説明

無人回転翼機のモーター用の支持ブロック

無人機の各エンジンの支持ブロック130は、支持部131であって、当該支持部131に、無人機の推進ユニット100を駆動する電気モーター120と、当該モーターに連結されることを意図されている、推進ユニットの少なくとも1つの構成部材111が固定される、支持部131と、無人機を地上に支持するフット132と、支持部と支持スタンドとの間に延在する連結要素133とを備える。支持スタンドと連結要素はともに、電気モーターが支持部に固定されるように位置決めされる際に当該電気モーターのための隙間空間134を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人回転翼機の推進グループを駆動する電気モーター用の支持ブロックに関する。
【0002】
本発明は、特に、例えば戸建て住宅又はマンション内の一室のような屋内環境おいて、子どもが使用することができる無線操縦玩具の分野に特に有利な用途がある。
【背景技術】
【0003】
特許文献1、特許文献2、特許文献3又は特許文献4が、回転翼を備えたそのような無線操縦飛行玩具を記載している。
【0004】
本明細書で用いる場合、「無人回転翼機」とは、既知のあらゆるヘリコプター方式、すなわち、トルク平衡ローターを備えた従来型の単一ローター方式、バナナ型ツインロータータンデム方式、同軸反転ローターを備えたカモフ方式、及び4つの固定ピッチローターを備えたクアッドリコプター又はクアッドローター方式等を意味する。
【0005】
クアッドリコプタータイプの無人機では、例えば、回転翼は、それぞれが電気モーターによって駆動される4つの推進グループから構成される。
【0006】
用いられるモーター、特にブラシモーターは、その回転速度が非常に高いため、耐用寿命が限られており、ユーザーによって頻繁に交換されねばならない。
【0007】
概して、モーター交換作業は、モーターを封入している保護蓋等の多くの部品、並びに、プロペラ、及びモーターの回転速度を下げるシステム等、推進グループ自体の構成部材を分解及び再組み付けする必要があるため、扱いにくいことが分かっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】中国実用新案登録第201139953号
【特許文献2】中国実用新案登録第201214021号
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/200924号
【特許文献4】国際公開第2007/052246号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、上述の特許文献1に記載されている一般的なタイプの、すなわち、少なくとも1つの推進グループと、当該推進グループを駆動する電気モーターと、当該電気モーター用の支持ブロックとを備える無人回転翼機の、推進グループを駆動する電気モーター用の支持ブロックであって、電気モーターをその動作位置に保持することを厳密に確実にする部品以外の部品を分解及び再組み付けする必要なく、無人機のユーザーが簡単かつ迅速に電気モーターを交換することを可能にする支持ブロックを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この目的は、支持部であって、当該支持部上に、前記電気モーターと、当該モーターに連結されることを意図されている、前記推進グループの少なくとも1つの構成部材が固定される、支持部と、前記無人機を地上に支持するスタンドフットと、前記支持部と前記スタンドフットとの間に延在する接続要素とを備え、前記スタンドフットと前記接続要素はともに、前記支持部上の前記電気モーターの固定位置への前記電気モーターの配置時に、前記電気モーターのための隙間空間を提供する支持ブロックによって達成される。
【0011】
したがって、モーターをその動作位置に至らせるには、モーターが支持部上のモーターの固定位置に配置されるまで、スタンドフットと接続要素とが提供する隙間空間にモーターを手動で係合させ、例えばねじ等の通常の固定手段によってモーターを支持部に固定する必要があるだけであることを理解されたい。
【0012】
したがって、ユーザーは、固定ねじを外し、交換すべきモーターを隙間空間を通して取り外し、また、その逆に、新しいモーターをその固定位置に至らせるために当該モーターを同じ隙間空間を通して支持ブロック内に導入し、固定ねじを再び締める以外、部品の分解及び再組み付けの複雑な作業を行う必要がない。
【0013】
したがって、推進グループ駆動電気モーターを交換することは、減速システム、プロペラ等のような他の構成部材も変更する必要なく、場合によってその制御電子回路とともに、単にモーター自体を交換するだけとなる。
【0014】
二重機能、すなわち、一方で直前に記載した電気モーター用の支持だけでなく、無人機用のスタンドフットも確実にする単一部品を支持ブロックが形成し、これにより、ハル上に追加のフットを設けることを回避することにある、本発明の目的である支持ブロックの別の利点を強調しておく必要がある。その結果、風に対する面積がより小さく、ハルの質量が低減した、より単純な実施が得られる。
【0015】
本発明の実施の形態によれば、前記接続要素は、前記支持部を前記スタンドフットに接続するとともに当該スタンドフットとともにスターラップを形成する2つの脚部を備える。
【0016】
この配置により、支持ブロックの、フットと支持部との間に、交換作業時に交換すべきモーターのより良好な把持及びより容易な扱いをユーザーに与える、モーターへの広いアクセス面積を提供することが可能となる。
【0017】
本発明は、有利には、前記支持部に固定されている、前記推進グループの前記構成部材が、前記推進装置の減速システムのクラウン歯車によって構成され、当該クラウン歯車は、前記駆動電気モーターの軸上に装着されているピニオンを介して前記電気モーターに連結されることを提供する。
【0018】
このように、モーター推進装置ユニットの嵩の減少、及び幾何学形状に関する完全な位置決めが得られるため、減速システムのピニオンが電気モーターの軸によって直接支持される。
【0019】
最後に、本発明によれば、前記電気モーターは、前記クラウン歯車の外側に配置されている少なくとも1つの固定手段によって前記支持部に固定される。
【0020】
以下に見られるように、この構成では、そのような固定手段は、ユーザーが推進グループの構成部材に煩わされることなく、したがって、これらの構成部材を分解する必要なく、直接アクセス可能にさせることができる。
【0021】
ここで、本発明の装置の例示的な実施形態を添付の図面を参照しながら記載し、図面中、同じ参照符号は図全体を通して同一又は機能上同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】クアッドリコプターによって構成されている無人回転翼機の斜視図である。
【図2a】図1のクアッドリコプターの推進グループの第1の斜視図である。
【図2b】図1のクアッドリコプターの推進グループの第2の斜視図である。
【図3】図2a及び図2bの推進グループの断面図である。
【図4】図2a及び図2bの推進グループの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1には、無人機を構成しているクアッドリコプター10であって、無人機の回転翼が、図1に見ることができるチューブ101のようなカーボンチューブによって無人機10のポリプロピレン製ハルの中心構成部11に接続されている4つの共面推進グループ100、100、100、100から構成されている、クアッドリコプター10が示されている。
【0024】
図2a、図2b、図3及び図4に示されているように、全体として100で参照される推進グループは、電気モーター120によって駆動されるピニオン112と噛合するクラウン歯車111と一体のプロペラ110を備える。ピニオン112及びクラウン歯車111はともに、電気モーター120の概して非常に高い回転速度を下げるシステムを形成する。
【0025】
カーボンチューブ101は、ハルの中心構造部11とチューブ101の一端に配設されたコネクター121との間に延びる電気リード線を包含しており、ケーブル(図には示さず)が、コネクター121とモーター120の電子カード122との間の電気接続を確実にする。その場合、カード122は無人機の中心構造部11内に収納されているバッテリーから直流を供給されることができ、かつ、モーター120のための制御信号を受信することができ、これらの制御信号は、同様に中心構造部11に位置付けられているナビゲーション電子カードによって確立される。
【0026】
用いられる電気モーターは、安価であることの利点を有するブラシモーターとすることができる。
【0027】
しかしながら、モーターの耐用年数は必要とされる回転速度によって限られており、このことがモーターの頻繁な交換を考慮することにつながり、ブラシモーターは有利には例えばブラシレスモーターと交換可能である。
【0028】
プロペラ110、クラウン歯車111等のような他の部品を分解する必要なく、モーター120をその電子カード122とともに非常に簡単に交換することを可能にするために、推進グループ110が単一部品、すなわち3つの要素から構成されている多機能支持ブロック130の周りに作製される。
【0029】
支持ブロック130の第1の要素は厳密に言えば支持部131であり、当該支持部131上に、電気モーター120及び該モーター120の回転速度を下げるシステムのクラウン歯車111が固定される。クラウン歯車111と噛合するピニオン112は、モーター120の軸123の端に直接固定される。したがって、支持部131は、推進グループの様々な構成部材を組み付ける機能を、単独で、非常にコンパクトに、かつ完全な位置決めによって確実にする。
【0030】
本発明は、無人機10が着陸するときに、又は地面に置かれたときに無人機10を地上に支持するスタンドフットを提供することに別の機能を支持ブロック130にさらに割り当てている。そのため、支持ブロック130は、第3の接続要素133によって支持部131に接続されているフット132によって形成される第2の要素を含む。
【0031】
したがって、無人機10を地上に支持するための特に専用の幾つかのフットをハル上に設ける必要がないため、部品数が減り、風に対する面積がより小さく、重量が低減するという上述の利点が得られる。
【0032】
図2a、図2b及び図3に見ることができるように、モーター120をその組み付け時に支持部131上の当該モーター120の固定位置に配置する必要がある場合、又は分解する必要がある場合に、地上での支持のためのスタンドフット132と、接続要素133とがモーター120用の通路を形成する隙間空間134を提供する。蓋又は推進グループの構成部品のようないかなる他の部品も分解することなく、隙間空間134が、固定位置にあるモーターへの直接アクセスを与えることに理解されたい。図3に示す例では、隙間空間134へのモーター120の導入は、矢印Fで定めた方向に対して平行に軸方向に行われる。
【0033】
他方で、モーター120のその組み付け及び分解時の扱いは、スタンドフット132とともにスターラップを形成する2つの脚部133a、133bの形態を接続要素133に与えることによって容易にすることもできる。その場合、無人機のユーザーは、モーター120への横からのアクセスの面積が広いことで、モーターの交換時に該モーターを手で適正に保持してモーターを正確にガイドすることが可能となる。
【0034】
支持部131へのモーター120の固定はそれ自体、図4に示すように、クラウン歯車111の外側から支持部131に通される2つのねじ124a、124bによって大幅に簡易化される。固定ねじ124a、124bのこの位置は、プロペラ110が、ねじを隠すことのない位置に常に配置されることができるため、該位置へのアクセスが推進グループの構成部材によって隠されることがないことから理想的である。
【0035】
要するに、交換せねばならないモーター120を分解するには、ユーザーは、単に以下の作業:コネクター121から電子カード122を分離し、2つの固定ねじ124a、124bを外し、かつ隙間空間134を通してユニットを取り外すことを行う必要があるだけである。反対に、新しいモーターを組み付けるには、ユーザーは隙間空間134を通してモーターをその固定位置に至らせ、2つのねじ124a、124bを締め、電子カード122をコネクター121に接続する必要があるだけである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの推進グループ(100)と、該推進グループを駆動する電気モーター(120)と、該電気モーター用の支持ブロック(130)とを備える、無人回転翼機(10)であって、
前記支持ブロックは、
支持部(131)であって、該支持部(131)上に、前記電気モーターと、該モーターに連結されることを意図されている、前記推進グループの少なくとも1つの構成部材(111)とが固定される、支持部(131)と、
前記無人機を地上に支持するスタンドフット(132)と、
前記支持部と前記スタンドフットとの間に延在する接続要素(133)と、
を備え、
前記スタンドフットと前記接続要素はともに、前記支持部上の前記電気モーターの固定位置への前記電気モーターの配置時に、前記電気モーターのための隙間空間(134)を提供することを特徴とする、無人回転翼機。
【請求項2】
前記接続要素は、前記支持部を前記フットに接続するとともに該スタンドフットとともにスターラップを形成する2つの脚部(133a、133b)を備える、請求項1に記載の無人機。
【請求項3】
前記支持部に固定されている、前記推進グループの前記構成部材は、前記推進グループの減速システムのクラウン歯車(111)によって構成され、該クラウン歯車は、前記駆動電気モーターの軸(123)上に装着されているピニオン(112)を介して前記電気モーターに連結される、請求項1に記載の無人機。
【請求項4】
前記電気モーターは、前記クラウン歯車の外側に配置されている少なくとも1つの固定手段(124a、124b)によって前記支持部に固定される、請求項3に記載の無人機。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2013−510614(P2013−510614A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538381(P2012−538381)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【国際出願番号】PCT/FR2010/052230
【国際公開番号】WO2011/058257
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(509127457)パロット (23)
【Fターム(参考)】