炭素繊維製造設備
【課題】炭素繊維前駆体繊維束の接続作業などに要する作業動線を確保すると共に、供給領域を省スペース化され、かつ連続生産性にも優れた炭素繊維製造設備を目的とする。
【解決手段】炭素繊維の前駆体である前駆体繊維束Fを焼成する製造装置と、前駆体繊維束Fを供給する供給領域2とを備えた設備であって、供給領域2に、供給箱10aおよび待機箱12aが交互に並べられた第1の箱列16aと、第1の箱列16aに隣接し、かつ供給箱10aおよび待機箱12aに隣接する箱が同種の箱となるように供給箱10bおよび待機箱12bが並べられた第2の箱列16bとからなる箱群18が、箱列16a、16bの長手方向が供給領域2から製造装置に向かう前駆体繊維束Fの進行方向に対して垂直方向となるように、かつ隣り合う箱群18が前記進行方向に間隔を開けて、複数群配置されている炭素繊維製造設備。
【解決手段】炭素繊維の前駆体である前駆体繊維束Fを焼成する製造装置と、前駆体繊維束Fを供給する供給領域2とを備えた設備であって、供給領域2に、供給箱10aおよび待機箱12aが交互に並べられた第1の箱列16aと、第1の箱列16aに隣接し、かつ供給箱10aおよび待機箱12aに隣接する箱が同種の箱となるように供給箱10bおよび待機箱12bが並べられた第2の箱列16bとからなる箱群18が、箱列16a、16bの長手方向が供給領域2から製造装置に向かう前駆体繊維束Fの進行方向に対して垂直方向となるように、かつ隣り合う箱群18が前記進行方向に間隔を開けて、複数群配置されている炭素繊維製造設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素繊維製造設備に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維は、種々の優れた物性を備えているため、航空機やスポーツ用品などへの用途や、建築、土木、エネルギー関係の産業用途など、各種の繊維強化複合材料などの強化用繊維として広く利用されている。炭素繊維は、一般にアクリル繊維束などの炭素繊維前駆体繊維束(以下、前駆体繊維束という。)を200〜300℃の酸化性雰囲気下で耐炎化処理した後、さらに1000℃以上の不活性雰囲気下で炭素化処理することにより製造される。
【0003】
また、炭素繊維の製造では、高い操業性でかつ低コストに炭素繊維を製造するために、複数本の前駆体繊維束を、それら各々の前駆体繊維束の端部同士を接続していきながら連続的に焼成(耐炎化処理および炭素化処理)する方法が用いられている(例えば特許文献1)。
炭素繊維を製造する製造設備としては、前駆体繊維束に耐炎化処理および炭素化処理を施す炭素繊維製造装置と、該炭素繊維製造装置に前駆体繊維束を供給する供給領域とからなる設備が用いられている。供給領域には、炭素繊維製造装置に供給される前駆体繊維束を収納する供給箱と、該供給箱に収納された前駆体繊維束の終端に始端が接続される前駆体繊維束を収納する待機箱とがそれぞれ複数配置されている。これにより、供給箱と待機箱の前駆体繊維束の端部同士を接続していきながら連続的に前駆体繊維束を炭素繊維製造装置に供給して焼成する。
【0004】
具体例としては、耐炎化炉および炭素化炉を有する炭素繊維製造装置ならびに供給領域5(図9)を備えた設備が挙げられる。供給領域5には、炭素繊維製造装置(供給領域5のx軸方向側にある。図示せず。)に供給される炭素繊維前駆体繊維束F(以下、前駆体繊維束Fという。図10参照)を収納する供給箱110a、および供給箱110aに収納された前駆体繊維束Fの終端に始端が接続される前駆体繊維束Fを収納する待機箱112aが一対となって隣接された箱組114aが、供給箱110aと待機箱112aが交互になるように並べられた第1の箱列116a(以下、箱列116aという。)と、図9に示すように、箱列116aに隣接し、かつ箱列116aの供給箱110aおよび待機箱112aに隣接する箱が箱列116aと同種の箱となるように供給箱110bおよび待機箱112bが一対となって隣接された箱組114bが並べられた第2の箱列116b(以下、箱列116bという。)とからなる箱群118が、箱列116a、116bの長手方向が供給領域5から炭素繊維製造装置に向かう前駆体繊維束Fの進行方向(x軸方向)に沿うように複数群配置されている。
【0005】
箱群118の箱列116a(箱列116bも同様である。)における各々の箱組114a(図9では10組)において、供給箱110aの前駆体繊維束Fの終端と待機箱112aの前駆体繊維束Fの始端とを接続して接続部aを形成し、前駆体繊維束Fをガイドローラ122により連続的に炭素繊維製造装置へと供給していく(図10および図11)。供給箱110aに収納された前駆体繊維束Fが全て炭素繊維製造装置に送られると、待機箱112aが供給箱となり、続いて前駆体繊維束Fが供給されていく。空の供給箱110aは次の待機箱に取り替えられて、さらに前駆体繊維束Fの端部同士が接続され、これを繰り返すことにより前駆体繊維束Fが連続的に供給される。
【0006】
また、各箱組114a、114bにおいては、前駆体繊維束Fの接続作業や、空になった供給箱の交換、糸切れなどの問題が発生した供給箱もしくは待機箱の取り出し作業など作業が必要となる。そのため、箱列116a、116bからなる箱群118の短手方向(y軸方向)の両側には、それらの作業に要する作業空間が設けられる(図9)。
供給領域5では、このように作業動線を確保しつつ、供給領域を省スペース化するために、箱組114a、114bをx軸方向に連続して配置させて箱列116a、116bを形成させている。
【特許文献1】特開2000−144534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、供給領域5では、供給箱および待機箱を配置する空間および前記作業空間に必要な空間が大きく、供給領域の省スペース化が不十分であった。また、各作業空間が分断されているため、作業動線が長くなる傾向があった。
そのため、前駆体繊維束Fの接続作業などに要する作業動線を確保しつつ、供給領域を省スペース化すること、および作業動線を短くするなど連続生産性を向上させることが望まれている。
【0008】
そこで、本発明では、前駆体繊維束Fの接続作業などに要する作業動線を確保すると共に、供給領域が省スペース化され、かつ連続生産性にも優れた炭素繊維製造設備を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の炭素繊維製造設備は、炭素繊維前駆体繊維束を焼成して炭素繊維を製造する炭素繊維製造装置と、前記炭素繊維製造装置に前記炭素繊維前駆体繊維束を供給する供給領域とを備えた炭素繊維の製造設備であって、前記供給領域に、前記炭素繊維製造装置に供給される炭素繊維前駆体繊維束を収納する供給箱、および該供給箱に収納された炭素繊維前駆体繊維束の終端に始端が接続される炭素繊維前駆体繊維束を収納する待機箱が隣接された箱組が、それら供給箱と待機箱の隣接させた方向に沿って複数並べられた第1の箱列と、該第1の箱列に隣接し、かつ第1の箱列の供給箱および待機箱に隣接する箱が第1の箱列と同種の箱となるように供給箱および待機箱が並べられた第2の箱列とからなる箱群が、前記箱列の長手方向が供給領域から炭素繊維製造装置に向かう炭素繊維前駆体繊維束の進行方向に対して垂直方向となるように、かつ隣り合う箱群が前記進行方向に間隔を開けて、複数群配置されていることを特徴とする設備である。
【0010】
また、本発明の炭素繊維製造設備は、前記進行方向に隣り合う箱群の間隔が前記供給箱および前記待機箱の幅以上であることが好ましい。
また、前記供給領域に、前記供給箱から前記炭素繊維前駆体繊維束を前記直角方向に送り出した後、該炭素繊維前駆体繊維束を前記進行方向に方向転換する機構が設けられていることが好ましい。
また、前記供給領域に、複数群の箱群が、前記供給箱および前記待機箱が前記進行方向に沿って一直線上に並ぶように配置され、さらに、前記進行方向に沿って一直線上に並んだ前記供給箱および前記待機箱を、前記進行方向に沿ってそれぞれ移動させる複数のベルトコンベアが設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の炭素繊維製造設備は、前駆体繊維束Fの接続作業などに要する作業動線を確保すると共に、供給領域が省スペース化されている。また、本発明の炭素繊維製造設備は、連続生産性にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[炭素繊維製造設備]
図1は、本発明の炭素繊維製造設備の実施形態の一例を示した概略構成図である。
本実施形態の炭素繊維製造設備1は、炭素繊維を製造する設備であって、図1に示すように、炭素繊維前駆体繊維束F(以下、前駆体繊維束Fという。)を焼成して炭素繊維を製造する炭素繊維製造装置6(以下、製造装置6という。)と、製造装置6に前駆体繊維束Fを供給する供給領域2とを備えた設備である。本実施形態では、図1に示すように、供給領域2から製造装置6へと供給される前駆体繊維束Fの進行方向をx軸方向、供給領域2の鉛直方向をz軸方向、x−z平面に直行する方向をy軸方向とする。
【0013】
(供給領域)
本実施形態の供給領域2は、図2に示すように、供給箱10aおよび待機箱12aが一対となって隣接された箱組14aが、供給箱10aおよび待機箱12aが隣接された方向に沿って、供給箱10aおよび待機箱12aが交互になるように並べられた第1の箱列16a(以下、箱列16aという。)と、箱列16aに隣接し、かつ箱列16aの供給箱10aおよび待機箱12aに隣接する箱が箱列16aと同種の箱となるように、供給箱10bおよび待機箱12bが一対となって隣接された箱組14bが並べられた第2の箱列16b(以下、箱列16bという。)とからなる箱群18が、箱列16a、16bの長手方向が供給領域2から製造装置6に向かう前駆体繊維束Fの進行方向(すなわち、x軸方向。以下、単にx軸方向という。)に対して垂直方向(すなわち、y軸方向。以下、単にy軸方向という。)となるように、かつ隣り合う箱群18がx軸方向に間隔を開けて、複数群配置されている。
また、供給領域2には、x軸方向に一直線上に並んだ供給箱10a、10bおよび待機箱12a、12bをx軸方向に沿ってそれぞれ移動させるベルトコンベア20a、20bが設けられている。
また、図3〜5に示すように、各箱組14a、14bには、前駆体繊維Fを供給領域2から製造装置6へと送り出すガイドローラ22、24が設置されている。
【0014】
供給箱10a、10bは、製造装置6に供給される前駆体繊維束Fを収納する箱である。また、待機箱12a、12bは、供給箱10a、10bに収納された前駆体繊維束Fの終端に始端が接続される前駆体繊維束Fを収納する箱である。
供給箱10a、10bおよび待機箱12a、12bは、前駆体繊維束Fを収納できる箱であれば特に制限はなく、炭素繊維の製造に通常用いられる箱が使用できる。供給箱10a、10bおよび待機箱12a、12bは、同じ箱が用いられる。
【0015】
供給箱の数(供給箱10aと供給箱10bの合計数)は、製造装置6において焼成する前駆体繊維束Fの本数を満たす数であれば特に限定されず、16〜500個であることが好ましい。また、待機箱の数(待機箱12aと待機箱12bの合計数)は、供給箱と同様に、製造装置6において焼成する前駆体繊維束Fの本数を満たす数であれば特に限定されず、16〜500個であることが好ましい。
【0016】
また、供給箱10a、10bおよび待機箱12a、12bへの前駆体繊維束Fの収納は、前駆体繊維束Fを、その折り畳み方向が供給箱と待機箱とが隣接されている方向(y軸方向)に沿うように収納しておくことが好ましい(図3)。これにより、撚れを生じさせずに前駆体繊維束Fを供給することが容易になる。
【0017】
箱列16aは、供給箱10aおよび待機箱12aが一対となって隣接された箱組14a(図2では2組)が、供給箱10aと待機箱12aが交互になるように並べられることにより形成されている。
また、箱列16bは、箱列16aと同様に、供給箱10bおよび待機箱12bが一対となって隣接された箱組14b(図2では2組)が、供給箱10bと待機箱12bが交互になるように並べられることにより形成されている。
【0018】
箱列16aにおける供給箱10aの数は、2〜12個であることが好ましく、4〜8個であることがより好ましい。供給箱10aの数が2個以上であれば、供給領域2のx軸方向の長さが長くなりすぎることを防ぎやすい。また、供給箱10aの数が8個以下であれば、炭素繊維製造中に供給領域2内のいずれかの供給箱もしくは待機箱で糸切れなどの問題が生じた場合に、その箱のみを取り出すことが容易になる。
箱列16aにおける待機箱12aの数は、供給箱10aと同数である。また、箱列16bにおける供給箱10bおよび待機箱12bの数は、箱列16aにおける供給箱10aおよび待機箱12bと同数である。
【0019】
箱群18は、箱列16aの供給箱10aが箱列16bの供給箱10bと隣接し、箱列16aの待機箱12aが箱列16bの待機箱12bと隣接するように、箱列16aと箱列16bとが隣接させることにより形成されている。
箱群18は、箱列16a、16bの長手方向がy軸方向に沿うように配置されている。
【0020】
また、箱群18は、隣り合う箱群18がx軸方向に間隔を開けて配置されている。これにより、各箱組14a、14bにおいて、供給箱10a、10bの前駆体繊維束Fと待機箱12a、12bの前駆体繊維束Fとの端部同士の接続作業に要する作業動線を確保できる。
x軸方向に隣り合う箱群18の間隔は、供給箱10a、10bおよび待機箱12a、12bのx軸方向の幅d以上であることが好ましい。ただし、前記幅dとは、供給箱10a、10b(あるいは待機箱12a、12b)における、供給箱と待機箱を隣接させた方向に対して直角方向の長さである(図4)。
箱群18のx軸方向の間隔を幅d以上とすることにより、炭素繊維製造中に供給領域2内のいずれかの供給箱もしくは待機箱で糸切れなどの問題が生じた場合に、その箱のみを取り出すことが容易になる。
【0021】
また、同数の供給箱10aおよび待機箱12aを、同じ領域面積の供給領域に配列させる場合には、箱群18を、y軸方向にも間隔を開けて複数群配置させることが好ましい。これにより、供給領域2内における作業動線を短くすることができ、作業性が向上する。
【0022】
y軸方向に箱群18を複数群配置する場合、y軸方向に隣り合う箱群18の間隔は、図8に示すように、箱体のy軸方向の幅e以上であることが好ましい。これにより、炭素繊維製造中に供給領域2内のいずれかの供給箱もしくは待機箱で糸切れなどの問題が生じた場合に、その箱のみを取り出すことが容易になる。
【0023】
箱群18のx軸方向の数は、省スペース化、ならびに供給箱および待機箱の取替え作業の容易性の点から、2〜125であることが好ましい。
箱群18のy軸方向の数は、省スペース化、ならびに供給箱および待機箱の取替え作業の容易性の点から、2〜4であることが好ましい。
【0024】
また、本発明における供給領域は、図2に示すように、供給箱10a、10bと待機箱12a、12bとを、それぞれx軸方向に沿って一直線上に並ぶように配置させ、これら一直線上に並んだ供給箱10a、10bおよび待機箱12a、12bをそれぞれx軸方向に移動させるベルトコンベア20a、20bが設けられていることが特に好ましい。
ベルトコンベア20aは、x軸方向に一直線上に並んだ供給箱10aおよび供給箱10bをx軸方向に沿って移動させることができる。また、ベルトコンベア20bは、x軸方向に一直線上に並んだ待機箱12aおよび待機箱12bをx軸方向に沿って移動させることができる。これにより、供給箱が空になった際、一直線上に並んだそれら空の供給箱を一度に搬出し、ついで前駆体繊維束Fが収納された待機箱を一度に搬入することを自動化できる。
【0025】
ガイドローラ22は、供給箱10a、10bおよび待機箱12a、12b(供給箱10a、10bが空になった後に供給箱となる。)から前駆体繊維束Fをz軸方向に引き上げて、y軸方向に送り出すローラである。
ガイドローラ22は、供給箱10aおよび待機箱12a(供給箱10bおよび待機箱12bも同様。)の両方から撚れを起こさずに前駆体繊維束Fを引き上げやすくなる点から、供給箱10aと待機箱12aとの中間点の上部に設置されることが好ましい(図3)。
また、撚れを起こさずに前駆体繊維束Fを引き上げることが容易になる点から、前駆体繊維束Fを、その折り畳み方向が供給箱と待機箱とが隣接されている方向(y軸方向)に沿うように供給箱および待機箱に収納しておき、その方向(y軸方向)に沿って送り出すことが好ましい。
【0026】
ガイドローラ24は、ガイドローラ22によってy軸方向に送り出された前駆体繊維束Fを、製造装置6の方向(x軸方向)へと方向転換するローラである。
このように、前駆体繊維束Fをy軸方向に送り出した後、該前駆体繊維束Fの進行方向をx軸方向に方向転換する機構を設けることにより、供給する際に前駆体繊維束Fに撚れが生じることを抑制しやすくなる。また、前記機構は、前駆体繊維束Fをy軸方向に送り出した後にx軸方向に方向転換できるものであれば特に限定はない。
【0027】
各々の箱組14a、14bに設置されるガイドローラ22、24は、それぞれの前駆体繊維束Fを所望の位置関係で製造装置6に供給できるものであれば、設置位置に特に限定はない。例えば、ガイドローラ24のy軸方向の位置を調整することにより、隣接する供給箱10aと供給箱10bから供給されるそれぞれの前駆体繊維束Fのy軸方向の走行位置を調整することができる(図4)。また、同様に、ガイドローラ22、24の高さを調整することにより、それぞれの前駆体繊維束Fのz軸方向の走行位置を調整することができる。
【0028】
供給領域2は、以上のように供給箱10a、10bおよび待機箱12a、12bが配列されることにより、省スペース化されている。以下、具体例を示して説明する。
例えば、図6(a)、(b)に示すように、同数(箱数80個)の供給箱および待機箱(同じ箱であり、配置に要する領域の面積をSとする。)が、供給領域2もしくは供給領域5(図9〜11に例示)のように配列され、かつ箱1つ分の作業空間を設けて作業動線を確保した場合を考える。供給領域2および供給領域5は共に、供給箱と待機箱の一対となって隣接された箱組がy軸方向に沿って4組配列され、さらにそれらがx軸方向に沿って配列された形態である。
【0029】
供給領域2(図6(a))では、各箱群18のx軸方向の両側にそれぞれ箱1つ分の作業空間が形成されており、y軸方向に隣り合う箱群18の間にも箱1つ分の空間を設けている。これにより作業動線が確保されており、全ての箱組14a、14bにおいて、前駆体繊維束Fの接続作業や、糸切れなどの問題が生じた箱のみを供給領域2外に取り出す作業などが行える。
同様に、供給領域5(図6(b))では、各箱群118のy軸方向の両側に箱1つ分の作業空間を設けている。これにより作業動線が確保されており、全ての箱組114a、114bにおいて、前駆体繊維束Fの接続作業や、糸切れなどの問題が生じた箱体のみを供給領域5外に取り出す作業などが行える。
【0030】
ここで、供給領域2(図6(a))のy軸方向に並ぶ2つの箱群18(箱数16個)の配置領域を領域Aとすると、領域Aの占める面積は、箱数が16個、作業空間が箱数11個分であるので、箱一個あたりの面積をSとすると27Sとなる。つまり、領域Aをn個並べる供給領域2の場合、供給領域2の面積SAはSA=n×27Sとなる。図6(a)の例示では、n=5であるので面積SAは135Sである。
【0031】
一方、供給領域5(図6(b))において、供給領域2と同数(箱数16個)の供給箱および待機箱を配置する配置領域を領域Bとすると、領域Bの占める面積は、箱数が16個、作業空間が箱数12個分であるので28Sとなる。つまり、領域Bをn個並べる供給領域5の場合、供給領域5の面積SBはSB=n×28Sとなる。図6(b)の例示では、n=5であるので面積SAは140Sである。
このように、同数の箱体を配置する場合、供給領域2の面積SAは供給領域5の面積SBよりも小さくなる。以上のように、本発明の供給領域2は、同数の箱体を使用する従来の供給領域に比べて省スペース化されている。
【0032】
また、供給領域5はy軸方向の供給箱および待機箱の数が4個であるのに対し、供給領域2ではy軸方向の供給箱および待機箱の数が8個である。そのため、既存の供給領域において供給領域5の配列形態から供給領域2の配列形態に変更することにより、x軸方向の長さを短くすることができる。
【0033】
尚、本発明の炭素繊維製造設備における供給領域は、図1〜5に例示した供給領域2には限定されない。例えば、図7に示すように、4個の箱組14a、14bからなる箱群18を、x軸方向に沿って間隔を開けて並べた供給領域3(供給領域2と箱数は同じ。)であってもよい。ただし、供給領域2のように、2個の箱組14a、14bからなる箱群18をy軸方向に間隔を開けて配置し、それらがさらにx軸方向に沿って間隔を開けて配置されている方が、作業動線が短くなる点で好ましい。
【0034】
また、各箱群18における箱列16a、16bを形成する箱組14a、14bが、供給箱10a、10bおよび待機箱12a、12bが交互にならないように並べられていてもよい。例えば、図8に示すように、待機箱12a、供給箱10a、供給箱10a、待機箱12aの順、もしくは供給箱10a、待機箱12a、待機箱12a、供給箱10aの順に並んでいる箱列16aと、それに対応する箱列16bとからなる箱群18が配置された供給領域4であってもよい。
【0035】
また、各箱群18が、x軸方向に一直線に同種の箱が並ぶように配置されていなくてもよいが、ベルトコンベア20a、20bによる自動化により連続生産性が高くなる点から、図1、7および8に示すように、x軸方向に沿って供給箱および待機箱が一直線上に並ぶようにすることが好ましい。
【0036】
また、前駆体繊維Fを供給する機構は、ガイドローラ22、24のような、前駆体繊維束Fをy軸方向に送り出した後に、x軸方向に方向転換する機構には限定されない。
【0037】
前駆体繊維束Fは、用途に応じて選択すればよく、例えば、ポリアクリロニトリルの単独重合体、あるいはポリアクリロニトリルと他の単量体との共重合体などのポリアクリロニトリル系重合体からなる炭素繊維前駆体繊維束などが挙げられる。
【0038】
(炭素繊維製造装置)
炭素繊維製造装置6は、図1に示すように、前駆体繊維束Fを耐炎化して耐炎化繊維束を得る耐炎化炉30と、耐炎化繊維束を炭素化処理して炭素繊維を得る炭素化炉32と、炭素繊維に表面処理を施す表面処理装置34と、炭素繊維にサイジング剤を付与するサイジング剤付与装置36と、炭素繊維を巻き取る巻取機38とを備えている。
【0039】
耐炎化炉30は、前駆体繊維束Fを酸化性雰囲気下に加熱することにより耐炎化処理して耐炎化繊維束を得る炉である。耐炎化炉30は、前駆体繊維束Fを耐炎化できるものであればよく、炭素繊維の製造に通常用いられる耐炎化炉を用いることができる。耐炎化炉30は、1つのみであってもよく、複数の耐炎化炉が連結されたものであってもよい。
【0040】
炭素化炉32は、耐炎化処理により得られた耐炎化繊維束を不活性雰囲気下に加熱することにより炭素化処理して炭素繊維を得る炉である。炭素化炉32は、耐炎化繊維束を炭素化できるものであればよく、炭素繊維の製造に通常用いられる炭素化炉を用いることができる。炭素化炉32は、1つのみであってもよく、複数の炭素化炉が連結されたものであってもよい。
【0041】
表面処理装置34は、炭素繊維の表面を処理して、炭素繊維とエポキシ樹脂などの樹脂との接着性を向上させる装置である。表面処理装置34としては、例えば、オゾン酸化などの乾式法により炭素繊維に表面処理を施す表面処理装置や、電解質中で電解処理する湿式法によりに炭素繊維に表面処理を施す表面処理装置などが挙げられる。
【0042】
サイジング剤付与装置36は、表面処理された炭素繊維にサイジング剤を付与する装置である。サイジング剤付与装置36は、サイジング剤を炭素繊維に付与できるものであれば特に限定されない。サイジング剤を付与することにより、炭素繊維の取り扱い性や、繊維強化樹脂との親和性が向上する。
サイジング剤は、所望の特性を得ることができるものであればよく、例えば、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ変性ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂を主成分とするサイジング剤が挙げられる。
【0043】
巻取機38は、得られた炭素繊維を巻き取る機械である。巻取機38は、炭素繊維を巻き取ることができるものであれば特に限定されず、炭素繊維の製造に通常用いられる巻取機を用いることができる。
【0044】
尚、本発明における炭素繊維製造装置は、図1に例示した製造装置6には限定されず、表面処理装置34およびサイジング剤付与装置36を有していない製造装置であってもよい。
【0045】
(炭素繊維の製造方法)
以下、図1に例示した炭素繊維製造設備1による炭素繊維の製造について説明する。まず、供給領域2において、各箱組14aで供給箱10aの前駆体繊維束Fの終端と待機箱12aの始端とを接続して接続部aを形成する(供給箱10bおよび待機箱12bについても同様。以下、同じ。)。ついで、ガイドローラ22、24により各供給箱10aから前駆体繊維束Fが製造装置6へと供給されていく。
各供給箱10aの前駆体繊維束Fが供給され終わると、続いて待機箱12aが供給箱(供給箱10Aとする。)となり前駆体繊維束Fが連続的に供給されていく。空になった供給箱10aはベルトコンベア20aにより供給領域2外へと搬出し、ついで次の待機箱(待機箱12Aとする。)を搬入する。そして、供給箱10Aの前駆体繊維束Fの終端と待機箱12Aの始端とを接続して接続部aを形成する。
さらに、供給箱10A(待機箱12aであったもの)の前駆体繊維束Fが全て供給されると、待機箱12Aが供給箱(供給箱10Bとする。)となる。空になった供給箱10Aはベルトコンベア20bにより搬出し、ついで次の待機箱(待機箱12Bとする。)を搬入する。ついで、供給箱10Bの前駆体繊維束Fの終端と待機箱12Bの始端とを接続して接続部aを形成する。これを繰り返すことにより、前駆体繊維束Fを連続的に製造装置6に供給する。
【0046】
製造装置6に供給された前駆体繊維束Fは、耐炎化炉30により耐炎化処理されて耐炎化繊維束となる。耐炎化処理は、200〜300℃で行うことが好ましい。
さらに、得られた耐炎化繊維束は、炭素化炉32により炭素化処理されて炭素繊維となる。炭素化処理は、300〜2000℃で行うことが好ましい。
ついで、本実施形態では、炭素化炉32で得られた炭素繊維を表面処理装置34により表面処理し、洗浄、乾燥を行った後、サイジング剤付与装置36によりサイジング剤を付与して乾燥する。
ついで、得られた炭素繊維を巻取機38により巻き取る。
以上のようにして炭素繊維が製造される。
【0047】
図9〜11に例示した従来の供給領域5では、多数の供給箱および待機箱を交互に並べていたため、一直線上に並べられた多数の箱が同種の箱となるようにすることができなかった。そのため、空になった供給箱を搬出し、新たな待機箱を搬入することを別々に多数回行わなければならず、作業が非常に煩雑であった。
一方、本発明の炭素繊維製造設備では、供給領域に、多数の供給箱および待機箱を、同種の箱が一直線上に並ぶように並べることができる。そのため、それらの搬入および搬出をベルトコンベアで自動化することができることから、炭素繊維の連続生産性に優れる。
【0048】
以上説明したように、本発明の炭素繊維製造設備は、前駆体繊維束Fの接続作業などに要する作業動線を確保すると共に、供給領域が省スペース化されている。また、本発明の炭素繊維製造設備は、作業動線を短くすることができ、またベルトコンベアによる自動化も可能であるため、連続生産性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の炭素繊維製造設備は、供給領域が省スペース化され、かつ炭素繊維の連続生産性を向上させることができるため、炭素繊維の製造に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の炭素繊維製造設備の実施形態の一例を示した概略構成図である。
【図2】本発明における供給領域の実施形態の一例を示した概略構成図である。
【図3】本発明における供給領域2の箱組14aをx軸方向から見た側面図である。
【図4】本発明における供給領域2の前駆体繊維束Fの供給方法の一例を示した平面図である。
【図5】図3の箱組14aをy軸方向から見た正面図である。
【図6】本発明の供給領域および従来の供給領域の一例を示した模式図である。
【図7】本発明における供給領域の他の実施形態を示した概略構成図である。
【図8】本発明における供給領域の他の実施形態を示した概略構成図である。
【図9】従来の供給領域の実施形態の一例を示した概略構成図である。
【図10】図9の供給領域をy軸方向から見た正面図である。
【図11】図9の供給領域の前駆体繊維束Fの供給方法の一例を示した平面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 炭素繊維製造設備 2 供給領域 5 従来の供給領域 6 炭素繊維製造装置 10a、10b 供給箱 12a、12b 待機箱 14a、14b 箱組 16a 第1の箱列 16b 第2の箱列 18 箱群 20a、20b ベルトコンベア 22 ガイドローラ 24 ガイドローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素繊維製造設備に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維は、種々の優れた物性を備えているため、航空機やスポーツ用品などへの用途や、建築、土木、エネルギー関係の産業用途など、各種の繊維強化複合材料などの強化用繊維として広く利用されている。炭素繊維は、一般にアクリル繊維束などの炭素繊維前駆体繊維束(以下、前駆体繊維束という。)を200〜300℃の酸化性雰囲気下で耐炎化処理した後、さらに1000℃以上の不活性雰囲気下で炭素化処理することにより製造される。
【0003】
また、炭素繊維の製造では、高い操業性でかつ低コストに炭素繊維を製造するために、複数本の前駆体繊維束を、それら各々の前駆体繊維束の端部同士を接続していきながら連続的に焼成(耐炎化処理および炭素化処理)する方法が用いられている(例えば特許文献1)。
炭素繊維を製造する製造設備としては、前駆体繊維束に耐炎化処理および炭素化処理を施す炭素繊維製造装置と、該炭素繊維製造装置に前駆体繊維束を供給する供給領域とからなる設備が用いられている。供給領域には、炭素繊維製造装置に供給される前駆体繊維束を収納する供給箱と、該供給箱に収納された前駆体繊維束の終端に始端が接続される前駆体繊維束を収納する待機箱とがそれぞれ複数配置されている。これにより、供給箱と待機箱の前駆体繊維束の端部同士を接続していきながら連続的に前駆体繊維束を炭素繊維製造装置に供給して焼成する。
【0004】
具体例としては、耐炎化炉および炭素化炉を有する炭素繊維製造装置ならびに供給領域5(図9)を備えた設備が挙げられる。供給領域5には、炭素繊維製造装置(供給領域5のx軸方向側にある。図示せず。)に供給される炭素繊維前駆体繊維束F(以下、前駆体繊維束Fという。図10参照)を収納する供給箱110a、および供給箱110aに収納された前駆体繊維束Fの終端に始端が接続される前駆体繊維束Fを収納する待機箱112aが一対となって隣接された箱組114aが、供給箱110aと待機箱112aが交互になるように並べられた第1の箱列116a(以下、箱列116aという。)と、図9に示すように、箱列116aに隣接し、かつ箱列116aの供給箱110aおよび待機箱112aに隣接する箱が箱列116aと同種の箱となるように供給箱110bおよび待機箱112bが一対となって隣接された箱組114bが並べられた第2の箱列116b(以下、箱列116bという。)とからなる箱群118が、箱列116a、116bの長手方向が供給領域5から炭素繊維製造装置に向かう前駆体繊維束Fの進行方向(x軸方向)に沿うように複数群配置されている。
【0005】
箱群118の箱列116a(箱列116bも同様である。)における各々の箱組114a(図9では10組)において、供給箱110aの前駆体繊維束Fの終端と待機箱112aの前駆体繊維束Fの始端とを接続して接続部aを形成し、前駆体繊維束Fをガイドローラ122により連続的に炭素繊維製造装置へと供給していく(図10および図11)。供給箱110aに収納された前駆体繊維束Fが全て炭素繊維製造装置に送られると、待機箱112aが供給箱となり、続いて前駆体繊維束Fが供給されていく。空の供給箱110aは次の待機箱に取り替えられて、さらに前駆体繊維束Fの端部同士が接続され、これを繰り返すことにより前駆体繊維束Fが連続的に供給される。
【0006】
また、各箱組114a、114bにおいては、前駆体繊維束Fの接続作業や、空になった供給箱の交換、糸切れなどの問題が発生した供給箱もしくは待機箱の取り出し作業など作業が必要となる。そのため、箱列116a、116bからなる箱群118の短手方向(y軸方向)の両側には、それらの作業に要する作業空間が設けられる(図9)。
供給領域5では、このように作業動線を確保しつつ、供給領域を省スペース化するために、箱組114a、114bをx軸方向に連続して配置させて箱列116a、116bを形成させている。
【特許文献1】特開2000−144534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、供給領域5では、供給箱および待機箱を配置する空間および前記作業空間に必要な空間が大きく、供給領域の省スペース化が不十分であった。また、各作業空間が分断されているため、作業動線が長くなる傾向があった。
そのため、前駆体繊維束Fの接続作業などに要する作業動線を確保しつつ、供給領域を省スペース化すること、および作業動線を短くするなど連続生産性を向上させることが望まれている。
【0008】
そこで、本発明では、前駆体繊維束Fの接続作業などに要する作業動線を確保すると共に、供給領域が省スペース化され、かつ連続生産性にも優れた炭素繊維製造設備を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の炭素繊維製造設備は、炭素繊維前駆体繊維束を焼成して炭素繊維を製造する炭素繊維製造装置と、前記炭素繊維製造装置に前記炭素繊維前駆体繊維束を供給する供給領域とを備えた炭素繊維の製造設備であって、前記供給領域に、前記炭素繊維製造装置に供給される炭素繊維前駆体繊維束を収納する供給箱、および該供給箱に収納された炭素繊維前駆体繊維束の終端に始端が接続される炭素繊維前駆体繊維束を収納する待機箱が隣接された箱組が、それら供給箱と待機箱の隣接させた方向に沿って複数並べられた第1の箱列と、該第1の箱列に隣接し、かつ第1の箱列の供給箱および待機箱に隣接する箱が第1の箱列と同種の箱となるように供給箱および待機箱が並べられた第2の箱列とからなる箱群が、前記箱列の長手方向が供給領域から炭素繊維製造装置に向かう炭素繊維前駆体繊維束の進行方向に対して垂直方向となるように、かつ隣り合う箱群が前記進行方向に間隔を開けて、複数群配置されていることを特徴とする設備である。
【0010】
また、本発明の炭素繊維製造設備は、前記進行方向に隣り合う箱群の間隔が前記供給箱および前記待機箱の幅以上であることが好ましい。
また、前記供給領域に、前記供給箱から前記炭素繊維前駆体繊維束を前記直角方向に送り出した後、該炭素繊維前駆体繊維束を前記進行方向に方向転換する機構が設けられていることが好ましい。
また、前記供給領域に、複数群の箱群が、前記供給箱および前記待機箱が前記進行方向に沿って一直線上に並ぶように配置され、さらに、前記進行方向に沿って一直線上に並んだ前記供給箱および前記待機箱を、前記進行方向に沿ってそれぞれ移動させる複数のベルトコンベアが設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の炭素繊維製造設備は、前駆体繊維束Fの接続作業などに要する作業動線を確保すると共に、供給領域が省スペース化されている。また、本発明の炭素繊維製造設備は、連続生産性にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[炭素繊維製造設備]
図1は、本発明の炭素繊維製造設備の実施形態の一例を示した概略構成図である。
本実施形態の炭素繊維製造設備1は、炭素繊維を製造する設備であって、図1に示すように、炭素繊維前駆体繊維束F(以下、前駆体繊維束Fという。)を焼成して炭素繊維を製造する炭素繊維製造装置6(以下、製造装置6という。)と、製造装置6に前駆体繊維束Fを供給する供給領域2とを備えた設備である。本実施形態では、図1に示すように、供給領域2から製造装置6へと供給される前駆体繊維束Fの進行方向をx軸方向、供給領域2の鉛直方向をz軸方向、x−z平面に直行する方向をy軸方向とする。
【0013】
(供給領域)
本実施形態の供給領域2は、図2に示すように、供給箱10aおよび待機箱12aが一対となって隣接された箱組14aが、供給箱10aおよび待機箱12aが隣接された方向に沿って、供給箱10aおよび待機箱12aが交互になるように並べられた第1の箱列16a(以下、箱列16aという。)と、箱列16aに隣接し、かつ箱列16aの供給箱10aおよび待機箱12aに隣接する箱が箱列16aと同種の箱となるように、供給箱10bおよび待機箱12bが一対となって隣接された箱組14bが並べられた第2の箱列16b(以下、箱列16bという。)とからなる箱群18が、箱列16a、16bの長手方向が供給領域2から製造装置6に向かう前駆体繊維束Fの進行方向(すなわち、x軸方向。以下、単にx軸方向という。)に対して垂直方向(すなわち、y軸方向。以下、単にy軸方向という。)となるように、かつ隣り合う箱群18がx軸方向に間隔を開けて、複数群配置されている。
また、供給領域2には、x軸方向に一直線上に並んだ供給箱10a、10bおよび待機箱12a、12bをx軸方向に沿ってそれぞれ移動させるベルトコンベア20a、20bが設けられている。
また、図3〜5に示すように、各箱組14a、14bには、前駆体繊維Fを供給領域2から製造装置6へと送り出すガイドローラ22、24が設置されている。
【0014】
供給箱10a、10bは、製造装置6に供給される前駆体繊維束Fを収納する箱である。また、待機箱12a、12bは、供給箱10a、10bに収納された前駆体繊維束Fの終端に始端が接続される前駆体繊維束Fを収納する箱である。
供給箱10a、10bおよび待機箱12a、12bは、前駆体繊維束Fを収納できる箱であれば特に制限はなく、炭素繊維の製造に通常用いられる箱が使用できる。供給箱10a、10bおよび待機箱12a、12bは、同じ箱が用いられる。
【0015】
供給箱の数(供給箱10aと供給箱10bの合計数)は、製造装置6において焼成する前駆体繊維束Fの本数を満たす数であれば特に限定されず、16〜500個であることが好ましい。また、待機箱の数(待機箱12aと待機箱12bの合計数)は、供給箱と同様に、製造装置6において焼成する前駆体繊維束Fの本数を満たす数であれば特に限定されず、16〜500個であることが好ましい。
【0016】
また、供給箱10a、10bおよび待機箱12a、12bへの前駆体繊維束Fの収納は、前駆体繊維束Fを、その折り畳み方向が供給箱と待機箱とが隣接されている方向(y軸方向)に沿うように収納しておくことが好ましい(図3)。これにより、撚れを生じさせずに前駆体繊維束Fを供給することが容易になる。
【0017】
箱列16aは、供給箱10aおよび待機箱12aが一対となって隣接された箱組14a(図2では2組)が、供給箱10aと待機箱12aが交互になるように並べられることにより形成されている。
また、箱列16bは、箱列16aと同様に、供給箱10bおよび待機箱12bが一対となって隣接された箱組14b(図2では2組)が、供給箱10bと待機箱12bが交互になるように並べられることにより形成されている。
【0018】
箱列16aにおける供給箱10aの数は、2〜12個であることが好ましく、4〜8個であることがより好ましい。供給箱10aの数が2個以上であれば、供給領域2のx軸方向の長さが長くなりすぎることを防ぎやすい。また、供給箱10aの数が8個以下であれば、炭素繊維製造中に供給領域2内のいずれかの供給箱もしくは待機箱で糸切れなどの問題が生じた場合に、その箱のみを取り出すことが容易になる。
箱列16aにおける待機箱12aの数は、供給箱10aと同数である。また、箱列16bにおける供給箱10bおよび待機箱12bの数は、箱列16aにおける供給箱10aおよび待機箱12bと同数である。
【0019】
箱群18は、箱列16aの供給箱10aが箱列16bの供給箱10bと隣接し、箱列16aの待機箱12aが箱列16bの待機箱12bと隣接するように、箱列16aと箱列16bとが隣接させることにより形成されている。
箱群18は、箱列16a、16bの長手方向がy軸方向に沿うように配置されている。
【0020】
また、箱群18は、隣り合う箱群18がx軸方向に間隔を開けて配置されている。これにより、各箱組14a、14bにおいて、供給箱10a、10bの前駆体繊維束Fと待機箱12a、12bの前駆体繊維束Fとの端部同士の接続作業に要する作業動線を確保できる。
x軸方向に隣り合う箱群18の間隔は、供給箱10a、10bおよび待機箱12a、12bのx軸方向の幅d以上であることが好ましい。ただし、前記幅dとは、供給箱10a、10b(あるいは待機箱12a、12b)における、供給箱と待機箱を隣接させた方向に対して直角方向の長さである(図4)。
箱群18のx軸方向の間隔を幅d以上とすることにより、炭素繊維製造中に供給領域2内のいずれかの供給箱もしくは待機箱で糸切れなどの問題が生じた場合に、その箱のみを取り出すことが容易になる。
【0021】
また、同数の供給箱10aおよび待機箱12aを、同じ領域面積の供給領域に配列させる場合には、箱群18を、y軸方向にも間隔を開けて複数群配置させることが好ましい。これにより、供給領域2内における作業動線を短くすることができ、作業性が向上する。
【0022】
y軸方向に箱群18を複数群配置する場合、y軸方向に隣り合う箱群18の間隔は、図8に示すように、箱体のy軸方向の幅e以上であることが好ましい。これにより、炭素繊維製造中に供給領域2内のいずれかの供給箱もしくは待機箱で糸切れなどの問題が生じた場合に、その箱のみを取り出すことが容易になる。
【0023】
箱群18のx軸方向の数は、省スペース化、ならびに供給箱および待機箱の取替え作業の容易性の点から、2〜125であることが好ましい。
箱群18のy軸方向の数は、省スペース化、ならびに供給箱および待機箱の取替え作業の容易性の点から、2〜4であることが好ましい。
【0024】
また、本発明における供給領域は、図2に示すように、供給箱10a、10bと待機箱12a、12bとを、それぞれx軸方向に沿って一直線上に並ぶように配置させ、これら一直線上に並んだ供給箱10a、10bおよび待機箱12a、12bをそれぞれx軸方向に移動させるベルトコンベア20a、20bが設けられていることが特に好ましい。
ベルトコンベア20aは、x軸方向に一直線上に並んだ供給箱10aおよび供給箱10bをx軸方向に沿って移動させることができる。また、ベルトコンベア20bは、x軸方向に一直線上に並んだ待機箱12aおよび待機箱12bをx軸方向に沿って移動させることができる。これにより、供給箱が空になった際、一直線上に並んだそれら空の供給箱を一度に搬出し、ついで前駆体繊維束Fが収納された待機箱を一度に搬入することを自動化できる。
【0025】
ガイドローラ22は、供給箱10a、10bおよび待機箱12a、12b(供給箱10a、10bが空になった後に供給箱となる。)から前駆体繊維束Fをz軸方向に引き上げて、y軸方向に送り出すローラである。
ガイドローラ22は、供給箱10aおよび待機箱12a(供給箱10bおよび待機箱12bも同様。)の両方から撚れを起こさずに前駆体繊維束Fを引き上げやすくなる点から、供給箱10aと待機箱12aとの中間点の上部に設置されることが好ましい(図3)。
また、撚れを起こさずに前駆体繊維束Fを引き上げることが容易になる点から、前駆体繊維束Fを、その折り畳み方向が供給箱と待機箱とが隣接されている方向(y軸方向)に沿うように供給箱および待機箱に収納しておき、その方向(y軸方向)に沿って送り出すことが好ましい。
【0026】
ガイドローラ24は、ガイドローラ22によってy軸方向に送り出された前駆体繊維束Fを、製造装置6の方向(x軸方向)へと方向転換するローラである。
このように、前駆体繊維束Fをy軸方向に送り出した後、該前駆体繊維束Fの進行方向をx軸方向に方向転換する機構を設けることにより、供給する際に前駆体繊維束Fに撚れが生じることを抑制しやすくなる。また、前記機構は、前駆体繊維束Fをy軸方向に送り出した後にx軸方向に方向転換できるものであれば特に限定はない。
【0027】
各々の箱組14a、14bに設置されるガイドローラ22、24は、それぞれの前駆体繊維束Fを所望の位置関係で製造装置6に供給できるものであれば、設置位置に特に限定はない。例えば、ガイドローラ24のy軸方向の位置を調整することにより、隣接する供給箱10aと供給箱10bから供給されるそれぞれの前駆体繊維束Fのy軸方向の走行位置を調整することができる(図4)。また、同様に、ガイドローラ22、24の高さを調整することにより、それぞれの前駆体繊維束Fのz軸方向の走行位置を調整することができる。
【0028】
供給領域2は、以上のように供給箱10a、10bおよび待機箱12a、12bが配列されることにより、省スペース化されている。以下、具体例を示して説明する。
例えば、図6(a)、(b)に示すように、同数(箱数80個)の供給箱および待機箱(同じ箱であり、配置に要する領域の面積をSとする。)が、供給領域2もしくは供給領域5(図9〜11に例示)のように配列され、かつ箱1つ分の作業空間を設けて作業動線を確保した場合を考える。供給領域2および供給領域5は共に、供給箱と待機箱の一対となって隣接された箱組がy軸方向に沿って4組配列され、さらにそれらがx軸方向に沿って配列された形態である。
【0029】
供給領域2(図6(a))では、各箱群18のx軸方向の両側にそれぞれ箱1つ分の作業空間が形成されており、y軸方向に隣り合う箱群18の間にも箱1つ分の空間を設けている。これにより作業動線が確保されており、全ての箱組14a、14bにおいて、前駆体繊維束Fの接続作業や、糸切れなどの問題が生じた箱のみを供給領域2外に取り出す作業などが行える。
同様に、供給領域5(図6(b))では、各箱群118のy軸方向の両側に箱1つ分の作業空間を設けている。これにより作業動線が確保されており、全ての箱組114a、114bにおいて、前駆体繊維束Fの接続作業や、糸切れなどの問題が生じた箱体のみを供給領域5外に取り出す作業などが行える。
【0030】
ここで、供給領域2(図6(a))のy軸方向に並ぶ2つの箱群18(箱数16個)の配置領域を領域Aとすると、領域Aの占める面積は、箱数が16個、作業空間が箱数11個分であるので、箱一個あたりの面積をSとすると27Sとなる。つまり、領域Aをn個並べる供給領域2の場合、供給領域2の面積SAはSA=n×27Sとなる。図6(a)の例示では、n=5であるので面積SAは135Sである。
【0031】
一方、供給領域5(図6(b))において、供給領域2と同数(箱数16個)の供給箱および待機箱を配置する配置領域を領域Bとすると、領域Bの占める面積は、箱数が16個、作業空間が箱数12個分であるので28Sとなる。つまり、領域Bをn個並べる供給領域5の場合、供給領域5の面積SBはSB=n×28Sとなる。図6(b)の例示では、n=5であるので面積SAは140Sである。
このように、同数の箱体を配置する場合、供給領域2の面積SAは供給領域5の面積SBよりも小さくなる。以上のように、本発明の供給領域2は、同数の箱体を使用する従来の供給領域に比べて省スペース化されている。
【0032】
また、供給領域5はy軸方向の供給箱および待機箱の数が4個であるのに対し、供給領域2ではy軸方向の供給箱および待機箱の数が8個である。そのため、既存の供給領域において供給領域5の配列形態から供給領域2の配列形態に変更することにより、x軸方向の長さを短くすることができる。
【0033】
尚、本発明の炭素繊維製造設備における供給領域は、図1〜5に例示した供給領域2には限定されない。例えば、図7に示すように、4個の箱組14a、14bからなる箱群18を、x軸方向に沿って間隔を開けて並べた供給領域3(供給領域2と箱数は同じ。)であってもよい。ただし、供給領域2のように、2個の箱組14a、14bからなる箱群18をy軸方向に間隔を開けて配置し、それらがさらにx軸方向に沿って間隔を開けて配置されている方が、作業動線が短くなる点で好ましい。
【0034】
また、各箱群18における箱列16a、16bを形成する箱組14a、14bが、供給箱10a、10bおよび待機箱12a、12bが交互にならないように並べられていてもよい。例えば、図8に示すように、待機箱12a、供給箱10a、供給箱10a、待機箱12aの順、もしくは供給箱10a、待機箱12a、待機箱12a、供給箱10aの順に並んでいる箱列16aと、それに対応する箱列16bとからなる箱群18が配置された供給領域4であってもよい。
【0035】
また、各箱群18が、x軸方向に一直線に同種の箱が並ぶように配置されていなくてもよいが、ベルトコンベア20a、20bによる自動化により連続生産性が高くなる点から、図1、7および8に示すように、x軸方向に沿って供給箱および待機箱が一直線上に並ぶようにすることが好ましい。
【0036】
また、前駆体繊維Fを供給する機構は、ガイドローラ22、24のような、前駆体繊維束Fをy軸方向に送り出した後に、x軸方向に方向転換する機構には限定されない。
【0037】
前駆体繊維束Fは、用途に応じて選択すればよく、例えば、ポリアクリロニトリルの単独重合体、あるいはポリアクリロニトリルと他の単量体との共重合体などのポリアクリロニトリル系重合体からなる炭素繊維前駆体繊維束などが挙げられる。
【0038】
(炭素繊維製造装置)
炭素繊維製造装置6は、図1に示すように、前駆体繊維束Fを耐炎化して耐炎化繊維束を得る耐炎化炉30と、耐炎化繊維束を炭素化処理して炭素繊維を得る炭素化炉32と、炭素繊維に表面処理を施す表面処理装置34と、炭素繊維にサイジング剤を付与するサイジング剤付与装置36と、炭素繊維を巻き取る巻取機38とを備えている。
【0039】
耐炎化炉30は、前駆体繊維束Fを酸化性雰囲気下に加熱することにより耐炎化処理して耐炎化繊維束を得る炉である。耐炎化炉30は、前駆体繊維束Fを耐炎化できるものであればよく、炭素繊維の製造に通常用いられる耐炎化炉を用いることができる。耐炎化炉30は、1つのみであってもよく、複数の耐炎化炉が連結されたものであってもよい。
【0040】
炭素化炉32は、耐炎化処理により得られた耐炎化繊維束を不活性雰囲気下に加熱することにより炭素化処理して炭素繊維を得る炉である。炭素化炉32は、耐炎化繊維束を炭素化できるものであればよく、炭素繊維の製造に通常用いられる炭素化炉を用いることができる。炭素化炉32は、1つのみであってもよく、複数の炭素化炉が連結されたものであってもよい。
【0041】
表面処理装置34は、炭素繊維の表面を処理して、炭素繊維とエポキシ樹脂などの樹脂との接着性を向上させる装置である。表面処理装置34としては、例えば、オゾン酸化などの乾式法により炭素繊維に表面処理を施す表面処理装置や、電解質中で電解処理する湿式法によりに炭素繊維に表面処理を施す表面処理装置などが挙げられる。
【0042】
サイジング剤付与装置36は、表面処理された炭素繊維にサイジング剤を付与する装置である。サイジング剤付与装置36は、サイジング剤を炭素繊維に付与できるものであれば特に限定されない。サイジング剤を付与することにより、炭素繊維の取り扱い性や、繊維強化樹脂との親和性が向上する。
サイジング剤は、所望の特性を得ることができるものであればよく、例えば、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ変性ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂を主成分とするサイジング剤が挙げられる。
【0043】
巻取機38は、得られた炭素繊維を巻き取る機械である。巻取機38は、炭素繊維を巻き取ることができるものであれば特に限定されず、炭素繊維の製造に通常用いられる巻取機を用いることができる。
【0044】
尚、本発明における炭素繊維製造装置は、図1に例示した製造装置6には限定されず、表面処理装置34およびサイジング剤付与装置36を有していない製造装置であってもよい。
【0045】
(炭素繊維の製造方法)
以下、図1に例示した炭素繊維製造設備1による炭素繊維の製造について説明する。まず、供給領域2において、各箱組14aで供給箱10aの前駆体繊維束Fの終端と待機箱12aの始端とを接続して接続部aを形成する(供給箱10bおよび待機箱12bについても同様。以下、同じ。)。ついで、ガイドローラ22、24により各供給箱10aから前駆体繊維束Fが製造装置6へと供給されていく。
各供給箱10aの前駆体繊維束Fが供給され終わると、続いて待機箱12aが供給箱(供給箱10Aとする。)となり前駆体繊維束Fが連続的に供給されていく。空になった供給箱10aはベルトコンベア20aにより供給領域2外へと搬出し、ついで次の待機箱(待機箱12Aとする。)を搬入する。そして、供給箱10Aの前駆体繊維束Fの終端と待機箱12Aの始端とを接続して接続部aを形成する。
さらに、供給箱10A(待機箱12aであったもの)の前駆体繊維束Fが全て供給されると、待機箱12Aが供給箱(供給箱10Bとする。)となる。空になった供給箱10Aはベルトコンベア20bにより搬出し、ついで次の待機箱(待機箱12Bとする。)を搬入する。ついで、供給箱10Bの前駆体繊維束Fの終端と待機箱12Bの始端とを接続して接続部aを形成する。これを繰り返すことにより、前駆体繊維束Fを連続的に製造装置6に供給する。
【0046】
製造装置6に供給された前駆体繊維束Fは、耐炎化炉30により耐炎化処理されて耐炎化繊維束となる。耐炎化処理は、200〜300℃で行うことが好ましい。
さらに、得られた耐炎化繊維束は、炭素化炉32により炭素化処理されて炭素繊維となる。炭素化処理は、300〜2000℃で行うことが好ましい。
ついで、本実施形態では、炭素化炉32で得られた炭素繊維を表面処理装置34により表面処理し、洗浄、乾燥を行った後、サイジング剤付与装置36によりサイジング剤を付与して乾燥する。
ついで、得られた炭素繊維を巻取機38により巻き取る。
以上のようにして炭素繊維が製造される。
【0047】
図9〜11に例示した従来の供給領域5では、多数の供給箱および待機箱を交互に並べていたため、一直線上に並べられた多数の箱が同種の箱となるようにすることができなかった。そのため、空になった供給箱を搬出し、新たな待機箱を搬入することを別々に多数回行わなければならず、作業が非常に煩雑であった。
一方、本発明の炭素繊維製造設備では、供給領域に、多数の供給箱および待機箱を、同種の箱が一直線上に並ぶように並べることができる。そのため、それらの搬入および搬出をベルトコンベアで自動化することができることから、炭素繊維の連続生産性に優れる。
【0048】
以上説明したように、本発明の炭素繊維製造設備は、前駆体繊維束Fの接続作業などに要する作業動線を確保すると共に、供給領域が省スペース化されている。また、本発明の炭素繊維製造設備は、作業動線を短くすることができ、またベルトコンベアによる自動化も可能であるため、連続生産性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の炭素繊維製造設備は、供給領域が省スペース化され、かつ炭素繊維の連続生産性を向上させることができるため、炭素繊維の製造に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の炭素繊維製造設備の実施形態の一例を示した概略構成図である。
【図2】本発明における供給領域の実施形態の一例を示した概略構成図である。
【図3】本発明における供給領域2の箱組14aをx軸方向から見た側面図である。
【図4】本発明における供給領域2の前駆体繊維束Fの供給方法の一例を示した平面図である。
【図5】図3の箱組14aをy軸方向から見た正面図である。
【図6】本発明の供給領域および従来の供給領域の一例を示した模式図である。
【図7】本発明における供給領域の他の実施形態を示した概略構成図である。
【図8】本発明における供給領域の他の実施形態を示した概略構成図である。
【図9】従来の供給領域の実施形態の一例を示した概略構成図である。
【図10】図9の供給領域をy軸方向から見た正面図である。
【図11】図9の供給領域の前駆体繊維束Fの供給方法の一例を示した平面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 炭素繊維製造設備 2 供給領域 5 従来の供給領域 6 炭素繊維製造装置 10a、10b 供給箱 12a、12b 待機箱 14a、14b 箱組 16a 第1の箱列 16b 第2の箱列 18 箱群 20a、20b ベルトコンベア 22 ガイドローラ 24 ガイドローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素繊維前駆体繊維束を焼成して炭素繊維を製造する炭素繊維製造装置と、前記炭素繊維製造装置に前記炭素繊維前駆体繊維束を供給する供給領域とを備えた炭素繊維の製造設備であって、
前記供給領域に、前記炭素繊維製造装置に供給される炭素繊維前駆体繊維束を収納する供給箱、および該供給箱に収納された炭素繊維前駆体繊維束の終端に始端が接続される炭素繊維前駆体繊維束を収納する待機箱が隣接された箱組が、それら供給箱と待機箱の隣接させた方向に沿って複数並べられた第1の箱列と、該第1の箱列に隣接し、かつ第1の箱列の供給箱および待機箱に隣接する箱が第1の箱列と同種の箱となるように供給箱および待機箱が並べられた第2の箱列とからなる箱群が、前記箱列の長手方向が供給領域から炭素繊維製造装置に向かう炭素繊維前駆体繊維束の進行方向に対して垂直方向となるように、かつ隣り合う箱群が前記進行方向に間隔を開けて、複数群配置されていることを特徴とする炭素繊維製造設備。
【請求項2】
前記進行方向に隣り合う箱群の間隔が前記供給箱および前記待機箱の幅以上である、請求項1に記載の炭素繊維製造設備。
【請求項3】
前記供給領域に、前記供給箱から前記炭素繊維前駆体繊維束を前記直角方向に送り出した後、該炭素繊維前駆体繊維束を前記進行方向に方向転換する機構が設けられている、請求項1または2に記載の炭素繊維製造設備。
【請求項4】
前記供給領域に、複数群の箱群が、前記供給箱および前記待機箱が前記進行方向に沿って一直線上に並ぶように配置され、
さらに、前記進行方向に沿って一直線上に並んだ前記供給箱および前記待機箱を、前記進行方向に沿ってそれぞれ移動させる複数のベルトコンベアが設けられている、請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維製造設備。
【請求項1】
炭素繊維前駆体繊維束を焼成して炭素繊維を製造する炭素繊維製造装置と、前記炭素繊維製造装置に前記炭素繊維前駆体繊維束を供給する供給領域とを備えた炭素繊維の製造設備であって、
前記供給領域に、前記炭素繊維製造装置に供給される炭素繊維前駆体繊維束を収納する供給箱、および該供給箱に収納された炭素繊維前駆体繊維束の終端に始端が接続される炭素繊維前駆体繊維束を収納する待機箱が隣接された箱組が、それら供給箱と待機箱の隣接させた方向に沿って複数並べられた第1の箱列と、該第1の箱列に隣接し、かつ第1の箱列の供給箱および待機箱に隣接する箱が第1の箱列と同種の箱となるように供給箱および待機箱が並べられた第2の箱列とからなる箱群が、前記箱列の長手方向が供給領域から炭素繊維製造装置に向かう炭素繊維前駆体繊維束の進行方向に対して垂直方向となるように、かつ隣り合う箱群が前記進行方向に間隔を開けて、複数群配置されていることを特徴とする炭素繊維製造設備。
【請求項2】
前記進行方向に隣り合う箱群の間隔が前記供給箱および前記待機箱の幅以上である、請求項1に記載の炭素繊維製造設備。
【請求項3】
前記供給領域に、前記供給箱から前記炭素繊維前駆体繊維束を前記直角方向に送り出した後、該炭素繊維前駆体繊維束を前記進行方向に方向転換する機構が設けられている、請求項1または2に記載の炭素繊維製造設備。
【請求項4】
前記供給領域に、複数群の箱群が、前記供給箱および前記待機箱が前記進行方向に沿って一直線上に並ぶように配置され、
さらに、前記進行方向に沿って一直線上に並んだ前記供給箱および前記待機箱を、前記進行方向に沿ってそれぞれ移動させる複数のベルトコンベアが設けられている、請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維製造設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−256836(P2009−256836A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108971(P2008−108971)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】
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