説明

炭酸ジアリールの調製方法

本発明は、炭酸ジアルキルおよびアリールアルコールから炭酸ジアリールを調製する方法であって、(a)炭酸ジアルキルおよびアリールアルコールを第1の反応蒸留塔に導入するステップ、(b)炭酸ジアルキルおよびアルキルアルコールを含む上流ならびに炭酸アルキルアリール、アリールアルコールおよび炭酸ジアルキルを含む底流を、第1の反応蒸留塔から回収するステップ、(c)第1の反応蒸留塔からの底流を、第2の反応蒸留塔に導入するステップ、(d)炭酸ジアルキルを含む上流ならびに炭酸アルキルアリール、炭酸ジアリールおよびアリールアルコールを含む底流を、第2の反応蒸留塔から回収するステップ、(e)第2の反応蒸留塔からの底流を第3の反応蒸留塔に導入するステップ、ならびに(f)アリールアルコールを含む上流および炭酸ジアリールを含む底流を、第3の反応蒸留塔から回収するステップ、を含み、第3の反応蒸留塔からの上流を第2の反応蒸留塔に再利用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸ジアルキルおよびアリールアルコールから炭酸ジアリールを調製する方法に関する。
【0002】
このような方法において、炭酸ジアルキルは、以下のステップを介して炭酸ジアリールに転換される。第1のステップにおいて、炭酸ジアルキルとアリールアルコールとのエステル転移反応が起こり、炭酸アルキルアリールおよびアルキルアルコールが生じる。第2のステップにおいて、炭酸アルキルアリールの不均化が起こり、炭酸ジアリールおよび炭酸ジアルキルが生じる。さらに、炭酸ジアリールとアルキルアルコールとを生じる、炭酸アルキルアリールとアリールアルコールとのエステル転移反応もまた、起こり得る。
【背景技術】
【0003】
WO200142187は、炭酸ジアルキルおよびフェノールから炭酸ジフェニルを調製する方法を開示している。前記方法において、連続した3つの反応蒸留塔が使用される:WO200142187の図2の塔A、B1およびCを参照されたい。前記方法は、第3の反応蒸留塔Cからの上流が、第1の反応蒸留塔Aに再利用されることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2001/42187号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、炭酸ジアルキルおよびアリールアルコールから炭酸ジアリールを調製する方法であり、この炭酸ジアリールの作製に必要とされるエネルギーが削減された方法を提供することである。
【0006】
驚くべきことに、このようなエネルギー効率の良い炭酸ジアリールの調製が、3つの反応蒸留塔を連続して使用する方法によって達成でき、この方法において、第3の反応蒸留塔からの上流が、第2の反応蒸留塔に再利用されることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は、炭酸ジアルキルおよびアリールアルコールから炭酸ジアリールを調製する方法であって、
(a)炭酸ジアルキルおよびアリールアルコールを第1の反応蒸留塔に導入するステップ、
(b)炭酸ジアルキルおよびアルキルアルコールを含む上流ならびに炭酸アルキルアリール、アリールアルコールおよび炭酸ジアルキルを含む底流を、第1の反応蒸留塔から回収するステップ、
ok(c)第1の反応蒸留塔からの底流を、第2の反応蒸留塔に導入するステップ、
(d)炭酸ジアルキルを含む上流ならびに炭酸アルキルアリール、炭酸ジアリールおよびアリールアルコールを含む底流を、第2の反応蒸留塔から回収するステップ、
(e)第2の反応蒸留塔からの底流を第3の反応蒸留塔に導入するステップ、ならびに
(f)アリールアルコールを含む上流および炭酸ジアリールを含む底流を、第3の反応蒸留塔から回収するステップ
を含み、
第3の反応蒸留塔からの上流を第2の反応蒸留塔に再利用する方法に関する。
【0008】
以下の実施例に示すように、本発明は、炭酸ジアルキルおよびアリールアルコールから炭酸ジアリールを調製するためのエネルギー必要量が、有利にもあまり厳しくない。
【0009】
本明細書において「反応蒸留塔」は、蒸留塔において化学反応をもたらす触媒を含有する蒸留塔として定義される。
【0010】
好ましくは、第1の反応蒸留塔からの上流は、アルキルアルコールを含む上流および炭酸ジアルキルを含む底流が回収される第1の蒸留塔に導入され、第1の蒸留塔からの底流が第1の反応蒸留塔に再利用される。
【0011】
さらに、好ましくは、第2の反応蒸留塔からの、炭酸ジアルキルを含む上流はアリールアルコールをさらに含み、炭酸ジアルキルを含む上流およびアリールアルコールを含む底流が回収される第2の蒸留塔に導入され、第2の蒸留塔からの上流が第1の蒸留塔に再利用される。
【0012】
その上さらに好ましくは、第1の反応蒸留塔からの底流、第2の反応蒸留塔からの上流および第2の蒸留塔からのアリールアルコールを含む底流が、アルキルアリールエーテルをさらに含み、第2の蒸留塔からのアリールアルコールおよびアルキルアリールエーテルを含む底流が、アルキルアリールエーテルを含む上流およびアリールアルコールを含む底流が回収される第3の蒸留塔に導入され、第3の蒸留塔からの底流が、第1の反応蒸留塔に再利用される。
【0013】
第3の反応蒸留塔からの底流は、所望の炭酸ジアリールを含む。前記流れをさらなる蒸留に供し、純粋な炭酸ジアリールを得ることができる。第3の反応蒸留塔からの炭酸ジアリールを含む流れが、触媒をさらに含む場合、前記流れは、炭酸ジアリールを含む上流ならびに触媒および炭酸ジアリールを含む底流が回収される第4の蒸留塔に導入される。第4の蒸留塔からの底流は、第1、第2または第3の反応蒸留塔に、部分的または完全に再利用できる。
【0014】
本発明に使用される炭酸ジアルキルは、炭酸ジ(C−C)アルキルであってよく、アルキル基(直鎖、分枝型および/または環状)は、メチル、エチルおよびプロピルなどのように同一であっても、または異なっていてもよい。適切な炭酸ジアルキルは、炭酸ジメチルおよび炭酸ジエチルである。好ましくは、炭酸ジアルキルは炭酸ジエチルである。
【0015】
本発明に使用されるアリールアルコールは、非置換フェノールまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−置換フェノールから選択される。フェノール部分の置換基は、広範囲な有機基から選択できる。適切な置換基は、C−Cのアルキル基、C−Cのアルコキシ基およびハロゲン化物を含む。例としては、メチル、エチル、メトキシおよびエトキシの各基である。置換基は、環の任意の場所に存在してよい。従って、適切な置換フェノール化合物は、o−、m−またはp−クレゾール、o−、m−またはp−エチルフェノール、o−、m−またはp−クロロフェノール、o−、m−またはp−メトキシフェノール、2,3−、2,4−または3,4−ジメチルフェノールを含む。好ましくは、アリールアルコールは非置換フェノールである。
【0016】
上記のように、第1、第2および第3の反応蒸留塔は、蒸留塔において化学反応をもたらす触媒を含有する。前記触媒は、均一であっても、または不均一であってもよい。
【0017】
本方法の第1、第2および第3の反応蒸留塔において使用される触媒の選択は重要ではない。第1、第2および第3の反応蒸留塔において使用される触媒が同じである必要はない。炭酸ジアリール、おそらく炭酸アルキルアリールと、アリールアルコールとのエステル転移反応ならびに炭酸アルキルアリールの不均化のための多数の触媒が、先行技術において公知である。適切な触媒は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、アルコラート、アミドおよび水酸化物を含む。アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩は、アルカリ金属のカルボン酸塩、炭酸塩および重炭酸塩を含む。該金属は、好ましくは、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムから選択され、ナトリウムおよびカリウムが特に好ましい。好ましい触媒は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物およびナトリウムメタノラートまたはカリウムメタノラートまたはカリウムエタノラートなどのアルコラートである。
【0018】
さらなる触媒は、AlX、TiX、TiX、VX、ZnX、FeXおよびSnXなどの、ルイス酸の金属化合物であり得る。前述の式の1つを有する特定の化合物に関して、Xは同一であっても、または異なっていてもよい。さらに、前記Xは、水素、アセトキシ、アルコキシ、アリールアルコキシおよびアリールオキシの各基からなる群から選択され得る。好ましくは、触媒は、式TiXの均一触媒であり、Xは同一であっても、または異なっていてもよく、アルコキシ基、好ましくは1個から6個の炭素原子を含有するアルコキシ基、より好ましくはエトキシ基およびアリールオキシ基、好ましくはフェノキシ基から選択される。他の適切な例は、テトラメトキシチタン、ジメトキシチタン、ジエトキシチタン、テトラプロポキシチタンおよびテトラブトキシチタンである。アルコキシド基は、直鎖であっても、または分岐型であってもよいが、直鎖アルコキシド基が好ましい。
【0019】
従って、具体的には、エステル転移反応触媒は、触媒を含有するチタンである。好ましくは、前記触媒を含有するチタンにおけるチタンは、IVの酸化状態を有する。さらに、前記チタンは、1つまたは複数の、好ましくは4つの、エトキシド基などのアルコキシド基および/またはフェノキシド基などのアリールオキシド基と結合できる。
【0020】
さらに、上述の触媒を含有するチタンは、2個または複数個のチタン原子を含有する二量体またはポリマーであってよく、チタン原子は、式−O(C=O)O−の炭酸塩橋を介して、または式−O−の酸素橋を介して相互に結合され得る。その上さらに、前記触媒を含有するチタンは、1個または複数個のケイ素原子をさらに含有でき、チタンおよびケイ素原子は、式−O−の酸素橋を介して相互に結合される。
【0021】
別の型の適切な触媒は、炭酸塩、カルボン酸塩、水酸化物およびホスフィンの各基を含む、鉛化合物を含む。例としては、酢酸鉛および炭酸鉛である。
【0022】
上記の型の触媒の組み合わせもまた可能である。不均一触媒もまた適切である。適切な不均一触媒の例は、ケイ素およびチタンの混合型酸化物および二酸化チタンを含む。好ましい不均一触媒は、チタンがケイ素に固定化された不均一触媒である。
【0023】
さらにその上、不均一触媒および均一触媒の組み合わせも、第1、第2および第3の蒸留塔の任意の1つに使用できる。
【0024】
触媒は、1種または複数種の反応物質と一緒に第1の蒸留塔に導入できる。このような方法においてアリールアルコール(好ましくはフェノール)が下方に動き、炭酸ジアルキル(好ましくは炭酸ジメチルまたは炭酸ジエチル)が上方に動く対向流が生じ、その結果反応効率が上がるので、好ましくは、アリールアルコールは、炭酸ジアルキルの導入位置より高い位置で第1の反応蒸留塔に導入される。このような場合、触媒は、アリールアルコールと一緒に第1の反応蒸留塔に導入されることが好ましい。代わりに、またはこれに加えて、第1の反応蒸留塔は、塔の内部、例えば、アリールアルコールの導入位置および炭酸ジアルキルの導入位置の間に留まる不均一触媒を備え得る。
【0025】
さらに、第1の反応蒸留塔からの底流が触媒、例えば均一触媒を含む場合、追加の触媒が、第2および/または第3の反応蒸留塔に導入される必要はない。
【0026】
本発明において、少量の触媒を使用することができる。一般に、触媒、例えば均一触媒の濃度は、触媒を含有する混合物の合計重量に基づき0.001から2wt%の間で変動してよい。好ましい濃度は0.005から1wt%を含み、より好ましい濃度は0.01から0.5wt%である。
【0027】
3つの反応蒸留塔中の圧力は広範囲で変動してよい。第1の反応蒸留塔の上部の圧力は2から7bar、好ましくは2.5から5barであってよい。第2の反応蒸留塔の上部の圧力は0.1から3bar、好ましくは0.3から1.5barであってよい。第3の反応蒸留塔の上部の圧力は10から400mbar、好ましくは20から200mbarであってよい。好ましくは、第1の反応蒸留塔の上部の圧力は、第2の反応蒸留塔の上部の圧力より高く、第2の反応蒸留塔の上部の圧力は第3の反応蒸留塔の上部の圧力より高い。
【0028】
3つの反応蒸留塔中の温度は広範囲で変動してよい。第1、第2および第3の反応蒸留塔の底部の温度は、50から350℃、好ましくは120から280℃、より好ましくは150から250℃、最も好ましくは160から240℃であってよい。
【0029】
本発明の方法で生産される炭酸ジアリールは、ジヒドロキシ芳香族化合物、好ましくは4,4’−(プロパン−2−イリデン)ジフェノールであるビスフェノールAと重合することによる、ポリカーボネートの調製に適切に使用される。従って、本発明は、ジヒドロキシ芳香族化合物と、上記の方法に従って調製された炭酸ジアリールとを反応させるステップを含む、ポリカーボネートの作製方法にも関する。さらに本発明は、上記の方法に従って炭酸ジアリールを調製するステップ、およびジヒドロキシ芳香族化合物と、このようにして得られた炭酸ジアリールとを反応させるステップを含む、ポリカーボネートの作製方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】例えば上述のWO200142187に記載の先行技術の方法を例示する配置を示す図であり、この配置は3つの反応蒸留塔3、9および18においてDECおよびフェノールからDPCを生産するために使用でき、第3の反応蒸留塔18からの上流が第1の反応蒸留塔3に再利用される。
【図2】本発明を例示する配置を示す図であり、この配置は3つの反応蒸留塔3、9および18において炭酸ジエチル(DEC)およびフェノールから炭酸ジフェニル(DPC)を生産するために使用でき、第3の反応蒸留塔18からの上流が第2の反応蒸留塔9に再利用される。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図2に示す配置は本発明を例示し、3つの反応蒸留塔3、9および18において炭酸ジエチル(DEC)およびフェノールから炭酸ジフェニル(DPC)を生産するために使用でき、以下にさらに記載するように、第3の反応蒸留塔18からの上流が第2の反応蒸留塔9に再利用される。
【0032】
図1に示す配置は、例えば上述のWO200142187に記載の先行技術の方法を例示し、3つの反応蒸留塔3、9および18においてDECおよびフェノールからDPCを生産するために使用でき、以下にさらに記載するように、第3の反応蒸留塔18からの上流が第1の反応蒸留塔3に再利用される。
【0033】
図1および2の配置において、炭酸ジエチルは、ライン1を介して第1の反応蒸留塔3へと連続して通過する。ライン2を介して、フェノールもまた、第1の反応蒸留塔3に連続して送り込まれる。
【0034】
DEC、エタノールおよびフェノールを含む混合物は、第1の反応蒸留塔3からライン4を介して取り出される。前記混合物は蒸留塔5を通過し、蒸留塔5において、前記混合物がライン6を介して取り出される、エタノールおよびDECを含む上部分画ならびにライン7を介して第1の反応蒸留塔3に再利用される、DECおよびフェノールを含む底部分画に分離される。
【0035】
フェノール、DEC、炭酸エチルフェニル(EPC)、エチルフェニルエーテル(EPE)およびDPCを含む混合物は、ライン8を介して第1の反応蒸留塔3から取り出される。その後、前記混合物は第2の反応蒸留塔9を通過し、第2の反応蒸留塔9において、前記混合物が上部分画および底部分画に分離される。上部分画は、DEC、フェノール、EPC、EPEおよびエタノールを含み、ライン11を介して蒸留塔12に送られる。底部分画はDPC、EPC、フェノール、DECおよびEPEを含み、ライン10を介して第3の反応蒸留塔18に送られる。
【0036】
蒸留塔12において、DECおよびエタノールを含む上部分画ならびにフェノール、EPEおよびEPCを含む底部分画への分離が起こる。上部分画はライン13を介して蒸留塔5に送られる。底部分画はライン14を介して蒸留塔15へ送られ、フェノールおよびEPEを含み、ライン16を介して取り出される上部分画ならびにフェノール、EPEおよびEPCを含み、ライン17および2を介して、第1の反応蒸留塔3に連続して再利用される底部分画に分離される。
【0037】
第3の反応蒸留塔18において、フェノール、DECおよびEPCを含み、ライン20を介して取り出される上部分画ならびにDPCを含み、ライン19を介して取り出される底部分画への分離が起こる。
【0038】
図1の配置(先行技術)において、ライン20中の第3の反応蒸留塔18からの上流はライン2を介して第1の反応蒸留塔3に再利用され、一方、図2の配置(本発明)において前記流れは、ライン8を介して第2の反応蒸留塔9に再利用される。
【0039】
本発明を、以下の実施例によってさらに例示する。
【実施例】
【0040】
実施例および比較実施例
本発明を例示する実施例において、図2に示す配置は、炭酸ジエチル(DEC)およびフェノールから炭酸ジフェニル(DPC)を生産するために使用される。例えばWO200142187に記載されるような、先行技術の方法を例示する比較実施例において、図1に示す配置もまた、DECおよびフェノールからDPCを生産するために使用される。
【0041】
実施例および比較実施例において、DECはライン1を介して第1の反応蒸留塔3へと、連続して通過する。ライン2を介して、フェノールもまた、第1の反応蒸留塔3へ連続して送り込まれる。
【0042】
上部分画はライン4を介して第1の反応蒸留塔3から取り出される。前記上部分画は蒸留塔5を通過し、蒸留塔5において、前記上部分画がライン6を介して取り出される上部分画およびライン7を介して第1の反応蒸留塔3に再利用される底部分画に分離される。
【0043】
底部分画は、ライン8を介して第1の反応蒸留塔3から取り出される。前記底部分画はその後、第2の反応蒸留塔9を通過し、第2の反応蒸留塔9において、前記底部分画が上部分画および底部分画に分離される。上部分画はライン11を介して蒸留塔12に送られる。底部分画は、ライン10を介して第3の反応蒸留塔18に送られる。
【0044】
蒸留塔12において、上部分画および底部分画への分離が起こる。上部分画はライン13を介して蒸留塔5に送られる。底部分画はライン14を介して蒸留塔15へ送られ、ライン16を介して取り出される上部分画ならびにライン17および2を介して、第1の反応蒸留塔3に連続して再利用される底部分画に分離される。
【0045】
第3の反応蒸留塔18において、ライン20を介して取り出される上部分画およびライン19を介して取り出される底部分画への分離が起こる。
【0046】
比較実施例において、ライン20中の第3の反応蒸留塔18からの上流は、ライン2を介して第1の反応蒸留塔3に再利用され、一方、実施例において、前記流れは、ライン8を介して第2の反応蒸留塔9に再利用される。
【0047】
以下の表1において、実施例および比較実施例に使用された塔3、5、9、12、15および18に関する幾つかの特徴を述べる。
【0048】
以下の表2および3において、図1および図2において示された、ライン1、2、4、6、7、8、10、11、13、14、16、17、19および20に存在する、比較実施例(表2)および実施例(表3)からの流れに関して、以下のパラメーターをそれぞれ提供する:流れの成分、合計質量流量および流れの成分当たりの質量流量。すべての流れは液体である。流れは、最も近いkg/hで示す。
【0049】
表2および3に示すように、実施例および比較実施例の両方において(ライン19を参照されたい。)、DPCの生産速度は60kg/hである。上記のように、実施例および比較実施例において使用される配置の間の唯一の差は、比較実施例において、ライン20中の流れは第1の反応蒸留塔3に再利用され、一方、実施例において、前記同じ流れが第2の反応蒸留塔9に再利用されることである。比較実施例における合計の加熱負荷は193kWであり、一方実施例における合計加熱負荷は、有利にはわずか178kWであると考えられる。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸ジアルキルおよびアリールアルコールから炭酸ジアリールを調製する方法であって、
(a)炭酸ジアルキルおよびアリールアルコールを第1の反応蒸留塔に導入するステップ、
(b)炭酸ジアルキルおよびアルキルアルコールを含む上流ならびに炭酸アルキルアリール、アリールアルコールおよび炭酸ジアルキルを含む底流を、第1の反応蒸留塔から回収するステップ、
(c)第1の反応蒸留塔からの底流を、第2の反応蒸留塔に導入するステップ、
(d)炭酸ジアルキルを含む上流ならびに炭酸アルキルアリール、炭酸ジアリールおよびアリールアルコールを含む底流を、第2の反応蒸留塔から回収するステップ、
(e)第2の反応蒸留塔からの底流を第3の反応蒸留塔に導入するステップ、ならびに
(f)アリールアルコールを含む上流および炭酸ジアリールを含む底流を、第3の反応蒸留塔から回収するステップ
を含み、
第3の反応蒸留塔からの上流を、第2の反応蒸留塔に再利用する方法。
【請求項2】
第1の反応蒸留塔の上部の圧力が、第2の反応蒸留塔の上部の圧力より高く、第2の反応蒸留塔の上部の圧力が、第3の反応蒸留塔の上部の圧力より高い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の反応蒸留塔の上部の圧力が、2から7bar、第2の反応蒸留塔の上部の圧力が、0.1から3barおよび第3の反応蒸留塔の上部の圧力が、10から400mbarである、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
第1の反応蒸留塔からの上流が、アルキルアルコールを含む上流および炭酸ジアルキルを含む底流が回収される第1の蒸留塔に導入され、第1の蒸留塔からの底流が、第1の反応蒸留塔に再利用される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
第2の反応蒸留塔からの、炭酸ジアルキルを含む上流が、アリールアルコールをさらに含み、炭酸ジアルキルを含む上流およびアリールアルコールを含む底流が回収される第2の蒸留塔に導入され、第2の蒸留塔からの上流が第1の蒸留塔に再利用される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、第1の反応蒸留塔からの底流、第2の反応蒸留塔からの上流および第2の蒸留塔からの、アリールアルコールを含む底流が、アルキルアリールエーテルをさらに含み、第2の蒸留塔からのアリールアルコールおよびアルキルアリールエーテルを含む底流が、アルキルアリールエーテルを含む上流およびアリールアルコールを含む底流が回収される第3の蒸留塔に導入され、第3の蒸留塔からの底流が、第1の反応蒸留塔に再利用される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
炭酸ジアルキルが、炭酸ジメチルまたは炭酸ジエチルなどの炭酸ジ(C−C)アルキルである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
アリールアルコールが、フェノールである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ジヒドロキシ芳香族化合物と、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法に従って調製された炭酸ジアリールとを反応させるステップを含む、ポリカーボネートの作製方法。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法に従って炭酸ジアリールを調製するステップ、およびジヒドロキシ芳香族化合物と、このようにして得られた炭酸ジアリールとを反応させるステップを含む、ポリカーボネートの作製方法。
【請求項11】
ジヒドロキシ芳香族化合物が、ビスフェノールAである、請求項9または10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−512875(P2013−512875A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541468(P2012−541468)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068568
【国際公開番号】WO2011/067263
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(590002105)シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー (301)
【Fターム(参考)】