説明

炭化水素流から少なくともベンゼンを除去する方法

炭化水素流から少なくともベンゼンを除去する方法は、炭化水素流を少なくとも1つの膜を有する膜ユニットに通して、炭化水素流よりも芳香族リッチな透過液流と保留液流とを生成することにより炭化水素流の芳香族を濃縮する濃縮工程と、濃縮工程後に抽出ユニットにて選択的芳香族抽出溶剤を用いて芳香族を抽出して、透過液流よりも芳香族リッチな抽出流を生成する抽出工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に炭化水素流からベンゼンなどの芳香族を除去する方法、特に炭化水素流から少なくともベンゼンを除去する膜、抽出及び水素添加方法に関する。
【0002】
本発明はまた、炭化水素流からの高純度芳香族ベンゼン、トルエン及びキシレン(BTX)の回収率を上げる方法、特に炭化水素流からのBTX生成を増進する膜及び抽出法に関する。
【背景技術】
【0003】
米国環境保護庁(EPA)はガソリンからベンゼンをほぼ完全に除く規制を定めている。具体的には、ベンゼンの上限がガソリンの1.0体積%に設定されている。しかし、ある会社がガソリン中のベンゼンを測定する基準に年プール平均基準を用いることを選ぶと、その会社の総ガソリンプールは、ひとつのガソリンバッチも1.5体積%のベンゼンを超えずに、年ベンゼン平均限度0.95体積%を満たさなければならない。
【0004】
ほとんどの製油業者にとって、触媒改質器はガソリンプールにおける主なベンゼン源となっている。接触改質では、ナフサなどの炭化水素原料を白金などの金属触媒に高温高圧で通過させる。触媒は、ナフサに含まれる炭化水素の分子構造を改質、即ち水素を除去し、分子の構造を再配置することにより改質してナフサのオクタン価を上げる。原料ナフサには多数の化合物が含まれるので、接触改質器で実際に生起する反応は非常に多い。
【0005】
ベンゼン生成を抑制する方策の一つは改質器への供給原料中のベンゼン及びベンゼン前駆体を低減することである。ベンゼン生成の低減に成功したものの、依然として改質器ではベンゼンが生成する。このようなわけで、改質器でのベンゼンの生成後にベンゼンを変換するか、破壊するか、分離する別のベンゼン抑制方策が考慮されている。
【0006】
ベンゼンの分離に関して、通常数段の蒸留及び抽出を採用するベンゼン、トルエン及びキシレン(BTX)生成プロセスの一部としてベンゼンを回収することができる。しかし、蒸留は多量のエネルギーを要するコストのかかるプロセスである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、炭化水素流から少なくともベンゼンを回収する改良方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
炭化水素流からベンゼンを除去する方法及び炭化水素流からベンゼン、トルエン及びキシレンを分離する方法が開示される。
【0009】
本発明の1実施形態による炭化水素流からベンゼンを除去する方法は、炭化水素流を少なくとも1つの膜を有する膜ユニットに通して、炭化水素流よりも芳香族リッチな透過液流と保留液流とを生成することにより炭化水素流の芳香族を濃縮する濃縮工程と、濃縮工程後に抽出ユニットにて選択的芳香族抽出溶剤を用いて芳香族を抽出して、透過液流よりも芳香族リッチな抽出流を生成する抽出工程とを含む。
【0010】
本発明の別の実施形態による炭化水素流からベンゼンを除去する方法は、少なくとも1つの膜を有する膜ユニットを用いて炭化水素流のベンゼンを濃縮して、透過液流よりもベンゼンリッチな透過液流と保留液流とを生成する濃縮工程と、水素及び透過液流をベンゼン飽和ユニットに導入する工程と、ベンゼン飽和ユニットでベンゼンを水素で飽和させてシクロヘキサンを生成する飽和工程とを含む。
【0011】
上記その他の特徴を以下に、図面を参照した詳細な記述により具体的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下、図面に言及するが、図面中の同一要素は同じ符号で示す。
【図1】炭化水素供給流から少なくともベンゼンを分離する方法であって、予備分留及び抽出に先だって膜分離を利用して芳香族を濃縮する実施形態を示すブロック図である。
【図2】炭化水素流から少なくともベンゼンを分離する方法であって、予備分留なしで、抽出に先だって膜分離を利用して芳香族を濃縮する実施形態を示すブロック図である。
【図3】炭化水素供給流から少なくともベンゼンを分離する方法であって、抽出に先だって膜分離を利用して芳香族を濃縮する実施形態を示すブロック図である。
【図4】炭化水素供給流から少なくともベンゼンを分離する方法であって、予備分留及び抽出に先だって膜分離を利用して芳香族を濃縮する実施形態を示すブロック図である。
【図5】炭化水素供給流から少なくともベンゼンを分離する方法であって、予備分留及び抽出に先だって膜分離を利用して芳香族を濃縮する実施形態を示すブロック図である。
【図6】炭化水素供給流から少なくともベンゼンを分離する方法であって、予備分留及び抽出に先だって膜分離を利用して芳香族を濃縮する実施形態を示すブロック図である。
【図7】炭化水素原料からベンゼンを除去する方法であって、ベンゼンを濃縮した後ベンゼンを飽和する実施形態を示すブロック図である。
【図8】炭化水素原料からベンゼンを除去する方法であって、膜分離を利用する実施形態を示すブロック図である。
【図9】炭化水素原料からベンゼンを除去する方法であって、膜分離を利用する実施形態を示すブロック図である。
【図10】炭化水素供給流から少なくともベンゼンを分離する方法であって、膜分離を利用しない実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、炭化水素供給流(例えば改質ガソリン、熱分解ガソリン、コークス炉軽油(COLO)など)から少なくともベンゼンを除去する方法を提供する。以下に詳述するように、本発明のベンゼン除去方法はベンゼン、トルエン及びキシレン(BTX)生成プロセスの一部として用いることができる。従来法とは異なり、本発明の炭化水素供給流から少なくともベンゼンを除去する方法は、芳香族を濃縮するのに炭化水素供給流の膜分離を利用し、その後、芳香族を抽出するか、ベンゼンを水素で飽和する。ベンゼン生成法を説明するにあたり、種々の分離及び抽出装置に言及するが、本発明の方法は種々の実施形態で説明する装置だけに限定されない。
【0014】
以下の説明で、「上流」方向は、局所的な流れが流れてくる元の方向を指し、「下流」方向は局所的な流れが流れ去る方向を指す。もっとも一般的な意味で、システムを通過する流れは前から後ろになり、したがって「上流方向」は通常前方向を指し、「下流方向」は後方向を指す。ここで用いる用語「直接流体連通」は、追加の装置が存在することで中断されることのない、システム内の第1点と第2点との連通を指す。
【0015】
図1を参照すると、炭化水素供給流から少なくともベンゼンを分離する方法であって、予備分留及び抽出に先だって膜分離を利用して芳香族を濃縮する実施形態がブロック図にて示されている。炭化水素原料から少なくともベンゼンを除去する方法は、予備分留及び抽出に先だって原料から芳香族を濃縮する工程を含む。以下に本方法をベンゼン、トルエン及びキシレン(BTX)生成プロセスと関連して説明するが、それは種々の任意の実施形態の具体的説明の記述を簡単にするためだけである。方法を説明するにあたり、方法を実施するのに用いる装置として、改質器10、膜ユニット12、予備分留ユニット14、抽出ユニット16、ベンゼンカラム18、トルエンカラム20及びキシレンカラム22に言及する。装置の配置と選択は、目的とする用途に応じて様々に変動する。
【0016】
1実施形態では、炭化水素原料24を改質器10に送り、そこで炭化水素原料24を接触反応させて、芳香族化合物リッチな改質物流26を生成する。用語「リッチ」は、フィード(例えば炭化水素原料24)に対する濃度を記述するもので、リッチ流中の所定の成分(例えば芳香族)の濃度がフィード流中の所定の成分の濃度より高いことを意味する。1実施形態では、炭化水素原料24は石油蒸留物(例えばナフサ)を含有する。改質器10に用いる触媒は、目的とする用途に応じて変わる。改質器10に用いるのに適当な触媒には、下記文献に記述のものがあるが、これらに限らない。“Catalyst Naphtha Reforming”, 2nd Ed., George J. Antos and Abdullh M Aitani Editor, Marcel Dekker, 2004 and “Handbook of Petroleum Refining Processes”, 3rd Ed. Robert A. Meyers Editor, McGraw-Hill, 2003 例えば、適当な触媒組成物として、白金系組成物があり、これらを単独で使用しても、レニウム、錫又はイリジウムと組み合わせて使用してもよい。改質物流26の一部、即ち流れ28を改質物流26から分流してガソリンなどへの添加剤として使用してもよい。
【0017】
改質物流26は膜ユニット12と流体連通している。膜ユニット12は、1つ又は複数の膜(メンブラン)を通常ハウジング内に任意適当な態様で配置した構成である。例えば、膜ユニット12の1つ又は複数の膜をスパイラル巻き、プレートアンドフレーム、中空糸などとすることができる。当業界で自明な如く、膜ユニット12はさらに支持部材、端部プレートなどを備えることができる。膜ユニット12の膜の選択比は、目的とする用途に応じて変わる。
【0018】
選択比は、透過液側での芳香族対脂肪族の重量比をフィード側での芳香族対脂肪族の重量比で割ることにより計算される。本発明での用途には、選択比は約2以上とすることができ、この範囲内で、選択比は約3以上とすることができる。1実施形態では、膜ユニットの膜は芳香族を選択透過性である。
【0019】
膜は、芳香族炭化水素に対して選択透過性であり、操作条件下で安定である材料からなる。例えば、膜ユニット12はポリマー膜を含む。用語「ポリマー」は、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、プレポリマー、ポリマーブレンド及びオリゴマーを含むが、これらに限定されない。具体的には、適当なポリマーには、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ビスフェノールA二無水物に由来するポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、エラストマー状ポリマー、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリビニルピリジン、ハロゲン化ポリマー、フルオロエラストマー、ポリビニルハライド、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、前記ポリマーの少なくとも1つを含むコポリマー、前記ポリマーの少なくとも1つを含むポリマーブレンド、前記ポリマーの少なくとも1つを含むポリマーアロイ、又は前記ポリマー、コポリマー、ブレンド又はアロイの少なくとも1つを含む組合せがあるが、これらに限らない。ポリマーはさらに物理的もしくは化学的に架橋して化学的安定性を増すことができる。
【0020】
膜ユニット12は、パーストラクション分離技術、パーベーパレーション分離技術などを用いて、透過液(permeate)流30と保留液(非透過retentate)流32を発生する。例えば、改質物流26を膜ユニット12の膜の片側に沿って流し、膜の反対側に真空をかけると、芳香族が膜を選択的に透過し、透過液流30を生成する(即ちパーベーパレーションpervaporation)。他の実施形態では、改質物流26を膜ユニット12の膜の片側に沿って流し、スイープガス又は液体を膜の反対側に流す(即ちパーストラクション=膜透過抽出perstraction)。
【0021】
1実施形態では、保留液流32を、これ以上加工することなく、ガソリンなどへの配合剤として使用することができる。透過液流30は予備分留ユニット14と流体連通しており、予備分留ユニット14は蒸留カラムなどの蒸留装置とすることができる。1実施形態では、膜ユニット12は予備分留ユニット14の上流にかつ予備分留ユニット14と直接流体連通関係に配置される。予備分留ユニット14は透過液流30を塔頂流34、塔底流36及び中間流38に分離する。中間流38はC6−C8留分を含有し、これは抽出ユニット16でさらに加工される。
【0022】
抽出ユニット16は予備分留ユニット14の下流にかつ予備分留ユニット14と流体連通関係に配置される。抽出ユニット16は選択的芳香族抽出溶剤を使用して、芳香族リッチ(濃厚)な抽出流42と芳香族リーン(希薄)なラフィネート流40を生成する。ラフィネート流40はガソリンの配合成分として使用するか、脂肪族溶剤に使用することができる。適当な芳香族抽出溶剤には、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキサイド(スルホラン)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、N−メチルピロリドン(NMP)、N−ホルミルモルフォリン、フェノール、フルフラール、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びジメチルアセトアミド(DMAc)があるが、これらに限らない。
【0023】
種々の実施形態において、抽出流42をさらに加工して種々の芳香族成分を分離することができる。例えば、1実施形態では、抽出流42がベンゼンカラム18と流体連通しており、こうしてベンゼンをベンゼン塔頂流44として抽出流42から除去する。言い換えると、ベンゼン塔頂流44は、抽出流42と比べてベンゼンリッチであるのに対して、ベンゼン塔底流46はベンゼンリーンである。ベンゼンカラム18は分別蒸留装置とすることができる。蒸留装置のトレイ数、還流比などは、ベンゼン塔頂流44の所望の組成に応じて、変わる。
【0024】
ベンゼンカラム18のベンゼン塔底流46はさらに加工して他の芳香族(例えばトルエン及びキシレン)を除去することができる。例えばベンゼン塔底流46をトルエンカラム20に送り、こうしてトルエンを、ベンゼン塔底流46と比べてトルエンリッチなトルエン塔頂流48としてベンゼン塔底流46から分離する。トルエンカラム20からのトルエン塔底流50をさらにキシレンカラム22に送ることができ、ここでトルエン塔底流50をキシレン塔頂流52とキシレン塔底流54とに分割する。トルエンカラム20及びキシレンカラム22はそれぞれ分別蒸留装置とすることができる。この場合も、蒸留装置のトレイ数、還流比などは、トルエン塔頂流48及びキシレン塔頂流52の所望の組成に応じて、変わる。
【0025】
図2に、炭化水素供給流から少なくともベンゼンを分離する方法であって、予備分留なしで、抽出に先だって膜分離を利用して芳香族を濃縮する実施形態をブロック図にて示す。この実施形態では、炭化水素原料24を改質器10に送り、そこで炭化水素原料24を接触反応させて、芳香族化合物リッチな改質物流26を生成する。流れ28を改質物流26から分流してガソリンなどへの添加剤として使用してもよい。
【0026】
改質物流26は膜ユニット12と流体連通している。膜ユニット12は、パーストラクション分離技術、パーベーパレーション分離技術などを用いて、透過液流30と保留液流32を発生する。透過液流30は抽出ユニット16と流体連通している。1実施形態では、膜ユニット12が抽出ユニット16の上流にかつ抽出ユニット16と直接流体連通関係で配置される。抽出ユニット16は選択的芳香族抽出溶剤を使用して、芳香族リッチ(濃厚)な抽出流42と芳香族リーン(希薄)なラフィネート流40を生成する。
【0027】
抽出流42はさらに加工して有用な芳香族成分を分離することができる。例えば、1実施形態では、抽出流42がベンゼンカラム18と流体連通しており、こうしてベンゼンをベンゼン塔頂流44として抽出流42から除去する。ベンゼンカラム18のベンゼン塔底流46はさらに加工して他の有用な芳香族を除去することができる。例えばベンゼン塔底流46をトルエンカラム20に送り、こうしてトルエンを、ベンゼン塔底流46と比べてトルエンリッチなトルエン塔頂流48としてベンゼン塔底流46から除去する。トルエンカラム20からのトルエン塔底流50をさらにキシレンカラム22に送ることができ、ここでトルエン塔底流50をキシレン塔頂流52とキシレン塔底流54とに分割する。トルエンカラム20及びキシレンカラム22はそれぞれ分別蒸留装置とすることができる。
【0028】
図3に、炭化水素供給流から少なくともベンゼンを分離する方法であって、抽出に先だって膜分離を利用して芳香族を濃縮する実施形態をブロック図にて示す。この実施形態では、炭化水素原料24を改質器10に送り、そこで炭化水素原料24を接触反応させて、芳香族化合物リッチな改質物流26を生成する。流れ28を改質物流26から分流してガソリンなどへの添加剤として使用してもよい。
【0029】
改質物流26は予備分留ユニット14と流体連通している。1実施形態では、予備分留ユニット14は膜ユニット12の上流にかつ膜ユニット12と直接流体連通関係で配置される。予備分留ユニット14は改質物流26を塔頂流34、塔底流36及び中間流38に分離する。中間流38はC6−C8留分を含有し、これは膜ユニット12でさらに加工される。
【0030】
本例でも、運転時には、膜ユニット12は、パーストラクション分離技術、パーベーパレーション分離技術などを用いて、透過液流30と保留液流32を発生する。透過液流30は抽出ユニット16と流体連通している。1実施形態では、膜ユニット12が抽出ユニット16の上流にかつ抽出ユニット16と直接流体連通関係で配置される。抽出ユニット16は選択的芳香族抽出溶剤を使用して、芳香族リッチな抽出流42と芳香族リーンなラフィネート流40を生成する。
【0031】
抽出流42はさらに加工して有用な芳香族成分を分離することができる。例えば、1実施形態では、抽出流42がベンゼンカラム18と流体連通しており、こうしてベンゼンをベンゼン塔頂流44として抽出流42から除去する。ベンゼンカラム18のベンゼン塔底流46はさらに加工して他の有用な芳香族を除去することができる。例えばベンゼン塔底流46をトルエンカラム20に送り、こうしてトルエンを、ベンゼン塔底流46と比べてトルエンリッチなトルエン塔頂流48としてベンゼン塔底流46から除去する。トルエンカラム20からのトルエン塔底流50をさらにキシレンカラム22に送ることができ、ここでトルエン塔底流50をキシレン塔頂流52とキシレン塔底流54とに分割する。トルエンカラム20及びキシレンカラム22はそれぞれ分別蒸留装置とすることができる。
【0032】
図4に、炭化水素供給流から少なくともベンゼンを分離する方法であって、予備分留及び抽出に先だって膜分離を利用して芳香族を濃縮する実施形態をブロック図にて示す。炭化水素原料24を改質器10に送り、そこで炭化水素原料24を接触反応させて、芳香族化合物リッチな改質物流26を生成する。改質物流26は任意の第2膜ユニット56と流体連通している。第2膜ユニット56は、改質器10より下流にかつ改質器10と流体連通関係で配置され、また膜ユニット12より上流にかつ膜ユニット12と流体連通関係で配置されている。
【0033】
第2膜ユニット56は、1つ又は複数の膜(メンブラン)を通常ハウジング内に任意適当な態様で配置した構成である。例えば、第2膜ユニット56の1つ又は複数の膜をスパイラル巻き、プレートアンドフレーム、中空糸などとすることができる。当業界で自明な如く、第2膜ユニット56はさらに支持部材、端部プレートなどを備えることができる。第2膜ユニット56の膜の選択比は、目的とする用途に応じて変わる。1実施形態では、第2膜ユニット56の膜は芳香族を選択透過性である。
【0034】
第2膜ユニット56はポリマー膜を含む。適当なポリマーは、膜ユニット12に関して前述したポリマー類を含むが、これらに限らない。運転時には、第2膜ユニット56は、パーストラクション分離技術、パーベーパレーション分離技術などを用いて、透過液流60と保留液流58を発生する。保留液流58はガソリン用の配合剤として使用したり、さらなる加工のために改質器10に戻すことができる。透過液流60は膜ユニット12と流体連通している。1実施形態では、第2膜ユニット56は膜ユニット12の上流にかつ膜ユニット12と直接流体連通関係で配置することができる。例えば、第2膜ユニット56を膜ユニット12と直列に配置することができる。運転時には、膜ユニット12は透過液流30と保留液流32を発生する。
【0035】
膜ユニット12は予備分留ユニット14の上流にかつ予備分留ユニット14と直接流体連通関係に配置される。予備分留ユニット14は透過液流30を塔頂流34、塔底流36及び中間流38に分離する。中間流38はC6−C8留分を含有し、これは抽出ユニット16でさらに加工される。抽出ユニット16は予備分留ユニット14の下流にかつ予備分留ユニット14と流体連通関係に配置される。抽出ユニット16は選択的芳香族抽出溶剤を使用して、芳香族リッチな抽出流42と芳香族リーンなラフィネート流40を生成する。
【0036】
抽出流42をさらに加工して種々の芳香族成分を分離することができる。例えば、1実施形態では、抽出流42がベンゼンカラム18と流体連通しており、こうしてベンゼンをベンゼン塔頂流44として抽出流42から除去する。言い換えると、ベンゼン塔頂流44は、抽出流42と比べてベンゼンリッチであるのに対して、ベンゼン塔底流46はベンゼンリーンである。ベンゼンカラム18のベンゼン塔底流46はさらに加工して他の芳香族(例えばトルエン及びキシレン)を除去することができる。例えばベンゼン塔底流46をトルエンカラム20に送り、こうしてトルエンを、ベンゼン塔底流46と比べてトルエンリッチなトルエン塔頂流48としてベンゼン塔底流46から分離する。トルエンカラム20からのトルエン塔底流50をさらにキシレンカラム22に送ることができ、ここでトルエン塔底流50をキシレン塔頂流52とキシレン塔底流54とに分割する。トルエンカラム20及びキシレンカラム22はそれぞれ分別蒸留装置とすることができる。
【0037】
図5に、炭化水素供給流から少なくともベンゼンを分離する方法であって、予備分留及び抽出に先だって膜分離を利用して芳香族を濃縮する実施形態をブロック図にて示す。この実施形態は、任意の第2膜ユニット66を使用する以外は、図1に示した実施形態と同様である。
【0038】
図1に示した実施形態と同様に、炭化水素原料24を改質器10に送り、そこで炭化水素原料24を接触反応させて、芳香族化合物リッチな改質物流26を生成する。改質物流26は膜ユニット12と流体連通している。膜ユニット12は、パーストラクション分離技術、パーベーパレーション分離技術などを用いて、透過液流30と保留液流32を発生する。
【0039】
透過液流30は予備分留ユニット14と流体連通している。1実施形態では、膜ユニット12は予備分留ユニット14の上流にかつ予備分留ユニット14と直接流体連通関係に配置される。同時に、第2膜ユニット66も予備分留ユニット14の上流にかつ予備分留ユニット14と流体連通関係に配置される。さらに具体的には、第2膜ユニット66は膜ユニット12と並列配置され、補給供給流(フィード)68を受けとる。補給フィード68は炭化水素原料を含有する。例えば、補給流68は炭化水素原料24と同様な組成でも異なる組成でもよい。1実施形態では、補給フィード68は、改質石油ナフサ(改質ガソリン)、熱分解ガソリン又はコークス炉軽油(COLO)を含有する。透過液流30の流量が改質物流26の流量より著しく低いので、補給フィードによって、予備分留ユニット14がその容量を最大限まで利用できるようになる利点がある。
【0040】
第2膜ユニット66は、1つ又は複数の膜(メンブラン)を通常ハウジング内に任意適当な態様で配置した構成である。例えば、第2膜ユニット66の1つ又は複数の膜をスパイラル巻き、プレートアンドフレーム、中空糸などとすることができる。当業界で自明な如く、第2膜ユニット66はさらに支持部材、端部プレートなどを備えることができる。第2膜ユニット66の膜の選択比は、目的とする用途に応じて変わる。1実施形態では、第2膜ユニット66の膜は芳香族を選択透過性である。
【0041】
第2膜ユニット66はポリマー膜を含む。適当なポリマーは、膜ユニット12に関して前述したポリマー類を含むが、これらに限らない。運転時には、第2膜ユニット66は、パーストラクション分離技術、パーベーパレーション分離技術などを用いて、透過液流72と保留液流70を発生する。保留液流70はガソリン用の配合剤として使用したり、さらなる加工のために改質器10に戻すことができる。透過液流72は分留ユニット14と流体連通している。
【0042】
予備分留ユニット14は透過液流30及び透過液流70を塔頂流34、塔底流36及び中間流38に分離する。中間流38はC6−C8留分を含有し、これは抽出ユニット16でさらに加工される。抽出ユニット16は予備分留ユニット14の下流にかつ予備分留ユニット14と流体連通関係に配置される。抽出ユニット16は選択的芳香族抽出溶剤を使用して、芳香族リッチな抽出流42と芳香族リーンなラフィネート流40を生成する。
【0043】
抽出流42はさらに加工して種々の芳香族成分を分離することができる。例えば、1実施形態では、抽出流42がベンゼンカラム18と流体連通しており、こうしてベンゼンをベンゼン塔頂流44として抽出流42から除去する。言い換えると、ベンゼン塔頂流44は抽出流42と比べてベンゼンリッチであるのに対して、ベンゼン塔底流46はベンゼンリーンである。ベンゼンカラム18のベンゼン塔底流46はさらに加工して他の芳香族(例えばトルエン及びキシレン)を除去することができる。例えばベンゼン塔底流46をトルエンカラム20に送り、こうしてトルエンを、ベンゼン塔底流46と比べてトルエンリッチなトルエン塔頂流48としてベンゼン塔底流46から除去する。トルエンカラム20からのトルエン塔底流50をさらにキシレンカラム22に送ることができ、ここでトルエン塔底流50をキシレン塔頂流52とキシレン塔底流54とに分割する。トルエンカラム20及びキシレンカラム22はそれぞれ分別蒸留装置とすることができる。
【0044】
図6に、炭化水素供給流から少なくともベンゼンを分離する方法であって、予備分留及び抽出に先だって膜分離を利用して芳香族を濃縮する実施形態をブロック図にて示す。この実施形態は、改質器10(図4)の代わりに熱分解ユニット62を用いる以外は、図4に示した実施形態と同様である。言い換えると、この実施形態は、炭化水素原料から芳香族を生成する過程に融通性があることを具体的に示す。用語「熱分解」はここでは、総称的に、(水蒸気が存在する可能性があること以外は)酸素又は他の試薬の不在下での加熱による有機材料の化学的分解を意味するものとして使用している。
【0045】
炭化水素原料24を熱分解ユニット62に送り、ここで炭化水素原料を加熱して、芳香族化合物リッチな熱分解流64を生成する。種々の実施形態で、熱分解ユニット62は熱分解流64を生成するのに含水熱分解を用いても無水熱分解を用いてもよい。熱分解流64は任意の第2膜ユニット56と流体連通している。第2膜ユニット56は、熱分解ユニット62の下流にかつ熱分解ユニット62と流体連通関係で配置され、また膜ユニット12の上流にかつ膜ユニット12と流体連通関係で配置されている。
【0046】
第2膜ユニット56は、パーストラクション分離技術、パーベーパレーション分離技術などを用いて、透過液流60と保留液流58を発生する。保留液流58はガソリン用の配合剤として使用したり、さらなる加工のために改質器10に戻すことができる。透過液流60は膜ユニット12と流体連通している。1実施形態では、第2膜ユニット56は膜ユニット12の上流にかつ膜ユニット12と直接流体連通関係で配置することができる。例えば、第2膜ユニット56を膜ユニット12と直列に配置することができる。運転時には、膜ユニット12は透過液流30と保留液流32を発生する。
【0047】
膜ユニット12は予備分留ユニット14の上流にかつ予備分留ユニット14と直接流体連通関係に配置される。予備分留ユニット14は透過液流30を塔頂流34、塔底流36及び中間流38に分離する。中間流38はC6−C8留分を含有し、これは抽出ユニット16でさらに加工される。抽出ユニット16は予備分留ユニット14の下流にかつ予備分留ユニット14と流体連通関係に配置される。抽出ユニット16は選択的芳香族抽出溶剤を使用して、芳香族リッチな抽出流42と芳香族リーンなラフィネート流40を生成する。
【0048】
抽出流42をさらに加工して種々の芳香族成分を分離することができる。例えば、1実施形態では、抽出流42がベンゼンカラム18と流体連通しており、こうしてベンゼンをベンゼン塔頂流44として抽出流42から除去する。言い換えると、ベンゼン塔頂流44は、抽出流42と比べてベンゼンリッチであるのに対して、ベンゼン塔底流46はベンゼンリーンである。ベンゼンカラム18のベンゼン塔底流46はさらに加工して他の芳香族(例えばトルエン及びキシレン)を除去することができる。例えばベンゼン塔底流46をトルエンカラム20に送り、こうしてトルエンを、ベンゼン塔底流46と比べてトルエンリッチなトルエン塔頂流48としてベンゼン塔底流46から分離する。トルエンカラム20からのトルエン塔底流50をさらにキシレンカラム22に送ることができ、ここでトルエン塔底流50をキシレン塔頂流52とキシレン塔底流54とに分割する。トルエンカラム20及びキシレンカラム22はそれぞれ分別蒸留装置とすることができる。
【0049】
図7に、炭化水素原料からベンゼンを除去する方法であって、ベンゼンを濃縮した後ベンゼンを飽和する実施形態をブロック図にて示す。1実施形態では、炭化水素原料24を予備分留ユニット74に送る。予備分留ユニット74は、蒸留カラムなどの蒸留装置とすることができる。予備分留ユニット74は本質的に分割装置(スプリッタ)として作用し、C6以下の軽質分を塔頂流76として除去し、C7以上の重質分を塔底流78として除去する。塔底流78を改質器10に送ることができ、そこで塔底流78を接触反応させて、芳香族化合物リッチな改質物流26を生成する。他方、塔頂流78は所望に応じて分留ユニット80に送ることができ、そこでC5以下の軽質分を塔頂流82として除去し、C6以上の重質分を塔底流84として除去する。予備分留ユニット74及び分留ユニット80は蒸留カラムなどの蒸留装置とすることができる。蒸留装置のトレイ数、還流比などは、それぞれの塔頂流の所望の組成に応じて、変わる。
【0050】
塔底流84は膜12と流体連通している。膜ユニット12は、パーストラクション分離技術、パーベーパレーション分離技術などを用いて、ベンゼンリッチな透過液流30とベンゼンリーンな保留液流32を発生する。1実施形態では、透過液流30はベンゼン飽和ユニット86と流体連通している。
【0051】
運転時には、水素流88及び透過液流30をベンゼン飽和ユニット86に送り、そこで接触反応を行ってベンゼンを水素で飽和する。ベンゼン飽和ユニット86に用いるのに適当な触媒には、白金、レニウム、コバルト、モリブデン、ニッケル、タングステン、パラジウム及びこれらのうち少なくとも1種を含む組合せがあるが、これらに限らない。ベンゼン飽和ユニット86の上流に膜ユニット12を設けることで、膜ユニット12を使用しない場合に使用するベンゼン分離ユニットと比べてベンゼン飽和ユニットのサイズを小さくでき、これにより装置のコストを下げることができ、有利である。さらに、得られる出口流90は本質的にベンゼンを含まない。同時に保留液流32を所望に応じて、異性化ユニット92に送るか、直接ガソリン配合プールに送ることができる。異性化ユニット92では、例えばシクロヘキサンを異性化し、メチルシクロペンタンのようなより高オクタン価の生成物にする。しかし、これとは別の異性化反応が異性化ユニット92で起こることもあると理解すべきである。
【0052】
図8に、炭化水素原料からベンゼンを除去する方法であって、膜分離を利用する実施形態をブロック図にて示す。図7に示した実施形態とは異なり、ベンゼンをイソヘキサンに転換しない。そうではなくて、ベンゼンを分離し、これを後で回収生成物として販売することができる。例えば、炭化水素原料24を予備分留ユニット74に送る。この場合も予備分留ユニット74は本質的にスプリッタとして作用し、C6以下の軽質分を塔頂流76として除去し、C7以上の重質分を塔底流78として除去する。塔底流78を改質器10に送り、そこで塔底流78を接触反応させて、芳香族化合物リッチな改質物流26を生成する。他方、塔頂流76は、所望に応じて、分留ユニット80に送り、そこでC5以下の軽質分を塔頂流82として除去するとともに、C6以上の重質分を塔底流84として除去する。予備分留ユニット74及び分留ユニット80は、蒸留カラムなどの蒸留装置とすることができる。
【0053】
塔底流84は膜ユニット12と流体連通している。膜ユニット12は、パーストラクション分離技術、パーベーパレーション分離技術などを用いて、ベンゼンリッチな透過液流30とベンゼンリーンな保留液流32を発生する。所望に応じて、保留液流32を異性化ユニット92に送るか、直接ガソリン配合プールに送ることができる。透過液流30をさらに加工してベンゼンを回収することができる。ベンゼン回収方法には、図1〜6に具体的に示した方法があるが、これらに限らない。
【0054】
図9に、炭化水素原料からベンゼンを除去する方法であって、膜分離を利用する実施形態をブロック図にて示す。図9は、膜ユニット12及び改質器10に送る前に、炭化水素原料を分割する実施形態を簡単に説明するものである。例えば、炭化水素原料24を予備分留ユニット74に送る。この場合も、予備分留ユニット74は本質的にスプリッタとして作用し、C6以下の軽質分を塔頂流76として除去し、C7以上の重質分を塔底流78として除去する。塔底流78を改質器10に送ることができ、そこで塔底流78を接触反応させて、芳香族化合物リッチな改質物流26を生成する。塔頂流76は、膜ユニット12と流体連通している。膜ユニット12は、パーストラクション分離技術、パーベーパレーション分離技術などを用いて、ベンゼンリッチな透過液流30とベンゼンリーンな保留液流32(ベンゼン流)を発生する。所望に応じて、保留液流32を異性化ユニット92に送るか、直接ガソリン配合プールに送ることができる。透過液流30をさらに加工してベンゼンを回収することができる。ベンゼン回収方法には、図1〜6に具体的に示した方法があるが、これらに限らない。
【0055】
改質器、熱分解ユニットなどが膜ユニットの上流にかつ膜ユニットと流体連通関係で配置された他の実施形態も想定できる。このような実施形態のいくつかを図1〜6に示す。さらに、例えば図7に示すような、膜ユニットがベンゼン飽和ユニットの上流にかつベンゼン飽和ユニットと流体連通関係で配置された他の実施形態も想定できる。当業者であれば、これらの方法の様々な組合せを使用できることがすぐに理解できるはずである。さらに具体的には、当業者であれば、図1〜9において、所望の用途に応じて、装置を方法の一部として付加したり省略したりできることが理解できるはずである。本発明の範囲は、広義には、ベンゼン飽和に先立って膜分離を採用する方法及び/又は芳香族抽出に先立って膜分離を採用する方法を包含する。
【実施例】
【0056】
[比較例1]
モデリングプログラムASPEN(Aspen Technology, Inc.米国マサチューセッツ州、ケンブリッジ所在)を用いてコンピュータ計算を行い、抽出過程の上流の膜を用いない抽出過程を具体的に説明する。ASPENプログラムにより、以下の仮定に基づいて予想膜性能データを得た。プロセスは、図10に示すように実行すると仮定した。プロセスは、改質物流を予備分留カラムに送る態様にて実行すると仮定した。芳香族富化透過液流を抽出ユニットに通した。抽出ユニットからの芳香族抽出物をBTXカラムに送り、簡単な分留によりベンゼン、トルエン及びキシレン生成物を個別に回収した。
【0057】
予備分留カラムへの改質物の流量は28kbd(1000バレル/日)と仮定し、供給物は61体積%の芳香族を含有すると仮定した。予備分留工程後、20kbd流を抽出カラムに送った。計算から、ベンゼン、トルエン及びキシレンの処理量がそれぞれ2.0kbd、4.3kbd及び6.1kbdであることが分かる。
【0058】
下記に示すような、供給流、透過液及び保留液の分子組成をASPENに入力した。
【0059】
【表1】


計算結果を表1にまとめて示す。
【0060】
【表2】

[実施例1]
膜/抽出分離プロセスを用いてコンピュータ計算を行った。本プロセスは図1に示す通りに実行すると仮定した。膜の芳香族/脂肪族選択比は1.82と仮定した。膜ユニットへの改質物の流量は52kbdであると仮定し、供給物は61体積%の芳香族を含有すると仮定した。膜分離後、73.6体積%の芳香族を含有する26kbdの流れを予備分留カラムに送った。予備分留後、20kbdの流れを抽出カラムに送った。計算の結果を表2にまとめて示す。
【0061】
【表3】

本プロセスから3.0kbdのベンゼン、5.7kbdのトルエン、6.5kbdのキシレンが生成した。このデータは、両方のケースで同じ抽出容量を維持しながら、比較例1の基準線ケースと比べて、ベンゼン生成の50%上昇、トルエン生成の35%上昇を表す。さらに、ガソリンに向かうベンゼンの量が基準線ケースの場合より著しく少ない。
【0062】
有利なことに、膜分離と抽出を組み合わせる方法は、例えば膜ユニットを使用して芳香族を濃縮した後、芳香族を抽出することにより、BTXの効率よい低コストの回収を実現する。さらに、膜はモジュラープラント技術であり、迅速な展開を可能にし、精製操作に融通性をもたらす。
【0063】
以上、本発明を代表的な実施形態について説明したが、本発明の要旨から逸脱することなく、種々の改変が可能であり、また構成要素を均等物に置き換え得ることが当業者に明らかである。さらに、本発明の要旨から逸脱することなく、個別の状況や材料を本発明に適合させる多くの変更が可能である。したがって、本発明は本発明を実施するうえで考えられる最良の形態として上述した特定の実施形態に限定されず、本発明は特許請求の範囲に入る全ての実施形態を包含する。
【符号の説明】
【0064】
10 改質器
12 膜ユニット
14 予備分留ユニット
16 抽出ユニット
18 ベンゼンカラム
20 トルエンカラム
22 キシレンカラム
24 炭化水素原料
26 改質物流
28 改質物流の一部
30 透過液流
32 保留液流
34 塔頂流
36 塔底流
38 中間流
40 ラフィネート流
42 抽出流
44 ベンゼン塔頂流
46 ベンゼン塔底流
48 トルエン塔頂流
50 トルエン塔底流
52 キシレン塔頂流
54 キシレン塔底流
56 第2膜ユニット
62 熱分解ユニット
66 第2膜ユニット
68 補給供給物
74 予備分留ユニット
80 分留ユニット
86 ベンゼン飽和ユニット
92 異性化ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素流から少なくともベンゼンを除去する方法であって、
炭化水素流を少なくとも1つの膜を有する第1膜ユニットに通して、炭化水素流よりも芳香族リッチな透過液流と保留液流とを生成することにより炭化水素流の芳香族を濃縮する濃縮工程と、
濃縮工程後に抽出ユニットにて選択的芳香族抽出溶剤を用いて芳香族を抽出して、透過液流よりも芳香族リッチな抽出流を生成する抽出工程と
を含む方法。
【請求項2】
さらに、抽出流をベンゼン蒸留装置で分留して、抽出流よりもベンゼンリッチなベンゼン塔頂流を生成する分留工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第1膜ユニットが抽出ユニットの上流にかつ抽出ユニットと直接流体連通関係に配置されている、請求項1記載の方法。
【請求項4】
さらに、抽出工程前に蒸留装置を用いて透過液流を予備分留する工程を含み、こうしてC6−C8留分を含む流れを抽出ユニットに送る、請求項1記載の方法。
【請求項5】
さらに、濃縮工程前に蒸留装置を用いて炭化水素流を予備分留する工程を含み、こうしてC6−C8留分を含む流れを第1膜ユニットに送る、請求項1記載の方法。
【請求項6】
さらに、抽出流をベンゼン蒸留装置で分留して、抽出流よりもベンゼンリッチなベンゼン塔頂流とベンゼン塔底流とを生成する分留工程と、
ベンゼン塔底流をトルエン蒸留装置で分留して、ベンゼン塔底流よりもトルエンリッチなトルエン塔頂流とトルエン塔底流とを生成する分留工程と、
トルエン塔底流をキシレン蒸留装置で分留して、トルエン塔底流よりもキシレンリッチなキシレン塔頂流とキシレン塔底流とを生成する分留工程と
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
さらに、透過液流を少なくとも1つの膜を有する第2膜ユニットに通して、透過液流よりも芳香族リッチな第2透過液流と第2保留液流とを生成することにより透過液流の芳香族を濃縮する濃縮工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
さらに、補給炭化水素流を少なくとも1つの膜を有する第2膜ユニットに通して、第2透過液流と第2保留液流とを生成することにより補給炭化水素流の芳香族を濃縮する濃縮工程を含み、第2膜ユニットが第1膜ユニットと並列に配置されている、請求項1記載の方法。
【請求項9】
炭化水素流が改質器からの改質ガソリン又は熱分解ユニットからの熱分解ガソリンである、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記膜が、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ビスフェノールA二無水物に由来するポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、エラストマー状ポリマー、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリビニルピリジン、ハロゲン化ポリマー、フルオロエラストマー、ポリビニルハライド、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、前記ポリマーの少なくとも1つを含むコポリマー、前記ポリマーの少なくとも1つを含むポリマーブレンド、前記ポリマーの少なくとも1つを含むポリマーアロイ、又は前記ポリマー、コポリマー、ブレンド又はアロイの少なくとも1つを含む組合せからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
炭化水素流から少なくともベンゼンを除去する方法であって、
少なくとも1つの膜を有する膜ユニットを用いて炭化水素流のベンゼンを濃縮して、透過液流よりもベンゼンリッチな透過液流と保留液流とを生成する濃縮工程と、
水素及び透過液流をベンゼン飽和ユニットに導入する工程と、
ベンゼン飽和ユニットでベンゼンを水素で飽和させてシクロヘキサンを生成する飽和工程と
を含む方法。
【請求項12】
さらに、ベンゼン濃縮工程前に炭化水素流を予備分留して、炭化水素流よりC6以下の軽質分リッチである塔頂流と塔底流を生成する予備分留工程を含み、前記塔頂流を膜ユニットに送る、請求項11記載の方法。
【請求項13】
さらに、ベンゼン濃縮工程前に炭化水素流を予備分留して、炭化水素流よりC6以下の軽質分リッチである塔頂流と塔底流を生成する予備分留工程と、
前記塔頂流を分留して、塔頂流よりC5以下の軽質分リッチである第2塔頂流を生成する分留工程とを含み、
第2塔頂流を膜ユニットに送る、請求項11記載の方法。
【請求項14】
さらに、透過液流を異性化ユニットにて異性化する工程を含み、少なくともシクロヘキサンを異性化する、請求項11記載の方法。
【請求項15】
さらに、塔底流を改質器にて改質して芳香族を含有する改質物流を生成する工程を含む、請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記膜が、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ビスフェノールA二無水物に由来するポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、エラストマー状ポリマー、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリビニルピリジン、ハロゲン化ポリマー、フルオロエラストマー、ポリビニルハライド、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、前記ポリマーの少なくとも1つを含むコポリマー、前記ポリマーの少なくとも1つを含むポリマーブレンド、前記ポリマーの少なくとも1つを含むポリマーアロイ、又は前記ポリマー、コポリマー、ブレンド又はアロイの少なくとも1つを含む組合せからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項11記載の方法。
【請求項17】
炭化水素流から少なくともベンゼンを除去する方法であって、
炭化水素流を少なくとも1つの膜を有する第1膜ユニットに通して、炭化水素流よりも芳香族リッチな透過液流と保留液流とを生成することにより炭化水素流の芳香族を濃縮する工程であって、前記膜がポリマーを含有する、濃縮工程と、
濃縮工程後に抽出ユニットにて選択的芳香族抽出溶剤を用いて芳香族を抽出して、透過液流よりも芳香族リッチな抽出流を生成する抽出工程と、
抽出流をベンゼン蒸留装置で分留して、抽出流よりもベンゼンリッチなベンゼン塔頂流とベンゼン塔底流とを生成する分留工程と、
ベンゼン塔底流をトルエン蒸留装置で分留して、ベンゼン塔底流よりもトルエンリッチなトルエン塔頂流とトルエン塔底流とを生成する分留工程と、
トルエン塔底流をキシレン蒸留装置で分留して、トルエン塔底流よりもキシレンリッチなキシレン塔頂流とキシレン塔底流とを生成する分留工程と
を含む方法。
【請求項18】
前記ポリマーが、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ビスフェノールA二無水物に由来するポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、エラストマー状ポリマー、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリビニルピリジン、ハロゲン化ポリマー、フルオロエラストマー、ポリビニルハライド、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、前記ポリマーの少なくとも1つを含むコポリマー、前記ポリマーの少なくとも1つを含むポリマーブレンド、前記ポリマーの少なくとも1つを含むポリマーアロイ、又は前記ポリマー、コポリマー、ブレンド又はアロイの少なくとも1つを含む組合せからなる群から選択される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
選択的芳香族抽出溶剤が、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキサイド、プロピレンカーボネート、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルフォリン、フェノール、フルフラール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びジメチルアセトアミドからなる群から選択される、請求項17記載の方法。
【請求項20】
炭化水素流が改質器からの改質ガソリン又は熱分解ユニットからの熱分解ガソリンである、請求項17記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−506003(P2010−506003A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531511(P2009−531511)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/077109
【国際公開番号】WO2008/045629
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】