説明

炉加熱用燃焼装置

【課題】一次空気流路を通流する一次空気量と二次空気流路を通流する二次空気量との比を調整できるようにしながらも、その構成の簡素化を図り、しかも、炉外部における設置スペースの減少化を図ることができる炉加熱用燃焼装置を提供する。
【解決手段】二重管状に形成された長尺状のバーナBが、風箱4における炉壁1Aから離間する側に位置する背壁部4Aを貫通する状態で設けられ、バーナBの先端部が、その外周面と筒部Tの内周面との間に風箱内の空気を二次空気として通流させる二次空気流路A2を形成する状態で、筒部Tの内部に位置され、バーナBに備えさせる一次空気流路A1が、バーナBの先端部に、風箱内の空気を後端部より取り入れて先端側に通流させる状態で設けられ、バーナBをその長手方向に位置調整自在に風箱4の背壁部4Aに対して支持するバーナ支持手段Dが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉壁に形成した火炎通過孔に連通する状態で前記炉壁に接続される風箱が、炉壁側に円筒状の筒部を備え且つ燃焼用空気供給手段から燃焼用空気が供給される状態で設けられ、
中央部にガス燃料を通流させる燃料流路を備え且つその外周部に一次空気を通流させる一次空気流路を備える二重管状に形成された長尺状のバーナが、前記風箱における前記炉壁から離間する側に位置する背壁部を貫通する状態で設けられ、
前記バーナの先端部が、その外周面と前記筒部の内周面との間に前記風箱内の空気を二次空気として通流させる二次空気流路を形成する状態で、前記筒部の内部に位置されている炉加熱用燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる炉加熱用燃焼装置は、ガラスや金属等の被溶解物を溶解する溶解炉や、鍛造品等の被加熱物を加熱する加熱炉等の各種の炉を加熱するために用いられるものである。
このような炉加熱用燃焼装置として、バーナが、バーナ全長に亘る状態で設けられて燃料流路を形成する燃料供給用の管状体と、その管状体における風箱の外部に位置する箇所から先端箇所に亘る部分を覆うように位置して、管状体との間に一次空気流路を形成し且つ風箱の筒部との間に二次空気流路を形成する空気供給用の管状体とを備える形態に構成され、そして、燃焼用空気供給手段としての送風機からの燃焼用空気が、風箱に供給されるのに加えて、空気供給用の管状体における風箱の外部に位置する部分に供給されるように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−13704号公報(図1〜図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の炉加熱用燃焼装置では、バーナの風箱の外部に位置するバーナ部分が、二重管状の大径となるため、その設置スペースが大きくなる不都合があり、また、送風機からの燃焼用空気を、風箱に供給するに加えて、空気供給用の管状体における風箱の外部に位置する部分に供給するものであるために、燃焼用空気をバーナに供給する構成が複雑で、しかも、炉外部における設置スペースが大きくなる不都合があった。
つまり、炉外部の空間は、メンテナンス等を行う作業空間として利用されることになる等、種々の目的に使用されるものであり、その空間に配置する種々の機器類のコンパクト化が望まれるものとなるが、従来の炉加熱用燃焼装置は、構成が複雑であることに加えて、炉外部において大きな設置スペースを必要とするものであり、コンパクト化が望まれるものであった。
【0005】
また、このような炉加熱用燃焼装置においては、一次空気流路を通流する一次空気量と二次空気流路を通流する二次空気量との比を調整して、燃料流路から噴出されるガス燃料を十分な一次空気にて十分に一次燃焼させながら二次空気にて二次燃焼させる燃焼状態や、燃料流路から噴出されるガス燃料を少なめの一次空気にて燃焼させながら十分な二次空気にて二次燃焼させる燃焼状態とを、使用状況に応じて切換えるようにする等、燃焼炎の形成状態を調整するために、一次空気流路を通流する一次空気量と二次空気流路を通流する二次空気量との比を調整できるようにすることが望まれる。
そして、従来の炉加熱用燃焼装置において、一次空気流路を通流する一次空気量と二次空気流路を通流する二次空気量との比を調整できるようにするには、一般に、送風機から風箱に燃焼用空気を供給する流路や、送風機から空気供給用の管状体に燃焼用空気を供給する流路に、風量調整用のダンパを備えさせることになるが、このようにダンパを備えさせるようにすると、炉外部における設置スペースが一層大きくなるものであった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、一次空気流路を通流する一次空気量と二次空気流路を通流する二次空気量との比を調整できるようにしながらも、その構成の簡素化を図り、しかも、炉外部における設置スペースの減少化を図ることができる炉加熱用燃焼装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の炉加熱用燃焼装置は、炉壁に形成した火炎通過孔に連通する状態で前記炉壁に接続される風箱が、炉壁側に円筒状の筒部を備え且つ燃焼用空気供給手段から燃焼用空気が供給される状態で設けられ、
中央部にガス燃料を通流させる燃料流路を備え且つその外周部に一次空気を通流させる一次空気流路を備える二重管状に形成された長尺状のバーナが、前記風箱における前記炉壁から離間する側に位置する背壁部を貫通する状態で設けられ、
前記バーナの先端部が、その外周面と前記筒部の内周面との間に前記風箱内の空気を二次空気として通流させる二次空気流路を形成する状態で、前記筒部の内部に位置されているものであって、その第1特徴構成は、
前記バーナに備えさせる前記一次空気流路が、前記バーナの先端部に、前記風箱内の空気を後端部より取り入れて先端側に通流させる状態で設けられて、前記バーナが、その先端部を他の部分よりも大径にする状態に形成され、
前記一次空気流路を通流する一次空気量と前記二次空気流路を通流する二次空気量との比を変更調整すべく、前記バーナをその長手方向に位置調整自在に前記風箱の背壁部に対して支持するバーナ支持手段が設けられている点を特徴とする。
【0008】
すなわち、燃焼用空気供給手段から風箱に供給された燃焼用空気の一部が、風箱内に位置する一次空気流路の後端部より取り入れられて、一次空気流路を一次空気として通流することになり、また、燃焼用空気供給手段から風箱に供給された燃焼用空気の一部が、風箱内に位置するバーナの先端部の外周面と風箱における筒部の内周面との間にて形成される二次空気流路を二次空気として通流することになり、燃料流路を通して通流してその燃料流路の先端から噴出されるガス燃料が、一次空気及び二次空気と混合して燃焼することになる。
【0009】
また、風箱の背壁部に対してバーナの位置をその長手方向に調整して、一次空気流路を通流する一次空気量と前記二次空気流路を通流する二次空気量との比を変更調整することにより、燃料流路から噴出されるガス燃料を十分な一次空気にて十分に一次燃焼させながら二次空気にて二次燃焼させる燃焼状態や、燃料流路から噴出されるガス燃料を少なめの一次空気にて燃焼させながら十分な二次空気にて二次燃焼させる燃焼状態とを、使用状況に応じて切換えるようにする等、バーナの燃焼状態を切換えることができる。
【0010】
つまり、風箱の背壁部に対してバーナの位置をその長手方向に調整することにより、バーナの先端部が風箱の筒部内に挿入される量を変更させることができ、そのようにバーナ先端部の筒部内に挿入する量が変更すると、バーナの先端部の外周面と風箱における筒部の内周面との間にて形成される二次空気流路の通流抵抗が増減して、風箱内に供給された燃焼用空気が一次空気流路を通流する一次空気量と前記二次空気流路を通流する二次空気量との比が変更調整されることになる。
【0011】
そして、バーナの風箱の外方に位置する部分は、ガス燃料を通流させる燃料流路を形成するものの、一次空気流路を形成する必要がないため、小径となり、炉外部におけるバーナの設置スペースの減少化を図ることができる。
また、一次空気流路を通流する一次空気量と前記二次空気流路を通流する二次空気量との比を変更調整するものでありながらも、炉外部においては、燃焼用空気供給手段からの燃焼用空気を風箱に導く流路を設けるだけとなるため、燃焼用空気を供給する構成の簡素化、及び、燃焼用空気を供給するための構成を炉外部における設置する設置スペースの減少化を図ることができる。
【0012】
さらに、風箱の背壁部に対してバーナをその長手方向に位置調整自在に支持することは、簡素な構成で行えるものであり、また、風箱の背壁部は、外気にて冷却されるものとなるため、バーナを風箱の背壁部に支持する支持手段が、燃焼熱により加熱されて損傷することを抑制して、バーナをその長手方向に位置調整することを長期間に亘って良好に行えるものとなる。
【0013】
つまり、バーナの先端部に備えさせた一次空気流路を通流する一次空気量と、バーナ先端部の外周面と風箱における筒部の内周面との間に形成される二次空気流路を通流する二次空気量との比を調整するにあたり、風箱内に、燃焼用空気供給手段から供給される燃焼用空気を一次空気流路に導く流路及び二次空気流路に導く流路を区画形成し、そして、それら流路に対して風箱内から導かれる空気量を調整するダンパを、風箱内に装備することが考えられるが、この構成の場合は、風箱内を流路形成のために区画すること、及び、風箱内にダンパを装備することに起因して、構成が複雑化し易いものであり、また、燃焼熱によって高温化する風箱内に、ダンパを装備するため、そのダンパが燃焼熱により加熱されて損傷することに起因して、長期間に亘って良好に使用し難い虞がある。
【0014】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、一次空気流路を通流する一次空気量と二次空気流路を通流する二次空気量との比を調整できるようにしながらも、その構成の簡素化を図り、しかも、炉外部における設置スペースの減少化を図ることができ、さらには、長期間に亘って良好に使用することが可能となる炉加熱用燃焼装置を提供できる。
【0015】
本発明の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記バーナに供給するガス燃料供給量を変更調整する燃料調整手段が設けられ、
前記燃焼用空気供給手段が、燃焼用空気の供給量を変更調整自在に構成されている点を特徴とする。
【0016】
すなわち、燃料調整手段によってバーナに供給するガス燃料供給量を調整し、そして、そのガス燃料供給量の調整に合わせて、燃焼用空気供給手段から供給する燃焼用空気の供給量を変更調整することにより、供給されるガス燃料を燃焼させるのに必要な空気量を供給する状態を維持させた状態で、ガス燃料の燃焼量を変更できるものとなる。
【0017】
そして、このようにガス燃料の燃焼量を変更することに併せて、一次空気流路を通流する一次空気量と二次空気流路を通流する二次空気量との比を調整することにより、多量のガス燃料を、十分な一次空気にて十分に一次燃焼させながら二次空気にて二次燃焼させる燃焼状態と少なめの一次空気にて燃焼させながら十分な二次空気にて二次燃焼させる燃焼状態とを切換えることや、少量のガス燃料を、十分な一次空気にて十分に一次燃焼させながら二次空気にて二次燃焼させる燃焼状態と少なめの一次空気にて燃焼させながら十分な二次空気にて二次燃焼させる燃焼状態を切換える等、使用状況に応じて種々の燃焼状態に切換えることができる。
【0018】
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、燃焼量を変更させながら、種々の燃焼状態に切換えることができる炉加熱用燃焼装置を提供できる。
【0019】
本発明の第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、
前記バーナが、その全長に亘る状態で設けられて前記燃料流路を形成する燃料供給用の管状体と、その管状体の先端部を覆うように位置して、その管状体との間に前記一次空気流路を形成し且つ前記風箱の筒部との間に前記二次空気流路を形成する筒状の流路形成体と、その流路形成体の後端部と前記燃料供給用の管状体との間に配置され且つ一次空気取り入れ用の空気通流孔が形成された保炎板とを備える状態で形成されている点を特徴とする。
【0020】
すなわち、バーナが、燃料流路を形成する燃料供給用の管状体の先端部を流路形成体にて覆うようにして構成されることになる。
そして、流路形成体の後端部と前記燃料供給用の管状体との間に配置され且つ一次空気取り入れ用の空気通流孔が形成された保炎板を備えているから、ガス燃焼量が少ないときに、保炎板にて保炎しながらガス燃料を良好に燃焼させることができる。
また、ガス燃焼量が多いときには、風箱における筒部にて保炎させながら多量のガス燃料を燃焼させることができる。
このように、ガス燃焼量が多い場合と少ない場合とで保炎の形態を変更させながら、ガス燃料を燃焼させることができるので、ガス燃焼量を大きな範囲で変更させても良好に燃焼させることができる、換言すれば、ガス燃焼量を大きな範囲で変更させることができる。
【0021】
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、上記第2特徴構成による作用効果に加えて、ガス燃焼量を大きな範囲で変更させることができる炉加熱用燃焼装置を提供できる。
【0022】
本発明の第4特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成に加えて、
前記バーナがその長手方向に移動自在に嵌合する筒状のバーナ支持体が、前記風箱の背壁部に設けられ、そのバーナ支持体に対して前記バーナを位置決めする位置決め状態と位置決めを解除する解除状態とに切換え自在な位置決め体が設けられ、
前記バーナ支持手段が、前記バーナ支持体にて前記バーナをその長手方向に移動自在に支持し、かつ、前記バーナの長手方向の移動を前記位置決め体にて位置決めする手段である点を特徴とする。
【0023】
すなわち、位置決め体をバーナの位置決めを解除する解除状態に切換えて、風箱の背壁部に設けた筒状のバーナ支持体に対して、バーナをその長手方向に移動調整し、そして、位置決め体を位置決め状態にする手順にて、バーナの長手方向の位置、つまり、一次空気流路を通流する一次空気量と二次空気流路を通流する二次空気量との比を調整することができる。
ちなみに、位置決め体としては、バーナ支持体に対してその径方向に移動自在に螺合して、バーナの外面を押圧する押圧ボルトにて構成することができる。
【0024】
このように、筒状のバーナ支持体と位置決め体とを備える簡素な構成にて、バーナを長手方向に移動調整できるようにするものであるから、バーナ支持手段の簡素化により、全体構成の簡素化を図ることができる。
【0025】
また、風箱の背壁部に筒状のバーナ支持体を設けることは、既設の風箱に対しても簡単に行えるものであるため、既設の装置を改造してバーナ支持手段を設置すること、つまり、既設の装置を本願発明の装置に改造することも良好に行えるものとなる。
【0026】
要するに、本発明の第4特徴構成によれば、上記第1〜第3特徴構成による作用効果に加えて、全体構成の簡素化を図ることができ、また、既設の装置を改造して本願発明の装置に改造することも良好に行える炉加熱用の燃焼装置を提供できる。
【0027】
本発明の第5特徴構成は、上記第1〜第4徴構成のいずれかに加えて、
前記燃焼用空気供給手段から供給される燃焼用空気を炉内から排出される排気ガスにて予熱する予熱手段が設けられている点を特徴とする。
【0028】
すなわち、予熱手段によって、燃焼用空気供給手段から供給される燃焼用空気が炉内から排出される排気ガスによって予熱されているから、炉内を効率良く高温に加熱することができるものとなる。
ちなみに、このように燃焼用空気が予熱される場合には、風箱内は一層高温になるものであるが、上記の第1特徴構成にて述べた如く、風箱の背壁部は、外気にて冷却されるものとなるため、燃焼用空気を予熱する場合においても、バーナを風箱の背壁部に支持する支持手段が、燃焼熱により加熱されて損傷することを抑制して、バーナをその長手方向に位置調整することを長期間に亘って良好に行えるものとなる。
【0029】
要するに、本発明の第5特徴構成によれば、上記第1〜第4特徴構成による作用効果に加えて、炉内を効率良く高温に加熱することができる炉加熱用燃焼装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】炉加熱用燃焼装置の概略側面図
【図2】バーナ装着部の切欠き側面図
【図3】バーナ装着部の切欠き側面図
【図4】バーナ先端部の縦断側面図
【図5】バーナ先端部の縦断正面図
【図6】バーナ基端部の縦断背面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
〔実施形態〕
以下、本発明の炉加熱用燃焼装置の実施形態を図面に基づいて説明する
本実施形態の炉加熱用燃焼装置は、図1に示すように、ガラス溶解炉Gの加熱用として用いる場合を例示するものである。
すなわち、ガラス溶解炉Gが、炉本体1の内部の下方に溶解槽2を備えるように構成され、炉加熱用燃焼装置が、溶解槽2の上方の炉内空間に、横向きの火炎Fを形成する状態でガス燃料を燃焼させるように構成されている。
【0032】
炉加熱用燃焼装置は、図2にも示すように、中央部にガス燃料を通流させる燃料流路Rを備えかつその外周部に一次空気を通流させる一次空気流路A1を備える二重管状に形成された長尺状のバーナB、炉本体1における炉壁1Aに火炎通過孔3に連通する状態で炉壁に接続された風箱4、及び、その風箱4に空気流路6を通して燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給手段としての送風ファンKを備えている。
空気流路6には、送風ファンKから供給される燃焼用空気を炉内から排出される排気ガスにて予熱する予熱手段としての熱交換部Eが設けられて、燃焼用空気が例えば600℃に予熱されるように構成され、そして、炉内温度が例えば1000℃になるように構成されている。
【0033】
風箱4は、全体が横倒れ姿勢の円筒状で、かつ、炉壁1Aから離れる側に位置する背壁部4Aにて背部が閉じられる状態に形成されるものであって、燃焼用空気の流入口5が上部に形成されている。そして、炉壁側の先端部が、炉壁1Aに接続される円筒状の筒部Tとして構成されている。
【0034】
図2及び図3に示すように、バーナBが、風箱4における背壁部4Aを貫通する状態で設けられ、その先端部が、その外周面と風箱4の筒部Tの内周面との間に風箱内の空気を二次空気として通流させる二次空気流路A2を形成する状態で、筒部Tの内部に位置されている。
そして、バーナBに備えさせる一次空気流路A1が、バーナBの先端部に、風箱内の空気を後端部より取り入れて先端側に通流させる状態で設けられて、バーナBが、その先端部を他の部分よりも大径にする状態に形成されている。
【0035】
図4及び図5をも参照しながらバーナBについて説明を加えると、バーナBは、その全長に亘る状態で設けられて燃料流路Rを形成する燃料供給用の管状体7と、その管状体7の先端部を覆うように位置して、その管状体7との間に一次空気流路A1を形成し且つ風箱4の筒部Tとの間に二次空気流路A2を形成する筒状の流路形成体8と、その流路形成体8の後端部と管状体7との間に配置され且つ一次空気取り入れ用の空気通流孔Sが形成された保炎板9とを備える状態で形成されている。
【0036】
管状体7は、基端側の筒体7A、その基端側の筒体7Aの先端に外嵌着される中間の筒体7B、及び、その中間の筒体7Bに接続される先端の筒体7Cとから構成され、基端側の筒体7Aの後端部には、ガス燃料を供給するガス燃料供給管10が接続されている。
ちなみに、中間の筒体7B、先端の筒体7C、及び、保炎板9が、ノズルとして、一体的に形成され、そして、そのノズルにおける中間の筒体7Bが、基端側の筒体7Aに対して、螺合する状態で外嵌着されるように構成されている。
尚、ガス燃料供給管10は、後述の如く、バーナBがその長手方向に位置調整することを許容すべく、屈伸自在なフレキ管を用いて構成されている。
【0037】
保炎板9は、管状体7における先端の筒体7Cに外嵌着される環状の板体9Aと、その板体9Aの外周方向に沿って間隔を隔てて位置して、その板体9Aと流路形成体8とを接続する支持体9Bとから構成され、空気流通孔Sが、板体9Aと流路形成体8との間であって、隣接する支持体9Bの間に形成されている。
尚、板体9Aの内周縁部と外周縁部とに、保炎板9の焼け防止対策として、冷却のために空気を通流させる冷却孔Uが形成され、また、先端の筒体7Cにおける板体9Aの近くには、ガス燃料を一次空気流路A1に噴出する噴出孔14が周方向に間隔を隔てて複数形成されて、保炎性を向上させるようになっている。
【0038】
図1に示すように、バーナBに供給するガス燃料供給量を変更調整する燃料調整手段としての燃料調整弁Vが設けられ、又、送風ファンKが、燃焼用空気の供給量を変更調整すべく、その回転速度を変更調整自在に構成されている。
燃料調整弁V及び送風ファンKの作動を制御する制御手段Hが、燃焼量設定器Wにて設定される燃焼量に基づいて、設定された燃焼量に対応する量の燃料をバーナBに供給し、設定された燃焼量に対応する量の燃焼用空気を風箱4に供給すべく、燃料調整弁Vの開度調整及び送風ファンKの速度調整を行うように構成されている。
【0039】
図2、図3及び図6に示すように、一次空気流路A1を通流する一次空気量と二次空気流路A2を通流する二次空気量との比を変更調整すべく、バーナBをその長手方向に位置調整自在に風箱4の背壁部4Aに対して支持するバーナ支持手段Dが設けられている。
説明を加えると、バーナBがその長手方向に移動自在に嵌合する筒状のバーナ支持体12が、その外部に付設した環状の板部12Aを背壁部4Aにボルトによって固定する状態で、風箱4の背壁部4Aに設けられ、そのバーナ支持体12に対してバーナを位置決めする位置決め状態と位置決めを解除する解除状態とに切換え自在な位置決め体として、バーナ支持体に対してその径方向に移動自在に螺合して、バーナの外面を押圧する押圧ボルト13が設けられている。
そして、バーナ支持手段Dが、バーナ支持体12にてバーナBをその長手方向に移動自在に支持し、かつ、バーナBの長手方向の移動を押圧ボルト13にて位置決めする手段として構成されている。
【0040】
尚、例示はしないが、バーナBにおける管状体7の外面には、その長手方向に間隔を隔てて目盛りが付記されており、この目盛りを目安として、バーナ支持体12に対するバーナBの長手方向の位置を確認することにより、バーナBの先端部の風箱4の筒部Tに対する挿入量を認識できるように構成されている。
【0041】
ちなみに、図2に示すように、本実施形態においては、風箱4における筒部Tの内径Pが200mmで、バーナBの先端部の外径、つまり流路形成体8の外径Qが略190mmで、流路形成体8の長さMが略110mmで、管状体7における先端の筒体7Cの内径Nが80mmで、筒部Tの長さLが略200mmに形成される場合を例示するが、各部の寸法は種々変更できるものである。
但し、流路形成体8の外径Qの筒部Tの内径Pに対する比(Q/P)は、0.8〜0.95に設定することが望ましく、また、流路形成体8の長さMは、筒部Tの内径Pに対して、その1/2〜3/4の範囲の長さに設定することが望ましいものである。
【0042】
また、本実施形態においては、ガス燃料の流量が50〜100Nm3/Hの範囲で調整され、それに合わせて、燃焼用空気の流量が略600〜1200Nm3/Hの範囲で調整され、そして、バーナBの長手方向での位置調整によって、図2に示すように、バーナBの先端部の全体を筒部Tの内部に挿入させる状態と、図3に示すように、バーナBの先端部の長さMの半分を筒部Tの内部に挿入させる状態との間の範囲において、バーナBの先端部を筒部Tの内部に挿入させる長さを変更するようになっている。
【0043】
以上述べた炉加熱用燃焼装置の運転方法の一例について、以下説明する。
ガス燃料の供給量が少ない、つまりガス燃料の流量が少ないときには、図2に示すように、バーナBの先端部の全体を筒部Tの内部に挿入させる状態にして、2次空気流路A2を通して燃焼用空気が流れ難いようにして、一次空気流路A1を通して燃焼用空気を十分に流動させるようにしながら、保炎板9にて保炎しながらガス燃料を燃焼させることができる。
【0044】
また、ガス燃料の供給量が多い、つまりガス燃料の流量が多いときには、図3に示すように、バーナBの先端部の長さMの半分を筒部Tの内部に挿入させる状態にして、2次空気流路A2を通して燃焼用空気が流れ易いようにして、2次空気流路A2を通して燃焼用空気を十分に流動させるようにしながら、風箱4の筒部Tにて保炎しながらガス燃料を燃焼させることができる。
ちなみに、この運転方法においては、ガス燃料の供給量の多少により火炎Fの長さは長短に変化するものの、ガス燃料の供給量の多少に拘わらず、火炎Fの先端側の温度を高温化できるものとなる。
【0045】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ)上記実施形態においては、本発明の炉加熱用燃焼装置をガラス溶解炉Gに適用した場合を例示したが、本発明の炉加熱用燃焼装置は鍛造炉等の各種の加熱炉に適用できるものである。
【0046】
(ロ)上記実施形態においては、バーナBがその長手方向に移動自在に嵌合する筒状のバーナ支持体12と位置決め体13とからバーナ支持手段Dが構成される場合を例示したが、バーナ支持手段Dの具体構成は各種変更できる。
【0047】
(ハ)上記実施形態においては、バーナBの長手方向での位置調整によって、バーナBの先端部の全体を筒部Tの内部に挿入させる状態と、バーナBの先端部の長さMの半分を筒部Tの内部に挿入させる状態との間の範囲において、バーナBの先端部を筒部Tの内部に挿入させる長さを変更する場合を例示したが、例えば、バーナBの先端部の全体を筒部Tの内部に挿入させる状態と、バーナBの先端部における先端部分のみを筒部Tの内部に挿入させる状態との間の範囲において、バーナBの先端部を筒部Tの内部に挿入させる長さを変更するようにする等、バーナBの長手方向での位置調整によって、バーナBの先端部を筒部Tの内部に挿入する長さを変更する範囲は、使用目的に応じて各種変更できる。
【0048】
(二)上記実施形態においては、火炎通過孔3が炉内方側大径となる状態に形成される場合を例示したが、直円筒状に形成する等、火炎通過孔3の形状は各種変更できる。また、上記実施形態においては、火炎通過孔3が炉壁1Aに形成される場合を例示したが、一般には、火炎通過孔3を形成するバーナタイルを炉壁1Aに備えさせることになる。
【0049】
(ホ)上記実施形態においては、炉本体1に対して、1つのバーナBが配設される場合を例示したが、一般には、炉本体1に対して複数のバーナBを配設するものである。
そして、複数のバーナBを配設した場合において、複数のバーナBの燃焼量は、必ずしも同じになるように調整する必要はなく、異なる燃焼量にて燃焼するように調整してもよい。
【0050】
(へ)上記実施形態においては、板体9Aと支持板9Bとから保炎板9を構成する場合を例示したが、外周部の切欠きあるいは孔の形成により空気流通孔Sが形成された1枚の板状体にて保炎板9を構成する等、保炎板9の具体構成は各種変更できる。
【符号の説明】
【0051】
1A 炉壁
3 火炎通過孔
4 風箱
4A 背壁部
7 管状体
8 流路形成体
9 保炎板
12 バーナ支持体
13 位置決め体
A1 一次空気流路
A2 二次空気流路
B バーナ
D バーナ支持手段
K 燃焼用空気供給手段
R 燃料流路
S 空気流通孔
T 筒部
V 燃料調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉壁に形成した火炎通過孔に連通する状態で前記炉壁に接続される風箱が、炉壁側に円筒状の筒部を備え且つ燃焼用空気供給手段から燃焼用空気が供給される状態で設けられ、
中央部にガス燃料を通流させる燃料流路を備え且つその外周部に一次空気を通流させる一次空気流路を備える二重管状に形成された長尺状のバーナが、前記風箱における前記炉壁から離間する側に位置する背壁部を貫通する状態で設けられ、
前記バーナの先端部が、その外周面と前記筒部の内周面との間に前記風箱内の空気を二次空気として通流させる二次空気流路を形成する状態で、前記筒部の内部に位置されている炉加熱用燃焼装置であって、
前記バーナに備えさせる前記一次空気流路が、前記バーナの先端部に、前記風箱内の空気を後端部より取り入れて先端側に通流させる状態で設けられて、前記バーナが、その先端部を他の部分よりも大径にする状態に形成され、
前記一次空気流路を通流する一次空気量と前記二次空気流路を通流する二次空気量との比を変更調整すべく、前記バーナをその長手方向に位置調整自在に前記風箱の背壁部に対して支持するバーナ支持手段が設けられている炉加熱用燃焼装置。
【請求項2】
前記バーナに供給するガス燃料供給量を変更調整する燃料調整手段が設けられ、
前記燃焼用空気供給手段が、燃焼用空気の供給量を変更調整自在に構成されている請求項1記載の炉加熱用燃焼装置。
【請求項3】
前記バーナが、その全長に亘る状態で設けられて前記燃料流路を形成する燃料供給用の管状体と、その管状体の先端部を覆うように位置して、その管状体との間に前記一次空気流路を形成し且つ前記風箱の筒部との間に前記二次空気流路を形成する筒状の流路形成体と、その流路形成体の後端部と前記燃料供給用の管状体との間に配置され且つ一次空気取り入れ用の空気通流孔が形成された保炎板とを備える状態で形成されている請求項2に記載の炉加熱用燃焼装置。
【請求項4】
前記バーナがその長手方向に移動自在に嵌合する筒状のバーナ支持体が、前記風箱の背壁部に設けられ、そのバーナ支持体に対して前記バーナを位置決めする位置決め状態と位置決めを解除する解除状態とに切換え自在な位置決め体が設けられ、
前記バーナ支持手段が、前記バーナ支持体にて前記バーナをその長手方向に移動自在に支持し、かつ、前記バーナの長手方向の移動を前記位置決め体にて位置決めする手段である請求項1〜3のいずれか1項に記載の炉加熱用燃焼装置。
【請求項5】
前記燃焼用空気供給手段から供給される燃焼用空気を炉内から排出される排気ガスにて予熱する予熱手段が設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の炉加熱用燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−27271(P2011−27271A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170339(P2009−170339)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】