点変異およびSNPの検出のための高感度迅速等温法、そのプライマーのセットおよびキット
本発明は、LAMP(ループ増幅媒介性重合)増幅法の改善によって、ヌクレオチド配列の点変異を検出する方法ならびにそのプライマーのセットおよびキットに関する。非制限的実施形態として、本発明は、JAK2遺伝子のG1849T変異に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善されたLAMP(ループ増幅媒介性重合)増幅法によってヌクレオチド配列中の点変異またはSNPを検出する方法ならびに本発明の方法を実施するためのプライマーのセットおよびキットに関する。限定されない実施形態によれば、本方法、プライマーのセットおよびキットは、JAK2遺伝子におけるG1849T(V617F)変異を検出するのに適している。
【背景技術】
【0002】
骨髄増殖性疾患(MPD)は、造血前駆細胞のクローン性障害であり、古典的MPD慢性骨髄性白血病(CML)、真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)および原発性骨髄線維症(PMF)ならびに慢性好酸球性白血病(CEL)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)および全身性肥満細胞症(SM)およびその他のものを含む。過去20年において、CML、CMML、CELおよびSM2−5において変異体対立遺伝子が同定されており、各場合において、原因である変異は、チロシンキナーゼシグナル伝達の構成的活性化をもたらす。最もよく見られるMPDの遺伝子的原因は、PV、ETまたはPMFのほとんどの患者においてヤヌスキナーゼ2(JAK2)シグナル伝達を活性化する変異が同定されるまでは、わからないままであった(1、2、3、4)。JAK2は、細胞質非受容体チロシンキナーゼのヤヌスファミリーのメンバーであり、これはまた、JAK1、JAK3およびTYK2も含む。該変異は、ATG開始コドンで出発して番号をつけ、JAK2コード配列(GenBank受託番号NM 004972、配列番号1)中の位置1849でのグアニンからチミジンへの置換であり、配列番号1の位置2343に対応する。このような変異は、JH2偽キナーゼ(pseudokinase)ドメイン内のJAK2タンパク質のアミノ酸617でのバリンのフェニルアラニンとの置換(JAK2V617F)をもたらす(5)。JAK2自己抑制の喪失は、チロシンキナーゼを異常に活性化する、MPDおよび白血病におけるその他の変異と類似しているキナーゼの構成的活性化をもたらす(6、7、8)。
【0003】
直接配列決定は、野生型バックグラウンドにおける約20%の変異体DNAまでしか感知できない(9、10)。この問題は、血液および骨髄がしばしば、腫瘍性造血要素と残存する正常な造血要素の混合物からなる慢性骨髄性障害と相当に関連している。これは、表現型的に明らかな遺伝子変異が、全骨髄細胞集団を10%未満含む小さいクローン中に存在し得るETおよびMDSの場合は特にそうである。James et al.(11)では、この問題が、JAK2変異を有さないTF−1赤白血病細胞と混合された、JAK2変異を有するHEL赤白血病細胞を用いて一連の混合実験を実施することによって、JAK2 1849 G−Tに関して具体的に研究されている。彼らは、変異した対立遺伝子が全DNAの<5%で存在した場合には、それを検出できなかった。健常な人から得たDNAで希釈したホモ接合性変異体患者のDNAを用いた場合は、配列決定は、細胞株を用いたものよりも感度がさらに低かった(10%)(12)。
【0004】
核酸変異の検出に使用される一般的な方法として、増幅不応性変異系(Amplification Refractory Mutation System)(ARMS)がある。それは、オリゴヌクレオチドプライマーがPCRの際にこれらのプライマーを伸長するには、その3’末端でDNAポリメラーゼに対して完全にアニーリングされなくてはならないという事実を利用する(12)。JAK2 V617Fをコードするものなどの特定のDNA点変異にのみ合致するオリゴヌクレオチドプライマーを設計することによって、ARMSは、多型対立遺伝子間を区別することができる。したがって、これらの技術は、「対立遺伝子特異的PCR」(AS−PCR)または「配列特異的プライマーPCR」の別名で通っている。ARMS感度は、野生型バックグラウンド中、最大1〜2%(13)変異体DNAである。
【0005】
サーモサイクリングの間のPCR産物蓄積のリアルタイムモニタリングは、半定量的方法として価値のあるものであり、リアルタイムPCRととともにDNA融解曲線アッセイを使用することができる。同様に、James et al.(14)では、蛍光色素化学配列決定を、2種の異なるリアルタイムPCRをベースとする変異検出システム(一方はLightCycler機器(Roche Diagnostics)を使用し、もう一方は、Taqman ABI Prism 7500機(Applied Biosystems)を使用する)と比較した。これらのリアルタイムPCR技術は、TF−1細胞株DNAで希釈した0.5〜1%のHEL細胞株DNAおよび健常なヒトから得たDNAで希釈した2〜4%のホモ接合性変異患者DNAを検出した。
【0006】
JAK2 1849 G−T変異は、制限酵素BsaXIによって認識される野生型JAK2配列中のモチーフを消滅させるので、制限断片長多型(RFLP)解析が可能である。負の酵素切断反応は、変異の不在または消化手順の失敗のいずれかによる場合があるので、制限部位の消滅は、新規部位の作製と同程度には満足できるものではないが、初回パス解析として有用であり得る。報告された比例する感度は、断片を検出するために使用される方法に応じて幾分か変わるが、野生型バックグラウンド中、約20%の変異体DNAである(15、16)。
【0007】
ピロシーケンスは、dNTPが、鋳型駆動性DNA重合の際に増大するDNA鎖中に組み込まれる度に、ピロリン酸塩(PPi)の遊離に依存する迅速遺伝子型判定の方法である(17)。自動化PSQ HS 96系(Biotage、Uppsala、Sweden)を使用するJAK2のピロシーケンスが、いくつかのグループによって試みられ(17、18)、上記のものと同様の希釈実験が、野生型バックグラウンド中、5〜10%の変異体対立遺伝子の報告されたアッセイ感度を示した。
【0008】
一本鎖高次構造多型(SSCP)分析、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、変性高性能液体クロマトグラフィー(DHPLC)、単一ヌクレオチドプライマー伸長アッセイ(Pronto)などを含め、いくつかのその他の変異検出技術が記載されている。実際、DHPLCは、JAK2 V617Fの根底にあるゲノムDNA変異を確実に検出でき、<1〜2%の割合で変異を検出できる。しかし、DHPLCおよびその他の技術は、技術的に困難であるか、労働集約的であるか、またはその両方である。それらは、臨床検査室に適した費用ではハイスループットを可能にしない(SSCPおよびDGGE)か、または装置のために相当な初期投資を必要とする(DHPLC)。
【0009】
理論的には、タンパク質ベースの技術も、JAK2 V617F変異を検出するために使用できるが、これらは、一般に、扱いにくいものであり、このような供給源を入手する機会も限られている。したがって、タンパク質ベースのアッセイは、DNAまたはRNAをベースとする試験が実現可能な場合には、通常好まれない。
【0010】
欧州特許出願EP1692281Aには、PCR増幅に基づいてG1849T JAK2変異を検出するための方法が開示されている。
【0011】
先行技術の方法は、いくつかの制限を示す。まず第一に、最良の場合において、1%のサンプルまでの変異体JAK2配列の検出を可能にする低レベルの感度。このような感度は、抽出の前の顆粒球単離による変異体の濃縮を必要とする。これは、多大な時間を必要とする労働集約的な工程であり、診断に必要とされるすでに長い手順(2〜5時間)にさらに約2時間をもたらす。さらに、これまでに示されたすべての方法は、比較的、労働集約的であり、費用がかかり、常に容易に入手可能とは限らない特別な装置を必要とすることが多い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、特に選択的で、迅速な核酸分子中の点変異またはSNPを検出する新規LAMP法を提示した。本発明者らはまた、本発明の方法を実施するための新規プライマーのセットおよびキットも提示した。核酸点変異またはSNPを検出する方法ならびにそのプライマーのセットおよびキットは、記載の不可欠な部分を形成する添付の特許請求の範囲に定義される特徴を有する。
【0013】
本発明の方法は、欧州特許出願EP1020534Aに開示され、本願の図1において表される従来のLAMP技術とは異なる。本発明の方法によって、核酸サンプル中の単一塩基置換の同時選択的増幅および検出が可能になる。さらに、本発明の方法は、簡単な計測手段を必要とするだけであって、結果は単一の試験管反応で得ることができるので、実施が容易である。これらの理由から、先行技術の方法と比較してあまり費用がかからない。
【0014】
本発明の方法は、先行技術の技術の限界および欠点を克服し、その結果、高い感度(野生型バックグラウンド中0.01%の変異体配列にまで)をもたらし、等温かつ迅速であり、診断を1時間の反応で完了する。さらに、本発明の方法によって、試験されたサンプル中に存在する変異体対立遺伝子、例えば、変異体JAK2対立遺伝子などの量が、50%よりも高いか低いかを評価し、被験体が、目的の核酸単一点変異またはSNPについてヘテロ接合性であるかまたはホモ接合性であるかについての指標として提供することが可能となる。
【0015】
したがって、本発明の第1の態様は、野生型核酸分子のバックグラウンド内の標的核酸分子中の点変異の存在を検出する方法であって、該方法は、
1)核酸サンプルを提供する工程、
2)適当な反応条件下で、前記核酸サンプルを、オリゴヌクレオチドの混合物とおよびハイブリダイゼーション条件下で鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼを含む溶液と接触させる工程であって、前記のオリゴヌクレオチドの混合物が、検出されるべき点変異の核酸位置を含む標的核酸分子の領域のループ媒介性等温増幅に適したプライマーからなり、前記プライマーが、
i.第1の外側プライマーF3および第2の外側プライマーB3と、
ii.第1の内側プライマーFIPおよび第2の内側プライマーBIPと、
iii.ステムループ変異体伸長性プライマーと、
iv.野生型核酸分子を選択的に認識し、ハイブリダイズできる非伸長性部分と
を含み、
FIPが、3’核酸配列F2および5’核酸配列F1cからなり、BIPが、3’核酸配列B2および5’核酸配列B1cからなり、
F2が、F2cと呼ばれる標的核酸分子の領域を認識およびハイブリダイズでき、B2が、B2cと呼ばれる標的核酸分子の領域を認識およびハイブリダイズでき、
F2cおよびB2cが、標的核酸分子の反対側の鎖に位置する異なる領域であり、
B2cが、点変異の下流にあるか、またはF2cが点変異の上流にあるかのいずれかであり、
B2cが点変異の下流にある場合には、前記の点変異は、F2c配列中に位置するか、またはF2c配列の下流であってF1c配列の上流に位置し、またはF2cが点変異の上流にある場合には、前記の点変異は、B2c配列中に位置するか、またはB2c配列の上流であってB1c配列の下流に位置し、
前記ステムループ変異体伸長性プライマーが、
−中央ループ配列が、点変異が存在する場合にのみ、標的核酸分子を認識し、ハイブリダイズできるように、点変異を含む標的核酸分子の領域を選択的に認識し、ハイブリダイズすることができる中央ループ配列と、
−分子内ハイブリダイゼーションの際にステムを形成するように互いに相補的である、5’末端配列および3’末端配列と
を含み、
点変異を含む標的核酸分子の領域に対する中央ループ配列のハイブリダイゼーション親和性が、3’配列に対する5’配列の分子内ハイブリダイゼーション親和性より高く、その結果、点変異が存在する場合に、中央ループ配列が、点変異を含む標的核酸分子の領域とアニールし、増幅する、工程、
3)得られた混合物を一定温度でインキュベートする工程、ならびに
4)点変異を含む標的核酸分子の領域の増幅を示すシグナルを検出する工程
を含む。
【0016】
本方法の第1の工程は、例えば、ヘテロ接合型または、ホモ接合型のいずれかで目的の点変異を保有する疑いのある患者から、試験されるべき核酸サンプルを得ることを意味する。
【0017】
好ましい実施形態では、2種の内側プライマーFIPおよびBIPは、検出されるべき点変異の核酸位置を含む標的核酸分子の領域上で設計され、その結果、該点変異は、F2c配列とF1c配列の間またはB2c配列とB1c配列の間の領域中に位置する。代替実施形態では、点変異は、B2またはF2によってプローブされる領域中、すなわち、F2c配列内またはB2c配列内に位置する。
【0018】
別の好ましい実施形態では、ステムループ変異体伸長性プライマーの5’末端の配列および3’末端の配列は、少なくとも3ヌクレオチドの長さである。あるいは、ステムループ変異体伸長性プライマーは、「自己アニーリング型変異体伸長性プライマー」、またはより簡単に「自己アニーリング型伸長性プライマー」(LBまたはLF)と呼ばれることもある。
【0019】
本発明の方法のさらに好ましい実施形態では、非伸長性部分は、好ましくは、少なくとも10ヌクレオチドの長さのペプチド核酸(PNA)である。DNAおよびRNAは、それぞれ、デオキシリボースおよびリボース糖骨格からなるのに対し、PNAの骨格は、ペプチド結合によって連結している反復N−(2−アミノエチル)−グリシン単位からできている。プリンおよびピリミジン塩基は、メチレンカルボニル結合によって骨格と連結している。PNAは、ペプチドのように表され、最初の(左の)位置にN末端および右にC末端がある。PNAの骨格は、リン酸基を全く含有しないので、PNA/DNA鎖間の結合は、静電反発力がないためにDNA/DNA鎖間よりも強い。
【0020】
本発明の最も好ましい実施形態では、ペプチド核酸(PNA)は、推定点変異を含む(すなわち、検出されるべき点変異の核酸位置を含む)核酸分子の領域とハイブリダイズでき、それによって、野生型標的核酸分子を有する一本と、変異標的核酸分子を有するもう一本との2つの二本鎖構造の形成をもたらす塩基の配列を含む。PNAの、点変異の不在下における標的核酸分子との(すなわち、野生型配列との)ハイブリダイゼーションに起因する二本鎖構造の融解温度は、(Tm)=Xと表され、PNAの、点変異の存在下における標的核酸分子との(すなわち、変異配列との)ハイブリダイゼーションに起因する二本鎖構造の融解温度は、(Tm)=Yと表される。好ましい実施形態によれば、Y<インキュベーション温度≦Xであり、Xは、Yよりも少なくとも5℃高い。
【0021】
本発明の代替実施形態では、非伸長性部分は、
−検出されるべき点変異の核酸位置を含む野生型核酸分子の領域を選択的に認識し、ハイブリダイズできる中央ループ配列と、
−5’末端配列および3’末端配列と
を含むステムループ野生型非伸長性プライマーであり、前記5’末端および前記3’末端配列は、ステムを形成するよう互いに相補的であり、その結果、前記中央ループ配列が、核酸分子の野生型配列を含む領域に対して、5’末端配列の、3’末端配列に対するハイブリダイゼーション親和性よりも高いハイブリダイゼーション親和性を有し、その結果、WT配列とのアニーリングおよびWT配列の増幅の阻止をもたらす。当業者ならば、5’末端配列と3’末端配列間のハイブリダイゼーションは、分子内ハイブリダイゼーションであるという事実は、承知している。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、反応条件下で鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼは、Bst大断片(large fragment)ポリメラーゼであるか、あるいは、Bca(exo−)、Vent、Vent(exo−)、Deep Vent、Deep Vent(exo−)、Φ29ファージ、MS−2ファージ、Z−Taq、KOD、クレノウ断片のうちの1種またはそれらの組合せである。
【0023】
好ましい実施形態では、一定反応温度は、62℃〜67℃の間からなる。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、点変異を含むヌクレオチド分子の増幅を示すシグナルは、比濁法によって検出される。あるいは、点変異を含むヌクレオチド分子の増幅を示すシグナルは、蛍光または任意のその他の適した検出のための手段によって検出される。
【0025】
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、標的核酸分子は、配列番号2の塩基93526で推定グアニン−チミジン置換を含有するヒトJAK2遺伝子(GenBank受託番号NG 009904、配列番号2)の領域を含み、これは、JAK2コード配列(GenBank受託番号NM 004972、配列番号1)中の開始コドンからヌクレオチド位置1849に対応し、次いで、配列番号1の位置2343に対応する。
【0026】
第1および第2の外側プライマーF3およびB3は、位置93526に推定G→T塩基置換を含有するヒトJAK2遺伝子(GenBank受託番号NG 009904、配列番号2)のエキソン14の側面に位置するイントロン領域中にそれぞれ位置することが好ましい。F3は、配列番号2の位置93367〜93388に及ぶヌクレオチド配列からなり、B3は、配列番号2の位置93561〜93582間のヌクレオチド領域と相補的であるヌクレオチド配列からなることがより好ましい。第1および第2の内側プライマーFIPおよびBIPは、以下の通りに設計されることが好ましい。FIPプライマーは、JAK2エキソン14の上流のイントロン領域中(好ましくは、配列番号2の位置93408〜93425の間)に位置するF2配列と、配列番号2のヌクレオチド93445〜93470と相補的であるF1c配列とからなり、BIPプライマーは、下流イントロンの最初の18個の塩基を含む、配列番号2のヌクレオチド93538〜93559を含む領域と相補的であるB2配列と、配列番号2の位置93486〜93515に位置するB1c配列とからなる。ステムループ変異体伸長性プライマーの中央ループ配列は、配列番号2のヌクレオチド93516〜93529からなることが好ましい。PNA塩基配列は、配列番号2のヌクレオチド93518〜93534からなることが好ましい。
【0027】
本発明の方法を実施するために使用される、ループ媒介性等温増幅に適したプライマーは、以下の配列からなることが最も好ましい。
F3 5’−GCATCTTTATTATGGCAGAGAG−3’(配列番号3)、
B3 5’−TGCTCTGAGAAAGGCATTA−3’(配列番号4)、
FIP 5’−GCTGCTTCAAAGAAAGACTAAGGAAATGGACAACAGTCAAACAAC−3’(配列番号5)、
BIP 5’−GCTTTCTCACAAGCATTTGGTTTTAAATTAGCCTGTAGTTTTACTTACTCTC−3’(配列番号6)、
ステムループ変異体伸長性プライマー:5’−GTCTCCACTGGAGTATGTTTCTGTGGAGAC−3’(配列番号8)。
【0028】
より好ましい実施形態では、非伸長性部分は、好ましくは、構造:NH2GAGTATGTGTCTGTGGACONH2(配列番号9)を有するPNA分子である。
【0029】
本発明の方法はまた、例えば、点変異が、ホモ接合型であるかまたはヘテロ接合型であるかを評価するために、核酸サンプル中の変異体対立遺伝子の(例えば、存在するJAK2変異体対立遺伝子の)量を定量的に評価するのにも適している。これは、サンプルから得られた点変異を含む標的核酸分子の領域の増幅を示すシグナルを、少なくとも1種の標準物質から得られた前記シグナルと定量的に比較することによって達成される。好ましい実施形態では、少なくとも1種の標準物質は、野生型核酸分子のバックグラウンド中、所定のパーセンテージ(%)の変異体標的核酸分子からなり、前記の所定のパーセンテージ(%)は、好ましくは、約10%である。例えば、3種の標準物質(例えば、野生型プラスミドバックグラウンド中、100%、10%および1%変異体G1849T JAKプラスミド)と比較した、非希釈および1:5希釈サンプルの増幅効率を分析することによって、試験サンプル中の変異体対立遺伝子の量が、50%より高いか低いか決定することが可能であり、これは、ホモ接合性またはヘテロ接合性を示すものである。
【0030】
本発明の方法はまた、kRAS、EGFRなどの異なる病態に関与するその他の遺伝子変異を検出するのに、ならびにSNPを検出するのにも適している。
【0031】
本発明の別の態様は、ループ媒介性等温増幅によって、野生型核酸分子のバックグラウンドにおいて標的核酸分子における点変異の存在を検出するためのプライマーのセットであり、該プライマーのセットは、第1の外側プライマーF3と、第2の外側プライマーB3と、第1の内側プライマーFIPと、第2の内側プライマーBIPと、ステムループ変異体伸長性プライマーとを含み、すべて本発明の方法に関して上記で定義されるとおりである。
【0032】
好ましい実施形態によれば、プライマーのセットは、配列番号3からなる第1の外側プライマーF3、配列番号4からなる第2の外側プライマーB3、配列番号5からなる第1の内側プライマーFIP、配列番号6からなる第2の内側プライマーBIP、および配列番号8からなるステムループ変異体伸長性プライマーを含む。
【0033】
本発明のさらに好ましい実施形態は、野生型核酸分子とハイブリダイズできる非伸長性部分をさらに含む上記で定義されるプライマーのセットである。非伸長性部分は、例えば、添付の特許請求の範囲において定義される、ペプチド核酸(PNA)またはステムループ非伸長性プライマーである。少なくとも10塩基の長さであるPNAが、より好ましい。配列表において配列番号9として示されるPNAが、非伸長性部分の最も好ましい実施形態である。
【0034】
本発明のさらなる態様は、ループ媒介性等温増幅によって、野生型核酸分子のバックグラウンドにおける標的核酸分子における点変異の存在を検出するためのキットであり、該キットは、上記で定義されるプライマーのセットならびに鎖置換活性を有する1種または複数のDNAポリメラーゼを含む。DNAポリメラーゼは、Bst大断片ポリメラーゼ、Bca(exo−)、Vent、Vent(exo−)、Deep Vent、Deep Vent(exo−)、Φ29ファージ、MS−2ファージ、Z−Taq、KOD、クレノウ断片およびそれらの任意の組合せからなる群から選択されることが好ましい。最も好ましいDNAポリメラーゼは、Bst大断片ポリメラーゼである。
【0035】
本発明のキットは、例えば、1種または複数の標準物質、標的核酸分子の増幅を検出および/または定量するための手段ならびにアッセイを実施するための説明書などのさらなる従来の構成要素を含有し得る。このようなさらなる構成要素の選択および使用は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0036】
本発明の範囲は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6および配列番号8ならびに配列番号2の位置93526を含むJAK2ゲノムDNA(配列番号2)の領域、または配列番号1の位置2343を含むJAK2cDNA(配列番号1)の領域とハイブリダイズできる塩基配列を含む6〜24塩基の長さのペプチド核酸(PNA)からなる群から選択される単離オリゴヌクレオチドプライマーをさらに含む。本発明のPNAの好ましい実施形態は、以下の塩基配列:
NH2−GAGTATGTGTCTGTGGA−COOH(配列番号9)(ここで、Gはグアニンであり、Aはアデニンであり、Tはチミンであり、Cはシトシンである)を含む。
【0037】
本発明を本明細書において、以下の図面を参照し、以下の特定の限定しない実施例によってさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】LAMP原理(先行技術)。 増幅反応は、標的ゲノム配列の6種の異なる領域にとって特異的な4種のオリゴヌクレオチドプライマーを使用することによって実施する。内部プライマーは、標的核酸分子上の相補的な配列とハイブリダイズし、DNAポリメラーゼによって伸長され、増幅生成物は、外部プライマー(F3、B3)によって2工程で置換され、二重ステムループ構造(出発構造)(パネルA)として形作られる。出発構造は、遊離3’末端から、別の内部プライマーによって同時に増幅される(パネルB)。最初のモジュールの逆方向反復によって構築されたDNAコンカテマーは、指数関数的に徐々に合成される(パネルC)。
【図2】LAMP「ダンベル(DUMB−BELL)」戦略。 図2に示される本アッセイ設定では、FIPおよびBIP内側プライマー中に含有されるF1cおよびB1cオリゴヌクレオチドは、JAK2コード配列中の開始コドンから位置1849の目的のヌクレオチドのそれぞれ一塩基上流および一塩基下流で終了および開始するJAK2遺伝子の非重複領域に対して相補的である。さらに、FIPおよびBIPプライマーの5’末端塩基は、JAK2配列中の変異ヌクレオチドに対して特異的であり、両内側プライマーは、3’末端から3番目の塩基でミスマッチした塩基を有する。反応が野生型標的対立遺伝子を含有し、ダンベル構造が形成される場合には、変異体特異的F1cおよびB1c配列は、3’末端でアニールせず、あらゆるさらなる標的増幅を阻止する。そうではなく、変異体標的対立遺伝子が溶液中に存在する場合には、変異体特異的F1cおよびB1c配列は、相補的核酸標的領域と完全にハイブリダイズし、DNAポリメラーゼによって伸長される。
【図3】LAMP「対立遺伝子特異的ループプライマー伸長」戦略。 変異体特異的ループプライマーの3’末端のヌクレオチドは、JAK2コード配列中の位置1849の変異Tヌクレオチドと相補的である。さらに、このループプライマーは、3’末端から3番目の塩基においてミスマッチした塩基を含有する。反応がWT JAK2配列を含有する場合には、3’末端変異体特異的ループプライマーは、標的配列とアニールせず、増幅をもたらさない。そうではなく、変異体JAK2配列が溶液中に存在する場合には、変異体特異的ループプライマーは、相補的標的配列と完全にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長される。
【図4】LAMP「ステムループプライマー」戦略。 ループ領域中に推定変異Tヌクレオチドを提示するダンベルを得るようF3、B3、FIPおよびBIPオリゴヌクレオチドを含むユニバーサル(変異体非感受性)プライマーのセット。第1のステムループプライマーは、一本鎖ダンベル構造中に変異された塩基を認識するよう設計され、JAK2野生型配列と相補的であり、非伸長性3’末端を含有する第2の改変されたステムループプライマーと一緒に含まれる。変異したJAK2配列が、核酸サンプル中に存在する場合(パネルA)に、変異体特異的ステムループプライマーが、その内部構造を破壊して標的配列とアニールし、DNAポリメラーゼによって伸長される。逆に、WT標的配列がサンプル中に存在する場合(パネルB)には、改変された非伸長性ステムループプライマーは、WT標的配列とハイブリダイズして、この配列の増幅を阻止する(「サイレンシング」効果)。
【図5】LAMP「PNAを伴う変異体特異的ステムループプライマー」戦略。 ループ領域中に推定変異Tヌクレオチドを提示するダンベルを得るようF3、B3、FIPおよびBIPオリゴヌクレオチドを含むユニバーサル(変異体非感受性)プライマーのセット。第1のステムループプライマーは、一本鎖ダンベル構造中に変異塩基を認識するよう設計され、PNA分子と一緒に含まれる。PNAは、B2およびB1c間に含まれるループ領域と相補的であり、検出されるべき点変異の核酸位置を包含するよう設計される。JAK2 WT配列と安定な二本鎖を形成し、ひいては、ハイブリダイゼーションおよび変異体特異的ステムループプライマーの伸長を妨げ、野生型配列の非特異的増幅を抑制する(パネルB)。PNAは、低い親和性のために、変異したJAK2配列とハイブリダイズしない(パネルA)。
【図6】LAMP「ダンベル」アッセイの感度。 増幅反応を、7e3cps/μlのJAK2野生型プラスミドを含有するサンプルで(正方形の点)、標的なし対照で、水中のJAK2変異体プラスミドの段階希釈で(7e3〜7e1cps/μl、菱形の点、7e0cps/μl、丸の点)実施した。各サンプルを3連で試験した。エラーバーは、1標準偏差を表す。野生型プラスミドと比較して、変異体標的配列は、最大7e1cps/μlのサンプル濃度まで高効率で増幅される。本アッセイは、7e3から7e1cps/μl変異体プラスミドサンプルの間で直線性を示す。
【図7】LAMP「対立遺伝子特異的変異体ループプライマー」アッセイの感度。 増幅反応を、7e3cps/μlのJAK2野生型プラスミドを含有するサンプルで(正方形の点)、標的なし対照で、水中のJAK2変異体プラスミドの段階希釈で(7e3〜7e1cps/μl、菱形の点)実施した。各サンプルを3連で試験した。エラーバーは、1標準偏差を表す。野生型プラスミドと比較して、変異体標的配列は、最大7e2cps/μlのサンプル濃度まで高効率で増幅される。本アッセイは、7e3から7e1cps/μl変異体プラスミドサンプルの間で直線性を示す。
【図8】LAMP「ステムループプライマー」アッセイの選択性。 増幅反応を、7e3cps/μlのJAK2野生型プラスミドを含有するサンプルで(正方形の点)、標的なし対照で、75%〜1%の範囲、反応あたり全量35000cpsのDNAの野生型プラスミド中のJAK2変異体プラスミドの段階希釈で実施した。各サンプルを3連で試験した。エラーバーは、1標準偏差を表す。野生型プラスミドと比較して、変異体標的配列は、最大1%の用量サンプル(34650コピーの元の親プラスミド中、350コピーの変異体プラスミド)まで高効率で増幅される。アッセイは、野生型バックグラウンド中、100%〜1%の間の変異体プラスミドサンプルで、直線性を示す。
【図9】LAMP「PNAを伴うステムループプライマー」。 PNAを用いて、用いずに、変異体および野生型プラスミドサンプル(各35000cps)でのアッセイ性能。PNAの不在下で、JAK2 WTプラスミドは、変異体特異的ステムループプライマーによって非特異的に増幅され、変異した標的配列に関して5分遅れる。対照的に、反応混合物にPNAが加えられると、WTプラスミドは、変異体特異的ステムループプライマーによって1時間遅れて増幅され、JAK2変異体プラスミドの特異的増幅については、5分遅れしか測定されない。PNAは、WT相補配列とのみ安定な二本鎖を形成し、変異体特異的ステムループプライマーのハイブリダイゼーションおよび伸長を妨げ、それによって、野生型配列の増幅時間の1時間のずれを引き起こす。
【図10】LAMP「PNAを伴うステムループプライマー」アッセイの選択性。 JAK2変異体プラスミドサンプル(350000cps)、JAK2野生型プラスミドサンプル(350000cps)および野生型バックグラウンドで、以下の割合1、0.5、0.1、0.05および0.01%に段階希釈した変異体プラスミドでのアッセイ性能。エラーバーは、1標準偏差に対応する。WTサンプル(350000cps WTプラスミド)については、1時間の反応内では増幅は検出されなかった。変異体標的配列の特異的増幅は、野生型バックグラウンド中、0.01%の変異体配列まで検出される(349650コピーのWTプラスミド中全35コピーの変異体プラスミド)。アッセイは、0.1%変異体プラスミドの濃度(349650コピーのWTプラスミド中全350コピーの変異体プラスミド)まで直線である。
【図11】LAMP対照反応。 F3、B3、FIPおよびBIPオリゴヌクレオチドを含むユニバーサル(変異体非感受性)プライマーのセット。この方法は、特定の変異の存在とは独立したゲノムDNA標的配列を増幅するよう設計されている。このような対照アッセイによって、プライマーの増幅効率および反応管中の阻害剤の存在を評価することが可能となる。
【図12】JAK2野生型および変異体核酸サンプルでのLAMP対照反応。 F3、B3、FIPおよびBIPオリゴヌクレオチドを含むユニバーサル(変異体非感受性)プライマーのセットの増幅効率は、分析されたサンプルすべて:100%のJAK2野生型プラスミド、100%、10%および1%のJAK2変異体プラスミドについて同程度である。標的配列増幅の遅れまたは標的配列増幅がないことは、反応阻害剤の存在または反応条件における問題を示す。
【図13】核酸サンプル中の変異体JAK2対立遺伝子コピーの推定の原理。 核酸サンプル中のJAK2対立遺伝子コピーの量が、50%よりも高いか低いかを推定するために、変異体特異的ステムループプライマーおよびPNAを用いる改変LAMPを、非希釈サンプルおよび1:5希釈したサンプルで実施する。サンプルが、50%超の変異体JAK2対立遺伝子コピーを含有する場合には、標的配列の閾値増幅分は、非希釈(パネルA)および希釈(パネルB)サンプル両方の標準物質100%と標準物質10%の(分)tの間に含まれる。サンプルが、50%未満の変異体JAK2対立遺伝子コピーを含有する場合には、標的配列の閾値増幅分は、非希釈サンプル(パネルA)の標準物質100%と標準物質10%のt(分)の間および希釈サンプル(パネルB)の標準物質10%と標準物質1%の分(t)の間に含まれる。
【図14】50%超の変異標的配列を含有する核酸サンプル中の変異体JAK2対立遺伝子コピーの推定。 野生型バックグラウンド中、50%超の変異体JAK2プラスミドを含有する4種の核酸サンプル(それぞれ、60%、70%、80%および90%)を、1:5希釈し、野生型バックグラウンドにおける100%、10%および1%のJAK2変異体プラスミドからなる3種の標準物質と一緒に、「PNAを伴うLAMPステムループプライマー」アッセイを使用して分析した。4種のサンプルすべてについて、閾値増幅分は、標準物質100%の分(t)から標準物質10%の分(t)の間に含まれていた。
【図15】50%未満の変異標的配列を含有する核酸サンプル中の変異体JAK2対立遺伝子コピーの推定。 野生型バックグラウンド中、50%以下の変異体JAK2プラスミドを含有する4種の核酸サンプル(それぞれ、40%、30%および20%)を1:5希釈し、野生型バックグラウンド中、100%、10%および1%のJAK2変異体プラスミドからなる3種の標準物質と一緒に、「PNAを伴うLAMPステムループプライマー」アッセイを使用して分析した。1:5希釈した50%サンプルの増幅は、10%標準物質サンプルの同一閾値分で生じた。残りの3種のサンプルについては、閾値増幅分は、標準物質10%の分(t)から標準物質1%の分(t)の間に含まれていた。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下の実施例は、単に例示として提供するものであって、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を制限しようとするものではない。
【実施例1】
【0040】
JAK2−改変LAMP「ダンベル戦略」の材料、方法および結果
試薬
JAK2プラスミドは、供給業者GeneArt(Regensburg、Germany)によって提供され、野生型または変異体JAK2配列を含有していた。詳細には、
−「wtプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にG塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
−「mutプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にT塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
プライマー:「プライマー」と呼ばれる、供給業者Eurofins MWG Operon(Ebersberg、Germany)によって合成された。
−GA211(F3) 5’GTCAAACAACAATTCTTTGTACT3’(配列番号10)
−GA212(B3) 5’AGCTGTGATCCTGAAACTG3’(配列番号11)
−GA216(FIP) 5’AATATACTCCATAATTTAAAACCAAATGCTTTCTTTCTTTGAAGCAGCAAGT 3’(配列番号12)
−GA220(BIP) 5’TTTTGTGGAGACGAGAGTAAGTAAAACTACATAAACAAAAACAGATGCTCTGA3’(配列番号13)
−GA221(LF) 5’GTGAGAAAGCTTGCTCATCAT3’(配列番号14)
−GA222(LB) 5’AGGCTTTCTAATGCCTTTC3’(配列番号15)
反応バッファー:100mM Tris−HCl pH8.8、50mM KCl、40mM MgSO4、50mM(NH4)2SO4、0.5% Tween、 5%DMSO「バッファー5×」
dNTPミックス25mM(Fermentas)、「dNTP」
Bst大断片ポリメラーゼ8U/μl(New England Biolabs)、「ポリメラーゼ」
滅菌非発熱性水(apyrogen water)(SALF Spa)、「ddw」
【0041】
手順
サンプル調製
以下のとおりの反応混合物を調製する。0.2μM外側プライマー(F3およびB3)、1.6μM内側プライマー(FIPおよびBIP)、0.8μMループプライマー(LFおよびLB)、1×バッファー溶液、1.4mM dNTPミックス、8U Bstポリメラーゼ。反応混合物の最終容量は、総反応容量の4/5でなくてはならない(すなわち、20μlの反応混合物+5μlサンプル)。試薬は常に氷上で維持する。3種の陰性対照(7e3cps/ulの野生型プラスミド)、12種の陽性対照(3サンプルの7e3cps/ul変異体プラスミド、3サンプルの7e2cps/ul変異体プラスミド、3サンプルの7e1cps/ul変異体プラスミド、3サンプルの7e0cps/ul変異体プラスミド)、1種の標的なし対照を含む少なくとも17サンプルのために混合物を調製する。
【0042】
表1サンプル混合物組成
【表1】
【0043】
20μlの反応混合物をストリップ中に分配する。ストリップを氷上で維持する。今後、反応混合物を常に氷上で維持する。
【0044】
送られてきた溶液(WTプラスミドおよびMUTプラスミド)から標的の段階希釈物(「標的希釈物」)を調製する。送られてきた溶液は、7×1010コピー/μlである。変異体プラスミドを、まずTris 10mMで7×104コピー/μlに希釈し、次いで、Tris 10mMで、7e3cps/μl、7e2cps/μl、7e1cps/μlおよび7e0cps/μlに段階希釈する。WTプラスミドを、Tris 10mMで7×103コピー/μlに希釈する。
【0045】
3連で、ストリップに5μlの標的希釈物を加える。5μlの標的希釈物を、低濃度のサンプルから出発して、最高濃度のサンプルへと加える。すべての試験管を閉じる。
【0046】
反応
反応は、図1および2の方法スキームにしたがう。
【0047】
66℃、1時間の一定の反応温度を得るよう、一定温度でのインキュベーションおよび濁度のリアルタイムモニタリングのために濁度計(Teramecs)をプログラムする。
【0048】
プログラムを開始する直前にストリップを機器の中に入れる。プログラムを開始する。
【0049】
データ解析
分析される各サンプルの閾値時間を見出すために、a.u.(吸光度の任意の単位)を単位として吸光度の変化を分析する。閾値時間は、サンプル吸光度が、ベースラインを差し引いた後に、閾値に相当する任意単位の値(この場合には、0.1a.u.)に達する分である。各サンプルによって到達される閾値時間は、そのDNAコピー/μlの対数と相関する。
【0050】
結果
「LAMP JAK2ダンベル」戦略は、SNP検出のためのEiken LAMP法に基づいている(EP1231281、20、21、22ならびにhttp://loopamp.eiken.co.jp/e/lamp/snps_anim.htmlに記載されている)。
【0051】
図2に示される本アッセイ設定では、FIPおよびBIP内側プライマー中に含有されるF1cおよびB1cオリゴヌクレオチドは、JAK2コード配列中の開始コドンから位置1849の目的のヌクレオチドのそれぞれ一塩基上流および一塩基下流で終了および開始するJAK2遺伝子の非重複領域に対して相補的である。さらに、FIPおよびBIPプライマーの5’末端塩基は、JAK2配列中の変異Tヌクレオチドに対して特異的であり、両内側プライマーは、3’末端から3番目の塩基でミスマッチした塩基を有する。反応が、野生型標的対立遺伝子を含有し、ダンベル構造が形成される場合には、変異体特異的F1cおよびB1c配列は、3’末端でアニールせず、あらゆるさらなる増幅を阻止する。そうではなく、変異体標的対立遺伝子が溶液中に存在する場合には、変異体特異的F1cおよびB1c配列は、相補的核酸標的領域と完全にハイブリダイズし、DNAポリメラーゼによって伸長される。
【0052】
図6に示されるように、7e3cps/μl〜7e0cps/μl(全35コピーの変異体プラスミド)の範囲のLAMPアッセイによって、変異体プラスミド濃度の低下が検出された。低濃度の標的核酸配列では、このLAMPアッセイ設定では、変異体と野生型プラスミドとを区別できなかった。実際には、これらは、7e3cps/μlの濃度で増幅される。文献においてこれまでに記載されたアッセイ法の限界を克服するには、1%より低い選択性の値が必要とされるので、本アプローチを用いても明確な利点は得られなかった。
【実施例2】
【0053】
JAK2−改変LAMP「対立遺伝子特異的ループプライマー伸長」戦略の材料、方法および結果
試薬
JAK2プラスミドは、供給業者GeneArt(Regensburg、Germany)によって、野生型または変異体JAK2配列を含有するように合成された。詳細には、
−「wtプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にG塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
−「mutプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にT塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
プライマー:「プライマー」と呼ばれる、Eurofins MWG Operonによって合成された。
下線を引いた塩基は、ミスマッチしたヌクレオチドに相当する。太字の塩基は、JAK2コード配列のATG開始コドンから位置1849の変異ヌクレオチドに相当する。
反応バッファー:100mM Tris−HCl pH8.8、50mM KCl、40mM MgSO4、50mM(NH4)2SO4、0.5% Tween、「バッファー5×」
dNTPミックス25mM(Fermentas)、「dNTP」
Bst大断片ポリメラーゼ8U/μl(New England Biolabs)、「ポリメラーゼ」
滅菌非発熱性水(SALF Spa)、「ddw」
【0054】
手順
サンプル調製
プライマーをアリコートで保存する。保存溶液を−20℃で保存することが良好であるが、作業中の希釈液は4℃で保存されるべきである。
【0055】
以下のとおりの反応混合物を調製する。0.2μM外側プライマー(F3およびB3)、1.6μM内側プライマー(FIPおよびBIP)、0.8μMループプライマー(LB)、1×バッファー溶液、1.4mM dNTPミックス、8U Bstポリメラーゼ。反応混合物の最終容量は、総反応容量の4/5でなくてはならない(すなわち、20μlの反応混合物+5μlサンプル)。試薬は常に氷上で維持する。3種の陰性対照(7e3cps/ulの野生型プラスミド)、9種の陽性対照(3サンプルの7e3cps/ul変異体プラスミド、3サンプルの7e2cps/ul変異体プラスミド、3サンプルの7e1cps/ul変異体プラスミド)、1種の標的なし対照を含む少なくとも14種のサンプルのために混合物を調製する。
【0056】
表2サンプル混合物組成
【表2】
【0057】
20μlの反応混合物をストリップ中に分配する。ストリップを氷上で維持する。今後、反応混合物を常に氷上で維持する。
【0058】
送られてきた溶液(WTプラスミドおよびMUTプラスミド)から標的の段階希釈物(「標的希釈物」)を調製する。送られてきた溶液は、7×1010コピー/μlである。変異体プラスミドを、まずTris 10mMで7×104コピー/μlに希釈し、次いで、Tris 10mMで、7e3cps/μl、7e2cps/μl、7e1cps/μlに段階希釈する。WTプラスミドを、Tris 10mMで7×103コピー/μlに希釈する。3連で、ストリップに5μlの標的希釈物を加える。5μlの標的希釈物を、低濃度のサンプルから出発して、最高濃度のサンプルへと加える。すべての試験管を閉じる。
【0059】
反応
反応は、図3の方法スキームにしたがう。
【0060】
65℃、1時間の一定の反応温度を得るよう、一定温度でのインキュベーションおよび濁度のリアルタイムモニタリングのために濁度計(Teramecs)をプログラムする。
【0061】
プログラムを開始する直前にストリップを機器の中に入れる。プログラムを開始する。
【0062】
データ解析
分析される各サンプルの閾値時間を見出すために、a.u.を単位として吸光度の変化を分析する。閾値時間は、サンプル吸光度が、ベースラインを差し引いた後に、閾値に相当する任意単位の値(この場合には、0.1a.u.)に達する分である。各サンプルによって到達される閾値時間は、そのDNAコピー/μlの対数と相関する。
【0063】
結果
本アプローチは、変異体特異的ループプライマーを使用することによる変異体配列の選択的増幅からなる(図3)。本発明者らは、B2とB1cとの間に含まれるループ領域中に推定変異を提示するダンベル構造を得るよう、F3、B3、FIPおよびBIPオリゴヌクレオチドを含むユニバーサル(変異体非感受性)プライマーのセットを設計した。さらに、本発明者らは、JAK2コード配列の位置1849の変異ヌクレオチドTと相補的な3’末端の最後の塩基および3’末端から3番目の塩基においてミスマッチした塩基を提示するループプライマーを設計した。
【0064】
反応が、WT標的配列を含有する場合には、変異体特異的ループプライマーの3’末端は、相補的ヌクレオチドとアニールせず、ひいては、増幅をもたらさない。そうではなく、JAK2変異体配列が溶液中に存在する場合には、変異体特異的ループプライマーは、相補的配列と完全にハイブリダイズし、DNAポリメラーゼによって伸長される。
【0065】
7e3cps/μl〜7e1cps/μl(全35000および350コピーの変異体プラスミド)の範囲の濃度の変異体プラスミドサンプルで、7e3プラスミドcps/μlを含有するWTサンプルでアッセイ評価を実施し、すべて、サンプルは3連で試験した。本方法を用いて、7e3cps/μlのWTプラスミドサンプルの非特異的増幅を検出し、7e1cps/μl濃度の変異体および野生型サンプルは、区別できなかった。文献においてこれまでに記載されたアッセイ法の限界を克服するには、1%より低い選択性の値が必要とされるので、本アプローチを用いても明確な利点は得られなかった(図7)。
【実施例3】
【0066】
JAK2−改変LAMP「ステムループプライマー戦略」の材料、方法および結果
試薬
JAK2プラスミドは、供給業者GeneArt(Regensburg、Germany)によって、野生型または変異体JAK2配列を含有するように合成された。詳細には、
−「wtプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にG塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
−「mutプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にT塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
プライマー:「プライマー」と呼ばれる、Eurofins MWG Operon(Ebersberg、Germany)によって合成された。
−GA231(F3) 5’GCATCTTTATTATGGCAGAGAG3’(配列番号3)
−GA232(B3) 5’TGCTCTGAGAAAGGCATTA3’(配列番号4)
−GA233(FIP) 5’GCTGCTTCAAAGAAAGACTAAGGAAATGGACAACAGTCAAACAAC3’(配列番号5)
−GA234(BIP) 5’GCTTTCTCACAAGCATTTGGTTTTAAATTAGCCTGTAGTTTTACTTACTCTC3’(配列番号6)
−GA235(LF) 5’GTCTCCACTGGAGTATGTGTCTGTGGAGAddC3’(配列番号7)
下線を引いた塩基は、JAK2コード配列(GeneBank受託番号NM 004972)中のATG開始コドンから位置1849の野生型ヌクレオチドに相当する。
−ddCは、非伸長性ジデオキシシトシンを表す。
−GA236(LB) 5’GTCTCCACTGGAGTATGTTTCTGTGGAGAC3’(配列番号8)
−下線を引いた塩基は、JAK2コード配列(GeneBank受託番号NM 004972)中のATG開始コドンから位置1849の変異したヌクレオチドに相当する。
反応バッファー:100mM Tris−HCl pH8.8、50mM KCl、40mM MgSO4、50mM(NH4)2SO4、0.5% Tween、「バッファー5×」
dNTPミックス25mM(Fermentas)、「dNTP」
Bst大断片ポリメラーゼ8U/μl(New England Biolabs)、「ポリメラーゼ」
滅菌非発熱性水(SALF Spa)、「ddw」
【0067】
手順
サンプル調製
プライマーをアリコートで保存する。保存溶液を−20℃で保存することが良好であるが、作業中の希釈液は4℃で保存されるべきである。
【0068】
以下のとおりの反応混合物を調製する。0.2μM外側プライマー(F3およびB3)、1.6μM内側プライマー(FIPおよびBIP)、0.8μM両方の自己アニーリング型ループプライマー(非伸長性LFおよびLB)、1×バッファー溶液、1.4mM dNTPミックス、8U Bstポリメラーゼ。反応混合物の最終容量は、総反応容量の4/5でなくてはならない(すなわち、20μlの反応混合物+5μlサンプル)。試薬は常に氷上で維持する。3種の陰性対照(100%野生型プラスミド、7e3cps/μl)、21種の陽性対照(3サンプルの100%変異体プラスミド(7e3cps/μl)、3サンプルのWTプラスミドで希釈した75%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した50%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した25%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した10%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した5%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した1%変異体プラスミド)および1種の標的なし対照を含む、少なくとも26サンプルのために混合物を調製する。
【0069】
表3サンプル混合物組成
【表3】
【0070】
20μlの反応混合物をストリップ中に分配する。ストリップを氷上で維持する。今後、反応混合物を常に氷上で維持する。
【0071】
送られてきた溶液(WTプラスミドおよびMUTプラスミド)から標的の段階希釈物(「標的希釈物」)を調製する。送られてきた溶液は、7×1010コピー/μlである。変異体プラスミドを、まずTris 10mMで7×104コピー/μlに希釈し、次いで、変異体プラスミドをWTプラスミドで段階希釈して、以下の野生型バックグラウンドにおける変異体配列の濃度を得る。75%、50%、25%、10%、5%、1%(試験管あたりの総量、7e3cps/μl)。
【0072】
3連で、ストリップに5μlの標的希釈物を加える。5μlの標的希釈物を、低濃度のサンプルから出発して、最高濃度のサンプルへと加える。すべての試験管を閉じる。
【0073】
反応
反応は、図4の方法スキームにしたがう。
【0074】
65℃、1時間の一定の反応温度を得るよう、一定温度でのインキュベーションおよび濁度のリアルタイムモニタリングのために濁度計(Teramecs)をプログラムする。
【0075】
プログラムを開始する直前にストリップを機器の中に入れる。プログラムを開始する。
【0076】
データ解析
分析される各サンプルの閾値時間を見出すために、a.u.を単位として吸光度の変化を分析する。閾値時間は、サンプル吸光度が、ベースラインを差し引いた後に、閾値に相当する任意単位の値(この場合には、0.1a.u.)に達する分である。各サンプルによって到達される閾値時間は、そのDNAコピー/μlの対数と相関する。
【0077】
結果
本アプローチは、特定のループプライマーの、変異体配列から形成されるダンベルとの選択的ハイブリダイゼーションをもたらす、このようなループプライマー設計に基づく変異体配列の選択的増幅からなる(図4)。本発明者らは、B1とB2の間に含まれるループ領域中に推定変異を提示するダンベル構造を得るよう、F3、B3、FIPおよびBIPオリゴヌクレオチドを含むユニバーサル(変異体非感受性)プライマーのセットを設計した。B2内またはB2とB1cとの間のループ領域中に推定変異ヌクレオチドを含有する代替配列でこのような実験を実施した際には、大きな相違は検出されなかった。本発明者らは、プライマーセット中に、その自身の3’末端の配列と相補的であるその5’末端に、8塩基の配列領域を提示する特定のループプライマーを含めた。その結果として、この特別のループプライマーは、反応温度(65℃)でそのオープン型と平衡にある分子内ヘアピン構造を形成する。
【0078】
変異体JAK2配列がサンプル中に存在する場合には、このような改変されたループプライマーは、熱力学的平衡に従って、その内部構造を破壊して、相補的標的配列とハイブリダイズする(プライマーおよび特異的標的間のTm=65℃)。次いで、特異的な変異標的とハイブリダイズされたループプライマーがポリメラーゼによって伸長され、増幅がさらに進行することができる。さらなる特徴として、JAK2 G→T変異に対して特異的なループプライマーは、分子内ヘアピン構造(65℃)よりも低い野生型標的配列とのTm(59℃)を示す。したがって、JAK2 WT配列を含有するサンプルでは、Tm値のこのような相違は、分子内力が分子間のものよりも高いので、非特異的標的と二本鎖を形成するよりもヘアピン構造にフォールディングすることを好む改変されたループプライマーの自己隔離をもたらす。
【0079】
本発明者らは、臨床サンプル中に大過剰で存在している可能性が高い野生型配列に対するこのループプライマーの競合を制限するために、反応設定に、類似の構造を有し、JAK2野生型配列と相補的である核酸配列を含有する、すなわち、開始コドン(GeneBank受託番号NM 004972)から位置1849にG塩基を有する第2のループプライマーを含めた。
【0080】
この「競合者」ループプライマーの3’末端は、改変によって非伸長性にされる(3’ジデオキシ)。この競合者の役割は、WT配列を「サイレントにし」、ひいては、特異的変異体プライマーがその標的を見出すことを可能にすることである。
【0081】
「競合者」プライマーが、相補的野生型配列を認識する場合には、より高い親和性に従って、その分子内構造を破壊して、WT標的とハイブリダイズする(WT標的およびWT改変されたループプライマーによって形成される二本鎖のTm=67℃)。WT標的とハイブリダイズされたループプライマーは、非伸長性であり、野生型配列の増幅をもたらさない。反応は、一定温度で実施されるので、WT特異的ステムループプライマーは、野生型配列と結合しているままであり、ひいては、MUTループプライマーの非特異的ハイブリダイゼーションを妨げる。
【0082】
変異体特異的ループプライマーとは対照的に、「競合者」プライマーは、それ自体によって形成される分子内ヘアピン構造(65℃)よりも低い、変異体標的配列とのTm(62℃)を示す。したがって、分子間のものと比較して高い分子内力が、変異体標的配列と二本鎖を形成するよりもヘアピン構造にフォールディングすることを好む、改変されたステムループプライマーの自己隔離を引き起こす。
【0083】
本アッセイの選択性を、野生型バックグラウンドにおける変異体プラスミドの段階希釈で標的配列増幅を実施することによって評価した(図8)。達成された選択性は、有意に1%(34650コピーのWTプラスミド中、全350コピーの変異体プラスミド)未満であり、文献においてこれまでに記載されたアッセイよりも高い性能を示す。
【0084】
アッセイ直線性は、100%変異体プラスミド(35000cps)から99%野生型プラスミド中の1%変異体(34650コピーのWTプラスミド中の350コピーの変異体プラスミド)の間で検出され、したがって、多量のWTプラスミド中の低いパーセンテージの変異体配列の検出および定量化が可能となる。したがって、このように実施されたLAMPアプローチを用いて有意な改善が達成された。
【実施例4】
【0085】
JAK2−改変LAMP「PNAを伴うステムループプライマー戦略」の材料、方法および結果
試薬
JAK2プラスミドは、供給業者GeneArt(Regensburg、Germany)によって、野生型または変異体JAK2配列を含有するように合成された。詳細には、
−「wtプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にG塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
−「mutプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にT塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
プライマー:「プライマー」と呼ばれる、Eurofins MWG Operonによって合成された。
−GA231(F3) 5’GCATCTTTATTATGGCAGAGAG3’(配列番号3)
−GA232(B3) 5’TGCTCTGAGAAAGGCATTA3’(配列番号4)
−GA233(FIP) 5’GCTGCTTCAAAGAAAGACTAAGGAAATGGACAACAGTCAAACAAC3’(配列番号5)
−GA234(BIP) 5’GCTTTCTCACAAGCATTTGGTTTTAAATTAGCCTGTAGTTTTACTTACTCTC3’(配列番号6)
−GA236(LB) 5’GTCTCCACTGGAGTATGTTTCTGTGGAGAC3’(配列番号8)
下線を引いた塩基は、JAK2コード配列(GeneBank受託番号NM 004972)中のATG開始コドンから位置1849の変異ヌクレオチドに対応する。
PNA:Eurogentecによって合成された、「PNA」と呼ばれる、GM43 NH2GAGTATGTGTCTGTGGACOOH(配列番号9)。
下線を引いた塩基は、JAK2コード配列(GeneBank受託番号NM 004972)中のATG開始コドンから位置1849の野生型ヌクレオチドに対応する。
反応バッファー:100mM Tris−HCl pH8.8、50mM KCl、40mM MgSO4、50mM(NH4)2SO4、0.5% Tween、「バッファー5×」
dNTPミックス25mM(Fermentas)、「dNTP」
Bst大断片ポリメラーゼ8U/μl(New England Biolabs)、「ポリメラーゼ」
滅菌非発熱性水(SALF Spa)、「ddw」
【0086】
手順
サンプル調製
プライマーをアリコートで保存する。保存溶液を−20℃で保存することが良好であるが、作業中の希釈液は4℃で保存されるべきである。
【0087】
以下のとおりの反応混合物を調製する。0.2μM外側プライマー(F3およびB3)、1.6μM内側プライマー(FIPおよびBIP)、0.8μM変異体JAK2(LB)に特異的な自己アニーリング型ループプライマー、0.8μM PNA、1×バッファー溶液、1.4mM dNTPミックス、8U Bstポリメラーゼ。反応混合物の最終容量は、総反応容量の4/5でなくてはならない(すなわち、20μlの反応混合物+5μlサンプル)。試薬は常に氷上で維持する。3種の陰性対照(100%野生型プラスミド、7e4cps/μl)、18種の陽性対照(3サンプルの100%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した1%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した0.5%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した0.1%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した0.05%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した0.01%変異体プラスミド(DNAの総量7e4cps/μl))および1種の標的なし対照を含む、少なくとも23サンプルのために混合物を調製する。
【0088】
表4サンプル混合物組成
【表4】
【0089】
20μlの反応混合物をストリップ中に分配する。ストリップを氷上で維持する。今後、反応混合物を常に氷上で維持する。
【0090】
送られてきた溶液(WTプラスミドおよびMUTプラスミド)から標的の段階希釈物(「標的希釈物」)を調製する。送られてきた溶液は、7×1010コピー/μlである。変異体プラスミドを、まずTris 10mMで7×104コピー/μlに希釈し、次いで、変異体プラスミドをWTプラスミドで段階希釈して、以下の野生型バックグラウンドにおける変異体配列の濃度を得る。1%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%(試験管あたりの総量、7e4cps/μl)。
【0091】
3連で、ストリップに5μlの標的希釈物を加える。5μlの標的希釈物を、低濃度のサンプルから出発して、最高濃度のサンプルへと加える。すべての試験管を閉じる。
【0092】
反応
反応は、図5の方法スキームにしたがう。
【0093】
65℃、1時間の一定の反応温度を得るよう、一定温度でのインキュベーションおよび濁度のリアルタイムモニタリングのために濁度計(Teramecs)をプログラムする。
【0094】
プログラムを開始する直前にストリップを機器の中に入れる。プログラムを開始する。
【0095】
データ解析
分析される各サンプルの閾値時間を見出すために、a.u.を単位として吸光度の変化を分析する。閾値時間は、サンプル吸光度が、ベースラインを差し引いた後に、閾値に相当する任意単位の値(この場合には、0.1a.u.)に達する分である。各サンプルによって到達される閾値時間は、そのDNAコピー/μlの対数と相関する。
【0096】
結果
このアプローチは、特定のループプライマーの、変異体配列から形成されるダンベルとの選択的ハイブリダイゼーションをもたらす、このようなループプライマー設計に基づいた変異体配列の選択的増幅からなる(図5)。本発明者らは、B1とB2の間に含まれるループ領域中に推定される変異ヌクレオチドを提示するダンベルを得るよう、F3、B3、FIPおよびBIPオリゴヌクレオチドを含むユニバーサル(変異体非感受性)プライマーのセットを設計した。B2内またはB2とB1cとの間のループ領域中に推定変異ヌクレオチドを含有する代替配列でこのような実験を実施した際には、大きな相違は検出されなかった。本発明者らは、プライマーセット中に、その自身の3’末端の配列と相補的であるその5’末端に、8塩基の配列領域を提示する特定のループプライマーを含めた。その結果として、この特別のループプライマーは、反応温度(65℃)でそのオープン型と平衡にある分子内ヘアピン構造を形成する。
【0097】
変異体JAK2配列がサンプル中に存在する場合には、このような改変されたループプライマーは、熱力学的平衡に従って、その内部構造を破壊して、相補的標的配列とハイブリダイズする(プライマーおよび特異的標的間のTm=65℃)。次いで、特異的な変異した標的とハイブリダイズされたループプライマーが、ポリメラーゼによって伸長され、増幅がさらに進行することができる。さらなる特徴として、JAK2 G→T変異に特異的なループプライマーは、分子内ヘアピン構造(65℃)よりも低い、野生型標的配列とのTm(59℃)を示す。したがって、JAK2 WT配列を含有するサンプルでは、Tm値のこのような相違は、分子内力が分子間のものよりも高いので、非特異的標的と二本鎖を形成するよりもヘアピン構造にフォールディングすることを好む改変されたループプライマーの自己隔離をもたらす。
【0098】
本発明者らは、選択的ステムループプライマーに基づくLAMPシステムの区別能力をさらに増大するために、反応混合物にペプチド核酸(PNA)を加えた。
【0099】
PNAは、リボース−リン酸骨格が、アミド結合によって連結されている(2−アミノエチル)−グリシン単位によって置換されている、非伸長性であり、置換可能でないオリゴヌクレオチドである。各塩基対形成DNA/PNAは、通常の塩基対形成DNA/DNAよりも、二本鎖構造の安定性に寄与する。したがって、PNA/DNA二本鎖中の単一のミスマッチは、Tmの有意な相違をもたらす。PNAプローブは、JAK2遺伝子のWT配列と十分に相補的であり、変異体特異的ステムループプライマーのハイブリダイゼーションおよび伸長を妨げ、野生型配列の非特異的増幅を抑制する。単一のミスマッチの存在下では、PNAは、ループプライマーハイブリダイゼーションを阻害せず、増幅につながる。したがって、PNAを使用して、サンプル中に存在するWT配列を選択的に阻止することができる。
【0100】
PNAは、野生型Gヌクレオチドを提示するB2とB1cとの間に含まれるループ領域と相補的であるよう設計される。WT相補的配列とのみ安定な二本鎖を形成し(Tm65.7℃)、変異体特異的ステムループプライマーのハイブリダイゼーションおよび伸長を妨げ、したがって、野生型配列の増幅を抑制する。PNAは、低い親和性のために(Tm=56℃)変異体JAK2配列とハイブリダイズしない。
【0101】
7e3cps/ulの野生型および変異体プラスミドサンプルで、PNAを用いて実施した、および用いずに実施した増幅反応の性能を比較することによって、野生型増幅クランプとしてのPNAの効率を評価した(図9)。増幅曲線分析は、PNAの存在は、変異体特異的ステムループプライマーによるWTプラスミドの非特異的増幅において1時間の遅れに、変異体プラスミドの特異的増幅において5分の遅れにつながることを示した。逆に、PNAの不在下では、変異体特異的ステムループプライマーによるWTプラスミドの非特異的増幅は、特異的変異標的配列と比較して5分の遅れのみで生じた。野生型増幅において観察された遅れは、PNAおよびWT相補配列間の安定な二本鎖の形成によって説明され、ひいては、変異体特異的ステムループプライマーの非特異的ハイブリダイゼーションおよび伸長を妨げる。
【0102】
このLAMPアッセイ形式の選択性を決定するために、野生型バックグラウンドにおける変異体プラスミドの段階希釈で増幅反応を実施した(図10)。達成された選択性は、0.01%未満(34965コピーのWTプラスミド中、全35コピーの変異体プラスミド)であるため、本アプローチは、先行技術において記載されたアッセイよりも高い選択性を示し、直接配列決定、RFLPおよびピロシーケンスに関して、対数で約3高く、ARMS、リアルタイム技術およびDNA融解曲線分析に関して、対数で約2高い。
【0103】
要約すると、本LAMPアッセイ形式は、この文書において先に記載された戦略および文献に示された検出法に関して有意な改善を表す。i)WTサンプル(350000cps WTプラスミド)の非特異的増幅は、約1時間遅延される、ii)変異体標的の特異的増幅は、野生型中、0.01%の変異体配列まで検出される(349965コピーのWTプラスミド中、全35コピーの変異体プラスミド)、iii)アッセイ選択性は、文献に記載されるその他のアプローチの選択性よりも対数で約2高い、iv)アッセイ直線性は、0.1%変異体配列(349650コピーのWTプラスミド中、全350コピーの変異体プラスミド)までであり、したがって、大過剰の野生型DNA中の低いパーセンテージの変異体対立遺伝子の検出および定量化が可能となる。
【実施例5】
【0104】
臨床サンプルでのLAMP「PNAを伴うステムループプライマー」:ARMとの比較
合計29サンプルの、Ospedali Riuniti di Bergamoで患者から抽出したDNAを、実施例4に記載される、JAK2 LAMP「PNAを伴うステムループプライマー」戦略を使用して分析した。得られた結果を、ARM技術を使用して病院で得られたデータと比較した。ARMSは、オリゴヌクレオチドプライマーは、PCRの際にこれらのプライマーを伸長するためには、DNAポリメラーゼに対してその3’末端で完全にアニーリングされなければならないという事実を利用する。3’末端で特定のJAK2点変異に合致するオリゴヌクレオチドプライマーを設計することによって、ARMSは、野生型および変異体対立遺伝子を区別できる。
【0105】
表5に示されるように、LAMPアッセイは、ARMSによってそのように以前に診断されたすべてのサンプルを陽性と検出した。ARMSによって陰性となった15サンプルのうち、11はLAMPによって陰性と診断され、4は低陽性と診断された。本発明者らは、これらの4種の一致しないサンプルが、LAMPアッセイにおいて偽陽性であったことを排除し、また、変異診断は、実施されたLAMP法の高い選択性によるものであったことを確認するために、第3のアッセイを使用して一致しないサンプルを試験した。このようなアッセイは、存在する場合には、変異した塩基を、PNAクランピングによる野生型配列増幅の抑制によって濃縮することを目的とした、野生型標的と相補的であるPNA分子の存在下におけるPCRによる目的のJAK2領域の増幅に基づくものであった。変異体対立遺伝子の20%サンプル濃縮が達成される場合には、変更された配列は、直接配列決定アプローチによって検出されることができる。プライマー(GA231フォワードおよびGA232リバース)およびPNAは、先に記載したとおりとした(実施例4)。増幅は、最終容量45μl中、2.5mM MgCl2、200μM dNTP、500nMフォワードおよびリバースプライマー、1.5M PNAおよび0.025U Taq Goldを含有する1×反応バッファーで実施した。反応混合物に、5μlの容量の標的配列(20ng/μl)を加え、溶液をサーモサイクラー中で、95℃で10分間、続いて、94℃で30秒、62℃で40秒、58℃で30秒および72℃で30秒の35サイクルならびに最終伸長のための72℃で10分の仕上げからなるサーマルプログラムに従ってインキュベートした。4種の一致しない臨床サンプル、1種の標的なし対照サンプルならびに変異体および野生型プラスミド標的をそれぞれ含有する陽性対照および陰性対照を、2連で試験した。反応後、増幅生成物をアガロースゲル上で分離し、EtBrを使用して可視化した。標的なし対照については増幅は検出されなかった。陰性対照については、アガロースゲル上に弱いバンドが見られ、陽性対照については、強いバンドが見られた。その後、4種の臨床サンプルのPCR産物を、自動配列決定によって分析し、すべてが、ATG開始コドン(GeneBank受託番号NM 004972)から位置1849に、それぞれ、グアニン(野生型)塩基およびチミン(変異した)塩基に対応するダブルピークを示した。これらの結果から、4種の一致しないサンプルは、LAMPによって、G→T塩基置換を保持すると正しく診断されたことが確認されたが、ARMSは、それらを偽陰性と検出した。
【0106】
【表5】
【実施例6】
【0107】
蛍光JAK2−改変LAMP「ステムループプライマー戦略」
試薬
JAK2プラスミドは、供給業者GeneArt(Regensburg、Germany)によって、野生型または変異体JAK2配列を含有するように合成された。詳細には、
−「wtプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にG塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
−「mutプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にT塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
プライマー:「プライマー」と呼ばれる、Eurofins MWG Operonによって合成された。
下線を引いた塩基は、JAK2コード配列(GeneBank受託番号NM 004972)のATG開始コドンから位置1849の変異ヌクレオチドに相当する。5’末端の太字のチミン塩基は、標的配列中に相補的な塩基を有さない。それは、クエンチング効果を有する下流のグアニン塩基からフルオロフォアを分離するために加えられた。
−GA235(LF) 5’−5’GTCTCCACTGGAGTATGTGTCTGTGGAGAddC3’(配列番号7)
下線を引いた塩基は、JAK2コード配列(GeneBank受託番号NM 004972)のATG開始コドンから位置1849における野生型ヌクレオチドに相当し、ddCは、非伸長性ジデオキシシトシンを表す。
反応バッファー:100mM Tris−HCl pH8.8、50mM KCl、40mM MgSO4、50mM(NH4)2SO4、0.5% Tween、「バッファー5×」
dNTPミックス25mM(Fermentas)、「dNTP」
Bst大断片ポリメラーゼ8U/μl(New England Biolabs)、「ポリメラーゼ」
滅菌非発熱性水(SALF Spa)、「ddw」
【0108】
手順
サンプル調製
プライマーをアリコートで保存する。保存溶液を−20℃で保存することが良好であるが、作業中の希釈液は4℃で保存されるべきである。
【0109】
以下のとおりの反応混合物を調製する。0.2μM外側プライマー(F3およびB3)、1.6μM内側プライマー(FIPおよびBIP)、0.8μM変異体JAK2に対する特異的な蛍光自己アニーリング型ループプライマー(LB)、0.8μM野生型JAK2に対する自己アニーリング型非伸長性ループプライマー(LF)、1×バッファー溶液、1.4mM dNTPミックス、8U Bstポリメラーゼ。反応混合物の最終容量は、総反応容量の4/5でなくてはならない(すなわち、20μlの反応混合物+5μlサンプル)。試薬は常に氷上で維持する。3種の陰性対照(100%の野生型プラスミド、7e3cps/μl)、18種の陽性対照(3サンプルの100%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した1%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した0.5%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した0.1%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した0.05%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した0.01%変異体プラスミド、DNAの総量7e3cps/μl)および1種の標的なし対照を含む少なくとも23種のサンプルのために混合物を調製する。
【0110】
表6サンプル混合物組成
【表6】
【0111】
20μlの反応混合物をストリップ中に分配する。ストリップを氷上で維持する。今後、反応混合物を常に氷上で維持する。
【0112】
送られてきた溶液(WTプラスミドおよびMUTプラスミド)から標的の段階希釈物(「標的希釈物」)を調製する。送られてきた溶液は、7×1010コピー/μlである。変異体プラスミドを、まずTris 10mMで7×104コピー/μlに希釈し、次いで、変異体プラスミドをWTプラスミドで段階希釈して、以下の野生型バックグラウンドにおける変異体配列の濃度を得る。1%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%(試験管あたりの総量、7e3cps/μl)。
【0113】
3連で、ストリップに5μlの標的希釈物を加える。5μlの標的希釈物を、最低濃度のサンプルから出発して、最高濃度のサンプルへと加える。すべての試験管を閉じる。
【0114】
反応
反応は、図4の方法スキームにしたがう。
【0115】
65℃、1時間の一定の反応温度を得るよう、一定温度でのインキュベーションのためにリアルタイム機器をプログラムする。分あたりの蛍光読み取り値を得るようリアルタイム機器をプログラムする。
【0116】
プログラムを開始する直前にストリップを機器の中に入れる。プログラムを開始する。
【0117】
データ解析
反応物中の蛍光自己アニーリング型ループプライマーは、適切な波長発光によって励起されると蛍光シグナルを生じる。LAMP反応が進行すると、蛍光自己アニーリング型ループプライマーは、相補的標的配列とハイブリダイズし、その結果として、増幅生成物中に組み込まれる。蛍光自己アニーリング型ループプライマーは、5’末端に近接して少なくとも1つのグアニンヌクレオチドを含有する配列に対して相補的であるように設計される。グアニン塩基は、フルオロフォア(本発明者らの場合には、TAMRA)によって発光された波長を吸収でき、蛍光シグナルのクエンチングを引き起こす。この場合には、LAMP反応の際の標的配列増幅の検出は、分析中の各サンプルの閾値時間を見出すために、蛍光シグナルの減少を測定することに基づく。閾値時間は、反応蛍光シグナルが、50%のクエンチングに達する分である。各サンプルについて、閾値時間は、DNAコピー/μlの対数と相関する。
【0118】
結果
本アプローチは、特定のループプライマーの、変異体配列から形成されるダンベルとの選択的ハイブリダイゼーションをもたらす、このようなループプライマー設計に基づく変異体配列の選択的増幅からなる(図4)。本発明者らは、B1とB2との間に含まれるループ領域中に推定変異を提示するダンベル構造を得るよう、F3、B3、FIPおよびBIPオリゴヌクレオチドを含むユニバーサル(変異体非感受性)プライマーのセットを設計した。B2内またはB2とB1cの間のループ領域中に推定変異ヌクレオチドを含有する代替配列でこのような実験を実施した際には大きな相違は検出されなかった。本発明者らは、該プライマーセット中に、その自身の3’末端の配列と相補的であるその5’末端に、8塩基の配列領域を提示する特定のループプライマーを含めた。その結果として、この特別のループプライマーは、反応温度(65℃)でそのオープン型と平衡にある分子内ヘアピン構造を形成する。
【0119】
変異体JAK2配列がサンプル中に存在する場合には、このような改変されたループプライマーは、熱力学的平衡に従って、その内部構造を破壊して、相補的標的配列とハイブリダイズする(プライマーおよび特異的標的間のTm=65℃)。次いで、特異的な変異した標的とハイブリダイズされたループプライマーがポリメラーゼによって伸長され、増幅がさらに進行することができる。さらなる特徴として、JAK2 G→T変異に対して特異的なループプライマーは、分子内ヘアピン構造(65℃)よりも低い野生型標的配列とのTm(59℃)を示す。したがって、JAK2 WT配列を含有するサンプルでは、Tm値のこのような相違は、分子内力が分子間のものよりも高いので、非特異的標的と二本鎖を形成するよりもヘアピン構造にフォールディングすることを好む変異体特異的ステムループプライマーの自己隔離をもたらす。
【0120】
本発明者らは、臨床サンプル中に大過剰で存在している可能性が高い野生型配列に対するこのループプライマーの競合を制限するために、反応設定に、類似の構造を有し、JAK2野生型配列と相補的である核酸配列を含有する、すなわち、開始コドンから位置1849にG塩基を有する(GeneBank受託番号NM 004972)第2のループプライマーを含めた。
【0121】
この「競合者」ループプライマーの3’末端は、改変によって非伸長性にされる(3’ジデオキシ)。この競合者の役割は、野生型配列を「サイレントにし」、ひいては、特異的変異体プライマーがその標的を見出すことを可能にすることである。
【0122】
「競合者」プライマーが、特異的野生型配列を認識する場合には、より高い親和性に従って、その分子内構造を破壊して、WT標的とハイブリダイズする(WT標的およびWT特異的ステムループプライマーによって形成される二本鎖のTm=67℃)。WT標的とハイブリダイズされたステムループプライマーは、非伸長性であり、野生型配列の増幅をもたらさない。反応は、一定温度で実施されるので、WT特異的ステムループプライマーは、野生型対立遺伝子配列と結合しているままであり、ひいては、MUTループプライマーの非特異的ハイブリダイゼーションを妨げる。
【0123】
変異体特異的ステムループプライマーとは対照的に、「競合者」プライマーは、それ自体によって形成される分子内ヘアピン構造(65℃)よりも低い、変異体標的配列とのTm(62℃)を示す。したがって、分子間のものと比較して高い分子内力が、変異体標的配列と二本鎖を形成するよりもヘアピン構造にフォールディングすることを好む改変されたループプライマーの自己隔離を引き起こす。
【0124】
本発明者らは、リアルタイム機器で反応を追跡するために、変異体特異的ステムループプライマーの5’末端をFAM色素で標識した。本発明者らは、クエンチング効果を有する改変されたループプライマーの5’末端に存在するグアニン塩基に対するフルオロフォアの結合を回避するために、オリゴヌクレオチドの末端にチミン塩基を加えた。改変された標識されたプライマーは、溶液中に存在する場合には、適当な波長光で励起されると蛍光シグナルを発する。LAMP反応が始まり、進行する場合には、蛍光ステムループプライマーは、増幅生成物に組み込まれる。相補的核酸配列中に存在するグアニン塩基は、フルオロフォアによって発光される波長を吸収し、リアルタイムで蛍光シグナルの検出可能なクエンチングを引き起こすことができる。したがって、この「クエンチング効果」によって引き起こされる蛍光シグナルの減少を測定することによって、LAMP反応を介して増幅生成物の蓄積をモニタリングできる。
【実施例7】
【0125】
対照LAMP反応
試薬
JAK2プラスミドは、供給業者GeneArt(Regensburg、Germany)によって、野生型または変異体JAK2配列を含有するように合成された。詳細には、
「wtプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にG塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
−「mutプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にT塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
プライマー:「プライマー」と呼ばれる、Eurofins MWG Operonによって合成された。
−GA231(F3) 5’GCATCTTTATTATGGCAGAGAG3’(配列番号3)
−GA232(B3) 5’TGCTCTGAGAAAGGCATTA3’(配列番号4)
−GA233(FIP) 5’GCTGCTTCAAAGAAAGACTAAGGAAATGGACAACAGTCAAACAAC3’(配列番号5)
−GA234(BIP) 5’GCTTTCTCACAAGCATTTGGTTTTAAATTAGCCTGTAGTTTTACTTACTCTC3’(配列番号6)
反応バッファー:100mM Tris−HCl pH8.8、50mM KCl、40mM MgSO4、50mM(NH4)2SO4、0.5% Tween、「バッファー5×」
dNTPミックス25mM(Fermentas)、「dNTP」
Bst大断片ポリメラーゼ 8U/μl(New England Biolabs)、「ポリメラーゼ」
滅菌非発熱性水(SALF Spa)、「ddw」
【0126】
手順
サンプル調製
プライマーをアリコートで保存する。保存溶液を−20℃で保存することが良好であるが、作業中の希釈液は4℃で保存されるべきである。
【0127】
以下のとおりの反応混合物を調製する。0.2μM外側プライマー(F3およびB3)、1.6μM内側プライマー(FIPおよびBIP)、1×バッファー溶液、1.4mM dNTPミックス、8U Bstポリメラーゼ。反応混合物の最終容量は、総反応容量の4/5でなくてはならない(すなわち、20μlの反応混合物+5μlサンプル)。試薬は常に氷上で維持する。3種の陰性対照(100%の野生型プラスミド、7e3cps/μl)、9種の陽性対照(3サンプルの100%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した10%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した1%変異体プラスミド)および1種の標的なし対照を含む少なくとも23種のサンプルのために混合物を調製する。
【0128】
表7サンプル混合物組成
【表7】
【0129】
20μlの反応混合物をストリップ中に分配する。ストリップを氷上で維持する。今後、反応混合物を常に氷上で維持する。
【0130】
送られてきた溶液(WTプラスミドおよびMUTプラスミド)から標的の段階希釈物(「標的希釈物」)を調製する。送られてきた溶液は、7×1010コピー/μlである。変異体プラスミドを、まずTris 10mMで7×104コピー/μlに希釈し、次いで、変異体プラスミドをWTプラスミドで段階希釈して、以下の野生型バックグラウンドにおける変異体配列の濃度を得る。10%、1%(試験管あたりの総量、7e3cps/μl)。
【0131】
3連で、ストリップに5μlの標的希釈物を加える。5μlの標的希釈物を、最低濃度のサンプルから出発して、最高濃度のサンプルへと加える。すべての試験管を閉じる。
【0132】
反応
反応は、図11の方法スキームにしたがう。
【0133】
65℃、1時間の一定の反応温度を得るよう、一定温度でのインキュベーションおよび濁度のリアルタイムモニタリングのために濁度計(Teramecs)をプログラムする。
【0134】
プログラムを開始する直前にストリップを機器の中に入れる。プログラムを開始する。
【0135】
データ解析
分析される各サンプルの閾値時間を見出すために、a.u.を単位として吸光度の変化を分析する。閾値時間は、サンプル吸光度が、ベースラインを差し引いた後に、閾値に相当する任意単位の値(この場合には、0.1a.u.)に達する分である。各サンプルによって到達される閾値時間は、そのDNAコピー/μlの対数と相関する。
【0136】
結果
本アプローチは、F3、B3、FIPおよびBIPプライマーを使用することによるJAK2遺伝子配列の変異体−非感受性増幅からなる(図11)。本発明者らは、反応混合物からPNAおよび変異体特異的ステムループプライマーを除いて、「実施例4」において記載される同じプライマーセットを使用した。「LAMP対照アッセイ」における標的配列増幅の検出は、鋳型に対するプライマーの正しい塩基マッチング、効率的な伸長条件および反応溶液中の阻害剤の不在などの種々の品質パラメータを示す。逆に、「LAMP対照アッセイ」における核酸サンプル増幅の不在または遅延は、反応設定(すなわち、バッファー組成、温度、プライマーの品質、..)における問題または反応混合物中の阻害剤の存在を強調する。
【0137】
このようなアッセイ対照法を評価するために、臨床サンプルパネルを、G→T変異の検出に特異的なLAMPアッセイ(実施例4)および「LAMP対照アッセイ」の両方を使用して2連で分析した。標的核酸配列が、両アッセイにおいて増幅される場合には、有効な結果が得られ、サンプルは、V617F変異を保有すると考えられる。標的核酸配列が、「PNAを伴うJAK2−改変LAMPステムループプライマー戦略」によってではなく「LAMP対照アッセイ」によって増幅される場合には、やはり有効な結果が得られ、サンプルは野生型JAK2サンプルとして診断される。「LAMP対照アッセイ」において標的配列増幅がない場合には、分析は、有効でないと考えられるべきである。
【0138】
「LAMP対照アッセイ」の評価を、それぞれ7e3cps/μl野生型および変異体プラスミドを含有するDNAプラスミドサンプルで、および野生型バックグラウンド中10%および1%変異体プラスミド、全35000コピーを含有するサンプルで実施した(図12)。すべての試験した核酸サンプルが、同程度の増幅効率を示し、したがって、反応阻害剤の不在を示した。
【実施例8】
【0139】
「PNAを伴うLAMPステムループプライマー」アッセイを使用するサンプル中の変異体JAK2配列の量の推定
試薬
JAK2プラスミドは、供給業者GeneArt(Regensburg、Germany)によって、野生型または変異体JAK2配列を含有するように合成された。詳細には、
−「wtプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にG塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
−「mutプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にT塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
プライマー:「プライマー」と呼ばれる、Eurofins MWG Operonによって合成された。
−GA231(F3) 5’GCATCTTTATTATGGCAGAGAG3’(配列番号3)
−GA232(B3) 5’TGCTCTGAGAAAGGCATTA3’(配列番号4)
−GA233(FIP) 5’GCTGCTTCAAAGAAAGACTAAGGAAATGGACAACAGTCAAACAAC3’(配列番号5)
−GA234(BIP)5’GCTTTCTCACAAGCATTTGGTTTTAAATTAGCCTGTAGTTTTACTTACTCTC3’(配列番号6)
−GA236(LB) 5’GTCTCCACTGGAGTATGTTTCTGTGGAGAC3’(配列番号8)
下線を引いた塩基は、JAK2コード配列(GeneBank受託番号NM 004972)のATG開始コドンから位置1849の変異したヌクレオチドに相当する。
PNA:Eurogentec、「PNA」と呼ばれる、GM43 NH2GAGTATGTGTCTGTGGACOOH(配列番号9)
下線を引いた塩基は、JAK2コード配列(GeneBank受託番号NM 004972)中のATG開始コドンから位置1849の野生型ヌクレオチドに対応する。
反応バッファー:100mM Tris−HCl pH8.8、50mM KCl、40mM MgSO4、50mM(NH4)2SO4、0.5% Tween、「バッファー5×」
dNTPミックス25mM(Fermentas)、「dNTP」
Bst大断片ポリメラーゼ 8U/μl(New England Biolabs)、「ポリメラーゼ」
滅菌非発熱性水(SALF Spa)、「ddw」
【0140】
手順
サンプル調製
プライマーをアリコートで保存する。保存溶液を−20℃で保存することが良好であるであるが、作業中の希釈液は4℃で保存されるべきである。
【0141】
反応混合物は以下のとおりに調製する。0.2μM外側プライマー(F3およびB3)、1.6μM内側プライマー(FIPおよびBIP)、0.8μM変異体JAK2に対して特異的な自己アニーリング型ループプライマー(LB)、0.8uM PNA、1×バッファー溶液、1.4mM dNTPミックス、8U Bstポリメラーゼ。反応混合物の最終容量は、総反応容量の4/5でなくてはならない(すなわち、20μlの反応混合物+5μlサンプル)。試薬は常に氷上で維持する。3種の陰性対照(100%野生型プラスミド、7e3cps/μl)、9種の陽性標準物質対照(3サンプルの100%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した10%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した1%変異体プラスミド)および1種の標的なし対照を含む少なくとも23種のサンプルのために混合物を調製する。
【0142】
表8サンプル混合物組成
【表8】
【0143】
20μlの反応混合物をストリップ中に分配する。ストリップを氷上で維持する。今後、反応混合物を常に氷上で維持する。
【0144】
送られてきた溶液(WTプラスミドおよびMUTプラスミド)から標的の段階希釈物(「標的希釈物」)を調製する。送られてきた溶液は、7×1010コピー/μlである。変異体プラスミドを、まずTris 10mMで7×104コピー/μlに希釈し、次いで、変異体プラスミドをWTプラスミドで段階希釈して、以下の野生型バックグラウンドにおける変異体配列の濃度を得る。10%、1%(試験管あたりの総量、7e3cps/μl)。
【0145】
3連で、ストリップに5μlの標的希釈物を加える。5μlの標的希釈物を、低濃度のサンプルから出発して、最高濃度のサンプルへと加える。すべての試験管を閉じる。
【0146】
反応
反応は、図5の方法スキームにしたがう。
【0147】
65℃、1時間の一定の反応温度を得るよう、一定温度でのインキュベーションおよび濁度のリアルタイムモニタリングのために濁度計(Teramecs)をプログラムする。
【0148】
プログラムを開始する直前にストリップを機器の中に入れる。プログラムを開始する。
【0149】
データ解析
分析される各サンプルの閾値時間を見出すために、a.u.を単位として吸光度の変化を分析する。閾値時間は、サンプル吸光度が、ベースラインを差し引いた後に、閾値に相当する任意単位の値(この場合には、0.1a.u.)に達する分である。各サンプルによって到達される閾値時間は、そのDNAコピー/μlの対数と相関する。
【0150】
結果
患者のサブセットは、JAK2 V617F対立遺伝子についてホモ接合性である1。ホモ接合性の機序は、有糸分裂組換えおよび後天性片親性ダイソミーとして知られる変異体対立遺伝子の複製に起因する1。JAK2変異体対立遺伝子のヘテロ接合性またはホモ接合性は、予後と相関し、ひいては、サンプル中のJAK2変異体対立遺伝子コピーの量が、50%よりも高いか低いかを決定することの重要性をもたらす。
【0151】
本アプローチに従って、未知サンプルは、実施例4に先に記載される「PNAを伴うLAMPステムループプライマー」アッセイを使用して、非希釈および1:5希釈として分析される。さらに、アッセイ設定は、それぞれ、野生型バックグラウンド中100%、10%および1%変異体JAK2プラスミドコピーを含有する3種の標準物質サンプルを含む。核酸サンプル中の変異体JAK2標的配列の量が50%よりも高い場合には、前記標的配列のリアルタイム増幅は、非希釈サンプル(図13、パネルA)および1:5希釈されたサンプル(図13、パネルB)の両場合において、100%標準物質から10%標準物質の増幅閾値分の間の時間で検出される。非希釈サンプル中の標的アンプリコンは、標準物質10%においてよりも早く検出される(図13、パネルA)が、対応する1:5希釈サンプルにおける増幅閾値分は、標準物質10%の分(t)から標準物質1%の分(t)間の時間で測定される(図13、パネルB)ので、50%未満の変異体JAK2配列量を含有する核酸サンプルについては、異なる増幅性能が検出される。
【0152】
本アプローチは、対照サンプル(7e3cps/μl野生型プラスミド、6.3e3cps/μl野生型プラスミド中の7e2cps/μl変異体プラスミド、6.93e3cps/μl野生型プラスミド中の7e1cps/μl変異体プラスミド)で、50%より高い割合の野生型バックグラウンドにおける変異体JAK2プラスミドの混合物(それぞれ60%、70%、80%、90%)からなる4種のサンプルで、および50%以下の割合の野生型バックグラウンドにおける変異体JAK2プラスミドの混合物(それぞれ40%、30%、20%)からなる4種のサンプルで、「PNAを伴うLAMPステムループプライマー」反応を実施することによって試験された。対照を除いて、すべてのサンプルを、非希釈(各反応に対して5μlの7e3cps/μl)およびTris−HCl 10mMで1:5希釈したものとして分析した。
【0153】
50%超の変異体JAK2対立遺伝子コピーを含有し、1:5希釈した試験サンプルについて、標的配列増幅を、100%標準物質における対応する配列の増幅の後および10%標準物質の前に検出した(図14)。
【0154】
50%量の変異体JAK2対立遺伝子コピーを提示し、1:5希釈した試験サンプルについて、標的配列増幅が10%標準物質サンプルに関する同一閾値分で示された(図15)。
【0155】
50%未満の変異体JAK2対立遺伝子コピーを含有し、1:5希釈された試験サンプルについて、標的配列増幅を、標準物質10%および1%の増幅時間の間の中間閾値分で検出した(図15)。
【0156】
したがって、本アプローチを使用して、核酸サンプル中のJAK2変異体対立遺伝子コピーの量が、50%よりも高いか低いかを推定することが可能である。このような情報は、サンプルにおける「ヘテロ接合性またはホモ接合性」についての指標を提供し、これが、次には、疾患予後と相関するので、臨床上極めて関連がある。
【0157】
参考文献
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善されたLAMP(ループ増幅媒介性重合)増幅法によってヌクレオチド配列中の点変異またはSNPを検出する方法ならびに本発明の方法を実施するためのプライマーのセットおよびキットに関する。限定されない実施形態によれば、本方法、プライマーのセットおよびキットは、JAK2遺伝子におけるG1849T(V617F)変異を検出するのに適している。
【背景技術】
【0002】
骨髄増殖性疾患(MPD)は、造血前駆細胞のクローン性障害であり、古典的MPD慢性骨髄性白血病(CML)、真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)および原発性骨髄線維症(PMF)ならびに慢性好酸球性白血病(CEL)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)および全身性肥満細胞症(SM)およびその他のものを含む。過去20年において、CML、CMML、CELおよびSM2−5において変異体対立遺伝子が同定されており、各場合において、原因である変異は、チロシンキナーゼシグナル伝達の構成的活性化をもたらす。最もよく見られるMPDの遺伝子的原因は、PV、ETまたはPMFのほとんどの患者においてヤヌスキナーゼ2(JAK2)シグナル伝達を活性化する変異が同定されるまでは、わからないままであった(1、2、3、4)。JAK2は、細胞質非受容体チロシンキナーゼのヤヌスファミリーのメンバーであり、これはまた、JAK1、JAK3およびTYK2も含む。該変異は、ATG開始コドンで出発して番号をつけ、JAK2コード配列(GenBank受託番号NM 004972、配列番号1)中の位置1849でのグアニンからチミジンへの置換であり、配列番号1の位置2343に対応する。このような変異は、JH2偽キナーゼ(pseudokinase)ドメイン内のJAK2タンパク質のアミノ酸617でのバリンのフェニルアラニンとの置換(JAK2V617F)をもたらす(5)。JAK2自己抑制の喪失は、チロシンキナーゼを異常に活性化する、MPDおよび白血病におけるその他の変異と類似しているキナーゼの構成的活性化をもたらす(6、7、8)。
【0003】
直接配列決定は、野生型バックグラウンドにおける約20%の変異体DNAまでしか感知できない(9、10)。この問題は、血液および骨髄がしばしば、腫瘍性造血要素と残存する正常な造血要素の混合物からなる慢性骨髄性障害と相当に関連している。これは、表現型的に明らかな遺伝子変異が、全骨髄細胞集団を10%未満含む小さいクローン中に存在し得るETおよびMDSの場合は特にそうである。James et al.(11)では、この問題が、JAK2変異を有さないTF−1赤白血病細胞と混合された、JAK2変異を有するHEL赤白血病細胞を用いて一連の混合実験を実施することによって、JAK2 1849 G−Tに関して具体的に研究されている。彼らは、変異した対立遺伝子が全DNAの<5%で存在した場合には、それを検出できなかった。健常な人から得たDNAで希釈したホモ接合性変異体患者のDNAを用いた場合は、配列決定は、細胞株を用いたものよりも感度がさらに低かった(10%)(12)。
【0004】
核酸変異の検出に使用される一般的な方法として、増幅不応性変異系(Amplification Refractory Mutation System)(ARMS)がある。それは、オリゴヌクレオチドプライマーがPCRの際にこれらのプライマーを伸長するには、その3’末端でDNAポリメラーゼに対して完全にアニーリングされなくてはならないという事実を利用する(12)。JAK2 V617Fをコードするものなどの特定のDNA点変異にのみ合致するオリゴヌクレオチドプライマーを設計することによって、ARMSは、多型対立遺伝子間を区別することができる。したがって、これらの技術は、「対立遺伝子特異的PCR」(AS−PCR)または「配列特異的プライマーPCR」の別名で通っている。ARMS感度は、野生型バックグラウンド中、最大1〜2%(13)変異体DNAである。
【0005】
サーモサイクリングの間のPCR産物蓄積のリアルタイムモニタリングは、半定量的方法として価値のあるものであり、リアルタイムPCRととともにDNA融解曲線アッセイを使用することができる。同様に、James et al.(14)では、蛍光色素化学配列決定を、2種の異なるリアルタイムPCRをベースとする変異検出システム(一方はLightCycler機器(Roche Diagnostics)を使用し、もう一方は、Taqman ABI Prism 7500機(Applied Biosystems)を使用する)と比較した。これらのリアルタイムPCR技術は、TF−1細胞株DNAで希釈した0.5〜1%のHEL細胞株DNAおよび健常なヒトから得たDNAで希釈した2〜4%のホモ接合性変異患者DNAを検出した。
【0006】
JAK2 1849 G−T変異は、制限酵素BsaXIによって認識される野生型JAK2配列中のモチーフを消滅させるので、制限断片長多型(RFLP)解析が可能である。負の酵素切断反応は、変異の不在または消化手順の失敗のいずれかによる場合があるので、制限部位の消滅は、新規部位の作製と同程度には満足できるものではないが、初回パス解析として有用であり得る。報告された比例する感度は、断片を検出するために使用される方法に応じて幾分か変わるが、野生型バックグラウンド中、約20%の変異体DNAである(15、16)。
【0007】
ピロシーケンスは、dNTPが、鋳型駆動性DNA重合の際に増大するDNA鎖中に組み込まれる度に、ピロリン酸塩(PPi)の遊離に依存する迅速遺伝子型判定の方法である(17)。自動化PSQ HS 96系(Biotage、Uppsala、Sweden)を使用するJAK2のピロシーケンスが、いくつかのグループによって試みられ(17、18)、上記のものと同様の希釈実験が、野生型バックグラウンド中、5〜10%の変異体対立遺伝子の報告されたアッセイ感度を示した。
【0008】
一本鎖高次構造多型(SSCP)分析、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、変性高性能液体クロマトグラフィー(DHPLC)、単一ヌクレオチドプライマー伸長アッセイ(Pronto)などを含め、いくつかのその他の変異検出技術が記載されている。実際、DHPLCは、JAK2 V617Fの根底にあるゲノムDNA変異を確実に検出でき、<1〜2%の割合で変異を検出できる。しかし、DHPLCおよびその他の技術は、技術的に困難であるか、労働集約的であるか、またはその両方である。それらは、臨床検査室に適した費用ではハイスループットを可能にしない(SSCPおよびDGGE)か、または装置のために相当な初期投資を必要とする(DHPLC)。
【0009】
理論的には、タンパク質ベースの技術も、JAK2 V617F変異を検出するために使用できるが、これらは、一般に、扱いにくいものであり、このような供給源を入手する機会も限られている。したがって、タンパク質ベースのアッセイは、DNAまたはRNAをベースとする試験が実現可能な場合には、通常好まれない。
【0010】
欧州特許出願EP1692281Aには、PCR増幅に基づいてG1849T JAK2変異を検出するための方法が開示されている。
【0011】
先行技術の方法は、いくつかの制限を示す。まず第一に、最良の場合において、1%のサンプルまでの変異体JAK2配列の検出を可能にする低レベルの感度。このような感度は、抽出の前の顆粒球単離による変異体の濃縮を必要とする。これは、多大な時間を必要とする労働集約的な工程であり、診断に必要とされるすでに長い手順(2〜5時間)にさらに約2時間をもたらす。さらに、これまでに示されたすべての方法は、比較的、労働集約的であり、費用がかかり、常に容易に入手可能とは限らない特別な装置を必要とすることが多い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、特に選択的で、迅速な核酸分子中の点変異またはSNPを検出する新規LAMP法を提示した。本発明者らはまた、本発明の方法を実施するための新規プライマーのセットおよびキットも提示した。核酸点変異またはSNPを検出する方法ならびにそのプライマーのセットおよびキットは、記載の不可欠な部分を形成する添付の特許請求の範囲に定義される特徴を有する。
【0013】
本発明の方法は、欧州特許出願EP1020534Aに開示され、本願の図1において表される従来のLAMP技術とは異なる。本発明の方法によって、核酸サンプル中の単一塩基置換の同時選択的増幅および検出が可能になる。さらに、本発明の方法は、簡単な計測手段を必要とするだけであって、結果は単一の試験管反応で得ることができるので、実施が容易である。これらの理由から、先行技術の方法と比較してあまり費用がかからない。
【0014】
本発明の方法は、先行技術の技術の限界および欠点を克服し、その結果、高い感度(野生型バックグラウンド中0.01%の変異体配列にまで)をもたらし、等温かつ迅速であり、診断を1時間の反応で完了する。さらに、本発明の方法によって、試験されたサンプル中に存在する変異体対立遺伝子、例えば、変異体JAK2対立遺伝子などの量が、50%よりも高いか低いかを評価し、被験体が、目的の核酸単一点変異またはSNPについてヘテロ接合性であるかまたはホモ接合性であるかについての指標として提供することが可能となる。
【0015】
したがって、本発明の第1の態様は、野生型核酸分子のバックグラウンド内の標的核酸分子中の点変異の存在を検出する方法であって、該方法は、
1)核酸サンプルを提供する工程、
2)適当な反応条件下で、前記核酸サンプルを、オリゴヌクレオチドの混合物とおよびハイブリダイゼーション条件下で鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼを含む溶液と接触させる工程であって、前記のオリゴヌクレオチドの混合物が、検出されるべき点変異の核酸位置を含む標的核酸分子の領域のループ媒介性等温増幅に適したプライマーからなり、前記プライマーが、
i.第1の外側プライマーF3および第2の外側プライマーB3と、
ii.第1の内側プライマーFIPおよび第2の内側プライマーBIPと、
iii.ステムループ変異体伸長性プライマーと、
iv.野生型核酸分子を選択的に認識し、ハイブリダイズできる非伸長性部分と
を含み、
FIPが、3’核酸配列F2および5’核酸配列F1cからなり、BIPが、3’核酸配列B2および5’核酸配列B1cからなり、
F2が、F2cと呼ばれる標的核酸分子の領域を認識およびハイブリダイズでき、B2が、B2cと呼ばれる標的核酸分子の領域を認識およびハイブリダイズでき、
F2cおよびB2cが、標的核酸分子の反対側の鎖に位置する異なる領域であり、
B2cが、点変異の下流にあるか、またはF2cが点変異の上流にあるかのいずれかであり、
B2cが点変異の下流にある場合には、前記の点変異は、F2c配列中に位置するか、またはF2c配列の下流であってF1c配列の上流に位置し、またはF2cが点変異の上流にある場合には、前記の点変異は、B2c配列中に位置するか、またはB2c配列の上流であってB1c配列の下流に位置し、
前記ステムループ変異体伸長性プライマーが、
−中央ループ配列が、点変異が存在する場合にのみ、標的核酸分子を認識し、ハイブリダイズできるように、点変異を含む標的核酸分子の領域を選択的に認識し、ハイブリダイズすることができる中央ループ配列と、
−分子内ハイブリダイゼーションの際にステムを形成するように互いに相補的である、5’末端配列および3’末端配列と
を含み、
点変異を含む標的核酸分子の領域に対する中央ループ配列のハイブリダイゼーション親和性が、3’配列に対する5’配列の分子内ハイブリダイゼーション親和性より高く、その結果、点変異が存在する場合に、中央ループ配列が、点変異を含む標的核酸分子の領域とアニールし、増幅する、工程、
3)得られた混合物を一定温度でインキュベートする工程、ならびに
4)点変異を含む標的核酸分子の領域の増幅を示すシグナルを検出する工程
を含む。
【0016】
本方法の第1の工程は、例えば、ヘテロ接合型または、ホモ接合型のいずれかで目的の点変異を保有する疑いのある患者から、試験されるべき核酸サンプルを得ることを意味する。
【0017】
好ましい実施形態では、2種の内側プライマーFIPおよびBIPは、検出されるべき点変異の核酸位置を含む標的核酸分子の領域上で設計され、その結果、該点変異は、F2c配列とF1c配列の間またはB2c配列とB1c配列の間の領域中に位置する。代替実施形態では、点変異は、B2またはF2によってプローブされる領域中、すなわち、F2c配列内またはB2c配列内に位置する。
【0018】
別の好ましい実施形態では、ステムループ変異体伸長性プライマーの5’末端の配列および3’末端の配列は、少なくとも3ヌクレオチドの長さである。あるいは、ステムループ変異体伸長性プライマーは、「自己アニーリング型変異体伸長性プライマー」、またはより簡単に「自己アニーリング型伸長性プライマー」(LBまたはLF)と呼ばれることもある。
【0019】
本発明の方法のさらに好ましい実施形態では、非伸長性部分は、好ましくは、少なくとも10ヌクレオチドの長さのペプチド核酸(PNA)である。DNAおよびRNAは、それぞれ、デオキシリボースおよびリボース糖骨格からなるのに対し、PNAの骨格は、ペプチド結合によって連結している反復N−(2−アミノエチル)−グリシン単位からできている。プリンおよびピリミジン塩基は、メチレンカルボニル結合によって骨格と連結している。PNAは、ペプチドのように表され、最初の(左の)位置にN末端および右にC末端がある。PNAの骨格は、リン酸基を全く含有しないので、PNA/DNA鎖間の結合は、静電反発力がないためにDNA/DNA鎖間よりも強い。
【0020】
本発明の最も好ましい実施形態では、ペプチド核酸(PNA)は、推定点変異を含む(すなわち、検出されるべき点変異の核酸位置を含む)核酸分子の領域とハイブリダイズでき、それによって、野生型標的核酸分子を有する一本と、変異標的核酸分子を有するもう一本との2つの二本鎖構造の形成をもたらす塩基の配列を含む。PNAの、点変異の不在下における標的核酸分子との(すなわち、野生型配列との)ハイブリダイゼーションに起因する二本鎖構造の融解温度は、(Tm)=Xと表され、PNAの、点変異の存在下における標的核酸分子との(すなわち、変異配列との)ハイブリダイゼーションに起因する二本鎖構造の融解温度は、(Tm)=Yと表される。好ましい実施形態によれば、Y<インキュベーション温度≦Xであり、Xは、Yよりも少なくとも5℃高い。
【0021】
本発明の代替実施形態では、非伸長性部分は、
−検出されるべき点変異の核酸位置を含む野生型核酸分子の領域を選択的に認識し、ハイブリダイズできる中央ループ配列と、
−5’末端配列および3’末端配列と
を含むステムループ野生型非伸長性プライマーであり、前記5’末端および前記3’末端配列は、ステムを形成するよう互いに相補的であり、その結果、前記中央ループ配列が、核酸分子の野生型配列を含む領域に対して、5’末端配列の、3’末端配列に対するハイブリダイゼーション親和性よりも高いハイブリダイゼーション親和性を有し、その結果、WT配列とのアニーリングおよびWT配列の増幅の阻止をもたらす。当業者ならば、5’末端配列と3’末端配列間のハイブリダイゼーションは、分子内ハイブリダイゼーションであるという事実は、承知している。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、反応条件下で鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼは、Bst大断片(large fragment)ポリメラーゼであるか、あるいは、Bca(exo−)、Vent、Vent(exo−)、Deep Vent、Deep Vent(exo−)、Φ29ファージ、MS−2ファージ、Z−Taq、KOD、クレノウ断片のうちの1種またはそれらの組合せである。
【0023】
好ましい実施形態では、一定反応温度は、62℃〜67℃の間からなる。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、点変異を含むヌクレオチド分子の増幅を示すシグナルは、比濁法によって検出される。あるいは、点変異を含むヌクレオチド分子の増幅を示すシグナルは、蛍光または任意のその他の適した検出のための手段によって検出される。
【0025】
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、標的核酸分子は、配列番号2の塩基93526で推定グアニン−チミジン置換を含有するヒトJAK2遺伝子(GenBank受託番号NG 009904、配列番号2)の領域を含み、これは、JAK2コード配列(GenBank受託番号NM 004972、配列番号1)中の開始コドンからヌクレオチド位置1849に対応し、次いで、配列番号1の位置2343に対応する。
【0026】
第1および第2の外側プライマーF3およびB3は、位置93526に推定G→T塩基置換を含有するヒトJAK2遺伝子(GenBank受託番号NG 009904、配列番号2)のエキソン14の側面に位置するイントロン領域中にそれぞれ位置することが好ましい。F3は、配列番号2の位置93367〜93388に及ぶヌクレオチド配列からなり、B3は、配列番号2の位置93561〜93582間のヌクレオチド領域と相補的であるヌクレオチド配列からなることがより好ましい。第1および第2の内側プライマーFIPおよびBIPは、以下の通りに設計されることが好ましい。FIPプライマーは、JAK2エキソン14の上流のイントロン領域中(好ましくは、配列番号2の位置93408〜93425の間)に位置するF2配列と、配列番号2のヌクレオチド93445〜93470と相補的であるF1c配列とからなり、BIPプライマーは、下流イントロンの最初の18個の塩基を含む、配列番号2のヌクレオチド93538〜93559を含む領域と相補的であるB2配列と、配列番号2の位置93486〜93515に位置するB1c配列とからなる。ステムループ変異体伸長性プライマーの中央ループ配列は、配列番号2のヌクレオチド93516〜93529からなることが好ましい。PNA塩基配列は、配列番号2のヌクレオチド93518〜93534からなることが好ましい。
【0027】
本発明の方法を実施するために使用される、ループ媒介性等温増幅に適したプライマーは、以下の配列からなることが最も好ましい。
F3 5’−GCATCTTTATTATGGCAGAGAG−3’(配列番号3)、
B3 5’−TGCTCTGAGAAAGGCATTA−3’(配列番号4)、
FIP 5’−GCTGCTTCAAAGAAAGACTAAGGAAATGGACAACAGTCAAACAAC−3’(配列番号5)、
BIP 5’−GCTTTCTCACAAGCATTTGGTTTTAAATTAGCCTGTAGTTTTACTTACTCTC−3’(配列番号6)、
ステムループ変異体伸長性プライマー:5’−GTCTCCACTGGAGTATGTTTCTGTGGAGAC−3’(配列番号8)。
【0028】
より好ましい実施形態では、非伸長性部分は、好ましくは、構造:NH2GAGTATGTGTCTGTGGACONH2(配列番号9)を有するPNA分子である。
【0029】
本発明の方法はまた、例えば、点変異が、ホモ接合型であるかまたはヘテロ接合型であるかを評価するために、核酸サンプル中の変異体対立遺伝子の(例えば、存在するJAK2変異体対立遺伝子の)量を定量的に評価するのにも適している。これは、サンプルから得られた点変異を含む標的核酸分子の領域の増幅を示すシグナルを、少なくとも1種の標準物質から得られた前記シグナルと定量的に比較することによって達成される。好ましい実施形態では、少なくとも1種の標準物質は、野生型核酸分子のバックグラウンド中、所定のパーセンテージ(%)の変異体標的核酸分子からなり、前記の所定のパーセンテージ(%)は、好ましくは、約10%である。例えば、3種の標準物質(例えば、野生型プラスミドバックグラウンド中、100%、10%および1%変異体G1849T JAKプラスミド)と比較した、非希釈および1:5希釈サンプルの増幅効率を分析することによって、試験サンプル中の変異体対立遺伝子の量が、50%より高いか低いか決定することが可能であり、これは、ホモ接合性またはヘテロ接合性を示すものである。
【0030】
本発明の方法はまた、kRAS、EGFRなどの異なる病態に関与するその他の遺伝子変異を検出するのに、ならびにSNPを検出するのにも適している。
【0031】
本発明の別の態様は、ループ媒介性等温増幅によって、野生型核酸分子のバックグラウンドにおいて標的核酸分子における点変異の存在を検出するためのプライマーのセットであり、該プライマーのセットは、第1の外側プライマーF3と、第2の外側プライマーB3と、第1の内側プライマーFIPと、第2の内側プライマーBIPと、ステムループ変異体伸長性プライマーとを含み、すべて本発明の方法に関して上記で定義されるとおりである。
【0032】
好ましい実施形態によれば、プライマーのセットは、配列番号3からなる第1の外側プライマーF3、配列番号4からなる第2の外側プライマーB3、配列番号5からなる第1の内側プライマーFIP、配列番号6からなる第2の内側プライマーBIP、および配列番号8からなるステムループ変異体伸長性プライマーを含む。
【0033】
本発明のさらに好ましい実施形態は、野生型核酸分子とハイブリダイズできる非伸長性部分をさらに含む上記で定義されるプライマーのセットである。非伸長性部分は、例えば、添付の特許請求の範囲において定義される、ペプチド核酸(PNA)またはステムループ非伸長性プライマーである。少なくとも10塩基の長さであるPNAが、より好ましい。配列表において配列番号9として示されるPNAが、非伸長性部分の最も好ましい実施形態である。
【0034】
本発明のさらなる態様は、ループ媒介性等温増幅によって、野生型核酸分子のバックグラウンドにおける標的核酸分子における点変異の存在を検出するためのキットであり、該キットは、上記で定義されるプライマーのセットならびに鎖置換活性を有する1種または複数のDNAポリメラーゼを含む。DNAポリメラーゼは、Bst大断片ポリメラーゼ、Bca(exo−)、Vent、Vent(exo−)、Deep Vent、Deep Vent(exo−)、Φ29ファージ、MS−2ファージ、Z−Taq、KOD、クレノウ断片およびそれらの任意の組合せからなる群から選択されることが好ましい。最も好ましいDNAポリメラーゼは、Bst大断片ポリメラーゼである。
【0035】
本発明のキットは、例えば、1種または複数の標準物質、標的核酸分子の増幅を検出および/または定量するための手段ならびにアッセイを実施するための説明書などのさらなる従来の構成要素を含有し得る。このようなさらなる構成要素の選択および使用は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0036】
本発明の範囲は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6および配列番号8ならびに配列番号2の位置93526を含むJAK2ゲノムDNA(配列番号2)の領域、または配列番号1の位置2343を含むJAK2cDNA(配列番号1)の領域とハイブリダイズできる塩基配列を含む6〜24塩基の長さのペプチド核酸(PNA)からなる群から選択される単離オリゴヌクレオチドプライマーをさらに含む。本発明のPNAの好ましい実施形態は、以下の塩基配列:
NH2−GAGTATGTGTCTGTGGA−COOH(配列番号9)(ここで、Gはグアニンであり、Aはアデニンであり、Tはチミンであり、Cはシトシンである)を含む。
【0037】
本発明を本明細書において、以下の図面を参照し、以下の特定の限定しない実施例によってさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】LAMP原理(先行技術)。 増幅反応は、標的ゲノム配列の6種の異なる領域にとって特異的な4種のオリゴヌクレオチドプライマーを使用することによって実施する。内部プライマーは、標的核酸分子上の相補的な配列とハイブリダイズし、DNAポリメラーゼによって伸長され、増幅生成物は、外部プライマー(F3、B3)によって2工程で置換され、二重ステムループ構造(出発構造)(パネルA)として形作られる。出発構造は、遊離3’末端から、別の内部プライマーによって同時に増幅される(パネルB)。最初のモジュールの逆方向反復によって構築されたDNAコンカテマーは、指数関数的に徐々に合成される(パネルC)。
【図2】LAMP「ダンベル(DUMB−BELL)」戦略。 図2に示される本アッセイ設定では、FIPおよびBIP内側プライマー中に含有されるF1cおよびB1cオリゴヌクレオチドは、JAK2コード配列中の開始コドンから位置1849の目的のヌクレオチドのそれぞれ一塩基上流および一塩基下流で終了および開始するJAK2遺伝子の非重複領域に対して相補的である。さらに、FIPおよびBIPプライマーの5’末端塩基は、JAK2配列中の変異ヌクレオチドに対して特異的であり、両内側プライマーは、3’末端から3番目の塩基でミスマッチした塩基を有する。反応が野生型標的対立遺伝子を含有し、ダンベル構造が形成される場合には、変異体特異的F1cおよびB1c配列は、3’末端でアニールせず、あらゆるさらなる標的増幅を阻止する。そうではなく、変異体標的対立遺伝子が溶液中に存在する場合には、変異体特異的F1cおよびB1c配列は、相補的核酸標的領域と完全にハイブリダイズし、DNAポリメラーゼによって伸長される。
【図3】LAMP「対立遺伝子特異的ループプライマー伸長」戦略。 変異体特異的ループプライマーの3’末端のヌクレオチドは、JAK2コード配列中の位置1849の変異Tヌクレオチドと相補的である。さらに、このループプライマーは、3’末端から3番目の塩基においてミスマッチした塩基を含有する。反応がWT JAK2配列を含有する場合には、3’末端変異体特異的ループプライマーは、標的配列とアニールせず、増幅をもたらさない。そうではなく、変異体JAK2配列が溶液中に存在する場合には、変異体特異的ループプライマーは、相補的標的配列と完全にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長される。
【図4】LAMP「ステムループプライマー」戦略。 ループ領域中に推定変異Tヌクレオチドを提示するダンベルを得るようF3、B3、FIPおよびBIPオリゴヌクレオチドを含むユニバーサル(変異体非感受性)プライマーのセット。第1のステムループプライマーは、一本鎖ダンベル構造中に変異された塩基を認識するよう設計され、JAK2野生型配列と相補的であり、非伸長性3’末端を含有する第2の改変されたステムループプライマーと一緒に含まれる。変異したJAK2配列が、核酸サンプル中に存在する場合(パネルA)に、変異体特異的ステムループプライマーが、その内部構造を破壊して標的配列とアニールし、DNAポリメラーゼによって伸長される。逆に、WT標的配列がサンプル中に存在する場合(パネルB)には、改変された非伸長性ステムループプライマーは、WT標的配列とハイブリダイズして、この配列の増幅を阻止する(「サイレンシング」効果)。
【図5】LAMP「PNAを伴う変異体特異的ステムループプライマー」戦略。 ループ領域中に推定変異Tヌクレオチドを提示するダンベルを得るようF3、B3、FIPおよびBIPオリゴヌクレオチドを含むユニバーサル(変異体非感受性)プライマーのセット。第1のステムループプライマーは、一本鎖ダンベル構造中に変異塩基を認識するよう設計され、PNA分子と一緒に含まれる。PNAは、B2およびB1c間に含まれるループ領域と相補的であり、検出されるべき点変異の核酸位置を包含するよう設計される。JAK2 WT配列と安定な二本鎖を形成し、ひいては、ハイブリダイゼーションおよび変異体特異的ステムループプライマーの伸長を妨げ、野生型配列の非特異的増幅を抑制する(パネルB)。PNAは、低い親和性のために、変異したJAK2配列とハイブリダイズしない(パネルA)。
【図6】LAMP「ダンベル」アッセイの感度。 増幅反応を、7e3cps/μlのJAK2野生型プラスミドを含有するサンプルで(正方形の点)、標的なし対照で、水中のJAK2変異体プラスミドの段階希釈で(7e3〜7e1cps/μl、菱形の点、7e0cps/μl、丸の点)実施した。各サンプルを3連で試験した。エラーバーは、1標準偏差を表す。野生型プラスミドと比較して、変異体標的配列は、最大7e1cps/μlのサンプル濃度まで高効率で増幅される。本アッセイは、7e3から7e1cps/μl変異体プラスミドサンプルの間で直線性を示す。
【図7】LAMP「対立遺伝子特異的変異体ループプライマー」アッセイの感度。 増幅反応を、7e3cps/μlのJAK2野生型プラスミドを含有するサンプルで(正方形の点)、標的なし対照で、水中のJAK2変異体プラスミドの段階希釈で(7e3〜7e1cps/μl、菱形の点)実施した。各サンプルを3連で試験した。エラーバーは、1標準偏差を表す。野生型プラスミドと比較して、変異体標的配列は、最大7e2cps/μlのサンプル濃度まで高効率で増幅される。本アッセイは、7e3から7e1cps/μl変異体プラスミドサンプルの間で直線性を示す。
【図8】LAMP「ステムループプライマー」アッセイの選択性。 増幅反応を、7e3cps/μlのJAK2野生型プラスミドを含有するサンプルで(正方形の点)、標的なし対照で、75%〜1%の範囲、反応あたり全量35000cpsのDNAの野生型プラスミド中のJAK2変異体プラスミドの段階希釈で実施した。各サンプルを3連で試験した。エラーバーは、1標準偏差を表す。野生型プラスミドと比較して、変異体標的配列は、最大1%の用量サンプル(34650コピーの元の親プラスミド中、350コピーの変異体プラスミド)まで高効率で増幅される。アッセイは、野生型バックグラウンド中、100%〜1%の間の変異体プラスミドサンプルで、直線性を示す。
【図9】LAMP「PNAを伴うステムループプライマー」。 PNAを用いて、用いずに、変異体および野生型プラスミドサンプル(各35000cps)でのアッセイ性能。PNAの不在下で、JAK2 WTプラスミドは、変異体特異的ステムループプライマーによって非特異的に増幅され、変異した標的配列に関して5分遅れる。対照的に、反応混合物にPNAが加えられると、WTプラスミドは、変異体特異的ステムループプライマーによって1時間遅れて増幅され、JAK2変異体プラスミドの特異的増幅については、5分遅れしか測定されない。PNAは、WT相補配列とのみ安定な二本鎖を形成し、変異体特異的ステムループプライマーのハイブリダイゼーションおよび伸長を妨げ、それによって、野生型配列の増幅時間の1時間のずれを引き起こす。
【図10】LAMP「PNAを伴うステムループプライマー」アッセイの選択性。 JAK2変異体プラスミドサンプル(350000cps)、JAK2野生型プラスミドサンプル(350000cps)および野生型バックグラウンドで、以下の割合1、0.5、0.1、0.05および0.01%に段階希釈した変異体プラスミドでのアッセイ性能。エラーバーは、1標準偏差に対応する。WTサンプル(350000cps WTプラスミド)については、1時間の反応内では増幅は検出されなかった。変異体標的配列の特異的増幅は、野生型バックグラウンド中、0.01%の変異体配列まで検出される(349650コピーのWTプラスミド中全35コピーの変異体プラスミド)。アッセイは、0.1%変異体プラスミドの濃度(349650コピーのWTプラスミド中全350コピーの変異体プラスミド)まで直線である。
【図11】LAMP対照反応。 F3、B3、FIPおよびBIPオリゴヌクレオチドを含むユニバーサル(変異体非感受性)プライマーのセット。この方法は、特定の変異の存在とは独立したゲノムDNA標的配列を増幅するよう設計されている。このような対照アッセイによって、プライマーの増幅効率および反応管中の阻害剤の存在を評価することが可能となる。
【図12】JAK2野生型および変異体核酸サンプルでのLAMP対照反応。 F3、B3、FIPおよびBIPオリゴヌクレオチドを含むユニバーサル(変異体非感受性)プライマーのセットの増幅効率は、分析されたサンプルすべて:100%のJAK2野生型プラスミド、100%、10%および1%のJAK2変異体プラスミドについて同程度である。標的配列増幅の遅れまたは標的配列増幅がないことは、反応阻害剤の存在または反応条件における問題を示す。
【図13】核酸サンプル中の変異体JAK2対立遺伝子コピーの推定の原理。 核酸サンプル中のJAK2対立遺伝子コピーの量が、50%よりも高いか低いかを推定するために、変異体特異的ステムループプライマーおよびPNAを用いる改変LAMPを、非希釈サンプルおよび1:5希釈したサンプルで実施する。サンプルが、50%超の変異体JAK2対立遺伝子コピーを含有する場合には、標的配列の閾値増幅分は、非希釈(パネルA)および希釈(パネルB)サンプル両方の標準物質100%と標準物質10%の(分)tの間に含まれる。サンプルが、50%未満の変異体JAK2対立遺伝子コピーを含有する場合には、標的配列の閾値増幅分は、非希釈サンプル(パネルA)の標準物質100%と標準物質10%のt(分)の間および希釈サンプル(パネルB)の標準物質10%と標準物質1%の分(t)の間に含まれる。
【図14】50%超の変異標的配列を含有する核酸サンプル中の変異体JAK2対立遺伝子コピーの推定。 野生型バックグラウンド中、50%超の変異体JAK2プラスミドを含有する4種の核酸サンプル(それぞれ、60%、70%、80%および90%)を、1:5希釈し、野生型バックグラウンドにおける100%、10%および1%のJAK2変異体プラスミドからなる3種の標準物質と一緒に、「PNAを伴うLAMPステムループプライマー」アッセイを使用して分析した。4種のサンプルすべてについて、閾値増幅分は、標準物質100%の分(t)から標準物質10%の分(t)の間に含まれていた。
【図15】50%未満の変異標的配列を含有する核酸サンプル中の変異体JAK2対立遺伝子コピーの推定。 野生型バックグラウンド中、50%以下の変異体JAK2プラスミドを含有する4種の核酸サンプル(それぞれ、40%、30%および20%)を1:5希釈し、野生型バックグラウンド中、100%、10%および1%のJAK2変異体プラスミドからなる3種の標準物質と一緒に、「PNAを伴うLAMPステムループプライマー」アッセイを使用して分析した。1:5希釈した50%サンプルの増幅は、10%標準物質サンプルの同一閾値分で生じた。残りの3種のサンプルについては、閾値増幅分は、標準物質10%の分(t)から標準物質1%の分(t)の間に含まれていた。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下の実施例は、単に例示として提供するものであって、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を制限しようとするものではない。
【実施例1】
【0040】
JAK2−改変LAMP「ダンベル戦略」の材料、方法および結果
試薬
JAK2プラスミドは、供給業者GeneArt(Regensburg、Germany)によって提供され、野生型または変異体JAK2配列を含有していた。詳細には、
−「wtプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にG塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
−「mutプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にT塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
プライマー:「プライマー」と呼ばれる、供給業者Eurofins MWG Operon(Ebersberg、Germany)によって合成された。
−GA211(F3) 5’GTCAAACAACAATTCTTTGTACT3’(配列番号10)
−GA212(B3) 5’AGCTGTGATCCTGAAACTG3’(配列番号11)
−GA216(FIP) 5’AATATACTCCATAATTTAAAACCAAATGCTTTCTTTCTTTGAAGCAGCAAGT 3’(配列番号12)
−GA220(BIP) 5’TTTTGTGGAGACGAGAGTAAGTAAAACTACATAAACAAAAACAGATGCTCTGA3’(配列番号13)
−GA221(LF) 5’GTGAGAAAGCTTGCTCATCAT3’(配列番号14)
−GA222(LB) 5’AGGCTTTCTAATGCCTTTC3’(配列番号15)
反応バッファー:100mM Tris−HCl pH8.8、50mM KCl、40mM MgSO4、50mM(NH4)2SO4、0.5% Tween、 5%DMSO「バッファー5×」
dNTPミックス25mM(Fermentas)、「dNTP」
Bst大断片ポリメラーゼ8U/μl(New England Biolabs)、「ポリメラーゼ」
滅菌非発熱性水(apyrogen water)(SALF Spa)、「ddw」
【0041】
手順
サンプル調製
以下のとおりの反応混合物を調製する。0.2μM外側プライマー(F3およびB3)、1.6μM内側プライマー(FIPおよびBIP)、0.8μMループプライマー(LFおよびLB)、1×バッファー溶液、1.4mM dNTPミックス、8U Bstポリメラーゼ。反応混合物の最終容量は、総反応容量の4/5でなくてはならない(すなわち、20μlの反応混合物+5μlサンプル)。試薬は常に氷上で維持する。3種の陰性対照(7e3cps/ulの野生型プラスミド)、12種の陽性対照(3サンプルの7e3cps/ul変異体プラスミド、3サンプルの7e2cps/ul変異体プラスミド、3サンプルの7e1cps/ul変異体プラスミド、3サンプルの7e0cps/ul変異体プラスミド)、1種の標的なし対照を含む少なくとも17サンプルのために混合物を調製する。
【0042】
表1サンプル混合物組成
【表1】
【0043】
20μlの反応混合物をストリップ中に分配する。ストリップを氷上で維持する。今後、反応混合物を常に氷上で維持する。
【0044】
送られてきた溶液(WTプラスミドおよびMUTプラスミド)から標的の段階希釈物(「標的希釈物」)を調製する。送られてきた溶液は、7×1010コピー/μlである。変異体プラスミドを、まずTris 10mMで7×104コピー/μlに希釈し、次いで、Tris 10mMで、7e3cps/μl、7e2cps/μl、7e1cps/μlおよび7e0cps/μlに段階希釈する。WTプラスミドを、Tris 10mMで7×103コピー/μlに希釈する。
【0045】
3連で、ストリップに5μlの標的希釈物を加える。5μlの標的希釈物を、低濃度のサンプルから出発して、最高濃度のサンプルへと加える。すべての試験管を閉じる。
【0046】
反応
反応は、図1および2の方法スキームにしたがう。
【0047】
66℃、1時間の一定の反応温度を得るよう、一定温度でのインキュベーションおよび濁度のリアルタイムモニタリングのために濁度計(Teramecs)をプログラムする。
【0048】
プログラムを開始する直前にストリップを機器の中に入れる。プログラムを開始する。
【0049】
データ解析
分析される各サンプルの閾値時間を見出すために、a.u.(吸光度の任意の単位)を単位として吸光度の変化を分析する。閾値時間は、サンプル吸光度が、ベースラインを差し引いた後に、閾値に相当する任意単位の値(この場合には、0.1a.u.)に達する分である。各サンプルによって到達される閾値時間は、そのDNAコピー/μlの対数と相関する。
【0050】
結果
「LAMP JAK2ダンベル」戦略は、SNP検出のためのEiken LAMP法に基づいている(EP1231281、20、21、22ならびにhttp://loopamp.eiken.co.jp/e/lamp/snps_anim.htmlに記載されている)。
【0051】
図2に示される本アッセイ設定では、FIPおよびBIP内側プライマー中に含有されるF1cおよびB1cオリゴヌクレオチドは、JAK2コード配列中の開始コドンから位置1849の目的のヌクレオチドのそれぞれ一塩基上流および一塩基下流で終了および開始するJAK2遺伝子の非重複領域に対して相補的である。さらに、FIPおよびBIPプライマーの5’末端塩基は、JAK2配列中の変異Tヌクレオチドに対して特異的であり、両内側プライマーは、3’末端から3番目の塩基でミスマッチした塩基を有する。反応が、野生型標的対立遺伝子を含有し、ダンベル構造が形成される場合には、変異体特異的F1cおよびB1c配列は、3’末端でアニールせず、あらゆるさらなる増幅を阻止する。そうではなく、変異体標的対立遺伝子が溶液中に存在する場合には、変異体特異的F1cおよびB1c配列は、相補的核酸標的領域と完全にハイブリダイズし、DNAポリメラーゼによって伸長される。
【0052】
図6に示されるように、7e3cps/μl〜7e0cps/μl(全35コピーの変異体プラスミド)の範囲のLAMPアッセイによって、変異体プラスミド濃度の低下が検出された。低濃度の標的核酸配列では、このLAMPアッセイ設定では、変異体と野生型プラスミドとを区別できなかった。実際には、これらは、7e3cps/μlの濃度で増幅される。文献においてこれまでに記載されたアッセイ法の限界を克服するには、1%より低い選択性の値が必要とされるので、本アプローチを用いても明確な利点は得られなかった。
【実施例2】
【0053】
JAK2−改変LAMP「対立遺伝子特異的ループプライマー伸長」戦略の材料、方法および結果
試薬
JAK2プラスミドは、供給業者GeneArt(Regensburg、Germany)によって、野生型または変異体JAK2配列を含有するように合成された。詳細には、
−「wtプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にG塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
−「mutプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にT塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
プライマー:「プライマー」と呼ばれる、Eurofins MWG Operonによって合成された。
下線を引いた塩基は、ミスマッチしたヌクレオチドに相当する。太字の塩基は、JAK2コード配列のATG開始コドンから位置1849の変異ヌクレオチドに相当する。
反応バッファー:100mM Tris−HCl pH8.8、50mM KCl、40mM MgSO4、50mM(NH4)2SO4、0.5% Tween、「バッファー5×」
dNTPミックス25mM(Fermentas)、「dNTP」
Bst大断片ポリメラーゼ8U/μl(New England Biolabs)、「ポリメラーゼ」
滅菌非発熱性水(SALF Spa)、「ddw」
【0054】
手順
サンプル調製
プライマーをアリコートで保存する。保存溶液を−20℃で保存することが良好であるが、作業中の希釈液は4℃で保存されるべきである。
【0055】
以下のとおりの反応混合物を調製する。0.2μM外側プライマー(F3およびB3)、1.6μM内側プライマー(FIPおよびBIP)、0.8μMループプライマー(LB)、1×バッファー溶液、1.4mM dNTPミックス、8U Bstポリメラーゼ。反応混合物の最終容量は、総反応容量の4/5でなくてはならない(すなわち、20μlの反応混合物+5μlサンプル)。試薬は常に氷上で維持する。3種の陰性対照(7e3cps/ulの野生型プラスミド)、9種の陽性対照(3サンプルの7e3cps/ul変異体プラスミド、3サンプルの7e2cps/ul変異体プラスミド、3サンプルの7e1cps/ul変異体プラスミド)、1種の標的なし対照を含む少なくとも14種のサンプルのために混合物を調製する。
【0056】
表2サンプル混合物組成
【表2】
【0057】
20μlの反応混合物をストリップ中に分配する。ストリップを氷上で維持する。今後、反応混合物を常に氷上で維持する。
【0058】
送られてきた溶液(WTプラスミドおよびMUTプラスミド)から標的の段階希釈物(「標的希釈物」)を調製する。送られてきた溶液は、7×1010コピー/μlである。変異体プラスミドを、まずTris 10mMで7×104コピー/μlに希釈し、次いで、Tris 10mMで、7e3cps/μl、7e2cps/μl、7e1cps/μlに段階希釈する。WTプラスミドを、Tris 10mMで7×103コピー/μlに希釈する。3連で、ストリップに5μlの標的希釈物を加える。5μlの標的希釈物を、低濃度のサンプルから出発して、最高濃度のサンプルへと加える。すべての試験管を閉じる。
【0059】
反応
反応は、図3の方法スキームにしたがう。
【0060】
65℃、1時間の一定の反応温度を得るよう、一定温度でのインキュベーションおよび濁度のリアルタイムモニタリングのために濁度計(Teramecs)をプログラムする。
【0061】
プログラムを開始する直前にストリップを機器の中に入れる。プログラムを開始する。
【0062】
データ解析
分析される各サンプルの閾値時間を見出すために、a.u.を単位として吸光度の変化を分析する。閾値時間は、サンプル吸光度が、ベースラインを差し引いた後に、閾値に相当する任意単位の値(この場合には、0.1a.u.)に達する分である。各サンプルによって到達される閾値時間は、そのDNAコピー/μlの対数と相関する。
【0063】
結果
本アプローチは、変異体特異的ループプライマーを使用することによる変異体配列の選択的増幅からなる(図3)。本発明者らは、B2とB1cとの間に含まれるループ領域中に推定変異を提示するダンベル構造を得るよう、F3、B3、FIPおよびBIPオリゴヌクレオチドを含むユニバーサル(変異体非感受性)プライマーのセットを設計した。さらに、本発明者らは、JAK2コード配列の位置1849の変異ヌクレオチドTと相補的な3’末端の最後の塩基および3’末端から3番目の塩基においてミスマッチした塩基を提示するループプライマーを設計した。
【0064】
反応が、WT標的配列を含有する場合には、変異体特異的ループプライマーの3’末端は、相補的ヌクレオチドとアニールせず、ひいては、増幅をもたらさない。そうではなく、JAK2変異体配列が溶液中に存在する場合には、変異体特異的ループプライマーは、相補的配列と完全にハイブリダイズし、DNAポリメラーゼによって伸長される。
【0065】
7e3cps/μl〜7e1cps/μl(全35000および350コピーの変異体プラスミド)の範囲の濃度の変異体プラスミドサンプルで、7e3プラスミドcps/μlを含有するWTサンプルでアッセイ評価を実施し、すべて、サンプルは3連で試験した。本方法を用いて、7e3cps/μlのWTプラスミドサンプルの非特異的増幅を検出し、7e1cps/μl濃度の変異体および野生型サンプルは、区別できなかった。文献においてこれまでに記載されたアッセイ法の限界を克服するには、1%より低い選択性の値が必要とされるので、本アプローチを用いても明確な利点は得られなかった(図7)。
【実施例3】
【0066】
JAK2−改変LAMP「ステムループプライマー戦略」の材料、方法および結果
試薬
JAK2プラスミドは、供給業者GeneArt(Regensburg、Germany)によって、野生型または変異体JAK2配列を含有するように合成された。詳細には、
−「wtプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にG塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
−「mutプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にT塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
プライマー:「プライマー」と呼ばれる、Eurofins MWG Operon(Ebersberg、Germany)によって合成された。
−GA231(F3) 5’GCATCTTTATTATGGCAGAGAG3’(配列番号3)
−GA232(B3) 5’TGCTCTGAGAAAGGCATTA3’(配列番号4)
−GA233(FIP) 5’GCTGCTTCAAAGAAAGACTAAGGAAATGGACAACAGTCAAACAAC3’(配列番号5)
−GA234(BIP) 5’GCTTTCTCACAAGCATTTGGTTTTAAATTAGCCTGTAGTTTTACTTACTCTC3’(配列番号6)
−GA235(LF) 5’GTCTCCACTGGAGTATGTGTCTGTGGAGAddC3’(配列番号7)
下線を引いた塩基は、JAK2コード配列(GeneBank受託番号NM 004972)中のATG開始コドンから位置1849の野生型ヌクレオチドに相当する。
−ddCは、非伸長性ジデオキシシトシンを表す。
−GA236(LB) 5’GTCTCCACTGGAGTATGTTTCTGTGGAGAC3’(配列番号8)
−下線を引いた塩基は、JAK2コード配列(GeneBank受託番号NM 004972)中のATG開始コドンから位置1849の変異したヌクレオチドに相当する。
反応バッファー:100mM Tris−HCl pH8.8、50mM KCl、40mM MgSO4、50mM(NH4)2SO4、0.5% Tween、「バッファー5×」
dNTPミックス25mM(Fermentas)、「dNTP」
Bst大断片ポリメラーゼ8U/μl(New England Biolabs)、「ポリメラーゼ」
滅菌非発熱性水(SALF Spa)、「ddw」
【0067】
手順
サンプル調製
プライマーをアリコートで保存する。保存溶液を−20℃で保存することが良好であるが、作業中の希釈液は4℃で保存されるべきである。
【0068】
以下のとおりの反応混合物を調製する。0.2μM外側プライマー(F3およびB3)、1.6μM内側プライマー(FIPおよびBIP)、0.8μM両方の自己アニーリング型ループプライマー(非伸長性LFおよびLB)、1×バッファー溶液、1.4mM dNTPミックス、8U Bstポリメラーゼ。反応混合物の最終容量は、総反応容量の4/5でなくてはならない(すなわち、20μlの反応混合物+5μlサンプル)。試薬は常に氷上で維持する。3種の陰性対照(100%野生型プラスミド、7e3cps/μl)、21種の陽性対照(3サンプルの100%変異体プラスミド(7e3cps/μl)、3サンプルのWTプラスミドで希釈した75%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した50%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した25%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した10%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した5%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した1%変異体プラスミド)および1種の標的なし対照を含む、少なくとも26サンプルのために混合物を調製する。
【0069】
表3サンプル混合物組成
【表3】
【0070】
20μlの反応混合物をストリップ中に分配する。ストリップを氷上で維持する。今後、反応混合物を常に氷上で維持する。
【0071】
送られてきた溶液(WTプラスミドおよびMUTプラスミド)から標的の段階希釈物(「標的希釈物」)を調製する。送られてきた溶液は、7×1010コピー/μlである。変異体プラスミドを、まずTris 10mMで7×104コピー/μlに希釈し、次いで、変異体プラスミドをWTプラスミドで段階希釈して、以下の野生型バックグラウンドにおける変異体配列の濃度を得る。75%、50%、25%、10%、5%、1%(試験管あたりの総量、7e3cps/μl)。
【0072】
3連で、ストリップに5μlの標的希釈物を加える。5μlの標的希釈物を、低濃度のサンプルから出発して、最高濃度のサンプルへと加える。すべての試験管を閉じる。
【0073】
反応
反応は、図4の方法スキームにしたがう。
【0074】
65℃、1時間の一定の反応温度を得るよう、一定温度でのインキュベーションおよび濁度のリアルタイムモニタリングのために濁度計(Teramecs)をプログラムする。
【0075】
プログラムを開始する直前にストリップを機器の中に入れる。プログラムを開始する。
【0076】
データ解析
分析される各サンプルの閾値時間を見出すために、a.u.を単位として吸光度の変化を分析する。閾値時間は、サンプル吸光度が、ベースラインを差し引いた後に、閾値に相当する任意単位の値(この場合には、0.1a.u.)に達する分である。各サンプルによって到達される閾値時間は、そのDNAコピー/μlの対数と相関する。
【0077】
結果
本アプローチは、特定のループプライマーの、変異体配列から形成されるダンベルとの選択的ハイブリダイゼーションをもたらす、このようなループプライマー設計に基づく変異体配列の選択的増幅からなる(図4)。本発明者らは、B1とB2の間に含まれるループ領域中に推定変異を提示するダンベル構造を得るよう、F3、B3、FIPおよびBIPオリゴヌクレオチドを含むユニバーサル(変異体非感受性)プライマーのセットを設計した。B2内またはB2とB1cとの間のループ領域中に推定変異ヌクレオチドを含有する代替配列でこのような実験を実施した際には、大きな相違は検出されなかった。本発明者らは、プライマーセット中に、その自身の3’末端の配列と相補的であるその5’末端に、8塩基の配列領域を提示する特定のループプライマーを含めた。その結果として、この特別のループプライマーは、反応温度(65℃)でそのオープン型と平衡にある分子内ヘアピン構造を形成する。
【0078】
変異体JAK2配列がサンプル中に存在する場合には、このような改変されたループプライマーは、熱力学的平衡に従って、その内部構造を破壊して、相補的標的配列とハイブリダイズする(プライマーおよび特異的標的間のTm=65℃)。次いで、特異的な変異標的とハイブリダイズされたループプライマーがポリメラーゼによって伸長され、増幅がさらに進行することができる。さらなる特徴として、JAK2 G→T変異に対して特異的なループプライマーは、分子内ヘアピン構造(65℃)よりも低い野生型標的配列とのTm(59℃)を示す。したがって、JAK2 WT配列を含有するサンプルでは、Tm値のこのような相違は、分子内力が分子間のものよりも高いので、非特異的標的と二本鎖を形成するよりもヘアピン構造にフォールディングすることを好む改変されたループプライマーの自己隔離をもたらす。
【0079】
本発明者らは、臨床サンプル中に大過剰で存在している可能性が高い野生型配列に対するこのループプライマーの競合を制限するために、反応設定に、類似の構造を有し、JAK2野生型配列と相補的である核酸配列を含有する、すなわち、開始コドン(GeneBank受託番号NM 004972)から位置1849にG塩基を有する第2のループプライマーを含めた。
【0080】
この「競合者」ループプライマーの3’末端は、改変によって非伸長性にされる(3’ジデオキシ)。この競合者の役割は、WT配列を「サイレントにし」、ひいては、特異的変異体プライマーがその標的を見出すことを可能にすることである。
【0081】
「競合者」プライマーが、相補的野生型配列を認識する場合には、より高い親和性に従って、その分子内構造を破壊して、WT標的とハイブリダイズする(WT標的およびWT改変されたループプライマーによって形成される二本鎖のTm=67℃)。WT標的とハイブリダイズされたループプライマーは、非伸長性であり、野生型配列の増幅をもたらさない。反応は、一定温度で実施されるので、WT特異的ステムループプライマーは、野生型配列と結合しているままであり、ひいては、MUTループプライマーの非特異的ハイブリダイゼーションを妨げる。
【0082】
変異体特異的ループプライマーとは対照的に、「競合者」プライマーは、それ自体によって形成される分子内ヘアピン構造(65℃)よりも低い、変異体標的配列とのTm(62℃)を示す。したがって、分子間のものと比較して高い分子内力が、変異体標的配列と二本鎖を形成するよりもヘアピン構造にフォールディングすることを好む、改変されたステムループプライマーの自己隔離を引き起こす。
【0083】
本アッセイの選択性を、野生型バックグラウンドにおける変異体プラスミドの段階希釈で標的配列増幅を実施することによって評価した(図8)。達成された選択性は、有意に1%(34650コピーのWTプラスミド中、全350コピーの変異体プラスミド)未満であり、文献においてこれまでに記載されたアッセイよりも高い性能を示す。
【0084】
アッセイ直線性は、100%変異体プラスミド(35000cps)から99%野生型プラスミド中の1%変異体(34650コピーのWTプラスミド中の350コピーの変異体プラスミド)の間で検出され、したがって、多量のWTプラスミド中の低いパーセンテージの変異体配列の検出および定量化が可能となる。したがって、このように実施されたLAMPアプローチを用いて有意な改善が達成された。
【実施例4】
【0085】
JAK2−改変LAMP「PNAを伴うステムループプライマー戦略」の材料、方法および結果
試薬
JAK2プラスミドは、供給業者GeneArt(Regensburg、Germany)によって、野生型または変異体JAK2配列を含有するように合成された。詳細には、
−「wtプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にG塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
−「mutプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にT塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
プライマー:「プライマー」と呼ばれる、Eurofins MWG Operonによって合成された。
−GA231(F3) 5’GCATCTTTATTATGGCAGAGAG3’(配列番号3)
−GA232(B3) 5’TGCTCTGAGAAAGGCATTA3’(配列番号4)
−GA233(FIP) 5’GCTGCTTCAAAGAAAGACTAAGGAAATGGACAACAGTCAAACAAC3’(配列番号5)
−GA234(BIP) 5’GCTTTCTCACAAGCATTTGGTTTTAAATTAGCCTGTAGTTTTACTTACTCTC3’(配列番号6)
−GA236(LB) 5’GTCTCCACTGGAGTATGTTTCTGTGGAGAC3’(配列番号8)
下線を引いた塩基は、JAK2コード配列(GeneBank受託番号NM 004972)中のATG開始コドンから位置1849の変異ヌクレオチドに対応する。
PNA:Eurogentecによって合成された、「PNA」と呼ばれる、GM43 NH2GAGTATGTGTCTGTGGACOOH(配列番号9)。
下線を引いた塩基は、JAK2コード配列(GeneBank受託番号NM 004972)中のATG開始コドンから位置1849の野生型ヌクレオチドに対応する。
反応バッファー:100mM Tris−HCl pH8.8、50mM KCl、40mM MgSO4、50mM(NH4)2SO4、0.5% Tween、「バッファー5×」
dNTPミックス25mM(Fermentas)、「dNTP」
Bst大断片ポリメラーゼ8U/μl(New England Biolabs)、「ポリメラーゼ」
滅菌非発熱性水(SALF Spa)、「ddw」
【0086】
手順
サンプル調製
プライマーをアリコートで保存する。保存溶液を−20℃で保存することが良好であるが、作業中の希釈液は4℃で保存されるべきである。
【0087】
以下のとおりの反応混合物を調製する。0.2μM外側プライマー(F3およびB3)、1.6μM内側プライマー(FIPおよびBIP)、0.8μM変異体JAK2(LB)に特異的な自己アニーリング型ループプライマー、0.8μM PNA、1×バッファー溶液、1.4mM dNTPミックス、8U Bstポリメラーゼ。反応混合物の最終容量は、総反応容量の4/5でなくてはならない(すなわち、20μlの反応混合物+5μlサンプル)。試薬は常に氷上で維持する。3種の陰性対照(100%野生型プラスミド、7e4cps/μl)、18種の陽性対照(3サンプルの100%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した1%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した0.5%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した0.1%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した0.05%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した0.01%変異体プラスミド(DNAの総量7e4cps/μl))および1種の標的なし対照を含む、少なくとも23サンプルのために混合物を調製する。
【0088】
表4サンプル混合物組成
【表4】
【0089】
20μlの反応混合物をストリップ中に分配する。ストリップを氷上で維持する。今後、反応混合物を常に氷上で維持する。
【0090】
送られてきた溶液(WTプラスミドおよびMUTプラスミド)から標的の段階希釈物(「標的希釈物」)を調製する。送られてきた溶液は、7×1010コピー/μlである。変異体プラスミドを、まずTris 10mMで7×104コピー/μlに希釈し、次いで、変異体プラスミドをWTプラスミドで段階希釈して、以下の野生型バックグラウンドにおける変異体配列の濃度を得る。1%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%(試験管あたりの総量、7e4cps/μl)。
【0091】
3連で、ストリップに5μlの標的希釈物を加える。5μlの標的希釈物を、低濃度のサンプルから出発して、最高濃度のサンプルへと加える。すべての試験管を閉じる。
【0092】
反応
反応は、図5の方法スキームにしたがう。
【0093】
65℃、1時間の一定の反応温度を得るよう、一定温度でのインキュベーションおよび濁度のリアルタイムモニタリングのために濁度計(Teramecs)をプログラムする。
【0094】
プログラムを開始する直前にストリップを機器の中に入れる。プログラムを開始する。
【0095】
データ解析
分析される各サンプルの閾値時間を見出すために、a.u.を単位として吸光度の変化を分析する。閾値時間は、サンプル吸光度が、ベースラインを差し引いた後に、閾値に相当する任意単位の値(この場合には、0.1a.u.)に達する分である。各サンプルによって到達される閾値時間は、そのDNAコピー/μlの対数と相関する。
【0096】
結果
このアプローチは、特定のループプライマーの、変異体配列から形成されるダンベルとの選択的ハイブリダイゼーションをもたらす、このようなループプライマー設計に基づいた変異体配列の選択的増幅からなる(図5)。本発明者らは、B1とB2の間に含まれるループ領域中に推定される変異ヌクレオチドを提示するダンベルを得るよう、F3、B3、FIPおよびBIPオリゴヌクレオチドを含むユニバーサル(変異体非感受性)プライマーのセットを設計した。B2内またはB2とB1cとの間のループ領域中に推定変異ヌクレオチドを含有する代替配列でこのような実験を実施した際には、大きな相違は検出されなかった。本発明者らは、プライマーセット中に、その自身の3’末端の配列と相補的であるその5’末端に、8塩基の配列領域を提示する特定のループプライマーを含めた。その結果として、この特別のループプライマーは、反応温度(65℃)でそのオープン型と平衡にある分子内ヘアピン構造を形成する。
【0097】
変異体JAK2配列がサンプル中に存在する場合には、このような改変されたループプライマーは、熱力学的平衡に従って、その内部構造を破壊して、相補的標的配列とハイブリダイズする(プライマーおよび特異的標的間のTm=65℃)。次いで、特異的な変異した標的とハイブリダイズされたループプライマーが、ポリメラーゼによって伸長され、増幅がさらに進行することができる。さらなる特徴として、JAK2 G→T変異に特異的なループプライマーは、分子内ヘアピン構造(65℃)よりも低い、野生型標的配列とのTm(59℃)を示す。したがって、JAK2 WT配列を含有するサンプルでは、Tm値のこのような相違は、分子内力が分子間のものよりも高いので、非特異的標的と二本鎖を形成するよりもヘアピン構造にフォールディングすることを好む改変されたループプライマーの自己隔離をもたらす。
【0098】
本発明者らは、選択的ステムループプライマーに基づくLAMPシステムの区別能力をさらに増大するために、反応混合物にペプチド核酸(PNA)を加えた。
【0099】
PNAは、リボース−リン酸骨格が、アミド結合によって連結されている(2−アミノエチル)−グリシン単位によって置換されている、非伸長性であり、置換可能でないオリゴヌクレオチドである。各塩基対形成DNA/PNAは、通常の塩基対形成DNA/DNAよりも、二本鎖構造の安定性に寄与する。したがって、PNA/DNA二本鎖中の単一のミスマッチは、Tmの有意な相違をもたらす。PNAプローブは、JAK2遺伝子のWT配列と十分に相補的であり、変異体特異的ステムループプライマーのハイブリダイゼーションおよび伸長を妨げ、野生型配列の非特異的増幅を抑制する。単一のミスマッチの存在下では、PNAは、ループプライマーハイブリダイゼーションを阻害せず、増幅につながる。したがって、PNAを使用して、サンプル中に存在するWT配列を選択的に阻止することができる。
【0100】
PNAは、野生型Gヌクレオチドを提示するB2とB1cとの間に含まれるループ領域と相補的であるよう設計される。WT相補的配列とのみ安定な二本鎖を形成し(Tm65.7℃)、変異体特異的ステムループプライマーのハイブリダイゼーションおよび伸長を妨げ、したがって、野生型配列の増幅を抑制する。PNAは、低い親和性のために(Tm=56℃)変異体JAK2配列とハイブリダイズしない。
【0101】
7e3cps/ulの野生型および変異体プラスミドサンプルで、PNAを用いて実施した、および用いずに実施した増幅反応の性能を比較することによって、野生型増幅クランプとしてのPNAの効率を評価した(図9)。増幅曲線分析は、PNAの存在は、変異体特異的ステムループプライマーによるWTプラスミドの非特異的増幅において1時間の遅れに、変異体プラスミドの特異的増幅において5分の遅れにつながることを示した。逆に、PNAの不在下では、変異体特異的ステムループプライマーによるWTプラスミドの非特異的増幅は、特異的変異標的配列と比較して5分の遅れのみで生じた。野生型増幅において観察された遅れは、PNAおよびWT相補配列間の安定な二本鎖の形成によって説明され、ひいては、変異体特異的ステムループプライマーの非特異的ハイブリダイゼーションおよび伸長を妨げる。
【0102】
このLAMPアッセイ形式の選択性を決定するために、野生型バックグラウンドにおける変異体プラスミドの段階希釈で増幅反応を実施した(図10)。達成された選択性は、0.01%未満(34965コピーのWTプラスミド中、全35コピーの変異体プラスミド)であるため、本アプローチは、先行技術において記載されたアッセイよりも高い選択性を示し、直接配列決定、RFLPおよびピロシーケンスに関して、対数で約3高く、ARMS、リアルタイム技術およびDNA融解曲線分析に関して、対数で約2高い。
【0103】
要約すると、本LAMPアッセイ形式は、この文書において先に記載された戦略および文献に示された検出法に関して有意な改善を表す。i)WTサンプル(350000cps WTプラスミド)の非特異的増幅は、約1時間遅延される、ii)変異体標的の特異的増幅は、野生型中、0.01%の変異体配列まで検出される(349965コピーのWTプラスミド中、全35コピーの変異体プラスミド)、iii)アッセイ選択性は、文献に記載されるその他のアプローチの選択性よりも対数で約2高い、iv)アッセイ直線性は、0.1%変異体配列(349650コピーのWTプラスミド中、全350コピーの変異体プラスミド)までであり、したがって、大過剰の野生型DNA中の低いパーセンテージの変異体対立遺伝子の検出および定量化が可能となる。
【実施例5】
【0104】
臨床サンプルでのLAMP「PNAを伴うステムループプライマー」:ARMとの比較
合計29サンプルの、Ospedali Riuniti di Bergamoで患者から抽出したDNAを、実施例4に記載される、JAK2 LAMP「PNAを伴うステムループプライマー」戦略を使用して分析した。得られた結果を、ARM技術を使用して病院で得られたデータと比較した。ARMSは、オリゴヌクレオチドプライマーは、PCRの際にこれらのプライマーを伸長するためには、DNAポリメラーゼに対してその3’末端で完全にアニーリングされなければならないという事実を利用する。3’末端で特定のJAK2点変異に合致するオリゴヌクレオチドプライマーを設計することによって、ARMSは、野生型および変異体対立遺伝子を区別できる。
【0105】
表5に示されるように、LAMPアッセイは、ARMSによってそのように以前に診断されたすべてのサンプルを陽性と検出した。ARMSによって陰性となった15サンプルのうち、11はLAMPによって陰性と診断され、4は低陽性と診断された。本発明者らは、これらの4種の一致しないサンプルが、LAMPアッセイにおいて偽陽性であったことを排除し、また、変異診断は、実施されたLAMP法の高い選択性によるものであったことを確認するために、第3のアッセイを使用して一致しないサンプルを試験した。このようなアッセイは、存在する場合には、変異した塩基を、PNAクランピングによる野生型配列増幅の抑制によって濃縮することを目的とした、野生型標的と相補的であるPNA分子の存在下におけるPCRによる目的のJAK2領域の増幅に基づくものであった。変異体対立遺伝子の20%サンプル濃縮が達成される場合には、変更された配列は、直接配列決定アプローチによって検出されることができる。プライマー(GA231フォワードおよびGA232リバース)およびPNAは、先に記載したとおりとした(実施例4)。増幅は、最終容量45μl中、2.5mM MgCl2、200μM dNTP、500nMフォワードおよびリバースプライマー、1.5M PNAおよび0.025U Taq Goldを含有する1×反応バッファーで実施した。反応混合物に、5μlの容量の標的配列(20ng/μl)を加え、溶液をサーモサイクラー中で、95℃で10分間、続いて、94℃で30秒、62℃で40秒、58℃で30秒および72℃で30秒の35サイクルならびに最終伸長のための72℃で10分の仕上げからなるサーマルプログラムに従ってインキュベートした。4種の一致しない臨床サンプル、1種の標的なし対照サンプルならびに変異体および野生型プラスミド標的をそれぞれ含有する陽性対照および陰性対照を、2連で試験した。反応後、増幅生成物をアガロースゲル上で分離し、EtBrを使用して可視化した。標的なし対照については増幅は検出されなかった。陰性対照については、アガロースゲル上に弱いバンドが見られ、陽性対照については、強いバンドが見られた。その後、4種の臨床サンプルのPCR産物を、自動配列決定によって分析し、すべてが、ATG開始コドン(GeneBank受託番号NM 004972)から位置1849に、それぞれ、グアニン(野生型)塩基およびチミン(変異した)塩基に対応するダブルピークを示した。これらの結果から、4種の一致しないサンプルは、LAMPによって、G→T塩基置換を保持すると正しく診断されたことが確認されたが、ARMSは、それらを偽陰性と検出した。
【0106】
【表5】
【実施例6】
【0107】
蛍光JAK2−改変LAMP「ステムループプライマー戦略」
試薬
JAK2プラスミドは、供給業者GeneArt(Regensburg、Germany)によって、野生型または変異体JAK2配列を含有するように合成された。詳細には、
−「wtプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にG塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
−「mutプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にT塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
プライマー:「プライマー」と呼ばれる、Eurofins MWG Operonによって合成された。
下線を引いた塩基は、JAK2コード配列(GeneBank受託番号NM 004972)のATG開始コドンから位置1849の変異ヌクレオチドに相当する。5’末端の太字のチミン塩基は、標的配列中に相補的な塩基を有さない。それは、クエンチング効果を有する下流のグアニン塩基からフルオロフォアを分離するために加えられた。
−GA235(LF) 5’−5’GTCTCCACTGGAGTATGTGTCTGTGGAGAddC3’(配列番号7)
下線を引いた塩基は、JAK2コード配列(GeneBank受託番号NM 004972)のATG開始コドンから位置1849における野生型ヌクレオチドに相当し、ddCは、非伸長性ジデオキシシトシンを表す。
反応バッファー:100mM Tris−HCl pH8.8、50mM KCl、40mM MgSO4、50mM(NH4)2SO4、0.5% Tween、「バッファー5×」
dNTPミックス25mM(Fermentas)、「dNTP」
Bst大断片ポリメラーゼ8U/μl(New England Biolabs)、「ポリメラーゼ」
滅菌非発熱性水(SALF Spa)、「ddw」
【0108】
手順
サンプル調製
プライマーをアリコートで保存する。保存溶液を−20℃で保存することが良好であるが、作業中の希釈液は4℃で保存されるべきである。
【0109】
以下のとおりの反応混合物を調製する。0.2μM外側プライマー(F3およびB3)、1.6μM内側プライマー(FIPおよびBIP)、0.8μM変異体JAK2に対する特異的な蛍光自己アニーリング型ループプライマー(LB)、0.8μM野生型JAK2に対する自己アニーリング型非伸長性ループプライマー(LF)、1×バッファー溶液、1.4mM dNTPミックス、8U Bstポリメラーゼ。反応混合物の最終容量は、総反応容量の4/5でなくてはならない(すなわち、20μlの反応混合物+5μlサンプル)。試薬は常に氷上で維持する。3種の陰性対照(100%の野生型プラスミド、7e3cps/μl)、18種の陽性対照(3サンプルの100%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した1%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した0.5%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した0.1%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した0.05%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した0.01%変異体プラスミド、DNAの総量7e3cps/μl)および1種の標的なし対照を含む少なくとも23種のサンプルのために混合物を調製する。
【0110】
表6サンプル混合物組成
【表6】
【0111】
20μlの反応混合物をストリップ中に分配する。ストリップを氷上で維持する。今後、反応混合物を常に氷上で維持する。
【0112】
送られてきた溶液(WTプラスミドおよびMUTプラスミド)から標的の段階希釈物(「標的希釈物」)を調製する。送られてきた溶液は、7×1010コピー/μlである。変異体プラスミドを、まずTris 10mMで7×104コピー/μlに希釈し、次いで、変異体プラスミドをWTプラスミドで段階希釈して、以下の野生型バックグラウンドにおける変異体配列の濃度を得る。1%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%(試験管あたりの総量、7e3cps/μl)。
【0113】
3連で、ストリップに5μlの標的希釈物を加える。5μlの標的希釈物を、最低濃度のサンプルから出発して、最高濃度のサンプルへと加える。すべての試験管を閉じる。
【0114】
反応
反応は、図4の方法スキームにしたがう。
【0115】
65℃、1時間の一定の反応温度を得るよう、一定温度でのインキュベーションのためにリアルタイム機器をプログラムする。分あたりの蛍光読み取り値を得るようリアルタイム機器をプログラムする。
【0116】
プログラムを開始する直前にストリップを機器の中に入れる。プログラムを開始する。
【0117】
データ解析
反応物中の蛍光自己アニーリング型ループプライマーは、適切な波長発光によって励起されると蛍光シグナルを生じる。LAMP反応が進行すると、蛍光自己アニーリング型ループプライマーは、相補的標的配列とハイブリダイズし、その結果として、増幅生成物中に組み込まれる。蛍光自己アニーリング型ループプライマーは、5’末端に近接して少なくとも1つのグアニンヌクレオチドを含有する配列に対して相補的であるように設計される。グアニン塩基は、フルオロフォア(本発明者らの場合には、TAMRA)によって発光された波長を吸収でき、蛍光シグナルのクエンチングを引き起こす。この場合には、LAMP反応の際の標的配列増幅の検出は、分析中の各サンプルの閾値時間を見出すために、蛍光シグナルの減少を測定することに基づく。閾値時間は、反応蛍光シグナルが、50%のクエンチングに達する分である。各サンプルについて、閾値時間は、DNAコピー/μlの対数と相関する。
【0118】
結果
本アプローチは、特定のループプライマーの、変異体配列から形成されるダンベルとの選択的ハイブリダイゼーションをもたらす、このようなループプライマー設計に基づく変異体配列の選択的増幅からなる(図4)。本発明者らは、B1とB2との間に含まれるループ領域中に推定変異を提示するダンベル構造を得るよう、F3、B3、FIPおよびBIPオリゴヌクレオチドを含むユニバーサル(変異体非感受性)プライマーのセットを設計した。B2内またはB2とB1cの間のループ領域中に推定変異ヌクレオチドを含有する代替配列でこのような実験を実施した際には大きな相違は検出されなかった。本発明者らは、該プライマーセット中に、その自身の3’末端の配列と相補的であるその5’末端に、8塩基の配列領域を提示する特定のループプライマーを含めた。その結果として、この特別のループプライマーは、反応温度(65℃)でそのオープン型と平衡にある分子内ヘアピン構造を形成する。
【0119】
変異体JAK2配列がサンプル中に存在する場合には、このような改変されたループプライマーは、熱力学的平衡に従って、その内部構造を破壊して、相補的標的配列とハイブリダイズする(プライマーおよび特異的標的間のTm=65℃)。次いで、特異的な変異した標的とハイブリダイズされたループプライマーがポリメラーゼによって伸長され、増幅がさらに進行することができる。さらなる特徴として、JAK2 G→T変異に対して特異的なループプライマーは、分子内ヘアピン構造(65℃)よりも低い野生型標的配列とのTm(59℃)を示す。したがって、JAK2 WT配列を含有するサンプルでは、Tm値のこのような相違は、分子内力が分子間のものよりも高いので、非特異的標的と二本鎖を形成するよりもヘアピン構造にフォールディングすることを好む変異体特異的ステムループプライマーの自己隔離をもたらす。
【0120】
本発明者らは、臨床サンプル中に大過剰で存在している可能性が高い野生型配列に対するこのループプライマーの競合を制限するために、反応設定に、類似の構造を有し、JAK2野生型配列と相補的である核酸配列を含有する、すなわち、開始コドンから位置1849にG塩基を有する(GeneBank受託番号NM 004972)第2のループプライマーを含めた。
【0121】
この「競合者」ループプライマーの3’末端は、改変によって非伸長性にされる(3’ジデオキシ)。この競合者の役割は、野生型配列を「サイレントにし」、ひいては、特異的変異体プライマーがその標的を見出すことを可能にすることである。
【0122】
「競合者」プライマーが、特異的野生型配列を認識する場合には、より高い親和性に従って、その分子内構造を破壊して、WT標的とハイブリダイズする(WT標的およびWT特異的ステムループプライマーによって形成される二本鎖のTm=67℃)。WT標的とハイブリダイズされたステムループプライマーは、非伸長性であり、野生型配列の増幅をもたらさない。反応は、一定温度で実施されるので、WT特異的ステムループプライマーは、野生型対立遺伝子配列と結合しているままであり、ひいては、MUTループプライマーの非特異的ハイブリダイゼーションを妨げる。
【0123】
変異体特異的ステムループプライマーとは対照的に、「競合者」プライマーは、それ自体によって形成される分子内ヘアピン構造(65℃)よりも低い、変異体標的配列とのTm(62℃)を示す。したがって、分子間のものと比較して高い分子内力が、変異体標的配列と二本鎖を形成するよりもヘアピン構造にフォールディングすることを好む改変されたループプライマーの自己隔離を引き起こす。
【0124】
本発明者らは、リアルタイム機器で反応を追跡するために、変異体特異的ステムループプライマーの5’末端をFAM色素で標識した。本発明者らは、クエンチング効果を有する改変されたループプライマーの5’末端に存在するグアニン塩基に対するフルオロフォアの結合を回避するために、オリゴヌクレオチドの末端にチミン塩基を加えた。改変された標識されたプライマーは、溶液中に存在する場合には、適当な波長光で励起されると蛍光シグナルを発する。LAMP反応が始まり、進行する場合には、蛍光ステムループプライマーは、増幅生成物に組み込まれる。相補的核酸配列中に存在するグアニン塩基は、フルオロフォアによって発光される波長を吸収し、リアルタイムで蛍光シグナルの検出可能なクエンチングを引き起こすことができる。したがって、この「クエンチング効果」によって引き起こされる蛍光シグナルの減少を測定することによって、LAMP反応を介して増幅生成物の蓄積をモニタリングできる。
【実施例7】
【0125】
対照LAMP反応
試薬
JAK2プラスミドは、供給業者GeneArt(Regensburg、Germany)によって、野生型または変異体JAK2配列を含有するように合成された。詳細には、
「wtプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にG塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
−「mutプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にT塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
プライマー:「プライマー」と呼ばれる、Eurofins MWG Operonによって合成された。
−GA231(F3) 5’GCATCTTTATTATGGCAGAGAG3’(配列番号3)
−GA232(B3) 5’TGCTCTGAGAAAGGCATTA3’(配列番号4)
−GA233(FIP) 5’GCTGCTTCAAAGAAAGACTAAGGAAATGGACAACAGTCAAACAAC3’(配列番号5)
−GA234(BIP) 5’GCTTTCTCACAAGCATTTGGTTTTAAATTAGCCTGTAGTTTTACTTACTCTC3’(配列番号6)
反応バッファー:100mM Tris−HCl pH8.8、50mM KCl、40mM MgSO4、50mM(NH4)2SO4、0.5% Tween、「バッファー5×」
dNTPミックス25mM(Fermentas)、「dNTP」
Bst大断片ポリメラーゼ 8U/μl(New England Biolabs)、「ポリメラーゼ」
滅菌非発熱性水(SALF Spa)、「ddw」
【0126】
手順
サンプル調製
プライマーをアリコートで保存する。保存溶液を−20℃で保存することが良好であるが、作業中の希釈液は4℃で保存されるべきである。
【0127】
以下のとおりの反応混合物を調製する。0.2μM外側プライマー(F3およびB3)、1.6μM内側プライマー(FIPおよびBIP)、1×バッファー溶液、1.4mM dNTPミックス、8U Bstポリメラーゼ。反応混合物の最終容量は、総反応容量の4/5でなくてはならない(すなわち、20μlの反応混合物+5μlサンプル)。試薬は常に氷上で維持する。3種の陰性対照(100%の野生型プラスミド、7e3cps/μl)、9種の陽性対照(3サンプルの100%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した10%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した1%変異体プラスミド)および1種の標的なし対照を含む少なくとも23種のサンプルのために混合物を調製する。
【0128】
表7サンプル混合物組成
【表7】
【0129】
20μlの反応混合物をストリップ中に分配する。ストリップを氷上で維持する。今後、反応混合物を常に氷上で維持する。
【0130】
送られてきた溶液(WTプラスミドおよびMUTプラスミド)から標的の段階希釈物(「標的希釈物」)を調製する。送られてきた溶液は、7×1010コピー/μlである。変異体プラスミドを、まずTris 10mMで7×104コピー/μlに希釈し、次いで、変異体プラスミドをWTプラスミドで段階希釈して、以下の野生型バックグラウンドにおける変異体配列の濃度を得る。10%、1%(試験管あたりの総量、7e3cps/μl)。
【0131】
3連で、ストリップに5μlの標的希釈物を加える。5μlの標的希釈物を、最低濃度のサンプルから出発して、最高濃度のサンプルへと加える。すべての試験管を閉じる。
【0132】
反応
反応は、図11の方法スキームにしたがう。
【0133】
65℃、1時間の一定の反応温度を得るよう、一定温度でのインキュベーションおよび濁度のリアルタイムモニタリングのために濁度計(Teramecs)をプログラムする。
【0134】
プログラムを開始する直前にストリップを機器の中に入れる。プログラムを開始する。
【0135】
データ解析
分析される各サンプルの閾値時間を見出すために、a.u.を単位として吸光度の変化を分析する。閾値時間は、サンプル吸光度が、ベースラインを差し引いた後に、閾値に相当する任意単位の値(この場合には、0.1a.u.)に達する分である。各サンプルによって到達される閾値時間は、そのDNAコピー/μlの対数と相関する。
【0136】
結果
本アプローチは、F3、B3、FIPおよびBIPプライマーを使用することによるJAK2遺伝子配列の変異体−非感受性増幅からなる(図11)。本発明者らは、反応混合物からPNAおよび変異体特異的ステムループプライマーを除いて、「実施例4」において記載される同じプライマーセットを使用した。「LAMP対照アッセイ」における標的配列増幅の検出は、鋳型に対するプライマーの正しい塩基マッチング、効率的な伸長条件および反応溶液中の阻害剤の不在などの種々の品質パラメータを示す。逆に、「LAMP対照アッセイ」における核酸サンプル増幅の不在または遅延は、反応設定(すなわち、バッファー組成、温度、プライマーの品質、..)における問題または反応混合物中の阻害剤の存在を強調する。
【0137】
このようなアッセイ対照法を評価するために、臨床サンプルパネルを、G→T変異の検出に特異的なLAMPアッセイ(実施例4)および「LAMP対照アッセイ」の両方を使用して2連で分析した。標的核酸配列が、両アッセイにおいて増幅される場合には、有効な結果が得られ、サンプルは、V617F変異を保有すると考えられる。標的核酸配列が、「PNAを伴うJAK2−改変LAMPステムループプライマー戦略」によってではなく「LAMP対照アッセイ」によって増幅される場合には、やはり有効な結果が得られ、サンプルは野生型JAK2サンプルとして診断される。「LAMP対照アッセイ」において標的配列増幅がない場合には、分析は、有効でないと考えられるべきである。
【0138】
「LAMP対照アッセイ」の評価を、それぞれ7e3cps/μl野生型および変異体プラスミドを含有するDNAプラスミドサンプルで、および野生型バックグラウンド中10%および1%変異体プラスミド、全35000コピーを含有するサンプルで実施した(図12)。すべての試験した核酸サンプルが、同程度の増幅効率を示し、したがって、反応阻害剤の不在を示した。
【実施例8】
【0139】
「PNAを伴うLAMPステムループプライマー」アッセイを使用するサンプル中の変異体JAK2配列の量の推定
試薬
JAK2プラスミドは、供給業者GeneArt(Regensburg、Germany)によって、野生型または変異体JAK2配列を含有するように合成された。詳細には、
−「wtプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にG塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
−「mutプラスミド」と呼ばれるJAK2プラスミド、このインサートは、ヌクレオチド93526にT塩基を含む配列番号2の配列93249〜93731に対応する。
プライマー:「プライマー」と呼ばれる、Eurofins MWG Operonによって合成された。
−GA231(F3) 5’GCATCTTTATTATGGCAGAGAG3’(配列番号3)
−GA232(B3) 5’TGCTCTGAGAAAGGCATTA3’(配列番号4)
−GA233(FIP) 5’GCTGCTTCAAAGAAAGACTAAGGAAATGGACAACAGTCAAACAAC3’(配列番号5)
−GA234(BIP)5’GCTTTCTCACAAGCATTTGGTTTTAAATTAGCCTGTAGTTTTACTTACTCTC3’(配列番号6)
−GA236(LB) 5’GTCTCCACTGGAGTATGTTTCTGTGGAGAC3’(配列番号8)
下線を引いた塩基は、JAK2コード配列(GeneBank受託番号NM 004972)のATG開始コドンから位置1849の変異したヌクレオチドに相当する。
PNA:Eurogentec、「PNA」と呼ばれる、GM43 NH2GAGTATGTGTCTGTGGACOOH(配列番号9)
下線を引いた塩基は、JAK2コード配列(GeneBank受託番号NM 004972)中のATG開始コドンから位置1849の野生型ヌクレオチドに対応する。
反応バッファー:100mM Tris−HCl pH8.8、50mM KCl、40mM MgSO4、50mM(NH4)2SO4、0.5% Tween、「バッファー5×」
dNTPミックス25mM(Fermentas)、「dNTP」
Bst大断片ポリメラーゼ 8U/μl(New England Biolabs)、「ポリメラーゼ」
滅菌非発熱性水(SALF Spa)、「ddw」
【0140】
手順
サンプル調製
プライマーをアリコートで保存する。保存溶液を−20℃で保存することが良好であるであるが、作業中の希釈液は4℃で保存されるべきである。
【0141】
反応混合物は以下のとおりに調製する。0.2μM外側プライマー(F3およびB3)、1.6μM内側プライマー(FIPおよびBIP)、0.8μM変異体JAK2に対して特異的な自己アニーリング型ループプライマー(LB)、0.8uM PNA、1×バッファー溶液、1.4mM dNTPミックス、8U Bstポリメラーゼ。反応混合物の最終容量は、総反応容量の4/5でなくてはならない(すなわち、20μlの反応混合物+5μlサンプル)。試薬は常に氷上で維持する。3種の陰性対照(100%野生型プラスミド、7e3cps/μl)、9種の陽性標準物質対照(3サンプルの100%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した10%変異体プラスミド、3サンプルのWTプラスミドで希釈した1%変異体プラスミド)および1種の標的なし対照を含む少なくとも23種のサンプルのために混合物を調製する。
【0142】
表8サンプル混合物組成
【表8】
【0143】
20μlの反応混合物をストリップ中に分配する。ストリップを氷上で維持する。今後、反応混合物を常に氷上で維持する。
【0144】
送られてきた溶液(WTプラスミドおよびMUTプラスミド)から標的の段階希釈物(「標的希釈物」)を調製する。送られてきた溶液は、7×1010コピー/μlである。変異体プラスミドを、まずTris 10mMで7×104コピー/μlに希釈し、次いで、変異体プラスミドをWTプラスミドで段階希釈して、以下の野生型バックグラウンドにおける変異体配列の濃度を得る。10%、1%(試験管あたりの総量、7e3cps/μl)。
【0145】
3連で、ストリップに5μlの標的希釈物を加える。5μlの標的希釈物を、低濃度のサンプルから出発して、最高濃度のサンプルへと加える。すべての試験管を閉じる。
【0146】
反応
反応は、図5の方法スキームにしたがう。
【0147】
65℃、1時間の一定の反応温度を得るよう、一定温度でのインキュベーションおよび濁度のリアルタイムモニタリングのために濁度計(Teramecs)をプログラムする。
【0148】
プログラムを開始する直前にストリップを機器の中に入れる。プログラムを開始する。
【0149】
データ解析
分析される各サンプルの閾値時間を見出すために、a.u.を単位として吸光度の変化を分析する。閾値時間は、サンプル吸光度が、ベースラインを差し引いた後に、閾値に相当する任意単位の値(この場合には、0.1a.u.)に達する分である。各サンプルによって到達される閾値時間は、そのDNAコピー/μlの対数と相関する。
【0150】
結果
患者のサブセットは、JAK2 V617F対立遺伝子についてホモ接合性である1。ホモ接合性の機序は、有糸分裂組換えおよび後天性片親性ダイソミーとして知られる変異体対立遺伝子の複製に起因する1。JAK2変異体対立遺伝子のヘテロ接合性またはホモ接合性は、予後と相関し、ひいては、サンプル中のJAK2変異体対立遺伝子コピーの量が、50%よりも高いか低いかを決定することの重要性をもたらす。
【0151】
本アプローチに従って、未知サンプルは、実施例4に先に記載される「PNAを伴うLAMPステムループプライマー」アッセイを使用して、非希釈および1:5希釈として分析される。さらに、アッセイ設定は、それぞれ、野生型バックグラウンド中100%、10%および1%変異体JAK2プラスミドコピーを含有する3種の標準物質サンプルを含む。核酸サンプル中の変異体JAK2標的配列の量が50%よりも高い場合には、前記標的配列のリアルタイム増幅は、非希釈サンプル(図13、パネルA)および1:5希釈されたサンプル(図13、パネルB)の両場合において、100%標準物質から10%標準物質の増幅閾値分の間の時間で検出される。非希釈サンプル中の標的アンプリコンは、標準物質10%においてよりも早く検出される(図13、パネルA)が、対応する1:5希釈サンプルにおける増幅閾値分は、標準物質10%の分(t)から標準物質1%の分(t)間の時間で測定される(図13、パネルB)ので、50%未満の変異体JAK2配列量を含有する核酸サンプルについては、異なる増幅性能が検出される。
【0152】
本アプローチは、対照サンプル(7e3cps/μl野生型プラスミド、6.3e3cps/μl野生型プラスミド中の7e2cps/μl変異体プラスミド、6.93e3cps/μl野生型プラスミド中の7e1cps/μl変異体プラスミド)で、50%より高い割合の野生型バックグラウンドにおける変異体JAK2プラスミドの混合物(それぞれ60%、70%、80%、90%)からなる4種のサンプルで、および50%以下の割合の野生型バックグラウンドにおける変異体JAK2プラスミドの混合物(それぞれ40%、30%、20%)からなる4種のサンプルで、「PNAを伴うLAMPステムループプライマー」反応を実施することによって試験された。対照を除いて、すべてのサンプルを、非希釈(各反応に対して5μlの7e3cps/μl)およびTris−HCl 10mMで1:5希釈したものとして分析した。
【0153】
50%超の変異体JAK2対立遺伝子コピーを含有し、1:5希釈した試験サンプルについて、標的配列増幅を、100%標準物質における対応する配列の増幅の後および10%標準物質の前に検出した(図14)。
【0154】
50%量の変異体JAK2対立遺伝子コピーを提示し、1:5希釈した試験サンプルについて、標的配列増幅が10%標準物質サンプルに関する同一閾値分で示された(図15)。
【0155】
50%未満の変異体JAK2対立遺伝子コピーを含有し、1:5希釈された試験サンプルについて、標的配列増幅を、標準物質10%および1%の増幅時間の間の中間閾値分で検出した(図15)。
【0156】
したがって、本アプローチを使用して、核酸サンプル中のJAK2変異体対立遺伝子コピーの量が、50%よりも高いか低いかを推定することが可能である。このような情報は、サンプルにおける「ヘテロ接合性またはホモ接合性」についての指標を提供し、これが、次には、疾患予後と相関するので、臨床上極めて関連がある。
【0157】
参考文献
【特許請求の範囲】
【請求項1】
野生型核酸分子のバックグラウンドにおける標的核酸分子中の点変異の存在を検出する方法であって、
1)核酸サンプルを提供する工程、
2)適当な反応条件下で、前記核酸サンプルを、オリゴヌクレオチドの混合物およびハイブリダイゼーション条件下で鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼを含む溶液と接触させる工程であって、前記のオリゴヌクレオチドの混合物が、検出されるべき点変異の核酸位置を含む標的核酸分子の領域のループ媒介性等温増幅に適したプライマーからなり、前記プライマーが、
i.第1の外側プライマーF3および第2の外側プライマーB3、
ii.第1の内側プライマーFIPおよび第2の内側プライマーBIP、
iii.ステムループ変異体伸長性プライマー、
iv.野生型核酸分子を選択的に認識し、ハイブリダイズできる非伸長性部分
を含み、
ここに、FIPが、3’核酸配列F2および5’核酸配列F1cからなり、BIPが、3’核酸配列B2および5’核酸配列B1cからなり、
F2がF2cと呼ばれる標的核酸分子の領域を認識およびハイブリダイズでき、B2が、B2cと呼ばれる標的核酸分子の領域を認識およびハイブリダイズでき、
F2cおよびB2cが、標的核酸分子の反対側の鎖に位置する異なる領域であり、
B2cが点変異の下流にあるか、またはF2cが点変異の上流にあるかのいずれかであり、
B2cが点変異の下流にある場合には、前記点変異は、F2c配列中に位置するか、またはF2c配列の下流であってF1c配列の上流に位置し、
F2cが点変異の上流にある場合には、前記点変異は、B2c配列中に位置するか、またはB2c配列の上流であってB1c配列の下流に位置し、
前記ステムループ変異体伸長性プライマーが、
−中央ループ配列が、点変異が存在する場合にのみ、標的核酸分子を認識し、ハイブリダイズできるように、点変異を含む標的核酸分子の領域を選択的に認識し、ハイブリダイズすることができる中央ループ配列と、
−分子内ハイブリダイゼーションの際にステムを形成するように互いに相補的である、5’末端配列および3’末端配列と
を含み、
点変異を含む標的核酸分子の領域に対する中央ループ配列のハイブリダイゼーション親和性が、3’配列に対する5’配列の分子内ハイブリダイゼーション親和性より高く、その結果、点変異が存在する場合に、中央ループ配列が、点変異を含む標的核酸分子の領域とアニールし、増幅する、工程、
3)得られた混合物を一定温度でインキュベートする工程、
4)点変異を含む標的核酸分子の領域の増幅を示すシグナルを検出する工程
を含む方法。
【請求項2】
点変異が、F2c配列とF1c配列との間またはB2c配列とB1c配列との間の領域中に位置する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
点変異が、F2c配列中またはB2c配列中に位置する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステムループ変異体伸長性プライマーの5’末端配列および3’末端配列の各々が、少なくとも3ヌクレオチドの長さである、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
非伸長性部分が、ペプチド核酸(PNA)である、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
PNAが、少なくとも10塩基の長さである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
PNA塩基配列は、点変異の不在下における標的核酸分子とのPNAのハイブリダイゼーションに起因する二本鎖構造の融解温度(Tm=X)がインキュベーション温度よりも高く、点変異の存在下における標的核酸分子とのPNAのハイブリダイゼーションに起因する二本鎖構造の融解温度(Tm=Y)がインキュベーション温度よりも低いようなものであり、さらに、Xが、Yよりも少なくとも5℃高い、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
非伸長性部分が、
−検出されるべき点変異の核酸位置を含む野生型核酸分子の領域を選択的に認識し、ハイブリダイズできる中央ループ配列、
−分子内ハイブリダイゼーションの際にステムを形成するよう互いに相補的である5’末端配列および3’末端配列
を含むステムループ野生型非伸長性プライマーであり、
検出されるべき点変異の核酸位置を含む野生型核酸分子の領域に対する、中央ループ配列のハイブリダイゼーション親和性が、3’末端配列に対する5’末端配列の分子内ハイブリダイゼーション親和性より高く、その結果、中央ループ配列が、検出されるべき点変異の核酸位置を含む野生型核酸分子の領域とアニールし、それによって、増幅を阻止する、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
DNAポリメラーゼが、Bst大断片ポリメラーゼ、Bca(exo−)、Vent、Vent(exo−)、Deep Vent、Deep Vent(exo−)、Φ29ファージ、MS−2ファージ、Z−Taq、KOD、クレノウ断片およびその任意の組合せからなる群から選択される、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
検出されるべき点変異が、配列番号1の位置2343のg→t変異である、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
第1の外側プライマーF3が、配列番号3からなり、第2の外側プライマーB3が、配列番号4からなり、第1の内側プライマーFIPが、配列番号5からなり、第2の内側プライマーBIPが、配列番号6からなり、ステムループ変異体伸長性プライマーが、配列番号8からなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
以下の塩基配列
NH2−GAGTATGTGTCTGTGGA−COOH(配列番号9)
を有するPNAであり、ここで、Gがグアニンであり、Aがアデニンであり、Tがチミンであり、Cがシトシンである、非伸長性部分をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
サンプルから得られた点変異を含む標的核酸分子の領域の増幅を示すシグナルを、少なくとも1種の標準物質から得られた前記シグナルと定量的に比較することによって、点変異が、ホモ接合型またはヘテロ接合型であるかを評価する工程をさらに含む、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1種の標準物質が、野生型核酸分子のバックグラウンドにおける所定のパーセンテージ(%)の変異体標的核酸分子からなり、前記の所定のパーセンテージ(%)が、好ましくは、約10%である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ループ媒介性等温増幅によって、野生型核酸分子のバックグラウンドにおける標的核酸分子中の点変異の存在を検出するためのプライマーのセットであって、
i.第1の外側プライマーF3および第2の外側プライマーB3、
ii.第1の内側プライマーFIPおよび第2の内側プライマーBIP、
iii.ステムループ変異体伸長性プライマー
を含み、
ここに、FIPが、3’核酸配列F2および5’核酸配列F1cからなり、BIPが、3’核酸配列B2および5’核酸配列B1cからなり、
F2がF2cと呼ばれる標的核酸分子の領域と相補的であり、B2が、B2cと呼ばれる標的核酸分子の領域と相補的であり、
F2cおよびB2cが、標的核酸分子の反対側の鎖に位置する非重複領域であり、
B2cが点変異の下流にあるか、またはF2cが点変異の上流にあるかのいずれかであり、
B2cが点変異の下流にある場合には、前記点変異は、F2c配列中もしくはF2c配列とF1c配列の間に位置し、または
F2cが点変異の上流にある場合には、前記点変異は、B2c配列中もしくはB2c配列とB1c配列の間に位置し、
前記ステムループ変異体伸長性プライマーが、
−点変異を含む標的核酸分子の領域と相補的である中央ループ配列、
−分子内ハイブリダイゼーションの際にステムを形成するよう互いに相補的である5’末端配列および3’末端配列
を含み、
点変異を含む標的核酸分子の領域に対する中央ループ配列のハイブリダイゼーション親和性が、5’配列の3’配列に対する分子内ハイブリダイゼーション親和性よりも高い、プライマーのセット。
【請求項16】
ステムループ変異体伸長性プライマーの5’末端配列および3’末端配列の各々が、少なくとも3ヌクレオチドの長さである、請求項15に記載のプライマーのセット。
【請求項17】
野生型核酸分子とハイブリダイズできる非伸長性部分をさらに含む、請求項15または16に記載のプライマーのセット。
【請求項18】
非伸長性部分が、ペプチド核酸(PNA)である、請求項17に記載のプライマーのセット。
【請求項19】
PNAが、少なくとも10塩基の長さである、請求項18に記載のプライマーのセット。
【請求項20】
非伸長性部分が、
−検出されるべき点変異の核酸位置を含む野生型核酸分子の領域と相補的である中央ループ配列、
−分子内ハイブリダイゼーションの際にステムを形成するよう互いに相補的である5’末端配列および3’末端配列
を含むステムループ非伸長性プライマーであり、
検出されるべき点変異の核酸位置を含む野生型核酸分子の領域に対する中央ループ配列のハイブリダイゼーション親和性が、3’末端配列に対する5’末端配列の分子内ハイブリダイゼーション親和性よりも高い、請求項15または16に記載のプライマーのセット。
【請求項21】
第1の外側プライマーF3が、配列番号3からなり、第2の外側プライマーB3が、配列番号4からなり、第1の内側プライマーFIPが、配列番号5からなり、第2の内側プライマーBIPが、配列番号6からなり、ステムループ変異体伸長性プライマーが、配列番号8からなる、請求項15から20のいずれかに記載のプライマーのセット。
【請求項22】
以下の塩基配列
NH2−GAGTATGTGTCTGTGGA−COOH(配列番号9)を有するPNAであり、ここで、Gがグアニンであり、Aがアデニンであり、Tがチミンであり、Cがシトシンである非伸長性部分をさらに含む、請求項21に記載のプライマーのセット。
【請求項23】
ループ媒介性等温増幅によって、野生型核酸分子のバックグラウンドにおける標的核酸分子中の点変異の存在を検出するためのキットであって、請求項15から22のいずれかに記載のプライマーのセットと、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼとを含む、キット。
【請求項24】
DNAポリメラーゼが、Bst大断片ポリメラーゼ、Bca(exo−)、Vent、Vent(exo−)、Deep Vent、Deep Vent(exo−)、Φ29ファージ、MS−2ファージ、Z−Taq、KOD、クレノウ断片およびその任意の組合せからなる群から選択される、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
1種または複数の標準物質をさらに含む、請求項23または24に記載のキット。
【請求項26】
配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される単離オリゴヌクレオチド。
【請求項27】
配列番号2の位置93526を含むJAK2ゲノムDNA(配列番号2)の領域、または配列番号1の位置2343を含むJAK2cDNA(配列番号1)の領域とハイブリダイズできる塩基配列を含む、6〜24塩基の長さのペプチド核酸(PNA)。
【請求項28】
以下の塩基配列
NH2−GAGTATGTGTCTGTGGA−COOH(配列番号9)を含み、ここで、Gがグアニンであり、Aがアデニンであり、Tがチミンであり、Cがシトシンである、請求項27に記載のペプチド核酸(PNA)。
【請求項1】
野生型核酸分子のバックグラウンドにおける標的核酸分子中の点変異の存在を検出する方法であって、
1)核酸サンプルを提供する工程、
2)適当な反応条件下で、前記核酸サンプルを、オリゴヌクレオチドの混合物およびハイブリダイゼーション条件下で鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼを含む溶液と接触させる工程であって、前記のオリゴヌクレオチドの混合物が、検出されるべき点変異の核酸位置を含む標的核酸分子の領域のループ媒介性等温増幅に適したプライマーからなり、前記プライマーが、
i.第1の外側プライマーF3および第2の外側プライマーB3、
ii.第1の内側プライマーFIPおよび第2の内側プライマーBIP、
iii.ステムループ変異体伸長性プライマー、
iv.野生型核酸分子を選択的に認識し、ハイブリダイズできる非伸長性部分
を含み、
ここに、FIPが、3’核酸配列F2および5’核酸配列F1cからなり、BIPが、3’核酸配列B2および5’核酸配列B1cからなり、
F2がF2cと呼ばれる標的核酸分子の領域を認識およびハイブリダイズでき、B2が、B2cと呼ばれる標的核酸分子の領域を認識およびハイブリダイズでき、
F2cおよびB2cが、標的核酸分子の反対側の鎖に位置する異なる領域であり、
B2cが点変異の下流にあるか、またはF2cが点変異の上流にあるかのいずれかであり、
B2cが点変異の下流にある場合には、前記点変異は、F2c配列中に位置するか、またはF2c配列の下流であってF1c配列の上流に位置し、
F2cが点変異の上流にある場合には、前記点変異は、B2c配列中に位置するか、またはB2c配列の上流であってB1c配列の下流に位置し、
前記ステムループ変異体伸長性プライマーが、
−中央ループ配列が、点変異が存在する場合にのみ、標的核酸分子を認識し、ハイブリダイズできるように、点変異を含む標的核酸分子の領域を選択的に認識し、ハイブリダイズすることができる中央ループ配列と、
−分子内ハイブリダイゼーションの際にステムを形成するように互いに相補的である、5’末端配列および3’末端配列と
を含み、
点変異を含む標的核酸分子の領域に対する中央ループ配列のハイブリダイゼーション親和性が、3’配列に対する5’配列の分子内ハイブリダイゼーション親和性より高く、その結果、点変異が存在する場合に、中央ループ配列が、点変異を含む標的核酸分子の領域とアニールし、増幅する、工程、
3)得られた混合物を一定温度でインキュベートする工程、
4)点変異を含む標的核酸分子の領域の増幅を示すシグナルを検出する工程
を含む方法。
【請求項2】
点変異が、F2c配列とF1c配列との間またはB2c配列とB1c配列との間の領域中に位置する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
点変異が、F2c配列中またはB2c配列中に位置する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステムループ変異体伸長性プライマーの5’末端配列および3’末端配列の各々が、少なくとも3ヌクレオチドの長さである、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
非伸長性部分が、ペプチド核酸(PNA)である、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
PNAが、少なくとも10塩基の長さである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
PNA塩基配列は、点変異の不在下における標的核酸分子とのPNAのハイブリダイゼーションに起因する二本鎖構造の融解温度(Tm=X)がインキュベーション温度よりも高く、点変異の存在下における標的核酸分子とのPNAのハイブリダイゼーションに起因する二本鎖構造の融解温度(Tm=Y)がインキュベーション温度よりも低いようなものであり、さらに、Xが、Yよりも少なくとも5℃高い、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
非伸長性部分が、
−検出されるべき点変異の核酸位置を含む野生型核酸分子の領域を選択的に認識し、ハイブリダイズできる中央ループ配列、
−分子内ハイブリダイゼーションの際にステムを形成するよう互いに相補的である5’末端配列および3’末端配列
を含むステムループ野生型非伸長性プライマーであり、
検出されるべき点変異の核酸位置を含む野生型核酸分子の領域に対する、中央ループ配列のハイブリダイゼーション親和性が、3’末端配列に対する5’末端配列の分子内ハイブリダイゼーション親和性より高く、その結果、中央ループ配列が、検出されるべき点変異の核酸位置を含む野生型核酸分子の領域とアニールし、それによって、増幅を阻止する、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
DNAポリメラーゼが、Bst大断片ポリメラーゼ、Bca(exo−)、Vent、Vent(exo−)、Deep Vent、Deep Vent(exo−)、Φ29ファージ、MS−2ファージ、Z−Taq、KOD、クレノウ断片およびその任意の組合せからなる群から選択される、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
検出されるべき点変異が、配列番号1の位置2343のg→t変異である、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
第1の外側プライマーF3が、配列番号3からなり、第2の外側プライマーB3が、配列番号4からなり、第1の内側プライマーFIPが、配列番号5からなり、第2の内側プライマーBIPが、配列番号6からなり、ステムループ変異体伸長性プライマーが、配列番号8からなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
以下の塩基配列
NH2−GAGTATGTGTCTGTGGA−COOH(配列番号9)
を有するPNAであり、ここで、Gがグアニンであり、Aがアデニンであり、Tがチミンであり、Cがシトシンである、非伸長性部分をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
サンプルから得られた点変異を含む標的核酸分子の領域の増幅を示すシグナルを、少なくとも1種の標準物質から得られた前記シグナルと定量的に比較することによって、点変異が、ホモ接合型またはヘテロ接合型であるかを評価する工程をさらに含む、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1種の標準物質が、野生型核酸分子のバックグラウンドにおける所定のパーセンテージ(%)の変異体標的核酸分子からなり、前記の所定のパーセンテージ(%)が、好ましくは、約10%である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ループ媒介性等温増幅によって、野生型核酸分子のバックグラウンドにおける標的核酸分子中の点変異の存在を検出するためのプライマーのセットであって、
i.第1の外側プライマーF3および第2の外側プライマーB3、
ii.第1の内側プライマーFIPおよび第2の内側プライマーBIP、
iii.ステムループ変異体伸長性プライマー
を含み、
ここに、FIPが、3’核酸配列F2および5’核酸配列F1cからなり、BIPが、3’核酸配列B2および5’核酸配列B1cからなり、
F2がF2cと呼ばれる標的核酸分子の領域と相補的であり、B2が、B2cと呼ばれる標的核酸分子の領域と相補的であり、
F2cおよびB2cが、標的核酸分子の反対側の鎖に位置する非重複領域であり、
B2cが点変異の下流にあるか、またはF2cが点変異の上流にあるかのいずれかであり、
B2cが点変異の下流にある場合には、前記点変異は、F2c配列中もしくはF2c配列とF1c配列の間に位置し、または
F2cが点変異の上流にある場合には、前記点変異は、B2c配列中もしくはB2c配列とB1c配列の間に位置し、
前記ステムループ変異体伸長性プライマーが、
−点変異を含む標的核酸分子の領域と相補的である中央ループ配列、
−分子内ハイブリダイゼーションの際にステムを形成するよう互いに相補的である5’末端配列および3’末端配列
を含み、
点変異を含む標的核酸分子の領域に対する中央ループ配列のハイブリダイゼーション親和性が、5’配列の3’配列に対する分子内ハイブリダイゼーション親和性よりも高い、プライマーのセット。
【請求項16】
ステムループ変異体伸長性プライマーの5’末端配列および3’末端配列の各々が、少なくとも3ヌクレオチドの長さである、請求項15に記載のプライマーのセット。
【請求項17】
野生型核酸分子とハイブリダイズできる非伸長性部分をさらに含む、請求項15または16に記載のプライマーのセット。
【請求項18】
非伸長性部分が、ペプチド核酸(PNA)である、請求項17に記載のプライマーのセット。
【請求項19】
PNAが、少なくとも10塩基の長さである、請求項18に記載のプライマーのセット。
【請求項20】
非伸長性部分が、
−検出されるべき点変異の核酸位置を含む野生型核酸分子の領域と相補的である中央ループ配列、
−分子内ハイブリダイゼーションの際にステムを形成するよう互いに相補的である5’末端配列および3’末端配列
を含むステムループ非伸長性プライマーであり、
検出されるべき点変異の核酸位置を含む野生型核酸分子の領域に対する中央ループ配列のハイブリダイゼーション親和性が、3’末端配列に対する5’末端配列の分子内ハイブリダイゼーション親和性よりも高い、請求項15または16に記載のプライマーのセット。
【請求項21】
第1の外側プライマーF3が、配列番号3からなり、第2の外側プライマーB3が、配列番号4からなり、第1の内側プライマーFIPが、配列番号5からなり、第2の内側プライマーBIPが、配列番号6からなり、ステムループ変異体伸長性プライマーが、配列番号8からなる、請求項15から20のいずれかに記載のプライマーのセット。
【請求項22】
以下の塩基配列
NH2−GAGTATGTGTCTGTGGA−COOH(配列番号9)を有するPNAであり、ここで、Gがグアニンであり、Aがアデニンであり、Tがチミンであり、Cがシトシンである非伸長性部分をさらに含む、請求項21に記載のプライマーのセット。
【請求項23】
ループ媒介性等温増幅によって、野生型核酸分子のバックグラウンドにおける標的核酸分子中の点変異の存在を検出するためのキットであって、請求項15から22のいずれかに記載のプライマーのセットと、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼとを含む、キット。
【請求項24】
DNAポリメラーゼが、Bst大断片ポリメラーゼ、Bca(exo−)、Vent、Vent(exo−)、Deep Vent、Deep Vent(exo−)、Φ29ファージ、MS−2ファージ、Z−Taq、KOD、クレノウ断片およびその任意の組合せからなる群から選択される、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
1種または複数の標準物質をさらに含む、請求項23または24に記載のキット。
【請求項26】
配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される単離オリゴヌクレオチド。
【請求項27】
配列番号2の位置93526を含むJAK2ゲノムDNA(配列番号2)の領域、または配列番号1の位置2343を含むJAK2cDNA(配列番号1)の領域とハイブリダイズできる塩基配列を含む、6〜24塩基の長さのペプチド核酸(PNA)。
【請求項28】
以下の塩基配列
NH2−GAGTATGTGTCTGTGGA−COOH(配列番号9)を含み、ここで、Gがグアニンであり、Aがアデニンであり、Tがチミンであり、Cがシトシンである、請求項27に記載のペプチド核酸(PNA)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2012−531919(P2012−531919A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518855(P2012−518855)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058022
【国際公開番号】WO2011/003690
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(512006402)バイオトリン・インターナショナル・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】BIOTRIN INTERNATIOANL LIMITED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058022
【国際公開番号】WO2011/003690
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(512006402)バイオトリン・インターナショナル・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】BIOTRIN INTERNATIOANL LIMITED
【Fターム(参考)】
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