説明

無ボイドでのサブミクロン構造物充填用の、抑制剤を含有する金属メッキ組成物

少なくとも一種の金属イオン源と、少なくとも5個のヒドロキシル官能基をもつ多価アルコールを、第一のアルキレンオキシドと第二のアルキレンオキシドの混合物からの少なくとも第一のアルキレンオキシドと第二のアルキレンオキシドと、または第三のアルキレンオキシドと第二のアルキレンオキシドと第一のアルキレンオキシドとその順番で反応させて得られる少なくとも一種の添加物とからなる組成物であって、第三のアルキレンオキシドは、第二のアルキレンオキシドより長いアルキル鎖を有し、第二のアルキレンオキシドが第一のアルキレンオキシドより長いアルキル鎖をもつ組成物。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
バイア孔や溝などの微小構造物の銅電解めっきでの充填は、半導体製造プロセスに必須の要素である。電解めっき浴中に添加物として有機物質が存在することが、支持体表面上に均一な金属を付着させるために、またボイドやしわなどの欠陥を防ぐのに極めて重要であることがわかっている。
【0002】
添加物の一種が、いわゆるサプレッサまたは抑制剤である。サプレッサは、バイア孔や溝などの微小構造物を実質的にボトムアップで充填をするのに用いられる。構造物が小さくなるほど、ボイドやしわを避けるにより高級な添加物が必要となる。文献中にはいろいろ異なる抑制剤化合物が記載されている。最も多く用いられるサプレッサ種は、ポリグリコールなどのポリエーテル化合物と、エチレンオキシドプロピレンオキシドコポリマーなどのポリアルキレンオキシドである。
【0003】
このようなポリエーテル化合物は、グリコールまたはグリセロールなどの一個以上のヒドロキシル基をもつアルコール出発物質をポリアルキレンオキシドと反応させて製造される。
【0004】
US2002/0043468には、ポリマー主鎖の分岐中に酸素または窒素を含む官能基をもつ抑制剤が開示されている。一般にこれらの分岐状サプレッサの分子量は約10.000以上の範囲にある。
【0005】
US2004/0217009A1には、線状あるいは星型のポリ(アルキレンオキシド)ランダムコポリマー抑制剤が開示されている。
【0006】
US6776893B1には、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロックコポリマーと多価アルコールのポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレン誘導体、多価アルコールの混合ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン誘導体から選ばれる抑制剤が開示されている。多価アルコールの例としては、ソルビトールやグリセロール、マンニトールがあげられ、グリセロールが好ましい。このような抑制剤の一種は、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドのブロックコポリマーなどの混合アルコキシ基を含んでいる。
【0007】
バイア孔や溝などの構造物の開口径が100ナノメートル未満にまで、さらには50ナノメートル未満にまで減少すると、その相互連結部の銅での充填が特に難しくなる。銅電着の前に銅の種被覆を行うと不均一で不一致が起こり、特に開口部の上部で開口径が減少する。特に、上部開孔部または凸形開口部で被覆が張り出している開口部を充填することが難しく、特に構造物の側壁や開口の開孔部での効果的な銅の成長抑制が求められる。
【0008】
図3は、種被覆した基板が、充填される構造物の開口部に与える影響を示している。この種被覆は、暗灰色の構造物の上の明灰色の層として示されている。図3に示すように、種被覆が張り出して構造物の大きさが減少していくため、もしサプレッサが完全に側壁での銅成長(図2a〜2c中2”)を抑制できないなら、開孔部に近い溝の上半分でピンチオフボイドが発生する恐れが大きくなる。図からわかるように、種被服層がないと開孔部の幅が1/2未満にまで減少し、有効開口径がそれぞれ約18ナノメートル〜16ナノメートルとなる。この種被覆された構造物は凸形の形状をもつ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US2002/0043468
【特許文献2】US2004/0217009A1
【特許文献3】US6776893B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって本発明の目的は、優れた超充填性能をもつ銅電解めっき添加物を、特に金属電解めっき浴で、好ましくは銅電解めっき浴を用いてナノメートルスケールでまたマイクロメートルスケールで実質的に無ボイドで構造物に切れ目の無い充填を行うことのできる抑制剤を提供することである。本発明のもう一つの目的は、凸形の形状をもつ構造物に実質的に無ボイドで切れ目の無い充填を行うことができる銅電解めっき添加物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
驚くべきことに、ランダムコポリマー構造をもつポリオキシアルキル化ポリアルコールと、また特にトリブロックコポリマーを添加物として使用すると、特に極めて小さな開口径及び/又は高アスペクト比をもつ構造物の充填に用いられた場合に極めて優れた超充填性能を示すことが明らかとなった。本発明は、種被覆の張り出しに対応でき、不均一な銅種被覆であっても実質的に無欠陥の溝充填を可能とする新種の効果の高い強力な抑制剤を提供する。
【0012】
したがって本発明は、少なくとも一種の金属イオン源と少なくとも一種の少なくとも5個のヒドロキシル基をもつポリオキシアルキル化多価アルコールとを含む組成物を提供する。この少なくとも一種の抑制剤は、少なくとも5個のヒドロキシル官能基をもつ多価アルコールを、第一のアルキレンオキシドと第二のアルキレンオキシドの混合物からの少なくとも当該第一のアルキレンオキシド及び当該第二のアルキレンオキシドと反応させて得られる。このようにして、ランダムなポリオキシアルキレンコポリマー側鎖をもつ多価アルコールが形成される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1aは、銅層2aをもつ誘電体基板1を示す図であり、図1bは、銅層2’が電着により形成された誘電体基板1を示す図であり、図1cは、銅のかぶり2bが化学機械研磨(CMP)で除かれた誘電体基板1を示す図である。
【図2】図2aは、ボトムアップ充填を示す図であり、図2bは、U字形の銅成長フロント2''''を示す図であり、図2cは、V字形の銅成長フロント2''''を示す図である。
【図3】図3は、実施例で説明する異なるめっき浴を用いる電解めっきに用いた銅被覆ウエハー基板の構造物の径を示す図である。
【図4】図4aと図4bは、実施例4で得られた電気めっき銅層のSEM像である。
【図5】図5aと図5bは、実施例5で得られた電気めっき銅層のSEM像である。
【図6】図6aと図6bは、実施例6(比較例)で得られた電気めっき銅層のSEM像である。
【図7】図7aと図7bは、実施例8(比較例)で得られた電気めっき銅層のSEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
また、本発明は、少なくとも一種の金属イオン源と少なくとも5個のヒドロキシル官能基をもつ多価アルコールを第三のアルキレンオキシドと第二のアルキレンオキシドと第一アルキレンオキシドとをこの順序で反応させて得られる少なくとも一種の添加物(ただし、第三のアルキレンオキシドのアルキル鎖が第二のアルキレンオキシドのものより長く、第二のアルキレンオキシドのアルキル鎖が第一のアルキレンオキシドのものより長い)とからなる組成物を提供する。このようにして(少なくとも部分的に)トリブロックポリオキシアルキレンコポリマー側鎖をもつ多価アルコールが形成される。
【0015】
本発明の添加物の長所は、その抑制能力にあり、極めて強固なボトムアップ(底から上向きの)充填銅成長が可能で、側壁での銅成長を完全に抑制できる、このため成長フロントが平坦となって実質的に無欠陥の溝またはバイア孔の充填が可能であることであ。本発明のこの強固な側壁銅成長抑制により、不均一な銅被覆構造物を実質的に無ボイドで充填することができる。また、本発明は、構造物が緻密に存在している領域で全体として均一なボトムアップ充填を可能とする。
【0016】
本発明の添加物は、特に微小構造物に、特に開口径が30ナノメートル以下である微小構造物に有用である。
【0017】
これらの添加物は、通常、少なくとも5個のヒドロキシル基を有する多価アルコール(ポリアルコールと呼ぶこともある)を、アルキレンオキシドと混合物としてあるいは逐次に反応させることで得られる。このようにして、ポリアルコールのヒドロキシル基がエーテル化されて、ポリオキシアルキレン側鎖を生成する。
【0018】
ある好ましい組成物においては、好適なポリアルコールが式(I)で表される。
【0019】
X(OH)m (I)
【0020】
式中
mは、5〜10の整数、好ましくは5〜6の整数であり、
Xは、5〜10個の炭素原子を有するm価の直鎖又は分岐鎖の脂肪族または脂環式基であり、置換していても非置換であってもよい。
【0021】
このポリアルコールが、式(II)で表される線状単糖アルコールであることが好ましい。
【0022】
HOCH2−(CHOH)n−CH2OH (II)
【0023】
式中、nは3〜8の整数である。
【0024】
相当する単糖アルコール類(II)の例としては、ソルビトールやマンニトール、キシリトール、リビトール、またこれらの立体異性体等が含まれる。特に好ましい単糖アルコール(II)はソルビトールである。
【0025】
このポリアルコールが、式(III)で表される環状の単糖アルコールであることがより好ましい。
【0026】
(CHOH)o (III)
【0027】
式中、oは5〜10の整数である。相当する単糖アルコール(III)の例としては、
イノシトール(シクロヘキサンヘキソール)があげられる。
【0028】
他の組成物においては、好適なポリアルコールが、単糖及びその立体異性体である。好ましい単糖は、式(IV)の単糖アルドースである。
【0029】
CHO−(CHOH)p−CH2OH (IV)
【0030】
式中、pは4〜5の整数である。相当する単糖アルドース(IV)の例としては、アロース、アルトロース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、マンノース、タロース、グルコヘプトース、マンノヘプトースなどが挙げられる。非常に好ましい単糖アルトース(IV)はグルコースである。
【0031】
特に好ましい単糖は、単糖ケトース(V)である。
【0032】
CH2OH−(CHOH)q−CO−(CHOH)r−CH2OH (V)
【0033】
式中、qとrは整数であり、q+rは3又は4である。相当する単糖ケトース(V)の例としては、フルクトース、プシコース、ソルボース、タガトース、マンノヘプツロース、セドノヘプツロース、タロノヘプツロース、アロノヘプツロースなどが挙げられる。特に好ましい単糖ケトース(V)は、フルクトースおよびその誘導体である。
【0034】
ある実施様態においては、適当なポリアルコールは二糖から選ばれる。特に好ましい二糖は、ショ糖とマルトース、またこれらの誘導体である。
【0035】
本発明の添加物(ポリアルコキシル化ポリアルコールとも呼ばれる)は、特定のポリアルコールとアルキレンオキシドの反応生成物である。ポリアルコキシル化ポリアルコールは、ポリアルコール中に存在するOH基をアルキレンオキシドと反応させて、それぞれのオキシアルキレン単位を含む末端ポリエーテル基として得られる。ポリアルコキシル化ポリアルコールは公知である。
【0036】
一般的には、好適なアルキレンオキシドは、C2〜C12−アルキレンオキシドまたはスチレンオキシドであるが、これらに限定されるのではない。相当するアルキレンオキシドの例としては、エチレンオキシドとプロピレンオキシド、1−ブテンオキシド、2,3−ブテンオキシド、2−メチル−1,2−プロペンオキシド(イソブテンオキシド)、1−ペンテンオキシド、2,3−ペンテンオキシド、2−メチル−1,2−ブテンオキシド、3−メチル−1,2−ブテンオキシド、2,3−ヘキセンオキシド、3,4−ヘキセンオキシド、2−メチル−1,2−ペンテンオキシド、2−エチル−1,2−ブテンオキシド、3−メチル−1,2−ペンテンオキシド、デセンオキシド、4−メチル−1,2−ペンテンオキシドまたはスチレンオキシドがあげられる。
【0037】
エチレンオキシドとプロピレンオキシド、ブチレンオキシド、またはこれらの組み合わせから選ばれるアルキレンオキシドを使用することが好ましい。エチレンオキシドと他のアルキレンオキシドのコポリマー中のエチレンオキシドの含量は、10〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは20〜50重量%、最も好ましくは25〜40重量%である。
【0038】
好ましくは、第一のアルキレンオキシドはエチレンオキシドであり、第二のアルキレンオキシドが、プロピレンオキシドとブチレンオキシド、またはこれらの組み合わせから選ばれる。第二のアルキレンオキシドがプロピレンオキシドであることが最も好ましい。
【0039】
好ましくは、この添加物がエチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダムコポリマーである。
【0040】
一般的には性質の微調整のために、多くても少量の高級アルキレンオキシドを用いることが好ましい。一般に、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドの量は、使用するアルキレンオキシドの総量に対して少なくとも80重量%であり、好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは100重量%である。
【0041】
ブロックコポリマーの場合、第三のアルキレンオキシドは、ブチレンオキシドであることが好ましい。
【0042】
この第三のアルキレンオキシドは、0.1重量%〜10重量%の量で、好ましくは0.5重量%〜5.0重量%の量で存在することが好ましい。
【0043】
最も好ましくは、このアルキレンオキシドは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物から選ばれる。最終の製品中のオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位の重量比は、10:90〜90:10が好ましく、より好ましくは20:80〜50:50、最も好ましくは25:75〜40:60である。
【0044】
ポリアルコキシル化ポリアルコールの分子量Mwは、好ましくは500〜30000g/molであり、より好ましくは1000〜20000g/mol、より好ましくは2000〜15000g/mol、さらに好ましくは3000〜10000g/molである。分子量は4000〜8000g/molであることが最も好ましい。
【0045】
平均のオキシアルキル化度は、ポリアルコール出発物質当り約10〜約500アルキレンオキシド単位であり、好ましくは約30〜約400、より好ましくは約50〜約300、最も好ましくは約60〜約200アルキレンオキシド単位である。
【0046】
ポリオキシアルキレンの合成は、当業界の熟練者には公知である。例えば、ウルマン工業化学辞典の「ポリオキシアルキレン」、第6版、電子版に詳細で総合的な説明が見出される。
【0047】
従来の塩基性触媒の存在下で、具体的には水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、またはナトリウムメトキシドまたはカリウムtert−ブチラートなどのアルカリ金属アルコキシドの存在下でポリオキシアルキル化を行うことが好ましい。このポリアルコキシル化は、原則として公知の方法で実施でき、圧力反応器中で40〜250℃で、好ましくは80〜200℃で、より好ましくは100〜150℃で行うことができる。このポリアルコールの融点が反応温度を超える場合は、ポリアルコキシル化反応の前にポリアルコールを不活性溶媒中に懸濁する。好適な溶媒は、トルエンやキシレン、ポリエーテル、N,N−ジメチルホルムアミドである。
【0048】
このポリアルコキシル化ポリアルコールを他の反応工程でさらに官能化することもできる。さらに官能化することで、ポリアルコキシル化ポリアルコールの性質を変更することができる。官能化のために、このアルコキシル化ポリアルコールの末端ヒドロキシル基を適当な反応剤と反応させることができ、これにより、一般式−(アルコキシ)s−Zの基が得られる。なお式中、Zはいずれか所望の基でありsは1〜200の整数である。官能化剤によっては、鎖末端を疎水化することもできるし、強親水化することもできる。
【0049】
これらの末端ヒドロキシル基を、例えば硫酸またはその誘導体でエステル化して末端硫酸基をもつ生成物としてもよい(硫酸化)。同様に、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、POCl3またはP410を用いて末端リン基をもつ生成物を得ることができる(リン酸化)。
【0050】
また、末端OH基をエーテル化して、一般式−(アルコキシ)s−Zのエーテル末端のポリアルコキシ基としてもよい。なお式中、Zは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリール、またはアリール基であり、sは1〜200の整数である。好ましくは、Zはメチル、エチル、ベンジル、アセチルまたはベンゾイルである。
【0051】
本発明の他の実施様態は、開口径が30ナノメートルである構造物を含む基板上に金属を付着させるのに上述の組成物を含む金属メッキ浴を利用することである。
【0052】
本発明の他の実施様態は、支持体上に金属層を付着させる方法であって、
a)本発明の組成物を含む金属メッキ浴を基板に接触させ、
b)金属層を基板に付着するのに十分な時間、該基板に電流密度を加える
ことからなる方法である。
【0053】
この基板がサブミクロンサイズの構造物を含み、この付着がこのサブミクロンサイズの構造物の充填のために行われることが好ましい。このサブミクロンサイズの構造物の(有効)開口径が1〜30ナノメートルで、及び/又はアスペクト比が4以上であることが最も好ましい。より好ましくは、この構造物の開口径が25ナノメートル以下であり、最も好ましくは20ナノメートル以下である。
【0054】
本発明では開口径は、めっき前の、即ち銅種被覆後の構造物の最小径または自由距離を意味する。「開口部」と「開孔部」は、ここでは同じ意味で使われている。凸形の形状とは、開口径が構造物の最大直径または自由距離より少なくとも25%小さな、好ましくは30%、最も好ましくは50%小さな構造物である。
【0055】
本発明のめっき浴は、高アスペクト比の構造物に、アスペクト比が4以上、特に6以上の構造物に特に好適である。
【0056】
極めていろいろな種類の金属メッキ浴が本発明で使用可能である。金属電解めっき浴は、通常金属イオン源と電解質と高分子抑制剤とを含んでいる。
【0057】
この金属イオン源は、電解めっき浴で付着する金属イオンを十分な量で放出できるなら、即ち電解めっき浴中に少なくとも部分的に可溶であるならいずれの化合物であってよい。この金属イオン源は、めっき浴中に可溶であることが好ましい。好適な金属イオン源と金属塩としては、例えば、金属硫酸塩、金属ハロゲン化物、金属酢酸塩、金属硝酸塩、金属フルオロホウ酸塩、金属アルキルスルホン酸塩、金属アリールスルホン酸塩、金属スルファミン酸塩、金属グルコン酸塩などが挙げられるが。これらに特に限定されるのではない。この金属は銅であることが好ましい。この金属イオン源が、硫酸銅、塩化銅、酢酸銅、クエン酸銅、硝酸銅、フルオロホウ酸銅、メタンスルホン酸銅、フェニルスルホン酸銅、p−トルエンスルホン酸銅であることがさらに好ましい。硫酸銅五水和物とメタンスルホン酸銅が特に好ましい。このような金属塩は一般に市販されており、さらに精製することなく使用できる。
【0058】
金属電解めっきに加えて、この組成物を金属含有層の無電解めっきに使用してもよい。これらの組成物は、特にNi、Co、Mo、W及び/又はReを含むバリアー層の付着に使用できる。この場合、金属イオンに加えて、III族とV族の他の元素が、特にBとPが、無電解めっき組成物中に存在してよく、これらの金属と共に付着させることができる。
【0059】
本発明において、この金属イオン源は、支持体上に電解めっきするのに十分な金属イオンを供給できるならいずれの量で用いてもよい。好適な金属イオン源としては、例えば、スズ塩類、銅塩等が含まれが、特にこれらに限定されない。この金属が銅である場合は、その銅塩が、通常メッキ液中に約1〜約300g/lの範囲の量で存在する。もちろん金属塩の混合物を本発明の電気めっきに用いてもよい。したがって、合金が、例えば最大で約2重量パーセントのスズを含む銅−スズ合金が、本発明のメッキに好ましく用いられる。このような混合物中のそれぞれの金属塩の量は、メッキされる合金により決まり、当業界の熟練者には公知である。
【0060】
一般に、この金属電解めっき組成物は、上記金属イオン源と少なくとも一種の本発明の抑制剤に加えて、電解質、即ち酸性またはアルカリ性の電解質と、一種以上の金属イオンと、場合よってはハロゲンイオン、また場合によっては硬化促進剤及び/又はレベラーなどの他の添加物を含むことが好ましい。このような浴は通常水性である。この水は、広い範囲の量で存在可能である。蒸留水や脱イオン水、水道水などいずれの種類の水も使用可能である。
【0061】
本発明の電解めっき浴は、これら成分をいかなる順序で混合して製造してもよい。金属塩、水、電解質、任意のハロゲンイオン源などの無機成分をまず浴容器に添加し、次いでレベリング剤や硬化促進剤、サプレッサ、界面活性剤などの有機成分を添加することが好ましい。
【0062】
典型的には本発明のめっき浴は、10〜65℃以上のいずれの温度で使用してもよい。めっき浴の温度は10〜35℃が好ましく、15℃〜30℃がさらに好ましい。
【0063】
好適な電解質としては、硫酸、酢酸、ホウフッ素酸、メタンスルホン酸やエタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのアルキルスルホン酸、フェニルスルホン酸やトルエンスルホン酸などのアリールスルホン酸、スルファミン酸、塩酸、リン酸、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、好ましくは水酸化テトラメテルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるのではない。酸は、通常約1〜約300g/lの範囲の量で存在し、アルカリ性電解質は通常、約0.1〜約20g/lの量で、あるいはそれぞれpHが8〜13、特にpHが9〜12となるような量で存在する。
【0064】
このような電解質は、必要によっては、塩素イオンなどのハロゲンイオン源を、例えば塩化銅または塩酸を含んでいてもよい。広い範囲のハロゲンイオン濃度が、例えば約0〜約500ppmが本発明で使用できる。通常、このハロゲンイオンの濃度はめっき浴に対して約10〜約100ppmの範囲である。電解質は硫酸またはメタンスルホン酸であることが好ましく硫酸またはメタンスルホン酸と塩素イオン源との混合物であることがより好ましい。本発明で有用なこれらの酸とハロゲンイオン源は、通常市販されており、さらに精製することなく使用できる。
【0065】
この組成物がさらに、少なくとも一種の加速剤及び/又は少なくとも一種のレベリング剤を含むことが好ましい。
【0066】
いかなる硬化促進剤も、本発明のめっき浴で好適に用いられる。本発明で有用な硬化促進剤としては、例えば、一個以上の硫黄原子を含む化合物やスルホン酸/ホスホン酸またはその塩類があげられるが、これらに限定されない。
【0067】
一般に好ましい硬化促進剤は、一般構造式MO3X−R21−(S)u−R22をもつ。
【0068】
−Mは、水素またはアルカリ金属(好ましくはNaまたはK)であり、
−Xは、PまたはSであり
−u=1〜6である。
−R21は、C1−C8アルキル基またはヘテロアルキル基、アリール基または複素芳香族基から選ばれる。ヘテロアルキル基は、一個以上のヘテロ原子(N、S、O)と1〜12個の炭素原子をもつ。フェニルやナフチルなどの脂環式アリール基が典型的なアリール基である。複素芳香族基も、好適なアリール基であり、一個以上のN、OまたはS原子を含み、1〜3個の分離したあるいは縮合した環をもつ。
−R22は、Hまたは(−S−R21’XO3M)、(なお、R21’は、R21と同じであっても異なっていてもよい)から選ばれる。
より詳細には、有用な硬化促進剤は、以下の式のものを含む。
【0069】
MO3S−R21−SH
MO3S−R21−S−S−R21’−SO3
MO3S−Ar−S−S−Ar−SO3
【0070】
なお、R21とR21’は上の定義どおりであり、Arはアリールである。
【0071】
特に好ましい加速剤は、次のものである。
−SPS:ビス−(3−スルホプロピル)−ジスルフィド・二ナトリウム塩
−MPS:3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸・ナトリウム塩
【0072】
単独または混合物として用いられる硬化促進剤の他の例としては、特に限定されないが、MES(2−メルカプトエタンスルホン酸、ナトリウム塩);DPS(N,N−ジメチルジチオカルバミン酸(3−スルホプロピルエステル)・ナトリウム塩);UPS(3−[(アミノ−イミノメチル)−チオ]−1−プロピルスルホン酸);ZPS(3−(2−ベンズチアゾリルチオ)−1−プロパンスルホン酸・ナトリウム塩);3−メルカプト−プロピルスルホン酸−(3−スルホプロピル)エステル;メチル−(m−スルホプロピル)−ジスルフィド・二ナトリウム塩;メチル−(m−スルホプロピル)−トリスルフィド・二ナトリウム塩があげられる。
【0073】
このような硬化促進剤は、通常めっき浴の総重量に対して約0.1ppm〜約3000ppmの量で用いられる。本発明で有用な硬化促進剤の特に好適な量は1〜500ppmであり、特に2〜100ppmである。
【0074】
いずれの他のサプレッサも、好ましく本発明で用いられる。本発明で有用なサプレッサとしては、例えば、高分子材料、特にヘテロ原子置換をもつもの、特に酸素置換をもつものがあげられるが、特にこれらに限定されない。好適なサプレッサとしては、ポリエチレングリコールコポリマーが、特にポリエチレングリコールポリプロピレングリコールコポリマーがあげられる。好適なサプレッサ中のエチレンオキシドとプロピレンオキシドの配列は、ブロックであっても、交互でも、勾配またはランダムであってもよい。このポリアルキレングリコールは、ブチレンオキシドなどの他のアルキレンオキシド構成単位を含んでいてもよい。好適なサプレッサの平均分子量が約2000g/molを超えることが好ましい。好適なポリアルキレングリコールの出発分子としては、メタノールやエタノール、プロパノール、nブタノールなどのアルキルアルコール、フェノールやビスフェノールなどのアリールアルコール、ベンジルアルコールなどのアルカリールアルコール、グリコールやグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどのポリオール出発物質、サッカロースなどの炭水化物、アルキルアミンなどのアミンやオリゴアミン、アニリンやトリエタノールアミン、エチレンジアミンなどのアリールアミン、アミド、ラクタム、イミダゾールなどの複素環式アミン、カルボン酸があげられる。必要なら、ポリアルキレングリコールサプレッサが、硫酸やスルホン酸、アンモニウムなどのイオン性基で修飾されていてもよい。
【0075】
サプレッサを用いる場合、これらは通常、浴の重量に対して約1〜約10,000ppmの範囲の量で、好ましくは約5〜約10,000ppmの範囲の量で存在する。
【0076】
本発明の金属メッキ浴中でレベリング剤を用いることも有利である。本明細書においては、「レベリング剤」と「レベラー」を同じ意味で用いる。
【0077】
好適なレベリング剤としては、例えば、一種以上のポリエチレンイミンとその誘導体、四級化ポリエチレンイミン、ポリグリシン、ポリ(アリルアミン)、ポリアニリン、ポリウレア、ポリアクリルアミド、ポリ(メラミン−コ−ホルムアルデヒド)、アミンとエピクロロヒドリンの反応生成物、アミンとエピクロロヒドリンとポリアルキレンオキシドの反応生成物、アミンとポリエポキシド、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピロリドン、またはそのコポリマーとの反応性生物、ニグロシン、ペンタメチル−パラローズアニリンハロ酸塩、ヘキサメチルパラローズアニリンハロ酸塩、トリアルカノールアミンとその誘導体、または式N−R−S(式中、Rは、置換アルキル、無置換アルキル、置換アリールまたは無置換アリールである)の官能基をもつ化合物があげられるが、特にこれらに限定されない。通常、このアルキル基は(C1−C6)アルキルであり、d好ましくは(C1−C4)アルキルである。一般に、このアリール基は(C6−C20)アリールであり、好ましくは(C6−C10)アリールである。このようなアリール基は、さらに硫黄や窒素、酸素などのヘテロ原子を含んでいてもよい。このアリール基はフェニルまたはナフチルであることが好ましい。式N−R−Sの官能基をもつ化合物は一般に公知であり、一般に市販されており、さらに精製することなく使用できる。
【0078】
このような式N−R−Sの官能基をもつ化合物中で、硫黄(“S”)及び/又は窒素(“N”)は、これらの化合物に単結合で結合していても二重結合で結合していてもよい。硫黄がこのような化合物に単結合で結合している場合には、この硫黄は置換基をもち、その例としては、水素や(C1−C12)アルキル、(C2−C12)アルケニル、(C6−C20)アリール、(C1−C12)アルキルチオ、(C2−C12)アルケニルチオ、(C6−C20)アリールチオなどが挙げられるが、これらに限定されるのではない。同様に、窒素は一個以上の置換基をもち、その例としては、水素や(C1−C12)アルキル、(C2−C12)アルケニル、(C7−C10)アリール等があげられるが、これらに限定されるのではない。このN−R−S官能基は、非環式であっても環式であってもよい。環式のN−R−S官能基をもつ化合物には、環系内に窒素または硫黄をあるいは窒素と硫黄の両方をもつ化合物が含まれる。
【0079】
「置換アルキル」は、アルキル基の一個以上の水素が他の置換基で置き換えられたものを意味し、その置換基としては、特に限定されないが、シアノやヒドロキシル、ハロ、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)アルキルチオ、チオール、ニトロ等が含まれる。「置換アリール」は、アリール環上の一個以上の水素が一個以上の置換基で置き換えられたものをいい、その置換基としては、特に限定されないが、シアノやヒドロキシル、ハロ、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、(C1−C6)アルキルチオ、チオール、ニトロ等が含まれる。「アリール」は、脂環系及び複素芳香族系を意味し、例えばフェニルやナフチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
ポリアルカノールアミンやアルコキシル化ポリアルカノールアミン、官能化ポリアルカノールアミン、官能化アルコキシル化ポリアルカノールアミンが、特に好ましい銅電解めっき浴のレベル化剤である。このようなポリアルカノールアミンが、欧州特許出願No.08172330.6に記載されている。なお、本文件をこれを引用として本出願に組み込むものとする。
【0081】
ポリアルカノールアミンは、一般式N(R11−OH)3(XIa)の少なくとも一種のトリアルカノールアミン及び/又は一般式R12−N(R11−OH)2(XIb)の少なくとも一種のジアルカノールアミンを縮合してポリアルカノールアミン(XII)として(工程A)得られる。なお、式中、R11基は、それぞれ独立して2〜6個の炭素原子を有する2価の線状及び分岐状脂肪族炭化水素基から選ばれ、R12基は、それぞれ水素と脂肪族、脂環式あるいは芳香族炭化水素基であって、それぞれ直鎖又は分岐鎖状で1〜30個の炭素原子をもつものから選ばれる。
【0082】
このアルカノールアミンはそのまま使用できるし、必要ならアルコキシル化、官能化またはアルコキシル化と官能化して、アルコキシル化ポリアルカノールアミン(XIII)、官能化ポリアルカノールアミン(XIV)または官能化アルコキシル化ポリアルカノールアミン(XV)として使用できる。
【0083】
アルコキシル化ポリアルカノールアミン(XIII)は、ポリアルカノールアミン(XII)を、C2−C12−アルキレンオキシド、スチレンオキシド、グリシドールまたはグリシジルエーテルでアルコキシル化して得ることができる(工程B)。なお、その平均アルコキシル化度は、OH基と−存在する場合−第二級のアミノ基当り0.1〜200である。
【0084】
官能化ポリアルカノールアミン(XIV)は、ポリアルカノールアミン(XII)をヒドロキシル基及び/又はアミノ基と反応可能な適当な官能化反応剤で官能化して得られる(工程C)。
【0085】
官能化アルコキシル化ポリアルカノールアミン(XV)は、アルコキシル化ポリアルカノールアミン(XIII)をヒドロキシル基及び/又はアミノ基と反応可能な適当な官能化反応剤で官能化して得られる(工程D)。
【0086】
これらの工程(A)で用いられるトリアルカノールアミン(XIa)及び/又はジアルカノールアミン(XIb)は、一般式N(R11−OH)3(XIa)とR12−N(R11−OH)2(XIb)をもつ。
【0087】
11基は、いずれの場合も独立して、2〜6個の炭素原子を、好ましくは2または3個の炭素原子を有する2価の直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基である。このような基の例としては、エタン−1,2−ジイルや、プロパン−1,3−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、2−メチルプロパン−1,2−ジイル、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ブタン−1,3−ジイル(=1−メチルプロパン−1,3−ジイル)、ブタン−1,2−ジイル、ブタン−2,3−ジイル、2−メチルブタン−1,3−ジイル、3−メチルブタン−1,3−ジイル(=1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジイル)、ペンタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイル、ペンタン−2,5−ジイル、2−メチルペンタン−2,5−ジイル(=1,1−ジメチルブタン−1,3−ジイル)、ヘキサン−1,6−ジイルがあげられる。これらの基は、好ましくはエタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイルまたはプロパン−1,2−ジイルである。
【0088】
12基は、水素及び/又は1〜30個の炭素原子をもつ、好ましくは1〜20個の炭素原子、より好ましくは1〜10個の炭素原子をもつ直鎖又は分岐鎖の脂肪族、脂環式及び/又は芳香族炭化水素基である。芳香族基は、もちろん脂肪族置換基を有していてもよい。R12は、好ましくは水素または1〜4個の炭素原子をもつ脂肪族炭化水素基である。
【0089】
好ましいトリアルカノールアミン(XIa)の例としては、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブタン−2−オールアミンがあげられ、特に好ましいのはトリエタノールアミンである。
【0090】
好ましいジアルカノールアミン(XIb)の例としては、ジエタノールアミン、N−メチル−ジエタノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−N−メチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシブチル)−N−メチルアミン、N−イソプロピルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−sec−ブチルジエタノールアミン、N−シクロヘキシルジエタノールアミン、N−ベンジルジエタノールアミン、N−4−トリルジエタノールアミンまたはN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリンがあげられる。特に好ましいのはジエタノールアミンである。
【0091】
上記トリアルカノールアミン(XIa)及び/又はジアルカノールアミン(XIb)に加えて、必要なら、二個のヒドロキシル及び/又はアミノ基をもつ他の成分(XIc)をこの重縮合に使用することができる。
【0092】
成分(XIa)及び/又は(XIb)の、また必要なら成分(XIc)との重縮合は、原理的には当業界の熟練者には公知の方法で、水を除きながらこれらの成分を加熱して実施できる。適当な方法が、例えばEP441198A2に開示されている。いずれの場合も、異なる成分(XIa)、(XIb)または(XIc)の混合物を使用することができる。
【0093】
この縮合は、通常120〜280℃の温度で、好ましくは150〜260℃、より好ましくは180〜240℃の温度で行われる。生成する水は、蒸発させて除くことが好ましい。反応時間は通常1〜16時間であり、好ましくは2〜8時間である。重縮合の程度は、単に反応温度と時間で制御可能である。
【0094】
この重縮合は、酸の存在下で、好ましくは亜リン酸(H3PO3)及び/又は次亜リン酸(H3PO2)の存在下で行うことが好ましい。好ましい量は、縮合成分に対して0.05〜2重量%であり、好ましくは0.1〜1重量%である。例えばUS4,505,839に開示されているように、上記の酸に加えて、他の触媒を、例えば亜鉛ハロゲン化物または硫酸アルミニウムを、適当なら酢酸との混合物として用いることもできる。
【0095】
得られるポリアルカノールアミン(XII)の粘度は、通常1000〜50000mPa・sの範囲であり、好ましくは2000〜20000mPa・s、より好ましくは3000〜13000mPa・sの範囲である(それぞれ非希釈生成物を20℃で測定)。
【0096】
得られるポリアルカノールアミン(XII)の平均モル質量Mn(個数標準)は、通常250〜50000g/モルの範囲であり、好ましくは500〜40000g/モル、より好ましくは1000〜20000g/モル、最も好ましくは1000〜7500g/モルの範囲である。
【0097】
得られるポリアルカノールアミン(XII)の平均モル質量Mw(重量平均)は、通常250〜50000g/モルの範囲であり、好ましくは500〜30000g/モル、より好ましくは1000〜20000g/モルの範囲である。
【0098】
得られるポリアルカノールアミン(XII)の多分散度(Mw/Mn)は好ましくは1〜10の範囲であり、特に1〜5の範囲である。
【0099】
このポリアルカノールアミン(XII)は、必要なら第二の工程(B)でアルコキシル化されていてもよい。この工程において、存在するOH基といずれかの第二級アミノ基はアルキレンオキシドと反応して末端ポリエーテル基を形成する。
【0100】
ポリアルカノールアミン(XII)は、必要なら他の反応工程(C)で官能化されてもよい。この他の官能化で、ポリアルカノールアミン(XII)の性質を変化させることができる。このために、ポリアルカノールアミン(XII)中に存在するヒドロキシル基及び/又はアミノ基は、ヒドロキシル基及び/又はアミノ基と反応可能な適当な反応剤で変換される。これにより官能化ポリアルカノールアミン(XIV)が形成される。
【0101】
アルコキシル化ポリアルカノールアミン(XIII)は、必要なら他の反応工程(D)で官能化できる。さらなる官能化で、アルコキシル化ポリアルカノールアミン(XIII)の性質を変化させることができる。このために、アルコキシル化ポリアルカノールアミン(XIII)中に存在するヒドロキシル基及び/又はアミノ基が、ヒドロキシル基及び/又はアミノ基と反応可能な適当な反応剤で変換される。これにより官能化アルコキシル化ポリアルカノールアミン(XV)が形成される。
【0102】
一般に、電解めっき浴中のレベリング剤の総量は、めっき浴の総重量に対して0.5ppm〜10000ppmである。本発明のレベリング剤は、通常めっき浴の総重量に対して約0.1ppm〜約1000ppmの総量で、通常1〜100ppmの総量で使用されるが、これより多量でも少量でもよい。本発明の電解めっき浴は、一種以上の任意の添加物を含むことができる。このような任意の添加物としては、特に限定されないが、例えば硬化促進剤、サプレッサ、界面活性剤などが挙げられる。このようなサプレッサと硬化促進剤は一般に公知である。どのようなサプレッサ及び/又は硬化促進剤をどれほどの量で使用するかは、当業界の熟練者には明白である。
【0103】
Cuメッキ金属に所望の表面仕上を与えるために、広い種類の添加物が通常浴中で使用できる。通常、それぞれ所望の機能を与える複数の添加物が用いられる。この電解めっき浴は、一種以上の硬化促進剤やレベラー、ハロゲンイオン源、結晶微細化剤、またこれらの混合物を含むことが好ましい。この電解めっき浴が、本発明のサプレッサに加えて、硬化促進剤とレベラーの両方を含むことが最も好ましい。この電解めっき浴中で、他の添加物も適当に使用することができる。
【0104】
本発明は、金属層、特に銅層を、いろいろな基板上に、特にサブミクロン等のサイズの開口部をもつ基板上に形成するに有用である。例えば、本発明は、半導体装置などの集積回路基板で小さなバイア孔、溝または他の開口部をもつもの上に、銅を付着させるのに特に好適である。ある実施様態においては、本発明により半導体装置がメッキ処理される。このような半導体装置には、例えば集積回路の製造に用いられるウエハーが含まれるが、特にこれに限定されるのではない。
【0105】
半導体集積回路基板上に銅を電着させる一般的な方法を、図1と図2を基に説明するが、これが本発明を制限するのではない。
【0106】
図1aは、銅層2aをもつ誘電体基板1を示す。図1bでは、銅層2’が電着により誘電体基板1上に形成される。基板1の2cが充填され、基板全体の上に銅の過剰層2b(「かぶり」ともよぶ)が生成する。このプロセス中、必要なら熱処理後、図1cに示すように銅のかぶり2bを化学機械研磨(CMP)で除く。
【0107】
電着による基板1の溝2の銅での充填で重要なのは、欠陥のない、特にボイドやしわのない銅層を与えることである。溝の側壁での銅成長を抑えながら溝の底から溝の口まで銅を成長させることでこれが達成できる。図2aに示すような溝充填、いわゆるスーパー充填またはボトムアップ充填を、めっき浴に特定の添加物を、すなわち硬化促進剤とサプレッサを添加することで達成しようとした。いずれの欠陥もない溝充填を達成するには、これらの二つの添加物間に起こる敏感な相互作用を慎重に調整する必要がある。
【0108】
図2aに示すようなボトムアップ充填は、硬化促進剤が好ましくは溝の銅底上に集まって吸着されて銅成長2'''を速め、サプレッサが溝の側壁に吸着されて銅成長2”を抑制して達成できる。サプレッサの化学構造とその抑制能力によって、この溝の充填が、図2a〜2cに示すようないろいろな形の銅成長フロント2''''で進行する。サプレッサが完全に側壁を覆って完全に働き、側壁成長2”を完全に抑制している場合を図2aに示す。この場合には、成長フロント2''''は平坦であり、単に銅2'''が底から上昇する。効果の弱いサプレッサを用いた場合の銅成長フロント2''''を図2bに示す。小さな側壁銅成長2”と大きなボトムアップ銅成長2'''の結果、全体としてU字形の成長フロント2''''となっている。図2cに示すように、弱いサプレッサでは、側壁銅成長2”が大きくなるためV字形の成長フロント2''''を与える。V字形の銅成長フロント2''''では、溝充填の際にボイド成形のリスクが大きくなる。完全に均一な銅被覆溝の場合、図2bに示すU字形銅成長フロント2''''が満足できる溝充填を与える。しかし、種被覆の張り出しの問題及び/又は細まっていく凸形構造物のため、図3に示すように、サプレッサが側壁銅成長2”を完全に抑制しない場合は、開孔部に近い溝の上半分でピンチオフボイドを成形するリスクが高くなる。本発明は、種被覆張り出しの問題に対応でき、不均一な銅種被覆であっても無欠陥な溝充填を与える新類の高性能で強固な抑制剤を提供する。
【0109】
本発明の利点は、側壁銅成長を完全に抑制しながら極めて強力にボトムアップ充填銅成長をさせ、その結果として平坦な成長フロントを与えまた無欠陥の溝充填を可能とする抑制剤が提供されることである。本発明の強い側壁銅成長抑制は、不均一な銅種被覆構造物及び/又は凸形の構造物の実質的に無ボイドでの充填を可能とする。また本発明は、緻密な構造物領域中の隣接する構造物中で全体として均一なボトムアップ充填を可能とする。
【0110】
本発明の添加物は、ケイ素バイア孔(TSV)の銅電解めっきに使用することがさらに好適である。このようなバイア孔は、通常は数マイクロメートル〜数100マイクロメートルの径をもち、そのアスペクト比は少なくとも4であり、場合によっては10を超える。また、本発明の添加物は、バンププロセス用の通常50〜100マイクロメートルの高さと直径をもつ銅支柱の製造などのボンディング技術で、ミクロバイアめっきまたはスルーホール技術を用いるプリント基板への高密度相互配線の製造などの回路基板技術で、または他の電子回路用の実装プロセスで好ましく使用できる。
【0111】
通常、基板の電気めっきは、基板を本発明のめっき浴に接触させて行う。この基板は、通常カソードとして働く。このめっき浴はアノードを含み、これは可溶であっても不溶性であってもよい。必要ならカソードとアノードが膜で分離されていてもよい。通常電圧をカソードにかける。十分な電流密度がかけて、所望の厚みをもつ金属層、例えば銅層が基板上に形成されるのに十分な時間めっきを行う。好適な電流密度は、特に限定されるのではなく、例えば1〜250mA/cm2の範囲である。通常、集積回路の製造において銅の付着に用いる場合、この電流密度は1〜60mA/cm2の範囲である。具体的な電流密度は、めっきをする基板や選らばれたレベリング剤などにより決まる。この電流密度の選択は、当業界の熟練者により容易に実施できる。印加される電流は、直流(DC)でもよいし、パルス電流(PC)、パルス反転電流(PRC)または他の適当な電流であってもよい。
【0112】
一般に、集積回路の製造に用いられるウエハーなどの支持体上に金属を付着させるのに本発明を用いる場合、このめっき浴は使用中に攪拌される。いずれか適当な攪拌方法が本発明で用いられ、そのような方法は公知である。適当な攪拌方法としては、特に限定されないが、例えば不活性ガスまたは空気の注入、工作物攪拌、衝突などが挙げられる。このような方法は当業界の熟練者には公知である。ウエハーなどの集積回路基板に本発明を用いる場合、このウエハーを例えば1〜150RPMで回転させ、回転しているウエハーにポンプまたは吹き付けでメッキ液を接触させてもよい。めっき浴の流れが所望通り金属を付着するのに充分であるなら、ウエハーを回転する必要は無い。
【0113】
本発明によれば、金属、特に銅が、金属析出物中に実質的にボイドを形成することなく開口部に付着される。「実質的にボイドを形成することなく」とは、メッキした開口部の95%にボイドが無いことを意味する。メッキした開口部の98%にボイドが無いことが好ましく、メッキした開口部のすべてにボイドが無いことが最も好ましい。
【0114】
半導体の製造を引用しながら本発明の方法を一般的に説明してきたが、もちろん、本発明は、実質的に無ボイドの金属充填微小構造物が望ましいいずれの電解プロセスにおいても有用である。このようなプロセスにはプリント基板の製造が含まれる。例えば、このめっき浴は、プリント基板のバイア孔、パッドまたはトレースのめっきに、またウエハー上のバンプめっきに有用であろう。他の好適なプロセスには、パッケージングや配線の製造も含まれる。従って好適な基板には、リードフレームや接点、プリント基板等が含まれる。
【0115】
半導体基板めっき用のめっき設備は公知である。めっき設備には、プラスチックまたは電解メッキ溶液に不活性な他の材料などの適当な材料からなる、Cu電解質を含む電解めっきタンクが含まれる。このタンクは、特にウエハーのめっきのためには、円筒状であってよい。カソードが、水平にタンク上部に設けられるが、これは、溝やバイア孔などの開孔部をもつシリコンウエハーなど、いずれの種類の基板であってもよい。このウエハー基板は、通常、この上でめっきを始めるための、Cuまたは他の金属または金属含有物からなる種被服層で被覆されている。Cu種被服層は、化学蒸着(CVD)で形成されても、真空中での物理蒸着(PVD)、あるいは他の方法で形成されていてもよい。ウエハーのめっきのためアノードも、好ましくは円筒状であり、タンクの下部に水平に設けられて、アノードとカソードの間に空間を形成する。このアノードは、通常可溶性アノードである。
【0116】
これらの浴添加物は、いろいろなツール製造業者により開発されている膜技術と組み合わせると有用となる。この系では、アノードが膜により有機浴添加物から隔離されていてもよい。アノードと有機浴添加物の分離の目的は、有機浴添加物の酸化をできるだけ抑えるためである。
【0117】
カソード基板とアノードとは、配線により電気的にそれぞれ整流器(電源)に接続されている。直流またはパルス流用のカソード基板は、正味として負電荷をもち、溶液中のCuイオンは、カソード基板で還元されてカソード表面上にCu金属をメッキする。アノードでは酸化反応が起こる。このカソードとアノードは、タンク内で水平に置かれていても、垂直に置かれていてもよい。
【0118】
本発明により、金属が、特に銅が実質的にその金属付着物中にボイドを形成することなく開口部に充填される。「実質的にボイドを形成することなく」は、メッキした開口部の95%にボイドが無いことを意味する。メッキした開口部がすべて無ボイドであることが好ましい。
【0119】
本発明の方法を半導体の製造について一般的に説明してきたが、もちろん本発明は、実質的に無ボイドの銅付着物が望ましいいずれの電解プロセスでも有用であろう。従って、好適な基板には、リードフレームや接点、プリント基板などが含まれる。
【0120】
特記しない場合、重量に関するすべてのパーセント、ppmなどの値は、それぞれの組成物の総重量に対する値である。すべての引用文書を引用として本明細書に組み込む。
【0121】
以下、本発明を実施例を基に説明するが、これらが本発明の範囲を制限することは無い。
【0122】
ヒドロキシル価は、DIN53240により、ピリジン中の試料を無水酢酸と酢酸と共に加熱し、次いで水酸化カリウムで滴定して求めた。
【0123】
分子量分布dは、サイズ排除クロマトグラフィー(GPC)で、THFを溶離液としてまたPSS−SDVカラムを固相として用いて測定した。
【実施例】
【0124】
ポリアルコール出発物質を含む三種のEO−POコポリマーを、それぞれのポリアルコール出発分子をポリアルコキシル化して合成した。サプレッサ1〜4の組成を表1に示す。
【0125】
【表1】

【0126】
実施例1
ソルビトール(182.2g)と水酸化ナトリウム水溶液(濃度:50wt%、NaOH:1.8g)と水(200ml)を2lオートクレーブに入れ、120℃で一定の窒素流(0.5m3−N2/h)下で1時間加熱した。次いで、水を同温度で真空下で2時間で除いた。窒素中和後、140℃でブチレンオキシド(72.1g)を分割して添加した。反応を完結させるため、この混合物を一夜さらに反応させた。次いで、130℃でプロピレンオキシド(662.0g)を分割して添加し、もう一度この混合物を一夜反応させた。珪酸マグネシウムアムボソル(27.6g、CAS No.93616−22−9)と濾過助剤ハイフロー(1.8g)と水(20ml)を添加し、揮発性化合物を100℃真空下でロータリーエバボレータで除いた。濾過後に高粘稠な黄色の油(920.7g)が中間産物として得られた。
【0127】
この中間産物(203.3g)と酸化セシウム水溶液(濃度:50wt%、CsOH;2.2g)とを2lオートクレーブに入れ、水を120℃真空下で2時間かけて除いた。窒素中和後、130℃で追加のプロピレンオキシド(863.2g)を分割して投入した。反応を完結させるため、この混合物を週末さらに反応させた。次いで、水酸化ナトリウム水溶液(濃度:50wt%、NaOH;3.0g)と水(10ml)を加え、水を120℃真空下で2時間かけて除いた。窒素中和後、120℃でエチレンオキシド(433.5g)を分割して投入し、この混合物をさらに一夜反応させた。アムボソル(44.7g)とハイフロー(3g)と水(20ml)を添加し、揮発性化合物を100℃真空下でロータリーエバボレータで除いた。濾過後に淡黄色の液体(1491g)が得られた。分子量分布d:1.04;OH価:49.4mg/g−KOH。
【0128】
実施例2
ソルビトール(30g)と水(30g)と酸化セシウム水溶液(濃度:50wt%、CsOH;111g)の混合物を一夜攪拌した。次いで、この混合物と追加の水(20g)とを2lオートクレーブに入れ、水を100℃真空下(<10mbar)で3時間かけて除いた。窒素中和後、130℃で3時間かけて、エチレンオキシド(321.4g)とプロピレンオキシド(750.1g)の混合物を分割投入した。1日間攪拌後、この反応混合物を窒素でストリップして、揮発性化合物を真空下で除いた。サプレッサ2が、分子量分布d=1.08の淡黄色液体(1108g)として得られた。
【0129】
実施例3:
ペンタエリスリトール−3.5 EO(40g;アルドリッチ社製、CAS:30599−15−6)と水(10g)と酸化セシウム水溶液(濃度:50wt%、CsOH;2.0g)の混合物を一夜攪拌した。次いで、この混合物と追加の水(20g)とを2lオートクレーブに入れ、水を100℃真空下(<10mbar)で2時間かけて除いた。窒素中和後、130℃で4時間かけて、エチレンオキシド(282.9g)とプロピレンオキシド(660.4g)の混合物を分割投入し、この反応混合物をさらに10時間攪拌した。次いでこの反応混合物を窒素でストリップして、揮発性化合物を真空下で除いた。サプレッサ3が、分子量分布d=1.12の淡黄色液体(951g)として得られた。
【0130】
図3は、以下の実施例で説明する異なるめっき浴を用いる電解めっきに用いた銅被覆ウエハー基板の構造物の径を示す。銅の種被覆後、溝開孔部での溝の幅は15.6〜17.9ナノメートルであり、溝の1/2高さでの幅は34.6〜36.8ナノメートルであり、その深さは176.4ナノメートルであった。
【0131】
実施例4:
実施例1と同様にして、DI水と、硫酸銅として40g/lの銅、10g/lの硫酸、HClとして0.050g/lの塩素イオン、0.028g/lのSPS、3.00ml/lのサプレッサ1を含む4.5重量%水溶液とを混合してめっき浴を準備した。
【0132】
図3に示す構造物サイズをもつ、銅種被服層を有するウエハー基板上に、25℃でそれぞれ3秒または6秒間、5mA/cm2の直流を印加しながらウエハー基板を上記のめっき浴に接触させて、電気めっきで銅層を形成した。この電気めっき銅層を切断し、断面を走査型電子顕微鏡写真(SEM)で調べた。
【0133】
図4aと図4bは、得られた電気めっき銅層のSEM像である。図4aは、3秒間のめっき後に部分的に充填された、ボイドもしわもない溝を示し、溝中の平坦な銅成長フロントが明確に認められ、図2aに示す理想的なボトムアップ充填がなさせていることを示す。溝の側壁上への銅付着は無視できるほど小さく、溝の側壁での銅成長が強く抑制されていることを示している。すべての構造物開孔部がいまだに開いている。6秒間めっき後、図4bに示すように、すべての溝が完全にまた無欠陥で充填され、全体として均一な成長フロントを示している。
【0134】
実施例5:
実施例2で同様に、DI水と、硫酸銅としての40g/l銅、10g/lの硫酸、HClとしての0.050g/lの塩素イオン、0.028g/lのSPS、2.00ml/lのサプレッサ2を含む5.4重量%水溶液を混合してめっき浴を作製した。
【0135】
図3に示す構造物サイズで銅被服層を有するウエハー基板上に、25℃でそれぞれ3秒または6秒間、5mA/cm2の直流を印加しながらウエハー基板を上記のめっき浴に接触させて、電気めっきで銅層を形成した。この電気めっき銅層を切断し、断面を走査型電子顕微鏡写真(SEM)で調べた。
【0136】
図5aと図5bは、得られた電気めっき銅層のSEM像である。図5aに示すように、3秒間のめっきで平坦な銅成長フロントを示し、側壁への銅付着の極めて少ない部分充填溝が得られた。この実施例で用いたサプレッサの抑制効果は、実施例4で用いたサプレッサより少し小さかったが、同じ充填速度を与えた。とにかく、図5bに示すように、6秒間のめっきで、溝底への銅付着が側壁への銅付着を上回り、無欠陥の充填構造物が得られた。
【0137】
実施例6(比較例):
実施例3と同様に、DI水と、硫酸銅として40g/lの銅、10g/lの硫酸、HClとして0.050g/lの塩素イオン、0.028g/lのSPS、3.00ml/lのサプレッサ3を含む4.5重量%水溶液を混合してめっき浴を準備した。
【0138】
図3に示す構造物サイズで銅被服層を有するウエハー基板上に、25℃でそれぞれ3秒または6秒間、5mA/cm2の直流を印加しながらウエハー基板を上記のめっき浴に接触させて電気めっきで銅層を形成した。この電気めっき銅層を切断し、断面を走査型電子顕微鏡写真(SEM)で調べた。
【0139】
図6aと図6bは、得られた電気めっき銅層のSEM像である。図6に示す3秒後のめっき結果から明らかなように、この実施例で用いたサプレッサ候補は、抑制効率が低く、無ボイドのボトムアップ充填を行うには不十分であった。3秒間のめっき後、溝は部分的に充填されているが、溝開孔部の近くにかなりの銅付着があり、大きな内部ボイドをもつ閉鎖された溝に近くなっている。図6bに示す6秒間のめっき結果は、図6aに見られる欠陥を確認する。
【0140】
実施例7(比較例)
ソルビトール(30g)と水(30g)と酸化セシウム水溶液(濃度:50wt%、CsOH;1.1g)と追加の水(20g)の混合物を2lのオートクレーブに入れ、水を100℃真空下(<10mbar)で3時間かけて除いた。窒素中和後、130℃でエチレンオキシド(321.4g)を分割して、16時間かけて7barとなるまで添加した。次いで、この混合物を80℃に冷却し、一夜攪拌した。次いで、130℃でプロピレンオキシド(750.1g)を分割して、27時間かけて7barとなるまで添加した。さらに5時間後、この反応混合物を80℃に冷却し、反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を真空下で除いた。濾過後、サプレッサ4が分子量分布d=1.03の淡黄色の液体(1102g)として得られた。
【0141】
実施例8 (比較例):
実施例7と同様に、DI水と、硫酸銅としての40g/lの銅、10g/lの硫酸、HClとしての0.050g/lの塩素イオンと0.028g/lのSPSと、2.00ml/lのサプレッサ4を含む5.4重量%水溶液を混合してめっき浴を準備した。
【0142】
図3に示す構造物サイズで銅被服層を有するウエハー基板上に、25℃でそれぞれ3秒または6秒間、5mA/cm2の直流を印加しながらウエハー基板を上記のめっき浴に接触させて、電気めっきで銅層を形成した。この電気めっき銅層を切断し、断面を傾斜角が52°で走査型電子顕微鏡写真(SEM)で調べた。
【0143】
図7aと図7bは、得られた電気めっき銅層のSEM像である。図7に示す3秒後のめっき結果から明らかなように、不規則で粗い銅成長フロントをもち、不均一に充填された部分充填溝が得られた。図7bから、6秒間のめっきの後、用いたサプレッサの抑制効果が不十分であるため、いくつかの溝が、ピンチオフボイドを示しながら溝開孔部で閉じられていることがわかる。
【図1a】

【図1b】

【図1c】

【図2a】

【図2b】

【図2c】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種の金属イオン源と少なくとも一種の添加物とを含む組成物であって、
a)少なくとも5個のヒドロキシル官能基をもつ多価アルコールを、
b)第一のアルキレンオキシドと第二のアルキレンオキシドの混合物からの少なくとも当該第一のアルキレンオキシド及び当該第二のアルキレンオキシドと反応させて得られる組成物。
【請求項2】
少なくとも一種の金属イオン源と少なくとも一種の添加物とを含む組成物であって、
a)少なくとも5個のヒドロキシル官能基をもつ多価アルコールを、
b)第三のアルキレンオキシド、第二のアルキレンオキシド及び第一のアルキレンオキシドとこの順序で反応させて得られ、
第三のアルキレンオキシドは、第二のアルキレンオキシドより長いアルキル鎖を有し、
第二のアルキレンオキシドが第一のアルキレンオキシドより長いアルキル鎖をもつ組成物。
【請求項3】
上記金属イオンが銅イオンを含む請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
上記多価アルコールが式Iの化合物から選ばれる請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物:

X(OH)m (I)
式中、
mは5〜10の整数であり、
Xは、m価の、5〜10個の炭素原子をもつ直鎖若しくは分岐鎖の脂肪族であるか、又は脂環式の基であって、置換されていても非置換であってもよい。
【請求項5】
上記ポリアルコールが、式(II)または(III)で表される鎖状又は環状単糖アルコールである請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物:

HOCH2−(CHOH)n−CH2OH (II)
(CHOH)o (III)
式中、
nは3〜8の整数であり、
oは5〜10の整数である。
【請求項6】
上記単糖アルコールが、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、リビトール、イノシトール、およびこれらの誘導体から選ばれる請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
上記ポリアルコールが式(IV)若しくは(V)の単糖であるか、又はその誘導体である請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物:

CHO−(CHOH)p−CH2OH (IV)
CH2OH−(CHOH)q−CO−(CHOH)r−CH2OH (V)
式中、
pは4〜5の整数であり、
qとrは整数であり、且つ
q+rは3または4である。
【請求項8】
上記単糖が、アロース、アルトロース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、マンノース、タロース、グルコヘプトース、マンノヘプトースなどのアルドース、またはフルクトース、プシコース、ソルボース、タガトース、マンノヘプツロース、セドノヘプツロース、タロヘプチュロース、アロノヘプツロースなどのケトース、及びこれらの誘導体から選ばれる請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
第一のアルキレンオキシドがエチレンオキシドから選ばれ、
第二のアルキレンオキシドが、プロピレンオキシドとブチレンオキシド、またはこれらの組み合わせから選ばれる請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
第二のアルキレンオキシドがプロピレンオキシドであり、第三のアルキレンオキシドがブチレンオキシドである請求項2〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
第三のアルキレンオキシドが、0.1重量%〜10重量%で、好ましくは0.5重量%〜5.0重量%の量で存在する請求項2〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
上記添加物がエチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダムコポリマーである請求項1または3〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
添加物中の第一のオキシアルキレン単位の含量が20〜50重量%、好ましくは25〜40重量%である請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
上記添加物の分子量Mwが3000−10000g/mol、好ましくは4000〜8000g/molである請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
さらに一種以上の加速剤を含む請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
さらに一種以上のレベリング剤を含む請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物を含む金属メッキ浴を、開口径が30ナノメートル以下である構造物を含む支持体上に金属を付着させるために使用する方法。
【請求項18】
a)請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物を含む金属メッキ浴を支持体に接触させ、
b)金属層を支持体に付着させるのに十分な時間、該基板に電流密度を加えることにより
支持体上に金属の層を付着させる方法。
【請求項19】
上記支持体がサブミクロンサイズの構造物を含み、
マイクロメートルまたはサブミクロンサイズの構造物に充填するために上記付着が行われる請求項18に記載の方法。
【請求項20】
上記サブミクロンサイズの構造物の開口径が1〜30nmで、及び/又はアスペクト比が4以上である請求項19に記載の方法。

【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−500395(P2013−500395A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522097(P2012−522097)
【出願日】平成22年7月19日(2010.7.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060375
【国際公開番号】WO2011/012475
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】