説明

点灯状態監視装置

【課題】管球の状態変化をリアルタイムで観察し非正常状態になった場合に警告表示を行う照明装置。
【解決手段】管球11が有する非線形特性等をふまえ、照明輝度制御中でも正常かつリアルタイム性を有しながら管球11の状態判定をし、非正常状態時に警告表示機能を提供する。照明機器で使用される管球の典型的な特性を予め測定や、使用開始時の入力電圧と入力電流の関係を保存したデータ−等と、リアルタイムで測定したデータを比較判定することで、その瞬間に管球11が正常状態か非正常状態かを判断し表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置、特に映像放送事業やショービジネス、舞台照明などの分野では高輝度、高照度の照明装置が用いられるが、使用上演出の都合等によって輝度を増減させたり停止させたりといった輝度変更を余儀なくされる事が多々ある。また、多数の照明装置が同時に使用されるが、一部の照明装置に輝度不足等の問題や、使用中に管球切れの故障が発生すると、演出上の問題が発生したり、一部の輝度不足による撮影等の記録作業のやり直しといった時間及び、金銭的な損失を被ることがある。
【0003】
上記のような問題を解決するために管球内部に並列に発光部を設けるなどして被害を最小にするための発明がなされている。
【特許文献1】 特開 2005−251418
【0004】
しかしながら、並列に設けた発光部の一方が故障しても使用状態の輝度が非常に高いため目視では判別が出来ない。これは、輝度計などの測定装置を用いて観測しなければ、並列に設けた両方の発光部が切れるまで判別できず、並列化した目的を達成できないことを意味する。
【0005】
また、管球は高所等の簡単に目視確認し難い場所に設置されるため、使用前に個々の管球の状態を目視確認にて行う作業も多大な時間と労力が必要とされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような問題を解決するためには、照明機器を使用中に管球の状態を逐次観察し状態を判定する必要があるが、照明機器は照明機器の外部で調光制御された状態であるので、使用輝度に応じて電圧、電流が変化する。そのうえ、一般商用電源を、SCRのような半導体を用いて、位相角調光が用いられる事が多く、電流のみを測定するといった単純な手法では状態の判定はむずかしい。
【0007】
もっともこの問題を単純化するには、調光量の制御機に合わせた判定回路を用いることでシステムを単純化することは可能である。一例を上げると、スライダックのような可変の単巻トランスを用いた場合である。実効値は、計算から電流電圧の関係が容易計算できるので、その実効を用いて管球の状態を推定する。実効地は電圧と電流の最大値を、ダイオードとコンデンサのピークホールド回路を用いる事により求め、この値から算出する。但し、この場合でも電流と電圧の関係が1次関数で無いため、(図2)狭い調光領域以外ではコンパレータなどの単純な判定回路では判定不能となり、より複雑なシステムを採用する必要がある。また、位相角制御方式では先の方法は適用不可である。 市場には様々な制御方式が存在し、様々な状態が存在するため、既設の設備で使用するにはより複雑な仕掛けが必用となってしまう。
【0008】
そこで本発明では、上記のような問題点を解決し、安定してほぼリアルタイムで管球の状態を観察し、正常状態からから非正常状態に遷移したことを表示する装置を提供する。これにより、管球の交換など保守作業の高効率化する事が可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、照明機器で使用される管球の典型的な特性を予め測定や、使用開始時の入力電圧と入力電流の関係を保存したデータ−等と、リアルタイムで測定したデーターを比較判定することで、その瞬間に管球が正常状態か非正常状態かを判断し表示する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の手法を利用することで、直流電流電圧時や定常的な交流電源電流状態時等の解析に用いられる単純なオームの法則に従わない場合でも、精度よく管球の状態を推定し正常か非正常かを判定することがリアルタイムで可能となる。これにより非正常状態での使用時間を最小限にする事ができる。
【実施例】
【0011】
図1が、本発明の基本的なブロック図である。電圧調整や位相角制御により制御された調光制御電源12にて管球11の発光量を調整する。ここで用いる管球は正常状態と非正常状態との差が検出部で検出可能であれば良い。例えば並列発光部を内部に作成した管球は、一方が断線した場合などの非正常状態と正常状態との差が大きいため、検出がしやすくなる。監視部13は電流電圧を検出する。これはADコンバーター等を用いる。検出には抵抗及びホールセンサー、カレントトランスなどが使用できる。この検出データーを状態判定回路部15に入力し電流値及び電圧値の組合わせから正常、非正常の判定を行う。この部分には、比較回路やマイコンやデジタルシグナルプロセッサなどのコンピュータを使用する。この測定データーを用いて正常、非正常の判定を行う。
【0012】
判定は、正常な場合のデーターと、測定データーとの比較により行う。正常値のデーターは状態判定回路部内若しくは記録部17に記録されたデーターを用いる。この記録されたデーターは、予め測定された典型的な管球の特性データーを用いても良いし、正常状態の管球を設置した直後にキャリブレーションを行うことでデーターを取得し、これを用いることも可能である。記録部17にはマイコン等に内蔵される不揮発メモリや、RS485などの伝送経路で接続された外部不揮発メモリを用いることができる。正常な場合のデーターと、測定データーとの比較により判定できた結果を状態表示部16にて表示を行う。状態は、単なるLEDのような警告ランプでも良いし、外部に接続されたコンピュータのディスプレー上に表示しても良い。
【0013】
また状態表示部は、本発明の照明器具と1対1の関係である必要は無く、表示部1に対して照明器具Nとなるような1対Nの関係も考えられる。これは、表示部をホストとしたネットワークを構成する系統に照明機器を設置した場合である。これにより照明器具をホストから集中管理を行うことで、管球の保守点検作業の効率化を図れる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
映像放送事業やショービジネス、舞台照明などの分野で、照明の輝度変化が問題となる場合において、被る損失を最小限にする機器の供給が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 本発明の基本的なブロック図
【図2】 スライダックスで入力電圧を変化させた時及び位相角制御方により輝度変化をさせた場合の500W管球の電流電圧特性例
【図3】 電圧調光時の電圧波形例
【図4】 位相角調光時の電圧波形例
【符号の説明】
【0016】
11 管球
12 調光制御電源
13 監視部
14 制御回路用電源部
15 状態判定回路部
16 状態表示部
17 記録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明用の管球と管球点の点灯及び調光の目的に制御された入力電源に対し、電源(電流電圧)監視部と制御部用電源と状態表示部と、状態判定回路部と記録部からなる(照明)装置において、接続されている電球の点灯状態及び故障の有無を判定し表示することを特徴とした点灯状態監視装置。
【請求項2】
前記の装置において監視部及び状態判定部により作成されたデータ−を記録部に記録することを特徴とした点灯状態監視装置
【請求項3】
前記の装置において記録部に記録された記録を元に管球の状態変化を検出し、断線の兆候を検出した場合に危険状態を表示することを特徴とした点灯状態監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−66258(P2008−66258A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273460(P2006−273460)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(506336278)
【Fターム(参考)】