説明

炊飯器

【課題】部品の位置調整が不要で生産性が良い。
【解決手段】本体1の上部を覆う外蓋3を備え、外蓋3には、平面部15cと支持部15bと鉤状部15aとを有したフックレバー15を設け、本体1には、外蓋3が閉じたときに鉤状部15aを係止するフック受け部17と、平面部15cと当接して押されて動くケンチレバー32と、スイッチ34と、ケンチレバー32を支持するレバー軸10aと、ケンチレバー32を付勢するレバーバネ38とを設け、片側に平面部15cに当接するケンチレバー先部32dと、対向端側にスイッチ34のアクチュエータ34aを押すスイッチ押込部32aと、略中央部に鉤状部15a側に開口してレバー軸10aによって保持される略U字のU溝32cとを備え、レバー軸10aからケンチレバー32のU溝32cが脱落しない方向にレバーバネ38によって付勢することを特徴とする炊飯器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外蓋を閉じて保持するロック構造(フックレバーの鉤状部とフック受け部)を備えた圧力式炊飯器に係るもので、外蓋がロックされたことを検知し、中途半端な半ロック状態を防止するものである。
【背景技術】
【0002】
圧力式炊飯器においては、例えば外蓋のロック状態が半ロックの状態で炊飯が行われた場合、炊飯中に内釜内部に圧力が加わったことで外蓋が勢い良く開き、さらに、内釜内部の熱水やお米が内釜の外に飛散して危険な状態になる。
【0003】
この危険な状態を未然に防ぐために外蓋のロック状態を検出する技術が知られている。
【0004】
特許文献1(図3、図4、図5)に記載されたものは、蓋体に設けられた係合手段が、本体に設けられた被係合手段に係合している係合状態を検知するための係合検知手段とを有し、係合手段のラッチ爪部が被係合手段の固定部に十分深く侵入した時は、被係合手段に設けた発光素子と受光素子の間で光を遮ることで完全なロック状態を検知し、反対に光が遮られていない時は半ロック状態を検知することができるものである。また、被係合手段にマイクロスイッチを設け、該マイクロスイッチが押された時と、押されない時とで係合状態を検知するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本体後部の軸で蓋体と本体を枢止し、前側で係止部を被係止部に係止する構造で、係止部が被係止部に確実に係止を完了させるには、蓋体の構成部品の寸法のバラツキ、操作性、組立性を考慮して寸法に尤度をとって作られているものである。
【0007】
そのため上記した従来技術において、特許文献1に記載されたものは、スイッチの操作ストロークを確保しつつ、半ロックを起さないように、係止部、検知部材、スイッチなどの位置関係を精密に調整する工程が必要となり生産性が悪いという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため、本発明では、本体内と該本体の上部を覆う外蓋とを備え、該外蓋には、平面部と該平面部の一端側に回転自在に支持された支持部と該支持部の対向側に前記平面部の先端部を曲げた鉤状部とを有したフックレバーを設け、前記本体には、前記外蓋が閉じたときに前記鉤状部を係止するフック受け部と、前記平面部と当接して前記平面部の動きに押されて動くケンチレバーと、該ケンチレバーの動きに合わせて動作するスイッチと、前記ケンチレバーを支持するレバー軸と、前記ケンチレバーを付勢するレバーバネとを設け、前記ケンチレバーは、片側に前記鉤状部を避けて前記平面部に当接するケンチレバー先部と、対向端側に前記スイッチのアクチュエータを押すスイッチ押込部と、略中央部に前記鉤状部側に開口して前記レバー軸によって保持される略U字のU溝とを備え、前記レバー軸から前記ケンチレバーの前記U溝が脱落しない方向に前記レバーバネによって付勢するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スイッチの操作ストロークを確保し確実に半ロックを検出できる。
【0010】
また、スイッチの操作ストロークを確保しスイッチなどの位置関係の調整が不要で生産性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施例の炊飯器の縦断面図である。
【図2】同炊飯器の外観説明図である。
【図3】同外蓋の内蓋側を説明する構造図である。
【図4】図3のA部をP矢方向から見た主要拡大断面図である
【図5】一実施例の外蓋の上内部を説明する構造図である。
【図6】同フックレバーの斜視図である。(a)前面側(b)後面側
【図7】同炊飯器の外蓋を取外した本体の説明図である。
【図8】同炊飯器の下部の本体を取外した説明図である。
【図9】図7のB部をQ矢方向から見た主要拡大図である。
【図10】図7のB部をR矢方向から見た主要拡大図である。
【図11】一実施例の上枠の斜視図である。
【図12】図11のC部をS矢方向から見た主要拡大図である。
【図13】一実施例のボタン部クミの前側斜視図である。
【図14】同ボタン部クミの後側斜視図である。
【図15】一実施例のケンチレバーの前側斜視図である。
【図16】同制御のブロック図である。
【図17】一実施例のケンチレバーの、外蓋が開き状態の動作説明図である。
【図18】同ケンチレバーの、外蓋が閉じる過程の動作説明図である。
【図19】同ケンチレバーの、外蓋が閉じた状態の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について図1から図19に従って説明する。
【0013】
図1において、炊飯器の本体1は、内側に上面が開口した保護枠12が設けられ、保護枠12内には内釜2が着脱自在に収納されている。保護枠12は、底の中心に後述の鍋底温度センサー20を取付ける穴の開いた有底の耐熱樹脂製の容器を用いたり、または側面に略筒状の真空容器を用いて断熱性を向上するものである。
【0014】
内釜2は、上面が開口した有底筒状であり、その上端部は本体1から着脱操作がしやすいように外向きに略水平に折り曲げられ、本体1の上面の上枠23に載置されている。
【0015】
保護枠12の外側底部には内釜2の底面部を誘導加熱する加熱手段4が設けられ、保護枠12と本体1との間の後面側空間部には制御部5が配置され、該制御部5の働きによって加熱手段4を制御する。
【0016】
外蓋3は、外蓋3の内面を構成する蓋内面部材3a(図3)と外蓋3の側面外観を構成する蓋外面部材3b(図2)と外蓋3の上面外観を構成する蓋外面部材カバー3c(図2)で構成されている。操作部39が外蓋3の上面の蓋外面部材カバー3cに設けられている。蓋内面部材3aには、内釜2の上面開口部を覆う内蓋6が外しつまみ6a(図3)により簡単に取外せるように着脱自在に取付けられ、内蓋6の下面周縁部に取付けられたシールパッキン7を内釜2の上端全周に当接して内釜2と内蓋6とで構成される空間を密閉状態に保持している。
【0017】
内蓋6の略中央部には内釜2と内蓋6とで構成される前記密閉空間に連通する調圧弁8が設けられており、調圧弁8を閉じると、該内釜2内を所定の圧力(本実施例では1.3気圧)に調整しながら蒸気を外蓋3に設けられた蒸気通路9を経て該外蓋3に着脱自在に取付けた蒸気口キャップ18を経て、排気口18aより本体1の外に排出する。調圧弁8を開くと、該内釜2内と外気とは排気口18a(図2)を経て連通状態となり内釜2内には圧力が加わらない。
【0018】
また、本体1にはヒンジ部21を設け、蓋内面部材3aの一方には、外蓋3を本体1と開閉自在に軸支する回転軸22が設けられ、回転軸22と対向する側には本体1に設けたフック受け部17(図9)と係止して外蓋3を開かないようにする略コ字状のフックレバー15がフック軸16を支点として回転自在に軸支されている。
【0019】
回転軸22には外蓋3が開いて止まる動作を緩やかにするダンパ22aを備えて、緩やかに止めて操作性を高めている。
【0020】
本体1の前面には外蓋3を開く時に押す操作ボタン10を備える。操作ボタン10は上枠23の下部に備え、下端にスイッチ34を備えたボタン部クミ30を構成する。外蓋3の開閉に関する構造については後述する。
【0021】
蒸気口キャップ18と調圧弁8との間の蒸気通路9には、調圧弁8の近傍に位置するように蒸気温度センサー19が設けられている。
【0022】
制御部5には、図16に示すように前記した蒸気温度センサー19と、内釜2の底部の温度を検出する釜底温度センサー20と、操作部39と後述するスイッチ34と、加熱手段4と、調圧弁8の調圧動作を行わせる調圧制御手段11と冷却ファン40が接続されている。
【0023】
操作部39とスイッチ34と蒸気温度センサー19と釜底温度センサー20からの情報により冷却ファン40と加熱手段4の動作と、調圧弁8を閉じたり開放したりする調圧動作で、内釜2内に圧力が加わらない状態とを切替制御している。
【0024】
蒸気口キャップ18は、外蓋3に蒸気通路9と連なるように上面から着脱自在に取付けられている。
【0025】
該蒸気口キャップ18は、蒸気通路9から排出される蒸気の温度を下げるように蒸気口キャップ18の内部には蒸気通路9から流入した蒸気を排気口18aまで導く長い風路が設けられている。
【0026】
図3、図4に示すように、外蓋3の蓋内面部材3aの下側に、フック受け部17と係止するフックレバー15である左右2個の鉤状部15aを出して備えている。
【0027】
図5、図6(a)(b)に示すように、フックレバー15は、回転自在に支持するため左右側面にフック軸16に通す穴15fを設けた支持部15bを備え、フック軸16を挟んで一端に鉤状部15a、平面部15cを備え、他端に当たり部15eとバネ受部15dを設けている。
【0028】
鉤状部15aは、フック受け部17(図9)に係止して、外蓋3を閉じた状態に保持する部分である。
【0029】
蓋内面部材3aの上側は図5に示すように、フック軸16にはフックバネ16aを通してバネ保持部3dに一端を固定して、もう一端をフックレバー15のバネ受部15dに当てて、フックレバー15をK矢方向に付勢している。
【0030】
更に、平面部15cは、ボタン部クミ30に備えて、操作ボタン10の操作により動作する後述のリリースレバー33(図13)のリリースレバー先部33d(図9,図13)が前側(W矢方向(図13))に押し出す部分である。また、後述のケンチレバー32のケンチレバー先部32dを押し込む部分である。
【0031】
当たり部15eについて説明する。調圧制御手段11は、ソレノイドなどからなる電気部品で、制御部5の指示で出力軸を直線状に移動させるものである。その動作は、図5に示すように、調圧制御手段11の外周を取り囲んで前側で一体となる連結枠材11aが、調圧制御手段11の前後動作と直結して連動するように固定されている。連結枠材11aの前側は、バネ11cにより、回転移動部材11bが後側(G矢方向)の方向へ付勢されている。調圧制御手段11が動作しない状態では、回転移動部材11bが連結枠材11aの側にあり、フックレバー15がフック軸16を支点に当たり部15eがJ矢方向に回動しても当たり部15eの下側には回転移動部材11bはないので当たることは無く、外蓋3は開くことができる。
【0032】
反対に、調圧制御手段11が動作した状態では、調圧制御手段11により連結枠材11aが前側に移動して、回転移動部材11bが前側に移動して当たり部15eの下側に回転移動部材11bが潜り込んでいる。そのため、フックレバー15がフック軸16を支点に当たり部15eがJ矢方向に回動しようとすると、当たり部15eは回転移動部材11bに当たるので、外蓋3は開かなくなる。
【0033】
次に、図7から図14を用いて本体1に備えるボタン部クミ30について説明する。図8に示すように、上枠23に操作ボタン10を外に突出して取付けられボタン部クミ30の下端にスイッチ34が備えられている。
【0034】
図7、図9、図10に示すように、上枠23の上面で、フック受け部17を構成する部分にはレバー収納部31が設けられている。レバー収納部31には、フック受け部17の上側に斜面31aが設けられて、鉤状部15aが滑ってフック受け部17に係止する構造としている。フック受け部17は鋼板による強度の確保を行っている。
【0035】
また、レバー収納部31のフック受け部17の内側には、ケンチレバー先部32dとリリースレバー先部33dをレバー収納部31の前側のフック受け部17より上部で、水平方向に突出させている。
【0036】
ここで、図11、図12に示すように、上枠23には、ケンチレバー32とリリースレバー33のケンチレバー先部32dとリリースレバー先部33aを通す異形穴23bと、ボタン部クミ30の支え部35bの固定穴35aを固定するボス23aとを備える。
【0037】
図13、図14によって、ボタン部クミ30について説明する。ボタンベース35は略コの字状で、左右に設けた側面35gに前記ボス23aに固定する固定穴35aを設けた支え部35bを備える。
【0038】
前側にはボタンバネ37(図1)で操作ボタン10をV矢方向と反対方向に付勢し、ボタンベース35の前面35fの下部には、操作ボタン10の押込部10bが後面35hに貫通している。
【0039】
ボタンベース35の左右の側面35gにレバー軸10aを貫通している。リリースレバー33の左右両側の腕部33bにレバー軸10aを貫通して枢止している。そのリリースレバー33の上部前側に板バネ36を係止させ、板バネ36の受け部36aを前記の操作ボタン10の押込部10bが押す構造で、板バネ36の動作により伝達部33aによって、上部の左右に設けたリリースレバー先部33dを動かすものである。
【0040】
操作ボタン10をV矢の方向に押すと、前記した構造により、押込部10bにより受け部36aがWV矢方向に動き、伝達部33aを経てリリースレバー先部33dがW矢方向に動くものである。
【0041】
このリリースレバー先部33dによって、フックレバー15の平面部15cが前方(W矢方向)に押し出されて、鉤状部15aがフック受け部17から外れて、外蓋3が開くものである。
【0042】
次に、ケンチレバー32について図15を加えて説明する。ケンチレバー32は上部の左右2箇所にケンチレバー先部32dを備え、中程にレバー軸10aに嵌り着脱自在のU溝32cを備え、下端にはボタンベース35の下端に設けたスイッチ34を操作するスイッチ押込部32aを備える。
【0043】
U溝32cは、レバー軸10aの直径Rに対して、直径Rよりも幅の広い間口Fの直線状部分32eと、その間口Fを直径とするR状部分32fからなる。
【0044】
そして、レバー軸10aに引っ掛けたケンチレバー32のU溝32cの上部で背面32bにレバーバネ38(図17)を備えリリースレバー33に対して反発して、レバーバネ38によってケンチレバー先部32dはW矢方向に付勢されている。そのため、外蓋3が開いている状態では、ケンチレバー先部32dは、図9に示すようにレバー収納部31の前方向に突出している。
【0045】
スイッチ押込部32aは図17に示すようにスイッチ34のアクチュエータ34aを押し込むように設けている。
【0046】
次に、図17から図19を用いて、フックレバー15とケンチレバー32とスイッチ34の動作について説明する。
【0047】
図17は外蓋3が開き状態のケンチレバー32の動作説明図である。
【0048】
ケンチレバー32は、レバー軸10aにU溝32cのR状部分32fが接して、レバーバネ38によりH矢方向に押されている。ケンチレバー先部32dはレバー収納部31の前側から突出し、スイッチ34のアクチュエータ34aに対して、スイッチ押込部32aは押し込まない状態で保たれている。
【0049】
そして、外蓋3が回転軸22を支点にして閉じてくると、フックレバー15の鉤状部15aがレバー収納部31の斜面31aに当たる。次に鉤状部15aで斜面31aをL矢方向に滑り、更に外蓋3を閉じると、やがて、鉤状部15aが斜面31aを滑り終わりフック受け部17に係止する。このときに、フック軸16を支点に、鉤状部15aはY矢方向に移動する。
【0050】
次に、図18は外蓋が閉じる過程のケンチレバー32の動作説明図である。
【0051】
図17で説明したように、フックレバー15の鉤状部15aがフック受け部17に係止すると、ケンチレバー32のケンチレバー先部32dは、フックレバー15の平面部15cでZ矢方向へ押し込まれる。
【0052】
すると、ケンチレバー32は、レバー軸10aにU溝32cのR状部分32fが接して、レバーバネ38によりH矢方向に押されているが、レバーバネ38よりも上方のケンチレバー先部32dをZ矢方向に押し込まれたので、レバー軸10aはU溝32cのR状部分32fに接してM矢方向に回転運動をする。そのため、U溝32cより下部にあるスイッチ押込部32aはスイッチ34のアクチュエータ34aをZ矢方向と反対方向へ押す。これにより、スイッチ34はONして、制御部5に伝えられる。
【0053】
最後に、図19は、外蓋が閉じた状態のケンチレバーの動作説明図である。図18に示した外蓋3が閉じる過程に続いて完全に閉じる状態について説明する。
【0054】
ケンチレバー先部32dがフックレバー15の平面部15cでZ矢方向に押し込まれてスイッチ34のアクチュエータ34aをスイッチ押込部32aで押している。そのスイッチ34のアクチュエータ34aの押しストロークを最大に押し切って尚更に、ケンチレバー先部32dがフックレバー15の平面部15cで押し込むと、ケンチレバー32はN矢方向に動く。すると、レバー軸10aにU溝32cのR状部分32fに接触して支点となっていた状態から、レバー軸10aからR状部分32fが外れ、直線状部分32eで枢止する。そのため、レバー軸10aに対して、ケンチレバー32が逃げて可動範囲が広がる。そして、スイッチ34のアクチュエータ34aとスイッチ押込部32aの接触点が支点となる。そのため、スイッチ34はONとなった後に、平面部15cでケンチレバー先部32dをレバー収納部31に押し込むことができる。
【0055】
本実施は以上の構成よりなり、次にその動作を説明する。
【0056】
使用者が内釜2に適量の米と水を入れ、保護枠12に挿入し、外蓋3を閉めると、外蓋3は回転軸22によって回転し、フックレバー15はフック軸16を支点に回転動作してフックレバー15の鉤状部15aがフック受け部17を乗り越え、該フック受け部17に係止して外蓋3が閉まる。
【0057】
この状態で外蓋3を開ける場合は、内釜2と内蓋6とで構成される空間は外気と連通しているので圧力は掛かっておらず、圧力による外蓋3を上方に押し上げようとする力が無いため、フックレバー15の鉤状部15aとフック受け部17との係止力は弱い。図13と図14に示すように使用者が外蓋3を開けようと軽い力で操作ボタン10をV矢方向に押し込み操作をすると、操作ボタン10の押込部10bがWV矢方向に動いた力に対して、板バネ36は少ない変形量を維持したまま、操作ボタン10に加わった力をリリースレバー33に伝え、リリースレバー33のリリースレバー先部33dはフックレバー15の平面部15cを前側(W矢方向)に押す。これによって、フックレバー15は、フック軸16を中心に回転し、フックレバー15の鉤状部15aとフック受け部17との係止を解除して外蓋3が開かれる。
【0058】
そして、平面部15cによりレバー収納部31に押し込められていたケンチレバー先部32dがレバー収納部31より突出し、同時に、レバー軸10aに枢止するU溝32cを支点としてスイッチ押込部32aが回動して、スイッチ34のアクチュエータ34aを開放してスイッチ34がOFFになる。スイッチ34がOFFになったことが制御部5に伝えられる。
【0059】
再び外蓋3を閉め、使用者が炊飯を行うために操作部39の炊飯開始ボタン(図示せず)を操作すると、制御部5の働きによって炊飯が開始する。
【0060】
外蓋3を閉めたときに、フックレバー15が、レバー収納部31より突出しているケンチレバー先部32dを押し込み、レバー軸10aに枢止するU溝32cを支点としてスイッチ押込部32aが回動して、スイッチ34のアクチュエータ34aを押す。更にスイッチ34のアクチュエータ34aの押し切った後も、フックレバー15が、レバー収納部31より突出しているケンチレバー先部32dを押し込むため、レバー軸10aにU溝32cのR状部分32fから外れて、直線状部分32eで枢止して、レバー軸10aに対して、ケンチレバー32が逃げて可動範囲が広がり、更に、スイッチ34のアクチュエータ34aを押し込もうとする動きを続ける。そのため、スイッチ34のアクチュエータ34aの動きとケンチレバー32の各部の寸法関係に尤度を持たせることができる。
【0061】
そして、スイッチ34がONすることで、外蓋3が完全に閉じたことを制御部5は検知することが、スイッチ34がOFFの状態(外蓋3が開放されている。もしくは半ロック状態)では、炊飯に移行しないようにしている。
【0062】
予め定められた炊飯動作に従い、最初にお米への吸水を促進させる浸し工程が実施される。釜底温度センサー20の所定温度(本実施例では60℃)に応じて加熱手段4が内釜2を加熱(本実施例では400W)し、内釜2内部の水温を55〜60℃に維持してお米への吸水を促進する。
【0063】
所定時間(本実施例では15分)が経過すると、制御部5は加熱手段4の加熱量を増大(本実施例では1000W)させるとともに、調圧制御手段11が動作して調圧弁8で内釜2内の圧力を調整するように動作する。
【0064】
やがて内釜2内部の水温が高まると蒸気の発生によって内釜2内部の圧力が高まり、調圧弁8の動作圧である1.3気圧まで高まると、1.3気圧に応じた107℃の沸点で沸騰を開始するとともに、調圧弁8の動作で放出された蒸気が蒸気通路9へと放出される。
【0065】
蒸気通路9には調圧弁8の近傍に蒸気温度センサー19が設けられているので、蒸気によって加熱された蒸気温度センサー19の温度上昇により、蒸気の流入を検出し、制御部5は一定温度以上になることで沸騰を認識する。
【0066】
制御部5は加熱手段4の加熱量を低下(本実施例では500W)させるが、この加熱量は調圧弁8の動作圧である1.3気圧を維持し、この気圧の沸点である107℃での沸騰を継続、または断続的に継続させる。
【0067】
この間、圧力が加わった状態では、外蓋3は100kg程度の力で上方に押し上げられ、フックレバー15の鉤状部15aとフック受け部17は強固に係合し、荷重による摩擦力によって容易に外れることはない。
【0068】
この状態で使用者が誤って外蓋3を開けようとして、操作ボタン10を操作すると、フックレバー15は軽微な力で容易に回転できる状態ではないので、リリースレバー33も前方向に動くことはできず、板バネ36が変形して、操作ボタン10の操作力を吸収する。
【0069】
更に、操作ボタン10を強く押し込むと、押し込む力に比例して板バネ36は横側に変形し、操作ボタン10はリリースレバー33の伝達部33aの後側に曲がり込む。しかし、このときリリースレバー33には変形した形状が元に戻ろうとする復元力が働き、該復元力以上は操作ボタン10の押し込み力がリリースレバー33には伝わることはない。
【0070】
これによって使用者が操作ボタン10を押しても外蓋3が開かず、安全が確保される。
一方、炊飯の途中で炊飯を中止するために切操作をした場合には、制御部5は加熱手段4への電力の通電を停止して加熱を止め、調圧制御手段11の動作を止め、調圧弁8を開放させる。
【0071】
これによって内釜2内の蒸気は、調圧弁8が開放されると蒸気通路9と蒸気口キャップ18内の風路を通って排気口18aから放出される。しかし、蒸気が放出されるまでの経路が長いため経路抵抗が生じ、一瞬に内釜2内の圧力が外気と同じ圧力になることはなく、短時間ではあるが、弱い圧力が内釜2内に残り、時間の経過とともに大気圧と同じ圧力に戻る。
【0072】
しかし、この弱い圧力が内釜2内に残っている状態で、外蓋3を開ける操作を行っても、板バネ36が変形して元に戻る復元力を、フックレバー15の鉤状部15aとフック受け部17との係止している摩擦力以下に設定することで、フックレバー15の鉤状部15aとフック受け部17の係止が外れることはない。
【0073】
以上説明したように、本実施例によれば、スイッチ34の操作ストロークを確保し確実に半ロックを検出できる。
【0074】
また、スイッチ34の操作ストロークを確保しフックレバー15の鉤状部15a、ケンチレバー32、スイッチ34などの位置関係の調整が不要で生産性が良い。
【符号の説明】
【0075】
1 本体
2 内釜
3 外蓋
4 加熱手段
5 制御部
6 内蓋
8 調圧弁
9 蒸気通路
10 操作ボタン
10a レバー軸
11 調圧制御手段
13 連結バネ
14 ボタンレバー
15 フックレバー
15a 鉤状部
15b 支持部
15c 平面部
17 フック受け部
21 ヒンジ部
23 上枠
32 ケンチレバー
32b 背面
32c U溝
32d ケンチレバー先部
32e 直線状部分
32f R状部分
34 スイッチ
35 ボタンベース
38 レバーバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内と該本体の上部を覆う外蓋とを備え、該外蓋には、平面部と該平面部の一端側に回転自在に支持された支持部と該支持部の対向側に前記平面部の先端部を曲げた鉤状部とを有したフックレバーを設け、前記本体には、前記外蓋が閉じたときに前記鉤状部を係止するフック受け部と、前記平面部と当接して前記平面部の動きに押されて動くケンチレバーと、該ケンチレバーの動きに合わせて動作するスイッチと、前記ケンチレバーを支持するレバー軸と、前記ケンチレバーを付勢するレバーバネとを設け、前記ケンチレバーは、片側に前記鉤状部を避けて前記平面部に当接するケンチレバー先部と、対向端側に前記スイッチのアクチュエータを押すスイッチ押込部と、略中央部に前記鉤状部側に開口して前記レバー軸によって保持される略U字のU溝とを備え、前記レバー軸から前記ケンチレバーの前記U溝が脱落しない方向に前記レバーバネによって付勢することを特徴とする炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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