説明

炎症症状を治療するためのHMG1のアンタゴニスト

【課題】敗血症性ショックおよびARDS(急性呼吸促進症候群)を含めた敗血症を治療するための医薬組成物および方法であって、有効量のHMG1アンタゴニストを投与することを含む医薬組成物および方法の提供。
【解決手段】敗血症または敗血症性ショックの重症度または考え得る致死率をモニタリングするための診断方法であって、敗血症または敗血症性ショック症状を示しているかまたは示す危険性のある患者におけるHMG1の血清濃度を測定することを含む方法。体重損失をもたらすか、または肥満症を治療するための医薬組成物および方法であって、有効量のHMG1または治療的活性HMG1断片を投与することを含む医薬組成物および方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、炎症性サイトカインカスケードの活性化を特徴とする、特に敗血症性ショックおよびARDS(急性呼吸窮迫症候群)を含めた敗血症疾患を治療するための医薬組成物および方法であって、高移動度グループ1タンパク質(HMG1)に対する有効量のアンタゴニストを投与することを含む組成物および方法を提供する。本発明はさらに、敗血症および関連症状の重症度をモニタリングするための診断方法であって、炎症性サイトカインカスケードの活性化を特徴とする疾患の症状を示している患者におけるHMG1の血清濃度を測定することを含む方法を提供する。最後に、本発明は、体重損失をもたらすか、または肥満症を治療するための医薬組成物および方法であって、有効量のHMG1タンパク質またはHMG1遺伝子の遺伝子産物の治療的活性断片を投与することを含む医薬組成物および方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
[発明の背景]
敗血症は、感染または損傷後に発症するしばしば致命的となる臨床症候群である。敗血症は、入院患者における最多死因である。細菌内毒素(リポ多糖、LPS)の投与を基礎にしたグラム陰性敗血症の実験モデルは、共通した根元的炎症性サイトカインカスケードの活性化による致死的敗血症および敗血症に関連した症状の病因メカニズムの理解の改良をもたらした。宿主応答性メディエータのこのカスケードは、重症内毒素血症における終局的致死性の急性初期メディエータとして広範に研究されてきたTNF、IL−1、PAFおよびその他のマクロファージ由来因子を含む(Zhang and Tracey, In The Cytokine Handbook, 3rd ed. Ed. Thompson(Academic Press Limited, USA).515−547, 1998)。
【0003】
残念ながら、内毒素血症のこれらの個々の「初期」メディエータの阻害を基礎にした療法的アプローチは、ヒト患者における敗血症に対する大規模予測臨床試験における限定成功例にのみ応じただけである。これらの期待はずれの結果から、宿主応答における後期出現因子が、敗血症および関連疾患における病因および/または致死性を決定するのに重要であり得ると推論できる。したがって、特に内毒素血症が臨床的敗血症および関連臨床疾患を代表することから、重症内毒素血症の広範な多系病因の一部または全部に関してあるいは致死性に関して、必要なおよび/または十分なこのような推定「後期」メディエータを発見することが必要である。
【0004】
HMG1は、急に出現する高移動度群(HMG)の非ヒストンクロマチン関連タンパク質に属する30kDa染色体核タンパク質である。一群として、HMGタンパク質は、独特のDNA構造を認識し、ヌクレオソーム構造および安定性の確定を含めた多様な細胞機能に、ならびに転写および/または複製に関連づけられてきた。HMGタンパク質は、ポリアクリルアミドゲル中での高い電気泳動移動度を有するクロマチン構成成分としてJohnsとGoodwinにより最初に性状解析された(The HMG Chromosomal Proteins, E.W. Johns, Academic Press, London, 1982参照)。高等真核生物は、HMGタンパク質の3つのファミリー、即ちHMG−1/−2ファミリー、HMG−14/−17ファミリーおよびHMG−1/−Yファミリーを示す。ファミリーはサイズおよびDNA結合特性により区別可能であるが、しかしそれらはその物理的特性において類似する。HMGタンパク質は、種を通して高度に保存され、遍く分布されて、非常に豊富であり、そして0.35MのNaCl中のクロマチンから抽出可能であり、5%過塩素酸またはトリクロロ酢酸中に可溶性である。一般に、HMGタンパク質は、DNAを折り曲げて、種々の転写因子とそれらのコグネイト配列(例えばプロゲステロン受容体、エストロゲン受容体、HOXタンパク質、ならびにOct1、Oct2およびOct6)との結合を促すと考えられる。近年、いくつかの転写因子およびその他のDNA相互作用タンパク質を含めたタンパク質の大きい非常に多様な群が、HMG1に類似した1つまたはそれ以上の領域を含有する、ということが明らかになってきて、この特徴はHMG1ボックスまたはHMG1ドメインとして知られるようになった。HMG1をコードするcDNAは、ヒト、ラット、マス、ハムスター、ブタおよび仔ウシ細胞からクローン化されており、HMG1はすべての脊椎動物細胞核中に豊富に存在すると考えられる。本タンパク質は、80%範囲の種間配列同一性で高度に保存されている。クロマチン中では、HMG1は、ヌクレオソーム間のリンカーDNAと、そして種々の非β−DNA構造、例えばパリンドローム、十字形およびステム−ループ構造、ならびにシスプラチン修飾DNAと結合する。HMG1により結合されるDNAは、一般に、配列非感受性であると考えられる。HMG1は洗浄済み核またはクロマチンから最も高頻度に調製されるが、しかし、当該タンパク質はまた細胞質中でも検出されている(Landsman and Bustin, BioEssays 15:539−546, 1993; Baxevams and Landsman, Nucleic Acids Research 23:514−523, 1995で再検討)。今日まで、HMGタンパク質といずれかの臨床症状または疾患との間に関連は確立されていない。
【0005】
あるいはHMG1は、発生中の脳において豊富に発現されるヘパリン結合タンパク質として同定され、その高度な二極性配列のため「アンホテリン」と称されており、これは約80アミノ酸正荷電ドメイン(HMG1ボックス)と一続きの約30の連続したグルタミン酸またはアスパラギン酸残基を含む酸性C末端ドメインとの2つの内部反復を有する。アンホテリン/HMG1は上皮、特にニューロン細胞の形質膜の外表面に局在化されており、この場合、それは神経細胞のフィリポジア(filipodia)に特異的に局在化されている。アンホテリン/HMG1は突起(神経突起)伸長に必要であり、アンホテリン/HMG1はまたニューロン−グリア相互作用にも関与し得る、ということを阻害試験は示唆した(Merenmies et al., J. Biol. Chem. 266:16722−16729, 1991; Merenmies et al., J. Biol. Chem. 266:16722−16729, 1991; Milev et al., J. Biol. Chem. 273:6998−7005, 1998;およびSalmivirta et al., Exp. Cell Res. 200:444−451, 1992)。アンホテリン/HMG1は、化学誘導物質ヘキサメチレンビスアセトアミドによる刺激後にマウス赤白血病細胞から放出され得る(Melloni et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 210:82−89, 1995)。HMG1遺伝子の遺伝子産物は、α−PKCを刺激することにより分化促進因子として機能する、ということを過去の研究は示唆している(Melloni et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 210:82−89, 1995;およびMelloni et al., FEBS Lett. 368:466−470, 1995)。
【0006】
HMG1遺伝子産物は、プラスミノーゲンおよび組織型プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)と相互作用し、細胞侵襲および組織再造形中の細胞外タンパク質分解に一役を演じることが知られている系である細胞表面でのプラスミン生成を有効に促進する、ということが示されている。アンホテリン/HMG1は、進行性グリコシル化最終生成物(RAGE)の受容体と相互作用することも示されている(Mohan et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 182:689−696, 1992; Yamawaki et al., J. Neurosci. Res. 44:586−593, 1996; Salmivirta et al., Exp. Cell Res. 200:444−451, 1992;およびVassalli et al., J. Clin. Invest. 88:1067−1072, 1991)、(Redlitz and Plow, Baillieres Clin. Haematol. 8:313−327, 1995;およびParkkinen et al., J. Biol. Chem. 266:16730−16735, 1991)。
【0007】
サイトカイン媒介性炎症カスケードを防止し、広範な種々のサイトカイン媒介性炎症性疾患における療法的活性を有し得る改良された作用物質を発見することが当業界では長きに亘って必要とされている。本発明は、敗血症および炎症性サイトカインカスケードの一般的活性化により関連づけられるその他の疾患における毒性、病因および/または致死性を媒介する作用物質を同定するための研究調査の経過中になされた。
【0008】
炎症性サイトカインカスケードにより媒介される疾患および症状は、多数ある。このような症状としては、以下に群別された疾患カテゴリーが含まれる:
全身性炎症性応答症候群、これには以下が含まれる:
敗血症症候群
グラム陽性敗血症
グラム陰性敗血症
培養陰性敗血症
真菌性敗血症
好中球減少性発熱
尿路性敗血症
髄膜炎菌血症
外傷性出血
唸音
電離放射線曝露
急性膵炎
成人呼吸窮迫症候群(ARDS)
再還流傷害、これには以下が含まれる:
後ポンプ症候群
虚血再還流傷害
心臓血管性疾患、これには以下が含まれる:
心臓性昏倒症候群
心筋梗塞
うっ血性心不全
感染性疾患、これには以下が含まれる:
HIV感染/HIVニューロパシー
髄膜炎
肝炎
敗血症性関節炎
腹膜炎
肺炎喉頭蓋炎
大腸菌O157:H7
溶血性尿毒症症候群/血栓崩壊性血小板減少性紫斑病
マラリア
デング出血熱
リーシュマニア症
らい病
トキシックショック症候群
連鎖球菌性筋炎
ガス壊疸
Mycobacterium結核(ヒト型結核)
Mycobacterium aviun Intracellulare(鳥型結核菌細胞内物質感染)
Pneumocystis Carinii(ニューモシスティスカリニ)肺炎
骨盤炎症性疾患
睾丸炎/精巣上体炎
レジオネラ
ライム病
A型インフルエンザ
エプスタイン−バーウイルス
ウイルス関連血球貪食(hemiaphagocytic)症候群
ウイルス性脳炎/無菌性髄膜炎
産科学/婦人科学的症状、これは以下を含む:
早産
流産
不妊症
炎症性疾患/自己免疫疾患、これには以下が含まれる:
リウマチ性関節炎/セロネガティブ関節症
変形性関節症
炎症性腸疾患
全身性エリトマトーデス
虹彩毛様体炎/ブドウ膜炎視神経炎
特発性肺繊維症
全身性脈管炎/ウェーゲナー肉芽腫症
サルコイドーシス
睾丸炎/精管切除反転術
アレルギー性/アトピー性疾患、これには以下が含まれる:
喘息
アレルギー性鼻炎
湿疹
アレルギー性接触性皮膚炎
アレルギー性結膜炎
過敏性肺炎
悪性疾患、これには以下が含まれる:
ALL
AML
CML
CLL
ホジキン病、非ホジキンリンパ腫
カポジ肉腫
結腸直腸癌
鼻咽頭癌
悪性組織球増殖症
新生物随伴症候群/悪性疾患の高カルシウム血症
移植片、これは以下を含む:
器官移植片拒絶
移植片対宿主疾患
悪液質
先天性、これは以下を含む:
嚢胞性繊維症
家族性血液食細胞性リンパ組織球増殖症
鎌状赤血球貧血
皮膚科学的、これは以下を含む:
乾癬
脱毛症
神経学的、これは以下を含む:
多発性硬化症
片頭痛
腎臓性、これは以下を含む:
ネフローゼ症候群
血液透析
尿毒症
毒性、これは以下を含む:
OKT3療法
抗CD3療法
サイトカイン療法
化学療法
放射線療法
慢性サリチレート中毒
代謝性/特発性、これは以下を含む:
ウィルソン病
血液色素症
α−1アンチトリプシン欠損症
糖尿病
橋本甲状腺炎
骨粗鬆症
視床下部−下垂体−副腎軸評価
原発性胆汁性肝硬変
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
[発明の概要]
本発明は、炎症性サイトカインカスケードにより媒介される症状(疾患)を治療するための医薬組成物であって、有効量の、HMG1のアンタゴニストまたは阻害剤を含む組成物を提供する。好ましくは、HMG1アンタゴニストは、HMG1タンパク質と結合する抗体、HMG1遺伝子アンチセンス配列およびHMG1受容体アンタゴニストから成る群から選択される。本発明は、炎症性サイトカインカスケードにより媒介される症状の治療方法であって、有効量のHMG1アンタゴニストを投与することを含む方法を提供する。別の実施形態では、本発明の方法は、HMG1アンタゴニストと組合せて第二作用物質を投与することをさらに含み、この場合、第二作用物質は、TNF、IL−1α、IL−1β、MIFまたはIL−6のような初期敗血症メディエータのアンタゴニストである。最も好ましくは、第二作用物質は、TNFに対する抗体、あるいはIL−1受容体アンタゴニスト(IL−1ra)である。
【0010】
本発明はさらに、炎症性カスケードにより媒介される症状に伴うショック様症状を示しているかまたはその症状を示す危険性のある患者に関する敗血症および関連症状の重症度をモニタリングし、そして起こり得る臨床経過を予測するための診断および予後判定方法を提供する。本発明の診断および予後判定方法は、試料中の、好ましくは血清試料中のHMG1の濃度を測定し、その濃度を、同様の試料中のHMG1の正常濃度範囲を代表するHMG1に関する標準と比較し、それにより高レベルのHMG1が乏しい予後または毒性反応の可能性を示すことを包含する。本診断方法はまた、他の組織、または流体区画、例えば脳脊髄液または尿にも適用され得る。最後に、本発明は、体重損失をもたらすか、または肥満症を治療するための医薬組成物および方法であって、有効量のHMG1またはその治療的活性断片を投与することを含む医薬組成物および方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】in vitro(図1A)およびin vivo(図1B)でのLPSによるHMG1放出の誘導をプロファイルする2つのグラフを示す。特に図1Aは、LPS(100ng/ml)で刺激後のマクロファージRAW264.7細胞の培養上清中のHMG1の蓄積を示す。挿入図は、TNFによる誘導後のRAW264.7細胞からのHMG1放出の誘導を示すウエスタンブロット(組換え体HMG1に対して生じた抗体を使用)である。図1Bは、LPS処理マウスの血清中のHMG1の誘導を示す。LPS投与後の種々の時点でBalb/Cマウスからの血清を収集し、組換え体HMG1に対して生じた抗体を用いたウエスタンブロットによりHMG1についてアッセイした。
【図2】HMG1が内毒素血症における病因および致死性のメディエータであることを説明する。図2Aは、マウスに処置したLPS致死性に対する抗HMG1抗体の防御作用を示す。LPSチャレンジ(0時間)に比して−0.5(1回投与の場合)、−0.5および12(2回投与の場合)または−0.5、12および36(3回投与の場合)時間での指示量の抗HMG1抗血清の投与は、LPS誘導性致死性に対して防御的であり、反復投与スケジュールは良好な防御を提供した。図2Bは、rHMG1が内毒素マウスにおける用量依存性致死性を引き起こしたことを説明する。雄Balb/Cマウス(20〜23グラム)を、10群に無作為に分けて、LPS(3.15mg/kg;非致死量)を単独でまたは精製組換え体HMG1タンパク質と組合せて投与した。指示用量でのLPSチャレンジ後、2、16、28および40時間目のHMG1の投与は、根元的内毒素血症の致死性を有意に増大した。図2Cは、用量の一関数としてのHMG1の個々の致死性毒性を説明する。精製rHMG1を、指示用量での1回腹腔内ボーラス投与として、雄Balb/Cマウス(5匹/処置群)に投与した。少なくとも48時間マウスを観察した結果、500μg/マウスの用量でrHMG1で処置したマウスの60%がrHMG1試験の24時間以内に死亡したが、これは、500μg/マウス未満の1回投与LD50を示す。
【図3】HMG1がin vitro(図3A)およびin vivo(図3B)の両方でTNF放出を誘導したことを示す。特に図3Aは、HMG1が用量依存様式でhuPPBMCsからのTNF放出を誘導することを示す。新たに単離したhuPBMC培養物を指示用量の精製組換え体HMG1タンパク質で刺激し、培地を4時間後にサンプリングして、既知の免疫学的方法(ELISA)によりTNFに関してアッセイした。図3Aは、2つの実験(3連)における誘導性TNF応答の平均±S.E.M.を示す。図3Bは、HMG1の投与が処置マウスの血清中のTNFの蓄積を誘導したことを示す。Balb/Cマウス(20〜23グラム)を指示用量の精製組換え体HMG1で腹腔内処置して、L929生物アッセイによるTNFアッセイのために、血液試料を2時間後に採取した(TNFレベルは平均±S.E.Mとして表される。N=3)。
【図4】HMG1がマウスにおける体重損失を引き起こしたことを示す。100μg/マウス/日で3日間、精製HMG1をマウスに腹腔内投与して、体重をモニタリングした。図4は、3匹/群のマウスの正味体重変化の平均±S.E.M.を示す。
【図5】HMG1 mRNAの組織分布を示す。種々の組織のポリ(A)+RNAを含有するヒトRNAマスターブロット(Clontech, Palo Alto, CA, USA)を、すべて、当業界で周知の方法にしたがって、HMG1 cDNAインサートを含有する組換え体プラスミドを用いたPCRにより合成された0.6kbジゴキシゲニン−1 1−dUTP標識化HMG1 cDNAプローブとハイブリダイズさせた。要するに、10ng/mlのプローブ濃度で65℃16時間、ハイブリダイゼーション緩衝液(5×SSC/2%ブロッキング試薬/0.1%SDS/50%ホルムアミド、Boehringer Mannheim, Indianapolis, IN)中でハイブリダイゼーションを実施した。ハイブリダイゼーション後、フィルターを室温で、0.5×SSC/0.1%SDSで5分間、2回洗浄して、0.2×SSC/0.1%SDSで10分間、2回洗浄した。標準的方法により、ホスファターゼに結合された抗ジゴキシゲニン抗体と、検出試薬、約4−ニトロブルーテトラゾリウムクロリド(NBT)および5−クロモ−4−クロロ−3−インドリル−ホスフェート(BCIP)(Boehringer−Mannheim)を用いて、シグナルを検出した。シルバー画像スキャナー(シルバースキャナーII、Lacie Limited, Beaverton, OR)でブロットを走査して、相対光学濃度(恣意単位AUで)をNIH1.59イメージソフトウエアを用いて定量した。最高レベルは冨マクロファージ組織で観察されたことに留意されたい。
【図6】図6は、正常コントロール被験者の群と比較した場合、敗血症を有する入院ヒト被験者において検出された血清HMG1レベルの増大が検出し、この場合、敗血症患者は、患者が死亡したかまたは生存したかに関してさらに分類されたことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[発明の詳細な説明]
本発明は、LPS、TNFまたはIL−1による刺激後の培養マウスマクロファージ様細胞(RAW264.7)により放出され、そしてこの細胞により調整された培地中に蓄積する高誘導性30kDaタンパク質の発見および単離に基づいている。この単離ポリペプチドの部分的アミノ酸配列は、アンホテリンとしても知られているHMG1タンパク質の配列と同一であり、このタンパク質はこれまでにいずれもの疾患の病原に連結されていない。この情報を用いてHMG1をコードするcDNAをクローン化し、その配列を発現させて、組換え体タンパク質を得て、そのタンパク質を用いて特異的抗HMG1抗体を生成した。
【0013】
一連の予測的in vitroおよびin vivo実験で、治療的および診断的効力を確定した。実験は、実施例の項に詳述する。例えば、マウスへの内毒素(LD100)の投与後、血清HMG1レベルは、敗血症の周知の「初期」メディエータ(例えばTNFおよびIL−1)より遅れて(16時間で)増大し、HMG1のプラトーレベルは16〜32時間保持された。致死的敗血症を有する患者は、正常健常有志においては検出されない高血清HMG1レベルを有した。さらに、被験動物へのrHMG1の急性実験的投与は、単独であっても亜致死量のLPSと組合せても、顕著な病理学的応答を、そして死さえも生じた。より低量のrHMG1の更なる分布投与スケジュールは、処置動物における有意の体重損失をもたらした。これらの結果は、既知の「初期」メディエータ、例えばTNFおよびIL−1と対照的に、HMG1が内毒素血症のメディエータ、特に後期メディエータであるという証拠を示す。これらのデータはさらに、敗血症および関連症状の重症度または考え得る致死性に対するマーカーとしての血清HMG1の重要性を示す。
【0014】
さらに、抗HMG1抗体による治療は、マウスにおけるLD100用量のLPSからの最大限の防御を提供した。HMG1はTNFおよびIL−1βによって誘導可能であり、huPBMCからのTNF放出を用量依存的に刺激する。TNFはマクロファージ活性化のマーカーであり、したがって(暗示されるメカニズムに限定されることなく、または理論に縛られずに)、HMG1はサイトカインカスケードの下流再活性化を促し、これが次に、前炎症性サイトカイン応答の活性化を伴う敗血症および関連症状における後期病因および致死性を媒介すると考えられる。したがって、HMG1は、感染および損傷に対する炎症性応答を媒介する場合に中心的役割を占め、HMG1のアンタゴニストは炎症性カスケード活性化の敗血症および関連症状における治療的利点を有すると思われる。炎症性サイトカインカスケードにおけるHMG1の出現は、後期の宿主応答を伝播するのに適しており、毒性および致死性に関与する。本明細書中に記載される予測データは、HMG1アンタゴニストの治療的効力を支持し、作用メカニズムに関する前記の理論に支持される証拠を提供する。in vivo治療データは、概して炎症性サイトカインカスケードにより媒介される症状を、特に敗血症症状、例えば敗血症ショック、敗血症症候群または炎症性サイトカインにより媒介されるその他の「敗血症様」症状等を治療するための、概してHMG1アンタゴニストの効力、そして特に抗HMG1抗体の効力を示した。さらに、HMG1の個々の病原性および毒性/致死性は、TNF、MIF、IL−1およびIL−6のような「初期」炎症性メディエータのアンタゴニストと同時投与した場合に、HMG1アンタゴニストが特に有効であることを示す。
【0015】
要するに、1)HMG1は細菌毒素による、または前炎症性サイトカイン(TNFまたはIL−1β)による刺激後にマクロファージおよび下垂体細胞から放出され、2)HMG1はLPSに曝露された動物の血清中および敗血症患者中に蓄積し、そして3)HMG1特異的抗体は臨床的敗血症および関連症状の予測的致死内毒素血症動物モデルにおける死亡に対して防御することから、HMG1は炎症性反応のサイトカインメディエータである。
【0016】
医薬組成物および投与方法
本発明の医薬組成物または本発明の製剤組合せは、それ自体(複合物または組合せ)で、またはそれが適切な担体および賦形剤と混合される医薬組成物中で、患者に投与され得る。本発明の医薬組成物または本発明の製剤組合せは、非経口的に、例えば静脈内注射または注入、腹腔内注射、皮下注射または筋内注射により投与され得る。本発明の医薬組成物または本発明の製剤組合せは、錠剤、ピル、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー(slurries)、懸濁液等を形成するために担体および賦形剤を用いた適切な処方物により経口的にまたは直腸に投与され得る。本発明の医薬組成物または本発明の製剤組合せは、局所的に、例えば皮膚パッチにより投与されて、活性作用物質の一貫した全身レベルを達成する。本発明の医薬組成物または本発明の製剤組合せは、局所用クリーム、皮膚または粘膜パッチ、皮膚または粘膜表面への局所適用に適した液体またはゲル中に処方され得る。本発明の医薬組成物または本発明の製剤組合せは、局所的または全身的治療のために吸入器により気道に投与され得る。
【0017】
本発明の医薬組成物または本発明の製剤組合せの用量は、本開示から当業者により確定され得る。上記医薬組成物または本発明の製剤組合せは、有効用量(投与経路および活性作用物質の薬物動態による)の本発明の医薬組成物または製剤組合せならびに、処方物の特定の投与経路(即ち、経口、非経口、局所または吸入による)に適した適切な製剤担体および賦形剤を含有する。活性作用物質は、混合、溶解、造粒、糖衣作製、乳化、カプセル封入、エントラッピングまたは凍結乾燥法によって、製剤処方物に混合される。非経口投与のための製剤処方物としては、活性作用物質の水性溶液または水溶性形態の組合せが挙げられる。さらに、活性作用物質の懸濁液は、油性注射懸濁液として調製されてもよい。適切な親油性溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油、例えばゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えばエチルオレエートまたはトリグリセリド、あるいはリポソームが挙げられる。水性注射懸濁液は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランのような懸濁液の粘度を増大させる物質を含有してもよい。懸濁液は、安定剤または、活性作用物質の溶解度を増大させる作用物質あるいはそれらの組合せを任意に含有して、より濃縮された溶液にさせてもよい。
【0018】
経口投与のための製剤処方物は、活性作用物質と、固体賦形剤、例えば糖(例えばラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトール)、セルロース調製物(例えばデンプン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ゼラチン、ガムまたはポリビニルピロリドンとを組合せることにより得られ得る。さらに、崩壊剤が付加されてもよく、安定剤が付加されてもよい。
【0019】
アンチセンスオリゴマー
本発明は、HMG1遺伝子またはmRNA配列の発現を抑制または遮断するのに有効な配列を有するアンチセンスオリゴマーを提供する。標的遺伝子産物の発現を抑制するための特異的オリゴヌクレオチドを用いるアンチセンス技術は、ヒト疾患のための治療様式として開発中である。アンチセンスオリゴヌクレオチドアンタゴニストの最適化に寄与するいくつかの選別判断基準が利用可能である。例えば、50%またはそれ以上のGC含量を有する配列を選択するのが得策である。好ましい配列は、標的タンパク質のAUG開始コドンに及ぶが、しかしコード領域における部位および5’UTRも等しく十分に成し遂げ得る。このような配列は、一般に約18〜30ヌクレオチド長であり、タンパク質発現を抑制するためにHMG1 cDNA配列からのATG開始コドンと重複するよう選択される。より長いオリゴマーがしばしば、より大きい程度に標的を抑制するとわかっているが、これは、アンチセンス試薬として選択される一次オリゴヌクレオチドのための好ましい長さが約25マーであることを示す。これらの判断基準に関して、典型的には、3つのオリゴヌクレオチド配列が選択され、オリゴヌクレオチド配列、例えば「逆」オリゴヌクレオチドまたは、アンチセンス配列のほぼすべての第四塩基が無作為化されるオリゴヌクレオチドを制御するアンタゴニストの活性に関して比較される。したがって、HMG1に対するアンチセンスオリゴマー配列を作製するための好ましい配列は、HMG1 cDNA配列からのATG開始コドン(下線)を重複するよう選択された25マー配列:GAGGAAAAATAACTAAACATGGGCAAAGGAGATCCTAAGAAG[配列番号5]
であり、このような好ましいアンチセンス配列は、HMG1のアンタゴニストとしてin vitro比較のためのアンチセンスオリゴヌクレオチド剤(および適切なコントロール)を構築するために用いられる。これらのin vitroデータは、匹敵する設計のアンチセンス剤を用いたヒト臨床実用性を予測する。
【0020】
HMG1特異的抗体
本明細書中に開示された抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであってもよく、多数のヒト、非ヒト真核生物、細胞、真菌または細菌供給源のいずれかからのものであってもよい。抗体は、ゲノムまたはベクター保有コード配列によりコードされてもよく、アジュバントを用いても用いない場合も、生来のまたは組換え体のHMG1またはその断片に対して引き出されてもよい。抗体の作製方法は、抗体を生成および産生するための当業界で周知の方法および手法である。一般に、HMG1に対する中和抗体(即ち、特にその前炎症性サイトカイン様役割に関してHMG1の生物学的活性を抑制するもの)が、治療的適用のために好ましいが、一方、非中和抗体も診断用途に適切でありうる。このような有用な抗体の例としては、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、一本鎖および種々のヒトまたはヒト化型の抗体、ならびに種々のそれらの断片、例えばFab断片および特殊化発現系から産生される断片が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
診断アッセイ
ここで提供される診断アッセイは、ポリクローナル若しくはモノクローナルまたはその両方であり得る抗HMG1抗体を使用する。診断手法は、生物学的流体中のHMG1遺伝子の遺伝子産物の濃度を測定するための標準抗体ベースの技術を利用することができる。好ましい標準診断手法は、ELISAアッセイおよびウエスタン技法である。
【0022】
実施例1:内毒素血症の「後期」メディエータとしてのHMG1の同定
本実施例は、敗血症において、ならびに炎症性サイトカイン活性により特性化される関連症状において一役を演じる後期放出マクロファージ由来因子を同定し、単離するための実験の結果を提供する。本実施例で報告される実験は、TNFによる培養物の刺激後のマウスマクロファージRAW264.7細胞−調整培地を試験した。マウスマクロファージRAW264.7細胞は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC、Rockville, MD, USA)から入手し、10%ウシ胎仔血清および1%グルタミンを補充したDMEM下での培養中で増殖させた。集密性が70〜80%に達したら、培地を無血清OPT1−MEM I培地に取り換えて、培養物を前炎症性サイトカイン(例えばTNFαまたはIL−1)あるいは細菌内毒素(LPS)で刺激した。
【0023】
前記の刺激化マクロファージ培養物から放出されたタンパク質を測量した。特に、異なる時点で、遠心分離(3000rpm、10分間)により細胞および細胞調整培地を別々に回収した。10kDaのMrカットオフを用いたアミコン(Amicon)膜(Amicon Inc., Beverly, MA, USA)上での限外濾過により、調整培地中のタンパク質を濃縮し、その後、SDS−PAGEにより分別して、クーマシーブルー(30%メタノール/10%酢酸中の1.25%クーマシーブルーR250)で染色した。30%メタノール/7%酢酸で脱色して、対象タンパク質(単数または複数)(即ち、刺激化培養物の調整培地中に優先的に蓄積したもの)をSDS−PAGEゲルから切り取って単離し、N末端シーケンシング分析(Commonwealth Biotechnologies, Inc., Richmond, VA, USA)を施した。
【0024】
コントロール(TNFα刺激なし)対TNF刺激化RAW264.7細胞における蓄積タンパク質のプロフィールのSDS−PAGEゲル分析の比較で、細胞−調整培地中のその濃度が16時間の刺激後に有意に増大された強誘導性30kDaタンパク質が明示された。この単離タンパク質のアミノ酸配列分析は、そのN末端配列をGly−Lys−Gly−Asp−Pro−Lys−Lys−Pro−Arg−Gly−Lys−Met−Ser−Ser[配列番号1]として明示した。関連遺伝子データベースの検討は、HMG1のN末端アミノ酸配列との100%の同一性が見出された。
【0025】
これらのデータは、HMG1をLPS刺激化マクロファージ培養物の「後期出現」生成物として、したがって、前炎症性メディエータの候補として同定した。ヒト臨床症状を予測する細胞および動物モデルシステムにおける組換え的生成HMG1および/または抗HMG1抗体の投与により、この活性を確証した。
【0026】
実施例2:HMG1の細胞性供給源
本実施例は、細胞供給源がTNF、IL−1および/またはLPSに応答におけるHMG1放出能を示す。試験した細胞は、GH3下垂体細胞、マウスマクロファージRAW264.7細胞、ヒト一次末梢血単核細胞(huPBMC)、ヒト一次T細胞、ラット副腎PC−12細胞およびラット一次腎臓細胞を含む(表1)。ラット下垂体GH3細胞株をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC、Rockville, MD, USA)から入手して、10%ウシ胎仔血清および1%グルタミンを補充したDEME中で培養した。ヒトPBMCおよびT細胞を健常ドナーの全血から新たに単離して、前記と同様に10%ヒト血清を補充したRPMI1640中で培養した(Zhang et al., J. Exp. Med. 185:1759−1768, 1997)。集密性が70〜80%に達したら、培地を無血清OPT1−MEM I培地に取り換えて、培養を前炎症性サイトカイン(例えばTNFαまたはIL−1)あるいは細菌内毒素(LPS)で刺激した。
【0027】
ヒトT細胞、ラット副腎(PC−12)細胞およびラット一次腎細胞は、HMG1特異的抗体を用いた全細胞溶解物のウエスタンブロット分析により実証した場合、細胞関連HMG1を含有したが、HMG1は、TNF、IL−1βまたはLPSで刺激後、これらの培養物の培地中に有意に蓄積しなかった(表1)。
【0028】
【表1】

【0029】
TNF、IL−1β(各々の最小有効濃度=5ng/ml)および細菌内毒素(LPS、最小有効濃度=10ng/ml)は、時間−および用量−依存性様式でヒトPBMCからのHMG1の放出を誘導した(表1)。IFN−γ単独(0〜200U/ml)は前記の細胞のいずれからもHMG1放出を誘導しなかったが、しかし、TNFまたはIL−1βとの組合せで付加した場合には、IFN−γはマクロファージから用量依存的にHMG1放出を増強し、100U/mlの濃度のIFN−γにより最大3倍増強した。トリパンブルー排除により判定した場合、細胞生存能(viability)はTNF、IL−1βまたはLPSによる影響を受けなかったため(コントロールに関しては90〜92±5%の生存、これに対して100ng/mlのTNF、IL−1βまたはLPSの存在下では88〜95±4%)、HMG1の放出は細胞死のためではなかった。ウエスタンブロット分析により確定した場合、下垂体細胞およびマクロファージにより放出されたHMG1の量は、HMG1の細胞内濃度と逆相関したが、これは、放出物質が、一部は、前成形の細胞関連HMG1タンパク質に由来することを示す。
【0030】
種々の正常ヒト組織から調製されたmRNAに対するHMG1特異的プローブのハイブリダイゼーション(ブロット基質は商業的供給元から入手可能)により、in vivoでの循環HMG1の考え得る供給源を査定した。その結果を図5に要約した。いくつかの冨マクロファージ組織(肺、肝臓、腎臓、膵臓および脾臓)は、最も豊富なHMG1 mRNA発現を示した。低い発現は、下垂体、骨髄、胸腺、リンパ節および副腎で観察された。HMG1発現の相対的組織分布に関する情報を提供する他に、本試験は、組織試料中のHMG1特異的核酸配列に関するアッセイの実際的可能性および実益を示す。
【0031】
実施例3:in vitroおよびin vivoでの組換え体HMG1投与
本実施例は、周知の組換えDNA技法によりHMG1を生成するための手法を詳述する。PCRによりHMG1開放読取り枠を増幅し、発現ベクター(pCAL−n)中でサブクローニングした。要するに、以下の配列:5’−CCC GCG GAT CCA TCG AGG GAA GGA TGG GCA AAG GAG ATC CTA−3’[配列番号2]および5’−CCC GCA AGC TTA TTC ATC ATC ATC ATC TTC T−3’[配列番号3]を含有するプライマーを用いて、5ngラット脳クイッククローンcDNA(カタログ番号#7150−1、Clontech, Palo Alto, CA, USA)から、HMG1 cDNAの648bp開放読取り枠をPCR増幅した(94℃1’、56℃2’、72℃45”、30サイクル)。680bpPCR生成物(4μg)をBamHIおよびHindIIIで消化して、pCAL−nベクター(Stratagene, La Jolla, CA, USA)のBamHI/HindIIIクローニング部位にクローニングした。組換え体プラスミドを大腸菌BL21(DE3)pLysS(Novagen, Madison, WI, USA)にトランスフォームさせ、陽性クローンをスクリーニングして、ABI373A自動蛍光シーケンサー(Applied Biosystems, Foster City, CA, USA)上でのTag DyeDeoxyターミネーターサイクルシーケンシングキットを用いて、両鎖におけるDNAシーケンシングにより確証した。
【0032】
組換え体HMG1を発現するために、IPTG(1mM)を付加した場合、OD600が0.6に達するまで激しく振盪しながら(250rpm)37℃で陽性クローンを培養した。IPTG誘導の12時間後、遠心分離(6500rpm、15分間)により細菌細胞を収穫し、凍結−解凍サイクルで溶解した。水溶性分画を遠心分離(30分間、12,000rpm)後に収集し、製造元(Stratagene)の指示通りに、カルモジュリン結合樹脂カラム上で組換え体HMG1を精製した。Detoxi−Gel内毒素除去ゲル(Pierce, Rockford, IL, USA、カタログ番号#20344)を用いて細菌内毒素を組換え体HMG1から除去し、リムラス・アメボサイト細胞溶解物試験(LAL試験、カタログ番号#50−648U、QCL−1000色原性LAL、Bio−Whittaker, Inc., Walkersville, MD, USA)により、残留LPS含量を確定した。精製組換え体HMG1をヒト末梢血単核球(HuPBMC)の培養物に付加し、刺激後4時間目にELISAによりTNFに関して上清をアッセイした。LPS−中和剤ポリミキシンB(10μg/ml)を組換え体HMG1と同時に付加して、TNF放出に及ぼす如何なる夾雑LPSの作用も排除した。さらに、外因性LPSの付加的内毒素血症チャレンジを用いてまたは用いずに、組換え的に得られたHMG1を被験動物に投与して、in vivoでの高レベルのHMG1の病原可能性を調べた(図2Bおよび2C参照)。いくつかの実験では、本明細書中に詳述したように、TNFに関してアッセイされるHMG1処置動物から血清試料を確保した(図1B参照)。
【0033】
前記の手法は、HMG1ペプチド配列に見合ったアミノ酸末端延長としての3.0kDaカルモジュリン結合ドメインおよびトロンビン切断部位を包含する融合ペプチドとして組換え体HMG1を提供する。いくつかの実験では、融合タグを少量の組換え体タンパク質から除去し、完全融合タンパク質の生物活性を切断HMG1ペプチドと比較した。生物学的活性の有意差は認められず、付加的実験(特に組換え的産生HMG1の動物への投与を要するもの)を、典型的には(非切断)融合タンパク質を用いて実施した。
【0034】
図3Aおよび3Bで実証したように、組換え的に得られたHMG1のin vitroまたはin vivo投与は活発なTNF応答を誘導したが、これは、前炎症性活性を有する後期出現LPS誘導性マクロファージ由来内因性メディエータとしてのHMG1の同一性を確証する。
【0035】
実施例4:抗HMG1抗体および免疫検出
本実施例は、HMG1に対するポリクローナル抗体を作出し、使用する実験の結果を提供する。要するに、HMG1のN末端アミノ酸配列に対応するオリゴペプチドに対する、または精製組換えHMG1に対するポリクローナル抗体を当業界で周知の標準手法により、ウサギにおいて作出した。要するに、配列GKGDPKKPRGKMSSC[配列番号4]を有するオリゴペプチドの8つのコピーを、放射状分枝リシン樹状突起(小免疫原的不活性コア)に固定した。これらの大型高分子物質を、0日目の予備採血後1、2および4週間目に、皮下および皮内(0.5〜10mg/注射)の両方でウサギに3回注射した。最終免疫感作後2週間目に、ウサギを採血し、1.0mgの抗原を用いて筋内追加免疫し、その後2週間後に二次採血した。あるいは、組換え体HMG1に対するポリクローナル抗体を生成させるために、同様のプロトコールにしたがって、組換え体HMG1融合ペプチド(100μg/注射)でウサギを免疫感作した。HMG1に対して反応性である(即ち、HMG1の生物学的活性を結合し、いくつかの場合には、中和し、または相殺する)モノクローナル抗体は、本明細書中に記載したHMG1抗原、または免疫原のようなその他のHMG1ペプチド断片を用いて、当業界で周知の方法により調製するのが便利である。このようなモノクローナル抗体、および/またはそれらを生成するハイブリドーマは、HMG1に対して反応性である種々の「ヒト化」抗体(すべて、当業界で既知の方法による)を生成するのに有用であり、このヒト化抗体は本明細書中で教示されるように有用である。
【0036】
HMG1特異的抗体を用いて、ウエスタンブロッティング分析により、TNFまたはLPSでの処置後のRAW264.7細胞からのHMG1の誘導性放出を測定した(図1)。要するに、4〜20%勾配ゲル上でのSDS−PAGEによりタンパク質を分別し、PVDF膜に移して、N末端合成HMG1抗原に対して、または組換え体HMG1に対して生じたウサギ抗血清でブロットした。製造元(Amersham Life Science Inc., Arlington Heights, IL, USA)の指示通りにECLキットを用いてシグナルを検出し、精製組換え体HMG1の標準曲線を基準に、NIH1.59画像ソフトウエアを用いて分析のためにデジタル化したウエスタンブロット上の帯域の光学強度を測定することにより、HMG1のレベルを確定した。
【0037】
TNFまたはLPS処置の非存在下では、RAW264.7細胞−調整培地中にHMG1タンパク質は検出されなかったが、しかし、HMG1は、このような刺激後、高レベルで調整培地中に蓄積し、刺激後8〜28時間目にプラトーに達した(図1A)。要するに、実施例1、3および図1Aに示したデータは、マクロファージからのHMG1の放出は刺激特異的、ならびに時間−および用量−依存性で、最大蓄積は、5ng/mlという低い濃度でのTNFによる刺激後8時間以内に観察された、ということを示す。敗血症、敗血症ショックおよび関連症状は、この予測モデルに用いられる単一大量致死的LPSボーラスとは定性的または定量的に異なる刺激に応答するヒトにおいて起こり得る、ということは十分理解される。それにもかかわらず、実験的内毒素血症は、炎症性サイトカインカスケードの重要な構成成分を同定するための、そして予測される臨床的実用性を有する特定のアンタゴニストを同定するための有益且つ予測的モデル系であった。この点で、HMG1アンタゴニストはおそらく、内毒素に対する応答におけるTNFに対するHMG1の後期出現にかんがみて、TNFアンタゴニストより治療的に魅力的である。
【0038】
実施例5:in vivo動物モデルにおけるHMG1の検出
本実施例は、亜致死用量のLPS(LD50)の投与後の血清HMG1を測定する、齧歯類におけるin vivo実験を説明する。マウスまたはラットをLPSで処置し、異なる時点で血清を収集して、ウエスタンブロッティング分析によりHMG1のレベルに関してアッセイした。精製HMG1の標準曲線を基準に光学帯域強度を測定することにより、HMG1の血清濃度を概算した。LPS後16時間までに血清レベルは有意に増大し、少なくとも32時間、高い値を保持した(図1B)が、ビヒクル処置コントロール動物においては検出されなかった。これらのデータは、HMG1が、炎症性サイトカインカスケードにおける後期出現メディエータであるために、敗血症およびサイトカイン毒性の関連疾患の診断のための、ならびにそれらの病気に対する製剤的介入のための特に魅力的な標的を代表する、ということを示す。
【0039】
実施例6:HMG1に対する防御の利点
本実施例は、敗血症およびサイトカイン媒介性毒性の関連症状の治療に関連したHMG1のアンタゴニストの治療活性を測定するための予測in vivoアッセイの結果を提供する。本実施例では、HMG1アンタゴニストは抗HMG1抗体調製物であった。前免疫血清で処置したコントロールは、48時間以内に嗜眠、立毛、下痢および死亡を生じた。内毒素血症のこれらの臨床的徴候は、抗HMG1抗体の投与により有意に防止された。雄Balb/Cマウス(6〜7週、20〜23グラム)を無作為に群別し(10匹/群)、致死用量のLPS(1xPBS中で50mg/kg)の投与(腹腔内)前30分に、コントロール(前免疫)または抗HMG1血清(実施例4で作製したのと同様)で前処置した。他の実験群には、LPS投与後+12または+12および+36時間に、付加的用量の抗HMG1血清を投与した。少なくとも2週間、外観および生存に関して、動物を観察した。
【0040】
組換え体HMG1に対するポリクローナル抗体をウサギで作出し、ELISAおよびウエスタンブロッティング手法により特異性および力価に関して抗血清をアッセイした。ポリクローナル抗血清は、例えばウエスタンブロット分析における組換え体HMG1を免疫特異的に認識し(結合し)、そして粗製細菌溶解物中のおよびマウス血清中に稀釈されていた精製タンパク質としての双方で、他のタンパク質からrHMG1を区別した。ウエスタンブロッティング分析において化学発光増幅検出法を用いて、1:1000までの稀釈でのポリクローナル抗HMG1抗血清は、50pgという少ないrHMG1タンパク質を検出するのに有用であった。LPSチャレンジ(0時間)に比して、−0.5(1回投与の場合)、−0.5および12(2回投与の場合)または−0.5、12および36(3回投与の場合)時間での指示(図2A)量の抗HMG1抗血清の投与は、LPS誘導性致死性に対して防御的であり、反復投与スケジュールは良好な防御を提供した。
【0041】
図2Bは、rHMG1が内毒素マウスにおける用量依存性致死性を引き起こしたことを説明する。雄Balb/Cマウス(20〜23グラム)を10群に無作為にわけて、LPS(3.15mg/kg;非致死量)を単独でまたは精製組換え体HMG1タンパク質と組合せて投与した。指示用量でのLPS試験後2、16、28および40時間目のHMG1の投与により、根元的内毒素血症の致死性が有意に増大した。
【0042】
図2Cは、用量の一関数としてのHMG1の個々の致死性毒性を説明する。精製rHMG1を、指示用量での1回腹腔内ボーラス投与として、雄Balb/Cマウス(5匹/処置群)に投与した。少なくとも48時間マウスを観察した結果、500μg/マウスの用量でrHMG1で処置したマウスの60%がrHMG1試験の24時間以内に死亡したが、これは、500μg/マウス未満の1回投与LD50を示す。
【0043】
ウエスタンブロットでHMG1に対する免疫特異的反応性を示さなかった前免疫血清の投与は、被験者にLPS媒介性死亡を被らせなかったため、抗HMG1抗体により付与される防御は特異的であった(図2A)。さらに、HMG1特異的抗体は他のマクロファージ由来サイトカイン(例えば、IL−1およびTNF)と交差反応せず、抗体が結合により防御を付与し、それによりこれらのメディエータを中和するという可能性を排除した。前炎症性サイトカインカスケードの活性化を伴う敗血症、敗血症関連病原および敗血症関連疾患に対する防御は、サイトカインカスケードの1つよりも多い構成成分を標的とする組合せ療法により改良し得る。HMG1のアンタゴニストは、この点では、TNF、IL−1,MIFおよびその他の炎症性メディエータの特異的アンタゴニストと、または炎症性カスケードの多構成成分(例えば、アスピリン、NSAIDS、抗炎症性ステロイド等)を抑制する炎症性応答のより広範な活性アンタゴニストと併合されて、より有効な治療様式性を提供する。LPS毒性に対する防御は、抗体用量関連性であり、より多量の抗体のよる頻繁な投与は、死亡率を70%まで下げた(図2A)。すべての実験において少なくとも2週間、マウスを観察した結果、後期死亡は起きなかったが、これは、抗HMG1抗体治療がLPS致死性に対する残りの防御を付与し、死亡の時間をほとんど遅らせないことを示す。
【0044】
実施例7:ヒト疾患におけるHMG1
本実施例は、HMG1およびヒト敗血症間の関連を確立し、それにより、ヒト敗血症およびサイトカイン毒性の関連症状において一般的にHMG1アンタゴニストを、特に抗HMG1抗体を用いるための指標を支持する、というデータを提供する。rHMG1の標準曲線を基準として、ウエスタンブロットフォーマットで実施例4の場合と同様に生成したポリクローナル抗体を用いて、正常健常個体および重症患者における血清HMG1レベルを測定した。HMG1は、正常コントロールにおいては観察できなかったが、重症敗血症患者においては高レベルに蓄積した(表2)。
【0045】
【表2】

【0046】
これらのデータは、敗血症患者において血清HMG1レベルの上昇が観察され、血清HMG1の最高レベルは致死症例で観察されることを示す(表2)。これらのデータはさらに、敗血症におけるHMG1アンタゴニストの治療的重要性を示し、HMG1の血清濃度を測定することにより敗血症についてのおよび敗血症の重症度(即ち、潜在致死性)についてのアッセイの診断的実用性の証拠も提供する。この診断アッセイは、炎症性サイトカインカスケードの活性化を伴う類似の症状の重症度を診断するためにも有用である。
【0047】
致死性対非致死性敗血症に関連した血清HMG1レベルに関して、さらに被験者をスクリーニングして、図6に記載したような結果(表2と累積的)を得た。図6に要約したデータは、健常被験者8名、ならびにグラム陽性菌[バチルス属のBacillus fragilis(1名)、エンテロコッカス属のEnterococcus facecalis(1名)、連鎖球菌属の肺炎連鎖球菌(4名)、リステリア属のListeria monocytogenes(1名)またはブドウ球菌属の黄色ブドウ球菌(2名)]、グラム陰性菌[大腸菌(7名)、クレブシエラ属の肺炎桿菌(1名)、アシネトバクター属のAcinetobacter calcoaceticus(1名)、シュードモナス属の緑膿菌(1名)、フゾバクテリウム属のFusobacterium nucleatum(1名)、シトロバクター属のCitrobacter freundii(1名)]または非同定病原体(5名)に感染した敗血症患者25名から得た血清試料を代表するものである。SDS−PAGEゲル電気泳動により血清を分別し、正常ヒト血清中に稀釈した精製rHMG1の標準曲線を基準に、ウエスタンブロッティング分析によりHMG1レベルを確定した。ウエスタンブロッティングによる検出限界は、50pgである。HMG1は正常コントロールにおいては検出されないが、敗血症患者においては有意に増大した、ということに留意されたい。非生存敗血症患者の血清中のHMG1の平均レベル(N=13患者、平均HMG1レベル=83.7±22.3ng/ml)は、生存者(N=12、平均HMG1レベル=25.2±15.1ng/ml、P<0.05)より有意に高い。これらのデータは、敗血症およびサイトカイン活性化の関連疾患の存在の、そしてこのような疾患および症状の重症度およびありそうな臨床的経過の診断および予後指標として、HMG1配列(タンパク質または核酸)に対する組織(制限血液または血清なしを含む)試料のスクリーニングの実用性の直接的な証拠を提供する。
【0048】
実施例8:HMG1は前炎症性メディエータおよび重量損失を誘導する
本発明の結果は、HMG1が炎症性サイトカインカスケードの後期放出メディエータ因子であるという証拠を提供する。一次ヒト末梢血単核球への組換え体HMG1の付加は、刺激後4時間以内のTNFの用量依存性誘導をもたらした(図3A)。HuPBMCによるTNF放出の組換え体HMG1による刺激は、i)精製組換え体HMG1はLAL内毒素アッセイにより判定した場合、LPSが夾雑せず、ii)LPS中和剤ポリミキシンBの付加はHMG1誘導性TNF放出に影響を及ぼさず、そしてiii)トリプシンによる組換え体HMG1調製物のタンパク質分解的切断はPBMC培養物に対するTNF放出活性を完全に無くしたために、LPS夾雑によるものではなかった。HMG1刺激はまた、マクロファージを誘導し一酸化窒素(NO)を放出させた。
【0049】
HMG1がin vivoで血清TNF放出を誘導したことを確証するために、精製組換え体HMG1をBalb/Cマウスに腹腔内投与して、血液試料を収集して、L929アッセイによりTNFについてアッセイした。図3Bに示したように、TNFはコントロール動物の血清中では検出可能でなかったが、組換え体HMG1タンパク質の投与後2時間目に有意に増大された。
【0050】
HMG1遺伝子の組換え遺伝子産物の反復投与(100μg/マウス/日)は、マウスにおける有意の体重損失を引き起こした(図4)。メカニズムに関する限定を伴わず、理論に縛られずに、これらのデータは、HMG1が、in vitroおよびin vivoの両方の条件下で前炎症性カスケードのフィードフォワード刺激物として作用するという仮説と一致する。重量損失の予測モデルにおけるこれらのin vivoデータも、HMG1を含有する製剤処方物またはその治療的活性断片が有効な重量損失療法であるという予測的証拠を提供する。
【0051】
実施例9:HMG1のin vivo供給源
前述のようにウエスタンブロット強度の定量により、下垂体切除とコントロールとのラットにおける血清HMG1レベルも測定した。コントロール(約25ng/ml)と比較した場合、下垂体切除ラット(約75ng/ml)において、内毒素チャレンジ(1.0mg/kgでのLPS)後12時間以内に有意に高いHMG1レベルが認められた。これらの結果は、下垂体細胞は血清HMG1レベルの主要供給源ではなく、マクロファージが定量的により重要な役割を演じ得る、ということを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症性サイトカインカスケードの活性化を特徴とする症状(疾患)を治療するための医薬組成物であって、有効量の、HMG1のアンタゴニストまたは阻害剤を含む組成物。
【請求項2】
敗血症および関連症状を治療するための医薬組成物であって、有効量のHMG1アンタゴニストを含む組成物。
【請求項3】
前記HMG1アンタゴニストは、HMG1と結合する抗体、HMG1アンチセンス配列およびHMG1受容体アンタゴニストから成る群から選択される請求項1または2記載の医薬組成物。
【請求項4】
炎症性サイトカインカスケードの活性化を特徴とする症状の治療方法であって、有効量のHMG1アンタゴニストを投与することを含む方法。
【請求項5】
炎症性サイトカインカスケード症候群の活性化を伴う敗血症および関連症状の治療方法であって、有効量のHMG1アンタゴニストを投与することを含む方法。
【請求項6】
前記HMG1アンタゴニストと組合せて第二作用物質を投与することをさらに含み、該第二作用物質は、初期敗血症メディエータのアンタゴニストである請求項4または5記載の方法。
【請求項7】
前記第二作用物質は、TNF、IL−1α、IL−1γ、MIFおよびIL−6から成る群から選択されるサイトカインのアンタゴニストである請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記第二作用物質は、TNFまたはMIFに対する抗体、あるいはIL−1受容体アンタゴニスト(IL−1ra)である請求項7記載の方法。
【請求項9】
炎症性カスケードの活性化を特徴とする症状に伴うショック様症状を示しているかまたはその症状を示す危険性のある患者に関する敗血症および関連症状の重症度をモニタリングし、そして起こり得る臨床経過を予測するための診断および予後判定方法であって、試料中のHMG1の濃度を測定し、該濃度を、同様の試料中のHMG1の正常濃度範囲を代表するHMG1に関する標準と比較し、それにより高レベルのHMG1が、乏しい予後または毒性反応の可能性を示すことを含む方法。
【請求項10】
前記試料は、血清試料である請求項9記載の診断または予後判定方法。
【請求項11】
敗血症または敗血症性ショックの重症度の診断またはモニタリングをモニタリングするための診断方法であって、敗血症または敗血症性ショック様症状を示す危険性のあるまたは示している患者におけるHMG1の血清濃度を測定し、それにより高レベルのHMG1が敗血症または敗血症性ショックの診断あるいは乏しい予後を示すことを含む方法。
【請求項12】
体重損失をもたらすか、または肥満症を治療するための医薬組成物であって、有効量の、HMG1またはその治療的活性断片を含む組成物。
【請求項13】
体重損失をもたらすか、または肥満症を治療するための方法であって、有効量のHMG1またはその治療的活性断片を投与することを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−168593(P2011−168593A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−58031(P2011−58031)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【分割の表示】特願2000−598059(P2000−598059)の分割
【原出願日】平成12年2月11日(2000.2.11)
【出願人】(501324834)ザ・フェインスタイン・インスティチュート・フォー・メディカル・リサーチ (14)
【氏名又は名称原語表記】The Feinstein Institute for Medical Research
【住所又は居所原語表記】350 Community Drive, Manhasset, NY 11030, U.S.A.
【Fターム(参考)】