炭素系ナノ構造の形成に関するシステムおよび方法
炭素系ナノ構造の形成のためのシステムおよび方法について、概して説明する。いくつかの実施形態では、ナノ構造が、ナノポジタ上に形成され得る。ナノポジタは、いくつかの実施形態では、非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、ナノポジタは、金属酸化物、半金属酸化物、金属カルコゲニド、半金属カルコゲニド等を含んでもよい。炭素系ナノ構造は、成長基板の存在および不存在の場合に、ナノポジタ上で炭素系ナノ構造の形成を生じさせるように選択される一組の条件に、ナノポジタを曝露することによって成長され得る。いくつかの実施形態では、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子は、炭素系ナノ構造の形成の間、ゼロ酸化状態に還元されない。一部の場合には、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子は、炭素系ナノ構造の形成の間、炭化物を形成しない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、Steinerらによる米国仮特許出願第61/230,267号(名称「Systems and Methods Related to the Formation of Carbon−Based Nanostructures」、2009年7月31日出願)の利益を主張し、この出願は、その全体が全ての目的に対して本明細書において参照により援用される。
【0002】
(発明の分野)
概して、炭素系ナノ構造の形成のためのシステムおよび方法について説明される。
【背景技術】
【0003】
炭素系ナノ構造の生産は、潜在的に、新たな電子機器および構造材料の生産における重要なツールとしての役割を果たし得る。最近の研究は、例えば、化学気相蒸着(CVD)および他の技法を通した炭素ナノチューブ(CNT)の生産に焦点が当てられている。ナノ構造を形成すべき適切な材料の選択は、炭素ナノ構造の生産のためのプロセスを設計する際に重要となる。しかしながら、多くの一般的に使用される材料は、それらと関連付けられる1つ以上の不利点を有する。いくつかの材料は、蒸着される基板と反応し得、両方とも、経時的に基板を劣化させ、ナノ構造成長を低減または排除する可能性がある。その反応性のため、Fe、Co、およびNi等の一般的に使用されるナノ構造触媒は、多くの場合、CNT成長を可能にするために、安定化または隔離されなければならず、それによって、使用され得る用途を限定する。
【0004】
したがって、改良された合成物および方法が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概して、炭素系ナノ構造の形成のためのシステムおよび方法について、説明される。本発明の主題は、一部の場合には、相互関連製品、特定の問題に対する代替解決法、および/または複数の異なる1つ以上のシステムおよび/または物品の使用に関与する。
【0006】
一態様では、炭素ナノチューブを成長させる方法について、説明される。方法は、一式の実施形態では、ナノポジタ(nanopositor)上に炭素ナノチューブの形成を生じさせる条件下において、炭素ナノチューブ前駆体を酸化ジルコニウムを含むナノポジタに曝露するステップを含むことができる。
【0007】
いくつかの事例では、方法は、ナノポジタ上に炭素ナノチューブの形成を生じさせる条件下において、炭素ナノチューブ前駆体を非ゼロ酸化状態(non−zero oxidation)の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含むナノポジタに曝露するステップを含むことができる。一部の場合には、ナノポジタは、ナノポジタと異なる材料を含む成長基板の一部と接触することができる。いくつかの実施形態では、非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、炭素ナノチューブの形成の間、ゼロ酸化状態(zero oxidation)に還元される。一部の場合には、非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、炭素ナノチューブの形成の間、炭化物を形成する。
【0008】
一部の場合には、方法は、ナノポジタ上に炭素ナノチューブの形成を生じさせる条件下において、炭素ナノチューブ前駆体を非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含むナノポジタに曝露するステップを含むことができ、炭素ナノチューブの形成は、ナノポジタと接触する成長基板の不在下において、生じる。いくつかの実施形態では、非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、ナノ構造の形成の間に、ゼロ酸化状態に還元され、非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、ナノ構造の形成の間に、炭化物を形成する。
【0009】
一式の実施形態では、方法は、ナノポジタ上に炭素ナノチューブの形成を生じさせる条件下において、炭素ナノチューブ前駆体を非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含むナノポジタに曝露するステップを含むことができ、非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、ナノ構造の形成の間、ゼロ酸化状態に還元される。一部の場合には、非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、ナノ構造の形成の間、炭化物を形成する。
【0010】
一態様では、炭素系ナノ構造を成長させる方法について、説明される。方法は、いくつかの事例では、炭素系ナノ構造の形成を生じさせる条件下において、固体炭素系ナノ構造前駆体を非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含むナノポジタに曝露するステップを含むことができる。
【0011】
いくつかの事例では、方法は、炭素系ナノ構造の形成を生じさせる条件下において、炭素系ナノ構造前駆体を非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含むナノポジタに曝露するステップを含むことができ、ナノポジタは、成長基板と接触する。一部の場合には、ナノポジタの約50原子%未満は、成長基板中に拡散する、またはそれと化学反応し、成長基板は、炭素ナノ構造の形成の間、ナノポジタの約50原子%未満中に拡散する。
【0012】
本発明の他の利点および新規特徴は、添付図面と併せて考慮することによって、本発明の種々の非限定的実施形態の以下の発明を実施するための形態から明白となるであろう。本明細書および参照することによって組み込まれる文書が、矛盾および/または一貫性のない開示を含む場合、本明細書が優先するものとする。参照することによって組み込まれる2つ以上の文書が、相互に矛盾および/または一貫性のない開示を含む場合、相互に、より最新の発効日を有する文書が優先するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
非限定的本発明の実施形態は、付随の図面を参照して、一例として、説明されるが、図面は、概略であって、正確な縮尺で描かれることを意図するものではない。図中、例示される各同等または略同等成分は、一般的には、単一数字によって表される。明確にする目的で、当業者が本発明を理解できるようにするために、図示が必要でない場合は、全ての成分が全ての図で標識化されているわけではなく、本発明の各実施形態の全ての成分が示されているわけでもない。
【図1A】図1A−1Bは、一式の実施形態による、成長基板が採用される、ナノ構造成長の概略図を含む。
【図1B】図1A−1Bは、一式の実施形態による、成長基板が採用される、ナノ構造成長の概略図を含む。
【図2】図2は、成長成長基板の不在下のナノ構造の例示的概略図を含む。
【図3】図3A−3Bは、一式の実施形態による、(A)750℃で、エチレン原料を使用した酸窒化ケイ素支持体上にジルコニアナノポジタを使用して成長された、整列されたCNTの束のSEMと、(B)ジルコニア粒子群から延在する大径MWNTの拡大図と、を含む。
【図4】図4A−4Bは、一式の実施形態による、(A)CVDの間、XPSによって原位置で分析された、10nmアルミナ支持体を伴う、Siウエハ上で、ジルコニアを使用して成長されたCNTのSEM画像と、(B)原位置XPS分析の間、シリコンウエハ上のジルコニアの板状晶上に成長されたCNTとを含む。
【図5】図5は、一式の実施形態による、シリコン基板上のジルコニアからのCNTの成長の間のC 1sおよびZr 3d領域の累進XPS測定を含む。
【図6】図6A−6Bは、一式の実施形態による、(A)原位置XPS分析の間、CVDによって成長された炭素ナノチューブからのラマンスペクトルと、(B)約80乃至約360cm−1の図6Aにおけるスペクトルの拡大図と、を含む。
【図7−1】図7A−7Dは、一式の実施形態による、(A)原位置XPS成長実験からのジルコニアナノポジタナノ粒子に取着したCNTの例示的TEM画像と、(B)ジルコニアドープ炭素エアロゲルから成長されたジルコニアナノポジタナノ粒子に取着したCNTの例示的TEM画像と、(C)原位置XPS実験の間、成長されたジルコニアナノ粒子から延在するCNTの例示的走査TEM(STEM)画像と、(D)〜ZrO2の粒子組成物を立証する原位置XPS実験からのCNTに取着したナノ粒子の例示的点局在EDAXスペクトル(円)とを含む。
【図7−2】図7A−7Dは、一式の実施形態による、(A)原位置XPS成長実験からのジルコニアナノポジタナノ粒子に取着したCNTの例示的TEM画像と、(B)ジルコニアドープ炭素エアロゲルから成長されたジルコニアナノポジタナノ粒子に取着したCNTの例示的TEM画像と、(C)原位置XPS実験の間、成長されたジルコニアナノ粒子から延在するCNTの例示的走査TEM(STEM)画像と、(D)〜ZrO2の粒子組成物を立証する原位置XPS実験からのCNTに取着したナノ粒子の例示的点局在EDAXスペクトル(円)とを含む。
【図8】図8は、一式の実施形態による、バデレアイトジルコニアに対応する可能性のある位相整合を伴うジルコニアドープ炭素エアロゲル(灰色線)およびジルコニアの酸素欠乏相(黒色線)の粉末XRDパターンを含む。
【図9】図9は、800℃(上列)と、1050℃(中央列)で熱分解されたジルコニアドープ炭素エアロゲルと、1050℃において熱分解された非ドープ炭素エアロゲル(下列)との例示的XPSスペクトルを含む。
【図10】図10は、一式の実施形態による、800℃で熱分解されたジルコニアドープ炭素エアロゲル内にジルコニアナノ粒子を封入する、フラーレンケージ構造のSEMを含む。
【図11】図11A−11Bは、一式の実施形態による、(A)CVD後のジルコニアドープ炭素エアロゲルの表面から突出する、多層炭素ナノチューブのSEM画像と、(B)ジルコニアドープ炭素エアロゲルに埋入されたジルコニアナノ粒子から出現する、MWNTのTEM画像(左下領域内の円形粒子の質量)(スケールバー=20nm)と、を含む。
【図12】図12A−12Bは、一式の実施形態による、ZrOCl2溶液中に浸漬塗膜後、H2還元によって生産された、ジルコニアナノ粒子によって塗膜された炭素繊維から延在する、長いCNT、CNT束、および大径繊維のSEM画像を含む。
【図13】図13は、いくつかの実施形態による、ジルコニアナノ粒子ナノポジタの例示的HRTEM画像を含む。
【図14】図14A−14Bは、いくつかの実施形態による、ジルコニアナノ粒子ナノポジタからの炭素ナノチューブ成長を示す、例示的SEM画像を含む。
【図15】図15は、一式の実施形態による、ジルコニアナノ粒子ナノポジタからの炭素ナノチューブ成長を示す、例示的SEM画像を含む。
【発明を実施するための形態】
【0014】
概して、炭素系ナノ構造の形成のためのシステムおよび方法について説明される。いくつかの実施形態では、ナノ構造は、ナノポジタ上に形成され得る。ナノポジタは、一部の実施形態において、非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、ナノポジタは、金属酸化物、半金属酸化物、金属カルコゲニド、半金属カルコゲニド等を含んでもよい。炭素系ナノ構造は、成長基板の存在および不存在の場合に、ナノポジタ上に炭素系ナノ構造の形成を生じさせるように選択される一組の条件にナノポジタを曝露することによって成長され得る。いくつかの実施形態では、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子は、炭素系ナノ構造の形成の間に、ゼロ酸化状態に還元されない。一部の場合には、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子は、炭素系ナノ構造の形成の間に、炭化物を形成しない。
【0015】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるシステムおよび方法は、特に、炭素ナノチューブを形成することに好適であり得る。いくつかの事例では、条件は、炭素ナノチューブが選択的に生産されるように選択される。多くの場合、グラフェン等の他の炭素系ナノ構造の生産につながる条件(例えば、温度、圧力等)は、ナノチューブの生産を成功させるために使用することはできない。一部の場合には、炭素ナノチューブは、グラフェンが成長するであろう従来のナノポジタ上に成長しないであろう。
【0016】
一式の実施形態では、本明細書に説明されるナノポジタは、他の処理条件(例えば、温度、圧力等)と組み合わせて、固体前駆体から炭素系ナノ構造を使用するために使用されることができる。従来、炭素系ナノ構造は、非固体ナノ構造前駆体(例えば、ガス、液体、プラズマ等)から形成された。固体前駆体から炭素系ナノ構造を形成するためのプロセスは、非固体前駆体から炭素系ナノ構造を形成するためのプロセスと根本的に異なる。しかしながら、発明者らは、予想外にも、そのような差異が克服され、固体から炭素系ナノ構造を形成することができることを発見した。
【0017】
本明細書で使用されるように、用語「ナノポジタ」は、ナノ構造の形成を生じさせるように選択された一組の条件に曝露されると、そうでなければ、本質的に同等の条件下においてナノポジタの不在下において生じないであろうナノ構造の形成を可能にするか、または本質的に同等の条件下において、但し、ナノポジタ材料を伴わずに観察されるであろう割合と比較してナノ構造の形成の割合を増加させるかいずれかである材料を指す。「本質的に同等の条件」とは、本文脈において、ナノポジタの存在以外、類似または同等である条件(例えば、環境内の種の圧力、温度、組成物、および濃度等)を意味する。一式の実施形態では、「ナノポジタ」は、可能にする、または割合を増加させる、ナノ構造の形成に関与する反応において消費されない、すなわち、ナノポジタを構成する原子または分子が、反応を介してナノ構造内に組み込まれない。
【0018】
本明細書に説明されるナノポジタは、他の材料と比較して、利点を保有し得る。例えば、本明細書に説明されるナノポジタは、炭素、金属、およびセラミック等の着目基板上でのナノ構造成長を助長可能であることができる。比較的に高い温度(例えば、少なくとも約500℃)で炭素等の基板と反応し得るゼロ酸化状態の鉄、コバルト、およびニッケル等の一般的に使用される材料と異なり、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含むナノポジタは、そのような高温において、比較的に非反応性であり得る。加えて、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含むナノポジタ(例えば、酸化ジルコニウム等)は、金、白金、およびレニウム等のナノ構造成長のために使用されている多くの他の材料と比較して、比較的に安価であり得る。本明細書に説明されるナノポジタはまた、酸化物形成に耐性を有し得る。いくつかの実施形態では、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含むナノポジタの毒作用機序は、ナノ構造成長において使用される他のナノポジタ(例えば、ゼロ酸化状態の金属触媒)において観察される毒作用機序と異なり得る。実際、いくつかの実施形態では、実質的に、ナノポジタの毒作用は、ナノ構造成長の間に生じない。これは、より効率的成長と、可能性として、略無制限の寸法を有するナノ構造の成長とを可能にし得る。
【0019】
酸化ジルコニウムナノポジタの使用は、一部の場合には、特に、有利であり得る。前述の利点に加え、ジルコニウムおよび酸化ジルコニウムは、比較的容易に処理されることができる。一部の場合には、酸化ジルコニウムを含むナノポジタは、従来のナノ構造成長材料(例えば、金属等)と比較して、成長させられると、ナノ構造から容易に除去されることができる。ジルコニウムは、安定した酸化物を比較的容易に形成する。加えて、ジルコニウムは、例えば、炭素ナノチューブ等のある種類のナノ構造を形成する際に、特に、活性化することが示されている準安定酸素欠乏状態を形成可能である。酸化ジルコニウムは、既に酸化物であるため、概して、非酸化物より酸化を被りにくく、したがって、酸化的ナノ構造成長条件(例えば、水、アルコール等に関与する成長)に対して、有利なナノポジタであり得る。加えて、酸化ジルコニウムは、高い温度(例えば、最大1050℃)において炭素熱還元を受けず、したがって、また、鉄に対する炭素ナノチューブ成長終了機序であると仮定されている炭化による毒作用に耐性を有し得る。したがって、酸化ジルコニウムは、特に、いくつかの実施形態では、炭素を含む基板にナノ構造を形成する際に、有用であり得る。
【0020】
非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含むナノポジタを使用したナノ構造成長と関連付けられるシステムおよび方法の付加的利点は、以下により詳細に説明される。
【0021】
本明細書に説明される物品、システム、および方法は、国際特許出願第PCT/US2007/011914号(2007年5月18日出願、名称「Continuous Process for the Production of Nanostructures Including Nanotubes」、国際公開第2007/136755号(2007年11月29日公開))、国際特許出願第PCT/US07/11913号(2007年5月18日出願、名称「Nanostructure−reinforced Composite Articles and Methods」、国際公開第2008/054541号(2008年5月8日公開))、国際特許出願第PCT/US2008/009996号(2008年8月22日出願、名称「Nanostructure−reinforced Composite Articles and Methods」、国際公開第2009/029218号(2009年3月5日公開))、米国特許第7,537,825号(2009年5月26日発行、名称「Nano−Engineered Material Architectures:Ultra−Tough Hybrid Nanocomposite System」)、米国特許出願第11/895,621号(2007年8月24日出願、名称「Nanostructure−Reinforced Composite Articles」、米国特許出願公開第2008/0075954号(2008年3月27日公開))、米国特許出願第12/618,203号(2009年11月13日出願、名称「Controlled−Orientation Films and Nanocomposites Including Nanotubes or Other Nanostructures」)、および米国特許出願第12/630,289号(2009年12月3日出願、名称「Multifunctional Composites Based on Coated Nanostructures」)に記載されており、あらゆる目的のために参照することによって全体として本明細書に援用される。
【0022】
次に、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含むナノポジタを使用して、炭素系ナノ構造を成長させるためのシステムおよび方法の実施例が提供される。
【0023】
一態様では、炭素系ナノ構造を成長させるための方法が提供される。本明細書で使用されるように、用語「炭素系ナノ構造」は、芳香環の縮合網、約1ミクロン未満の少なくとも1つの断面寸法を有し、質量比で少なくとも約30%炭素を含む物品を指す。いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造は、質量比で少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%以上の炭素を含んでもよい。用語「縮合網」は、例えば、2個のフェニル環が、単結合によって連結され、縮合されないビフェニル基を含まない場合がある。炭素系ナノ構造の実施例は、炭素ナノチューブ(例えば、単層炭素ナノチューブ、2層炭素ナノチューブ、多層炭素ナノチューブ等)、炭素ナノワイヤ、炭素ナノ繊維、炭素ナノシェル、グラフェン、フラーレン等を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造は、約500nm未満、約250nm未満、約100nm未満、約75nm未満、約50nm未満、約25nm未満、約10nm未満、または、一部の場合には、約1nm未満の少なくとも1つの断面寸法を有してもよい。本明細書に説明される炭素系ナノ構造は、一部の場合には、約1ミクロン未満、約500nm未満、約250nm未満、約100nm未満、約75nm未満、約50nm未満、約25nm未満、約10nm未満、または、一部の場合には、約1nm未満の最大断面寸法を有してもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるカーボン系ナノ構造は、カーボンナノチューブを含んでもよい。本明細書で使用されるように、用語「カーボンナノチューブ」は、当技術分野でのその通常の意味が付与され、主に炭素原子を含む、主に、六員環(例えば、六員芳香環)の縮合網を含む、実質的に円筒形の分子またはナノ構造を指す。一部の場合には、カーボンナノチューブは、継目のない円筒形構造に形成された黒鉛のシートと似ていてもよい。ナノチューブはまた、六員環以外の環または格子構造を含んでもよいことを理解されたい。一般的には、カーボンナノチューブの少なくとも1つの末端は、すなわち、湾曲または非平面芳香族構造で冠着されてもよい。カーボンナノチューブは、約数ナノメートルの直径および約数ミリメートルまたは約10分の数ミクロンの長さを有し、100、1000、10,000、100,000、106、107、108、109、またはそれ以上よりも大きいアスペクト比をもたらしてもよい。カーボンナノチューブの実施例は、炭素単層カーボンナノチューブ(SWNT)、2層カーボンナノチューブ(DWNT)、多層カーボンナノチューブ(MWNT)(例えば、同心カーボンナノチューブ)、その無機誘導体、その有機誘導体等を含む。いくつかの実施形態では、カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブである。一部の場合には、カーボンナノチューブは、多層カーボンナノチューブ(例えば、2層カーボンナノチューブ)である。一部の場合には、炭素ナノチューブは、従来の触媒または他のナノポジタ材料から得られ得るものより広い内径を有する多層または単層炭素ナノチューブを含む。一部の場合には、カーボンナノチューブは、約1ミクロン未満、約00nm未満、約50nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約25nm未満、約10nm未満、または、一部の場合には、約1nm未満の直径を有してもよい。
【0026】
一式の実施形態では、炭素系ナノ構造を成長させる方法は、ナノポジタ上に炭素系ナノ構造の形成を生じさせるように選択される一組の条件に、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含むナノポジタを曝露するステップを含む。用語「酸化状態」は、「IUPAC Compendium of Chemical Terminology」, Second Edition(1997)(参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる)に説明される、International Union of Pure and Applied Chemistory(IUPAC)によって採用される、基準を指す。
【0027】
炭素系ナノ構造を成長させる例示的システム100が、図1Aに示される。非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含むナノポジタ102(例えば、後述のようなナノポジタナノ粒子)は、成長基板104の表面上に設置される。一部の場合には、ナノポジタは、ナノポジタと異なる材料を含む成長基板の一部(例えば、成長基板と接触するナノポジタの部分)と接触する。一部の場合には、ナノポジタは、ナノポジタと同一材料を含む成長基板の一部(例えば、成長基板と接触するナノポジタの部分)と接触する。ナノポジタおよび/またはナノポジタと接触する成長基板の1つ以上の部分105は、ナノポジタ上にナノ構造の形成を生じさせるように選択された一組の条件に曝露されてもよく、ナノ構造106は、ナノポジタ102から成長してもよい。
【0028】
一部の場合には、ナノ構造前駆体材料が、ナノ構造を成長させるために使用される。例えば、図1Aでは、ナノ構造前駆体材料108は、成長基板104に送達され、成長基板表面(例えば、矢印109による)、ナノポジタ表面、および/またはナノポジタと成長基板との間の界面(例えば、矢印110による)に接触または浸透し得る。ナノ構造前駆体材料は、あらゆる好適な相(例えば、固体、液体、またはガス)であって、例えば、炭化水素(例えば、メタン、エチレン、アセチレン等)、アルコール等を含んでもよい。カーボンナノチューブの成長では、例えば、ナノ構造前駆体材料は、炭素が、前駆体分子から解離し、持続的な成長によって一般的方向112に成長基板から押し上げられる、成長しているカーボンナノチューブに組み込まれ得るように炭素を含んでもよい。当業者であれば、特定のナノ構造の成長のためのナノ構造前駆体材料を選択することが可能であろう。例えば、カーボンナノチューブは、炭素繊維支持体上に配設された酸化ジルコニウムのナノ粒子等、ナノポジタとのC2H4/H2混合物の反応によって、合成されてもよい。使用され得るナノ構造前駆体材料の他の実施例は、例えば、メタン、エタノール、ギ酸メチル、アセチレン、および他のアルキンを含む。好適なナノ構造加工技法の実施例は、 国際特特許出願第PCT/US2007/011914号(2007年5月18日出願、名称「Continuous Process for the Production of Nanostructures Including Nanotubes」、国際公開第WO2007/136755号(2007年11月29日公開))によって詳細に論じられ、参照することによって全体として本明細書に組み込まれる。
【0029】
一式の実施形態では、ナノ構造前駆体材料は、固体を含む。固体前駆体材料の実施例は、例えば、石炭、コークス、非晶質炭素、未熱分解有機ポリマー(例えば、フェノールホルムアルデヒド、レソルシノールホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド等)、部分的に熱分解された有機ポリマー、ダイヤモンド、グラフェン、黒鉛、またはあらゆる他の好適な炭素の固体形態を含む。いくつかの実施形態では、固体前駆体材料は、少なくとも約25重量%炭素、少なくとも約50重量%炭素、少なくとも約75重量%炭素、少なくとも約85重量%炭素、少なくとも約90重量%炭素、少なくとも約95重量%炭素、少なくとも約98重量%炭素、または少なくとも約99重量%炭素を含んでもよい。
【0030】
一式の実施形態では、ナノ構造前駆体材料は、固体および非固体(例えば、液体、ガス等)の両方を含む。例えば、ナノ構造前駆体材料は、ナノポジタ材料および気相前駆体材料に近接して、またはそれと接触して、留置される、炭素の固体形態を含むことができる。具体的実施例として、固体前駆体成分は、煤煙、非晶質炭素、グラフェン、または黒鉛等のナノポジタ上またはその近傍に蒸着されることができ、ナノポジタは、炭化水素(例えば、メタン、エチレン、アセチレン等)を含む、蒸気に曝露されることができる。いかなる特定の理論に拘束されることを所望するわけではないが、いくつかの成長条件下において、固体前駆体材料の存在は、固体前駆体材料の不在下では生じ得ないナノ構造成長を可能にすることができる。一部の場合には、固体前駆体材料は、基板を提供し、そこから、非固体ナノ構造前駆体材料を、炭素系ナノ構造を成長させるために添加させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、少量の炭素ナノチューブは、開始材料として使用し、そこからより大きなナノチューブを、非固体炭素ナノ構造前駆体材料を使用して成長させることができる。
【0031】
種々の非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含むナノポジタが、本明細書に説明されるシステムおよび方法において使用されることができる。一部の場合には、ナノポジタは、結晶性材料(例えば、単結晶材料、多結晶性材料等)、非晶質材料、またはこれらの混合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、ナノポジタは、金属酸化物または金属カルコゲニド(例えば、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物等)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ナノポジタは、半金属酸化物または半金属カルコゲニド(例えば、半金属硫化物、半金属セレン化物、半金属テルル化物等)を含んでもよい。一部の場合には、ナノポジタは、金属および/または半金属炭化物、窒化物、リン化物、ケイ化物、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。特に、好適であり得る、非ゼロ酸化状態の金属原子の実施例は、とりわけ、酸化物およびカルコゲニド形態のジルコニウム、ハフニウム、タンタル、ニオブ、イットリウム、ランタン、モリブデン、ランタニド金属、チタン、アルミニウム、レニウム、ならびにカルシウムを含むが、それらに限定されない。特に、好適であり得る非ゼロ酸化状態の半金属原子の実施例は、とりわけ、シリコン、ホウ素、およびゲルマニウムを含むが、それらに限定されない。ナノポジタは、いくつかの実施形態では、非炭化物系(すなわち、金属または半金属は、例えば、炭素ナノ構造が形成される条件下において、炭化物を形成しない)金属または半金属原子を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ナノポジタは、最大1050℃の温度において炭化物を形成しない金属または半金属原子を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ナノポジタは、2つ以上の酸化物、2つ以上のカルコゲニド、または少なくとも1つの酸化物と少なくとも1つのカルコゲニドの組み合わせを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ナノポジタは、酸化ジルコニウムと酸化モリブデン、酸化ジルコニウムと酸化カルシウム、または酸化ジルコニウムと硫化ジルコニウムを含んでもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、ナノポジタ中、比較的に大きな割合の金属または半金属原子が、非ゼロ酸化状態である。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも約25%、少なくとも約35%、少なくとも約50%、少なくとも約65%、少なくとも約75%、少なくとも約85%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.9%、またはナノポジタ中、金属または半金属原子の大部分が、非ゼロ酸化状態である。一部の場合には、実質的に、ナノポジタ中、金属または半金属原子の全部が、非ゼロ酸化状態である。規定された酸化状態を伴う原子の割合は、例えば、X線光電子分光法(XPS)を介して決定されてもよい。
【0033】
1つ以上のドーパント元素が、いくつかの実施形態では、ナノポジタ中に含まれてもよい。ナノポジタ中に含まれ得るドーパント元素の実施例は、例えば、Ca、Mg、Sr、Ba、Y、Mo、または他の元素、あるいはこれらおよび/または他の元素の組み合わせを含む。具体的実施例として、ナノポジタは、カルシウム(例えば、1.5原子%カルシウム)でドープされた酸化ジルコニウムを含んでもよい。一部の場合には、ナノポジタは、約50原子%未満、約35原子%未満、約20原子%、約10原子%未満、約5原子%未満、約2原子%未満、約1.5原子%未満、約1原子%未満、または約0.5原子%未満、約0.1原子%乃至約5原子%、約0.5原子%乃至約3原子%、または約1原子%乃至約2原子%ドーパント元素を含んでもよい。ドーパント元素は、いくつかの実施形態では、ドーパント原子が、結晶性材料の隙間内に存在するように、ナノポジタ中に統合されてもよい。一部の場合には、ドーパント原子は、ナノポジタの結晶構造内の原子を置換してもよい。いかなる理論によっても拘束されることを所望するわけではないが、ナノポジタ内へのドーパント原子の含有は、以下の効果のうちのいずれか1つを有し得る:酸性度の向上、n−型またはp−型ドープの誘起、またはナノポジタの表面上における酸塩基対形成。一部の場合には、ドーパント原子は、ナノポジタの1つ以上の外表面上、および/またはナノポジタの孔内に存在してもよい。ドーパントは、いくつかの事例では、液体前駆体を使用してナノポジタに適用されてもよい。ドーパントは、一部の場合には、物理および/または化学気相蒸着を使用して、ナノポジタに添加されることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、ナノポジタは、ナノポジタと異なる材料を含む成長基板の一部と接触する。例えば、一部の場合には、ナノポジタは、金属酸化物(例えば、酸化ジルコニウム)を含んでもよい一方、金属酸化物と接触する成長基板の部分は、炭素、金属、シリコン、または金属酸化物ではないあらゆる他の好適な材料を含む。別の実施例として、ナノポジタは、半金属酸化物(例えば、酸化ケイ素)を含んでもよい一方、半金属酸化物と接触する成長基板の部分は、炭素、金属、シリコン、または半金属酸化物ではないあらゆる他の好適な材料を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、ナノポジタは、ナノポジタ粒子を含有する液体から、基板上に蒸着される。いかなる特定の理論に拘束されることを所望するわけではないが、ナノポジタが液体を離れ、基板上に蒸着される様式は、炭素ナノ構造成長に向かって、ナノポジタの活性を向上させる場合がある。例えば、一部の場合には、ナノポジタ活性の向上が、比較的に多数のナノポジタ粒子の群化によって、生じる場合がある。いくつかの事例では、ナノポジタ活性の向上は、1つ以上のナノポジタ粒子の表面形態の変化によって、および/または液体からのナノポジタ粒子およびドーパントの同時蒸着から生じるドープ効果によって、発生する場合がある。
【0036】
複数のナノポジタは、いくつかの事例では、単層または多層膜中に編成されることができる。単層または多層膜は、例えば、Langmuir−SchafferまたはLangmuir−Blodgett方法を使用して、調製される場合がある。具体的実施例として、事前に加工されたナノ粒子(例えば、ジルコニアナノ粒子)が、担体流体(例えば、トルーエン)中に分散され、次いで、薄層として、流体の別の層(例えば、水)上に輸送されることができる(例えば、ピペットによる)。次いで、担体流体は、ナノ粒子の膜を残して、蒸発されることができる。次いで、膜は、基板上に輸送され、炭素系ナノ構造を成長させるために使用されることができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、ナノポジタは、化学量論的形態において、1つ以上の比較的により多くの陰性物質に結合される(例えば、イオン的に、共有結合的に等)、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含んでもよい。例えば、ナノポジタは、化学量論的酸化物、カルコゲニド等を含んでもよい。当業者は、そのような化合物の化学量論的形態を同定可能であろう。例えば、化学量論的形態の酸化ジルコニウムは、ZrO2である。化学量論的形態の酸化アルミニウムは、Al2O3である。一部の場合には、ナノポジタは、非化学量論的形態において、より多くの陰性物質に結合される(例えば、イオン的に、共有結合的に等)、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含んでもよい。ナノポジタは、例えば、陽性物質元素が、化学量論的形態において観察されるであろう、1つ以上の陰性物質の量と比較して、過剰または不足して存在する時、そのような非化学量論的形態を含み得る。例えば、ナノポジタが、酸化物を含む場合、酸化物は、酸素豊富または酸素欠乏であってもよい。一部の場合には、非化学量論的形態は、ナノポジタ内へのドーパンとの含有から発生し得る。例えば、非化学量論は、約50%未満、約35%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、約2%未満、約1%未満、または約0.5%未満Ca、Mg、Sr、Ba、Y、Mo、または他の元素、またはこれらおよび/または他の元素の組み合わせの含有によって、観察され得る。
【0038】
ナノポジタは、いくつかの実施形態では、酸化ジルコニウムを含んでもよい。酸化ジルコニウムナノポジタは、化学量論的(例えば、ZrO2)または非化学量論的であってもよい。いくつかの実施形態では、酸化ジルコニウムは、準安定酸素欠乏状態を形成してもよい。材料は、材料の化学量論的形態において存在するであろうもの未満の酸素量を含む時、酸素欠乏状態にあると言われる。いくつかの実施形態では、酸化ジルコニウムは、約1.0乃至約2.0(すなわち、ZrO1.0−2.0)、約1.6乃至約2.0(すなわち、ZrO1.6−2.0)、約1.6乃至約1.8(すなわち、ZrO1.6−1.8)、または約1.0乃至約1.6(すなわち、ZrO1.0−1.6)の範囲の酸素対ジルコニウム比を含んでもよい。いくつかの実施形態では、酸化ジルコニウムは、例えば、ZrOの式を伴う、亜酸化物であってもよい。いくつかの実施形態では、酸化ジルコニウムは、超酸化物(すなわち、酸化ジルコニウム中の酸素対ジルコニウムの比は、約2:1を上回る)であってもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、酸化物は、ランタン酸化物、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化モリブデン、および酸化イットリウムを含むことができる。いかなる理論によっても拘束されることを所望するわけではないが、これらの酸化物は、いくつかの実施形態では、その周期表上におけるジルコニウムへの近接性によって、特に、好適であり得る。半金属酸化物は、例えば、酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム等を含んでもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、ナノポジタ中の非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子は、ナノ構造の形成の間、ゼロ酸化状態に還元されない。いくつかの実施形態では、ナノポジタ中の非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子の約2%未満、約1%未満、約0.1%未満、または約0.01%未満は、ナノ構造の形成の間、ゼロ酸化状態に還元される。いくつかの実施形態では、実質的に、ナノポジタ中の非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子は、ナノ構造の形成の間、ゼロ酸化状態に還元されない。
【0041】
いくつかの事例では、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子は、ナノ構造の形成の間、炭化物を形成しない。いくつかの実施形態では、ナノポジタ中の非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子の約2%未満、約1%未満、約0.1%未満、または約0.01%未満は、ナノ構造の形成の間、炭化物を形成する。いくつかの実施形態では、実質的に、ナノポジタ中の非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子は、ナノ構造の形成の間、炭化物を形成しない。
【0042】
プロセス条件および/またはナノポジタは、いくつかの事例では、ナノポジタ中の非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子が、ナノ構造の形成の間、ゼロ酸化状態に還元されず、炭化物を形成しない(または、比較的に小程度にのみ形成される)ように選択されることができる。例えば、一式の実施形態では、ナノポジタは、酸化ジルコニウムを含み、プロセス温度は、ゼロ酸化状態ジルコニウム(例えば、金属ジルコニウム)または炭化ジルコニウムのいずれも、ナノ構造の形成の間、形成されないように選択される。いくつかの実施形態では、ナノ構造は、約1100℃を下回る、約1050℃を下回る、約1000℃を下回る、約900℃を下回る、約800℃を下回る、約700℃を下回る、約600℃を下回る、約500℃を下回る、約400℃を下回る、約300℃を上回る、約400℃を上回る、約500℃を上回る、約600℃を上回る、約700℃を上回る、約800℃を上回る、約900℃を上回る、約1000℃を上回る、約1050℃を上回る、または約300℃乃至約500℃、約300℃乃至約1100℃、約300℃乃至約1050℃、約300℃乃至約1000℃、約300℃乃至約900℃、約300℃乃至約500℃、約500℃乃至約900℃、約500℃乃至約1000℃、約500℃乃至約1050℃、または約500℃乃至約1100℃の温度において形成され、ナノポジタ中の非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子は、ナノ構造の形成の間にゼロ酸化状態に還元されず、炭化物を形成しない。
【0043】
いくつかの実施形態では、ナノポジタ、成長基板、および/またはナノ構造が成長される条件は、基板とナノポジタとの間の化学的相互作用または分解の量が、比較的に小さくなるように選択される。例えば、一部の場合には、ナノポジタは、ナノ構造の形成の間、基板中に有意に拡散しないか、またはそれと有意に化学反応しない。当業者は、所与のナノポジタが、基板中に有意に拡散されているかどうか、またはそれと化学反応しているかどうかを決定可能であろう。例えば、随意に、デプスプロファイリングを伴うX線光電子分光法(XPS)は、ナノポジタが基板中に拡散されているかどうか、または基板の元素がナノポジタ中に拡散されているかどうかを決定するために使用されてもよい。随意に、XPSと連結されるX線回折(XRD)は、ナノポジタおよび基板が相互に化学反応しているかどうかを決定するために使用されてもよい。二次イオン質量分析(SIMS)は、深さの関数として化学組成物を決定するために使用されることができる。
【0044】
図1Bは、ナノポジタ102が基板104と相互作用することができる一式の実施形態を例示する。その中でナノポジタが基板と相互作用する体積は、体積120として示される。図1Bでは、球状のナノポジタ102Aは、ナノポジタ102Aの元々の体積に略相当する体積120Aにわたって基板104と相互作用する。球状ナノポジタ102Bは、ナノポジタ102Bの元々の体積の3倍に略相当する体積120Bにわたって、基板104と相互作用する。湿潤ナノポジタ102Cは、ナノポジタ102Cの元々の体積に略相当する体積120Cにわたって基板104と相互作用するように示される。加えて、基板104は、体積120Dとして示される相互作用体積を伴うナノポジタ102D中に拡散されるように例示される。いくつかの実施形態では、ナノポジタと基板との間の化学反応が、生じ得、その場合、ナノポジタと基板が相互作用する体積は、反応生成物の体積によって画定される。化学生成物の体積は、例えば、生成物の化学組成物を決定し、それがナノポジタに由来することを立証するために、XRDを使用して、XPS分析を介して、決定されてもよい。いくつかの実施形態では、ナノポジタは、基板中に拡散し得るか、または基板は、ナノポジタ中に拡散し得、その場合、ナノポジタと基板が相互作用する体積は、それにわたってナノポジタおよび/または基板が拡散する体積によって画定される。それにわたってナノポジタが拡散する体積は、例えば、デプスプロファイリングとともに、XPSを使用して決定されることができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、その中でナノポジタが基板と相互作用する体積(例えば、ナノポジタと基板との間の化学反応を介して生産される生成物の体積、それにわたってナノポジタおよび/または基板が他方内に拡散する体積等)は、基板上に形成されるナノポジタの元々の体積と比較して比較的に小さい。いくつかの事例では、基板上に形成されるナノポジタの体積は、その中でナノポジタが基板と相互作用する(例えば、反応を介して、拡散を介して、機序の組み合わせを介して等)体積より、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約200%、少なくとも約500%、少なくとも約2500%、少なくとも約5000%、少なくとも約10,000%、少なくとも約50,000%、または少なくとも約100,000%大きい。
【0046】
いくつかの実施形態では、基板と相互作用する(例えば、ナノポジタと基板の反応、ナノポジタの基板中への拡散、基板のナノポジタ中への拡散、またはこれらのの組み合わせを介して)ナノポジタの質量の割合は、比較的に低い。いくつかの実施形態では、基板上に形成されるナノポジタの約50原子%未満、約25原子%未満、約10原子%未満、約5原子%未満、約2原子%未満、または約1原子%未満が、基板と相互作用する。基板と相互作用するナノポジタの割合は、例えば、デプスプロファイリングとともに、XPSを使用して決定されることができる。随意に、XRDが、測定される材料の組成物を決定するために採用されることができる。
【0047】
ナノポジタと基板との間の相互作用は、いくつかの実施形態では、ナノ構造の成長前後の基板の伝導性を測定することによって決定されてもよい。一部の場合には、基板の抵抗は、ナノポジタの不在下において、本質的に同等の条件に曝露される基板の抵抗と比較して、約100%を超えて、約50%を超えて、約25%を超えて、約10%を超えて、約5%を超えて、または約1%を超えては変化しない。「本質的に同等の条件」とは、本文脈において、ナノポジタの存在以外、類似または同等である条件を意味する。例えば、そうでなければ、同等条件とは、同等である基板および同等である環境(例えば、同等温度、圧力、ガス組成物、ガス濃度、他の処理条件等)を指し得るが、ナノポジタは、存在しない。基板の抵抗を測定するための好適な技法は、例えば、ASTM Designation:D 257−99(名称「Standard Test Methods for DC Resistance or Conductance of Insulating Materials」(Reapproved 2005))に説明され、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。
【0048】
一部の場合には、ナノポジタと基板の相互作用は、ナノ構造の形成前後の基板の引張強度を測定することによって、決定されてもよい。いくつかの実施形態では、基板の引張強度は、ナノポジタの不在下において、本質的に同等の条件に曝露される基板の引張強度より、約20%未満だけ低い、約10%未満だけ低い、約5%未満だけ低い、または約1%未満だけ低い。単一繊維(例えば、炭素または黒鉛繊維)の引張強度を測定するための好適な技法は、えば、ASTM国際基準ASTM C 1557−03(West Conshohocken,PA,2003、名称「Standard Test Method for Tensile Strength and Young’s Modulus of Fibers」)に見出されることができ、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。他の基板の引張強度を測定するための好適な技法は、例えば、M.Madouの「Fundamentals of Microfabrication」(2nd edition、CRC Press(2002))に見出されることができ、参照することによって全体として本明細書に組み込まれる。
【0049】
本明細書に説明されるナノポジタは、あらゆる好適な形態をとってもよい。例えば、一部の場合には、ナノポジタは、膜を含んでもよい(例えば、成長基板上に設置される)。いくつかの事例では、ナノポジタは、パターン(例えば、線、点、またはあらゆる他の好適な形態)において、成長基板上に蒸着されてもよい。
【0050】
一部の場合には、ナノポジタは、一連のナノスケール特徴を含んでもよい。本明細書で使用されるように、「ナノナノスケール特徴」は、約1ミクロン未満の少なくとも1つの断面寸法を有する、物品上の突起、溝または圧痕、粒子、または他の測定可能幾何学形状特徴等の特徴を指す。一部の場合には、ナノスケール特徴は、約500nm未満、約250nm未満、約100nm未満、約10nm未満、約5nm未満、約3nm未満、約2nm未満、約1nm未満、約0.3乃至約10nm、約10nm乃至約100nm、または約100nm乃至約1ミクロンの少なくとも1つの断面寸法を有してもよい。いかなる理論によっても拘束されることを所望するわけではないが、ナノスケール特徴は、反応、核生成ステップ、またはナノ構造の形成に関与する他のプロセスが生じる、速度を増加させ得る。ナノスケール特徴は、例えば、ナノポジタの表面を粗面化することによって、形成されることができる。
【0051】
いくつかの事例では、ナノポジタは、ナノ粒子を含んでもよい。概して、用語「ナノ粒子」は、約1ミクロン未満の最大断面寸法を有する、あらゆる粒子を指すために使用される。いくつかの実施形態では、ナノポジタナノ粒子は、約500nm未満、約250nm未満、約100nm未満、約10nm未満、約5nm未満、約3nm未満、約2nm未満、約1nm未満、約0.3乃至約10nm、約10nm乃至約100nm、または約100nm乃至約1ミクロンの最大断面寸法を有してもよい。複数のナノポジタナノ粒子は、一部の場合には、約1ミクロン未満、約100nm未満、約10nm未満、約5nm未満、約3nm未満、約2nm未満、約1nm未満、約0.3乃至約10nm、約10nm乃至約100nm、または約100nm乃至約1ミクロンの平均最大断面寸法を有してもよい。本明細書で使用されるように、「最大断面寸法」は、測定され得る個々の構造の2つの対向する境界間の最大距離を指す。複数の構造の「平均最大断面寸法」は、数平均を指す。
【0052】
いくつかの事例では、ナノポジタ粒子は、実質的に、同一形状および/またはサイズ(「単分散」)であってもよい。例えば、ナノポジタ粒子は、ナノポジタ粒子の最大断面寸法の標準偏差が、ナノポジタ粒子の平均最大断面寸法の約50%以下、約25%以下、約10%以下、約5%以下、約2%以下、または約1%以下であるような寸法分布を有してもよい。標準偏差(英小文字シグマ)は、当技術分野におけるその通常の意味が付与され、以下のように計算され得る:
【0053】
【数1】
式中、Diは、ナノポジタ粒子iの最大断面寸法であって、Davgは、ナノポジタ粒子の断面寸法の平均であって、nは、ナノポジタ粒子の数である。前述のナノポジタ粒子の標準偏差と平均最大断面寸法との間の割合比較は、標準偏差を平均で除算し、100%を乗算することによって求められることができる。
【0054】
本明細書に説明されるナノポジタは、種々の方法を介して、調製されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含むナノポジタは、金属、半金属、または炭化物の塩または酸化の還元を介して、調製されてもよい。酸化ジルコニウムナノポジタは、例えば、プロポキシジルコニウム等のゾルゲル前駆体から調製されてもよい。いくつかの事例では、酸化ジルコニウム粒子は、二塩化酸化ジルコニウム(ZrOCl2)の還元から、あるいは金属ジルコニウムまたは炭化ジルコニウムナノ粒子もしくは薄膜の酸化から、調製されてもよい。いくつかの実施形態では、ナノポジタは、電子ビーム蒸着またはスパッタ蒸着を介して、調製されてもよい。1つ以上のドーパントが、例えば、ドーパント材料を蒸着標的(例えば、電子ビーム標的)にボールミリングし、続いて、標的中に材料を蒸着することによって、ナノポジタ内に含まれてもよい。いくつかの実施形態では、ドーパントは、そこからナノポジタが化学気相蒸着を介して形成される、前駆体材料に組み込まれてもよい。例えば、ドーパントは、いくつかの実施形態では、ゾルに組み込まれてもよい。いくつかの事例では、ナノポジタは、ナノ粒子または他のナノ構造の形成をもたらす、非加水分解ゾルゲル反応を通して、調製されることができる。
【0055】
種々の成長基板は、本明細書に説明されるシステムおよび方法に従って、使用されてもよい。成長基板は、本明細書で説明されるようなナノポジタおよび/またはナノ構造を支持可能なあらゆる材料を含んでもよい。成長基板は、ナノ構造成長条件、ナノ構造除去条件等の、特定のプロセスで使用される一組の条件下において、不活性となる、および/または安定するように、選択されてもよい。一部の場合には、成長基板は、実質的に、平坦な表面を含む。一部の場合には、成長基板は、実質的に非平坦表面を含む。例えば、成長基板は、円筒形表面を含んでもよい。本発明で使用するために好適な基板は、高温プリプレグと、ポリマー樹脂と、金属、合金、金属間化合物、金属酸化物、金属窒化物、セラミック、等の無機材料と、を含む。本明細書で使用されるように、用語「プリプレグ」は、埋め込まれた繊維、例えば、炭素、ガラス、炭化ケイ素等の繊維を含有する、熱硬化性または熱可塑性樹脂の1つ以上の層を指す。いくつかの実施形態では、基板は、炭素(例えば、非晶質炭素、炭素エアロゲル、炭素繊維、黒鉛、ガラス状炭素、炭素−炭素合成物、グラフェン、凝集ダイヤモンドナノロッド、ナノダイヤモンド、ダイヤモンド等)を含んでもよい。一部の場合には、基板は、繊維、繊維トウ、織物(例えば、乾燥織物)等であってもよい。基板はさらに、伝導性繊維、織物、またはナノ構造等の伝導材料を含んでもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、基板は、ゼロ酸化状態金属および/または炭化物と反応するが、酸化物、あるいは非ゼロ酸化状態の金属または半金属を含む他の材料と反応しない。また、基板は、一部の場合には、ナノ構造の成長が、基板とゼロ酸化状態金属および/または金属炭化物ナノポジタとの間の好ましくない化学反応によって、阻害されるが、金属酸化物、半金属酸化物、あるいは非ゼロ酸化状態の金属または半金属を含む他の材料と反応しない、材料を含んでもよい。
【0057】
一部の場合には、本明細書に説明される基板は、ナノ構造が成長される条件に耐えることが可能なポリマーを含んでもよい。成長基板において使用されることができる好適なポリマーの実施例は、比較的に高温のフッ素重合体(例えば、Teflon(登録商標))、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリエーテルケトン(PEK)等を含むが、それらに限定されない。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される基板は、実質的に、電磁放射に対して透過性である。例えば、一部の場合には、基板は、実質的に、可視光、紫外線放射、赤外線放射、マイクロ波放射、またはレーダ周波数に対して透過性であってもよい。
【0059】
一部の場合には、ナノ構造は、成長基板自体の形成中に成長基板上で成長させられてもよい。例えば、繊維(例えば、黒鉛繊維)が、本明細書で説明されるナノ構造の加工と組み合わせて、連続プロセスで形成されてもよい。例示的実施形態では、繊維の表面上にナノ構造を含む炭素繊維は、一般的には、高温での応力下において炭素繊維前駆体材料を最初に安定化させ、その後、繊維を形成するために高温(例えば、500℃を上回る)で炭化および/または黒鉛化熱分解ステップを行うことによって高温において形成され得る。ナノ構造は、繊維の表面上に成長させられてもよく、その後、表面処理、定寸、スプーリング、または他の処理技法が続く。
【0060】
成長基板を使用したナノ構造の成長が、詳細に説明されているが、本明細書において説明される実施形態は、それらに限定されず、ナノ構造は、いくつかの実施形態では、成長基板の不在下において、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含むナノポジタ上に形成されてもよい。例えば、図2は、ナノポジタ202が、ナノポジタと接触する成長基板の不在下において、ナノ構造成長を促進するように選択される一組の条件下に置かれる、システム200の概略図を含む。ナノ構造206は、ナノポジタが成長条件に曝露されるのに伴って、ナノポジタ202から成長してもよい。いくつかの実施形態では、ナノポジタは、流体中に懸濁されてもよい。例えば、ナノポジタは、ガス(例えば、エアロゾル化された)中に懸濁され、続いて、そこから炭素ナノチューブが成長され得る、炭素含有前駆体材料に曝露されてもよい。一部の場合には、ナノポジタは、ナノ構造の形成の間、液体(例えば、ナノ構造前駆体材料としての役割を果たす、アルコール)中に懸濁されてもよい。
【0061】
本明細書で使用されるように、「一組の条件」への曝露は、例えば、特定の温度、pH、溶媒、化学試薬、雰囲気の種類(例えば、窒素、アルゴン、酸素等)、電磁放射等への曝露を含んでもよい。一部の場合には、一組の条件は、ナノ構造の核生成、成長、安定化、除去、および/または他の処理を促進するように選択されてもよい。一部の場合には、一組の条件は、ナノポジタの再活性化、除去、および/または置換を促進するように選択されてもよい。一部の場合には、一組の条件は、ナノポジタの活性を維持するように選択されてもよい。いくつかの実施形態は、外部エネルギー源への曝露を含む、一組の条件であってもよい。エネルギー源は、電磁放射、電気エネルギー、音響エネルギー、熱エネルギー、または化学エネルギーを含んでもよい。例えば、一組の条件は、熱または電磁放射への曝露、抵抗加熱、レーザへの曝露、または赤外光への曝露を含む。いくつかの実施形態では、一組の条件は、特定の温度、圧力、化学種、および/またはナノ構造前駆体材料への曝露を含む。例えば、一部の場合には、一組の条件への曝露は、実質的に、大気圧(すなわち、約1atmまたは760torr)への曝露を含む。一部の場合には、一組の条件への曝露は、約1atm未満(例えば、約100torr未満、約10torr未満、約1torr未満、約0.1torr未満、約0.01torr未満、またはそれを下回る)の圧力への曝露を含む。一部の場合には、高圧の使用が、有利となり得る。例えば、いくつかの実施形態では、一組の条件への曝露は、少なくとも約2atm、少なくとも約5atm、少なくとも約10atm、少なくとも約25atm、または少なくとも約50atmの圧力への曝露を含む。いくつかの事例では、一組の条件は、約1100℃を下回る、約1050℃を下回る、約1000℃を下回る、約900℃を下回る、約800℃を下回る、約700℃を下回る、約600℃を下回る、約500℃を下回る、約400℃を下回る、約300℃を上回る、約400℃を上回る、約500℃を上回る、約600℃を上回る、約700℃を上回る、約800℃を上回る、約900℃を上回る、約1000℃を上回る、約1050℃、または約300℃乃至約500℃、約300℃乃至約1100℃、約300℃乃至約1050℃、約300℃乃至約1000℃、約300℃乃至約900℃、約300℃乃至約500℃、約500℃乃至約900℃、約500℃乃至約1000℃、約500℃乃至約1050℃、または約500℃乃至約1100℃の温度への曝露を含む。いくつかの実施形態では、一組の条件への曝露は、ナノポジタ上でナノ構造の化学気相蒸着(CVD)を行うステップを含む。いくつかの実施形態では、化学気相蒸着プロセスは、プラズマ化学気相蒸着プロセスを含んでもよい。化学気相蒸着は、当業者に周知のプロセスであって、例えば、Dresselhaus M S、Dresselhaus G.、およびAvouris,P.による編集の「Nanotubes:Synthesis,Structure,Properties, and Applications」((2001)Springer)に説明され、参照することによって全体として本明細書に組み込まれる。
【0062】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるシステムおよび方法は、実質的に、整列されたナノ構造を生産するために使用されてもよい。実質的に整列されたナノ構造は、材料の上または内に配設されると、材料の性質を向上させるのに十分な長さおよび/または直径を有し得る。いくつかの実施形態では、一式の実質的に整列されたナノ構造は、成長基板の表面上に形成されてもよく、ナノ構造は、ナノ構造の長軸が成長基板の表面に対して実質的に非平面であるように、配向されてもよい。一部の場合には、ナノ構造の長軸は、成長基板の表面に対して実質的に垂直方向に配向され、ナノ構造配列または「森林」を形成する。ナノ構造「森林」におけるナノ構造の整列は、いくつかの実施形態では、後続の処理時でさえも(例えば、他の表面への移動、および/またはポリマー等の2次材料との森林の組み合わせ)、実質的に維持され得る。整列されたナノ構造を含む、整列されたナノ構造および物品を生産するためのシステムおよび方法は、国際特許出願第PCT/US2007/011914号(2007年5月18日出願、名称「Continuous Process for the Production of Nanostructures Including Nanotubes」)および米国特許第7,537,825号(2009年5月26日発行、名称「Nano−Engineered Material Architectures:Ultra−Tough Hybrid Nanocomposite System」)に説明され、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。
【0063】
一部の場合には、外部エネルギー源は、エネルギーを提供して、成長部位を成長のために必要な温度に到達させるように、成長装置と連結されてもよい。外部エネルギー源は、例えば、成長部位(例えば、ナノポジタ)に近接しているワイヤコイルを抵抗加熱することによって、または伝導性成長基板に電流を通過させることによって、熱エネルギーを提供してもよい。一部の場合には、外部エネルギー源は、成長基板に電場および/または磁場を提供してもよい。一部の場合には、外部エネルギー源は、レーザを介して、または成長基板の直接抵抗加熱を介して、あるいはこれらのうちの1つ以上の組み合わせを介して、提供されてもよい。例示的実施形態では、一組の条件は、成長基板表面の温度、成長基板を囲繞する大気の化学組成、基板表面を囲繞し、周囲大気内にある反応性ガス(例えば、ナノ構造前駆体)の流量および圧力、成長面の表面上のナノポジタまたは他の材料の蒸着または除去、および/または随意で、基板の運動率を含んでもよい。一部の場合には、外部エネルギー源は、成長基板おまたはナノポジタにX線を提供してもよい。いかなる特定の理論に拘束されることを所望するわけではないが、X線は、ナノポジタを酸素欠乏状態に誘導し、ナノポジタを活性化させる、および/またはナノポジタに接触するガス種を変化させる場合がある。
【0064】
一部の場合には、ナノ構造は、ナノ構造が形成された後、成長基板から除去されてもよい。例えば、除去する行為は、直接、成長基板の表面から受容基板の表面へとナノ構造を移動させるステップを含んでもよい。受容基板は、例えば、ポリマー材料または炭素繊維材料であってもよい。一部の場合には、受容基板は、ポリマー材料、金属、または、Al2O3、SiO2、炭素、あるいはポリマー材料を含む、繊維を含む。一部の場合には、受容基板は、Al2O3、SiO2、炭素、またはポリマー材料を含む繊維を含む。いくつかの実施形態では、受容基板は、繊維織物である。
【0065】
ナノ構造の除去は、ナノ構造および/または成長基板の表面への機械的工具、機械的または超音波振動、化学試薬、熱、または他の外部エネルギー源の印加を含んでもよい。一部の場合には、ナノ構造は、例えば、圧縮ガスの印加によって除去されてもよい。一部の場合には、ナノ構造は、ナノ構造を受容基板に取り付けることなく、除去され(例えば、脱離され)、まとめて収集されてもよく、ナノ構造は、成長基板からの除去後に、元々または「成長したままの」配向および立体構造(例えば、整列された「森林」)のままであってもよい。基板からナノ構造を除去するため、またはナノ構造を第1の基板から第2の基板に移動させるためのシステムおよび方法は、国際特許出願第PCT/US2007/011914号(2007年5月18日出願、名称「Continuous Process for the Production of Nanostructures Including Nanotubes」)に説明され、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。
【0066】
いくつかの実施形態では、ナノポジタは、ナノ構造が成長された後、成長基板および/またはナノ構造から除去され。ナノポジタの除去は、例えば、(例えば、成長基板の)表面からナノポジタを掻爬または粉砕する機械的工具による処理を介して、機械的に行われてもよい。一部の場合には、第1のナノポジタは、化学種による処理(例えば、化学エッチング)によって、または熱的に(例えば、ナノポジタを蒸発させる温度までの加熱)除去されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ナノポジタは、例えば、選択的に、ナノポジタを溶解させ得る、酸エッチング(例えば、HCl、HF等)を介して除去されてもよい。例えば、HFは、選択的に、酸化物を溶解させるために使用されることができる。
【0067】
本明細書で使用されるように、用語「金属」は、以下の元素を含む:リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、亜鉛、モリブデン、カドミウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロニウム、マンガン、熱、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、銀、ラザホージウム、ドブニウム、シーボーギウム、ボーリウム、ハシウム、マイトネリウム、ダームスタチウム、レントゲニウム、ウンウンビウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズ、タリウム、鉛、ビスマス、ウンウントリウム、ウンウンクアジウム、ウンウンペンチウム、ウンウンヘキシウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、アクチニウム、トリウム、プロトアクチニウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、バークリウム、カリホルニウム、アインスタイニウム、フェルミウム、メンデレビウム、ノーベリウム、およびローレンシウム。
【0068】
本明細書で使用される用語「半金属」は、以下の元素を含む:ホウ素、シリコン、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、テルル、およびポロニウム。
【0069】
本明細書で使用されるように、用語「非金属」は、以下の元素を含む:水素、炭素、窒素、亜リン酸、酸素、硫黄、セレン、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチン、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、およびラドン、ならびにウンウンオクチウム。
【0070】
以下の文書、国際特許出願第PCT/US2007/011914号(2007年5月18日出願、名称「Continuous Process for the Production of Nanostructures Including Nanotubes」、国際公開第2007/136755号(2007年11月29日公開))、国際特許出願第PCT/US07/11913号(2007年5月18日出願、名称「Nanostructure−reinforced Composite Articles and Methods」)、国際公開第WO2008/054541号(2008年5月8日公開))、国際特許出願第PCT/US2008/009996号(2008年8月22日出願、名称「Nanostructure−reinforced Composite Articles and Methods」)、国際公開第WO2009/029218号(2009年3月5日公開))、米国特許第7,537,825号(2009年5月26日発行、名称「Nano−Engineered Material Architectures:Ultra−Tough Hybrid Nanocomposite System」)、米国特許出願第11/895,621号(2007年8月24日出願、名称「Nanostructure−Reinforced Composite Articles」、米国特許出願公開第2008/0075954号(2008年3月27日公開))、米国特許出願第12/618,203号(2009年11月13日出願、名称「Controlled−Orientation Films and Nanocomposites Including Nanotubes or Other Nanostructures」)、米国特許出願第12/630,289号(2009年12月3日出願、名称「Multifunctional Composites Based on Coated Nanostructures」)、およびSteinerらの米国仮特許出願第61/230,267号(2009年7月31日出願、名称「Systems and Methods Related to the Formation of Carbon−Based Nanostructures」)は、あらゆる目的のために、参照することによって全体として本明細書に組み込まれる:全ての他の特許、特許出願、および本明細書に引用される文書もまた、あらゆる目的のために、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。
【0071】
以下の実施例は、ある本発明の実施形態を例示することを意図するものであって、完全な発明の範囲を例示するものではない。
【0072】
(実施例1)
本実施例では、ナノ粒子ジルコニア(ZrO2)をナノポジタとして使用し、熱化学気相蒸着(CVD)によって、多層ナノチューブ(MWNT)および単層ナノチューブ(SWNT)成長を生産した。加えて、ナノ粒子ジルコニア(ZrO2)を黒鉛ナノシェル内への固体非晶質炭素の形質転換におけるナノポジタとして使用した。Si基板を液体溶液から蒸着されたZrO2の膜で塗膜し、CVDによるこれらの基板の処理が、実質的炭素ナノチューブ(CNT)成長をもたらすことが認められた。ジルコニアを伴ういくつかの基板からのCNTのCVD成長の間の原位置X線光電子分光法(XPS)分析は、CNT成長が酸化物上で生じ、酸化物が、成長の間、酸化状態に留まることを示すために使用した。CVDの間、使用される温度およびガス流量条件に応じて、これらの基板は、高いナノポジタ粒子活性を示す、局所的に垂直整列された「森林」形態を含む、SWNTまたはMWNTのいずれかを成長させる能力を実証した。加えて、高温でのジルコニアと炭素との間の固体状態相互作用を、ジルコニアナノ粒子ドープ炭素エアロゲルを調製することによって調査した。エアロゲルは、800℃でのZr(IV)含有レソルシノールホルムアルデヒドポリマーエアロゲルの熱分解を通して生産され、非ドープ炭素エアロゲルに不在であるフラーレンケージ構造の存在を呈した。ジルコニアドープ炭素エアロゲルの後続CVD処理はまた、明らかに、エアロゲル骨格内に埋入されたジルコニア粒子から、CNTの成長をもたらした。CNT成長前後のSiおよび炭素エアロゲル基板の実験施設内XRDならびにXPS分析は、金属ジルコニウムまたは炭化ジルコニウムが存在しないことが認められ、ジルコニアナノ粒子は、CNT成長の水素および炭化水素豊富CVD気圧によって、還元されなかったことを示唆する。Siおよび炭素エアロゲル基板上のCNTの低圧CVD成長の原位置XPS分析は、ジルコニアナノ粒子からのCNTのCVD成長前、間、または後のいずれの時点においても、金属ジルコニウムあるいは炭化ジルコニウムが発生しないことを立証した。
【0073】
本実施例に説明される方法では、金属、特に、鉄による汚染を防止するように細心の注意を払った。処理の全段階に対して、清潔な専用プラスチックおよびガラスツールならびに容器を使用した。エアロゲル試料の熱分解および全CNT成長プロセスは、単離された一式の新しい専用石英プロセスチューブによって行った。ZrO2が含まれていないSi基板上のCNT成長の不在によって、使用されるCVDシステムに、ナノポジタ汚染の不在を立証した。使用される基板のXPS分析もまた、Fe、Co、Ni、または他の明白な潜在的ナノポジタが、CVD処理前後に、存在しなかったことを立証した。
【0074】
(ZrO2塗膜Si基板の調製)
使用される全Si基板は、熱SiO2の200−300nm層を有していた。Al2O3支持体を伴うSi基板を、固体化学量論的Al2O3の電子ビーム蒸発またはRFスパッタ蒸着を通して調製した。酸化窒化物支持体を伴うSi基板を、垂直型熱酸化炉を使用して調製後、アニーリングを行った。2−プロパノール中ZrOCl2・8H2Oの飽和溶液を、322mgのZrOCl2・8H2Oを20.0gの2−プロパノールに添加し、約5分間、超音波で分解し、4−5日にわたって、ナノ粒子を形成させることによって、調製した。次いで、これらの溶液を撹拌し、ジルコニアナノ粒子をSiウエハ上に浸漬塗膜または液滴流延するために使用した。
【0075】
(ZrO2ドープ炭素エアロゲルの調製)
ZrO2ドープ炭素エアロゲルおよび非ドープ対照炭素エアロゲルを、Steinerらの 「Iron−Doped Carbon Aerogels:Novel Porous Substrates for Direct Growth of Carbon Nanotubes」(Langmuir、2007、23、5161−5166)おいてに説明され、参照することによって本明細書に組み込まれる金属ドープ炭素エアロゲルを調製するために開発されたイオン交換技法を通したゾルゲル処理を使用して調製した。概略すると、2,4−ジヒドロキシ安息香酸のカリウム塩を、水中でホルムアルデヒドと重合し、メソ多孔性K+ドープレソルシノールホルムアルデヒドポリマーゲルを形成した。ゲル構造を通して、カルボン酸カリウム塩部分は、イオン交換部位として作用し、ゲル液体を水性イオン塩と交換することによって、ゲルを他のイオン(遷移金属イオン等)でドープさせた。イオン交換に先立って、ゲル液体を脱イオン水と交換することによって、ゲルを精製した。次いで、ジルコニルのためのK+のイオン交換を、水性0.1M ZrOCl2.8H2O(Fluka、≧99.0%、<0.4μg/mg既知のCNTナノポジタ)の溶液中にゲルを浸漬することによって調製した。対照としての役割を果たすために、非ドープゲルを、水性0.1N HCl中への浸漬を通して、K+をH+に交換することによって調製した。次いで、ゲルを、最初に、脱イオン水、次いで、アセトン、次いで、最後に、液体CO2による、複数回の溶媒交換を通して(溶媒毎に3回交換、24時間毎に1回交換)、精製し、超臨界乾燥のために調製した。次いで、ゲルを、CO2(Tc=31.1℃、Pc=72.9atm、Tmax=50℃、Pmax=100atm)から、超臨界乾燥させ、それぞれ、ジルコニルドープおよび非ドープレソルシノールホルムアルデヒドポリマーエアロゲルを得た。最後に、エアロゲルを、800℃または1050℃で、10.5時間、200sccm Ar流下、熱分解し、メソ多孔性炭素エアロゲルを得た。ジルコニルドープ試料の場合、エアロゲルは、フラーレンナノシェル内に封入された多分散ZrO2ナノ粒子が均質に混入されていることが認められた。非ドープエアロゲルは、一般的非晶質炭素構造のみを呈した。
【0076】
(ZrO2上でのCNTの成長)
CNTの熱CVD成長を、表1に列挙されたいくつかの異なる基板上で行った。
【0077】
【表1】
大気熱CVDを、長さ138cmの50−mm内径縮合石英プロセスチューブを使用して、62−cm加熱長を伴う3区域から成るLindberg/BlueM炉内で行った。本システム内の試料は、加熱長の50%乃至75%の石英チューブ内に直接留置した。使用されるガスはすべて、超高純度グレードであった(99.999%、Airgas、US)。原位置XPS分析のための低圧CVD成長を、FHI−MPGの最終ステーション内のBESSYシンクロトロンで行った。用語「低圧」は、準大気圧CVDを指すことに留意されたい。しかしながら、これらの同一条件は、XPSの場合、「高圧」とみなされる。本システムにおける試料を、反応セル内に輸送し、開口から約2mm離れた半球型分析器(Phoibos 150、SPECS)のレンズ系の差動排気段階に留置した。集束IRレーザを使用して、試料を加熱した。温度示度数は、試料の近傍にスポット溶接された熱電対から得たが、そのため、一部の場合には、最大約100℃の過小評価が生じ得た。CVD気圧を、リーク弁を介して取着された質量分析計によって常時監視した。
【0078】
大気圧CVDを、表2に概略された条件に従って、メタンおよびエチレン原料によって行った。アセチレンを採用する低圧CVDは、原位置XPS分析のために使用した。大気圧成長の場合、Si基板は、メタンおよびエチレン条件の両方で処理した。炭素エアロゲルおよび炭素繊維試料のみ、大気圧におけるエチレン成長条件を使用して、処理した。原位置XPS分析を、アルミナ支持体およびジルコニアドープ炭素エアロゲルを伴う、Si上のジルコニアに対して行った。
【0079】
【表2】
(特性評価)
Si系基板は、走査型電子顕微鏡(SEM)、実験施設内X線光電子分光法(XPS)、CNT成長の間の原位置XPS、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型透過電子顕微鏡(STEM)下の点局在エネルギー分散型X線分析装置(EDAX)、およびラマン分光法によって、特性評価した。ZrO2ドープ炭素エアロゲルは、粉末X線回折(XRD)、実験施設内XPS、CNT成長の間の原位置XPS、SEM、TEM、STEM下の点局在EDAX、およびラマン分光法によって、特性評価した。炭素繊維基板は、SEMによって分析した。XRDパターンは、Cu K−α線、電圧45kV、および電流40mAを使用して、PANalytical X’Pert Pro MPDをRTMS検出器と併用して、求めた。相同定および微結晶サイズ決定は、ICCDデータベースを備えた、MDI Jade 7を使用して行った。実験施設内XPSスペクトルは、基準圧力5×10−9torrを伴うチャンバ内において、Al K−α線(エネルギー=1486.6eV)を使用して、AXIS Ultra DLD Spectrometer(Kratos Analytical Ltd、UK)上で求めた。炭素エアロゲルの場合、XPS試料は、材料を微細粉末に粉砕し、接着性銅テープに接着することによって、またはモノリスを直接銅テープに接着することのいずれかによって、調製した。銅テープは、両面接着性炭素テープを使用して、試料ホルダに搭載した。シリコン基板は、炭素テープによって、試料ホルダに直接搭載された。全測定は、X線電力150W(15kVおよび10mA)、通過エネルギー10eV、および分析面積750μm×350μmを使用して、行った。電荷中和器は、使用しなかった。炭素エアロゲル試料に対する電荷補正は、帯電効果が観察されなかったため、行わなかった。シリコン基板に対する電荷補正は、基準点として、SiO2またはAl2O3支持体からのピークを使用して行った。高圧原位置XPSスペクトルは、スペクトル分解能約0.3−0.4eVを伴う、光子エネルギー500eVにおいて、通常放射幾何学形状で収集した。これらの光子エネルギーでは、電子均自由行程は、約10.5Angstromである。分析面積は、約100μm×1mmであった。背景補正は、Shirleyバックグラウンドを使用して行った。スペクトルは、Levenberg−Marquardtアルゴリズムに従って、χ2値を最小化するように適合させた。ピーク形状は、Gaussianプロファイルによって畳み込み積分された非対称Doniach−Sunjic関数を使用して、モデル化した。高分解能走査電子顕微鏡法(HRSEM)は、炭素エアロゲル試料の場合、14kV、炭素繊維試料およびMWNT Si基板の場合、5kV、ならびに原位置XPS分析からの試料の場合、2.5kVで動作する、JEOL 6320顕微鏡およびFEI Philips XL30 sFEGによって行った。炭素エアロゲルおよび誘導されてナノチューブ合成物の高分解能透過電子顕微鏡法(HRTEM)は、200keVで動作する、JEOL JEM−200CX上で行った。原位置XPS実験の間に成長されたCNTのHRTEMおよびSTEMは、200kVで動作し、EDAXを行うためのINCAシステムを備えた、JEOL 2010F上で行った。ラマンスペクトルは、レーザ電力25mWおよび収集時間5秒を伴う、励起波長647nmで動作する、特注マイクロRaman分光計を使用して求めた。ピーク適合は、Raman分析モードで動作するCasaXPSを使用して行った。ピーク形状は、尾部指数α=1およびβ=1とGaussian幅m=2(プログラム線形状LA(1,1,2))を伴う、Gaussianプロファイル畳み込み積分された非対称Lorentzian線形を使用してモデル化した。
【0080】
(結果および考察)
最初に、Si基板上のジルコニアからのCNTの成長を、酸窒化ケイ素障壁を伴うSiウエハ上に、2−プロパノール中ZrOCl2・8H2Oの飽和溶液を液滴流延することによって、評価した。750℃におけるエチレン原料によるこれらのウエハの水素およびCVD処理下の前処理後、整列されたCNTの束(「ミニ森林」)が、SEMによって、これらのウエハ上の種々の場所に観察され得た(図3A−3B参照)。これらのウエハの多くは、成長を呈しなかったが、成長は、観察された場所では、高収率であった。また、これらのウエハ上で観測可能なものとして、ミニ森林および他の長い(5μmを上回る)CNT束が観察された、ジルコニアの亀裂が入った板状晶、群、および膜があった。類似結果は、アルミナおよびシリカ上のジルコニアに対しても観察された。
【0081】
ジルコニアまたは還元ジルコニウム種(例えば、水素および炭化水素への高温曝露から生じる)のいずれが、これらの基板上のCNT成長ナノポジタとしての役割を果たしたかを理解するために、ジルコニア塗膜ウエハを、CVD成長の実験施設内XPSによって分析した。CVD成長条件へのウエハの曝露の前後両方に、金属ジルコニウムまたは炭化ジルコニウムは、観察されなかったこことが認められ、代わりに、ZrO2に対して予測された範囲内に、高結合エネルギー化学作用のみ、見つかった。これらの観察は、文献における、高温でのZrO2化学作用の理解によって裏付けられる。ZrO2は、1500℃以上の温度でさえも、H2によって還元されないことが知られている。
【0082】
加えて、ZrO2の炭素熱還元は、Zr金属をもたらさず、代わりに、ZrCの形成をもたらし、Sacksら(Journal of Materials Science 2004,39,6057−6066、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、Ar下のナノ結晶性ZrO2からZrCへの炭素熱還元さえ、本研究で使用される成長温度より遥かに高い、約1200℃の温度のみで開始することを報告している。バルクZrO2−Al2O3およびZrO2−SiO2の位相図を考慮すると、支持体との有意な反応は、CNTのCVD成長のための条件において生じないことが予測される。ZrO2−SiO2系の位相図は、1000℃未満において、単斜晶型ZrO2とジルコン(ZrSiO4)が、好ましい位相構成であることを示す。しかしながら、ジルコンが、CVD成長条件の間、形成される場合、XPSスペクトルは、Si 2p領域内のSiO2に対する信号にわたって重畳された付加的シリコン化学作用、ならびに〜1eVのより高い結合エネルギーへのZr 3d領域における特異的シフトを示すであろうが、そのいずれも認められなかった。恐らく、CNT成長の本質的還元環境では、酸化物間のそのような反応は、阻害されるであろう。同様に、ZrO2−Al2O3系では、別個の酸化物の混合物のみ(すなわち、相転移はない)、750℃および900℃(最大1150℃)の両方で予測される。
【0083】
ジルコニア自体が、CNT成長ナノポジタとしての役割を果たすという仮説を立証するために、ZrO2からのCNTの低圧CVD成長の原位置XPS分析を行った。図4A−4Bは、本実験からのSi基板上のZrO2から成長されたCNTのSEM画像を示す。CNTの実質的収率は、SEMによって、XPS分析面積内で観察され、基板表面上のジルコニアの板状晶上で容易に同定可能であって。図5は、水素中で加熱後、アセチレンおよびH2による成長の間、ならびにCVD後の真空下で冷却の間の本試料からのXPSスペクトルのC 1sおよびZr 3d領域の進行を示す。水素(図示せず)の導入に先立って、最初に、表面上の電子求引性酸塩化物およびアルコキシドの存在に対応する、182.6eVを中心とするZrの高結合エネルギー化学作用が観察された。水素の導入に応じて、Zr 3d信号は、ジルコニアの形成に対応する、低結合エネルギーにシフトした。ジルコニアの2相に対応する、2つの対のスピン軌道分裂ピークは、182.5eVにおけるZr 3d5/2ピークを伴う相と、181.8eVにおけるZr 3d5/2ピークを伴う相に、分解することができる。低結合エネルギー信号は、ジルコニアの酸素欠乏相に起因する一方、高結合エネルギー信号は、化学量論的ZrO2に起因する。
【0084】
したがって、H2の導入は、蒸着されたジルコニア膜をZr金属に還元しておらず、代わりに、残留塩化物およびアルコキシド基を取り除き、酸化物相をもたらすことが分かった。アセチレンの後続導入は、帯電効果に起因する付加的一時的低位高結合エネルギー信号を引き起こした(同様に図示せず)。本信号は、消失し、ジルコニアの2相に対応する信号のみ、CVD成長全体を通して残存した。アセチレン流への水素の添加に応じて、CNTの核生成と、可能性として、他の炭素質構造の形成とに起因し得る、C 1sピークが出現した。本ピークは、283.4eVに位置する低結合エネルギー成分とともに、他のナノポジタからCNT成長に観察されるいくつかの成分に分解された。本ピークは、炭化ジルコニウムのC 1sピーク(282eV)に対して予測された位置と整合しなかった。いかなる理論によっても拘束されることを所望するわけではないが、これは、蒸着された有機物と支持体との相互作用によって生じたものであろう。最後に、冷却に応じて、成長の間に観察されたジルコニアの2相のみ、帯電効果に起因する高結合エネルギー信号とともに、残留した。CNTのCVD成長前、間、または後のいずれの時点においても、金属ジルコニウム(結合エネルギー178.6−179.6eV)または炭化ジルコニウム(結合エネルギー179−181.1eV)は、Zr 3d領域内で観察されなかった。したがって、CNT成長ナノポジタは、酸化物ジルコニアであったと結論付けられ得る。アルミナで塗膜されたジルコニアが含まれていないSi基板上のヌルCNT成長は、10−nmアルミナ支持体層が、ナノポジタとしての役割を果たしていなかったことを示唆する。
【0085】
注目すべきこととして、Si基板の原位置XPSスペクトルにおけるC 1sピークは、アセチレンの導入直後に表出しなかったが、水素が同様に添加された後のみに表出した。いかなる理論によっても拘束されることを所望するわけではないが、水素の導入は、次いで、ジルコニアによって、CNTおよび/または他の固体形態の炭素中に吸収され、形質転換され得る、他の有機前駆体中へのアセチレンの形質転換を補助し得る。恐らく、FeおよびNi等の一般的金属CNTナノポジタは、本炭化水素消化プロセスに直接触媒作用を及ぼすことが可能であって、これは、ジルコニアがCNTの低面積収率をもたらす理由を説明し得る。
【0086】
我々は、時間分解原位置XPSが、その瞬間におけるCNT成長の間のナノポジタの化学状態に関する正確な状態を提供することに留意する。それでもなお、成長の間の活性種が、少量として存在する種の検出限界によって、または取得時間より高速な時間スケールに基づく、種の状態短遷移変化のため、XPSによって見落とされる場合があるかどうかに関して疑問が生じる。しかしながら、そのような短および/または小原子分率プロセスが、発生し、金属または炭化物系Zrのトレースをもたらす場合、これらのトレースは、還元されたZrは、真空下、再酸化せず、検出可能のまま残るだけではなく、蓄積し、経時的により検出可能となるはずであるため、分析におけるある時点において検出可能であっただろうことが議論され得る。
【0087】
Raman分光法を、原位置XPS成長のための使用されるSi基板上で行い、成長から生じたCNTのタイプおよび質を査定した。130乃至280cm−1のラジアルブリージングモードが、XPS分析面積内で観察され、SWNTの存在を示した(図6参照)。Si/SiO2基板上の個々のナノチューブに対して、レーザと共鳴状態にあるナノチューブの直径は、dt[nm]=233cm−1/ωRBMによって近似することができる。図6に示されるスペクトルの場合、1.67nm、1.18nm、および0.84nmのナノチューブが観察された。低D対G比は、高品質低欠損CNTの存在を示唆した。ジルコニアからのRamanピークは、CNTが最も良好に分解された炭素Ramanピークと比較して、容易に観察可能ではなかった。
【0088】
原位置XPS分析の間、ジルコニアナノ粒子から成長されたCNTを、TEMグリッド(C膜を伴うCu)上に移動し、XPS測定が、ナノスケールにおける粒子を表し、ジルコニアナノ粒子が、CNT成長に寄与する、ナノポジタでったことを立証した。図7A−7Cは、ジルコニアナノ粒子に取着されたCNTを示すTEM画像を含む。観察された粒子が、ジルコニウム金属ではなく、ジルコニアであったことをさらに証明するために、走査型透過電子顕微鏡法(STEM)を行い、点局在エネルギー分散型X線分析装置(EDAX)を使用して、ナノポジタの元素組成物を特性評価した。EDAXは、ナノポジタナノ粒子に対して、約30%Zrおよび約70%Oの化学量論を示し(図7D参照)、ZrO2の化学量論を示唆し、さらに、原位置および実験施設内XPSならびにXRD特性評価が、ナノスケールを表したことを示唆した。複数のCNTに取着した複数の粒子は、類似化学量論を呈した。測定された酸素対ジルコニウムの比は、±5%以内で、粒子間で一致しており、着目粒子から収集されたEDAXスペクトルによって証明されるように、グリッドまたはグリッド上の他の構造に起因していなかった。
【0089】
高温での炭素の存在下のナノ粒子ジルコニアの相互作用をより理解するために、ジルコニアナノ粒子ドープ炭素エアロゲルの研究を行った。ナノ粒子ドープ炭素エアロゲル系は、材料のナノ粒子と炭素との相互作用を研究するためのいくつかの効果をもたらす。第1に、広範囲に及ぶナノ粒子組成物に対して、非晶質炭素マトリクス内に分散されるバルク量のナノ粒子の合成を可能にする。第2に、エアロゲル材料は、巨視的3次元モノリスであるため、表面結合粒子のための使用が困難である可能性がある、XRDのようなバルク特性評価技法、ならびにXPSのような表面分析技法の両方を、着目ナノ粒子を特性評価するために使用することができる。さらに、材料は、広範囲に及ぶ温度にわたって、熱分解することができ、ナノ粒子−炭素相互作用への温度依存性の調査を可能にする。
【0090】
エアロゲルは、金属ドープ炭素エアロゲルを調製するために使用される、イオン交換技法の適応バージョンを使用して、調製した。イオン交換(前述のSteinerらに説明される)を通して調製された金属ドープ炭素エアロゲルは、一般的には、金属含有ナノ粒子(「ブルーベリー」)が、低密度メソ多孔性非晶質炭素骨格(「マフィン」)全体を通して分散される、「ブルーベリーマフィン」形態を呈する。FeおよびCuドープ炭素エアロゲルの場合、本炭素骨格は、熱分解温度最大1050℃に対して、非ドープ炭素エアロゲルと、本質的に、同一である。熱分解の間、エアロゲルのレソルシノールホルムアルデヒド型ポリマー骨格は、脱水され、非晶質炭素をもたらすことができる。同時に、ポリマー骨格に取着された金属イオンは、還元され、ある直径の範囲を有し、かつ金属に応じて、晶子相および表面組成物の範囲を有する金属含有ナノ粒子のスペクトルに結晶粒を粗大化することができる。しかしながら、同様に調製されたNiおよびCoドープ炭素エアロゲルでは、その他の点では非晶質炭素マトリクスである中に、金属ナノ粒子を囲繞する黒鉛ナノリボンを観察することができる。これらの材料では、両方とも、炭素のための溶媒である、NiおよびCoナノ粒子は、黒鉛ナノリボンおよび他の黒鉛ナノ構造への非晶質炭素の固体状態形質転換に触媒作用を及ぼすことができる。
【0091】
金属ドープ炭素エアロゲルを調製するために使用される同一イオン交換プロセスを、イオン交換塩としてZrOCl2のみ使用して、ZrO2ドープ炭素エアロゲルを調製するために使用した。Feドープ炭素エアロゲル系からの結果に基づいて、最初、金属ジルコニウムおよび/または炭化ジルコニウムナノ粒子が混入された非晶質炭素構造を伴う、炭素エアロゲルが、予測された。しかしながら、CNT成長の間の酸素欠乏ジルコニアを超越した、ジルコニルの非還元性の我々の観察と一致して、ジルコニア(ZrO2)ナノ粒子が混入された炭素エアロゲルが、代わりに、もたらされた。ZrO2ドープ炭素エアロゲル(図8参照)のXRDは、これらの材料中に、ジルコニアの晶子の存在を示す。回折パターンは、単斜晶型バデレアイトジルコニア(化学量論ZrO2を伴う)にわたって重畳されたジルコニア(ZrO1.688−ZrO1.740の範囲に及ぶ化学量論を有する)の酸素欠乏相に相整合した。観察された広いピーク幅は、平均ジルコニア晶子サイズが、ナノメートル範囲にあることを示し、Scherrerの式d=0.9λ/Bcos(θ)を使用して、ピーク半値全幅値を晶子サイズと相関させ、平均晶子サイズ約7nmが求められた。ZrまたはZrCと関連付けられたピークは、観察されなかった。加えて、約21°2−θを中心とした広いピークは、エアロゲルの炭素成分と関連付けられ、炭素エアロゲルの典型である。
【0092】
ZrO2ドープ炭素エアロゲルモノリスの外側および内側表面の実験施設内XPS分析(図9参照)は、800℃および1050℃の両方で熱分解された試料に対して、Zr 3d領域において、2つの対のスピン軌道分裂ピークを示し、2つのジルコニア表面化学作用の存在を示した。800℃で熱分解された試料では、183.4eVにおけるZr 3d5/2ピークは、ZrO2に対する結合エネルギーと相関する一方、182.3eVの結合エネルギーを伴うZr 3d5/2ピークは、化学量論的ZrO2より若干低い結合エネルギーに降下し、恐らく、酸素結合化学作用、ZrO2−xである。低結合エネルギー化学作用は、800℃では、有力表面化学作用であるが、1050℃では、可能性として、アニーリングによって、化学量論的ZrO2に起因する高結合エネルギー化学作用に移行する。低結合エネルギー化学作用はまた、1050℃において、181.9eVにシフトし、さらなる酸素欠乏を示唆する。いかなる理論によっても拘束されることを所望するわけではないが、これは、化学量論的ZrO2を形成するための酸素の移動によるものであろう。Zr金属(結合エネルギー178.6−179.6eV)およびZrC(結合エネルギー178−179eV)は、100回の掃引後、観察されなかった。O 1s領域は、ZrO2内の酸素の結合エネルギーと一致する、530eVおよび531eVにおける2つと、同様に、非ドープ炭素エアロゲル内で見られ、エアロゲル骨格上の酸化表面炭素に起因した、532.8−532.9eVにおける1つと、を含む、酸素のいくつかの化学作用の存在を示した。2つの非炭素エアロゲル酸素化学作用および2つのジルコニア化学作用の存在は、ジルコニアの2つの相の存在を示す、XRDパターン相整合を支持するが、恐らく、これらの試料中にある準化学量論的表面酸化物の混成物も存在する。さらに、観察された低結合エネルギージルコニア化学作用は、XRDによる酸素欠乏相の観察と一致する。ZrO2ドープ炭素エアロゲルおよび非ドープ炭素エアロゲルの両方に対するC 1s領域は、本質的に、同等であって、C 1s領域(C 1s 282 eV)またはZr 3d領域(179−181.1eV)のいずれかにおいて、ZrCに起因するピークは、観察されない。
【0093】
ZrO2ドープ炭素エアロゲルのXRDおよび実験施設内XPSから導出された、ジルコニアの表面ならびに結晶学的組成物に関する観察は、ナノ粒子ZrO2が、最大1050℃の温度において、炭素熱還元されなかったことを示し、CNTのCVD成長の間の原位置XPSからの我々の観察を補強する。さらに、これらの酸化物ナノ粒子は、空気に曝露されると酸化される熱分解の間に形成される、例えば、ZrまたはZrCをもたらす可能性はなかった。調製された他の金属ドープ炭素エアロゲル(例えば、Cu、Fe、Ta、Re、およびW)は、空気曝露から生じる酸化物表面化学作用に加え、空気曝露後しばらく(数ヶ月)、そのXRDパターンにおいて、金属晶子と、そのXPSスペクトルにおいて、検出可能金属表面化学作用とを呈した。Zrは、これらの金属のうちのいくつか、特に、Feより酸化を被りにくく、したがって、還元されたZrが、熱分解の間に形成される場合、空気曝露後、XRDおよび実験施設内XPSの一方または両方によって、検出可能であろう。
【0094】
図10に示される、TEM下のZrO2ドープ炭素エアロゲルの調査は、ZrO2ナノ粒子をカプセル化するフラーレンケージ構造の存在を示した。これらの種類の構造は、非ドープ炭素エアロゲルにおいて観察されない。励起波長514nmでのZrO2ドープ炭素エアロゲルのRaman分光法は、非ドープ炭素エアロゲルのものと類似する広D帯および広G帯を示した。これは、エアロゲル内のフラーレン構造が、エアロゲル骨格全体を表さず、むしろ、実験施設内XPSによって決定されるように、エアロゲル構造の約2.9%のみを含む、エアロゲル内のZrO2ナノ粒子の周囲に局在することを示唆する。これらの観察は、ジルコニアが非晶質炭素を黒鉛化することができるという結論を支持する。
【0095】
次いで、ZrO2ドープ炭素エアロゲルを、700−750℃でエチレン原料を使用した熱CVDを介して、CNTの成長を増加させる活性に対して査定した。CNTの絡み合った束が、図11A−11Bに示されるように、ZrO2ドープ炭素エアロゲルモノリスの外部表面を被覆するように観察された。CVD処理されたZrO2ドープ炭素エアロゲルのTEMは、観察された構造が、実際、MWNTであったことを立証した(図11B)。MWNTは、TEM下、炭素エアロゲル骨格内のジルコニアナノ粒子から延在するように認められた。同一CVD成長条件での処理後、非ドープ炭素エアロゲル上に、CNTは、観察されなかった。これらの観察は、再度、ジルコニア粒子が、CNT成長ナノポジタとしての役割を果たしていたことを示唆した。ZrO2ドープ炭素エアロゲルのCVD後XPS分析は、CNT成長による、検出可能なジルコニウム表面化学作用の変化を示さず、再度、ジルコニアが、CNT成長温度において、水素または炭素によって還元されないであろうという予測と一致する。CVD成長条件の間のジルコニアドープ炭素エアロゲルの原位置XPS分析はさらに、あらゆる金属ジルコニウムまたは炭化ジルコニウムの不在を立証した。したがって、炭素エアロゲル中のジルコニアナノ粒子は、CVD成長プロセスによって、または囲繞非晶質炭素による炭素熱還元から、還元されず、酸化物状態におけるCNTナノポジタとしての役割を果たしたと結論付けられるであろう。1050℃で熱分解されたZrO2ドープ炭素エアロゲル上にもたらされたCNTは、800℃で熱分解されたエアロゲル上より著しく少なかった。本所見は、800℃で熱分解されたエアロゲル中により見られる酸素欠乏ジルコニアが、CNT成長を可能にするために好ましくあり得ることを示唆する。
【0096】
ZrO2ドープ炭素エアロゲルからのCNTの成長後、別の炭素基板である、炭素繊維上のジルコニアを使用したCVD成長を行った。繊維束を、2−プロパノール溶液中、飽和ZrOCl2によって浸漬塗膜し、H2下、成長温度に加熱し、ZrO2ドープ炭素エアロゲルに対して行われたように、原料ガスとして、エチレンを伴うCVDを使用して、処理した。CNTの成長が、図12A−12Bに示されるように、CVD後、繊維上で観察された。炭素繊維への孔食または他の損傷は、観察されなかった(CNTが鉄塩の溶液によって浸漬塗膜された炭素繊維上に成長される場合のように)。本性能は、ジルコニアが、ナノ構造成長温度(例えば、炭素ナノチューブ成長のための温度)において、金属と反応する、基板(例えば、炭素)を使用する時、ナノ構造成長のためのナノポジタとして使用されることができることを示唆する。
【0097】
いかなる特定の理論に拘束されることを所望するわけではないが、バルクZrO2の高溶融点は、ナノスケールZrO2が、粒子サイズ効果を要因としており込んだ後でさえ、本明細書で使用されるCVD成長温度において、融解状態に存在することを起こりにくくする。加えて、バルクZrO2中のCの低拡散性を考慮すると、ZrO2によるCNTおよび黒鉛ナノシェルの成長の成功は、表面媒介性機序によって、CNT成長が生じることを示唆する。いかなる特定の理論に拘束されることを所望するわけではないが、鉄のような酸化ジルコニウムは、ナノチューブ/ナノシェル構造のアセンブリを補助する、その表面上の有機分子の反応に触媒作用を及ぼし得るが、酸化ジルコニウムは、Feおよび他の金属と異なる中間物および結合構成を伴い得る。
【0098】
(実施例2)
本実施例は、事前に加工された単分散高純度ジルコニアナノ粒子ナノポジタの生産およびジルコニアナノ粒子ナノポジタからの炭素ナノチューブ(CNT)の成長について、説明する。
【0099】
(ナノ粒子合成)
単分散ジルコニアナノ粒子を、本明細書のいずれかに説明されたJooらの方法に従って調製した(Journal of the American Chemical Society,2003,125,6553−6557参照)。概説すると、ジルコニウムイソプロポキシドプロパノール錯体および四塩化ジルコニウムを、添加して、再蒸留し、酸化トリオクチルホスフィン(TOPO)を60℃で脱気した。反応混合物を、340℃まで徐々に上昇させ、激しく撹拌しながら、本温度で2時間保持した。次いで、反応混合物を60℃まで冷却し、乾燥させ、脱気されたアセトンを添加し、結果として得られたジルコニアナノ粒子を沈殿させた。本技法を通して調製され、CNT成長のために使用されるナノ粒子のHRTEM特性評価は、平均粒子直径約4乃至5nmを伴う、非常に均一な粒子サイズ分布を示した。図13は、CNT成長に先立って、CNTを成長させるために使用される、ジルコニアナノ粒子のHRTEM画像を示す。乾燥し、沈殿したジルコニアナノ粒子を、2−プロパノール、n−ペンタン、またはトルーエンに添加し、種々の濃度の溶液を生産し(0.005mg/mL、0.05mg/mL、0.5mg/mL、および5mg/mL)、溶液を撹拌した。溶液を、3分間、超音波で分解し、粒子をより拡散させた。次いで、結果として得られた溶液を、200−nm酸化ケイ素を伴うシリコンウエハまたは200−nm酸化ケイ素支持体上の10−nm酸化アルミニウムに塗布した。
【0100】
(基板へのナノ粒子の塗布)
ナノ粒子の溶液を、液滴流延、スピン塗膜、または浸漬塗膜を通して、塗布した。液滴流延の場合、1−2滴の溶液を、長いガラスのPasteurピペットから、ウエハ表面に滴下し、空気中で蒸発乾燥させるか、または低速N2流の補助の下、急速乾燥させるかのいずれかを行った。スピン塗膜の場合、標的ウエハを、2500rpmまでスピンさせ、1−2滴の溶液を、Pasteurピペットから、ウエハ表面に滴下した。ウエハを、溶液の塗布後、約1分間、スピンさせた。浸漬塗膜試料、ウエハを所望の溶液中に挿入し、1秒間にわたって待避させ、N2流で乾燥させた。
【0101】
ナノ粒子膜を、Langmuir−Blodgett方法を使用して調製した。概説すると、トルーエン中、0.5mg/mL 4−nmジルコニアナノ粒子の溶液をトルーエンが水の表面全体を被覆するように、ビーカー内の水の層上にピペットで採取した。次いで、低速N2流を使用して制御可能にトルーエンを蒸発させ、疎水性ジルコニアナノ粒子を膜中に沈殿させた。次いで、膜下のウエハを掬い取り、ウエハ表面上に膜が留保するように、溶液からウエハをゆっくりと引き上げることによって、浮遊膜をシリコンウエハ上に捕捉した。次いで、膜を、基板表面に接着した。次いで、膜塗膜ウエハをN2流で乾燥させた。
【0102】
(炭素ナノチューブのCVD成長)
CNTのCVD成長を種々の条件下において行った。一組の条件下において、1”石英プロセスチューブ内において、H2およびHe流下において、試料を750℃まで加熱し、その時点で、30分間、C2H4流を添加した。次いで、C2H4およびH2を除去し、試料を周囲条件まで冷却した。別の一組の条件では、C2H2を原料として使用した。さらに別の一組の条件では、試料を900℃まで加熱し、CH4を原料として使用した。さらに別の一組の条件では、試料を10−2torrに真空化された真空チャンバの内側に留置し、黒鉛基板ヒータによって、〜650℃まで加熱し、C2H2を原料として使用した。すべての場合において、CNT成長が、SEM、TEM、AFM、およびRaman分光法によって立証されるように、CVD処理後、基板上で観察された。
【0103】
図14A−14Bは、2−プロパノールから液滴流延されたジルコニアナノ粒子ナノポジタによって成長され、C2H4を有する大気CVDによって処理されたCNTのSEM画像を示す。図15は、ペンタンから液滴流延されたジルコニアナノ粒子ナノポジタによって成長され、同一条件で処理された、CNTのSEM画像を示す。類似結果が、他の溶媒、ナノ粒子蒸着方法、およびCVD条件に対して観察された。広範囲に及ぶCVD条件下において、種々のCVDツールを使用した厳格な試料調製条件による高純度かつ良好な特性のジルコニアナノ粒子のCNTの成長の成功は、アプローチの有効性および多用途性を立証する。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態を本明細書で説明および図示したが、当業者であれば、本明細書で説明される機能を果たし、および/または、結果および/または利点のうちの1つ以上を得るための種々の他の手段および/または構造を容易に想定し、そのような変化例および/または修正のそれぞれは、本発明の範囲内であると見なされる。より一般的には、当業者であれば、本明細書で説明される全てのパラメータ、寸法、材料、および構成は、例示的となるように意図されており、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は、本発明の教示が使用される、1つまたは複数の具体的用途に依存することを、容易に理解するであろう。当業者であれば、日常的にすぎない実験を使用して、本明細書で説明される本発明の具体的実施形態の多くの同等物を認識するか、または確認することができるであろう。したがって、先述の実施形態は、一例のみとして提示され、添付の請求項およびその同等物の範囲内で、具体的に説明および請求される以外の方法で本発明が実践されてもよいことを理解されたい。本発明は、本明細書で説明される、各個別特徴、システム、部品、材料、キット、および/または方法を対象とする。加えて、そのような特徴、システム、部品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾していなければ、2つ以上のそのような特徴、システム、部品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせが、本発明の範囲内に含まれる。
【0105】
本明細書および本請求項で使用されるような、「1つの」という不定冠詞は、明確にそれとは反対に示されない限り、「少なくとも1つの」を意味すると理解されたい。
【0106】
本明細書および本請求項で使用されるような、「および/または」という語句は、そのように結合される要素、すなわち、ある場合では接合的に存在し、他の場合では離接的に存在する要素の「いずれか一方または両方」を意味すると理解されたい。明確にそれとは反対に示されない限り、「および/または」という節によって具体的に識別される要素と関係するか、無関係であるかにかかわらず、それらの具体的に識別される要素以外に、他の要素が随意で存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」の参照は、「〜を含む」等の非制約的用語と併せて使用されると、一実施形態では、BのないA(随意でB以外の要素を含む)を指し、別の実施形態では、AのないB(随意でA以外の要素を含む)を指し、さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(随意で他の要素を含む)等を指す。
【0107】
本明細書および本請求項で使用されるような、「または」は、上記で定義されるような「および/または」と同じ意味を有すると理解されたい。例えば、一覧中のアイテムを分離する時に、「または」あるいは「および/または」は、包括的であるとして解釈されるものであり、すなわち、少なくとも1つを含むが、多数の要素または要素の一覧のうちの2つ以上と、随意で、付加的な非記載アイテムも含む。「〜のうちの1つのみ」または「〜のうちの正確に1つ」等の、明確にそれとは反対に示される用語のみ、または、請求項で使用される時に、「〜から成る」が、多数の要素または要素の一覧のうちの正確に1つの包含を指す。一般に、本明細書で使用されるような「または」という用語は、「いずれか一方」、「〜のうちの1つ」、「〜のうちの1つのみ」、または「〜のうちの正確に1つ」等の、排他性の用語が先行すると、排他的代替物(すなわち、「一方または他方であるが、両方ではない」)としてのみ解釈されるものである。「本質的に〜から成る」は、請求項で使用されると、特許法の分野で使用されるような、その通常の意味を有するものである。
【0108】
本明細書および本請求項で使用されるような、1つ以上の要素の一覧を参照した「少なくとも1つ」という語句は、要素の一覧中の要素のうちのいずれか1つ以上から選択される、少なくとも1つの要素を意味するが、要素の一覧内で具体的に記載される、あらゆる要素のうちの少なくとも1つを必ずしも含むとは限らず、要素の一覧中の要素の任意の組み合わせを除外しないことを理解されたい。この定義はまた、「少なくとも1つ」という語句が指す要素の一覧内で具体的に識別される要素と関係するか、無関係であるかにかかわらず、それらの具体的に識別される要素以外の要素が随意で存在してもよいことも許容する。したがって、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または同等に、「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または同等に、「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bが存在しない、随意で2つ以上を含む、少なくとも1つのA(随意でB以外の要素を含む)を指し、別の実施形態では、Aが存在しない、随意で2つ以上を含む、少なくとも1つのB(随意でA以外の要素を含む)を指し、さらに別の実施形態では、随意で2つ以上を含む、少なくとも1つのA、および、随意で2つ以上を含む、少なくとも1つのB(随意で他の要素を含む)等を指すことができる。
【0109】
請求項ならびに上記の明細書では、「〜を含む」、「〜を含む」、「〜を持つ」、「〜を有する」、「〜を含有する」、「〜を伴う」、「〜を担持する」、および同等物等の、全ての移行句は、非制約的である、すなわち、「〜を含むがそれらに限定されない」を意味すると理解されたい。「〜から成る」および「本質的に〜から成る」という移行句のみが、United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures,Section 2111.03に規定されているように、それぞれ、制約的または半制約的移行句となるものである。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、Steinerらによる米国仮特許出願第61/230,267号(名称「Systems and Methods Related to the Formation of Carbon−Based Nanostructures」、2009年7月31日出願)の利益を主張し、この出願は、その全体が全ての目的に対して本明細書において参照により援用される。
【0002】
(発明の分野)
概して、炭素系ナノ構造の形成のためのシステムおよび方法について説明される。
【背景技術】
【0003】
炭素系ナノ構造の生産は、潜在的に、新たな電子機器および構造材料の生産における重要なツールとしての役割を果たし得る。最近の研究は、例えば、化学気相蒸着(CVD)および他の技法を通した炭素ナノチューブ(CNT)の生産に焦点が当てられている。ナノ構造を形成すべき適切な材料の選択は、炭素ナノ構造の生産のためのプロセスを設計する際に重要となる。しかしながら、多くの一般的に使用される材料は、それらと関連付けられる1つ以上の不利点を有する。いくつかの材料は、蒸着される基板と反応し得、両方とも、経時的に基板を劣化させ、ナノ構造成長を低減または排除する可能性がある。その反応性のため、Fe、Co、およびNi等の一般的に使用されるナノ構造触媒は、多くの場合、CNT成長を可能にするために、安定化または隔離されなければならず、それによって、使用され得る用途を限定する。
【0004】
したがって、改良された合成物および方法が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概して、炭素系ナノ構造の形成のためのシステムおよび方法について、説明される。本発明の主題は、一部の場合には、相互関連製品、特定の問題に対する代替解決法、および/または複数の異なる1つ以上のシステムおよび/または物品の使用に関与する。
【0006】
一態様では、炭素ナノチューブを成長させる方法について、説明される。方法は、一式の実施形態では、ナノポジタ(nanopositor)上に炭素ナノチューブの形成を生じさせる条件下において、炭素ナノチューブ前駆体を酸化ジルコニウムを含むナノポジタに曝露するステップを含むことができる。
【0007】
いくつかの事例では、方法は、ナノポジタ上に炭素ナノチューブの形成を生じさせる条件下において、炭素ナノチューブ前駆体を非ゼロ酸化状態(non−zero oxidation)の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含むナノポジタに曝露するステップを含むことができる。一部の場合には、ナノポジタは、ナノポジタと異なる材料を含む成長基板の一部と接触することができる。いくつかの実施形態では、非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、炭素ナノチューブの形成の間、ゼロ酸化状態(zero oxidation)に還元される。一部の場合には、非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、炭素ナノチューブの形成の間、炭化物を形成する。
【0008】
一部の場合には、方法は、ナノポジタ上に炭素ナノチューブの形成を生じさせる条件下において、炭素ナノチューブ前駆体を非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含むナノポジタに曝露するステップを含むことができ、炭素ナノチューブの形成は、ナノポジタと接触する成長基板の不在下において、生じる。いくつかの実施形態では、非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、ナノ構造の形成の間に、ゼロ酸化状態に還元され、非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、ナノ構造の形成の間に、炭化物を形成する。
【0009】
一式の実施形態では、方法は、ナノポジタ上に炭素ナノチューブの形成を生じさせる条件下において、炭素ナノチューブ前駆体を非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含むナノポジタに曝露するステップを含むことができ、非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、ナノ構造の形成の間、ゼロ酸化状態に還元される。一部の場合には、非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、ナノ構造の形成の間、炭化物を形成する。
【0010】
一態様では、炭素系ナノ構造を成長させる方法について、説明される。方法は、いくつかの事例では、炭素系ナノ構造の形成を生じさせる条件下において、固体炭素系ナノ構造前駆体を非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含むナノポジタに曝露するステップを含むことができる。
【0011】
いくつかの事例では、方法は、炭素系ナノ構造の形成を生じさせる条件下において、炭素系ナノ構造前駆体を非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含むナノポジタに曝露するステップを含むことができ、ナノポジタは、成長基板と接触する。一部の場合には、ナノポジタの約50原子%未満は、成長基板中に拡散する、またはそれと化学反応し、成長基板は、炭素ナノ構造の形成の間、ナノポジタの約50原子%未満中に拡散する。
【0012】
本発明の他の利点および新規特徴は、添付図面と併せて考慮することによって、本発明の種々の非限定的実施形態の以下の発明を実施するための形態から明白となるであろう。本明細書および参照することによって組み込まれる文書が、矛盾および/または一貫性のない開示を含む場合、本明細書が優先するものとする。参照することによって組み込まれる2つ以上の文書が、相互に矛盾および/または一貫性のない開示を含む場合、相互に、より最新の発効日を有する文書が優先するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
非限定的本発明の実施形態は、付随の図面を参照して、一例として、説明されるが、図面は、概略であって、正確な縮尺で描かれることを意図するものではない。図中、例示される各同等または略同等成分は、一般的には、単一数字によって表される。明確にする目的で、当業者が本発明を理解できるようにするために、図示が必要でない場合は、全ての成分が全ての図で標識化されているわけではなく、本発明の各実施形態の全ての成分が示されているわけでもない。
【図1A】図1A−1Bは、一式の実施形態による、成長基板が採用される、ナノ構造成長の概略図を含む。
【図1B】図1A−1Bは、一式の実施形態による、成長基板が採用される、ナノ構造成長の概略図を含む。
【図2】図2は、成長成長基板の不在下のナノ構造の例示的概略図を含む。
【図3】図3A−3Bは、一式の実施形態による、(A)750℃で、エチレン原料を使用した酸窒化ケイ素支持体上にジルコニアナノポジタを使用して成長された、整列されたCNTの束のSEMと、(B)ジルコニア粒子群から延在する大径MWNTの拡大図と、を含む。
【図4】図4A−4Bは、一式の実施形態による、(A)CVDの間、XPSによって原位置で分析された、10nmアルミナ支持体を伴う、Siウエハ上で、ジルコニアを使用して成長されたCNTのSEM画像と、(B)原位置XPS分析の間、シリコンウエハ上のジルコニアの板状晶上に成長されたCNTとを含む。
【図5】図5は、一式の実施形態による、シリコン基板上のジルコニアからのCNTの成長の間のC 1sおよびZr 3d領域の累進XPS測定を含む。
【図6】図6A−6Bは、一式の実施形態による、(A)原位置XPS分析の間、CVDによって成長された炭素ナノチューブからのラマンスペクトルと、(B)約80乃至約360cm−1の図6Aにおけるスペクトルの拡大図と、を含む。
【図7−1】図7A−7Dは、一式の実施形態による、(A)原位置XPS成長実験からのジルコニアナノポジタナノ粒子に取着したCNTの例示的TEM画像と、(B)ジルコニアドープ炭素エアロゲルから成長されたジルコニアナノポジタナノ粒子に取着したCNTの例示的TEM画像と、(C)原位置XPS実験の間、成長されたジルコニアナノ粒子から延在するCNTの例示的走査TEM(STEM)画像と、(D)〜ZrO2の粒子組成物を立証する原位置XPS実験からのCNTに取着したナノ粒子の例示的点局在EDAXスペクトル(円)とを含む。
【図7−2】図7A−7Dは、一式の実施形態による、(A)原位置XPS成長実験からのジルコニアナノポジタナノ粒子に取着したCNTの例示的TEM画像と、(B)ジルコニアドープ炭素エアロゲルから成長されたジルコニアナノポジタナノ粒子に取着したCNTの例示的TEM画像と、(C)原位置XPS実験の間、成長されたジルコニアナノ粒子から延在するCNTの例示的走査TEM(STEM)画像と、(D)〜ZrO2の粒子組成物を立証する原位置XPS実験からのCNTに取着したナノ粒子の例示的点局在EDAXスペクトル(円)とを含む。
【図8】図8は、一式の実施形態による、バデレアイトジルコニアに対応する可能性のある位相整合を伴うジルコニアドープ炭素エアロゲル(灰色線)およびジルコニアの酸素欠乏相(黒色線)の粉末XRDパターンを含む。
【図9】図9は、800℃(上列)と、1050℃(中央列)で熱分解されたジルコニアドープ炭素エアロゲルと、1050℃において熱分解された非ドープ炭素エアロゲル(下列)との例示的XPSスペクトルを含む。
【図10】図10は、一式の実施形態による、800℃で熱分解されたジルコニアドープ炭素エアロゲル内にジルコニアナノ粒子を封入する、フラーレンケージ構造のSEMを含む。
【図11】図11A−11Bは、一式の実施形態による、(A)CVD後のジルコニアドープ炭素エアロゲルの表面から突出する、多層炭素ナノチューブのSEM画像と、(B)ジルコニアドープ炭素エアロゲルに埋入されたジルコニアナノ粒子から出現する、MWNTのTEM画像(左下領域内の円形粒子の質量)(スケールバー=20nm)と、を含む。
【図12】図12A−12Bは、一式の実施形態による、ZrOCl2溶液中に浸漬塗膜後、H2還元によって生産された、ジルコニアナノ粒子によって塗膜された炭素繊維から延在する、長いCNT、CNT束、および大径繊維のSEM画像を含む。
【図13】図13は、いくつかの実施形態による、ジルコニアナノ粒子ナノポジタの例示的HRTEM画像を含む。
【図14】図14A−14Bは、いくつかの実施形態による、ジルコニアナノ粒子ナノポジタからの炭素ナノチューブ成長を示す、例示的SEM画像を含む。
【図15】図15は、一式の実施形態による、ジルコニアナノ粒子ナノポジタからの炭素ナノチューブ成長を示す、例示的SEM画像を含む。
【発明を実施するための形態】
【0014】
概して、炭素系ナノ構造の形成のためのシステムおよび方法について説明される。いくつかの実施形態では、ナノ構造は、ナノポジタ上に形成され得る。ナノポジタは、一部の実施形態において、非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、ナノポジタは、金属酸化物、半金属酸化物、金属カルコゲニド、半金属カルコゲニド等を含んでもよい。炭素系ナノ構造は、成長基板の存在および不存在の場合に、ナノポジタ上に炭素系ナノ構造の形成を生じさせるように選択される一組の条件にナノポジタを曝露することによって成長され得る。いくつかの実施形態では、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子は、炭素系ナノ構造の形成の間に、ゼロ酸化状態に還元されない。一部の場合には、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子は、炭素系ナノ構造の形成の間に、炭化物を形成しない。
【0015】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるシステムおよび方法は、特に、炭素ナノチューブを形成することに好適であり得る。いくつかの事例では、条件は、炭素ナノチューブが選択的に生産されるように選択される。多くの場合、グラフェン等の他の炭素系ナノ構造の生産につながる条件(例えば、温度、圧力等)は、ナノチューブの生産を成功させるために使用することはできない。一部の場合には、炭素ナノチューブは、グラフェンが成長するであろう従来のナノポジタ上に成長しないであろう。
【0016】
一式の実施形態では、本明細書に説明されるナノポジタは、他の処理条件(例えば、温度、圧力等)と組み合わせて、固体前駆体から炭素系ナノ構造を使用するために使用されることができる。従来、炭素系ナノ構造は、非固体ナノ構造前駆体(例えば、ガス、液体、プラズマ等)から形成された。固体前駆体から炭素系ナノ構造を形成するためのプロセスは、非固体前駆体から炭素系ナノ構造を形成するためのプロセスと根本的に異なる。しかしながら、発明者らは、予想外にも、そのような差異が克服され、固体から炭素系ナノ構造を形成することができることを発見した。
【0017】
本明細書で使用されるように、用語「ナノポジタ」は、ナノ構造の形成を生じさせるように選択された一組の条件に曝露されると、そうでなければ、本質的に同等の条件下においてナノポジタの不在下において生じないであろうナノ構造の形成を可能にするか、または本質的に同等の条件下において、但し、ナノポジタ材料を伴わずに観察されるであろう割合と比較してナノ構造の形成の割合を増加させるかいずれかである材料を指す。「本質的に同等の条件」とは、本文脈において、ナノポジタの存在以外、類似または同等である条件(例えば、環境内の種の圧力、温度、組成物、および濃度等)を意味する。一式の実施形態では、「ナノポジタ」は、可能にする、または割合を増加させる、ナノ構造の形成に関与する反応において消費されない、すなわち、ナノポジタを構成する原子または分子が、反応を介してナノ構造内に組み込まれない。
【0018】
本明細書に説明されるナノポジタは、他の材料と比較して、利点を保有し得る。例えば、本明細書に説明されるナノポジタは、炭素、金属、およびセラミック等の着目基板上でのナノ構造成長を助長可能であることができる。比較的に高い温度(例えば、少なくとも約500℃)で炭素等の基板と反応し得るゼロ酸化状態の鉄、コバルト、およびニッケル等の一般的に使用される材料と異なり、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含むナノポジタは、そのような高温において、比較的に非反応性であり得る。加えて、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含むナノポジタ(例えば、酸化ジルコニウム等)は、金、白金、およびレニウム等のナノ構造成長のために使用されている多くの他の材料と比較して、比較的に安価であり得る。本明細書に説明されるナノポジタはまた、酸化物形成に耐性を有し得る。いくつかの実施形態では、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含むナノポジタの毒作用機序は、ナノ構造成長において使用される他のナノポジタ(例えば、ゼロ酸化状態の金属触媒)において観察される毒作用機序と異なり得る。実際、いくつかの実施形態では、実質的に、ナノポジタの毒作用は、ナノ構造成長の間に生じない。これは、より効率的成長と、可能性として、略無制限の寸法を有するナノ構造の成長とを可能にし得る。
【0019】
酸化ジルコニウムナノポジタの使用は、一部の場合には、特に、有利であり得る。前述の利点に加え、ジルコニウムおよび酸化ジルコニウムは、比較的容易に処理されることができる。一部の場合には、酸化ジルコニウムを含むナノポジタは、従来のナノ構造成長材料(例えば、金属等)と比較して、成長させられると、ナノ構造から容易に除去されることができる。ジルコニウムは、安定した酸化物を比較的容易に形成する。加えて、ジルコニウムは、例えば、炭素ナノチューブ等のある種類のナノ構造を形成する際に、特に、活性化することが示されている準安定酸素欠乏状態を形成可能である。酸化ジルコニウムは、既に酸化物であるため、概して、非酸化物より酸化を被りにくく、したがって、酸化的ナノ構造成長条件(例えば、水、アルコール等に関与する成長)に対して、有利なナノポジタであり得る。加えて、酸化ジルコニウムは、高い温度(例えば、最大1050℃)において炭素熱還元を受けず、したがって、また、鉄に対する炭素ナノチューブ成長終了機序であると仮定されている炭化による毒作用に耐性を有し得る。したがって、酸化ジルコニウムは、特に、いくつかの実施形態では、炭素を含む基板にナノ構造を形成する際に、有用であり得る。
【0020】
非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含むナノポジタを使用したナノ構造成長と関連付けられるシステムおよび方法の付加的利点は、以下により詳細に説明される。
【0021】
本明細書に説明される物品、システム、および方法は、国際特許出願第PCT/US2007/011914号(2007年5月18日出願、名称「Continuous Process for the Production of Nanostructures Including Nanotubes」、国際公開第2007/136755号(2007年11月29日公開))、国際特許出願第PCT/US07/11913号(2007年5月18日出願、名称「Nanostructure−reinforced Composite Articles and Methods」、国際公開第2008/054541号(2008年5月8日公開))、国際特許出願第PCT/US2008/009996号(2008年8月22日出願、名称「Nanostructure−reinforced Composite Articles and Methods」、国際公開第2009/029218号(2009年3月5日公開))、米国特許第7,537,825号(2009年5月26日発行、名称「Nano−Engineered Material Architectures:Ultra−Tough Hybrid Nanocomposite System」)、米国特許出願第11/895,621号(2007年8月24日出願、名称「Nanostructure−Reinforced Composite Articles」、米国特許出願公開第2008/0075954号(2008年3月27日公開))、米国特許出願第12/618,203号(2009年11月13日出願、名称「Controlled−Orientation Films and Nanocomposites Including Nanotubes or Other Nanostructures」)、および米国特許出願第12/630,289号(2009年12月3日出願、名称「Multifunctional Composites Based on Coated Nanostructures」)に記載されており、あらゆる目的のために参照することによって全体として本明細書に援用される。
【0022】
次に、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含むナノポジタを使用して、炭素系ナノ構造を成長させるためのシステムおよび方法の実施例が提供される。
【0023】
一態様では、炭素系ナノ構造を成長させるための方法が提供される。本明細書で使用されるように、用語「炭素系ナノ構造」は、芳香環の縮合網、約1ミクロン未満の少なくとも1つの断面寸法を有し、質量比で少なくとも約30%炭素を含む物品を指す。いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造は、質量比で少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%以上の炭素を含んでもよい。用語「縮合網」は、例えば、2個のフェニル環が、単結合によって連結され、縮合されないビフェニル基を含まない場合がある。炭素系ナノ構造の実施例は、炭素ナノチューブ(例えば、単層炭素ナノチューブ、2層炭素ナノチューブ、多層炭素ナノチューブ等)、炭素ナノワイヤ、炭素ナノ繊維、炭素ナノシェル、グラフェン、フラーレン等を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造は、約500nm未満、約250nm未満、約100nm未満、約75nm未満、約50nm未満、約25nm未満、約10nm未満、または、一部の場合には、約1nm未満の少なくとも1つの断面寸法を有してもよい。本明細書に説明される炭素系ナノ構造は、一部の場合には、約1ミクロン未満、約500nm未満、約250nm未満、約100nm未満、約75nm未満、約50nm未満、約25nm未満、約10nm未満、または、一部の場合には、約1nm未満の最大断面寸法を有してもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるカーボン系ナノ構造は、カーボンナノチューブを含んでもよい。本明細書で使用されるように、用語「カーボンナノチューブ」は、当技術分野でのその通常の意味が付与され、主に炭素原子を含む、主に、六員環(例えば、六員芳香環)の縮合網を含む、実質的に円筒形の分子またはナノ構造を指す。一部の場合には、カーボンナノチューブは、継目のない円筒形構造に形成された黒鉛のシートと似ていてもよい。ナノチューブはまた、六員環以外の環または格子構造を含んでもよいことを理解されたい。一般的には、カーボンナノチューブの少なくとも1つの末端は、すなわち、湾曲または非平面芳香族構造で冠着されてもよい。カーボンナノチューブは、約数ナノメートルの直径および約数ミリメートルまたは約10分の数ミクロンの長さを有し、100、1000、10,000、100,000、106、107、108、109、またはそれ以上よりも大きいアスペクト比をもたらしてもよい。カーボンナノチューブの実施例は、炭素単層カーボンナノチューブ(SWNT)、2層カーボンナノチューブ(DWNT)、多層カーボンナノチューブ(MWNT)(例えば、同心カーボンナノチューブ)、その無機誘導体、その有機誘導体等を含む。いくつかの実施形態では、カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブである。一部の場合には、カーボンナノチューブは、多層カーボンナノチューブ(例えば、2層カーボンナノチューブ)である。一部の場合には、炭素ナノチューブは、従来の触媒または他のナノポジタ材料から得られ得るものより広い内径を有する多層または単層炭素ナノチューブを含む。一部の場合には、カーボンナノチューブは、約1ミクロン未満、約00nm未満、約50nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約25nm未満、約10nm未満、または、一部の場合には、約1nm未満の直径を有してもよい。
【0026】
一式の実施形態では、炭素系ナノ構造を成長させる方法は、ナノポジタ上に炭素系ナノ構造の形成を生じさせるように選択される一組の条件に、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含むナノポジタを曝露するステップを含む。用語「酸化状態」は、「IUPAC Compendium of Chemical Terminology」, Second Edition(1997)(参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる)に説明される、International Union of Pure and Applied Chemistory(IUPAC)によって採用される、基準を指す。
【0027】
炭素系ナノ構造を成長させる例示的システム100が、図1Aに示される。非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含むナノポジタ102(例えば、後述のようなナノポジタナノ粒子)は、成長基板104の表面上に設置される。一部の場合には、ナノポジタは、ナノポジタと異なる材料を含む成長基板の一部(例えば、成長基板と接触するナノポジタの部分)と接触する。一部の場合には、ナノポジタは、ナノポジタと同一材料を含む成長基板の一部(例えば、成長基板と接触するナノポジタの部分)と接触する。ナノポジタおよび/またはナノポジタと接触する成長基板の1つ以上の部分105は、ナノポジタ上にナノ構造の形成を生じさせるように選択された一組の条件に曝露されてもよく、ナノ構造106は、ナノポジタ102から成長してもよい。
【0028】
一部の場合には、ナノ構造前駆体材料が、ナノ構造を成長させるために使用される。例えば、図1Aでは、ナノ構造前駆体材料108は、成長基板104に送達され、成長基板表面(例えば、矢印109による)、ナノポジタ表面、および/またはナノポジタと成長基板との間の界面(例えば、矢印110による)に接触または浸透し得る。ナノ構造前駆体材料は、あらゆる好適な相(例えば、固体、液体、またはガス)であって、例えば、炭化水素(例えば、メタン、エチレン、アセチレン等)、アルコール等を含んでもよい。カーボンナノチューブの成長では、例えば、ナノ構造前駆体材料は、炭素が、前駆体分子から解離し、持続的な成長によって一般的方向112に成長基板から押し上げられる、成長しているカーボンナノチューブに組み込まれ得るように炭素を含んでもよい。当業者であれば、特定のナノ構造の成長のためのナノ構造前駆体材料を選択することが可能であろう。例えば、カーボンナノチューブは、炭素繊維支持体上に配設された酸化ジルコニウムのナノ粒子等、ナノポジタとのC2H4/H2混合物の反応によって、合成されてもよい。使用され得るナノ構造前駆体材料の他の実施例は、例えば、メタン、エタノール、ギ酸メチル、アセチレン、および他のアルキンを含む。好適なナノ構造加工技法の実施例は、 国際特特許出願第PCT/US2007/011914号(2007年5月18日出願、名称「Continuous Process for the Production of Nanostructures Including Nanotubes」、国際公開第WO2007/136755号(2007年11月29日公開))によって詳細に論じられ、参照することによって全体として本明細書に組み込まれる。
【0029】
一式の実施形態では、ナノ構造前駆体材料は、固体を含む。固体前駆体材料の実施例は、例えば、石炭、コークス、非晶質炭素、未熱分解有機ポリマー(例えば、フェノールホルムアルデヒド、レソルシノールホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド等)、部分的に熱分解された有機ポリマー、ダイヤモンド、グラフェン、黒鉛、またはあらゆる他の好適な炭素の固体形態を含む。いくつかの実施形態では、固体前駆体材料は、少なくとも約25重量%炭素、少なくとも約50重量%炭素、少なくとも約75重量%炭素、少なくとも約85重量%炭素、少なくとも約90重量%炭素、少なくとも約95重量%炭素、少なくとも約98重量%炭素、または少なくとも約99重量%炭素を含んでもよい。
【0030】
一式の実施形態では、ナノ構造前駆体材料は、固体および非固体(例えば、液体、ガス等)の両方を含む。例えば、ナノ構造前駆体材料は、ナノポジタ材料および気相前駆体材料に近接して、またはそれと接触して、留置される、炭素の固体形態を含むことができる。具体的実施例として、固体前駆体成分は、煤煙、非晶質炭素、グラフェン、または黒鉛等のナノポジタ上またはその近傍に蒸着されることができ、ナノポジタは、炭化水素(例えば、メタン、エチレン、アセチレン等)を含む、蒸気に曝露されることができる。いかなる特定の理論に拘束されることを所望するわけではないが、いくつかの成長条件下において、固体前駆体材料の存在は、固体前駆体材料の不在下では生じ得ないナノ構造成長を可能にすることができる。一部の場合には、固体前駆体材料は、基板を提供し、そこから、非固体ナノ構造前駆体材料を、炭素系ナノ構造を成長させるために添加させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、少量の炭素ナノチューブは、開始材料として使用し、そこからより大きなナノチューブを、非固体炭素ナノ構造前駆体材料を使用して成長させることができる。
【0031】
種々の非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含むナノポジタが、本明細書に説明されるシステムおよび方法において使用されることができる。一部の場合には、ナノポジタは、結晶性材料(例えば、単結晶材料、多結晶性材料等)、非晶質材料、またはこれらの混合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、ナノポジタは、金属酸化物または金属カルコゲニド(例えば、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物等)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ナノポジタは、半金属酸化物または半金属カルコゲニド(例えば、半金属硫化物、半金属セレン化物、半金属テルル化物等)を含んでもよい。一部の場合には、ナノポジタは、金属および/または半金属炭化物、窒化物、リン化物、ケイ化物、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。特に、好適であり得る、非ゼロ酸化状態の金属原子の実施例は、とりわけ、酸化物およびカルコゲニド形態のジルコニウム、ハフニウム、タンタル、ニオブ、イットリウム、ランタン、モリブデン、ランタニド金属、チタン、アルミニウム、レニウム、ならびにカルシウムを含むが、それらに限定されない。特に、好適であり得る非ゼロ酸化状態の半金属原子の実施例は、とりわけ、シリコン、ホウ素、およびゲルマニウムを含むが、それらに限定されない。ナノポジタは、いくつかの実施形態では、非炭化物系(すなわち、金属または半金属は、例えば、炭素ナノ構造が形成される条件下において、炭化物を形成しない)金属または半金属原子を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ナノポジタは、最大1050℃の温度において炭化物を形成しない金属または半金属原子を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ナノポジタは、2つ以上の酸化物、2つ以上のカルコゲニド、または少なくとも1つの酸化物と少なくとも1つのカルコゲニドの組み合わせを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ナノポジタは、酸化ジルコニウムと酸化モリブデン、酸化ジルコニウムと酸化カルシウム、または酸化ジルコニウムと硫化ジルコニウムを含んでもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、ナノポジタ中、比較的に大きな割合の金属または半金属原子が、非ゼロ酸化状態である。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも約25%、少なくとも約35%、少なくとも約50%、少なくとも約65%、少なくとも約75%、少なくとも約85%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.9%、またはナノポジタ中、金属または半金属原子の大部分が、非ゼロ酸化状態である。一部の場合には、実質的に、ナノポジタ中、金属または半金属原子の全部が、非ゼロ酸化状態である。規定された酸化状態を伴う原子の割合は、例えば、X線光電子分光法(XPS)を介して決定されてもよい。
【0033】
1つ以上のドーパント元素が、いくつかの実施形態では、ナノポジタ中に含まれてもよい。ナノポジタ中に含まれ得るドーパント元素の実施例は、例えば、Ca、Mg、Sr、Ba、Y、Mo、または他の元素、あるいはこれらおよび/または他の元素の組み合わせを含む。具体的実施例として、ナノポジタは、カルシウム(例えば、1.5原子%カルシウム)でドープされた酸化ジルコニウムを含んでもよい。一部の場合には、ナノポジタは、約50原子%未満、約35原子%未満、約20原子%、約10原子%未満、約5原子%未満、約2原子%未満、約1.5原子%未満、約1原子%未満、または約0.5原子%未満、約0.1原子%乃至約5原子%、約0.5原子%乃至約3原子%、または約1原子%乃至約2原子%ドーパント元素を含んでもよい。ドーパント元素は、いくつかの実施形態では、ドーパント原子が、結晶性材料の隙間内に存在するように、ナノポジタ中に統合されてもよい。一部の場合には、ドーパント原子は、ナノポジタの結晶構造内の原子を置換してもよい。いかなる理論によっても拘束されることを所望するわけではないが、ナノポジタ内へのドーパント原子の含有は、以下の効果のうちのいずれか1つを有し得る:酸性度の向上、n−型またはp−型ドープの誘起、またはナノポジタの表面上における酸塩基対形成。一部の場合には、ドーパント原子は、ナノポジタの1つ以上の外表面上、および/またはナノポジタの孔内に存在してもよい。ドーパントは、いくつかの事例では、液体前駆体を使用してナノポジタに適用されてもよい。ドーパントは、一部の場合には、物理および/または化学気相蒸着を使用して、ナノポジタに添加されることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、ナノポジタは、ナノポジタと異なる材料を含む成長基板の一部と接触する。例えば、一部の場合には、ナノポジタは、金属酸化物(例えば、酸化ジルコニウム)を含んでもよい一方、金属酸化物と接触する成長基板の部分は、炭素、金属、シリコン、または金属酸化物ではないあらゆる他の好適な材料を含む。別の実施例として、ナノポジタは、半金属酸化物(例えば、酸化ケイ素)を含んでもよい一方、半金属酸化物と接触する成長基板の部分は、炭素、金属、シリコン、または半金属酸化物ではないあらゆる他の好適な材料を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、ナノポジタは、ナノポジタ粒子を含有する液体から、基板上に蒸着される。いかなる特定の理論に拘束されることを所望するわけではないが、ナノポジタが液体を離れ、基板上に蒸着される様式は、炭素ナノ構造成長に向かって、ナノポジタの活性を向上させる場合がある。例えば、一部の場合には、ナノポジタ活性の向上が、比較的に多数のナノポジタ粒子の群化によって、生じる場合がある。いくつかの事例では、ナノポジタ活性の向上は、1つ以上のナノポジタ粒子の表面形態の変化によって、および/または液体からのナノポジタ粒子およびドーパントの同時蒸着から生じるドープ効果によって、発生する場合がある。
【0036】
複数のナノポジタは、いくつかの事例では、単層または多層膜中に編成されることができる。単層または多層膜は、例えば、Langmuir−SchafferまたはLangmuir−Blodgett方法を使用して、調製される場合がある。具体的実施例として、事前に加工されたナノ粒子(例えば、ジルコニアナノ粒子)が、担体流体(例えば、トルーエン)中に分散され、次いで、薄層として、流体の別の層(例えば、水)上に輸送されることができる(例えば、ピペットによる)。次いで、担体流体は、ナノ粒子の膜を残して、蒸発されることができる。次いで、膜は、基板上に輸送され、炭素系ナノ構造を成長させるために使用されることができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、ナノポジタは、化学量論的形態において、1つ以上の比較的により多くの陰性物質に結合される(例えば、イオン的に、共有結合的に等)、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含んでもよい。例えば、ナノポジタは、化学量論的酸化物、カルコゲニド等を含んでもよい。当業者は、そのような化合物の化学量論的形態を同定可能であろう。例えば、化学量論的形態の酸化ジルコニウムは、ZrO2である。化学量論的形態の酸化アルミニウムは、Al2O3である。一部の場合には、ナノポジタは、非化学量論的形態において、より多くの陰性物質に結合される(例えば、イオン的に、共有結合的に等)、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含んでもよい。ナノポジタは、例えば、陽性物質元素が、化学量論的形態において観察されるであろう、1つ以上の陰性物質の量と比較して、過剰または不足して存在する時、そのような非化学量論的形態を含み得る。例えば、ナノポジタが、酸化物を含む場合、酸化物は、酸素豊富または酸素欠乏であってもよい。一部の場合には、非化学量論的形態は、ナノポジタ内へのドーパンとの含有から発生し得る。例えば、非化学量論は、約50%未満、約35%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、約2%未満、約1%未満、または約0.5%未満Ca、Mg、Sr、Ba、Y、Mo、または他の元素、またはこれらおよび/または他の元素の組み合わせの含有によって、観察され得る。
【0038】
ナノポジタは、いくつかの実施形態では、酸化ジルコニウムを含んでもよい。酸化ジルコニウムナノポジタは、化学量論的(例えば、ZrO2)または非化学量論的であってもよい。いくつかの実施形態では、酸化ジルコニウムは、準安定酸素欠乏状態を形成してもよい。材料は、材料の化学量論的形態において存在するであろうもの未満の酸素量を含む時、酸素欠乏状態にあると言われる。いくつかの実施形態では、酸化ジルコニウムは、約1.0乃至約2.0(すなわち、ZrO1.0−2.0)、約1.6乃至約2.0(すなわち、ZrO1.6−2.0)、約1.6乃至約1.8(すなわち、ZrO1.6−1.8)、または約1.0乃至約1.6(すなわち、ZrO1.0−1.6)の範囲の酸素対ジルコニウム比を含んでもよい。いくつかの実施形態では、酸化ジルコニウムは、例えば、ZrOの式を伴う、亜酸化物であってもよい。いくつかの実施形態では、酸化ジルコニウムは、超酸化物(すなわち、酸化ジルコニウム中の酸素対ジルコニウムの比は、約2:1を上回る)であってもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、酸化物は、ランタン酸化物、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化モリブデン、および酸化イットリウムを含むことができる。いかなる理論によっても拘束されることを所望するわけではないが、これらの酸化物は、いくつかの実施形態では、その周期表上におけるジルコニウムへの近接性によって、特に、好適であり得る。半金属酸化物は、例えば、酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム等を含んでもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、ナノポジタ中の非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子は、ナノ構造の形成の間、ゼロ酸化状態に還元されない。いくつかの実施形態では、ナノポジタ中の非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子の約2%未満、約1%未満、約0.1%未満、または約0.01%未満は、ナノ構造の形成の間、ゼロ酸化状態に還元される。いくつかの実施形態では、実質的に、ナノポジタ中の非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子は、ナノ構造の形成の間、ゼロ酸化状態に還元されない。
【0041】
いくつかの事例では、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子は、ナノ構造の形成の間、炭化物を形成しない。いくつかの実施形態では、ナノポジタ中の非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子の約2%未満、約1%未満、約0.1%未満、または約0.01%未満は、ナノ構造の形成の間、炭化物を形成する。いくつかの実施形態では、実質的に、ナノポジタ中の非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子は、ナノ構造の形成の間、炭化物を形成しない。
【0042】
プロセス条件および/またはナノポジタは、いくつかの事例では、ナノポジタ中の非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子が、ナノ構造の形成の間、ゼロ酸化状態に還元されず、炭化物を形成しない(または、比較的に小程度にのみ形成される)ように選択されることができる。例えば、一式の実施形態では、ナノポジタは、酸化ジルコニウムを含み、プロセス温度は、ゼロ酸化状態ジルコニウム(例えば、金属ジルコニウム)または炭化ジルコニウムのいずれも、ナノ構造の形成の間、形成されないように選択される。いくつかの実施形態では、ナノ構造は、約1100℃を下回る、約1050℃を下回る、約1000℃を下回る、約900℃を下回る、約800℃を下回る、約700℃を下回る、約600℃を下回る、約500℃を下回る、約400℃を下回る、約300℃を上回る、約400℃を上回る、約500℃を上回る、約600℃を上回る、約700℃を上回る、約800℃を上回る、約900℃を上回る、約1000℃を上回る、約1050℃を上回る、または約300℃乃至約500℃、約300℃乃至約1100℃、約300℃乃至約1050℃、約300℃乃至約1000℃、約300℃乃至約900℃、約300℃乃至約500℃、約500℃乃至約900℃、約500℃乃至約1000℃、約500℃乃至約1050℃、または約500℃乃至約1100℃の温度において形成され、ナノポジタ中の非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子は、ナノ構造の形成の間にゼロ酸化状態に還元されず、炭化物を形成しない。
【0043】
いくつかの実施形態では、ナノポジタ、成長基板、および/またはナノ構造が成長される条件は、基板とナノポジタとの間の化学的相互作用または分解の量が、比較的に小さくなるように選択される。例えば、一部の場合には、ナノポジタは、ナノ構造の形成の間、基板中に有意に拡散しないか、またはそれと有意に化学反応しない。当業者は、所与のナノポジタが、基板中に有意に拡散されているかどうか、またはそれと化学反応しているかどうかを決定可能であろう。例えば、随意に、デプスプロファイリングを伴うX線光電子分光法(XPS)は、ナノポジタが基板中に拡散されているかどうか、または基板の元素がナノポジタ中に拡散されているかどうかを決定するために使用されてもよい。随意に、XPSと連結されるX線回折(XRD)は、ナノポジタおよび基板が相互に化学反応しているかどうかを決定するために使用されてもよい。二次イオン質量分析(SIMS)は、深さの関数として化学組成物を決定するために使用されることができる。
【0044】
図1Bは、ナノポジタ102が基板104と相互作用することができる一式の実施形態を例示する。その中でナノポジタが基板と相互作用する体積は、体積120として示される。図1Bでは、球状のナノポジタ102Aは、ナノポジタ102Aの元々の体積に略相当する体積120Aにわたって基板104と相互作用する。球状ナノポジタ102Bは、ナノポジタ102Bの元々の体積の3倍に略相当する体積120Bにわたって、基板104と相互作用する。湿潤ナノポジタ102Cは、ナノポジタ102Cの元々の体積に略相当する体積120Cにわたって基板104と相互作用するように示される。加えて、基板104は、体積120Dとして示される相互作用体積を伴うナノポジタ102D中に拡散されるように例示される。いくつかの実施形態では、ナノポジタと基板との間の化学反応が、生じ得、その場合、ナノポジタと基板が相互作用する体積は、反応生成物の体積によって画定される。化学生成物の体積は、例えば、生成物の化学組成物を決定し、それがナノポジタに由来することを立証するために、XRDを使用して、XPS分析を介して、決定されてもよい。いくつかの実施形態では、ナノポジタは、基板中に拡散し得るか、または基板は、ナノポジタ中に拡散し得、その場合、ナノポジタと基板が相互作用する体積は、それにわたってナノポジタおよび/または基板が拡散する体積によって画定される。それにわたってナノポジタが拡散する体積は、例えば、デプスプロファイリングとともに、XPSを使用して決定されることができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、その中でナノポジタが基板と相互作用する体積(例えば、ナノポジタと基板との間の化学反応を介して生産される生成物の体積、それにわたってナノポジタおよび/または基板が他方内に拡散する体積等)は、基板上に形成されるナノポジタの元々の体積と比較して比較的に小さい。いくつかの事例では、基板上に形成されるナノポジタの体積は、その中でナノポジタが基板と相互作用する(例えば、反応を介して、拡散を介して、機序の組み合わせを介して等)体積より、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約200%、少なくとも約500%、少なくとも約2500%、少なくとも約5000%、少なくとも約10,000%、少なくとも約50,000%、または少なくとも約100,000%大きい。
【0046】
いくつかの実施形態では、基板と相互作用する(例えば、ナノポジタと基板の反応、ナノポジタの基板中への拡散、基板のナノポジタ中への拡散、またはこれらのの組み合わせを介して)ナノポジタの質量の割合は、比較的に低い。いくつかの実施形態では、基板上に形成されるナノポジタの約50原子%未満、約25原子%未満、約10原子%未満、約5原子%未満、約2原子%未満、または約1原子%未満が、基板と相互作用する。基板と相互作用するナノポジタの割合は、例えば、デプスプロファイリングとともに、XPSを使用して決定されることができる。随意に、XRDが、測定される材料の組成物を決定するために採用されることができる。
【0047】
ナノポジタと基板との間の相互作用は、いくつかの実施形態では、ナノ構造の成長前後の基板の伝導性を測定することによって決定されてもよい。一部の場合には、基板の抵抗は、ナノポジタの不在下において、本質的に同等の条件に曝露される基板の抵抗と比較して、約100%を超えて、約50%を超えて、約25%を超えて、約10%を超えて、約5%を超えて、または約1%を超えては変化しない。「本質的に同等の条件」とは、本文脈において、ナノポジタの存在以外、類似または同等である条件を意味する。例えば、そうでなければ、同等条件とは、同等である基板および同等である環境(例えば、同等温度、圧力、ガス組成物、ガス濃度、他の処理条件等)を指し得るが、ナノポジタは、存在しない。基板の抵抗を測定するための好適な技法は、例えば、ASTM Designation:D 257−99(名称「Standard Test Methods for DC Resistance or Conductance of Insulating Materials」(Reapproved 2005))に説明され、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。
【0048】
一部の場合には、ナノポジタと基板の相互作用は、ナノ構造の形成前後の基板の引張強度を測定することによって、決定されてもよい。いくつかの実施形態では、基板の引張強度は、ナノポジタの不在下において、本質的に同等の条件に曝露される基板の引張強度より、約20%未満だけ低い、約10%未満だけ低い、約5%未満だけ低い、または約1%未満だけ低い。単一繊維(例えば、炭素または黒鉛繊維)の引張強度を測定するための好適な技法は、えば、ASTM国際基準ASTM C 1557−03(West Conshohocken,PA,2003、名称「Standard Test Method for Tensile Strength and Young’s Modulus of Fibers」)に見出されることができ、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。他の基板の引張強度を測定するための好適な技法は、例えば、M.Madouの「Fundamentals of Microfabrication」(2nd edition、CRC Press(2002))に見出されることができ、参照することによって全体として本明細書に組み込まれる。
【0049】
本明細書に説明されるナノポジタは、あらゆる好適な形態をとってもよい。例えば、一部の場合には、ナノポジタは、膜を含んでもよい(例えば、成長基板上に設置される)。いくつかの事例では、ナノポジタは、パターン(例えば、線、点、またはあらゆる他の好適な形態)において、成長基板上に蒸着されてもよい。
【0050】
一部の場合には、ナノポジタは、一連のナノスケール特徴を含んでもよい。本明細書で使用されるように、「ナノナノスケール特徴」は、約1ミクロン未満の少なくとも1つの断面寸法を有する、物品上の突起、溝または圧痕、粒子、または他の測定可能幾何学形状特徴等の特徴を指す。一部の場合には、ナノスケール特徴は、約500nm未満、約250nm未満、約100nm未満、約10nm未満、約5nm未満、約3nm未満、約2nm未満、約1nm未満、約0.3乃至約10nm、約10nm乃至約100nm、または約100nm乃至約1ミクロンの少なくとも1つの断面寸法を有してもよい。いかなる理論によっても拘束されることを所望するわけではないが、ナノスケール特徴は、反応、核生成ステップ、またはナノ構造の形成に関与する他のプロセスが生じる、速度を増加させ得る。ナノスケール特徴は、例えば、ナノポジタの表面を粗面化することによって、形成されることができる。
【0051】
いくつかの事例では、ナノポジタは、ナノ粒子を含んでもよい。概して、用語「ナノ粒子」は、約1ミクロン未満の最大断面寸法を有する、あらゆる粒子を指すために使用される。いくつかの実施形態では、ナノポジタナノ粒子は、約500nm未満、約250nm未満、約100nm未満、約10nm未満、約5nm未満、約3nm未満、約2nm未満、約1nm未満、約0.3乃至約10nm、約10nm乃至約100nm、または約100nm乃至約1ミクロンの最大断面寸法を有してもよい。複数のナノポジタナノ粒子は、一部の場合には、約1ミクロン未満、約100nm未満、約10nm未満、約5nm未満、約3nm未満、約2nm未満、約1nm未満、約0.3乃至約10nm、約10nm乃至約100nm、または約100nm乃至約1ミクロンの平均最大断面寸法を有してもよい。本明細書で使用されるように、「最大断面寸法」は、測定され得る個々の構造の2つの対向する境界間の最大距離を指す。複数の構造の「平均最大断面寸法」は、数平均を指す。
【0052】
いくつかの事例では、ナノポジタ粒子は、実質的に、同一形状および/またはサイズ(「単分散」)であってもよい。例えば、ナノポジタ粒子は、ナノポジタ粒子の最大断面寸法の標準偏差が、ナノポジタ粒子の平均最大断面寸法の約50%以下、約25%以下、約10%以下、約5%以下、約2%以下、または約1%以下であるような寸法分布を有してもよい。標準偏差(英小文字シグマ)は、当技術分野におけるその通常の意味が付与され、以下のように計算され得る:
【0053】
【数1】
式中、Diは、ナノポジタ粒子iの最大断面寸法であって、Davgは、ナノポジタ粒子の断面寸法の平均であって、nは、ナノポジタ粒子の数である。前述のナノポジタ粒子の標準偏差と平均最大断面寸法との間の割合比較は、標準偏差を平均で除算し、100%を乗算することによって求められることができる。
【0054】
本明細書に説明されるナノポジタは、種々の方法を介して、調製されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含むナノポジタは、金属、半金属、または炭化物の塩または酸化の還元を介して、調製されてもよい。酸化ジルコニウムナノポジタは、例えば、プロポキシジルコニウム等のゾルゲル前駆体から調製されてもよい。いくつかの事例では、酸化ジルコニウム粒子は、二塩化酸化ジルコニウム(ZrOCl2)の還元から、あるいは金属ジルコニウムまたは炭化ジルコニウムナノ粒子もしくは薄膜の酸化から、調製されてもよい。いくつかの実施形態では、ナノポジタは、電子ビーム蒸着またはスパッタ蒸着を介して、調製されてもよい。1つ以上のドーパントが、例えば、ドーパント材料を蒸着標的(例えば、電子ビーム標的)にボールミリングし、続いて、標的中に材料を蒸着することによって、ナノポジタ内に含まれてもよい。いくつかの実施形態では、ドーパントは、そこからナノポジタが化学気相蒸着を介して形成される、前駆体材料に組み込まれてもよい。例えば、ドーパントは、いくつかの実施形態では、ゾルに組み込まれてもよい。いくつかの事例では、ナノポジタは、ナノ粒子または他のナノ構造の形成をもたらす、非加水分解ゾルゲル反応を通して、調製されることができる。
【0055】
種々の成長基板は、本明細書に説明されるシステムおよび方法に従って、使用されてもよい。成長基板は、本明細書で説明されるようなナノポジタおよび/またはナノ構造を支持可能なあらゆる材料を含んでもよい。成長基板は、ナノ構造成長条件、ナノ構造除去条件等の、特定のプロセスで使用される一組の条件下において、不活性となる、および/または安定するように、選択されてもよい。一部の場合には、成長基板は、実質的に、平坦な表面を含む。一部の場合には、成長基板は、実質的に非平坦表面を含む。例えば、成長基板は、円筒形表面を含んでもよい。本発明で使用するために好適な基板は、高温プリプレグと、ポリマー樹脂と、金属、合金、金属間化合物、金属酸化物、金属窒化物、セラミック、等の無機材料と、を含む。本明細書で使用されるように、用語「プリプレグ」は、埋め込まれた繊維、例えば、炭素、ガラス、炭化ケイ素等の繊維を含有する、熱硬化性または熱可塑性樹脂の1つ以上の層を指す。いくつかの実施形態では、基板は、炭素(例えば、非晶質炭素、炭素エアロゲル、炭素繊維、黒鉛、ガラス状炭素、炭素−炭素合成物、グラフェン、凝集ダイヤモンドナノロッド、ナノダイヤモンド、ダイヤモンド等)を含んでもよい。一部の場合には、基板は、繊維、繊維トウ、織物(例えば、乾燥織物)等であってもよい。基板はさらに、伝導性繊維、織物、またはナノ構造等の伝導材料を含んでもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、基板は、ゼロ酸化状態金属および/または炭化物と反応するが、酸化物、あるいは非ゼロ酸化状態の金属または半金属を含む他の材料と反応しない。また、基板は、一部の場合には、ナノ構造の成長が、基板とゼロ酸化状態金属および/または金属炭化物ナノポジタとの間の好ましくない化学反応によって、阻害されるが、金属酸化物、半金属酸化物、あるいは非ゼロ酸化状態の金属または半金属を含む他の材料と反応しない、材料を含んでもよい。
【0057】
一部の場合には、本明細書に説明される基板は、ナノ構造が成長される条件に耐えることが可能なポリマーを含んでもよい。成長基板において使用されることができる好適なポリマーの実施例は、比較的に高温のフッ素重合体(例えば、Teflon(登録商標))、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリエーテルケトン(PEK)等を含むが、それらに限定されない。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される基板は、実質的に、電磁放射に対して透過性である。例えば、一部の場合には、基板は、実質的に、可視光、紫外線放射、赤外線放射、マイクロ波放射、またはレーダ周波数に対して透過性であってもよい。
【0059】
一部の場合には、ナノ構造は、成長基板自体の形成中に成長基板上で成長させられてもよい。例えば、繊維(例えば、黒鉛繊維)が、本明細書で説明されるナノ構造の加工と組み合わせて、連続プロセスで形成されてもよい。例示的実施形態では、繊維の表面上にナノ構造を含む炭素繊維は、一般的には、高温での応力下において炭素繊維前駆体材料を最初に安定化させ、その後、繊維を形成するために高温(例えば、500℃を上回る)で炭化および/または黒鉛化熱分解ステップを行うことによって高温において形成され得る。ナノ構造は、繊維の表面上に成長させられてもよく、その後、表面処理、定寸、スプーリング、または他の処理技法が続く。
【0060】
成長基板を使用したナノ構造の成長が、詳細に説明されているが、本明細書において説明される実施形態は、それらに限定されず、ナノ構造は、いくつかの実施形態では、成長基板の不在下において、非ゼロ酸化状態の金属または半金属原子を含むナノポジタ上に形成されてもよい。例えば、図2は、ナノポジタ202が、ナノポジタと接触する成長基板の不在下において、ナノ構造成長を促進するように選択される一組の条件下に置かれる、システム200の概略図を含む。ナノ構造206は、ナノポジタが成長条件に曝露されるのに伴って、ナノポジタ202から成長してもよい。いくつかの実施形態では、ナノポジタは、流体中に懸濁されてもよい。例えば、ナノポジタは、ガス(例えば、エアロゾル化された)中に懸濁され、続いて、そこから炭素ナノチューブが成長され得る、炭素含有前駆体材料に曝露されてもよい。一部の場合には、ナノポジタは、ナノ構造の形成の間、液体(例えば、ナノ構造前駆体材料としての役割を果たす、アルコール)中に懸濁されてもよい。
【0061】
本明細書で使用されるように、「一組の条件」への曝露は、例えば、特定の温度、pH、溶媒、化学試薬、雰囲気の種類(例えば、窒素、アルゴン、酸素等)、電磁放射等への曝露を含んでもよい。一部の場合には、一組の条件は、ナノ構造の核生成、成長、安定化、除去、および/または他の処理を促進するように選択されてもよい。一部の場合には、一組の条件は、ナノポジタの再活性化、除去、および/または置換を促進するように選択されてもよい。一部の場合には、一組の条件は、ナノポジタの活性を維持するように選択されてもよい。いくつかの実施形態は、外部エネルギー源への曝露を含む、一組の条件であってもよい。エネルギー源は、電磁放射、電気エネルギー、音響エネルギー、熱エネルギー、または化学エネルギーを含んでもよい。例えば、一組の条件は、熱または電磁放射への曝露、抵抗加熱、レーザへの曝露、または赤外光への曝露を含む。いくつかの実施形態では、一組の条件は、特定の温度、圧力、化学種、および/またはナノ構造前駆体材料への曝露を含む。例えば、一部の場合には、一組の条件への曝露は、実質的に、大気圧(すなわち、約1atmまたは760torr)への曝露を含む。一部の場合には、一組の条件への曝露は、約1atm未満(例えば、約100torr未満、約10torr未満、約1torr未満、約0.1torr未満、約0.01torr未満、またはそれを下回る)の圧力への曝露を含む。一部の場合には、高圧の使用が、有利となり得る。例えば、いくつかの実施形態では、一組の条件への曝露は、少なくとも約2atm、少なくとも約5atm、少なくとも約10atm、少なくとも約25atm、または少なくとも約50atmの圧力への曝露を含む。いくつかの事例では、一組の条件は、約1100℃を下回る、約1050℃を下回る、約1000℃を下回る、約900℃を下回る、約800℃を下回る、約700℃を下回る、約600℃を下回る、約500℃を下回る、約400℃を下回る、約300℃を上回る、約400℃を上回る、約500℃を上回る、約600℃を上回る、約700℃を上回る、約800℃を上回る、約900℃を上回る、約1000℃を上回る、約1050℃、または約300℃乃至約500℃、約300℃乃至約1100℃、約300℃乃至約1050℃、約300℃乃至約1000℃、約300℃乃至約900℃、約300℃乃至約500℃、約500℃乃至約900℃、約500℃乃至約1000℃、約500℃乃至約1050℃、または約500℃乃至約1100℃の温度への曝露を含む。いくつかの実施形態では、一組の条件への曝露は、ナノポジタ上でナノ構造の化学気相蒸着(CVD)を行うステップを含む。いくつかの実施形態では、化学気相蒸着プロセスは、プラズマ化学気相蒸着プロセスを含んでもよい。化学気相蒸着は、当業者に周知のプロセスであって、例えば、Dresselhaus M S、Dresselhaus G.、およびAvouris,P.による編集の「Nanotubes:Synthesis,Structure,Properties, and Applications」((2001)Springer)に説明され、参照することによって全体として本明細書に組み込まれる。
【0062】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるシステムおよび方法は、実質的に、整列されたナノ構造を生産するために使用されてもよい。実質的に整列されたナノ構造は、材料の上または内に配設されると、材料の性質を向上させるのに十分な長さおよび/または直径を有し得る。いくつかの実施形態では、一式の実質的に整列されたナノ構造は、成長基板の表面上に形成されてもよく、ナノ構造は、ナノ構造の長軸が成長基板の表面に対して実質的に非平面であるように、配向されてもよい。一部の場合には、ナノ構造の長軸は、成長基板の表面に対して実質的に垂直方向に配向され、ナノ構造配列または「森林」を形成する。ナノ構造「森林」におけるナノ構造の整列は、いくつかの実施形態では、後続の処理時でさえも(例えば、他の表面への移動、および/またはポリマー等の2次材料との森林の組み合わせ)、実質的に維持され得る。整列されたナノ構造を含む、整列されたナノ構造および物品を生産するためのシステムおよび方法は、国際特許出願第PCT/US2007/011914号(2007年5月18日出願、名称「Continuous Process for the Production of Nanostructures Including Nanotubes」)および米国特許第7,537,825号(2009年5月26日発行、名称「Nano−Engineered Material Architectures:Ultra−Tough Hybrid Nanocomposite System」)に説明され、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。
【0063】
一部の場合には、外部エネルギー源は、エネルギーを提供して、成長部位を成長のために必要な温度に到達させるように、成長装置と連結されてもよい。外部エネルギー源は、例えば、成長部位(例えば、ナノポジタ)に近接しているワイヤコイルを抵抗加熱することによって、または伝導性成長基板に電流を通過させることによって、熱エネルギーを提供してもよい。一部の場合には、外部エネルギー源は、成長基板に電場および/または磁場を提供してもよい。一部の場合には、外部エネルギー源は、レーザを介して、または成長基板の直接抵抗加熱を介して、あるいはこれらのうちの1つ以上の組み合わせを介して、提供されてもよい。例示的実施形態では、一組の条件は、成長基板表面の温度、成長基板を囲繞する大気の化学組成、基板表面を囲繞し、周囲大気内にある反応性ガス(例えば、ナノ構造前駆体)の流量および圧力、成長面の表面上のナノポジタまたは他の材料の蒸着または除去、および/または随意で、基板の運動率を含んでもよい。一部の場合には、外部エネルギー源は、成長基板おまたはナノポジタにX線を提供してもよい。いかなる特定の理論に拘束されることを所望するわけではないが、X線は、ナノポジタを酸素欠乏状態に誘導し、ナノポジタを活性化させる、および/またはナノポジタに接触するガス種を変化させる場合がある。
【0064】
一部の場合には、ナノ構造は、ナノ構造が形成された後、成長基板から除去されてもよい。例えば、除去する行為は、直接、成長基板の表面から受容基板の表面へとナノ構造を移動させるステップを含んでもよい。受容基板は、例えば、ポリマー材料または炭素繊維材料であってもよい。一部の場合には、受容基板は、ポリマー材料、金属、または、Al2O3、SiO2、炭素、あるいはポリマー材料を含む、繊維を含む。一部の場合には、受容基板は、Al2O3、SiO2、炭素、またはポリマー材料を含む繊維を含む。いくつかの実施形態では、受容基板は、繊維織物である。
【0065】
ナノ構造の除去は、ナノ構造および/または成長基板の表面への機械的工具、機械的または超音波振動、化学試薬、熱、または他の外部エネルギー源の印加を含んでもよい。一部の場合には、ナノ構造は、例えば、圧縮ガスの印加によって除去されてもよい。一部の場合には、ナノ構造は、ナノ構造を受容基板に取り付けることなく、除去され(例えば、脱離され)、まとめて収集されてもよく、ナノ構造は、成長基板からの除去後に、元々または「成長したままの」配向および立体構造(例えば、整列された「森林」)のままであってもよい。基板からナノ構造を除去するため、またはナノ構造を第1の基板から第2の基板に移動させるためのシステムおよび方法は、国際特許出願第PCT/US2007/011914号(2007年5月18日出願、名称「Continuous Process for the Production of Nanostructures Including Nanotubes」)に説明され、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。
【0066】
いくつかの実施形態では、ナノポジタは、ナノ構造が成長された後、成長基板および/またはナノ構造から除去され。ナノポジタの除去は、例えば、(例えば、成長基板の)表面からナノポジタを掻爬または粉砕する機械的工具による処理を介して、機械的に行われてもよい。一部の場合には、第1のナノポジタは、化学種による処理(例えば、化学エッチング)によって、または熱的に(例えば、ナノポジタを蒸発させる温度までの加熱)除去されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ナノポジタは、例えば、選択的に、ナノポジタを溶解させ得る、酸エッチング(例えば、HCl、HF等)を介して除去されてもよい。例えば、HFは、選択的に、酸化物を溶解させるために使用されることができる。
【0067】
本明細書で使用されるように、用語「金属」は、以下の元素を含む:リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、亜鉛、モリブデン、カドミウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロニウム、マンガン、熱、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、銀、ラザホージウム、ドブニウム、シーボーギウム、ボーリウム、ハシウム、マイトネリウム、ダームスタチウム、レントゲニウム、ウンウンビウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズ、タリウム、鉛、ビスマス、ウンウントリウム、ウンウンクアジウム、ウンウンペンチウム、ウンウンヘキシウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、アクチニウム、トリウム、プロトアクチニウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、バークリウム、カリホルニウム、アインスタイニウム、フェルミウム、メンデレビウム、ノーベリウム、およびローレンシウム。
【0068】
本明細書で使用される用語「半金属」は、以下の元素を含む:ホウ素、シリコン、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、テルル、およびポロニウム。
【0069】
本明細書で使用されるように、用語「非金属」は、以下の元素を含む:水素、炭素、窒素、亜リン酸、酸素、硫黄、セレン、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチン、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、およびラドン、ならびにウンウンオクチウム。
【0070】
以下の文書、国際特許出願第PCT/US2007/011914号(2007年5月18日出願、名称「Continuous Process for the Production of Nanostructures Including Nanotubes」、国際公開第2007/136755号(2007年11月29日公開))、国際特許出願第PCT/US07/11913号(2007年5月18日出願、名称「Nanostructure−reinforced Composite Articles and Methods」)、国際公開第WO2008/054541号(2008年5月8日公開))、国際特許出願第PCT/US2008/009996号(2008年8月22日出願、名称「Nanostructure−reinforced Composite Articles and Methods」)、国際公開第WO2009/029218号(2009年3月5日公開))、米国特許第7,537,825号(2009年5月26日発行、名称「Nano−Engineered Material Architectures:Ultra−Tough Hybrid Nanocomposite System」)、米国特許出願第11/895,621号(2007年8月24日出願、名称「Nanostructure−Reinforced Composite Articles」、米国特許出願公開第2008/0075954号(2008年3月27日公開))、米国特許出願第12/618,203号(2009年11月13日出願、名称「Controlled−Orientation Films and Nanocomposites Including Nanotubes or Other Nanostructures」)、米国特許出願第12/630,289号(2009年12月3日出願、名称「Multifunctional Composites Based on Coated Nanostructures」)、およびSteinerらの米国仮特許出願第61/230,267号(2009年7月31日出願、名称「Systems and Methods Related to the Formation of Carbon−Based Nanostructures」)は、あらゆる目的のために、参照することによって全体として本明細書に組み込まれる:全ての他の特許、特許出願、および本明細書に引用される文書もまた、あらゆる目的のために、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。
【0071】
以下の実施例は、ある本発明の実施形態を例示することを意図するものであって、完全な発明の範囲を例示するものではない。
【0072】
(実施例1)
本実施例では、ナノ粒子ジルコニア(ZrO2)をナノポジタとして使用し、熱化学気相蒸着(CVD)によって、多層ナノチューブ(MWNT)および単層ナノチューブ(SWNT)成長を生産した。加えて、ナノ粒子ジルコニア(ZrO2)を黒鉛ナノシェル内への固体非晶質炭素の形質転換におけるナノポジタとして使用した。Si基板を液体溶液から蒸着されたZrO2の膜で塗膜し、CVDによるこれらの基板の処理が、実質的炭素ナノチューブ(CNT)成長をもたらすことが認められた。ジルコニアを伴ういくつかの基板からのCNTのCVD成長の間の原位置X線光電子分光法(XPS)分析は、CNT成長が酸化物上で生じ、酸化物が、成長の間、酸化状態に留まることを示すために使用した。CVDの間、使用される温度およびガス流量条件に応じて、これらの基板は、高いナノポジタ粒子活性を示す、局所的に垂直整列された「森林」形態を含む、SWNTまたはMWNTのいずれかを成長させる能力を実証した。加えて、高温でのジルコニアと炭素との間の固体状態相互作用を、ジルコニアナノ粒子ドープ炭素エアロゲルを調製することによって調査した。エアロゲルは、800℃でのZr(IV)含有レソルシノールホルムアルデヒドポリマーエアロゲルの熱分解を通して生産され、非ドープ炭素エアロゲルに不在であるフラーレンケージ構造の存在を呈した。ジルコニアドープ炭素エアロゲルの後続CVD処理はまた、明らかに、エアロゲル骨格内に埋入されたジルコニア粒子から、CNTの成長をもたらした。CNT成長前後のSiおよび炭素エアロゲル基板の実験施設内XRDならびにXPS分析は、金属ジルコニウムまたは炭化ジルコニウムが存在しないことが認められ、ジルコニアナノ粒子は、CNT成長の水素および炭化水素豊富CVD気圧によって、還元されなかったことを示唆する。Siおよび炭素エアロゲル基板上のCNTの低圧CVD成長の原位置XPS分析は、ジルコニアナノ粒子からのCNTのCVD成長前、間、または後のいずれの時点においても、金属ジルコニウムあるいは炭化ジルコニウムが発生しないことを立証した。
【0073】
本実施例に説明される方法では、金属、特に、鉄による汚染を防止するように細心の注意を払った。処理の全段階に対して、清潔な専用プラスチックおよびガラスツールならびに容器を使用した。エアロゲル試料の熱分解および全CNT成長プロセスは、単離された一式の新しい専用石英プロセスチューブによって行った。ZrO2が含まれていないSi基板上のCNT成長の不在によって、使用されるCVDシステムに、ナノポジタ汚染の不在を立証した。使用される基板のXPS分析もまた、Fe、Co、Ni、または他の明白な潜在的ナノポジタが、CVD処理前後に、存在しなかったことを立証した。
【0074】
(ZrO2塗膜Si基板の調製)
使用される全Si基板は、熱SiO2の200−300nm層を有していた。Al2O3支持体を伴うSi基板を、固体化学量論的Al2O3の電子ビーム蒸発またはRFスパッタ蒸着を通して調製した。酸化窒化物支持体を伴うSi基板を、垂直型熱酸化炉を使用して調製後、アニーリングを行った。2−プロパノール中ZrOCl2・8H2Oの飽和溶液を、322mgのZrOCl2・8H2Oを20.0gの2−プロパノールに添加し、約5分間、超音波で分解し、4−5日にわたって、ナノ粒子を形成させることによって、調製した。次いで、これらの溶液を撹拌し、ジルコニアナノ粒子をSiウエハ上に浸漬塗膜または液滴流延するために使用した。
【0075】
(ZrO2ドープ炭素エアロゲルの調製)
ZrO2ドープ炭素エアロゲルおよび非ドープ対照炭素エアロゲルを、Steinerらの 「Iron−Doped Carbon Aerogels:Novel Porous Substrates for Direct Growth of Carbon Nanotubes」(Langmuir、2007、23、5161−5166)おいてに説明され、参照することによって本明細書に組み込まれる金属ドープ炭素エアロゲルを調製するために開発されたイオン交換技法を通したゾルゲル処理を使用して調製した。概略すると、2,4−ジヒドロキシ安息香酸のカリウム塩を、水中でホルムアルデヒドと重合し、メソ多孔性K+ドープレソルシノールホルムアルデヒドポリマーゲルを形成した。ゲル構造を通して、カルボン酸カリウム塩部分は、イオン交換部位として作用し、ゲル液体を水性イオン塩と交換することによって、ゲルを他のイオン(遷移金属イオン等)でドープさせた。イオン交換に先立って、ゲル液体を脱イオン水と交換することによって、ゲルを精製した。次いで、ジルコニルのためのK+のイオン交換を、水性0.1M ZrOCl2.8H2O(Fluka、≧99.0%、<0.4μg/mg既知のCNTナノポジタ)の溶液中にゲルを浸漬することによって調製した。対照としての役割を果たすために、非ドープゲルを、水性0.1N HCl中への浸漬を通して、K+をH+に交換することによって調製した。次いで、ゲルを、最初に、脱イオン水、次いで、アセトン、次いで、最後に、液体CO2による、複数回の溶媒交換を通して(溶媒毎に3回交換、24時間毎に1回交換)、精製し、超臨界乾燥のために調製した。次いで、ゲルを、CO2(Tc=31.1℃、Pc=72.9atm、Tmax=50℃、Pmax=100atm)から、超臨界乾燥させ、それぞれ、ジルコニルドープおよび非ドープレソルシノールホルムアルデヒドポリマーエアロゲルを得た。最後に、エアロゲルを、800℃または1050℃で、10.5時間、200sccm Ar流下、熱分解し、メソ多孔性炭素エアロゲルを得た。ジルコニルドープ試料の場合、エアロゲルは、フラーレンナノシェル内に封入された多分散ZrO2ナノ粒子が均質に混入されていることが認められた。非ドープエアロゲルは、一般的非晶質炭素構造のみを呈した。
【0076】
(ZrO2上でのCNTの成長)
CNTの熱CVD成長を、表1に列挙されたいくつかの異なる基板上で行った。
【0077】
【表1】
大気熱CVDを、長さ138cmの50−mm内径縮合石英プロセスチューブを使用して、62−cm加熱長を伴う3区域から成るLindberg/BlueM炉内で行った。本システム内の試料は、加熱長の50%乃至75%の石英チューブ内に直接留置した。使用されるガスはすべて、超高純度グレードであった(99.999%、Airgas、US)。原位置XPS分析のための低圧CVD成長を、FHI−MPGの最終ステーション内のBESSYシンクロトロンで行った。用語「低圧」は、準大気圧CVDを指すことに留意されたい。しかしながら、これらの同一条件は、XPSの場合、「高圧」とみなされる。本システムにおける試料を、反応セル内に輸送し、開口から約2mm離れた半球型分析器(Phoibos 150、SPECS)のレンズ系の差動排気段階に留置した。集束IRレーザを使用して、試料を加熱した。温度示度数は、試料の近傍にスポット溶接された熱電対から得たが、そのため、一部の場合には、最大約100℃の過小評価が生じ得た。CVD気圧を、リーク弁を介して取着された質量分析計によって常時監視した。
【0078】
大気圧CVDを、表2に概略された条件に従って、メタンおよびエチレン原料によって行った。アセチレンを採用する低圧CVDは、原位置XPS分析のために使用した。大気圧成長の場合、Si基板は、メタンおよびエチレン条件の両方で処理した。炭素エアロゲルおよび炭素繊維試料のみ、大気圧におけるエチレン成長条件を使用して、処理した。原位置XPS分析を、アルミナ支持体およびジルコニアドープ炭素エアロゲルを伴う、Si上のジルコニアに対して行った。
【0079】
【表2】
(特性評価)
Si系基板は、走査型電子顕微鏡(SEM)、実験施設内X線光電子分光法(XPS)、CNT成長の間の原位置XPS、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型透過電子顕微鏡(STEM)下の点局在エネルギー分散型X線分析装置(EDAX)、およびラマン分光法によって、特性評価した。ZrO2ドープ炭素エアロゲルは、粉末X線回折(XRD)、実験施設内XPS、CNT成長の間の原位置XPS、SEM、TEM、STEM下の点局在EDAX、およびラマン分光法によって、特性評価した。炭素繊維基板は、SEMによって分析した。XRDパターンは、Cu K−α線、電圧45kV、および電流40mAを使用して、PANalytical X’Pert Pro MPDをRTMS検出器と併用して、求めた。相同定および微結晶サイズ決定は、ICCDデータベースを備えた、MDI Jade 7を使用して行った。実験施設内XPSスペクトルは、基準圧力5×10−9torrを伴うチャンバ内において、Al K−α線(エネルギー=1486.6eV)を使用して、AXIS Ultra DLD Spectrometer(Kratos Analytical Ltd、UK)上で求めた。炭素エアロゲルの場合、XPS試料は、材料を微細粉末に粉砕し、接着性銅テープに接着することによって、またはモノリスを直接銅テープに接着することのいずれかによって、調製した。銅テープは、両面接着性炭素テープを使用して、試料ホルダに搭載した。シリコン基板は、炭素テープによって、試料ホルダに直接搭載された。全測定は、X線電力150W(15kVおよび10mA)、通過エネルギー10eV、および分析面積750μm×350μmを使用して、行った。電荷中和器は、使用しなかった。炭素エアロゲル試料に対する電荷補正は、帯電効果が観察されなかったため、行わなかった。シリコン基板に対する電荷補正は、基準点として、SiO2またはAl2O3支持体からのピークを使用して行った。高圧原位置XPSスペクトルは、スペクトル分解能約0.3−0.4eVを伴う、光子エネルギー500eVにおいて、通常放射幾何学形状で収集した。これらの光子エネルギーでは、電子均自由行程は、約10.5Angstromである。分析面積は、約100μm×1mmであった。背景補正は、Shirleyバックグラウンドを使用して行った。スペクトルは、Levenberg−Marquardtアルゴリズムに従って、χ2値を最小化するように適合させた。ピーク形状は、Gaussianプロファイルによって畳み込み積分された非対称Doniach−Sunjic関数を使用して、モデル化した。高分解能走査電子顕微鏡法(HRSEM)は、炭素エアロゲル試料の場合、14kV、炭素繊維試料およびMWNT Si基板の場合、5kV、ならびに原位置XPS分析からの試料の場合、2.5kVで動作する、JEOL 6320顕微鏡およびFEI Philips XL30 sFEGによって行った。炭素エアロゲルおよび誘導されてナノチューブ合成物の高分解能透過電子顕微鏡法(HRTEM)は、200keVで動作する、JEOL JEM−200CX上で行った。原位置XPS実験の間に成長されたCNTのHRTEMおよびSTEMは、200kVで動作し、EDAXを行うためのINCAシステムを備えた、JEOL 2010F上で行った。ラマンスペクトルは、レーザ電力25mWおよび収集時間5秒を伴う、励起波長647nmで動作する、特注マイクロRaman分光計を使用して求めた。ピーク適合は、Raman分析モードで動作するCasaXPSを使用して行った。ピーク形状は、尾部指数α=1およびβ=1とGaussian幅m=2(プログラム線形状LA(1,1,2))を伴う、Gaussianプロファイル畳み込み積分された非対称Lorentzian線形を使用してモデル化した。
【0080】
(結果および考察)
最初に、Si基板上のジルコニアからのCNTの成長を、酸窒化ケイ素障壁を伴うSiウエハ上に、2−プロパノール中ZrOCl2・8H2Oの飽和溶液を液滴流延することによって、評価した。750℃におけるエチレン原料によるこれらのウエハの水素およびCVD処理下の前処理後、整列されたCNTの束(「ミニ森林」)が、SEMによって、これらのウエハ上の種々の場所に観察され得た(図3A−3B参照)。これらのウエハの多くは、成長を呈しなかったが、成長は、観察された場所では、高収率であった。また、これらのウエハ上で観測可能なものとして、ミニ森林および他の長い(5μmを上回る)CNT束が観察された、ジルコニアの亀裂が入った板状晶、群、および膜があった。類似結果は、アルミナおよびシリカ上のジルコニアに対しても観察された。
【0081】
ジルコニアまたは還元ジルコニウム種(例えば、水素および炭化水素への高温曝露から生じる)のいずれが、これらの基板上のCNT成長ナノポジタとしての役割を果たしたかを理解するために、ジルコニア塗膜ウエハを、CVD成長の実験施設内XPSによって分析した。CVD成長条件へのウエハの曝露の前後両方に、金属ジルコニウムまたは炭化ジルコニウムは、観察されなかったこことが認められ、代わりに、ZrO2に対して予測された範囲内に、高結合エネルギー化学作用のみ、見つかった。これらの観察は、文献における、高温でのZrO2化学作用の理解によって裏付けられる。ZrO2は、1500℃以上の温度でさえも、H2によって還元されないことが知られている。
【0082】
加えて、ZrO2の炭素熱還元は、Zr金属をもたらさず、代わりに、ZrCの形成をもたらし、Sacksら(Journal of Materials Science 2004,39,6057−6066、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、Ar下のナノ結晶性ZrO2からZrCへの炭素熱還元さえ、本研究で使用される成長温度より遥かに高い、約1200℃の温度のみで開始することを報告している。バルクZrO2−Al2O3およびZrO2−SiO2の位相図を考慮すると、支持体との有意な反応は、CNTのCVD成長のための条件において生じないことが予測される。ZrO2−SiO2系の位相図は、1000℃未満において、単斜晶型ZrO2とジルコン(ZrSiO4)が、好ましい位相構成であることを示す。しかしながら、ジルコンが、CVD成長条件の間、形成される場合、XPSスペクトルは、Si 2p領域内のSiO2に対する信号にわたって重畳された付加的シリコン化学作用、ならびに〜1eVのより高い結合エネルギーへのZr 3d領域における特異的シフトを示すであろうが、そのいずれも認められなかった。恐らく、CNT成長の本質的還元環境では、酸化物間のそのような反応は、阻害されるであろう。同様に、ZrO2−Al2O3系では、別個の酸化物の混合物のみ(すなわち、相転移はない)、750℃および900℃(最大1150℃)の両方で予測される。
【0083】
ジルコニア自体が、CNT成長ナノポジタとしての役割を果たすという仮説を立証するために、ZrO2からのCNTの低圧CVD成長の原位置XPS分析を行った。図4A−4Bは、本実験からのSi基板上のZrO2から成長されたCNTのSEM画像を示す。CNTの実質的収率は、SEMによって、XPS分析面積内で観察され、基板表面上のジルコニアの板状晶上で容易に同定可能であって。図5は、水素中で加熱後、アセチレンおよびH2による成長の間、ならびにCVD後の真空下で冷却の間の本試料からのXPSスペクトルのC 1sおよびZr 3d領域の進行を示す。水素(図示せず)の導入に先立って、最初に、表面上の電子求引性酸塩化物およびアルコキシドの存在に対応する、182.6eVを中心とするZrの高結合エネルギー化学作用が観察された。水素の導入に応じて、Zr 3d信号は、ジルコニアの形成に対応する、低結合エネルギーにシフトした。ジルコニアの2相に対応する、2つの対のスピン軌道分裂ピークは、182.5eVにおけるZr 3d5/2ピークを伴う相と、181.8eVにおけるZr 3d5/2ピークを伴う相に、分解することができる。低結合エネルギー信号は、ジルコニアの酸素欠乏相に起因する一方、高結合エネルギー信号は、化学量論的ZrO2に起因する。
【0084】
したがって、H2の導入は、蒸着されたジルコニア膜をZr金属に還元しておらず、代わりに、残留塩化物およびアルコキシド基を取り除き、酸化物相をもたらすことが分かった。アセチレンの後続導入は、帯電効果に起因する付加的一時的低位高結合エネルギー信号を引き起こした(同様に図示せず)。本信号は、消失し、ジルコニアの2相に対応する信号のみ、CVD成長全体を通して残存した。アセチレン流への水素の添加に応じて、CNTの核生成と、可能性として、他の炭素質構造の形成とに起因し得る、C 1sピークが出現した。本ピークは、283.4eVに位置する低結合エネルギー成分とともに、他のナノポジタからCNT成長に観察されるいくつかの成分に分解された。本ピークは、炭化ジルコニウムのC 1sピーク(282eV)に対して予測された位置と整合しなかった。いかなる理論によっても拘束されることを所望するわけではないが、これは、蒸着された有機物と支持体との相互作用によって生じたものであろう。最後に、冷却に応じて、成長の間に観察されたジルコニアの2相のみ、帯電効果に起因する高結合エネルギー信号とともに、残留した。CNTのCVD成長前、間、または後のいずれの時点においても、金属ジルコニウム(結合エネルギー178.6−179.6eV)または炭化ジルコニウム(結合エネルギー179−181.1eV)は、Zr 3d領域内で観察されなかった。したがって、CNT成長ナノポジタは、酸化物ジルコニアであったと結論付けられ得る。アルミナで塗膜されたジルコニアが含まれていないSi基板上のヌルCNT成長は、10−nmアルミナ支持体層が、ナノポジタとしての役割を果たしていなかったことを示唆する。
【0085】
注目すべきこととして、Si基板の原位置XPSスペクトルにおけるC 1sピークは、アセチレンの導入直後に表出しなかったが、水素が同様に添加された後のみに表出した。いかなる理論によっても拘束されることを所望するわけではないが、水素の導入は、次いで、ジルコニアによって、CNTおよび/または他の固体形態の炭素中に吸収され、形質転換され得る、他の有機前駆体中へのアセチレンの形質転換を補助し得る。恐らく、FeおよびNi等の一般的金属CNTナノポジタは、本炭化水素消化プロセスに直接触媒作用を及ぼすことが可能であって、これは、ジルコニアがCNTの低面積収率をもたらす理由を説明し得る。
【0086】
我々は、時間分解原位置XPSが、その瞬間におけるCNT成長の間のナノポジタの化学状態に関する正確な状態を提供することに留意する。それでもなお、成長の間の活性種が、少量として存在する種の検出限界によって、または取得時間より高速な時間スケールに基づく、種の状態短遷移変化のため、XPSによって見落とされる場合があるかどうかに関して疑問が生じる。しかしながら、そのような短および/または小原子分率プロセスが、発生し、金属または炭化物系Zrのトレースをもたらす場合、これらのトレースは、還元されたZrは、真空下、再酸化せず、検出可能のまま残るだけではなく、蓄積し、経時的により検出可能となるはずであるため、分析におけるある時点において検出可能であっただろうことが議論され得る。
【0087】
Raman分光法を、原位置XPS成長のための使用されるSi基板上で行い、成長から生じたCNTのタイプおよび質を査定した。130乃至280cm−1のラジアルブリージングモードが、XPS分析面積内で観察され、SWNTの存在を示した(図6参照)。Si/SiO2基板上の個々のナノチューブに対して、レーザと共鳴状態にあるナノチューブの直径は、dt[nm]=233cm−1/ωRBMによって近似することができる。図6に示されるスペクトルの場合、1.67nm、1.18nm、および0.84nmのナノチューブが観察された。低D対G比は、高品質低欠損CNTの存在を示唆した。ジルコニアからのRamanピークは、CNTが最も良好に分解された炭素Ramanピークと比較して、容易に観察可能ではなかった。
【0088】
原位置XPS分析の間、ジルコニアナノ粒子から成長されたCNTを、TEMグリッド(C膜を伴うCu)上に移動し、XPS測定が、ナノスケールにおける粒子を表し、ジルコニアナノ粒子が、CNT成長に寄与する、ナノポジタでったことを立証した。図7A−7Cは、ジルコニアナノ粒子に取着されたCNTを示すTEM画像を含む。観察された粒子が、ジルコニウム金属ではなく、ジルコニアであったことをさらに証明するために、走査型透過電子顕微鏡法(STEM)を行い、点局在エネルギー分散型X線分析装置(EDAX)を使用して、ナノポジタの元素組成物を特性評価した。EDAXは、ナノポジタナノ粒子に対して、約30%Zrおよび約70%Oの化学量論を示し(図7D参照)、ZrO2の化学量論を示唆し、さらに、原位置および実験施設内XPSならびにXRD特性評価が、ナノスケールを表したことを示唆した。複数のCNTに取着した複数の粒子は、類似化学量論を呈した。測定された酸素対ジルコニウムの比は、±5%以内で、粒子間で一致しており、着目粒子から収集されたEDAXスペクトルによって証明されるように、グリッドまたはグリッド上の他の構造に起因していなかった。
【0089】
高温での炭素の存在下のナノ粒子ジルコニアの相互作用をより理解するために、ジルコニアナノ粒子ドープ炭素エアロゲルの研究を行った。ナノ粒子ドープ炭素エアロゲル系は、材料のナノ粒子と炭素との相互作用を研究するためのいくつかの効果をもたらす。第1に、広範囲に及ぶナノ粒子組成物に対して、非晶質炭素マトリクス内に分散されるバルク量のナノ粒子の合成を可能にする。第2に、エアロゲル材料は、巨視的3次元モノリスであるため、表面結合粒子のための使用が困難である可能性がある、XRDのようなバルク特性評価技法、ならびにXPSのような表面分析技法の両方を、着目ナノ粒子を特性評価するために使用することができる。さらに、材料は、広範囲に及ぶ温度にわたって、熱分解することができ、ナノ粒子−炭素相互作用への温度依存性の調査を可能にする。
【0090】
エアロゲルは、金属ドープ炭素エアロゲルを調製するために使用される、イオン交換技法の適応バージョンを使用して、調製した。イオン交換(前述のSteinerらに説明される)を通して調製された金属ドープ炭素エアロゲルは、一般的には、金属含有ナノ粒子(「ブルーベリー」)が、低密度メソ多孔性非晶質炭素骨格(「マフィン」)全体を通して分散される、「ブルーベリーマフィン」形態を呈する。FeおよびCuドープ炭素エアロゲルの場合、本炭素骨格は、熱分解温度最大1050℃に対して、非ドープ炭素エアロゲルと、本質的に、同一である。熱分解の間、エアロゲルのレソルシノールホルムアルデヒド型ポリマー骨格は、脱水され、非晶質炭素をもたらすことができる。同時に、ポリマー骨格に取着された金属イオンは、還元され、ある直径の範囲を有し、かつ金属に応じて、晶子相および表面組成物の範囲を有する金属含有ナノ粒子のスペクトルに結晶粒を粗大化することができる。しかしながら、同様に調製されたNiおよびCoドープ炭素エアロゲルでは、その他の点では非晶質炭素マトリクスである中に、金属ナノ粒子を囲繞する黒鉛ナノリボンを観察することができる。これらの材料では、両方とも、炭素のための溶媒である、NiおよびCoナノ粒子は、黒鉛ナノリボンおよび他の黒鉛ナノ構造への非晶質炭素の固体状態形質転換に触媒作用を及ぼすことができる。
【0091】
金属ドープ炭素エアロゲルを調製するために使用される同一イオン交換プロセスを、イオン交換塩としてZrOCl2のみ使用して、ZrO2ドープ炭素エアロゲルを調製するために使用した。Feドープ炭素エアロゲル系からの結果に基づいて、最初、金属ジルコニウムおよび/または炭化ジルコニウムナノ粒子が混入された非晶質炭素構造を伴う、炭素エアロゲルが、予測された。しかしながら、CNT成長の間の酸素欠乏ジルコニアを超越した、ジルコニルの非還元性の我々の観察と一致して、ジルコニア(ZrO2)ナノ粒子が混入された炭素エアロゲルが、代わりに、もたらされた。ZrO2ドープ炭素エアロゲル(図8参照)のXRDは、これらの材料中に、ジルコニアの晶子の存在を示す。回折パターンは、単斜晶型バデレアイトジルコニア(化学量論ZrO2を伴う)にわたって重畳されたジルコニア(ZrO1.688−ZrO1.740の範囲に及ぶ化学量論を有する)の酸素欠乏相に相整合した。観察された広いピーク幅は、平均ジルコニア晶子サイズが、ナノメートル範囲にあることを示し、Scherrerの式d=0.9λ/Bcos(θ)を使用して、ピーク半値全幅値を晶子サイズと相関させ、平均晶子サイズ約7nmが求められた。ZrまたはZrCと関連付けられたピークは、観察されなかった。加えて、約21°2−θを中心とした広いピークは、エアロゲルの炭素成分と関連付けられ、炭素エアロゲルの典型である。
【0092】
ZrO2ドープ炭素エアロゲルモノリスの外側および内側表面の実験施設内XPS分析(図9参照)は、800℃および1050℃の両方で熱分解された試料に対して、Zr 3d領域において、2つの対のスピン軌道分裂ピークを示し、2つのジルコニア表面化学作用の存在を示した。800℃で熱分解された試料では、183.4eVにおけるZr 3d5/2ピークは、ZrO2に対する結合エネルギーと相関する一方、182.3eVの結合エネルギーを伴うZr 3d5/2ピークは、化学量論的ZrO2より若干低い結合エネルギーに降下し、恐らく、酸素結合化学作用、ZrO2−xである。低結合エネルギー化学作用は、800℃では、有力表面化学作用であるが、1050℃では、可能性として、アニーリングによって、化学量論的ZrO2に起因する高結合エネルギー化学作用に移行する。低結合エネルギー化学作用はまた、1050℃において、181.9eVにシフトし、さらなる酸素欠乏を示唆する。いかなる理論によっても拘束されることを所望するわけではないが、これは、化学量論的ZrO2を形成するための酸素の移動によるものであろう。Zr金属(結合エネルギー178.6−179.6eV)およびZrC(結合エネルギー178−179eV)は、100回の掃引後、観察されなかった。O 1s領域は、ZrO2内の酸素の結合エネルギーと一致する、530eVおよび531eVにおける2つと、同様に、非ドープ炭素エアロゲル内で見られ、エアロゲル骨格上の酸化表面炭素に起因した、532.8−532.9eVにおける1つと、を含む、酸素のいくつかの化学作用の存在を示した。2つの非炭素エアロゲル酸素化学作用および2つのジルコニア化学作用の存在は、ジルコニアの2つの相の存在を示す、XRDパターン相整合を支持するが、恐らく、これらの試料中にある準化学量論的表面酸化物の混成物も存在する。さらに、観察された低結合エネルギージルコニア化学作用は、XRDによる酸素欠乏相の観察と一致する。ZrO2ドープ炭素エアロゲルおよび非ドープ炭素エアロゲルの両方に対するC 1s領域は、本質的に、同等であって、C 1s領域(C 1s 282 eV)またはZr 3d領域(179−181.1eV)のいずれかにおいて、ZrCに起因するピークは、観察されない。
【0093】
ZrO2ドープ炭素エアロゲルのXRDおよび実験施設内XPSから導出された、ジルコニアの表面ならびに結晶学的組成物に関する観察は、ナノ粒子ZrO2が、最大1050℃の温度において、炭素熱還元されなかったことを示し、CNTのCVD成長の間の原位置XPSからの我々の観察を補強する。さらに、これらの酸化物ナノ粒子は、空気に曝露されると酸化される熱分解の間に形成される、例えば、ZrまたはZrCをもたらす可能性はなかった。調製された他の金属ドープ炭素エアロゲル(例えば、Cu、Fe、Ta、Re、およびW)は、空気曝露から生じる酸化物表面化学作用に加え、空気曝露後しばらく(数ヶ月)、そのXRDパターンにおいて、金属晶子と、そのXPSスペクトルにおいて、検出可能金属表面化学作用とを呈した。Zrは、これらの金属のうちのいくつか、特に、Feより酸化を被りにくく、したがって、還元されたZrが、熱分解の間に形成される場合、空気曝露後、XRDおよび実験施設内XPSの一方または両方によって、検出可能であろう。
【0094】
図10に示される、TEM下のZrO2ドープ炭素エアロゲルの調査は、ZrO2ナノ粒子をカプセル化するフラーレンケージ構造の存在を示した。これらの種類の構造は、非ドープ炭素エアロゲルにおいて観察されない。励起波長514nmでのZrO2ドープ炭素エアロゲルのRaman分光法は、非ドープ炭素エアロゲルのものと類似する広D帯および広G帯を示した。これは、エアロゲル内のフラーレン構造が、エアロゲル骨格全体を表さず、むしろ、実験施設内XPSによって決定されるように、エアロゲル構造の約2.9%のみを含む、エアロゲル内のZrO2ナノ粒子の周囲に局在することを示唆する。これらの観察は、ジルコニアが非晶質炭素を黒鉛化することができるという結論を支持する。
【0095】
次いで、ZrO2ドープ炭素エアロゲルを、700−750℃でエチレン原料を使用した熱CVDを介して、CNTの成長を増加させる活性に対して査定した。CNTの絡み合った束が、図11A−11Bに示されるように、ZrO2ドープ炭素エアロゲルモノリスの外部表面を被覆するように観察された。CVD処理されたZrO2ドープ炭素エアロゲルのTEMは、観察された構造が、実際、MWNTであったことを立証した(図11B)。MWNTは、TEM下、炭素エアロゲル骨格内のジルコニアナノ粒子から延在するように認められた。同一CVD成長条件での処理後、非ドープ炭素エアロゲル上に、CNTは、観察されなかった。これらの観察は、再度、ジルコニア粒子が、CNT成長ナノポジタとしての役割を果たしていたことを示唆した。ZrO2ドープ炭素エアロゲルのCVD後XPS分析は、CNT成長による、検出可能なジルコニウム表面化学作用の変化を示さず、再度、ジルコニアが、CNT成長温度において、水素または炭素によって還元されないであろうという予測と一致する。CVD成長条件の間のジルコニアドープ炭素エアロゲルの原位置XPS分析はさらに、あらゆる金属ジルコニウムまたは炭化ジルコニウムの不在を立証した。したがって、炭素エアロゲル中のジルコニアナノ粒子は、CVD成長プロセスによって、または囲繞非晶質炭素による炭素熱還元から、還元されず、酸化物状態におけるCNTナノポジタとしての役割を果たしたと結論付けられるであろう。1050℃で熱分解されたZrO2ドープ炭素エアロゲル上にもたらされたCNTは、800℃で熱分解されたエアロゲル上より著しく少なかった。本所見は、800℃で熱分解されたエアロゲル中により見られる酸素欠乏ジルコニアが、CNT成長を可能にするために好ましくあり得ることを示唆する。
【0096】
ZrO2ドープ炭素エアロゲルからのCNTの成長後、別の炭素基板である、炭素繊維上のジルコニアを使用したCVD成長を行った。繊維束を、2−プロパノール溶液中、飽和ZrOCl2によって浸漬塗膜し、H2下、成長温度に加熱し、ZrO2ドープ炭素エアロゲルに対して行われたように、原料ガスとして、エチレンを伴うCVDを使用して、処理した。CNTの成長が、図12A−12Bに示されるように、CVD後、繊維上で観察された。炭素繊維への孔食または他の損傷は、観察されなかった(CNTが鉄塩の溶液によって浸漬塗膜された炭素繊維上に成長される場合のように)。本性能は、ジルコニアが、ナノ構造成長温度(例えば、炭素ナノチューブ成長のための温度)において、金属と反応する、基板(例えば、炭素)を使用する時、ナノ構造成長のためのナノポジタとして使用されることができることを示唆する。
【0097】
いかなる特定の理論に拘束されることを所望するわけではないが、バルクZrO2の高溶融点は、ナノスケールZrO2が、粒子サイズ効果を要因としており込んだ後でさえ、本明細書で使用されるCVD成長温度において、融解状態に存在することを起こりにくくする。加えて、バルクZrO2中のCの低拡散性を考慮すると、ZrO2によるCNTおよび黒鉛ナノシェルの成長の成功は、表面媒介性機序によって、CNT成長が生じることを示唆する。いかなる特定の理論に拘束されることを所望するわけではないが、鉄のような酸化ジルコニウムは、ナノチューブ/ナノシェル構造のアセンブリを補助する、その表面上の有機分子の反応に触媒作用を及ぼし得るが、酸化ジルコニウムは、Feおよび他の金属と異なる中間物および結合構成を伴い得る。
【0098】
(実施例2)
本実施例は、事前に加工された単分散高純度ジルコニアナノ粒子ナノポジタの生産およびジルコニアナノ粒子ナノポジタからの炭素ナノチューブ(CNT)の成長について、説明する。
【0099】
(ナノ粒子合成)
単分散ジルコニアナノ粒子を、本明細書のいずれかに説明されたJooらの方法に従って調製した(Journal of the American Chemical Society,2003,125,6553−6557参照)。概説すると、ジルコニウムイソプロポキシドプロパノール錯体および四塩化ジルコニウムを、添加して、再蒸留し、酸化トリオクチルホスフィン(TOPO)を60℃で脱気した。反応混合物を、340℃まで徐々に上昇させ、激しく撹拌しながら、本温度で2時間保持した。次いで、反応混合物を60℃まで冷却し、乾燥させ、脱気されたアセトンを添加し、結果として得られたジルコニアナノ粒子を沈殿させた。本技法を通して調製され、CNT成長のために使用されるナノ粒子のHRTEM特性評価は、平均粒子直径約4乃至5nmを伴う、非常に均一な粒子サイズ分布を示した。図13は、CNT成長に先立って、CNTを成長させるために使用される、ジルコニアナノ粒子のHRTEM画像を示す。乾燥し、沈殿したジルコニアナノ粒子を、2−プロパノール、n−ペンタン、またはトルーエンに添加し、種々の濃度の溶液を生産し(0.005mg/mL、0.05mg/mL、0.5mg/mL、および5mg/mL)、溶液を撹拌した。溶液を、3分間、超音波で分解し、粒子をより拡散させた。次いで、結果として得られた溶液を、200−nm酸化ケイ素を伴うシリコンウエハまたは200−nm酸化ケイ素支持体上の10−nm酸化アルミニウムに塗布した。
【0100】
(基板へのナノ粒子の塗布)
ナノ粒子の溶液を、液滴流延、スピン塗膜、または浸漬塗膜を通して、塗布した。液滴流延の場合、1−2滴の溶液を、長いガラスのPasteurピペットから、ウエハ表面に滴下し、空気中で蒸発乾燥させるか、または低速N2流の補助の下、急速乾燥させるかのいずれかを行った。スピン塗膜の場合、標的ウエハを、2500rpmまでスピンさせ、1−2滴の溶液を、Pasteurピペットから、ウエハ表面に滴下した。ウエハを、溶液の塗布後、約1分間、スピンさせた。浸漬塗膜試料、ウエハを所望の溶液中に挿入し、1秒間にわたって待避させ、N2流で乾燥させた。
【0101】
ナノ粒子膜を、Langmuir−Blodgett方法を使用して調製した。概説すると、トルーエン中、0.5mg/mL 4−nmジルコニアナノ粒子の溶液をトルーエンが水の表面全体を被覆するように、ビーカー内の水の層上にピペットで採取した。次いで、低速N2流を使用して制御可能にトルーエンを蒸発させ、疎水性ジルコニアナノ粒子を膜中に沈殿させた。次いで、膜下のウエハを掬い取り、ウエハ表面上に膜が留保するように、溶液からウエハをゆっくりと引き上げることによって、浮遊膜をシリコンウエハ上に捕捉した。次いで、膜を、基板表面に接着した。次いで、膜塗膜ウエハをN2流で乾燥させた。
【0102】
(炭素ナノチューブのCVD成長)
CNTのCVD成長を種々の条件下において行った。一組の条件下において、1”石英プロセスチューブ内において、H2およびHe流下において、試料を750℃まで加熱し、その時点で、30分間、C2H4流を添加した。次いで、C2H4およびH2を除去し、試料を周囲条件まで冷却した。別の一組の条件では、C2H2を原料として使用した。さらに別の一組の条件では、試料を900℃まで加熱し、CH4を原料として使用した。さらに別の一組の条件では、試料を10−2torrに真空化された真空チャンバの内側に留置し、黒鉛基板ヒータによって、〜650℃まで加熱し、C2H2を原料として使用した。すべての場合において、CNT成長が、SEM、TEM、AFM、およびRaman分光法によって立証されるように、CVD処理後、基板上で観察された。
【0103】
図14A−14Bは、2−プロパノールから液滴流延されたジルコニアナノ粒子ナノポジタによって成長され、C2H4を有する大気CVDによって処理されたCNTのSEM画像を示す。図15は、ペンタンから液滴流延されたジルコニアナノ粒子ナノポジタによって成長され、同一条件で処理された、CNTのSEM画像を示す。類似結果が、他の溶媒、ナノ粒子蒸着方法、およびCVD条件に対して観察された。広範囲に及ぶCVD条件下において、種々のCVDツールを使用した厳格な試料調製条件による高純度かつ良好な特性のジルコニアナノ粒子のCNTの成長の成功は、アプローチの有効性および多用途性を立証する。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態を本明細書で説明および図示したが、当業者であれば、本明細書で説明される機能を果たし、および/または、結果および/または利点のうちの1つ以上を得るための種々の他の手段および/または構造を容易に想定し、そのような変化例および/または修正のそれぞれは、本発明の範囲内であると見なされる。より一般的には、当業者であれば、本明細書で説明される全てのパラメータ、寸法、材料、および構成は、例示的となるように意図されており、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は、本発明の教示が使用される、1つまたは複数の具体的用途に依存することを、容易に理解するであろう。当業者であれば、日常的にすぎない実験を使用して、本明細書で説明される本発明の具体的実施形態の多くの同等物を認識するか、または確認することができるであろう。したがって、先述の実施形態は、一例のみとして提示され、添付の請求項およびその同等物の範囲内で、具体的に説明および請求される以外の方法で本発明が実践されてもよいことを理解されたい。本発明は、本明細書で説明される、各個別特徴、システム、部品、材料、キット、および/または方法を対象とする。加えて、そのような特徴、システム、部品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾していなければ、2つ以上のそのような特徴、システム、部品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせが、本発明の範囲内に含まれる。
【0105】
本明細書および本請求項で使用されるような、「1つの」という不定冠詞は、明確にそれとは反対に示されない限り、「少なくとも1つの」を意味すると理解されたい。
【0106】
本明細書および本請求項で使用されるような、「および/または」という語句は、そのように結合される要素、すなわち、ある場合では接合的に存在し、他の場合では離接的に存在する要素の「いずれか一方または両方」を意味すると理解されたい。明確にそれとは反対に示されない限り、「および/または」という節によって具体的に識別される要素と関係するか、無関係であるかにかかわらず、それらの具体的に識別される要素以外に、他の要素が随意で存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」の参照は、「〜を含む」等の非制約的用語と併せて使用されると、一実施形態では、BのないA(随意でB以外の要素を含む)を指し、別の実施形態では、AのないB(随意でA以外の要素を含む)を指し、さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(随意で他の要素を含む)等を指す。
【0107】
本明細書および本請求項で使用されるような、「または」は、上記で定義されるような「および/または」と同じ意味を有すると理解されたい。例えば、一覧中のアイテムを分離する時に、「または」あるいは「および/または」は、包括的であるとして解釈されるものであり、すなわち、少なくとも1つを含むが、多数の要素または要素の一覧のうちの2つ以上と、随意で、付加的な非記載アイテムも含む。「〜のうちの1つのみ」または「〜のうちの正確に1つ」等の、明確にそれとは反対に示される用語のみ、または、請求項で使用される時に、「〜から成る」が、多数の要素または要素の一覧のうちの正確に1つの包含を指す。一般に、本明細書で使用されるような「または」という用語は、「いずれか一方」、「〜のうちの1つ」、「〜のうちの1つのみ」、または「〜のうちの正確に1つ」等の、排他性の用語が先行すると、排他的代替物(すなわち、「一方または他方であるが、両方ではない」)としてのみ解釈されるものである。「本質的に〜から成る」は、請求項で使用されると、特許法の分野で使用されるような、その通常の意味を有するものである。
【0108】
本明細書および本請求項で使用されるような、1つ以上の要素の一覧を参照した「少なくとも1つ」という語句は、要素の一覧中の要素のうちのいずれか1つ以上から選択される、少なくとも1つの要素を意味するが、要素の一覧内で具体的に記載される、あらゆる要素のうちの少なくとも1つを必ずしも含むとは限らず、要素の一覧中の要素の任意の組み合わせを除外しないことを理解されたい。この定義はまた、「少なくとも1つ」という語句が指す要素の一覧内で具体的に識別される要素と関係するか、無関係であるかにかかわらず、それらの具体的に識別される要素以外の要素が随意で存在してもよいことも許容する。したがって、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または同等に、「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または同等に、「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bが存在しない、随意で2つ以上を含む、少なくとも1つのA(随意でB以外の要素を含む)を指し、別の実施形態では、Aが存在しない、随意で2つ以上を含む、少なくとも1つのB(随意でA以外の要素を含む)を指し、さらに別の実施形態では、随意で2つ以上を含む、少なくとも1つのA、および、随意で2つ以上を含む、少なくとも1つのB(随意で他の要素を含む)等を指すことができる。
【0109】
請求項ならびに上記の明細書では、「〜を含む」、「〜を含む」、「〜を持つ」、「〜を有する」、「〜を含有する」、「〜を伴う」、「〜を担持する」、および同等物等の、全ての移行句は、非制約的である、すなわち、「〜を含むがそれらに限定されない」を意味すると理解されたい。「〜から成る」および「本質的に〜から成る」という移行句のみが、United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures,Section 2111.03に規定されているように、それぞれ、制約的または半制約的移行句となるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素ナノチューブを成長させる方法であって、
ナノポジタ上に炭素ナノチューブの形成を生じさせる条件下において、炭素ナノチューブ前駆体を酸化ジルコニウムを含むナノポジタに曝露すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記酸化ジルコニウムの中のジルコニウム原子のうちの約2%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、ゼロ酸化状態に還元される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸化ジルコニウムの中のジルコニウム原子のうちの約1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、ゼロ酸化状態に還元される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記酸化ジルコニウムの中のジルコニウム原子のうちの約0.1%は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、ゼロ酸化状態に還元される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記酸化ジルコニウムの中のジルコニウム原子は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、実質的にゼロ酸化状態に還元されない、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記酸化ジルコニウムの中のジルコニウム原子のうちの約2%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、炭化ジルコニウムを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記酸化ジルコニウムの中のジルコニウム原子のうちの約1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、炭化ジルコニウムを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記酸化ジルコニウムの中のジルコニウム原子のうちの約0.1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、炭化ジルコニウムを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記酸化ジルコニウムの中のジルコニウム原子は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、実質的に炭化ジルコニウムを形成しない、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記酸化ジルコニウムは、約1.0乃至約2.0の範囲の酸素対ジルコニウム比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記酸化ジルコニウムは、約1.6乃至約2.0の範囲の酸素対ジルコニウム比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記酸化ジルコニウムは、ZrO2を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ナノポジタは、成長基板と接触する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記成長基板は、非晶質炭素、炭素エアロゲル、炭素繊維、黒鉛、ガラス状炭素、炭素−炭素合成物、グラフェン、凝集ダイヤモンドナノロッド、ナノダイヤモンド、またはダイヤモンドのうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記曝露するステップは、炭素ナノチューブ前駆体材料が前記ナノポジタに接触するように、該ナノポジタを該前駆体材料に曝露することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記前駆体材料は、炭化水素およびアルコールのうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記一組の条件は、実質的に約1気圧以下の圧力を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記一組の条件は、約300−1100℃の温度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記一組の条件は、約500−900℃の温度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ナノポジタは、ドーパントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記ドーパントは、Ca、Mg、Sr、Ba、Y、およびMoのうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ナノポジタは、約0.1原子%乃至約5原子%カルシウムを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記炭素ナノチューブ前駆体は、固体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記固体は、石炭、コークス、非晶質炭素、未熱分解有機ポリマー、部分的に熱分解された有機ポリマー、ダイヤモンド、黒鉛のうちの少なくとも1つを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
炭素ナノチューブを成長させる方法であって、
ナノポジタ上に炭素ナノチューブの形成を生じさせる条件下において、炭素ナノチューブ前駆体を非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含むナノポジタに曝露することを含み、
該ナノポジタは、該ナノポジタと異なる材料を含む成長基板の一部と接触し、
該非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、該炭素ナノチューブの形成の間に、ゼロ酸化状態に還元され、
該非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、該炭素ナノチューブの形成の間に、炭化物を形成する、方法。
【請求項26】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、ゼロ酸化状態に還元される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約0.1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、ゼロ酸化状態に還元される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つは、前記炭素ナノチューブの形成の間に、実質的にゼロ酸化状態に還元されない、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つの約1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、炭化物を形成する、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約0.1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、炭化物を形成する、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
酸化ジルコニウムの中のジルコニウム原子は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、実質的に炭化ジルコニウムを形成しない、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記ナノポジタの中の前記金属原子および半金属原子のうちの少なくとも1つの全部は、実質的に非ゼロ酸化状態の、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記ナノポジタは、金属酸化物を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
前記ナノポジタは、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化モリブデン、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、金属炭化物、金属窒化物、および金属リン化物のうちの少なくとも1つを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ナノポジタは、酸化ジルコニウムを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記酸化ジルコニウムは、約1.0乃至約2.0の範囲の酸素対ジルコニウム比を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記酸化ジルコニウムは、約1.6乃至約2.0の範囲の酸素対ジルコニウム比を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記酸化ジルコニウムは、ZrO2を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記ナノポジタは、半金属酸化物を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項40】
前記ナノポジタは、酸化ケイ素および酸化ゲルマニウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記炭素ナノチューブの形成の間、前記ナノポジタは、前記基板の中に有意に拡散しないか、または該基板と有意に化学反応せず、該基板は、該ナノポジタの中に有意に拡散しない、請求項25に記載の方法。
【請求項42】
前記基板の抵抗は、前記ナノポジタの不在下における本質的に同等の条件に曝露される基板の抵抗に対して約100%を超えて変化しない、請求項25に記載の方法。
【請求項43】
前記基板の引張強度は、前記ナノポジタの不在下における本質的に同等の条件に曝露される基板の引張強度よりも約20%未満だけ低い、請求項25に記載の方法。
【請求項44】
前記ナノポジタは、ドーパントを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項45】
前記ドーパントは、Ca、Mg、Sr、Ba、Y、およびMoのうちの少なくとも1つを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記ナノポジタは、約0.1原子%乃至約5原子%のCaを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記炭素ナノチューブ前駆体は、固体を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項48】
前記固体は、石炭、コークス、非晶質炭素、未熱分解有機ポリマー、部分的に熱分解された有機ポリマー、ダイヤモンド、グラフェン、および黒鉛のうちの少なくとも1つを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
炭素ナノチューブを成長させる方法であって、
ナノポジタ上に炭素ナノチューブの形成を生じさせる条件下において、炭素ナノチューブ前駆体を非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含むナノポジタに曝露することを含み、
該炭素ナノチューブの形成は、該ナノポジタと接触する成長基板の不在下において生じ、
該非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、ナノ構造の形成の間に、ゼロ酸化状態に還元され、
該非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、該ナノ構造の形成の間に、炭化物を形成する、方法。
【請求項50】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、ゼロ酸化状態に還元される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約0.1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、ゼロ酸化状態に還元される、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つは、前記炭素ナノチューブの形成の間、実質的にゼロ酸化状態に還元されない、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、炭化物を形成する、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約0.1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、炭化物を形成する、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
酸化ジルコニウムの中のジルコニウム原子は、前記炭素ナノチューブの形成の間、実質的に炭化ジルコニウムを形成しない、請求項49に記載の方法。
【請求項56】
前記ナノポジタは、前記炭素ナノチューブの形成の間、流体中に懸濁される、請求項49に記載の方法。
【請求項57】
前記ナノポジタは、ドーパントを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項58】
前記ドーパントは、Ca、Mg、Sr、Ba、Y、およびMoのうちの少なくとも1つを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記ナノポジタは、約0.1原子%乃至約5原子%のカルシウムを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記炭素ナノチューブ前駆体は、固体を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項61】
前記固体は、石炭、コークス、非晶質炭素、未熱分解有機ポリマー、部分的に熱分解された有機ポリマー、ダイヤモンド、黒鉛のうちの少なくとも1つを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記ナノポジタは、金属酸化物を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項63】
前記ナノポジタは、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化モリブデン、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、金属炭化物、金属窒化物、および金属リン化物のうちの少なくとも1つを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記ナノポジタは、酸化ジルコニウムを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記酸化ジルコニウムは、約1.0乃至約2.0の範囲の酸素対ジルコニウム比を有する、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記酸化ジルコニウムは、約1.6乃至約2.0の範囲の酸素対ジルコニウム比を有する、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記酸化ジルコニウムは、ZrO2を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
前記ナノポジタは、半金属酸化物を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項69】
前記ナノポジタは、酸化ケイ素および酸化ゲルマニウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
炭素系ナノ構造を成長させる方法であって、
炭素系ナノ構造の形成を生じさせる条件下において、固体炭素系ナノ構造前駆体をナノポジタに曝露することを含み、該ナノポジタは、非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項71】
前記固体炭素系ナノ構造前駆体は、石炭、コークス、非晶質炭素、未熱分解有機ポリマー、部分的に熱分解された有機ポリマー、ダイヤモンド、黒鉛のうちの少なくとも1つを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記ナノポジタは、金属酸化物を含む、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記ナノポジタは、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化モリブデン、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、金属炭化物、金属窒化物、および金属リン化物のうちの少なくとも1つを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記ナノポジタは、酸化ジルコニウムを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記酸化ジルコニウムは、約1.0乃至約2.0の範囲の酸素対ジルコニウム比を有する、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記酸化ジルコニウムは、約1.6乃至約2.0の範囲の酸素対ジルコニウム比を有する、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記酸化ジルコニウムは、ZrO2を含む、請求項74に記載の方法。
【請求項78】
前記ナノポジタは、半金属酸化物を含む、請求項70に記載の方法。
【請求項79】
前記ナノポジタは、酸化ケイ素および酸化ゲルマニウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記ナノポジタは、成長基板と接触している、請求項70に記載の方法。
【請求項81】
前記ナノポジタは、前記成長基板の中に有意に拡散しないか、または該成長基板と有意に化学反応せず、該成長基板は、前記炭素ナノ構造の形成の間、該ナノポジタの中に有意に拡散しない、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記基板の抵抗は、前記ナノポジタの不在下において、本質的に同等の条件に曝露される基板の抵抗に対して約100%を超えて変化しない、請求項70に記載の方法。
【請求項83】
前記基板の引張強度は、前記ナノポジタの不在下において、本質的に同等の条件に曝露される基板の引張強度より約20%未満だけ低い、請求項70に記載の方法。
【請求項84】
前記ナノポジタは、ドーパントを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項85】
前記ドーパントは、Ca、Mg、Sr、Ba、Y、およびMoのうちの少なくとも1つを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記ナノポジタは、約0.1原子%乃至約5原子%のCaを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
前記炭素系ナノ構造は、炭素ナノチューブ、炭素ナノ繊維、炭素ナノワイヤ、黒鉛ナノシェル、炭素ナノオニオン、炭素フラーレン、およびグラフェンのうちの少なくとも1つを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項88】
前記炭素系ナノ構造は、炭素ナノチューブを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
炭素ナノチューブを成長させる方法であって、
ナノポジタ上に炭素ナノチューブの形成を生じさせる条件下において、炭素ナノチューブ前駆体を非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含むナノポジタに曝露することを含み、
該非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、ナノ構造の形成の間に、ゼロ酸化状態に還元され、
該非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、該ナノ構造の形成の間に、炭化物を形成する、方法。
【請求項90】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、ゼロ酸化状態に還元される、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約0.1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、ゼロ酸化状態に還元される、請求項89に記載の方法。
【請求項92】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つは、前記炭素ナノチューブの形成の間、実質的にゼロ酸化状態に還元されない、請求項89に記載の方法。
【請求項93】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、炭化物を形成する、請求項89に記載の方法。
【請求項94】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約0.1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、炭化物を形成する、請求項89に記載の方法。
【請求項95】
酸化ジルコニウムの中のジルコニウム原子は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、実質的に炭化ジルコニウムを形成しない、請求項89に記載の方法。
【請求項96】
前記ナノポジタは、ドーパントを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項97】
前記ドーパントは、Ca、Mg、Sr、Ba、Y、およびMoのうちの少なくとも1つを含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記ナノポジタは、約0.1原子%乃至約5原子%のカルシウムを含む、請求項96に記載の方法。
【請求項99】
前記ナノポジタは、金属酸化物を含む、請求項89に記載の方法。
【請求項100】
前記ナノポジタは、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化モリブデン、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、金属炭化物、金属窒化物、および金属リン化物のうちの少なくとも1つを含む、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記ナノポジタは、酸化ジルコニウムを含む、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
前記酸化ジルコニウムは、約1.0乃至約2.0の範囲の酸素対ジルコニウム比を有する、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記酸化ジルコニウムは、約1.6乃至約2.0の範囲の酸素対ジルコニウム比を有する、請求項101に記載の方法。
【請求項104】
前記酸化ジルコニウムは、ZrO2を含む、請求項101に記載の方法。
【請求項105】
前記ナノポジタは、半金属酸化物を含む、請求項89に記載の方法。
【請求項106】
前記ナノポジタは、酸化ケイ素および酸化ゲルマニウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
炭素系ナノ構造を成長させる方法であって、
炭素系ナノ構造の形成を生じさせる条件下において、炭素系ナノ構造前駆体を非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含むナノポジタに曝露することを含み、
該ナノポジタは、成長基板と接触しており、
該ナノポジタのうちの約50原子%未満は、該成長基板の中に拡散するか、または該成長基板と化学反応し、該成長基板は、該炭素ナノ構造の形成の間、該ナノポジタのうちの約50原子%未満の中に拡散する、方法。
【請求項108】
前記成長基板は、炭素を含む、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、前記ナノ構造の形成の間に、ゼロ酸化状態に還元される、請求項107に記載の方法。
【請求項110】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、前記ナノ構造の形成の間に、炭化物を形成する、請求項107に記載の方法。
【請求項111】
前記ナノポジタは、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化モリブデン、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、金属炭化物、金属窒化物、および金属リン化物のうちの少なくとも1つを含む、請求項107に記載の方法。
【請求項112】
前記ナノポジタは、酸化ジルコニウムを含む、請求項107に記載の方法。
【請求項113】
前記ナノポジタは、ドーパントを含む、請求項107に記載の方法。
【請求項114】
前記ドーパントは、Ca、Mg、Sr、Ba、Y、およびMoのうちの少なくとも1つを含む、請求項107に記載の方法。
【請求項115】
前記ナノポジタのうちの約25原子%未満は、前記成長基板の中に拡散するか、または該成長基板と化学反応し、該成長基板は、前記炭素ナノ構造の形成の間に、該ナノポジタのうちの約25原子%未満の中に拡散する、請求項107に記載の方法。
【請求項116】
前記ナノポジタのうちの約10原子%未満は、前記成長基板の中に拡散するか、または該成長基板と化学反応し、該成長基板は、前記炭素ナノ構造の形成の間に、該ナノポジタのうちの約10原子%未満の中に拡散する、請求項107に記載の方法。
【請求項1】
炭素ナノチューブを成長させる方法であって、
ナノポジタ上に炭素ナノチューブの形成を生じさせる条件下において、炭素ナノチューブ前駆体を酸化ジルコニウムを含むナノポジタに曝露すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記酸化ジルコニウムの中のジルコニウム原子のうちの約2%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、ゼロ酸化状態に還元される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸化ジルコニウムの中のジルコニウム原子のうちの約1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、ゼロ酸化状態に還元される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記酸化ジルコニウムの中のジルコニウム原子のうちの約0.1%は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、ゼロ酸化状態に還元される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記酸化ジルコニウムの中のジルコニウム原子は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、実質的にゼロ酸化状態に還元されない、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記酸化ジルコニウムの中のジルコニウム原子のうちの約2%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、炭化ジルコニウムを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記酸化ジルコニウムの中のジルコニウム原子のうちの約1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、炭化ジルコニウムを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記酸化ジルコニウムの中のジルコニウム原子のうちの約0.1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、炭化ジルコニウムを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記酸化ジルコニウムの中のジルコニウム原子は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、実質的に炭化ジルコニウムを形成しない、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記酸化ジルコニウムは、約1.0乃至約2.0の範囲の酸素対ジルコニウム比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記酸化ジルコニウムは、約1.6乃至約2.0の範囲の酸素対ジルコニウム比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記酸化ジルコニウムは、ZrO2を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ナノポジタは、成長基板と接触する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記成長基板は、非晶質炭素、炭素エアロゲル、炭素繊維、黒鉛、ガラス状炭素、炭素−炭素合成物、グラフェン、凝集ダイヤモンドナノロッド、ナノダイヤモンド、またはダイヤモンドのうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記曝露するステップは、炭素ナノチューブ前駆体材料が前記ナノポジタに接触するように、該ナノポジタを該前駆体材料に曝露することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記前駆体材料は、炭化水素およびアルコールのうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記一組の条件は、実質的に約1気圧以下の圧力を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記一組の条件は、約300−1100℃の温度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記一組の条件は、約500−900℃の温度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ナノポジタは、ドーパントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記ドーパントは、Ca、Mg、Sr、Ba、Y、およびMoのうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ナノポジタは、約0.1原子%乃至約5原子%カルシウムを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記炭素ナノチューブ前駆体は、固体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記固体は、石炭、コークス、非晶質炭素、未熱分解有機ポリマー、部分的に熱分解された有機ポリマー、ダイヤモンド、黒鉛のうちの少なくとも1つを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
炭素ナノチューブを成長させる方法であって、
ナノポジタ上に炭素ナノチューブの形成を生じさせる条件下において、炭素ナノチューブ前駆体を非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含むナノポジタに曝露することを含み、
該ナノポジタは、該ナノポジタと異なる材料を含む成長基板の一部と接触し、
該非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、該炭素ナノチューブの形成の間に、ゼロ酸化状態に還元され、
該非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、該炭素ナノチューブの形成の間に、炭化物を形成する、方法。
【請求項26】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、ゼロ酸化状態に還元される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約0.1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、ゼロ酸化状態に還元される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つは、前記炭素ナノチューブの形成の間に、実質的にゼロ酸化状態に還元されない、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つの約1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、炭化物を形成する、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約0.1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、炭化物を形成する、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
酸化ジルコニウムの中のジルコニウム原子は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、実質的に炭化ジルコニウムを形成しない、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記ナノポジタの中の前記金属原子および半金属原子のうちの少なくとも1つの全部は、実質的に非ゼロ酸化状態の、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記ナノポジタは、金属酸化物を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
前記ナノポジタは、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化モリブデン、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、金属炭化物、金属窒化物、および金属リン化物のうちの少なくとも1つを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ナノポジタは、酸化ジルコニウムを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記酸化ジルコニウムは、約1.0乃至約2.0の範囲の酸素対ジルコニウム比を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記酸化ジルコニウムは、約1.6乃至約2.0の範囲の酸素対ジルコニウム比を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記酸化ジルコニウムは、ZrO2を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記ナノポジタは、半金属酸化物を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項40】
前記ナノポジタは、酸化ケイ素および酸化ゲルマニウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記炭素ナノチューブの形成の間、前記ナノポジタは、前記基板の中に有意に拡散しないか、または該基板と有意に化学反応せず、該基板は、該ナノポジタの中に有意に拡散しない、請求項25に記載の方法。
【請求項42】
前記基板の抵抗は、前記ナノポジタの不在下における本質的に同等の条件に曝露される基板の抵抗に対して約100%を超えて変化しない、請求項25に記載の方法。
【請求項43】
前記基板の引張強度は、前記ナノポジタの不在下における本質的に同等の条件に曝露される基板の引張強度よりも約20%未満だけ低い、請求項25に記載の方法。
【請求項44】
前記ナノポジタは、ドーパントを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項45】
前記ドーパントは、Ca、Mg、Sr、Ba、Y、およびMoのうちの少なくとも1つを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記ナノポジタは、約0.1原子%乃至約5原子%のCaを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記炭素ナノチューブ前駆体は、固体を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項48】
前記固体は、石炭、コークス、非晶質炭素、未熱分解有機ポリマー、部分的に熱分解された有機ポリマー、ダイヤモンド、グラフェン、および黒鉛のうちの少なくとも1つを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
炭素ナノチューブを成長させる方法であって、
ナノポジタ上に炭素ナノチューブの形成を生じさせる条件下において、炭素ナノチューブ前駆体を非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含むナノポジタに曝露することを含み、
該炭素ナノチューブの形成は、該ナノポジタと接触する成長基板の不在下において生じ、
該非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、ナノ構造の形成の間に、ゼロ酸化状態に還元され、
該非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、該ナノ構造の形成の間に、炭化物を形成する、方法。
【請求項50】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、ゼロ酸化状態に還元される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約0.1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、ゼロ酸化状態に還元される、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つは、前記炭素ナノチューブの形成の間、実質的にゼロ酸化状態に還元されない、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、炭化物を形成する、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約0.1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、炭化物を形成する、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
酸化ジルコニウムの中のジルコニウム原子は、前記炭素ナノチューブの形成の間、実質的に炭化ジルコニウムを形成しない、請求項49に記載の方法。
【請求項56】
前記ナノポジタは、前記炭素ナノチューブの形成の間、流体中に懸濁される、請求項49に記載の方法。
【請求項57】
前記ナノポジタは、ドーパントを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項58】
前記ドーパントは、Ca、Mg、Sr、Ba、Y、およびMoのうちの少なくとも1つを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記ナノポジタは、約0.1原子%乃至約5原子%のカルシウムを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記炭素ナノチューブ前駆体は、固体を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項61】
前記固体は、石炭、コークス、非晶質炭素、未熱分解有機ポリマー、部分的に熱分解された有機ポリマー、ダイヤモンド、黒鉛のうちの少なくとも1つを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記ナノポジタは、金属酸化物を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項63】
前記ナノポジタは、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化モリブデン、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、金属炭化物、金属窒化物、および金属リン化物のうちの少なくとも1つを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記ナノポジタは、酸化ジルコニウムを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記酸化ジルコニウムは、約1.0乃至約2.0の範囲の酸素対ジルコニウム比を有する、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記酸化ジルコニウムは、約1.6乃至約2.0の範囲の酸素対ジルコニウム比を有する、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記酸化ジルコニウムは、ZrO2を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
前記ナノポジタは、半金属酸化物を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項69】
前記ナノポジタは、酸化ケイ素および酸化ゲルマニウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
炭素系ナノ構造を成長させる方法であって、
炭素系ナノ構造の形成を生じさせる条件下において、固体炭素系ナノ構造前駆体をナノポジタに曝露することを含み、該ナノポジタは、非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項71】
前記固体炭素系ナノ構造前駆体は、石炭、コークス、非晶質炭素、未熱分解有機ポリマー、部分的に熱分解された有機ポリマー、ダイヤモンド、黒鉛のうちの少なくとも1つを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記ナノポジタは、金属酸化物を含む、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記ナノポジタは、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化モリブデン、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、金属炭化物、金属窒化物、および金属リン化物のうちの少なくとも1つを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記ナノポジタは、酸化ジルコニウムを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記酸化ジルコニウムは、約1.0乃至約2.0の範囲の酸素対ジルコニウム比を有する、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記酸化ジルコニウムは、約1.6乃至約2.0の範囲の酸素対ジルコニウム比を有する、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記酸化ジルコニウムは、ZrO2を含む、請求項74に記載の方法。
【請求項78】
前記ナノポジタは、半金属酸化物を含む、請求項70に記載の方法。
【請求項79】
前記ナノポジタは、酸化ケイ素および酸化ゲルマニウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記ナノポジタは、成長基板と接触している、請求項70に記載の方法。
【請求項81】
前記ナノポジタは、前記成長基板の中に有意に拡散しないか、または該成長基板と有意に化学反応せず、該成長基板は、前記炭素ナノ構造の形成の間、該ナノポジタの中に有意に拡散しない、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記基板の抵抗は、前記ナノポジタの不在下において、本質的に同等の条件に曝露される基板の抵抗に対して約100%を超えて変化しない、請求項70に記載の方法。
【請求項83】
前記基板の引張強度は、前記ナノポジタの不在下において、本質的に同等の条件に曝露される基板の引張強度より約20%未満だけ低い、請求項70に記載の方法。
【請求項84】
前記ナノポジタは、ドーパントを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項85】
前記ドーパントは、Ca、Mg、Sr、Ba、Y、およびMoのうちの少なくとも1つを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記ナノポジタは、約0.1原子%乃至約5原子%のCaを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
前記炭素系ナノ構造は、炭素ナノチューブ、炭素ナノ繊維、炭素ナノワイヤ、黒鉛ナノシェル、炭素ナノオニオン、炭素フラーレン、およびグラフェンのうちの少なくとも1つを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項88】
前記炭素系ナノ構造は、炭素ナノチューブを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
炭素ナノチューブを成長させる方法であって、
ナノポジタ上に炭素ナノチューブの形成を生じさせる条件下において、炭素ナノチューブ前駆体を非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含むナノポジタに曝露することを含み、
該非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、ナノ構造の形成の間に、ゼロ酸化状態に還元され、
該非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、該ナノ構造の形成の間に、炭化物を形成する、方法。
【請求項90】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、ゼロ酸化状態に還元される、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約0.1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、ゼロ酸化状態に還元される、請求項89に記載の方法。
【請求項92】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つは、前記炭素ナノチューブの形成の間、実質的にゼロ酸化状態に還元されない、請求項89に記載の方法。
【請求項93】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、炭化物を形成する、請求項89に記載の方法。
【請求項94】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約0.1%未満は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、炭化物を形成する、請求項89に記載の方法。
【請求項95】
酸化ジルコニウムの中のジルコニウム原子は、前記炭素ナノチューブの形成の間に、実質的に炭化ジルコニウムを形成しない、請求項89に記載の方法。
【請求項96】
前記ナノポジタは、ドーパントを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項97】
前記ドーパントは、Ca、Mg、Sr、Ba、Y、およびMoのうちの少なくとも1つを含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記ナノポジタは、約0.1原子%乃至約5原子%のカルシウムを含む、請求項96に記載の方法。
【請求項99】
前記ナノポジタは、金属酸化物を含む、請求項89に記載の方法。
【請求項100】
前記ナノポジタは、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化モリブデン、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、金属炭化物、金属窒化物、および金属リン化物のうちの少なくとも1つを含む、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記ナノポジタは、酸化ジルコニウムを含む、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
前記酸化ジルコニウムは、約1.0乃至約2.0の範囲の酸素対ジルコニウム比を有する、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記酸化ジルコニウムは、約1.6乃至約2.0の範囲の酸素対ジルコニウム比を有する、請求項101に記載の方法。
【請求項104】
前記酸化ジルコニウムは、ZrO2を含む、請求項101に記載の方法。
【請求項105】
前記ナノポジタは、半金属酸化物を含む、請求項89に記載の方法。
【請求項106】
前記ナノポジタは、酸化ケイ素および酸化ゲルマニウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
炭素系ナノ構造を成長させる方法であって、
炭素系ナノ構造の形成を生じさせる条件下において、炭素系ナノ構造前駆体を非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つを含むナノポジタに曝露することを含み、
該ナノポジタは、成長基板と接触しており、
該ナノポジタのうちの約50原子%未満は、該成長基板の中に拡散するか、または該成長基板と化学反応し、該成長基板は、該炭素ナノ構造の形成の間、該ナノポジタのうちの約50原子%未満の中に拡散する、方法。
【請求項108】
前記成長基板は、炭素を含む、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、前記ナノ構造の形成の間に、ゼロ酸化状態に還元される、請求項107に記載の方法。
【請求項110】
前記非ゼロ酸化状態の金属原子および非ゼロ酸化状態の半金属原子のうちの少なくとも1つのうちの約2%未満は、前記ナノ構造の形成の間に、炭化物を形成する、請求項107に記載の方法。
【請求項111】
前記ナノポジタは、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化モリブデン、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、金属炭化物、金属窒化物、および金属リン化物のうちの少なくとも1つを含む、請求項107に記載の方法。
【請求項112】
前記ナノポジタは、酸化ジルコニウムを含む、請求項107に記載の方法。
【請求項113】
前記ナノポジタは、ドーパントを含む、請求項107に記載の方法。
【請求項114】
前記ドーパントは、Ca、Mg、Sr、Ba、Y、およびMoのうちの少なくとも1つを含む、請求項107に記載の方法。
【請求項115】
前記ナノポジタのうちの約25原子%未満は、前記成長基板の中に拡散するか、または該成長基板と化学反応し、該成長基板は、前記炭素ナノ構造の形成の間に、該ナノポジタのうちの約25原子%未満の中に拡散する、請求項107に記載の方法。
【請求項116】
前記ナノポジタのうちの約10原子%未満は、前記成長基板の中に拡散するか、または該成長基板と化学反応し、該成長基板は、前記炭素ナノ構造の形成の間に、該ナノポジタのうちの約10原子%未満の中に拡散する、請求項107に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A−7B】
【図7−2】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A−7B】
【図7−2】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【公表番号】特表2013−500922(P2013−500922A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522814(P2012−522814)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/002135
【国際公開番号】WO2011/014258
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (233)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/002135
【国際公開番号】WO2011/014258
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (233)
【Fターム(参考)】
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