説明

炭酸水の製造方法

【課題】微小気泡が溶解している炭酸水を容易にしかも低コストで製造できる炭酸水の製造方法を提供する。
【解決手段】浴槽1に貯留されている水に炭酸塩を入れて溶解し、この炭酸塩を溶解した水溶液を循環手段3によって電解槽2に送り、この電解槽2にて前記水溶液を電気分解することによって、該水溶液をアルカリ溶液にするとともに、このアルカリ溶液中に炭酸水素イオン、炭酸イオン等の炭酸成分と、予め泡の核となる炭酸ガスのナノバブルを作っておき、電気分解後、前記アルカリ溶液に酸性水を混ぜることによって、前記炭酸成分中の炭酸ガスを発生させるとともに、前記炭酸ガスのナノバブルを泡の核として利用することによって炭酸ガスの泡を大きくして水溶液中に炭酸ガスの微小気泡を溶解させ、この炭酸ガスの微小気泡が溶解した溶解液を循環手段3によって浴槽1に送る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小気泡の炭酸ガスが溶解している炭酸水の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸泉は優れた保温作用があることから、古くから温泉を利用する浴場等で用いられている。炭酸泉の保温作用は、基本的には、含有炭酸ガスの末梢血管拡張作用により身体環境が改善されるためと考えられる。
また炭酸ガスの経皮進入によって毛管血管床の増加および拡張が起こり、皮膚の血行を改善する。このため退行性病変及び末梢循環障害の治療に効果があるとされている。
なお、炭酸泉については、従来より種々の論文が発表されている(たとえば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
非特許文献1の論文によれば、炭酸泉の主な直接的作用はすでに初期の温泉医により、くり返し観察されているBad NauheimのBodeは充血した、ビロード状の、赤くなった皮膚を観察し(1845)、Piderit(1836)とBeneke(1859)は、CO2浴で温かく感ずることと浴部分の皮膚紅潮を記載し、Goldschieiderはすでに1911年に炭酸の感覚刺激による皮膚紅潮が血管運動によるとの可能性を論じている。
また、同論文によれば、炭酸浴の直接作用として、印象深い2つの効果が観察されると記載している。すなわち、一つは、皮膚表面の無数の水泡と、2つ目は皮膚紅潮(碓井虚血性の境界によって、CO2泉に浸されていない生体部位とはっきり区別できる)ということである。水泡は無数の炭酸水泡で、毛皮のように皮膚に密着し、「ガス刷子」と表現されている。
また非特許文献2の論文によれば、治療に必要な炭酸ガスの最小濃度は400mgとされており、非特許文献1の論文によれば、400mgより皮膚紅潮が現れるとある。
【0003】
このように炭酸泉が優れた効果を持つことから、これを人工的に得る炭酸泉の製造方法が従来より開発されてきた。その一例が、特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載の炭酸泉の製造方法は、散気手段を有する炭酸ガス溶解器に温水を供給し、温水中に浸漬された散気手段の散気部より炭酸ガスを気泡として放出して温水に溶解させて炭酸泉を製造する方法において、炭酸ガス溶解器内で加圧下で炭酸ガスを温水に溶解させた後、得られた炭酸泉をガス分離器へ送り、大気圧まで減圧し、該分離器で炭酸泉より揮散した炭酸ガスを圧縮器へ導いて回収し、この回収した炭酸ガスを前記炭酸ガス溶解器へ導いて温水へ溶解させる方法である。
【特許文献1】特開平11ー192421号公報
【特許文献2】特開2005ー97238号公報
【非特許文献1】K.L.Schmid著論文「炭酸浴(炭酸泉)」人工炭酸泉研究会雑誌第1巻第1号,005〜009,1998
【非特許文献2】B.Hartman,M.Pittler,B.Drews著論文「小動脈閉塞性疾患のCO2温泉療養:生理と臨床」人工炭酸泉研究会雑誌第1巻第1号,010〜016,1998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の炭酸泉の製造方法では、まず散気手段が必要である。
この散気手段は、多孔質体を備えており、この多孔質体から炭酸ガスを多数の気泡とし て発生させることによって、炭酸ガスを温水に溶解するようになっている。
また、他の散気手段としては、先端が遮断された多孔管の周囲を取り巻くようにして中空糸膜集合体が配置されたものが知られており、多孔管内に流入した温水が、多孔管周面に設けられた孔から流出して中空糸膜と接触することにより、炭酸ガスの導入口から中空糸膜の中空部を経て注入された炭酸ガスを温水に溶解するようになっている。
したがって、温水等に含まれている不純物等の細かい粒子が、散気手段の多孔質体や中空糸膜に詰まり易く、散気手段を交換したり掃除したりする必要があり、手間がかかるという問題があった。
さらに、炭酸ガスボンベ、ガス分離器、圧縮機といった機器が必要であるので、装置自体が大型化するとともに、コストがかかるという問題もある。
しかも、従前の炭酸泉の製造方法は、炭酸ガスボンベを使い、加圧された炭酸ガスを水に溶解させる構造のもので、水に溶解されない炭酸ガスがそのまま必要以上に大気に放出され、近年の炭酸ガスの削減に反し、それ故に、地球全体の環境の面からも問題があった。
【0005】
なお、炭酸ガスボンベを用いずに水溶液中に炭酸ガスを発生させる手法としては、従前より炭酸塩と酸とを組み合わせた炭酸ガス発生物を配合した浴用剤などが知られている(例えば特許文献2参照)。
ところが、この種の炭酸塩と酸とを組み合わせた炭酸ガス発生物を配合した浴用剤は、炭酸ガスの濃度が100ppm程度であり、炭酸泉としての特徴である皮膚表面の無数の水泡と、皮膚紅潮という特有の効果を得るには遠く及ぶものではない。
【0006】
本発明者等は、このような背景に鑑み、炭酸ガスボンベを使わずに、炭酸ガスを水溶液中に溶解させ、炭酸泉としての特徴である皮膚表面の無数の水泡と、皮膚紅潮という特性のある人工炭酸泉の製造方法を得るべく鋭意研究した結果、シュウ酸水溶液を電気分解すれば、炭酸ガスが陽極より発生するとの知見を得て、水溶液中に炭酸ガスを高濃度に溶解し得る手法を開発した。
特に、シュウ酸水溶液を単純に電気分解しただけでは、炭酸ガスがそのまま外気中に抜けてしまい、水溶液中に炭酸ガスの気泡が多く溶解できない。また、炭酸ガスの経皮進入ということを鑑みれば、炭酸ガス気泡はより微小な粒径のものが好適と考えられる。
【0007】
そこで、本発明者等は、このような背景に鑑みて、炭酸ガスボンベによる加圧された炭酸ガスの水への溶解による炭酸泉の製造方法とは全く異なる方法により水溶液中に炭酸泉としての特徴である皮膚表面の無数の水泡と、皮膚紅潮という特有の効果を得る高濃度の炭酸ガスを溶解させることができ、炭酸ガスボンベを使わない環境に対しても優しく、炭酸ガスの微小気泡が溶解している炭酸ガス溶解液を容易にしかも低コストで製造できる炭酸ガス溶解液の製造方法及び製造装置並びに高濃度の炭酸ガスが溶解された炭酸水を提供する手段を開発し、特許出願した(特願2005−337575号)。
この特許出願による手段は、電解槽内の電極間に直流電圧を印加することにより、電解槽内に充填しておいたシュウ酸水溶液を電気分解して炭酸ガスを発生させるとともにシュウ酸水溶液中で超音波を印加させて、発生した炭酸ガスの気泡から微小気泡を形成し、この微小気泡をシュウ酸水溶液中に溶解させることを特徴とするものである。
【0008】
ところで、この特許出願による手段では、シュウ酸水溶液をイオン化するための電気分解に時間がかかるという解決すべき課題が残されていた。
そこで、本発明者等は、このような課題を解決すべく鋭意研究した結果、水溶液を最初からアルカリ性にしておけば、電気分解にも時間がかからないのではないかと考え、実際に水溶液をアルカリ性にしておいて電気分解すると、陽極、陰極より反応するガスの出方が非常に早いとの知見を得た。
そして、水溶液をアルカリ性にするものとして、シュウ酸カリウムが炭酸ガスを発生させるのに好適であるとの見解にたち、シュウ酸カリウムを電気分解して、炭酸ガスの発生を見たところ、電気分解してできた水溶液に手を漬けてみても、全く皮膚の表面に泡がつかず、また皮膚紅潮も見られないという結果に終わった。
【0009】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたもので、炭酸ガスボンベによる加圧された炭酸ガスの水への溶解による炭酸泉の製造方法とは全く異なる方法により水溶液中に炭酸泉としての特徴である皮膚表面の無数の水泡と、皮膚紅潮という特有の効果を得る高濃度の炭酸ガスを溶解させることができ、炭酸ガスボンベを使わない環境に対しても優しく、炭酸ガスの微小気泡が溶解している炭酸水の製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、炭酸塩及び/または炭酸水素塩を水に溶解した水溶液を電気分解することによって、該水溶液をアルカリ溶液にするとともに、このアルカリ溶液中に炭酸水素イオン、炭酸イオン等の炭酸成分と、予め泡の核となる炭酸ガスのナノバブルを作っておき、
電気分解後、前記アルカリ溶液に酸性水を混ぜることによって、前記炭酸成分中の炭酸ガスを発生させるとともに、前記炭酸ガスのナノバブルを泡の核として利用することによって炭酸ガスの泡を大きくして水溶液中に炭酸ガスの微小気泡を溶解させることを特徴とする。
【0011】
ここで、炭酸塩としては、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、セスキ炭酸カリウム、セスキ炭酸カルシウムなどが上げられ、また炭酸水素塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどがあげられ、これらの1種または2種以上が用いられる。
また、酸性水としては、シュウ酸水溶液、クエン酸水溶液、酢酸水溶液、コハク酸水溶液、マロン酸水溶液、フマル酸水溶液、乳酸水溶液、リンゴ酸水溶液、酒石酸水溶液、電解水生成装置により生成された酸性水などが用いられる。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、炭酸塩及び/または炭酸水素塩を水に溶解した水溶液を電気分解すると、水酸イオンが増えていき、水溶液がアルカリとなっていく。そして、この水酸イオンと陽極で発生している炭酸ガスとが反応して、炭酸水素イオンが増えていき、炭酸水素イオンが過飽和の状態となっていく。
電気分解後、この炭酸水素イオンが過飽和になった状態の水溶液に、酸性水を混ぜると、その水素イオンと前記炭酸水素イオンとが反応して、炭酸ガスが爆発的に発生する。そして、前記電気分解することによって、予め形成された炭酸ガスのナノバブルを、泡の核として利用することによって炭酸ガスの泡を大きくして水溶液中に炭酸ガスの微小気泡を溶解させる。
このような炭酸水に手を入れると、皮膚表面の無数の水泡と、皮膚紅潮という特有の効果を得ることができる。
したがって、炭酸ガスの微小気泡が溶解した炭酸水を製造するのに炭酸泉の製造方法のような散気手段や、炭酸ガスボンベ、ガス分離器、圧縮機といった機器等を必要としない。よって、微小気泡の炭酸ガスが溶解している炭酸水を容易にしかも低コストで製造できる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の炭酸水の製造方法において、陰イオン交換膜を備えた電解槽により炭酸塩及び/または炭酸水素塩を水に溶解した水溶液を電気分解し、水溶液中の陰イオンの一部を陰イオン交換膜により選択的に酸性水側に通過させ、陰イオンの一部を通過させた酸性水を作り、この酸性水を電気分解後のアルカリ溶液に混ぜることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、陰イオン交換膜を備えた電解槽により電気分解された炭酸塩及び/または炭酸水素塩を水に溶解した水溶液は、水溶液中の陰イオンである炭酸水素イオンが陰イオン交換膜を通過して、酸性水中に溶解され、炭酸水素イオンとしてその状態のまま酸性水中に存在し、この酸性水を、この炭酸水素イオンが過飽和になった状態の水溶液に混ぜると、酸性水中の炭酸水素イオンも含めて、アルカリ水溶液中の炭酸水素イオンが、その水素イオンと反応して、炭酸ガスが爆発的に発生する。そして、前記電気分解することによって、予め形成された炭酸ガスのナノバブルを、泡の核として利用することによって炭酸ガスの泡を大きくして水溶液中に炭酸ガスの微小気泡を溶解させる。
このような炭酸水に手を入れると、皮膚表面の無数の水泡と、皮膚紅潮という特有の効果を得ることができる。
したがって、炭酸ガスの微小気泡が溶解した炭酸水を製造するのに炭酸泉の製造方法のような散気手段や、炭酸ガスボンベ、ガス分離器、圧縮機といった機器等を必要としない。よって、微小気泡の炭酸ガスが溶解している炭酸水を容易にしかも低コストで製造できる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、浴槽と、電解槽と、浴槽と電解槽との間で水を循環させる循環手段とを具備し、
前記浴槽に貯留されている水に炭酸塩及び/または炭酸水素塩を入れて溶解し、この炭酸塩及び/または炭酸水素塩を溶解した水溶液を前記循環手段によって前記電解槽に送り、この電解槽にて前記水溶液を電気分解することによって、該水溶液をアルカリ溶液にするとともに、このアルカリ溶液中に炭酸水素イオン、炭酸イオン等の炭酸成分と、予め泡の核となる炭酸ガスのナノバブルを作っておき、
電気分解後、前記アルカリ溶液に酸性水を混ぜることによって、前記炭酸成分中の炭酸ガスを発生させるとともに、前記炭酸ガスのナノバブルを泡の核として利用することによって炭酸ガスの泡を大きくして水溶液中に炭酸ガスの微小気泡を溶解させ、
この炭酸ガスの微小気泡が溶解した溶解液を前記循環手段によって、前記浴槽に送ることを特徴とする。
【0016】
ここで、浴槽に貯留されている水としては、常温の水の他、人が温浴可能な湯を含むものとする。
前記循環手段としては、例えば、浴槽と電解槽との間で水を循環させる管路と、この管路に接続された循環ポンプ等から構成される。
また、電気分解後、アルカリ溶液に酸性水を混ぜる場合、この酸性水を酸性水容器に充填しておき、この酸性水容器から前記電解槽に酸性水を供給するようにすればよい。
また、循環ポンプ、電解槽、酸性水容器に、これらの運転を制御する制御装置を接続しておき、この制御装置によって、循環ポンプのON・OFF、電解槽の電気分解のON・OFF、酸性水容器の開閉を制御するのが望ましい。例えば、制御装置によって、循環ポンプをONにすることによって、電解槽に炭酸塩を溶解した水溶液を送って充填した後、この循環ポンプをOFFにするとともに、電解槽をONにして電気分解を行い、電気分解終了後、制御装置によって、電解槽をOFFにするとともに、酸性水容器をONにして、この酸性水容器から酸性水を電解槽に送って、この電解槽内のアルカリ溶液に混ぜ、その後、制御装置によって酸性水容器をOFFにしたうえで、前記循環ポンプをONにして、炭酸ガスの微小気泡が溶解した溶解液を浴槽に送る。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、浴槽に貯留された水に炭酸塩及び/または炭酸水素塩を入れて溶解し、その水溶液を循環手段によって電解槽に送り、この電解槽で電気分解すると、水酸イオンが増えていき、水溶液がアルカリとなっていく。そして、この水酸イオンと陽極で発生している炭酸ガスとが反応して、炭酸水素イオンが増えていき、炭酸水素イオンが過飽和の状態となっていく。
電気分解後、この炭酸水素イオンが過飽和になった状態の水溶液に、酸性水を混ぜると、その水素イオンと前記炭酸水素イオンとが反応して、炭酸ガスが爆発的に発生する。そして、前記電気分解することによって、予め形成された炭酸ガスのナノバブルを、泡の核として利用することによって炭酸ガスの泡を大きくして水溶液中に炭酸ガスの微小気泡を溶解させる。
そして、この炭酸ガスの微小気泡が溶解した溶解液(炭酸水)を循環手段によって、浴槽に送る。
このような工程を繰り返して行うことによって、浴槽に、皮膚表面の無数の水泡と、皮膚紅潮という特有の効果を得ることができる炭酸水を充填することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、浴槽と、浴槽の水の一部を貯留するリザーバ槽と、電解槽と、浴槽の水を該浴槽からリザーバ槽、前記電解槽、前記浴槽へと循環させる管路を備えた循環手段とを具備し、
前記リザーバ槽と前記浴槽とを連通する管路に設けられた開閉弁を閉じた状態としたうえで、前記リザーバ槽の水に炭酸塩及び/または炭酸水素塩を入れて溶解し、この炭酸塩及び/または炭酸水素塩を溶解した水溶液を前記循環手段によって前記電解槽に送り、この電解槽にて前記水溶液を電気分解することによって、該水溶液をアルカリ溶液にするとともに、このアルカリ溶液中に炭酸水素イオン、炭酸イオン等の炭酸成分と、予め泡の核となる炭酸ガスのナノバブルを作っておき、
電気分解後、リザーバ槽のアルカリ溶液に酸性水を混ぜることによって、前記炭酸成分中の炭酸ガスを発生させるとともに、前記炭酸ガスのナノバブルを泡の核として利用することによって炭酸ガスの泡を大きくして水溶液中に炭酸ガスの微小気泡を溶解させ、
前記リザーバ槽と前記浴槽とを連通する管路に設けられた開閉弁を開けた状態としうえで、前記炭酸ガスの微小気泡が溶解した溶解液を前記循環手段によって、前記浴槽に送ることを特徴とする。
【0019】
ここで、浴槽に貯留されている水としては、常温の水の他、人が温浴可能な湯を含むものとする。
前記循環手段としては、例えば、浴槽とリザーバ槽と電解槽との間で水溶液を循環させる管路と、この管路に接続された循環ポンプ等から構成される。
また、電気分解後、アルカリ溶液に酸性水を混ぜる場合、この酸性水を酸性水容器に充填しておき、この酸性水容器から前記電解槽に酸性水を供給するようにすればよい。
また、循環ポンプ、電解槽、酸性水容器、二つの開閉弁に、これらの運転を制御する制御装置を接続しておき、この制御装置によって、循環ポンプのON・OFF、電解槽の電気分解のON・OFF、酸性水容器の開閉、開閉弁の開閉を制御するのが望ましい。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、浴槽に貯留された水の一部を循環手段によってリザーバ槽に貯留し、リザーバ槽と浴槽とを連通する管路に設けられた開閉弁を閉じた状態としたうえで、リザーバ槽の水に炭酸塩及び/または炭酸水素塩を入れて溶解し、その水溶液を循環手段によって電解槽に送り、この電解槽で電気分解すると、水酸イオンが増えていき、水溶液がアルカリとなっていく。そして、この水酸イオンと陽極で発生している炭酸ガスとが反応して、炭酸水素イオンが増えていき、炭酸水素イオンが過飽和の状態となっていく。
電気分解後、この炭酸水素イオンが過飽和になった状態の水溶液に、酸性水を混ぜると、その水素イオンと前記炭酸水素イオンとが反応して、炭酸ガスが爆発的に発生する。そして、前記電気分解することによって、予め形成された炭酸ガスのナノバブルを、泡の核として利用することによって炭酸ガスの泡を大きくして水溶液中に炭酸ガスの微小気泡を溶解させる。
そして、リザーバ槽と浴槽とを連通する管路に設けられた開閉弁を開けた状態としうえでこの炭酸ガスの微小気泡が溶解した溶解液(炭酸水)を循環手段によって、浴槽に送る。
このような工程を繰り返して行うことによって、浴槽に、皮膚表面の無数の水泡と、皮膚紅潮という特有の効果を得ることができる炭酸水を充填することができる。
また、浴槽の水の一部をリザーバ槽に導入し、このリザーバ槽の水に炭酸塩及び/または炭酸水素塩を入れて溶解するので、炭酸塩及び/または炭酸水素塩の濃度を薄くすることなく、一定濃度の炭酸塩及び/または炭酸水素塩の水溶液を得ることができ、この炭酸塩及び/または炭酸水素塩の水溶液を電解槽で電気分解し、その後、酸性水を混ぜることによって水溶液中に炭酸ガスの微小気泡を溶解させることができる。したがって、安定的に炭酸水を得ることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の炭酸水の製造方法において、電解槽として陰イオン交換膜を備えたものであることを特徴とする。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、陰イオン交換膜を備えた電解槽により、炭酸塩及び/または炭酸水素塩を水に溶解した水溶液が電気分解され、この電気分解の際に、炭酸塩及び/または炭酸水素塩を水に溶解した水溶液中の陰イオンである炭酸水素イオンが陰イオン交換膜を通過して、酸性水中に溶解されていく。
そして、酸性水中には、炭酸水素イオンとしてその状態のまま酸性水中に存在し、この酸性水を、この炭酸水素イオンが過飽和になった状態の水溶液に混ぜると、酸性水中の炭酸水素イオンも含めて、アルカリ水溶液中の炭酸水素イオンが、その水素イオンと反応して、炭酸ガスが爆発的に発生する。さらに、前記電気分解によって、予め形成された炭酸ガスのナノバブルが、泡の核として利用されることによって炭酸ガスの泡を大きく得て水溶液中に炭酸ガスの微小気泡を溶解させる。
このような炭酸水に手を入れると、皮膚表面の無数の水泡と、皮膚紅潮という特有の効果を得ることができる。
したがって、炭酸ガスの微小気泡が溶解した炭酸水を製造するのに炭酸泉の製造方法のような散気手段や、炭酸ガスボンベ、ガス分離器、圧縮機といった機器等を必要としない。よって、微小気泡の炭酸ガスが溶解している炭酸水を容易にしかも低コストで製造できる。
【0023】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の炭酸水の製造方法において、電気分解すべき水溶液中にシュウ酸カリウムを溶解させておくことを特徴とする。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、電気分解すべき水溶液中にシュウ酸カリウムを混ぜておくことにより、シュウ酸カリウム自身が電気分解により分解し、炭酸ガスを発生させ、この炭酸ガスがアルカリ水溶液中に溶解して、炭酸水素イオンとなるので、炭酸水素イオンの濃度を少量のシュウ酸カリウムでより大きくすることができ、これにより、最終的に製造される炭酸水の炭酸ガス濃度を高くすることができる効果がある。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、炭酸ガスの微小気泡が溶解した炭酸水を製造するのに炭酸泉の製造方法のような散気手段や、炭酸ガスボンベ、ガス分離器、圧縮機といった機器等を必要としないので、微小気泡の炭酸ガスが溶解している炭酸水を容易にしかも低コストで製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
まず、炭酸ガス溶解液(炭酸水)の原料となる原料水溶液について説明する。
原料水溶液としては、炭酸水素塩の一つである炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を水に溶解して炭酸水素ナトリウムの水溶液をつくる。なお、炭酸水素塩は炭酸水素ナトリウム以外でもよく、例えば、炭酸水素カリウムであっても良い。また、炭酸塩の一つである炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、セスキ炭酸カリウム、セスキ炭酸カルシウムなどを用いて水溶液を作っても良く、この場合には、水溶液の溶解性を考慮しながら、好適な塩を選択し、炭酸塩及び/または炭酸水素塩の1種または2種以上のものを用いて原料水溶液をつくるものである。
また、この原料水溶液中にシュウ酸カリウムを溶解させておくと、シュウ酸カリウム自身が電気分解により分解し、炭酸ガスを発生させ、この炭酸ガスがアルカリ水溶液中に溶解して、炭酸水素イオンとなるので、炭酸水素イオンの濃度を少量のシュウ酸カリウムでより大きくすることができるので好ましい。
【0027】
炭酸水素ナトリウムは、以下の式に示すように、原料水溶液中で、炭酸水素イオンと、ナトリウムイオンとに電離する。
NaHCO3 → Na+ HCO3
【0028】
炭酸水素イオンは炭酸ガスの原料となり、原料水溶液を電気分解すると、陽極で以下の電気化学反応が生じ、炭酸ガスの気泡が発生する。
HCO3 → OH + CO2
このような化学反応が進むことによって、水溶液中に水酸イオン(OH)が増えてくるとともに、炭酸ガス(CO2)が発生する。
水酸イオンが増えてくると、水溶液がアルカリ溶液になるとともに、この水酸イオン(OH)が炭酸ガス(CO2)と反応して、水溶液中に炭酸水素イオン(HCO3)が増えてくる。これによって、アルカリ溶液中に炭酸水素イオンと、泡(炭酸ガスの泡)の核となる炭酸ガスのナノバブルが作られる。このようなアルカリ溶液中には、炭酸水素イオン(HCO3)が過飽和の状態となっている。
【0029】
電気分解後、アルカリ溶液に酸性水を混ぜる。酸性水としては、例えば、シュウ酸水溶液を用いる。なお、酸性水は、シュウ酸水溶液以外でもよく、クエン酸水溶液、電解水生成装置により生成された酸性水が用いられる。
シュウ酸水溶液を混ぜると、その中の水素イオンと前記アルカリ溶液中の炭酸水素イオンとが反応して、炭酸ガスが爆発的に発生する。
また、アルカリ溶液は、陰極で水素イオンと電子が反応して水素が発生するため、電子不足となっており、これに、シュウ酸を入れると、次の反応が進み炭酸ガス(CO2)が爆発的に発生することになる。
(COOH)2 → 2H + 2CO2 + 2e
【0030】
このようにして爆発的に発生した炭酸ガス(CO2)は、前記アルカリ水溶液中に存在している炭酸ガスのナノバブルを泡の核として利用することによって炭酸ガスの泡が大きくなって溶液中に炭酸ガスの微小気泡が溶解することになる。
このようにして製造された炭酸水では、その中に手を入れると、皮膚表面の無数の水泡と、皮膚紅潮という特有の効果を得ることができる。
【0031】
次に、本発明に係る炭酸水の製造方法によって浴槽の水を炭酸水にする第1の方法について図1を参照して説明する。
図1において、符号1は浴槽、符号2は電解槽、符号3は循環手段を示す。
循環手段3は、浴槽1と電解槽2との間で水を循環させる管路4と、この管路に接続された循環ポンプ5とから構成されている。
電解槽2には酸性水容器6が接続されている。この酸性水容器6は、電解槽2中の溶液に酸性水を適宜供給して、該溶液と混合するためのものであり、この酸性水容器6には酸性水としてのシュウ酸水溶液が充填されている。電解槽2と酸性水容器6は管路7で接続されており、酸性水容器6の出口には開閉弁が設けられている。
【0032】
電解槽2は、炭酸水素ナトリウムの水溶液を収容する容器と、電源装置と、この電源装置に配線を介して電気的に接続された一対の電極とを備えている。
電解槽2と、循環ポンプ5と、酸性水容器6の開閉弁とには制御装置8が接続されており、これらは制御装置6によって制御される。
【0033】
上記のような炭酸水製造装置を使用して炭酸水を製造する場合、まず浴槽1に水またはお湯(以下では水に統一して表現する)を貯留し、この水に炭酸水素塩としての炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を溶解して、炭酸水素ナトリウムの水溶液をつくる。
次に、制御装置8によって、循環ポンプ5をONとすることによって、浴槽1中の炭酸水素ナトリウム水溶液を電解槽2に送る。電解槽2中に炭酸水素ナトリウム水溶液が所定量だけ充填されると、これを制御装置8に接続されたセンサが感知して、制御装置8によって循環ポンプ5がOFFとされる(停止される)。
【0034】
次に、制御装置8によって電解槽2がONとされる。つまり、電解槽2の一対の電極によって炭酸水素ナトリウム水溶液を電気分解する。
電気分解すると、炭酸水素ナトリウム水溶液中に水酸イオン(OH)が増えてくるとともに、炭酸ガス(CO2)が発生する。
水酸イオンが増えてくると、水溶液がアルカリ溶液になるとともに、この水酸イオン(OH)が炭酸ガス(CO2)と反応して、水溶液中に炭酸水素イオン(HCO3)が増えてくる。これによって、アルカリ溶液中に炭酸水素イオンと、泡(炭酸ガスの泡)の核となる炭酸ガスのナノバブルが作られる。このようなアルカリ溶液中には、炭酸水素イオン(HCO3)が過飽和の状態となっている。
【0035】
次に、電気分解が終了すると、制御装置8によって、電解槽2をOFFにするとともに、酸性水容器6をONにして(酸性水容器の開閉弁を開として)、この酸性水容器6から酸性水としてのシュウ酸水溶液を電解槽2に送って、この電解槽2内のアルカリ溶液に混ぜる。すると、シュウ酸水溶液中の水素イオンと前記炭酸水素イオンとが反応して、炭酸ガスが爆発的に発生する。そして、電気分解することによって、予め形成された炭酸ガスのナノバブルを、泡の核として利用することによって炭酸ガスの泡を大きくして水溶液中に炭酸ガスの微小気泡を溶解させる。
次に、制御装置8によって循環ポンプ5をONとすることによって、炭酸ガスの微小気泡が溶解した溶解液(炭酸水)を浴槽1に送る。
このような工程を繰り返して行うことによって、浴槽1に、皮膚表面の無数の水泡と、皮膚紅潮という特有の効果を得ることができる炭酸水を充填することができる。
【0036】
次に、本発明に係る炭酸水の製造方法によって浴槽の水を炭酸水にする第2の方法について図2を参照して説明する。
図2に示す炭酸水製造装置が、図1に示す炭酸水製造装置と主に異なる点は、リザーバ槽10と二つの開閉弁11,12を設けた点である。なお、図1に示す炭酸水製造装置と同一の構成要素には同一符号を付してその説明を省略または簡略化する。
【0037】
この炭酸水製造装置は、浴槽1と、浴槽1の水の一部を貯留するリザーバ槽10と、電解槽2と、浴槽1の水を該浴槽1からリザーバ槽10、電解槽2、浴槽1へと循環させる管路4を備えた循環手段3とを具備している。
循環手段3を構成する循環ポンプ5は、リザーバ槽10と電解槽2とを接続する管路4に設けられている。
また、リザーバ槽10と浴槽1とを接続(連通)する管路4には開閉弁11が設けられ、電解槽2と浴槽とを接続(連通)する管路4には開閉弁12が設けられている。これら開閉弁11,12は制御装置8に接続されており、この制御装置8によって開閉されるようになっている。
【0038】
上記のような炭酸水製造装置を使用して炭酸水を製造する場合、まず浴槽1に水またはお湯(以下では水に統一して表現する)を貯留しておく。
次に、制御装置8によって開閉弁11を開とするとともに、循環ポンプ5をONとすることによって、浴槽1に貯留された水の一部をリザーバ槽10に送って該リザーバ槽10に貯留する。リザーバ槽10に水が所定量だけ充填されると、これを制御装置8に接続されたセンサが感知して、制御装置8によって循環ポンプ5がOFFとされる(停止される)。
【0039】
次に、制御装置8によって循環ポンプ5をOFFとするとともに開閉弁11を閉としたうえで、リザーバ槽10の水に炭酸塩としての炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を溶解して、炭酸水素ナトリウムの水溶液をつくる。
次に、制御装置8によって循環ポンプ5をONにするとことによって、炭酸水素ナトリウム水溶液を電解槽2に送る。
【0040】
次に、制御装置8によって電解槽2がONとされる。つまり、電解槽2の一対の電極によって炭酸水素ナトリウム水溶液を電気分解する。
電気分解すると、炭酸水素ナトリウム水溶液中に水酸イオン(OH)が増えてくるとともに、炭酸ガス(CO2)が発生する。
水酸イオンが増えてくると、水溶液がアルカリ溶液になるとともに、この水酸イオン(OH)が炭酸ガス(CO2)と反応して、水溶液中に炭酸水素イオン(HCO3)が増えてくる。これによって、アルカリ溶液中に炭酸水素イオンと、泡(炭酸ガスの泡)の核となる炭酸ガスのナノバブルが作られる。このようなアルカリ溶液中には、炭酸水素イオン(HCO3)が過飽和の状態となっている。
【0041】
次に、電気分解が終了すると、制御装置8によって、電解槽2をOFFにするとともに、酸性水容器6をONにして(酸性水容器の開閉弁を開として)、この酸性水容器6から酸性水としてのシュウ酸水溶液を電解槽2に送って、この電解槽2内のアルカリ溶液に混ぜる。すると、シュウ酸水溶液中の水素イオンと前記炭酸水素イオンとが反応して、炭酸ガスが爆発的に発生する。そして、電気分解することによって、予め形成された炭酸ガスのナノバブルを、泡の核として利用することによって炭酸ガスの泡を大きくして水溶液中に炭酸ガスの微小気泡を溶解させる。
次に、制御装置8によって開閉弁12を開とするとともに循環ポンプ5をONとすることによって、炭酸ガスの微小気泡が溶解した溶解液(炭酸水)を浴槽1に送る。
【0042】
このような工程を繰り返して行うことによって、浴槽1に、皮膚表面の無数の水泡と、皮膚紅潮という特有の効果を得ることができる炭酸水を充填することができる。
また、浴槽1の水の一部をリザーバ槽10に導入し、このリザーバ槽10の水に炭酸水素ナトリウムを入れて溶解するので、炭酸水素ナトリウムの濃度を薄くすることなく、一定濃度の炭酸水素ナトリウム水溶液を得ることができ、この炭酸水素ナトリウム水溶液を電解槽2で電気分解し、その後、シュウ酸水溶液を混ぜることによって水溶液中に炭酸ガスの微小気泡を溶解させることができる。したがって、安定的に炭酸水を得ることができる。
【0043】
なお、図3は、炭酸水製造装置の電解槽2の別の例を示すもので、この電解槽20は、電解槽本体21と、この電解槽本体21の中に配置された陰極22と、陽極23と、これら陰極22と陽極23との間に配置された陰イオン交換膜24とを具備し、電解槽本体21の中には、陰極21と陰イオン交換膜23との間で仕切られた第1の隔室21aと、陽極22と陰イオン交換膜24との間で仕切られた第2の隔室21bとが設けられ、さらに電解槽本体21の上下にはそれぞれ水溶液の供給口21cと吐出口21dとが設けられている。
このような電解槽20を用いて、上述した原料水溶液を電気分解すると、原料水溶液は電気分解の際に、炭酸塩及び/または炭酸水素塩を水に溶解した水溶液中の陰イオンである炭酸水素イオン(HCO3)と水酸イオン(OH)とが、陰イオン交換膜24を通過して、酸性水中に溶解されていく。
また、原料水溶液として、シュウ酸カリウムを溶解しておくと、カリウムKの離れた炭酸イオン(COO―COO)の一部も陰イオン交換膜24を通過して酸性水側に溶解していく。
そして、この電解槽20を用いた場合には、酸性水中に、炭酸水素イオンが存在し、この酸性水を、この炭酸水素イオンが過飽和になった状態の水溶液に混ぜると、酸性水中の炭酸水素イオンも含めて、アルカリ水溶液中の炭酸水素イオンが、その水素イオンと反応して、炭酸ガスが爆発的に発生する。さらに、前記電気分解によって、予め形成された炭酸ガスのナノバブルが、泡の核として利用されることによって炭酸ガスの泡を大きく得て水溶液中に炭酸ガスの微小気泡を溶解させる。
このような炭酸水に手を入れると、皮膚表面の無数の水泡と、皮膚紅潮という特有の効果を得ることができる。
したがって、炭酸ガスの微小気泡が溶解した炭酸水を製造するのに炭酸泉の製造方法のような散気手段や、炭酸ガスボンベ、ガス分離器、圧縮機といった機器等を必要としない。よって、微小気泡の炭酸ガスが溶解している炭酸水を容易にしかも低コストで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る炭酸水の製造方法を実施するための炭酸水製造装置の一例を示すもので、炭酸水製造装置の構成を示す図である。
【図2】本発明に係る炭酸水の製造方法を実施するための炭酸水製造装置の他の例を示すもので、炭酸水製造装置の構成を示す図である。
【図3】本発明にかかる炭酸水の製造方法を実施するための炭酸水製造装置に用いる電解槽の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1 浴槽
2 電解槽
3 循環手段
4 管路
5 循環ポンプ
6 酸性水容器
8 制御装置
10 リザーバ槽
11,12 開閉弁
20 電解槽
21 電解槽本体
22 陰極
23 陽極
24 陰イオン交換膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸塩及び/または炭酸水素塩を水に溶解した水溶液を電気分解することによって、該水溶液をアルカリ溶液にするとともに、このアルカリ溶液中に炭酸水素イオン、炭酸イオン等の炭酸成分と、予め泡の核となる炭酸ガスのナノバブルを作っておき、
電気分解後、前記アルカリ溶液に酸性水を混ぜることによって、前記炭酸成分中の炭酸ガスを発生させるとともに、前記炭酸ガスのナノバブルを泡の核として利用することによって炭酸ガスの泡を大きくして水溶液中に炭酸ガスの微小気泡を溶解させることを特徴とする炭酸水の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の炭酸水の製造方法において、
陰イオン交換膜を備えた電解槽により炭酸塩及び/または炭酸水素塩を水に溶解した水溶液を電気分解し、水溶液中の陰イオンの一部を陰イオン交換膜により選択的に酸性水側に通過させ、陰イオンの一部を通過させた酸性水を作り、この酸性水を電気分解後のアルカリ溶液に混ぜることを特徴とする炭酸水の製造方法。
【請求項3】
浴槽と、電解槽と、浴槽と電解槽との間で水を循環させる循環手段とを具備し、
前記浴槽に貯留されている水に炭酸塩及び/または炭酸水素塩を入れて溶解し、この炭酸塩及び/または炭酸水素塩を溶解した水溶液を前記循環手段によって前記電解槽に送り、この電解槽にて前記水溶液を電気分解することによって、該水溶液をアルカリ溶液にするとともに、このアルカリ溶液中に炭酸水素イオン、炭酸イオン等の炭酸成分と、予め泡の核となる炭酸ガスのナノバブルを作っておき、
電気分解後、前記アルカリ溶液に酸性水を混ぜることによって、前記炭酸成分中の炭酸ガスを発生させるとともに、前記炭酸ガスのナノバブルを泡の核として利用することによって炭酸ガスの泡を大きくして水溶液中に炭酸ガスの微小気泡を溶解させ、
この炭酸ガスの微小気泡が溶解した溶解液を前記循環手段によって、前記浴槽に送ることを特徴とする炭酸水の製造方法。
【請求項4】
浴槽と、浴槽の水の一部を貯留するリザーバ槽と、電解槽と、浴槽の水を該浴槽からリザーバ槽、前記電解槽、前記浴槽へと循環させる管路を備えた循環手段とを具備し、
前記リザーバ槽と前記浴槽とを連通する管路に設けられた開閉弁を閉じた状態としたうえで、前記リザーバ槽の水に炭酸塩及び/または炭酸水素塩を入れて溶解し、この炭酸塩及び/または炭酸水素塩を溶解した水溶液を前記循環手段によって前記電解槽に送り、この電解槽にて前記水溶液を電気分解することによって、該水溶液をアルカリ溶液にするとともに、このアルカリ溶液中に炭酸水素イオン、炭酸イオン等の炭酸成分と、予め泡の核となる炭酸ガスのナノバブルを作っておき、
電気分解後、リザーバ槽のアルカリ溶液に酸性水を混ぜることによって、前記炭酸成分中の炭酸ガスを発生させるとともに、前記炭酸ガスのナノバブルを泡の核として利用することによって炭酸ガスの泡を大きくして水溶液中に炭酸ガスの微小気泡を溶解させ、
前記リザーバ槽と前記浴槽とを連通する管路に設けられた開閉弁を開けた状態としたうえで、前記炭酸ガスの微小気泡が溶解した溶解液を前記循環手段によって、前記浴槽に送ることを特徴とする炭酸水の製造方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の炭酸水の製造方法において、
電解槽は陰イオン交換膜を備えたものであることを特徴とする炭酸水の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の炭酸水の製造方法において、電気分解すべき水溶液中にシュウ酸カリウムを溶解させておくことを特徴とする炭酸水の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−6253(P2009−6253A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−169547(P2007−169547)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(504385476)株式会社 オムシー (7)
【Fターム(参考)】