説明

炊飯器

【課題】炊飯器において、表示手段の限られた表示面積を有効に活用することが出来、一般的なメニューだけでなく、特定の地域だけで好まれる地域特有の調理メニューや地域でよく流通している米種を反映したメニューを搭載ることが出来るので、より地域に密着した様々なニーズに対応した炊飯器を実現することができる。
【解決手段】炊飯器本体1と、炊飯器本体の内部に収納され米と水を入れる鍋2と、鍋の上部開口部を開閉自在に覆う外蓋5と、鍋を加熱する加熱手段3と、表示手段27と、操作手段22と、操作手段内には使用する地域を設定する地域設定手段24とを備え、地域設定手段による設定状態に応じてメニューを切り替えるよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用する地域を設定できる炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、商品として流通している米は日本産米をはじめとする短粒米が殆どであり、炊飯器の多くはこの短粒米を対象としている。ところが米の自由化により海外からの輸入米が国内に入って来るようになり、一般家庭でも外国産米を食する機会も出てきている。そこで、単一種の外国産米や複数種の外国産米のブレンド米、あるいは日本米に外国産米をブレンドした米の炊飯を良好に行うことができる炊飯器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、外国産米選択スイッチにより外国産米の種類を選択するとともに、各種炊飯メニュー選択スイッチにより炊飯メニューを選択する操作により、外国産米の種類に応じたおいしいご飯が炊けるとともに、外国産米の種類に応じた各種の炊き方(例えば、早炊き、炊き込み、おこわ、お粥等)ができるようなものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−327号公報
【特許文献2】特開平7−265199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の構成では、炊飯器に搭載されるメニューは、日本国内を含めて様々な地域を想定して最大公約数的に多くなる。例えば炊飯メニューの場合、搭載メニューの中から炊飯しようとしている米の種類を選択し、選択された米の種類に応じた最適な炊飯シーケンスで炊飯する。炊飯器に搭載されるメニューは使用される地域をごとに替えるのではなく、ほぼ一律的に同一メニューが搭載されていた。なぜなら、メニューを表示する表示部のスペース的な制限があり、搭載メニューの上限は決まってくる。その結果、特定の地域でよく使用されるメニューについては採用しにくく、地域特有の調理メニューを個別に反映しにくいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記目的を達成するために、炊飯器本体と、前記炊飯器本体の内部に収納され米と水を入れる鍋と、前記鍋の上部開口部を開閉自在に覆う外蓋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、表示手段と、操作手段と、前記操作手段内には使用する地域を設定する地域設定手段とを備え、前記地域設定手段による設定状態に応じてメニューを切り替えるよう構成したものである。
【0006】
これにより、限られた表示面積を有効に活用することが出来、一般的なメニューだけでなく、特定の地域だけで好まれる地域特有の調理メニューや地域でよく流通している米種を反映したメニューを搭載ることが出来るので、より地域に密着した様々なニーズに対応した炊飯器を提供することが出来る。
【発明の効果】
【0007】
本発明の炊飯器は、表示手段の限られた表示面積を有効に活用することが出来、一般的なメニューだけでなく、特定の地域だけで好まれる地域特有の調理メニューや地域でよく流通している米種を反映したメニューを搭載ることが出来るので、より地域に密着した様
々なニーズに対応した炊飯器を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における炊飯器の断面図
【図3】本発明の実施の形態1における表示手段を示す図
【図4】本発明の実施の形態1における表示手段を示す図
【図5】本発明の実施の形態1における表示手段を示す図
【図6】本発明の実施の形態1における表示手段を示す図
【図7】本発明の実施の形態2における炊飯器のブロック図
【図8】本発明の実施の形態3における表示手段を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明は、炊飯器本体と、前記炊飯器本体の内部に収納され米と水を入れる鍋と、前記鍋の上部開口部を開閉自在に覆う外蓋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、表示手段と、操作手段と、前記操作手段内には使用する地域を設定する地域設定手段とを備え、前記地域設定手段による設定状態に応じてメニューを切り替えるよう構成したものであり、
限られた表示面積を有効に活用することが出来、一般的なメニューだけでなく、特定の地域だけで好まれる地域特有の調理メニューや地域でよく流通している米種を反映したメニューを搭載ることが出来るので、より地域に密着した様々なニーズに対応した炊飯器を提供することが出来る。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、地域設定手段は、操作手段内に設けた複数のスイッチ操作の組み合わせで構成したものであり、前記地域設定手段は、前記操作手段内に設けた複数のスイッチ操作の組み合わせで構成している為、従来から設けられている操作スイッチに加えて、新たに地域設定手段として操作スイッチを設ける必要が無く、スイッチの追加に伴う新規投資の必要が無い。その結果、一般的なメニューだけでなく、特定の地域だけで好まれる地域特有の調理メニューや地域でよく流通している米種を炊飯するのに最適なメニューを搭載した魅力的な機能を有する炊飯器を、安価に提供することが出来る。
【0011】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、地域設定手段により設定された設定状態を表示手段に表示する機能を有する構成としたものであり、現在の地域設定手段による設定状態を容易に認識することが出来、使用者が操作を誤って意図しないのに設定地域を変更した場合でも、そのことに容易に気づくことが出来る。その結果、使用者が地域設定機能を積極的に活用することができ、多様なメニューをさらに体感することが出来る機能を有した炊飯器を提供することが出来る。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における炊飯器のブロック図を示し、図2は、同炊飯器の断面図を示すものである。
【0013】
図2に示すように、炊飯器本体1は、内部に米と水を入れる鍋2を着脱自在に収納し、この鍋2はステンレス、鉄などの磁性体によって形成している。鍋2の上部開口部を外蓋5で開閉自在に覆っている。加熱コイル(加熱手段)3は、鍋2の底面外側に配設し、高周波電源から供給される高周波電流により交番磁界を発生し、この交番磁界で鍋2を誘導加熱している。加熱コイル3の巻線方向に対して、その巻線方向がほぼ直交するように、高透磁性の磁性材料で形成したフェライト(図示せず)を加熱コイル3の外側近傍に配置している。フェライトは、加熱コイル3による磁界が炊飯器本体の外部へ漏れるのを防止するとともに、鍋2への誘導加熱を促進する。
【0014】
ここで鍋2への加熱方法が誘導加熱による場合について述べているが、鍋2への加熱方法がシーズヒータによるものであっても本発明の効果については何ら変わることは無い。
【0015】
鍋温度センサ6は鍋2の温度を検知するもので、サーミスタで構成し、その抵抗値により鍋2の温度を検知している、制御基板7は、図1に示す制御手段11と電力供給手段12とを有し、制御手段11は、鍋温度センサ6の出力と、炊飯開始スイッチ21からの入力信号と、メニュー選択手段4からの入力信号と地域設定手段24からの入力信号とを入力している。地域設定手段24からの入力信号により、炊飯器の使用地域を設定するように構成している。また、制御基板7は、電力供給手段12を構成する高周波電源と加熱コイル3との間に設けたIGBT等の半導体パワー素子のスイッチングにより、加熱コイル3へ高周波電流を供給し、スイッチング周波数によって供給電力を制御できるようにし、加熱コイル3の加熱量を制御して鍋2を加熱し、鍋2内の米と水を炊飯するよう構成している。
【0016】
ここで鍋2への加熱方法が誘導加熱による場合について述べているが、鍋2への加熱方法がシーズヒータによるものであっても本発明の効果については何ら変わることは無い。その場合、制御手段11と電力供給手段12は、シーズヒータとの間に設けたリレー等のスイッチングによりヒータを通電させて鍋2を加熱し、鍋2内の米と水を炊飯するよう構成する。
【0017】
表示手段27は、使用者がメニュー選択手段4により選択したメニューの選択状態を表示するもので、LCD28および、表示エリア29を有し、このLCD28に少なくとも2つ以上ある炊飯メニューの中から選択した炊飯メニューを表示し、表示エリア29には選択可能なメニューを表示するようにしている。
【0018】
また、ブザーで構成した報知手段(図示せず)を備え、操作部22において炊飯開始スイッチ21を受け付けた時や、炊飯終了時に鳴動するようにしている。
【0019】
上記構成においては、LCD28と表示エリア29を用いて表示手段27を構成した場合について記載しているが、メニュー名を文字で直接LCD28に表示し、表示エリア29にはメニュー名を記載しないか、もしくは選択可能なメニューの一部を表示する構成としても良い。
【0020】
上記構成において動作、作用を説明する。使用者が地域設定手段24により使用地域を設定すると、制御手段11にあらかじめ記憶されているメニューパターンを呼び出し、そのメニューパターンのメニューのみが選択可能となる。LCD28には、少なくとも制御手段11にあらかじめ記憶されているメニューパターンの数以上の、メニューを表示する為の表示キャラクタが設けられており、地域設定手段による設定内容に応じて呼び出されるメニューパターンに対応した表示キャラクタが、表示される。図3に全メニューの表示キャラクタの表示例を、図4に地域Aを設定した場合の表示例を、図5に地域Bを設定した場合の表示例を示す。メニュー名をLCD28に表示する構成とした場合の、全メニュー点灯時の表示例を図6に示す。
【0021】
例えば、図4において、地域設定手段24により地域Aを設定した場合、あらかじめ制御手段11に記憶されているメニューパターンを呼び出し、メニュー選択手段4によりメニュ−A1、メニュ−B1、メニュ−C1、メニュ−D1、メニュ−E1、メニュ−F1、メニュ−G1、メニュ−H1が選択可能となる。そしてメニュー選択時には、選択メニューに対応した表示キャラクタがLCD28に表示される。そしてLCD28の表示キャラクタの位置に対応する表示エリア29の場所にメニュー名を表示し、選択メニューを表
現している。
【0022】
次に、図5において、地域設定手段24により、地域Bを設定した場合、あらかじめ制御手段11に記憶されているメニューパターンを呼び出し、メニュー選択手段4によりメニュ−A1、メニュ−B1、メニュ−C2、メニュ−D2、メニュ−E1、メニュ−F2、メニュ−G2、メニュ−H1が選択可能となる。そして、メニュー選択時には、選択メニューに対応した表示キャラクタがLCD28に表示される。そしてLCD28の表示キャラクタの位置に対応する表示エリア29の場所にメニュー名を表示し、選択メニューを表現している。
【0023】
このように、あらかじめ搭載したいメニューを制御手段に記憶させるとともに、地域選択手段による設定パターンを制御手段に記憶させておけば、地域選択手段の設定のみで、限られた表示面積を有効に活用することが出来、搭載メニューの異なる炊飯器を何種類も実現することが出来る。そうすることにより、一般的なメニューだけでなく、特定の地域だけで好まれる地域特有の調理メニューや地域でよく流通している米種を炊飯するのに最適なメニューも搭載ることが出来るので、より地域に密着した様々なニーズに対応した炊飯器を提供することが出来る。
【0024】
加えて、表示エリアのみを調整するだけで、LCD、マイコンを地域により変更する必要がないので、1種類の基板で、複数の地域向けの炊飯器を実現することが出来る。その結果、新規投資を大幅に抑えることが出来る上に、炊飯器を生産する時の管理部品も減少することが出来るので、炊飯器開発、炊飯器生産に関わるコストを大幅に抑えることが出来る。その結果、炊飯器の単価を下げることが出来るので、お客様に安価に炊飯器を提供することが出来る。
【0025】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2における炊飯器のブロック図を示すものである。地域設定手段は、操作手段内に設けた複数のスイッチ操作の組み合わせで構成したものであり、他の構成は上記実施の形態1と同じである。
【0026】
一例として、上記地域設定手段24を、操作スイッチA、操作スイッチB、操作スイッチCを組み合わせたスイッチ操作で構成する場合について動作、作用を説明する。
【0027】
使用者が操作スイッチA、操作スイッチB、操作スイッチCを組み合わせたスイッチ操作により、使用地域を設定すると、制御手段11にあらかじめ記憶されているメニューパターンを呼び出し、そのメニューパターンのメニューのみが選択可能となる。LCD28には、少なくとも制御手段11にあらかじめ記憶されているメニューパターンの数以上の、メニューを表示する為の表示キャラクタが設けられており、操作スイッチA、操作スイッチB、操作スイッチCを組み合わせたスイッチ操作による設定内容に応じて、呼び出されるメニューパターンに対応した表示キャラクタが表示される。
【0028】
上記の形態においては、地域設定手段24を3つの操作スイッチを組み合わせたスイッチ操作で構成しているが、操作スイッチの個数を3つ以外で構成しても良い。
【0029】
本実施の形態では、地域設定手段は、操作手段内に設けた複数のスイッチ操作の組み合わせで構成している為、従来から設けられている操作スイッチに加えて、新たに地域設定手段として操作スイッチを設ける必要が無い。その為、スイッチの追加に伴う新規投資の必要が無い。すなわち一般的なメニューだけでなく、特定の地域だけで好まれる地域特有の調理メニューや地域でよく流通している米種を炊飯するのに最適なメニューを搭載した魅力的な機能を有する炊飯器を、安価に提供することが出来る。
【0030】
(実施の形態3)
使用者が地域設定手段24により使用地域を設定すると、LCD28に設定された地域を表示する。図8は、本発明の実施の形態3における表示手段の表示例を示すものである。
【0031】
一例として、地域設定手段24により地域Aを設定し、メニュー選択手段4によりメニュ−A1を選択する場合の動作について説明する。地域設定手段24により地域Aを設定した場合、あらかじめ制御手段11に記憶されているメニューパターンを呼び出し、メニュー選択手段4によりメニュ−A1、メニュ−B1、メニュ−C1、メニュ−D1、メニュ−E1、メニュ−F1、メニュ−G1、メニュ−H1が選択可能となる。そしてメニュー選択手段4によりメニューA1を選択した場合には、図8のように、選択地域および選択メニューを表示手段27に表示する。
【0032】
本実施の形態では、地域設定手段により設定された設定状態を表示手段に表示する構成としているため、現在の地域設定手段による設定状態を容易に認識することが出来る。従って、使用者が操作を誤って意図しないのに設定地域を変更した場合でも、そのことに容易に気づくことが出来る。
【0033】
このような背景から、使用者が積極的に設定地域の変更を行ってもクレームには結びつかず、地域設定機能を積極的に活用することができる。すなわち、多様なメニューをさらに体感することが出来る機能を有した炊飯器を提供することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、表示手段の限られた表示面積を有効に活用することが出来、一般的なメニューだけでなく、特定の地域だけで好まれる地域特有の調理メニューや地域でよく流通している米種を反映したメニューを搭載ることが出来るので、より地域に密着した様々なニーズに対応した炊飯器として有用である。
【符号の説明】
【0035】
1 炊飯器本体
2 鍋
3 加熱コイル
4 メニュー選択手段
5 外蓋
6 鍋温度センサ
11 制御基板
12 電力供給手段
21 炊飯開始スイッチ
22 操作部
24 地域設定手段
27 表示手段
28 LCD
29 表示エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体と、前記炊飯器本体の内部に収納され米と水を入れる鍋と、前記鍋の上部開口部を開閉自在に覆う外蓋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、表示手段と、操作手段と、前記操作手段内には使用する地域を設定する地域設定手段とを備え、前記地域設定手段による設定状態に応じてメニューを切り替える機能を有する炊飯器。
【請求項2】
前記地域設定手段は、前記操作手段内に設けた複数のスイッチ操作の組み合わせで構成した請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記地域設定手段により設定された設定状態を前記表示手段に表示する機能を有する請求項1または2に記載の炊飯器。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−19605(P2011−19605A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165644(P2009−165644)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】