部11や通信I/F部13から入力された被害報告情報に基づいて、エリアiごとに、被害者数Pdi、被害家屋数Hdi、および避難者数Priがそれぞれ集計されているものとする。
【0034】
まず、被害レベル計算部15Bは、災害管理地域を分割して設けた各エリアのうちから、被害レベル計算処理を実行していない未処理のエリアiを1つ選択する(ステップ100)。
続いて、被害レベル計算部15Bは、被害情報集計部15Aから、選択エリアiに関する被害者数Pdi、被害家屋数Hdi、および避難者数Priを取得し(ステップ101)、記憶部14から選択エリアiに関するエリア人口Piおよびエリア家屋数Hiを取得する(ステップ102)。
【0035】
次に、被害レベル計算部15Bは、選択エリアiの被害者数Pdiを選択エリアiのエリア人口Piで除算して選択エリアの被害率Rdi(=Pdi/Pi)を計算し、選択エリアiの被害家屋数Hdiを選択エリアiのエリア家屋数Hiで除算して選択エリアiの被害家屋率Rhi(=Hdi/Hi)を計算し、選択エリアiの避難者数Priを選択エリアiのエリア人口Piで除算して選択エリアiの避難率Rri(=Pri/Pi)を計算する(ステップ103)。避難率Rriについては、エリア人口Piに代えてエリア世帯数を用いてもよい。
【0036】
この後、被害レベル計算部15Bは、記憶部14から被害率Rd、被害家屋率Rh、および避難率Rrに対する重み係数Wd,Wh,Wrを取得し、選択エリアiの被害率Rdiと被害家屋率Rhiとを重み係数Wd,Whで重み付けて加算し、この加算結果から選択エリアiの避難率Rriを重み係数Wrで重み付けて減算することにより、選択エリアiの被害指標値Qiを計算する。
そして、被害レベル計算部15Bは、この被害指標値をすべてのエリアの被害指標値の総和Qsで除算することにより、選択エリアiに関する被害レベルDiを計算する(ステップ104)。
【0037】
続いて、被害レベル計算部15Bは、記憶部14に記憶されている複数の被害規模判定しきい値に基づいて、選択エリアiの被害レベルDiをしきい値処理することにより、選択エリアiでの被害規模Dcを特定する(ステップ105)。
具体的には、被害規模判定しきい値Dthとして、被害大しきい値Dth1、被害中しきい値Dth2(<Dth1)、被害小しきい値Dth3(<Dth2)を設け、被害レベルDi>Dth1の場合には被害大と判定し、Dth1≧Di>Dth2の場合には被害中と判定し、Dth2≧Di>Dth3の場合には被害小と判定し、Dth3≧Diの場合には被害軽微と判定してもよい。
【0038】
この後、被害レベル計算部15Bは、全てのエリアについて被害レベル計算処理が終了したか確認し(ステップ106)、未処理のエリアが存在する場合には(ステップ106:NO)、ステップ100へ戻って未処理のエリアに関する被害レベル計算処理を実行する。
一方、すべてのエリアについて被害レベル計算処理が終了した場合(ステップ106:YES)、被害レベル計算部15Bは、一連の被害レベル計算処理を終了する。
【0039】
[現場対応計算動作]
次に、図3を参照して、本実施の形態にかかる現場対応計算動作について説明する。図3は、現場対応計算処理を示すフローチャートである。
災害危機管理装置10の現場対応計算部15Cは、被害レベル計算部15Bで被害レベル計算処理を実行した後、図3の現場対応計算処理を実行する。
【0040】
まず、現場対応計算部15Cは、被害レベル計算部15Bから各エリアiの被害レベルDiを取得し(ステップ110)、被害レベルDiの大きい順に、優先して現場対応すべき現場対応順序Jiを特定する(ステップ111)。
【0041】
次に、現場対応計算部15Cは、記憶部14から、単位被害レベル当たりに要する担当人数を示す単位担当人数Nsを取得し、エリアiごとに、被害レベルDiと単位担当人数Nを乗算して、当該エリアiで必要となる担当者数Niを計算し(ステップ112)、一連の現場対応計算処理を終了する。単位担当人数Nsについては、例えば過去の災害管理対応履歴から算出して、予め記憶部14に登録しておけばよい。
【0042】
[被害状況出力動作]
次に、図4を参照して、本実施の形態にかかる被害状況出力動作について説明する。図4は、被害状況出力処理(被害レベル)を示すフローチャートである。
災害危機管理装置10の被害状況出力部15Dは、現場対応計算部15Cで現場対応計算処理が実行された後、図4の被害状況出力処理を実行する。
【0043】
まず、被害状況出力部15Dは、記憶部14から被害規模に応じた表示色を取得し、各エリアiに関する、被害レベル計算部15Bで得られた、被害率Rdi、被害家屋率Rhi、避難率Rri、被害レベルDi、および被害規模Dciと、現場対応計算部15Cで得られた現場対応順序Jiおよび担当者数Niとを、当該エリアiの被害規模Dciと対応する表示色で、被害状況として画面表示部12により画面表示する(ステップ120)。
【0044】
また、アラーム出力部15Eは、これらエリアiのうち、被害規模Dciが警報被害規模に達しているエリアについて、被害規模が大きいエリアとして画面表示部12でアラーム表示を行い(ステップ121)、一連の被害状況出力処理を終了する。
なお、被害状況出力部15Dにおいて、画面表示した被害状況を記憶部14に保存し、あるいは通信I/F部13から外部装置へ通知するようにしてもよい。
【0045】
図5は、被害状況リスト(被害レベル)の画面表示例である。ここでは、各エリアiを識別するエリアIDごとに、エリア名、被害情報収集日時、被害率Rdi、被害家屋率Rhi、避難率Rri、被害レベルDi、被害規模Dci、現場対応順序Ji、および担当者数Niが、リスト表示されている。また、各エリアiの背景色として、被害規模Dciと対応する表示色が用いられており、各エリアの被害状況が色分け表示されている。
【0046】
図6は、被害状況マップ(被害レベル)の画面表示例である。ここでは、各エリアの位置関係を示すマップのうち、各エリアの領域に、当該エリアiのエリアIDと被害規模Dciが文字表示されており、当該領域が被害規模Dciと対応する表示色で塗りつぶし表示されている。
【0047】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態によれば、入力された各エリアの被害報告情報に基づいて、災害管理地域を分割して設けたエリアごとに被害レベルが計算されるため、発生した災害に関する被害の程度を、エリアごとに数値化することができる。
これにより、災害危機管理システムにおいて、災害危機発生時に実行すべき業務の重要度を、入力された被害報告情報からエリアごとに定量的に分析することができる。このため、実行すべき業務の優先度を客観的にすばやく判断することが可能となり、緊急性を有する災害危機発生時に、極めて多大に効果を得ることができる。
【0048】
また、本実施の形態では、被害レベル計算部15Bにおいて、エリアごとに、当該エリアの被害率と被害家屋率とを重み付けて加算し、この加算結果から当該エリアの避難率を重み付けて減算することにより、当該エリアの被害指標値を計算し、この被害指標値をすべてのエリアの被害指標値の総和で除算することにより、当該エリアに関する被害レベルを計算するようにしたので、避難状況に応じた被害レベルを計算できる。
したがって、すでに大多数の住民が避難を完了しているエリアについては、現場対応順序を下げることができる。これにより、避難が完了していないエリアについて現場対応順序を上げることができ、より効率的で迅速な現場対応を実行することが可能となる。
【0049】
また、本実施の形態では、現場対応計算部15Cにおいて、エリアごとに、当該エリアの被害レベルに対して、単位被害レベル当たりに要する担当人数を示す単位担当人数を乗算することにより、当該エリアで必要となるエリア担当人数を計算するようにしたので、すでに大多数の住民が避難を完了しているエリアについては、現場担当人数を削減することができる。これにより、避難が完了していないエリアについて現場担当人数を増員することができ、より効率的で迅速な現場対応を実行することが可能となる。
【0050】
また、本実施の形態では、被害状況出力部15Dにおいて、各エリアの避難状況を画面表示する際、各エリアの被害規模に応じて色分け表示し、さらにはアラーム表示するようにしたので、被害レベルを数値で表示する場合と比較して、被害が甚大なエリアをオペレータに対して確実に通知することができ、迅速な現場対応を促すことが可能となる。
【0051】
[第2の実施の形態]
次に、図7を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる災害危機管理装置10について説明する。図7は、第2の実施の形態にかかる災害危機管理装置の構成を示すブロック図である。
第1の実施の形態では、各エリアからの被害報告情報を集計し、これら集計時点におけるそれぞれのエリアでの被害の程度を示す被害レベルを計算する場合について説明した。本実施の形態では、ライフラインに関する被害報告情報に基づいて、各エリアでの被害に関する今後の推移を予測する場合について説明する。
【0052】
本実施の形態において、記憶部14は、主な処理情報としては、各エリアにおけるライフラインに加入するエリア加入者数などの各種統計情報がある。ここでいうライフラインとは、電気・水道・ガスなど、各エリアの住民が生活する上で必須となる一般的なインフラ設備である。
被害情報集計部15Aは、各エリアからの被害報告情報に基づいて、エリアごとに避難世帯数を集計する機能と、操作入力部11や通信I/F部13から入力されたライフラインの被害報告情報に基づいて、エリアごとに、ライフラインの供給が停止した供給停止加入者数を集計する機能とを有している。
【0053】
被害予測部15Fは、エリアごとに、被害情報集計部15Aで得られた当該エリアの供給停止加入者数を、記憶部14で記憶している当該エリアのライフラインの供給加入者数で除算することによりライフライン被害率を計算する機能と、当該エリアの避難世帯数を記憶部14で記憶している当該エリアのエリア世帯数で除算することにより世帯避難率を計算する機能と、当該エリアのライフライン被害率から当該エリアの世帯避難率を減算して差分を計算する機能と、各エリアのうち、当該エリアの差分が判定しきい値より大きいエリアを、被害増大が予測される注意エリアとして特定する機能とを有している。
【0054】
被害状況出力部15Dは、エリアごとに、被害予測部15Fで計算されたライフライン被害率や差分と、被害予測部15Fで特定された注意クラスとを、画面表示部12で画面表示する機能と、これら画面表示の際、被害予測部15Fで特定された、各エリアの注意クラスに応じて色分け表示する機能とを有している。
【0055】
アラーム出力部15Eは、各エリアのうち、被害予測部15Fで特定された注意クラスが警報注意クラスに達しているエリアについて、大幅な被害増大が予測されるエリアとして画面表示部12でアラーム表示を行う機能を有している。アラーム表示の具体例としては、例えば画面表示部12の表示画面上に、選択エリアのエリア名とこのエリアで大幅な被害増大が予測される旨のメッセージとを、ポップアップ画面で表示してもよい。
【0056】
[第2の実施の形態の動作]
次に、本実施の形態にかかる災害危機管理装置10の動作について説明する。ここでは、災害危機管理装置10の動作を、被害予測算動作および被害状況出力動作に分けて、それぞれ個別に説明する。
【0057】
[被害予測動作]
まず、図8を参照して、本実施の形態にかかる被害予測動作について説明する。図8は、被害予測処理を示すフローチャートである。
災害危機管理装置10の被害予測部15Fは、例えば操作入力部11で検出されたオペレータ指示に応じて、あるいは定期的に、図8の被害予測処理を実行する。なお、被害予測処理を実行する際、予め被害情報集計部15Aにより、操作入力部11や通信I/F部13から入力されたライフラインの被害報告情報に基づいて、エリアiごとに、ライフラインの供給が停止した供給停止加入者数Pssiが集計されているものとする。
【0058】
まず、被害予測部15Fは、災害管理地域を分割して設けた各エリアのうちから、被害予測処理を実行していない未処理のエリアiを1つ選択する(ステップ200)。
続いて、被害予測部15Fは、被害情報集計部15Aから取得した、選択エリアiに関する供給停止加入者数Pssiを、記憶部14から取得した、選択エリアiに関する供給加入者数Psiで除算することにより、選択エリアiに関するライフライン被害率Rsi(=Pssi/Psi)を計算する(ステップ201)。
また、被害予測部15Fは、被害情報集計部15Aから取得した、選択エリアiに関する避難世帯数Pfiを、記憶部14から取得した、選択エリアiに関するエリア世帯数Fiで除算することにより、選択エリアiに関する世帯避難率Rfi(=Pfi/Fi)を計算する(ステップ202)。
【0059】
次に、被害予測部15Fは、選択エリアiに関するライフライン被害率Rsiと選択エリアiに関する世帯避難率Rfiとの差分Dri(=Rsi−Rfi)を計算し(ステップ203)、記憶部14に記憶されている複数の注意クラス判定しきい値に基づいて、選択エリアiの差分Driをしきい値処理することにより、選択エリアiの注意クラスCiを特定する(ステップ204)。
【0060】
具体的には、注意クラス判定しきい値Cthとして、要注意しきい値Cth1、注意しきい値Cth2(<Cth1)を設け、差分Dri>Cth1の場合には、今後、大幅な被害の増大が予測される要注意クラスと判定し、Cth1≧Dri>Cth2の場合には、今後、ある程度の被害の増大が予測される注意クラスと判定し、Cth2≧Driの場合には被害の増大があまりない通常クラスと判定してもよい。
【0061】
この後、被害予測部15Fは、全てのエリアについて被害予測処理が終了したか確認し(ステップ205)、未処理のエリアが存在する場合には(ステップ205:NO)、ステップ200へ戻って未処理のエリアに関する被害予測処理を実行する。
一方、すべてのエリアについて被害レベル計算処理が終了した場合(ステップ205:YES)、被害予測部15Fは、一連の被害予測処理を終了する。
【0062】
[被害状況出力動作]
次に、図9を参照して、本実施の形態にかかる被害状況出力動作について説明する。図9は、被害状況出力処理(注意クラス)を示すフローチャートである。
災害危機管理装置10の被害状況出力部15Dは、現場対応計算部15Cで現場対応計算処理が実行された後、図9の被害状況出力処理を実行する。
【0063】
まず、被害状況出力部15Dは、記憶部14から注意クラスに応じた表示色を取得し、被害予測部15Fで得られた、各エリアiに関する、ライフライン被害率Rsi、差分Dri、および注意クラスCiを、当該エリアiの注意クラスCiと対応する表示色で、被害状況として画面表示部12により画面表示する(ステップ210)。
【0064】
また、アラーム出力部15Eは、これらエリアiのうち、注意クラスCiが警報注意クラスに達しているエリアについて、大幅な被害増大が予測されるエリアとして画面表示部12でアラーム表示を行い(ステップ211)、一連の被害状況出力処理を終了する。
なお、被害状況出力部15Dにおいて、画面表示した被害状況を記憶部14に保存し、あるいは通信I/F部13から外部装置へ通知するようにしてもよい。
【0065】
図10は、被害状況リスト(注意クラス)の画面表示例である。ここでは、各エリアを識別するエリアIDごとに、エリア名、世帯避難率Rfi、ライフライン被害率Rsi、差分Dri、および注意クラスCiが、リスト表示されている。また、各エリアiの背景色として、注意クラスCiと対応する表示色が用いられており、各エリアの被害状況が色分け表示されている。
【0066】
図11は、被害状況マップ(注意クラス)の画面表示例である。ここでは、各エリアの位置関係を示すマップのうち、各エリアの領域に、当該エリアiのエリアIDと注意クラスCiが文字表示されており、当該領域が注意クラスCiと対応する表示色で塗りつぶし表示されている。
【0067】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態によれば、入力されたライフラインに関する被害報告情報に基づいて、各エリアからの被害報告情報だけでは知り得ない、各エリアでの被害に関する今後の推移を予測することができる。
これにより、実際には被害が発生しているにもかかわらず、報告されていないエリアを特定して、オペレータに通知することができ、適切な現場対応を促すことが可能となる。
【0068】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0069】
10…災害危機管理装置、11…操作入力部、12…画面表示部、13…通信I/F部、14…記憶部、15…演算処理部、15A…被害情報集計部、15B…被害レベル計算部、15C…現場対応計算部、15D…被害状況出力部、15E…アラーム出力部、15F…被害予測部、i…選択エリア、Pdi…被害者数、Hdi…被害家屋数、Pri…避難者数、Pi…エリア人口、Hi…エリア家屋数、Rdi…被害率、Rhi…被害家屋率、Rri…避難率、Wd,Wh,Wr…重み係数、Qi…被害指標値、Qs…総和(被害指標値)、Di…被害レベル、Dth…被害規模判定しきい値、Dci…被害規模、Ji…現場対応順序、Ni…担当者数、Psi…供給加入者数、Pssi…供給停止加入者数、Pfi…避難世帯数、Fi…エリア世帯数、Rfi…世帯避難率、Rsi…ライフライン被害率、Dri…差分、Cth…注意クラス判定しきい値、Ci…注意クラス。
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害危機管理技術に関し、特に災害発生時に実行すべき業務を管理する災害危機管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
災害発生時に災害対策を実行する場合、災害対策関連の法律や災害対策マニュアルなどに基づいて、必要な災害対策を選択して実行する必要がある。
従来、このような災害危機発生時の業務を管理する災害危機管理システムとして、災害発生時に実行すべき災害対策を自動的に選択して表示し、その進捗状況を併せて示す技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。この技術は、災害危機発生時の業務を迅速にかつ効果的に行うためには、業務のフロー化やマニュアルの策定を事前に行い、進捗に合わせて、自動的に選択して表示することによって、業務が予め規定された定型業務を確実に実行するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−230235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
災害危機発生時に実行すべき業務を定義する際に、業務の重要度を規定し、閾値を設定することによって重要度を選別することは可能である しかしながら、対象とする緊急事態などにおいては、事案毎に重要となる課題が異なる。このため、実際には、前述した従来技術で必要とされる、事前にそれらの重要度を規定することは難しく、また現実にあっていないという問題点があった。
【0005】
一般に、業務を迅速にかつ効果的に行うためには、業務のフロー化やマニュアルの策定が重要である。業務の手順や、流れが予め規定された定型業務においては、非常に効果的であることは明らかである。例えば、全国展開を行うフランチャイズ店舗では、同様のサービスを同じレベルで提供することが求められる。そのためには、手順書やマニュアルを整備し、十分な訓練を行うことによって、標準化が行われている。
【0006】
一方、災害危機発生時においては、危機対応などの予め計画やマニュアルが整備されているにもかかわらず、状況が事案毎に異なるために必ずしも同じ対応が求められるわけではない。状況に応じて柔軟に対応することが必要とされる。このような場合には、事前に業務フローやマニュアルを整備することが重要であるだけでなく、どの業務が重要であるか、もしくは、他の業務より優先されるべきであるかを明確にする必要がある。しかし、これまでの業務フローやマニュアルでは業務の流れや手順を明確することは可能であるが、業務の重要度を定量的に分析することはできない。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、発生した災害に関する被害の程度をエリアごとに数値化できる災害危機管理技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明にかかる災害危機管理装置は、災害が発生した際、入力された各エリアからの被害報告情報を集計して出力する災害危機管理装置であって、エリアごとに、当該エリアにおけるエリア人口およびエリア家屋数を記憶する記憶部と、被害報告情報に基づいて、エリアごとに、被害者数、被害家屋数、および避難者数をそれぞれ集計する被害情報集計部と、エリアごとに、当該エリアの被害者数を当該エリアのエリア人口で除算して得た被害率、当該エリアの被害家屋数を当該エリアのエリア家屋数で除算して得た被害家屋率、および当該エリアの避難者数を当該エリアのエリア人口で除算して得られた避難率に基づいて、当該エリアにおける被害の程度を示す被害レベルを計算する被害レベル計算部とを備えている。
【0009】
この際、被害レベル計算部で、エリアごとに、当該エリアの被害率と被害家屋率とを重み付けて加算し、この加算結果から当該エリアの避難率を重み付けて減算することにより、当該エリアの被害指標値を計算し、この被害指標値をすべてのエリアの被害指標値の総和で除算することにより、当該エリアに関する被害レベルを計算するようにしてもよい。
【0010】
また、エリアごとに、当該エリアの被害レベルに対して、単位被害レベル当たりに要する担当人数を示す単位担当人数を乗算することにより、当該エリアで必要となるエリア担当人数を計算する現場対応計算部をさらに備えてもよい。
【0011】
また、被害情報集計部で、被害報告情報に基づいて、エリアごとに避難世帯数を集計するとともに、入力されたライフラインの被害報告情報に基づいて、エリアごとに、ライフラインの供給が停止した供給停止加入者数を集計し、被害予測部で、エリアごとに、当該エリアの供給停止加入者数を、記憶部で記憶している当該エリアのライフラインの供給加入者数で除算してライフライン被害率を計算するとともに、当該エリアの避難世帯数を記憶部で記憶している当該エリアのエリア世帯数で除算して世帯避難率を計算し、当該エリアのライフライン被害率から当該エリアの世帯避難率を減算して差分を計算し、各エリアのうち、当該エリアの差分が判定しきい値より大きいエリアを、被害増大が予測される注意エリアとして特定する被害予測部をさらに備えてもよい。
【0012】
また、本発明にかかる被害レベル計算方法は、災害が発生した際、入力された各エリアからの被害報告情報を集計して出力する災害危機管理装置で用いられる被害レベル計算方法であって、記憶部が、エリアごとに、当該エリアにおけるエリア人口およびエリア家屋数を記憶する記憶ステップと、被害情報集計部が、被害報告情報に基づいて、エリアごとに、被害者数、被害家屋数、および避難者数をそれぞれ集計する被害情報集計ステップと、被害レベル計算部が、エリアごとに、当該エリアの被害者数を当該エリアのエリア人口で除算して得た被害率、当該エリアの被害家屋数を当該エリアのエリア家屋数で除算して得た被害家屋率、および当該エリアの避難者数を当該エリアのエリア人口で除算して得られた避難率に基づいて、当該エリアにおける被害の程度を示す被害レベルを計算する被害レベル計算ステップとを備えている。
【0013】
この際、被害レベル計算ステップで、エリアごとに、当該エリアの被害率と被害家屋率とを重み付けて加算し、この加算結果から当該エリアの避難率を重み付けて減算することにより、当該エリアの被害指標値を計算し、この被害指標値をすべてのエリアの被害指標値の総和で除算することにより、当該エリアに関する被害レベルを計算するようにしてもよい。
【0014】
また、現場対応計算部が、エリアごとに、当該エリアの被害レベルに対して、単位被害レベル当たりに要する担当人数を示す単位担当人数を乗算することにより、当該エリアで必要となるエリア担当人数を計算する現場対応計算ステップをさらに備えてもよい。
【0015】
また、被害情報集計ステップで、被害報告情報に基づいて、エリアごとに避難世帯数を集計するとともに、入力されたライフラインの被害報告情報に基づいて、エリアごとに、ライフラインの供給が停止した供給停止加入者数を集計し、被害予測部が、エリアごとに、当該エリアの供給停止加入者数を、記憶部で記憶している当該エリアのライフラインの供給加入者数で除算してライフライン被害率を計算するとともに、当該エリアの避難世帯数を記憶部で記憶している当該エリアのエリア世帯数で除算して世帯避難率を計算し、当該エリアのライフライン被害率から当該エリアの世帯避難率を減算して差分を計算し、各エリアのうち、当該エリアの差分が判定しきい値より大きいエリアを、被害増大が予測される注意エリアとして特定する被害予測ステップをさらに備えてもよい。
【0016】
また、本発明にかかるプログラムは、コンピュータを、前述したいずれかの災害危機管理装置を構成する各部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、入力された各エリアの被害報告情報に基づいて、災害管理地域を分割して設けたエリアごとに被害レベルが計算されるため、発生した災害に関する被害の程度を、エリアごとに数値化することができる。
これにより、災害危機管理システムにおいて、災害危機発生時に実行すべき業務の重要度を、入力された被害報告情報からエリアごとに定量的に分析することができる。このため、実行すべき業務の優先度を客観的にすばやく判断することが可能となり、緊急性を有する災害危機発生時に、極めて多大に効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施の形態にかかる災害危機管理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】被害レベル計算処理を示すフローチャートである。
【図3】現場対応計算処理を示すフローチャートである。
【図4】被害状況出力処理(被害レベル)を示すフローチャートである。
【図5】被害状況リスト(被害レベル)の画面表示例である。
【図6】被害状況マップ(被害レベル)の画面表示例である。
【図7】第2の実施の形態にかかる災害危機管理装置の構成を示すブロック図である。
【図8】被害予測処理を示すフローチャートである。
【図9】被害状況出力処理(注意クラス)を示すフローチャートである。
【図10】被害状況リスト(注意クラス)の画面表示例である。
【図11】被害状況マップ(注意クラス)の画面表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる災害危機管理装置について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる災害危機管理装置の構成を示すブロック図である。
この災害危機管理装置10は、全体としてサーバ装置などの情報処理装置からなり、災害が発生した際、災害管理地域を分割して設けた各エリアからの被害報告情報を集計して出力する機能を有している。
【0020】
本実施の形態は、入力された被害報告情報に基づいて、エリアごとに、被害者数、被害家屋数、および避難者数をそれぞれ集計し、エリアごとに、当該エリアの被害者数を当該エリアのエリア人口で除算して得た被害率、当該エリアの被害家屋数を当該エリアのエリア家屋数で除算して得た被害家屋率、および当該エリアの避難者数を当該エリアのエリア人口で除算して得られた避難率に基づいて、当該エリアにおける被害の程度を示す被害レベルを計算するようにしたものである。
【0021】
[災害危機管理装置]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかる災害危機管理装置10の構成について説明する。
災害危機管理装置10には、主な機能部として、操作入力部11、画面表示部12、通信インターフェース部(以下、通信I/F部という)13、記憶部14、および演算処理部15が設けられている。
【0022】
操作入力部11は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなり、オペレータの操作を検出して演算処理部15へ出力する機能を有している。
画面表示部12は、LCDなどの画面表示装置からなり、演算処理部15からの指示に応じて、操作メニューや各エリアの被害情報を画面表示する機能を有している。
【0023】
通信I/F部13は、専用の通信回路からなり、通信回線を介して接続された外部装置との間でデータ通信を行うことにより、各エリアで発生している災害の内容を示す被害報告情報や、災害危機管理装置10で集計した被害情報など、各種情報をやり取りする機能を有している。
【0024】
記憶部14は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、演算処理部15での処理動作に用いる各種処理情報やプログラムを記憶する機能を有している。
記憶部14で記憶する主な処理情報としては、各エリアにおける、エリア人口、エリア家屋数、ライフラインに加入するエリア加入者数などの各種統計情報がある。
【0025】
演算処理部15は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部14からプログラムを読み込んで実行することにより、各種処理部を実現する機能を有している。
演算処理部15で実現される主な処理部として、被害情報集計部15A、被害レベル計算部15B、現場対応計算部15C、被害状況出力部15D、およびアラーム出力部15Eがある。
【0026】
被害情報集計部15Aは、操作入力部11や通信I/F部13から入力された被害報告情報に基づいて、エリアごとに、被害者数、被害家屋数、および避難者数をそれぞれ集計する機能を有している。この際、被害報告情報には、情報収集に関する日時および場所、被害者数、被害者家屋数、避難者数などが含まれている。
【0027】
被害レベル計算部15Bは、エリアごとに、当該エリアの被害者数を当該エリアのエリア人口で除算して得た被害率、当該エリアの被害家屋数を当該エリアのエリア家屋数で除算して得た被害家屋率、および当該エリアの避難者数を当該エリアのエリア人口で除算して得られた避難率を計算する機能と、これに被害率、被害家屋率、および避難率に基づいて、当該エリアにおける被害の程度を示す被害レベルを計算する機能と、これら被害レベルをしきい値処理することにより、各エリアにおける被害規模を特定する機能とを有している。
【0028】
より具体的には、エリアごとに、当該エリアの被害率と被害家屋率とを重み付けて加算し、この加算結果から当該エリアの避難率を重み付けて減算することにより、当該エリアの被害指標値を計算する機能と、この被害指標値をすべてのエリアの被害指標値の総和で除算することにより、当該エリアに関する被害レベルを計算する機能とを有している。
【0029】
現場対応計算部15Cは、各エリアの被害レベルの大きい順に、優先して現場対応すべき現場対応順序を特定する機能と、エリアごとに、当該エリアの被害レベルに対して、記憶部14に予め記憶している、単位被害レベル当たりに要する担当人数を示す単位担当人数を乗算することにより、当該エリアで必要となるエリア担当人数を計算する機能とを有している。
【0030】
被害状況出力部15Dは、エリアごとに、被害情報集計部15Aで集計された、当該エリアの被害者数、被害家屋数、および避難者数と、被害レベル計算部15Bで計算された、当該エリアの被害レベルとを、画面表示部12で画面表示する機能と、エリアごとに、現場対応計算部15Cで特定された現場対応順序と、現場対応計算部15Cで計算されたエリア担当人数を画面表示部12で画面表示する機能と、これら画面表示の際、被害レベル計算部15Bで特定された、各エリアの被害規模に応じて色分け表示する機能とを有している。
【0031】
アラーム出力部15Eは、各エリアのうち、被害レベル計算部15Bで得られた被害規模が警報被害規模に達しているエリアを選択し、これら選択エリアでの被害規模が大きい旨を画面表示部12でアラーム表示を行う機能を有している。アラーム表示の具体例としては、例えば画面表示部12の表示画面上に、選択エリアのエリア名とこのエリアでの被害規模が大きい旨のメッセージとを、ポップアップ画面で表示してもよい。
【0032】
[第1の実施の形態の動作]
次に、本実施の形態にかかる災害危機管理装置10の動作について説明する。ここでは、災害危機管理装置10の動作を、被害レベル計算動作、現場対応計算動作、および被害状況出力動作に分けて、それぞれ個別に説明する。
【0033】
[被害レベル計算動作]
まず、図2を参照して、本実施の形態にかかる被害レベル計算動作について説明する。図2は、被害レベル計算処理を示すフローチャートである。
災害危機管理装置10の被害レベル計算部15Bは、例えば操作入力部11で検出されたオペレータ指示に応じて、あるいは定期的に、図2の被害レベル計算処理を実行する。なお、被害レベル計算処理を実行する際、予め被害情報集計部15Aにより、操作入力部11や通信I/F部13から入力された被害報告情報に基づいて、エリアiごとに、被害者数Pdi、被害家屋数Hdi、および避難者数Priがそれぞれ集計されているものとする。
【0034】
まず、被害レベル計算部15Bは、災害管理地域を分割して設けた各エリアのうちから、被害レベル計算処理を実行していない未処理のエリアiを1つ選択する(ステップ100)。
続いて、被害レベル計算部15Bは、被害情報集計部15Aから、選択エリアiに関する被害者数Pdi、被害家屋数Hdi、および避難者数Priを取得し(ステップ101)、記憶部14から選択エリアiに関するエリア人口Piおよびエリア家屋数Hiを取得する(ステップ102)。
【0035】
次に、被害レベル計算部15Bは、選択エリアiの被害者数Pdiを選択エリアiのエリア人口Piで除算して選択エリアの被害率Rdi(=Pdi/Pi)を計算し、選択エリアiの被害家屋数Hdiを選択エリアiのエリア家屋数Hiで除算して選択エリアiの被害家屋率Rhi(=Hdi/Hi)を計算し、選択エリアiの避難者数Priを選択エリアiのエリア人口Piで除算して選択エリアiの避難率Rri(=Pri/Pi)を計算する(ステップ103)。避難率Rriについては、エリア人口Piに代えてエリア世帯数を用いてもよい。
【0036】
この後、被害レベル計算部15Bは、記憶部14から被害率Rd、被害家屋率Rh、および避難率Rrに対する重み係数Wd,Wh,Wrを取得し、選択エリアiの被害率Rdiと被害家屋率Rhiとを重み係数Wd,Whで重み付けて加算し、この加算結果から選択エリアiの避難率Rriを重み係数Wrで重み付けて減算することにより、選択エリアiの被害指標値Qiを計算する。
そして、被害レベル計算部15Bは、この被害指標値をすべてのエリアの被害指標値の総和Qsで除算することにより、選択エリアiに関する被害レベルDiを計算する(ステップ104)。
【0037】
続いて、被害レベル計算部15Bは、記憶部14に記憶されている複数の被害規模判定しきい値に基づいて、選択エリアiの被害レベルDiをしきい値処理することにより、選択エリアiでの被害規模Dcを特定する(ステップ105)。
具体的には、被害規模判定しきい値Dthとして、被害大しきい値Dth1、被害中しきい値Dth2(<Dth1)、被害小しきい値Dth3(<Dth2)を設け、被害レベルDi>Dth1の場合には被害大と判定し、Dth1≧Di>Dth2の場合には被害中と判定し、Dth2≧Di>Dth3の場合には被害小と判定し、Dth3≧Diの場合には被害軽微と判定してもよい。
【0038】
この後、被害レベル計算部15Bは、全てのエリアについて被害レベル計算処理が終了したか確認し(ステップ106)、未処理のエリアが存在する場合には(ステップ106:NO)、ステップ100へ戻って未処理のエリアに関する被害レベル計算処理を実行する。
一方、すべてのエリアについて被害レベル計算処理が終了した場合(ステップ106:YES)、被害レベル計算部15Bは、一連の被害レベル計算処理を終了する。
【0039】
[現場対応計算動作]
次に、図3を参照して、本実施の形態にかかる現場対応計算動作について説明する。図3は、現場対応計算処理を示すフローチャートである。
災害危機管理装置10の現場対応計算部15Cは、被害レベル計算部15Bで被害レベル計算処理を実行した後、図3の現場対応計算処理を実行する。
【0040】
まず、現場対応計算部15Cは、被害レベル計算部15Bから各エリアiの被害レベルDiを取得し(ステップ110)、被害レベルDiの大きい順に、優先して現場対応すべき現場対応順序Jiを特定する(ステップ111)。
【0041】
次に、現場対応計算部15Cは、記憶部14から、単位被害レベル当たりに要する担当人数を示す単位担当人数Nsを取得し、エリアiごとに、被害レベルDiと単位担当人数Nを乗算して、当該エリアiで必要となる担当者数Niを計算し(ステップ112)、一連の現場対応計算処理を終了する。単位担当人数Nsについては、例えば過去の災害管理対応履歴から算出して、予め記憶部14に登録しておけばよい。
【0042】
[被害状況出力動作]
次に、図4を参照して、本実施の形態にかかる被害状況出力動作について説明する。図4は、被害状況出力処理(被害レベル)を示すフローチャートである。
災害危機管理装置10の被害状況出力部15Dは、現場対応計算部15Cで現場対応計算処理が実行された後、図4の被害状況出力処理を実行する。
【0043】
まず、被害状況出力部15Dは、記憶部14から被害規模に応じた表示色を取得し、各エリアiに関する、被害レベル計算部15Bで得られた、被害率Rdi、被害家屋率Rhi、避難率Rri、被害レベルDi、および被害規模Dciと、現場対応計算部15Cで得られた現場対応順序Jiおよび担当者数Niとを、当該エリアiの被害規模Dciと対応する表示色で、被害状況として画面表示部12により画面表示する(ステップ120)。
【0044】
また、アラーム出力部15Eは、これらエリアiのうち、被害規模Dciが警報被害規模に達しているエリアについて、被害規模が大きいエリアとして画面表示部12でアラーム表示を行い(ステップ121)、一連の被害状況出力処理を終了する。
なお、被害状況出力部15Dにおいて、画面表示した被害状況を記憶部14に保存し、あるいは通信I/F部13から外部装置へ通知するようにしてもよい。
【0045】
図5は、被害状況リスト(被害レベル)の画面表示例である。ここでは、各エリアiを識別するエリアIDごとに、エリア名、被害情報収集日時、被害率Rdi、被害家屋率Rhi、避難率Rri、被害レベルDi、被害規模Dci、現場対応順序Ji、および担当者数Niが、リスト表示されている。また、各エリアiの背景色として、被害規模Dciと対応する表示色が用いられており、各エリアの被害状況が色分け表示されている。
【0046】
図6は、被害状況マップ(被害レベル)の画面表示例である。ここでは、各エリアの位置関係を示すマップのうち、各エリアの領域に、当該エリアiのエリアIDと被害規模Dciが文字表示されており、当該領域が被害規模Dciと対応する表示色で塗りつぶし表示されている。
【0047】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態によれば、入力された各エリアの被害報告情報に基づいて、災害管理地域を分割して設けたエリアごとに被害レベルが計算されるため、発生した災害に関する被害の程度を、エリアごとに数値化することができる。
これにより、災害危機管理システムにおいて、災害危機発生時に実行すべき業務の重要度を、入力された被害報告情報からエリアごとに定量的に分析することができる。このため、実行すべき業務の優先度を客観的にすばやく判断することが可能となり、緊急性を有する災害危機発生時に、極めて多大に効果を得ることができる。
【0048】
また、本実施の形態では、被害レベル計算部15Bにおいて、エリアごとに、当該エリアの被害率と被害家屋率とを重み付けて加算し、この加算結果から当該エリアの避難率を重み付けて減算することにより、当該エリアの被害指標値を計算し、この被害指標値をすべてのエリアの被害指標値の総和で除算することにより、当該エリアに関する被害レベルを計算するようにしたので、避難状況に応じた被害レベルを計算できる。
したがって、すでに大多数の住民が避難を完了しているエリアについては、現場対応順序を下げることができる。これにより、避難が完了していないエリアについて現場対応順序を上げることができ、より効率的で迅速な現場対応を実行することが可能となる。
【0049】
また、本実施の形態では、現場対応計算部15Cにおいて、エリアごとに、当該エリアの被害レベルに対して、単位被害レベル当たりに要する担当人数を示す単位担当人数を乗算することにより、当該エリアで必要となるエリア担当人数を計算するようにしたので、すでに大多数の住民が避難を完了しているエリアについては、現場担当人数を削減することができる。これにより、避難が完了していないエリアについて現場担当人数を増員することができ、より効率的で迅速な現場対応を実行することが可能となる。
【0050】
また、本実施の形態では、被害状況出力部15Dにおいて、各エリアの避難状況を画面表示する際、各エリアの被害規模に応じて色分け表示し、さらにはアラーム表示するようにしたので、被害レベルを数値で表示する場合と比較して、被害が甚大なエリアをオペレータに対して確実に通知することができ、迅速な現場対応を促すことが可能となる。
【0051】
[第2の実施の形態]
次に、図7を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる災害危機管理装置10について説明する。図7は、第2の実施の形態にかかる災害危機管理装置の構成を示すブロック図である。
第1の実施の形態では、各エリアからの被害報告情報を集計し、これら集計時点におけるそれぞれのエリアでの被害の程度を示す被害レベルを計算する場合について説明した。本実施の形態では、ライフラインに関する被害報告情報に基づいて、各エリアでの被害に関する今後の推移を予測する場合について説明する。
【0052】
本実施の形態において、記憶部14は、主な処理情報としては、各エリアにおけるライフラインに加入するエリア加入者数などの各種統計情報がある。ここでいうライフラインとは、電気・水道・ガスなど、各エリアの住民が生活する上で必須となる一般的なインフラ設備である。
被害情報集計部15Aは、各エリアからの被害報告情報に基づいて、エリアごとに避難世帯数を集計する機能と、操作入力部11や通信I/F部13から入力されたライフラインの被害報告情報に基づいて、エリアごとに、ライフラインの供給が停止した供給停止加入者数を集計する機能とを有している。
【0053】
被害予測部15Fは、エリアごとに、被害情報集計部15Aで得られた当該エリアの供給停止加入者数を、記憶部14で記憶している当該エリアのライフラインの供給加入者数で除算することによりライフライン被害率を計算する機能と、当該エリアの避難世帯数を記憶部14で記憶している当該エリアのエリア世帯数で除算することにより世帯避難率を計算する機能と、当該エリアのライフライン被害率から当該エリアの世帯避難率を減算して差分を計算する機能と、各エリアのうち、当該エリアの差分が判定しきい値より大きいエリアを、被害増大が予測される注意エリアとして特定する機能とを有している。
【0054】
被害状況出力部15Dは、エリアごとに、被害予測部15Fで計算されたライフライン被害率や差分と、被害予測部15Fで特定された注意クラスとを、画面表示部12で画面表示する機能と、これら画面表示の際、被害予測部15Fで特定された、各エリアの注意クラスに応じて色分け表示する機能とを有している。
【0055】
アラーム出力部15Eは、各エリアのうち、被害予測部15Fで特定された注意クラスが警報注意クラスに達しているエリアについて、大幅な被害増大が予測されるエリアとして画面表示部12でアラーム表示を行う機能を有している。アラーム表示の具体例としては、例えば画面表示部12の表示画面上に、選択エリアのエリア名とこのエリアで大幅な被害増大が予測される旨のメッセージとを、ポップアップ画面で表示してもよい。
【0056】
[第2の実施の形態の動作]
次に、本実施の形態にかかる災害危機管理装置10の動作について説明する。ここでは、災害危機管理装置10の動作を、被害予測算動作および被害状況出力動作に分けて、それぞれ個別に説明する。
【0057】
[被害予測動作]
まず、図8を参照して、本実施の形態にかかる被害予測動作について説明する。図8は、被害予測処理を示すフローチャートである。
災害危機管理装置10の被害予測部15Fは、例えば操作入力部11で検出されたオペレータ指示に応じて、あるいは定期的に、図8の被害予測処理を実行する。なお、被害予測処理を実行する際、予め被害情報集計部15Aにより、操作入力部11や通信I/F部13から入力されたライフラインの被害報告情報に基づいて、エリアiごとに、ライフラインの供給が停止した供給停止加入者数Pssiが集計されているものとする。
【0058】
まず、被害予測部15Fは、災害管理地域を分割して設けた各エリアのうちから、被害予測処理を実行していない未処理のエリアiを1つ選択する(ステップ200)。
続いて、被害予測部15Fは、被害情報集計部15Aから取得した、選択エリアiに関する供給停止加入者数Pssiを、記憶部14から取得した、選択エリアiに関する供給加入者数Psiで除算することにより、選択エリアiに関するライフライン被害率Rsi(=Pssi/Psi)を計算する(ステップ201)。
また、被害予測部15Fは、被害情報集計部15Aから取得した、選択エリアiに関する避難世帯数Pfiを、記憶部14から取得した、選択エリアiに関するエリア世帯数Fiで除算することにより、選択エリアiに関する世帯避難率Rfi(=Pfi/Fi)を計算する(ステップ202)。
【0059】
次に、被害予測部15Fは、選択エリアiに関するライフライン被害率Rsiと選択エリアiに関する世帯避難率Rfiとの差分Dri(=Rsi−Rfi)を計算し(ステップ203)、記憶部14に記憶されている複数の注意クラス判定しきい値に基づいて、選択エリアiの差分Driをしきい値処理することにより、選択エリアiの注意クラスCiを特定する(ステップ204)。
【0060】
具体的には、注意クラス判定しきい値Cthとして、要注意しきい値Cth1、注意しきい値Cth2(<Cth1)を設け、差分Dri>Cth1の場合には、今後、大幅な被害の増大が予測される要注意クラスと判定し、Cth1≧Dri>Cth2の場合には、今後、ある程度の被害の増大が予測される注意クラスと判定し、Cth2≧Driの場合には被害の増大があまりない通常クラスと判定してもよい。
【0061】
この後、被害予測部15Fは、全てのエリアについて被害予測処理が終了したか確認し(ステップ205)、未処理のエリアが存在する場合には(ステップ205:NO)、ステップ200へ戻って未処理のエリアに関する被害予測処理を実行する。
一方、すべてのエリアについて被害レベル計算処理が終了した場合(ステップ205:YES)、被害予測部15Fは、一連の被害予測処理を終了する。
【0062】
[被害状況出力動作]
次に、図9を参照して、本実施の形態にかかる被害状況出力動作について説明する。図9は、被害状況出力処理(注意クラス)を示すフローチャートである。
災害危機管理装置10の被害状況出力部15Dは、現場対応計算部15Cで現場対応計算処理が実行された後、図9の被害状況出力処理を実行する。
【0063】
まず、被害状況出力部15Dは、記憶部14から注意クラスに応じた表示色を取得し、被害予測部15Fで得られた、各エリアiに関する、ライフライン被害率Rsi、差分Dri、および注意クラスCiを、当該エリアiの注意クラスCiと対応する表示色で、被害状況として画面表示部12により画面表示する(ステップ210)。
【0064】
また、アラーム出力部15Eは、これらエリアiのうち、注意クラスCiが警報注意クラスに達しているエリアについて、大幅な被害増大が予測されるエリアとして画面表示部12でアラーム表示を行い(ステップ211)、一連の被害状況出力処理を終了する。
なお、被害状況出力部15Dにおいて、画面表示した被害状況を記憶部14に保存し、あるいは通信I/F部13から外部装置へ通知するようにしてもよい。
【0065】
図10は、被害状況リスト(注意クラス)の画面表示例である。ここでは、各エリアを識別するエリアIDごとに、エリア名、世帯避難率Rfi、ライフライン被害率Rsi、差分Dri、および注意クラスCiが、リスト表示されている。また、各エリアiの背景色として、注意クラスCiと対応する表示色が用いられており、各エリアの被害状況が色分け表示されている。
【0066】
図11は、被害状況マップ(注意クラス)の画面表示例である。ここでは、各エリアの位置関係を示すマップのうち、各エリアの領域に、当該エリアiのエリアIDと注意クラスCiが文字表示されており、当該領域が注意クラスCiと対応する表示色で塗りつぶし表示されている。
【0067】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態によれば、入力されたライフラインに関する被害報告情報に基づいて、各エリアからの被害報告情報だけでは知り得ない、各エリアでの被害に関する今後の推移を予測することができる。
これにより、実際には被害が発生しているにもかかわらず、報告されていないエリアを特定して、オペレータに通知することができ、適切な現場対応を促すことが可能となる。
【0068】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0069】
10…災害危機管理装置、11…操作入力部、12…画面表示部、13…通信I/F部、14…記憶部、15…演算処理部、15A…被害情報集計部、15B…被害レベル計算部、15C…現場対応計算部、15D…被害状況出力部、15E…アラーム出力部、15F…被害予測部、i…選択エリア、Pdi…被害者数、Hdi…被害家屋数、Pri…避難者数、Pi…エリア人口、Hi…エリア家屋数、Rdi…被害率、Rhi…被害家屋率、Rri…避難率、Wd,Wh,Wr…重み係数、Qi…被害指標値、Qs…総和(被害指標値)、Di…被害レベル、Dth…被害規模判定しきい値、Dci…被害規模、Ji…現場対応順序、Ni…担当者数、Psi…供給加入者数、Pssi…供給停止加入者数、Pfi…避難世帯数、Fi…エリア世帯数、Rfi…世帯避難率、Rsi…ライフライン被害率、Dri…差分、Cth…注意クラス判定しきい値、Ci…注意クラス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害が発生した際、入力された各エリアからの被害報告情報を集計して出力する災害危機管理装置であって、
前記エリアごとに、当該エリアにおけるエリア人口およびエリア家屋数を記憶する記憶部と、
前記被害報告情報に基づいて、前記エリアごとに、被害者数、被害家屋数、および避難者数をそれぞれ集計する被害情報集計部と、
前記エリアごとに、当該エリアの前記被害者数を当該エリアの前記エリア人口で除算して得た被害率、当該エリアの前記被害家屋数を当該エリアの前記エリア家屋数で除算して得た被害家屋率、および当該エリアの前記避難者数を当該エリアの前記エリア人口で除算して得られた避難率に基づいて、当該エリアにおける被害の程度を示す被害レベルを計算する被害レベル計算部と
を備えることを特徴とする災害危機管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の災害危機管理装置において、
被害レベル計算部は、前記エリアごとに、当該エリアの前記被害率と前記被害家屋率とを重み付けて加算し、この加算結果から当該エリアの前記避難率を重み付けて減算することにより、当該エリアの被害指標値を計算し、この被害指標値をすべてのエリアの被害指標値の総和で除算することにより、当該エリアに関する前記被害レベルを計算することを特徴とする災害危機管理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の災害危機管理装置において、
前記エリアごとに、当該エリアの前記被害レベルに対して、単位被害レベル当たりに要する担当人数を示す単位担当人数を乗算することにより、当該エリアで必要となるエリア担当人数を計算する現場対応計算部をさらに備えることを特徴とする災害危機管理装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の災害危機管理装置において、
前記被害情報集計部は、前記被害報告情報に基づいて、前記エリアごとに避難世帯数を集計するとともに、入力されたライフラインの被害報告情報に基づいて、前記エリアごとに、前記ライフラインの供給が停止した供給停止加入者数を集計し、
前記エリアごとに、当該エリアの前記供給停止加入者数を、前記記憶部で記憶している当該エリアの前記ライフラインの供給加入者数で除算してライフライン被害率を計算するとともに、当該エリアの前記避難世帯数を前記記憶部で記憶している当該エリアのエリア世帯数で除算して世帯避難率を計算し、当該エリアの前記ライフライン被害率から当該エリアの前記世帯避難率を減算して差分を計算し、前記各エリアのうち、当該エリアの前記差分が判定しきい値より大きいエリアを、被害増大が予測される注意エリアとして特定する被害予測部をさらに備える
ことを特徴とする災害危機管理装置。
【請求項5】
災害が発生した際、入力された各エリアからの被害報告情報を集計して出力する災害危機管理装置で用いられる被害レベル計算方法であって、
記憶部が、前記エリアごとに、当該エリアにおけるエリア人口およびエリア家屋数を記憶する記憶ステップと、
被害情報集計部が、前記被害報告情報に基づいて、前記エリアごとに、被害者数、被害家屋数、および避難者数をそれぞれ集計する被害情報集計ステップと、
被害レベル計算部が、前記エリアごとに、当該エリアの前記被害者数を当該エリアの前記エリア人口で除算して得た被害率、当該エリアの前記被害家屋数を当該エリアの前記エリア家屋数で除算して得た被害家屋率、および当該エリアの前記避難者数を当該エリアの前記エリア人口で除算して得られた避難率に基づいて、当該エリアにおける被害の程度を示す被害レベルを計算する被害レベル計算ステップと
を備えることを特徴とする被害レベル計算方法。
【請求項6】
請求項5に記載の被害レベル計算方法において、
被害レベル計算ステップは、前記エリアごとに、当該エリアの前記被害率と前記被害家屋率とを重み付けて加算し、この加算結果から当該エリアの前記避難率を重み付けて減算することにより、当該エリアの被害指標値を計算し、この被害指標値をすべてのエリアの被害指標値の総和で除算することにより、当該エリアに関する前記被害レベルを計算することを特徴とする被害レベル計算方法。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の被害レベル計算方法において、
現場対応計算部が、前記エリアごとに、当該エリアの前記被害レベルに対して、単位被害レベル当たりに要する担当人数を示す単位担当人数を乗算することにより、当該エリアで必要となるエリア担当人数を計算する現場対応計算ステップをさらに備えることを特徴とする被害レベル計算方法。
【請求項8】
請求項5〜請求項7のいずれか1つに記載の被害レベル計算方法において、
前記被害情報集計ステップは、前記被害報告情報に基づいて、前記エリアごとに避難世帯数を集計するとともに、入力されたライフラインの被害報告情報に基づいて、前記エリアごとに、前記ライフラインの供給が停止した供給停止加入者数を集計し、
被害予測部が、前記エリアごとに、当該エリアの前記供給停止加入者数を、前記記憶部で記憶している当該エリアの前記ライフラインの供給加入者数で除算してライフライン被害率を計算するとともに、当該エリアの前記避難世帯数を前記記憶部で記憶している当該エリアのエリア世帯数で除算して世帯避難率を計算し、当該エリアの前記ライフライン被害率から当該エリアの前記世帯避難率を減算して差分を計算し、前記各エリアのうち、当該エリアの前記差分が判定しきい値より大きいエリアを、被害増大が予測される注意エリアとして特定する被害予測ステップをさらに備える
ことを特徴とする被害レベル計算方法。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載された災害危機管理装置を構成する各部として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
災害が発生した際、入力された各エリアからの被害報告情報を集計して出力する災害危機管理装置であって、
前記エリアごとに、当該エリアにおけるエリア人口およびエリア家屋数を記憶する記憶部と、
前記被害報告情報に基づいて、前記エリアごとに、被害者数、被害家屋数、および避難者数をそれぞれ集計する被害情報集計部と、
前記エリアごとに、当該エリアの前記被害者数を当該エリアの前記エリア人口で除算して得た被害率、当該エリアの前記被害家屋数を当該エリアの前記エリア家屋数で除算して得た被害家屋率、および当該エリアの前記避難者数を当該エリアの前記エリア人口で除算して得られた避難率に基づいて、当該エリアにおける被害の程度を示す被害レベルを計算する被害レベル計算部と
を備えることを特徴とする災害危機管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の災害危機管理装置において、
被害レベル計算部は、前記エリアごとに、当該エリアの前記被害率と前記被害家屋率とを重み付けて加算し、この加算結果から当該エリアの前記避難率を重み付けて減算することにより、当該エリアの被害指標値を計算し、この被害指標値をすべてのエリアの被害指標値の総和で除算することにより、当該エリアに関する前記被害レベルを計算することを特徴とする災害危機管理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の災害危機管理装置において、
前記エリアごとに、当該エリアの前記被害レベルに対して、単位被害レベル当たりに要する担当人数を示す単位担当人数を乗算することにより、当該エリアで必要となるエリア担当人数を計算する現場対応計算部をさらに備えることを特徴とする災害危機管理装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の災害危機管理装置において、
前記被害情報集計部は、前記被害報告情報に基づいて、前記エリアごとに避難世帯数を集計するとともに、入力されたライフラインの被害報告情報に基づいて、前記エリアごとに、前記ライフラインの供給が停止した供給停止加入者数を集計し、
前記エリアごとに、当該エリアの前記供給停止加入者数を、前記記憶部で記憶している当該エリアの前記ライフラインの供給加入者数で除算してライフライン被害率を計算するとともに、当該エリアの前記避難世帯数を前記記憶部で記憶している当該エリアのエリア世帯数で除算して世帯避難率を計算し、当該エリアの前記ライフライン被害率から当該エリアの前記世帯避難率を減算して差分を計算し、前記各エリアのうち、当該エリアの前記差分が判定しきい値より大きいエリアを、被害増大が予測される注意エリアとして特定する被害予測部をさらに備える
ことを特徴とする災害危機管理装置。
【請求項5】
災害が発生した際、入力された各エリアからの被害報告情報を集計して出力する災害危機管理装置で用いられる被害レベル計算方法であって、
記憶部が、前記エリアごとに、当該エリアにおけるエリア人口およびエリア家屋数を記憶する記憶ステップと、
被害情報集計部が、前記被害報告情報に基づいて、前記エリアごとに、被害者数、被害家屋数、および避難者数をそれぞれ集計する被害情報集計ステップと、
被害レベル計算部が、前記エリアごとに、当該エリアの前記被害者数を当該エリアの前記エリア人口で除算して得た被害率、当該エリアの前記被害家屋数を当該エリアの前記エリア家屋数で除算して得た被害家屋率、および当該エリアの前記避難者数を当該エリアの前記エリア人口で除算して得られた避難率に基づいて、当該エリアにおける被害の程度を示す被害レベルを計算する被害レベル計算ステップと
を備えることを特徴とする被害レベル計算方法。
【請求項6】
請求項5に記載の被害レベル計算方法において、
被害レベル計算ステップは、前記エリアごとに、当該エリアの前記被害率と前記被害家屋率とを重み付けて加算し、この加算結果から当該エリアの前記避難率を重み付けて減算することにより、当該エリアの被害指標値を計算し、この被害指標値をすべてのエリアの被害指標値の総和で除算することにより、当該エリアに関する前記被害レベルを計算することを特徴とする被害レベル計算方法。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の被害レベル計算方法において、
現場対応計算部が、前記エリアごとに、当該エリアの前記被害レベルに対して、単位被害レベル当たりに要する担当人数を示す単位担当人数を乗算することにより、当該エリアで必要となるエリア担当人数を計算する現場対応計算ステップをさらに備えることを特徴とする被害レベル計算方法。
【請求項8】
請求項5〜請求項7のいずれか1つに記載の被害レベル計算方法において、
前記被害情報集計ステップは、前記被害報告情報に基づいて、前記エリアごとに避難世帯数を集計するとともに、入力されたライフラインの被害報告情報に基づいて、前記エリアごとに、前記ライフラインの供給が停止した供給停止加入者数を集計し、
被害予測部が、前記エリアごとに、当該エリアの前記供給停止加入者数を、前記記憶部で記憶している当該エリアの前記ライフラインの供給加入者数で除算してライフライン被害率を計算するとともに、当該エリアの前記避難世帯数を前記記憶部で記憶している当該エリアのエリア世帯数で除算して世帯避難率を計算し、当該エリアの前記ライフライン被害率から当該エリアの前記世帯避難率を減算して差分を計算し、前記各エリアのうち、当該エリアの前記差分が判定しきい値より大きいエリアを、被害増大が予測される注意エリアとして特定する被害予測ステップをさらに備える
ことを特徴とする被害レベル計算方法。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載された災害危機管理装置を構成する各部として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−18604(P2012−18604A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156743(P2010−156743)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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