説明

炭酸ガス中の不純物除去方法

【課題】粗炭酸ガス中の低沸点系不純物および高沸点系不純物の双方を経済的に除去し、高回収率で製品炭酸ガスを得ることが可能な炭酸ガス中の不純物除去方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る炭酸ガス中の不純物の除去方法は、高沸点系不純物及び低沸点系不純物を含む粗炭酸ガスを液体炭酸精留塔に供給し、粗炭酸ガスの供給量のうち所定量を塔頂に導き、高沸点系不純物を含む液体炭酸を液体炭酸精留塔底部から系外に排出することで粗炭酸ガスに含まれる高沸点系不純物を除去する工程と、塔頂から排出された炭酸ガスを第1および第2の炭酸ガス流に分流し、第1の炭酸ガス流を精留塔頂液化器に導いて全凝縮して液体炭酸とし、当該液体炭酸を精留塔頂気液分離器に導くと共に、第2の炭酸ガス流を混合して再フラッシュにより精留塔頂気液分離器で液体炭酸中の低沸点系不純物を分離することで粗炭酸ガスに含まれる低沸点系不純物を除去する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸ガス中の不純物除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスや石油リファイナリーガスの精製工程において副生される粗炭酸ガスは、さらに不純物を除去する精製工程を経て、工業用、食品用、医療用の製品炭酸ガスとされる。このようにして精製された製品炭酸ガスの品質は、工業用はJIS K 1106によって、食品用は食品衛生法の食品添加物公定書によって、医療用は薬事法によってそれぞれ規定されている。
【0003】
ここで、粗炭酸ガスに含まれる不純物としては、例えば、メタン(沸点−161.5℃)、エタン(沸点−89.0℃)、プロパン(沸点−42.1℃)、一酸化炭素(沸点−192℃)、水素(沸点−252.5℃)、酸素(沸点−183.0℃)、窒素(沸点−195.8℃)、硫化水素(沸点−60.7℃)等を主とする極めて低い温度で気化する低沸点の物質(以後、低沸点系不純物という。)がある。また、近年では、炭酸ガスの地下圧入の際における環境問題を考慮して、ベンゼン(沸点80℃)、トルエン(沸点111℃)、パラキシレン(沸点138℃)等を主とする高沸点の物質(以後「高沸点系不純物」という。)も、不純物として除去する必要が生じてきている。なお、上述の物質の沸点は、大気圧下での沸点である。
【0004】
通常の炭酸ガスの精製は、水分除去後、粗炭酸ガスを液体炭酸精留塔に供給して、低沸点系不純物を液体炭酸精留塔の塔頂に追い上げて系外に排出し、液体炭酸精留塔の塔底部に低沸点系不純物を含まない高純度の液体炭酸を得て、これを製品としている。また、近年では、炭酸ガスの分離回収において、従来の熱炭酸カリ吸収法から、熱経済性にすぐれているアミン類を使用するアミン吸収法に置き換えられている状況にある。
【0005】
熱炭酸カリに較べてアミン類を吸収液とする場合は、アミンが有機物であるため、炭化水素の溶解が多くなり、低沸点系不純物であるメタン、エタン、プロパンなどのアルカン、アルケン、アルキンの他に、ベンゼン、トルエン、キシレン等の高沸点炭化水素まで、脱炭酸装置から得られる粗炭酸ガス中に含まれることとなる。従来の炭酸ガス精製方法においては、低沸点系不純物は除去されるが、液体炭酸精留搭塔底から取り出される精製液体炭酸には、高沸点系不純物がほとんどそのまま含まれているという状況である。
【0006】
このような状況に関連して、例えば、以下の特許文献1および特許文献2には、液体炭酸精留塔の塔頂に追い上げられて系外に捨てられる炭酸ガスの量を減らし、経済性を向上させるために、炭酸ガスを液化する前に、原料の粗炭酸ガスから、予め脱硫触媒、酸化触媒等を用いて低沸点不純物を除去する方法が示されている。
【0007】
また、高沸点不純物については、例えば活性炭等による吸着操作により除去する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−130009号公報
【特許文献2】特開平11−209117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の精製方法では、触媒による低沸点系不純物の転化・除去のため150℃〜200℃の温度が必要であり、また、高沸点系不純物の活性炭吸着においても活性炭の再生のために200℃程度の温度が必要であって、経済的ではないという問題があった。
【0010】
また、ベンゼン、トルエン、キシレン等の高沸点炭化水素まで、脱炭酸装置から得られる粗炭酸ガス中に含まれる近年においては、従来の方法では、これらの高沸点系不純物は、すべて液体炭酸精留塔の塔底に存在する製品液体炭酸ガス中に混入して精製されないという問題があった。また、高沸点系不純物が液化される前に、これらの高沸点系不純物を活性炭吸着したとしても、活性炭の再生のために多大の熱が必要となるという問題があった。
【0011】
その上、ベンゼン、パラキシレンは、それぞれ融点が5.5℃、13℃である高融点物質であるため、これらの物質が除去されることなく原料の粗炭酸ガスとして液体炭酸精留搭に供給される場合には、通常−14〜−18℃で操作される液体炭酸精留塔内で固化してしまい、装置が閉塞する危険性があった。
【0012】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、粗炭酸ガス中の低沸点系不純物および高沸点系不純物の双方を経済的に除去し、高回収率で製品炭酸ガスを得ることが可能な、炭酸ガス中の不純物の除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、粗炭酸ガスに含まれる、炭酸ガスよりも沸点が高い不純物である高沸点系不純物および炭酸ガスよりも沸点が低い不純物である低沸点系不純物を、前記粗炭酸ガスから除去する方法であって、前記高沸点系不純物および前記低沸点系不純物を含む前記粗炭酸ガスを、液体炭酸精留塔に供給し、前記液体炭酸精留塔中で前記粗炭酸ガスの供給量のうち所定量を塔頂に導き、前記高沸点系不純物を含む液体炭酸を、前記液体炭酸精留塔から系外に排出することで、前記粗炭酸ガスに含まれる前記高沸点系不純物を除去する工程と、前記塔頂から排出された炭酸ガスを、相対的に流量の大きな第1の炭酸ガス流と、相対的に流量の小さな第2の炭酸ガス流とに分流し、前記第1の炭酸ガス流を精留塔頂液化器に導いて全凝縮して液体炭酸とし、当該液体炭酸を精留塔頂気液分離器に導くとともに、前記第2の炭酸ガス流を直接、前記精留塔頂気液分離器に導き、前記第1の炭酸ガスの液体炭酸を再フラッシュさせ、低沸点系不純物を分離することで、前記粗炭酸ガスに含まれる低沸点系不純物を除去する工程と、を含む炭酸ガス中の不純物の除去方法が提供される。
【0014】
前記高沸点系不純物を除去する工程では、前記高沸点系不純物および前記低沸点系不純物を含む前記粗炭酸ガスを、複数の精留塔前液化器の何れか一つに供給して前記塔頂の温度よりも低い温度まで冷却し、前記粗炭酸ガスに含まれる前記液体炭酸精留塔における塔頂温度よりも融点が高い高融点の前記高沸点系不純物を固化させ、前記高融点の高沸点系不純物が一部除去された前記粗炭酸ガスを前記液体炭酸精留塔に供給し、前記高融点の高沸点系不純物が閉塞した時点で前記粗炭酸ガスが供給されている精留塔前液化器に換えて他の前記精留塔前液化器を稼働させ、前記精留塔頂気液分離器から排出され常温まで加熱された炭酸ガスを、前記高融点の高沸点系不純物が閉塞した精留塔前液化器に供給し、高融点の高沸点系不純物を蒸発・昇華させて除去してもよい。
【0015】
前記液体炭酸精留塔の塔頂に追い上げる前記低沸点系不純物を含む炭酸ガスは、液体炭酸精留塔へ戻る還流分を除き、前記粗炭酸ガスの供給量の95%以上97%以下であることが好ましい。
【0016】
前記第1の炭酸ガス流は、前記塔頂から排出された炭酸ガスの流量の90〜99%であり、前記第2の炭酸ガス流は、前記塔頂から排出された炭酸ガスの流量の1〜10%であることが好ましい。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、粗炭酸ガスに含まれる、炭酸ガスよりも沸点が高い不純物である高沸点系不純物および炭酸ガスよりも沸点が低い不純物である低沸点系不純物を、前記粗炭酸ガスから除去する装置であって、前記粗炭酸ガスが供給され、前記粗炭酸ガスに含まれる前記低沸点系不純物を塔頂に導くとともに、前記高沸点系不純物を塔底に濃縮させる液体炭酸精留塔と、前記液体炭酸精留塔の塔頂から排出された前記低沸点系不純物を含む炭酸ガスの一部を全凝縮して液体炭酸にする精留塔頂液化器と、前記精留塔頂液化器により液化された液体炭酸と、前記液体炭酸精留塔の塔頂から排出された前記低沸点系不純物を含む炭酸ガスの残部とを混合し、再フラッシュにより前記低沸点系不純物を分離除去する精留塔頂気液分離器と、前記液体炭酸精留塔の底部から、濃縮された前記高沸点系不純物を系外に排出するパージラインと、を備える炭酸ガス中の不純物の除去装置が提供される。
【0018】
前記液体炭酸精留塔に供給される前記粗炭酸ガスを冷却して、当該粗炭酸ガスに含まれる前記液体炭酸精留塔における塔頂温度よりも融点が高い高融点の前記高沸点系不純物を固化させ、前記粗炭酸ガスから前記高融点の高沸点系不純物を一部除去する複数の精留塔前液化器を更に備え、前記精留塔前液化器に供給される前記粗炭酸ガスは、当該粗炭酸ガスが供給されている前記精留塔前液化器が前記高融点の高沸点系不純物によって閉塞した時点で、他の前記精留塔前液化器に供給され、前記精留塔前液化器に析出した前記高融点の高沸点系不純物は、前記精留塔頂気液分離器から排出され常温まで加熱された炭酸ガスにより蒸発・昇華されるようにしてもよい。
【0019】
前記精留塔頂液化器に供給される炭酸ガスは、前記塔頂から排出された炭酸ガスの流量の90〜99%であり、前記精留塔頂気液分離器に供給される炭酸ガスは、前記塔頂から排出された炭酸ガスの流量の1〜10%であることが好ましい。
【0020】
前記低沸点系不純物は、C1〜C4のアルカン、C2〜C4のアルケンおよびC2〜C4のアルキンであり、前記高融点の高沸点系不純物は、C6以上の芳香族炭化水素であってもよい。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、粗炭酸ガス中の低沸点系不純物および高沸点系不純物の双方を経済的に除去し、高回収率で製品炭酸ガスを得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る炭酸ガス中の不純物の除去装置を説明するための説明図である。
【図2】同実施形態に係る冷凍装置を説明するための説明図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る炭酸ガス中の不純物の除去装置を説明するための説明図である。
【図4】同実施形態に係る精留塔前液化器について説明するための説明図である。
【図5】従来の炭酸ガス中の不純物の除去装置を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
なお、以下の説明において、低沸点系不純物とは、粗炭酸ガスに含有されており、炭酸ガスよりも沸点が低い不純物であり、高沸点系不純物とは、粗炭酸ガスに含まれており、炭酸ガスよりも沸点が高い不純物である。炭酸ガスが液化する温度は、系に加えられた圧力等の不純物除去装置が設置された種々の環境によって変化するため、低沸点系不純物や高沸点系不純物を区分する際に基準となる温度も、不純物除去装置が設置された種々の環境に応じて変化する。
【0025】
ここで、上記低沸点系不純物は、天然ガスや石油リファイナリーガスに含有される不純物、または、これらのガスの精製工程で発生する不純物であり、例えば、メタン(沸点−161.5℃)、エタン(沸点−89.0℃)、プロパン(沸点−42.1℃)、ブタン(沸点−0.5℃)等のC1〜C4のアルカンや、C2〜C4のアルケンや、C2〜C4のアルキン等の軽質炭化水素類、一酸化炭素(沸点−192℃)、水素(沸点−252.5℃)、酸素(沸点−183.0℃)、窒素(沸点−195.8℃)、硫化水素(沸点−60.7℃)等がある。
【0026】
また、上記高沸点系不純物は、天然ガスや石油リファイナリーガスに含有される不純物、または、これらのガスの精製工程で発生する不純物であり、例えば、ベンゼン(沸点80℃)、トルエン(沸点111℃)、パラキシレン(沸点138℃)といったC6以上の芳香族炭化水素等がある。
【0027】
なお、例示した低沸点系不純物および高沸点系不純物の沸点は、大気圧下におけるものであり、本発明の各実施形態に係る不純物除去装置内では、装置内の圧力等に応じて、更に高い温度となる点に注意されたい。
【0028】
<従来の不純物除去装置について>
本発明の各実施形態に係る炭酸ガス中の不純物の除去装置(以下、単に不純物除去装置と称する。)について説明するに先立ち、図5を参照しながら従来の炭酸ガス中の不純物の除去装置について簡単に説明し、本発明の目的とするところを明らかにする。
【0029】
図5は、従来の炭酸ガス中の不純物の除去装置を説明するための説明図である。
従来の不純物除去装置10は、例えば図5に示したように、液体炭酸精留塔11と、精留塔リボイラ13と、液体炭酸過冷却器15と、精留塔頂液化器17と、精留塔頂気液分離機19と、塔頂パージガス加熱器21と、圧力調節弁23と、を備える。また、不純物除去装置10には、冷凍装置25が設けられている。
【0030】
液体炭酸精留塔11には、粗炭酸ガスが供給される。液体炭酸精留塔11は、低沸点系不純物を液体炭酸精留塔11の塔頂に導いて系外に排出し、供給された粗炭酸ガスの精留を行う。また、液体炭酸精留塔11の塔底部には、精留された炭酸ガスの一部が液化されて、液体炭酸として存在している。この液体炭酸は、低沸点系不純物を含まない高純度の液体炭酸である。
【0031】
精留塔リボイラ13は、液体炭酸精留塔11に設けられており、液体炭酸精留塔11における精留に必要な熱を供給する。具体的には、精留塔リボイラ13は、冷凍装置25から供給される液体冷媒(より詳細には、膨張前液体冷媒)の顕熱を利用して、液体炭酸精留塔11に必要な熱量を供給する。
【0032】
液体炭酸過冷却器15には、液体炭酸精留塔11の塔底部から抜き出された液体炭酸が供給される。液体炭酸過冷却器15は、冷凍装置25から供給される液体冷媒を利用して液体炭酸を過冷却状態にし、製品液体炭酸とする。
【0033】
精留塔頂液化器17は、液体炭酸精留塔11の塔頂から排出された低沸点系不純物を含む炭酸ガスを、精留塔リボイラ13から排出された液体冷媒を用いて液化し、液体炭酸とする。精留塔頂液化器17において気体となった冷媒は、冷凍装置25へと誘導される。また、液化した炭酸ガスである液体炭酸は、後述する精留塔頂気液分離器19へと誘導され、液化しなかった低沸点系不純物を含むガスは、塔頂パージガス加熱器21へと誘導される。
【0034】
精留塔頂気液分離器19は、精留塔頂液化器17から供給された液体炭酸を気体と液体とに分離する。気体成分が分離された液体炭酸は、還流として再び液体炭酸精留塔11に供給される。
【0035】
塔頂パージガス加熱器21は、精留塔頂液化器17から排出された低沸点系不純物を含むガスを、所定の温度(例えば、常温)まで加熱する。加熱された低沸点系不純物を含むガスは、大気放散またはフレア処理され、装置外に排出される。
【0036】
圧力調節弁23は、塔頂パージガス加熱器21の下流側に設けられている。圧力調節弁23の開閉を制御することで、不純物除去装置10全体の圧力を調節することが可能である。これにより、不純物除去装置10は、炭酸ガスの沸点等を、自装置が設置された環境等に適した温度に調節することができる。
【0037】
冷凍装置25は、所定の冷媒を利用して、不純物除去装置10内で必要となる温度環境を実現する装置である。
【0038】
上述のような装置群からなる従来の不純物除去装置10では、液体炭酸精留塔11に供給された粗炭酸ガスに含まれる低沸点系不純物を、液体炭酸精留塔11の塔頂まで追い上げて系外に排出するとともに、液体炭酸精留塔11の塔底部に、低沸点系不純物を含まない高純度の液体炭酸を精製する。また、塔頂から排出された低沸点系不純物を含むガスは、精留塔頂液化器17、塔頂パージガス加熱器21等の装置による処理を経て、フレア処理されたり、大気放散されたりする。
【0039】
従来の高沸点系不純物を考慮しなくともよい状況下では、図5に示したような従来の不純物除去装置10を用いることで、効率よく低沸点系不純物を粗炭酸ガスの中から除去することが可能となる。しかしながら、近年用いられているアミン吸収法のように、粗炭酸ガス中に低沸点系不純物のみならず高沸点系不純物が混入してしまう方法によって副生された粗炭酸ガスを扱う場合には、図5に示したような不純物除去装置10では不十分である。すなわち、図5に示したような不純物除去装置10では、高沸点系不純物は、すべて液体炭酸精留塔11の塔底に存在する製品液体炭酸中に混入してしまい、精製されないまま製品液体炭酸として利用されてしまう。
【0040】
また、高沸点系不純物を除去する方法として、活性炭を利用する方法等が知られているが、このような方法を図5に示した不純物除去装置10に適用したとしても、ppmのオーダーで混入している高沸点系不純物を除去することは容易ではなく、また、経済的ではないという問題がある。
【0041】
そこで、本発明者らは、上述のような問題を解決し、粗炭酸ガス中の低沸点系不純物および高沸点系不純物を同時に、かつ、経済的に除去し、高回収率で製品炭酸ガスを得ることが可能な方法を実現するために鋭意研究を行った結果、以下で説明するような本発明の各実施形態に係る炭酸ガス中の不純物の除去装置および除去方法に想到した。
【0042】
以下、図1〜図4を参照しながら、本発明の各実施形態に係る炭酸ガス中の不純物の除去装置および除去方法について、詳細に説明する。
【0043】
(第1の実施形態)
<不純物除去装置について>
続いて、図1および図2を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る不純物除去装置について、詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る不純物除去装置100を説明するための説明図であり、図2は、本実施形態に係る冷凍装置について説明するための説明図である。
【0044】
本発明者らは、上述の問題を解決するために鋭意研究を行った結果、液体炭酸精留塔の底部に存在し、高沸点系不純物が濃縮されて含まれるごく少量の液体炭酸を系外に排出することによって、高沸点系不純物を除去することが可能であることに想到した。従って、液体炭酸精留塔の塔頂に供給された炭酸ガスの大部分を追い上げ、これを精留塔頂液化器で凝縮液化すれば、高沸点系不純物をほとんど含まない製品液体炭酸を得ることが可能となる。しかしながら、この際、液体炭酸精留塔の塔頂には、低沸点系不純物が濃縮されているという問題が残る。そこで、本発明者らは、更なる検討を行った結果、以下に示すような本発明の第1の実施形態に係る不純物除去装置および不純物の除去方法に想到した。
【0045】
本実施形態に係る不純物除去装置100は、例えば図1に示したように、液体炭酸精留塔101と、精留塔リボイラ103と、精留塔頂液化器105と、精留塔頂気液分離器107と、製品液体炭酸過冷却器109と、塔頂パージガス加熱器111と、圧力調節弁113と、パージライン115と、塔底パージ液体炭酸蒸発器117と、冷凍装置121と、を主に備える。
【0046】
液体炭酸精留塔101は、供給された粗炭酸ガスの精留を行って、粗炭酸ガスに含まれる低沸点系不純物を塔頂に導く。また、液体炭酸精留塔101の塔底部には、精留された炭酸ガスの一部が液化されて、液体炭酸として存在している。この液体炭酸中には、濃縮された高沸点系不純物が存在している。
【0047】
この液体炭酸精留塔101において高沸点系不純物は塔底部に濃縮される。精留に必要な熱量は精留塔リボイラ103より供給される。塔頂圧力を適当な値、例えば2.3MPaGに圧力調節弁113で調節すると、液体炭酸精留塔101各部の温度は、その圧力に応じて決定される。
【0048】
この液体炭酸精留塔101では、液体炭酸精留塔101に供給された粗炭酸ガスの供給量のうち所定量が、液体炭酸精留塔底部から、液体炭酸としてパージされる。塔底パージ液体炭酸の量は、塔頂近傍に存在するベンゼン等の高沸点系不純物の濃度が1ppm以下となるような値に設定される。例えば粗炭酸ガス中のベンゼン等の高沸点系不純物の濃度が数千ppmの場合には、このような塔底パージ液体炭酸量として、例えば、フィードモル数の3モル%以上5モル%以下と設定することが可能である。このような値を塔底パージ液体炭酸量として設定することで、塔頂付近に存在する高沸点系不純物の濃度を1ppm以下とすることができる。なお、塔底パージ液体炭酸量が3モル%未満の場合には、塔頂付近に存在する高沸点系不純物の濃度を1ppm以下とすることが困難となるため好ましくない。また、塔底パージ液体炭酸量が5モル%超過の場合には、製品液体炭酸の歩留まりが悪くなるため好ましくない。また、塔底パージ液体炭酸量が3モル%〜5モル%であることからも明らかなように、液体炭酸精留塔101の塔頂へと追い上げられる炭酸ガスの量は、還流として液体炭酸精留に戻る分を差し引き、液体炭酸精留塔101に供給された粗炭酸ガスの供給量のうち95体積%〜97体積%である。
【0049】
液体炭酸精留塔101の塔頂から排出された低沸点系不純物を含む炭酸ガスは、後述する精留塔頂液化器105または精留塔頂気液分離器107へと誘導される際に、2つの流れに分流される。この2つの流れとは、相対的に流量の大きな第1の炭酸ガス流と、相対的に流量の小さな第2の炭酸ガス流である。
【0050】
第1の炭酸ガス流は、例えば、液体炭酸精留塔101の塔頂から排出された炭酸ガスの流量のうち、流量比で90〜99%を占める。また、第2の炭酸ガス流は、例えば、液体炭酸精留塔101の塔頂から排出された炭酸ガスの流量のうち、流量比で1〜10%を占める。第2の炭酸ガス流の流量を1〜10%とすることで、不純物除去装置100は、粗炭酸ガスに含まれる低沸点系不純物を効率良く除去することが可能となり、かつ、不純物除去装置100内の圧力をほぼ一定の値に保つことが可能となる。第2の炭酸ガス流の流量が1%未満である場合には、粗炭酸ガス中の低沸点系不純物を十分除去することが困難となって好ましくない。また、第2の炭酸ガス流の流量が10%超過である場合には、後述するように製品液体炭酸として抽出される液体炭酸の量の減少を招くため経済的ではなく、好ましくない。
【0051】
液体炭酸精留塔101の塔底部から抜き出される液体炭酸の量は、液体炭酸精留塔101に供給された粗炭酸ガスの供給量のうち、例えば、3モル%〜5モル%とする。このような量を塔底部から抜き出すことにより、液体炭酸精留塔101に供給される粗炭酸ガスに含まれる高沸点系不純物を効率良く分離することが可能となる。その結果、供給される粗炭酸ガスの中から、効率良く高沸点系不純物を除去することができる。
【0052】
塔底部から引き抜かれた高沸点系不純物を含む液体炭酸は、パージライン115を介して、塔底パージ液体炭酸蒸発器117へと誘導される。
【0053】
このような液体炭酸精留塔101は、例えば、複数の段を有しており、精留塔の段数は、適宜設定可能である。
【0054】
精留塔リボイラ103は、液体炭酸精留塔101に設けられており、液体炭酸精留塔101における必要熱量を供給する。具体的には、精留塔リボイラ103は、後述する冷凍装置121から供給される液体冷媒(より詳細には、膨張前液体冷媒)の顕熱を利用して、液体炭酸精留塔101内に必要な熱量を供給する。
【0055】
精留塔頂液化器105には、液体炭酸精留塔101の塔頂から排出された低沸点系不純物を含む炭酸ガスのうち、第1のガス流が供給される。精留塔頂液化器105では、精留塔リボイラ103から排出された過冷却の液体冷媒と、第1のガス流との熱交換が行われる。その結果、精留塔頂液化器105では、第1のガス流が全凝縮され、液体炭酸となる。また、熱交換の結果、液体冷媒は気体状態となり、冷凍装置121へと誘導される。また、凝縮の結果得られた液体炭酸は、後述する精留塔頂気液分離器107へと誘導される。
【0056】
精留塔頂気液分離器107には、精留塔頂液化器105から供給された液体炭酸と、液体炭酸精留塔101の塔頂から排出された低沸点系不純物を含む炭酸ガスである第2のガス流とが供給される。ここで、図1から明らかなように、上記第2のガス流は、精留塔頂液化器105を経由することなく、直接精留塔頂気液分離器107に誘導される。第2のガス流と、精留塔頂液化器105から供給された液体炭酸とは、精留塔頂気液分離器107内で混合される。その結果、精留塔頂気液分離器107内では、フラッシュおよび再液化が発生する。
【0057】
ここで、炭酸ガスの沸点が2.3MPaGにおいて−13℃であるのに対し、低沸点系不純物の沸点は、炭酸ガスの沸点よりもはるかに低い温度であるため、1段のフラッシュで、低沸点系不純物を液体炭酸から十分に分離することができる。その結果、精留塔頂気液分離器107内の液相側では、高沸点系不純物および低沸点系不純物をほとんど含有しない、純度の高い液体炭酸を得ることができる。
【0058】
フラッシュおよび再液化により低沸点系不純物が除去された液体炭酸は、その一部が還流液として、液体炭酸精留塔101の塔頂部分に供給され、残部は、液体炭酸過冷却器109へと供給される。液体炭酸精留塔101に供給される還流液の量は、不純物除去装置100における物質収支を考慮して任意の値に決定することが可能であるが、例えば、精留塔頂気液分離器107から排出された液体炭酸の10〜15%程度とすることができる。
【0059】
また、フラッシュ再液化により精留塔頂気液分離器107内で発生したガスには、低沸点系不純物が濃縮されている。そのため、この低沸点系不純物が濃縮されたガスは、精留塔頂気液分離器107から排出され、後述する塔頂パージガス加熱器111に誘導される。
【0060】
液体炭酸過冷却器109には、精留塔頂気液分離器107から取り出された液体炭酸が供給される。液体炭酸過冷却器109は、冷凍装置121から供給される液体冷媒と液体炭酸とを熱交換させ、液体炭酸を過冷却状態にして製品液体炭酸とする。
【0061】
塔頂パージガス加熱器111は、精留塔頂気液分離器107から排出された、低沸点系不純物が濃縮されて混入している炭酸ガスを常温まで加熱する。常温まで加熱された低沸点系不純物を含む炭酸ガスは、圧力調節弁113を経て所定の箇所まで誘導され、フレア処理される。
【0062】
圧力調節弁113は、塔頂パージガス加熱器111の下流側のガスラインに設けられている。この圧力調節弁113の開閉を制御することで、不純物除去装置100全体の圧力を調節することが可能である。これにより、不純物除去装置100は、所定の設定条件(例えば、2.3MPaG、−14℃)を保持することが可能となる。
【0063】
また、液体炭酸精留塔101の塔底部から抜き出された液体炭酸は、パージライン115を経て、塔底パージ液体炭酸蒸発器117に誘導される。塔底部から抜き出された液体炭酸には、上述のように、濃縮された高沸点系不純物が混入している。
塔底パージ液体炭酸蒸発器117は、液体炭酸精留塔101の塔底部から抜き出された高沸点系不純物を気化させて炭酸ガスとし、さらに常温まで加熱する。常温まで加熱された高沸点系不純物を含む炭酸ガスは、所定の箇所まで誘導され、フレア処理される。
【0064】
冷凍装置121は、不純物除去装置100で利用される冷媒の供給および回収を行う装置である。より詳細には、冷凍装置121は、不純物除去装置100内で行われた熱交換の結果気体となった冷媒を回収し、回収した冷媒を冷却して液体状態にしたうえで、不純物除去装置100へと供給する。この冷凍装置121は、特に限定されるものではなく、不純物除去装置100で必要とする温度(例えば、−14℃〜−18℃)を実現可能なものであれば、液体炭酸製造設備で用いられる何れの冷凍装置であっても利用可能である。また、冷凍装置121によって供給および回収される冷媒は、不純物除去装置100で必要とする温度(例えば、−14℃〜−18℃)を実現可能なものであれば、何れの冷媒でも利用可能であるが、例えば、蒸発温度−30℃程度、かつ、凝縮温度40℃程度のものを利用できる。
【0065】
この冷凍装置121は、例えば図2に示したように、冷媒圧縮機123と、冷凍機油分離器125と、冷媒凝縮機127と、冷媒液受液器129と、を主に備える。
【0066】
冷媒圧縮機123は、不純物除去装置100から回収した気体状態の冷媒を圧縮し、冷凍機油分離器125へと送出する。冷凍機油分離器125は、圧縮された冷媒に含まれる冷凍機油分と気体状態の冷媒とを分離して、気体状態の冷媒を冷媒凝縮機127に送出する。冷媒凝縮機127は、冷凍機油分が分離された気体状態の冷媒を凝縮し、液体状態の冷媒とする。冷媒凝縮機127は、液体状態となった冷媒を冷媒液受液器129へと送出し、冷媒液受液器129は、液体状態の冷媒を不純物除去装置100へと送出する。
【0067】
以上説明したような本実施形態に係る不純物除去装置100を用いることで、粗炭酸ガス中の低沸点系不純物および高沸点系不純物の双方を経済的に除去し、高回収率で製品炭酸ガスを得ることが可能となる。
【0068】
以上、本実施形態に係る不純物除去装置100の構成について説明した。
続いて、本実施形態に係る不純物除去装置100が実施する不純物の除去方法について、詳細に説明する。
【0069】
<不純物の除去方法について>
以下、本実施形態に係る不純物除去装置100が実施する不純物の除去方法について、詳細に説明する。本実施形態に係る不純物の除去方法は、粗炭酸ガスに含まれる高沸点系不純物を除去する工程と、高沸点系不純物の除去された炭酸ガスから低沸点系不純物を除去する工程と、を主に備える。
【0070】
まず、粗炭酸ガスに含まれる高沸点系不純物を除去する工程について説明する。
【0071】
天然ガスや石油リファイナリーガスの精製工程において副生された粗炭酸ガスは、まず、液体炭酸精留塔101へと供給される。この液体炭酸精留塔101は、所定の塔頂温度および圧力(例えば、2.3MPaG、−14℃)を維持するように、制御されている。液体炭酸精留塔101内の塔頂温度は、粗炭酸ガスに含まれる低沸点系不純物の沸点以上となっているため、粗炭酸ガスに含まれる炭酸ガスと、粗炭酸ガスに含まれる低沸点系不純物とが気化して、塔頂へと追い上げられる。また、粗炭酸ガスに含まれる高沸点系不純物は、液体炭酸精留塔101内の塔底温度が高沸点系不純物の沸点に達していないため、液体炭酸精留塔101の塔底部に濃縮されることとなる。ここで、塔頂へと追い上げられる炭酸ガスの量は、精留塔101に供給された粗炭酸ガスの供給量のうち、還流分を差し引いて、例えば、95体積%以上97体積%以下とする。
【0072】
ここで、液体炭酸精留塔101の塔底部に液体のまま残存する濃縮された高沸点系不純物を主として含む液体炭酸を、液体炭酸精留塔101から系外に取り出し排出することで、粗炭酸ガスに含まれる高沸点不純物を除去することができる。
【0073】
続いて、高沸点系不純物の除去された炭酸ガスから低沸点系不純物を除去する工程について説明する。
【0074】
液体炭酸精留塔101の塔頂から排出された炭酸ガスは、相対的に流量の大きな第1の炭酸ガス流と、相対的に流量の小さな第2の炭酸ガス流という2つの流れに分流される。第1の炭酸ガス流は、例えば、液体炭酸精留塔101の塔頂から排出された炭酸ガスの流量のうち、流量比で90〜99%を占める。また、第2の炭酸ガス流は、例えば、液体炭酸精留塔101の塔頂から排出された炭酸ガスの流量のうち、流量比で1〜10%(好ましくは、3〜10%)を占める。
【0075】
第1のガス流は、精留塔頂液化器105へと誘導される。精留塔頂液化器105は、第1のガス流を全凝縮して液体炭酸とし、生成された液体炭酸を、精留塔頂気液分離器107へと送出する。また、第2のガス流は、精留塔頂液化器105を経ずに、直接精留塔頂気液分離器107へと誘導される。
【0076】
第1のガス流が全凝縮した結果生じた液体炭酸と、第2のガス流とが供給される精留塔頂気液分離器107では、精留塔頂液化器105から供給された液体炭酸の再フラッシュが起こり、低沸点系不純物が分離される。分離された低沸点系不純物は濃縮され、ガスとして精留塔頂気液分離器107から排出される。精留塔頂気液分離器107から低沸点系不純物を含むガスを系外に取り出すことで、高沸点系不純物の除去された炭酸ガスを用いて生成された液体炭酸の中から、更に、低沸点系不純物を除去することができる。
【0077】
精留塔頂気液分離器107から送出された液体炭酸は、上述のように低沸点系不純物がほとんど含まれず、また、高沸点系不純物もほとんど含まないものである。精留塔頂気液分離器107から送出された液体炭酸は、その一部(例えば、液体炭酸精留塔101に供給された粗炭酸ガスのモル数のうち、10モル%〜15モル%)が液体炭酸精留塔101の頂部に還流液として供給された後に、液体炭酸過冷却器109へと誘導される。液体炭酸過冷却器109に供給された液体炭酸は、過冷却状態にされた後、製品液体炭酸として取り出される。
【0078】
他方、精留塔頂気液分離器107から排出された、低沸点系不純物の濃縮されたガスは、塔頂パージガス加熱器111で常温化された後、フレア処理される。また、液体炭酸精留塔101の塔底部から抜き出される少量の液体炭酸は、高沸点系不純物が濃縮されて含まれているため、塔底パージ液体炭酸蒸発器117により気化・常温化された後、フレア処理される。
【0079】
以上説明したように、本実施形態に係る不純物の除去方法は、触媒あるいは活性炭によって、あらかじめ、原料粗炭酸ガスを処理する方法ではない。そのため、本実施形態にかかる不純物の除去方法は、触媒反応に必要な温度まで粗炭酸ガスを予熱する熱や、活性炭を再生するための熱は必要がない。そのため、本実施形態に係る不純物の除去方法を用いることで、粗炭酸ガス中の低沸点系不純物および高沸点系不純物の双方を経済的に除去し、高回収率で製品炭酸ガスを得ることができる。
【0080】
以上、本実施形態に係る不純物の除去方法について説明した。
以下では、本発明の第2の実施形態に係る不純物除去装置および不純物の除去方法について、詳細に説明する。
【0081】
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態に係る不純物除去装置および不純物の除去方法について、詳細に説明する。
【0082】
原料ガスが、天然ガス、石油リファイナリーガスである場合、副生される粗炭酸ガスには、ベンゼン、パラキシレン等の高融点の高沸点系不純物が混入している。このような高融点の高沸点系不純物を含む粗炭酸ガスは、液体炭酸精留塔等の低温部で、高融点の高沸点系不純物が固体となって析出することで装置の閉塞を引き起こし、連続操業ができなくなるという事態を発生させる可能性がある。
【0083】
そこで、本発明者らは、このような事態の発生を防止し、不純物除去装置の連続運転を実現可能な方法について鋭意検討を行い、以下で説明するような本発明の第2の実施形態に係る不純物除去装置および不純物の除去方法に想到した。
【0084】
<不純物除去装置について>
まず、図3および図4を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る不純物除去装置について、詳細に説明する。図3および図4は、本実施形態に係る不純物除去装置を説明するための説明図である。
【0085】
本実施形態に係る不純物除去装置100は、例えば図3に示したように、液体炭酸精留塔101と、精留塔リボイラ103と、精留塔頂液化器105と、精留塔頂気液分離器107と、製品液体炭酸過冷却器109と、塔頂パージガス加熱器111と、圧力調節弁113と、パージライン115と、塔底パージ液体炭酸蒸発器117と、冷凍装置121と、精留塔前液化器151a,151bと、を主に備える。
【0086】
ここで、本実施形態に係る液体炭酸精留塔101、精留塔リボイラ103、精留塔頂液化器105、精留塔頂気液分離器107、製品液体炭酸過冷却器109、塔頂パージガス加熱器111、圧力調節弁113、パージライン115、塔底パージ液体炭酸蒸発器117と、冷凍装置121は、それぞれ、本発明の第1の実施形態における各装置と同様の構成を有し、同様の効果を奏するため、詳細な説明は省略する。
【0087】
精留塔前液化器151a,151b(以下、単に精留塔前液化器151とも称する。)は、本実施形態に係る不純物除去装置100に複数設置される装置である。なお、図3において、精留塔前液化器151は、2つしか図示していないが、本実施形態に係る精留塔前液化器151の台数は、図3に示した場合のみに限定されるわけではなく、3台以上の精留塔前液化器151を不純物除去装置100に設けても良い。
【0088】
精留塔前液化器151は、液体炭酸精留塔101の上流側に配置される。精留塔前液化器151は、液体炭酸精留塔101に供給される粗炭酸ガスを冷却して、粗炭酸ガスに含まれる高融点の高沸点系不純物を固化・析出させ、粗炭酸ガスから高融点の高沸点系不純物を一部除去する。ここで、高融点の高沸点系不純物とは、液体炭酸精留塔101における塔頂温度よりも融点が高い高沸点系不純物を意味し、このような不純物の例として、例えば、ベンゼン、パラキシレン等を挙げることができる。
【0089】
より詳細には、精留塔前液化器151は、不純物除去装置100内の圧力(例えば、2.3MPaG)を維持したまま、粗炭酸ガスを液体炭酸精留塔101の塔頂よりも低い温度(例えば、塔頂よりも1〜2℃低い温度である−15℃程度)まで冷却する。このような温度は、高融点の高沸点系不純物は固化するものの炭酸ガスは固化しない温度であるため、精留塔前液化器151を通過する粗炭酸ガスに含まれる炭酸ガスは全凝縮して液体炭酸となり、粗炭酸ガスに含まれる高融点の高沸点系不純物は、精留塔前液化器151内で固化して析出することとなる。これにより、精留塔前液化器151は、液体炭酸精留塔101に供給される粗炭酸ガスの中から、高融点の高沸点系不純物を一部除去することができる。
【0090】
このようにして高融点の高沸点系不純物が一部除去された液体炭酸(粗炭酸ガスが液化したもの)は、液体炭酸精留塔101に送出される。
【0091】
本実施形態に係る不純物除去装置100では、このような精留塔前液化器151を複数利用することで、不純物除去装置100の連続運転を実現する。以下に、連続運転を実現する方法の詳細について、図4を参照しながら説明する。
【0092】
図4は、図3に示した本実施形態に係る不純物除去装置100の中から一部の装置のみを抜き出して図示したものである。図4における説明では、2つの精留塔前液化器151a,151bが存在する場合について説明する。
【0093】
本実施形態に係る不純物除去装置100では、例えば図4の(状態a)に示したように、粗炭酸ガスを、精留塔前液化器151aに供給し、この精留塔前液化器151aに冷媒が供給されるようにする。また、もう一方の精留塔前液化器151bには、塔頂パージガス加熱器111から排出されたガスが供給されるようにする。
【0094】
ここで、粗炭酸ガスが供給されている精留塔前液化器151aを、2.3MPaG程度の圧力下で−15℃(液体炭酸精留塔101の塔頂温度より1〜2℃低い温度)程度に冷却することにより、粗炭酸ガスに含まれる炭酸ガスは全凝縮して液体(液体炭酸)となり、この液体炭酸は、液体炭酸精留塔101にフィードされる。また、精留塔前液化器151aは、上述のように−15℃で操作されるため、ベンゼン、パラキシレンといった高融点の高沸点系不純物は、精留塔前液化器151a内で冷却され、固化析出する。これにより、液体炭酸精留塔101には、高融点の高沸点系不純物が一部除去された液体炭酸が供給されることとなり、液体炭酸精留塔101を含む不純物除去装置100は、残りのわずかの高融点の高沸点系不純物と高沸点系不純物と低沸点系不純物とを、本発明の第1の実施形態に係る不純物除去装置100で説明したような方法で、粗炭酸ガスから除去する。この場合、高融点の高沸点系不純物は、液体炭酸精留塔101内に、わずかに残存するが、液体炭酸精留塔101の塔頂温度は精留塔前液化器151より1〜2℃高いので、再び固化する恐れはない。
【0095】
精留塔前液化器151aをしばらく運転すると、ベンゼン、パラキシレン等の高融点の高沸点系不純物析出による配管や弁の閉塞のため、圧力損失の増大、伝熱係数の低下による伝熱不良が発生し、精留塔前液化器151aの操作が不可能となる。このタイミングで、図4の(状態b)に示したように、粗炭酸ガスを流していなかったもう一方の精留塔前液化器151bに、粗炭酸ガスの流れを切りかえる。
【0096】
精留塔頂気液分離器107から排出されるガスは、上述のように、ベンゼン、パラキシレンといった高融点の高沸点系不純物をほとんど含まない。そのため、この排出ガスを塔頂パージガス加熱器111で常温に戻した後、閉塞のため粗炭酸ガスの供給を停止した側の精留塔前液化器151aに再生ガスとして供給する。その結果、精留塔前液化器151a内に析出している高融点の高沸点系不純物は、常温の再生ガスによって加熱されることとなり、これらの高融点の高沸点系不純物の固体は、蒸発・昇華することとなる。その結果、精留塔前液化器151a内に存在していた高融点の高沸点系不純物は、精留塔前液化器151aから除去され、精留塔前液化器151aは再び使用可能となる。
【0097】
以後、精留塔前液化器151a,151bを利用して、このサイクルを交互に繰り返すことにより、不純物除去装置100は、高融点の高沸点系不純物の閉塞が生じることなく、連続運転が可能となる。
【0098】
なお、この再生ガスとして、精留塔頂気液分離器107から排出された低沸点系不純物を極少量含むほぼ純粋な炭酸ガスを利用することで、高融点の高沸点系不純物の閉塞から回復した精留塔前液化器151aの内部は、ほぼ純粋な炭酸ガスで満たされた状態となっている。そのため、高融点の高沸点系不純物の閉塞から回復した精留塔前液化器151aが再び液化操作に移る際に、系内をパージするためのパージガスを利用することなく、液化操作を再開することができる。このようなパージガスが不要となることで、製品炭酸ガスの損失を抑制することができる。
【0099】
以上、本実施形態に係る不純物除去装置100の構成について説明した。
なお、本実施形態に係る不純物の除去方法は、液体炭酸精留塔101の上流側に設けた精留塔前液化器151により粗炭酸ガスを全凝縮し、粗炭酸ガスに含まれる高融点の高沸点系不純物を一部除去した液体炭酸を液体炭酸精留塔101に供給する点、ならびに、精留塔頂気液分離器107から排出されたほぼ純粋な炭酸ガスを用いて、高融点の高沸点系不純物が析出した精留塔前液化器151を再生する点以外は、本発明の第1の実施形態に係る不純物の除去方法と同様である。よって、本実施形態に係る不純物の除去方法に関する詳細な説明は省略する。
【実施例】
【0100】
以下では、実施例を示しながら、本発明の実施形態に係る不純物除去装置および不純物の除去方法について説明する。しかしながら、本発明が以下に示す実施例に限定されるわけではない。
【0101】
以下では、図3に示した本発明の第2の実施形態に係る不純物除去装置100を想定した化学プロセスシミュレータによるシミュレーション結果について、詳細に説明する。用いた化学プロセスシミュレータは、各種の化学反応式や、物性データや、熱力学の諸方程式を用いて化学プロセスをシミュレートするものであり、実際の操業に則したシミュレーションが実現可能なものである。
【0102】
なお、図3に示した本発明の第2の実施形態に係る不純物除去装置100は、図1に示した本発明の第1の実施形態に係る不純物除去装置100の構成を含むものであり、実施例としては好適であると考える。
【0103】
(実施例1)
[粗炭酸ガスについて]
天然ガスを化学吸収法で処理して得られた副生ガスである炭酸ガスリッチガスを、粗炭酸ガスとし、この粗炭酸ガスの流量および組成を以下のように設定した。以下では、粗炭酸ガスの流量を、モル流量(表1−a)と質量流量(表1−b)の双方で示している。この設定値は、実際の粗炭酸ガスの組成に基づくものである。なお、粗炭酸ガスの温度は20℃とし、圧力は2.3MPaGとした。
【0104】
【表1】

【0105】
【表2】

【0106】
なお、上記表1において、「C2」は、炭素数が2の化合物を表し、「C3」は、炭素数が3の化合物を表し、「C4+」は、炭素数が4以上の化合物を表している。
【0107】
[操作条件について]
精留塔前液化器151の操作条件として、精留塔前液化器151の出側において、−15℃、2.3MPaGであるとし、精留塔液化器151内で全凝縮されるとした。
【0108】
液体炭酸精留塔101の操作条件として、塔底部に液化した粗炭酸ガスが供給される塔径500mmの精留塔とし、塔頂への還流液は879kg/hとした。また、塔頂へ導かれる炭酸ガスの量は、還流分を差し引いて液体炭酸精留塔101に供給されるガスの供給量の約97体積%とした。
【0109】
また、液体炭酸精留塔101の塔頂から排出されたガスのうち、流量比で97%が第1のガス流として精留塔頂液化器105へと誘導され、流量比で3%が第2のガス流として精留塔頂気液分離器107へ直接誘導されるものと設定した。なお、塔頂から排出されたガスの温度は−13.7℃であり、圧力は2.3MPaGとした。
【0110】
[シミュレーション結果について]
このようなシミュレーションの結果、以下の表2〜表4で示すような値が得られた。表2は、塔頂パージガス加熱器111の下流側におけるガスの流量および組成であり、表3は、塔底パージ液体炭酸蒸発器117の下流側におけるガスの流量および組成である。また、表4は、製品液体炭酸の流量および組成である。
【0111】
【表3】

【0112】
【表4】

【0113】
【表5】

【0114】
なお、本シミュレーションにおける炭酸ガスの回収率は、94.9%であった。
【0115】
(実施例2)
第2のガス流を、流量比で8%とした以外は実施例1と同様にして、シミュレーションを行った。製品液体炭酸の流量・組成について、得られた結果を表5に示す。
【0116】
【表6】

【0117】
なお、本シミュレーションにおける炭酸ガスの回収率は、87.7%であった。
【0118】
(実施例3)
第2のガス流を、流量比で10%とした以外は実施例1と同様にして、シミュレーションを行った。製品液体炭酸の流量・組成について、得られた結果を表6に示す。
【0119】
【表7】

【0120】
なお、本シミュレーションにおける炭酸ガスの回収率は、86.3%であった。
【0121】
(比較例1)
図5に示した従来の不純物除去装置10について、実施例1と同様にしてシミュレーションを行った。製品液体炭酸の流量・組成について、得られた結果を表7に示す。
【0122】
【表8】

【0123】
なお、本シミュレーションにおける炭酸ガスの回収率は、94.0%であった。
【0124】
以上の結果から明らかなように、液体炭酸精留塔底の液体炭酸パージ量をフィードのモルの3%とした実施例1において既に、ベンゼン、トルエン、キシレンといった高沸点系不純物は1ppm未満のオーダーまで除去されていることがわかる。また、第2のガス流の流量比を増加させていくと、低沸点系不純物の含有量も減少していくことがわかる。このように、本発明の各実施形態に係る不純物の除去方法によれば、粗炭酸ガスに含まれる高沸点系不純物および低沸点系不純物の双方を効率よく除去することが可能であり、また、製品液体炭酸を85%以上の高回収率で得ることができる。
【0125】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、工業用、食品用、医療用の炭酸ガスの製造に利用できるほか、炭酸ガスを地中に圧入する場合においても環境に影響を与える高沸点系不純物を除去した炭酸ガスとして利用できる。
【符号の説明】
【0127】
100 不純物除去装置
101 液体炭酸精留塔
103 精留塔リボイラ
105 精留塔頂液化器
107 精留塔頂気液分離器
109 液体炭酸過冷却器
111 塔頂パージガス加熱器
113 圧力調節弁
115 パージライン
117 塔底パージ液体炭酸蒸発器
121 冷凍装置
123 冷媒圧縮機
125 冷凍機油分離器
127 冷媒凝縮機
129 冷媒液受液器
151 精留塔前液化器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗炭酸ガスに含まれる、炭酸ガスよりも沸点が高い不純物である高沸点系不純物および炭酸ガスよりも沸点が低い不純物である低沸点系不純物を、前記粗炭酸ガスから除去する方法であって、
前記高沸点系不純物および前記低沸点系不純物を含む前記粗炭酸ガスを、液体炭酸精留塔に供給し、前記液体炭酸精留塔中で前記粗炭酸ガスの供給量のうち所定量を塔頂に導き、前記高沸点系不純物を含む液体炭酸を、前記液体炭酸精留塔底から系外に排出することで、前記粗炭酸ガスに含まれる前記高沸点系不純物を除去する工程と、
前記塔頂から排出された炭酸ガスを、相対的に流量の大きな第1の炭酸ガス流と、相対的に流量の小さな第2の炭酸ガス流とに分流し、前記第1の炭酸ガス流を精留塔頂液化器に導いて全凝縮して液体炭酸とし、当該液体炭酸を精留塔頂気液分離器に導くとともに、前記第2の炭酸ガス流を混合して再フラッシュにより前記精留塔頂気液分離器で液体炭酸中の低沸点系不純物を分離することで、前記粗炭酸ガスに含まれる低沸点系不純物を除去する工程と、
を含むことを特徴とする、炭酸ガス中の不純物の除去方法。
【請求項2】
前記高沸点系不純物を除去する工程では、前記高沸点系不純物および前記低沸点系不純物を含む前記粗炭酸ガスを、複数の精留塔前液化器の何れか一つに供給して前記塔頂の温度よりも低い温度まで冷却し、前記粗炭酸ガスに含まれる前記液体炭酸精留塔における塔頂温度よりも融点が高い高融点の前記高沸点系不純物を固化させ、前記高融点の高沸点系不純物が一部除去された前記粗炭酸ガスを前記液体炭酸精留塔に供給し、
前記高融点の高沸点系不純物が閉塞した時点で前記粗炭酸ガスが供給されている精留塔前液化器に換えて他の前記精留塔前液化器を稼働させ、前記精留塔頂気液分離器から排出され常温まで加熱された炭酸ガスを、前記高融点の高沸点系不純物が閉塞した精留塔前液化器に供給し、高融点の高沸点系不純物を蒸発・昇華させて除去することを特徴とする、請求項1に記載の炭酸ガス中の不純物の除去方法。
【請求項3】
前記液体炭酸精留塔の塔頂に追い上げる前記高沸点系不純物を含む液体炭酸のガスは、還流として液体炭酸精留塔頂部に戻す分を差し引いて前記粗炭酸ガスの供給量の95%以上97%以下である
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の炭酸ガス中の不純物の除去方法。
【請求項4】
前記第1の炭酸ガス流は、前記塔頂から排出された炭酸ガスの流量の90〜99%であり、
前記第2の炭酸ガス流は、前記塔頂から排出された炭酸ガスの流量の1〜10%である
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の炭酸ガス中の不純物の除去方法。
【請求項5】
前記低沸点系不純物は、C1〜C4のアルカン、C2〜C4のアルケンおよびC2〜C4のアルキンであり、
前記高融点の高沸点系不純物は、C6以上の芳香族炭化水素である
ことを特徴とする、請求項2に記載の炭酸ガス中の不純物の除去方法。
【請求項6】
粗炭酸ガスに含まれる、炭酸ガスよりも沸点が高い不純物である高沸点系不純物および炭酸ガスよりも沸点が低い不純物である低沸点系不純物を、前記粗炭酸ガスから除去する装置であって、
前記粗炭酸ガスが供給され、前記粗炭酸ガスに含まれる前記低沸点系不純物を塔頂に導くとともに、前記高沸点系不純物を塔底に濃縮させる液体炭酸精留塔と、
前記液体炭酸精留塔の塔頂から排出された前記低沸点系不純物を含む炭酸ガスの一部を全凝縮して液体炭酸にする精留塔頂液化器と、
前記精留塔頂液化器により液化された液体炭酸と、前記液体炭酸精留塔の塔頂から排出された前記低沸点系不純物を含む炭酸ガスの残部とを混合し、再フラッシュにより前記低沸点系不純物を分離除去する精留塔頂気液分離器と、
前記液体炭酸精留塔の底部から、濃縮された前記高沸点系不純物を系外に排出するパージラインと、
を備えることを特徴とする、炭酸ガス中の不純物の除去装置。
【請求項7】
前記液体炭酸精留塔に供給される前記粗炭酸ガスを冷却して、当該粗炭酸ガスに含まれる前記液体炭酸精留塔における塔頂温度よりも融点が高い高融点の前記高沸点系不純物を固化させ、前記粗炭酸ガスから前記高融点の高沸点系不純物を一部除去する複数の精留塔前液化器を更に備え、
前記精留塔前液化器に供給される前記粗炭酸ガスは、当該粗炭酸ガスが供給されている前記精留塔前液化器が前記高融点の高沸点系不純物によって閉塞した時点で、他の前記精留塔前液化器に供給され、
前記精留塔前液化器に析出した前記高融点の高沸点系不純物は、前記精留塔頂気液分離器から排出され常温まで加熱された炭酸ガスにより蒸発・昇華される
ことを特徴とする、請求項6に記載の炭酸ガス中の不純物の除去装置。
【請求項8】
前記精留塔頂液化器に供給される炭酸ガスは、前記塔頂から排出された炭酸ガスの流量の90〜99%であり、
前記精留塔頂気液分離器に供給される炭酸ガスは、前記塔頂から排出された炭酸ガスの流量の1〜10%である
ことを特徴とする、請求項6または7に記載の炭酸ガス中の不純物の除去装置。
【請求項9】
前記低沸点系不純物は、C1〜C4のアルカン、C2〜C4のアルケンおよびC2〜C4のアルキンであり、
前記高融点の高沸点系不純物は、C6以上の芳香族炭化水素である
ことを特徴とする、請求項7に記載の炭酸ガス中の不純物の除去装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−20871(P2011−20871A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165407(P2009−165407)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(591178012)財団法人地球環境産業技術研究機構 (153)
【Fターム(参考)】