説明

炭化水素燃料用添加剤及び関連方法

本発明は、効率を高め及び/又は汚染を減少するよう作用する炭化水素燃料用燃料添加剤の分野に関する。該燃料添加剤は、燃焼域において、炭化水素燃料中又は燃料を含む液体キャリヤー中で分散し得る燐含有組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本特許出願は、2003年6月23日に出願された米国特許仮出願番号第60/480,701号に対する優先権を請求し、その全体は参照により記載の一部とする。
(発明の技術分野)
本発明は、燃料添加剤の分野、特に効率を高めるため及び/又は汚染を減少させるための炭化水素燃料用添加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの炭化水素燃料が使用されており、それぞれ特有の利点と欠点を有している。そのような燃料としては、ガソリン、天然ガス、ディーゼル油、灯油、ジェット燃料、LPG、重質留分、バンカー油、エタノール、石炭その他の固体炭化水素燃料等が挙げられる。種々の燃料の、オクタン価のような種々のパラメーターを向上させるために、過去1世紀に亘っていくつかの化合物が燃料添加剤として使われてきた。後に禁止されたが、ガソリン中に鉛を入れて使用することは、長い間に亘って公知である。四エチル鉛はオクタン価向上に効果があったが、環境には重大な悪影響があった。
【0003】
四エチル鉛の他に、いくつかの元素がガソリン又は他の炭化水素燃料中で燃焼触媒としての特性を有していることが知られている。鉛の他に、例えばマンガン、鉄、銅、セリウム、カルシウムおよびバリウムが挙げられる。これらの元素夫々は、特定の用途で長所と短所を有する。ある種の鉄化合物の欠点として、添加剤としてはガソリンへの溶解度が十分でないこと、有毒であること、そして経費がかかることが挙げられる。硫黄と反応して硫化物の析出が起こる可能性もあり、これは望ましくないことである。
【0004】
もう一つの通常使用されるガソリン添加剤はMTBEである。この化合物は、オクタン価を相当に向上させる一方、この化合物は発がん性があると考えられている。また、この物質は容易に水に溶解するので、漏れがあれば有害となる。ガソリンスタンドにある地下タンクからMTBE含有のガソリンが漏れると、地下水中に浸出して井戸を汚染する危険性がある。環境に対してMTBEが有害となる危険性が考えられた結果、エタノールもオクタン価を向上させるガソリン添加剤として評価されつつある。
【0005】
燃焼効率を向上させるという産業界の目標に加えて、煙の発生を減らすことも、特にディーゼル燃料用途では関心事である。煙や粉塵の発生を減少させるための燃料添加剤の開発については、産業界はまだ実質的な進歩を達成していない。
【0006】
最終的には、CO及びNOXを減少させる機能を最大にすべく燃焼パラメーターの調節が試みられているのである。汚染物質を減少させるためのこのような試み、及びこれらの試みの組み合わせにも拘らず、燃料の燃焼は依然として、燃料効率を向上させ汚染物質を減少させるための関心の的である。
【0007】
ガソリン燃料で動くバス、トラック及び乗用車のエンジンからの煙及び粉塵の発生を減少させる燃焼触媒を含む燃料添加剤が有利であろう。ディーゼル燃料用途では効率を高め及び/又は汚染物質を減少させる燃料添加剤も有利であろう。燃料使用時の煙、粉塵及び窒素の発生を減少させることが有利であろう。析出物を生成させない添加物も有利であろう。生成するNOXの水準を下げる炭化水素燃料用添加剤も有利であろう。最後に燃焼過程で安定している添加剤が有利であろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の概要)
本発明は、炭化水素燃料に関連する燃料添加剤及びその添加剤の使用方法を包含する。
【0009】
本発明の燃料添加剤は、[Y]X H2PO4、[Y]X+ H2PO4 (ここでYはカチオンである)を含む燐含有母液を包含する。上記の両方の塩化合物で、Yは同一のカチオンである必要はない。これらの塩成分のカチオン部分はいずれのカチオンでもよく、中でもカリウムが好ましいカチオンである。この場合、好ましい成分はKH2PO4、K2HPO4となろう。これらの塩は、水又は他の適切な溶剤中に少なくとも部分的に分散し、燐含有母液を形成する。有利なことに、燃料添加剤のこの態様はアンモニアを含まない溶液である。好ましい態様の一つに、水の存在下でこれらの成分を添加して、水性母液としての燐含有母液を形成することが挙げられる。この水は溶剤として作用する。他の好ましい溶剤として、炭化水素又はアルコールが挙げられる。好ましいカチオンの他のグループとしては、アルカリ金属、即ち1A族が考えられる。Yとして使用されるNH4は燃料性能を高める燃料添加剤を形成するが、アンモニウムイオン、ひいてはアンモニアを全く避けることが好まれる場合がある。
【0010】
燐含有母液にキャリヤー流体が添加又は混合される。このキャリヤー流体とは自身の中にこれらの塩を少なくとも部分的分散状態に保持するように作用可能であり、且つ炭化水素燃料中に混和するか、溶液状態で維持され得る流体である。好ましい態様では、溶剤が熱的手段によって、キャリヤー流体を含む燐含有母液から大部分除去されることによって、燃料添加剤が作り出される。燃料添加剤は燃焼域で燃料に接触して燃焼する時、燃焼を強化するように作用し得る。強化燃焼とは燃料添加剤を含まない燃料に比して、燃料効率が向上すること、もしくは燃焼で発生する排ガス中の汚染物質が減少すること、又はこれらの効果の組み合わせを意味する。代表的な汚染物質には、NOX、粒子状物質、一酸化炭素及び、炭化水素燃料の燃焼に起因する他の知られた汚染物質が挙げられる。異なった地域ごとに、その大気特性に応じて特定の汚染物質を最小にすることに重点がおかれることは注意すべきである。一つの目標汚染物質又はいくつかの汚染物質の組み合わせを減少させることは非常に有利なことである。代替手段として、燃料効率を向上させると汚染物質の総量の減少や経済的利点に結びつく。
【0011】
燐含有母液の別の好ましい態様としては、[Y]X H2PO4、[Y]X+ HPO4及び水に[NH42 HPO4 を添加することが挙げられる。更に別の態様として、NH4232を添加して、溶液が[Y]X H2PO4、[Y]X+ HPO4、[NH42HPO4、NH4232(ここでC232-イオンは酢酸塩基である)及び水を有するようにすることが挙げられる。燃料添加剤をアンモニウム化合物(ここでアンモニウム化合物はNHX基を含むような化合物と定義される)を使用して調整する際、溶液中の窒素は本質的に全てアンモニウムイオンの形状である。遊離アンモニアの量はせいぜい無視できる量である。好ましい態様では、溶液は約6.0から8.0の間のpHを有している。
【0012】
燐含有母液の別の好ましい態様に、[Y]X H2PO4及び[Y]X+ HPO4に[Y]XPO4を添加することが挙げられる。
【0013】
オルト燐酸について述べられているが、これは燐酸とも呼ばれ、オルト燐酸が縮合した類似体であるピロ燐酸も含んでいる。その相違は、オルト燐酸が縮合する過程で、PO43- がP272- 又は他の縮合した燐酸塩になることである。従って、[Y]X H2PO4及び[Y]X+ HPO4はピロ燐酸の前駆体である。従って、ピロ燐酸及び他の縮合形を使用することは、オルト燐酸形の定義内に含まれていることになる。
【0014】
本発明の一態様の燐含有母液は、水性又は親水性の環境のような任意の型の環境中においても使用できる。親水性環境の場合は、適切な分散が得られるようにキャリヤー流体を選ぶのが有利である。キャリヤー流体中の分散を促進して燃料添加剤を形成する分散剤も好ましい態様の中に包含される。液体の炭化水素燃料用途に対しては、少なくとも一つのキャリヤー流体が、燃料とよく混和する親水性の流体であることが好ましい。
【0015】
本発明の燃料添加剤は、燃料添加剤を含まない燃料の燃焼に比べて、CO2及びH2Oへの燃焼を増加させてより完全な燃焼を達成するように燃焼を強化するのに有用である。その成果は、NOXと同様に部分燃焼の生成物が減少し、それによって燃料効率が向上することである。
【0016】
燃料添加剤は、燃料効率を向上させ又は汚染物質を減少させるに十分な量で添加剤を燃料に加えることによって使用される。強化及び強化燃焼という用語はこれらの効果のどちらかについて云う。汚染物質の減少の一例は、燃焼域から生じる排ガス中のNOXの減少である。有利なことに、本発明の燃料添加剤の添加によってこれら両方の効果が見られる。好ましい態様として、燃料添加剤の添加によって燃料中に約50から150ppmの間の燐を加えることが挙げられる。燐の量を増やすことも同様に効果的である。注目すべきことは、燐の重量パーセントを下げることで、非常に費用効率が高い溶液が調製できることである。別の好ましい目標は、約1ppmから150ppmの燐である。0.25ppmという低い燐でも有効であるという試験結果が得られている。
【0017】
本発明に包含されるものとして、燃焼系において、炭化水素燃料の燃料性能を高めるための方法があるが、それは燃料性能を高めるのに効果的な量の上記の燃料添加剤を炭化水素燃料に供給する工程、及び燃料添加剤を含む炭化水素燃料を燃焼させる工程を含む。この燃焼系は、当業者には公知である、炭化水素を燃焼するための任意の手段とすることができる。この燃焼系は、一つ又はそれ以上の燃焼域を含み得る。好ましい態様では、この方法は液体炭化水素燃料と共に使用される。同様に、この添加剤は固体炭化水素燃料と共にも使用できる。炭化水素燃料に添加剤を加えた結果として、燃焼に適した相当量の炭化水素燃料及び、燃焼を強化するように作用可能な量の燃料添加剤を含む強化燃料が得られる。好ましくは、この強化燃料は燃焼に際して、燃料添加剤を含まない炭化水素燃料の燃焼と比較して、排出量を減少させるよう作用可能な量の燐を含有する。より好ましくは、強化燃料は重量で約1から150ppmの間の燐を含有する。
【0018】
本発明の別の態様として、燃焼系において、その炭化水素燃料の燃料性能を高めるための方法が挙げられ、それは燃料性能を高めるのに有効な量の化学的添加組成物を炭化水素燃料に添加する工程を含む。この化学的添加組成物は、反応性NH2基源と次に示す化合物の一つを水性媒体中で混合すること(i)により中間溶液を調整することによって作られる:
(a)中間溶液のpHを12より高くし、アンモニア水/アルカリ金属水酸化物を形成するアルカリ金属水酸化物又は
(b)中間溶液のpHを約0に下げ、酸性アンモニウム混合物を形成する燐酸源。
次の工程は、工程(ia)の中間溶液と燐酸源を反応させるか、又は(ib)の中間溶液と水酸化物を反応させるかのどちらかの組み合わせを含み、いずれも激しい発熱反応を生じるのに十分な反応速度で行う。この操作により化学的添加組成物の形成中に、反応性NH2基が溶液の中に含まれる結果となる。この化学的添加組成物が炭化水素燃料に添加される。
【0019】
母液、即ち本発明の化学的添加組成物は燃料中に添加したり、燃料を含有することができる。前述の通り、炭化水素系の燃料中での分散を促進するための分散剤を含むことが有利であり得る。典型的な燃料として、ガソリン及びディーゼル燃料が挙げられる。
【0020】
強化燃料は、燃焼に適した相当量の燃料が、その強化燃料の燃焼に際して排出量を減少させ、又は効率を向上させるに十分な量の燐含有母液又は化学的添加組成物と組合わされて形成される。ある状況では、キャリヤー流体とは一定量の目標流体、即ち所望の燃料を含有する流体である。
【0021】
燐酸、アルカリ金属水酸化物及び、反応性NH2基源の組成物は、変換表面の生成に関する米国特許第5,540,788号で研究されており、この特許の開示内容は参照により本明細書の記載の一部とする。本発明は、この変換表面の組成物を燃料添加剤として使用することを包含する。一態様では、この燃料添加剤は炭化水素燃料の強化のための化学的添加組成物であり、その化学的組成物は米国特許第5,540,788号に開示された組成を有している。この態様は、反応性NH2基源を使用するということで独特であり、ある種の状況下で有利であり得る。反応性NH2基を含有する化学組成物がある種の利点を有している一方、遊離アンモニアの存在を招くことになり得る。本発明の燃料添加剤の他の種々の態様では、遊離アンモニアの生成、及びそれに纏わる問題が回避される。
【0022】
(詳細な説明)
本発明の燃料添加剤は、炭化水素燃料の気相転換反応によって、方法中でCO2及びH2Oへのより完全な燃焼を達成すると考えられる。好ましくは、この燃料添加剤はキャリヤー流体中に分散状態で供給される。その調製には、好ましくは、乳化し、次いで基油に添加される水性母液を形成することが含まれる。乳化剤及び分散剤を使用すれば分散が促進できる。好ましい態様では、オイルフリー基準で30から160の全塩基価を有する分散剤が使用される。赤外線及び他の試験技術を使用するテストによって、本発明の燃料添加剤を含む炭化水素燃料の燃焼時の排ガスからCOが減少することが確認される。
【0023】
本明細書に開示された新しい組成物及びDefalcoの前述の組成物の両方とも、高い燃料性能を達成するために使用できる。
【0024】
本発明はエンジンの燃焼室で燃料添加剤を使用することを含む。このことは、ディーゼルエンジンにおいての使用に対して特に価値があると考えられる。このエンジンでの使用は、粉塵や他の排出物質を減少させるという燃焼便益をもたらすようである。本発明の方法は、燃焼方法の熱によってもたらされた高温でエンジンが稼動している間、燃料添加剤が金属部に接触できるような燃焼方法の一部としてもたらされる高温で効果的である。
【0025】
テストの結果、燃料中に燃料添加剤の使用によって、エンジンで発生する熱が減少するという保護作用が供されることが示されている。これは断熱効果の結果だと推定される。酸素ラジカルも増加する。効率の向上も観察される。この効率の向上は燃焼中の触媒効果の結果であり得る。
【0026】
本発明の好ましい配合の一例として、次の比率が挙げられる:1.597モルのKH2PO4、0.693モルのK2HPO4、0.315モルの[NH42HPO4及び水。この溶液のpHは、これらの成分の比率を操作することによって制御できる。得られたH2PO4-及びHPO42-イオンの比率を操作することで、約6.0から約8.0の好ましいpH範囲の溶液が生成できる。
【0027】
好ましい態様では、KH2PO4、K2HPO4、[NH42HPO4及び水から、精製油用キャリヤー流体のようなキャリヤー流体に添加され、そして分散剤と混合される燐含有母液が生成される。代表的な分散剤として、TFA 4690C、ポリアルケニル スクシニミド、及びChevron社製のODA 78012、又はバージニア州リッチモンドにあるEthyl Corporation社製のEthyl Hitec 646が挙げられる。代表的なキャリヤー流体として、ポリオキシプロピレンのモノオール及びポリオール、ポリオキシブチレンのモノオール及びポリオール、ペンシルベニア州ピッツバーグにあるBayer社製のActaclear ND17等が挙げられる。燐含有母液は、精製油用キャリヤー流体の約10重量%で添加される。この混合液を加熱して、相当量の溶媒、この場合は水を追い出す。混合液はこの時点で、コロイド状を呈しているといえる。得られた溶液を燃料に混合すると、溶液中の燐の有効量が燃料中に希釈される。好ましい態様の一例は、溶液中の燐が0.3重量%である。燃料に添加すると、燐の含有量が5〜100ppbの範囲になるが、それでもなお有効である。好ましくは、燃料中で1〜250ppmの燐が使用される。これより多くても有効である。より好ましくは、燃料添加剤含有燃料中に重量で1〜150ppmの燐が存在する。
【0028】
燃料中で使用される燐含有母液の別の態様例として、約2.6モル(M)のオルト燐酸塩とアルカリ金属及びアンモニウムのカチオンとの混合が挙げられ、得られた水性母液は室温でpH7を有する。秤量された体積のこの水性母液は精製油用キャリヤー流体と分散剤の混合液中で懸濁され、この水性母液の過半の水が熱的に除去され、次いで燐が約0.3重量%になるまで希釈される。この混合液を更に希釈して、燃料への添加剤として使用する。この希釈は同一の精製油用キャリヤー流体を用いてなされるのが好ましい。APIのグループIIの基油が好ましい。他の好ましいキャリヤー流体として、軽質炭化水素、ガソリン、ポリガス、灯油、ディーゼル油、ナフサ軽質油、APIで定義されるグループI、III、IV、V又はVIの基油、芳香族油、ポリブテン、ポリグリコール、より重質の油又はこれらの組み合わせが挙げられる。このようにして調製された水性母液が燃料に添加されると、エンジンの正常な運転条件下で汚染物質分子の排出を減少させるよう作用する。代替態様の一例として、燐酸、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムの水溶液を使用することが挙げることができる。酢酸も添加することができる。これらの各成分の量を調節して所望のpHを達成することができる。
【実施例】
【0029】
例1
1.燐酸/酢酸溶液(H3PO4/HOAc溶液)の調製。この例では、H3PO4/HOAc溶液は、H3PO4が約90モル%、HOAcが約10モル%である。
2.反応用の脱イオン水を準備する。
3.2,736.39ポンドの水酸化カリウムをこの水に添加する。
4.この水溶液に1,315.14ポンドの水酸化アンモニウム(29%)を添加する。
5.得られた溶液にH3PO4/HOAc溶液を加え、反応させる。
6.反応後、酢酸によりpHを約7.0に調節する。この反応の生成物は炭化水素燃料を強化するための化学的添加成分として有用である。
(例2)
ディーゼル燃料用添加剤として、精製油用キャリヤー流体中で、KH2PO4、K2HPO4、及び[NH42HPO4の燃料添加剤を用いた実験室での試験により、燃料効率の大きな改善が見られる。この配合で、ナトリウムもカチオンとしての使用が評価された。IA族の金属も好ましいカチオンである。カチオンの選択に関係する要因として、市場価格及び耐食性が挙げられる。
(例3)
低硫黄ディーゼル燃料と組み合わせて、例2に述べられた燃料添加剤を使用したところ、燃料添加剤を含まないディーゼル燃料に比して、排ガス中のCOが74%減少し、SO2が34%減少し、そして粉塵が55%減少した。
(例4)
天然ガスと組み合わせて上記の燃料添加剤を使用したところ、燃料添加剤を含まない天然ガスの燃焼に比して、一酸化炭素の生成が87%減少し、そしてNOXが18%減少した。
(例5)
成分 ポンド 重量単位比
------------------ ------------ ----------
燐酸 2,583 0.25
水酸化カリウム 2,736 0.26
水酸化アンモニウム 1,315 0.13
酢酸 672 0.06
脱イオン水 3,105 0.30
━━━━━━ ━━━━━
全燐含有母液 10,411 1.00

(例6)
投入量
成分 ポンド 重量単位比
------------------ ------------ ----------
Star4 基油 8,544 0.79
灯油 1,282 0.12
ODA 78012 205 0.02
Hitec 646 205 0.02
Actaclear ND17 85 0.01
燐含有母液(例5) 273 0.03
━━━━━━ ━━━━━
合計 10,748 1.00

この溶液を基油中で更に希釈して、燃料添加剤中の燐を所望の濃度に調節する。燃料添加剤を生成するために溶液から溶剤を除去する。この場合は、溶剤は水であり脱水は熱的に行う。
【0030】
別の態様は、[NH4]H2PO4、[NH42HPO4及び水の使用を含む。
【0031】
好ましい態様では、溶剤はその溶剤中での塩の溶解度又は分散性、及びその溶剤の揮発度で定義されるものである。例えば、塩はその溶剤全体に分散しているのが好ましい一方、その溶剤は溶液から沸騰して除去できるほどの揮発度を有し、好ましくは得られる製品に影響を及ぼすことなく回収、再使用される。
【0032】
本発明はそのいくつかの形態のみで提示又は記述されたが、本発明はこれらに限定されずに、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更案が容易に考えられるということは、当業者には明白であると考えるべきである。例えば、塩を燃料又はキャリヤー流体中に導入することは、中間溶液を生成し次いで熱的に溶剤を除去するという操作をしなくても、高速せん断混合により達成できる。塩に関して言えば、[Y]X H2PO4及び[Y]X+ HPO4は夫々[Y]X [H2PO4Z及び[Y]X+ [HPO4Z(ここでX及びZは整数の変数である)をも含む。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩及びキャリヤー流体の混合物を含む燃料添加剤であって、その塩混合物は
[Y]X H2PO4;及び
[Y]X+ HPO4(ここで[Y]はカチオンである)を含み、そのキャリヤー流体は、塩を少なくとも部分的分散状態でキャリヤー流体中に維持するよう作用可能であり、この燃料添加剤は、燃焼域で燃料と接触して燃焼する際に燃焼を強化するよう作用可能であり、この強化燃焼は、燃料効率の向上又は燃料及び燃料添加剤の燃焼から生じる排ガス中の汚染物質量の減少によって測定可能である、上記燃料添加剤。
【請求項2】
[NH42 HPO4を更に含む、請求項1記載の燃料添加剤。
【請求項3】
NH4232(ここでC232は酢酸塩基である)を更に含む、請求項2記載の燃料添加剤。
【請求項4】
溶液のpHが約6.0から8.0の間にある、請求項1記載の燃料添加剤。
【請求項5】
請求項1記載の燃料添加剤を、燃料性能を高めるのに効果的な量で燃焼域に供給する工程、及び燃料添加剤を含む炭化水素燃料を燃焼する工程を含む、燃焼域を有する燃焼系において炭化水素燃料の燃料性能を高めるための方法。
【請求項6】
炭化水素燃料が液体炭化水素燃料である、請求項5記載の燃料性能を高めるための方法。
【請求項7】
炭化水素燃料が固体炭化水素燃料である、請求項5記載の燃料性能を高めるための方法。
【請求項8】
燃焼に適した相当量の炭化水素燃料及び燃焼を強化するよう作用可能な量の請求項1記載の燃料添加剤を含む、強化燃料。
【請求項9】
燐が重量で約1から150ppmの間の量で炭化水素燃料中に存在する、請求項8記載の強化燃料。
【請求項10】
燃料添加剤の量が、強化燃料の燃焼に際して、燃料添加剤を含まない炭化水素燃料の燃焼に比して排出量を減少するよう作用可能な量である、請求項8記載の強化燃料。
【請求項11】
燃焼系において使用するための強化炭化水素燃料を生成するための方法であって、
燃料性能を高めるのに有効な量の化学的添加組成物を炭化水素燃料に添加し、その化学的添加組成物が、燐酸源、アルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウム及び水を混合して得られる反応生成物を含むものである工程
を含む、上記方法。
【請求項12】
化学的添加組成物が更に酢酸を含む、請求項11記載の強化炭化水素燃料を生成するための方法。
【請求項13】
炭化水素燃料の燃焼を強化するための燃料添加剤を生成するための方法であって、
その方法が、
塩[Y]X H2PO4及び[Y]X+ HPO4(ここで[Y]はカチオンである)を少なくとも部分的に溶剤中にその塩を分散させるべく溶媒中に混合して燐含有母液を生成する工程;
燐含有母液がキャリヤー流体中に概ね分散するように、燐含有母液とキャリヤー流体を混合する工程;
燐含有母液とキャリヤー流体の混合液から相当な量の溶剤を除去して、炭化水素燃料が存在する燃焼域に添加し、燃焼する際に、燃焼を強化するよう作用可能な燃料添加剤を生成する工程
を含む、上記方法。

【公表番号】特表2007−521365(P2007−521365A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517619(P2006−517619)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/020287
【国際公開番号】WO2005/001004
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(505286811)エンバイロフューエルズ エル.ピー. (2)
【Fターム(参考)】