説明

災害時自動切換えシステムとその処理方法

【課題】自然災害が発生したした場合であっても、その被害による障害の復旧を迅速に行なうことのできる災害時自動切換えシステムを提供する。
【解決手段】自然災害速報に含まれる自然災害強度が一定強度以上であるかを判定し、自然災害強度が一定強度以上である場合に、バックアップ先のシステムへ自然災害発生通知を送信する。また、自然災害発生通知の送信後に、自システムの障害発生の有無を判定し、障害発生が有りと判定された場合に、障害発生原因を判定し、当該判定した障害発生原因に基づいて、当該障害発生原因に応じた対応メール送信先を特定し、当該対応メール送信先へ、判定した障害発生原因へ対応を行なうよう要求する対応メールを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気象庁が発信する緊急地震速報に基づいてバックアップシステムへ処理を切り替える災害時自動切換えシステムとその処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地震などの自然災害が発生したことを検出した後に、通常時に運用処理を行なっているメインシステムから、当該メインシステムの故障時に運用処理を行なうバックアップシステムへの処理の切り替えや、メインシステムの運用場所等の変更を手動もしくは自動にて実施する技術が提案されている。
これに関連する技術として、緊急地震速報の受信に基づいて、バックアップ処理を開始する技術が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−115625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のようなシステムの技術では、自然災害の発生以前からバックアップシステムが準備されていた場合であっても、メインシステムに故障発生もしくはシステム停止の発生があったことが確認されてから、切り替えを実施するため、当該メインシステムやバックアップシステムで提供しているサービスに一定の停止時間が発生してしまう可能性がある。
【0005】
また、上述のようなシステムの技術では、メインシステムからバックアップシステムへと、運用処理を行なうシステムの自動的な切り替えが行われる場合であっても、災害発生後に切り替えが開始されることから、災害により発生したネットワーク障害やシステムを構成する機器の故障等により、切り替えが実施できない場合が想定される。
更に、震災等の自然災害発生後、被災地にて人手によりシステム全体の状況の調査、動作確認、修理依頼を行う必要があり、システムの復旧までに長時間を要することが想定される。
【0006】
そこでこの発明は、地震等の自然災害が発生したした場合であっても、その被害による障害の復旧を迅速に行なうことのできる災害時自動切換えシステムとその処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、自然災害速報情報を受信する自然災害速報受信部と、前記自然災害速報に含まれる自然災害強度が一定強度以上であるかを判定する自然災害強度判定部と、前記自然災害強度が一定強度以上である場合に、バックアップ先のシステムへ自然災害発生通知を送信する自然災害発生通知送信部と、前記自然災害発生通知の送信後に、自システムの障害発生の有無を判定する障害発生有無判定部と、前記障害発生が有りと判定された場合に、障害発生原因を判定する障害発生原因判定部と、前記判定した前記障害発生原因に基づいて、当該障害発生原因に応じた対応メール送信先を特定し、当該対応メール送信先へ、前記判定した障害発生原因へ対応を行なうよう要求する対応メールを送信するメール送信部と、を備えることを特徴とする災害時自動切換えシステムである。
【0008】
また本発明は、上述の災害時自動切換えシステムにおいて、前記メール送信部は、前記自然災害強度が一定強度未満である場合、または、前記障害発生が無しと判定された場合、管理者端末宛に異常なしを示す通常運用メールを自動送信することを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上述の災害時自動切換えシステムにおいて、前記自然災害強度が一定強度以上である場合に、通常時に利用している通常電源から、無停電電源へ電源供給元を切り替える電源供給元切り替え部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上述の災害時自動切換えシステムにおいて、前記障害発生原因判定部は、前記障害発生が有りと判定した場合に、障害発生箇所を特定することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上述の災害時自動切換えシステムにおいて、前記バックアップ先のシステムと通常時利用ネットワークを介した通信接続ができるかを判定する通信接続判定部と、前記バックアップ先のシステムからの自然災害発生時利用ネットワークを介した自然災害発生通知の受信有無を判定する自然災害発生通知受信部と、前記バックアップ先のシステムと通常時利用ネットワークを介した通信接続ができないと判定し、かつ、前記バックアップ先のシステムからの自然災害発生時利用ネットワークを介した自然災害発生通知の受信が無いと判定した場合に、前記通常時利用ネットワークの障害発生を判定する通常時利用ネットワーク障害発生判定部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、災害時自動切換えシステムにおける処理方法であって、自然災害速報受信部が自然災害速報情報を受信し、自然災害強度判定部が前記自然災害速報に含まれる自然災害強度が一定強度以上であるかを判定し、自然災害発生通知送信部が前記自然災害強度が一定強度以上である場合に、バックアップ先のシステムへ自然災害発生通知を送信し、障害発生有無判定部が前記自然災害発生通知の送信後に、自システムの障害発生の有無を判定し、障害発生原因判定部が前記障害発生が有りと判定された場合に、障害発生原因を判定し、メール送信部が前記判定した前記障害発生原因に基づいて、当該障害発生原因に応じた対応メール送信先を特定し、当該対応メール送信先へ、前記判定した障害発生原因へ対応を行なうよう要求する対応メールを送信することを特徴とする処理方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一定震度以上の地震が発生した場合に、緊急地震速報を受信することで、地震発生前にメインサイトからバックアップサイトへの切り替えを実施することでき、これにより、地震などの災害が発生した際にシステムの切り替えや運用場所等の変更を自動で実施することができる。
また上述の処理によれば、地震発生後に、メインサイトの管理者へのメール通知や修理部門への連絡、システム内各装置の稼働状況確認の等の一連の作業を自動化しているため、システム障害を復旧させるための労力を軽減でき、これにより復旧までの時間を短縮する可能性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態による災害時自動切換えシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】障害管理装置の機能ブロック図である。
【図3】緊急地震速報受信装置の機能ブロック図である。
【図4】第1の実施形態による災害時自動切換えシステムの処理フローを示す図である。
【図5】第2の実施形態による災害時自動切換えシステムの構成を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態による災害時自動切換えシステムの処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、第1の実施形態による災害時自動切換えシステムを図面を参照して説明する。
図1は第1の実施形態による災害時自動切換えシステムの構成を示すブロック図である。
この図において、符号1は通常時に運用処理を行なうメインシステムである。当該メインシステム1は、メインシステム1内の各装置や通信ネットワークの障害を管理する障害管理装置10、緊急地震速報を受信する緊急地震速報受信装置20、商用電源からの電源供給が停止した際に、灯油等を燃料として発電してメインシステムへ電源供給する自家発電装置30、商用電源の瞬断や商用電源から自家発電へ切り替わる際の一瞬の電源停止時に一時的にシステムへ電源を供給する無停電電源装置40を備えている。これら障害管理装置10、緊急地震速報受信装置20、自家発電装置30、無停電電源装置40は、それぞれ制御ネットワーク50を介して接続されている。
【0016】
図2は障害管理装置の機能ブロック図である。
図3は緊急地震速報受信装置の機能ブロック図である。
図2で示す障害管理装置10において、符号101は、緊急地震速報(自然災害速報)に含まれる震度レベル(自然災害強度)が一定レベル以上であるかを判定する自然災害強度判定部である。また102は、震度レベルが一定レベル以上である場合に、バックアップ先のシステム2へ自然災害発生通知を送信する自然災害発生通知送信部である。また103は、自然災害発生通知の送信後に、自システムの障害発生の有無を判定する障害発生有無判定部である。また104は、障害発生が有りと判定された場合に、障害発生原因を判定する障害発生原因判定部である。また105は、震度レベルが一定レベル以上である場合に、通常時に利用している通常電源から、無停電電源装置40へ電源供給元を切り替える電源供給元切り替え部である。また106は、バックアップ先のシステム2と通常時利用ネットワーク(インターネット等)を介した通信接続ができるかを判定する通信接続判定部である。また107は、バックアップ先のシステムからの自然災害発生時利用ネットワーク(衛星回線等)を介した自然災害発生通知の受信有無を判定する自然災害発生通知受信部である。また108は、障害発生原因に応じた対応メール送信先を特定し、当該対応メール送信先へ障害発生原因の対応を行なうよう要求する対応メールを送信するメール送信部である。また109は、自家発電装置30や無停電電源装置40の状態を確認する状態確認部である。また110は、他のシステムとの統合管理を行なう統合管理部である。
また図3で示す緊急地震速報受信装置20において、符号201は、緊急地震速報を送信するサーバより緊急地震速報情報を受信する自然災害速報受信部である。また202は、緊急地震速報の情報を障害管理装置10へ通知する自然災害速報通知部である。
【0017】
そして、本実施形態による災害時自動切換えシステムにおいては、緊急地震速報受信装置20が緊急地震速報を受信し、障害管理装置10が、緊急地震速報に含まれる震度レベルが一定レベル以上であるかを判定し、一定レベル以上である場合に、バックアップ先のシステムへ自然災害発生通知を送信する。そして障害管理装置10は、自然災害発生通知の送信後に、自システムの障害発生の有無を判定し、障害発生が有りと判定した場合に、障害発生原因を判定し、その判定した障害発生原因に基づいて、当該障害発生原因に応じた対応メール送信先を特定して、当該対応メール送信先へ、判定した障害発生原因へ対応を行なうよう要求する対応メールを送信する。
このような処理により、災害時自動切換えシステムは地震等の自然災害が発生した場合であっても、その被害による障害の復旧を迅速に行なうことのできる機能を提供する。
【0018】
図4は第1の実施形態による災害時自動切換えシステムの処理フローを示す図である。
次に、図4を用いて、上述した災害時自動切換えシステムの処理フローについて順を追って説明する。
まず、メインシステム1の緊急地震速報受信装置20において、自然災害速報受信部201が、緊急地震速報を受信する(ステップS401)。すると緊急地震速報受信装置20の自然災害速報通知部202は、緊急地震速報を障害管理装置10へ転送する。
次に、障害管理装置10が緊急地震速報受信装置20より緊急地震速報を受信すると、自然災害強度判定部101が、緊急地震速報の情報に格納されている震度レベルを抽出する。そして、自然災害強度判定部101は、障害管理装置10内の記憶部等に記録されている震度レベルの閾値と、緊急地震速報から抽出した震度レベルとを比較して(ステップS402)、当該抽出した震度レベルが震度レベル閾値以上かを判定する。なお、この震度レベル閾値の値は、管理者が障害管理装置10に登録することにより設定変更可能である。そして、緊急地震速報から抽出した震度レベルがその閾値以上でなければ、メール送信部108へシステム障害が発生しておらず異常なしを示す通常運用メールを管理者端末宛に送信するよう指示する。するとメール送信部108は、管理者端末宛のメールアドレスを記憶部から読み取って、当該メールアドレス宛に通常運用メールを送信する(ステップS403)。
【0019】
他方、ステップS402の比較において、緊急地震速報から抽出した震度レベルがその閾値以上である場合には、自然災害発生通知送信部102が、バックアップ先のシステム2へ自然災害発生通知を送信する(ステップS404)。これにより、メインシステム1から、自然災害発生通知を受信したバックアップ先のシステム2へ運用処理が切り替わる。このとき、メインシステム1の電源供給元切り替え部105は、自家発電装置30との接続スイッチ等をOFFからONへ切り替える等の制御を行なって、通常使用している一般商用電源から自家発電装置30へ電源供給元を切り替える。またメインシステム1の障害管理装置10は、メインシステム1の通常の運用処理を停止するため、当該運用処理(例えばウェブサーバとして機能)を停止する。他方、バックアップ先のシステム2では自然災害発生通知を受信すると、運用処理プログラムを起動させてメインシステム1の代わりに動作する。
【0020】
また障害管理装置10においては、自然災害発生通知を送信すると、障害発生有無判定部103が、自システムの障害発生の有無を判定する(ステップS405)。この判定は、例えばメインシステム1に属する緊急地震速報受信装置20、自家発電装置30、無停電電源装置40に通信接続判定部106が応答要求信号を送信し、その結果、全ての装置から応答信号が返信された場合には、障害発生有無判定部103は障害発生無しと判定、また、応答信号を返信しない装置があれば障害発生有りと判定する。そして、ステップS405の判定において、障害発生無し(No)と判定した場合には、ステップS403に移行し、管理者端末宛に通常運用メールを送信する。また、障害発生有り(Yes)と判定した場合には、故障箇所によって動作が異なるため、障害発生原因判定部104が、どの装置に障害が発生しているのかを判定する(ステップS406)。この判定においては商用電源装置や自家発電装置や無停電電源装置などの電源類の異常、または通信ネットワークの異常、またはメインシステム1内の各装置のハードウェアの異常、のいずれの異常であるかを判定する。
【0021】
電源類の異常は、例えば、障害発生原因判定部104が、メインシステム1内の各装置に対して電源異常判定信号を送信し、この結果、各装置の全てから電源通常稼働信号が送信された場合には、各装置の電源類に異常が無いと判定する。ここで、何れかの装置から電源異常信号を受信した場合には、メール送信部108が、電源異常を示す文章と、電源異常を送信した装置の情報とを記した電源異常対応メールを生成し(ステップS407)、当該電源異常を送信した装置の管理者宛のメールアドレスと、修理担当者宛のメールアドレスとを記憶部等から読み取って、それらメールアドレス宛に、判定した障害発生原因の対応を行なうよう要求する電源異常対応メールを送信する(ステップS408)。なお、障害管理装置10は、障害発生原因判定部104が電源類に異常が有ると判定した装置の電源異常が回復したことを検出すると(例えば、電源異常判定信号を複数回、所定の間隔毎に送信し、この結果、過去に異常有りと判定した装置から電源通常稼働信号が送信された場合、当該装置において電源の異常が回復したと判定する)、メール送信部108は、電源の供給が正常に戻ったことを示す異常復旧メールを生成して、管理者宛のメールアドレスに送信する(ステップS409)。
【0022】
また、通信ネットワークの異常であれば、ステップS405の処理で送信した応答要求信号に対応する応答信号を送信していない装置を検出し、通信ネットワーク異常を示す文章と、応答信号を送信していない装置の情報とを記した通信ネットワーク異常対応メールを生成し(ステップS410)、当該応答信号を送信していない装置の管理者宛のメールアドレスと、修理担当者宛のメールアドレスとを記憶部等から読み取って、それらメールアドレス宛に、判定した障害発生原因の対応を行なうよう要求する通信ネットワーク異常対応メールを送信する(ステップS411)。なお、障害管理装置10は、障害発生原因判定部104が異常有りと判定した通信ネットワークの異常が回復したことを検出すると(例えば、応答要求信号を複数回、所定の間隔毎に送信し、この結果、過去に応答要求信号に対応する応答信号を送信しなかった装置から応答信号を受信した場合、当該装置において通信ネットワークの異常が回復したと判定する)、メール送信部108は、通信ネットワークが正常に戻ったことを示す異常復旧メールを生成して、管理者宛のメールアドレスに送信する(ステップS412)。
【0023】
また、ハードウェアの異常であれば、障害発生原因判定部104が、メインシステム1内の各装置に対してハードウェア異常判定信号を送信し、この結果、各装置の全てからハードウェア通常稼働信号が送信された場合には、各装置のハードウェアに異常が無いと判定する。ここで、何れかの装置からハードウェア異常信号を受信した場合には、そのハードウェア異常信号を解析し、その解析が完了すると、ハードウェア異常を示す文章、ハードウェア異常を送信した装置の情報、異常信号の解析内容等を記したハードウェア異常対応メールを生成し(ステップS413)、当該ハードウェア異常を送信した装置の管理者宛のメールアドレスと、修理担当者宛のメールアドレスとを記憶部等から読み取って、それらメールアドレス宛に、判定した障害発生原因の対応を行なうよう要求するハードウェア異常対応メールを送信する(ステップS414)。なお、障害管理装置10は、障害発生原因判定部104がハードウェアに異常有りと判定した装置のハードウェア異常が回復したことを検出すると(例えば、ハードウェア異常判定信号を複数回、所定の間隔毎に送信し、この結果、過去に異常有りと判定した装置からハードウェア通常稼働信号が送信された場合、当該装置においてハードウェアの異常が回復したと判定する)、メール送信部108は、ハードウェアの供給が正常に戻ったことを示す異常復旧メールを生成して、管理者宛のメールアドレスに送信する(ステップS415)。
【0024】
なお、上記ステップS413の処理においてハードウェア異常信号を解析できない場合には、所定のメール送信先に、ハードウェア異常を示す文章、ハードウェア異常を送信した装置の情報を記したハードウェア異常対応メールを生成し、管理者宛のメールアドレスを記憶部等から読み取って、そのメールアドレス宛に、判定した障害発生原因の対応を行なうよう要求するハードウェア異常対応メールを送信する。これにより、管理者が、ハードウェアの異常を手動で切り分けし、修理を行なうこととなる。そして、上述の各対応メールの送信後、障害が復旧した場合、管理者が、バックアップ先のシステム2からメインシステム1への切り替えの作業を行なう。
【0025】
図5は第2の実施形態による災害時自動切換えシステムの構成を示すブロック図である。
図5で示す災害時自動切換えシステムは、図1で示した災害時自動切換えシステムのバックアップシステム2が、メインシステム1と同様の構成となった場合の例である。本実施形態においては2つのメインシステム1をサイトA,サイトBと呼ぶこととする。なお、サイトBは、図5で示すように、障害管理装置70、緊急地震速報受信装置80、自家発電装置90、無停電電源装置100を備え、これら装置が制御ネットワーク110を介して接続されている。障害管理装置70や緊急地震速報受信装置80の機能構成は、図2,図3で示したものと同様である。また図5で示すようにサイトAとサイトBは、インターネット60によって通信接続され、さらに、障害発生時に利用する衛星回線120によっても通信接続されている。これらサイトAとサイトBは同じアプリケーションを稼働させており、初期時にはサイトAがメインシステムとして稼働しており、サイトBがバックアップシステムとして待機しているものとする。そして、サイトBはサイトAの遠隔地に離れて存在しており、サイトAの緊急地震速報受信装置20とサイトBの緊急地震速報受信装置80は、それぞれ異なる地域で発生する地震速報を受信するものとする。
【0026】
図6は第2の実施形態による災害時自動切換えシステムの処理フローを示す図である。
次に、図5,図6を用いて第2の実施形態による災害時自動切換えシステムの処理フローについて説明する。
第2の実施形態による災害自動切換えシステムにおいては、サイトAの緊急地震速報受信装置20が緊急地震速報を受信すると、第1の実施形態と同様の処理により、サイトAの運用がサイトBの運用に自動で切り替えられる。また同様にサイトBがメインシステムとして動作している場合に緊急地震速報受信装置80が緊急地震速報を受信すると、サイトBの運用がサイトAの運用に自動で切り替えられる。
ここで、サイトAの障害管理装置10とサイトBの障害管理装置70は設定情報等を統合管理部110経由で常に交換しており、互いのサイトの最新情報を持つよう同期を取っている。そして、どちらかの障害管理装置に故障が発生した場合でも自サイトを含む、他サイトのすべての装置が管理可能であるものとする。
【0027】
そして、通常運用時は、サイトA、サイトBのそれぞれにおいて、統合管理部110が、他のサイトに対してインターネット60を介して応答要求信号を送信し、当該他のサイトからインターネット60を介して応答要求信号に対応する応答信号を受信したかを判定する(ステップS601)。受信した場合には、所定の間隔毎に応答要求信号を送信する。また応答要求信号に対応する応答要求を受信できない場合には、次に、自然災害発生通知受信部107が、他のサイトから衛星回線120を介して自然災害発生通知を受信したかを判定する(ステップS602)。そして、自然災害発生通知受信部107は、他のサイトから衛星回線120を介して自然災害発生通知を受信したと判定した場合、他サイトが位置するエリアにおいて、地震発生の可能性ありと判定し(ステップS603)、自サイトの各装置に異常が発生していないかを、第1の実施形態におけるステップS405と同様に判定する(ステップS604)。そして、ステップS604において自サイトに異常有りと判定した場合には、上述のステップS406以降の処理を行なう。
【0028】
また、ステップS602において、衛星回線120を介して自然災害発生通知を受信していないと判定した場合には、他のサイトとの間で通常利用するインターネット60の通信ネットワークの異常確認を行なう(ステップS605)。そして通信ネットワークの異常と判定された場合には、ステップS411と同様に、通信ネットワーク異常を示す通信ネットワーク異常対応メールを管理者端末宛に送信する(ステップS606)。また、通信ネットワークの異常が無しと判定された場合には、他のサイトの障害管理装置に障害が発生した可能性があると判定する(ステップS607)。また、ステップS604において自サイトの各装置に異常が無い場合には、インターネット60を介した通信が不通になったことを検出した障害管理装置10が、サイトAの管理者およびサイトBの管理者双方へ通信不能メールを送信する(ステップS608)。これにより、互いの管理者は連絡を取り合い、故障原因の究明を行う。
【0029】
以上、災害時自動切換えシステムについて説明したが、上述の処理によれば、一定震度以上の地震が発生した場合に、緊急地震速報を受信することで、地震発生前にメインサイトからバックアップサイトへの切り替えを実施することでき、これにより、地震などの災害が発生した際にシステムの切り替えや運用場所等の変更を自動で実施することができる。
また上述の処理によれば、地震発生後に、メインサイトの管理者へのメール通知や修理部門への連絡、システム内各装置の稼働状況確認の等の一連の作業を自動化しているため、システム障害を復旧させるための労力を軽減でき、これにより復旧までの時間を短縮する可能性を高めることができる。
なお、上述の災害時自動切換えシステムは、複数データセンタを運用している企業で、遠隔地にバックアップサイトを構築している場合、一ヶ所にて統合管理することが可能となる。また、火災検知装置や煙探知装置、津波警報、洪水警報、不法侵入警報等の各種警報装置と連携することにより、地震以外の災害に対応することもできる。
【0030】
上述の各装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0031】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0032】
1・・・メインシステム
2・・・バックアップシステム
10・・・障害管理装置
20・・・緊急地震速報受信装置
30・・・自家発電装置
40・・・無停電電源装置
50・・・制御ネットワーク
60・・・インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然災害速報情報を受信する自然災害速報受信部と、
前記自然災害速報に含まれる自然災害強度が一定強度以上であるかを判定する自然災害強度判定部と、
前記自然災害強度が一定強度以上である場合に、バックアップ先のシステムへ自然災害発生通知を送信する自然災害発生通知送信部と、
前記自然災害発生通知の送信後に、自システムの障害発生の有無を判定する障害発生有無判定部と、
前記障害発生が有りと判定された場合に、障害発生原因を判定する障害発生原因判定部と、
前記判定した前記障害発生原因に基づいて、当該障害発生原因に応じた対応メール送信先を特定し、当該対応メール送信先へ、前記判定した障害発生原因へ対応を行なうよう要求する対応メールを送信するメール送信部と、
を備えることを特徴とする災害時自動切換えシステム。
【請求項2】
前記メール送信部は、
前記自然災害強度が一定強度未満である場合、または、前記障害発生が無しと判定された場合、管理者端末宛に異常なしを示す通常運用メールを自動送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の災害時自動切換えシステム。
【請求項3】
前記自然災害強度が一定強度以上である場合に、通常時に利用している通常電源から、無停電電源へ電源供給元を切り替える電源供給元切り替え部と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の災害時自動切換えシステム。
【請求項4】
前記障害発生原因判定部は、前記障害発生が有りと判定した場合に、障害発生箇所を特定する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の災害時自動切換えシステム。
【請求項5】
前記バックアップ先のシステムと通常時利用ネットワークを介した通信接続ができるかを判定する通信接続判定部と、
前記バックアップ先のシステムからの自然災害発生時利用ネットワークを介した自然災害発生通知の受信有無を判定する自然災害発生通知受信部と、を備え、
前記障害発生原因判定部は、
前記バックアップ先のシステムと通常時利用ネットワークを介した通信接続ができないと判定し、かつ、前記バックアップ先のシステムからの自然災害発生時利用ネットワークを介した自然災害発生通知の受信が無いと判定した場合に、前記通常時利用ネットワークの障害発生を判定する
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の災害時自動切換えシステム。
【請求項6】
災害時自動切換えシステムにおける処理方法であって、
自然災害速報受信部が自然災害速報情報を受信し、
自然災害強度判定部が前記自然災害速報に含まれる自然災害強度が一定強度以上であるかを判定し、
自然災害発生通知送信部が前記自然災害強度が一定強度以上である場合に、バックアップ先のシステムへ自然災害発生通知を送信し、
障害発生有無判定部が前記自然災害発生通知の送信後に、自システムの障害発生の有無を判定し、
障害発生原因判定部が前記障害発生が有りと判定された場合に、障害発生原因を判定し、
メール送信部が前記判定した前記障害発生原因に基づいて、当該障害発生原因に応じた対応メール送信先を特定し、当該対応メール送信先へ、前記判定した障害発生原因へ対応を行なうよう要求する対応メールを送信する
ことを特徴とする処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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