説明

点心成型具

【課題】
本発明は、手作業による成型の種々の問題点を解消し、単に成型具の外側部を握るという単純な動作により、側壁部が押し上げられ自動的に同時に均等に立ち上がり、該側壁部が閉じることにより、形の整った柱状のシュウマイや形の整った適量のヒダを形成した小籠包を均一の大きさに仕上げることができ、手作業で効果的に効率良く、しかも簡単に素早く、手先の器用さに左右されず、また熟練を要することなく、誰でも簡単にシュウマイや小籠包などの蒸し物類の点心を成型することができる操作性の容易な成型具を提供すること。
【解決手段】
本発明は、底部周縁に複数の側壁部を放射状に折り曲げ自在に固着した上部材と、台座部周縁に複数の外側部を上記側壁部に対向して放射状に折り曲げ自在に固着した下部材とからなり、これら上部材の側壁部と該側壁部に対向する下部材の外側部とをお互いに着脱可能に係合して連結した点心成型具である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホテル,旅館,民宿,料理店,惣菜店や一般家庭などにおいて、手作業でシュウマイ,中華饅頭や小籠包などいわゆる蒸し物類の点心を成型する道具に関するもので、熟練を要することなく誰でも簡単に素早く確実に、しかも綺麗に成型することができる点心成型具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
食事というものは、食べて美味しく味わえることが最も大切なことであるが、見た目にも美しいものであることが望ましい。そして、家族揃って食事をすることは、非常に大事なことである。一般の家庭においては、その家族の為に母親が手作りで食事の用意をすることが常であり、母親の調理した味が、お袋の味として子々孫々に受け継がれているのである。
世界には、日本料理を始めとして、フランス料理,イタリア料理,中華料理,インド料理など、それぞれの国特有の料理がある。中でも、中華料理は日本においても沢山の人々に愛されており、特に種々の料理の中でシュウマイやギョウザなどの点心は、日常の食卓にのぼることが多い。その他、中華饅頭や少々高価な小籠包も食卓にのぼることがある。このシュウマイ,ギョウザ,中華饅頭や小籠包などの点心は、大人から子供まで好まれている。
【0003】
このシュウマイを作るには、ヘラあるいはスプーンを使って成型しているのが一般的である。親指と人差し指で輪をつくり、中指あるいは薬指で底部を形成し、シュウマイの皮をその輪の上に載せ、ヘラあるいはスプーンで適量の具を載せ、クルクル回しながら形を整えつつ該具を輪の中へ押し込むようにしてシュウマイを成型する。簡単なようであるが、この作業は、熟練を要し非常に難しい。
また、小籠包の作り方については、インターネットで調査してみると、家庭においても挑戦できるよう、レシピと共に作り方も紹介されている。これらによると、小籠包を成型するのは非常に難しいけれども、家庭で食するものであるから、体裁にこだわることなく簡易的に周縁部を指で摘まんでヒダを形成し、最後にこれらのヒダをねじることにより小籠包らしく成型するというものである。小籠包は、シュウマイやギョウザに比べ成型により一層の手間と熟練を要し、成型が非常に難しいため高価となるものであり、手軽に食することが難しい。ある中華料理店では、小籠包と同じ具材でギョウザの形にしたものを提供している。形はギョウザであるが、味は小籠包を楽しもうというものである。
【0004】
いずれにしても、このシュウマイや小籠包は、ギョウザと同様に我々の日常において、家庭料理として親しまれており、度々食卓にのぼる手軽で美味しい料理である。しかし、このシュウマイや小籠包は上記のとおり、手作業で成型するのが一般的であるけれども、これを成型するには手先の器用さが要求され、形の整った柱状あるいは中華饅頭や小籠包のような饅頭型に、しかも大きさの均一なものに仕上げることは大変手間がかかると共に熟練を要し非常に難しい。このように、調理する料理人や主婦などにとって、シュウマイや小籠包の成型作業は、単調な作業であるにもかかわらず神経をつかわなければいけないので、多大な労力と時間を費やし労苦を与えるものである。
【0005】
ところで、このように点心と言えば、シュウマイ,ギョウザ,中華饅頭や小籠包などのような蒸し物類が代表的であるが、現実はこのような蒸し物類の他、ゼリーや菓子などのスイーツ類,春巻きなどの揚げ物類,お粥,麺類やチャーハンなど多数の種類を含めた総称である。本発明は、これら点心の中で、特にシュウマイ,中華饅頭や小籠包のような蒸し物類の点心の成型具を提供しようとするものである。
なお、シュウマイ,ギョウザ,中華饅頭や小籠包などを一般的に蒸し物類の点心と称しているが、現実には焼シュウマイ,焼ギョウザや焼小籠包もあるので、本発明では蒸し物類の点心と言っても蒸すということに特定するものではなく、生のシュウマイ,ギョウザ,中華饅頭や小籠包など、即ちまだ調理されていないものを蒸し物類の点心と定義する。
【0006】
これに対し、例えば商業的にはシュウマイを成型する製造装置として登録実用新案第3004218号公報による製造法が、小籠包を成型する製造装置については特開平9−238661号公報や特開2010−4798号公報による製造法が提案されている。しかし、ホテル,旅館,民宿,料理店,惣菜店や一般家庭などにおいては、使用頻度を考慮した場合、該製造装置は非常に高価であり、無駄な投資になり適切ではない。その為、この種の装置を購入するわけにはいかず、依然として手作業により成型しているのが現状である。
そこで、シュウマイの成型については一般家庭においても手軽に作ることができるよう、種々の発明が提案されている。例えば、特開平11−137229号公報には、多角形の底部各辺に折り曲げ可能に側面を接合し、該側面上方には同様に折り曲げ可能に上面を接合する包あん器が提案されている。これにより、側面および上面を順次包み込むことによりシュウマイを成型するものである。
また、同様の趣旨であるが、特開2007−236879号公報に記載されている発明が提案されている。シュウマイ形成機の筒状底部の上端に開閉可能な側面を放射状に取り付け、該筒状底部が挿通するリングを側面上方にスライドさせることにより、一度の動作で複数に分けられた側面を同時に閉じるようにしてシュウマイを成型するものである。
【0007】
そして、小籠包の成型については、上記特開平9−238661号公報や特開2010−4798号公報に記載されている機械化による製造法が提案されているのみで、その他、IPCやFタームなどにより種々の特許調査を実施してみたが、一般家庭において手作業により手軽に小籠包を作ることができるような成型具に関する類似の技術は、抽出することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】登録実用新案第3004218号公報
【特許文献2】特開平9−238661号公報
【特許文献3】特開2010−4798号公報
【特許文献4】特開平11−137229号公報
【特許文献5】特開2007−236879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1〜3に記載されているように、シュウマイや小籠包などの点心は、機械化による製造が主流で、手作業による成型に関する提案が非常に少ない。この種の機械式製造装置では該装置が非常に高価であり、ホテル,旅館,民宿,料理店,惣菜店や一般家庭などにおいては、使用頻度を考慮した場合、無駄な投資になり適切ではない。その為、この種の装置を購入するわけにはいかず、依然として手作業により成型し、逆に各店舗の特徴を出すようにしているのが現状で、本発明は、熟練を要さないで、誰でも手作業により簡単に成型できる点心成型具を提供することを狙ったものである。
【0010】
上記の特許文献4によれば、包あん器の側面が個々に作動するので、すべての側面を同時に均一に立ち上げることが困難で手間を要するものであり、また出来上がったシュウマイを均一の大きさに、しかも形の整ったシュウマイに成型することが困難である。そして、少なくとも最初に立ち上げる側面は、中央に倒れ込み易く、また均一に立ち上げないとシュウマイの皮を破いてしまう可能性があり、慎重に操作しなければならない。
特許文献5によれば、あんを包み込む場合、確かにリングを上方にスライドさせることにより、放射線状に押し開かれた全ての側面を同時に立ち上げることができる。しかし、出来上がったシュウマイを取り出して、次のシュウマイを作ろうとした場合に、側面を一つづつ放射線状に押し開き、リングを再びスライドさせる前の状態にまで戻さなければならない。このように、側面の開閉をその都度手動で操作しなければならず、また包まれたあんの量によっては、出来上がったシュウマイを取り出すことが困難になる場合がある。
また、いずれの先行技術についても言えることであるが、成型作業が終了した後、そのシュウマイ成形機を洗浄するには、該成形機が回動部や凹凸を有する三次元的に構成されているので、回動部にあんが詰ったり、凹凸部の隅にあんがこびり付いたりして、洗浄に手間を要し、非常にわずらわしい作業を伴なうと共に、衛生管理には充分注意が必要である。しかも、不使用時の収納も場所をとり、保管が容易ではない。
【0011】
このように、調理する料理人や主婦などにとっては、シュウマイや小籠包などの点心を成型する作業は、単調な作業であるにもかかわらず非常に神経をつかうと共に、多大な労力と時間を費やし労苦を与えるものである。
本発明は、上記のように手作業による成型の種々の問題点を解消し、単に成型具の外側部を握るという単純な動作により、側壁部が押し上げられ自動的にほぼ均等に立ち上がり、該側壁部が閉じることにより、形の整った柱状のシュウマイや形の整った適量のヒダを形成した小籠包を均一の大きさに仕上げることができ、手作業で効果的に効率良く、しかも簡単に素早く、手先の器用さに左右されず、また熟練を要することなく、誰でも簡単にシュウマイや小籠包などの蒸し物類の点心を成型することができる操作性の容易な成型具を提供することを目的とするものである。
また、不使用時には三次元に組み立てられたシュウマイや小籠包などの蒸し物類の点心成型具を分解して二次元の平面状にすることにより、洗浄および保管が容易にできるシュウマイや小籠包などの蒸し物類の点心成型具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、底部周縁に複数の側壁部を放射状に折り曲げ自在に固着した上部材と、台座部周縁に複数の外側部を上記側壁部に対向して放射状に折り曲げ自在に固着した下部材とからなり、これら上部材の側壁部と該側壁部に対向する下部材の外側部とをお互いに着脱可能に係合して連結した点心成型具である。
【0013】
上記側壁部を上方に湾曲した円弧状の形とし、該側壁部のそれぞれの間に蛇腹状の屈曲膜を架装した点心成型具である。
上記上部材の側壁部に起立部を形成することにより、より饅頭に似た丸味のある形の整った綺麗な小籠包を成型することができる点心成型具である。
【0014】
上記蛇腹状の屈曲膜を側壁部に沿って可動自在に上部材の各側壁部間に架装している点心成型具である。
上記上部材の底部が、すり鉢状の凹部に形成されている点心成型具である。
上記側壁部の一つと外側部の一つが折り曲げ自在に固着している点心成型具である。
上記上部材の側壁部と該側壁部に対向する下部材の外側部とをお互いに偏倚して係合し連結した点心成型具である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の本発明によれば、上部材の側壁部と下部材の外側部とがお互いに係合して連結しているので、例えば一つの側壁部を内方に折り曲げると、上部材の底部と下部材の台座部とが接近することになる。該台座部が底部に接近すれば、隣接する側壁部と外側部とがお互いに引き合うため、外側部を介して他の隣接する側壁部を押し上げると共に側壁部が他の隣接する外側部を引き上げることになり、即ち外側部あるいは側壁部がお互いに相関関係にあり、全ての側壁部が立ち上がり傾斜角に多少の違いがあるが、ほぼ均等に連鎖的に立ち上がるようになる。従って、隣接する側壁部および外側部が相関関係にあり、お互いに引き合うため、上部材の側壁部が同時に、しかも均等に立ち上がり閉じられる。その為、点心成型具の下部材の外側部を握るだけで、手先の器用さに左右されることなく、老若男女誰でも手間をかけず能率よく、しかも失敗することなく形の整った同じ大きさのものを作ることができるようになった。このように簡便にシュウマイを成型することができるので、ホテル,旅館,民宿,料理店,小売店や一般家庭などでも、熟練や経験を要することなく、誰でも簡単に手軽に確実に作ることができるようになった。
【0016】
請求項2の本発明の点心成型具によれば、上部材の側壁部のそれぞれの間に蛇腹状の屈曲膜を該側壁部に架装したので、単に下部材の外側部を握るだけで上記シュウマイの成型と同様にして側壁部が立ち上がり、具材を覆い包むように閉じられ、しかも形の整った適量のヒダを形成した饅頭型の小籠包を成型することができるようになった。
【0017】
請求項3の本発明によれば、上部材の側壁部に起立部を形成したので、腰高のより饅頭に似た丸味のある形の整った綺麗な小籠包を成型することができるようになった。
請求項4の本発明によれば、蛇腹状の屈曲膜を側壁部に沿って可動自在に上部材の各側壁部間に架装したので、小籠包側部に形成されるヒダの形成位置を変化させることができ、特徴ある小籠包を成型することができるようになった。
【0018】
請求項5の本発明によれば、上部材の底部をすり鉢状の凹部に形成したので、具を詰める場合、該具とシュウマイの皮との接触面積が大きくなり粘着性が高まり、具が皮からはがれることなく、容易に詰めることができると共に、すり鉢状の凹部による傾斜により成型後の取り出しが容易になった。
請求項6の本発明によれば、上部材の側壁部の一つと下部材の外側部の一つが固着して連結されているので、他の側壁部と外側部との係合を解くと、点心成型具が一枚の平面的な平板状になり、収納・保管がより便利になった。
請求項7の本発明によれば、側壁部と外側部とをお互いに偏倚させて係合して連結するようにしたので、一つの側壁部が上方に立ち上がると隣接する側壁部も引き上げられるようにして同時に立ち上がるという相関関係がより緊密になり、確実に側壁部を閉じることができるようになった。即ち、下部材の外側部を握ることにより下部材の台座部が上部材の底部に近接し、一つの外側部が二つの側壁部に係合しているので、上部材の側壁部を均等に押し上げることになり、と同時に順次側壁部が立ち上がり、具材を覆い包むように閉じられ、形の整った柱状のシュウマイや形の整った適量のヒダを形成した饅頭型の小籠包を成型することができるようになった。
【0019】
また、上部材の側壁部と下部材の外側部とがお互いに着脱可能に係合して連結されており、この係合を解くことにより、上部材と下部材とが簡単に分離できるので、点心成型具が二次元の平面的な平板状になり、調理後の洗浄が容易になると共に、収納場所をとることなく保管が容易になった。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明による点心成型具の形態について図面により詳細に説明する。
図1〜3は本発明による点心成型具の形態を示すもので、シュウマイを成型する点心成型具である。図1はシュウマイを成型する点心成型具の形態を示す断面側面図で、図2は点心成型具の展開した状態を示す分解平面図、図3は組み立てた点心成型具の平面図である。これらの図において、1は点心成型具で、該点心成型具1は上部材2と下部材3から構成されている。上部材2は、底部21と該底部21の周縁に複数の側壁部22を放射状に折り曲げ自在に固着したものである。下部材3は、台座部31と該台座部31の周縁に複数の外側部32を上記側壁部22に対向して放射状に折り曲げ自在に固着したものである。
本形態では、底部21と台座部31を六角形に形成し、底部21の各辺に略正方形の側壁部22(221〜226)を放射状に折り曲げ自在に固着し、台座部31の各辺に該側壁部22(221〜226)に対向して台形の外側部32(321〜326)をそれぞれ放射状に折り曲げ自在に固着したものである。
【0021】
4は連結部で、該連結部4にて上記上部材2と下部材3は、それぞれ対向する側壁部22と外側部32をお互いに係合して連結することにより一体化されている。5は折り曲げ部で、該折り曲げ部5にてお互いに折り曲げが可能であり、上記外側部32を握るようにして作動させることにより、点心成型具1は図1中鎖線で示すように折り曲げられる。また、該折り曲げ部5は点心成型具1を形成する材料にもよるが、例えば合成樹脂で形成した場合には、底部21や側壁部22あるいは台座部31や外側部32の厚みより薄く形成するか、あるいは溝状の凹部を形成して曲げ易くなるように形成すれば良い。6はシュウマイの皮であり、7はシュウマイの具である。なお、図1では連結部4および折り曲げ部5の位置を丸印で示したのは、理解し易くするためのものであり、パイプなどによる構成部材ではないことを申し添えておく。以下の実施例についても同様である。
なお、本形態では、底部21および台座部31を六角形に形成したが、これに限定するものではなく、三角形,四角形,五角形,七角形,八角形などの多角形に形成してもよく、多角形になればなる程、円柱に近いシュウマイに成型できることは言うまでもない。また、本点心成型具1は金属,木材あるいは合成樹脂などで形成することが可能であるが、材料を特定するものではない。多少弾力性のある合成樹脂が望ましい。
【0022】
図2は本発明による点心成型具の展開した状態を示す分解平面図である。左半分が上部材2で、右半分が上部材2より大きく形成された下部材3である。同図示のとおり、側壁部22と外側部32のそれぞれ一つが連結部4にて係合されている。一対の側壁部22と外側部32とを係合し、他の側壁部22と外側部32との係合を解くと、同図示のように全体が二次元の平板状となる。本図では、側壁部22と外側部32のそれぞれ一つが係合して連結されているが、勿論全ての係合を解いてもよい。また、逆に側壁部の一つと外側部の一つを折り曲げ自在に確実に固着して、一体的に形成するようにしてもよい。このように全体を二次元の平板状にすることにより、不使用時には、保管および収納のための大きなスペースを必要とせず、非常に便利になる。
同図示のように、平板状に形成した上部材2および下部材3を図1のように組み立てると、上部材2と下部材3の寸法の違いにより、そして材料が本来有する弾性力により復元力が作用し、図1のように開き気味の皿状になることは言うまでもない。特に、弾性力のある合成樹脂で形成した場合には、その復元力の効果が大きく開きやすくなるので、成型したシュウマイなどを取り出しやすくなる。
【0023】
図3は本発明による点心成型具を示す平面図で、図2に示す平面的な平板状の点心成型具1を互いに対向する上部材2の側壁部22と下部材3の外側部32とを順次係合することにより組み立てたものである。即ち、側壁部221と外側部321,側壁部222と外側部322,側壁部223と外側部323,側壁部224と外側部324,側壁部225と外側部325,側壁部226と外側部326をそれぞれ係合することにより、図示のように点心成型具1が形成される。前記したように、上部材2より下部材3をやや大きく形成しているので、これらを係合すると図1のように皿状に形成される。このように係合し連結することにより、例えば一つの側壁部221を内方に折り曲げると、底部21と台座部31とが図1に矢印で示すように接近することになる。該台座部31が底部21に接近すれば、外側部321に隣接する外側部322と外側部326は、これらに対向する側壁部222と側壁部226を押し上げる作用が働く。見方を変えれば、側壁部222と側壁部226が外側部322と外側部326を引き上げようとする作用が働く。このようにして、側壁部22および外側部32は、お互いに隣接する他の側壁部22および外側部32と引き合うことになる。従って、側壁部22あるいは外側部32がお互いに相関関係にあり、結果的に連鎖して全ての側壁部22が立ち上がり、その傾斜角に多少の違いがあるが、均等に立ち上がるようになるのである。
係合の仕方については詳述していないが、特に限定するものではなく、丁番式に係合したり、凹凸による噛み合わせにより係合するなど、互いに噛み合い折り曲げ可能であればいずれでも良い。
なお、同図中のX−X線における断面が、図1に示すものである。
【0024】
図1に示すように、点心成型具1の上部材2の上面にシュウマイの皮6をのせ、その中央に適量の具7をのせる。そして、外側部32を握るようにして作動させると、上部材2および下部材3が共に皿状に形成されているので、上記したように側壁部22と外側部32とがお互いに引き合いながら側壁部22が立ち上がり、各折り曲げ部5にて同図中実線の矢印で示すように内方に曲折して、側壁部22と外側部32が互いに接する状態にまで鎖線で示すように折りたたまれ、側壁部22がほぼ直立し、一点鎖線で示すように具7を側壁部22内に包み込まれることになる。この点心成型具1を弾性力のある合成樹脂で形成すると、外側部32を握った際、具7の詰め具合が手のひらによる締付力により、指あるいは手のひらで具7の充填量を感じながら、より正確に大きさの均一なシュウマイを成型することができる。
そして、握った手を緩めると、上部材2および下部材3を構成する材料自身が有する弾性力により同図中鎖線で示す矢印の方向に回動し、自動的に図1中実線で示すように点心成型具1が開放された状態に戻り、成型された柱状のシュウマイが点心成型具1の中央に残ることになる。
【実施例1】
【0025】
図4は、本発明による点心成型具の実施例を示す断面側面図で、上部材2の底部21に凹部23を形成したものである。同図中図1に示した符号と同じものは、同一物を示し詳細な説明を省略する。
同図に示すように、本実施例の底部21に凹部23を形成することにより、具7を詰める際、該具7とシュウマイの皮6と接する面積が大きくなり摩擦抵抗が高まるので、上部材2に詰める具7が動きにくくなり詰め易くなる。また、凹部23の周縁には傾斜があるため、成型後のシュウマイが取り出しやすくなる。
また、下部材3の外側部32には凹状の握り部33を形成し、外側部32を握る際に指が引っかかるようにしておけば、より握り易くなる。外側部32を放射状に形成しているので、図3で明らかなように隣接する外側部32との間に間隙Sがあり、この間隙Sに指を挿入すれば、指を引っ掛けることができるが、同図示のように握り部33を形成することにより、より握り易くなることは言うまでもない。本実施例では、凹状の握り部33を形成したが、凸状であってもよい。
なお、これら凹部23あるいは握り部33は、後述する実施例にも適用できることは言うまでもない。
【実施例2】
【0026】
図5は、本発明による点心成型具1の上部材2の他の実施例を示す平面図で、上部材2の側壁部22にひさし状の重合部24を形成したもので、隣接する側壁部22と重なり合うように形成したものである。本実施例では、重合部24を底部21から遠い外方ほど幅広にしたもので、図1に示すように外側部32を握ることにより、側壁部22がすぼむように立ち上がると該側壁の上から下まで、ほぼ同時に重合するようにしたものである。この重合部24を形成することにより、皮6の重なりをより綺麗に重ね合わせ、形の整った綺麗なシュウマイを成型することができるようにしたものである。
【実施例3】
【0027】
図6は、本発明による点心成型具1の上部材2の他の実施例を示す平面図で、上記実施例2と同様に上部材2の側壁部22にひさし状の重合部24を形成したもので、隣接する側壁部22と重なり合うように形成したものである。実施例2では、重合部24を側壁部22の外方ほど幅広にしたものを示したが、本実施例では重合部24を底部21に近い側壁部22の内方ほど幅広にし、外方へいくに従いその幅を小さくしたものである。図1に示すように外側部32を握ることにより、側壁部22がすぼむように立ち上がると徐々に重合するようにしたものである。この重合部24を形成することにより、皮6の重なりをより綺麗に重ね合わせ、形の整った綺麗なシュウマイを成型することができるようにしたものである。
【0028】
図7は、実施例2および実施例3に示す側壁部22が立ち上がり、該側壁部22がお互いに隣接する側壁部22と合致し、重合部24が側壁部22に重なった状態を示す要部拡大断面図である。同図示のとおり、側壁部22を立ち上げてすぼませ完全に閉じた状態になると、隣り合う側壁部22間には隙間が生じることなくピッタリ合致する。従って、側壁部22の間には皮6が挟みこまれることなく、綺麗なシュウマイの外側を作り上げることができる。このように重合することにより、全ての側壁部22同士がお互いに係合しながら立ち上がるので、一つの側壁部22のみが中央に倒れこむということはない。
【実施例4】
【0029】
本発明による点心成型具の他の実施例を示すもので、本実施例は小籠包を成型するための点心成型具である。
図8は本発明による中華饅頭や小籠包を成型するための点心成型具の実施例を示す断面側面図で、図9は点心成型具の上部材の一部を構成する側壁部の一つを示す斜視図である。図10は点心成型具の上部材が開いた状態を示す平面図で、図11はその上部材が閉じた状態を示す平面図である。図12は点心成型具の下部材を示す平面図である。同図中図1に示した符号と同じものは、同一物を示し詳細な説明を省略する。
これらの図において、1は点心成型具で、該点心成型具1は上部材2と下部材3および上部材2の各側壁部22のそれぞれの間に、該側壁部22に着脱自在に架装された蛇腹状の屈曲膜8から構成されている。
【0030】
上部材2は、図8および図10に示すように、底部21と該底部21の周縁に放射状に折り曲げ自在に固着した複数の側壁部22とからなるものである。側壁部22は、図9に示すように、上方に円弧状に湾曲し、その周縁には強度向上のため立ち上がり部25を形成し、断面略コの字状に構成されている。図10は上部材2が開いた状態を示し、該上部材2は、同図示のとおり八角形をした底部21の各辺の周縁に折り曲げ部5にて側壁部22がそれぞれ折り曲げ自在に連結されている。これらお互いに隣接する側壁部22の間には、折り畳み自在の蛇腹状の屈曲膜8が該側壁部22に係合して架装されている。該屈曲膜8は、合成樹脂などの平板材により上記側壁部22と同じ曲率で湾曲して形成されている。図11は上部材2が閉じた状態を示すもので、図8において下部材3の外側部32を握ると、同図中実線の矢印で示すように、下部材3の台座部31が持ち上がるようにして、上部材2の側壁部22を押し上げ、側壁部22が立ち上がり、具7を皮6で包みながら同図中鎖線で示すように閉じられて互いに合致する。その結果、図11に示すように上記屈曲膜8は非常に小さく折り畳まれる。図11は側壁部22が具7を包み込み、屈曲膜8が折り畳まれた状態を示すものである。
なお、図10において、皮6は一部のみを示している。
【0031】
下部材3は、図12に示すように台座部31と該台座部31の周縁に複数の外側部32を上記上部材2の側壁部22に互いに対向して放射状に折り曲げ自在に一体的に形成され固着したものである。これらを各側壁部22の間に屈曲膜8を架装した上部材2に係合して連結部4にて連結することにより、点心成型具1を組み立てるようにしたものである。即ち、側壁部221(図10参照、以下同)と外側部321,側壁部222と外側部322,側壁部223と外側部323,側壁部224と外側部324,側壁部225と外側部325,側壁部226と外側部326,側壁部227と外側部327,側壁部228と外側部328をそれぞれ係合することにより、点心成型具1が形成される。
本実施例では、上部材2の底部21と下部材3の台座部31を八角形に形成し、上部材2には底部21の各辺に湾曲して、上方に円弧状に湾曲した側壁部221〜228を放射状に折り曲げ自在に固着しており、下部材3には台座部31の各辺に該側壁部221〜228に対向して台形の外側部321〜328をそれぞれ放射状に折り曲げ自在に固着し、これら上部材2の側壁部22とこれに対向する下部材3の外側部32とをお互いに連結部4にて係合することにより、点心成型具1を形成したものである。
【0032】
同図示のように、平面状に形成した上部材2および該上部材2より大きく形成された下部材3を図8のように組み立てると、材料が本来有する弾力性により復元力が作用し、下部材3の外側部32を上部材2の側壁部22の下部に連結しているので、直径の大小の関係から下部材3はすぼまった状態になり、図8のように開き気味になることは言うまでもない。特に、弾力性のある合成樹脂で形成した場合には、その作用・効果が大きい。
また、下部材3の外側部32には凹状の握り部33を形成し、外側部32を握る際に指が引っかかるようにしておけば、より握り易くなる。外側部32を放射状に形成しているので、図12で明らかなように隣接する外側部32との間に間隙Sがあり、この間隙Sに指を挿入すれば、指を引っ掛けることができるが、同図示のように握り部33を形成することにより、より握り易くなることは言うまでもない。本形態では、凹状の握り部33を形成したものを示したが、凸状であってもよい。
【0033】
4は連結部で、該連結部4にて上記上部材2と下部材3は、それぞれ対向する側壁部22と外側部32をお互いに係合して連結することにより回動自在に一体化され、点心成型具1が形成されている。5は折り曲げ部で、該折り曲げ部5は、上部材2においては該上部材2の底部21の周縁と側壁部22の基部を連結するものであり、また下部材3においては該下部材3の台座部31の周縁と外側部32の下端を連結するものである。該折り曲げ部5にて、底部21と側壁部22および台座部31と外側部32が、お互いに折り曲げが可能である。
また、該折り曲げ部5は点心成型具1を形成する材料にもよるが、例えば合成樹脂で形成した場合には、底部21や側壁部22あるいは台座部31や外側部32の厚みより薄く形成するか、あるいは溝状の凹部を形成して曲げ易くなるように形成すれば良い。勿論、丁番方式で軸支するように形成しても良いことは言うまでもない。6は小籠包の皮であり、7は小籠包の具である。なお、図8では連結部4や折り曲げ部5の位置を理解し易いようにするために、同図中丸印で示しており、パイプなどによる構成部材ではないことを申し添えておく。
【0034】
このように係合し連結することにより、例えば一つの側壁部22を内方に折り曲げ上方に立ち上がると、底部21と台座部31とが図8に矢印で示すように接近することになる。該台座部31が底部21に接近すれば、側壁部22と外側部32がそれぞれ係合されているため、前述したように隣接する側壁部22が押し上げられると同時に、外側部32を引き上げようとする。このようにして、側壁部22および外側部32は、お互いに隣接する他の側壁部22および外側部32と引き合うことになる。従って、側壁部22あるいは外側部32がお互いに相関関係にあり、結果的に全ての側壁部22が立ち上がり、その傾斜角に多少の違いがあるが、均等に立ち上がるようになるのである。このように側壁部22と外側部32がお互いに相関関係にあるため、上記下部材3の外側部32を握るようにして作動すれば、隣接する側壁部22も押し上げられることになる。そのため、図8で下部材3の外側部32を握ると、該外側部32は折り曲げ部5を中心にして上方に向けて回動し、この回動により下部材3の台座部31が持ち上がるようにして、同図中矢印で示すように上部材2の側壁部22を押し上げ、該側壁部22が均等に立ち上がり該側壁部22により同図中鎖線で示すように伏せた椀状に具材を覆い包むように折り曲げられ、具7を皮6で包みながら同図示のように閉じられ、饅頭型の小籠包を成型することができる。上部材2と下部材3との係合の仕方については詳述していないが、特に限定するものではなく、互いに噛み合い折り曲げ可能であれば良い。
【0035】
図8に示すように、点心成型具1の上部材2の上面に小籠包の皮6をのせ、その中央に適量の具7をのせる。そして、外側部32を握るようにして作動させると、上部材2および下部材3が共に皿状に形成されているので、各折り曲げ部5にて同図中実線の矢印で示すように内方に曲折して、側壁部22が押し上げられ、該側壁部22と外側部32が鎖線で示すように互いに接する状態にまで折畳まれる。一つの側壁部22が押し上げられると、隣接する側壁部22が同様にして押し上げられ折り畳まれる。且つ屈曲膜8にて皮6にヒダを形成しながら、鎖線で示すように具7を側壁部22内に包み込むことになる。この点心成型具1を弾力性のある合成樹脂で形成すると、外側部32を握った際、具7の詰め具合が手のひらによる締付力により、指あるいは手のひらで具7の充填量を感じると共に、皮6に形成するヒダを確実に接着しながら、より正確に大きさの均一な小籠包を成型することができる。
そして、握った手を緩めると、上部材2および下部材3を構成する材料自身が有する弾力性により同図中鎖線で示す矢印の方向に回動し、自動的に実線で示すように点心成型具1が開放された状態に戻り、複数のヒダを形成して饅頭状の小籠包が成型され、点心成型具1の中央に残ることになる。
【0036】
本実施例では、底部21および台座部31を八角形に形成したが、これに限定するものではなく、前述したシュウマイを成型する点心成型具と同様に六角形であっても良いし、その他三角形や四角形,五角形,七角形などの多角形に形成してもよく、このように種々の形のものを準備しておけば、バラエティの富んだユニークなシュウマイ,中華饅頭や小籠包を成型することができる。多角形にすればする程、饅頭のような丸い形に近い小籠包を成型できることは言うまでもない。また、正多角形にすることにより、側壁部22を閉じた際、頂部において該側壁部22がお互いに合致し易くなり、確実に具7を覆い包み成型することができる。なお、本点心成型具1は金属,木材あるいは合成樹脂などで形成することが可能であるが、材料を特定するものではなくいずれでも良い。多少弾力性のある合成樹脂が望ましい。
逆に、これら側壁部22と外側部32との係合を解くと、上部材2と下部材3は図10と図12に示すように全体が比較的平面状となる。このように全体を二次元の平面状にすることにより、不使用時には、保管および収納のための大きなスペースを必要とせず、非常に便利になる。皮6は、同図に示すように側壁部22の周縁まで広がるように載置するのが望ましい。なお、図10においては、該皮6は一部しか表示していない。
【0037】
次に、図13および図14において、屈曲膜8により小籠包のヒダを形成するメカニズムについて詳細に説明する。図13は本発明による点心成型具1の屈曲膜8を示す断面平面図で、図14は点心成型具1によりヒダを形成する過程を示す概要説明図である。
図13に示すように、合成樹脂などで形成された平面状で折畳み可能の屈曲膜8は、互いに隣接する側壁部22の間に蛇腹状にお互いに係合して架装されている。該屈曲膜8は、平板材に特定するものではなく、折畳み自在であれば、網目状であってもメッシュのものであっても良いことは言うまでもない。
【0038】
図14は、本発明による点心成型具1により、小籠包の皮6がどのようにしてヒダを形成するかを示すもので、図14Aは上部材2の側壁部22が開いた状態(図8の実線の状態)を示し、同図Bは側壁部22が閉じた状態(図8の鎖線の状態あるいは図11の状態)を示すもので、皮6が折り曲げられヒダが形成されていることを示すものである。
同図Aに示すように、小籠包の皮6は、屈曲膜8上に掛け渡すように広げて戴置されており、側壁部22が閉じると、該側壁部22の開閉と共に屈曲膜8がアコーデオンの蛇腹のように折畳まれ、皮6は折畳まれた屈曲膜8に挟まれるようにして畳まれ、複数のヒダ9(91,92,93)が形成される。図14Bに示すように側壁部22が完全に閉じると、皮6は互いにくっ付き複数のヒダ9(91,92,93)を形成することになる。なお、同図では皮6はまだくっ付いていないが、理解し易いようにくっ付く少し前の状態を示したものである。また、この場合、皮6の周縁に水をつけておけば、より的確に接着し密着させることができる。また、側壁部22を閉じた際、点心成型具1をギュッと握るようにすれば、より確実に固着させることができる。
このようにしてヒダ9は、各側壁部22の間にそれぞれ3本づつ形成されることになり、本形態の場合、全部で24本のヒダ9が形成されることになる。屈曲膜8の屈曲数を増減することにより、ヒダ9の数を増やしたり減らしたりすることができることは言うまでもない。
【0039】
図15は本発明による点心成型具1により成型した小籠包10を示す斜視図である。上記のようにして、外側部32を握るようにして作動させると、上部材2および下部材3が共に皿状に形成されているので、図8に示すように各折り曲げ部5にて同図中実線の矢印で示すように内方に曲折して、側壁部22と外側部32が互いに接する状態にまで折畳まれ、鎖線で示すように具7が側壁部22内に包み込まれる。と同時に、屈曲膜8も折畳まれ、皮6がこれらの屈曲膜8の間に挟まれ、ヒダ9(91〜93)が形成され、小籠包10が成型される。ヒダ9の数については多いほど美観が向上し、少なくともヒダ9は10本以上形成することが望ましい。本実施例の場合、前述したようにヒダ9は全部で24本形成される。
点心成型具1により成型した小籠包10を取り出すと、同図に示すようにヒダ91〜93が放射状に直線的に形成されているので、取り出して上部を摘み、捻じることにより形を整えるようにすれば、より美感を向上させることができる。また、頂部には穴11が形成されるが、該穴11は、具7の材料によって開いた状態のままでも良いし、捻じって穴11を塞いでしまっても良い。穴11を開いた状態にした場合、具7の中にカニやエビなどの肉を混ぜて蒸すと、この穴11から黄色い蟹汁がにじみ出てきたり、赤い綺麗な色を目視できるので、見た目にも美しくなる。該穴11は、側壁部22の先端部形状を鋭角に形成すれば、穴11を形成しないようにできることは言うまでもない。
ヒダ9の形は直線的であっても特に問題はなく、直線状のままであれば中華饅頭となり、このヒダ9を捻じることにより小籠包にすることができる。一般的には、小籠包の場合、ヒダは曲線的であり、成型した小籠包10を点心成型具1により取り出し、捻じることにより曲線状にすることができる。そして、この捻じり方により、独特の形状を表現でき、料理人の個性を発揮できることは言うまでもない。また、家庭においては、種々の形にすることにより、一家団欒の話題の材料にもなり、食事を楽しくいただける雰囲気をつくることができる。
このようにして、誰でも熟練を要することなく、簡単に形の整った綺麗な小籠包10を成型することができるものである。
【実施例5】
【0040】
図16は本発明による点心成型具1の上部材2の他の実施例を示す平面図である。同図中図1および図8に示した符号と同じものは、同一物を示し詳細な説明を省略する。
同図に示す上部材2は、側壁部22の根部に起立部26を形成すると共に、屈曲膜8を前記形態よりも中心部、即ち本実施例の起立部26に近い部分に係合し架装したものである。この場合、成型された小籠包は、腰高になってより饅頭に似た丸味のある形になり、ヒダも小籠包の側部中央に形成されることになり、形の整った綺麗な小籠包10を成型することができる。
また、側壁部22に溝(不図示)を形成し、該溝に屈曲膜8を係合し、この屈曲膜8を該側壁部22の溝に沿って摺動自在にすれば、ヒダ9の形成位置を変化させることができ、特徴ある小籠包10を成型することができるようになることは言うまでもない。
【実施例6】
【0041】
図17は、本発明による点心成型具1の屈曲膜8の他の実施例を示す断面平面図である。本実施例の屈曲膜8は、側壁部22側の折れ幅を小さくしたもので、該屈曲膜8を上部材2の側壁部22内側近傍(同図面上方)に係合し架装したものである。このようにして、小籠包10を成型すると、小籠包10側部に形成されるヒダ9が大小に形成され、より美観を与えるものである。即ち、隣接する側壁部22の間に形成される3本のヒダ9は、中央のものが大きく、側壁部22側のものは、やや小さく形成されるので、より一層美観を与えるものである。
【実施例7】
【0042】
図18は、本発明による点心成型具1の他の実施例を示す断面側面図で、上部材2と下部材3を係合するのに、底部21と連結している側壁部22の立ち上がり部25を大きくして、より安定的に強固に連結するようにしたものである。このように形成することにより、外側部32を握った際、側壁部22が確実に立ち上がり、小籠包10の成型をより確実に行うことができるものである。
【実施例8】
【0043】
図19は、本発明による点心成型具の上部材2と下部材3の係合に関する他の実施例を示し、側壁部22と外側部32とをお互いに偏倚させて係合することにより、側壁部22と外側部32との相関関係をより確実に相関性をもたせるようにした点心成型具である。図19Aは要部拡大斜視図で、図19Bはガイドレール27内を移動する摺動部材34を示す断面平面図である。
同図に示すように、側壁部22と外側部32とを互いに偏倚させることにより、一つの外側部32を二つの側壁部22に係合させる。側壁部22側より見れば、一つの側壁部22を二つの外側部32に係合したものである。詳細には、例えば、側壁部221と側壁部222の間に外側部321を偏倚して配置し、該外側部321を側壁部221と側壁部222の両方に係合する。他の全ての外側部32も同様にして2つの側壁部22に係合する。外側部321と側壁部221および側壁部222との係合については、摺動可能とする。即ち、図19Aに示すように、側壁部22にはハの字状にガイドレール27,27が形成され、図19Bに示すように、外側部321の摺動部材34を側壁部221のガイドレール27および側壁部222のガイドレール27に嵌合することにより、摺動自在とするようにしたものである。ガイドレール27は、側壁部22が押し上げられて立ち上がり閉じてくるに従い、隣接する側壁部22のガイドレール27がお互いに近づくので、側壁部22の基部より上方に向けハの字状に形成することが望ましい。
このように側壁部22と外側部32を係合させることにより、外側部32を握るようにして作動させると、外側部32(321)は上方に回動し、二つの側壁部22(221,222)を押し上げることになる。従って、常に隣り合う側壁部22は、同時に押し上げられることになる。そして、側壁部22が押し上げられると、該側壁部22に対向する二つの外側部32を引き上げるという作用が働く。このようにして側壁部22から外側部32へ、また外側部32から側壁部22へ順次引き上げ押し上げる作用が働くので、より確実に側壁部22を押し上げ、全ての側壁部22が連鎖的に均等に閉じられて小籠包を成型することができる。
なお、本実施例では外側部32が平板状であるが、該外側部32を蒲鉾型にすれば、側壁部22が一定の角度をもって立ち上がっても、その角部を避けるようにお互いに干渉することなくスムースな摺動が可能となる。あるいは、摺動部材34を外側部32に対しボール軸受などにより可動自在に軸支しておけば、隣接する側壁部22の距離の変化が生じてもスムースに摺動可能となる。ボール軸受でなく、屈曲自在に作動できるようにしておけば良い。
【実施例9】
【0044】
図20は、本発明による点心成型具の上部材2と下部材3の係合に関する他の実施例を示し、該点心成型具を展開した状態を示す分解平面図で、本実施例は上記実施例8と同様に側壁部22と外側部32とをお互いに偏倚させて係合するようにした点心成型具である。
上記実施例8は側壁部22と外側部32とが摺動可能としたものであるのに対し、本実施例は定点位置に係合する固定式としたもので、下部材3の外側部32をU字状にし、その角状の先端部は可動可能にしたものである。先端部が広がったり狭まったり可動できるようにすることにより、側壁部22が立ち上がり閉じてくると、隣接する側壁部22の係止部28がお互いに近接するので、両側壁部22の距離の変化を吸収できるようにしたものである。上記角状の先端部は、実施例8の摺動部材34と外側部32との関係と同じようにしておくことが望ましい。
【0045】
本発明は、上記に説明したように、上部材2と下部材3とを着脱自在にしており、該上部材2を交換することにより、シュウマイを成型したり、中華饅頭あるいは小籠包などこれらに類する点心を成型することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による点心成型具の形態を示す断面側面図である。
【図2】本発明による点心成型具を展開した状態を示す分解平面図である。
【図3】本発明による点心成型具を示す平面図である。
【図4】本発明による点心成型具の実施例を示す断面側面図である。
【図5】本発明による点心成型具の上部材の実施例を示す平面図である。
【図6】本発明による点心成型具の上部材の他の実施例を示す平面図である。
【図7】本発明による点心成型具の側壁部に形成したひさし状の重合部が互いに重なった状態を示す要部拡大断面図である。
【図8】本発明による点心成型具の他の実施例を示す断面側面図である。
【図9】本発明による点心成型具の上部材の側壁部を示す斜視図である。
【図10】本発明による点心成型具の上部材を開いた状態を示す平面図である。
【図11】本発明による点心成型具の上部材を閉じた状態を示す平面図である。
【図12】本発明による点心成型具の下部材を示す平面図である。
【図13】本発明による点心成型具の屈曲膜を示す断面平面図である。
【図14】本発明による点心成型具によりヒダを形成するメカニズムを示す概要説明図で、図7Aは上部材の側壁部が開いた状態での皮を示し、図7Bは側壁部が閉じた状態での皮を示すもので、皮が折り曲げられヒダが形成されていることを示すものである。
【図15】本発明による点心成型具により成型した小籠包を示す斜視図である。
【図16】本発明による点心成型具の上部材の実施例を示す平面図である。
【図17】本発明による点心成型具の屈曲膜の実施例を示す断面平面図である。
【図18】本発明による点心成型具の他の実施例を示す断面側面図である。
【図19】本発明による点心成型具の上部材と下部材の係合に関する他の実施例を示し、図19Aは要部拡大斜視図で、図19Bはガイドレール内を移動する摺動部材を示す断面平面図である。
【図20】本発明による点心成型具の上部材と下部材の係合に関する他の実施例を示し、該点心成型具を展開した状態を示す分解平面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 点心成型具
2 上部材
21 底部
22,221,222,223,224,225,226 側壁部
23 凹部
24 重合部
26 起立部
3 下部材
31 台座部
32,321,322,323,324,325,326 外側部
4 連結部
5 折り曲げ部
6 皮
7 具
8 屈曲部
9,91,92,93 ヒダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部周縁に複数の側壁部を放射状に折り曲げ自在に固着した上部材と、台座部周縁に複数の外側部を上記側壁部に対向して放射状に折り曲げ自在に固着した下部材とからなり、これら上部材の側壁部と該側壁部に対向する下部材の外側部とをお互いに着脱可能に係合して連結した点心成型具。
【請求項2】
上記側壁部のそれぞれの間に蛇腹状の屈曲膜を架装したことを特徴とする請求項1に記載の点心成型具
【請求項3】
上記上部材の側壁部に起立部を形成したことを特徴とする請求項2に記載の点心成型具。
【請求項4】
上記蛇腹状の屈曲膜を側壁部に沿って可動自在に上部材の各側壁部間に架装したことを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載の点心成型具。
【請求項5】
上記上部材の底部が、すり鉢状の凹部に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の点心成型具。
【請求項6】
上記側壁部の一つと外側部の一つが折り曲げ自在に固着していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の点心成型具である。
【請求項7】
上記上部材の側壁部と該側壁部に対向する下部材の外側部とをお互いに偏倚して係合し連結したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の点心成型具である。

【図8】
image rotate

【図13】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2012−95990(P2012−95990A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274662(P2010−274662)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【特許番号】特許第4763850号(P4763850)
【特許公報発行日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(307043843)
【Fターム(参考)】