説明

炎症性または閉塞性気道疾患の処置用医薬組成物

(A)抗ムスカリン作用剤、(B)ベータ−2アドレナリン受容体アゴニストおよび(C)コルチコステロイドを含む、炎症性または閉塞性気道疾患の処置用医薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機化合物、およびとりわけ炎症性または閉塞性気道疾患の処置のための、医薬としてのその使用に関する。
【発明の概要】
【0002】
1つの局面において、本発明は炎症性または閉塞性気道疾患の処置において同時、逐次または個別に投与するための医薬であって、
(A)グリコピロリニウム塩;
(B)サルメテロールおよびフォルモテロールから選択されるベータ−2アドレナリン受容体アゴニスト、またはその薬学的に許容される塩;および
(C)フルチカゾンプロピオネート、4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸(6S,9R,10S,11S,13S,16R,17R)−6,9−ジフルオロ−17フルオロメチルスルファニルカルボニル−11−ヒドロキシ−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イルエステル、フラン−2−カルボン酸(6S,9R,10S,11S,13S,16R,17R)−6,9−ジフルオロ−17−フルオロメチルスルファニルカルボニル−11−ヒドロキシ−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イルエステルおよびブデソニドから選択されるコルチコステロイド;
を個別にまたは一体として含む医薬に関する(グループI)。
【0003】
グリコピロリニウム塩にはグリコピロリニウムブロマイドまたはグリコピロレートが含まれ、これは現在、麻酔中の分泌を減少させるために注射によって投与するか、胃潰瘍の処置のために経口的に投与する。Schroeckenstein et al J. Allergy Clin. Immunol. 1998; 82(1): 115-119は、一定用量の単回投与によって気管支拡張を12時間まで達成する、喘息の処置用エアロゾル製剤におけるグリコピロレートの使用を開示している。より最近では、国際特許出願WO 2001/76575はグリコピロレートを、該抗ムスカリン作用剤がその薬理学的効果を12時間以上にわたって発揮できる肺送達のための制御放出製剤に製剤することができると開示している。
【0004】
サルメテロールまたはその薬学的に許容される塩形は、米国特許第4,992,474号、第5,126,375号および第5,225,445号に記載のとおりベータ−2アドレナリン受容体アゴニスト活性を有する。それらは共通して、急速な作用の発生と、βアドレナリン受容体に対する長期、例えば24時間またはそれ以上までの刺激作用を有する。それらは、米国特許第4,992,474号、第5,126,375号および第5,225,445号に記載の方法を用いて製造することができる。
【0005】
フォルモテロールまたはその薬学的に許容される塩、は米国特許第3,994,974号または米国特許第5,684,199号に記載のとおり、ベータ−2アドレナリン受容体アゴニスト活性を有する。
フルチカゾンプロピオネートは抗炎症性コルチコステロイドであり、そして米国特許第4,335,121に記載されている。
ブデソニドは抗炎症性コルチコステロイドであり、そして米国特許第3,929,768号に記載されている。
【0006】
他の局面において本発明は、炎症性または閉塞性気道疾患の処置において同時、逐次または個別に投与するための医薬であって、
(A)塩または双性イオン形態の式I
【化1】

〔式中、
およびRは各々独立して、C−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環であるか、
または−CRは一体となって式
【化2】

{式中、Rは結合、O−、−S−、−CH−、−CH=CH−、−CH−CH−、アミノまたは−N(CH)−であり;
は水素、ハロ、ヒドロキシ、C−C−アルコキシまたは所望によりヒドロキシで置換されたC−C−アルキルである}
の基を形成し;
【0007】
は−NHR、−NR−CO−R、−NR−CO−NH−R、−NR−SO−R、−CO−NR10、−OR11、−O−CO−NHR12、−O−CO−R13もしくは−CO−O−R14で置換されたC−C−アルキルであるか、
またはRは所望によりC−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、もしくは窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環で置換されたC−C10−アルキニルであり;
は水素またはC−C−アルキルであり;
はC−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C10−アルキニルまたはC−C−アルコキシであり、各場合において所望によりC−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環で置換されているか、
またはRはC−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環であり;
はC−C15−炭素環式基またはC−C15−芳香族性炭素環式基であり;
はC−C15−炭素環式基またはC−C15−芳香族性炭素環式基であり;
は水素またはC−C−アルキルであり;
10は水素、所望によりシアノ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、C−C−アルコキシ、C−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環で置換されたC−C−アルキルであるか、
またはR10はC−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環であり;
【0008】
11は水素、C−C−アルキル、C−C−アルキル−C−C−アルコキシまたはC−C−アルキル−O−R15であり;
12はC−C15−炭素環式基またはC−C15−芳香族性炭素環式基であり;
13はC−C−アルキルまたはC−C15−炭素環式基またはC−C15−芳香族性炭素環式基であり;
14は水素、C−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C−アルケニル、または所望によりC−C15−炭素環式基またはC−C15−芳香族性炭素環式基で置換されたC−C−アルキルであり;
15はC−C15−炭素環式基またはC−C15−芳香族性炭素環式基であり;そして
各C−C15−炭素環式基は所望により、ハロ(例えばフルオロ、クロロもしくはブロモ)、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、C−C−アルキル(例えばメチルもしくはエチル)、ハロ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、−SONH2、−C15−炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環で置換されており、そして各C−C15−芳香族性炭素環式基は所望により、ハロ(例えばフルオロ、クロロもしくはブロモ)、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、C−C−アルキル(例えばメチルもしくはエチル)、ハロ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、−SONH、C−C15−炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環で置換されている〕
の化合物;
【0009】
(B)サルメテロールおよびフォルモテロールから選択されるベータ−2アドレナリン受容体アゴニスト、またはその薬学的に許容される塩;および
(C)フルチカゾンプロピオネート、4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸(6S,9R,10S,11S,13S,16R,17R)−6,9−ジフルオロ−17フルオロメチルスルファニルカルボニル−11−ヒドロキシ−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イルエステル、フラン−2−カルボン酸(6S,9R,10S,11S,13S,16R,17R)−6,9−ジフルオロ−17−フルオロメチルスルファニルカルボニル−11−ヒドロキシ−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イルエステルおよびブデソニドから選択されるコルチコステロイド;
を個別にまたは一体として含む医薬を提供する(グループII)。
【0010】
他の局面において本発明は、炎症性または閉塞性気道疾患の処置において同時、逐次または個別に投与するための医薬であって、
(A)グリコピロリニウム塩;
(B)サルメテロールおよびフォルモテロールから選択されるベータ−2アドレナリン受容体アゴニスト、またはその薬学的に許容される塩;および
(C)モメタゾンフロ酸エステルおよび式II
【化3】

〔式中、Tは環系に3〜15個の原子を有する1価環状有機基である〕
の化合物から選択されるコルチコステロイド;
を個別にまたは一体として含む医薬を提供する(グループIII)。
【0011】
グリコピロリニウム塩はグループIに定義のとおりである。
モメタゾンフロ酸エステル、(11β、16α)−9,21−ジクロロ−17−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11−ヒドロキシ−16−メチルプレグナ−1、4−ジエン−3,20−ジオン、あるいは別称9α,21−ジクロロ−16α−メチル−1,4−プレグナジエン−11β,17α−ジオール−3,20−ジオン17−(2’−フロエート)は、米国特許第4,472,393に記載されている抗炎症性コルチコステロイドである。
式IIの化合物はその製造と共に、国際特許出願WO 02/00679に記載されている(その内容を出典明示により本明細書の一部とする)。
【0012】
他の局面において、本発明は、
(A)グループIIに定義の式Iの化合物;
(B)サルメテロールおよびフォルモテロールから選択されるベータ−2アドレナリン受容体アゴニスト、またはその薬学的に許容される塩;および
(C)モメタゾンフロ酸エステルおよび式II
【化4】

〔式中、Tは環系に3〜15個の原子を有する1価環状有機基である〕
の化合物から選択されるコルチコステロイド;
を個別にまたは一体として含む医薬を提供する(グループIV)。
【0013】
式Iの化合物は(グループII)に定義のとおりである。
フォルモテロールまたはその薬学的に許容される塩は(グループIII)に記載のとおりである。
モメタゾンフロ酸エステルは(グループIII)に定義のとおりである。
式IIの化合物は(グループIII)に定義のとおりである。
【0014】
本明細書で使用する用語は、下記意味を有する:
「所望により置換された」は、1個以上の位置で、例えば1、2または3個の位置で、記載の基のいずれか1個またはいずれかの組合せで置換されていてもよい基を意味する。
「C−C−アルキル」は、本明細書において使用するとき、1〜8個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキルを意味する。好ましくは、C−C−アルキルはC−C−アルキルである。
「C−C−アルキレン」は、本明細書において使用するとき1〜8個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキレンを意味する。好ましくは、C−C−アルキレンはC−C−アルキレンである。
【0015】
「C−C−アルケニル」は、本明細書において使用するとき、2〜8個の炭素原子および1個以上の炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖炭化水素鎖を意味する。好ましくは「C−C−アルケニル」は「C−C−アルケニル」である。
「C−C10−アルキニル」は、本明細書において使用するとき、2〜10個の炭素原子および1個以上の炭素−炭素三重結合を有する直鎖または分枝鎖炭化水素鎖を意味する。好ましくは「C−C10−アルキニル」は「C−C−アルキニル」である。
【0016】
「C−C15−炭素環式基」は、本明細書において使用するとき、飽和または部分飽和である3〜15個の環炭素原子を有する炭素環式基、例えばC−C−シクロアルキルを意味する。C−C15−炭素環式基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルもしくはシクロオクチルまたは二環式基、例えばビシクロオクチル、インダニルおよびインデニルを含むビシクロノニル、およびビシクロデシルが含まれるが、これらに限定されない。
「C−C15−芳香族性炭素環式基」は、本明細書において使用するとき、6〜15個の環炭素原子を有する芳香族性基を意味する。C−C15−芳香族性炭素環式基の例には、フェニル、フェニレン、ベンゼントリイル、ナフチル、ナフチレン、ナフタレントリイルまたはアントリレンが含まれるが、これらに限定されない。
【0017】
「C−C−シクロアルキル」は、本明細書において使用するとき3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキルを意味する。好ましくは「C−C−シクロアルキル」は「C−C−シクロアルキル」である。
「C−C−ハロアルキル」は、本明細書において使用するとき、1個以上のハロゲン原子、好ましくは1、2または3個のハロゲン原子で置換された上記定義のC−C−アルキルを意味する。好ましくは「C−C−ハロアルキル」は「C−C−ハロアルキル」である。
【0018】
「C−C−アルキルカルボニル」は、本明細書において使用するとき、カルボニル基と結合した上記定義のC−C−アルキルを意味する。好ましくは「C−C−アルキルカルボニル」は「C−C−アルキルカルボニル」である。
「C−C−アルキルチオ」は、本明細書において使用するとき、−S−と結合した上記定義のC−C−アルキルを意味する。好ましくは「C−C−アルキルチオ」は「C−C−アルキルチオ」である。
「C−C−アルキルスルホニル」は、本明細書において使用するとき、−SO−と結合した上記定義のC−C−アルキルを意味する。好ましくは「C−C−アルキルスルホニル」は「C−C−アルキルスルホニル」である。
【0019】
「C−C−アルコキシ」は、本明細書において使用するとき1〜8個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルコキシを意味する。好ましくは、C−C−アルコキシはC−C−アルコキシである。
「C−C−ハロアルコキシ」は、本明細書において使用するとき1個以上のハロゲン原子、好ましくは1、2または3個のハロゲン原子で置換された上記定義のC−C−アルコキシを意味する。好ましくは「C−C−ハロアルコキシ」は「C−C−ハロアルコキシ」である。
「ジ(C−C−アルキル)スルファモイル」は、本明細書において使用するとき、窒素原子が2箇所で上記定義の同一または異なっていてよいC−C−アルキルで置換された−SO−NHを意味する。好ましくはジ(C−C−アルキル)スルファモイルは−SO−N(CHである。
【0020】
「ハロ」または「ハロゲン」は、本明細書において使用するとき、元素周期表の17群(以前のVII群)に属する元素を意味し、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり得る。好ましくはハロまたはハロゲンは、フッ素、塩素または臭素である。
「アミノカルボニル」は、本明細書において使用するとき、カルボニル基と窒素原子を介して結合したアミノを意味する。
【0021】
「窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式基」は、本明細書において使用するとき、飽和または不飽和であってよく、4〜12個の環原子を有するモノヘテロ環式、ビヘテロ環式またはトリヘテロ環式基を意味する。モノヘテロ環式基は、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、フリル、ピロリル、ピロリジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チエニル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピペリジニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピペラジニル、モルホリニル、トリアジニル、オキサジニル、チアゾリルまたはテトラヒドロピラニルを含む。ビヘテロ環式基は、チエノチエニル、ベンズアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾジオキシニル、インダゾリル、ベンゾチアゾリル、イミダゾピリジニルおよびナフチリジニルを含む。好ましい4−12員ヘテロ環式基は、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、フリル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、チエニル、チアゾリル、チアジアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、チエノチエニル、ベンズアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾジオキシニル、インダゾリルおよびベンゾチアゾリル、イミダゾピリジニル、ナフチリジニルを含む。4−12員ヘテロ環式基は、非置換であるか、または1個以上の位置で、例えば1、2または3個の位置で、置換基のいずれか1個またはいずれかの組合せで置換されていてもよい。好ましい置換基は、ハロ(例えばフルオロ、クロロまたはブロモ)、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、カルボキシ、ニトロ、C−C−アルキル(例えばメチルまたはエチル)、ハロ−C−C−アルキル(例えばトリフルオロメチル)、C−C−アルキルカルボニル、ジ(C−C−アルキル)スルファモイルおよび所望によりアミノカルボニルで置換されたC−C−アルコキシを含む。とりわけ好ましい置換基は、ハロ、オキソ、C−C−アルキルおよびC−C−アルキルカルボニルを含む。
【0022】
本明細書および特許請求の範囲において、文脈がそうでないことを必要としない限り、「含む」なる用語またはその変形、例えば「含んで成る」または「含有」は、記載の整数もしくは工程、または整数もしくは工程の群を含むが、あらゆる他の整数もしくは工程、または整数もしくは工程の群を排除しないことを意図していると理解される。
【0023】
新規ベータ−2アドレナリン受容体アゴニストを含む3成分組合せ剤は、特許出願GB 0523655.9およびGB 0523656.7に記載されている。
【0024】
驚くべきことに、本発明において、(グループI)、(グループII)、(グループIII)および(グループIV)それぞれの(A)、(B)および(C)の化合物を用いた組合せ療法によって炎症性または閉塞性気道疾患の処置における顕著かつ予測不可能な治療効果、とりわけ相乗的治療効果が得られることを見出した。例えば、これらの組合せ療法を用いることによって、単一の有効成分での処置を用いると必要となる投与量と比較して、所定の治療効果のために必要とされる3種の有効成分の1種以上の投与量が顕著に減少し得て、したがって可能性のある望ましくない副作用を最小限にすることができる。とりわけ、所定の抗炎症効果に必要とされるフルチカゾンプロピオネートの量を、グリコピロリニウムブロマイドおよびサルメテロールもしくはその薬学的に許容される塩形、または式Iの化合物およびサルメテロールもしくはその薬学的に許容される塩形との組合せで使用したとき顕著に減少することができ、したがって炎症性または閉塞性気道疾患の処置に関連するステロイドの反復曝露に起因する望ましくない副作用のリスクを減少させることができる。
【0025】
同様に、所定の炎症性効果に必要なモメタゾンフロ酸エステルの量を、グリコピロリニウムブロマイドおよびサルメテロールもしくはその薬学的に許容される塩形、または式Iの化合物およびサルメテロールもしくはその薬学的に許容される塩形との組合せで使用したとき顕著に減少することができ、したがって炎症性または閉塞性気道疾患の処置に含まれるステロイドの反復曝露に起因する望ましくない副作用のリスクを減少させることができる。
【0026】
さらにまた、本発明の組合せ療法を用いることによって、とりわけグリコピロリニウムブロマイド、サルメテロールまたはフォルモテロールおよびフルチカゾンプロピオネート、グリコピロリニウムブロマイド、サルメテロールおよびブデソニド、(R)−3−(2−ヒドロキシ−2,2−ジフェニル−アセトキシ)−1−(イソキサゾール−3−イルカルバモイル−メチル)−1−アゾニア−ビシクロ−[2.2.2]オクタンブロマイド(キヌクリジン)、((R)−3−((R)−2−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトキシ)−1−(イソキサゾール−3−イルカルバモイルメチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンまたはWO 2004/096800およびWO 2006/048225の実施例のいずれか、サルメテロールまたはフォルモテロールおよびフルチカゾンプロピオネート、または(R)−3−(2−ヒドロキシ−2,2−ジフェニル−アセトキシ)−1−(イソキサゾール−3−イルカルバモイル−メチル)−1−アゾニア−ビシクロ−[2.2.2]オクタンブロマイド(キヌクリジン)、((R)−3−((R)−2−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトキシ)−1−(イソキサゾール−3−イルカルバモイルメチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンまたはWO 2004/096800およびWO 2006/048225の実施例のいずれか、サルメテロールおよびブデソニド、またはグリコピロリニウムブロマイド、サルメテロールまたはフォルモテロールフマレート、およびモメタゾンフロ酸エステル、グリコピロリニウムブロマイド、サルメテロールまたはフォルモテロールフマレート、および3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸(6S,9R,10S,11S,13S,16R,17R)−9−クロロ−6−フルオロ−11−ヒドロキシ−17−メトキシカルボニル−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカ−ヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イルエステルまたはWO 02/00679の実施例のいずれか、(R)−3−(2−ヒドロキシ−2,2−ジフェニル−アセトキシ)−1−(イソキサゾール−3−イルカルバモイル−メチル)−1−アゾニア−ビシクロ−[2.2.2]オクタンブロマイド(キヌクリジン)または((R)−3−((R)−2−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトキシ)−1−(イソキサゾール−3−イルカルバモイルメチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンまたはWO 2004/096800およびWO 2006/048225の実施例のいずれか、サルメテロールまたはフォルモテロールフマレートおよびモメタゾンフロ酸エステル、または(R)−3−(2−ヒドロキシ−2,2−ジフェニル−アセトキシ)−1−(イソキサゾール−3−イルカルバモイル−メチル)−1−アゾニア−ビシクロ−[2.2.2]オクタンブロマイド(キヌクリジン)または((R)−3−((R)−2−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトキシ)−1−(イソキサゾール−3−イルカルバモイルメチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン、フォルモテロールフマレートおよび3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸(6S,9R,10S,11S,13S,16R,17R)−9−クロロ−6−フルオロ−11−ヒドロキシ−17−メトキシカルボニル−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカ−ヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イルエステルまたはWO 02/00679の実施例のいずれかを含む組成物を用いることによって、急速な作用の発生および長期間の作用を有する医薬を製造することができる。さらにまた、かかる組合せ療法を用いることによって、肺機能の顕著な改善をもたらす医薬を製造することができる。本発明の組合せ療法を用いることによって、閉塞性もしくは炎症性気道疾患の改善された調節、またはかかる疾患の増悪の減少を提供する医薬を製造することができる。本発明の組成物を用いて、閉塞性もしくは炎症性気道疾患のオンデマンド救急処置に使用することができるか、または短時間作用救急医薬、例えばサルブタモールまたはテルブタリンでの処置における必要を減少または削除する医薬を製造することができ;したがって本発明の組成物に基づく医薬は単一医薬での閉塞性または炎症性気道疾患の処置を容易にする。
【0027】
(グループI)および(グループII)の組合せにおいてそれぞれ使用することができるさらなるコルチコステロイドの例は、WO 02/100879、WO 2002012265、WO 2002012266、WO 2002088167、WO 03/035668、WO 03/048181、WO 03/062259、WO 03/064445、WO 03/072592、WO 2003042229、WO 2003042230、WO 2003048181、WO 2005005451、WO 2005005452、WO 2005028495、WO 2006072600、WO 2006072599に記載のいずれかのものから選択することができる。とりわけ、コルチコステロイドは
【化5】

、4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸(6S,9R,10S,11S,13S,16R,17R)−6,9−ジフルオロ−17フルオロメチルスルファニルカルボニル−11−ヒドロキシ−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イルエステルおよび
【化6】

、フラン−2−カルボン酸(6S,9R,10S,11S,13S,16R,17R)−6,9−ジフルオロ−17−フルオロメチルスルファニルカルボニル−11−ヒドロキシ−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イルエステルから選択することができる。
【0028】
他の局面において、本発明は上記定義の(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の有効量の(A)、(B)および(C)それぞれの混合物を、所望により少なくとも1種の薬学的に許容される担体と共に含む医薬組成物を提供する。
【0029】
他の局面において、本発明は炎症性または閉塞性気道疾患を処置する方法であって、かかる処置を必要とする対象に上記定義の(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の有効量の(A)、(B)および(C)それぞれを投与することを含む方法を提供する。
【0030】
本発明はさらに、炎症性または閉塞性気道疾患の処置における(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)それぞれの同時、逐次または個別投与による組合せ療法用医薬の製造における、上記定義の(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の化合物(A)、(B)および(C)それぞれの使用を提供する。
【0031】
本発明の他の局面は、(グループII)および(グループIV)の式I
(式中、
およびRは各々独立して、好適にはC−C15−芳香族性炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環であり;
はハロまたはヒドロキシルであり;
は−NHR、−NR−CO−R、−NR−CO−NH−R、−NR−SO−R、−CO−NR10、−O−CO−NH−R12、−O−CO−R13または−CO−O−R14で置換されたC−C−アルキルであるか、
またはRは所望によりC−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環で置換されたC−C−アルキニルであり;
は水素またはC−C−アルキルであり;
はC−C−アルキル、C−C−アルキニルまたはC−C−アルコキシであり、各場合において所望によりC−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環で置換されているか、
またはRはC−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−10員ヘテロ環式基であり;
はC−C15−炭素環式基またはC−C15−芳香族性炭素環式基であり;
【0032】
はC−C15−炭素環式基またはC−C15−芳香族性炭素環式基であり;
は水素またはC−C−アルキルであり;
10は所望によりシアノ、C−C−アルコキシ、C−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環で置換されたC−C−アルキルであるか、
またはR10はC−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環であり;
12はC−C15−炭素環式基またはC−C15−芳香族性炭素環式であり;
13はC−C−アルキルであり;そして
14は水素、C−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、または所望によりC−C15−炭素環式基またはC−C15−芳香族性炭素環式基で置換されたC−C−アルキルである)
の化合物を提供する。
【0033】
(グループII)および(グループIV)の式Iの化合物において、RおよびRは各々独立して、C−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環である。好ましくは、RはC−芳香族性炭素環式基、例えばフェニルであり、そしてRは好ましくはフェニルまたはC−炭素環式基、例えばシクロヘキシルである。
【0034】
式Iにおいて、Rは好適にはヒドロキシルである。
【0035】
式Iにおいて、Rは好適には−CO−NR10で置換されたC−C−アルキルであり、ここでRは好適には水素またはC−C−アルキルである。好ましくはRは水素である。R10は好適には窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環である。好ましくはR10はイソキサゾール基である。より好ましくはR10は3位−結合イソキサゾール基である。
【0036】
1つの局面において、本発明は、炎症性または閉塞性気道疾患の処置において同時、逐次または個別に投与するための医薬であって、(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の化合物(A)、(B)および(C)それぞれを個別にまたは一体として含む医薬を提供する。
【0037】
遊離形または塩形もしくは溶媒和物形の式Iの化合物は、WO 2004/096800 およびWO 2006/048225に記載のとおりムスカリンアンタゴニスト、とりわけムスカリンM3受容体アンタゴニストとして作用し、したがって例えば呼吸管、消化管および泌尿器系のアセチルコリン誘導性平滑筋収縮を阻害する。
【0038】
遊離形または塩形もしくは溶媒和物形の式Iの化合物を、WO 2004/096800 およびWO 2006/048225に記載の方法を用いて製造することができる。
【0039】
遊離形の式Iの化合物を塩形に、あるいはその逆に、常套の方法で変換することができる。遊離形または塩形の化合物を、水和物または結晶化に用いる溶媒を含む溶媒和物の形態で得ることができる。式Iの化合物は反応混合物から回収することができ、常套の方法で精製することができる。異性体、例えばエナンチオマーを常套の方法で、例えば分画結晶化または対応する非対称置換、例えば光学活性出発物質から不斉合成によって得ることができる。
【0040】
式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えばフッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸;および有機酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−クロロ安息香酸、ジフェニル酢酸、トリフェニル酢酸、1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、脂肪族ヒドロキシ酸、例えば乳酸、クエン酸、酒石酸またはリンゴ酸、ジカルボン酸、例えばフマル酸、マレイン酸またはコハク酸、およびスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸またはベンゼンスルホン酸のものを含む、酸付加塩であり得る。これらの塩を、式Iの化合物から既知の塩形成方法によって製造することができる。薬学的に許容される溶媒和物は一般的に水和物である。
【0041】
グリコピロリニウム塩はグリコピロレートとしても知られるグリコピロリニウムブロマイドを含み、これは効果的な抗ムスカリン作用剤であると知られている。より具体的には、これはアセチルコリンとM3ムスカリン受容体の結合を阻害し、したがって気管支収縮を阻害する。
【0042】
グリコピロレートは4級アンモニウム塩である。好適な対イオンは、薬学的に許容される対イオン、例えばフルオライド、クロライド、ブロマイド、アイオダイド、ナイトレート、スルフェート、ホスフェート、ホルメート、アセテート、トリフルオロアセテート、プロピオネート、ブチレート、ラクテート、サイトレート、タートレート、マレート、マレエート、スクシネート、ベンゾエート、p−クロロベンゾエート、ジフェニル−アセテートまたはトリフェニルアセテート、o−ヒドロキシベンゾエート、p−ヒドロキシベンゾエート、1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボキシレート、3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボキシレート、メタンスルホネートおよびベンゼンスルホネートである。ブロマイド塩、すなわち3−[(シクロペンチル−ヒドロキシフェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイドは、下記構造式
【化7】

を有し、米国特許US 2956062に記載の方法を用いて製造することができる。
【0043】
グリコピロレートは2個の立体中心を有しており、したがって米国特許US 6307060およびUS 6,613,795に記載のとおり4つの異性体、すなわち(3R,2’R)−、(3S,2’R)−、(3R,2’S)−および(3S,2’S)−3−[(シクロペンチル−ヒドロキシフェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイドで存在する。これらの特許明細書の内容を、出典明示により本明細書の一部とする。本発明はこれらの異性体形態、とりわけ3S,2’R異性体、3R,2’R異性体または3R,2’S異性体の1個以上を用いることを包含し、したがって単一のエナンチオマー、ジアステレオマーの混合物、またはラセミ体、とりわけ(3S,2’R/3R,2’S)−3−[(シクロペンチル−ヒドロキシフェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイドを含む。
【0044】
モメタゾンフロ酸エステル、(11β、16α)−9,21−ジクロロ−17−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11−ヒドロキシ−16−メチルプレグナ−1、4−ジエン−3,20−ジオン、あるいは別称9α,21−ジクロロ−16α−メチル−1,4−プレグナジエン−11β,17α−ジオール−3,20−ジオン17−(2’−フロエート)は、下記化学構造
【化8】

を有する局所性抗炎症コルチコステロイドである。
【0045】
モメタゾンフロ酸エステルおよびその製造はUS 4472393に記載されている。喘息の処置におけるその使用はUS 5889015に記載されている。他の呼吸器疾患の処置におけるその使用は、US 5889015、US 6057307、US 6057581、US 6677322、US 6677323およびUS 6365581に記載されている。
【0046】
式IIの化合物は、その製造方法と共に、国際特許出願WO 02/00679に記載されている(その内容を、出典明示により本明細書の一部とする)。この化合物は治療上有効量で驚くほど低い全身的副作用を示し、長い作用期間、1日1回投与の可能性を有する。
【0047】
1つの態様において、Tは窒素、酸素および硫黄から選択される1、2または3個の環ヘテロ原子を有する5員ヘテロ環式環を有するヘテロ環式芳香族性基であり、当該ヘテロ環式環は非置換であるか、またはハロゲン、C−C−アルキル、ハロ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキル−チオ、シアノまたはヒドロキシ−C−C−アルキルから選択される1または2個の置換基で置換されており、そして当該ヘテロ環式環は所望によりベンゼン環と縮合している。好ましいヘテロ環式芳香族性基には、ヘテロ環式環が環に1個の窒素、酸素もしくは硫黄原子、または環に1個の酸素および1もしくは2個の窒素原子、または環に1個の硫黄および1もしくは2個の窒素原子を有留守もの、とりわけピロール、フラン、チオフェン、オキサゾール、イソキサゾール、イミダゾール、ピラゾール、フラザン、チアゾールまたはチアジアゾール環が含まれる。とりわけ好ましいヘテロ環式芳香族性基は、所望によりハロゲン(とりわけ塩素または臭素)、C−C−アルキル(とりわけメチルまたはエチル)、ハロ−C−C−アルキル(とりわけトリフルオロ−メチル)、C−C−アルコキシ(とりわけメトキシ)、C−C−アルキルチオ(とりわけメチルチオ)、シアノまたはヒドロキシ−C−C−アルキル(とりわけヒドロキシメチル)から選択される1または2個の置換基で置換されたピロリル、フリルおよびチエニル基;所望により1または2個のC−C−アルキル基で置換されたイソオキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリルまたはチアジアゾリル基;およびベンゾフリル、ベンゾチエニルおよびベンゾフラザニル基である。
【0048】
他の態様において、Tは1、2または3個の環ヘテロ原子、好ましくは窒素を有する6員ヘテロ環式環を有するヘテロ環式芳香族性基であり、当該ヘテロ環式環は非置換であるか、またはハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、C−C−アシルオキシ、アミノ、C−C−アルキル−アミノ、ジ−(C−C−アルキル)アミノ、C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、ハロ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシまたはC−C−アルキルチオから選択される1個以上、好ましくは1、2または3個の置換基で置換されており、そして当該ヘテロ環式環は所望によりベンゼン環と縮合している。好ましいヘテロ環式芳香族性基は、ヘテロ環式基が環に1または2個の窒素原子を有するもの、とりわけピリジン、ピリミジン、ピラジンまたはピリダジン環を含む。とりわけ好ましいヘテロ環式芳香族性基は、所望によりハロゲン(とりわけ塩素)またはC−C−アルキル(とりわけメチルまたはn−ブチル)から選択される1または2個の置換基で置換されたピリジル、ピリミジニルおよびピラジニル基である。
【0049】
式IIの化合物において、コルチコステロイド環系の16位に存在するメチル基がアルファまたはベータコンホメーションであってよい。16−α−メチル化合物が好ましい。
【0050】
とりわけ好ましい式IIの化合物は、16−メチル基がアルファコンホメーションを有し、そしてTが5−メチル−2−チエニル、N−メチル−2−ピロリル、シクロプロピル、2−フリル、3−メチル−2−フリル、3−メチル−2−チエニル、5−メチル−3−イソオキサゾリル、3,5−ジメチル−2−チエニル、2,5−ジメチル−3−フリル、4−メチル−2−フリル、4−(ジメチルアミノ)フェニル、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、2−ピリジル、4−ピリミジルまたは5−メチル−2−ピラジニルであるか、または16−メチル基がベータコンホメーションを有し、Rがシクロプロピルであるものである。
【0051】
とりわけ好ましい式IIの化合物は、3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸(6S,9R,10S,11S,13S,16R,17R)−9−クロロ−6−フルオロ−11−ヒドロキシ−17−メトキシカルボニル−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ−[a]フェナントレン−17−イルエステルであり、これは式
【化9】

を有する。
【0052】
Tが塩基性基を有する式IIの化合物は、酸付加塩、とりわけ薬学的に許容される酸付加塩を形成することができる。薬学的に許容される式Iの化合物の酸付加塩は、無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えばフッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸;および有機酸、例えば脂肪族モノカルボン酸、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸および酪酸、脂肪族ヒドロキシ酸、例えば乳酸、クエン酸、酒石酸またはリンゴ酸、ジカルボン酸、例えばフマル酸、マレイン酸またはコハク酸、芳香族性カルボン酸、例えば安息香酸、p−クロロ安息香酸、ジフェニル酢酸またはトリフェニル酢酸、芳香族性ヒドロキシ酸、例えばo−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、およびスルホン酸、例えばメタンスルホン酸またはベンゼンスルホン酸のものを含む。これらの塩は、式IIの化合物から既知の塩形成方法によって製造することができる。
【0053】
上記医薬または医薬組成物、すなわち(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)、(B)および(C)それぞれの混合または個別投与は、好ましくは吸入により、すなわちグループI、グループII、グループIIIまたはグループIVの(A)、(B)および(C)それぞれまたはその混合物が吸入形態である。
【0054】
医薬の吸入形態は、例えば有効成分、すなわち(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)、(B)および(C)それぞれを個別または混合してプロペラントの溶液または分散剤を含むエアロゾル組成物のような微粉化組成物、または水性、有機性または水性/有機性媒体中の有効成分の溶液または分散剤を含む微粉化組成物であってよい。例えば、吸入形態の医薬は、(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)、(B)および(C)それぞれの混合物をプロペラントの溶液または分散剤に含むエアロゾル、または(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)および(B)それぞれをプロペラントの溶液または分散剤に含むエアロゾルと、(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(C)それぞれをプロペラントの溶液または分散剤に含むエアロゾルの組合せであり得る。他の例において、吸入形態は(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)、(B)および(C)それぞれの水性、有機性または水性/有機性媒体中分散剤を含む微粉化組成物、または(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)それぞれのかかる媒体中分散剤と、(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(B)それぞれのかかる媒体中分散剤および(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(C)それぞれのかかる媒体中分散剤の組合せである。
【0055】
吸入形態の医薬として使用するのに好適なエアロゾル組成物は、当業者に既知のあらゆるプロペラントから選択され得るプロペラントの溶液または分散剤中に有効成分を含んでいてよい。好適なプロペラントには、炭化水素、例えばn−プロパン、n−ブタンまたはイソブタンまたはかかる炭化水素の2種以上の混合物、およびハロゲン置換炭化水素、例えば塩素および/またはフッ素置換メタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパンまたはシクロブタン、例えばジクロロジフルオロメタン(CFC−12)、トリクロロフルオロメタン(CFC−11)、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(CFC−114)、またはとりわけ1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA−134a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA−227)、ジフルオロクロロメタン(HCFC−22)またはかかるハロゲン置換炭化水素の2種以上の混合物が含まれる。
【0056】
有効成分がプロペラントの懸濁液で存在するとき、すなわちプロペラントに分散した粒子の形態で存在するとき、エアロゾル組成物はまた、当業者に既知の滑沢剤および界面活性剤から選択され得る滑沢剤および界面活性剤を含んでいてもよい。他の好適なエアロゾル組成物は、界面活性剤を含まないか、または実質的に界面活性剤を含まないエアロゾル組成物を含む。エアロゾル組成物はプロペラントの重量に基づき、約5重量%まで、例えば0.0001〜5%、0.001〜5%、0.001〜3%、0.001〜2%、0.001〜1%、0.001〜0.1%、または0.001〜0.01%、好ましくは0.01〜0.5重量%の有効成分を含んでいてもよい。存在するとき、滑沢剤および界面活性剤はそれぞれ、エアロゾル組成物の5%および0.5%までの重量であり得る。エアロゾル組成物はまた、とりわけ加圧定量吸入デバイスから投与するために、エタノールのような共溶媒を組成物の重量の30%までの量で含んでいてもよい。エアロゾル組成物はさらに、充填剤、例えば糖、例えばラクトース、ショ糖、デキストロース、マンニトールまたはソルビトールを、例えば組成物の重量の20%まで、通常0.001〜1%の量で含んでいてもよい。
【0057】
本発明の他の態様において吸入形態の医薬は乾燥粉末であり、すなわち(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)、(B)および(C)それぞれが良好に分散した(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)、(B)および(C)それぞれを所望により少なくとも1種の粒子状薬学的に許容される担体を含む乾燥粉末として存在し、これは薬学的に許容される担体として既知の1種以上の物質であり得る、好ましくは乾燥粉末吸入組成物の担体として既知の物質、例えば糖類、例えば単糖類、二糖類、多糖類および糖アルコール、例えばアラビノース、グルコース、フルクトース、リボース、マンノース、ショ糖、トレハロース、ラクトース、マルトース、デンプン、デキストラン、マンニトールまたはソルビトールから選択され得る。とりわけ好ましい担体はラクトース、例えばラクトース1水和物または無水ラクトースである。乾燥粉末は、1回投与または複数回投与デバイスであり得る乾燥粉末吸入デバイスにおいて使用するための例えばゼラチンまたはプラスチックのカプセル、または(例えばアルミニウムもしくはプラスチックの)ブリスターに単位投与量として含まれていてよく、好ましくは(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)、(B)および/または(C)それぞれの投与単位で、カプセルまたは好適な前定量単位、例えばブリスターあたりの粉末の総重量を5mg〜50mgとする量の担体と共に含まれていてもよい。あるいは、乾燥粉末は、例えば1−25mgの乾燥粉末を動作毎に送達するのに採用される複数投与乾燥粉末吸入(MDDPI)デバイスのリザーバーに含まれていてもよい。
【0058】
良好に分散した粒子形態の医薬および少なくとも1種の有効成分が粒子形態で存在するエアロゾル組成物において、有効成分は約10μm、例えば0.1〜5μm、好ましくは1〜5μmの平均粒子径を有していてもよい。粒子担体は存在するとき、一般的に500μmまで、好ましくは400μmまでの最大粒子径を有し、そして簡便には40〜300μm、例えば50〜250μmの平均粒子径を有する。乾燥粉末組成物中の有効成分の粒子径および存在するとき粒子担体のそれは、常套の方法、例えばエアジェットミル、ボールミルまたはバイブレーターミル、ふるい、微小沈殿、スプレードライ、凍結乾燥または常套の溶媒もしくは超臨界媒体からの制御結晶化によって、所望のレベルに減少させることができる。
【0059】
吸入医薬は、吸入形態に適した吸入デバイスを用いて投与することができ、かかるデバイスは当業者に周知である。したがって、本発明はまた、1種以上の吸入デバイスと関連して、上記吸入形態で上記医薬または医薬組成物を含む医薬製品を提供する。さらなる局面において、本発明は上記吸入形態で上記医薬または医薬組成物を含む吸入デバイスまたは2種以上の吸入デバイスのパックを提供する。
【0060】
有効成分の吸入形態がエアロゾル組成物であるとき、吸入デバイスは、一定量、例えば10〜100μl、例えば25〜50μlの組成物を送達するために採用されるバルブを備えたエアロゾルバイアル、すなわち定量吸入器として既知のデバイスであり得る。好適なかかるエアロゾルバイアルおよび加圧下でエアロゾル組成物をそれらに含ませる方法は、吸入治療の分野において周知である。例えば、エアロゾル組成物は、例えばEP-A-0642992に記載の被覆缶から投与することができる。
【0061】
吸入形態の有効成分が噴霧化水性、有機性または水性/有機性分散剤であるとき、吸入デバイスは既知のネブライザー、例えば1〜50ml、一般的に1〜10mlの分散剤を含んでいてよい、例えば常套の空気式ネブライザー、例えばエアジェットネブライザーまたは超音波ネブライザー;または常套のネブライザーよりも少ない、例えば10〜100μlの噴霧化体積を可能とする、軟ミストまたは軟スプレー吸入器と呼ばれることもある携帯式ネブライザー、例えば電子制御デバイス、例えばAERx(Aradigm、US)またはAerodose(Aerogen)、または機械式デバイス、例えばRESPIMAT(Boehringer Ingelheim)ネブライザーであり得る。
【0062】
有効成分の吸入形態が良好に分散した粒子状形態であるとき、吸入デバイスは例えば、(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)および/または(B)それぞれの単位投与量を含む乾燥粉末組成物を含むカプセルまたはブリスターから乾燥粉末を送達するために採用される乾燥粉末吸入デバイス、または例えば(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)および/または(B)それぞれの単位投与量を含む乾燥粉末3−25mgを動作毎に送達するのに採用される複数投与乾燥粉末吸入(MDDPI)デバイスであり得る。乾燥粉末組成物は好ましくは、希釈剤または担体、例えばラクトースおよび湿気による製品パフォーマンスの低下の保護を助ける化合物、および/または乾燥粉末の物理的特性(例えば流動性、分散性)を改善する化合物、例えばステアリン酸マグネシウムを、典型的には0.05−2.0%含む。好適なかかる乾燥粉末吸入デバイスは周知である。例えば、好適なカプセル化形態の乾燥粉末の送達のためのデバイスはUS 3991761に記載されているが、好適なMDDPIデバイスはWO 97/20589、WO 97/30743およびWO 05/37353に記載のものを含む。
【0063】
本発明の医薬は、好ましくは(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の上記定義の(A)、上記定義の(B)および上記定義の(C)それぞれを、好ましくは少なくとも1種の上記薬学的に許容される担体と共に含む医薬組成物である。
【0064】
吸入での(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の化合物(A)それぞれの好適な1日用量は、20μg〜2000μg、例えば20〜1500μg、20〜1000μg、好ましくは50〜800μg、例えば100〜600μgまたは100〜500μgであり得る。
【0065】
吸入での(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の化合物(B)それぞれの好適な1日用量は、10μg〜2000μg、好ましくは20〜1000μg、とりわけ20〜800μg、例えば100〜500μgであり得る。
【0066】
吸入での(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の化合物(C)それぞれの好適な1日用量は、50〜2000μg、例えば100〜2000μg、100〜1600μg、100〜1000μgまたは100〜800μg、好ましくは200〜500μg、例えば200〜400μgであり得る。
【0067】
吸入での(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の化合物(A)それぞれの好適な単位用量は、10μg〜2000μg、好ましくは20〜1000μg、とりわけ20〜800μg、例えば100〜500μgであり得る。
【0068】
吸入での(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の化合物(B)それぞれの好適な単位用量は、20μg〜2000μg、例えば20〜1500μg、20〜1000μg、好ましくは50〜800μg、例えば100〜600μgまたは100〜500μgであり得る。
【0069】
吸入での(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の化合物(C)それぞれの好適な単位用量は、50〜2000μg、例えば100〜2000μg、100〜1600μg、100〜1000μg、または100〜800μg、好ましくは200〜500μg、例えば200〜400μgであり得る。
【0070】
これらの単位用量は、上記1日用量にしたがって、1日1回または2回投与することができる。1回投与量は、患者に簡便であり、コンプライアンスを促すものであることが好ましい。(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)、(B)および(C)それぞれの使用する正確な投与量は、当然、処置する状態、患者、性愛および吸入デバイスの効率に依存する。
【0071】
本発明の好ましい態様において、本発明の医薬は、(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)、(B)および(C)それぞれの単位用量を含む、例えば単一のカプセル吸入器から吸入するためのカプセル中の乾燥粉末である医薬組成物であり、該カプセルは好適には、(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の、例えば単位用量の上記定義の(A)、例えば単位用量の上記定義の(B)および例えば単位用量の上記定義の(C)を、カプセルあたりの乾燥粉末の総重量を例えば5mg〜50mg、例えば5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mgもしくは50mgとする量の上記定義の薬学的に許容される担体と共に含む。
【0072】
他の本発明の好ましい態様において、本発明の医薬は、例えば(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の単位用量の(A)、(B)および(C)それぞれを含む粉末3〜25mgを動作あたり送達するために採用される、複数回投与乾燥粉末吸入器のリザーバーから投与するための乾燥粉末である医薬組成物である。
【0073】
さらに好ましい本発明の態様において、本発明の医薬は、上記(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)、(B)および(C)それぞを、上記プロペラント中に、所望により上記界面活性剤および/または充填剤および/またはエタノールのような、(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の単位用量の(A)、単位用量の(B)および単位用量の(C)それぞれ、または(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の単位用量の(A)の既知のフラクション、単位用量の(B)の既知のフラクションおよび単位用量の(C)の既知のフラクションを含むエアロゾルを動作あたりある量で送達するために採用される定量吸入器から投与するのに適した共溶媒と共に含む、エアロゾルである医薬組成物である。したがって、例えば吸入器が(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)、(B)および(C)それぞれの単位用量の半分を動作あたり送達するとき、単位用量を吸入器の2回動作によって投与することができる。
【0074】
上記にしたがって、本発明はまた、上記定義の(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)、(B)および(C)それぞれを別個の、(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)、(B)および(C)それぞれを有効量で投与するのに適した単位投与形態で含む医薬キットを提供する。かかるキットは好適にはさらに、(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)、(B)および(C)それぞれの投与のための1個以上の吸入デバイスを含んでいる。例えばキットは、カプセルから乾燥粉末を送達するのに採用される1個以上の乾燥粉末吸入デバイスを、(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の単位用量の(A)を含むカプセル剤、単位用量の(B)を含むカプセル剤および単位用量の(C)を含むカプセル剤それぞれと共に含んでいてもよい。他の例において、キットは(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)を含む乾燥粉末をそのリザーバーに含む複数回投与乾燥粉末吸入デバイス、(B)を含む乾燥粉末をそのリザーバーに含む複数回投与乾燥粉末吸入デバイス、および(C)を含む乾燥粉末をそのリザーバーに含む複数回投与乾燥粉末吸入デバイスそれぞれを含んでいてもよい。他の例において、キットは(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(B)を含む乾燥粉末をそのリザーバーに含む複数回投与乾燥粉末吸入デバイス、ならびに(A)および(C)を含む乾燥粉末をそのリザーバーに含む複数回投与乾燥粉末吸入デバイスそれぞれを含んでいてもよい。さらにさらなる例において、キットは(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)をプロペラント中に含むエアロゾルを含む定量吸入器、(B)をプロペラント中に含むエアロゾルを含む定量吸入器および(C)をプロペラント中に含むエアロゾルそれぞれを含む定量吸入器を含んでいてもよい。
【0075】
本発明の医薬は、炎症性または閉塞性気道疾患の処置に有利であり、気管支拡張および抗炎症性特性に高い効果を示す。例えば、本発明の組合せ療法を用いることによって、所定の治療効果に必要なコルチコステロイドの投与量を、コルチコステロイド単一での処置に用いる必要があるものと比較して減少することが可能であり、したがって可能性のある望ましくない副作用を最小限にすることができる。とりわけ、これらの組合せ剤は、とりわけ(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)、(B)および(C)それぞれが同じ組成物であるとき、高い抗炎症効果の達成をより容易とし、(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)および(B)それぞれと混合して用いるとき所定の効果に必要なコルチコステロイドの量を減少することができ、したがって炎症性または閉塞性気道疾患の処置に含まれるステロイドの反復曝露に起因する望ましくない副作用のリスクを減少することができる。さらにまた、本発明の組合せを用いることによって、とりわけ(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)、(B)および(C)それぞれを含む組成物を用いることによって、急速な作用の発生および長期の作用を有する医薬を製造することができる。さらに、かかる組合せ療法を用いることによって、肺フラクションにおける顕著な改善をもたらす医薬を製造することができる。他の局面において、本発明の組合せ療法を用いることによって、閉塞性もしくは炎症性気道疾患の効果的な調節、またはかかる疾患の増悪の減少を提供する医薬を製造することができる。さらなる局面において、(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)、(B)および(C)それぞれを含む本発明の組成物を用いることによって、短時間作用救急医薬、例えばサルブタモールまたはテルブタリンでの処置における必要を減少または削除する医薬を製造することができ;したがって(グループI)、(グループII)、(グループIII)または(グループIV)の(A)、(B)および(C)それぞれを含む本発明の組成物に基づく医薬は単一医薬での閉塞性または炎症性気道疾患の処置を容易にする。
【0076】
本発明による炎症性または閉塞性気道疾患の処置は、対症的または予防的処置であってもよい。本発明を適用することができる炎症性または閉塞性気道疾患には、内因性(非アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息のいずれもを含むあらゆるタイプまたは起源の喘息、軽度の喘息、中度の喘息、重度の喘息、気管支喘息、運動誘発性喘息、職業性喘息および細菌感染によって誘導される喘息が含まれる。喘息の処置は、例えば喘鳴症状を示し、そして「喘鳴小児」と診断されたもしくは診断される可能性があり、主要な医学的関心事項として確立された患者カテゴリーであり、そして現在ではしばしば初期または早期喘息と定義される4または5歳未満の対象の処置を含むことが理解される。(簡便さのため、この特定の喘息状態を「小児喘鳴症候群」と称する。)
【0077】
喘息の処置における予防効果は、例えば急性喘息の症状発病または気管支収縮発作の頻度または重症度減少、肺機能の改善または気道過反応性の改善によって示される。これはさらに、他の対症療法、すなわち症状発病が起こったとき、その限定または停止のためのまたはそれを意図する治療によって必要とされる、例えば抗炎症剤(例えばコルチコステロイド)または気管支拡張剤を減少することによって示され得る。喘息の予防効果は、とりわけ、「モーニング・ディッピング(morning dipping)」の傾向がある対象において明確であり得る。「モーニング・ディッピング」は、実質的な割合の喘息において共通であり、例えばおおよそ朝4〜6時、すなわち喘息の症状治療の直前の投与から通常実質的に離れた時点での喘息発症によって特徴付けられる喘息症候群と理解される。
【0078】
他の炎症性または閉塞性気道疾患および本発明が適用可能である状態には、急性肺損傷(ALI)、成人/急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患、気道疾患もしくは肺疾患(COPD、COADもしくはCOLD)、例えば慢性気管支炎もしくはそれに関連する呼吸困難、肺気腫、ならびに他の薬剤療法、とりわけ他の吸入薬剤療法の結果としての気道過活動の増悪が含まれる。本発明はまた、例えば急性、アラキン酸性、カタル性、クループ性、慢性もしくは結核性気管支炎を含むあらゆるタイプまたは起源の気管支炎の処置に適用可能である。本発明を適用可能なさらなる炎症性または閉塞性気道疾患には、気管支拡張症、あらゆるタイプおよび起源の塵肺症(炎症性、通常職業性肺疾患、これはしばしば慢性または急性であろうと、気道閉塞を伴い、粉塵の反復吸入によって発症する)、例えばアルミニウム肺症、炭粉沈着症、石綿肺症、石肺症、嚢胞性線維症、ダチョウ塵肺症、鉄沈着症、珪肺症、タバコ症および綿肺症が含まれる。
【0079】
本発明を下記実施例によって説明する。
【実施例】
【0080】
実施例
化合物A1
記載の(R)−3−(2−ヒドロキシ−2,2−ジフェニル−アセトキシ)−1−(イソキサゾール−3−イルカルバモイル−メチル)−1−アゾニア−ビシクロ−[2.2.2]オクタンブロマイド(キヌクリジン)または((R)−3−((R)−2−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトキシ)−1−(イソキサゾール−3−イルカルバモイルメチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンを、WO 2004/096800およびWO 2006/048225に記載の方法を用いて製造する。
化合物B1
米国特許第3,994,974号または米国特許第5,684,199糖に記載のフォルモテロールフマレート2水和物。
化合物C1
モメタゾンフロ酸エステル
この化合物を、US 4472393に記載の方法を用いて製造する。
【0081】
実施例1−60
US 3991761およびEP 1270034に記載されているようなカプセル吸入器に使用するのに好適なゼラチンカプセルを製造し、各カプセルは平均粒子径1〜5μmに摩砕した化合物A1、化合物B1および化合物C1と、平均粒子径300μm未満のラクトース1水和物を、下記表1に示す量で混合して得た乾燥粉末を含む:
【表1】

【表2】

【0082】
実施例57−98
W0 97/20589に記載の複数回投与乾燥粉末吸入器のリザーバーから送達するのに好適な乾燥粉末を、平均粒子径1〜5μmに摩砕した化合物A1、化合物B1および化合物C1と、平均粒子径300μm未満のラクトース1水和物を、下記表2に示す量で混合して製造する:
【表3】

【表4】

【0083】
実施例99−126
WO 05/37353に記載の複数回投与乾燥粉末吸入器の前定量単位またはブリスターから送達するのに好適な乾燥粉末を、平均粒子径1〜5μmに摩砕した化合物A1、化合物B1および化合物C1と、平均粒子径300μm未満のラクトース1水和物を、下記表3に示す量で混合して製造する:
【表5】

【0084】
実施例127−171
W0 97/20589に記載の複数回投与乾燥粉末吸入器のリザーバーから送達するのに好適な乾燥粉末を、平均粒子径1〜5μmに摩砕した化合物A1、化合物B1および化合物C1と、平均粒子径300μm未満のラクトース1水和物を、表2に示すとおりであるが、0.5重量%のステアリン酸マグネシウムを加えた量で混合して製造する。
【0085】
実施例172−201
W0 97/20589に記載の複数回投与乾燥粉末吸入器のリザーバーから送達するのに好適な乾燥粉末を、平均粒子径1〜5μmに摩砕した化合物A1、化合物B1および化合物C1と、平均粒子径300μm未満のラクトース1水和物を、表3に示すとおりであるが、1重量%のステアリン酸マグネシウムを加えた量で混合して製造する。
【0086】
実施例202−210
エアロゾル製剤を、微粉化有効成分化合物A1、化合物B1および化合物C1、および所望により、充填剤としてラクトースを、バイアル中で調剤し、定量バルブでバイアルを密封し、エタノール/プロペラント混合物および所望により界面活性剤をバイアルに、バルブを通じて注入し、そしてバイアルを超音波力に付して固体粒子を分散させることによって製造する。使用する成分および量は、下記表4に示すとおりであり、OAはオレイン酸を意味する:
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症性または閉塞性気道疾患の処置において同時、逐次または個別に投与するための医薬であって、
(A)グリコピロリニウム塩;
(B)サルメテロールおよびフォルモテロールから選択されるベータ−2アドレナリン受容体アゴニスト、またはその薬学的に許容される塩;および
(C)フルチカゾンプロピオネート、4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸(6S,9R,10S,11S,13S,16R,17R)−6,9−ジフルオロ−17フルオロメチルスルファニルカルボニル−11−ヒドロキシ−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イルエステル、フラン−2−カルボン酸(6S,9R,10S,11S,13S,16R,17R)−6,9−ジフルオロ−17−フルオロメチルスルファニルカルボニル−11−ヒドロキシ−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イルエステルおよびブデソニドから選択されるコルチコステロイド;
を個別にまたは一体として含む医薬。
【請求項2】
炎症性または閉塞性気道疾患の処置において同時、逐次または個別に投与するための医薬であって、
(A)塩または双性イオン形態の式I
【化1】

〔式中、
およびRは各々独立して、C−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環であるか、
または−CRは一体となって式
【化2】

{式中、Rは結合、O−、−S−、−CH−、−CH=CH−、−CH−CH−、アミノまたは−N(CH)−であり;
は水素、ハロ、ヒドロキシ、C−C−アルコキシまたは所望によりヒドロキシで置換されたC−C−アルキルである}
の基を形成し;
は−NHR、−NR−CO−R、−NR−CO−NH−R、−NR−SO−R、−CO−NR10、−OR11、−O−CO−NHR12、−O−CO−R13もしくは−CO−O−R14で置換されたC−C−アルキルであるか、
またはRは所望によりC−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、もしくは窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環で置換されたC−C10−アルキニルであり;
は水素またはC−C−アルキルであり;
はC−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C10−アルキニルまたはC−C−アルコキシであり、各場合において所望によりC−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環で置換されているか、
またはRはC−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環であり;
はC−C15−炭素環式基またはC−C15−芳香族性炭素環式基であり;
はC−C15−炭素環式基またはC−C15−芳香族性炭素環式基であり;
は水素またはC−C−アルキルであり;
10は水素、所望によりシアノ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、C−C−アルコキシ、C−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環で置換されたC−C−アルキルであるか、
またはR10はC−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環であり;
11は水素、C−C−アルキル、C−C−アルキル−C−C−アルコキシまたはC−C−アルキル−O−R15であり;
12はC−C15−炭素環式基またはC−C15−芳香族性炭素環式基であり;
13はC−C−アルキルまたはC−C15−炭素環式基またはC−C15−芳香族性炭素環式基であり;
14は水素、C−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C−アルケニル、または所望によりC−C15−炭素環式基またはC−C15−芳香族性炭素環式基で置換されたC−C−アルキルであり;
15はC−C15−炭素環式基またはC−C15−芳香族性炭素環式基であり;そして
各C−C15−炭素環式基は所望により、ハロ(例えばフルオロ、クロロもしくはブロモ)、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、C−C−アルキル(例えばメチルもしくはエチル)、ハロ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、−SONH2、−C15−炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環で置換されており、そして各C−C15−芳香族性炭素環式基は所望により、ハロ(例えばフルオロ、クロロもしくはブロモ)、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、C−C−アルキル(例えばメチルもしくはエチル)、ハロ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、−SONH、C−C15−炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環で置換されている〕
の化合物;
(B)サルメテロールおよびフォルモテロールから選択されるベータ−2アドレナリン受容体アゴニスト、またはその薬学的に許容される塩;および
(C)フルチカゾンプロピオネート、4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸(6S,9R,10S,11S,13S,16R,17R)−6,9−ジフルオロ−17フルオロメチルスルファニルカルボニル−11−ヒドロキシ−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イルエステル、フラン−2−カルボン酸(6S,9R,10S,11S,13S,16R,17R)−6,9−ジフルオロ−17−フルオロメチルスルファニルカルボニル−11−ヒドロキシ−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イルエステルおよびブデソニドから選択されるコルチコステロイド;
を個別にまたは一体として含む医薬。
【請求項3】
炎症性または閉塞性気道疾患の処置において同時、逐次または個別に投与するための医薬であって、
(A)グリコピロリニウム塩;
(B)サルメテロールおよびフォルモテロールから選択されるベータ−2アドレナリン受容体アゴニスト、またはその薬学的に許容される塩;および
(C)モメタゾンフロ酸エステルおよび式II
【化3】

〔式中、Tは環系に3〜15個の原子を有する1価環状有機基である〕
の化合物から選択されるコルチコステロイド;
を個別にまたは一体として含む医薬。
【請求項4】
炎症性または閉塞性気道疾患の処置において同時、逐次または個別に投与するための医薬であって、
(A)塩または双性イオン形態の式I
【化4】

〔式中、
およびRは各々独立して、C−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環であるか、
または−CRは一体となって式
【化5】

{式中、
Rは結合、−O−、−S−、−CH−、−CH=CH−、−CH−CH−、アミノまたは−N(CH)−であり;
は水素、ハロ、ヒドロキシ、C−C−アルコキシまたは所望によりヒドロキシで置換されたC−C−アルキルである}
の基を形成し;
は−NHR、−NR−CO−R、−NR−CO−NH−R、−NR−SO−R、−CO−NR10、−OR11、−O−CO−NHR12、−O−CO−R13もしくは−CO−O−R14で置換されたC−C−アルキルであるか、
またはRは所望によりC−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、もしくは窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環で置換されたC−C10−アルキニルであり;
は水素またはC−C−アルキルであり;
はC−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C10−アルキニルまたはC−C−アルコキシであり、各場合において所望によりC−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環で置換されているか、
またはRはC−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環であり;
はC−C15−炭素環式基またはC−C15−芳香族性炭素環式基であり;
はC−C15−炭素環式基またはC−C15−芳香族性炭素環式基であり;
は水素またはC−C−アルキルであり;
10は水素、所望によりシアノ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、C−C−アルコキシ、C−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環で置換されたC−C−アルキルであるか、
またはR10はC−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環であり;
11は水素、C−C−アルキル、C−C−アルキル−C−C−アルコキシまたはC−C−アルキル−O−R15であり;
12はC−C15−炭素環式基またはC−C15−芳香族性炭素環式基であり;
13はC−C−アルキルまたはC−C15−炭素環式基またはC−C15−芳香族性炭素環式基であり;
14は水素、C−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C−アルケニル、または所望によりC−C15−炭素環式基またはC−C15−芳香族性炭素環式基で置換されたC−C−アルキルであり;
15はC−C15−炭素環式基またはC−C15−芳香族性炭素環式基であり;そして
各C−C15−炭素環式基は所望により、ハロ(例えばフルオロ、クロロもしくはブロモ)、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、C−C−アルキル(例えばメチルもしくはエチル)、ハロ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、−SONH2、−C15−炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環で置換されており、そして各C−C15−芳香族性炭素環式基は所望により、ハロ(例えばフルオロ、クロロもしくはブロモ)、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、C−C−アルキル(例えばメチルもしくはエチル)、ハロ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、−SONH、C−C15−炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環で置換されている〕
の化合物;
(B)サルメテロールおよびフォルモテロールから選択されるベータ−2アドレナリン受容体アゴニスト、またはその薬学的に許容される塩;および
(C)モメタゾンフロ酸エステルおよび式II
【化6】

〔式中、Tは環系に3〜15個の原子を有する1価環状有機基である〕
の化合物から選択されるコルチコステロイド;
を個別にまたは一体として含む医薬。
【請求項5】
コルチコステロイドがフルチカゾンプロピオネートである、請求項1または2に記載の医薬。
【請求項6】
コルチコステロイドがブデソニドである、請求項1または2に記載の医薬。
【請求項7】
コルチコステロイドがモメタゾンフロ酸エステルである、請求項3または4に記載の医薬。
【請求項8】
コルチコステロイドが式IIの化合物である、請求項3または4に記載の医薬。
【請求項9】
式IIの化合物において、Tが1もしくは2個の環窒素原子を含む6員ヘテロ環式環を有するヘテロ環式芳香族性基、非置換であるか、またはハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、C−C−アシルオキシ、アミノ、C−Cアルキルアミノ、ジ−(C−C−アルキル)アミノ、C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、ハロ−C−C−アルキルC−C−アルコキシもしくはC−C−アルキルチオから選択される1または2個の置換基で置換されたヘテロ環式環、および所望によりベンゼン環と縮合したヘテロ環式環である、請求項8に記載の医薬。
【請求項10】
式IIの化合物において、Tが5−メチル−2−チエニル、N−メチル−2−ピロリル、シクロプロピル、2−フリル、3−メチル−2−フリル、3−メチル−2−チエニル、5−メチル−3−イソオキサゾリル、3,5−ジメチル−2−チエニル、2,5−ジメチル−3−フリル、4−メチル−2−フリル、4−(ジメチルアミノ)フェニル、4−メチルフェニル、4−エチル−フェニル、2−ピリジル、4−ピリミジルまたは5−メチル−2−ピラジニルであるか、または記載の16−メチル基がベータコンホメーションを有し、そしてRがシクロプロピルである、請求項9に記載の医薬。
【請求項11】
式IIの化合物が3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸(6S,9R,10S,11S,13S,16R,17R)−9−クロロ−6−フルオロ−11−ヒドロキシ−17−メトキシカルボニル−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ−[a]フェナントレン−17−イルエステルである、請求項10に記載の医薬。
【請求項12】
医薬組成物が有効量の(A)、(B)および(C)の混合物を、所望により少なくとも1種の薬学的に許容される担体と共に含む、請求項1、2、3または4のいずれかに記載の医薬。
【請求項13】
(A)が遊離形または塩形もしくは溶媒和物形の式I
〔式中、RおよびRが各々独立して、C−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族性炭素環式基、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環であり;
がヒドロキシルであり;
が−CO−NR10で置換されたC−C−アルキルであり;
が水素またはC−C−アルキルであり;そして
10が窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環であり;
各C−C15−炭素環式基が所望により、ハロ(例えばフルオロ、クロロもしくはブロモ)、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、C−C−アルキル(例えばメチルもしくはエチル)、ハロ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、−SONH2、−C15−炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環で置換されており、そして各C−C15−芳香族性炭素環式基が所望により、ハロ(例えばフルオロ、クロロもしくはブロモ)、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、C−C−アルキル(例えばメチルもしくはエチル)、ハロ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、−SONH、C−C15−炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する4−12員ヘテロ環式環で置換されている〕
の化合物である、請求項2または4に記載の医薬。
【請求項14】
(A)が(R)−3−(2−ヒドロキシ−2,2−ジフェニル−アセトキシ)−1−(イソキサゾール−3−イルカルバモイル−メチル)−1−アゾニア−ビシクロ−[2.2.2]オクタンブロマイド(キヌクリジン)または((R)−3−((R)−2−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトキシ)−1−(イソキサゾール−3−イルカルバモイルメチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンである、請求項2または4に記載の医薬。
【請求項15】
グリコピロリニウム塩がラセミ体またはジアステレオマーの混合物である、請求項1または3に記載の医薬。
【請求項16】
グリコピロリニウム塩が単一のエナンチオマーである、請求項15に記載の医薬。
【請求項17】
グリコピロリニウム塩がグリコピロリニウムブロマイドである、請求項16に記載の医薬。
【請求項18】
グリコピロリニウム塩が(3S,2’R)−3−[(シクロペンチル−ヒドロキシフェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイドまたは(3R,2’R)−3−[(シクロペンチル−ヒドロキシフェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイドである、請求項17に記載の医薬。
【請求項19】
グリコピロリニウム塩が(3S,2’R/3R,2’S)−3−[(シクロペンチル−ヒドロキシフェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイドである、請求項18に記載の医薬。
【請求項20】
吸入形態であり、そして
(i)プロペラントの溶液または分散剤に(A)、(B)および(C)の混合物を含むエアロゾル;
(ii)プロペラントの溶液または分散剤に(A)を含むエアロゾルと、プロペラントの溶液または分散剤に(B)を含むエアロゾルおよびプロペラントの溶液または分散剤に(C)を含むエアロゾルの混合物;
(iii)水性、有機性または水性/有機性媒体中の(A)、(B)および(C)の分散剤を含む噴霧化組成物;または
(iv)水性、有機性または水性/有機性媒体中の(A)の分散剤と、水性、有機性または水性/有機性媒体中の(B)の分散剤および水性、有機性または水性/有機性媒体中の(C)の分散剤の組合せ剤
である、請求項1〜19のいずれかに記載の医薬。
【請求項21】
(A)、(B)および(C)が、良好に分散した(A)、(B)および(C)と所望により少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む乾燥粉末としての吸入形態で存在する、請求項1〜19のいずれかに記載の医薬。
【請求項22】
(A)、(B)および(C)が10μmまでの平均粒子径を有する、請求項20または21に記載の医薬。
【請求項23】
単位用量の(A)、単位用量の(B)および単位用量の(C)、ならびにカプセルあたりの乾燥粉末の総重量を5mg〜50mgとする量の薬学的に許容される担体を含む、カプセル中の乾燥粉末;または
プロペラント中に(A)、(B)および(C)を、所望により界面活性剤および/または充填剤および/または単位用量の(A)、単位用量の(B)および単位用量の(C)、もしくは単位用量の(A)の既知のフラクション、単位用量の(B)の既知のフラクションおよび単位用量の(C)の既知のフラクションを含むエアロゾルを動作あたりある量で送達するために採用される定量吸入器から投与するのに適した共溶媒と共に含む、エアロゾル
である、請求項1〜19のいずれかに記載の医薬。
【請求項24】
炎症性または閉塞性気道疾患の処置において(A)、(B)および(C)の同時、逐次または個別投与によって組合せ療法する医薬の製造における、請求項1〜19のいずれかに定義の(A)、(B)および(C)の使用。
【請求項25】
喘息または慢性閉塞性肺疾患の処置における、請求項1〜19のいずれかに定義の(A)、(B)および(C)の使用。
【請求項26】
有効量の(A)、(B)および(C)の投与に好適な個別の単位投与形態における、請求項1〜19のいずれかに定義の(A)、(B)および(C)を、(A)、(B)および(C)の投与用の1種以上の吸入デバイスと共に含む医薬キット。
【請求項27】
実質的に本明細書の実施例のいずれかに記載の、炎症性または閉塞性気道疾患の処置において同時、逐次または個別投与のための、請求項1、2、3または4に定義の(A)、(B)および(C)を個別にまたは一体として含む医薬。
【請求項28】
ステアリン酸マグネシウムをさらに含む、請求項12に記載の医薬。
【請求項29】
ベータ−2アドレナリン受容体アゴニストがサルメテロールまたはその薬学的に許容される塩である、請求項1、2、3または4に記載の医薬。
【請求項30】
ベータ−2アドレナリン受容体アゴニストがフォルモテロールまたはその薬学的に許容される塩である、請求項1、2、3または4に記載の医薬。

【公表番号】特表2010−501627(P2010−501627A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526092(P2009−526092)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058972
【国際公開番号】WO2008/025787
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】