説明

炭化水素油の接触分解触媒及び該触媒を用いる炭化水素油の接触分解方法

【課題】炭化水素油の接触分解において、高い磨耗強度を有する接触分解触媒を提供すること。
【解決手段】粘土鉱物を10〜75質量%、結晶性アルミノ珪酸塩を20〜60質量%、シリカバインダーを5〜40質量%含有してなり、かつ前記粘土鉱物の平均粒子径が1μm以下で、90質量%の粒子径が2μm以下であることを特徴とする炭化水素油の接触分解触媒、及び該触媒を用いた炭化水素油の接触分解方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素油の接触分解触媒(以下「FCC触媒」と記すこともある)と、それを用いる炭化水素油の接触分解方法に関し、さらに詳しくは、磨耗強度が向上された炭化水素油の接触分解触媒と、それを用いる炭化水素油の接触分解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用ガソリンは、原油の精製工程において得られる複数のガソリン基材を混合することにより製造されており、特に重質な炭化水素油の接触分解から得られるFCCガソリンは、ガソリンへの配合量も多いため、FCCガソリン収率を向上させることは当業者にとって望ましい。
【0003】
しかし、炭化水素油の接触分解方法においては、近年の原油の重質化・低品位化に伴い、バナジウムやニッケル等の重金属や残留炭素分の高い原料油を流動接触分解装置に投入しなければならない事態が生じている。バナジウムは、FCC触媒に沈着し堆積すると、FCC触媒の活性成分である結晶性アルミノ珪酸塩の構造を破壊するため、触媒の著しい活性低下をもたらし、かつ水素・コークの生成量を増大させ、ガソリンの選択性を低下させるなどの問題を有していることが知られている。また、ニッケルも、触媒表面に沈着堆積し、脱水素反応を促進するため水素・コークの生成量を増加させ、ガソリンの選択性を低下させるなどの問題を有している。このような原油の重質化・低品位化に対応するためには、触媒の分解活性を高めるために結晶性アルミノ珪酸塩や、高分解性のマトリックスを増量することが好ましいが、これらを増量すると触媒の比重が低下し、磨耗強度の低下を引き起こす。
【0004】
FCC触媒は、装置内を反応と再生を繰返しながら高速で流動しているため、触媒は粒子間や管壁、器壁などとの衝突によって磨耗する。磨耗強度が低い触媒は、装置内循環とともに磨耗による微粒子を増加させ、磨耗による触媒ロスが発生するだけでなく、装置エロージョンや精留塔の不具合の原因となる上に、磨耗により生じた微粒子の分離回収が困難である。このことから、FCC触媒においては、より磨耗強度に優れた触媒粒子が求められている。
【0005】
触媒の磨耗強度を向上させる方法としては、リン酸化合物を触媒に添加する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。しかしながら、この方法では、リン酸化合物の添加量に比例して磨耗強度が向上するものの、リン酸化合物の付着により、活性成分であるゼオライトの表面積が低下するため、触媒活性が低下してFCCガソリンの収率が低下するといった課題を有している。
【0006】
一方、触媒の活性を向上させる方法としては、カオリンクレーや、ゼオライトのアルミナ源である微粉砕された超微細カオリンから誘導したメタカオリン及びバインダーからなる微小球をアルカリ性ケイ酸ナトリウム溶液と反応させることにより、ゼオライト結晶を製造・成長させるInsitu型のFCC触媒を製造する方法が提案されているが(例えば、特許文献3参照)、この方法で製造した触媒は、分解活性が高く、ガソリン収率も高くなるものの、触媒のかさ密度が低く、磨耗強度が低下するといった課題を有している。
【0007】
【特許文献1】特開平5−64743号公報
【特許文献2】特表2002−537976号公報
【特許文献3】特公表2005−526587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の諸状況に鑑み、本発明は、炭化水素油の接触分解において、高い磨耗強度を有する接触分解触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の目的を達成するために検討を重ねた結果、特定の粒子径分布を有する粘土鉱物を用いたFCC触媒、又は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた画像測定において、結晶粒子が特定の結晶構造を有し、特定の積層数を有する粘土鉱物を用いたFCC触媒であれば、炭化水素油の接触分解反応において、高い磨耗強度を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本発明は、次の炭化水素油の接触分解触媒、及びそれを用いた炭化水素油の接触分解方法を提供する。
(1)粘土鉱物を10〜75質量%、結晶性アルミノ珪酸塩を20〜60質量%、シリカバインダーを5〜40質量%含有してなり、かつ前記粘土鉱物の平均粒子径が1μm以下で、90質量%の粒子径が2μm以下であることを特徴とする炭化水素油の接触分解触媒。
(2)前記粘土鉱物が、粒子径0.2〜0.8μmの範囲に粒子数の最大ピークを有することを特徴とする上記(1)に記載の炭化水素油の接触分解触媒。
(3)前記粘土鉱物が、カオリン鉱物であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の炭化水素油の接触分解触媒。
(4)走査型電子顕微鏡を用いた画像測定において、結晶粒子が板状の結晶構造を有し、その平均積層数が1〜10である粘土鉱物を10〜75質量%、結晶性アルミノ珪酸塩を20〜50質量%、シリカバインダーを5〜40質量%含有してなることを特徴とする炭化水素油の接触分解触媒。
(5)前記粘土鉱物が、平均粒子径が1μm以下で、90質量%の粒子径が2μm以下であることを特徴とする上記(4)に記載の炭化水素油の接触分解触媒。
(6)前記粘土鉱物が、粒子径0.2〜0.8μmの範囲に粒子数の最大ピークを有することを特徴とする上記(4)又は(5)に記載の炭化水素油の接触分解触媒。
(7)前記粘土鉱物が、カオリン鉱物であることを特徴とする上記(4)〜(6)のいずれかに記載の炭化水素油の接触分解触媒。
(8)炭化水素油を接触分解するに当たり、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の接触分解触媒を使用することを特徴とする炭化水素油の接触分解方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る接触分解触媒は、炭化水素油の接触分解において、高い磨耗強度を有するので、磨耗による触媒ロスを軽減でき、触媒使用量を低減できるだけでなく、微粒子の飛散による装置エロージョンや精留塔の不具合の発生等を軽減し、安定的に装置を運用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の実施の態様を詳細に説明する。
<触媒の構成成分>
本発明に係る接触分解触媒は、結晶性アルミノ珪酸塩、粘土鉱物、及びシリカバインダーを含有してなる。
【0013】
(結晶性アルミノ珪酸塩)
本発明で触媒成分に用いる結晶性アルミノ珪酸塩は、天然物であっても、人工物であってもよく、またその構造形態も多岐にわたっており、正方晶系、斜方晶系、立方晶系、六方晶系などの結晶構造を有する。この結晶性アルミノ珪酸塩としては、モルデナイト、βゼオライト、ZSM系ゼオライト、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト等を用いることができ、Y型ゼオライトが好ましく、安定化Y型ゼオライトが特に好ましい。安定化Y型ゼオライトとしては、(a)化学組成分析によるバルクのSiO/Alモル比が4〜15、好ましくは5〜10、(b)単位格子寸法が24.35〜24.65Å、好ましくは、24.40〜24.60、(c)全Alに対するゼオライト骨格内Alのモル比が0.3〜1.0、好ましくは0.4〜1.0、のものを用いることができる。この安定化Y型ゼオライトは、天然のフォージャサイトと基本的に同一の結晶構造を有し、酸化物として下記に示す組成物を有する。
(0.02〜1.0)R/mO・Al・(5〜11)SiO・(5〜8)H
R:Na、K、その他のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン
m:Rの原子価
【0014】
本発明で用いるゼオライトの単位格子寸法は、X線回折装置(XRD)により測定することができ、またその全Alに対するゼオライト骨格内Alのモル数は、化学組成分析によるSiO/Al比及び単位格子寸法から下記の式(A)〜(C)を用いて算出することができる。なお、式(A)はH.K.Beyeretal.,J.Chem.Soc.,FaradayTrans.1,(81),2899(1985).に記載の式を採用したものである。
・NA1=(a−2.425)/0.000868……(A)
:単位格子寸法/nm
Al:単位格子当たりのAl原子数
2.425:単位格子骨格内の全Al原子が骨格外に脱離したときの単位格子寸法
0.000868:実験により求めた計算値であり、aとNAlについて1次式で整理したとき(a=0.000868NAl+2.425)の傾き
・(Si/Al)計算式=(192−NAl)/NAl……(B)
192:Y型ゼオライトの単位格子寸法あたりの(Si+Al)の原子数
・ゼオライト骨格内Al/全Al=(Si/Al)化学組成分析値/(Si/Al)計算式……(C)
【0015】
上記ゼオライトのSiO/Alモル比は、触媒の酸強度を示しており、一般にモル比が大きいほど触媒の酸強度が強くなる。そして、一般にSiO/Alモル比は、4以上であることが、重質炭化水素油の接触分解に必要な酸強度を得ることができ、その結果分解反応が好適に進行して好ましい。また、15以下であることが、必要な酸の数が減少し、重質炭化水素油の分解活性が低下することを抑制できて好ましい。
【0016】
ゼオライトの単位格子寸法は、ゼオライトを構成する単位ユニットのサイズを示しているが、24.35Å以上であることが、重質炭化水素油の分解に必要なAlの数が減少しすぎ、その結果分解が進行し難くなることを抑制できて好ましい。また、24.65Å以下であることが、ゼオライト結晶の劣化が進行しやすくなり、FCC触媒の分解活性の低下が著しくなることを抑制できて好ましい。
【0017】
全Alに対するゼオライト骨格内Alのモル比は、0.3以上であることが、ゼオライト結晶を構成するAlの量が少なくなりすぎ、その結果ゼオライトの骨格から脱落したAl粒子が多くなり、強酸点が発現しないために接触分解反応が進行しなくなることを抑制できて好ましい。また、ゼオライト骨格内Alの全Alに対するモル比が1に近いと、ゼオライト内のAlの多くがゼオライト単位格子に取り込まれていることを意味し、ゼオライト内のAlが強酸点の発現に効果的に寄与するため好ましい。
【0018】
上記のような要件を満たすゼオライトとして、特許第2544317号公報に記載されているヒートショック結晶性珪酸塩も使用することができる。このゼオライトは、SiO/Alモル比が5〜15、単位格子寸法が24.50以上24.70未満、アルカリ金属含有量が酸化物換算で0.02質量%以上1質量%未満である安定化Y型ゼオライトを600〜1200℃で5〜300分間、空気又は窒素雰囲気下で、結晶化度低下率が20%以下となるように焼成したものであり、化学組成分析によるバルクのSiO/Alモル比が5〜15、全Alに対するゼオライト骨格内Alのモル比が0.3〜0.6、単位格子寸法が24.45Å未満、アルカリ金属含有量が酸化物換算で0.02質量%以上1質量%未満、細孔分布において50Å付近及び180Å付近に特徴的なピークを示し、100Å以上の細孔容積が全細孔容積の10〜40%であり、かつY型ゼオライトの主要なX線回折パターンを有する結晶性アルミノ珪酸塩である。
【0019】
(シリカバインダー)
本発明で触媒成分に用いるシリカバインダーは、結晶性アルミノケイ酸塩や粘土鉱物などの粒子間に存在し、触媒を微粒子化する時の成形性を良くし、触媒微粒子を球状にさせ、また得られる触媒微粒子の流動性及び耐摩耗性を図るために使用される。シリカバインダーは固体酸性質を示さないため、それ自身に分解活性は持たないが、メソ細孔の形成に寄与しコークの生成量を低減させることができる。
【0020】
上記シリカバインダーとしては、幾つかの種類が知られており、コロイダルシリカを例に挙げれば、ナトリウム型、リチウム型、酸型等のシリカゾルがある。本発明では、これらいずれの型のものも使用することができる。商業用規模での接触分解触媒の生産を考慮すれば、低コストの希釈水ガラス水溶液と硫酸水溶液とを反応させて得られるシリカヒドロゾル等を好ましく用いることができる。また本発明で得られる効果を逸脱しない限り、アルミナバインダーなどを混合して使用することもできる。
【0021】
(粘土鉱物)
本発明で用いる粘土鉱物は、平均粒子径が1μm以下であり、かつ90質量%の粒子径が2μm以下であるか、又は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた画像測定において、結晶粒子が板状の結晶構造を有し、かつその平均積層数が1〜10であるものである。勿論上記粒子径特性と結晶構造特性の両特性を有する粘土鉱物であってもよい。本発明の接触分解触媒は、かかる特性を有する粘土鉱物を含有することで、優れた耐磨耗強度を有する。
【0022】
本発明で用いる粒子径特性を有する粘土鉱物は、平均粒子径が1μm以下、好ましくは0.6μm以下であり、90質量%の粒子径が2μm以下、好ましくは1.5μm以下である。また、80質量%の粒子径が1μm以下であることがさらに好ましい。平均粒子径が1μmを超えて大きい場合や、90質量%の粒子径が2μmを超えて大きい場合は、触媒のかさ密度(ABD)の低下や、触媒形状の悪化が懸念され、強度、耐磨耗性に優れた触媒粒子を造粒することが難しくなり、また得られる触媒が所期の触媒性能を有することが難しくなる。
粘土鉱物の粒子径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置により測定することができる。
【0023】
本発明で用いる上記結晶構造特性を有する粘土鉱物は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた画像測定において、結晶粒子が板状の結晶構造を有し、その平均積層数が1〜10である特性を有する。板状結晶の平均積層数が1〜10であるものは、強度、耐磨耗性に優れた触媒粒子を造粒することができる。より好ましいものは、六角板状の結晶構造を有し、平均積層数が1〜5のものである。また、板状結晶の平均積層数が1に近くなると、さらに摩耗強度が向上し、触媒成分のゼオライトや粘土鉱物以外の分解性マトリックス成分を増量することができるため、より一層好ましい。
【0024】
また、本発明で用いる粘土鉱物は、好ましくは粒子径0.2〜0.8μmの範囲、さらに好ましくは0.2〜0.6μmの範囲に粒子数の最大ピーク(粒子径分布の最大ピーク)を有することが望ましい。粒子数の最大ピークが上記範囲内にあれば、本発明の所期の効果をより一層高度に達成することができる。
【0025】
粘土鉱物には、モンモリロナイト、カオリン、ベントナイト、アタパルガイト、ボーキサイト、クオーツ(石英)、イライト、ベーマイト等各種あるが、本発明では、粘土鉱物として、上記粒子径分布特性及び結晶構造特性のいずれか一方又は両方の特性を有するものであれば、各種粘土鉱物のいずれか1種を単独で使用することも、複数種を混合して使用することもできる。中でも、カオリンもしくはカオリンを主成分とするものが好ましく使用される。また、必要に応じて、上記粒子径分布特性や結晶構造特性を有する粘土鉱物と、これらの特性を有しない粘土鉱物とを、本発明の所期の効果が得られる限りにおいて、混合して使用することもできる。
【0026】
カオリン鉱物としては、カオリナイト(六角板状、Kaolinite−1A)、積層に乱れのあるカオリナイト(六角板状、Kaolinite−1Md)、ハロイサイト(針状)、ナクライト(六角板状、Kaolinite−1M)、ディッカイト(板状、Kaolinite−2M)等、各種X線回折(XRD)パターンを示すものが知られている。代表的なピークはKaolinite−1Aは2θ=約12、20、25°、Kaolinite−1Mdは2θ=約12、20、25°、Kaolinite−1Mは2θ=約12、20、21°、Kaolinite−2Mは2θ=約12、22、25°付近にそれぞれ観測される。本発明に使用するカオリン鉱物の構造や形状は、特に制限されるものではなく、前記カオリン鉱物のいずれのX線回折(XRD)パターンを示すもの、即ち、六角板状、針状、板状のいずれであってもよい。なかでも六角板状の結晶構造のものは、粒子形状が整いやすく、より強度、耐磨耗性に優れた触媒粒子を造粒できるので好ましい。さらに、Kaolinite−1MdのXRDパターンを示すものは、強度、耐磨耗性に優れた触媒粒子を造粒できるとともに、これを用いた触媒は特に高い分解活性を有し、ドライガス(水素、C1〜C2)、LPG、コークの生成量を低減し、かつFCCガソリン選択性が高くて高収率でFCCガソリンを製造でき、より一層好ましい。ここで、「1A」や「1Md」といった記号は、結晶のポリタイプ(多形)を示しており、Aは三斜(Asym/Triclinic)を、Mは単斜(monoclinic)を示し、また、記号の前の数字は、単位胞中に含む単位構造層の枚数を示す。
上記カオリン鉱物は下記に示す組成式で表される。
AlSiO(OH) (層間に水分子を有する場合はAlSiO(OH)・2HO)
【0027】
本発明では、上記特定の粒子径特性や結晶構造特性を有する粘土鉱物を含有させることにより、炭化水素油の接触分解において、高い磨耗強度を有する接触分解用触媒を提供できるという優れた効果を得ることができる。
本発明でかかる優れた効果が得られる原因の詳細は必ずしも明らかではないが、上記特定の特性を有する粘土鉱物を含有することで、接触分解触媒内に好適な細孔径が形成されたことや、接触分解触媒内に強い結合力が形成されたことによると考えられる。また、粘土鉱物の積層数を減らすことで、結合力の強い2次粒子が形成し、触媒の摩耗強度が得られることが考えられる。
【0028】
また、本発明の接触分解触媒のうち、粒子径特性を有する粘土鉱物を含有するものは、磨耗強度の向上に加え、高い分解活性を有し、ドライガス、LPG、コークの生成量を低減させ、かつガソリン留分の選択性を向上し、FCCガソリンを効率良く高収率で得ることができる。一般に、FCCプロセスにおいては、その性質上、わずかでもドライガス、LPG、コークの生成量を低減することで、FCC装置にかかるコスト及び負担を減少させることができる。特にFCC装置を高稼働率で運用する場合には、ドライガス、LPG、コークを低減することで、再生塔温度、ガスセクションに余裕ができるため、より効率的な装置運転が可能となる。さらに、一般にFCCガソリンは、市場に出荷するガソリンへの配合量が多いため、ガソリンの選択性の向上により生み出される利益は非常に大きい。
かかる優れた効果が得られる原因の詳細は必ずしも明らかではないが、炭化水素油と分解活性点との接触効率が向上したため、コークの生成量が低減し、かつガソリン選択性が向上して優れた効果が得られることによると考えられる。
【0029】
(その他の成分)
本発明の触媒には、その他の成分として、シリカ、シリカ−アルミナ、アルミナ、擬ベーマイト、シリカ−マグネシア、アルミナ−マグネシア、リン−アルミナ、シリカ−ジルコニア、シリカ−マグネシア−アルミナ等の通常の接触分解用触媒に使用される公知の無機酸化物の酸化物微粒子を含有させることもできる。これらも上記粘土鉱物と同様に、触媒のマトリックス成分として機能する。また、アルカリ土類や、マンガン、アンチモン、スズ等のメタル不活性化機能を持つ無機酸化物を含有させることもできる。
【0030】
<触媒の調製>
以上のような各成分から構成されている本発明の接触分解触媒を調製するには、種々の方法があり、その調製方法は特に制限されないが、例えば次のような手順で調製することができる。
先ず、上記の結晶性アルミノ珪酸塩、シリカバインダー及び粘土鉱物を混合溶液中で攪拌混合し、均一な水性スラリーを得る。このときの結晶性アルミノ珪酸塩、シリカバインダー、及び粘土鉱物の混合割合は、触媒乾燥基準で、結晶性アルミノ珪酸塩が20〜60質量%、好ましくは30〜50質量%、シリカバインダーが5〜40質量%、好ましくは10〜20質量%、粘土鉱物が10〜75質量%、好ましくは30〜70質量%の範囲に入るようにする。
【0031】
結晶性アルミノ珪酸塩の量が20質量%以上であれば、所期の分解活性を得ることができ、また、60質量%以下であれば、相対的に粘土鉱物やシリカバインダーの量が少なくなりすぎて、次のような好ましくない現象が生じることを回避できる。即ち、粘土鉱物やシリカバインダーの量が少なすぎると、触媒強度が低下するのみならず、触媒の嵩密度が小さくなり、装置の運転において好ましくない結果を生じる。
【0032】
また、シリカバインダーの量が5質量%以上であれば、触媒の強度が保てるため、触媒の飛散、生成油中への混入等の好ましくない現象を回避でき、また、40質量%以下であれば、使用量に見合った触媒性能の向上が認められ、経済的に有利となる。
【0033】
さらにまた、粘土鉱物の量が10質量%以上であれば、触媒強度や、触媒の嵩密度が小さくて、装置の運転に支障をきたすことを回避でき、また、75質量%以下であれば、相対的に結晶性アルミノ珪酸塩やシリカバインダーの量が少なくなり、結晶性アルミノ珪酸塩の量の不足により所期の高い分解活性が得られなくなることや、結合剤量の不足により触媒の調製が困難となることを回避できる。そして、粘土鉱物の混合割合を上記範囲とすることが、高い磨耗強度を有する接触分解用触媒を提供できるという本発明の優れた効果を得る上で肝要である。さらに、上記範囲とすることで、高い分解活性を有し、分解生成物であるドライガス、LPG、コークの生成量を低減させ、かつガソリンの選択性を向上させて、FCCガソリンを効率良く高収率で製造できる。
【0034】
上記の各成分を混合して調製される水性スラリー中の固形分の割合は、約5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%が適している。固形分の割合がこの範囲であれば、蒸発させる水分量が適当となり、噴霧乾燥工程などで支障をきたすことがなく、また、スラリーの粘度が高くなり過ぎて、スラリーの輸送が困難になることがない。
【0035】
次いで、調製された結晶性アルミノ珪酸塩/シリカバインダー/粘土鉱物の混合スラリーを通常噴霧乾燥し、触媒粒子を得る。噴霧乾燥工程は、一般に、噴霧乾燥装置を用い、ガス入口温度を約200〜400℃、ガス出口温度を約100〜200℃として行う。噴霧乾燥により得られる微小球体は、一般に、約20〜150μmの粒子径で、約10〜30質量%の水分含有量であることが好ましい。
【0036】
上記の水性スラリーを噴霧乾燥して得られた微小球体は、必要に応じて200℃以上で焼成し、焼成物とすることもでき、また、噴霧乾燥装置で水性スラリーの噴霧乾燥を行う際、ガス出口温度を200℃以上に保つことができる設備を備えている場合には、噴霧乾燥工程に微小球体の焼成工程を含めることも可能である。
【0037】
<触媒の洗浄>
上記のようにして得られた触媒の微小球体又はその焼成物は、通常、結晶性アルミノ珪酸塩、シリカバインダー、粘土鉱物の各触媒成分からの可溶性不純物、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属等が含まれているため、水やアンモニア水を用いて可溶性不純物を洗浄除去し、次いでアルカリ金属をイオン交換することによって洗浄除去する。得られた微小球体やその焼成物に過剰のナトリウムやカリウムが存在しない場合は、その洗浄除去を行うことなく、そのまま触媒として用いることもできる。
【0038】
上記のナトリウムやカリウム等のアルカリ金属の洗浄除去は、具体的には、硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、ホスフィン酸アンモニウム、ホスホン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウムなどのアンモニウム塩の水溶液を用いてイオン交換して行うことができる。
【0039】
上記洗浄に続いて、この微小球体又はその焼成物を約100〜500℃の温度で再度乾燥し、水分含有量を約1〜25質量%にして、本発明に係る接触分解触媒が得られる。
【0040】
<接触分解方法>
本発明において、炭化水素油を接触分解するには、ガソリンの沸点範囲200℃以上で沸騰する炭化水素油(炭化水素混合物)を、上記本発明の接触分解触媒に接触させればよい。このガソリン沸点範囲以上で沸騰する炭化水素混合物とは、原油の常圧あるいは減圧蒸留で得られる軽油留分や、常圧蒸留残渣油及び減圧蒸留残渣油を意味し、もちろんコーカー軽油、溶剤脱瀝油、脱剤脱瀝アスファルト、タールサンド油、シェールオイル油、石炭液化油、GTL(Gas to Liquids)油、植物油、廃潤滑油、廃食油をも包括するものである。
【0041】
商業的規模での接触分解は、通常、垂直に据え付けられたクラッキング反応器と触媒再生器との2種の容器からなる接触分解装置に、上記した本発明のFCC触媒を連続的に流動循環させて行う。即ち、触媒再生器から出てくる熱い再生触媒を、分解すべき炭化水素油と混合し、クラッキング反応器内を上向の方向に導く。その結果、触媒上に析出したコークによって失活したFCC触媒を、分解生成物から分離し、ストリッピング後、触媒再生器に移す。触媒再生器に移した使用済みのFCC触媒を、該触媒上のコークを空気燃焼による除去で再生し、再びクラッキング反応器に循環する。一方、分解生成物はドライガス、LPG、ガソリン留分、中間留分、及び重質サイクル油(HCO)又はスラリー油のような1種類以上の重質留分に分離する。もちろん、これらの重質留分を、クラッキング反応器内に再循環させて分解反応をより進めることもできる。
【0042】
上記の接触分解におけるクラッキング反応器の運転条件としては、圧力が常圧〜5kg/cm、温度が約400〜600℃、好ましくは約450〜550℃、触媒/原料炭化水素油の重量比が約2〜20、好ましくは約4〜15とすることが適している。
【0043】
反応温度が400℃以上であれば、原料炭化水素油の分解反応が好適に進行して、分解生成物を好適に得ることができる。また、600℃以下であれば、分解により生成するドライガスやLPGなどの軽質ガス生成量を軽減でき、目的物のガソリン留分の収率を相対的に増大させることができて経済的である。
【0044】
圧力が5kg/cm以下であれば、モル数の増加する反応の分解反応の進行が阻害されにくい。また、触媒/原料炭化水素油の重量比が2以上であれば、クラッキング反応器内の触媒濃度を適度に保つことができ、原料炭化水素油の分解が好適に進行する。また、20以下であれば、触媒濃度を上げる効果が飽和してしまい、触媒濃度を高くするに見合った効果が得られずに不利となることを防ぐことができる。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
【0046】
〔分析機器、分析条件等〕
実施例、比較例で得た各触媒や使用粘土鉱物の分析に使用した機器、計算式等は次のとおりである。
・組成分析(ICP):Thermo Jarrell Ash社製 “IRIS Advantage”
・比表面積(SA)及び細孔容積(PV):日本ベル株式会社製“BELSORP28SA” (高精度全自動ガス吸着装置)
・粘土鉱物の粒子径:島津製作所社製 “SALD−2100”(レーザー回折式粒度分布測定装置)
【0047】
・走査型電子顕微鏡(SEM):日本電子社製電界放射走査型電子顕微鏡“JSM−6340F”
試料調製:粘土鉱物試料を導電性の両面テープを用いて試料台に固定した後、Auを約200Åコーティングし観察用試料を調製した。
分析方法:SEM(加速電圧:5KV)による2次電子像の撮影。
積層数の算出方法:撮影倍率5000倍以上(積層数が解析できる倍率)において異なるロケーションの画像数十枚を撮影し、各画像に写る粒子合計100個分の積層数を算出し、積層数の分布及び平均積層数を求めた。
【0048】
・XRD機器:理学電機株式会社製“RINT2500V”
* 前処理:粘土鉱物試料を100℃で24時間乾燥してから以下の条件で測定した。
管電圧:50kv
管電流:200mA
走査モード:連続
スキャンスピード:2°/min
スキャンステップ:0.02°
測定範囲(2θ):5〜90°
発散,散乱スリット:1°
受光スリット:0.3mm
【0049】
〔触媒の調製〕
実施例1(触媒Aの調製)
希硫酸94gにJIS3号水ガラス138gと純水176gの混合溶液を滴下し、シリカゾル水溶液(SiO濃度20.0質量%)を調製した。一方、表1の性状を有する安定化Y型ゼオライト69.4g(乾燥基準)に蒸留水を加え、ゼオライトスラリーを調製した。上記のシリカゾル水溶液に、表2の性状を有し、図1のXRDパターン及び図7、8の粒子径分布を示す粘土鉱物(a)(Thiele Kaolin Company社製 “KAOFINE90”)108.5g(乾燥基準)と上記のゼオライトスラリーを混合し、さらに5分間混合した。
得られた混合スラリーを210℃の入口温度、及び140℃の出口温度の条件で噴霧乾燥し、得られた微小球体を触媒前駆体とした。該触媒前駆体を、60℃の5質量%の硫酸アンモニウム水溶液3Lで2回イオン交換した後、さらに6Lの蒸留水で洗浄した。その後、乾燥機中、110℃で一晩乾燥し、触媒Aを得た。
【0050】
実施例2(触媒Bの調製)
表2の性状を有し、図2のXRDパターン及び図7、8の細孔分布と、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた画像測定において図9の結晶形状及び図13、14の積層数分布を示す粘土鉱物(b)(Thiele Kaolin Company社製 “KAOFINE”)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、触媒Bを得た。
【0051】
実施例3(触媒Cの調製)
表2の性状を有し、図3のXRDパターンと、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた画像測定において図10の結晶形状を示す粘土鉱物(c)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、触媒Cを得た。
【0052】
実施例4(触媒Dの調製)
表2の性状を有し、図4のXRDパターンを示す粘土鉱物(d)(稲垣工業社製 “NZ・UF”)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、触媒Dを得た。
【0053】
実施例5(触媒Eの調製)
表2の性状を有し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた画像測定において図11の結晶形状を示す粘土鉱物(e)(イメリス社製 “CapimDG”)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、触媒Eを得た。
【0054】
比較例1(触媒Fの調製)
表2の性状を有し、図5のXRDパターン及び図7、8の粒子径分布を示す粘土鉱物(f)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、触媒Fを得た。
【0055】
比較例2(触媒Gの調製)
表2の性状を有し、図6のXRDパターンを示す粘土鉱物(g)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、触媒Gを得た。
【0056】
比較例3(触媒Hの調製)
表2の性状を有し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた画像測定において図12の結晶形状と、図13、14の積層数分布を示す粘土鉱物(h)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、触媒Hを得た。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
〔触媒組成〕
上記の実施例及び比較例で得た触媒の組成を表3に纏めて示す。
【0060】
【表3】

【0061】
〔磨耗強度評価〕
実施例及び比較例で得た各触媒について、磨耗強度測定装置(触媒化成技報 Vol.13 No.1(1996)に記載の条件をもとに自社設計した装置)を用いて、同一測定条件のもと、次のようにして磨耗特性を試験した。即ち、前処理として、各触媒について、500℃×5時間の焼成処理を行った後に、触媒試料45g(乾燥基準)、添加水5gの条件で磨耗強度を測定した。測定においては、触媒管の流速を0.104m/secになるように、窒素供給量を調整し、測定開始から12時間までに飛散した微粒子の量を初期磨耗量(Initial Fines)とし、12〜42時間までに飛散した微粒子の量を平均磨耗量(Average Attririon Rate)とし、42時間測定を行った。その結果算出された磨耗量を表4にそれぞれ示す。
【0062】
【表4】

【0063】
比較例1〜3で得られた触媒F〜Hは、初期磨耗量、平均磨耗量が多く、即ち触媒強度が低いため、炭化水素油の接触分解反応において、装置運用にかかるコストや負担を考慮すると不利である。
これに対して、本発明の実施例1〜5で得られた触媒A〜Eは、初期磨耗量、特に平均磨耗量が少なく磨耗強度が高いので、接触分解反応において磨耗による触媒ロスを低減できるだけでなく、装置エロージョンや精留塔の不具合を回避することができてメリットが大きい。実施例1と比較例1,2との対比から、粘土鉱物の粒子径が本願発明の範囲内であってその値が小さいほど耐磨耗性が高いことが分かった。また実施例1と実施例4との対比から、粘土鉱物の粒子径性状が同程度であれば、結晶形状が六角板状である実施例1の方がより磨耗強度が向上することが分かった。実施例2、3、5、比較例3の対比から、粘土鉱物の粒子径が小さく、SEM分析結果の平均積層数が少ないほど耐磨耗性が向上することが確認できた。
【0064】
〔触媒活性評価〕
実施例1〜4及び比較例1および2で得た各触媒について、沸騰床マイクロ活性試験装置(KAYSER TECHNOLOGY社製 ACE−Model R+)を用いて、同一原料油、同一測定条件のもと、接触分解特性を試験した。なお、試験に先立ち、上記触媒について、実際の使用状況に近似させるべく、即ち平衡化させるべく以下の模擬平衡化処理(強制劣化処理)を行った。まず、各触媒を室温から600℃まで30分間で昇温し、600℃にて2時間保持して乾燥した後、ニッケル及びバナジウムがそれぞれ1000質量ppm、2000質量ppmとなるようにナフテン酸ニッケル、ナフテン酸バナジウムを含むシクロヘキサン溶液を吸収させた。次いで100℃で乾燥し、しかる後600℃まで30分間で昇温し、600℃で2時間保持して焼成を行い、さらに、各触媒を、流動状態で、空気雰囲気下で室温から800℃まで90分間で昇温し、800℃に到達後、100%スチーム雰囲気に切替え、6時間処理した。
【0065】
上記平衡化処理した触媒を用い、また、原料油として表5に性状を示す炭化水素油(脱硫減圧軽油(VGO)50容量%+脱流残油(DDSP)50容量%)を使用し、沸騰床マイクロ活性試験装置にて、触媒活性評価試験を行った。その際、反応温度510℃、反応時間75〜150秒、触媒/炭化水素油比(質量比)3.0、4.0、5.0、6.0とした。その試験結果をグラフ化し、このグラフ(図示省略)から転化率が60質量%となる触媒/炭化水素油比(質量比)を回帰計算により算出した。ここで、転化率とは100−中間留分(質量%)−重質留分(質量%)である。さらに、回帰計算により転化率60質量%の時の算出されたFCC生成油の組成を表6にそれぞれ示す。
【0066】
【表5】

【0067】
【表6】

【0068】
比較例1および2で得られた触媒F、Gは、FCCガソリンの収率が低く、ドライガス、LPG及びコーク量が多いため、接触分解反応において、装置にかかるコストや負担を考慮すると不利である。
しかしながら、本発明に従った実施例1〜4で得られた触媒A〜Dは、ドライガス、コーク、LPGの生成量を低減させ、FCCガソリンを高収率で得ることができる。
【0069】
特にFCCを高稼働率で運用する場合には、ドライガス、LPG、コークを低減することで、再生塔温度、ガスセクションに余裕ができるため、より効率的な装置運転が可能となる。また、FCCガソリンは、市場に出荷されるガソリンへの配合量が多いため、FCCガソリンを若干でも高収率で得ることができれば、経済的なメリットが大きい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施例1で用いた粘土鉱物(a)のXRDパターンである。
【図2】実施例2で用いた粘土鉱物(b)のXRDパターンである。
【図3】実施例3で用いた粘土鉱物(c)のXRDパターンである。
【図4】実施例4で用いた粘土鉱物(d)のXRDパターンである。
【図5】比較例1で用いた粘土鉱物(f)のXRDパターンである。
【図6】比較例2で用いた粘土鉱物(g)のXRDパターンである。
【図7】実施例1、2、比較例1で用いた粘土鉱物(a)、(b)および(f)の粒子径分布図である。
【図8】実施例1、2、比較例1で用いた粘土鉱物(a)、(b)および(f)の粒子径分布(積算値)図である。
【図9】実施例2で用いた粘土鉱物(b)を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した図である。
【図10】実施例3で用いた粘土鉱物(c)を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した図である。
【図11】実施例5で用いた粘土鉱物(e)を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した図である。
【図12】比較例3で用いた粘土鉱物(h)を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した図である。
【図13】実施例2及び比較例3で用いた粘土鉱物(b)及び(h)の積層数分布図である。
【図14】実施例2及び比較例3で用いた粘土鉱物(b)及び(h)の積層数分布(積算値)図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘土鉱物を10〜75質量%、結晶性アルミノ珪酸塩を20〜60質量%、シリカバインダーを5〜40質量%含有してなり、かつ前記粘土鉱物の平均粒子径が1μm以下で、90質量%の粒子径が2μm以下であることを特徴とする炭化水素油の接触分解触媒。
【請求項2】
前記粘土鉱物が、粒子径0.2〜0.8μmの範囲に粒子数の最大ピークを有することを特徴とする請求項1に記載の炭化水素油の接触分解触媒。
【請求項3】
前記粘土鉱物が、カオリン鉱物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭化水素油の接触分解触媒。
【請求項4】
走査型電子顕微鏡を用いた画像測定において、結晶粒子が板状の結晶構造を有し、その平均積層数が1〜10である粘土鉱物を10〜75質量%、結晶性アルミノ珪酸塩を20〜50質量%、シリカバインダーを5〜40質量%含有してなることを特徴とする炭化水素油の接触分解触媒。
【請求項5】
前記粘土鉱物が、平均粒子径が1μm以下で、90質量%の粒子径が2μm以下であることを特徴とする請求項4に記載の炭化水素油の接触分解触媒。
【請求項6】
前記粘土鉱物が、粒子径0.2〜0.8μmの範囲に粒子数の最大ピークを有することを特徴とする請求項4又は5に記載の炭化水素油の接触分解触媒。
【請求項7】
前記粘土鉱物が、カオリン鉱物であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の炭化水素油の接触分解触媒。
【請求項8】
炭化水素油を接触分解するに当たり、請求項1〜7のいずれかに記載の接触分解触媒を使用することを特徴とする炭化水素油の接触分解方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図13】
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【図14】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−173582(P2008−173582A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10419(P2007−10419)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(590000455)財団法人石油産業活性化センター (249)
【出願人】(000105567)コスモ石油株式会社 (443)
【Fターム(参考)】