説明

点灯装置及び照明器具

【課題】ハロゲン灯の明るさを容易に調光できるハロゲン灯点灯装置を得る。
【解決手段】ハロゲン灯点灯装置100は、ノイズ除去装置110と、整流回路120と、インバータ回路130とを有する。ノイズ除去装置110は、アクロスコンデンサC11と、ノーマルモードチョークL13と、コモンモードチョークL12とを有する。アクロスコンデンサC11は、電圧入力端子aと電圧入力端子bとの間を接続する。ノーマルモードチョークL13は、電圧入力端子aに一端を接続する。コモンモードチョークL12は、互いに磁気結合した第一のインダクタと第二のインダクタとを有する。第一のインダクタは、ノーマルモードチョークL12の他端と、電圧出力端子cとの間を接続する。第二のインダクタは、電圧入力端子bと、電圧出力端子dとの間を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハロゲン灯点灯装置などの点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
低ボルトハロゲン灯を点灯するためのハロゲン灯点灯装置として、電子トランスが知られている。電子トランスは、例えば、商用電源から入力した電圧をダイオードブリッジ等で全波整流し、脈流化された直流電圧をトランジスタ等のスイッチング素子でスイッチングして、スイッチングされた矩形波電圧を降圧トランスで概ね12Vまで降圧し、ハロゲン灯に印加する構成である。
【0003】
また、ランプの明るさを調整するための調光装置として、位相制御調光装置が知られている。位相制御調光装置は、例えば、商用電源から入力した電圧の波形を、双方向性サイリスタで切り崩すことにより、通過する電力を調整する。
【特許文献1】特開平6−335235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、電子トランスによるハロゲン灯点灯装置と、位相制御調光装置とを組み合わせて、ハロゲン灯の明るさを調整できるようにしようとすると、ハロゲン灯点灯装置から唸り音が発生する。
そのため、従来のハロゲン灯点灯装置に調光機能を付加しようとすると、トランジスタのスイッチング周波数を変えることにより、降圧トランスの出力電圧を変化させる構成が一般的である。
【0005】
このような構成のハロゲン灯点灯装置は、装置の構成が複雑になるので装置が大型化する、調光用のスイッチをハロゲン灯点灯装置自体に設けるので離れた場所で調光操作することができない、段階的にしか調光できず連続的に調光することができないなどの課題がある。
【0006】
この発明は、例えば、上記のような課題を解決するためになされたものであり、位相制御調光装置と組み合わせて使用した場合でも、唸り音を発生しないハロゲン灯点灯装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる点灯装置は、
ノイズ除去装置と、整流回路と、点灯回路とを備え、
上記ノイズ除去装置は、2つの電圧入力端子と、アクロスコンデンサと、コモンモードチョークと、ノーマルモードチョークと、2つの電圧出力端子とを有し、
上記2つの電圧入力端子は、位相制御された交流電圧を入力し、
上記アクロスコンデンサは、上記2つの電圧入力端子の間を接続し、
上記コモンモードチョークは、上記2つの電圧入力端子の一方に一端を接続した第一のインダクタと、上記2つの電圧入力端子の他方に一端を接続し、上記第一のインダクタと磁気結合した第二のインダクタとを有し、
上記ノーマルモードチョークは、上記第一のインダクタの他端に一端を接続した第三のインダクタを有し、
上記2つの電圧出力端子の一方は、上記第二のインダクタの他端に接続し、
上記2つの電圧出力端子の他方は、上記第三のインダクタの他端に接続し、
上記整流回路は、上記2つの電圧出力端子の間に発生した電圧を入力し、入力した電圧を整流して脈流電圧を生成し、
上記点灯回路は、上記整流回路が生成した脈流電圧を入力し、入力した脈流電圧からランプに供給する電力を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明にかかる点灯装置によれば、位相制御した交流電圧を入力した場合でも、耳障りな唸り音を発生せず、また、点灯回路が発生する高周波ノイズを効果的に遮断することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
実施の形態1を、図1〜図4を用いて説明する。
【0010】
図1は、この実施の形態におけるハロゲン灯点灯装置100の回路構成を示す電気回路図である。
ハロゲン灯点灯装置100(点灯装置)は、商用電源AC(例えば、100V、50Hzまたは60Hz)などから交流電圧を入力し、入力した交流電圧から高周波電圧(例えば、12V、20〜50kHz)を生成して、ハロゲン灯LA(ランプ)に印加し、ハロゲン灯LAを点灯する。
【0011】
ハロゲン灯点灯装置100は、ノイズ除去装置110、整流回路120、インバータ回路130を有する。
【0012】
ノイズ除去装置110は、商用電源ACからの電源ラインを通して高周波ノイズがハロゲン灯点灯装置100の内部に入るのを防ぐとともに、ハロゲン灯点灯装置100が発生した高周波ノイズが電源ラインを通して外部に出るのを防ぐ。
ノイズ除去装置110の詳細については、後述する。
【0013】
整流回路120は、ノイズ除去装置110が出力した交流電圧を入力し、入力した交流電圧を整流して、脈流電圧を生成する。
整流回路120は、例えば、ダイオードブリッジDB1を有し、入力した交流電圧を全波整流して、脈流電圧を生成する。
【0014】
インバータ回路130(点灯回路)は、整流回路120が生成した脈流電圧を入力し、入力した脈流電圧から、ハロゲン灯LAを点灯するための高周波交流電圧を生成する。
インバータ回路130は、例えば、自励式インバータ回路である。図1に示したインバータ回路130は、公知の回路なので、ここでは説明を省略する。インバータ回路130は、他の構成であってもよい。
【0015】
ハロゲン灯点灯装置100は、商用電源ACなどからの交流電圧を直接入力してもよいが、ハロゲン灯LAの明るさを調整することを目的として、商用電源ACとハロゲン灯点灯装置100との間に位相制御調光装置200を挿入し、位相制御調光装置200により位相制御された交流電圧を入力してもよい。
【0016】
位相制御調光装置200は、例えば、双方向性ダイオードなどを用いて、商用電源ACなどから入力した正弦波交流電圧の波形の一部を切り欠いて、位相制御された交流電圧を生成する。切り欠く位相を調整することにより、伝達する電力を調整し、ハロゲン灯LAの明るさを調整する。
【0017】
ノイズ除去装置110は、アクロスコンデンサC11、ノーマルモードチョークL13、コモンモードチョークL12を有する。
ノイズ除去装置110は、2つの入力端子(電圧入力端子a及び電圧入力端子b)と、2つの出力端子(電圧出力端子c及び電圧出力端子d)を有する。電圧入力端子aと、電圧入力端子bとの電位差が、ハロゲン灯点灯装置100が入力する交流電圧である。
【0018】
アクロスコンデンサC11(「アクロスザラインコンデンサ」ともいう)は、電圧入力端子aと電圧入力端子bとの間を接続する。アクロスコンデンサC11は、0.1μF〜0.47μF程度の容量を有するコンデンサである。
【0019】
ノーマルモードチョークL13(「ノーマルモードチョークコイル」ともいう)は、一端を電圧入力端子aに接続し、他端をコモンモードチョークL12に接続する。ノーマルモードチョークL13は、50μH〜500μH程度のインダクタンスを有するコイル(第三のインダクタ)である。
【0020】
コモンモードチョークL12(「コモンモードチョークコイル」ともいう)は、互いに磁気結合した2つのコイル(第一のインダクタ及び第二のインダクタ)を有する。2つのコイルは、それぞれ3mH〜15mH程度のインダクタンスを有し、ほぼ1に近い結合係数を有する。
第一のインダクタは、一端をノーマルモードチョークL13に接続し、他端を電圧出力端子cに接続する。第二のインダクタは、一端を電圧入力端子bに接続し、他端を電圧出力端子dに接続する。
コモンモードチョークL12は、第一のインダクタと第二のインダクタとの間の相互誘導により、同相電流に対しては大きなインダクタンスとして働くが、逆相電流に対しては小さなインダクタンスとして働くため、コモンモードノイズを除去する作用を有する。
【0021】
ノイズ除去装置110は、電圧出力端子cと電圧出力端子dとの間に発生する電位差を、ノイズの除去された交流電圧として出力する。
【0022】
次に、動作について説明する。
【0023】
図2は、この実施の形態におけるハロゲン灯点灯装置100の各部の電流を示す波形図である。
ハロゲン灯点灯装置100は、商用電源ACが出力した交流電圧(この例では50Hz)を、位相制御調光装置200が位相制御した電圧を入力する。
ハロゲン灯点灯装置100は、商用電源ACが出力した交流電圧(この例では50Hz)を、位相制御調光装置200が位相制御した電圧vinを入力する。
このため、ハロゲン灯点灯装置100が入力する交流電圧vinは、波形の一部が切り欠かれている。
電流iinは、ハロゲン灯点灯装置100が入力する電流(電圧入力端子aから流入する電流=電圧入力端子bから流出する電流)である。
電流iL12は、コモンモードチョークL12の第一のインダクタを流れる電流である。なお、第二のインダクタを流れる電流も、第一のインダクタを流れる電流と等しい。
電流iC11は、アクロスコンデンサC11を流れる電流である。
なお、それぞれの電流について、2つの波形を示しているが、下側の波形は、時間軸を拡大して、時刻t付近を示したものである。
【0024】
位相制御調光装置200は、商用電源ACなどから入力した正弦波交流電圧vACが0クロスした時刻から所定の時間が経過するまでは、0Vを出力する。所定の時間経過後、入力した電圧vACとほぼ同電圧を出力する。0Vを出力する時間を調整することにより、位相制御調光装置200を通過する電力を調整し、ハロゲン灯LAの明るさを調整する。
したがって、位相制御調光装置200が出力する電圧vinには、例えば時刻tにおいて、急激な立ち上がりがある。商用電源ACの周波数が50Hzの場合、電圧vinの急激な立ち上がり及び立ち下がりは、1秒間に50回ずつ、合計100回発生する。
【0025】
アクロスコンデンサC11は、電圧入力端子aと電圧入力端子bとを接続しているので、アクロスコンデンサC11の両端電圧は、電圧vinの変化に追随して変化する。電圧vinの急激な立ち上がり及び立ち下がり時には、アクロスコンデンサC11を急速に充電あるいは放電するため、大きな電流(数A〜数十A)が流れる。
【0026】
ハロゲン灯点灯装置100が入力する電流iinは、アクロスコンデンサC11を流れる電流iC11と、コモンモードチョークL12を流れる電流iL12との和である。コモンモードチョークL12を流れる電流iL12は、整流回路120が入力する電流と等しい。インバータ回路130の力率はほぼ1なので、電流iL12は、電圧vinにほぼ比例する。
電流iinには、電圧vACの急激な立ち上がり及び立ち下がり時に、パルス状の部分が存在するが、これは上述したように、アクロスコンデンサC11と整流回路120の後段にあるコンデンサC33及びC34とを充電あるいは放電する電流である。
【0027】
インバータ回路130は、トランジスタQ37とトランジスタQ39とを交互にスイッチングすることにより、高周波交流電圧を生成する。このため、スイッチングに伴う高周波ノイズが発生し、整流回路120を介して、ノイズ除去装置110の出力側に到達する。
インバータ回路130が発生するノイズはノーマルモードノイズなので、コモンモードチョークL12は小さなインダクタンスとして働くが、ノーマルモードチョークL13の存在により、インバータ回路130側から見たノイズ除去装置110のインピーダンスが大きい。したがって、ノイズ電流はノイズ除去装置110により遮断され、位相制御調光装置200や商用電源ACに出ていくことがない。
【0028】
次に、この実施の形態におけるハロゲン灯点灯装置100の効果を説明するため、対比例について説明する。
【0029】
図3は、第一の対比例におけるハロゲン灯点灯装置100の回路構成を示す電気回路図である。
この対比例におけるハロゲン灯点灯装置100は、この実施の形態におけるハロゲン灯点灯装置100と比較して、ノイズ除去装置110の構成が異なり、他の部分の構成は同一である。
【0030】
この対比例におけるノイズ除去装置110は、この実施の形態におけるノイズ除去装置110と比較して、ノーマルモードチョークL13がない点が異なる。
【0031】
図4は、この対比例におけるハロゲン灯点灯装置100の各部の電流を示す波形図である。
ノイズ除去装置110が入力する電圧vinの周波数成分のうち、高周波成分はアクロスコンデンサC11により短絡されるので、後段の回路には伝達されない。ノーマルモードチョークL13は低周波に対するインピーダンスが小さいので、ノイズ除去装置110を入力側から見た場合の特性は、ノーマルモードチョークL13がなくても、あまり変わらない。
【0032】
しかし、インバータ回路130が発生した高周波ノイズは、ノイズ除去装置110の出力側に到達し、ノーマルモードチョークL13がないので、ノイズ除去装置110により遮断されず、ノイズ除去装置110の入力側に漏れ出す。
【0033】
このため、電流iinは、インバータ回路130の動作周波数と等しい周波数の高周波成分を含み、位相制御調光装置200や同一の商用電源ACに接続した他の装置に悪影響を及ぼす。
【0034】
このように、ノーマルモードチョークL13は、インバータ回路130が発生した高周波ノイズを遮断して、他の装置に悪影響を与えるのを防ぐ効果を有する。
【0035】
図5は、第二の対比例におけるハロゲン灯点灯装置100の回路構成を示す電気回路図である。
この対比例におけるハロゲン灯点灯装置100は、この実施の形態におけるハロゲン灯点灯装置100と比較して、ノイズ除去装置110の構成が異なり、他の部分の構成は同一である。
【0036】
この対比例におけるノイズ除去装置110は、この実施の形態におけるノイズ除去装置110と比較して、以下の2つの点が異なる。
一つは、第一の対比例と同様、ノーマルモードチョークL13がない点である。もう一つは、アクロスコンデンサC11がコモンモードチョークの入力側ではなく、出力側に接続している点である。
【0037】
図6は、この対比例におけるハロゲン灯点灯装置100の各部の電流を示す波形図である。
インバータ回路130が発生した高周波ノイズは、ノイズ除去装置110の出力側に到達するが、アクロスコンデンサC11により短絡されるので、ノイズ除去装置110の入力側には漏れ出さない。したがって、ノイズ除去装置110は、ノーマルモードチョークL13がなくても、インバータ回路130が発生した高周波ノイズを遮断できる。
【0038】
ハロゲン灯点灯装置100が入力する電圧vinの急激な立ち上がり及び立ち下がり時において、アクロスコンデンサC11及びコンデンサC33,C34を充電あるいは放電するための電流が流れる。
この対比例において、ノイズ除去装置110が入力する電流iinとコモンモードチョークL12を流れる電流iL12とは等しい。すなわち、アクロスコンデンサC11及びコンデンサC33,C34を充電あるいは放電するための電流は、コモンモードチョークL12を通ることになる。
【0039】
コモンモードチョークL12に電流が流れると、巻線の間に反発力が生じる。アクロスコンデンサC11及びコンデンサC33,C34を充電あるいは放電するための大電流が流れるたびに、巻線間に強い反発力が働くので、巻線が振動する。この現象は、ワニス含浸などにより巻線が固定されていない場合に特に顕著に現れる。アクロスコンデンサC11及びコンデンサC33,C34を充電あるいは放電するための大電流は、電源周波数が50Hzなら1秒間に100回、60Hzなら120回流れるので、巻線の振動により、100Hzあるいは120Hzの唸り音を生じる。
【0040】
このように、第二の対比例におけるハロゲン灯点灯装置100は、インバータ回路130が発生した高周波ノイズは外部に漏れないが、コモンモードチョークL12から唸り音を生じてしまう。
【0041】
これに対して、この実施の形態におけるハロゲン灯点灯装置100は、アクロスコンデンサC11を充電あるいは放電するための大電流が、コモンモードチョークL12を流れなくなり、コンデンサC33及びC34を充電あるいは放電するための電流のみがコモンモードチョークL12を流れるので、唸り音が低減する。
【0042】
この実施の形態における点灯装置(ハロゲン灯点灯装置100)は、
ノイズ除去装置110と、整流回路120と、点灯回路(インバータ回路130)とを備えることを特徴とする。
ノイズ除去装置110は、2つの電圧入力端子a及びbと、アクロスコンデンサC11と、コモンモードチョークL12と、ノーマルモードチョークL13と、2つの電圧出力端子c及びdとを有することを特徴とする。
2つの電圧入力端子a及びbは、位相制御された交流電圧vinを入力することを特徴とする。
アクロスコンデンサC11は、2つの電圧入力端子a及びbの間を接続することを特徴とする。
ノーマルモードチョークL13は、電圧入力端子aに一端を接続した第三のインダクタを有することを特徴とする。
コモンモードチョークL12は、第三のインダクタの他端に一端を接続した第一のインダクタと、電圧入力端子bに一端を接続し、第一のインダクタと磁気結合した第二のインダクタとを有することを特徴とする。
電圧出力端子dは、第二のインダクタの他端に接続することを特徴とする。
電圧出力端子cは、第一のインダクタの他端に接続することを特徴とする。
整流回路120は、2つの電圧出力端子c及びdの間に発生した電圧を入力し、入力した電圧を整流して脈流電圧を生成し、
点灯回路(インバータ回路130)は、整流回路120が生成した脈流電圧を入力し、入力した脈流電圧からランプ(ハロゲン灯LA)に供給する電力を生成することを特徴とする。
【0043】
この実施の形態における点灯装置(ハロゲン灯点灯装置100)によれば、位相制御による急激な立ち上がりあるいは立ち下がりが交流電圧vinにある場合でも、耳障りな唸り音が低減し、また、インバータ回路130から発生する高周波ノイズを効果的に遮断することができるという効果を奏する。
【0044】
この実施の形態におけるノイズ除去装置110は、2つの電圧出力端子c及びdの間を接続するコンデンサを有さないことを特徴とする。
【0045】
この実施の形態における点灯装置(ハロゲン灯点灯装置100)によれば、アクロスコンデンサC11を充電あるいは放電するために流れる電流が、コモンモードチョークL12を流れないので、コモンモードチョークL12が発生する唸り音が低減するという効果を奏する。
【0046】
この実施の形態における点灯装置(ハロゲン灯点灯装置100)によれば、インバータ回路130から発生する高周波ノイズをノイズ除去装置110が遮断するので、外部に悪影響を及ぼすことがなく、また、位相制御された交流電圧を入力しても、唸り音をあまり発生しないので、簡単に、ハロゲン灯LAの明るさを調整することができるという効果を奏する。
【0047】
実施の形態2.
実施の形態2について、図7〜図8を用いて説明する。
【0048】
図7は、この実施の形態におけるハロゲン灯点灯装置100の回路構成を示す電気回路図である。
なお、実施の形態1で説明したハロゲン灯点灯装置100の構成と共通する部分については、同一の符号を付し、ここでは説明を省略する。
この実施の形態におけるハロゲン灯点灯装置100は、実施の形態1で説明したハロゲン灯点灯装置100と比較して、ノイズ除去装置110の構成が異なり、他の部分の構成は同一である。
【0049】
ノイズ除去装置110は、アクロスコンデンサC11、コモンモードチョークL12、ノーマルモードチョークL13を有する。
アクロスコンデンサC11は、電圧入力端子aと電圧入力端子bとの間を接続する。
コモンモードチョークL12を構成する2つのインダクタのうち、第一のインダクタは、一端を電圧入力端子aに接続し、他端をノーマルモードチョークL13に接続する。第二のインダクタは、一端を電圧入力端子bに接続し、他端を電圧出力端子dに接続する。
ノーマルモードチョークL13は、一端をコモンモードチョークL12の第一のインダクタに接続し、他端を電圧出力端子cに接続する。
【0050】
このように、コモンモードチョークL12とノーマルモードチョークL13との順番を入れ替えても、実施の形態1におけるノイズ除去装置110と同一の機能を有するノイズ除去装置110を構成することができる。
【0051】
図8は、実施の形態1で説明したノイズ除去装置110と同一の機能を有するノイズ除去装置110a〜110eの回路構成を示す電気回路図である。
【0052】
ノイズ除去装置110aは、ノーマルモードチョークL13を接地側のラインに挿入し、ノーマルモードチョークL13が、電圧入力端子bとコモンモードチョークL12の第二のインダクタとの間を接続する構成である。
【0053】
ノイズ除去装置110bは、ノイズ除去装置110aのノーマルモードチョークL13とコモンモードチョークL12との順番を入れ替え、ノーマルモードチョークL13が、コモンモードチョークL12の第二のインダクタと電圧出力端子dとの間を接続する構成である。
【0054】
ノイズ除去装置110cは、ノーマルモードチョークL13を、電圧入力端子aとコモンモードチョークL12の第一のインダクタとの間を接続する第三のインダクタと、電圧入力端子bとコモンモードチョークL12の第二のインダクタとの間を接続する第四のインダクタとの2つのインダクタとした構成である。
【0055】
ノイズ除去装置110dは、ノイズ除去装置110cのノーマルモードチョークL13とコモンモードチョークL12との順番を入れ替え、ノーマルモードチョークL13が、コモンモードチョークL12の第一のインダクタと電圧出力端子cとの間を接続する第三のインダクタと、コモンモードチョークL12の第二のインダクタと電圧出力端子dとの間を接続する第四のインダクタとからなる構成である。
【0056】
ノイズ除去装置110eは、コモンモードチョークL12及びノーマルモードチョークL13の代わりに、コモンモードチョークとノーマルモードチョークの両方の機能を併せ持つハイブリッドチョークL14(複合型ラインフィルタ)を用いた構成である。ハイブリッドチョークL14は、例えば、コモンモードチョークの第一のインダクタと第二のインダクタとの磁気結合の結合係数をわざと小さくすることにより、逆相電流に対してもインダクタンスとして働くようにし、ノーマルモードチョークとしての機能を兼ね備える。
【0057】
いずれの構成のノイズ除去装置110a〜110eを用いても、実施の形態1で説明したノイズ除去装置110と同様の効果を得ることができる。
これらのバリエーションに共通するのは、アクロスコンデンサC11が商用電源ACや位相制御調光装置200に接続する入力側にあり、整流回路120やインバータ回路130に接続する出力側には、電圧出力端子cと電圧出力端子dとを結ぶコンデンサが存在しない点である。
【0058】
この実施の形態における点灯装置(ハロゲン灯点灯装置100)は、
ノイズ除去装置110と、整流回路120と、点灯回路(インバータ回路130)とを備えることを特徴とする。
ノイズ除去装置110は、2つの電圧入力端子a及びbと、アクロスコンデンサC11と、コモンモードチョークL12と、ノーマルモードチョークL13と、2つの電圧出力端子c及びdとを有することを特徴とする。
2つの電圧入力端子a及びbは、位相制御された交流電圧vinを入力することを特徴とする。
アクロスコンデンサC11は、2つの電圧入力端子a及びbの間を接続することを特徴とする。
コモンモードチョークL12は、電圧入力端子aに一端を接続した第一のインダクタと、電圧入力端子bに一端を接続し、第一のインダクタと磁気結合した第二のインダクタとを有することを特徴とする。
ノーマルモードチョークL13は、第一のインダクタの他端に一端を接続した第三のインダクタを有することを特徴とする。
電圧出力端子dは、第二のインダクタの他端に接続することを特徴とする。
電圧出力端子cは、第三のインダクタの他端に接続することを特徴とする。
整流回路120は、2つの電圧出力端子cの間に発生した電圧を入力し、入力した電圧を整流して脈流電圧を生成することを特徴とする。
点灯回路(インバータ回路130)は、整流回路120が生成した脈流電圧を入力し、入力した脈流電圧からランプ(ハロゲン灯LA)に供給する電力を生成することを特徴とする。
【0059】
この実施の形態におけるノイズ除去装置110によれば、位相制御による急激な立ち上がりあるいは立ち下がりが交流電圧vinにある場合でも、耳障りな唸り音が低減し、また、インバータ回路130から発生する高周波ノイズを効果的に遮断することができるという効果を奏する。
【0060】
この実施の形態におけるノイズ除去装置110は、2つの電圧出力端子c及びdの間を接続するコンデンサを有さないことを特徴とする。
【0061】
この実施の形態における点灯装置(ハロゲン灯点灯装置100)によれば、アクロスコンデンサC11を充電あるいは放電するために流れる電流が、コモンモードチョークL12を流れないので、コモンモードチョークL12が発生する唸り音が低減するという効果を奏する。
【0062】
この実施の形態におけるハロゲン灯点灯装置100は、
ノーマルモードチョークL13とコモンモードチョークL12とに代えて、ノーマルモードチョークL13とコモンモードチョークL12との等価回路である復号型ラインフィルタ(ハイブリッドチョークL14)を有することを特徴とする。
【0063】
この実施の形態におけるハロゲン灯点灯装置100によれば、部品点数を減らせるので、装置の小型化・軽量化、製造コストの削減ができるという効果を奏する。
【0064】
実施の形態3.
実施の形態3について、図9を用いて説明する。
この実施の形態におけるハロゲン灯点灯装置100の回路構成は、実施の形態1または実施の形態2で説明した回路と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0065】
この実施の形態では、実験結果をもとに、アクロスコンデンサC11の容量の好ましい値について説明する。
【0066】
図9は、この実施の形態におけるハロゲン灯点灯装置100におけるアクロスコンデンサC11の容量と、雑音端子電圧及び力率との関係についての実験結果を示すグラフ図である。
雑音端子電圧とは、ハロゲン灯点灯装置100の入力端子間に発生するノイズの電圧値のことで、1μVを0dBとする。
器具の電源端子に発生する雑音端子電圧は、電気用品の技術上の基準を定める省令により、56dBでなければならないことが定められている(5MHz以下の連続性雑音端子電圧の場合)。
力率とは、ハロゲン灯点灯装置100が入力する皮相電力に対する有効電力の比率であり、0.95以上であることが好ましい。
【0067】
実験結果より、アクロスコンデンサC11の容量を増やせば、雑音端子電圧を減らすことができるが、その代わり、力率が悪くなることがわかる。
アクロスコンデンサC11の容量が0.1μF以上0.5μF以下の範囲内である場合、上記の両条件を満たし、望ましいハロゲン灯点灯装置100を得ることができる。
アクロスコンデンサC11の容量が0.1μF未満の場合、雑音端子電圧が急激に悪化する。
また、アクロスコンデンサC11の容量が0.5μF超の場合、力率が急激に悪化する。
【0068】
このように、アクロスコンデンサC11の容量を0.1μF以上0.5μF以下とすることにより、雑音端子電圧が低く、かつ、力率のよいハロゲン灯点灯装置を得ることができる。
【0069】
この実施の形態における点灯装置(ハロゲン灯点灯装置100)は、
アクロスコンデンサC11の容量が0.1μF以上0.5μF以下であることを特徴とする。
この実施の形態における点灯装置(ハロゲン灯点灯装置100)によれば、雑音端子電圧が56dB以下で、かつ、力率が0.95以上であるという2つの好ましい特性を兼ね備えることができるという効果を奏する。
【0070】
実施の形態4.
実施の形態4について、図10を用いて説明する。
この実施の形態におけるハロゲン灯点灯装置100の回路構成は、実施の形態1または実施の形態2で説明した回路と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0071】
この実施の形態では、実験結果をもとに、インバータ回路130の入力段コンデンサの容量について説明する。
【0072】
実施の形態1で述べたように、ノイズ除去装置110は、出力側(電圧出力端子cと電圧出力端子dとの間)を接続するコンデンサを有していない。
しかし、一般的なインバータ回路130は、入力電圧をコンデンサで分圧する構成となっている。
入力電圧を分圧するコンデンサC33及びC34は、ノイズ除去装置110の出力側を直接接続してはいないが、整流回路120のダイオードブリッジDB1を介して、ノイズ除去装置110の出力側を接続するので、このようなコンデンサはないほうが望ましい。
【0073】
図10は、この実施の形態におけるハロゲン灯点灯装置100のインバータ回路130の入力段コンデンサの容量(C33及びC34の容量の合成値)と、ハロゲン灯点灯装置100が発生する唸り音の騒音レベルとの間の関係についての実験結果を示すグラフ図である。
騒音レベルは、音に敏感な人でも騒音と感じないレベルである30dBA未満であることが好ましい。
【0074】
実験結果より、インバータ回路130の入力段コンデンサの容量が小さいほど、騒音レベルが低くなることがわかる。
インバータ回路130の入力段コンデンサの容量が0.25μF以下である場合、騒音レベルを30dBA未満とすることができる。
また、インバータ回路130の入力段コンデンサの容量が0.25μF超になると、騒音レベルの上昇率が高くなる。
【0075】
このように、インバータ回路130の入力段コンデンサの容量を0.25μF以下とすることにより、ハロゲン灯点灯装置100が発生する唸り音の騒音レベルを低くすることができる。
【0076】
この実施の形態における点灯回路(インバータ回路130)は、
整流回路120が生成する脈流電圧を入力する端子間を接続し、容量が0.25μF以下である入力段コンデンサ(C33・C34)を有することを特徴とする。
この実施の形態における点灯装置(ハロゲン灯点灯装置100)によれば、発生する唸り音の騒音レベルが30dBA未満であり、音に敏感な人でも気にならないレベルとすることができるという効果を奏する。
【0077】
照明器具が、以上各実施の形態で説明した点灯装置(ハロゲン灯点灯装置100)を備えることにより、各実施の形態で説明した点灯装置と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】実施の形態1におけるハロゲン灯点灯装置100の回路構成を示す電気回路図。
【図2】実施の形態1におけるハロゲン灯点灯装置100の各部の電圧・電流を示す波形図。
【図3】第一の対比例におけるハロゲン灯点灯装置100の回路構成を示す電気回路図。
【図4】第一の対比例におけるハロゲン灯点灯装置100の各部の電流を示す波形図。
【図5】第二の対比例におけるハロゲン灯点灯装置100の回路構成を示す電気回路図。
【図6】第二の対比例におけるハロゲン灯点灯装置100の各部の電流を示す波形図。
【図7】実施の形態2におけるハロゲン灯点灯装置100の回路構成を示す電気回路図。
【図8】実施の形態1で説明したノイズ除去装置110と同一の機能を有するノイズ除去装置110a〜110eの回路構成を示す電気回路図。
【図9】実施の形態3におけるハロゲン灯点灯装置100におけるアクロスコンデンサC11の容量と、雑音端子電圧及び力率との関係についての実験結果を示すグラフ図。
【図10】実施の形態4におけるハロゲン灯点灯装置100のインバータ回路130の入力段コンデンサの容量(C33及びC34の容量の合成値)と、ハロゲン灯点灯装置100が発生する唸り音の騒音レベルとの間の関係についての実験結果を示すグラフ図。
【符号の説明】
【0079】
100 ハロゲン灯点灯装置、110 ノイズ除去装置、120 整流回路、130 インバータ回路、200 位相制御調光装置、AC 商用電源、C11 アクロスコンデンサ、C32,C33,C34 コンデンサ、DB1 ダイオードブリッジ、L12 コモンモードチョーク、L13 ノーマルモードチョーク、LA ハロゲン灯、Q37,Q39 トランジスタ、R31,R36,R38 抵抗器、T35 電流トランス、T40 降圧トランス、TD1 トリガダイオード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノイズ除去装置と、整流回路と、点灯回路とを備え、
上記ノイズ除去装置は、2つの電圧入力端子と、アクロスコンデンサと、コモンモードチョークと、ノーマルモードチョークと、2つの電圧出力端子とを有し、
上記2つの電圧入力端子は、位相制御された交流電圧を入力し、
上記アクロスコンデンサは、上記2つの電圧入力端子の間を接続し、
上記コモンモードチョークは、上記2つの電圧入力端子の一方に一端を接続した第一のインダクタと、上記2つの電圧入力端子の他方に一端を接続し、上記第一のインダクタと磁気結合した第二のインダクタとを有し、
上記ノーマルモードチョークは、上記第一のインダクタの他端に一端を接続した第三のインダクタを有し、
上記2つの電圧出力端子の一方は、上記第二のインダクタの他端に接続し、
上記2つの電圧出力端子の他方は、上記第三のインダクタの他端に接続し、
上記整流回路は、上記2つの電圧出力端子の間に発生した電圧を入力し、入力した電圧を整流して脈流電圧を生成し、
上記点灯回路は、上記整流回路が生成した脈流電圧を入力し、入力した脈流電圧からランプに供給する電力を生成する
ことを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
ノイズ除去装置と、整流回路と、点灯回路とを備え、
上記ノイズ除去装置は、2つの電圧入力端子と、アクロスコンデンサと、コモンモードチョークと、ノーマルモードチョークと、2つの電圧出力端子とを有し、
上記2つの電圧入力端子は、位相制御された交流電圧を入力し、
上記アクロスコンデンサは、上記2つの電圧入力端子の間を接続し、
上記ノーマルモードチョークは、上記2つの電圧入力端子の一方に一端を接続した第三のインダクタを有し、
上記コモンモードチョークは、上記第三のインダクタの他端に一端を接続した第一のインダクタと、上記2つの電圧入力端子の他方に一端を接続し、上記第一のインダクタと磁気結合した第二のインダクタとを有し、
上記2つの電圧出力端子の一方は、上記第二のインダクタの他端に接続し、
上記2つの電圧出力端子の他方は、上記第一のインダクタの他端に接続し、
上記整流回路は、上記2つの電圧出力端子の間に発生した電圧を入力し、入力した電圧を整流して脈流電圧を生成し、
上記点灯回路は、上記整流回路が生成した脈流電圧を入力し、入力した脈流電圧からランプに供給する電力を生成する
ことを特徴とする点灯装置。
【請求項3】
上記ノイズ除去装置は、上記ノーマルモードチョークと上記コモンモードチョークとに代えて、上記ノーマルモードチョークと上記コモンモードチョークとの等価回路である複合型ラインフィルタを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の点灯装置。
【請求項4】
上記アクロスコンデンサは、容量が0.1μF以上0.5μF以下である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の点灯装置。
【請求項5】
上記ノイズ除去装置は、上記2つの電圧出力端子の間を接続するコンデンサを有さないことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の点灯装置。
【請求項6】
上記点灯回路は、上記整流回路が生成する脈流電圧を入力する端子間を接続し、容量が0.25μF以下である入力段コンデンサを有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の点灯装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の点灯装置を備えることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−210597(P2008−210597A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44895(P2007−44895)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】