説明

炊飯器

【課題】本発明は、清掃性を良くする構造を備えた炊飯器を提供するものである。
【解決手段】本体1内に着脱自在に収納される内釜2を備え、該内釜2を加熱する加熱手段4を備え、該加熱手段4を制御する制御部5を備え、前記本体1の上部を覆う外蓋3を備え、前記外蓋3には前記内釜2の上面開口部を覆う内蓋6と、前記内釜2内で発生する蒸気を外部に排出する蒸気通路9と、該蒸気通路9と着脱可能に接続され前記蒸気を外部に排出する排気キャップ10とを設け、前記外蓋3と前記排気キャップ10との各面が対向する位置に、前記外蓋3には傾斜部100aを有した傾斜リブ100と、前記排気キャップ10には排気凸部10aとを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃性を良くする構造を備えた炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の炊飯器として特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載されたものは、内釜内の圧力を調圧弁にて調整し、圧力弁から排出された蒸気を排出するために、外蓋に設けられた蒸気通路を経て外蓋に着脱自在に取り付けられた蒸気回収ユニット(排気キャップ)に導かれて排出するものである。
【0004】
蒸気回収ユニットは、デザインや外蓋上面の清掃性から、外蓋と蒸気回収ユニットの上面は凸凹が無くフラットに仕上げられている。
【0005】
そのため、清掃のため蒸気回収ユニットを外す時は、蒸気回収ユニットのヒンジ側(後ろ側)に手を掛けて持ち上げることで蒸気回収ユニットを持ち上げ蒸気通路より容易に取り外していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−246657号公報(特に図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
外蓋内に収納される部品の構成などの変更により、蒸気回収ユニットと蒸気通路との接続部を、蒸気回収ユニットを外す時に手を掛ける位置と対向した方に寄せると、蒸気回収ユニットを持ち上げた時、蒸気回収ユニットの面と対抗する外蓋の面とが当たり、蒸気通路との接続部が外れ難くなり、蒸気回収ユニットを外すのに力を必要とする課題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本体内に着脱自在に収納される内釜を備え、該内釜を加熱する加熱手段を備え、該加熱手段を制御する制御部を備え、前記本体の上部を覆う外蓋を備え、前記外蓋には前記内釜の上面開口部を覆う内蓋と、前記内釜内で発生する蒸気を外部に排出する蒸気通路と、該蒸気通路と着脱可能に接続され前記蒸気を外部に排出する排気キャップとを設け、前記外蓋と前記排気キャップとの各面が対向する位置に、前記外蓋には傾斜部を有した傾斜リブと、前記排気キャップには排気凸部とを備えたものである。
【0009】
また、前記排気キャップは、前記傾斜リブを収納する排気凹部を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、蒸気回収ユニットの着脱性が大幅に改善され使い勝手が向上した。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施例の炊飯器の縦断面図である。
【図2】一実施例の拡大図である。
【図3】同蒸気回収ユニットの内部を示す斜視図である。
【図4】同蒸気回収ユニットの内部を示す縦断斜視図である。
【図5】同蒸気回収ユニットの下ケースに、上ケースから垂下する第一枠と第二枠を重ねた斜視図である。
【図6】同制御回路図である。
【図7】同炊飯時の動作状態を示す動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施例について添付図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
図において、炊飯器の本体1は、内側に上面が開口した保護枠14が設けられ、保護枠14内には内釜2が着脱自在に収納されている。
【0014】
内釜2は、上面が開口した有底筒状であり、その上端部は本体1から着脱操作がしやすいように外向きに略水平に折り曲げられ、本体1の上面に載置されている。
【0015】
保護枠14の外側底部には内釜2の底面部を誘導加熱する加熱手段4が設けられ、保護枠14と本体1との間の前面側空間部には制御部5が配置され、該制御部5の働きによって加熱手段4を制御する。
【0016】
外蓋3には内釜2の上面開口部を覆う内蓋6が取り付けられ、該内蓋6の下面周縁部に取り付けられたパッキン7を内釜2の上端全周に当接して内釜2と内蓋6とで構成される空間を密閉状態に保持している。
【0017】
内蓋6の略中央部には調圧弁8が設けられており、加熱手段4によって内釜2が加熱され、該内釜2内の蒸気圧が高まると調圧弁8が動作し、内釜2内を所定の圧力(本実施例では1.3気圧)に調整しながら蒸気を排出する。調圧弁8から排出された蒸気は外蓋3に設けられた蒸気通路9を経て該外蓋3に着脱自在に取り付けた排気キャップ10へ導かれ排出される。
【0018】
排気キャップ10と調圧弁8との間の蒸気通路9には、調圧弁8の近傍に位置するように蒸気温度センサー11が設けられている。
【0019】
排気キャップ10の手を掛ける位置の略中心と、排気キャップ10と蒸気通路9との接続部の略中心を結んだ線上の外蓋3側には、外蓋3の上面からつながる傾斜部100aを有した傾斜リブ100を設け、対向する排気キャップ10側には、前記傾斜部100aと対向した位置に排気キャップ10の上面と同一面を設けた排気凸部10aと傾斜リブ100を収納する排気凹部10bを備えている。該排気凹部10bは、前記排気凸部10aを設けたことで形成されるものと、新たに設けて形成しても良い。
【0020】
傾斜リブ100は、排気凹部10b内に収まるので、外蓋3と排気キャップ10との隙間は大きくする必要はない。
【0021】
制御部5には、図6に示すように前記した蒸気温度センサー11と、内釜2の底部の温度を検出する釜底温度センサー12と、加熱手段4と、調圧弁8の調圧動作を行わせる調圧弁制御部13が接続されており、蒸気温度センサー11と釜底温度センサー12からの情報により加熱手段4と、調圧弁8を閉じる調圧動作と調圧弁8が開放して内釜2内に圧力が加わらない状態とを切替制御している。
【0022】
次に排気キャップ10について図3、図4及び図5を参照して説明する。
【0023】
排気キャップ10は、外蓋3に蒸気通路9と連なるように上面から着脱自在に取り付けられている。
【0024】
該排気キャップ10は、略四角形の上ケース10−1と下ケース10−2とで構成され、上ケース10−1と下ケース10−2の一側を軸支し、対向する側をロックボタン10−3にて開閉自在に結合し、上ケース10−1の周縁部にユニットパッキン10−4を設けて中の蒸気が漏れないようになっている。
【0025】
下ケース10−2の略中央部には蒸気通路9に連なる無底、有天の筒10−5が設けられ、該筒10−5の上部側面の一部に蒸気通路9から排出される蒸気が流入する流入口10−6が設けられている。
【0026】
上ケース10−1には筒10−5を適宜隙間を保持して囲うように略四角形の第一枠10−7が一体的に設けられ、該第一枠10−7の開口端を上ケース10−1と下ケース10−2を結合させた状態で下ケース10−2の平坦部に近接させている。そして、第一枠10−7の開口端には流入口10−6の向きと反対側に位置するように第一切欠部10−8を設けている。尚、第一枠10−7の開口端を上ケース10−1と下ケース10−2を結合させた状態で下ケース10−2の平坦部に近接させるのは、熱膨張により上ケース10−1と下ケース10−2が閉まらなくなる等の問題を考慮したものである。
【0027】
第一枠10−7の外側の上ケース10−1には、略四角形の第一枠10−7と同一高さの第二枠10−9が一体的に設けられており、その開口端には第一枠10−7と略同一位置に第二切欠部10−10が設けられている。
【0028】
下ケース10−2には上ケース10−1と下ケース10−2を結合させた状態で第一枠10−7と第二枠10−9の間に位置するようにU字枠10−11が設けられており、該U字枠10−11は、第一切欠部10−8、第二切欠部10−10と反対側が開口している。
【0029】
上ケース10−1の第二枠10−9と周縁部との間には、上ケース10−1と下ケース10−2との間の空間部と外気と連通する穴10−12が設けられている。
【0030】
また、下ケース10−2には、筒10−5とU字枠10−11との間に位置するように水戻し穴10−13が設けられており、排気キャップ10内に結露した水を蒸気通路9に戻すようにしている。
【0031】
次に炊飯器の動作について図7を参照して説明する。
【0032】
使用者が内釜2に適量の米と水を入れ、操作部の炊飯開始ボタン(図示せず)を操作すると制御部5の働きによって炊飯が開始する。
【0033】
予め定められた炊飯動作に従い、最初にお米への吸水を促進させる浸し工程が実施される。釜底温度センサー12の所定温度(本実施例では60℃)に応じて加熱手段4が内釜2を加熱(本実施例では400W)して、内釜2内部の水温が55〜60℃に維持し、お米への吸水を促進する。
【0034】
所定時間(本実施例では15分)が経過すると、加熱工程に入り、制御部5は加熱手段4の加熱量を増大(本実施例では1000W)させるとともに、調圧弁制御部13が動作して調圧弁8で内釜2内の圧力を調整するように動作する。
【0035】
やがて内釜2内部の水温が高まると蒸気の発生によって内釜2内部の圧力が高まり、調圧弁8の動作圧である1.3気圧まで高まると、1.3気圧に応じた107℃の沸点で沸騰を開始するとともに、調圧弁8の動作で放出された蒸気が蒸気通路9へと放出される。蒸気通路9には調圧弁8の近傍に蒸気温度センサー11が設けられているので、蒸気によって加熱された蒸気温度センサー11の温度上昇により、蒸気の流入を検出し、制御部5は一定温度以上になることで沸騰を認識する。
【0036】
制御部5は加熱手段4の加熱量を低下(本実施例では500W)させるが、この加熱量は調圧弁8の動作圧である1.3気圧を維持し、この気圧の沸点である107℃での沸騰を継続、または断続的に継続させるように設定されており、沸騰することにより調圧弁8からは蒸気が蒸気通路9内に流入する。
【0037】
この蒸気の量であるが、調圧弁8のない非圧力式炊飯器のように1気圧での沸点100℃を維持するために、大きな電力を投入し続ける必要はない。「米」が「ごはん」になるにはβ澱粉をα澱粉にする必要があり、これには98℃以上を20分保つ必要がある。非圧力式炊飯器では内釜の隅々まで98℃以上を維持するためには、大きな電力を投入し続けて、激しい沸騰を継続させないと対流の悪い部位が98℃まで上がらない。従って多量の蒸気が発生する。
【0038】
これに対して、本実施例では1.3気圧により107℃を維持しており、仮に103℃の部位が存在しても98℃以上を維持するのに問題はなく、微小な沸騰状態を維持して温度を保てばよく、このため調圧弁8から蒸気通路9内に流入する蒸気は微量である。
【0039】
この微量の蒸気は、沸騰を維持して水がなくなり、内釜2底部の温度が上がったことを釜底温度センサー12で捉え(ドライアップ)、蒸らし工程に制御部5が移行させるまでの間続く。この間少しずつ流入する蒸気は、蒸気通路9を経て排気キャップ10へと進む。
【0040】
蒸らし工程でも温度を保つために制御部5は加熱手段4で微加熱を行うが、この間は炊飯開始15分後に調圧弁制御部13が動作してから連続して調圧弁8での圧力調整が有効な状態にある。一度でも調圧弁制御部13で調圧動作が無効になる状態にしてしまうと、内釜2内部の圧力が低下し、蒸気が一気に流出し、排気キャップ10で蒸気を回収しきれず、外気に蒸気を放出してしまうからである。
【0041】
蒸らし工程の後半になると、制御部5は微加熱を禁止し、内釜2内部の圧力が大気圧に戻るのに十分な時間(例えば5分)経過してから、調圧弁制御部13により調圧弁8を無効な状態にする。これにより大気と通じた状態となるが、内釜2内部の圧力が大気圧まで低下しているため、蒸気が勢い良く流出することはない。この後、制御部5は蒸らし(炊飯)を終了する。
【0042】
次に排気キャップ10の内部での蒸気の流れと回収について説明する。
【0043】
内釜2から調圧弁8を通して蒸気通路9に流入した蒸気は、筒10−5に設けられた流入口10−6から排気キャップ10内の第一枠10−7に囲まれた空間に流入する。第一枠10−7は上ケース10−1から垂れ下がるように設けられており、蒸気は空気より軽いので第一枠10−7の上部空間に滞留し、上ケース10−1や第一枠10−7に結露する。蒸気量が多くなると第一枠10−7の空間下方まで蒸気が充満して、第一切欠部10−8から流出する。
【0044】
次に、この蒸気は第一枠10−7とU字枠10−11で囲われた空間へと導かれ、第一切欠部10−8と反対側に設けられたU字枠10−11の開口部へとU字枠10−11の内側に沿って流れる。そして、U字枠10−11と第二枠10−9で囲われた空間に蒸気が充満し、U字枠10−11の外側に沿って流れ、第二切欠部10−10まで蒸気が充満すると、第二切欠部10−10から第二枠10−9と上ケース10−1、下ケース10−2の外周で囲われた空間に流れる。
【0045】
最後に、第二切欠部10−10と反対側に設けられた穴10−12へと流れて外気に放出される。
【0046】
蒸気の発生は微量になるように加熱手段4の加熱が調整されているので、ほとんどの蒸気は回収され、穴10−12から出る蒸気は微量で、目に見えないほど温度も低下している。
【0047】
蒸気回収ニット10内に結露した水は、水戻し穴10−13から蒸気通路9に戻される。この戻された水は詳記しないが、保温時等に内釜2内に戻して加湿することができる。
【0048】
尚、上記した本実施例では、排気キャップ10略四角形としたが、円形でも楕円でもよい。また、上ケース10−1に第一枠10−7と第二枠10−10を2つ設けたが、さらに多く設けると効果的である。
【0049】
炊飯を実施した後は、洗浄のため内釜2、内蓋6、排気キャップ10を外す。次に、排気キャップ10を外す時の動作について図1と図2を参照に説明する。
【0050】
排気キャップ10を外す時は、排気キャップ10の後部のB部を手で持ってP方向に起すように持ち上げると、排気キャップ10が傾斜し、排気凸部10aが外蓋3に備える傾斜リブ100の傾斜部100aに乗り上げ、更に、排気キャップ10をP方向に起す事で、排気凸部10aが支点となって排気キャップ10が起き上がり蒸気通路9との接続が外れる。
【0051】
排気凸部10aが外蓋3に備える傾斜リブ100の傾斜部100aに乗り上げて支点となるので、常に一定方向に安定して蒸気通路9との接続が外れるので接続部が壊れることは無い。また、梃子の原理を利用して接続部が外れるので外すのが容易である。
【0052】
以上説明したように、本実施例によれば、蒸気回収ユニットの着脱性が大幅に改善され使い勝手が向上した。
【符号の説明】
【0053】
1 本体
2 内釜
3 外蓋
4 加熱手段
5 制御部
6 内蓋
8 調圧弁
9 蒸気通路
10 蒸気回収ユニット
10a 排気凸部
10b 排気凹部
11 蒸気温度センサー
13 調圧弁制御部
100 傾斜リブ
100a 傾斜部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内に着脱自在に収納される内釜を備え、該内釜を加熱する加熱手段を備え、該加熱手段を制御する制御部を備え、前記本体の上部を覆う外蓋を備え、前記外蓋には前記内釜の上面開口部を覆う内蓋と、前記内釜内で発生する蒸気を外部に排出する蒸気通路と、該蒸気通路と着脱可能に接続され前記蒸気を外部に排出する排気キャップとを設け、前記外蓋と前記排気キャップとの各面が対向する位置に、前記外蓋には傾斜部を有した傾斜リブと、前記排気キャップには排気凸部とを備えたことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記排気キャップは、前記傾斜リブを収納する排気凹部を備えたことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−22333(P2013−22333A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161548(P2011−161548)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】