説明

炊飯器

【課題】加熱ムラや加熱効率を改善できる炊飯器を得る。
【解決手段】上方に膨出した容器突出部4aを略中央に有し、この容器突出部4aの周囲に収容部が形成された加熱容器4と、加熱容器4の容器突出部4aの下面側に嵌合可能なケース突出部2aを有し、加熱容器4を収容する容器ケース2と、容器ケース2の外周部の底部に設けられ、加熱容器4の底部を誘導加熱する底部加熱コイル31と、ケース突出部2aの内部に設けられ、容器突出部4aを誘導加熱する内部加熱コイル32と、加熱容器4の上面開口を開閉自在に覆う内蓋5とを備え、内部加熱コイル32は、最小炊飯量に相当する米を加熱容器4に入れて略水平に均した際の上面位置(最小米位置41)よりも高い位置に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
炊飯器は、本体内部に設けた加熱コイルや伝熱ヒーター等の加熱手段によって、加熱容器を加熱し、加熱容器内部の米と水とを加熱する機能を有する。加熱手段から加熱容器へと伝えるエネルギーは、少なくとも、炊飯開始前の水と米とを100度(沸騰温度)に加熱するための顕熱と、炊飯後の米が適正な食感を持つのに必要な水分量を超える余分な水分を蒸発させるための潜熱との合計のエネルギーが必要である。
【0003】
そして、炊飯時間を短縮するには、加熱手段に入力する電力エネルギーを大きくするだけでなく、加熱容器の熱を効率よく水と米へと伝達する必要がある。炊飯工程初期には、加熱容器に水と米が入っているが、米が底部に沈んでいるため、対流による熱伝達が起こりにくい。このため、炊飯工程初期においては、米全体をムラなく急速に加熱するのが難しい。また、炊飯工程末期には、加熱容器の水は蒸発してなくなり、加熱容器内には吸水し膨潤した飯のみとなるが、加熱容器と接する近傍の飯は入熱によって糊化が進むとともに乾燥も進むのに対し、加熱容器との接触部から離れたところ(特に空気と触れる上面部分)は入熱が少なく、かつ、蒸気放散は大きいため、飯が硬くなりやすい。このように、加熱容器内の位置によって、飯の硬さや水分含有率にムラが生じやすい。
【0004】
そこで、従来、「電熱ヒーターを取付けた加熱板の中央上面に突起部を一体に突設し、内鍋の底部中央に情報に絞り出した膨出部を形成し、その内鍋を前記加熱板に載置した状態において内鍋の膨出部に加熱板の突起部を嵌合」した炊飯器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来の他の炊飯器として、「炊飯器本体に着脱自在に収納される内釜の内底部に凸部を設け、内釜を加熱する加熱コイルは、凸部を加熱する凸部加熱コイルと外周部を加熱する外周部加熱コイルで構成」したものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、他にも、「外釜の外周部の底部に配設され、内釜の底部を誘導加熱する底面コイルと、外釜の外周部の側面部に配設され、内釜の側面部を誘導加熱する側面コイルと、内蓋と対向する外蓋内に配設され、内蓋を誘導加熱する上面コイル」を備えた炊飯器が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平4−32625号公報(第3頁、第4頁、図面)
【特許文献2】特開2001−161549号公報(第2頁、第3頁、図1)
【特許文献3】特許第3409282号公報(第2頁、第3頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の炊飯器は、加熱容器の内側に突出部を設け、この突出部の内側の本体に熱源から伝熱される突起部を設けて、飯を均等に加熱しようとするものである。しかしながら、熱源であるヒーター部は加熱容器の底面側に設けられていて、この熱源からの伝熱によって突出部が加熱され、さらにこの突出部を介して加熱容器を加熱するものである。このため、加熱容器の突出部近傍は、底面よりも温度が低くなり、温度ムラの抑制が不十分であるという課題がある。
【0007】
また、特許文献2に記載の炊飯器は、凸部加熱コイルと外周部加熱コイルとを交互または同時に駆動して対流を促進するものである。しかしながら、特許文献2には、凸部加熱コイルによる加熱部位と、加熱容器内の米や水との位置関係については記載がない。凸部加熱コイルによる加熱部位によっては、加熱ムラや加熱効率の改善が不十分となる場合があり、この点の改善が望まれていた。
【0008】
また、特許文献3に記載の炊飯器は、加熱容器の底面、外側面、及び内蓋に熱源となる加熱コイルを設け、これら3箇所から加熱することで、加熱ムラの解消と内蓋への露付き防止を図っている。しかしながら、加熱容器の外側面や内蓋に加熱コイルを配置するためにコイル線の引き回しが複雑となり、また、加熱コイルが熱損失によって高温になった場合の周辺部品の保護のために断熱性を考慮する必要があるため、炊飯器の本体全体が大型化する課題がある。
【0009】
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、加熱ムラや加熱効率を改善できる炊飯器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る炊飯器は、上方に膨出した容器突出部を略中央に有し、この容器突出部の周囲に収容部が形成された加熱容器と、前記加熱容器の前記容器突出部の下面側に嵌合可能なケース突出部を有し、前記加熱容器を収容する容器ケースと、前記容器ケースの外周部の底部に設けられ、前記加熱容器の底部を誘導加熱する底部加熱コイルと、前記ケース突出部の内部に設けられ、前記容器突出部を誘導加熱する内部加熱コイルと、前記加熱容器の上面開口を開閉自在に覆う内蓋とを備え、前記内部加熱コイルは、最小炊飯量に相当する米を前記加熱容器に入れて略水平に均した際の上面位置よりも高い位置に設けられているものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、加熱容器内において熱抵抗の少ない水のみの領域を内部加熱コイルにより効率的に加熱することができ、この水の熱によって米の上層部分の領域が加熱される。このため、米の上層部分と下層部分との温度差を低減でき、加熱ムラや加熱効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1に係る炊飯器の内部構成を側面から見た状態を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る炊飯器の内部加熱コイルと熱移動を説明する図である。
【図3】実施の形態1に係る内部加熱コイルの構成を説明する図である。
【図4】実施の形態2に係る炊飯器の内部構成を側面から見た状態を示す図である。
【図5】実施の形態3に係る炊飯器の内部構成を側面から見た状態を示す図である。
【図6】実施の形態3に係るケース突出部内の加熱コイル近傍の構成を説明する図である。
【図7】実施の形態4に係る炊飯器の内部構成を側面から見た状態を示す図である。
【図8】実施の形態5に係る炊飯器の内部構成を側面から見た状態を示す図である。
【図9】実施の形態6に係る炊飯器の内部構成を側面から見た状態を示す図である。
【図10】実施の形態7に係る炊飯器の内部構成を側面から見た状態を示す図である。
【図11】実施の形態8に係る炊飯器の加熱制御を説明する図である。
【図12】実施の形態8に係る炊飯器の加熱制御の他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る炊飯器を、家庭用IH式炊飯器に適用した場合を例に図面を参照して説明する。なお、この図面の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る炊飯器の内部構成を側面から見た状態を示す図である。炊飯器は、本体1と、本体1の上面開口を開閉自在に覆う蓋10を備え、本体1には、蓋10が開いた状態で本体1に対して着脱可能な加熱容器4が収納される。
【0015】
蓋10の下面には、加熱容器4の上面開口を覆う内蓋5が着脱可能に取り付けられている。内蓋5の周縁部には、加熱容器4の上端部外周に形成されたフランジ部4cとの密閉性を確保するためのシール材として蓋パッキン(図示せず)が取り付けられている。蓋10を閉じると、内蓋5によって加熱容器4の上部開口部が略密閉される。
【0016】
蓋10の内部には、炊飯中に加熱容器4内で発生する蒸気を外部へと排出するための蒸気の通路として蒸気排出路50が形成されており、内蓋5には蒸気排出路50への蒸気の入口として蒸気回収口51が設けられ、蓋10の上面には蒸気排出路50からの蒸気の出口として蒸気排出口52が設けられている。加熱容器4内で発生した蒸気は、内蓋5の蒸気回収口51から蒸気排出路50へと流入し、蓋10に設けられた蒸気排出口52から外部へと排出される。なお、図1に例示する蒸気排出路50及びこの周辺部位は、概念的に記載したものであって、その具体的構成を特に限定するものではない。例えば、内蓋5の上面側において蓋10の外郭内部を区画して蒸気排出路50を形成してもよいし、内部に蒸気排出路50が形成された容器状部材を蓋10に着脱可能に設け、この容器状部材内の蒸気排出路50と蒸気回収口51及び蒸気排出口52を連通させてもよく、任意の具体的構成を採用することができる。
【0017】
加熱容器4の底板の略中央部は、上方に向かって隆起しており、この部分を容器突出部4aと称する。本実施の形態1では、容器突出部4aの頂部4dは、ほぼ水平の円形状に構成されている。加熱容器4の内部には、周壁4bと容器突出部4aとの間にほぼ環状の収容空間(収容部)が形成され、この収容空間に米と水が入れられる。また、加熱容器4の周壁4bには、ユーザーが炊飯時に水を入れる際に水量の目安とするための水位目盛が設けられている。ここで、加熱容器4に設けられた水位目盛のうち、最大炊飯量に対応するものを、最大水位目盛42と称する。
【0018】
本体1の内部には、耐熱性を有する合成樹脂材料で構成され、加熱容器4を収容する容器ケース2が内装されている。容器ケース2の内面形状は、加熱容器4の外面形状にほぼ沿うように形成されており、容器ケース2の略中央部分には、上方に向かって隆起したケース突出部2aが設けられている。ケース突出部2aは、加熱容器4の容器突出部4aの底面側に形成される空間に挿入可能である。加熱容器4を容器ケース2内に収納すると、ケース突出部2aは容器突出部4aの底面側の空間に嵌合し、容器ケース2の内周面と加熱容器4の外周面とが沿った状態となる。
【0019】
容器ケース2の下方であって加熱容器4の底面と相対する部分には、底部加熱コイル31が設けられ、ケース突出部2aの内部には、内部加熱コイル32が設けられている。底部加熱コイル31と内部加熱コイル32は、これらを駆動制御する加熱制御手段7に接続されている。加熱制御手段7は、底部加熱コイル31と内部加熱コイル32にそれぞれ独立して高周波電力を供給するインバータ回路を備えており、底部加熱コイル31と内部加熱コイル32は、それぞれに対応したインバータ回路によって独立して駆動制御される。なお、底部加熱コイル31と内部加熱コイル32に加え、加熱容器4の外側面に対応する位置に別途加熱手段を設けることも可能である。
【0020】
ここで、内部加熱コイル32が設置される高さ位置を説明する。なお、内部加熱コイル32が設置される高さとは、内部加熱コイル32の加熱部位のうち最上部の設置高さのことを言うものとし、このことは、以降の実施の形態においても同様である。
図1に示すように、本実施の形態1の内部加熱コイル32の設置高さは、加熱容器4における最小炊飯量の米の上面位置(最小米位置41と称する)以上であって、最大水位目盛42以下、の高さ位置である。したがって、容器突出部4a及びケース突出部2aの頂部2bは、最小米位置41以上の高さとなるように構成されている。
【0021】
また、底部加熱コイル31の近傍には底部サーミスタ71が設けられ、内部加熱コイル32の近傍には側部サーミスタ72が設けられている。底部サーミスタ71及び側部サーミスタ72は、加熱容器4の温度を検出するための温度検出手段である。底部サーミスタ71及び側部サーミスタ72の検出結果は、加熱制御手段7に出力される。
【0022】
なお、図1に示すように底部サーミスタ71と側部サーミスタ72を設けることで、底部加熱コイル31と内部加熱コイル32による加熱容器4の加熱状態をそれぞれ検出することができ、より精度のよい加熱制御が可能であるが、底部サーミスタ71だけを設ける構成としてもよい。また、加熱容器4の温度を検出可能なものであれば、サーミスタに限定されず他の温度計測手段を設けてもよい。
【0023】
加熱制御手段7は、底部サーミスタ71及び側部サーミスタ72の検出結果と、予め記憶された制御プログラムに基づいて、底部加熱コイル31及び内部加熱コイル32を駆動制御し、所定の炊飯工程を実行する。加熱制御手段7は、少なくとも、制御プログラムを記憶する記憶装置と、加熱コイルに高周波電力を供給するインバータ回路と、各種機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアまたはマイコンやCPUなどの演算装置とを備えている。
【0024】
ここで、本実施の形態1に係る炊飯器の炊飯工程の一例を説明する。炊飯工程は、予熱工程、昇温工程、沸騰維持工程、及び蒸らし工程で構成される。
予熱工程とは、加熱容器4内の水が沸騰する前の段階で、加熱容器4内の水を米の糊化が始まらない程度の予熱温度(例えば約60℃)に維持するよう所定時間加熱し、これによって米の吸水を促進し、甘味成分である糖や旨味成分であるアミノ酸などの呈味成分を生成する工程である。
昇温工程とは、予熱工程終了後、加熱容器4内の水を沸騰させる工程である。加熱容器4内の水が沸騰すると、沸騰維持工程に移行する。
沸騰維持工程では、水の沸騰が維持され、これにより米の澱粉の糊化が促進される。
蒸らし工程では、沸騰維持工程よりも加熱量を低下させ、加熱容器4内の飯を焦がさない程度に加熱する工程である。
【0025】
なお、上記のような炊飯工程を経て飯を炊きあげた後は、自動的にあるいはユーザーの操作により、保温工程に移行する。保温工程においては、加熱容器4内の飯を所定温度に保つよう加熱を行う。
【0026】
次に、本実施の形態1の特徴的構成である、ケース突出部2a内に設けた内部加熱コイル32の動作について、図2を用いてさらに詳しく説明する。図2は、実施の形態1に係る炊飯器の内部加熱コイルと熱移動を説明する図である。なお、図2では、図示の関係上、一部の構成要素のみ記載している。
ここで、図2の符号が示す内容は以下のとおりである。
IS:加熱容器4の容器突出部4aの内側面。
OS:加熱容器4の容器外側面。
B :加熱容器4の底部。
R :加熱容器4内において米が沈み、米と水が混合した米水混在層。
W :加熱容器4内において水のみが存在する部位。
【0027】
図2においては、底部加熱コイル31を容器底部Bに設けるとともに内部加熱コイル32を容器内側面ISの近傍に設けており、容器外側面OSには加熱コイルを設けていない炊飯器を例示している。炊飯開始時に加熱容器4に米と水を入れた状態では、加熱容器4内部の下層は、米が沈み、米と水が混合した部位(米水混在層R)となっている。また、加熱容器4の上層は、水のみが存在する部位(水領域W)となっている。底部加熱コイル31と内部加熱コイル32(これらを加熱コイルと総称する場合がある)に通電すると、加熱コイル近傍に発生する電磁場によって、加熱容器4の加熱コイル近傍が加熱され、次いで、加熱容器4の全体が熱伝導によって温度上昇する。次いで、加熱容器4の熱が、内部の米と水へと伝達される。具体的には、加熱容器4の容器内側面ISの熱が、水領域Wへ移動し(IS/W)、また米水混在層Rへも移動する(IS/R)。また、加熱容器4の容器外側面OSの熱が、水領域Wへ移動するとともに(OS/R)、米水混在層Rへも移動する(OS/R)。また、加熱容器4の容器底部Bの熱が、米水混在層Rへ移動する(B/R)。
【0028】
ここで、米が沈んでいる米水混在層Rでは、米が水の対流を妨げ、米水混在層R内の熱抵抗が大きい状態となっている。一方、水のみが存在する水領域Wでは、水の対流を妨げるものがないため、特に熱抵抗がない。したがって、加熱容器4の容器内側面ISから水領域Wへの熱移動(IS/W)は、容器底部Bから米水混在層Rへの熱移動(B/R)に比べて速く、ケース突出部2a内に加熱コイルを設けないものと比べて水全体の加熱を速く行うことができる。その結果、特に、米水混在層Rの上層部分は、この下部からの加熱だけでなく、上部の水領域Wからも加熱され、米水混在層R内の温度分布のばらつきが改善される。
【0029】
図3は、実施の形態1に係る内部加熱コイルの構成を説明する図である。
内部加熱コイル32は、加熱容器4内において水のみが存在する層(高さ位置)に配置されていた方が、水の加熱速度が速いという点で望ましい。しかしながら、炊飯量によって水のみが存在する層の高さは異なる。例えば、内部加熱コイルを高さ方向に複数設け、それぞれ独立して入力制御を行う構成とすることで、炊飯量に応じて水の層のみを加熱することが可能となるが、炊飯器の組み立て性が悪くなったり、加熱制御や電源回路の複雑化したりといった課題が生じうる。
【0030】
そこで、本実施の形態1では、比較的簡易な構成で上下の広い範囲を網羅的に加熱可能とした内部加熱コイル32の例を示す。
図3(a)は、例えば0.1mm〜0.3mm程度の細い複数本の素線を束にして、この束を撚りながら形成した巻き線を、上下にわたって螺旋状にした例を示している。また、図3(b)は、図3(a)と同様の巻き線を、上下方向に繰り返し折り返した例を示している。また、図3(c)は、図3(a)と同様の巻き線を、上下に長い環状に巻き、これを複数層に束状に重ねた例を示している。このように、内部加熱コイル32の巻き線をケース突出部2aの上下にわたって設けることで、上下の広い範囲を網羅的に加熱することができる。したがって、炊飯量が多い場合であっても少ない場合であっても、加熱容器4内の水のみが存在する層を加熱することができる。
【0031】
以上のように、本実施の形態1では、加熱容器4の略中央部を上方に隆起させた容器突出部4aを設け、この容器突出部4aの底面側の空間に嵌合するケース突出部2a内に加熱手段としての内部加熱コイル32を設けた。そして、内部加熱コイル32の設置高さを、最小水位目盛43より高い位置に設置した。このため、内部加熱コイル32により、水と米とが混在しておらず熱抵抗の少ない水領域Wを効率的に加熱することができ、また、加熱された水領域Wからの熱によって米水混在層Rの上層部分を加熱することができる。したがって、米水混在層Rの上層部分と底部加熱コイル31に近い米水混在層Rの下層部分との温度分布のばらつきを改善することができる。このような加熱動作が予熱工程にて実現されることで、予熱中の米の吸水速度をより均一化できるので、炊き上がりの飯の硬さのムラを抑制することが可能となる。また、このような加熱動作が昇温工程にて実現されることで、加熱容器4内にて対流が促されるので、温度ムラを抑制しつつ沸騰温度まで昇温する時間を短縮して炊飯時間を短縮することができる。
【0032】
また、炊飯工程が進むにつれて、加熱容器4内の自由水(米に吸水されていない水)が減っていき、飯は、加熱容器4の内壁の接触面からの熱伝導により加熱されることとなる。本実施の形態1によれば、加熱源(底部加熱コイル31、内部加熱コイル32)から最も遠い位置の飯までの距離を、従来よりも短くすることができるので、加熱容器4内の自由水が減少した状態においても、飯を効率よく加熱することができる。
【0033】
また、本実施の形態1では、内部加熱コイル32の設置高さは、最小米位置41以上で最大水位目盛42以下の高さとした。炊飯量は時と場合によって変化するが、本実施の形態1によれば、炊飯量にかかわらず、加熱容器4の水領域Wの側方に相当する位置もしくはその近傍に内部加熱コイル32が位置することとなり、熱抵抗の少ない水領域Wを効率的に加熱することができる。
【0034】
また、容器突出部4aの高さは、炊飯中の水面あるいは炊き上がりの飯の上面よりも突出する高さとするのが好ましい。このようにすることで、直径が同じ加熱容器と対比した場合において、水面あるいは炊き上がりの飯の上面の面積を小さくすることができる。水面あるいは炊き上がりの飯の上面からは熱や水分が逃げやすいため、この面積を小さくすることで加熱効率を向上でき、また、炊き上がりの飯の上面の乾燥を抑制することができる。
【0035】
実施の形態2.
本実施の形態2では、内部加熱コイル32の設置高さの変形例を説明する。本実施の形態2は、内部加熱コイル32の設置高さに特徴を有するものであり、これ以外の構成については実施の形態1と同様であるので、ここでは、実施の形態1との相違点を中心に説明する。また、本実施の形態2及びこれ以降の実施の形態において、共通または対応する構成要素には同じ符号を付している。
【0036】
図4は、実施の形態2に係る炊飯器の内部構成を側面から見た状態を示す図である。本実施の形態2では、内部加熱コイル32を、最小炊飯量での最小米位置41と、最小炊飯量に対応する水位目盛(最小水位目盛43と称する)との間に設けている。このようにすることで、最小炊飯量を炊飯する際の水のみの層に対応した位置に、内部加熱コイル32が配置されることとなるので、内部加熱コイル32により米の上面よりも上の水を効率よく加熱することができる。
【0037】
本実施の形態2は、最小米位置41と最小水位目盛43との間に内部加熱コイル32を設けているため、最小炊飯量よりも炊飯量が多い場合には、内部加熱コイル32と米の上面よりも上の水の層との距離が離れることとなる。このため、本実施の形態2は、最小炊飯量を炊飯する場合に、米の上面よりも上の水を最も効率よく加熱することができる構成であるといえる。最小炊飯量においては、米と水の量が少ないので被加熱物容積に対する加熱部面積が相対的に大きく、内部加熱コイル32による加熱速度向上の効果が炊飯量が多い場合に比べて顕著である。したがって、本実施の形態2によれば、少量炊飯時における炊飯時間の短縮効果の大きい炊飯器を得ることができる。
【0038】
また、内部加熱コイル32は、加熱容器4の比較的低い位置に配置されるため、容器突出部4aの突出高さも低くすることができる。加熱容器4は、例えばアルミやステンレスなどの金属、炭、あるいは土鍋によって構成されており、加工上、加熱容器4の直径に対して容器突出部4aの直径がある程度の割合を占めることとなるが、容器突出部4aを低くすることによって、加熱容器4から飯を取り出したりかき混ぜたりする操作が容易となり、また、加熱容器4を洗い易く、また、加熱容器4全体の重量を軽くすることができる。
【0039】
実施の形態3.
本実施の形態3は、内部加熱コイル32の設置高さ、及び、ケース突出部2a内に設けた加熱コイルにより内蓋5を加熱するようにした構成に特徴を有する。これ以外については実施の形態1と同様であるので、ここでは、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0040】
図5は、実施の形態3に係る炊飯器の内部構成を側面から見た状態を示す図である。
本実施の形態3では、内部加熱コイル32の一部を、最大炊飯量での最大米位置44と、最大炊飯量の最大水位目盛42との間に設けている。このようにすることで、最大炊飯量を炊飯する際の水のみの層に対応した位置に、内部加熱コイル32が配置されることとなるので、内部加熱コイル32により米の上面よりも上の位置の水を効率よく加熱することができる。炊飯量が多い場合には、前述のように温度ムラが大きくなる傾向があるため、本実施の形態3によれば、炊飯量が多い場合ほど温度ムラ改善や加熱速度向上の効果を得ることができる炊飯器とすることができる。
【0041】
また、本実施の形態3では、内部加熱コイル32に加え、上部加熱コイル33を設けている。上部加熱コイル33は、内部加熱コイル32よりも高い位置に、ケース突出部2aの頂部2bに近接して配置されている。上部加熱コイル33は、加熱制御手段7に設けられたインバータ回路により高周波電力の供給を受け、加熱容器4の頂部4d近傍を誘導加熱する。
【0042】
また、内蓋5の下側(加熱容器4側の面)表面には、内蓋伝熱板6が設けられている。内蓋伝熱板6は、内蓋5の略全体を構成する材料よりも高い熱伝導性または熱容量を有する金属などの部材で構成されており、内蓋5を閉じたときに容器突出部4aの頂部4dに接触するように構成されている。
【0043】
また、図5に示す例では、内蓋5において内蓋伝熱板6が取り付けられた部分の厚みを、下方向(容器突出部4aの頂部4dに近づく方向)に大きくしており、これにより、内蓋伝熱板6を、容器突出部4aの頂部4dに接触させている。このように内蓋5の厚みを異ならせることで、簡易な構造によって、加熱容器4のフランジ部4cに接触する内蓋5の周縁部と、容器突出部4aの頂部4dに接触する内蓋伝熱板6との間に高さの段差を設けることができる。なお、容器突出部4aの頂部4dに内蓋伝熱板6を接触させることができる構成であれば、内蓋5の構成例は図示のものに限定されない。
【0044】
内蓋5が閉じられた状態で上部加熱コイル33に高周波電力が供給されると、上部加熱コイル33の近傍に発生する電磁場によって容器突出部4aの頂部4d近傍が加熱され、頂部4dの熱が、頂部4dに接触している内蓋伝熱板6に伝わり、さらに、内蓋伝熱板6から内蓋5へと熱が伝わる。このようにすることで、内蓋5を加熱することができる。
【0045】
炊飯中に発生した蒸気は、図示していない蒸気排出経路を通じて炊飯器の外部に放出されるが、一部の蒸気は、蓋10内部の内蓋5近傍に設けた蒸気排出路50や、内蓋5自体に結露する。本実施の形態3によれば、内蓋5を加熱することによって上記のような結露を蒸発させることができるので、加熱容器4の上部の空間の湿度が上昇し、結果、飯の乾燥を抑制しておいしい飯を提供することができる。本実施の形態3では、ケース突出部2a内に設けた上部加熱コイル33によって内蓋5を加熱することができるので、内蓋5の内部に別のヒーターや加熱コイルを設ける必要がない。このため、加熱コイルへの配線は本体1のみでよく、蓋10の内部への配線の取り回しなどをする必要がないので、配線が容易で炊飯器全体のサイズが大型化するのを抑制でき、また、配線の複雑化も抑制できる。
【0046】
また、本実施の形態3では、上部加熱コイル33の近傍に、上部サーミスタ73が設けられている。上部サーミスタ73は、加熱容器4の上部加熱コイル33近傍部位の温度を検出するための温度検出手段であり、上部サーミスタ73の検出結果は、加熱制御手段7に出力される。また、内蓋5には、内蓋5の温度を検出するための内蓋サーミスタ74が設けられている。内蓋サーミスタ74の検出結果は、加熱制御手段7に出力される。さらに、加熱制御手段7は、底部加熱コイル31、内部加熱コイル32、及び上部加熱コイル33を、独立して駆動制御可能に構成されている。
【0047】
そして、加熱制御手段7は炊飯制御において、底部サーミスタ71、側部サーミスタ72、上部サーミスタ73、及び内蓋サーミスタ74の温度検出値と、予め記憶された制御プログラムに基づいて、底部加熱コイル31、内部加熱コイル32、及び上部加熱コイル33の加熱制御を行う。より具体的には、加熱制御手段7の図示しない記憶装置には、最も炊きムラが少なく美味しい飯を炊くための、底部サーミスタ71、側部サーミスタ72、上部サーミスタ73、及び内蓋サーミスタ74の温度履歴が予め記憶されている。加熱制御手段7は、底部サーミスタ71、側部サーミスタ72、上部サーミスタ73、及び内蓋サーミスタ74により検出される温度が、記憶装置に記憶された温度履歴に近づくようにして、底部加熱コイル31、内部加熱コイル32、及び上部加熱コイル33への通電を制御する。このように、複数箇所の検出温度に基づいて各加熱コイルの加熱制御を行うことで、より精度のよい加熱制御が可能となる。
【0048】
図6は、実施の形態3に係るケース突出部内の加熱コイル近傍の構成を説明する図である。図6に示すように、巻き線を上下にわたって螺旋状に形成して構成された上部加熱コイル33の略中央に、フェライトなどの磁性体からなる発熱軸34を上下方向に設ける。この発熱軸34の上端は、ケース突出部2aの上面に接するようにして設けられている。このような構成とすることで、容器突出部4aの頂部4d近傍を効率よく加熱することができる。なお、発熱軸34を設けない構成としてもよく、その場合は、前述の図3で示したのと同様の構成を採用することができる。また、図6では内部加熱コイル32の図示を省略しているが、前述の図3で説明した構成と同様のものを採用することができる。
【0049】
なお、本実施の形態3では内蓋5の下側表面に内蓋伝熱板6を設ける例を示したが、内蓋伝熱板6を設けず、容器突出部4aの頂部4dの略水平な面を、内蓋5の下側表面に接触させるようにしてもよい。このようにしても、容器突出部4aの熱により内蓋5を加熱することができる。
【0050】
また、本実施の形態3では、内蓋5の下側表面に内蓋伝熱板6を設けたが、内蓋5の内部に内蓋伝熱板6を収容するようにしてもよい。すなわち、内蓋伝熱板6の上下面及び外周部を、内蓋5を構成する金属等の材料で覆うことで内蓋5内に内蓋伝熱板6を内蔵し、容器突出部4aの頂部4dの略水平な面を、内蓋5の下側表面に接触させる。このようにすることで、容器突出部4aの熱は、内蓋5の下側表面を介して内蓋伝熱板6に伝わり、さらに内蓋伝熱板6を介して内蓋5の他の部分に効率的に伝わるので、内蓋5を加熱することができる。
【0051】
実施の形態4.
本実施の形態4では、ケース突出部2a内に設けた加熱コイルにより内蓋5を加熱する他の構成例を説明する。これ以外については実施の形態3と同様であるので、ここでは、実施の形態3との相違点を中心に説明する。
【0052】
図7は、実施の形態4に係る炊飯器の内部構成を側面から見た状態を示す図である。図7(a)は炊飯器全体を示し、図7(b)は分離した状態の容器ケース2と加熱容器4を示している。本実施の形態4の炊飯器は、内蓋5に設けられた内蓋伝熱板6を加熱するために、ケース突出部2a内に設けられた上部加熱コイル33による誘導加熱を利用するものである。
【0053】
図7に示すように、加熱容器4の容器突出部4aの頂部4dには、例えば円形の穴4eが設けられている。円形の穴4eを設けているのは、容器突出部4aの頂部4dが閉じられていると加熱コイルからの電磁場を加熱容器4が吸収してしまうためである。すなわち、容器突出部4aの頂部4dに穴4eを設けることで、上部加熱コイル33からの電磁場によって内蓋伝熱板6を加熱することができる。内蓋伝熱板6は、誘導加熱が可能な材料であれば任意の材料を用いて構成することができる。
【0054】
また、容器突出部4aの周壁の上端から頂部4dの中央部に向かって内側フランジ40が形成されている。すなわち、穴4eの周囲は、内側フランジ40によって囲まれた状態である。そして、内側フランジ40とケース突出部2aとの間をシールするためのシール部材として、ケース突出部2aの頂部2bに、上方に向かって突出する突出部パッキン21が設けられている。突出部パッキン21は、上部加熱コイル33の電磁場を透過できて、また、周辺の温度で劣化しにくい素材を用いる。加熱容器4が容器ケース2に収容されると、突出部パッキン21は容器突出部4aの穴4eに圧入されて内側フランジ40の端部に圧接され、容器突出部4aの穴4eを密閉する。このような構成により、容器突出部4aの穴4eから下方(容器ケース2側)に水滴や米等が進入するのを抑制することができる。なお、突出部パッキン21に代えて、これと同様の機能を実現するシール部材を、容器突出部4aの穴4eを閉塞するようにして取り付けてもよく、同様の効果を得ることができる。
【0055】
このような構成において、上部加熱コイル33に高周波電力が供給されると、上部加熱コイル33の電磁場によって内蓋伝熱板6が誘導加熱し、この内蓋伝熱板6の熱が内蓋5に伝わることによって内蓋5が加熱される。このように内蓋5を加熱することで、実施の形態3と同様の効果を得ることができる。
【0056】
また、炊飯中には、加熱容器4内で蒸気や吹き零れ液が発生するが、突出部パッキン21により、容器突出部4aの穴4eから容器ケース2と加熱容器4との間に蒸気や吹き零れ液が進入するのを抑制することができる。このため、より安全に内蓋5を加熱することができる。
【0057】
実施の形態5.
本実施の形態5では、実施の形態4の変形例を説明する。本実施の形態5では、実施の形態4との相違点を中心に説明する。
【0058】
図8は、実施の形態5に係る炊飯器の内部構成を側面から見た状態を示す図である。図8(a)は炊飯器全体を示し、図8(b)は分離した状態の容器ケース2と突出部パッキン21を示している。
【0059】
本実施の形態5では、ケース突出部2aの上部には、頂部2bから上方に向かって膨出する第二ケース突出部2cを備えている。ケース突出部2aと第二ケース突出部2cは直径が異なり、下段部であるケース突出部2aに対して上段部である第二ケース突出部2cの方が、直径が小さくなっている。
【0060】
実施の形態5の突出部パッキン21は、ケース突出部2a及び第二ケース突出部2cの形状に沿った2段階の形状となっており、ケース突出部2a及び第二ケース突出部2cの上部に被せられる。
【0061】
第二ケース突出部2cの上面は、内蓋5を閉じたときに内蓋伝熱板6に近接する高さに構成されており、この第二ケース突出部2cの内部に上部加熱コイル33が配置されている。このような構成とすることで、上部加熱コイル33を内蓋伝熱板6に近づけることができ、上部加熱コイル33からの磁束漏れを抑制して内蓋伝熱板6を効率よく加熱することができる。
【0062】
また、ケース突出部2aの高さと、加熱容器4の内側フランジ40の高さはほぼ同じである。加熱容器4が容器ケース2内に収容されると、ケース突出部2aの上に、突出部パッキン21を介して内側フランジ40が載置される。内側フランジ40の内側に開口した容器突出部4aの穴4eには突出部パッキン21が圧入され、穴4eへの蒸気や吹き零れ液の進入が抑制される。
【0063】
このような構成において、実施の形態4と同様に、内蓋5に設けた内蓋伝熱板6を加熱するために、上部加熱コイル33からの誘導加熱を利用する。本実施の形態5では、ケース突出部2aと第二ケース突出部2cという2段階の高さを有する突出部を容器ケース2に設けた。このため、加熱容器4の内側フランジ40の高さ(すなわち、容器突出部4aの高さ。ケース突出部2aの高さにほぼ等しい。)と、第二ケース突出部2cの高さと、内蓋伝熱板6の高さとの関係に、自由度を持たせることができる。したがって、デザイン性や使い勝手の良い形状を設計できる。
【0064】
なお、本実施の形態5では内蓋5の下側表面に内蓋伝熱板6を設ける例を示したが、内蓋伝熱板6を設けず、上部加熱コイル33により内蓋5を誘導加熱する構成としてもよい。また、内蓋5の内部に内蓋伝熱板6を設け、この内蓋伝熱板6を上部加熱コイル33により加熱するようにしてもよい。
【0065】
実施の形態6.
本実施の形態6では、実施の形態1〜5で示したケース突出部2a内の加熱コイル(内部加熱コイル32、上部加熱コイル33)を冷却するための冷却構造について説明する。本実施の形態6で示す冷却構造は、実施の形態1〜5と組み合わせて用いることができる。
【0066】
図9は、実施の形態6に係る炊飯器の内部構成を側面から見た状態を示す図である。
実施の形態1〜5に示したように、ケース突出部2aの内部に加熱コイルを設ける場合、この部分に加熱コイルの熱損失による熱が篭る課題があるため、加熱コイル周辺を効率よく冷却する必要がある。このため、本実施の形態6では、本体1の内部に送風機である冷却ファン8を設け、冷却ファン8により送られる冷却風によって加熱コイルを冷却する構成としている。
【0067】
ケース突出部2aの内側には、上下方向に延びる風路形成板11が設けられている。このような構成により、ケース突出部2aの内側には、風路形成板11を境にして上下に延びる2つの風路が形成される。また、風路形成板11の高さは、ケース突出部2aの頂部2bの下面には接しない高さであり、風路形成板11の上端部とケース突出部2aの頂部2bの下面との間には、冷却風の通過が可能な風路が形成される。このような構成により、ケース突出部2aの内側と、風路形成板11との間には、図9に示すように側面から見て逆U字型の風路が形成される。すなわち、ケース突出部2a内の加熱コイルの周囲に、冷却風の風路が形成されることとなる。
【0068】
冷却ファン8は、本体1の底部に設けた給気口1aから空気を吸い込み可能な位置に配置されている。本実施の形態6では、冷却ファン8から供給される冷却風路上に、加熱制御手段7を含む電気回路9を配置しており、これらを冷却ファン8からの冷却風によって冷却可能な構成としている。また、電気回路9と、加熱容器4を収容する容器ケース2は、奥行き方向或いは幅方向に並べて配置されており、この電気回路9と容器ケース2との間に、上下方向に延びる風路形成板12が設けられている。そして、風路形成板12の上端部において、電気回路9側の風路と容器ケース2側の風路は連通している。
【0069】
このような構成において、冷却ファン8が動作すると、本体1の底部に設けられた給気口1aから本体1内に空気が吸い込まれる。本体1内に吸い込まれた空気は、電気回路9の近傍を通過しながら電気回路9を冷却し、風路形成板12の上端部から容器ケース2側の風路へと進入する。容器ケース2側の風路へ進入した冷却風は、底部加熱コイル31の近傍を通過しながらこれを冷却し、さらに、ケース突出部2a内に形成された風路内へと進入し、ケース突出部2a内に設けられた加熱コイルの近傍を通過しながらこれを冷却し、その後、本体1の底部に設けられた排気口1bから本体外へと流出する。なお、冷却ファン8としては、ケース突出部2a内に設けられた加熱コイルを所定の温度に冷却するのに十分な風量風速が得られるように構成されたものを採用する。
【0070】
以上のように本実施の形態6によれば、ケース突出部2a内に設けられた加熱コイルを冷却することができるので、実施の形態1〜5で示した炊飯時間短縮や加熱ムラ抑制の機能を、加熱コイルの発熱を抑制してより安全に実現することができる。
【0071】
実施の形態7.
本実施の形態7では、実施の形態6で示した冷却構造の他の構成例を説明する。本実施の形態7では、実施の形態6との相違点を中心に説明する。
【0072】
図10は、実施の形態7に係る炊飯器の内部構成を側面から見た状態を示す図である。図10(a)は炊飯器全体を示し、図10(b)は分離した状態の主要部を示している。実施の形態6にて説明したように、加熱コイルの発熱を抑制してより安全に炊飯時間短縮や加熱ムラ抑制の効果を得るためには、加熱コイルを効率よく冷却することが望ましい。
【0073】
本実施の形態7では、加熱容器4の容器突出部4aの頂部4dに開口部4gを設けるとともに、ケース突出部2aの頂部2bにも、開口部4gに対応した位置に開口部2dが設けられている。開口部2dには、上方に向かって延びる管状(筒状)の接続部2eが設けられている。この接続部2eの外周には、開口部4gとの間で密閉性を保つための接続部パッキン2fが設けられている。接続部2eは、接続部パッキン2fが装着された状態で、容器突出部4aの開口部4g内に圧入可能である。
【0074】
また、蓋10の内部には、蒸気排出路50に連通する蓋内冷却風路53が形成されており、内蓋5には、この蓋内冷却風路53に連通する連通孔54が設けられている。連通孔54は、内蓋5を閉めたときに開口部2d及び開口部4gと一致する大きさ及び位置となるように形成されている。なお、図10では、蓋内冷却風路53と蒸気排出路50とを一体の通路(空間)の如く図示しているが、これらの具体的な構成は図示のものに限定されず、蒸気排出路50のいずれかの部分に蓋内冷却風路53が連通する構成であればよい。
【0075】
容器ケース2内に加熱容器4が収容されると、接続部パッキン2fが装着された接続部2eが、加熱容器4の開口部4g内に挿入される。接続部パッキン2fにより、開口部4gとの間の気密性が確保される。そして、内蓋5が閉じられると、接続部2eが内蓋5に設けられた連通孔54に挿入される。このような構成により、ケース突出部2aの内側の風路は、開口部2d、開口部4g、及び内蓋5の連通孔54を介して蓋内冷却風路53と接続される。蓋内冷却風路53は蒸気排出路50と連通しているため、ケース突出部2a内の風路から蒸気排出路50へ一連の風路が形成されることとなる。
【0076】
また、本体1の内部には、前述の実施の形態6で示した風路形成板11に代えて、風路形成部材13が設けられている。本実施の形態7の風路形成部材13は、逆円錐状の部材の上部及び下部を開口させた形状を有し、ケース突出部2aの下部に配置されている。そして、本実施の形態7の冷却ファン8は、実施の形態6とは配置が異なり、風路形成部材13の内部に設けられている。冷却ファン8は、風路形成部材13の下部開口13aを給気側とし、上部開口13bを排気側とするような位置関係で配置されている。
【0077】
本体1の内部には、実施の形態6と同様にして風路形成板12が設けられており、この風路形成板12を境にして電気回路9側の風路と容器ケース2側の風路とが形成されている。また、本実施の形態7では、実施の形態6と同様の給気口1aが設けられているが、実施の形態6と異なり、本体1の底面には排気口1bは設けられていない。
【0078】
このような構成において、冷却ファン8が動作すると、冷却ファン8の給気側に連通する給気口1aに吸引力が生じ、給気口1aから本体1内に空気が吸い込まれる。本体1内に吸い込まれた空気は、電気回路9の近傍を通過しながら電気回路9を冷却し、風路形成板12の上端部から容器ケース2側の風路へと進入する。容器ケース2側の風路へ進入した冷却風は、底部加熱コイル31の近傍を通過しながらこれを冷却し、冷却ファン8に吸い込まれ、風路形成部材13の上方のケース突出部2a内の風路へと進入する。ケース突出部2a内に進入した冷却風は、ケース突出部2a内に設けられた加熱コイルの近傍を通過しながらこれを冷却し、その後、開口部2d、接続部2eを通って蓋内冷却風路53内へと進み、さらに蒸気排出路50内に進み、蒸気排出路50内を流れる加熱容器4内から発生した蒸気と混合され、蒸気排出口52から外部へと流出する。冷却ファン8は、ケース突出部2a内に設けられた加熱コイルを所定の温度に冷却するのに十分な風量風速が得られるように形成する。
【0079】
本実施の形態7のような冷却構造としても、実施の形態6と同様にケース突出部2a内に設けられた加熱コイルを冷却することができるので、実施の形態1〜5で示した炊飯時間短縮や加熱ムラ抑制の機能を、加熱コイルの発熱を抑制してより安全に実現することができる。
【0080】
さらに、本実施の形態7では、蒸気排出路50と蓋内冷却風路53とを接続し、炊飯中に発生し蒸気排出路50内の流れる蒸気に、蓋内冷却風路53内を流れる冷却風を混合して、蒸気排出口52から排出するようにした。冷却風により、炊飯中に発生する蒸気の温度を低下させて排気することができるので、例えばユーザーが蒸気に触れた場合でも火傷しにくく、より安全性を高めることができる。特に、加熱速度を向上させて短時間で加熱を行う炊飯制御を行う場合には、短時間に多くの蒸気が発生するため、より顕著な効果を奏する。
【0081】
実施の形態8.
本実施の形態8では、ケース突出部2a内に設けた加熱コイルによる加熱動作例を説明する。本実施の形態8は、実施の形態1〜7で説明したいずれかの構成と組み合わせて用いることができる。
【0082】
図11は、実施の形態8に係る炊飯器の加熱制御を説明する図である。図11では、底部加熱コイル31と、ケース突出部2a内に設けた内部加熱コイル32による加熱動作に着目して示している。
図11に示すように、一例として、底部加熱コイル31は、加熱容器4の外周部近くに配置されている。図2にて例示したように、ケース突出部2a内に設けた内部加熱コイル32により、米水混在層Rの上部にある水領域Wを効率よく加熱することができるが、本実施の形態8は、底部加熱コイル31と内部加熱コイル32への通電制御により、加熱容器4内の対流をさらに促すようにする。
【0083】
具体的には、図11(a)に示すように底部加熱コイル31及び内部加熱コイル32への通電と、図11(b)に示すように底部加熱コイル31のみへの通電とを交互に繰り返すようにする。
図11(a)は、底部加熱コイル31及び内部加熱コイル32に通電している状態を示している。このとき、加熱制御手段7は、底部サーミスタ71及び側部サーミスタ72の検出温度を取得し、底部サーミスタ71の検出温度よりも側部サーミスタ72の検出温度の方が高くなるように、底部加熱コイル31及び内部加熱コイル32の通電制御を行う。このようにすると、加熱容器4の外側面よりも内側面の温度が相対的に高くなるため、水は、容器内側面側から上昇し、容器外側面側に下降するような対流を形成する。
【0084】
また、図11(b)は、底部加熱コイル31にのみ通電している状態を示している。底部加熱コイル31のみに通電することによって、加熱容器4の外側面側がより温度が高くなり、水は、加熱容器4の外側面から上昇し、加熱容器4の内側面側に下降するような対流を形成する。
【0085】
したがって、図11(a)と図11(b)の状態とを交互に繰り返すことにより、すなわち、内部加熱コイル32に間欠的に通電することにより、加熱容器4内に対流を生じせしめることができる。このような加熱制御は、炊飯工程の予熱工程、昇温工程、及び沸騰維持工程のうち、加熱容器4内に自由水が存在する工程において、米と水とが混在する層の対流促進において顕著な効果がある。なお、図11に示した通電制御は一例であり、内部加熱コイル32の設置高さ、炊飯量、及び炊飯工程の各工程等の条件を考慮して、加熱容器4内に対流を生じせしめることができるように内部加熱コイル32への通電制御を行うことができる。
【0086】
図12は、実施の形態8に係る炊飯器の加熱制御の他の例を説明する図である。図12では、ケース突出部2a内に設けた加熱コイルにより内蓋5を加熱する場合の加熱動作例を示している。ここでは、例えば炊飯工程の後期である蒸らし工程や保温工程における加熱を想定して説明する。
【0087】
図12に示すように、例えば蒸らし工程や保温工程においては、上部加熱コイル33と底部加熱コイル31に通電し、内部加熱コイル32への通電を停止する。上部加熱コイル33に通電して内蓋5を加熱することにより、内蓋5に付着した結露を蒸発させることができるので、加熱容器4の上部の空間の湿度を上昇させることが可能となる。蒸らし工程や保温工程においては、加熱容器4内の水は飯に吸水されていて残存しておらず、特に空気と触れる飯の上面部は乾燥が進みやすいが、このような構成により加熱容器4内の飯の乾燥を抑制しておいしい飯を提供することができる。また、底部加熱コイル31により加熱容器4の加熱を行う一方で内部加熱コイル32への通電を停止するので、飯を保温しつつ、加熱過多となるのを抑制して飯の乾燥を抑えることができる。
【0088】
なお、炊飯工程における加熱制御については、図12に示した上部加熱コイル33を設ける構成例においても、図11で示したのと同様に、例えば、底部加熱コイル31に連続して通電するとともに、内部加熱コイル32に間欠的に通電することによって、加熱容器内に対流を生じせしめることができる。
【符号の説明】
【0089】
1 本体、1a 給気口、1b 排気口、2 容器ケース、2a ケース突出部、2b 頂部、2c 第二ケース突出部、2d 開口部、2e 接続部、2f 接続部パッキン、4 加熱容器、4a 容器突出部、4b 周壁、4c フランジ部、4d 頂部、4e 穴、4f 第二容器突出部、4g 開口部、5 内蓋、6 内蓋伝熱板、7 加熱制御手段、8 冷却ファン、9 電気回路、10 蓋、11 風路形成板、12 風路形成板、13 風路形成部材、13a 下部開口、13b 上部開口、21 突出部パッキン、31 底部加熱コイル、32 内部加熱コイル、33 上部加熱コイル、34 発熱軸、40 内側フランジ、41 最小米位置、42 最大水位目盛、43 最小水位目盛、44 最大米位置、50 蒸気排出路、51 蒸気回収口、52 蒸気排出口、53 蓋内冷却風路、54 連通孔、71 底部サーミスタ、72 側部サーミスタ、73 上部サーミスタ、74 内蓋サーミスタ、B 容器底部、R 米水混在層、W 水領域、IS 容器内側面、OS 容器外側面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に膨出した容器突出部を略中央に有し、この容器突出部の周囲に収容部が形成された加熱容器と、
前記加熱容器の前記容器突出部の下面側に嵌合可能なケース突出部を有し、前記加熱容器を収容する容器ケースと、
前記容器ケースの外周部の底部に設けられ、前記加熱容器の底部を誘導加熱する底部加熱コイルと、
前記ケース突出部の内部に設けられ、前記容器突出部を誘導加熱する内部加熱コイルと、
前記加熱容器の上面開口を開閉自在に覆う内蓋とを備え、
前記内部加熱コイルは、最小炊飯量に相当する米を前記加熱容器に入れて略水平に均した際の上面位置よりも高い位置に設けられている
ことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記内部加熱コイルは、最大炊飯量に応じた水位以下の高さ位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
前記内部加熱コイルは、最小炊飯量に応じた水位以下の高さ位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項4】
前記内部加熱コイルは、最大炊飯量に相当する米を前記加熱容器に入れて略水平に均した際の上面位置よりも高く、かつ、最大炊飯量に応じた水位以下の高さ位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項5】
前記容器突出部は、前記内蓋が閉じられた際に、前記内蓋に接触する高さを有する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記内蓋は、当該内蓋が閉じられた際に前記容器突出部と相対する位置に、当該内蓋の略全体を構成する材料よりも高い熱伝導性または熱容量を有する伝熱板を内蔵している
ことを特徴とする請求項5記載の炊飯器。
【請求項7】
前記内蓋の下側表面の、当該内蓋が閉じられた際に前記容器突出部と相対する位置に設けられ、当該内蓋の略全体を構成する材料よりも高い熱伝導性または熱容量を有する伝熱板を備え、
前記容器突出部は、前記内蓋が閉じられた際に、前記伝熱板に接触する高さを有する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記内蓋の下側表面の、当該内蓋が閉じられた際に前記容器突出部と相対する位置に設けられ、当該内蓋の略全体を構成する材料よりも高い熱伝導性または熱容量を有する伝熱板と、
前記容器突出部の上部から上方へ膨出した第二容器突出部とを備え、
前記容器突出部の高さは、当該加熱容器の外周壁の上端縁よりも低く形成され、
前記第二容器突出部は、前記内蓋が閉じられた際に、前記伝熱板に接触する高さを有する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項9】
前記内蓋の内部または下側表面に、当該内蓋の略全体を構成する材料よりも高い熱伝導性または熱容量を有する伝熱板を備え、
前記内部加熱コイルにより前記伝熱板を誘導加熱する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項10】
略水平に形成された前記容器突出部の上面を貫通する穴部が形成されており、
前記穴部には、前記内部加熱コイルから発生する磁場を透過する弾性体からなるシール部材を備えた
ことを特徴とする請求項9記載の炊飯器。
【請求項11】
前記内蓋の内部または下側表面に設けられ、当該内蓋の略全体を構成する材料よりも高い熱伝導性または熱容量を有する伝熱板と、
前記ケース突出部の内部において前記内部加熱コイルよりも上方に設けられ、前記伝熱板を誘導加熱する上部加熱コイルとを備えた
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項12】
略水平に形成された前記容器突出部の上面を貫通する穴部が形成されており、
前記内蓋の内部または下側表面に設けられ、当該内蓋の略全体を構成する材料よりも高い熱伝導性または熱容量を有する伝熱板と、
前記ケース突出部の上部に設けられ、上方に向かって突出し前記穴部に挿入される第二ケース突出部と、
前記第二ケース突出部の内部に設けられ、前記伝熱板を誘導加熱する上部加熱コイルとを備えた
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項13】
前記容器突出部の高さは、当該加熱容器の外周壁の上端縁よりも低く形成され、
前記第二ケース突出部は、前記内蓋の近傍まで延びており、
前記容器突出部内に嵌合される前記ケース突出部と、前記第二ケース突出部とは、高さ方向に段差を有する
ことを特徴とする請求項12記載の炊飯器。
【請求項14】
前記容器突出部に形成された前記穴部と、前記第二ケース突出部との間にシール部材を備えた
ことを特徴とする請求項12または請求項13記載の炊飯器。
【請求項15】
前記ケース突出部内に冷却風を送る送風機と、
前記ケース突出部内を横方向に仕切り、当該ケース突出部内に互いに連通する2本の風路を形成する風路形成板とを備え、
前記内部加熱コイルは、前記ケース突出部内の一方の風路へ流入した冷却風が他方の風路を通って流出する通風経路上に配置されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項16】
前記加熱容器内で発生した蒸気を外部へ導く蒸気排出路と、
前記ケース突出部内に、下方から上方へ向かって進む冷却風を送る送風機と、
前記ケース突出部内の上方空間と、前記蒸気排出路とを連通させる接続部とを備え、
前記内部加熱コイルは、前記ケース突出部内を流れる冷却風の通風経路上に配置されており、
前記ケース突出部内を流れる冷却風は、前記接続部を介して前記蒸気排出路に導かれ、当該蒸気排出路を流れる蒸気と混合されて外部へ排出される
ことを特徴とする請求項1〜請求項15のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項17】
前記底部加熱コイルと、前記内部加熱コイルは、独立して電力制御される
ことを特徴とする請求項1〜請求項16のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項18】
前記加熱容器の底部近傍の温度を検出する底部温度検出手段と、
前記容器突出部の側部近傍の温度を検出する側部温度検出手段と、
前記底部温度検出手段及び前記側部温度検出手段の検出値に基づいて、前記底部加熱コイル及び前記内部加熱コイルの通電制御を行う加熱制御手段とを備え、
炊飯工程のうち米に吸水されていない水が前記加熱容器内に残存している工程は、
前記側部温度検出手段により検出される温度の方が、前記底部温度検出手段により検出される温度よりも高くなるように、前記加熱制御手段が前記底部加熱コイル及び前記内部加熱コイルの通電を制御する工程を含む
ことを特徴とする請求項1〜請求項17のいずれか一項に記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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