説明

炎症症状を処置するための炭の使用

本発明は、炎症性腸疾患以外の、及び腎臓内間質性又はその他の炎症以外の炎症症状に対し、処置するための、経口組成物の製造における炭の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症性腸疾患以外の、及び腸又は腎臓内の他の炎症以外の炎症症状を処置するための経口組成物の製造における炭の使用に関する。本発明は、又、追加の抗炎症剤と組み合わせた炭を構成成分とする薬剤組成物に関する。本発明は、さらに炎症症状を処置するため、追加の抗炎症剤と組み合わせた炭を構成成分とする薬剤組成物、及び、炎症性腸疾患以外の、及び腸又は腎臓内の他の炎症以外の炎症症状を処置する方法であって、炭の経口投与を具える方法にも関する。
【0002】
炎症とは、組織障害及び感染症に対する免疫システムの防御反応である。しかしながら、ある状況においては、炎症反応は身体にダメージを与えることがある。急性期の炎症は、痛み、熱、赤み、腫れおよび機能損失という特性をもつ。世界の何百万人もの人々が、様々な炎症症状に侵されている。重要な炎症症状として、リウマチ性関節炎がある。リウマチ性関節炎は、人口の0.5乃至1%の人々に影響を与えている。この疾病の特性は、関節の炎症であり、関節機能の進行性の衰弱をもたらし、痛み、能力障害、力の喪失を引き起こし、余命を短くすることである。多発性硬化症、ループス、アテローム性動脈硬化症及び心臓血管の疾患も、重要な炎症症状である。主として脳マラリアを含む、重度のマラリアの様々な症状によって、体内で炎症経路構成部分が過剰にできる。熱帯熱マラリア原虫(マラリアの感染源)によって、アフリカでは毎年、4百万乃至6百万人が命に関わる重度のマラリアに感染し、百万人以上の子供たちが死亡している。マラリアの症状を緩和/制御する手段が非常に求められている。さらに、最近の調査では、癌が重要な炎症成分を有している可能性が示唆されている。
【0003】
現在の炎症症状の処置には、多くの不利点があり、高価であり、および/または深刻な副作用を有している。現在、デキサメタゾンなどのステロイドが炎症症状の処置に広く使われている。ステロイドによる処置は効果的ではあるが、多くの深刻な副作用がある。これらの副作用には、高血圧、若い患者の発育不全、骨粗しょう症、白内障、精神病、血糖値の上昇、緑内障等が含まれる。さらに、ステロイドの長期の使用によって、患者によっては耐性がついてしまう。
【0004】
現在使用されている新しい代替的な炎症症状の処置は、抗体及び可溶性受容体などの生物製剤に基づいている。これらの中で最も広く使用されているのは、抗体及び可溶性受容体を中和して腫瘍壊死因子(TNF)機能をブロックすることに基づくものである。このタイプの抗TNF治療は、有意に臨床上の有益性を示す患者の実質的な割合(およそ3分の1乃至4分の1)について複数の疾患の処置に成功している。しかしながら、これは非常に高額であり、患者または保健医療制度のどちらか又は両方にかなりの財政的負担がかかる。先進国の一部の患者及び発展途上国の多くの患者には、この処置の費用を負担する経済力がない。さらに、抗TNF治療の副作用として、アナフィラキシー、血球減少症及び感染症に対する感染性が増大する可能性がある。現在では、抗TNF薬は経口的に服用することができず、これは不利な点といえる。
【0005】
別の種類の薬剤には、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDS)がある。これらの薬剤の一例としては、メトトレキサートや抗代謝薬があり、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、乾癬の処置に広く使用されている。メトトレキサートはこれらの疾病の処置に成功しているが、重度の皮膚反応などのかなりの副作用、肺炎などの感染症、肝臓、腎臓、肺及び胃腸管に重大な損傷を引き起こしてしまうこともある。
【0006】
又、DMARD製剤の多くは、金を含んでおり、炎症症状、特にリウマチ性関節炎の処置にも使用されている。この薬剤の例として、金チオリンゴ酸ナトリウム及びオーラノフィンなどがある。抗炎症金製剤を用いた処置の潜在的な副作用として、口腔潰瘍、味覚変化、重大な皮膚発疹、腎臓の問題、腸の炎症(腸炎)、肝臓損傷、及び肺疾患がある。さらに、患者に金の耐性がついてしまうことが知られている。
【0007】
さらなる種類の薬剤として、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID’s)がある。これらは、症状を軽減するために使用されており、Cox2阻害剤「VIOXX(登録商標)」(Merck&Co.,Incの登録商標)及び「CELEBREX(登録商標)」(G.D.Searle&Coの登録商標)が含まれる。
【0008】
効能が十分ではなくなってしまい、耐性や容認できない副作用が生じて、現在ある処置には費用がかかることから、炎症症状に対する代替の処置を見いだすことが非常に求められている。
【0009】
炭は、特殊なタイプの毒及び血液の過剰投与に対する緊急の処置に使用するものとして公知である。炭は、腸内ガス(鼓腸)、下痢、胃潰瘍の痛みなどの消化系の病状の処置にも使用される。
【0010】
炎症性腸疾患の処置に炭を使用する研究がある。米国第5,554,370号は、炎症性腸疾患の患者に対する球形活性炭の経口投与による処置方法を記載している。米国第5,554,370号では、処置する組織と炭を直接に接触させた使用を記載している。この炭は、局所的に作用している。
【0011】
間質性炎症を含む腎臓内の疾患を緩和するために炭を使用する研究がある。Aoyama l.、Stimokata K.、及びNiwa T.は、Neptron、2002年第92巻:635頁乃至651頁で、炭を使用することで腎不全の進行を遅らせると述べている。この文書に記載された使用(ラットモデルのみ)では、炭は、インドキシル硫酸などの尿毒症毒素の除去作用を有しており、間質性炎症の発症を改善している。インドキシル硫酸はインドールの代謝生産物であり、インドールは腸管内菌叢によって生成される。炭によって腎臓の炎症が緩和される機構によれば、インドールが代謝されてインドキシル硫酸なって体内に吸収される前に、腸内で吸収されることを、この研究報告書は示唆するものである。
【0012】
炭は、様々な血液環流処置に使用されている。このタイプの処置には、敗血症又は敗血症性ショックの処置用に体内から血液を除去して炭を通してその血液を循環させて、毒、薬等を除去するようにしている。炭を使用した血液環流処置は、リウマチ性関節炎に対しても研究されている(Martynov他、1992、Ter Arkh.64(7):103−7)。この文書は、炭を経口的に服用してもリウマチ性関節炎の処置に効果的であることを示唆するものではない。実際、この研究報告の著者が、経口投与した炭をリウマチ性関節炎の処置に使用できると考える何らかの理由を有していたとしても、血液環流への炭の使用について追求していない。これは、血液環流は、薬剤の経口投与よりも患者にとってかなり外傷性があるためである。さらに、血液環流は高価であり、設備及び有資格医療関係者を必要とする。このMartynov他の研究報告によれば、リウマチ性関節炎の作用要因は血液中にあり、望ましい効果を得るためには、炭に血液を直接接触させなければならないことを教示している。
【0013】
マラリアの処置は世界的な目的である。重度のマラリアに関する病態生理学の基礎は、これから十分に規定されていくであろうが、疾病の炎症性サイトカインの役割について議論がある。効果的なマラリアに対する薬が増えているにも関わらず、サイトカインの過剰生成によって誘発される代謝変化の悪循環を断つことに成功していないことが、観察されている高死亡率に大きく寄与している。概して、個々のサイトカイン、特にTNFを対象として生存率を改善しようとする試みはほとんど成功していないのである。
【0014】
重度の敗血症は、先進国の死因の第3位であり、やはりサイトカインの過剰発現によって調節されるが、抗TNF治療、及び特定のサイトカインを対象とする他の方略が効果的であることは、臨床試験においてこれから証明していかなければならない。
【0015】
本発明の第1態様は、炎症性腸疾患以外の、及び腎臓内間質性又はその他の炎症以外の炎症症状の処置用の経口組成物の製造に炭を使用することを提供している。炎症性腸疾患とは、腸炎に関する総称である。この組成は好ましくは薬剤である。
【0016】
特に、炭は、自己免疫炎症症状、特にリウマチ性関節炎(若年性リウマチ性関節炎を含む)、乾癬性関節炎、循環器疾患、緑内障、サルコイドーシス、子宮内膜症、多発性硬化症、強直性脊椎炎、アテローム性動脈硬化、ループス、乾癬、糸球体腎炎;マラリアの炎症症状、特に脳マラリアを含むマラリア(重度のマラリアでもよい);癌に関連する炎症;特に重症急性呼吸器症候群(SARS)、インフルエンザ、特に炎症を引き起こすインフルエンザ、慢性ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の肺の炎症疾患;マラリア、インフルエンザと細菌性及びウィルス性感染、敗血症、内毒素血症などの他の感染を含む炎症に関連する感染;および/またはやけど、傷、腫れ損傷、及び術後の炎症を含む(空気嚢によって実証された)外傷に関連する炎症などの炎症症状を処置するために有用である。
【0017】
本発明によると、炭を使用して、同時に又は異なる時に、炎症症状又は複合炎症症状いずれかを処置することができる。
【0018】
使用する炭の種類に制限はない。炭は活性炭であることが好ましい。活性炭はクリニカルグレードであることが好ましい。
【0019】
一般に、活性炭は、およそ1000℃の無酸素状態中で炭を蒸気で加熱することによって作られる。この処理によって、残留している炭素でない元素を除去して、非常に表面積の広い内部多孔性微細構造を作り出す。一般に、細孔半径80Å以下の範囲において規定される活性炭の粒径は0.05乃至2mmであり、比表面積は500乃至2000m/gであり、比細孔容積は0.2乃至2.0ml/gである。
【0020】
炭は不活性で無害な構造を有しており、既知の副作用がなく、経口的に服用できる。さらに、炭は、対象の免疫システムを抑制しないので、この主題を感染症を起こしやすくしない。
【0021】
本発明では、炭を含有する薬剤が経口的に投与される。経口投与の効果は、系統的なものであると理解される。この結果、炭は、炭と直接的に接触しない身体部分を苦しめている炎症症状の処置に効果的である。これは特に、従来技術が教示している見解からは驚くべきことである。
【0022】
一回分の炭の投与量は、0.25g乃至100gであることが好ましい。一回の投与が有効なこともあり、又は一回以上の投与を必要とすることもある。投与は、一日一回でもよく、一日一回以上、毎週、又は毎月一回でもよい。薬剤の構成成分中の炭の含有量は、当該構成成分の1乃至100wt.%の間であればよい。
【0023】
本発明の特に有利な点は、炎症症状の処置に利用可能な現在の多くの治療薬と比較して炭は非常に安価であり、既知の容認できない程の副作用がないことである。
【0024】
重度のマラリアなどの命にかかわる病気の処置は急務であり、臨床使用に迅速に利用できるため炭の応用は特に有用である。
【0025】
炭を含む薬剤は、追加の抗炎症剤と併せて使用できる。炭と他の抗炎症剤は、同時に、別々に、および/または順次に投与できる。炭は、別の薬剤と併用して、追加的に又は相乗的に作用する。
【0026】
その他の抗炎症剤とは、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、生物剤(生物製剤)、ステロイド、免疫抑制剤、サリチル酸塩および/または殺菌剤をいうことができる。非ステロイド抗炎症剤は、抗代謝剤(メトトレキサートを含む)及び抗炎症金製剤(オーラノフィンなどの金チオリンゴ酸ナトリウム、金チオリンゴ酸又は金塩を含む)を含む。生物製剤は、抗TNF薬剤(アダリムマブ 、エタネルセプト、インフリキシマブ、抗IL1試薬、抗IL6試薬、抗Bセル試薬(レトキシマブ)、抗Tセル試薬(抗CD4抗体)、抗IL15試薬、抗CLTA4試薬、抗RAGE試薬)、抗体、可溶性受容体、タンパク質結合受容体、タンパク質結合サイトカイン、機能を変化させるもしくは弱らせる変異タンパク質、RNAi、ポリヌクレオチドアプタマー、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はオメガ3脂肪酸を含む。ステロイドは、コルチゾン、プレドニゾロン又はデキサメタゾンを含む。免疫抑制剤は、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸を含む。サリチル酸塩は、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸コリン及びサリチル酸マグネシウムを含む。殺菌剤は、キニーネ及びクロロキンを含む。
【0027】
追加の抗炎症剤は、適切な投与法、例えば経口投与(口内又は舌下を含む)、局所投与(口内、舌下、経皮を含む)、又は非経口投与(皮下、筋肉、静脈、又は皮内を含む)などの方法で投与する。追加の抗炎症剤を経口的に投与する場合、炭と同じ組成物の一部として投与してもよい。
【0028】
本発明の第2態様は、追加の抗炎症剤と組み合わせた炭を構成成分とする薬剤組成物である。第2態様の組成物は、経口組成物であることが好ましい。
【0029】
本発明の第3態様は、炎症症状を処置するため、追加の抗炎症剤と組み合わせた炭を構成成分とする薬剤組成物である。炎症症状は、炎症性腸疾患以外の、及び腎臓内間質性又はその他の炎症以外の炎症症状でもよい。本発明の第3態様の組成物は、経口組成物であることが好ましい。
【0030】
本発明の第4態様は、炭の経口投与を具える炎症性腸疾患以外の、及び腎臓内間質性又はその他の炎症以外の炎症症状を処置する方法である。本発明の第4態様では、この方法は、処置を必要としている対象又は本発明によって一又はそれ以上の炎症症状に対する感受性(又は素因)が増加していると同定された対象に対し行われる。第4態様の方法では、本発明の炎症症状に対する前記対象の感受性を決定する一又はそれ以上のステップ、あるいは、処置を実行した後の対象をモニタする一又はそれ以上のステップのいずれかを伴う。この対象の感受性は、炎症症状に関連する患者の家族の既往歴について患者から情報を得ることを含む侵襲的又は非侵襲的の診断検査を伴う。処置後の対象のモニタは、侵襲的又は非侵襲的の診断試験でもよい;対象から必要な情報を得ること、又は、下記の情報の一又はそれ以上に関して試験することを含む;痛みのレベル、痛みの緩和レベル、関節の動きやすさ、休んでいる又は運動している間の呼吸のしやすさ、体温レベル、運動能力、嘔吐レベル等。
【0031】
本発明の第1態様に記載した好適な実施形態は、本発明の全ての態様において同様である。
【0032】
本発明による組成は、薬学的に受容可能なキャリアを含む、殺菌、薬剤組成物の一部として提供されてもよい。この薬剤組成物は、いずれかの好適な形である。ユニット式の投与形式で提供されてもよく、一般に、密閉された容器に提供され、キットの一部として提供されても良い。このようなキットには、普通(必須ではないが)使用説明書が含まれている。前記ユニット式投与形を複数含むものでもよい。
【0033】
経口薬剤組成物は、カプセル又は錠剤など;粉又は粒体;液体、シロップ又は懸濁液(水性の又は非水性の液体;又は可食性の泡もしくはホイップ;もしくはエマルジョン)など、個別ユニットにすることができる。錠剤又は硬ゼラチンカプセル用の好適な賦形剤は、ラクトース、コーンスターチ、又はこれらの派生物、これらのステアリン酸又は塩を含む。軟ゼラチンカプセルを使用する好適な賦形剤には、例えば植物油、ワックス、脂肪、半固体又は液体ポリオール等がある。
【0034】
液体及びシロップの調整用に使用できる賦形剤は、例えば水、ポリオール及び糖を含む。懸濁液の調整用には、油(例えば、植物油)を用いて水中油型懸濁液又は油中水型懸濁液を提供することができる。
【0035】
薬剤組成物は、保存剤、溶解補助剤、分解防止剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、着臭剤、塩、緩衝剤、コーティング剤、酸化防止剤を含むことができる。これらはさらに、本発明の抗炎症剤に加えて治療用活性剤を含むことができる。
【0036】
本発明の物質の投与量は、処置する症状、被処置者の健康状態などによって、広い制限の中で変えることができ、医師が使用する適切な投与量を決定できる。投与は、適宜何度繰り返してもよい。
【0037】
本出願に記載した組成物および使用は、人、動物および獣医学的利用を考えている。これらは、哺乳動物、特に人に適用できることが好ましいが、動物、特に羊、牛、豚、鳥、及びやぎ、同様に、コンパニオン・アニマル、特に猫及び犬、そして馬などのスポーツアニマルの生産にも適用できる。
【0038】
本発明において、「処置」の語は、予防処置(すなわち、防止)及び治療処置も含む。ほとんどの状況においては、炎症症状の防止は実行されそうにない。通常は、防止手段を施した対象に炎症症状があると診断されるときだけである。しかしながら、i)著しい炎症症状のある家族の既往症がわかっている場合、又は、試験(例えば遺伝子試験)によって、一又はそれ以上の本発明の炎症症状に対し個人が疾患素因を有していることが特定された場合、又はii)マラリアにかかるリスクの増加など、一又はそれ以上の炎症症状を患うリスクの増加がある場合には、予防処置が適切である。
【0039】
本発明を図面を参照して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明を下記の非限定的な例を参照して述べる。
【0041】
例1
マウスのコラーゲン誘発関節炎(CIA)モデルで炭によるリウマチ性関節炎の処置について研究した。このモデルは、リウマチ性関節炎の実験モデルとして広く用いられている。
【0042】
10週齢の6匹のDBA/1雄マウス(実験1)、又は7匹のDBA/1マウス(実験2及び3)に、100乃至200μgの牛II型コラーゲンと完全フロインドアジュバント(FCA)を単回投与した。DBA/1マウスは関節炎を誘発しやすい。
【0043】
マウスの足を調べて、浮腫及び紅斑によって特徴付けられる関節炎の臨床症状をさがした。臨床症状が観察されて、関節炎の臨床症状発病後、マウスに活性炭400mg/kgを1日及び5日経口的に投与した。このマウスの臨床スコア及び足の厚さ(mm)を測定した。
【0044】
関節炎の臨床症状発病から10日後にマウスを選択して、実験1のマウスの足に組織学的検査を行い、実験1乃至3のマウスの血液に血清学的検査を行った。
【0045】
この結果、3つの実験全てにおいて、未処置および生理食塩水で処置したマウスと比較すると、活性炭を処置したマウスに応答して臨床スコアが減少し、足の厚さ(mm)が減少した(図1乃至6)。
【0046】
実験1のマウスの組織学的プロファイルは、発病して活性炭を処置したマウスの重度の関節侵食率は、発病して未処置のマウスおよび生理食塩水を処置したマウスの半分以下であった(図7)。これは、炭を処置したマウスは炎症損傷に対する防御度が増加したことを示している。
【0047】
さらに、実験1乃至3において、活性炭を処置したマウスの血清抗ウシCIIIgG(総合)レベルは、生理食塩水を処置したマウスよりもかなり低かった(p<0.05 マンホットニーU検定)(図8)。
【0048】
例2
C57BL/6マウスにPlasmodium berghei ANKAの感染によって起こした脳マラリア(CM)モデルを用いた。これは、人間の病気の多くの態様によく認められているモデルであり;前炎症性サイトカインが十分にあり;マウスは中枢神経系(CNS)乳酸アシドーシスを発現し、血液脳関門透過性、麻痺、発作及び死亡が増加して;脳の病理組織が類似している。6乃至8週齢のC57BL/6マウス(20乃至25g)をCharles River Laboratoriesから購入して、水および飼料に自由に接触できるバリア状態に保有した。感染したC57BL/6マウスから得た寄生赤血球10をマウスに静脈注射して感染させて、毎日、痙攣、運動失調、麻痺を含むCMの神経学的徴候を測定した。原虫血症(parasitaemias)は染色した血液塗抹によって決定した。Actidose−Aqua活性炭(0.2g charcoal/ml)はPaddock laboratories,Inc.(Cat#NDC0574−0121−04)から得て、内毒素血症モデルでの初期投与滴定研究およびC57BL/6マウスの既知の自然史に基づいて、感染後3及び5日に130mg Charcoal/kg mouse(生理食塩水100ulで経口的に投与)をマウスに投与した。投与中は、マウスに麻酔状態にする又は鎮静させると、しばしば、気道汚染を起こしてしまうので、これは行わなかった。賦形剤処置した全てのコントロールは、感染後5乃至6日後から痙攣及び運動失調を含む重度の神経学的症状を発現し、その後、急死した。対照的に、活性炭を処置したマウスは、CMの発症に対し非常に抵抗性があった(7日目の生存率は、コントロールマウスでは約20%であるのに対し、約95%の生存率である;図9a)。活性炭を処置した動物の約15%が、なんらかのCMの臨床的症状を発現しただけである。抗マラリア剤を投与せずに、活性炭を処置したマウスは、最終的には超寄生状態になり、おそらく貧血によって死亡した。しかし、活性炭の投与によって、全体の生存時間はかなり延長することができた(図9a χ=19.18 P<<0.00001)。驚くことに、寄生虫血症にもかかわらず、処置した動物の一部は、75%を超えて長期間生存できた(図9b)。CM及びマラリアが誘発する死亡に対するこのレベルでの防御に比較できるような処置は、私達の知るところでは存在しない。
【0049】
活性炭が脳の病理組織を抑制するかどうかを決定するために、脳切片をヘマトキシリン及びエオシンで染色し、オプトエレクトロニクスCCDカメラを具えたZweiss Axiophot顕微鏡を用いて検査した。正常脳と比較して、賦形剤処置した感染したマウスの脳は、寄生赤血球を含む血管周囲の出血を含む脳内障害の徴候を示した。さらに、多くの血管が、広範囲にわたって寄生赤血球から成る血栓によって塞がれていた。対照的に、これらの組織学的変化は、活性炭を処置したマウスには観察されなかった。
【0050】
私達のデータは、活性炭の経口投与がマウスのCMの臨床的及び病理組織的徴候をほとんど完全に抑制することを示している。CMを発現したこれらのマウス(約15%)においても発現が遅れており、炭を処置したマウスの生存に関して、高寄生虫血症による死亡に対してある程度の防御が提供されたことも明らかである。活性炭は代替的処置が即時欠如している場合に第1線の治療を提供できる。重度のマラリアは、急性疾患であり、神経学的徴候を有し、しばしば、96時間以内に発熱する;この時間の多くは、離れた村から診療所への移動に費やされてしまい、結果的に、多くの子供たちは昏睡状態になってしまう。私達の研究によって、感染初期に炭治療を単独で行うことで、生存を著しく延ばすことができ、神経学的続発症を制限できる。さらに、最近の研究では、入院して最初の24時間内の「補助」療法が重度のマラリアに関する死亡率を著しく減少させることが示されている。この状況でも、活性炭はとても有益である。経口活性の炭は、他の特質を有している。これは、付随的にキニーネ毒を含む毒の処置として、何年もの間使用されている。これは十分容認されているもので、安全性プロフィールも十分に立証され、比較的安価であり、投与に専門性を必要としない。長期の保存が可能であり、特に粉状のものは、遠隔の村落で使用するのに非常に適している。結論として、経口の炭は、重度のマラリアの処置用に容易に実施できる治療である。
【0051】
例3
BALB/cマウスに、活性炭200μl(400mg/kg)又は非発熱性生理食塩水200μlを胃内に(intra-gastrically)強制投与した。マウスに、非発熱性生理食塩水50μl中の50HAユニットのインフルエンザウィルスX31を鼻腔内から感染させた。感染している間、マウスを毎日観察して、体重減少を測定した。マウスは、ペントバルビタール3mgの投与(免疫病理の高さに対応して)及び大腿血管の放血によって、感染後7日に死亡させた。
【0052】
上述したように、気管支肺胞洗浄(BAL)液、肺組織、縦隔リンパ節、脾臓及びパイエル板を、各マウスから得た(Hussell,T et al.1996.J.Gen.Virol.77:2447−2455)。簡単には、肺を10mMのEDTAを含むEagle’s Minimum Essential Medium(Sigma)1.5mlで、6倍に膨張させて、氷上に保持し(BAL液)、遠心分離機にかけて、上澄みを移し、10%のFCS、Lグルタミン2mM/ml、ペニシリン50μg/ml、ストレプトマイシン50μg/ml(R10F)を含むRPMI中に1×10cells/mlの細胞ペレットを再度懸濁させた。0.8μmフィルタを用いて固形組織を破壊して、単一細胞懸濁液を得て、赤血球を溶解して、細胞ペレットをR10F中に1×10cells/mlで再度懸濁させた。細胞数を、血球計算器(haemocytometer)及びトリパンブルーエクスクルージョン(trypan blue exclusion)を用いて定量化した。肺組織の単一葉を2%のホルムアルデヒドで固定して、パラフィン包埋した。断片を、H乃至Eで染色した。
【0053】
気管又は肺から得た1×10の細胞を以下の抗体を用いて染色した:1)抗CD45RB−FITC、抗CD103−PE抗CD4−PerCP及び抗CD8−APC、2)抗Ly6G−FITC、抗CD86−PE、抗CD11b−PerCP及び抗CDllc−APC、3)抗CD45RB−FITC、抗FoxP3−PE、抗CD4−PerCP及び抗CD8−APC、4)細胞内サイトカインを検出するために、1×10の細胞をPMA(Sigma−Aldrich)50ng/ml、イオノマイシン(Calbiochem)500ng、及びブレフェルジンA(Sigma)10μg/mlによって、4時間37度でインキュベートした。細胞を、氷上で30分間抗CD4−PerCP及び抗CD8−APCで染色し、洗浄し、それから室温で20分間、2%のホルムアルデヒド中で固定した。細胞を、10分間、1%BSA及び0.1%アジドを含むPBS中の0.5%サポニンを用いて透過化処理した。抗TNF−α−FITC抗IL−4−PEの組み合わせをサポニン緩衝液で希釈して、次いで、細胞に加えた。30分後、細胞をサポニン緩衝液で一度、0.1%アジド及び1%BSAを含むPBSで2度洗浄した。試料を、LSRフローサイトメータ(BD Biosciences)で分析して、少なくとも30,000のリンパ球のデータを収集した。
【0054】
BALの細胞数とインフルエンザに感染させ、生理食塩水及び炭を処置したマウスの肺組織を図10及び11に示す。生理食塩水を処置したマウスと比較して、炭を処置したマウスのBALの細胞数はかなり少ない(図11)。
【0055】
インフルエンザは、炎症を起こす肺への炎症細胞の浸入を誘発する。この結果は、細胞の気管への浸入を炭が抑制して、肺の炎症を抑制することを明らかに示している。
【0056】
例4
マクロファージを誘発したスターチを、新たに準備した1%スターチ液の腹膜内への注射によってDBA/1マウスから得た。マウスには、生理食塩水又は炭(400mg/kg)のどちらかを、4日間のうち1日目と3日目に経口的に強制投与した。マクロファージを、腹腔浸出液細胞群からプラスチック付着細胞として得て、LPS(10ng/ml)の存在する又は存在しない中で培養した。培養上清(supematants)から24時間後に腫瘍壊死因子を採取してサンドイッチELISA法によって分析した。
【0057】
この結果を図12に示す。この結果から、炭の経口的強制投与によって、腹膜マクロファージを誘発したスターチからTNFαの放出を誘導するLPS(リポ多糖類)が減少したことが分かる。
【0058】
例5
炎症媒介蓄積と細胞動員の空気嚢モデルを、DBA/1マウスで行った。マウスには、生理食塩水又は炭(400mg/kg)のどちらかを、経口的に強制投与して、2時間後これらのマウスの空気嚢にザイモサンによる経口的な処置を行い、4時間後、空気嚢浸出液を採取して、各マウスから得た生存細胞を数えた。この結果を図13に示す。この結果から、活性炭の経口的な強制投与によって、炎症部位に侵入する細胞が減少することが分かった。
【0059】
例6
BALB/cマウスに、1日目および/または2日目に、活性炭100μl(400mg/kg)又は非発熱性生理食塩水100μlを胃内に(intra-gastrically)強制投与した。
【0060】
マウスは、0日目に、非発熱性生理食塩水50μl中の50HAユニットのインフルエンザウィルスX31を鼻腔内から感染させた。感染している間、マウスを毎日観察して、体重減少を測定した。マウスは、ペントバルビタール3mgの投与(免疫病理の高さに対応して)及び大腿血管の放血によって、感染後6/7日に死亡させた。
【0061】
上述したように、気管支肺胞洗浄(BAL)液、肺組織は、各マウスから得た(Hussell,T et al.1996.J.Gen.Virol.77:2447−2455)。簡単には、肺を10mMのEDTAを含むEagle’s Minimum Essential Medium(Sigma)1.5mlで、6倍に膨張させて、氷上に保持し(BAL液)、遠心分離機にかけて、上澄みをELISA法によってサイトカインを分析するために収集して、細胞ペレットをカウントするために再度懸濁させた。0.8μmフィルタを用いて固形組織を破壊して、単一細胞懸濁液を得て、赤血球を溶解して、細胞ペレットをカウントするために再度懸濁させた。
【0062】
細胞数を、血球計算器(haemocytometer)及びトリパンブルーエクスクルージョン(trypan blue exclusion)を用いて定量化した。BAL液中のサイトカインをサンドイッチELISA法によって分析した。
【0063】
この結果を図14及び15a、b乃至cに示す。
【0064】
この研究による結論は:
・インフルエンザ感染の1日前又は感染後2日のどちらかで炭を投与すると、肺(炎症部位)へのWBC輸送が減る。
・感染前に炭を与えたマウスは、感染後の体重減少が少ないように見える。
【0065】
例7
最も広く研究されている重度の敗血症の動物モデルは、「盲腸結紮穿刺(cecal ligation and puncture)」(CLP)と呼ばれる外科的処置によって起こる致死多菌性腹膜炎である。ここでは、マウスにCLPを行い、臨床的に達成可能な量の活性炭を経口的に処置した。生存は、賦形剤を処置したコントロールでは30%であったが、活性炭を処置したマウスでは80%に増加した(図16d)。動物は、敗血症の発病後3週間経過して、遅発性の死亡は一切観察されず、従って、炭の経口投与により、持続性のある防御が与えられ、死亡を遅らせるだけではないことが示された。
【0066】
試料及び方法
【0067】
動物
マウスは、6乃至8週齢のBALB/c又はC57BL/6マウス(20乃至25g)であり、Harlan−Sprague−Dawley社から購入し、7日間順応させた。ラット(280乃至300g)は、成熟雄性であり、Charles River Laboratories社から得た。両種は、25℃、12時間明暗サイクルで飼育して、水および適切な飼料に自由に摂食させた。
【0068】
内毒素血症
殺菌、ピロゲンフリーの生理食塩水に濃度5mg/mlで溶解させて、各使用30分(mins)前から超音波で分解したエンドトキシン(Eschericia coli LPS 0111:B4;Sigma)7.5mgを、マウスの腹腔内に注入した。TNF血液測定用に、LPS注入後3又は5時間でマウスを死亡させた。血液は心臓から収集して、室温で2時間凝固させて、1500xgで20分間遠心分離にかけた。血清試料は、分析前は20℃で保存した。生存実験用に、マウスをこのケージへと戻し、死亡するまで又は2週間観察した。血液はLPS投与後様々な回数で収集し、室温で2時間凝固させて、1500xgで20分間遠心分離にかけた。
【0069】
敗血症
臨床的な菌血症及び敗血症の相関作用を誘発するために、Wichman他によって最初に記述された盲腸結紮穿刺(cecal ligation and puncture)法によって、腹膜炎をマウスに引き起こした。ケタミン(100mg/kg、i.m.)及びキシラジン(10mg/kg、i.m.)で動物を麻酔して、腹壁切開を行った。盲腸を回盲弁の接合部で結紮して、末端部を一度22ゲージ針で刺した。この開口を通して、1mm長の便を圧出して、腹膜腔の中へ入れた。盲腸をその正しい位置へ戻して、腹部を閉じた。手術後、各マウスに抗生物質(primazin;皮下注射で0.5mg/kg)及び通常の生理食塩水20ml/kgを皮下注射して与えた。マウスを3週間観察した。
【0070】
炭の経口投与
Actidose−Aqua活性炭(0.2g charcoal/ml)はPaddock laboratories,Inc.(Cat#NDC0574−0121−04)から取得した。濃度範囲を内毒素血症で最初に分析して、濃度依存性の生存率を測定した。炭濃度範囲は、原液から連続希釈した後の水溶液から得た;1/4(50mg Charcoal/ml);1/2(25mg Charcoal/ml)及び1/4(6.25mg Charcoal/ml)。マウス(25g)に、最終濃度範囲200、100乃至25mg Charcoal/kg mouseの溶液100μlを与えた。マウスには、感覚が変わってしばしば気道汚染を引き起こしてしまうので、麻酔又は鎮静させなかった。全ての実験で、炭又は水は、エンドトキシン注入30分(mins)前に投与した。又、炭(100 mg Charcoal/kg mouse)はCLPによって誘発する敗血症でも分析された。マウスを対象として(100又は5 mg Charcoal/kg mouse)、血清中のサイトカインの生成も分析した。
【0071】
この結果を図16(a,b,c乃至d)に示し、経口炭は、血清サイトカインを減らして、致死性内毒素血症及び敗血症に対して防御することを示している。図16(a,b,c乃至d)の詳細は以下の通りである:
【0072】
a エンドトキシン(15mg/kg、i.v.l)を受けたLewisラット(n=5)に、その後すぐに賦形剤(○)又は活性炭25mg/kg(▲)もしくは100mg/kg(◆)を経口的に強制投与した。動物は指定した時に安楽死させて、ELISA法によって血清TNFを測定した。**コントロールマウスと比較して、炭を処置した両方のグループはP<0.05であった。B エンドトキシン(7.5mg/kg、i.p.)を受けたBALB/cマウス(n=30)及びコントロールに、賦形剤(○)又は活性炭25mg/kg(X)、100mg/kg(▲)もしくは200mg/kg(◆)を経口的に強制投与した。生存を120時間以上観察した。**コントロールと比較して、活性炭100又は200mg/kgを処置したグループはP<0.05であった。c 未処置のコントロールマウス又はエンドトキシン15mg/kgを受けたマウス、又は続いて賦形剤(LPS)又は活性炭(LPS+Ch)を受けたマウスを、30時間で出血させて、上述したように定量的血清ブロット法によって、血清HMGB1を測定した。d マウス(n=20per group)に盲腸結紮穿刺をして、コントロール賦形剤(○)又は活性炭100mg/kg(◆)を経口的に強制投与した。生存を120時間以上観察した。**P<0.05、両側ログランク検定。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、例1の実験1において、活性炭を処置した関節炎を誘発するコラーゲンを有するマウスと比較して、未処置の関節炎を誘発するコラーゲンを有するコントロールマウスと生理食塩水を処置した関節炎を誘発するコラーゲンを有するマウスの臨床スコアを示す。
【図2】図2は、例1の実験1において、活性炭を処置した関節炎を誘発するコラーゲンを有するマウスと比較して、未処置の関節炎を誘発するコラーゲンを有するコントロールマウスと生理食塩水を処置した関節炎を誘発するコラーゲンを有するマウスの足の厚さ(mm)を示す。
【図3】図3は、例1の実験2において、活性炭を処置した関節炎を誘発するコラーゲンを有するマウスと比較して、未処置の関節炎を誘発するコラーゲンを有するコントロールマウスと生理食塩水を処置した関節炎を誘発するコラーゲンを有するマウスのの臨床スコアを示す。
【図4】図4は、例1の実験2において、活性炭を処置した関節炎を誘発するコラーゲンを有するマウスと比較して、未処置の関節炎を誘発するコラーゲンを有するコントロールマウスと生理食塩水を処置した関節炎を誘発するコラーゲンを有するマウスの足の厚さ(mm)を示す。
【図5】図5は、例1の実験3において、活性炭を処置した関節炎を誘発するコラーゲンを有するマウスと比較して、未処置の関節炎を誘発するコラーゲンを有するコントロールマウスと生理食塩水を処置した関節炎を誘発するコラーゲンを有するマウスのの臨床スコアを示す。
【図6】図6は、例1の実験3において、活性炭を処置した関節炎を誘発するコラーゲンを有するマウスと比較して、未処置の関節炎を誘発するコラーゲンを有するコントロールマウスと生理食塩水を処置した関節炎を誘発するコラーゲンを有するマウスの足の厚さ(mm)を示す。
【図7】図7は、例1の実験1乃至3において、活性炭を処置した関節炎を誘発するコラーゲンを有するマウスと比較して、未処置の関節炎を誘発するコラーゲンを有するコントロールマウスと生理食塩水を処置した関節炎を誘発するコラーゲンを有するマウスの全関節の複合組織学的プロファイルを示す。
【図8】図8は、例1の実験1乃至3において、活性炭を処置した関節炎を誘発するコラーゲンを有するマウスと比較して、未処置の関節炎を誘発するコラーゲンを有するコントロールマウスと生理食塩水を処置した関節炎を誘発するコラーゲンを有するマウスの全マウスの血清抗ウシCIIIgG(総合)レベルを示す。
【図9a】図9は、脳マラリア(cm)に対しマウスを保護するための活性炭の使用を示す。図9aでは、C57BL/6マウスがP.berghei ANKAに感染しており、残りは未処置のマウス(□)か、3及び5日間活性炭を処置したマウス(■)である。マウスのCMの発症と生存を毎日観察した。結果は、3つの独立した試験(n=13/グループ)から得たプールしたデータを示している。生存の差は著しいものであった(χ=19.18;P<<0.0001)。図9bは、寄生虫血症のコントロールマウス(□)と炭で処置したマウス(■)である(例2)。
【図9b】図9は、脳マラリア(cm)に対しマウスを保護するための活性炭の使用を示す。図9aでは、C57BL/6マウスがP.berghei ANKAに感染しており、残りは未処置のマウス(□)か、3及び5日間活性炭を処置したマウス(■)である。マウスのCMの発症と生存を毎日観察した。結果は、3つの独立した試験(n=13/グループ)から得たプールしたデータを示している。生存の差は著しいものであった(χ=19.18;P<<0.0001)。図9bは、寄生虫血症のコントロールマウス(□)と炭で処置したマウス(■)である(例2)。
【図10】図10は、インフルエンザに感染したマウスの肺細胞の総数を示す。X軸上の数1は生理食塩水を処置したマウスであり、X軸上の数2は活性炭を処置したマウスを表す。Y軸は、細胞の数を表している(例3)。
【図11】図11は、気管支肺胞洗浄細胞の総数を示しており、インフルエンザに感染したマウスの肺気道の総細胞数を表す。X軸上の数1は生理食塩水を処置したマウスであり、X軸上の数2は活性炭を処置したマウスを表す。Y軸は、細胞の数を表している(例3)。
【図12】図12は、活性炭又は生理食塩水を経口的に強制投与したマウスの腹腔浸出マクロファージを誘発したスターチのTNFα放出量を示す(例4)。
【図13】図13は、空気嚢炎症モデルで、生理食塩水か炭のどちらかを経口的に強制投与したマウスの空気嚢浸出液から数えた生存細胞を示す(例5)。
【図14】図14は、時間に伴うマウスの体重減少率を示す(例6)。
【図15a】図15aは、コントロールマウスと比較して、炭を処置したマウスの白血球数又はIL−10量を示す(例6)。
【図15b】図15bは、コントロールマウスと比較して、炭を処置したマウスの白血球数又はIL−10量を示す(例6)。
【図15c】図15cは、コントロールマウスと比較して、炭を処置したマウスの白血球数又はIL−10量を示す(例6)。
【図16a】図16aは、別の実験又はコントロール群でのマウスの血清TNFレベルを時間の経過を伴って示す(例7)。
【図16b】図16bは、別の実験又はコントロール群でのマウスの生存率を時間の経過を伴って示す(例7)。
【図16c】図16cは、別の実験又はコントロール群でのマウスの生存率を時間の経過を伴って示す(例7)。
【図16d】図16dは、活性炭によるHMGB1の抑制レベルを示す(例7)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症性腸疾患以外の、及び腎臓内間質性又はその他の炎症以外の炎症症状の処置用の経口組成物の製造における炭の使用。
【請求項2】
請求項1に記載の使用において、前記炭が活性炭であることを特徴とする使用。
【請求項3】
請求項1に記載の使用において、抗炎症症状が:自己免疫炎症症状、マラリア炎症症状、癌、炎症疾病を伴う肺、炎症を伴う感染及び炎症を伴う外傷の一又はそれ以上であることを特徴とする使用。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の使用において、前記経口組成物が追加の抗炎症剤を具えることを特徴とする使用。
【請求項5】
請求項4に記載の使用において、前記追加の抗炎症剤が、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、生物剤、ステロイド、免疫抑制剤、サリチル酸塩および/または殺菌剤であることを特徴とする使用。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の使用が、哺乳動物、特に人への前記処置用であることを特徴とする使用。
【請求項7】
追加の抗炎症剤と組み合わせた炭を具えることを特徴とする薬剤組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の組成物において、前記炭が活性炭であることを特徴とする組成物。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の組成物において、前記追加の抗炎症剤が、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、生物剤、ステロイド、免疫抑制剤、サリチル酸塩および/または殺菌剤であることを特徴とする組成物。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれか1項に記載の薬剤組成物が、炎症症状の処置用であることを特徴とする薬剤組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の組成物において、前記炎症症状が哺乳動物における炎症症状であることを特徴とする組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の組成物において、前記哺乳動物が人であることを特徴とする組成物。
【請求項13】
対象における炎症性腸疾患以外の、及び腎臓内間質性又はその他の炎症以外の炎症症状を処置する方法が、前記対象に炭を経口投与するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記炭が活性炭であることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13又は請求項14に記載の方法において、前記炭を追加の抗炎症剤と組み合わせたことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13乃至15のいずれか1項に記載の方法において、前記追加の抗炎症剤が、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、生物剤、ステロイド、免疫抑制剤、サリチル酸塩および/または殺菌剤であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項13乃至16のいずれか1項に記載の方法において、前記対象が哺乳動物であることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、前記哺乳動物が人であることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項13乃至18のいずれか1項に記載の方法において、前記炎症症状が自己免疫炎症症状、マラリア炎症症状、癌、炎症疾病を伴う肺、炎症を伴う感染及び炎症を伴う外傷の一又はそれ以上であることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15a】
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【図15b】
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【図15c】
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【図16a】
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【図16b】
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【図16c】
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【図16d】
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【公表番号】特表2009−503044(P2009−503044A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524587(P2008−524587)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002908
【国際公開番号】WO2007/015102
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(508034358)インペリアル カレッジ イノベーションズ リミテッド (1)
【出願人】(508034576)ザ フェインステイン インスティテュート フォー メディカル リサーチ (1)
【Fターム(参考)】