説明

炭酸飲料の後口改善方法

【課題】後口が改善された炭酸飲料、及び当該炭酸飲料によって調製される、後口が改善された炭酸含有アルコール飲料を提供する。
【解決手段】少なくとも1種の縮合リン酸塩とリン酸とを含み、当該縮合リン酸塩の総重量と当該リン酸の重量との比率が1:0.05〜1:0.5である、炭酸飲料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸飲料の後口改善、後口が改善された炭酸飲料、およびその製造方法に関するものである。さらに、ウイスキーなどの蒸留酒を炭酸飲料で希釈して、フレーバーの爽快感が感じられ、後口も改善されたアルコール飲料を製造すること、およびそのアルコール飲料にも関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸飲料は清涼感を与えるものであるが、その一方で酸味や渋味も有しており、後口を悪くしている。通常の炭酸飲料では糖類や高甘味度甘味料によってこれらをマスクしている。しかしながら、無糖もしくは微糖炭酸飲料においてはこのようなマスキング効果が無いため、摂取者によっては酸味・渋味の感じ方が許容範囲を超える場合があった。
【0003】
そのような炭酸飲料の味覚を改善する方法として、特許文献1には縮合リン酸塩を添加することによって炭酸ガスによる刺激を緩和し、味に丸みを持たせることが知られていると記載されているが、詳細については記載されていない。一方、特許文献2には、高ガス圧炭酸飲料において特定量の縮合リン酸塩が気泡をきめ細かくすることなどが記載されているほか、高甘味度甘味料を使用する際の後味のキレの悪さが高ガス圧と縮合リン酸塩との相乗作用により改善されると記載されている。
【0004】
また、無糖・微糖炭酸飲料は、いわゆるハイボール、チューハイなどの炭酸含有アルコール飲料の調製に用いられることがある。この場合も、摂取者によっては酸味・渋味の感じ方が許容範囲を超える場合があるため、お茶の苦味や旨味を利用してそれらをマスキングする方法(特許文献3)や、炭酸ガスを20℃でのゲージ圧として0.1〜0.5kg/cm未満という低い圧力で含有させる方法(特許文献4)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−330735号公報
【特許文献2】WO2010/035869公報
【特許文献3】特開平6−237693号公報
【特許文献4】特許第2529072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、炭酸飲料の酸味・渋味の改善方法は種々検討されてきたが、依然、いくつかの問題があった。
例えば、高甘味度甘味料を使用する特許文献2の技術では、飲料が無糖・無香料である場合や、糖や高甘味度甘味料等の甘味料および/または香料が少量しか添加されていない場合には、後口の悪さを改善できるかどうかは明らかでない。
【0007】
特許文献3、4においても、無糖または微糖炭酸飲料によってアルコール飲料を調製した場合の後口については依然として課題がある。
本発明の目的は、後口が改善された炭酸飲料、及び当該炭酸飲料によって調製される、後口が改善されたアルコール飲料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、驚くべきことに、炭酸飲料に縮合リン酸塩とリン酸を特定比率で配合することで後口が改善されることを見出した。また、当該炭酸飲料を蒸留酒と混合することによって、従来にない後口の良さを有するアルコール飲料を得ることができることを見出した。これらにより、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、以下のものに関する。
1.少なくとも1種の縮合リン酸塩とリン酸とを含み、当該縮合リン酸塩の総重量と当該リン酸の重量との比率が1:0.05〜1:0.5である、炭酸飲料。
2.硬度が20〜200である、1に記載の炭酸飲料。
3.無糖又は微糖である、1又は2に記載の炭酸飲料。
4.甘味成分の総含有量が15重量%以下である、1〜3のいずれか1項に記載の炭酸飲料。
5.フレーバーを含有する、1〜4のいずれか1項に記載の炭酸飲料。
6.炭酸ガス圧力が2.5〜4.5kg/cmである、1〜5のいずれか1項に記載の炭酸飲料。
7.1〜6のいずれか1項に記載の炭酸飲料と蒸留酒とを混合することにより得られるアルコール飲料。
8.炭酸飲料の製造方法であって、炭酸飲料中の縮合リン酸塩の総重量とリン酸の重量との比率を1:0.05〜1:0.5に調節することを特徴とする製造方法。
9.蒸留酒を、1〜6のいずれか1項に記載の炭酸飲料と混合することを特徴とする、アルコール飲料の製造方法。
10.炭酸飲料の後口を改善する方法であって、炭酸飲料中の縮合リン酸塩の総重量とリン酸の重量との比率を1:0.05〜1:0.5に調節することを特徴とする方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の炭酸飲料は、炭酸飲料の酸味・渋味の問題が改善されており、これにより後口が改善されている。従って、炭酸飲料の爽快な刺激感、あっさりとした風味とさわやかな清涼感を堪能できる。また、当該炭酸飲料を用いて調製した炭酸含有アルコール飲料も従来に無い後口の良さを有しており、好適に飲用できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(縮合リン酸塩)
本明細書における「縮合リン酸塩(condensed phosphate)」は、ポリリン酸塩(polyphospate)、メタリン酸塩(metaphosphate)、及びウルトラリン酸塩(ultraphosphate)の総称である。ここで、「ポリリン酸塩」は、直鎖状の構造を有する縮合リン酸塩及びそれに対応する酸性リン酸塩をいう。ポリリン酸塩には、ピロリン酸塩(pyrophosphate)(二リン酸塩(diphosphate)ということもある。)が含まれる。本明細書でいう「メタリン酸塩」は、特別な場合を除き、環状又は極めて長い直鎖状の構造を有する縮合リン酸塩及びそれに対応する酸性リン酸塩をいう。極めて長い直鎖状のポリリン酸塩は、メタリン酸塩又はポリメタリン酸塩と称されることもある。本明細書でいう「ウルトラリン酸塩」は、直鎖状及び環状の縮合リン酸塩が相互に結合した構造を有するものをいう。
【0012】
本発明に用いることができる縮合リン酸塩は、食品として許容される縮合リン酸塩であれば特に制限は無いが、例として、ピロリン酸ナトリウム(別名、二リン酸ナトリウム。水和物及び無水物(例えば、二リン酸ナトリウム十水和物、ピロリン酸四ナトリウム(無水))双方を含む。)、酸性ピロリン酸ナトリウム(別名、ピロリン酸二水素二ナトリウム)、ピロリン酸カリウム(別名、ピロリン酸四カリウム)、トリポリリン酸ナトリウム(別名、三リン酸ナトリウム)、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、トリメタリン酸ナトリウム、テトラメタリン酸ナトリウム、ペンタメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム(別名(食品添加物公定書等において)メタリン酸ナトリウム)、酸性メタリン酸ナトリウム(別名、メタリン酸水素ナトリウム)、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、ウルトラリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、及びこれらのいずれかの混合物を挙げることができる。本発明においては、少なくとも1種の縮合リン酸塩を用いる。
【0013】
本発明の飲料中の縮合リン酸塩の総濃度は典型的には、重量基準で50〜700ppm、好ましくは100〜600ppmである。
(リン酸)
本明細書でいうリン酸(燐酸、phosphoric acid)とは、オルトリン酸(orthophosphoric acid)をいい、リン酸骨格をもつ他の類似化合物群(ポリリン酸、ピロリン酸など)であるリン酸類は含まない。
【0014】
本発明の炭酸飲料中のリン酸の濃度は典型的には、重量基準で20〜70ppm、より好ましくは25〜60ppmである。
本発明においては、縮合リン酸塩とリン酸とを特定の比率で炭酸飲料中に含有させることが重要である。具体的には、炭酸飲料中の縮合リン酸塩の総重量とリン酸の重量との比率は、1:0.05〜1:0.5、好ましくは1:0.08〜1:0.20である。
【0015】
(硬度)
「硬度」とは、水中のマグネシウムイオンとカルシウムイオンの含有量を表わす指標であり、これらの含有量を炭酸カルシウム量(mg/l)に換算して表わす。硬度は、公知のいずれの方法で測定してもよいが、典型的には、EDTA法により測定する。
【0016】
本発明の飲料の炭酸飲料の後口は、硬度に依存して改善され得る。炭酸飲料の硬度は20〜200mg/lが好ましく、50〜100mg/lであることがより好ましい。
(甘味成分)
本願発明の炭酸飲料は、縮合リン酸塩とリン酸との組み合わせにより炭酸飲料の後口を改善するため、糖類や高甘味度甘味料によって炭酸の酸味や渋みをマスクする必要がない。従って、甘味成分を多量に含まない飲料において、本願発明の効果が特に重要となる。
【0017】
そのような飲料としては、例えば、無糖又は微糖の飲料や、甘味成分の含有量が低い飲料が挙げられる。尚、健康増進法において、100mlあたりの糖の量に基づいて、「糖」に関する表示のルールが規定されている。飲料100mlあたり0.5g未満であれば「無糖」、2.5g以下であれば「微糖」、「低糖」などの表示を使用してもよいこととなっている。本明細書における「微糖」、「無糖」との用語の定義は、この規定に従う。
【0018】
甘味成分の総含有量は、15重量%以下とすることが好ましい。甘味成分の例は、砂糖、ブドウ糖、果糖、果糖ブドウ糖液糖等の液糖、水飴、還元水飴、蜂蜜、イソマルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖等のオリゴ糖などの糖類;ソルビトール、マルチトール、マンニトール、エリスリトール、キシリトール等の糖アルコール;α−グルコシルトランスフェラーゼ処理ステビア、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、アリテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラメート、ステビア抽出物、ステビア末、スクラロース、タウマチン(ソーマチン)、ネオテーム等の高甘味度甘味料である。なお、本明細書における「高甘味度甘味料」とは、特別な場合を除き、少ない使用量で甘味を付与することができる、ショ糖より強い甘味を有する甘味料である。
【0019】
(フレーバー成分)
本発明の炭酸飲料には、好ましい風味を付与するため、フレーバー成分を添加してもよい。蒸留酒と混合する場合でも、当該風味は有効となり得る。本発明において配合するフレーバー成分としては、フルーツ香料や植物香料などから選択される1種又は2種以上を混合して使用することができる。フルーツ香料とは、フルーツを由来とする香料をいう。フルーツ香料としては、レモンフレーバー、オレンジフレーバー、ライムフレーバー、及びグレープフルーツフレーバーを含めたシトラスフレーバー、リンゴフレーバー、ブドウフレーバー、ラズベリーフレーバー、クランベリーフレーバー、チェリーフレーバー、パイナップルフレーバーなどのような様々なフルーツフレーバーが使用できる。これらフルーツ香料は、果実又は香油などの天然源から抽出したものであっても合成したものでもよい。
【0020】
植物香料とは、フルーツ以外の植物から得られる香料の総称をいい、コーラ、ガラナ、コーヒーなどの植物の種実起源のフレーバー、生姜(ジンジャー)、サッサフラス、サーサパリラなどの植物の根茎起源のフレーバー、カモミール、エルダーフラワー、レモンバーム、ラベンダー、クローブ、ガーリックカプシカム、ペパー、マスタード、サンショウ、ワサビ、ローレル、クローブ、タイム、セージ、ナツメグメース、カルダモン、キャラウエイ、アニス、バジル、フェンネル、クミン、ターメリック、パプリカ、サフラン、バジル、ベイリーブスマジョラム、オレガノ、ローズマリー、セージ、タラゴン、コリアンダー、デイルなどのハーブやスパイスなどを起源とするフレーバーなどを挙げることができる。このような植物香料としては、スパイス系フレーバー(例えばコーラフレーバー、ジンジャーエールフレーバー)、茶フレーバーなどを例示できる。これら植物香料は、天然源から抽出したものであっても合成したものでもよい。
【0021】
フレーバー成分の添加量は、その力価や所望する飲料の嗜好に応じて適宜設定すればよいが、典型的には、炭酸飲料の総重量に対して0.1〜0.3重量%程度である。
(炭酸ガス)
本発明の炭酸飲料の炭酸(二酸化炭素)ガスは、炭酸ガスの圧入、炭酸水などのあらかじめ炭酸ガスを含む液の混合、及びビールのように醗酵など、通常の方法により飲料に提供される。本明細書におけるガス圧とは、特別な場合を除き、容器内におけるガス圧をいう。圧力の測定は、当業者によく知られた方法、例えば20℃にした試料をガス内圧計に固定した後、一度ガス内圧計の活栓を開いてガスを抜き、再び活栓を閉じ、ガス内圧計を振り動かして指針が一定の位置に達したときの値を読み取る方法を用いて、または市販のガス圧測定装置(例えば、京都電子工業株式会社[ガスボリューム測定装置 GVA−500A]等)を用いて測定することができる。飲料中の炭酸ガス量は、ガス圧(kgf/cm又はMPa)で表わすほか、20℃におけるガスボリューム(g/kg又はw/w%)で表わすこともできる。ガス圧とガスボリュームとは適宜換算可能である。
【0022】
本発明の炭酸飲料のガス圧は、特に限定されないが、好ましくは、2.5〜4.5kg/cmであり、より好ましくは3.0〜4.0kg/cmであり、3.5kg/cmであることが最も好ましい。
【0023】
(その他成分)
本発明の炭酸飲料には、発明の効果に悪影響を与えない限り、さらに別の成分を加えてもよい。そのような成分は、例えば、酸化防止剤、香料、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、保存料、調味料(香料)、甘味料、酸味料、pH調整剤、品質安定剤である。
【0024】
(炭酸飲料の製造、及び炭酸飲料の後口の改善)
本発明の炭酸飲料は、当業者に知られる通常の方法で製造することができる。この製造方法においては、得られた炭酸飲料中の縮合リン酸塩の総重量とリン酸の重量との比率を、1:0.05〜1:0.5、好ましくは1:0.08〜1:0.20に調節することが重要であり、これにより、炭酸飲料の後口を改善できる。さらに、必要に応じて、本発明の飲料の炭酸飲料の硬度を、好ましくは20〜200mg/l、より好ましくは50〜100mg/lとする。これらの値は、製造工程のいずれにおいて調節しても良い。
【0025】
(炭酸飲料と蒸留酒を混合して得られるアルコール飲料)
上記で説明された本発明の炭酸飲料を蒸留酒と混合してアルコール飲料を製造することができる。これにより、改善された炭酸の後口だけでなく、従来にない後口の良さを、得られるアルコール飲料に付与することができる。
【0026】
本発明において使用できる蒸留酒は特に限定されない。例えば、ウイスキー類(例えばウイスキー及びブランデー等)、スピリッツ類(例えばジン、ウォッカ、ラム及びテキーラ等のスピリッツ、及び原料用アルコール等)、リキュール類、及び焼酎(連続式蒸留焼酎及び単式蒸留焼酎)等が挙げられ、これらは1種で又は2種以上を組合せて用いることができる。特に、ウィスキー類が好ましい。
【0027】
蒸留酒を混合して得られる当該アルコール飲料中の各成分の量や、硬度は、原料として用いる炭酸飲料に依存するが、典型的には、当該アルコール飲料の硬度は2〜180mg/l、縮合リン酸塩の含有量は4.5〜640重量ppm、リン酸の含有量は2〜64重量ppmである。
【0028】
また、炭酸飲料と蒸留酒との混合比は、特に限定されないが、好ましくは容量比で1:10〜10:1である。
(容器詰飲料)
本発明の炭酸飲料、及びそれを用いて得られるアルコール飲料は、容器詰飲料として提供することができる。容器は、ガラス瓶、PETボトル、金属缶などの通常の物が挙げられる。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)レモンフレーバー入り無糖炭酸飲料
市販の500ml容PETボトル入りソーダ(サントリーソーダ)に、縮合リン酸塩150mgおよび/またはリン酸25mgを添加し、レモンフレーバー(小川香料製)0.5mlを添加して、レモンフレーバー入り無糖炭酸飲料を作成した(表1)。ガス圧を測定したところ、いずれも3.5kg/cmであった。なお、硬度を測定したところ100mg/lであった。
【0030】
得られた飲料を、訓練されたパネラー4名で官能評価し、後口(酸味及び渋味)のキレの観点から、1点:非常に優れている;2点:優れている;3点:良い、の基準で採点した。パネラーの点数を平均し、平均点が1.5以下のものを特に好適(◎)、2.5未満のものを好適(○)、2.5以上のものを普通(△)であると判定した。結果を表2に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
甘味料がなく、フレーバーが少ないにもかかわらず、ポリリン酸塩とリン酸とを含む本願発明の炭酸飲料は後口が良く、特に好ましい評価を受けた。
(実施例2)レモンフレーバー入り無糖炭酸飲料によるウィスキーハイボール
実施例1で製造したレモンフレーバー入り無糖炭酸飲料と市販のウイスキー(サントリー角瓶)を4:1で混合し、実施例1と同様にして官能評価を行った(表3)。なお、硬度を測定したところ、80mg/lであった。表3中、ポリリン酸塩とリン酸の含有量は、ベースとなる炭酸飲料中の値である。
【0034】
【表3】

【0035】
ポリリン酸塩とリン酸とを含む本願発明の炭酸飲料を用いて調製されたアルコール飲料は、炭酸の後口が良いだけでなく、フレーバーがしっかり感じられ、特に好ましい評価を受けた。
【0036】
(実施例3)ジンジャーフレーバー入り有糖炭酸飲料
市販の500ml容PETボトル入りソーダ(サントリーソーダ)に、縮合リン酸塩150mgおよび/またはリン酸25mgを添加し、ジンジャエールレーバー(小川香料製)0.75ml、加糖ぶどう糖液糖60g、クエン酸1g、クエン酸三ナトリウム0.15g、カラメル0.1gを添加してジンジャエールフレーバー入り有糖炭酸飲料を作成した(表4)。ガス圧を測定したところ、いずれも3.5kg/cmであった。なお、硬度を測定したところ100mg/lであった。いずれの飲料中の甘味成分の総含有量も、約10.7重量%であった。
【0037】
実施例1と同様に官能評価を行った結果を表5に示す。
【0038】
【表4】

【0039】
【表5】

【0040】
甘味料が少なく、フレーバーが少ないにもかかわらず、ポリリン酸塩とリン酸とを含む本願発明の炭酸飲料は後口が良く、特に好ましい評価を受けた。
(実施例4)各種硬度の無糖炭酸飲料
純水に塩化ナトリウムと硫酸マグネシウムを溶解させて硬度0、50、150mg/lのミネラルウォーターを調製し、さらに炭酸ガスを溶解させてガス圧3.5kg/cmの無糖炭酸水を調製した。これら無糖炭酸水と、硬度100mg/lの無糖炭酸水(サントリーソーダ)に縮合リン酸塩150mgおよび/またリン酸25mgを添加し(表6)、実施例1と同様にして官能評価を行った。結果を表7に示す。
【0041】
【表6】

【0042】
【表7】

【0043】
甘味料もフレーバーもないにもかかわらず、ポリリン酸塩とリン酸とを含む本願発明の炭酸飲料は後口が良く、特に好ましい評価を受けた。また、この効果は、硬度が0より高い場合に顕著となり、さらに、硬度50〜100において特に優れていた。
【0044】
(実施例5)各種硬度の無糖炭酸によるウィスキーハイボール
実施例4の各種無糖炭酸飲料と市販のウイスキー(サントリー角瓶)を4:1で混合し、実施例1と同様にして官能評価を行った(表8)。表8中、ポリリン酸塩とリン酸の含有量は、ベースとなる炭酸飲料中の値である。
【0045】
【表8】

【0046】
ベースとなる炭酸飲料における傾向と類似の傾向がみられた。また、ポリリン酸塩とリン酸とを含む本願発明の炭酸飲料で調製された飲料においては、後口が改善されただけでなく、飲料の味に厚みが付与された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の縮合リン酸塩とリン酸とを含み、当該縮合リン酸塩の総重量と当該リン酸の重量との比率が1:0.05〜1:0.5である、炭酸飲料。
【請求項2】
硬度が20〜200mg/lである、請求項1に記載の炭酸飲料。
【請求項3】
無糖又は微糖である、請求項1又は2に記載の炭酸飲料。
【請求項4】
甘味成分の総含有量が15重量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭酸飲料。
【請求項5】
フレーバーを含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭酸飲料。
【請求項6】
炭酸ガス圧力が2.5〜4.5kg/cmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭酸飲料。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の炭酸飲料と蒸留酒とを混合することにより得られるアルコール飲料。
【請求項8】
炭酸飲料の製造方法であって、炭酸飲料中の縮合リン酸塩の総重量とリン酸の重量との比率を1:0.05〜1:0.5に調節することを特徴とする製造方法。
【請求項9】
蒸留酒を、請求項1〜6のいずれか1項に記載の炭酸飲料と混合することを特徴とする、アルコール飲料の製造方法。
【請求項10】
炭酸飲料の後口を改善する方法であって、炭酸飲料中の縮合リン酸塩の総重量とリン酸の重量との比率を1:0.05〜1:0.5に調節することを特徴とする方法。

【公開番号】特開2013−5786(P2013−5786A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142128(P2011−142128)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(309007911)サントリーホールディングス株式会社 (307)
【Fターム(参考)】